説明

球面ディスプレィ及び矩形表示パネルの球面充填方法

【課題】球面ディスプレィの局部的に集中した拡大デッドスペースの面積を低減する。
【解決手段】球面に接する正多面体又は準正多面体に基づき面分割し、該面分割した多角形の領域の少なくとも一部の頂点における内角が略直角であり、該矩形表示パネル70の角部を該内角が略直角となる頂点に合わせて配置し、該矩形表示パネルを起点にし、複数の矩形表示パネルの辺を前記面分割した多角形の稜線40に沿って配列して第1列の矩形表示パネル群を配置し、該第1列の矩形表示パネル群に隣接して第2列の矩形表示パネル群を配置し、第3列以降の矩形表示パネル群を配置することを特徴とする矩形表示パネルの充填方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は三次元曲面、特に球面に多数の矩形表示パネルを配置した球面ディスプレィ及び矩形表示パネルの球面充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
球体ディスプレィを大型化及び/又は外光にさらされる環境で使用する場合に投影用プロジェクタでは出力が不足するため、矩形の高輝度のLEDパネルを球面に沿って数多く配置した球面ディスプレィが知られている。具体的には、東京お台場にある日本科学未来館の球体ディスプレィ(非特許文献1)である。この球体ディスプレィは、高輝度のLEDを10mmピッチで高密度に縦横に配列した192mm角の矩形表示パネル3,715枚を、地球儀に例えると緯線に沿って配列することで構成され、直径6.5mの全球の形状を有している。この全球ディスプレィによれば、矩形のLEDパネルを緯線に沿って配列してあることから、画素が緯度経度に基づいて記録されている平面画像情報であれば、これを全球ディスプレィに表示するのにデータ処理が容易であるという利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】 日本科学未来館、シンボル展示、「ジオコスモス」(http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/geo−cosmos/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
科学未来館の「ジオコスモス」は、単一の矩形LEDパネルを球面の緯度に沿って配置してあるため、南極と北極の2つの極を含むその近傍に、隣接する矩形LEDパネルの間の隙間(デッドスペース)が集中した拡大デッドスペースの面積が大きいため、この拡大デッドスペースが目立ってしまうという問題がある。拡大デッドスペースとは、緯度に沿って矩形LEDパネルを配列するという規則に従って矩形LEDパネルを球面に充填したときに、この規則に従って配列した矩形表示パネル間の隙間(デッドスペース)よりも大きな隙間」をいう。
【0005】
「ジオコスモス」は緯度に沿って矩形LEDパネルを配置することに起因して、全球ディスプレィである「ジオコスモス」を使った地球の表示は、地球環境が緯度に沿って序列化され方向性があるように見え、また、南極、北極の近傍部位に発生する拡大デッドスペースによってシームレスに地球表面を再現することを妨げてしまっている。
【0006】
球面ディスプレィに所定形状のLEDパネルつまり表示パネルを用いる場合、矩形の表示パネルを採用するのが現実的である。このことから、隣接したLEDパネルの間の隙間(デッドスペース)が集中する部位が出現するのはやむを得ないにしても、この隙間が集中する部位の面積を極力小さくすることが望ましいのは言うまでもない。このことは、球面ディスプレィが「ジオコスモス」のように全球のディスプレィに限らず、全球の一部をカットした球面つまり半球や1/4球のように球面を備えたディスプレィにも言えることである。
【0007】
本発明の目的は、「ジオコスモス」のように多数の矩形の表示パネルを配置して球面ディスプレィを構築する場合において、隣接する矩形表示パネル間の隙間(デッドスペース)が局部的に集中した拡大デッドスペースの面積を低減した球面ディスプレィ及び矩形表示パネルの球面充填方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、従来の球面ディスプレィの問題点である矩形表示パネル間の隙間(デッドスペース)が集中する拡大デッドスペースの部位を三カ所以上の部位に分散して各拡大デッドスペースの面積を小さくすることのできる球面ディスプレィ及び矩形表示パネルの球面充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の一つの観点によれば、
多数の矩形の表示パネルを使って球面ディスプレィを構築する矩形表示パネルの充填方法であって、
球面に接する正多面体又は準正多面体で面分割し、該面分割した多角形の領域の少なくとも一部の頂点における内角が略直角であり、
該矩形表示パネルの角部を該内角が略直角となる頂点に合わせて配置し、
該矩形表示パネルを起点にし、複数の矩形表示パネルの辺を前記面分割した多角形の稜線に沿って配列して第1列の矩形表示パネル群を配置し、
該第1列の矩形表示パネル群に隣接して第2列の矩形表示パネル群を配置し、
第3列以降の矩形表示パネル群を配置することを特徴とする矩形表示パネルの充填方法が提供される。
【0010】
これによれば、矩形表示パネル間の隙間集中部位(拡大デッドスペース)の面積を低減しつつ、この拡大デッドスペースを従来よりも多い三箇所以上の部位に分散することができる。
【0011】
また、本発明の他の観点によれば、
多数の矩形の表示パネルで構成された球面ディスプレィであって、
球面に接する正多面体又は準正多面体で面分割した多角形の中に、一列に配置した群を複数並置して配設された第1の矩形表示パネルと、
該矩形表示パネルの群で充填できなかった拡大デッドスペースに充填した1〜3の第2の矩形表示パネルとを有し、
前記第1、第2の矩形表示パネルの大きさが等しく、
前記拡大デッドスペースに充填した第2の矩形表示パネルが、該第2の矩形表示パネルの周囲に発生するデッドスペースが略均等になるように前記拡大デッドスペースに充填されていることを特徴とする球面ディスプレィを提供することによって上述した技術的課題が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の基本的な考え方をまず説明する。平面における三角形の内角の和は180度であるが、球状三角形の内角の和は180度以上540度以下となることが知られている。これを利用し理想的には内角がすべて90度となり、内角の和が270度となる球状三角形を用いれば矩形表示パネルの角がぴたりと収まる。
【0013】
また矩形表示パネルを配列する基準となる上記のような多角形の稜線が経緯線の一部となっていて、さらに各矩形表示パネルが該経緯線に対して傾きなく並んでいることで矩形表示パネルに配列された表示素子が同じ緯度または経度に沿って整列するため表示される画像の各画素を球体にスムーズに画像送出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 球状八面体に基づき多数の矩形表示パネルを配置した球体ディスプレィの斜視図である。
【図2】 図1に示す球状八面体の1面を示す図である。
【図3】 本発明による矩形表示パネルの充填規則に従うときに矩形領域に区分する準正多面体の3つの例の説明図である。
【図4】 本発明による矩形表示パネルの充填規則に基づく球状基礎構造体の斜視図である。
【図5】 図4に図示の構造体の各部材長さを示す図である。
【図6】 図4に図示の構造体の接合部周りにおける各内角の値を示す図である。
【図7】 本発明に従う球面ディスプレィの骨格を構成する球状基礎構造体の説明図である。
【図8】 基礎構造体の建設方法の説明図である。
【図9】 球状基礎構造体の図8とは異なる構築方法の説明図である。
【図10】 球状基礎構造体の内部構造の接合部の詳細説明図である。
【図11】 本発明の他の例の矩形表示パネルの充填規則に従って球を区分する多角形の内角の一部が90度になる2つの例の説明図である。
【0015】
第1実施例
球状正八面体を用いた実施例を説明する。図1は球状八面体に基づき多数の矩形表示パネルを配置した球体ディスプレィ10である。この球面ディスプレィ10は従来よりも大型で実際の地球の約150万分の1に相当する直径約8.5mの全球の形状を有している。球状正八面体の中心20を原点に位置づけると、球状正八面体の稜線40はx−y平面、y−z平面、x−z平面のいずれかに沿って配され、同時に赤道と2つの経線と位置づけることができる。頂点21はx、y、z軸上に配されることがわかる。
【0016】
円弧41と42は球状正八面体の面の中心22と頂点21、稜線の中点23を結ぶ円弧である。これらの円弧は球状正四面体、球状立方体、球状菱形12面体の稜線を構成する。つまり正八面体は上記多面体と面、点、線の関係が置き換わった関係にある。
【0017】
円弧40と円弧41、42が連鎖して形成される球状二角形31は緯度経度による表現、例えば東経45度から90度までの領域と表現できる。こうして円筒図法のような緯度経度によって地理情報を表現する従来の座標系と互換性を持たせることができる。
【0018】
球状正八面体の1面を抜き出して図2において示す。ここに正八面体の1面32の内角90は直角であり、第1列目の矩形表示パネルの群71の角がぴったり収まることがわかる。すなわち、正八面体の1面32の直角の内角90の角隅部に矩形表示パネル70を充填し、そして、これを起点として稜線40に沿って同じ矩形表示パネル70を整列させることで第1列目のパネル群71を隙間無く充填することができる。ここに、球面に充填する矩形表示パネル70は、従来と同様に、高輝度のLEDを10mmピッチで高密度に縦横に配列した矩形表示パネルであってもよいし有機ELのパネルであってもよい。また、実施例で採用可能な矩形表示パネル70の大きさは、従来と同様に192mm角であってもよいが、それよりも小さい正方形であるのが好ましい。
【0019】
次に三角形の中心に向かって2列目以降の矩形表示パネル群72を整列させる。パネル群72の端部に配される矩形表示パネル73の対角線が円弧41(菱形12面体の稜線でもある)上にあるよう配置する。
【0020】
正八面体の面32の中央にある3枚の矩形表示パネル74は、隣接する矩形表示パネル間の隙間(デッドスペース)が拡大する拡大デッドスペースの部位Dsに配置した表示パネルであるが、この拡大デッドスペース(隙間集中)の部位Dsを全球の球面全体に均等に8カ所に分散することで前述の先行技術よりも拡大デッドスペースの面積を小さくすることができる。この拡大デッドスペースDsに対する表示パネル74の配置は、規則に従う配置に用いる表示パネル70と同じ矩形の表示パネルを採用するときには、拡大デッドスペースDsに充填した3枚の矩形表示パネル74の周囲の隙間(デッドスペース)が均等になるように矩形表示パネル74を配置するのがよい。他方、この拡大デッドスペースDsに充填する表示パネルの形状に自在性があるのであれば、図示の例のように略三角形の拡大デッドスペースDsに対応した単数又は複数の三角形状の表示パネルを別途用意して、この三角形状の表示パネルを拡大デッドスペースDsに充填すればよい。
【0021】
1列にならんだ複数のパネル群71、72は小円弧42に沿って配列される。小円弧42はx−y平面に対し平行であるためz座標および仰角が統一されているためスムーズな画像送出に有効である。ただしパネル配列を規定する円弧は必ずしも全てこのような小円である必要はなく、大円弧を混在させてパネル間の隙間をより低減し充填率を向上させることもできる。
【0022】
図1に示す正八面体の稜線40の中点23において稜線40と立方体の稜線でもある円弧42は直交する。これを活用し矩形表示パネル70を中点23を起点として配列してもよい。中点21、22、23は全球を48等分する合同な直角三角形30であるのでこれを1つの製作ユニットとすることが望ましい。ユニット30にあらかじめ矩形表示パネルを工場取付けし現場作業を減らす効果が期待できる。
【0023】
なお、正二十面体の面を細分割すると合同な直角三角形による120面体ができることが知られている。該直角三角形の各面をこの実施例に従って矩形表示パネルを充填しても良い。
【0024】
第2実施例(図3)
図3に示す3つの多面体の多角形表面に基づいて複数の矩形領域31を設定し、この矩形領域に整列した矩形表示パネルの群を充填してもよい。これによれば矩形領域31に実質的に隙間無く矩形表示パネル70を設置することができる。図3に図示の多面体100はRhombictriacontahedron、多面体110はTruncatedcuboctahedron、多面体120はTruncateddodecahedronである。これらの例では、矩形領域31に隣接して、三角形の拡大デッドスペースDsが発生することから、この拡大デッドスペースDsに対する矩形表示パネル70の設置は前述した第1実施例の規則に準じて矩形表示パネル70を設置すればよい。勿論、この拡大デッドスペースDsに追加の矩形領域を設定してもよく、最後の残る拡大デッドスペースDsが単一又は2、3の矩形表示パネル70の面積を有している場合には、この拡大デッドスペースDsに対して単一の矩形表示パネル又は2、3の矩形表示パネル70を充填したときに各矩形表示パネル70の周囲に発生する複数の拡大デッドスペースDsが極力同じ面積となるように、この単一の矩形表示パネル70の向きを調整して配置すればよい。勿論、拡大デッドスペースDsが三角形であれば、この三角形の拡大デッドスペースDsを実質的に隙間無く充填できる典型的には三角形の表示パネルを作って充填するようにしてもよい。
【0025】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては矩形表示パネルの厚み等による実際の製作上の変形は当然伴うものである。また製作を簡略化するため滑らかな球面に替わって全体を細かい三角形平面により構成される球状多面体として製作する際は上記説明では直角である内角は当然誤差が生じるが略直角であることには変わりはなく、矩形表示パネルは略ぴたりと設置できる。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第2例を実施するにあたって生じる誤差は上記第2例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。対象となる正多面体の形状が、多少歪んでいたり、欠けてもよい。
【0026】
第3実施例(図4)
前述した矩形表示パネル70の充填規則に基づいた効率の良い矩形表示パネルの充填方法を第3実施例として図4を参照して説明する。図4に図示の球体ディスプレィ130は、点20を中心とした面分割された球状正八面体が基本形状となる。その1面が面31である。球状正八面体の稜線40は、矩形表示パネルを設置する構造体の部材で構成される。また正八面体面の中点22E、頂点21Aおよび稜線の中点23Fを結ぶ線分41と42も該構造体の部材で構成される。これら部材は球状正四面体、球状立方体、球状菱形12面体を構成する部材でもある。点21Aと点22Eを結ぶ円弧上の点を点20B、点22Eと点23Fを結ぶ円弧上の点を点20D、点21Aと点23Fを結ぶ円弧上の点を点20Cとする。
【0027】
点22Eを中心に8つの球面正三角形を形成するように点20Bを配置すると球面の残りの領域が18個の合同な球状の矩形32に区分できる。特にこの領域32が正方形の場合点20Bは準正26面体の頂点を形成する。20C、20Dは該準正26面体の辺の中点とする。
【0028】
矩形領域32が球状正方形である場合、該球状構造体はジオデシック構造の1種である。従来のバックミンスター・フラーによるジオデシック構造体が正二十面体を分割したものであるのに対し本案件で開示の構造体は正八面体をジオデシック分割しているところが特徴となっている。この各部材長さを図5に示す。図5の球体130に符合を付した頂点間の線分長さを表100に示す。地球の約150万分の1の球体を制作する場合半径は約4.3mとなるがそのときの各辺の長さと単位半径あたりの各辺の長さを記している。これによると全球体を構成する部材長さは5種類、接合部は5種類、三角形面は2種類で済むことがわかる。
【0029】
図6の正八面体の1面の展開図30に接合部周りにおける内角の値を示す。これによれば全球面を構成する三角形面の内角は6種類で済むことがわかる。
【0030】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては矩形表示パネルの厚み等による実際の製作上の変形は当然伴うものである。また製作を簡略化するため滑らかな球面に替わって全体を細かい多角形平面により構成される球状多面体として製作する際は上記説明では直角である内角は当然誤差が生じるが略直角であることには変わりはなく、矩形表示パネルは略ぴたりと設置できる。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第3実施例を実施するにあたって生じる誤差は上記第2実施例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。対象となる多面体の形状が、多少歪んでいたり、欠けてもよい。
【0031】
また、本発明は全球のみを対象にしているわけではなく、ドーム構造に適用しても良い。すなわち大円40、小円42を境に切り取られた半球や1/4球等において上記実施例に基づき同様の効果を得ても良い。またプラネタリウムのように球の内部に矩形表示パネルを配置して球面の内側から閲覧できるようにしてもよい。
【0032】
図4に示す面分割された球状正八面体に基づき矩形表示パネルを配置する例を図11を用いて説明する。球状四角形33は球状八面体の各面31を3分割して作られた球状24面体の1つである。同時に図中太い点線で描く稜線51により規定される球状立方体の各面を4分割している。球状四角形33の3つの頂点23F、20Aにおける内角は90度であり、これらの頂点を起点に矩形表示パネルを配列してゆくことができる。
【0033】
また、球状四角形35は頂点22E、21Aにより規定される菱形12面体34を4分割している。球状四角形35のうち3つの頂点21A、23F、20Bの内角の和は90度でありこれらの頂点を起点に矩形表示パネルを配列してゆくことができる。
【0034】
このように正多面体だけでなく、準正多面体やそのほかの球状多面体を用いることができる。また三角形以外の多角形を用いて球を区分しても本発明を実施することができる。もちろん上記のような配列方法を複数併用して同様の効果を得ることもできる。
【0035】
球状基礎構造体(図7)
第1実施例における矩形表示パネル充填規則で矩形表示パネル70を充填した球面ディスプレィに好適な球状の基礎構造体200を図7に基づいて説明する。基礎構造体200は、説明のしやすさを考え便宜的に半球分のみ図示することにする。頂点20Bを結ぶ部材51、52、53により内部床36を支える。このうち52は引張材としてよい。また部材54等で上から球体10を吊るのであれば部材51も引張材としてよい。この場合地震などの水平力に抵抗する要素は、球状基礎構造体200が担うこととなる。
【0036】
床36はグレーチングなど上下床の層の換気に優れたものがよい。多数の表示素子が出す熱を迅速に逃がす役割を担う。床36の剛性を確保し領域37を吹き抜けとしてもよい。前述の換気と垂直動線を確保できる。
【0037】
部材51と53の交点において引張り材51は部材53の中間支点となりスパンを区分するため部材53の断面寸法を抑えることができる。部材51と53同士の多くは直交しているため接合作業や設計が安易に行える。床36とその架構はメンテナンス床として機能させるが、球体構造体に先立って組み立てておき前記球体構造組み立て時の治具として活用し、作業床としても機能するよう設計されている。
【0038】
球状基礎構造体の構築例(図8)
図7を参照した上記の球体基礎構造体200の構築方法を、図8を参照して説明する。その考え方は、(1)メンテナンス用床を作業床として活用し仮設足場を極力使用しない。(2)球体構造は準正26面体の正方形ユニット18枚と三角形ユニット8枚を事前に組み立てる。(3)現場では地組で矩形表示パネルと該ユニットを1体化する。(4)地組作業で該ユニットを床とその架構に取り付ける。(5)メンテナンス床は複数層とし球面全体に取り付けられた矩形表示パネルの保守作業が行き届くように配慮する、の5点を含む。
【0039】
このとき図7における円42より上部の構造体を地組作業により組み立てる過程を参照符号210に示す。矩形表示パネルが取り付けられた正方形ユニット32を5枚、三角形ユニット30を4枚を取り付ける。
【0040】
上方構造体210を持ち上げ、図7における円42と44に挟まれた部分33の中間構造体を地組作業により組み立てる過程を参照符号211に示す。矩形表示パネルが取り付けられた正方形ユニット32を8枚、構造体11に取り付ける。
【0041】
中間構造体211を持ち上げ、図7における円45と44に挟まれた部分34の下方構造体を地組作業により組み立てる過程を参照符号212に示す。矩形表示パネルが取り付けられた正方形ユニット32を4枚、構造体12に取り付ける。さらに構造体12を持ち上げ正方形ユニット35を取り付ける。
【0042】
球状基礎構造体の他の構築例(図9)
図9を参照して、三角形ユニット30と斜線部にて図示の三角形ユニット31による市松模様を描けるため、ユニット31を構成する3つの部材を1つのパーツとして工場製作し、現場にて図としてユニット31同士を組み合わせることで地としてのユニット30が追随して構成されるという考えである。現場における接合部のボルト締め箇所を減らしジョイントを簡略化する利点がある。もちろんユニット30も制作し各辺にて部材を二丁合わせとしてもよい。部材接合が集中する頂点のジョイントを簡略化することができる。
【0043】
球状基礎構造体の別の構築例(図10)
図10は、とくにジオデシック構造にみられる部材が集中する頂点の接合部を通常の金属加工を用い作業に熟練を要する現場溶接を極力回避して行うためのジョイント構造を示す。図7において球体構造部材8本と内部構造部材が集中する接合部20Bを例に複雑な接合部の詳細を図10に基づいて説明する。
【0044】
図10の参照符合410は接合部20Bを側面から見た図であり、参照符合411は平面図である。球状基礎構造体を構成する部材51に汎用のH型鋼を採用した場合ウェブ面が垂直に保たれていることがわかる。これにより断面2次モーメント、断面係数などウェブが傾くと著しくその値が低減されてしまうことがない。同時に部材51に取り付くガセット、補強材なども接合箇所が母材に対して垂直が保たれており、加工しやすくなっていることがわかる。
【0045】
球状基礎構造体の横架材51の上端に垂直に4枚のガセット30、31が設置されている。ガセット30、31には球体構造部材50が取り付く。ガセット30と31は略90度をなして交差しており断面の塑性化を最小限にとどめながらいずれかのガセットを曲げ加工しもう一方のガセットを溶接で取り付けことができる。
【0046】
該接合部が球体全体のつり元となる場合はガセット30の形状は点線32で輪郭を示す形状となりつり元54を取り付ける事になる。つり元54の構造芯62は部材51の構造芯61とそろえられており偏心曲げを起こさない設計となっている。
【0047】
接合部20Bに集まる残り4本の球体構造部材50は接合箇所21を介して接合部材52に接続される。接合部材52は部材50と同寸法の断面であることが望ましい。全ての接合箇所はボルト接合とし、解体、再組み立てを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
10 立体要素;
20 点要素;
30 面要素;
40 円要素;
50 線要素;
60 軸要素;
70 矩形表示パネル要素;
80 矩形表示パネル列要素;
90 角度要素;
100 表;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の矩形の表示パネルを使って球面ディスプレィを構築する矩形表示パネルの充填方法であって、
球面に接する正多面体又は準正多面体に基づき面分割し、該面分割した多角形の領域の少なくとも一部の頂点における内角が略直角であり、
該矩形表示パネルの角部を該内角が略直角となる頂点に合わせて配置し、
該矩形表示パネルを起点にし、複数の矩形表示パネルの辺を前記面分割した多角形の稜線に沿って配列して第1列の矩形表示パネル群を配置し、
該第1列の矩形表示パネル群に隣接して第2列の矩形表示パネル群を配置し、
第3列以降の矩形表示パネル群を配置することを特徴とする矩形表示パネルの充填方法。
【請求項2】
前記面分割した多角形の全ての頂点の内角が全て略90度である、請求項1に記載の矩形表示パネルの充填方法。
【請求項3】
前記区分多角形の全てにおいて全ての頂点の内角が全て略90度である、請求項1に記載の矩形表示パネルの充填方法。
【請求項4】
前記球面ディスプレィが全球ディスプレィである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の矩形表示パネルの充填方法。
【請求項5】
経緯線が前記面分割した多角形の稜線を構成しており、
前記矩形表示パネルの辺を前記多角形の稜線に沿わせることで、前記矩形表示パネルに配列された表示素子の各列が共通の緯度およびまたは経度を有する、請求項1に記載の矩形表示パネルの充填方法。
【請求項6】
多数の矩形の表示パネルで構成された球面ディスプレィであって、
球面に接する正多面体又は準正多面体に基づき面分割した多角形の中に、一列に配置した群を複数並置して配設された第1の矩形表示パネルと、
該矩形表示パネルの群で充填できなかった拡大デッドスペースに充填した1〜3枚の第2の矩形表示パネルとを有し、
前記第1、第2の矩形表示パネルの大きさが等しく、
前記拡大デッドスペースに充填した第2の矩形表示パネルが、該第2の矩形表示パネルの周囲に発生するデッドスペースが略均等になるように前記拡大デッドスペースに充填されていることを特徴とする球面ディスプレィ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−170350(P2011−170350A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25414(P2011−25414)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(507035248)
【Fターム(参考)】