環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法
【課題】簡単な構成で、多数の計測点の環境情報の計測を少ないセンサ端末にて自動的に行う計測精度の良い実用的な環境計測装置・方法を提供する。
【解決手段】環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末101と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1つまたは複数の自走センサ端末102と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は固定センサ端末101と自走センサ端末102との無線通信により距離を求め、自走センサ端末102の位置を検出するようにしたものである。
【解決手段】環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末101と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1つまたは複数の自走センサ端末102と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は固定センサ端末101と自走センサ端末102との無線通信により距離を求め、自走センサ端末102の位置を検出するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル・工場や屋外等において環境情報を計測する環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや工場内では、空調・照明等の機器を適切に制御するために、各所にセンサを設置して、温度、湿度、照度などの環境情報を収集する計測システムが用いられる。例えば空調システムにおいては、空調室内機の給気口やリモートコントローラ等に設置された温度センサにより、該温度センサの計測値が、設定された温度になるように空調機が制御される。
【0003】
さらに、それぞれの居住者の要求や空間の温度分布等に応じて、きめ細かく機器を制御したり、建築物のエネルギー性能を正確に評価したりするために、より多数の計測点で環境計測することが必要とされている。
【0004】
このように多数の計測点で環境情報の計測を行うためには、一般に、計測するセンサの個数を増やして、多くの場所に設置する必要があり、コストが増大することや、管理が複雑になるといった問題があった。
【0005】
かかる課題を解決するため、例えば、特開2003−130695号公報(特許文献1)では、プラントを構成する設備あるいはその所定地域におけるプロセス値を検出するセンサであって、このセンサには、設備あるいは所定地域における所望の位置に移動してプロセス値を検出する駆動手段115を備えたことにより、任意の地点でのプロセス値を多数取得し、プラント診断の精度および確度を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−130695号公報(図1、図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法では、自走センサは配管に沿って移動したり、レールを敷設して該レール上を走行したりするものであり、移動位置を制御する際に、参照となるレールなどのガイドをあらかじめ設置する必要があり設備や費用が大掛かりになるという課題があった。また自己位置を検出するためにGPS(グローバルポジショニングシステム)を用いており、屋内での使用が困難であるという課題があった。
【0008】
本発明は、簡単な構成で多数の計測点の環境計測を少ないセンサ端末にて自動的に行う計測精度のよい実用的な環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の環境計測装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段および無線通信手段を設け複数の計測箇所よりも少ない数のセンサ端末と、センサ端末の内の少なくとも1つは駆動手段を有し計測箇所に順次移動して環境情報を計測し、計測手段にて計測した環境情報を無線通信手段にて他のセンサ端末と通信する自走センサ端末と、センサ端末の内の他は特定の計測箇所にて環境情報を計測し、無線手段にてセンサ端末と環境情報を相互に通信する特定箇所センサ端末と、自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末に設けられ、自分自身の位置を無線通信により計測する他のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末を位置検出対象端末とし、他の計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により位置検出対象端末の位置を検出するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の環境情報を計測する環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法は、センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該センサ端末を位置検出対象端末とし、他の計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により位置検出対象端末の位置を検出するので、簡単な構成で多数の計測点の各種環境計測を少ないセンサ端末にて自動的に行う、信頼性が高く実用的な装置などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における環境計測システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における固定センサ端末の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1における自走センサ端末の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1における距離算出方法の一例を示す図解図である。
【図5】本発明の実施の形態1における無線による位置検出方法の一例を示す図解図である。
【図6】本発明の実施の形態1における環境計測システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1における固定センサ端末設置個所を示す別の図解図である。
【図8】本発明の実施の形態2における環境計測システムの構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2における環境計測システムの動作を示す図解図である。
【図10】本発明の実施の形態2における環境計測システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2における計測点リストの決定方法を示す図解図である。
【図12】本発明の実施の形態3における自走センサ端末の構成を示す構成図である。
【図13】本発明の実施の形態3における設備管理システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
本発明における固定センサ端末などによる自走センサ端末の位置検出について、図1〜図6により説明する。各センサ端末は温度、湿度、照度、音波、赤外線などのセンサによる検知や、映像情報などそれぞれ複数の環境情報を収集可能である。
【0013】
図1は実施の形態1における環境計測システムの構成を示す構成図である。図1に示すように本実施の形態における環境計測システムは複数の固定センサ端末101と複数の自走センサ端末102で構成される。
【0014】
図2は実施の形態1における、固定センサ端末101の構成を示す構成図である。固定センサ端末101は、端末の制御を行う端末制御部110と、環境情報を計測する環境計測手段112と、端末間相互に無線通信を行う無線通信手段111とを備え、ビル、工場、駐車場あるいは飛行場などに固定して設置され、環境情報を計測するものである。
【0015】
図3に示す自走センサ端末102は固定センサ端末101の構成に加え、さらに、該自走センサ端末を指定の位置に制御する自己位置制御手段114と、実際の移動を行う駆動手段115と、各端末の位置を検出する無線測位手段113とを備え、空間内を移動して固定センサ端末の計測する環境の環境情報や固定センサ端末の計測できない環境の環境情報を計測が可能である。
【0016】
端末制御部110は、自走センサ端末102および固定センサ端末101における、無線通信手段111、環境計測手段112などを管理するとともに計測された環境情報を記憶し、かつ、他のセンサ端末から送信されてきた環境情報を各計測点ごとに記憶する記憶手段を有するものであり、環境計測手段112からセンサにより得られた計測値を取得したり、無線通信手段111により他の自走センサ端末102および固定センサ端末101とデータをやり取りしたりするものである。さらに自走センサ端末102における端末制御部110は、自己位置制御手段114により、該自走センサ端末102を所望の位置に移動させたり、無線測位手段113により該自走センサ端末102の位置を検出したりすることにより、該自走センサ端末102の位置を管理する。
【0017】
環境計測手段112は温度センサ、湿度センサ、照度センサなど環境情報を取得するセンサを1または複数有し、該センサにより温度、湿度、照度などの環境情報を計測するものである。なお、温度センサ、湿度センサ、照度センサに限るものではなく、システムで必要となる任意のセンサ、例えば安全対策や警備などに使用する赤外線や音波などの異常検出センサ、映像センサ、特定のタグ個人情報読み取りセンサなどを用いることができる。本発明はこれらのセンサ端末により環境情報を計測して、計測した環境に存在する個人の場所や特定のエリアの温度・照度などをエアコンなどの運転機器、調光装置などの操作機器により環境状態を調整するという、広いエリアの中の個別エリア制御に利用することができる。また個人が保有するタグを検出して誰がどこにいるのかなど検出ができる。また、各個人が自身の位置を検出するためのセンサ端末を所持して、該センサ端末の位置を検出する。さらに、自走センサ端末が、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測することで、所望の状態に制御されているかどうかを確認し、空調装置や照明装置を制御する。あるいは、異常検出センサの情報を基に状態監視機器を動作させ広いエリアの中の個別エリアであるセルごとに隅々まで安全であることを確認できる。このようにすることで、少ない個数のセンサ端末で広い空間の個別エリア制御や監視を行なうことができる。
【0018】
無線通信手段111は、各センサ端末に設けられ各センサ端末間で無線通信を行うものである。
【0019】
自己位置制御手段114は、各センサ端末に設けられ該自走センサ端末102の目標位置と現在位置とから、駆動手段115を適切に動作させることにより、該自走センサ端末102を所望の位置に制御するものである。所望の位置に制御する方法として、例えば、該自走センサ端末102の目標位置と現在位置との偏差を計算し、該偏差に基づいて、駆動手段115の動作時間を変更したり、該偏差に比例した出力指令を駆動手段115に与えたりするなどの方法を利用できる。
【0020】
駆動手段115は、自走センサ端末102を移動させるものであり、例えばモータと車輪を備え、車輪を回転させることで、該自走センサを移動させる。また、キャタピラやリンク機構による歩行形態などにより移動するようにしてもよい。
【0021】
無線測位手段113は、無線通信を利用して自走センサ端末102および固定センサ端末101の位置を検出するものである。
【0022】
無線測位手段113による位置検出方法の一例を、図4、図5により説明する。
【0023】
まず、自走センサ端末102から測距要求信号を送信する(S401)。固定センサ端末101は該測距要求信号を受信すると、測距応答信号を自走センサ端末102に送信する(S402)。自走センサ端末102は該測距応答信号を受信すると、測距要求信号の送信から測距応答信号受信までの応答時間を計測する(S403)。該応答時間の計測は、例えば測距要求信号の送信時にカウンタによる計時を開始し、測距応答受信時にカウンタによる計時の値を読み取ることなどにより行うことができる。該応答時間に電磁波の速度を乗算したり、あらかじめ定められた応答時間と距離との対応テーブルを参照したりすることで、自走センサ端末102と固定センサ端末101の間の距離を算出する(S404)。
【0024】
無線測位手段113は、この自走センサ端末102と固定センサ端末101との間の距離を算出する手順を、複数の固定センサ端末101(例えば図5の101a〜101c)に対して行い、該複数の固定センサ端末101との距離と、あらかじめ設定された固定センサ端末101の位置とから、固定センサを中心として、距離を半径とするような円の交点として、該自走センサ端末102の位置を求めることができる。したがって最低3個の固定センサ端末101との距離により、平面上における自走センサ端末102の位置を検出することができる。この距離算出(S404)は、連続的、あるいは間歇的に行うことで精度を上げることができる。
【0025】
また、測距要求信号、測距応答信号の伝送に、インパルス信号を伝送する、ウルトラワイドバンドインパルス無線信号を用いることにより、前記応答時間を正確に計測することができるため、より正確な距離および位置を検出することができる。
【0026】
なお、無線測位手段113による位置検出はここで示したものに限らず、自走センサ端末102と固定センサ端末101との無線通信の受信電波強度に基づいて算出された距離によって位置を検出してもよいし、自走センサ端末102から送信された測距要求信号を、複数の固定センサ端末101のそれぞれにおいて受信した時刻の差、すなわち電波伝播時間差を利用して、位置を検出するなど各方法にて行っても良いことは当然である。
【0027】
また、ここでは固定センサ端末101の位置はあらかじめ設定されているものとしたが、固定センサ端末101相互の距離を、同様の方法で無線通信に基づいて算出し、固定センサ端末101相互の相対位置を求めることにより、固定センサ端末101の位置を検出するようにし、該位置に基づいて自走センサ端末102の位置を検出するようにしてもよい。
【0028】
また、ここでは自走センサ端末102と固定センサ端末101との間の距離を算出することにより自走センサ端末102の位置を検出したが、複数の自走センサ端末102を備えるシステムにおいて、該自走センサ端末102と、他の自走センサ端末102および固定センサ端末101との間の無線通信による結果を併せて利用し、該自走センサ端末102の位置を検出してもよい。また後ほど詳しく説明するが他の複数の自走センサ端末102との間の無線通信により、該自走センサ端末102の位置を検出してもよいことは当然である。
【0029】
次に、実施の形態1における環境情報を計測する動作について図6により説明する。空間内において環境情報を計測する計測点リストは、あらかじめ設定されているものとする。
【0030】
まず、設定された計測点リストの中から、次に環境情報を計測する計測点を決定する(S601)。計測点の決定は、例えばあらかじめ設定された順序に従って選択してもよいし、現在の自走センサ端末102の位置から最も近い計測点としてもよい。
【0031】
次に、無線測位手段113によって、前述した方法により、該自走センサ端末102の位置を検出する(S602)。
【0032】
次に、前記決定された計測点を目標位置とし、前記検出された位置を現在位置として、自己位置制御手段114は自走センサ端末102を制御して指定された計測点へ移動する(S603)。自己位置制御手段114は、例えば目標位置と現在位置との偏差から、駆動手段115の動作時間を決定し、該駆動時間だけ駆動手段115を動作させ移動させることにより、計測点へ移動する。また、無線測位手段113による現在位置の検出と移動とを、計測点の位置と現在位置との偏差があらかじめ定められた閾値以下になるまで繰り返し行うことで、計測点に移動してもよい。その他、一般的な自走ロボットの制御方法を適用することができる。
【0033】
計測点への移動が完了すると、該自走センサ端末102は環境計測手段112により、環境情報を計測する(S604)。
【0034】
計測点リストのすべての計測点について、環境情報の計測が完了しているかどうか(S605)を判別し、未完了の計測点がある場合には、(S601)〜(S605)を繰り返す。計測点リストのすべての計測点で計測が完了したら、環境情報の計測を終了する。計測した環境情報を利用して、温度センサ、湿度センサ、照度センサのようにエリア環境状況を制御するエアコンなどの設備機器の設定を行う場合には、時間間隔をおいて再度環境情報の計測を行う。安全対策や警備などに使用する赤外線や音波などの異常検出センサ、映像センサ、特定の人の位置を検出するタグ位置検出センサなどのように、常時、エリアの監視や検出が必要な環境情報の計測を行う場合は、1順目に引き続き連続して計測を行う。
【0035】
また、固定センサ端末101は、該固定センサ端末が設置された位置における環境情報の計測を行う。固定センサ端末101における環境情報の計測タイミングは、自走センサ端末102の計測タイミングと同期してもよいし、独立していてもよい。
【0036】
以上のように、少数の固定センサ端末101と自走センサ端末102とにより、環境情報を計測するようにしたので、固定して設置するセンサを増やすことなく、多数の計測点において環境情報を計測することができる。
【0037】
さらに、固定センサ端末101との無線通信により、あるいは自走センサ端末102との無線通信により、自走センサ端末102の位置を検出するようにしたので、ガイドレールやマーカといった、位置の参照となる他の装置を設置する必要がなく、より少ないコストで容易に環境計測システムを導入することができる。
【0038】
また、一般に自走ロボットの移動では、移動した位置は、目標位置に対して誤差があるが、本実施の形態では、無線により位置を検出するので、あらかじめ設定した計測点と計測した位置に誤差がある場合にも、計測した環境情報と自走センサ端末102の検出位置とを併せて保持することにより、実際に計測した位置を正しく把握することができる。さらに、検出した位置をフィードバックしてあらかじめ設定された計測点へ移動させることにより、正確に計測点へ自走センサ端末102を移動させることができる。
【0039】
また、ここでは、自走センサ端末102が無線測位手段113を有し、該自走センサ端末102の位置を検出するように構成したが、本発明は本構成に限るものではない。例えばいずれかの固定センサ端末101が無線測位手段111を備え、無線通信による受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを、自走センサ端末102から前記固定センサ端末101に送信し、前記固定センサ端末101の無線測位手段111によって、該固定センサ端末101が自走センサ端末102の位置を検出するようにしてもよい。
【0040】
また、固定センサ端末101が、自走センサ端末102との無線通信による受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを計測し、この計測値を無線測位手段111を備える端末に送信して、該無線測位手段111により、自走センサ端末102の位置を検出してもよい。また上記にて説明した移動して計測する自走センサ端末102が複数存在しても良い。
【0041】
また、固定センサ端末101、自走センサ端末102とは別に、例えば無線通信手段111を備える集中管理装置(図示せず)等が同等の機能を備え、自走センサ端末102の位置を検出したり、自走センサ端末102に次に環境情報を計測する計測点を送信したりするようにしてもよい。
【0042】
以上のように、本構成によらず、環境計測システムが同等の機能を備えていれば、同様の効果を奏する。
【0043】
図7は固定センサ端末の設置場所を限定した場合の環境計測システムを表す別の概念図である。このように設置場所を限定した固定センサ端末に駆動手段やキャスタを設け位置を簡単に変更できるものとすると状況の変化に対応して使いやすい環境計測システムが得られる。
【0044】
図7に示す該環境計測システムにおいて、他の計測点より高い時間周期で計測することが求められる個所に固定センサ端末101を設置する。それ以外の、高い時間周期が必要とされない計測点を自走センサ端末102により計測する。
【0045】
例えば、ビル内の温度を計測する環境計測システムにおいては、窓701の近くや出入り口702の近くにおいて、熱の移動が大きく、高い時間周期での環境情報の計測が求められる。一方、それ以外のフロア内の部分では、高い時間周期での計測は必要とされない。
【0046】
したがって、図7に示すように高い時間周期が求められる窓701や入り口702に近い位置には固定センサ端末101を設置し、それ以外の計測点は自走センサ端末102により計測する。
【0047】
このように、他の計測点より高い時間周期で計測することが求められる位置に固定センサ端末101を設置し、高い時間周期が必要とされない計測点を自走センサ端末102により計測することで、すべての位置に固定のセンサを設置することなく、少ない端末数で効率的に環境計測を行うことが可能になる。さらにシステム要求に応じて柔軟なシステムを構築することができる。以上のように本発明のセンサ端末の組み合わせを使用することにより、精度の良い計測データを確実に入手できる信頼性の高い環境計測装置、システムを構築できる。
【0048】
実施の形態2
図8は実施の形態2における環境システムの構成を表す構成図である。本実施の形態では環境計測システムは4個以上の自走センサ端末102により構成される。自走センサ端末102他の構成、動作は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0049】
次に、実施の形態2における動作を図8〜図10により説明する。本実施の形態では、自走センサ端末102は、移動および位置検出の対象となり計測点に移動する役割と、移動せず位置検出のための基準位置を示す役割との、2つの役割を切り替えながら、相互に位置を検出して環境情報の計測を行う。以降、前者の役割となる自走センサ端末102を位置検出対象端末202、後者の役割の自走センサ端末102を位置検出基準端末201と呼称する。また、環境情報を計測する計測点リストおよび、最初の各自走センサ端末102の位置とは、あらかじめ設定されているものとする。図8に記載された動きの矢印で示される自走センサ端末102が位置検出対象端末202であり、残りの3個の自走センサ端末102が位置検出基準端末201に相当する。なお、図では自走センサ端末102であり位置検出対象端末202であるセンサ端末が1つとして説明しているが、これは複数存在し、同時に並行して動作することは可能である。
【0050】
図10に示すように、まず、環境情報を計測する計測点リストのうち、次に計測する計測点を決定する(S1001)。この計測点の決定は例えばあらかじめ指定された順序により次の計測点を決定することなどにより行うことができる。この規則を端末制御部110に記憶させておけばよい。
【0051】
次に、前記決定された計測点の位置に基づいて、複数の自走センサ端末102の中で、位置検出対象端末202と、それ以外の位置検出基準端末201とを決定する(S1002)。該決定された位置検出対象端末202によって、前記決定された計測点における環境情報の計測を行う。例えば前記決定された計測点から最も遠い自走センサ端末102を位置検出対象端末202とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出基準端末201とする。
【0052】
次に、位置検出対象端末202の位置を検出する(S1003)。位置検出は実施の形態1における無線測位手段113による位置検出と同様に、位置検出対象端末202と位置検出基準端末201との間で、無線通信による無線受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを計測することにより行うことができる。
【0053】
次に、実施の形態1における自走センサ端末102の移動と同様に、前記決定された計測点を目標位置とし、前記検出された位置を現在位置として、位置検出対象端末202は自己位置制御手段114により指定された計測点へ移動する(S1004)。
【0054】
計測点への移動が完了したら、該自走センサ端末102は環境計測手段112により、環境情報を計測する(S1005)。
【0055】
計測点リストのすべての計測点について、環境情報の計測が完了しているかどうか(S1006)を判別し、未完了の計測点がある場合には、(S1001)〜(S1006)を繰り返す。計測点リストのすべての計測点で計測が完了したら、1順目の環境情報の計測を終了する。
【0056】
以上のように、本実施の形態は4個以上の自走センサ端末102により構成される環境計測システムにおいて、自走センサ端末102は、移動および位置検出の対象となり計測点に移動する役割、すなわち位置検出対象端末202と、移動せず位置検出のための基準位置を示す役割、すなわち位置検出基準端末201との、2つの役割を切り替えながら、相互に位置を検出して移動することにより環境情報の計測を行うものである。このように計測することによって、さらに少ない端末数で多数の計測点における環境情報の計測を行うことができる。位置検出対象端末202を離れた位置から複数同時に計測をスタートさせると、移動時間などの影響で途中で同期することはなくなるが多数の計測点の計測を短時間で行える。
【0057】
また、最初の自走センサ端末102の位置を設定するのみで、位置情報を含めてビルや工場内の環境情報を計測することができるので、環境計測を開始するための設定作業を大幅に削減することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、自走センサ端末102のみで構成したが、さらに1個ないし2個の固定センサ端末101を含む構成とし、位置検出対象端末202と該固定センサ端末101との無線電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差等を併せて利用して、該位置検出対象端末202の位置を検出してもよい。このようにすることで、位置検出対象端末202の位置検出精度を向上させることができる。
【0059】
次に、本発明の計測手順における次の計測点の決定方法として(例えばS1001)における、計測点の別の決定方法であり、端末制御部110のマイコンなどに記憶させる規則を説明する。
【0060】
例えば、本発明の実施の形態2における(S1001)において次のように計測点を決定する。まず、計測点リストのうち、まだ環境情報の計測が完了していない計測点の位置と各自走センサ端末102の現在位置との距離を計算する。次に、前記計算距離のうち少なくとも3つ以上の計算距離が、予め定められた値よりも小さくなる計測点を、次の環境情報を計測する計測点とする。予め定められた値は、例えば無線通信手段111の仕様に基づく通信可能距離とする。
【0061】
このように次の計測点を決定することにより、位置検出対象端末202が計測点に移動した際に、位置検出基準端末201との通信可能距離より遠くなって、位置検出を実施できなくなるという事象を防ぐことができる。
【0062】
さらに、前記条件を満たす計測点が複数ある場合や、3つ以上の計算距離が、予め定められた値よりも小さくなる計測点が存在しない場合には、各自走センサ端末102の現在位置の重心位置を計算し、複数の計測点のうち、該重心位置に最も近い計測点を次の計測点として決定してもよい。このようにすることで、自走センサ端末102の近くの点から計測することができ、移動距離および環境情報の計測にかかる時間を短縮することができる。
【0063】
次に、本発明の計測手順における位置検出対象端末・位置検出基準端末の決定方法として(例えばS1002)、別の位置検出対象端末202、位置検出基準端末201の決定方法である。
【0064】
上記の説明に記載した計測点の決定方法と同様の計算方法により、計測点の位置と自走センサ端末102の位置との距離が、予め定められた値よりも小さい自走センサ端末102のうち3つまたは3つ以上の自走センサ端末102を位置検出基準端末201とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出対象端末202とする。
【0065】
さらに、位置検出基準端末201の組み合わせの候補が複数ある場合は、該計測点との幾何学的な関係により、位置検出精度が高くなるような組み合わせを位置検出基準端末201とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出対象端末202とする。位置検出精度が高くなる組み合わせを選択する評価指標には、GPSの分野で利用されるGDOP(幾何学的精度劣化指数で、位置検出対象端末から見て位置検出基準端末が正三角形からの離れ度合い)などを利用することができる。
【0066】
このような規則をマイコンなどに記憶させることで、位置検出対象端末202の位置検出精度が向上するため、環境情報を計測する計測点に関する位置誤差を減らすことができる。
【0067】
また、上記で説明した、計測点の決定方法と本実施の形態における位置検出端末202および位置検出基準端末201の決定方法とを組み合わせて評価関数を設定し、該評価関数の表価値が最も高くなる計測点、位置検出対象端末202、および位置検出基準端末201を選択するような規則としても、同様に位置検出精度を向上させることができる。
【0068】
これまでの説明においては、環境情報を計測する計測点リストはあらかじめ設定していたが、次に、該計測点リストを自動的に生成する方法を説明する。この説明では、すでに述べてきた同じ構成と動作の固定センサ端末101および自走センサ端末102により構成されるものであるため構成や動作説明は省略する。
【0069】
図11に示すように、計測対象エリアをあらかじめ決められた間隔の格子状に分割し、各格子で区切られたエリア(セル)の代表点301をもって、計測点リストとする。例えば各セルの中央などを代表点301とする。
【0070】
このように各セルの代表点301を計測点リストとすることにより、計測点リストを設定する必要がなくなり、環境計測を開始するための設定作業をより簡便にすることができる。
【0071】
さらに、格子状で区切られたセルのうち、固定センサ端末101が配置されているセルを除いたセルの代表点301を計測点リストとしてもよい。重複を防ぐことができるため、効率よく環境情報を計測することができる。
【0072】
また、上記説明における、次の計測点を決定するステップ(S601またはS1001)において、計測点リストから次の計測点を選択するのではなく、予め計測点の間隔を定め、1ステップ前に計測した計測点から、該定められた計測点の間隔だけずらした位置を計算して、次の計測点としてもよい。このように計測点リストを設定せず、逐次、次の計測点を計算するようにしても、同様の効果を奏する。
【0073】
さらに、次の計測点を決定するステップ(S601またはS1001)において、擬似乱数生成などにより、ランダムな移動方向および移動量を決定して、次の計測点としてもよい。無線により位置を検出しながら、ランダムに計測することにより、あらかじめ計測点リストを設定せず、自律的に計測対象空間全体を細かく計測することができる。このような決定方法を利用すれば、情報の乏しい領域に対して、あらかじめ計測点を設定せずに、計測できるだけでなく、例え、次の計測点として求めた位置が、移動不可能な障害物がある場合なども、音波センサで計測しながら、あるいは移動を制限された移動途中の計測可能な位置を計測点と置きなおし、位置を記憶させて再び次の計測点を他の方向へ移動できる位置に求めてゆけばよい。
【0074】
このような計測点を設定するための格子の大きさは、例えば建築の基準単位とするようにしてもよい。一般にビル設備は、3.3mや4mといった基準単位にしたがって、柱などの構造物および照明や空調などの設備機器が設置される。したがって該基準単位による格子状のエリアごとに計測データを得ることにより、基準単位に沿って設置された設備機器と計測される環境情報とが対応するため、ビル設備のエネルギー性能の評価や、空調・照明の個別エリア制御のための一つの計測点の粒度として適している。格子の大きさを該建築の基準単位とすることにより、計測した環境情報を容易に設備機器と対応させることが可能になる。
【0075】
実施の形態3.
実施の形態1,2に利用されるセンサ端末の形状や集中制御を行う設備などの本発明のシステムに使用する設備機器の例について次に説明する。本実施の形態3における、自走センサ端末102の構成を図12に示す。本実施の形態における自走センサ端末102は実施の形態1、2に記載の自走センサ端末102について、二次元平面上を移動できる移動台車1201と、端末制御部110および無線通信手段111とを備える制御モジュール1202と、棒状の支持台1203と、複数のセンサモジュール1204とから構成され、前記移動台車1201に鉛直方向に棒状の支持台1203を設置し、該支持台1203に前記複数のセンサモジュール1204を設置するように構成したものである。
【0076】
このように自走センサ端末102を構成することにより、高さ方向の環境情報を同時に計測することが可能になり、よりきめ細かく環境情報を計測することが可能になる。
【0077】
また、同様に固定センサ端末101についても、棒状の支持台を備え、該支持代に複数のセンサモジュールを設置するようにしてもよい。固定センサ端末101の設置個所についても、より細かく環境情報を計測することが可能になる。もちろん2足などの多足歩行を行うロボット形状のセンサ端末としても、高さ方向の環境情報が得られるだけでなく、平面のフロアの計測点だけでなく、2階、3階などの多層階の計測点へ移動でき各計測店に対し計測することができる。
【0078】
本実施の形態における、設備管理システムの構成を図13に示す。実施の形態1、2に記載の環境計測システムに加えて、無線通信手段111と設備管理手段106とを備える設備管理装置105をさらに備えるものである。
【0079】
本実施の形態では、設備管理装置105は無線通信手段111により、環境計測システムにより計測した計測データを取得する。さらに設備管理装置105は、該計測データに基づいて、設備管理手段106により空調や照明などの設備機器の制御を行う。
【0080】
このようにすることで、少ないセンサ端末で多数の環境情報を計測し、かつ端末制御部110にも受けた記憶手段に記憶することができ、これらのセンサ端末に記憶した環境情報を設備管理装置105へ伝送することで設備管理装置105が運転機器や状態監視機器を制御することができ、例えば個人の好みに応じて温度・照度を調節したり、空間の細かい温度分布に従って省エネ効果の高い制御を実施したりするなど、より細かく設備機器の制御を行うことができる。なお、各センサ端末は、相互に通信できるので、それぞれ各計測点の計測したエリアごとの環境情報を中継しながら設備管理装置へ伝送できる。また、設備管理装置から各センサ端末を中継しながら、そのエリアに設けられたエアコンなどの機器へ制御信号を伝送することもできる。
【0081】
このように、本発明の各実施の形態におけるセンサ端末間の通信について、電波が直接到達しない場合に、中間に位置する、自走センサ端末および/または固定センサ端末が該通信データを中継して通信する。中間にあるセンサ端末が通信データを中継することにより、電波の到達範囲より広いエリアでセンサ端末間の通信を確実に行うことができる。さらに、フロアをまたいで固定センサ端末が設置されたり、あるいは移動センサ端末がフロアを越える、屋内と屋外を行き来するなど移動する場合にも、同様に中間のセンサ端末が通信データを中継することにより、フロアを越えたエリアについて通信障害を起こすことなく容易に環境情報の計測を行ない、設備管理装置へ送信することができる。
【0082】
また、通信データの中継は一つのセンサ端末による中継に限らず、中間の複数の端末が順に中継を行なうようにしてもよい。複数の端末で順に中継することにより、広いエリアで通信して環境計測を行なうことができ、さらに通信エラーの発生を抑えることができる。本発明の装置、システムを利用すれば環境計測を短時間で精度よく、フレキシブルに行えるだけでなく、データ計測のみならず通信に関しても信頼性が高い環境計測装置、設備管理システム、環境計測方法が得られることになる
【0083】
本発明による、環境計測システムは、例えば建築物のエネルギー性能評価に利用することができる。建築物の省エネ性能について所定の性能が本当に得られているかを確認するため、実際の設備機器運用時の環境情報を計測することが必要とされている。例えば、ビル等の建設後に各設備機器を運転した状態で、本環境計測システムにより、各計測点を一巡して計測することにより、計測点より少ない個数のセンサ端末により、各計測点のデータを得て、建築物のエネルギー性能の評価を行なうことができる。また、作業員により各計測点にセンサ端末を設置する必要がないため、計測にかかる作業を大幅に軽減することができる。
【0084】
また本発明による環境計測システムは、ある個人のいる場所や特定のエリアの温度や照度を所望の状態に調整する、個別エリア制御に利用することができる。各個人が自身が位置を検出するためのセンサ端末を所持して、該センサ端末の位置を検出する。さらに、自走センサ端末が、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測することで、所望の状態に制御されているかどうかを確認し、空調装置や照明装置を制御する。
このようにすることで、各個人の位置を示すセンサ端末には環境情報のセンサをそれぞれ搭載する必要がなく、少ない個数のセンサ端末で広い空間の個別エリア制御を行なうことができる。
【0085】
また本発明により環境計測システムは、自走センサ端末により、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測し、該計測したデータに異常がある場合に、位置情報とともに警報を発する、警報装置に利用することができる。異常が計測された位置情報とともに警報を発することにより、計測点より少ない個数のセンサ端末でも、異常が発生した位置を迅速に判断することができる。異常検出は火災や防犯対策のみならず、赤外線センサで人体を検知することができるので、不在のはずのエリアに不慮の事故で人が取り残されている、あるいは、野生動物の侵入などエリアの安全、安心を確認する対策としても利用できる。
【0086】
以上のように本発明は、複数の計測点における環境情報を計測する環境計測システムであって、環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1または複数の自走センサ端末と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は固定センサ端末と自走センサ端末との無線通信により、自走センサ端末の位置を検出するので、少ないセンサで多くの計測点の環境情報を入手でき、実用的で簡単確実な計測システムを構築できる。
【0087】
本発明は、自走センサ端末は、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択し、無線測位手段により検出された現在位置と、計測点の位置とから、該自走センサ端末の移動量を決定して、該自走センサ端末を移動させ、移動した計測点で環境情報を計測するので、さまざまな使い道が可能な計測システムを構築できる。
【0088】
本発明は、計測対象空間において、高い計測周期が必要な個所に固定センサ端末を設置し、それ以外の個所を、自走センサ端末が移動して、環境情報を計測するので、安価に多くの箇所を計測できる。
【0089】
本発明は、複数の計測点における環境情報を計測する環境計測システムであって、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える4個以上の自走センサ端末と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により、位置検出対象端末の位置を検出するので、確実な各計測点での計測が可能である。
【0090】
本発明の位置検出対象端末は、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択し、無線測位手段により検出された現在位置と、計測点の位置とから、該自走センサ端末の移動量を決定して、該自走センサ端末を移動させ、移動した計測点で環境情報を計測するので、精度の良い位置での計測が可能である。
【0091】
本発明は、毎ステップごとに、対象端末と基準端末を切り替える際、位置検出対象端末が、移動した計測点で環境情報を計測した際に、無線測位手段があらためて、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択しなおすので、計測を効率よく短時間で行うことができる。
【0092】
本発明の無線通信による位置検出方法として、無線測位手段は、無線通信手段による、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、自走センサ端末および位置検出対象端末の位置を検出するので、精度の良い位置計測ができる。
【0093】
本発明は、無線通信にUWBを使うので、すなわち無線通信手段の用いる無線信号がウルトラワイドバンド信号であるので、信頼性の高い位置計測が可能である。また、本発明は、計測点リストを自動生成するので、例えばあらかじめ設定された計測点リストは計測対象空間を一定の間隔の格子状エリアであるセルに区分けし該区分けされたエリアの代表点とするので簡単な構成で計測できる。
【0094】
本発明は、計測点リストの自動生成の際、固定センサ端末のない場所に対してもあらかじめ設定された計測点リストは区分けされたエリアのうち、固定センサ端末が配置されていないエリアの代表点とするので、フレキシブルな装置とすることができる。
【0095】
本発明のセンサ形状は、二次元平面上を移動できる移動台車と、支持台とを備え、
支持台に鉛直方向に複数のセンサを備えたり、あるいは多足歩行のロボットとすることができ、計測の種類など利用範囲を拡大することができる。
【0096】
本発明の計測システムを用いた設備管理システムは、無線通信手段を備える設備管理装置とを備える設備管理システムであって、該設備管理装置は前記環境計測システムによって計測された計測データを取得し、該取得した計測データに基づいて機器を制御するので、計測データ、制御データを全て記録できるだけでなく、これらのデータの解析により省エネルギー対策が可能なシステムが得られる。
【0097】
本発明は、環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1または複数の自走センサ端末と、自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成される環境計測システムにおいて、固定センサ端末と自走センサ端末との無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、自走センサ端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、自走センサ端末の移動量を決定し、自走センサ端末を移動させるステップと、該移動した位置で環境情報を計測するステップとを備えたので、多くの用途に利用できる環境計測方法が得られる。
【0098】
本発明は、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える4個以上の自走センサ端末と、自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成される環境計測システムにおいて、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択するステップと、前記複数の自走センサ端末のうち一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップと、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、位置検出対象端末の移動量を決定し、自走センサ端末を移動させるステップと、該移動した位置で環境情報を計測するステップとを備えたので、精度の良い環境計測方法が得られる。
【0099】
本発明は、計測点リストのうち1点を計測点として選択するステップにおいて、複数の自走センサ端末のうち、少なくとも3個以上の自走センサ端末との距離が定められた閾値以下であるような計測点を、計測点として計測点リストから選択するので、精度が良く計測時間の短い環境計測方法が得られる。
【0100】
本発明は、位置検出対象端末と基準端末の決定方法として、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップにおいて、計測点から最も遠い位置にある自走センサ端末を、位置検出対象端末として選択するので、簡単で確実な環境計測方法が得られる。
【0101】
本発明の、位置検出対象端末と基準端末の決定方法として、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップにおいて、複数の自走センサ端末のうち、計測点との距離が定められた閾値以下であるような、少なくとも3個以上の自走センサ端末を位置検出基準端末とするのでフレキシブルで取り扱いやすい環境計測方法が得られる。
【0102】
本発明は、4個以上の無線通信手段を備える自走端末によって構成され、該自走端末の位置を検出して、自走端末を移動させる自走端末の移動方法であって、複数の自走端末のうち、一つの自走端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップと、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、位置検出対象端末の移動量を決定し、位置検出対象端末を移動させるステップと、を備えたので、精度がよい計測ができる扱いやすい自走端末の移動方法が得られる。
【0103】
本発明の特定箇所センサ端末は環境情報の変化が多い箇所を計測するように配置されるので、有用な環境計測装置が得られる。
【0104】
本発明の自己位置制御手段は、無線測位手段が選択したあらかじめ設定された計測箇所のうちまだ環境情報を計測していない1つの位置と、無線測位手段により検出された現在位置とから移動量を決定して、駆動装置を駆動させるので、精度の良い位置での計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0105】
本発明の、位置検出対象端末が移動して到達目標とする計測箇所にて環境情報を計測する際に、別のセンサ端末の無線測位手段があらためて自己を位置検出対象端末と設定して自己の位置を検出するので、短時間での計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0106】
本発明は、センサ端末に設けられ、各センサ端末からの無線通信によるあらかじめ設定された計測箇所における計測した環境情報を記憶する端末制御装置と、を備え、端末制御装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所のリストまたは計測箇所を求める規則、目標とする計測箇所を選択する規則、位置検出対象端末を選択する規則および位置検出基準端末を選択する規則のいずれかを変更可能に記憶させるので、さまざまな用途の計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0107】
本発明の端末制御装置は、同期してまたは交代しながら自己の位置を検出しあらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を計測する動作を繰り返し、全ての計測箇所の計測を完了したかどうかを判別するので、広い領域を細かいエリアごとに分けても確実で精度の良い計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0108】
本発明の環境計測装置と通信可能な無線通信手段を有し前記センサ端末の複数の計測箇所にて計測された環境情報を取得する設備管理装置と、を備え、設備管理装置は環境情報に基づいて空調、照明などの運転機器の運転を制御、または、火災、防犯、人体状態などの状態監視機器の警報動作を制御するのでフレキシブルな利用が可能な設備管理システムが得られる。
【0109】
本発明は、位置検出対象端末があらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所を決定する場合、まだ計測されていない計測箇所であって、位置検出対象端末からの距離がより短い計測箇所を、目標とする計測箇所として選択するので、スピーディな計測が可能な環境計測方法が得られる。
【0110】
本発明の位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、目標とする計測箇所からより遠い位置にあるセンサ端末を、位置検出対象端末として選択するので、精度の良い計測が可能な環境計測方法が得られる。
【0111】
本発明のあらかじめ設定される計測箇所は、計測対象エリアを定められた規則により分割してセルを求め、このセルの中の計測点であるので、取り扱い容易でフレキシブルな利用が可能な環境計測方法が得られる。
【符号の説明】
【0112】
101,101a〜101c:固定センサ端末,102:自走センサ端末,105:設備管理装置,106:設備管理手段,110:端末制御部,111:無線通信手段,112:環境計測手段,113:無線測位手段,114:自己位置制御手段,115:駆動手段,201:位置検出基準端末,202:位置検出対象端末,701:窓,702:出入り口,301:代表点,1201:移動台車,1202:制御モジュール,1203:支持台,1204:センサモジュール。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル・工場や屋外等において環境情報を計測する環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや工場内では、空調・照明等の機器を適切に制御するために、各所にセンサを設置して、温度、湿度、照度などの環境情報を収集する計測システムが用いられる。例えば空調システムにおいては、空調室内機の給気口やリモートコントローラ等に設置された温度センサにより、該温度センサの計測値が、設定された温度になるように空調機が制御される。
【0003】
さらに、それぞれの居住者の要求や空間の温度分布等に応じて、きめ細かく機器を制御したり、建築物のエネルギー性能を正確に評価したりするために、より多数の計測点で環境計測することが必要とされている。
【0004】
このように多数の計測点で環境情報の計測を行うためには、一般に、計測するセンサの個数を増やして、多くの場所に設置する必要があり、コストが増大することや、管理が複雑になるといった問題があった。
【0005】
かかる課題を解決するため、例えば、特開2003−130695号公報(特許文献1)では、プラントを構成する設備あるいはその所定地域におけるプロセス値を検出するセンサであって、このセンサには、設備あるいは所定地域における所望の位置に移動してプロセス値を検出する駆動手段115を備えたことにより、任意の地点でのプロセス値を多数取得し、プラント診断の精度および確度を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−130695号公報(図1、図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法では、自走センサは配管に沿って移動したり、レールを敷設して該レール上を走行したりするものであり、移動位置を制御する際に、参照となるレールなどのガイドをあらかじめ設置する必要があり設備や費用が大掛かりになるという課題があった。また自己位置を検出するためにGPS(グローバルポジショニングシステム)を用いており、屋内での使用が困難であるという課題があった。
【0008】
本発明は、簡単な構成で多数の計測点の環境計測を少ないセンサ端末にて自動的に行う計測精度のよい実用的な環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の環境計測装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段および無線通信手段を設け複数の計測箇所よりも少ない数のセンサ端末と、センサ端末の内の少なくとも1つは駆動手段を有し計測箇所に順次移動して環境情報を計測し、計測手段にて計測した環境情報を無線通信手段にて他のセンサ端末と通信する自走センサ端末と、センサ端末の内の他は特定の計測箇所にて環境情報を計測し、無線手段にてセンサ端末と環境情報を相互に通信する特定箇所センサ端末と、自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末に設けられ、自分自身の位置を無線通信により計測する他のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該自走センサ端末もしくは特定箇所センサ端末を位置検出対象端末とし、他の計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により位置検出対象端末の位置を検出するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の環境情報を計測する環境計測装置、設備管理システムおよび環境計測方法は、センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該センサ端末を位置検出対象端末とし、他の計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により位置検出対象端末の位置を検出するので、簡単な構成で多数の計測点の各種環境計測を少ないセンサ端末にて自動的に行う、信頼性が高く実用的な装置などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における環境計測システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における固定センサ端末の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1における自走センサ端末の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1における距離算出方法の一例を示す図解図である。
【図5】本発明の実施の形態1における無線による位置検出方法の一例を示す図解図である。
【図6】本発明の実施の形態1における環境計測システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1における固定センサ端末設置個所を示す別の図解図である。
【図8】本発明の実施の形態2における環境計測システムの構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2における環境計測システムの動作を示す図解図である。
【図10】本発明の実施の形態2における環境計測システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2における計測点リストの決定方法を示す図解図である。
【図12】本発明の実施の形態3における自走センサ端末の構成を示す構成図である。
【図13】本発明の実施の形態3における設備管理システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
本発明における固定センサ端末などによる自走センサ端末の位置検出について、図1〜図6により説明する。各センサ端末は温度、湿度、照度、音波、赤外線などのセンサによる検知や、映像情報などそれぞれ複数の環境情報を収集可能である。
【0013】
図1は実施の形態1における環境計測システムの構成を示す構成図である。図1に示すように本実施の形態における環境計測システムは複数の固定センサ端末101と複数の自走センサ端末102で構成される。
【0014】
図2は実施の形態1における、固定センサ端末101の構成を示す構成図である。固定センサ端末101は、端末の制御を行う端末制御部110と、環境情報を計測する環境計測手段112と、端末間相互に無線通信を行う無線通信手段111とを備え、ビル、工場、駐車場あるいは飛行場などに固定して設置され、環境情報を計測するものである。
【0015】
図3に示す自走センサ端末102は固定センサ端末101の構成に加え、さらに、該自走センサ端末を指定の位置に制御する自己位置制御手段114と、実際の移動を行う駆動手段115と、各端末の位置を検出する無線測位手段113とを備え、空間内を移動して固定センサ端末の計測する環境の環境情報や固定センサ端末の計測できない環境の環境情報を計測が可能である。
【0016】
端末制御部110は、自走センサ端末102および固定センサ端末101における、無線通信手段111、環境計測手段112などを管理するとともに計測された環境情報を記憶し、かつ、他のセンサ端末から送信されてきた環境情報を各計測点ごとに記憶する記憶手段を有するものであり、環境計測手段112からセンサにより得られた計測値を取得したり、無線通信手段111により他の自走センサ端末102および固定センサ端末101とデータをやり取りしたりするものである。さらに自走センサ端末102における端末制御部110は、自己位置制御手段114により、該自走センサ端末102を所望の位置に移動させたり、無線測位手段113により該自走センサ端末102の位置を検出したりすることにより、該自走センサ端末102の位置を管理する。
【0017】
環境計測手段112は温度センサ、湿度センサ、照度センサなど環境情報を取得するセンサを1または複数有し、該センサにより温度、湿度、照度などの環境情報を計測するものである。なお、温度センサ、湿度センサ、照度センサに限るものではなく、システムで必要となる任意のセンサ、例えば安全対策や警備などに使用する赤外線や音波などの異常検出センサ、映像センサ、特定のタグ個人情報読み取りセンサなどを用いることができる。本発明はこれらのセンサ端末により環境情報を計測して、計測した環境に存在する個人の場所や特定のエリアの温度・照度などをエアコンなどの運転機器、調光装置などの操作機器により環境状態を調整するという、広いエリアの中の個別エリア制御に利用することができる。また個人が保有するタグを検出して誰がどこにいるのかなど検出ができる。また、各個人が自身の位置を検出するためのセンサ端末を所持して、該センサ端末の位置を検出する。さらに、自走センサ端末が、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測することで、所望の状態に制御されているかどうかを確認し、空調装置や照明装置を制御する。あるいは、異常検出センサの情報を基に状態監視機器を動作させ広いエリアの中の個別エリアであるセルごとに隅々まで安全であることを確認できる。このようにすることで、少ない個数のセンサ端末で広い空間の個別エリア制御や監視を行なうことができる。
【0018】
無線通信手段111は、各センサ端末に設けられ各センサ端末間で無線通信を行うものである。
【0019】
自己位置制御手段114は、各センサ端末に設けられ該自走センサ端末102の目標位置と現在位置とから、駆動手段115を適切に動作させることにより、該自走センサ端末102を所望の位置に制御するものである。所望の位置に制御する方法として、例えば、該自走センサ端末102の目標位置と現在位置との偏差を計算し、該偏差に基づいて、駆動手段115の動作時間を変更したり、該偏差に比例した出力指令を駆動手段115に与えたりするなどの方法を利用できる。
【0020】
駆動手段115は、自走センサ端末102を移動させるものであり、例えばモータと車輪を備え、車輪を回転させることで、該自走センサを移動させる。また、キャタピラやリンク機構による歩行形態などにより移動するようにしてもよい。
【0021】
無線測位手段113は、無線通信を利用して自走センサ端末102および固定センサ端末101の位置を検出するものである。
【0022】
無線測位手段113による位置検出方法の一例を、図4、図5により説明する。
【0023】
まず、自走センサ端末102から測距要求信号を送信する(S401)。固定センサ端末101は該測距要求信号を受信すると、測距応答信号を自走センサ端末102に送信する(S402)。自走センサ端末102は該測距応答信号を受信すると、測距要求信号の送信から測距応答信号受信までの応答時間を計測する(S403)。該応答時間の計測は、例えば測距要求信号の送信時にカウンタによる計時を開始し、測距応答受信時にカウンタによる計時の値を読み取ることなどにより行うことができる。該応答時間に電磁波の速度を乗算したり、あらかじめ定められた応答時間と距離との対応テーブルを参照したりすることで、自走センサ端末102と固定センサ端末101の間の距離を算出する(S404)。
【0024】
無線測位手段113は、この自走センサ端末102と固定センサ端末101との間の距離を算出する手順を、複数の固定センサ端末101(例えば図5の101a〜101c)に対して行い、該複数の固定センサ端末101との距離と、あらかじめ設定された固定センサ端末101の位置とから、固定センサを中心として、距離を半径とするような円の交点として、該自走センサ端末102の位置を求めることができる。したがって最低3個の固定センサ端末101との距離により、平面上における自走センサ端末102の位置を検出することができる。この距離算出(S404)は、連続的、あるいは間歇的に行うことで精度を上げることができる。
【0025】
また、測距要求信号、測距応答信号の伝送に、インパルス信号を伝送する、ウルトラワイドバンドインパルス無線信号を用いることにより、前記応答時間を正確に計測することができるため、より正確な距離および位置を検出することができる。
【0026】
なお、無線測位手段113による位置検出はここで示したものに限らず、自走センサ端末102と固定センサ端末101との無線通信の受信電波強度に基づいて算出された距離によって位置を検出してもよいし、自走センサ端末102から送信された測距要求信号を、複数の固定センサ端末101のそれぞれにおいて受信した時刻の差、すなわち電波伝播時間差を利用して、位置を検出するなど各方法にて行っても良いことは当然である。
【0027】
また、ここでは固定センサ端末101の位置はあらかじめ設定されているものとしたが、固定センサ端末101相互の距離を、同様の方法で無線通信に基づいて算出し、固定センサ端末101相互の相対位置を求めることにより、固定センサ端末101の位置を検出するようにし、該位置に基づいて自走センサ端末102の位置を検出するようにしてもよい。
【0028】
また、ここでは自走センサ端末102と固定センサ端末101との間の距離を算出することにより自走センサ端末102の位置を検出したが、複数の自走センサ端末102を備えるシステムにおいて、該自走センサ端末102と、他の自走センサ端末102および固定センサ端末101との間の無線通信による結果を併せて利用し、該自走センサ端末102の位置を検出してもよい。また後ほど詳しく説明するが他の複数の自走センサ端末102との間の無線通信により、該自走センサ端末102の位置を検出してもよいことは当然である。
【0029】
次に、実施の形態1における環境情報を計測する動作について図6により説明する。空間内において環境情報を計測する計測点リストは、あらかじめ設定されているものとする。
【0030】
まず、設定された計測点リストの中から、次に環境情報を計測する計測点を決定する(S601)。計測点の決定は、例えばあらかじめ設定された順序に従って選択してもよいし、現在の自走センサ端末102の位置から最も近い計測点としてもよい。
【0031】
次に、無線測位手段113によって、前述した方法により、該自走センサ端末102の位置を検出する(S602)。
【0032】
次に、前記決定された計測点を目標位置とし、前記検出された位置を現在位置として、自己位置制御手段114は自走センサ端末102を制御して指定された計測点へ移動する(S603)。自己位置制御手段114は、例えば目標位置と現在位置との偏差から、駆動手段115の動作時間を決定し、該駆動時間だけ駆動手段115を動作させ移動させることにより、計測点へ移動する。また、無線測位手段113による現在位置の検出と移動とを、計測点の位置と現在位置との偏差があらかじめ定められた閾値以下になるまで繰り返し行うことで、計測点に移動してもよい。その他、一般的な自走ロボットの制御方法を適用することができる。
【0033】
計測点への移動が完了すると、該自走センサ端末102は環境計測手段112により、環境情報を計測する(S604)。
【0034】
計測点リストのすべての計測点について、環境情報の計測が完了しているかどうか(S605)を判別し、未完了の計測点がある場合には、(S601)〜(S605)を繰り返す。計測点リストのすべての計測点で計測が完了したら、環境情報の計測を終了する。計測した環境情報を利用して、温度センサ、湿度センサ、照度センサのようにエリア環境状況を制御するエアコンなどの設備機器の設定を行う場合には、時間間隔をおいて再度環境情報の計測を行う。安全対策や警備などに使用する赤外線や音波などの異常検出センサ、映像センサ、特定の人の位置を検出するタグ位置検出センサなどのように、常時、エリアの監視や検出が必要な環境情報の計測を行う場合は、1順目に引き続き連続して計測を行う。
【0035】
また、固定センサ端末101は、該固定センサ端末が設置された位置における環境情報の計測を行う。固定センサ端末101における環境情報の計測タイミングは、自走センサ端末102の計測タイミングと同期してもよいし、独立していてもよい。
【0036】
以上のように、少数の固定センサ端末101と自走センサ端末102とにより、環境情報を計測するようにしたので、固定して設置するセンサを増やすことなく、多数の計測点において環境情報を計測することができる。
【0037】
さらに、固定センサ端末101との無線通信により、あるいは自走センサ端末102との無線通信により、自走センサ端末102の位置を検出するようにしたので、ガイドレールやマーカといった、位置の参照となる他の装置を設置する必要がなく、より少ないコストで容易に環境計測システムを導入することができる。
【0038】
また、一般に自走ロボットの移動では、移動した位置は、目標位置に対して誤差があるが、本実施の形態では、無線により位置を検出するので、あらかじめ設定した計測点と計測した位置に誤差がある場合にも、計測した環境情報と自走センサ端末102の検出位置とを併せて保持することにより、実際に計測した位置を正しく把握することができる。さらに、検出した位置をフィードバックしてあらかじめ設定された計測点へ移動させることにより、正確に計測点へ自走センサ端末102を移動させることができる。
【0039】
また、ここでは、自走センサ端末102が無線測位手段113を有し、該自走センサ端末102の位置を検出するように構成したが、本発明は本構成に限るものではない。例えばいずれかの固定センサ端末101が無線測位手段111を備え、無線通信による受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを、自走センサ端末102から前記固定センサ端末101に送信し、前記固定センサ端末101の無線測位手段111によって、該固定センサ端末101が自走センサ端末102の位置を検出するようにしてもよい。
【0040】
また、固定センサ端末101が、自走センサ端末102との無線通信による受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを計測し、この計測値を無線測位手段111を備える端末に送信して、該無線測位手段111により、自走センサ端末102の位置を検出してもよい。また上記にて説明した移動して計測する自走センサ端末102が複数存在しても良い。
【0041】
また、固定センサ端末101、自走センサ端末102とは別に、例えば無線通信手段111を備える集中管理装置(図示せず)等が同等の機能を備え、自走センサ端末102の位置を検出したり、自走センサ端末102に次に環境情報を計測する計測点を送信したりするようにしてもよい。
【0042】
以上のように、本構成によらず、環境計測システムが同等の機能を備えていれば、同様の効果を奏する。
【0043】
図7は固定センサ端末の設置場所を限定した場合の環境計測システムを表す別の概念図である。このように設置場所を限定した固定センサ端末に駆動手段やキャスタを設け位置を簡単に変更できるものとすると状況の変化に対応して使いやすい環境計測システムが得られる。
【0044】
図7に示す該環境計測システムにおいて、他の計測点より高い時間周期で計測することが求められる個所に固定センサ端末101を設置する。それ以外の、高い時間周期が必要とされない計測点を自走センサ端末102により計測する。
【0045】
例えば、ビル内の温度を計測する環境計測システムにおいては、窓701の近くや出入り口702の近くにおいて、熱の移動が大きく、高い時間周期での環境情報の計測が求められる。一方、それ以外のフロア内の部分では、高い時間周期での計測は必要とされない。
【0046】
したがって、図7に示すように高い時間周期が求められる窓701や入り口702に近い位置には固定センサ端末101を設置し、それ以外の計測点は自走センサ端末102により計測する。
【0047】
このように、他の計測点より高い時間周期で計測することが求められる位置に固定センサ端末101を設置し、高い時間周期が必要とされない計測点を自走センサ端末102により計測することで、すべての位置に固定のセンサを設置することなく、少ない端末数で効率的に環境計測を行うことが可能になる。さらにシステム要求に応じて柔軟なシステムを構築することができる。以上のように本発明のセンサ端末の組み合わせを使用することにより、精度の良い計測データを確実に入手できる信頼性の高い環境計測装置、システムを構築できる。
【0048】
実施の形態2
図8は実施の形態2における環境システムの構成を表す構成図である。本実施の形態では環境計測システムは4個以上の自走センサ端末102により構成される。自走センサ端末102他の構成、動作は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0049】
次に、実施の形態2における動作を図8〜図10により説明する。本実施の形態では、自走センサ端末102は、移動および位置検出の対象となり計測点に移動する役割と、移動せず位置検出のための基準位置を示す役割との、2つの役割を切り替えながら、相互に位置を検出して環境情報の計測を行う。以降、前者の役割となる自走センサ端末102を位置検出対象端末202、後者の役割の自走センサ端末102を位置検出基準端末201と呼称する。また、環境情報を計測する計測点リストおよび、最初の各自走センサ端末102の位置とは、あらかじめ設定されているものとする。図8に記載された動きの矢印で示される自走センサ端末102が位置検出対象端末202であり、残りの3個の自走センサ端末102が位置検出基準端末201に相当する。なお、図では自走センサ端末102であり位置検出対象端末202であるセンサ端末が1つとして説明しているが、これは複数存在し、同時に並行して動作することは可能である。
【0050】
図10に示すように、まず、環境情報を計測する計測点リストのうち、次に計測する計測点を決定する(S1001)。この計測点の決定は例えばあらかじめ指定された順序により次の計測点を決定することなどにより行うことができる。この規則を端末制御部110に記憶させておけばよい。
【0051】
次に、前記決定された計測点の位置に基づいて、複数の自走センサ端末102の中で、位置検出対象端末202と、それ以外の位置検出基準端末201とを決定する(S1002)。該決定された位置検出対象端末202によって、前記決定された計測点における環境情報の計測を行う。例えば前記決定された計測点から最も遠い自走センサ端末102を位置検出対象端末202とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出基準端末201とする。
【0052】
次に、位置検出対象端末202の位置を検出する(S1003)。位置検出は実施の形態1における無線測位手段113による位置検出と同様に、位置検出対象端末202と位置検出基準端末201との間で、無線通信による無線受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差などを計測することにより行うことができる。
【0053】
次に、実施の形態1における自走センサ端末102の移動と同様に、前記決定された計測点を目標位置とし、前記検出された位置を現在位置として、位置検出対象端末202は自己位置制御手段114により指定された計測点へ移動する(S1004)。
【0054】
計測点への移動が完了したら、該自走センサ端末102は環境計測手段112により、環境情報を計測する(S1005)。
【0055】
計測点リストのすべての計測点について、環境情報の計測が完了しているかどうか(S1006)を判別し、未完了の計測点がある場合には、(S1001)〜(S1006)を繰り返す。計測点リストのすべての計測点で計測が完了したら、1順目の環境情報の計測を終了する。
【0056】
以上のように、本実施の形態は4個以上の自走センサ端末102により構成される環境計測システムにおいて、自走センサ端末102は、移動および位置検出の対象となり計測点に移動する役割、すなわち位置検出対象端末202と、移動せず位置検出のための基準位置を示す役割、すなわち位置検出基準端末201との、2つの役割を切り替えながら、相互に位置を検出して移動することにより環境情報の計測を行うものである。このように計測することによって、さらに少ない端末数で多数の計測点における環境情報の計測を行うことができる。位置検出対象端末202を離れた位置から複数同時に計測をスタートさせると、移動時間などの影響で途中で同期することはなくなるが多数の計測点の計測を短時間で行える。
【0057】
また、最初の自走センサ端末102の位置を設定するのみで、位置情報を含めてビルや工場内の環境情報を計測することができるので、環境計測を開始するための設定作業を大幅に削減することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、自走センサ端末102のみで構成したが、さらに1個ないし2個の固定センサ端末101を含む構成とし、位置検出対象端末202と該固定センサ端末101との無線電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差等を併せて利用して、該位置検出対象端末202の位置を検出してもよい。このようにすることで、位置検出対象端末202の位置検出精度を向上させることができる。
【0059】
次に、本発明の計測手順における次の計測点の決定方法として(例えばS1001)における、計測点の別の決定方法であり、端末制御部110のマイコンなどに記憶させる規則を説明する。
【0060】
例えば、本発明の実施の形態2における(S1001)において次のように計測点を決定する。まず、計測点リストのうち、まだ環境情報の計測が完了していない計測点の位置と各自走センサ端末102の現在位置との距離を計算する。次に、前記計算距離のうち少なくとも3つ以上の計算距離が、予め定められた値よりも小さくなる計測点を、次の環境情報を計測する計測点とする。予め定められた値は、例えば無線通信手段111の仕様に基づく通信可能距離とする。
【0061】
このように次の計測点を決定することにより、位置検出対象端末202が計測点に移動した際に、位置検出基準端末201との通信可能距離より遠くなって、位置検出を実施できなくなるという事象を防ぐことができる。
【0062】
さらに、前記条件を満たす計測点が複数ある場合や、3つ以上の計算距離が、予め定められた値よりも小さくなる計測点が存在しない場合には、各自走センサ端末102の現在位置の重心位置を計算し、複数の計測点のうち、該重心位置に最も近い計測点を次の計測点として決定してもよい。このようにすることで、自走センサ端末102の近くの点から計測することができ、移動距離および環境情報の計測にかかる時間を短縮することができる。
【0063】
次に、本発明の計測手順における位置検出対象端末・位置検出基準端末の決定方法として(例えばS1002)、別の位置検出対象端末202、位置検出基準端末201の決定方法である。
【0064】
上記の説明に記載した計測点の決定方法と同様の計算方法により、計測点の位置と自走センサ端末102の位置との距離が、予め定められた値よりも小さい自走センサ端末102のうち3つまたは3つ以上の自走センサ端末102を位置検出基準端末201とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出対象端末202とする。
【0065】
さらに、位置検出基準端末201の組み合わせの候補が複数ある場合は、該計測点との幾何学的な関係により、位置検出精度が高くなるような組み合わせを位置検出基準端末201とし、それ以外の自走センサ端末102を位置検出対象端末202とする。位置検出精度が高くなる組み合わせを選択する評価指標には、GPSの分野で利用されるGDOP(幾何学的精度劣化指数で、位置検出対象端末から見て位置検出基準端末が正三角形からの離れ度合い)などを利用することができる。
【0066】
このような規則をマイコンなどに記憶させることで、位置検出対象端末202の位置検出精度が向上するため、環境情報を計測する計測点に関する位置誤差を減らすことができる。
【0067】
また、上記で説明した、計測点の決定方法と本実施の形態における位置検出端末202および位置検出基準端末201の決定方法とを組み合わせて評価関数を設定し、該評価関数の表価値が最も高くなる計測点、位置検出対象端末202、および位置検出基準端末201を選択するような規則としても、同様に位置検出精度を向上させることができる。
【0068】
これまでの説明においては、環境情報を計測する計測点リストはあらかじめ設定していたが、次に、該計測点リストを自動的に生成する方法を説明する。この説明では、すでに述べてきた同じ構成と動作の固定センサ端末101および自走センサ端末102により構成されるものであるため構成や動作説明は省略する。
【0069】
図11に示すように、計測対象エリアをあらかじめ決められた間隔の格子状に分割し、各格子で区切られたエリア(セル)の代表点301をもって、計測点リストとする。例えば各セルの中央などを代表点301とする。
【0070】
このように各セルの代表点301を計測点リストとすることにより、計測点リストを設定する必要がなくなり、環境計測を開始するための設定作業をより簡便にすることができる。
【0071】
さらに、格子状で区切られたセルのうち、固定センサ端末101が配置されているセルを除いたセルの代表点301を計測点リストとしてもよい。重複を防ぐことができるため、効率よく環境情報を計測することができる。
【0072】
また、上記説明における、次の計測点を決定するステップ(S601またはS1001)において、計測点リストから次の計測点を選択するのではなく、予め計測点の間隔を定め、1ステップ前に計測した計測点から、該定められた計測点の間隔だけずらした位置を計算して、次の計測点としてもよい。このように計測点リストを設定せず、逐次、次の計測点を計算するようにしても、同様の効果を奏する。
【0073】
さらに、次の計測点を決定するステップ(S601またはS1001)において、擬似乱数生成などにより、ランダムな移動方向および移動量を決定して、次の計測点としてもよい。無線により位置を検出しながら、ランダムに計測することにより、あらかじめ計測点リストを設定せず、自律的に計測対象空間全体を細かく計測することができる。このような決定方法を利用すれば、情報の乏しい領域に対して、あらかじめ計測点を設定せずに、計測できるだけでなく、例え、次の計測点として求めた位置が、移動不可能な障害物がある場合なども、音波センサで計測しながら、あるいは移動を制限された移動途中の計測可能な位置を計測点と置きなおし、位置を記憶させて再び次の計測点を他の方向へ移動できる位置に求めてゆけばよい。
【0074】
このような計測点を設定するための格子の大きさは、例えば建築の基準単位とするようにしてもよい。一般にビル設備は、3.3mや4mといった基準単位にしたがって、柱などの構造物および照明や空調などの設備機器が設置される。したがって該基準単位による格子状のエリアごとに計測データを得ることにより、基準単位に沿って設置された設備機器と計測される環境情報とが対応するため、ビル設備のエネルギー性能の評価や、空調・照明の個別エリア制御のための一つの計測点の粒度として適している。格子の大きさを該建築の基準単位とすることにより、計測した環境情報を容易に設備機器と対応させることが可能になる。
【0075】
実施の形態3.
実施の形態1,2に利用されるセンサ端末の形状や集中制御を行う設備などの本発明のシステムに使用する設備機器の例について次に説明する。本実施の形態3における、自走センサ端末102の構成を図12に示す。本実施の形態における自走センサ端末102は実施の形態1、2に記載の自走センサ端末102について、二次元平面上を移動できる移動台車1201と、端末制御部110および無線通信手段111とを備える制御モジュール1202と、棒状の支持台1203と、複数のセンサモジュール1204とから構成され、前記移動台車1201に鉛直方向に棒状の支持台1203を設置し、該支持台1203に前記複数のセンサモジュール1204を設置するように構成したものである。
【0076】
このように自走センサ端末102を構成することにより、高さ方向の環境情報を同時に計測することが可能になり、よりきめ細かく環境情報を計測することが可能になる。
【0077】
また、同様に固定センサ端末101についても、棒状の支持台を備え、該支持代に複数のセンサモジュールを設置するようにしてもよい。固定センサ端末101の設置個所についても、より細かく環境情報を計測することが可能になる。もちろん2足などの多足歩行を行うロボット形状のセンサ端末としても、高さ方向の環境情報が得られるだけでなく、平面のフロアの計測点だけでなく、2階、3階などの多層階の計測点へ移動でき各計測店に対し計測することができる。
【0078】
本実施の形態における、設備管理システムの構成を図13に示す。実施の形態1、2に記載の環境計測システムに加えて、無線通信手段111と設備管理手段106とを備える設備管理装置105をさらに備えるものである。
【0079】
本実施の形態では、設備管理装置105は無線通信手段111により、環境計測システムにより計測した計測データを取得する。さらに設備管理装置105は、該計測データに基づいて、設備管理手段106により空調や照明などの設備機器の制御を行う。
【0080】
このようにすることで、少ないセンサ端末で多数の環境情報を計測し、かつ端末制御部110にも受けた記憶手段に記憶することができ、これらのセンサ端末に記憶した環境情報を設備管理装置105へ伝送することで設備管理装置105が運転機器や状態監視機器を制御することができ、例えば個人の好みに応じて温度・照度を調節したり、空間の細かい温度分布に従って省エネ効果の高い制御を実施したりするなど、より細かく設備機器の制御を行うことができる。なお、各センサ端末は、相互に通信できるので、それぞれ各計測点の計測したエリアごとの環境情報を中継しながら設備管理装置へ伝送できる。また、設備管理装置から各センサ端末を中継しながら、そのエリアに設けられたエアコンなどの機器へ制御信号を伝送することもできる。
【0081】
このように、本発明の各実施の形態におけるセンサ端末間の通信について、電波が直接到達しない場合に、中間に位置する、自走センサ端末および/または固定センサ端末が該通信データを中継して通信する。中間にあるセンサ端末が通信データを中継することにより、電波の到達範囲より広いエリアでセンサ端末間の通信を確実に行うことができる。さらに、フロアをまたいで固定センサ端末が設置されたり、あるいは移動センサ端末がフロアを越える、屋内と屋外を行き来するなど移動する場合にも、同様に中間のセンサ端末が通信データを中継することにより、フロアを越えたエリアについて通信障害を起こすことなく容易に環境情報の計測を行ない、設備管理装置へ送信することができる。
【0082】
また、通信データの中継は一つのセンサ端末による中継に限らず、中間の複数の端末が順に中継を行なうようにしてもよい。複数の端末で順に中継することにより、広いエリアで通信して環境計測を行なうことができ、さらに通信エラーの発生を抑えることができる。本発明の装置、システムを利用すれば環境計測を短時間で精度よく、フレキシブルに行えるだけでなく、データ計測のみならず通信に関しても信頼性が高い環境計測装置、設備管理システム、環境計測方法が得られることになる
【0083】
本発明による、環境計測システムは、例えば建築物のエネルギー性能評価に利用することができる。建築物の省エネ性能について所定の性能が本当に得られているかを確認するため、実際の設備機器運用時の環境情報を計測することが必要とされている。例えば、ビル等の建設後に各設備機器を運転した状態で、本環境計測システムにより、各計測点を一巡して計測することにより、計測点より少ない個数のセンサ端末により、各計測点のデータを得て、建築物のエネルギー性能の評価を行なうことができる。また、作業員により各計測点にセンサ端末を設置する必要がないため、計測にかかる作業を大幅に軽減することができる。
【0084】
また本発明による環境計測システムは、ある個人のいる場所や特定のエリアの温度や照度を所望の状態に調整する、個別エリア制御に利用することができる。各個人が自身が位置を検出するためのセンサ端末を所持して、該センサ端末の位置を検出する。さらに、自走センサ端末が、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測することで、所望の状態に制御されているかどうかを確認し、空調装置や照明装置を制御する。
このようにすることで、各個人の位置を示すセンサ端末には環境情報のセンサをそれぞれ搭載する必要がなく、少ない個数のセンサ端末で広い空間の個別エリア制御を行なうことができる。
【0085】
また本発明により環境計測システムは、自走センサ端末により、あらかじめ設定された計測点を繰り返し巡回して、環境情報を計測し、該計測したデータに異常がある場合に、位置情報とともに警報を発する、警報装置に利用することができる。異常が計測された位置情報とともに警報を発することにより、計測点より少ない個数のセンサ端末でも、異常が発生した位置を迅速に判断することができる。異常検出は火災や防犯対策のみならず、赤外線センサで人体を検知することができるので、不在のはずのエリアに不慮の事故で人が取り残されている、あるいは、野生動物の侵入などエリアの安全、安心を確認する対策としても利用できる。
【0086】
以上のように本発明は、複数の計測点における環境情報を計測する環境計測システムであって、環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1または複数の自走センサ端末と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は固定センサ端末と自走センサ端末との無線通信により、自走センサ端末の位置を検出するので、少ないセンサで多くの計測点の環境情報を入手でき、実用的で簡単確実な計測システムを構築できる。
【0087】
本発明は、自走センサ端末は、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択し、無線測位手段により検出された現在位置と、計測点の位置とから、該自走センサ端末の移動量を決定して、該自走センサ端末を移動させ、移動した計測点で環境情報を計測するので、さまざまな使い道が可能な計測システムを構築できる。
【0088】
本発明は、計測対象空間において、高い計測周期が必要な個所に固定センサ端末を設置し、それ以外の個所を、自走センサ端末が移動して、環境情報を計測するので、安価に多くの箇所を計測できる。
【0089】
本発明は、複数の計測点における環境情報を計測する環境計測システムであって、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える4個以上の自走センサ端末と、該自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成され、無線測位手段は複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択し、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信により、位置検出対象端末の位置を検出するので、確実な各計測点での計測が可能である。
【0090】
本発明の位置検出対象端末は、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択し、無線測位手段により検出された現在位置と、計測点の位置とから、該自走センサ端末の移動量を決定して、該自走センサ端末を移動させ、移動した計測点で環境情報を計測するので、精度の良い位置での計測が可能である。
【0091】
本発明は、毎ステップごとに、対象端末と基準端末を切り替える際、位置検出対象端末が、移動した計測点で環境情報を計測した際に、無線測位手段があらためて、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択しなおすので、計測を効率よく短時間で行うことができる。
【0092】
本発明の無線通信による位置検出方法として、無線測位手段は、無線通信手段による、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、自走センサ端末および位置検出対象端末の位置を検出するので、精度の良い位置計測ができる。
【0093】
本発明は、無線通信にUWBを使うので、すなわち無線通信手段の用いる無線信号がウルトラワイドバンド信号であるので、信頼性の高い位置計測が可能である。また、本発明は、計測点リストを自動生成するので、例えばあらかじめ設定された計測点リストは計測対象空間を一定の間隔の格子状エリアであるセルに区分けし該区分けされたエリアの代表点とするので簡単な構成で計測できる。
【0094】
本発明は、計測点リストの自動生成の際、固定センサ端末のない場所に対してもあらかじめ設定された計測点リストは区分けされたエリアのうち、固定センサ端末が配置されていないエリアの代表点とするので、フレキシブルな装置とすることができる。
【0095】
本発明のセンサ形状は、二次元平面上を移動できる移動台車と、支持台とを備え、
支持台に鉛直方向に複数のセンサを備えたり、あるいは多足歩行のロボットとすることができ、計測の種類など利用範囲を拡大することができる。
【0096】
本発明の計測システムを用いた設備管理システムは、無線通信手段を備える設備管理装置とを備える設備管理システムであって、該設備管理装置は前記環境計測システムによって計測された計測データを取得し、該取得した計測データに基づいて機器を制御するので、計測データ、制御データを全て記録できるだけでなく、これらのデータの解析により省エネルギー対策が可能なシステムが得られる。
【0097】
本発明は、環境計測手段と無線通信手段とを備える複数の固定センサ端末と、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える1または複数の自走センサ端末と、自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成される環境計測システムにおいて、固定センサ端末と自走センサ端末との無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、自走センサ端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、自走センサ端末の移動量を決定し、自走センサ端末を移動させるステップと、該移動した位置で環境情報を計測するステップとを備えたので、多くの用途に利用できる環境計測方法が得られる。
【0098】
本発明は、環境計測手段と無線通信手段と駆動手段とを備える4個以上の自走センサ端末と、自走センサ端末の位置を検出する無線測位手段とから構成される環境計測システムにおいて、あらかじめ設定された計測点リストのうち1点を計測点として選択するステップと、前記複数の自走センサ端末のうち一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップと、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、位置検出対象端末の移動量を決定し、自走センサ端末を移動させるステップと、該移動した位置で環境情報を計測するステップとを備えたので、精度の良い環境計測方法が得られる。
【0099】
本発明は、計測点リストのうち1点を計測点として選択するステップにおいて、複数の自走センサ端末のうち、少なくとも3個以上の自走センサ端末との距離が定められた閾値以下であるような計測点を、計測点として計測点リストから選択するので、精度が良く計測時間の短い環境計測方法が得られる。
【0100】
本発明は、位置検出対象端末と基準端末の決定方法として、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップにおいて、計測点から最も遠い位置にある自走センサ端末を、位置検出対象端末として選択するので、簡単で確実な環境計測方法が得られる。
【0101】
本発明の、位置検出対象端末と基準端末の決定方法として、複数の自走センサ端末のうち、一つの自走センサ端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップにおいて、複数の自走センサ端末のうち、計測点との距離が定められた閾値以下であるような、少なくとも3個以上の自走センサ端末を位置検出基準端末とするのでフレキシブルで取り扱いやすい環境計測方法が得られる。
【0102】
本発明は、4個以上の無線通信手段を備える自走端末によって構成され、該自走端末の位置を検出して、自走端末を移動させる自走端末の移動方法であって、複数の自走端末のうち、一つの自走端末を位置検出対象端末として選択し、それ以外の自走センサ端末を位置検出基準端末として選択するステップと、位置検出対象端末と位置検出基準端末との間の無線通信における、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の位置を検出するステップと、該検出された位置と、あらかじめ設定された計測点との偏差に基づいて、位置検出対象端末の移動量を決定し、位置検出対象端末を移動させるステップと、を備えたので、精度がよい計測ができる扱いやすい自走端末の移動方法が得られる。
【0103】
本発明の特定箇所センサ端末は環境情報の変化が多い箇所を計測するように配置されるので、有用な環境計測装置が得られる。
【0104】
本発明の自己位置制御手段は、無線測位手段が選択したあらかじめ設定された計測箇所のうちまだ環境情報を計測していない1つの位置と、無線測位手段により検出された現在位置とから移動量を決定して、駆動装置を駆動させるので、精度の良い位置での計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0105】
本発明の、位置検出対象端末が移動して到達目標とする計測箇所にて環境情報を計測する際に、別のセンサ端末の無線測位手段があらためて自己を位置検出対象端末と設定して自己の位置を検出するので、短時間での計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0106】
本発明は、センサ端末に設けられ、各センサ端末からの無線通信によるあらかじめ設定された計測箇所における計測した環境情報を記憶する端末制御装置と、を備え、端末制御装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所のリストまたは計測箇所を求める規則、目標とする計測箇所を選択する規則、位置検出対象端末を選択する規則および位置検出基準端末を選択する規則のいずれかを変更可能に記憶させるので、さまざまな用途の計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0107】
本発明の端末制御装置は、同期してまたは交代しながら自己の位置を検出しあらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を計測する動作を繰り返し、全ての計測箇所の計測を完了したかどうかを判別するので、広い領域を細かいエリアごとに分けても確実で精度の良い計測が可能な環境計測装置が得られる。
【0108】
本発明の環境計測装置と通信可能な無線通信手段を有し前記センサ端末の複数の計測箇所にて計測された環境情報を取得する設備管理装置と、を備え、設備管理装置は環境情報に基づいて空調、照明などの運転機器の運転を制御、または、火災、防犯、人体状態などの状態監視機器の警報動作を制御するのでフレキシブルな利用が可能な設備管理システムが得られる。
【0109】
本発明は、位置検出対象端末があらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所を決定する場合、まだ計測されていない計測箇所であって、位置検出対象端末からの距離がより短い計測箇所を、目標とする計測箇所として選択するので、スピーディな計測が可能な環境計測方法が得られる。
【0110】
本発明の位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、目標とする計測箇所からより遠い位置にあるセンサ端末を、位置検出対象端末として選択するので、精度の良い計測が可能な環境計測方法が得られる。
【0111】
本発明のあらかじめ設定される計測箇所は、計測対象エリアを定められた規則により分割してセルを求め、このセルの中の計測点であるので、取り扱い容易でフレキシブルな利用が可能な環境計測方法が得られる。
【符号の説明】
【0112】
101,101a〜101c:固定センサ端末,102:自走センサ端末,105:設備管理装置,106:設備管理手段,110:端末制御部,111:無線通信手段,112:環境計測手段,113:無線測位手段,114:自己位置制御手段,115:駆動手段,201:位置検出基準端末,202:位置検出対象端末,701:窓,702:出入り口,301:代表点,1201:移動台車,1202:制御モジュール,1203:支持台,1204:センサモジュール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段および無線通信手段を設け前記複数の計測箇所よりも少ない複数のセンサ端末と、
前記センサ端末の内の少なくとも1つは駆動手段を有し前記計測箇所に順次移動して前記環境情報を計測し、前記計測手段にて計測した前記環境情報を前記無線通信手段にて他のセンサ端末と通信する自走センサ端末と、
前記センサ端末の内の他は特定の計測箇所にて前記環境情報を計測し、前記無線手段にて前記センサ端末と前記環境情報を相互に通信する特定箇所センサ端末と、
前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末に設けられ、自分自身の位置を無線通信により計測する他の複数のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、
前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末を位置検出対象端末とし、他の前記計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により前記位置検出対象端末の位置を検出することを特徴とする環境計測装置。
【請求項2】
前記特定箇所センサ端末は前記環境情報の変化が多い箇所に設けられ前記環境情報を計測することを特徴とする請求項1記載の環境計測装置。
【請求項3】
特定の計測箇所にて前記環境情報を計測する少なくとも3以上の前記特定箇所センサ端末を前記位置検出基準端末とすることを特徴とする請求項1記載の環境計測装置。
【請求項4】
前記特定箇所センサ端末は、前記無線測位手段が設けられ他のセンサ端末との相互間距離を検出するとともに位置変更可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の環境計測装置。
【請求項5】
あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段が設けられ前記複数の計測箇所よりも少ない数のセンサ端末と、
前記センサ端末に設けられ、駆動手段により前記計測箇所に移動して計測した前記環境情報を他のセンサ端末と無線通信する無線通信手段と、
前記センサ端末に設けられ自分自身の位置を前記無線通信により計測する他のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、
前記無線測位手段は前記センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該センサ端末を位置検出対象端末とし、前記計測箇所に存在する他の複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により前記位置検出対象端末の位置を検出することを特徴とする環境計測装置。
【請求項6】
前記位置検出対象端末は、前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により検出した前記位置検出対象端末の位置から目標とする計測箇所へ駆動手段を駆動する前記センサ端末に設けられた自己位置制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項4または5記載の環境計測装置。
【請求項7】
前記自己位置制御手段は、前記無線測位手段が選択したあらかじめ設定された計測箇所のうちまだ前記環境情報を計測していない1つの位置と、前記無線測位手段により検出された現在位置とから移動量を決定して、前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項6記載の環境計測装置。
【請求項8】
前記位置検出対象端末が移動して到達目標とする計測箇所にて前記環境情報を計測する際に、別のセンサ端末の無線測位手段があらためて自己を位置検出対象端末と設定して自己の位置を検出することを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項9】
前記無線測位手段は、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の無線通信の、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の距離を検出することを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項10】
前記センサ端末は、前記駆動手段により移動できる移動体の高さの異なる位置に複数のセンサを設けたことを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項11】
センサ端末に設けられ、各センサ端末からの無線通信によるあらかじめ設定された計測箇所における計測した環境情報を記憶する端末制御装置と、を備え、前記端末制御装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所のリストまたは計測箇所を求める規則、目標とする計測箇所を選択する規則、位置検出対象端末を選択する規則および位置検出基準端末を選択する規則のいずれかを記憶させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の環境計測装置。
【請求項12】
前記端末制御装置は、各センサ端末に設けられ、各センサ端末が同期してまたは交代しながら自己の位置を検出しあらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を計測する動作を繰り返し、全ての計測箇所の計測を完了したかどうかを判別することを特徴とする請求項11に記載の環境計測装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の環境計測装置と通信可能な無線通信手段を有し前記センサ端末の複数の計測箇所にて計測された環境情報を取得する設備管理装置と、を備え、前記設備管理装置は前記環境情報に基づいて空調、照明などの運転機器の運転を制御、または、火災、防犯、人体状態などの状態監視機器の警報動作を制御することを特徴とする設備管理システム。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載の環境計測装置において、複数のセンサ端末の中の少なくとも1つの位置検出対象端末と複数の位置検出基準端末との間の無線通信の、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより計測した距離により、前記位置検出対象端末の位置を検出する検出ステップと、
前記位置検出対象端末の検出された位置と、あらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所の位置との偏差に基づいて、前記位置検出対象端末の移動量を決定する演算ステップと、
演算された移動量を駆動手段にて移動させ環境情報を計測する計測ステップと、
を備えたことを特徴とする環境計測方法。
【請求項15】
前記位置検出対象端末があらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所を決定する場合、まだ計測されていない計測箇所であって、前記位置検出対象端末からの距離がより短い計測箇所を、目標とする計測箇所として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項16】
前記複数のセンサ端末の中で、前記位置検出対象端末を設定する場合、あらかじめ設定された計測箇所のうちのまだ計測されていない計測箇所との距離が定められた閾値以下であるような3つ以上のセンサ端末を位置検出基準端末として設定し、残りの複数のセンサ端末を位置検出対象端末として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項17】
前記位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、目標とする計測箇所からより遠い位置にあるセンサ端末を、位置検出対象端末として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項18】
前記位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、前記位置検出対象端末との距離が定められた閾値以下であるような3つ以上のセンサ端末を位置検出基準端末として設定することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項19】
あらかじめ設定される計測箇所は、計測対象エリアを定められた規則により分割してセルを求め、このセルの中の計測点であることを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項1】
あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段および無線通信手段を設け前記複数の計測箇所よりも少ない複数のセンサ端末と、
前記センサ端末の内の少なくとも1つは駆動手段を有し前記計測箇所に順次移動して前記環境情報を計測し、前記計測手段にて計測した前記環境情報を前記無線通信手段にて他のセンサ端末と通信する自走センサ端末と、
前記センサ端末の内の他は特定の計測箇所にて前記環境情報を計測し、前記無線手段にて前記センサ端末と前記環境情報を相互に通信する特定箇所センサ端末と、
前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末に設けられ、自分自身の位置を無線通信により計測する他の複数のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、
前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる前記自走センサ端末もしくは前記特定箇所センサ端末を位置検出対象端末とし、他の前記計測箇所に存在する複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により前記位置検出対象端末の位置を検出することを特徴とする環境計測装置。
【請求項2】
前記特定箇所センサ端末は前記環境情報の変化が多い箇所に設けられ前記環境情報を計測することを特徴とする請求項1記載の環境計測装置。
【請求項3】
特定の計測箇所にて前記環境情報を計測する少なくとも3以上の前記特定箇所センサ端末を前記位置検出基準端末とすることを特徴とする請求項1記載の環境計測装置。
【請求項4】
前記特定箇所センサ端末は、前記無線測位手段が設けられ他のセンサ端末との相互間距離を検出するとともに位置変更可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の環境計測装置。
【請求項5】
あらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を個々に計測する計測手段が設けられ前記複数の計測箇所よりも少ない数のセンサ端末と、
前記センサ端末に設けられ、駆動手段により前記計測箇所に移動して計測した前記環境情報を他のセンサ端末と無線通信する無線通信手段と、
前記センサ端末に設けられ自分自身の位置を前記無線通信により計測する他のセンサ端末との距離から検出する無線測位手段と、を備え、
前記無線測位手段は前記センサ端末が自分自身の位置を検出する際に位置検出の対象となる該センサ端末を位置検出対象端末とし、前記計測箇所に存在する他の複数のセンサ端末を位置検出基準端末として選択し、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により前記位置検出対象端末の位置を検出することを特徴とする環境計測装置。
【請求項6】
前記位置検出対象端末は、前記位置検出基準端末との間の前記無線通信により検出した前記位置検出対象端末の位置から目標とする計測箇所へ駆動手段を駆動する前記センサ端末に設けられた自己位置制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項4または5記載の環境計測装置。
【請求項7】
前記自己位置制御手段は、前記無線測位手段が選択したあらかじめ設定された計測箇所のうちまだ前記環境情報を計測していない1つの位置と、前記無線測位手段により検出された現在位置とから移動量を決定して、前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項6記載の環境計測装置。
【請求項8】
前記位置検出対象端末が移動して到達目標とする計測箇所にて前記環境情報を計測する際に、別のセンサ端末の無線測位手段があらためて自己を位置検出対象端末と設定して自己の位置を検出することを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項9】
前記無線測位手段は、前記位置検出対象端末と前記位置検出基準端末との間の無線通信の、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより、前記位置検出対象端末の距離を検出することを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項10】
前記センサ端末は、前記駆動手段により移動できる移動体の高さの異なる位置に複数のセンサを設けたことを特徴とする請求項1または5記載の環境計測装置。
【請求項11】
センサ端末に設けられ、各センサ端末からの無線通信によるあらかじめ設定された計測箇所における計測した環境情報を記憶する端末制御装置と、を備え、前記端末制御装置は、あらかじめ設定された複数の計測箇所のリストまたは計測箇所を求める規則、目標とする計測箇所を選択する規則、位置検出対象端末を選択する規則および位置検出基準端末を選択する規則のいずれかを記憶させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の環境計測装置。
【請求項12】
前記端末制御装置は、各センサ端末に設けられ、各センサ端末が同期してまたは交代しながら自己の位置を検出しあらかじめ設定された複数の計測箇所における環境情報を計測する動作を繰り返し、全ての計測箇所の計測を完了したかどうかを判別することを特徴とする請求項11に記載の環境計測装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の環境計測装置と通信可能な無線通信手段を有し前記センサ端末の複数の計測箇所にて計測された環境情報を取得する設備管理装置と、を備え、前記設備管理装置は前記環境情報に基づいて空調、照明などの運転機器の運転を制御、または、火災、防犯、人体状態などの状態監視機器の警報動作を制御することを特徴とする設備管理システム。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載の環境計測装置において、複数のセンサ端末の中の少なくとも1つの位置検出対象端末と複数の位置検出基準端末との間の無線通信の、受信電波強度、電波伝播時間、電波伝播時間差のいずれかまたはその組み合わせにより計測した距離により、前記位置検出対象端末の位置を検出する検出ステップと、
前記位置検出対象端末の検出された位置と、あらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所の位置との偏差に基づいて、前記位置検出対象端末の移動量を決定する演算ステップと、
演算された移動量を駆動手段にて移動させ環境情報を計測する計測ステップと、
を備えたことを特徴とする環境計測方法。
【請求項15】
前記位置検出対象端末があらかじめ設定された計測箇所のうちの目標とする計測箇所を決定する場合、まだ計測されていない計測箇所であって、前記位置検出対象端末からの距離がより短い計測箇所を、目標とする計測箇所として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項16】
前記複数のセンサ端末の中で、前記位置検出対象端末を設定する場合、あらかじめ設定された計測箇所のうちのまだ計測されていない計測箇所との距離が定められた閾値以下であるような3つ以上のセンサ端末を位置検出基準端末として設定し、残りの複数のセンサ端末を位置検出対象端末として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項17】
前記位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、目標とする計測箇所からより遠い位置にあるセンサ端末を、位置検出対象端末として選択することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項18】
前記位置検出対象端末との距離を計測する複数の位置検出基準端末は、前記位置検出対象端末との距離が定められた閾値以下であるような3つ以上のセンサ端末を位置検出基準端末として設定することを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【請求項19】
あらかじめ設定される計測箇所は、計測対象エリアを定められた規則により分割してセルを求め、このセルの中の計測点であることを特徴とする請求項14記載の環境計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−169422(P2010−169422A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9888(P2009−9888)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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