説明

現金管理システム

【課題】現金管理の厳正化を図った上で、現金管理装置の取引の対象となる装置から離れた場所での運用が可能で、業務効率の向上が図れる現金管理システムの提供。
【解決手段】棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫される開閉可能な収納庫21を備えた現金管理装置12と、収納庫21の映像を撮像する監視カメラ13と、これら現金管理装置12および監視カメラ13に通信可能な制御手段38,39と、を有し、制御手段38,39は、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した映像を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人的ミスによって現金管理装置から出金した現金に違算が発生することを未然に防止する現金管理システムとして、出納機への現金の補充と出納機からの現金の回収を行う移動可能な現金管理装置であって、出納機と情報の送受信を行う送受信手段を備え、現金を出金するときは、送受信手段により出納機から出金する現金の情報を受信して、その受信した現金の情報に基づいて現金を出金する現金管理システムがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−310519号公報(段落0006,0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現金管理装置から補充のために出金すべき現金と現金管理装置から実際に出金した現金とが一致していない場合があり、そのような場合には後の現金を集計したときに差異がでて、それにより集計のやり直し等を行う必要が生じるが、このような問題を解決し、現金管理の厳正化を図るために特許文献1記載の現金管理システムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の現金管理システムによれば現金管理の厳正化が図れるものの、取引の対象となる装置、例えば出納機の側に現金管理装置を移動させ、さらに連結部を介して連結させる必要があり、現金管理装置を取引の対象となる装置から離れた場所で運用するのには適さず、また作業が繁雑で業務効率が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、現金管理の厳正化を図った上で、現金管理装置の取引の対象となる装置から離れた場所での運用が可能で、業務効率の向上が図れる現金管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫される開閉可能な収納庫を備えた現金管理装置と、前記収納庫の映像を撮像する監視カメラと、これら現金管理装置および監視カメラに通信可能な制御手段と、を有する現金管理システムであって、前記制御手段は、前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像を記憶することを特徴としている。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、前記収納庫の開作動に基づいて前記監視カメラにより撮像した映像の記憶を開始し、前記収納庫の閉作動に基づいて前記監視カメラにより撮像した映像の記憶を停止することを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記現金管理装置の外部に、表示手段が設置された管理センタが設けられ、前記制御手段は、前記表示手段との間で通信可能であり、前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像を前記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記管理センタに操作手段が設置され、前記現金管理装置側に警告手段が設けられ、前記制御手段は、前記操作手段および前記警告手段との間で通信可能であり、前記操作手段に入力された警告操作に基づく警告信号を受信すると、前記警告手段で前記現金管理装置側に警告することを特徴としている。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記現金管理装置は、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の金種情報および数量情報と、前記収納庫を開放するための開操作とが入力される入力手段を備え、前記制御手段は、一の開操作に関連して入力された、前記区別情報、前記金種情報および前記数量情報と、当該一の開操作に伴う前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像とを関連付けて記憶することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、現金管理装置の開状態とされた収納庫に対して、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫されることになるが、その際に、制御手段が、収納庫の開状態から閉状態までの間、監視カメラにより撮像した映像、つまり収納庫の開庫映像および収納庫に対し入出する操作者の手元映像を記憶する。よって、簡易に現金管理の厳正化が図れるとともに、煩雑な作業が不要となり業務効率の向上が図れる。また、収納庫の開状態から閉状態までの間の、監視カメラにより撮像した映像を記憶するものであるため、現金管理装置の取引の対象となる装置から離れた場所での運用が可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、制御手段が、収納庫の開作動に基づいて監視カメラにより撮像した映像の記憶を開始し、収納庫の閉作動に基づいて監視カメラにより撮像した映像の記憶を停止するため、現金管理の厳正化に必要な映像を無駄なく記憶することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、制御手段は、現金管理装置の外部に設けられた管理センタに設置の表示手段に対して、収納庫の開状態から閉状態までの間の、監視カメラにより撮像した映像を表示させるため、管理センタ側でもリアルタイムの監視が可能となる。よって、現金管理の一層の厳正化が図れる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、管理センタに設置された操作手段に警告操作が入力されることで、制御手段が警告信号を受信すると、制御手段は、警告手段で現金管理装置側に警告するため、管理センタ側での監視に基づく警告を、管理センタとは異なる場所に設置された現金管理装置側に行うことができる。よって、現金管理の一層の厳正化が図れる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、一の開操作が入力されると、制御手段は、この一の開操作に関連して入力された、入庫・出庫の区別情報と、収納庫に対し入出庫される収納物の金種情報および数量情報と、当該一の開操作に伴う収納庫の開状態から閉状態までの間の、監視カメラにより撮像した映像とを関連付けて記憶するため、事後的な照合処理が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る現金管理システムを示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る現金管理システムの要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る現金管理システムを図面を参照して以下に説明する。
【0019】
本実施形態に係る現金管理システム11は、銀行等の金融機関の店舗に設置される現金管理装置12、監視カメラ13および店舗側情報管理装置14と、店舗から離れた場所にあって関連する全店舗の情報を集中管理する管理センタに設置されるセンタ側情報管理装置15とで構成されている。
【0020】
通常、金融機関の店舗は、顧客が行き来可能な顧客側(ロビー側)スペースと、顧客の立ち入りが制限され係員等の担当者のみが行き来可能な担当者側スペースに区分けされており、現金管理装置12、監視カメラ13および店舗側情報管理装置14は、担当者側スペースに設置されるものである。
【0021】
現金管理装置12は、店舗内に基本的に移動不可となるように設置されるもので、箱型の筐体20と、この筐体20に上下方向に段状に設けられた複数(具体的には四つ)の引き出し式の収納庫21と、操作者により操作入力がなされる現金管理装置操作入力部(入力手段)22と、操作者に対して視覚的および聴覚的に表示を行う現金管理装置表示部(警告手段)23とを有している。複数の収納庫21には、単一金種の硬貨が所定枚数集積されて包装紙で包装されてなる棒金や、単一金種の紙幣が所定枚数集積されて結束テープで結束されてなる束紙幣が収納される。
【0022】
複数の収納庫21は、図2に示すように、それぞれ、底部24と底部24の外縁部から上方に延出する枠状の囲壁部25とを有する上方開口形状をなしており、その内側の収納空間26に、上部開口27を介して、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が収納される。複数の収納庫21は、それぞれ、筐体20に押し込まれた閉状態では、収納空間26が筐体20で閉塞されるとともに筐体20の前面に形成された図1に示す開口部28を閉塞することになり、開口部28を通りながら水平前方にスライドすることで筐体20から引き出され収納空間26が開放された開状態となる。
【0023】
筐体20には、複数の収納庫21のそれぞれに対して、収納庫21を閉状態で個別にロックするロック機構29と、収納庫21の開閉状態を個別に検知する開閉検知センサ30とが設けられている。ロック機構29は、収納庫21が操作者により閉作動されて閉状態になると自動的かつ機械的にこの収納庫21を閉状態にロックする一方、電気的に駆動されると収納庫21の閉状態でのロックを解除してその開作動を可能とする。開閉検知センサ30は、収納庫21がその収納空間26が全体として閉じられる閉状態にあるか、それ以外の開状態にあるかを検知するものである。
【0024】
複数の収納庫21は、それぞれ、ロックが解除され開作動されることで開状態となる上部開口27を介して、上記した棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫されることになる。なお、ロック機構29は、筐体20に対して複数の収納庫21のうちの一つのみが引き出し可能となるように、同時に複数のロック解除状態が生じないように制御される。
【0025】
ここで、店舗の担当者側スペースには、窓口担当者により入出金が行われる図示略の入出金機(出納機)が設けられており、このような入出金機で出金用の棒金や束紙幣が不足した場合等に、現金管理装置12に収納されていた棒金あるいは束紙幣が現金管理装置12から取り出されて入出金機に補充されることになる。あるいは、営業後に入出金機にある棒金あるいは束紙幣が回収されて現金管理装置12に収納されることになる。なお、すべての収納庫21は、それぞれ収納する収納物の金種が予め設定されており、例えば、最も上側の収納庫21には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨等の低額硬貨の棒金が、上から二段目の収納庫21には、100円硬貨、500円硬貨等の高額硬貨の棒金が、上から三段目の収納庫21には、千円紙幣、5千円紙幣等の低額紙幣の束紙幣が、上から四段目の収納庫21には、一万円紙幣等の高額紙幣の束紙幣が、収納される等である。なお、それぞれ一金種一つずつの収納庫21を設けても良い。
【0026】
監視カメラ13は、現金管理装置12が設置される店舗の壁面上部あるいは天井面等に設置されるもので、複数の収納庫21の個々の動画映像を撮像可能となっている。より具体的に、監視カメラ13は、すべての収納庫21について、それぞれ個別に引き出された開状態にあるとき、その上部開口27を介して収納空間26内の動画映像を収納物を含んで撮像可能となっている。その結果、監視カメラ13は、すべての収納庫21について、それぞれ個別に引き出された開状態にあるとき、その上部開口27を介して収納物の入出庫を行う作業者の手元の動画映像をも撮像可能となっている。なお、監視カメラ13は、収納空間26の全体を撮像可能となるように、図1および図2に示すように収納庫21の可動範囲を上方から鉛直下方に向いて撮像するのが好ましいが、収納空間26内に撮像の死角が生じない角度範囲であれば上方から斜め方向に撮像しても良い。この場合、監視カメラ13に撮像の死角が生じないように収納庫21内の収納物の収納位置を制限するようにしても良い。さらには、それぞれ複数の異なる位置に監視カメラ13を設け、同時に撮像することで、撮像の死角が生じても、それを補えるようにしても良い。
【0027】
店舗側情報管理装置14は、操作者により操作入力がなされる店舗側装置操作入力部35と、操作者に対して視覚的および聴覚的に表示を行う店舗側装置表示部36と、管理センタに通信するための店舗側装置通信部37と、これら店舗側装置操作入力部35、店舗側装置表示部36および店舗側装置通信部37に通信可能に接続された店舗側装置制御部(制御手段)38と、データを記憶する店舗側装置記憶部(制御手段)39とを有している。なお、店舗側装置制御部38は、監視カメラ13および現金管理装置12にも通信可能に接続されており、監視カメラ13の撮像および現金管理装置12の各ロック機構29のロック解除等を行う。また、店舗側装置記憶部39には、監視カメラ13からの距離が異なる複数の収納庫21のそれぞれについての、監視カメラ13が鮮明に撮像するための焦点データ等のデフォルト値等が記憶されている。なお、店舗側情報管理装置14を現金管理装置12に組み込み、店舗側装置操作入力部35、店舗側装置表示部36、店舗側装置通信部37、店舗側装置制御部38、および店舗側装置記憶部39を現金管理装置12に設けても良い。
【0028】
センタ側情報管理装置15は、操作者により操作入力がなされるセンタ側装置操作入力部(操作手段)45と、操作者に対して視覚的および聴覚的に表示を行うセンタ側装置表示部(表示手段)46と、店舗側情報管理装置14の店舗側装置通信部37に通信するためのセンタ側装置通信部47と、これらセンタ側装置操作入力部45、センタ側装置表示部46およびセンタ側装置通信部47に通信可能に接続されたセンタ側装置制御部48と、データを記憶するセンタ側装置記憶部49とを有している。
【0029】
以上の構成の現金管理システム11においては、担当者が、入出金機に補充すべく、現金管理装置12から棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方を取り出す際には、まず、一の取引の開始にあたって、現金管理装置12の現金管理装置操作入力部22に担当者識別情報を入力する。すると、店舗側情報管理装置14の店舗側装置制御部38が、この入力された担当者識別情報と一致する情報が、店舗側装置記憶部39に予め記憶された担当者識別情報のマスタデータにあるか否かを判定し、マスタデータにない場合、現金管理装置表示部23にその旨の警告を発生させる。
【0030】
入力された担当者識別情報と一致する情報がマスタデータにある場合、店舗側装置制御部38は、日時情報を含むこの一の取引の取引識別情報を設定するとともに、この取引が現金管理装置12に対する収納物の入庫であるか出庫であるかの区別情報の入力と、収納庫21に対し入出庫される収納物の金種情報の入力と、各金種情報それぞれの数量情報の入力とを促す表示を、現金管理装置表示部23に表示させる。すると、担当者は、現金管理装置操作入力部22に、これらの情報を入力することになり、この入力が適正である場合に限り、店舗側装置制御部38は、入力情報を確定する確定操作を促す表示を現金管理装置表示部23に表示させて確定操作を許可する。
【0031】
これを見た担当者により確定操作が現金管理装置操作入力部22に入力されると、店舗側装置制御部38は、先に設定したこの一の取引の取引識別情報に関連付けて、この一の取引で入力された担当者識別情報と、この一の取引にて入力された上記の区別情報、金種情報および数量情報とを店舗側装置記憶部39に記憶するとともに、この一の取引の取引識別情報に関連付けて、これらの担当者識別情報、区別情報、金種情報および数量情報を、店舗側装置通信部37を介してセンタ側装置通信部47に送信する。すると、センタ側装置制御部48が、この一の取引の取引識別情報に関連付けて、これらの担当者識別情報、区別情報、金種情報および数量情報を、センタ側装置記憶部49に記憶する。そして、店舗側装置制御部38は、この一の取引にて入力された金種情報に対応した収納庫21のロックをロック機構29により解除することにより、入力された金種情報の棒金あるいは束紙幣が収納されている収納庫21を開作動可能とする。ここで、この一の取引における上記した確定操作の入力が、この一の取引における収納庫21を開放するための一の開操作となる。
【0032】
店舗側装置制御部38は、この一の取引にて入力された金種情報に対応した収納庫21のロックを解除するにあたって、この一の取引にて一つの収納庫21のみのロックを解除する場合、この一つの収納庫21のロックのみを解除することになり、この一の取引にて複数の収納庫21のロックを解除する場合、まず、所定の一つの収納庫21のロックのみを解除する。
【0033】
ロック解除後、店舗側装置制御部38は、この収納庫21が開かれたこと、つまり収納庫21の筐体20に対する引き出しが開始されたことをその開閉検知センサ30で検知すると、これをトリガーとして、この収納庫21に一対一で対応するデフォルト値を店舗側装置記憶部39から読み出してこのデフォルト値で監視カメラ13を制御しつつ監視カメラ13に撮像を開始させる。そして、店舗側装置制御部38は、監視カメラ13で撮像している動画映像をこの収納庫21の収納庫識別情報と関連付けて一つの監視データとし、この監視データを、先に設定したこの一の取引の取引識別情報に関連付けて、店舗側装置記憶部39に記憶するとともに、店舗側装置通信部37を介してセンタ側装置通信部47に送信する。すると、センタ側装置制御部48が、この監視データを、センタ側装置表示部46にリアルタイムで表示させるとともに、センタ側装置記憶部49に、この一の取引の取引識別情報に関連付けて記憶することになる。
【0034】
操作者は、ロックが解除された収納庫21を上記のように筐体20から引き出して開くと、必要な収納物を取り出すことになり、その後、この収納庫21を筐体20に押し込んで閉じることになる。このとき、この収納庫21は、ロック機構29により、自動的かつ機械的に閉状態にロックされる。そして、この収納庫21が筐体20に押し込まれて閉じられたこと、つまり収納庫21の筐体20に対する押し込みが終了したことをその開閉検知センサ30で検知すると、これをトリガーとして、店舗側装置制御部38は、監視カメラ13で撮像している動画映像の、店舗側装置記憶部39への記憶を停止するとともに、センタ側装置制御部48への出力を停止することになり、センタ側装置制御部48は、センタ側装置表示部46への表示およびセンタ側装置記憶部49への記憶を停止する。
【0035】
つまり、店舗側装置制御部38は、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像を店舗側装置記憶部39に記憶することになり、しかも、収納庫21の開作動に基づいて監視カメラ13により撮像した動画映像の記憶を開始し、収納庫21の閉作動に基づいて監視カメラ13により撮像した動画映像の記憶を停止する。加えて、店舗側装置制御部38は、センタ側装置表示部46との間で通信可能であり、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像をセンタ側装置表示部46に表示させる。
【0036】
一つの収納庫21のみのロックを解除する場合、この一の取引の取引識別情報に関連付けて、上記した担当者識別情報、区別情報、金種情報および数量情報と、監視データとが纏められて、この一の取引に対する取引情報として、店舗側装置記憶部39およびセンタ側装置記憶部49に記憶されることになる。
【0037】
他方、複数の収納庫21のロックを解除する場合、店舗側装置制御部38は、次に、所定の上記とは異なる他の一つの収納庫21のロックをのみを上記と同様に解除する。
【0038】
そして、店舗側装置制御部38は、この収納庫21が開かれたことをその開閉検知センサ30で検知すると、これをトリガーとして、この収納庫21に一対一で対応するデフォルト値を店舗側装置記憶部39から読み出してこのデフォルト値で監視カメラ13を制御しつつ監視カメラ13に撮像を開始させる。そして、店舗側装置制御部38は、監視カメラ13で撮像している動画映像をこの収納庫21の収納庫識別情報と関連付けて一つの監視データとし、この監視データを、先に設定したこの一の取引の取引識別情報に関連付けて、店舗側装置記憶部39に記憶するとともに、店舗側装置通信部37を介してセンタ側装置通信部47に送信する。すると、センタ側装置制御部48が、この監視データを、センタ側装置表示部46にリアルタイムで表示させるとともに、センタ側装置記憶部49に、この一の取引の取引識別情報に関連付けて記憶することになる。
【0039】
ロックが解除された収納庫21が上記のように筐体20から引き出されて開かれ、その後、この収納庫21が筐体20に押し込まれて閉じられたことをその開閉検知センサ30で検知すると、これをトリガーとして、店舗側装置制御部38は、監視カメラ13で撮像している動画映像の、店舗側装置記憶部39への記憶を停止するとともに、センタ側装置制御部48への出力を停止することになり、センタ側装置制御部48は、センタ側装置表示部46への表示およびセンタ側装置記憶部49への記憶を停止する。
【0040】
そして、複数の収納庫21のロックを解除する場合、解除対象のすべての収納庫21に対して上記を繰り返すことになり、その結果、この一の取引の取引識別情報に関連付けて、上記した担当者識別情報、区別情報、金種情報および数量情報と、各収納庫21それぞれに対応する監視データとが纏められて、この一の取引に対する取引情報として、店舗側装置記憶部39およびセンタ側装置記憶部49に記憶されることになる。つまり、店舗側装置制御部38は、上記した一の開操作に関連して入力された、区別情報、金種情報および数量情報と、当該一の開操作に伴う収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像とを関連付けて店舗側装置記憶部39に記憶することになる。
【0041】
なお、現金管理装置12の外部に設けられた管理センタにおいては、上記のように、店舗側装置制御部38から店舗側装置通信部37およびセンタ側装置通信部47を介して、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像が、センタ側装置制御部48に送信されて、センタ側装置表示部46に表示されることになる。よって、この動画映像を見たセンタ側の担当者が、例えば、店舗側の担当者によって監視カメラ13の撮像が妨げられる等の異常操作があった場合等、警告が必要な状況になると、センタ側装置操作入力部45によって警告操作を入力する。すると、センタ側装置制御部48が、警告操作に応じた警告信号を、センタ側装置通信部47から、店舗側装置通信部37を介して店舗側装置制御部38に出力することになり、これを受けた店舗側装置制御部38は、警告信号に応じた警告を、現金管理装置表示部23により視覚的および聴覚的に行う。つまり、店舗側装置制御部38は、センタ側装置操作入力部45および現金管理装置表示部23との間で通信可能であり、センタ側装置操作入力部45に入力された警告操作に基づく警告信号を受信すると、現金管理装置表示部23で現金管理装置12側に警告することになる。なお、センタ側装置操作入力部45への入力に拘わらず、店舗側装置制御部38が、監視カメラ13により撮像した動画映像の解析(正常操作時のマスタ映像との比較等)を行って、担当者による異常操作を検出すると、現金管理装置表示部23に警告するようにしても良い。
【0042】
他方、店舗側情報管理装置14において、店舗側装置操作入力部35に取引情報を読み出す操作入力が取引識別情報とともに入力されると、店舗側装置制御部38は、入力された取引識別情報に対応して店舗側装置記憶部39に記憶された取引情報を読み出して店舗側装置表示部36に表示させることになり、よって、操作者は、この取引情報に含まれる、取引識別情報と、担当者識別情報と、区別情報と、金種情報と、数量情報と、監視カメラ13の動画映像を含む監視データとを再度確認可能となる。
【0043】
同様に、センタ側情報管理装置15において、センタ側装置操作入力部45に取引情報を読み出す操作入力が取引識別情報とともに入力されると、センタ側装置制御部48は、入力された取引識別情報に対応してセンタ側装置記憶部49に記憶された取引情報を読み出してセンタ側装置表示部46に表示させることになり、よって、操作者は、この取引情報に含まれる、取引識別情報と、担当者識別情報と、区別情報と、金種情報と、数量情報と、監視カメラ13の動画映像を含む監視データとを再度確認可能となる。
【0044】
以上に述べた本実施形態によれば、現金管理装置12の開状態とされた収納庫21に対して、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫されることになるが、その際に、店舗側装置制御部38が、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像、つまり収納庫21の開庫映像および収納庫21に対し入出する操作者の手元映像を、店舗側装置記憶部39に記憶する。よって、簡易に現金管理の厳正化が図れるとともに、煩雑な作業が不要となり業務効率の向上が図れる。また、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した映像を店舗側装置記憶部39に記憶するため、現金管理装置12の取引の対象となる装置から離れた場所での運用が可能となる。
【0045】
また、店舗側装置制御部38が、収納庫21の開作動に基づいて監視カメラ13により撮像した動画映像の店舗側装置記憶部39への記憶を開始し、収納庫21の閉作動に基づいて監視カメラ13により撮像した動画映像の店舗側装置記憶部39への記憶を停止するため、現金管理の厳正化に必要な動画映像を無駄なく記憶することができる。
【0046】
また、店舗側装置制御部38は、現金管理装置12の外部に設けられた管理センタに設置のセンタ側情報管理装置15のセンタ側装置表示部46に対して、収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像を表示させるため、管理センタ側でもリアルタイムの監視が可能となる。よって、現金管理の一層の厳正化が図れる。
【0047】
また、管理センタに設置されたセンタ側情報管理装置15のセンタ側装置操作入力部45に警告操作が入力されることで、店舗側装置制御部38が警告信号を受信すると、店舗側装置制御部38は、現金管理装置表示部23で現金管理装置12側に警告するため、管理センタ側での監視に基づく警告を、管理センタとは異なる場所に設置された現金管理装置12側に行うことができる。よって、現金管理の一層の厳正化が図れる。
【0048】
また、一の開操作が入力されると、店舗側装置制御部38は、この一の開操作に関連して入力された、入庫・出庫の区別情報と、収納庫21に対し入出庫される収納物の金種情報および数量情報と、当該一の開操作に伴う収納庫21の開状態から閉状態までの間の、監視カメラ13により撮像した動画映像とを関連付けて店舗側装置記憶部39に記憶するため、事後的な照合処理が容易にできる。
【0049】
なお、以上の実施形態においては、現金管理装置12が基本的に移動不可とされる場合を例にとり説明したが、現金管理装置12をキャスタ等を設けて移動可能に構成しても良い。その場合、監視カメラ13の撮像方向を可動として監視カメラ13の撮像方向を現金管理装置12の移動に追従させるようにしたり、収納庫21内に監視カメラ13を設置したりすることになる。
【0050】
また、以上の実施形態においては、収納庫21が筐体20に対して引き出されることにより開閉されるものを例にとり説明したが、収納庫が筐体に固定され、その一部を構成する扉が揺動またはスライドすることで収納庫が開閉されるもの等、他の種々の収納庫にも適用可能である。
【0051】
さらには、以上の実施形態においては、監視カメラ13による撮像開始のトリガーとして、開閉検知センサ30により収納庫21の筐体20に対する引き出し開始を検出するものを例にとり説明したが、収納庫21の開作動の前提となる、店舗側装置制御部38による収納庫21のロック解除をトリガーとすることも可能である。
【0052】
また、以上の実施形態においては、監視カメラ13による撮像停止のトリガーとして、開閉検知センサ30により収納庫21の筐体20に対する押し込み終了を検出するものを例にとり説明したが、ロック機構29によって収納庫21が閉状態にロックされたことを検出するロック確認センサを設けて、収納庫21の閉作動の結果に伴う、店舗側装置制御部38による収納庫21のロック確認をトリガーとすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
11 現金管理システム
12 現金管理装置
13 監視カメラ
21 収納庫
22 現金管理装置操作入力部(入力手段)
23 現金管理装置表示部(警告手段)
38 店舗側装置制御部(制御手段)
39 店舗側装置記憶部(制御手段)
45 センタ側装置操作入力部(操作手段)
46 センタ側装置表示部(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物が入出庫される開閉可能な収納庫を備えた現金管理装置と、
前記収納庫の映像を撮像する監視カメラと、
これら現金管理装置および監視カメラに通信可能な制御手段と、
を有する現金管理システムであって、
前記制御手段は、
前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像を記憶することを特徴とする現金管理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記収納庫の開作動に基づいて前記監視カメラにより撮像した映像の記憶を開始し、前記収納庫の閉作動に基づいて前記監視カメラにより撮像した映像の記憶を停止することを特徴とする請求項1記載の現金管理システム。
【請求項3】
前記現金管理装置の外部に、表示手段が設置された管理センタが設けられ、
前記制御手段は、前記表示手段との間で通信可能であり、前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2記載の現金管理システム。
【請求項4】
前記管理センタに操作手段が設置され、
前記現金管理装置側に警告手段が設けられ、
前記制御手段は、前記操作手段および前記警告手段との間で通信可能であり、前記操作手段に入力された警告操作に基づく警告信号を受信すると、前記警告手段で前記現金管理装置側に警告することを特徴とする請求項3記載の現金管理システム。
【請求項5】
前記現金管理装置は、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の金種情報および数量情報と、前記収納庫を開放するための開操作とが入力される入力手段を備え、
前記制御手段は、一の開操作に関連して入力された、前記区別情報、前記金種情報および前記数量情報と、当該一の開操作に伴う前記収納庫の開状態から閉状態までの間の、前記監視カメラにより撮像した映像とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の現金管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−113142(P2011−113142A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266692(P2009−266692)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】