説明

現金自動取引装置

【課題】
現金取引操作中に取引残高額面が直接画面に表示され、これは個人情報を利用客の意思にかかわらず公開している状態に等しく、個人情報の保護という観点で問題があると考えられる。
【解決手段】
本発明は上記課題を解決するため、表示部に表示される個人情報を伏字にて表示し、表示切替ボタンによって利用者の意思で個人情報の表示/非表示を切り替えることを可能にする。また、表示切替の限度回数および表示切替ボタンの押下有効時間をソフトウェア設定で変更できるようにすることで、個人情報の表示機会を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置で表示が必要とされる個人情報に対して、個人情報の表示/非表示を利用者の意思で切り替えることにより、取引時に表示部からの個人情報漏洩を防止する装置、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動取引装置において顧客操作部に取引残高を表示する際は、表示部に額面が直接表示され、例えば特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】特開平5−274530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動取引装置での表示方法においては、現金取引操作中に取引残高額面が直接画面に表示され、これは個人情報を利用客の意思にかかわらず公開している状態に等しく、個人情報の保護という観点で問題がある。
【0005】
本発明は、この問題を解決し、利用客の意思をもって重要な取引残高を表示する自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、表示部に表示される個人情報を伏字にて表示し、表示切替ボタンによって利用者の意思で個人情報の表示/非表示を切り替えることを可能にする。また、表示切替の限度回数および表示切替ボタンの押下有効時間をソフトウェア設定で変更できるようにすることで、個人情報の表示機会を制限する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自動取引装置で表示が必要とされる個人情報に対して、個人情報の表示/非表示を利用者の意思で切り替えることにより、取引時の表示部からの個人情報漏洩を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の現金自動取引装置に関しての一実施例を詳細に説明する。
【0009】
図1は後述の現金自動取引装置の顧客操作部にて表示される取引残高表示画面14の一例を示す。取引残高表示画面14は、取引における残高を表示する取引残高表示エリア9,入力を行うキーA10およびキーB11を含んでいる。取引処理において残高を表示する際は、先ず取引残高表示エリア9を伏字にて表示し、キーB11が押下されている間だけ取引残高表示エリア9の表示を額面表示に切り替える。
【0010】
図2、図3は、現金自動取引装置1の外観とその構成の一例を示したものである。現金自動取引装置1は、顧客へのガイダンス表示やその入力を検知する顧客操作部2,CPU、メモリのハードとプログラムのソフトより構成され、装置全体を制御する制御部3を有する。また、紙幣の入金、出金やその鑑別を実行する紙幣入出金機構4,カードの読み取り等を行うカード機構5,明細票発行処理を実行する明細票機構6を有する。そして外部(特にホスト)との通信を行うインタフェース部7,電源部8から構成される。他、装置のオプション機能として、ジャーナルへの印字機構、通帳への印字機構等を有するがその説明は省略する。本構成における残高表示では、図2、図3にて示す顧客操作部2に対して図1で示した取引残高表示画面14を表示する。
【0011】
図4は現金自動取引装置における現金取引処理の概略を示す。顧客操作部2には顧客が選択可能な取引項目として、「入金」「出金」「残高照会」等が予め表示されており、この項目から残高照会を選択すると(S401)、カード機構5に顧客保有のカードを挿入し(S402)、そのカード情報が読み取られる(S403)。そして顧客操作部2には暗証番号入力ガイダンスが表示され、テンキーにて入力された結果を読み取り(S404)、予め登録された暗証番号との比較結果が正当であれば、顧客の口座にある残高を顧客操作部2に表示する(S405)。続いて、カード機構5より返却、明細票の印字処理が行われる(S406,407)。上記S405の処理では上述の図1に示した取引残高表示画面14が表示され、顧客による操作も実行される。
【0012】
このS405の残高表示処理の詳細を図5のフローに基づき説明する。
【0013】
残高表示処理のS405が開始されると、ステップ101として残高表示開始処理が実行され、ステップ102で図1の表示画面上の取引残高表示エリア9に対して残高を伏字で表示する。その後、ステップ103で取引残高表示画面14におけるキーA10、キーB11に対するキー押下の検出開始または無押下を判断し、キーの押下又は無押下状態によって3つの処理に分岐する。
【0014】
キーA10,キー11の両方が押下されていない(ステップ103にて「c」に分岐した)場合は、そのタイムを計測し、ステップ104へ進み入力待ちタイムアウトでなければステップ103へ戻り、入力待ちタイムアウトであればステップ105へ進み伏字で表示している残高表示処理を終了する。また、キーA10が押下されていた(ステップ103にて「a」に分岐した)場合は、そのままステップ105へ進み同様に残高表示処理を終了する。
【0015】
キーB11が押下されていた(ステップ103にて「b」に分岐した)場合は、ステップ106へ進み、残高表示切替処理13を実行する。この残高表示切替処理13の詳細を図6で示す。
【0016】
図5のステップ103にてキーB11の押下が発生するとそれを検知し、ステップ106の取引残高表示切替処理13が実行される。先ずキーB11の押下状態を監視するためにステップ201としてタイマー監視を開始し、ステップ202にて残高金額を数字で表示する。この時点で図1の右図に示したように、取引残高表示エリア9の表示が、伏字から額面表示へと切り替わる。
【0017】
ステップ203にて、監視中のタイマーが規定時間に到達したかを判定する。規定時間に到達していた場合はステップ205へ進みタイマー監視を終了する。規定時間に到達していない場合は、ステップ204へ進みキーB11の押下状態を監視する。またステップ204の判定においてキーB11が押下されていた場合はステップ203へ戻りタイマー監視を継続する。キーB11が押下されていなかった場合はステップ205へ進みタイマー監視を終了する。このステップ203およびステップ204は、キーB11が誤って押されつづけた場合でも、規定時間内で額面表示を伏字に戻すための処理である。
【0018】
ステップ205にてタイマー監視が終了した後は、図5に示すステップ107へ進み、ステップ107にて繰り返し処理の指定を判定する。繰り返し処理が指定されていればステップ105へ進み残高表示処理を終了する。繰り返し処理が指定されていればステップ102へ進み、残高金額を伏字で表示する。この時点で図1の左図に示したように、取引残高表示エリア9の表示が、額面から伏字表示へと切り替わる。
【0019】
以上より、現金自動取引装置1で取引残高表示エリア9に表示される取引残高情報に対して、顧客操作部2のキーB12によって、額面表示,伏字表示を利用者の意思で切り替えることが可能となる。換言すれば、自動取引装置は、取引残高の表示に当たり、顧客からの操作入力の検知に応じてその伏字表示するか、額面を表示するかを選択、判断する機能を有している。
【0020】
また、キーBは取引残高の表示状態を切り替えることから表示切替キーとも言え、上述した規定時間(ステップ203参照)、キー押下による切替限度回数を制御部のソフトウェアにて設定変更できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】取引残高表示方法の模式図
【図2】現金自動取引装置の外観図
【図3】現金自動取引装置の構成図
【図4】現金取引処理の概略図
【図5】取引残高の表示制御フロー図
【図6】残高表示切替の制御フロー図
【符号の説明】
【0022】
1:現金自動取引装置,2:顧客操作部,3:制御部,4:紙幣入出金機構,5:カード機構,6:明細票機構,7:インタフェース部,8:電源部,9:取引残高表示エリア,10:キーA,11:キーB,12:残高表示処理,13:残高表示切替処理,14:取引残高表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が操作する顧客操作部と、制御部とを有する現金自動取引装置において、前記顧客操作部に取引残高を表示するとき、前記制御部は前記顧客操作部から入力されるキー入力に応じて前記取引残高を伏字にて表示するか、額面表示にするかを選択することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の現金自動取引装置において、前記顧客操作部に設けられた前記キーの押下を検出し前記取引残高を伏字から額面表示に切り替わった後、前記制御部は規定時間以上の前記キー押下を検出し、前記取引残高表示を伏字に戻すことを特徴とする現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−18393(P2007−18393A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201039(P2005−201039)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】