説明

現品管理方法および現品管理システム

【課題】大きな設備投資を行うこと無しに、搬送用台車を用いて移動させながら積み降ろしを行う際の、製品の現品管理を誤りなく確実に行うことが可能な現品管理方法および現品管理システムを提供する。
【解決手段】製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積み降ろしする際に、前記パレット上に積まれる製品の位置を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として記憶し、この記憶した相対位置情報に基づいて、パレット上の製品の位置管理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品、特に鉄鋼製品を、搬送用台車を用いて移動させながら積み降ろしを行う際の、製品の現品管理方法および現品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鋼製品の工場や倉庫内の固定された置場については、工場や倉庫内における座標系を基準とした置場の位置情報を記憶媒体等に記憶させておき、天井クレーン等で製品を移動させる際に、天井クレーン等で検出した工場や倉庫内における位置と前記記憶媒体に記憶された位置とを照合することで、移動させる製品が指示されたものと違わないことを確認していた。
【0003】
一方、特許文献1には、搬送用台車での現品(コイル)管理を行う技術が開示されている。この特許文献1に記載の技術は、まず、工場や倉庫に搬送用台車が入ってくる際に、入ってきた搬送用台車に積載されたパレット自体の指定場所からのずれ量をパレット位置検出装置で検出する(4頁左上欄参照)。次に、そのパレット上にあるコイルの位置に関しては、パレットのコイル受け台の絶対位置を、上記で検出したパレットずれ量で補正し(5頁左上欄参照)、パレット上にコイルを載置した後の走行・横行データとパレット位置ずれ量から、パレット上のコイル位置を走行・横行位置に変換し、記憶して(7頁左下欄参照)、コイルを管理するものである。
【特許文献1】特開平3−31121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の工場や倉庫内における座標系を基準とした位置で管理する技術では、搬送用台車(例えば、パレット等)を用いた場合では、搬送用台車が工場や倉庫に入ってきて止まる位置が、その都度、数10cm単位でずれるため、そのずれ量を把握しなければ、位置の管理ができず、適用することができなかった。そのため、搬送用台車に製品を積む、搬送用台車から製品を降ろすという作業においては、クレーンの操作者などの人間によって、作業指示書と現品である製品との照合、つまり、目視確認を行う必要があった。この場合、指示されたものと違う製品を移動させてしまうといった作業誤りが時々発生することがあった。
【0005】
一方、上記特許文献1に記載の技術は、全自動化することはできるが、絶対座標同士で比較する必要がある。そのため、絶対座標を把握するためのICタグ等の取付けや、その情報を管理するための大掛かりなシステムを構築する必要があり、大きな設備投資が必要である。
【0006】
そこで本発明は、大きな設備投資を行うこと無しに、搬送用台車を用いて移動させながら積み降ろしを行う際の、製品の現品管理を誤りなく確実に行うことが可能な現品管理方法および現品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決する方法について鋭意検討を行った。図1は、搬送用台車5に載せたパレット6上でのコイル7の配置を説明する図である。ここで、図1には、搬送用台車の進行方向の前後に4コイル、搬送用台車の進行方向に対し直交した左右方向に2コイルの計8コイルを載置するパレットを用いた場合を例示している。なお、パレット上に載置するコイルの数はコイルの大きさ等によって適宜変更され得るものであって、上記の場合に限られるものではない。
【0008】
コイルの積み降ろしを行う各工場においては、搬送用台車によって搬送されるパレットが置かれる場所は決まっているが、それが置かれる位置の精度は高くなく、基準位置に対して数10cmのばらつきがあるのが普通である。また、パレットの置かれる状態に関しても、例えば、図1(b),(d)に示すように、斜めに置かれる場合もある。よって、従来のように、コイルを載置した時点でのコイル位置(図1(a)参照)を、コイル積み工場内のクレーンによって決められた絶対座標系を基準として、コイル降ろし工場の絶対座標系に変換して処理するようにすると、積み工場、降ろし工場ともに、基準位置どおりにパレットが置かれれば問題ないが、位置がずれたり、斜めに置かれた場合には、変換した位置が大きくずれてしまい(図1(b)参照)、位置の把握が困難となる。
【0009】
そこで、検討を重ねた結果、本発明者等は、工場内のクレーンによって決められた絶対座標系ではなく、パレット上の座標系、すなわち、パレット上の1つのコイルを基準にして、他をその相対位置で表現した座標系(図1(c)参照)を着想するに至った。パレット上の1つのコイルを基準にして、他をその相対位置で表現すれば、パレット内の位置関係は変わることはないので、斜めに置かれた場合(図1(d)参照)であってもコイルの位置の把握が確実にできることとなる。つまり、吊り上げるコイルの位置を、それぞれクレーンの位置である工場内の絶対座標で認識しておき、それを、パレット上の位置に変換して、積み降ろしを行う際に、パレット上の位置によりコイルの照合管理を行えば良いとの知見を得るに至った。
【0010】
なお、検討を重ねる中で、パレット上に置かれるコイルの位置は、予め、パレット全体を、パレットに載置可能な最大のコイル数と同じ数の領域、図1に示す例では8つの領域に区分し、個々の領域を基準としてコイルの位置を特定して、それにより位置が正常か否かの判断を行うようにすれば、相対位置をあまり厳密に算出しなくとも、判断が可能であることを知見するに至った。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので以下のような特徴を有する。
[1]製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積み降ろしする際に、前記パレット上に積まれる製品の位置を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として記憶し、該記憶した相対位置情報に基づいて、パレット上の製品の位置管理を行うことを特徴とする現品管理方法。
[2]製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積む際に、パレット上に積む製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として、前記製品の製品番号と対応させて記憶する製品情報記憶ステップと、
製品を搬送用台車に載せられたパレット上から降ろす際に、パレット上から降ろす製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として算出し、該算出した相対位置情報と、前記製品情報記憶ステップで記憶した、パレット上から降ろす前記製品の製品番号に対応する相対位置情報とを比較する相対位置情報比較ステップとを有することを特徴とする現品管理方法。
[3]製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積む際に、パレット上に積む製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として、前記製品の製品番号と対応させて記憶する製品情報記憶手段と、
製品を搬送用台車に載せられたパレット上から降ろす際に、パレット上から降ろす製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として算出し、該算出した相対位置情報と、前記製品情報記憶ステップで記憶した、パレット上から降ろす前記製品の製品番号に対応する相対位置情報とを比較する相対位置情報比較手段とを有することを特徴とする現品管理システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな設備投資を行うこと無しに、搬送用台車を用いて移動させながら積み降ろしを行う際の、製品の現品管理を誤りなく確実に行うことが可能な現品管理方法および現品管理システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
【0014】
図2は、本発明に係る現品管理システムの構成の一例を示す図である。ここでは、製品を搬送用台車に載せられたパレット上に載置する製品積み工場2から、搬送用台車を用いて、次の工程を行うための製品降ろし工場3に、製品を搬送する例で説明する。なお、以下においては、前記製品を、鉄鋼製品であるコイルを一例に用いて説明するが、本発明は、コイルに限られるものではなく、工場や倉庫内を、搬送用台車を用いて移動させながら積み降ろしを行う製品全般に適用できる。
【0015】
図2において、システム全体の管理を行う上位計算機1からの搬送指令に基づき、製品積み工場2では、現品であるコイルを搬送用台車に載せられたパレット上に載置する。コイルを載せた搬送用台車は、次の工程を行う製品降ろし工場3までコイルを搬送した後、そこでコイルを降ろす。
【0016】
前記製品積み工場2には、工場内でのコイルの移動およびパレット上へのコイルの積み込みを行うためのクレーン21、このクレーン21の制御を行うクレーン制御装置22、製品積み工場内における現品であるコイルの管理を行う製品積み工場内現品管理装置23が備えられている。この製品積み工場2での製造ラインで製造が完了したコイルは、次工程のあるコイルヤードに出荷されるまで工場内に保管される。なお、ここでの出荷は、次工程への搬送のほか、客先への出荷の意味も含む。
【0017】
製品積み工場2では、上位計算機1からの搬送指令に基づいて、指定された製品番号を持つコイルについて、クレーン21を使って、搬送用台車上のコイル載置用のパレットに載置する作業を行う。
【0018】
前記クレーン21は、工場内を直交して、2次元(X−Y)に配置された走行レールによって移動可能に構成される。そして、その位置は、クレーン制御装置22によりX−Yの座標で制御される。また、クレーン制御装置22は、コイルを吊り上げる時およびコイルを降ろす時のクレーンの位置をX−Y座標(工場内絶対座標)によって表示や出力することができる。なお、クレーンの位置は、レーザ又は誘導無線を用いて、クレーンにレーザ発信機、工場のx側壁、y側壁にそれぞれ反射板をおき、レーザが反射して返ってくる時間を測定して、工場全体におけるクレーン位置の座標(x,y)を決める。これは、従来から公知の技術を使用すればよい。
【0019】
図2に示すように、クレーン位置の座標情報は、クレーン制御装置22から、製品積み工場内現品管理装置23に出力されるようになっている。製品積み工場内現品管理装置23は、例えば、クレーン21が吊り上げたコイルを搬送用台車に載せられたパレット上に降ろす際に、つかんだコイルを離すタイミングでの工場内絶対座標系におけるクレーン21のX−Y座標の情報をクレーン制御装置22から受けると、その座標情報を前記パレット上でのコイルの相対座標に変換する。そして、その相対座標の情報を、コイルの製品番号と対応付けて、上位計算機1に出力する。上位計算機1では、そのデータを製品情報記憶装置11に記憶させる。ここで、前記製品情報記憶装置11としては、ハードディスク、メモリー等の記憶媒体等により構成することができる。
【0020】
製品積み工場2でコイルの積み込みが行われた搬送用台車は、上位計算機1からの指令により製品降ろし工場3に搬送される。ここで、製品降ろし工場3には、搬送用台車に載せられたパレット上のコイルの降ろし、および、工場内でコイルの移動を行うためのクレーン31、このクレーン31の制御を行うクレーン制御装置32、製品降ろし工場内における現品であるコイルの管理を行う製品降ろし工場内現品管理装置33が備えられている。なお、このクレーン31、クレーン制御装置32、製品降ろし工場内現品管理装置33は、上述の製品積み工場2でのクレーン21、クレーン制御装置22、製品積み工場内現品管理装置23と同様の構成のものを用いることができる。
【0021】
この製品降ろし工場3では、コイルが積まれた搬送用台車が到着すると、上位計算機1から、まず製品降ろし工場内現品管理装置33に作業指令が送信される。作業指令の送信を受けた製品降ろし工場内現品管理装置33は、作業指令の内容に基づいてクレーン制御装置32に指示を与え、クレーン制御装置32はクレーン31を用いて、コイルを、例えば、当該製品降ろし工場3内の製造ライン上流側のコイルヤードに降ろす。この時、上位計算機1からの作業指令と共に、製品降ろし工場内現品管理装置33には、到着した搬送用台車の上に積まれていて、これから降ろすコイルの製品番号と製品積み工場2でコイルを積み込んだ際のパレット上での相対座標とが上位計算機1から送信される。
【0022】
この製品降ろし工場3では、搬送用台車に載せられたパレット上のコイルを降ろす際に、クレーン31がコイルを吊り上げる時点における工場内絶対座標系におけるクレーン31のX−Y座標情報を、クレーン制御装置32から製品降ろし工場内現品管理装置33に送信する。製品降ろし工場内現品管理装置33では、クレーン制御装置32から受信したコイルの座標情報を、搬送用台車に載せられたパレット上における相対座標に変換処理する。
【0023】
さらに、製品降ろし工場内現品管理装置33では、前記変換した相対座標を、上位計算機1から送信された同じ製品番号に対応する上記製品積み工場2でコイルをパレット上に載置した際の相対座標と比較を行う。この製品降ろし工場内現品管理装置33で変換を行った相対座標と上位計算機1から送信された前記相対座標の位置情報が一致していればコイルは一致していると判断し、一致しない場合にはクレーン31で吊り上げたコイルは作業指令のあったコイルとは異なっており、異常処理であることを警報する。これにより、現品であるコイルの管理を誤りなく確実に行うことが可能となる。
【0024】
以上の説明において、上位計算機1と、製品積み工場2での製品積み工場内現品管理装置23と、製品降ろし工場3での製品降ろし工場内現品管理装置33とについては別の装置(計算機)として記載した。しかし、これらは、1つの計算機でそれぞれの機能を持たせるようにしてもよく、また、上位計算機1の機能が製品積み工場内現品管理装置23、製品降ろし工場内現品管理装置33のどちらかに含まれるような構成であってもよい。
【0025】
以下、上記コイルの一致或いは不一致を判断する方法について、さらに詳細に説明する。
【0026】
図3に、製品積み工場2での処理フローの一例を示す。まず、搬送用台車に載せられたパレット上へのコイルの積み込み指令が、上位計算機1から入力されて処理が開始される(S21)。
【0027】
次に、パレット上に積み込むコイルが、最初に積み込む1コイル目であるか否かを判断する(S22)。ここで、1コイル目である場合(S22での判断が「Yes」の場合)には、パレット上に当該コイルを降ろした位置、つまり、つかんだコイルを離すタイミングでのクレーンの位置情報(工場内絶対座標)をクレーン制御装置22から得て、例えば、製品積み工場内現品管理装置23に備える記憶手段(図示せず)に、当該コイルの製品番号(コイル番号)と対応付けて記憶する(S23)。なお、1コイル目は、例えば、パレットの「左」・「1列目」に置くように決めておくとよいが、この場所に限る必要はない。また、製品積み工場2内のコイルヤードに置かれたコイルは、工場内の絶対座標に、製品番号(コイル番号)が対応付けられて、例えば、製品積み工場内現品管理装置23に備える記憶手段に記憶されている。そのため、コイルヤードからコイルを吊り上げたタイミングで、クレーンの位置情報から、コイルの製品番号は読み取ることが可能となる。
【0028】
次に、2コイル目以降の処理(S22での判断が「No」の場合)について説明する。2コイル目以降をパレット上に積み込む際には、1コイル目と同様にコイルを降ろした位置のクレーンの位置情報(工場内絶対座標)をクレーン制御装置22から得る。次に、前記位置情報に基づいて、前記1コイル目の位置に対する相対位置を算出し、当該コイルの製品番号(コイル番号)と対応付けて製品積み工場内現品管理装置23に備える記憶手段に記憶する(S24)。
【0029】
2コイル目以降のコイルの、前記1コイル目の位置に対する相対位置の算出は、例えば、以下のようにして行うことができる。《提案書にあった「パレット全体を8つに分けた領域に区分された領域(例えば、左右幅方向が2m単位、前後方向が1.5m単位)」からは、パレットの大きさは幅方向4m、前後方向6mと思われますが、下の絶対座標の長さは何を表しているのでしょうか。数字ではなく記号で記載する方が良いと思いますがいかがでしょうか。》
1コイル目:座標(x,y)=絶対座標(10m,2m)
2コイル目:座標(x,y)=絶対座標(12m,2m)=相対位置(12m−10m=2m,2m−2m=0m)
1コイル目:絶対座標(x,y
2コイル目:絶対座標(x,y)=相対位置(x=x−x,y=y−y
3コイル目以降も2コイル目と同様に最終コイルまで相対位置の算出を繰り返す(S25での判断が「No」の場合)。
【0030】
上記により算出した相対位置(x,y)が、前記8つに区分したパレット内の領域のどこに該当するかを判断して、左右方向の「左」または「右」、前後方向の「1列目」、「2列目」、「3列目」、「4列目」のどこに対応するかを決定する。
【0031】
最終コイルまで算出が完了した時点(S25での判断が「Yes」の場合)で、パレット上に載置されたコイルの相対位置情報を上位計算機1に送信する(S26)。
【0032】
上位計算機1は、送信されてきた情報を製品情報記憶装置11に記憶させ、コイルの積み込みが完了した搬送用台車に対して製品降ろし工場3への移動指令を送信する(S27)。
【0033】
図4に、上位計算機1に送信される、前記パレット上に載置されたコイルの相対位置情報の一例を示す。この相対位置情報は、1つのパレット毎に管理され、記憶される。ここでは、パレットを識別するためのパレット識別番号が記載され、そのパレット上の位置を、この例では8つの領域に区分して、どの領域に、どの製品番号のコイルが載せられているかが、コイルの製品番号と対応させて記載されている。図3の例では、パレット上の領域を、左右方向は「左」または「右」、前後方向は、「1列目」、「2列目」、「3列目」、「4列目」で表示しているが、表示方法はこれに限定されるものではない。
【0034】
図5に、製品降ろし工場3での処理フローの一例を示す。まず、パレット上にコイルが載置された搬送用台車が製品降ろし工場3に到着した段階で、上位計算機1に対して、到着した搬送用台車に載せられたパレットのパレット識別番号を送信し、そのパレット識別番号に対応するコイルの製品番号と相対位置情報のデータを上位計算機1から受信する(S31)。ここで、前記受信したデータは製品降ろし工場内現品管理装置33に備える記憶手段(図示せず)に記憶する。
【0035】
次に、パレット上からコイルを降ろす際に、最初に降ろすコイルが、製品積み工場2で最初に積まれた1コイル目のコイルであるか否かを判断する(S32)。ここで、1コイル目である場合(S32での判断が「Yes」の場合)には、その1コイル目のコイルをパレットから吊り上げる時のクレーンの位置情報(工場内絶対座標)をクレーン制御装置32から得て、例えば、製品降ろし工場内現品管理装置33に備える記憶手段(図示せず)に、当該コイルの製品番号(コイル番号)と対応付けて記憶する(S33)。
【0036】
次に、2コイル目以降の処理(S32での判断が「No」の場合)について説明する。2コイル目以降をパレット上から降ろす際には、1コイル目と同様にコイルを吊り上げる時のクレーンの位置情報(工場内絶対座標)をクレーン制御装置32から得る。次に、前記位置情報に基づいて、前記1コイル目の位置に対する相対位置を算出し、前記8つに区分したパレット内の領域のどこに該当するかを判断して、左右方向の「左」または「右」、前後方向の「1列目」、「2列目」、「3列目」、「4列目」のどこに対応するかの相対位置情報を決定する。ここでの相対位置の算出は、上記製品積み工場2で説明した算出方法と同様に行うことができる。前記相対位置情報は、当該コイルの製品番号(コイル番号)と対応付けて製品降ろし工場内現品管理装置33に備える記憶手段に記憶する(S34)。
【0037】
パレット上から降ろすコイルが最終コイルとなるまで、降ろしたコイルの相対位置の算出を繰り返す(S35での判断が「No」の場合)。
【0038】
最終コイルまで算出が完了した時点(S35での判断が「Yes」の場合)で、この製品降ろし工場3で算出したコイルの相対位置情報と、上記S31で受信した製品積み工場2で積み込んだ際のコイルの相対位置情報とを比較する(S36)。なお、工場によっては、クレーンのX,Y座標の正負が異なっている場合がある。しかし、この場合は、工場ごとに、搬送用台車が入り、パレットが置かれる向きと、各工場におけるクレーンのX,Y座標の正負とを対応付けたデータを予め用意しておけば、対応は可能である。
【0039】
パレット上の全てのコイルの相対位置情報が一致するか否かの判断を行う(S37)。一致する場合(S37での判断が「Yes」の場合)は、コイルの対応関係は正常であると判断して、次の搬送用台車に積まれたコイルに対して降ろしの作業を行う(S38)。一致しない場合(S37での判断が「No」の場合)は、異材発生として、クレーンの操作者にアラームを出し、作業のやり直しの指示を行う(S39)。
【0040】
なお、上述の説明では、全てのコイルを降ろす作業が完了した時点で、相対位置情報が一致するか否かの判断(異材有無のチェック)を行ったが、1コイル降ろすごとに相対位置情報が一致するか否かの判断(異材有無のチェック)を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】搬送用台車に載せたパレット上でのコイルの配置を説明する図である。
【図2】本発明に係る現品管理システムの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る製品積み工場での処理フローの一例を示す図である。
【図4】本発明に係る製品積み工場において、上位計算機に送信される、パレット上に載置されたコイルの相対位置情報の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る製品降ろし工場での処理フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 上位計算機
11 製品情報記憶装置
2 製品積み工場
21 クレーン
22 クレーン制御装置
23 製品積み工場内現品管理装置
3 製品降ろし工場
31 クレーン
32 クレーン制御装置
33 製品降ろし工場内現品管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積み降ろしする際に、前記パレット上に積まれる製品の位置を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として記憶し、該記憶した相対位置情報に基づいて、パレット上の製品の位置管理を行うことを特徴とする現品管理方法。
【請求項2】
製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積む際に、パレット上に積む製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として、前記製品の製品番号と対応させて記憶する製品情報記憶ステップと、
製品を搬送用台車に載せられたパレット上から降ろす際に、パレット上から降ろす製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として算出し、該算出した相対位置情報と、前記製品情報記憶ステップで記憶した、パレット上から降ろす前記製品の製品番号に対応する相対位置情報とを比較する相対位置情報比較ステップとを有することを特徴とする現品管理方法。
【請求項3】
製品を搬送用台車に載せられたパレット上に積む際に、パレット上に積む製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として、前記製品の製品番号と対応させて記憶する製品情報記憶手段と、
製品を搬送用台車に載せられたパレット上から降ろす際に、パレット上から降ろす製品の位置情報を、前記パレット上の所定位置に置かれた製品の位置を基準とする相対位置情報として算出し、該算出した相対位置情報と、前記製品情報記憶ステップで記憶した、パレット上から降ろす前記製品の製品番号に対応する相対位置情報とを比較する相対位置情報比較手段とを有することを特徴とする現品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−129056(P2009−129056A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301383(P2007−301383)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(593005644)JFE物流株式会社 (11)
【Fターム(参考)】