説明

球案内装置及び遊技機

【課題】遊技機外から糸材を操作して、遊技球の動向を制御するような不正行為において、前記糸材の操作の自由度を低減し、かつ、視覚を通じて当該不正行為の痕跡を確実に残す。
【解決手段】歯車部材216は、それぞれの回転軸216Aが前記収容溝214を挟んで、左右に振り分けられ、かつ肉厚方向に段違いとされ、一部が重なって取り付けられる。一対の歯車部材216の重なり部分は、前記収容溝214と対向している。このため、歯車部材216は、糸材208が収容溝214に入り込むときの移動エネルギー(落下する不正球PBXにより糸材208にかかる張力)によって相互に回転し、糸材208が一対の歯車部材216の重なり部分に噛み込まれる。一旦噛み込まれた糸材208は、不正者が糸材208を引っ張ったとしても収容溝214から抜け出ることがないため、結果として、切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け皿に貯留された後、順次発射装置へ送り込まれて発射される遊技球を、少なくとも賞球又は抽選の権利が付与される特定の領域が設けられた遊技盤面へ送り出すための案内流路を備えた球案内装置及び、球案内装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、例えば、パチンコ機では、パチンコ球に、釣り糸等の糸材の一端部を接着剤等で固定した状態で発射すると、当該糸材が付いたパチンコ球が遊技盤面へ送り込まれたとき、糸材の他端が、パチンコ機の受け皿に残っているため、この糸材の他端部を不正に操作することで、パチンコ球の動向を操ることができる。
【0003】
遊技盤には、賞球や抽選等の権利を得ることができる特定領域、例えば入賞口(始動入賞口)、およびチャッカが設けられ、それぞれに球検出センサが配置されている。球検出センサは、パチンコ球が通過することで、当該パチンコ球を検出し、入賞口の場合には検出後に遊技機に取り込んで検出球に対する賞品として所定数の遊技球を払い出し(賞球し)、始動入賞口の場合にはパチンコ球の検出タイミングで権利抽選すると共にパチンコ機に取り込んで賞球し、さらにチャッカの場合には権利抽選後に再度、遊技盤面に戻して検出球に対する賞球はない。
【0004】
ここで、糸材が固定されたパチンコ球を球検出センサの検出位置を境界として、その上流側と下流側とを行き来させると、球検出センサは、当該上流と下流との行き来毎に入賞を判断することになる。
【0005】
パチンコ球が固定された側の糸材の一端部は、前記受け皿から発射装置を経て、内レールと外レールとで構成される発射球通路へ至り、ファウル球逆流防止弁を超えて遊技盤面へ到達されている。従って、この径路間に糸材が存在するため、例えば、遊技店の係員等が目視で糸材を認識することができる状況である。
【0006】
しかしながら、前記係員が現場(糸材が使われているパチンコ機)に到着する前に不正者が不正に操作している糸材の他端部を指から離すと、入賞口(セーフ口)、或いはアウト口から回収されていくパチンコ球に糸材が追従して回収され、所謂証拠が残らない状況となる。
【0007】
なお、参考として、特許文献1では、球皿において、球導入口の下方に、送出カムの上で受止められたパチンコ球を検出する送出待機球検出センサが設けられ、球排出口の下方には、送出カムから送り出されたパチンコ球を検出する送出球検出センサが設けられ、2つのセンサ間を通過するのに要する時間がほぼ一定であるから、この時間が極端に短かったり、或いは極端に長かったりした場合は、不正行為や球送出装置の異常を予測することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−272925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のように、センサによる球検出時期による不正行為等の異常判別の技術を用いたとしても、糸材がパチンコ球と共に回収されてしまえば、所謂証拠が残らないため、異常の早期判定は可能であるが、それが不正行為である場合、不正者の特定には至らない。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、糸材の一端部が固定されている遊技球を遊技機内に送り込み、遊技機外から糸材の他端部を操作して、遊技球の動向を制御するような不正行為において、前記糸材の操作の自由度を低減し、かつ、視覚を通じて当該不正行為の痕跡を確実に残すことができる球案内装置、及び遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、受け皿に貯留された後、順次発射装置へ送り込まれて発射される遊技球を、少なくとも賞球又は抽選の権利が付与される特定の領域が設けられた遊技盤面へ送り出すための案内流路を備えた球案内装置であって、前記遊技球に糸材の一部が固定され、当該糸材の延長部が前記遊技盤面に送り出された後も前記受け皿に残っている場合を想定して、前記遊技球が遊技盤面へ到達したときに必ず存在し得る、前記案内流路と前記遊技盤面との境界部の前記糸材を、予め定めた糸材案内位置まで案内する案内手段と、前記案内手段で案内される糸材案内位置に設けられ、前記糸材に加わる張力に依存して当該糸材の移動を保持し、かつ、当該保持による切断があっても少なくとも当該糸材の一部を滞留させる糸材滞留手段と、を有している。
【0012】
本発明によれば、受け皿に貯留された後、順次発射装置へ送り込まれて発射される遊技球を、少なくとも賞球又は抽選の権利が付与される特定の領域が設けられた遊技盤面へ送り出すための案内流路を備えた球案内装置において、遊技球に糸材の一部が固定され、当該糸材の延長部が遊技盤面に送り出された後も前記受け皿に残っている場合を想定して、案内手段によって、遊技球が遊技盤面へ到達したときに必ず存在し得る、案内流路と遊技盤面との境界部の糸材を、予め定めた糸材案内位置まで案内し、案内手段で案内される糸材案内位置に設けられた糸材滞留手段により、糸材に加わる張力に依存して当該糸材の移動を保持し、かつ、当該保持による切断があっても少なくとも当該糸材の一部を滞留させるようにしている。このため、糸材による遊技球の操作の自由度を低減することができ、さらには、想定される糸材残留状況を視覚を通じて痕跡を残すことができる。
【0013】
本発明において、前記案内流路と前記遊技盤面との境界部には、前記案内流路から前記遊技盤面への遊技球の送り出し時を妨げないように付勢力に抗して変形し、かつ前記遊技盤面に送り出された遊技球が前記案内流路へ戻ることを回避するように付勢力で閉塞する逆流防止弁が設けられ、前記逆流防止弁の先端部が幅方向に傾斜されて形成されることで、当該逆流防止弁を通過するときに巻き掛けられる糸材を、前記案内流路の幅方向の隙間に落下させて前記糸材案内位置へ案内することを特徴としている。
【0014】
逆流防止弁の先端部を傾斜させることで、遊技球が逆流防止弁を通過するときに巻き掛けられる糸材を、案内流路の幅方向の隙間に落下させて糸材案内位置へ案内することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記糸材滞留手段が、前記案内流路における前記遊技盤側案内壁としての役目を持つ内レールの一部に形成され、或いは当該内レールの一部に取り付けられ、前記案内手段によって案内されてくる糸を内レールの表裏面に巻き掛けて収容するスリット状の糸材収容部と、前記糸材収容部に収容された糸材の収容動作に追従して動作して、前記糸材に噛み込むことで前記糸材を保持する保持部材とを備え、前記糸材にかかる張力が前記溝部への収容方向に限定されることで前記保持部材に保持された糸材を滞留させることを特徴としている。
【0016】
糸材にかかる張力が糸材収容部の溝部への収容方向に限定され、保持部材に保持された糸材を滞留させる。
【0017】
保持部材としては、細径の針金を複雑に絡め、例えば有刺鉄線等のように鋭利な先端が複数形成されるような構造を含むものとする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記保持部材が、周縁部の一部又は全部にのこぎり状の凹凸が形成された歯状部材であり、少なくとも前記糸材収容部に収容される糸材にかかる張力で回転可能な質量で形成されていることを特徴としている。
【0019】
保持部材が歯状部材であり、この歯状部材は糸材が糸材収容部に収容されるときにかかる張力で回転する。歯状部材にのこぎり状の凹凸が形成されることで、この凹凸へ糸材が噛み込まれることで糸材の保持を実現している。
【0020】
歯状部材としては、例えば、歯車が代表的であるが、扇形状のように一部の円弧部にのこぎり状の凹凸(歯)が形成された部材であってもよい。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記歯状部材が、肉厚方向に隙間を持って一部が重なるように複数個配列され、前記糸材収容部に収容される糸材を境界として回転軸が交互に振分けられ、当該歯車の数に応じて、前記糸材の噛み込み量を調整することを特徴としている。
糸材が保持される長さを充分に確保することができ、痕跡量を増やすことができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1〜請求項5の球案内装置を備え、前記遊技盤面に設けられ、少なくとも賞球又は抽選の権利を得ることができる遊技球の特定の領域が設けられ、当該特定の領域には、遊技球が通過することで遊技球の入賞を検出する球検出センサが設けられ、発射される遊技球によって遊技が進行される遊技機である。
【0023】
糸材が固定された遊技球が球検出センサの遊技球検出位置の上下流を往復するように糸材を操作しようとしても、糸材が糸材滞留手段によって糸材を保持し、糸材による遊技球の操作の自由度を低減することができる。さらには、想定される糸材残留状況を視覚を通じて痕跡を残すことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した如く本発明によれば、糸材の一端部が固定されている遊技球を遊技機内に送り込み、遊技機外から糸材を操作して、遊技球の動向を制御するような不正行為において、前記糸材の操作の自由度を低減し、かつ、視覚を通じて当該不正行為の痕跡を確実に残すことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係る制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る遊技盤における球案内流路の出口近傍の拡大図である。
【図5】本実施の形態に係る遊技盤における球案内流路の出口近傍の斜視図である。
【図6】本実施の形態に係る遊技盤における球案内流路の出口近傍であり、糸材滞留部の分解斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る逆流防止弁の側面図である。
【図8】本実施の形態に係る糸材滞留部の側面図である。
【図9】本実施の形態に係る歯車部材の配置関係を示す正面図である。
【図10】本実施の形態に係る不正球が打ち出されて糸材が歯車部材に噛み込まれるまでの状態を示す斜視図であり、(A)が不正球打ち出し時、(B)が糸材案内開始時を示す。
【図11】本実施の形態に係る不正球が打ち出されて糸材が歯車部材に噛み込まれるまでの状態を示す斜視図であり、(A)が糸材案内途中、(B)が糸材噛み込み時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0027】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0028】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0029】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0030】
上皿部28の周縁壁32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0031】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0032】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0033】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0034】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0035】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0036】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0037】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0038】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0039】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0040】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。
【0041】
前記外レール102及び内レール104との間は、一定の間隔を持って球案内流路200が形成されている。球案内流路200は、発射装置165(図3参照)から発射された遊技球PBを遊技盤18の円形状の領域(遊技領域)へ案内する役目を有している。なお、この球案内流路200の終端には、球逆流防止弁202が取り付けられている。球逆流防止弁202は、その基部が内レール104の先端部に取り付けられ、外レール102方向に延長されている。なお、球逆流防止弁202及び球案内流路200を含む「球案内構造」についての詳細は後述する。
【0042】
前記遊技盤18における、外レール102(並びに一部が内レール104)によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて、前記球案内流路200を介して打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0043】
遊技盤18の遊技領域には、遊技釘19(図4参照)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。なお、図2に示すセンター役物105の外形と、後述する図4に示すセンター役物105の外形が若干異なるが、遊技仕様によってセンター役物105のみ交換することも可能であることを示す。なお、一般的には、遊技盤18毎の交換が主流である。
【0044】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ」という。
【0045】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0046】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0047】
図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0048】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)130と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0049】
特別図柄始動入賞口(A)130が常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、特別図柄始動入賞口(A)130が閉塞している。
【0050】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0051】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
【0052】
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0053】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0054】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0055】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)130と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、図2に向かって左側に2個の一般入賞口120A、120C、右側に1個の一般入賞口120Cとする。)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個の限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0056】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子136(図3参照)が多数設けられている。
【0057】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)130又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0058】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0059】
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)130及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0060】
保留球数は、センター役物105における、図2に向かって右下に配置され、主として特図表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109の一部である保留ランプによって報知される他、LCD106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0061】
図3に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0062】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0063】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特図A始動入賞口130への入賞球を検出する特図A始動口センサ130S、特図B始動入賞口134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0064】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0065】
演出制御部152には、入力系として、操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子136、スピーカ60が接続されている。
【0066】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0067】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0068】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0069】
(球案内構造)
図4には、遊技盤18における球案内流路200の球を遊技領域へ送り出す排出口近傍(以下、「先端部」という)の拡大図が示されている。
【0070】
前記内レール104の先端部には、内レール104の中間部の肉厚寸法よりも大きい肉厚寸法とされた肉盛部204が形成されている。本実施の形態では、内レール104の全体が合成樹脂で形成されており、肉盛部204とは一体の成形品であるが、内レール104の中間部が金属製のベルト状板材で形成されている場合には、肉盛部204は別体の樹脂成形品として、内レール104の先端部に取り付けるようにしてもよい。また、肉盛部204は、遊技釘19と同等の釘19Aを用いて、遊技盤18の所定の位置に固定されており、この結果、パチンコ球PBを確実に通過させるために外レール102と肉盛部204との間隔寸法を維持し、所定の球排出口を確保している。
【0071】
前述した球逆流防止弁202の基部は、肉盛部204に取り付けられ、当該肉盛部204から外レール102方向へ延長されて、その延長方向先端部は外レール102に近接している。ここで、逆流防止弁202の延長方向と外レール102とは鋭角(図4の角度θ参照)の関係となっている。また、ここで言う「近接」とは、所定の隙間(例えば、5mm以下)を有している場合、或いは接触している場合を含む。なお、接触は、逆流防止弁202が変形しない程度である状態が好ましい。逆流防止弁202は、金属製板状であり、自身の付勢力で通常は、球案内路の先端開口を閉塞している。従って、遊技領域に存在する遊技球PBが球案内路200へ流入することは、逆流防止弁202に備えられた付勢力と、上記角度θとによって防止される。
【0072】
発射装置165(図3参照)から発射された遊技球PBは、球案内流路200を通り、最終的に逆流防止弁202に当接し、当該当接時の遊技球PBの移動エネルギーによって、逆流防止弁202の付勢力に抗して変形させ、遊技球PBの通過路が形成される。従って、発射装置165(図3参照)から発射された遊技球PBは、ほとんど抵抗なく逆流防止弁202を通過して、遊技領域へ到達させることができる。
【0073】
図5、図6、並びに図7に示される如く、逆流防止弁202の先端部202Aは幅方向(遊技盤18の表面からガラス板14方向)に亘り傾斜している。この傾斜は、遊技盤18の表面側が最高位であり、ガラス板14に近づくにつれて徐々に低位となる傾斜構造となっている。
【0074】
なお、図5、図6(並びに後述する図10、図11)に図示した外レール102と内レール104の逆流防止弁202近傍の斜視図において、外レール102と内レール104を直線的に記載したが、実際は、図2、図4に示される如く、遊技盤18の直径に基づいて、円弧状となっているのが主流である。
【0075】
さらに、前記肉盛部204の先端部204Aにおいても同様に傾斜され、当該肉盛部204並びに内レール104と、ガラス板14との間には、所定長さの隙間部206が形成されている。
【0076】
この構造は、例えば糸材208(図9、図10参照)の一端部(一部)が固定された遊技球(以下、「不正球PBX」という)が球案内流路200を通って、逆流防止弁202を通過するような状況を想定して形成したものである。このような状況は、所謂不正行為を示唆するものである。
【0077】
(不正行為の概要)
図1に示す上皿部28に遊技球PBを貯留するとき、遊技球PBに糸材208の一端部を接着剤等で固定する。以下、不正球PBXという。不正球PBXは、他の遊技球PBと共に順次発射装置165(図3参照)へ送られて発射される。従って、不正球PBXも球案内流路200を通り、逆流防止弁202を通過して遊技盤18の遊技領域へ至る。このとき、糸材208の一端部(一部)から延長された他端部(延長)は、上皿部28にあり、不正者が当該糸材28を操作することで、遊技領域での不正球PBXに対して異常な動向をさせる。
【0078】
ここで、当該不正球が何れかの入賞口(通過ゲート118、特図A始動入賞口130、特図B始動入賞口134、一般入賞口120A、120B、120C等)に入賞すると、この入賞は球検出センサ(通過ゲートセンサ118S、特図A始動口センサ130S、特図B始動口センサ134S、一般入賞センサ120AS、120BS、120CS等)によって検出され、それぞれの権利(賞球、抽選)が付与される。但し、遊技球が入賞口(通過ゲート118、一般入賞口120A、120B、120C)、或いは始動入賞口(特図A始動入賞口130、特図B始動入賞口134、一般入賞口120A等)を通過するのではなくて、遊技盤18面に設けられたチャッカ(特定の領域)を通過するパチンコ球PBが球検出センサによって検出された場合、その通過したパチンコ球に対して抽選権利が付与されるだけで、賞球の権利は付与されない。ここで、不正球PBXが入賞(検出)されたとき、糸材208を操作して、球検出センサの検出位置の上流と下流とを往復させると、その数だけ、すなわち、不正球PBXが球検出センサによって検出された数だけ、入賞権利、或いは抽選権利が不正な遊技に対して付与されることになる。
【0079】
(不正行為の防止、並びに痕跡確保)
前記逆流防止弁202の傾斜、肉盛部204の傾斜は、糸材208を不正球PBXが遊技領域で落下するときの荷重に基づく張力がかかったとき、糸材208を前記隙間部206の終端部に位置する、糸材滞留手段としての糸材滞留部210(図8参照)へ案内している。
【0080】
図5、図6、図8に示される如く、糸材滞留部210は、前記隙間部206に連続するように受入案内溝212が形成され、当該受入案内溝212の底部に、受入案内部212と連続するように略U字型の収容部214が形成されている。
【0081】
受入案内溝212は、その開口は内レール104の幅寸法の略1/3程度で、前記収容部214へいくに従い徐々に狭くなる、所謂テーパー形状となっている。なお、受入案内溝212を形成する内レール104は、ガラス板14側の端部が当該ガラス板14と密着しており、受入案内溝212の開口は、前記隙間部206の終端でもある。
【0082】
収容部214の幅寸法は、前記受入案内溝212の最狭部と同じ寸法であり、糸材208が収容されるのには充分な寸法(例えば、1〜3mm程度)に設定されているが、特にこの寸法に限定されるものではない。
【0083】
収容部214が形成された内レール104の遊技領域側には、一対の歯車部材216が取り付けられている。この歯車部材216は、例えば、インクジェットプリンタ等の用紙搬送に用いられるスターホイールが適用可能である。スターホイールの特徴は薄肉(肉厚寸法tが0.2〜0.5mm程度)で剛性が高く、周囲に細かい、のこぎり状の凹凸が形成され、かつ軽量である点であり、市販品として、本実施の形態の歯車部材216には最適である。なお、歯車部材216としては、スターホイールに限定されるものではなく、薄肉軽量で所定の剛性を備えていれば、市販品に限らず、特注品であってもよい。また、円形でなく、円弧の一部にのこぎり状の歯が形成された扇型形状であってもよい。さらには、有刺鉄線のように、鋭利な個所が複数点在するように編み込まれた金属製又は合成樹脂製等の線材であってもよい。
【0084】
前記一対の歯車部材216が取り付けられた内レール104には、この歯車部材216を被覆するカバー部材218(図5、図6参照)が取り付けられている。カバー部材218は、矩形状で周囲にフランジ部218Aが形成され、その四隅をビス220で内レール104へ固定することで、歯車部材216を隠蔽している。
【0085】
カバー部材218は、遊技領域内に存在することになり、遊技球PBが歯車部材216に直接当接しないように保護する役目を有している。なお、このカバー部材218には、前記隙間部206から受入案内溝212、次いで収容溝214へと移動する糸材208の進行を妨げないように、切欠部218Bが形成されている。
【0086】
歯車部材216は、それぞれの回転軸216Aが前記収容溝214を挟んで、図8の左右に振り分けられ、かつ肉厚方向に段違いとされ、一部が重なって取り付けられている。
【0087】
図9示される如く、一対の歯車部材216における、前記重なり部分は、一対の歯車部材216は回転軸216A間のピッチ寸法をLとした場合、寸法Lが歯車部材216の半径Rの2倍(直径)よりも短くなるように組み込むことで実現可能である。
【0088】
一対の歯車部材216の重なり部分は、前記収容溝214と対向している。このため、歯車部材216は、糸材208が収容溝214に入り込むときの移動エネルギー(落下する不正球PBXにより糸材208にかかる張力)によって相互に回転し、糸材208が一対の歯車部材216の重なり部分に噛み込まれることになる。
【0089】
一旦噛み込まれた糸材208は、不正者が糸材208を引っ張ったとしても収容溝214から抜け出ることがないため、結果として、切断される。
【0090】
なお、編み込まれた線材が適用された場合は、入り組んで編み込まれた線材に糸材208がからんで動けなくなり、糸材208を引っ張ったときに鋭利部分に擦れることで切断される。
【0091】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0092】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域19に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域19内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域19の下端部に至った遊技球PBはアウト口40からパチンコ機10内に回収される。
【0093】
また、遊技球PBが遊技領域19内に設けた始動入賞口20に入賞したり、通過ゲート22を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、抽選等)が実行されると共に、表示盤106への画像表示演出、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、図示は省略したが、普通入賞口に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0094】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。
【0095】
始動口(A)130又は始動口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ始動口(A)130又は始動口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0096】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合には、乱数を取得し、予め記憶されている当り値を読み出し、双方を比較して、抽選が当りか外れかを判定する。
【0097】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して抽選処理が実行される。
【0098】
この抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、抽選結果、図柄変動パターン時間を含むコマンドを副制御部152へ送出する。
【0099】
副制御部152では、抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。
【0100】
この報知後、抽選の結果が当たりの場合には、特別遊技状態(大当たり処理)が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球の賞球を受けることができる。
【0101】
ところで、上記遊技仕様を含め、パチンコ機には、賞球や抽選の権利を得る特定の領域(入賞口等)が存在する。この入賞口にはそれぞれ球検出センサが設けられ、遊技球PBが通過することで入賞の有無を検出している。
【0102】
不正行為の1つとして、遊技球(不正球PBX)を球検出センサの上流下流で行き来させる場合がある。
【0103】
すなわち、上皿部28に遊技球PBを貯留するとき、遊技球PBに糸材208の一端部を接着剤等で固定して、不正球PBXを構成し、発射装置165(図3参照)によって発射させると、球案内流路200を通り、逆流防止弁202を通過して遊技盤18の遊技領域へ至る。不正球PBXが何れかの入賞口(通過ゲート118、特図A始動入賞口130、特図B始動入賞口134、一般入賞口120A、120B、120C等)に入賞すると、これを球検出センサ(通過ゲートセンサ118S、特図A始動口センサ130S、特図B始動口センサ134S、一般入賞センサ120AS、120BS、120CS等)によって検出し、それぞれの権利(賞球、抽選)が付与される。このとき、不正球PBXを、糸材208を操作して、球検出センサの検出位置の上流と下流とを往復させると、その数だけ入賞を検出したと認識することになる。
【0104】
本実施の形態では、上記不正行為を防止し、かつ不正行為の痕跡を残すことができる球案内構造を確立した。図10及び図11に基づき、その手順を説明する。
【0105】
不正球PBXが発射されると、球案内路200に糸材208が存在している状態で、不正球PBXが逆流防止弁202を変形させて遊技領域へ送り出される(図10(A)参照)。
【0106】
発射された不正球PBXに繋がれた糸材208は、逆流防止弁202の傾斜(図10(B)参照)によって肉盛部204まで落下する。
【0107】
その後、図11(A)に示される状態から、肉盛部204の傾斜によって、不正球PBが遊技領域で落下するときの荷重に基づく張力がかかったとき、隙間部206の終端部に位置する糸材滞留部210へ案内される。
【0108】
糸材滞留部210では、糸材208は、隙間部206から受入案内溝212へと至り、収容部214へ案内される。
【0109】
収容部214に到達した糸材208は、内レール104の表裏(遊技領域と球案内流路200)に跨って、逆U字型となり、かつ、不正球PBXが遊技領域を落下するときにかかる荷重に基づいて張力が加わるため、一対の歯車部材216が相互に回転する。この結果、糸材208が一対の歯車部材216の重なり部分に噛み込まれることになる(図11(B)参照)。
【0110】
一旦噛み込まれた糸材208は、不正者が糸材208を引っ張ったとしても収容溝214から抜け出ることがないため、不正行為を未然に防止することができる。
【0111】
また、不正者がさらに糸材208を引っ張ると、糸材208は切断される。このとき、不正球PBX側の糸材208がそのまま痕跡として残ることになる。仮に、不正者が引っ張る側、不正球PBX側の双方で切断されたとしても、少なくとも、僅かな糸材208が歯車部材216に噛み込んで残留するため、確実に不正の痕跡を残すことができる。
【0112】
なお、本実施の形態では、糸材208を噛み込むとき、一対の歯車部材216を設けたが、収容部214を境界として、左右の回転軸216Aのそれぞれに、さらに多くの歯車部材216を取り付け、重なり部分を交互に配置するようすれば、糸材208の噛み込み領域が増え、切断された糸材208をより多く残すことができる。
【0113】
また、本実施の形態では、一対の歯車部材216を内レール104に直接取り付ける構成としたが、糸材滞留部210をユニット化し、予め内レール104に形成された取り付け部に着脱可能に取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
PB 遊技球
PBX 不正球
10 パチンコ機
18 遊技盤
19 遊技釘
19A 釘
28 上皿部
60(60L、60C、60R、60U) スピーカ
105 センター役物
106 液晶表示部(LCD表示部)
130 特別図柄始動入賞口(A)
130S 特図A始動口センサ
134 特別図柄始動入賞口(B)
134S 特図B始動口センサ
136 電動チューリップ
112 アタッカー
112S アタッカーセンサ
138 電チューソレノイド
148 アタッカーソレノイド
150 主制御部
152 演出制御部
154 払出制御部
200 球案内流路
202 球逆流防止弁
202A 先端部
204A 先端部
204 肉盛部
206 隙間部
208 糸材
210 糸材滞留部
212 受入案内溝
214 収容部
216 歯車部材
218 カバー部材
218A フランジ部
218B 切欠部
220 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け皿に貯留された後、順次発射装置へ送り込まれて発射される遊技球を、少なくとも賞球又は抽選の権利が付与される特定の領域が設けられた遊技盤面へ送り出すための案内流路を備えた球案内装置であって、
前記遊技球に糸材の一部が固定され、当該糸材の延長部が前記遊技盤面に送り出された後も前記受け皿に残っている場合を想定して、前記遊技球が遊技盤面へ到達したときに必ず存在し得る、前記案内流路と前記遊技盤面との境界部の前記糸材を、予め定めた糸材案内位置まで案内する案内手段と、
前記案内手段で案内される糸材案内位置に設けられ、前記糸材に加わる張力に依存して当該糸材の移動を保持し、かつ、当該保持による切断があっても少なくとも当該糸材の一部を滞留させる糸材滞留手段と、
を有する球案内装置。
【請求項2】
前記案内流路と前記遊技盤面との境界部には、前記案内流路から前記遊技盤面への遊技球の送り出し時を妨げないように付勢力に抗して変形し、かつ前記遊技盤面に送り出された遊技球が前記案内流路へ戻ることを回避するように付勢力で閉塞する逆流防止弁が設けられ、
前記逆流防止弁の先端部が幅方向に傾斜されて形成されることで、当該逆流防止弁を通過するときに巻き掛けられる糸材を、前記案内流路の幅方向の隙間に落下させて前記糸材案内位置へ案内することを特徴とする請求項1記載の球案内装置。
【請求項3】
前記糸材滞留手段が、
前記案内流路における前記遊技盤側案内壁としての役目を持つ内レールの一部に形成され、或いは当該内レールの一部に取り付けられ、前記案内手段によって案内されてくる糸を内レールの表裏面に巻き掛けて収容するスリット状の糸材収容部と、
前記糸材収容部に収容された糸材の収容動作に追従して動作して、前記糸材に噛み込むことで前記糸材を保持する保持部材とを備え、
前記糸材にかかる張力が前記溝部への収容方向に限定されることで前記保持部材に保持された糸材を滞留させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の球案内装置。
【請求項4】
前記保持部材が、周縁部の一部又は全部にのこぎり状の凹凸が形成された歯状部材であり、少なくとも前記糸材収容部に収容される糸材にかかる張力で回転可能な質量で形成されていることを特徴とする請求項3記載の球案内装置。
【請求項5】
前記歯状部材が、肉厚方向に隙間を持って一部が重なるように複数個配列され、前記糸材収容部に収容される糸材を境界として回転軸が交互に振分けられ、当該歯車の数に応じて、前記糸材の噛み込み量を調整することを特徴とする請求項4記載の球案内装置。
【請求項6】
前記請求項1〜請求項5の球案内装置を備え、
前記遊技盤面に設けられ、少なくとも賞球又は抽選の権利を得ることができる遊技球の特定の領域が設けられ、当該特定の領域には、遊技球が通過することで遊技球の入賞を検出する球検出センサが設けられ、発射される遊技球によって遊技が進行される遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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