説明

現像装置、画像形成装置および隙間の調整方法

【課題】現像部材に供給される現像剤の量の調整を容易に実行可能にすること。
【解決手段】現像容器(V)に支持され、且つ、現像部材(Ga)に対向して配置され、表面に保持した現像剤を現像部材(Ga)に供給する供給部材(R0)と、供給部材(R0)の回転方向に対して供給部材(R0)が現像部材(Ga)に対向する位置よりも上流側において供給部材(R0)に対向して配置されて、供給部材(R0)の表面に保持された現像剤の厚さを規制する厚さ規制部材(8)と、厚さ規制部材(8)と供給部材(R0)との隙間が拡縮する方向に移動可能に支持されて、厚さ規制部材(8)と供給部材(R0)との隙間を調整可能な供給部材(R0)と、を備えたことを特徴とする現像装置(G)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置および隙間の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、潜像を可視像に現像する現像装置に関して、以下の特許文献1、2に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2008−225478号公報には、潜像が形成される光導電ベルト(110)に対向して配置された現像装置において、現像装置内の現像剤がマグロール(114)に保持され、現像装置の内部に配置されたトリムブレード(126)で過剰な現像剤が除去された後、光導電ベルト(110)に対向する2つのドナーロール(122,124)にマグロール(114)からの現像剤が移動し、現像に使用される構成が記載されている。
また、特許文献1には、トリムブレード(126)で過剰な現像剤が除去された後に、第1のマグロール(114)から一方のドナーロール(122)に現像剤を供給すると共に、第1のマグロール(114)から第2のマグロール(116)を介して他方のドナーロール(124)に現像剤を供給する構成も開示されている。
【0004】
特許文献2としての特開2006−146286号公報には、感光体(101)に対して二本の現像ロール(1,2)が配置されており、現像ロール(1,2)どうしが対向する領域において、現像ロール(1,2)が同一の方向に回転すると共に、現像装置の内部に配置され且つ現像ロール(1,2)どうしが対向する領域における隙間に楔形のドクターブレード(3)が配置され、1つのドクターブレード(3)で両側の現像ロール(1,2)表面の現像剤の量を規制する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225478号公報(「0044」〜「0048」、「0059」、図1、図5、図6、図8)
【特許文献2】特開2006−146286号公報(「0011」〜「0012」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現像部材に供給される現像剤の量の調整を容易に実行可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の現像装置は、
現像剤が収容される現像容器と、
表面に潜像が形成される像保持体に対向し、表面に現像剤を保持して回転して前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する現像部材と、
前記現像容器に支持され、且つ、前記現像部材に対向して配置され、前記現像容器内の現像剤を表面に保持して回転して、表面に保持した現像剤を前記現像部材に供給する供給部材と、
前記現像容器に支持され、且つ、前記供給部材の回転方向に対して前記供給部材が前記現像部材に対向する位置よりも上流側において前記供給部材に対向して配置されて、前記供給部材の表面に保持された現像剤の厚さを規制する厚さ規制部材と、
前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間が拡大または縮小する方向に移動可能に支持されて、前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間を調整可能な前記供給部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、
前記供給部材に支持され且つ回転が伝達される被伝達部材と、
前記被伝達部材と噛み合って前記被伝達部材に回転を伝達する伝達部材であって、前記供給部材が前記厚さ規制部材に対して移動する方向が、前記被伝達部材の回転中心と前記伝達部材の回転中心とを結ぶ方向に対して交差する位置に配置された前記伝達部材と、
前記供給部材に設けられた被位置決め部と、
前記被位置決め部に接触して、前記供給部材を前記現像容器に対して位置決めすることで、前記供給部材と前記厚さ規制部材との間の隙間を設定する位置決め部材であって、前記被伝達部材と前記伝達部材との噛み合い位置において前記伝達部材の回転を前記被伝達部材に伝達する際に発生する力の方向に対して、前記被位置決め部の下流側に接触する前記位置決め部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の現像装置において、
前記供給部材に対向して配置された第1の現像部材と、前記第1の現像部材に対向し且つ前記像保持体に対向して配置されて前記第1の現像部材の表面に保持された現像剤の一部を表面に保持して回転する第2の現像部材と、を有する前記現像部材、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の隙間の調整方法は、
現像剤が収容される現像容器に移動可能に支持され、且つ、像保持体の表面の潜像を現像する現像部材に対向して配置され、前記現像容器内の現像剤を表面に保持して回転して、表面に保持した現像剤を前記現像部材に供給する供給部材を、前記供給部材の表面に保持された現像剤の厚さを規制する厚さ規制部材に対して、隙間が拡大または縮小する方向に移動させて、前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間を調整する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、4、5に記載の発明によれば、厚さ規制部材との隙間を調整可能な供給部材を有しない場合に比べて、現像部材に供給される現像剤の量の調整を容易に実行できる。
請求項2に記載の発明によれば、被伝達部材と伝達部材との噛み合い位置において伝達部材の回転を被伝達部材に伝達する際に発生する力の方向に対して、被位置決め部の下流側に接触する位置決め部材を有しない場合に比べて、部品点数を削減しつつ、位置決めができる。
請求項3に記載の発明によれば、現像部材が1つの場合に比べて、現像する速度を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の現像装置本体の斜視図である。
【図3】図3は実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは図2のIIIA−IIIA線断面図、図3Bは図2のIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】図4は図3AのIV−IV線断面図である。
【図5】図5は実施例1の現像装置を後方から見た状態の説明図であり、図5Aが現像器の全体図、図5Bが図5Aの供給ロール用のギアの部分の要部拡大図である。
【図6】図6は実施例1のトリマーギャップの調整の説明図であり、図6Aは図3Aに示す状態の説明図、図6Bは図3Bに示す状態の説明図、図6Cは図6Aに示す状態から供給ロールをトリマーから離間させた状態の説明図、図6Dは図6Bに示す状態から図6Cに示す位置まで供給ロールをトリマーから離間させた状態の説明図である。
【図7】図7は実施例2の現像装置の説明図であり、実施例1の図3Bに対応する図である。
【図8】図8は実施例3の現像装置の説明図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、上面に透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGを有する複写機本体U1と、前記プラテンガラスPG上に着脱自在に装着される原稿搬送装置U2とを備えている。
前記原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿収容部の一例としての原稿トレイTG1を有している。前記原稿トレイTG1に収容された原稿Giは、順次プラテンガラスPG上の複写位置を通過して、原稿排出部の一例としての原稿排出トレイTG2に排出されるように構成されている。
【0016】
前記複写機本体U1は、操作部の一例としてのユーザインタフェースUIと、前記プラテンガラスPGの下方に配置された画像読取部の一例としてのスキャナ部U1aとおよび画像記録部の一例としてのプリンタ部U1bと、画像処理部IPSとを有している。
スキャナ部U1aは、読取用の基準位置に配置された基準検出部材の一例としての露光系レジセンサSpと、露光光学系Aを有している。
【0017】
前記露光光学系Aは、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は基準位置に停止している。
前記原稿搬送装置U2を使用して複写を行う場合は、前記露光光学系Aは基準位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の読み取り位置を通過する原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合、露光光学系Aは移動しながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを通って撮像素子CCD上に収束される。撮像素子CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
【0018】
また、画像処理部IPSは、スキャナ部U1aの撮像素子CCDから入力された読取画像信号を画像書込信号に変換してプリンタ部U1bの潜像形成回路DLに出力する。
前記潜像形成回路DLは、入力された画像情報に応じた駆動信号を潜像形成装置ROSに出力する。
【0019】
前記潜像形成装置ROSの下方に配置された像保持体の一例としての感光体PRは、矢印Ya方向に回転する。前記感光体PRの表面は、帯電領域Q0において帯電器CCにより帯電された後、潜像形成位置Q1において、潜像形成装置ROSの書込光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体PRの表面は、回転移動して現像領域Q2において現像装置Gにより潜像が可視像に現像される。現像領域Q2で潜像が現像された感光体ドラムPRの表面は、転写装置の一例としての転写ロールRtに対向する転写領域Q4を通過する。
【0020】
感光体PRの下方には、媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR3が配置されている。給紙トレイTR1〜TR3に収容された媒体の一例としての用紙S、または両面記録の場合に使用される反転トレイTR0に一時的に収容された用紙Sは、媒体の取出部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出される。ピックアップロールRpにより取り出された用紙Sは、捌き部材の一例としてのさばきロールRsで1枚づつ分離されて、媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより下流側に搬送される。搬送ロールRaにより搬送された用紙Sは、転写領域Q4への搬送時期を調整する調節部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。
前記レジロールRrに搬送された用紙Sは、前記感光体PR上のトナー像が転写領域Q4に移動する時期に合わせて、案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1に案内されて転写領域Q4に搬送される。
【0021】
前記感光体PRの表面に現像されたトナー像Tnは、転写領域Q4において、転写ロールRtにより用紙Sに転写される。転写後の感光体PRの表面は、清掃器の一例としての感光体クリーナCL1により清掃、クリーニングされて残留トナーが除去され、次に感光体用の除電器JLにより除電されて、前記帯電器CCにより再帯電される。
なお、前記帯電器CCの帯電電圧、現像装置Gの現像電圧、転写ロールRtの転写電圧は、電源回路Eから供給され、電源回路Eは、制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。
【0022】
転写領域Q4において転写ロールRtによりトナー像が転写された前記用紙Sは、案内部材の一例としてのシートガイドSG2や、媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ベルトBHにより定着領域Q5に搬送される。定着領域Q5を通過する用紙Sは、定着装置Fにより加熱定着される。
【0023】
定着装置Fの下流側に配置された切替部材の一例としての切替ゲートGT1は、定着装置Fを通過した用紙Sの搬送方向を排出路SH2または反転路SH3のいずれかの方向に切り替える。前記排出路SH2に搬送された用紙Sは複数の搬送ロールRaにより媒体排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。両面複写の場合、1面目のトナー像が転写された用紙Sは、反転路SH3で反転された後、循環路SH4を通って反転トレイTR0に一旦収容される。そして、予め設定された時期にピックアップロールRpで取り出されて、転写領域Q4に再送され、2面目にトナー像が転写される。
なお、前記符号SH1〜SH4,Rp,Rs,Rr,Ra,GT1等で示す構成要素から用紙搬送装置SHが構成される。
【0024】
(現像装置)
図2は実施例1の現像装置本体の斜視図である。
図3は実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは図2のIIIA−IIIA線断面図、図3Bは図2のIIIB−IIIB線断面図である。
図4は図3AのIV−IV線断面図である。
【0025】
図2ないし図4において、前記現像領域Q2で感光体PRに対向して配置された現像装置Gは、現像剤を収容する現像容器Vを有する。前記現像容器Vは、容器本体1とその上端を塞ぐ蓋部材の一例としての容器カバー2と、容器本体1の前端に連結された前側接続部材3とを有する。
【0026】
(現像容器の説明)
図3において、容器本体1の内側には、現像剤保持体の一例であって現像部材の一例としての現像ロールGa,Gbを収容する保持体収容室の一例としての現像ロール室4が形成されている。現像ロール室4の右方には、供給部材の一例としての供給ロールR0を収容する供給体収容室の一例としての供給ロール室5が隣接して配置されている。供給ロール室5の斜め下方には、第1の攪拌室6が隣接して配置され、第1の攪拌室6の右側には、第2の攪拌室7が隣接して配置されている。
前記容器カバー2は、上端部で水平方向に延びる板状の頂壁2aと、頂壁2aの右端から斜め右下方に延びる傾斜壁2bと、傾斜壁2bの右下の端から下方に延びて現像容器本体1の側壁に接触する接触壁2cとを有する。図2において、前記容器カバー2が容器本体1に装着された場合には、接触壁2cに形成された被装着部の一例としての掛かり口2c1に、容器本体1の外側面に形成された装着部の一例としての爪が嵌まり、容器本体1に容器カバー2が固定される。
【0027】
図3、図4において、前記第1の攪拌室6は、容器本体1の内部に形成された第1の主攪拌室6aと、前側接続部材3の左部3aに形成された排出室6bとを有する。また、前記第2の攪拌室7は、容器本体1の内部に形成された第2の主攪拌室7aと、前側接続部材3の右部3bに形成された補給室7bとを有する。
前記容器本体1の内側において、第1の攪拌室6と第2の攪拌室7との間には、前記第1の主攪拌室6aおよび第2の主攪拌室7aの前後両端部以外の部分に、仕切部の一例としての仕切壁9が形成されている。したがって、仕切り壁9により、第1の主撹拌室6aと第2の主撹拌室7aとの間が仕切られており、第1の主攪拌室6a及び第2の主攪拌室7aは、前後方向両端部の前側流入部E1及び後側流入部E2において、現像剤が流入可能に構成されている。
前記第1攪拌室6及び第2攪拌室7とによって循環室6+7が構成されている。
【0028】
図2、図3B、図4において、前側接続部材3の左部3aの下部には劣化した現像剤を少しずつ排出する現像剤の排出部の一例としての排出口3a1が設けられている。前側接続部材3の右部3bの上部には、現像剤の収容容器の一例としての図示しない現像剤カートリッジからの新たな現像剤が補給される補給部の一例としての補給口3b1が設けられている。
実施例1の現像装置Gでは、補給口3b1から補給された新しい現像剤が補給後すぐに排出される割合を少なくするため、排出口3a1の位置より現像剤の搬送方向の下流側に補給口3b1が設けられている。
【0029】
前記仕切壁9の上端には、仕切り部の一例として前後方向に延びる内部仕切り部材11が支持されている。前記内部仕切り部材11は、仕切壁9の上端から上方に延びる規制部材の支持部の一例としての垂直壁11aと、垂直壁11aの上端から左斜め上方に向けて延びる内部傾斜壁11bとを有する。前記垂直壁11aの左面側の供給ロール室5内には、層厚規制部材の一例であって現像剤の規制部材の一例として、供給ロールR0の表面に付着した現像剤の厚さを規制する前後方向に延びる板状のトリマー12が支持されている。
内部仕切り部材11と、容器カバー2の頂壁2aおよび傾斜壁2bとの間には、現像剤を第2の撹拌室7に向けて流入させる流入路13が形成されている。
【0030】
(撹拌部材の説明)
図5は実施例1の現像装置を後方から見た状態の説明図であり、図5Aが現像器の全体図、図5Bが図5Aの供給ロール用のギアの部分の要部拡大図である。
図3、図4において、第1攪拌室6及び第2攪拌室7には、現像剤を攪拌しながら搬送する第1の攪拌部材の一例としてのサプライオーガR1および第2の攪拌部材の一例としてのアドミクスオーガR2が配置されている。図4において、サプライオーガR1は、供給ロールR0の軸方向に沿って延びる第1の回転軸R1aと、第1の回転軸R1aの外周に支持された第1の主搬送羽根R1bと第1の逆搬送羽根R1cとを有する。
第1の主搬送羽根R1bは、現像剤を後側から前側に搬送するために、後側流入部E2から前側流入部E1にかけて設けられている。
第1の逆搬送羽根R1cは、排出口3a1付近に設けられており、現像剤を第1の主搬送羽根R1bの搬送方向とは逆方向に設定することによって、前側流入部E1を通じて現像剤を第1の攪拌室6から第2の攪拌室7に流入させている。
図4、図5において、第1の回転軸R1aは、前側接続部3の左部3aの前面壁と前記現像容器本体1の後面壁によって回転可能に支持されており、第1の回転軸R1aの後端には歯車の一例としてのギアG1が支持されている。
【0031】
また、前記アドミクスオーガR2も、サプライオーガR1と同様に、第2の回転軸R2aおよび第2の主搬送羽根R2bおよび第2の逆搬送羽根R2cとを有する。第2の主搬送羽根R2bは、現像剤を前側から後側に搬送するために補給口3b1から後側流入部E2にかけて設けられている。前記逆搬送羽根R1cは、後側流入部E2の後側に設けられており、現像剤を第2の主搬送羽根R2bの搬送方向とは逆方向に設定することによって、後側流入部E2を通じて現像剤を第2の攪拌室7から第1の攪拌室6に流入させている。第2の回転軸R2aは、前側接続部3の右部3bの前面壁と現像容器本体1の後面壁によって回転可能に支持され、後端に歯車の一例として、ギアG1と噛み合うギアG2が支持されている。
【0032】
(供給ロールの説明)
図3、図4において、前記供給ロール室5の供給ロールR0は、磁石部材の一例としての回転不能な供給用の磁石ロール21と、供給用の磁石ロール21の外周に回転可能に支持された供給用の回転体の一例としての供給スリーブ22とを有する。
図3Aにおいて、実施例1の供給スリーブ22は、トリマー12との間に隙間の一例としてのトリマーギャップL1を開けた状態で配置されており、実施例1では、トリマーギャップL1は、一例として0.80[mm]に設定されている。
図3Aにおいて、供給用の磁石ロール21は、前記第1の主攪拌室6aの現像剤を供給スリーブ22表面に吸着する吸着極の一例としてのピックアップ磁極N1を有する。なお、実施例1のピックアップ磁極N1は、トリマー12に対向して配置されており、規制極の一例としてのトリミング磁極と兼用されている。
【0033】
ピックアップ磁極N1の下流側には、ピックアップ磁極N1とは磁性が逆極性の供給磁極S1が配置され、供給磁極S1の下流側には、供給磁極S1と同極性の被戻し磁極S2が配置されている。したがって、同極性の供給磁極S1と被戻し磁極S2との間の領域では、供給スリーブ22に吸着する方向の磁力が弱くなり、供給スリーブ22表面の現像剤は、供給スリーブ22から離脱しやすくなり、各磁極S1、S2の近傍で再び供給スリーブ22に吸着する磁力が作用する。
被戻し磁極S2の下流側且つピックアップ磁極N1の上流側には、供給スリーブ22の表面の現像剤を離脱させる離脱極の一例としてのピックオフ磁極N2が配置されている。したがって、実施例1では、同極性のピックアップ磁極N1とピックオフ磁極N2との間の領域では、供給スリーブ22に吸着する方向の磁力が弱くなり、供給スリーブ22の表面の現像剤は、供給スリーブ22から第1の撹拌室6に向けて落下して戻される。戻された現像剤は、循環室6+7で、再び撹拌されながら搬送され、ピックアップ磁極N1で供給スリーブ22に供給される。
【0034】
(トリマーギャップの調整機構の説明)
前記供給スリーブ22は、回転体の本体の一例としての円筒状の供給スリーブの本体22aと、供給スリーブの本体22aの前後両端に支持された軸端の支持部の一例としての供給ハブ22bと、を有する。
図4において、供給用の磁石ロール21は前端21aが、前側の供給ハブ22bに回転可能に支持され且つ前方に貫通しており、前端部に被回転止め部の一例としてのDカット部21bが形成されている。前記Dカット部21bは、被位置決め部の一例としての回転止め用の軸受け23に支持されており、回転止め用の軸受け23は、調整用の支持部の一例として、現像容器Vの前端壁24に形成された開口24aに移動可能な状態で支持されている。実施例1の開口24aは、供給ロールR0がトリマー12に対して接近、離間する方向、すなわち、トリマー12と供給ロールR0との隙間が拡縮する方向である左右方向に延びる長方形状に形成されており、供給ロールR0は左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0035】
図2、図3Bにおいて、現像容器Vの前端壁24の前面には、開口24aの右方に、位置決め部材の一例としての位置決めプレート25が支持されている。前記位置決めプレート25は、被固定部の一例として、右部に左右方向に沿って延びる長孔25aが形成されており、位置決めプレート25は長孔25aを貫通するネジ25bにより前端壁24に固定される。位置決めプレート25の左端には、位置決め部の一例として、回転止め用の軸受け23に接触して、左右方向の位置決めを行う位置決め面25cが形成されている。
よって、ネジ25bを緩めた状態では、位置決めプレート25は左右方向に移動可能な状態となり、位置決め面25cの左右方向の位置が調整可能となり、ネジ25bを締めると位置決めプレート25の位置が固定される。よって、位置決めプレート25の位置を調整することで、位置決め面25cに接触する軸受け23、すなわち、供給ロールR0の左右方向の位置が調整可能となる。
【0036】
また、供給用の磁石ロール21の後端21cは、後側の供給ハブ22bに軸受け26を介して支持されている。
後側の供給ハブ22bの後端部22cは、軸受け27に回転可能に支持されており、軸受け27は、調整用の案内部の一例として、現像容器Vの後端壁28に形成された開口28aに移動可能な状態で支持されている。実施例1の開口28aは、前端壁24に形成された開口24aと同様に構成されている。また、後端壁28には、前端壁24に支持された位置決めプレート25と同様に構成された位置決めプレート29が支持されており、軸受け27に接触して、供給ロールR0の左右方向の位置決めがされる。図4、図5において、供給ハブ22bの後端部22cには、軸受け27の後方に、被伝達部材の一例であって歯車の一例としてのギアG3が支持されている。
【0037】
したがって、供給用の磁石ロール21は、回転止め用の軸受け23で回転不能に支持されると共に、供給スリーブ22は供給用の磁石ロール21の外周を回転可能な状態で支持されている。そして、供給ロールR0全体が、開口24a,28aにより左右方向、すなわち、トリマー12に対して接近、離間する方向に移動可能に支持されると共に、前後一対の位置決めプレート25,29により、トリマー12に対する位置決めがされる。
【0038】
図6は実施例1のトリマーギャップの調整の説明図であり、図6Aは図3Aに示す状態の説明図、図6Bは図3Bに示す状態の説明図、図6Cは図6Aに示す状態から供給ロールをトリマーから離間させた状態の説明図、図6Dは図6Bに示す状態から図6Cに示す位置まで供給ロールをトリマーから離間させた状態の説明図である。
図6において、トリマー12と供給ロールR0との間隔であるトリマーギャップL1を調整する場合、図6A、図6Bに示す状態からネジ25b,29bを緩めて、図6C、図6Dに示すように、位置決めプレート25,29の位置を左右方向にずらして調整した状態でネジ25b,29bを締めることで、位置決めプレート25,29に接触する供給ロールR0の位置が調整される。よって、位置決めプレート25,29の調整により、供給ロールR0とトリマー12との間のトリマーギャップL1が調整される。
なお、実施例1では、トリマーギャップL1を調整可能な範囲が、一例として±50[μm]=±0.05[mm]となるように、供給ロールR0の移動可能な範囲が設定されている。
【0039】
(第1の現像ロールの説明)
図2、図3において、現像ロール室4には、供給ロールR0と感光体PRとの間に配置された第1の現像ロールGaと、第1の現像ロールGaの上方且つ感光体PRに対向して配置された第2の現像ロールGbとが収容されている。
第1の現像ロールGaは、供給ロールR0と同様に、磁石部材の一例としての回転不能な第1の磁石ロール31と、第1の磁石ロール31の外周に回転可能に支持された回転体の一例としての第1の現像スリーブ32とを有する。なお、実施例1では、第1の現像スリーブ32は、供給スリーブ22との間に隙間の一例としての受渡しギャップL2を開けた状態で配置されており、実施例1では、受渡しギャップL2は、一例として3[mm]に設定されている。
【0040】
図3Aにおいて、第1の磁石ロール31は、供給スリーブ22に対向する供給領域19に対して、第1の現像スリーブ32の回転方向の下流側に配置され、供給スリーブ22からの現像剤を第1の現像スリーブ32表面に移動、付着させる磁力を発生させる被供給磁極N3を有する。なお、実施例1では、被供給磁極N3は、供給磁極S1と逆極性に設定されると共に、供給磁極S1と被戻し磁極S2との間の供給スリーブ22に付着させる磁力が弱く、且つ、供給スリーブ22と第1の現像スリーブ32との間隔が供給磁極S1の位置に比べて狭い位置に対応して配置されている。したがって、トリマー12で量が規制された後の供給スリーブ22の表面に付着した現像剤のほぼ全てが第1の現像スリーブ32の表面に移動して、第1の現像スリーブ32の表面に吸着、保持される。
【0041】
第1の現像スリーブ32の回転方向に対して、被供給磁極N3の下流側には、第2の現像ロールGbに対向する位置に、被供給磁極N3と逆極性の受渡磁極S3が配置されている。受渡し磁極S3の下流側には、感光体PRと対向する位置に、受渡し磁極S3と逆極性の第1の現像磁極N4が配置されており、第1の現像磁極N4は、第1の現像スリーブ32の表面の現像剤を、径方向にいわゆる穂立ちさせる。第1の現像磁極N4の下流側には、第1の現像磁極N4と逆極性の第1の搬送磁極S4が配置されており、第1の現像領域Q2aで使用されなかった現像剤を第1の現像スリーブ32の表面に付着させて下流側に搬送するための磁力を発生させる。
【0042】
第1の搬送磁極S4の下流側且つ被供給磁極N3の上流側には、離脱極の一例として、被供給磁極N3と同極性の戻し磁極N5が配置されている。したがって、被供給磁極N3と戻し磁極N5との間では、第1の現像スリーブ32に現像剤を吸着する磁力が弱くなり、第1の現像スリーブ32から現像剤が離脱しやすくなっている。そして、実施例1では、被供給磁極N3と戻し磁極N5との間の領域に対応して被戻し磁極S2が配置されており、吸着する磁力が弱くなった第1の現像スリーブ32の表面の現像剤が、被戻し磁極S2に吸着される。したがって、第1の現像領域Q2aで使用されずに残った現像剤は、第1の現像スリーブ32から供給スリーブ22の表面に戻され、ピックオフ磁極N2で第1の撹拌室6に戻される。
【0043】
図4において、第1の現像スリーブ32は、供給スリーブ22と同様に構成されており、後端に歯車の一例としてのギアG4が支持されている。図2〜図4において、実施例1の第1の現像ロールGaは、供給ロールR0と異なり、現像容器Vに左右方向には移動不能且つ第1の現像スリーブ32が回転可能な状態で支持されている。
【0044】
(第2の現像ロールの説明)
前記第2の現像ロールGbは、供給ロールR0や第1の現像ロールGaと同様に、磁石部材の一例としての回転不能な第2の磁石ロール41と、第2の磁石ロール41の外周に回転可能に支持された回転体の一例としての第2の現像スリーブ42とを有する。なお、実施例1の第2の現像ロールGbは、第1の現像ロールGaの上方に近接して配置されている。
第2の磁石ロール41は、受渡し磁極S3に対向する位置に配置され、受渡し磁極S3とは逆極性の受取磁極N6を有する。
前記受取磁極N6に対して、第2の現像スリーブ42の回転方向の下流側には、感光体PRに対向する第2の現像領域Q2bに対応して、受取磁極N6とは逆極性の第2の現像磁極S5が配置されている。第2の現像磁極S5は、第1の現像磁極N4と同様に、第2の現像領域Q2bにおいて現像剤を穂立ちさせる。
【0045】
前記第2の現像磁極S5の下流側には、第2の現像磁極S5とは逆極性の第2の搬送磁極N7が配置されており、第1の搬送磁極S4と同様に、現像剤を下流側に搬送するために第2の現像スリーブ42の表面に吸着させる。
第2の搬送磁極N7の下流側には、回転方向に沿って間隔をあけて、離脱磁極の一例としての2つのピックオフ磁極S6,S7が配置されている。2つのピックオフ磁極S6,S7は、互いに同極性に設定され且つ、第2の搬送磁極N7とは逆極性に設定されている。したがって、ピックオフ磁極S6,S7の間の領域では、現像剤が第2の現像スリーブ42から離脱しやすくなっている。また、実施例1では、内部傾斜壁11bの上端がピックオフ磁極S6,S7の間の位置に対応して配置されており、第2の現像スリーブ42から重力の作用等で離脱した現像剤は、流入路13を通じて、第2の撹拌室7に戻されて、再び撹拌されながら搬送される。
【0046】
図4において、第2の現像スリーブ42は、第1の現像スリーブ32と同様に構成されており、後端に歯車の一例として、第1の現像スリーブ32のギアG4と噛み合うギアG5が支持されている。また、実施例1の第2の現像ロールGbは、第1の現像ロールGaと同様に、現像容器Vに左右方向には移動不能且つ第2の現像スリーブ42が回転可能な状態で支持されている。
【0047】
(振り分け部材の説明)
図3Aにおいて、第1の現像ロールGaと第2の現像ロールGbとが対向して第1の現像ロールGaから第2の現像ロールGbに現像剤が受け渡される受渡し領域43に対して、左方には、楔形形状の振り分け部材44が配置されている。振り分け部材44の先端は、受渡し領域43に近接して配置されており、振り分け部材44により、受渡し領域43の現像剤が第1の現像ロールGa側と、第2の現像ロールGb側とに振り分けられる。
実施例1では、第1の現像ロールGaの表面に吸着される現像剤の量と、第2の現像ロールGbの表面に吸着される現像剤の量とが、同量になるように、振り分け部材44の位置が設定されている。すなわち、各現像領域Q2a,Q2bに供給される現像剤の量が同量になるように振り分けられる。
【0048】
(現像装置の駆動系の説明)
図5において、実施例1の現像容器Vでは、歯車の一例として、サプライオーガR1のギアG1と噛み合う入力ギアG6が、後端壁28に回転可能に支持されている。入力ギアG6の右斜め上方には、伝達部材の一例であって歯車の一例として、入力ギアG6に噛み合い且つ供給ローラR0のギアG3に噛み合う中間ギアG7が回転可能に支持されている。
前記入力ギアG6は、複写機本体U1に設けられ、駆動源の一例としての図示しないモータからの回転が伝達される歯車の一例としての出力ギアG8に噛み合っている。また、前記出力ギアG8は、第1の現像ロールGaのギアG4にも噛み合っている。したがって、実施例1の現像装置Gでは、図示しないモータが駆動して出力ギアG8が回転すると、ギアG4,G5により現像ローラGa,Gbが回転すると共に、入力ギアG6、ギアG1,G2によりオーガR1,R2が回転し、入力ギアG6、中間ギアG7およびギアG4により供給ロールR0も回転する。
【0049】
(駆動系の回転時に供給ロールに作用する力の説明)
図5Bにおいて、実施例1の中間ギアG7は、左右方向に移動可能な供給ロールR0のギアG3に対して、重力方向の下方に配置されている。すなわち、供給ロールR0がトリマー12に対して移動する方向である左右方向に対して、中間ギアG7の回転中心とギアG3の回転中心とを結ぶ方向が交差するように設定されている。したがって、中間ギアG7の回転時に、中間ギアG7と供給ロールR0のギアG3とが噛み合う噛み合い位置46において、図5Bに示すように、中間ギアG7の歯がギアG3の歯を押す力47の方向が、右方向成分を有する。すなわち、中間ギアG7の回転に伴って供給ロールR0は右方に向かう力を受け、供給ロールR0が位置決めプレート25,29に押し付けられる力が作用する。
【0050】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成動作が実行される場合、オーガR1,R2が現像容器V内の現像剤を撹拌しながら搬送し、供給用の磁石ロール21の磁力で供給スリーブ22に現像剤が吸着される。供給スリーブ22表面の現像剤は、トリマー12で現像剤の量が規制された状態で、供給領域19に搬送される。
供給領域19において、トリマー12で量が規制された後の供給スリーブ12表面の現像剤は、供給用の磁石ロール21と第1の磁石ロール31との間の磁界の磁力の作用で、第1の現像スリーブ32に移動する。そして、第1の現像スリーブ32表面の現像剤は、第1の現像スリーブ32の回転に伴って、受渡し領域43に搬送される。
【0051】
受渡し領域43では、第1の現像ロールGaの現像剤は、第1の磁石ロール31と第2の磁石ロール41との間の磁力と、振り分け部材44で、第1の現像ロールGaと第2の現像ロールGbに振り分けられる。
各現像ロールGa,Gbに振り分けられた現像剤は、それぞれ現像領域Q2a,Q2bに搬送され、感光体PR表面の静電潜像を可視像に現像する。特に、実施例1の現像装置Gでは、1つの感光体PRに対して2つの現像ロールGa,Gbを備えている。
【0052】
従来の現像装置では、現像装置を組み立てた後に、組み立てられた現像装置の個体ごとに現像の試験を行い、現像ロールの表面に保持される現像剤の量が過剰である場合には、トリマーの位置を調整して現像ロールとトリマーとの間隔であるトリマーギャップの間隔を行っていた。
トリマーが現像容器の外表面に露出した構成の場合には、組み立て後のトリマーの位置の調整が比較的容易であるが、実施例1のように、トリマー12が現像容器Vの内部に支持されている場合に、組み立て後の現像装置Gにおいてトリマー12の位置を調整する作業が困難になる。
【0053】
これに対して、実施例1の現像装置Gでは、前後両端が現像容器Vの外方に延びる供給ロールR0が、トリマーギャップL1を拡縮する方向である左右方向に移動可能に支持され、供給ロールR0が位置決めプレート25,29で位置決めされる。したがって、内部に配置されたトリマー12を調整すること無く、現像容器Vの外部の位置決めプレート25,29を調整してトリマーギャップL1の調整が可能になっている。すなわち、現像装置Gを組み立てた後でも、分解して内部のトリマー12を調整しなくても、トリマーギャップL1の調整が可能になっている。
【0054】
なお、実施例1では、トリマーギャップL1の調整量は、10[μm]オーダ程度であって、最大でも±50[μm]であり、受渡しギャップL2の3[mm]に比べて十分小さい。また、現像剤の量を規制するトリマーギャップL1に比べて、供給ロールR0から第1の現像ロールGaに全ての現像剤を受け渡すだけの受渡しギャップL2に求められる精度は低くなっている。したがって、実施例1では、トリマーギャップL1を調整した場合、受渡しギャップL2も影響を受けるが、受渡しギャップL2の変動が画像形成に悪影響を及ぼすことはない。
【0055】
また、実施例1の現像装置Gでは、供給ロールR0の移動可能な方向である左右方向が、供給ロールR0のギアG3と中間ギアG7との中心を結ぶ方向に対して、平行ではなく、交差するように設定されている。したがって、ギアG3と中間ギアG7との噛み合い位置46において中間ギアG7が回転する際に発生する力47は、供給ロールR0を右方、すなわち、位置決めプレート25,29に向けて押す方向の成分を有する。よって、供給ロールR0を位置決めプレート25,29に向けて押し付ける部材、例えば、コイルバネ等の付勢部材を設けなくても、現像装置Gの作動時の駆動を利用して供給ロールR0の位置決めがされる。したがって、実施例1の現像装置Gは、付勢部材等の部品点数が削減された状態で、位置決めが可能になっている。
なお、トリマーギャップL1を調整する場合に、供給ロールR0のギアG3が中間ギアG7に対して変動し、噛合の状態が変化するが、トリマーギャップL1の調整量が最大でも±50[μm]であり、噛合の変化に及ぼす影響は十分小さくなっている。
【実施例2】
【0056】
図7は実施例2の現像装置の説明図であり、実施例1の図3Bに対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0057】
図7において、実施例2の現像装置Gでは、位置決めプレート25′,29′に、位置決め用の支持部の一例として、軸受け23,27が貫通して嵌った状態で固定支持される支持口25dが形成されている。したがって、実施例2の位置決めプレート25′,29′と、供給ロールR0は一体的に移動可能に支持されている。
【0058】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の現像装置Gでは、ネジ25b,29bを緩めた状態で、位置決めプレート25′、29′の位置を調整すると、供給ロールR0が一体的に移動して、トリマーギャップL1が調整される。
よって、実施例2では、実施例1のように、中間ギアG7がギアG3を押す力に関わらず、供給ロールR0の位置が位置決めされた状態で保持されており、実施例1の構成に比べて、供給ロールR0の位置を目的の位置に確実に設定することが可能になっている。
【実施例3】
【0059】
図8は実施例3の現像装置の説明図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0060】
図8において、実施例3の現像装置Gでは、供給ロールR0が案内される前後の両端壁24,28に形成された開口24a″,28a″が、中間ギアG7の回転中心を中心とする円弧状に形成されている。したがって、供給ロールR0は、トリマー12との間隔が調整される場合に、トリマー12に対して接近、離間する方向に移動する際に、中間ギアG7を中心とする円弧に沿って移動する。
【0061】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の現像装置Gでは、供給ロールR0が調整される場合に、中間ギアG7を中心とする円弧に沿って移動しており、供給ロールR0のギアG3と中間ギアG7との噛み合い量が保持され、噛合が深くなったり、浅くなったりすることが低減される。すなわち、実施例1に比べて、供給ロールR0の移動量を大きくすることが可能になっている。
【0062】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置として複写機Uを例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、単色の現像剤が使用される構成に限定されず、例えば、2色以上、いわゆるカラーの画像形成装置にも適用可能である。
【0063】
(H03)前記実施例において、高速化に対応する目的で現像ロールGa,Gbが2本の構成を例示したが、この構成に限定されず、1本の構成としたり、3本以上とすることも可能である。これに応じて、現像ロールが1本の場合には、流入路13を無くしたり、3本以上の場合には増やしたり、形状を変える等の変更も任意に可能である。
(H04)前記実施例において、供給ロールR0のみが移動可能な構成としたが、これに限定されず、供給ロールR0と連動、または、独立して現像ロールGa,Gbのいずれかまたは両方を移動可能とする構成とすることも可能である。
【0064】
(H05)前記実施例において、供給ロールR0の移動方向が水平方向である左右方向に設定され、ギアG3,G7の中心を結ぶ方向が重力方向の設定を例示したが、これに限定されず、供給ロールR0の移動方向やギアG3,G7の中心を結ぶ方向が水平方向や重力方向に対して傾斜する方向とすることも可能である、また、供給ロールR0の移動方向とギアG3,G7の中心を結ぶ方向とが直交する必要は無く、直交から傾斜した角度で交差する設定とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、トリマー12の位置は、実施例に例示した位置に限定されず、設計等に応じて、任意に変更可能である。
【0065】
(H07)前記実施例において、例示した具体的な数値や各磁石ロール21,31,41の磁極の配置等は、実施例に例示した配置に限定されず、設計等に応じて任意に変更可能である。
(H08)前記実施例において、供給ロールR0や現像ロールGa,Gb、感光体PR等がローラやドラム形状の構成を例示したが、これに限定されず、ベルト形状等の構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
8…厚さ規制部材、
23…被位置決め部、
25,29…位置決め部材、
F…定着装置、
G…現像装置、
G3…被伝達部材、
G7…伝達部材、
Ga…第1の現像部材、
Ga,Gb…現像部材、
Gb…第2の現像部材、
PR…像保持体、
R0…供給部材、
ROS…潜像形成装置、
Rt…転写装置、
U…画像形成装置、
V…現像容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容される現像容器と、
表面に潜像が形成される像保持体に対向し、表面に現像剤を保持して回転して前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する現像部材と、
前記現像容器に支持され、且つ、前記現像部材に対向して配置され、前記現像容器内の現像剤を表面に保持して回転して、表面に保持した現像剤を前記現像部材に供給する供給部材と、
前記現像容器に支持され、且つ、前記供給部材の回転方向に対して前記供給部材が前記現像部材に対向する位置よりも上流側において前記供給部材に対向して配置されて、前記供給部材の表面に保持された現像剤の厚さを規制する厚さ規制部材と、
前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間が拡大または縮小する方向に移動可能に支持されて、前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間を調整可能な前記供給部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記供給部材に支持され且つ回転が伝達される被伝達部材と、
前記被伝達部材と噛み合って前記被伝達部材に回転を伝達する伝達部材であって、前記供給部材が前記厚さ規制部材に対して移動する方向が、前記被伝達部材の回転中心と前記伝達部材の回転中心とを結ぶ方向に対して交差する位置に配置された前記伝達部材と、
前記供給部材に設けられた被位置決め部と、
前記被位置決め部に接触して、前記供給部材を前記現像容器に対して位置決めすることで、前記供給部材と前記厚さ規制部材との間の隙間を設定する位置決め部材であって、前記被伝達部材と前記伝達部材との噛み合い位置において前記伝達部材の回転を前記被伝達部材に伝達する際に発生する力の方向に対して、前記被位置決め部の下流側に接触する前記位置決め部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記供給部材に対向して配置された第1の現像部材と、前記第1の現像部材に対向し且つ前記像保持体に対向して配置されて前記第1の現像部材の表面に保持された現像剤の一部を表面に保持して回転する第2の現像部材と、を有する前記現像部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
現像剤が収容される現像容器に移動可能に支持され、且つ、像保持体の表面の潜像を現像する現像部材に対向して配置され、前記現像容器内の現像剤を表面に保持して回転して、表面に保持した現像剤を前記現像部材に供給する供給部材を、前記供給部材の表面に保持された現像剤の厚さを規制する厚さ規制部材に対して、隙間が拡大または縮小する方向に移動させて、前記厚さ規制部材と前記供給部材との隙間を調整する
ことを特徴とする隙間の調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−53177(P2012−53177A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194265(P2010−194265)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】