環状亜硫酸エステルの製造方法
【課題】高収率、高選択的に環状亜硫酸エステルを与え、厳密な時間管理を必要としない工業的規模の生産に有利な、環状亜硫酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを、第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(2)で示される環状亜硫酸エステルの製造方法、並びに当該製造方法に用いられる触媒。
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)
【解決手段】一般式(1)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを、第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(2)で示される環状亜硫酸エステルの製造方法、並びに当該製造方法に用いられる触媒。
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを、第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(2)
(式中、R1及びR2は前記に同じ。)で示される環状亜硫酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、シリカ中のシラノール基の一部が第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(3)
{式中、R3は結合手、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基又は炭素数7〜12のアラルキレン基を表し、R4は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基又はアリル基を表し、Yは第三級アミン由来の基又は第四級アンモニウムイオン由来の基を表し、Zはハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基、アリル基又は一般式(A)
(式中、R3、R4及びYは前記に同じ。)で示されるシラザン基を表す。}で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(4)
(式中、R3は結合手、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基又は炭素数7〜12のアラルキレン基を表し、R4は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基又はアリル基を表し、Yは第三級アミン由来の基又は第四級アンモニウムイオン由来の基を表す。)で示される構成単位、一般式(5)
(式中、R3、R4及びYは前記に同じ。)で示される構成単位、又は一般式(6)
(式中、R3及びYは前記に同じ。)で示される構成単位を有するものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第三級アミン由来の基が、一般式(7)
(式中、R5及びR6は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)で示される非環式第三級アミノ基、一般式(8)
(式中、R7は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5のアルキレン基を表す。)で示される複素環式非芳香族第三級アミノ基、一般式(9)
(式中、R8は二重結合を有する炭素数5〜9の4価の基を表す。)で示される複素環式芳香族第三級アミン由来の基、又は一般式(10)
(式中、R9は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5の3価の基を表し、R10は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表す。)で示される複素環式非芳香族第三級アミン由来の基である、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第四級アンモニウムイオン由来の基が、一般式(11)
(式中、R11、R12及びR13は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、X−はカウンターアニオンを表す。)で示される非環式第四級アンモニオ基、一般式(12)
(式中、R14は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5のアルキレン基を表し、R15は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式非芳香族第四級アンモニオ基、一般式(13)
(式中、R16は二重結合を有する炭素数5〜9の3価の基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式芳香族第四級アンモニオ基、一般式(14)
(式中、R17は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5の3価の基を表し、R18及びR19は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式非芳香族第四級アンモニウムイオン由来の基、又は一般式(15)
(式中、R20は二重結合を有する炭素数5〜9の4価の基を表し、R21は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式芳香族第四級アンモニウムイオン由来の基である、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(16)
(式中、R3’は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R11、R12及びR13は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、R22は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−はカウンターアニオンを表す。)で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、式(17)
で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記一般式(1)で示されるエポキシドが、一般式(18)
(式中、R1’は水素原子又はメチル基を表す。)で示されるものであり、前記一般式(2)で示される環状亜硫酸エステルが、一般式(19)
(式中、R1’は前記に同じ。)で示されるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカを含有する、一般式(1)
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを反応させることにより、一般式(2)
(式中、R1及びR2は前記に同じ。)で示される環状亜硫酸エステルを合成する際に用いられる触媒。
【請求項1】
一般式(1)
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを、第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(2)
(式中、R1及びR2は前記に同じ。)で示される環状亜硫酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、シリカ中のシラノール基の一部が第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(3)
{式中、R3は結合手、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基又は炭素数7〜12のアラルキレン基を表し、R4は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基又はアリル基を表し、Yは第三級アミン由来の基又は第四級アンモニウムイオン由来の基を表し、Zはハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基、アリル基又は一般式(A)
(式中、R3、R4及びYは前記に同じ。)で示されるシラザン基を表す。}で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(4)
(式中、R3は結合手、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基又は炭素数7〜12のアラルキレン基を表し、R4は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基又はアリル基を表し、Yは第三級アミン由来の基又は第四級アンモニウムイオン由来の基を表す。)で示される構成単位、一般式(5)
(式中、R3、R4及びYは前記に同じ。)で示される構成単位、又は一般式(6)
(式中、R3及びYは前記に同じ。)で示される構成単位を有するものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第三級アミン由来の基が、一般式(7)
(式中、R5及びR6は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)で示される非環式第三級アミノ基、一般式(8)
(式中、R7は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5のアルキレン基を表す。)で示される複素環式非芳香族第三級アミノ基、一般式(9)
(式中、R8は二重結合を有する炭素数5〜9の4価の基を表す。)で示される複素環式芳香族第三級アミン由来の基、又は一般式(10)
(式中、R9は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5の3価の基を表し、R10は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表す。)で示される複素環式非芳香族第三級アミン由来の基である、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第四級アンモニウムイオン由来の基が、一般式(11)
(式中、R11、R12及びR13は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、X−はカウンターアニオンを表す。)で示される非環式第四級アンモニオ基、一般式(12)
(式中、R14は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5のアルキレン基を表し、R15は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式非芳香族第四級アンモニオ基、一般式(13)
(式中、R16は二重結合を有する炭素数5〜9の3価の基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式芳香族第四級アンモニオ基、一般式(14)
(式中、R17は二重結合を有していてもよい炭素数4〜5の3価の基を表し、R18及びR19は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式非芳香族第四級アンモニウムイオン由来の基、又は一般式(15)
(式中、R20は二重結合を有する炭素数5〜9の4価の基を表し、R21は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−は前記に同じ。)で示される複素環式芳香族第四級アンモニウムイオン由来の基である、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、一般式(16)
(式中、R3’は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R11、R12及びR13は夫々独立して、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、R22は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、X−はカウンターアニオンを表す。)で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカ触媒が、式(17)
で示される含ケイ素化合物とシリカとを反応させることによって得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記一般式(1)で示されるエポキシドが、一般式(18)
(式中、R1’は水素原子又はメチル基を表す。)で示されるものであり、前記一般式(2)で示される環状亜硫酸エステルが、一般式(19)
(式中、R1’は前記に同じ。)で示されるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
第三級アミン性基又は第四級アンモニウムイオン性基で表面修飾されたシリカを含有する、一般式(1)
(式中、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又はハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基を表すか、或いはR1及びR2はこれらが結合している炭素原子と共に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数5〜10の環を形成するものを表す。)で示されるエポキシドと二酸化硫黄とを反応させることにより、一般式(2)
(式中、R1及びR2は前記に同じ。)で示される環状亜硫酸エステルを合成する際に用いられる触媒。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−37322(P2010−37322A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297801(P2008−297801)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発・省エネルギー技術開発プログラム)/「革新的マイクロ反応場利用部材技術開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発・省エネルギー技術開発プログラム)/「革新的マイクロ反応場利用部材技術開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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