説明

生ごみ粉砕装置

【課題】回転刃の噛込みによる異常,装置の振動による異常の何れをも解決可能な生ごみ粉砕装置を提供する。
【解決手段】生ごみ粉砕装置12において、モータ42の回転数と電流値とを監視し、回転数が下限回転数未満で且つ電流値が基準電流値未満であるときには噛込み異常と判定して噛込み解除モードでの動作を行わせ、また電流値が基準電流値以上であるときには振動による異常と判定して振動解除モードでの動作を行わせるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は回転刃の回転により投入された生ごみを粉砕する生ごみ粉砕装置に関し、詳しくは異常解除手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンで発生した生ごみを処理するための装置として、ディスポーザと称される生ごみ粉砕装置が知られている。
この生ごみ粉砕装置は、粉砕容器内部に投入された生ごみを回転刃の回転により給水下で固定刃との間ですり潰して微粉砕し、粉砕物を排水とともに排出する。
【0003】
ところで、この生ごみ粉砕装置においては粉砕容器内部に投入された生ごみ中に硬い魚の骨があったり、或いは誤って粉砕容器内部にスプーンやフォーク等の異物が落ちたりすると、回転刃が回転中にこれを噛み込んでしまうといったことが起り得る。
このような噛込み異常が発生したとき、装置をそのまま運転続行すると生ごみを粉砕処理できないばかりか装置の故障に繋がるといった問題を生ずる。
【0004】
このようなことから、噛込み異常が発生したときにその異常を検知して回転刃(モータ)を逆転させる等の異常解除モードで動作させるようになしたものが、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0005】
この生ごみ粉砕装置においては、上記の噛込みによる異常の他、粉砕容器内部で生ごみが偏って存在している場合、回転刃が高速回転したときに生ごみのアンバランスによって装置全体が大きく振動することがあり、而してこのような振動が生じた場合には生ごみの粉砕を効率高く行うことができないだけでなく、粉砕装置の振動がシンクにも伝わって不快な振動騒音を発生するといった問題を生ずる。
しかしながら従来、これら噛込みによる異常及び振動による異常の何れをも解決し得るような生ごみ破砕装置は提供されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平11−28382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、回転刃の噛込みによる異常,粉砕容器内部で生ごみが偏って存在することに起因した装置の振動による異常の何れをも解決可能な生ごみ粉砕装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して請求項1のものは、回転刃と、該回転刃を回転駆動する電動式のモータと、該モータを作業制御する制御部とを備え、投入された生ごみを該回転刃の回転により粉砕する生ごみ粉砕装置において、粉砕動作中に前記モータの電流値が上限電流値に達したときには通電遮断した上で再び通電開始する動作を、第1設定時間間隔で繰り返し行う安全装置を備えるとともに、前記制御部を、前記モータの回転数と前記電流値を監視し、該回転数が第1設定時間継続して設定した下限回転数未満で且つ該電流値が該第1設定時間と同じ又は異なった第2設定時間継続して設定した基準電流値未満であるときには前記回転刃の噛込み異常と判定して噛込み解除モードでの動作を行わせ、また前記第1設定時間継続して前記下限回転数未満で且つ前記電流値が前記第2設定時間継続して前記基準電流値以上であるときには振動による異常と判定して振動解除モードでの動作を行わせるものとなしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2のものは、請求項1において、前記制御部は、前記第1設定時間間隔よりも長い時間間隔で設定した第2設定時間間隔で前記モータの平均の電流値を検出し、前記監視を行うものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、前記噛込み解除モードでの動作を行わせた後に正規の通常モードでの動作に移行させ、設定した複数回目の噛込み異常が生じたと判定したときにはモータを緊急停止させるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、前記振動解除モードでの動作を行わせた後は、正規の通常モードでの動作に移行させるものであることを特徴とする。
【0012】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記噛込み解除モードの動作は、前記モータの正転と逆転とを間に休止時間を挟んで複数回行うものであることを特徴とする。
【0013】
請求項6のものは、請求項5において、前記振動解除モードの動作は、前記モータの正転と逆転とを間に休止時間を挟んで且つ前記噛込み解除モードよりも少ない回数で複数回行うものであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、制御部においてモータの回転数と電流値とを監視し、そして回転数が設定した下限回転数未満で且つ電流値が基準電流値未満であるときには、回転刃の噛込み異常と判定して噛込み解除モードでの動作を行わせ、また下限回転数未満で且つ電流値が基準電流値以上であるときには、振動による異常と判定して振動解除モードでの動作を行わせるようになしたものである。
【0015】
本発明は、上記噛込み異常が生じた場合及び振動異常が生じた場合の何れにおいても、モータの回転数が正常な回転数よりも低くなること、また粉砕動作中にモータの電流値が上限電流値に達したときには通電遮断した上で再び通電開始する動作を、短時間の時間間隔(第1設定時間間隔)で繰り返し行う安全装置を備えたものにおいては、噛込み異常が生じた場合の電流値は、振動異常が生じた場合の電流値に対して低くなるとの知見に基づいてなされたものである。
【0016】
かかる本発明によれば、モータの回転数低下によって異常が発生したことを知ることができ、またそのときのモータの電流値によって、その異常が噛込みによる異常か、振動による異常かを区別することができ、従ってそのような異常が生じたとき、それぞれの異常に応じて適正な異常解除のための動作を行わせることができる。
【0017】
これにより、運転中に何れの異常が生じた場合においてもその異常を解除することが可能となり、それら異常が装置の故障を誘因したり、生ごみの粉砕が円滑に行われなくなったりするのを解消することが可能となる。
この場合において上記制御部は、上記安全装置の繰返し動作時間である第1設定時間間隔よりも長い時間間隔で設定した第2設定時間間隔でモータの平均の電流値を検出し、上記の監視を行うものとなしておくことができる(請求項2)。
【0018】
次に請求項3は、上記噛込み解除モードでの動作を行わせた後に正規の通常モードでの動作に移行させ、そして設定した複数回目の噛込み異常が生じたと判定したときは、その後に噛込み解除モードでの動作を行わせることなく、モータを緊急停止させるようになしたものである。
【0019】
噛込み解除モードでの動作を1回若しくはそれ以上繰り返しても噛込み異常が解除されない場合、更にこれを繰り返してもその後に噛込み異常が解除される可能性は少なく、却って生ごみの粉砕が進行しないばかりか、装置にかかる負担が大となって装置故障を誘因する恐れがある。
そこでこのような場合には運転を続行しないで、モータを緊急停止させるようにする。
【0020】
一方、粉砕容器内部での生ごみの偏りによる振動異常の場合には、振動解除モードでの動作を行わせることで生ごみの偏りが少しずつ少なり、振動の程度が緩和されて行くことが確認されている。
【0021】
そこでこのような振動異常が生じた場合には、振動解除モードでの動作を繰り返し行わせ、モータの緊急停止は行わないようになしたもので、この請求項4によれば、たとえ1回の振動解除モードでの動作によって生ごみの偏り、即ち振動が完全に解除されなくても、これを繰り返し行うことで生ごみの偏りを無くして振動異常を解消することが可能となり、そのまま粉砕動作を継続することによって生ごみの粉砕を完了できるようになる。
【0022】
本発明では、上記噛込み解除モードの動作をモータ(即ち回転刃)の正転と逆転とを間に休止時間を挟んで複数回行うものとなしておくことができる(請求項5)。
このようにモータの正転と逆転とを1回だけでなく複数回繰り返し行うことで噛込み異常をより有効に解除でき、或いは噛込み解除の可能性を高くすることができる。
【0023】
本発明ではまた、振動解除モードの動作をモータの正転と逆転とを間に休止時間を挟んで、且つ噛込み解除モードよりも少ない回数で複数回行うものとなしておくことができる(請求項6)。
このようにモータの正転と逆転とを繰り返すことで粉砕容器内部での生ごみの偏りを無くし、或いは少しずつ少なくしていくことができ、従って生ごみの偏りに起因した装置の振動を解消し或いはまた少なくしながら生ごみの粉砕動作を行うことができる。
【0024】
尚、モータの正転と逆転とを繰返しながら正規の通常モードの動作を行うようになしてあるものにおいては、これら噛込み解除モード及び振動解除モードの動作におけるモータの正転と逆転とは、通常モードのときよりも短い時間間隔で行うようにしておく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はシンクで、12はシンク10により吊持される状態にシンク10の排水口14に取り付けられたディスポーザ(生ごみ粉砕装置)である。
ディスポーザ12は、上部16と下部の本体部18とに分割されていて、それらがゴムジョイント20にて弾性的に連結されている。
上部16は、フランジ部22とその下側の外周面に雄ねじを有しており、そこにねじ込まれた固定ナット24とフランジ部22とでシンク10を上下両側から挟み込む状態に、シンク10に取り付けられている。
【0026】
上部16には投入口26が備えられており、そこに目皿28と投入口26を開閉する蓋30とがセットされている。
尚、蓋30には通水口31が備えられている。
32は本体部18に備えられた粉砕容器で、その内部に、回転盤34とその上面に且つ軸心36回りに自由回転状態に設けられたハンマーミル38とから成る回転刃40が設けられ、その回転刃40の中心部に電動式のモータ42が連結されている。
回転刃40は、このモータ42にてその中心の軸心回りに回転駆動される。
尚モータ42はここではブラシレスモータとされている。
【0027】
このディスポーザ12では、蓋30を取り外した状態で投入口26から粉砕容器32内部に投入された生ごみを、その後の蓋30のセット状態で且つ給水下で、回転刃40の回転により粉砕容器32内部の固定刃44とで押し切り或いはすり潰して微粉砕し、粉砕物を排水とともに排水路46を通じて外部に排出する。
48はコントロールボックスで、取付プレート50により吊持されている。
ここで取付プレート50は、円形の穴を有するリング状部52を有していて、そのリング状部52が、上部16のフランジ部22と固定ナット24とによりシンク10とともに共締めされる状態でシンク10に固定されている。
【0028】
54はコントロールボックス40内部に設けられた基板で、この基板54上に、モータ42を駆動するためのドライバ56及びドライバ56を動作制御するマイコン(制御部)58が搭載されている。
【0029】
本実施形態においてドライバ56は次のような動作を行う。即ち、ドライバ56はモータ42に通電を行うとともに、モータ42の通電電流が上限電流値5A(アンペア)に達したときには、危険回避のために通電遮断し、また短い時間間隔、具体的には0.1ミリ秒(msec)(第1設定時間間隔)で電流値を監視して、そのときの電流値がゼロであるときにはモータ42に対し通電開始し、そしてこれを0.1ミリ秒の短い時間間隔で繰り返し行う。
即ちこのドライバ56は、モータ42を駆動する働きと、後述する噛込み等の異常によってモータ42に過電流が生じたときに、これを検出して通電遮断する安全装置としての働きを行う。
【0030】
一方マイコン58は、上記時間間隔よりも長い時間間隔、ここでは10ミリ秒(msec)(第2設定時間間隔)でモータ42の電流値を検出するとともに、10ミリ秒の間ドライバ56に対しモータ42に電流を供給すように指令を出し続ける。
ドライバ56はこのマイコン58からの指令に基づいて、モータの電流値が5Aに達したところで通電遮断する動作を行いながらも、0.1ミリ秒の時間間隔で通電開始する動作を繰り返し行う。
【0031】
回転刃40が噛込み異常を発生したとき、及び生ごみの偏り(アンバランス)による振動異常が発生したときの何れにおいても、モータ42の回転数(ここでは回転刃40の回転数に等しい)が低くなる(噛込み異常のときには回転しない状態即ち回転数ゼロとなる)とともに、モータ42の負荷が大となることによって、通常はモータ42の電流値が上限電流値(ここでは5A(アンペア))を超えて高くなろうとする。
このときドライバ56の有する安全装置が働き、電流値が5Aに達したところで電流遮断されて、モータ42の電流値はそこで一旦ゼロとなる。そしてその後ドライバ56によって通電開始され、モータ42の電流値が再び上昇し始める。
【0032】
この結果、モータ42の電流値がゼロから上昇して5Aに達し、そして5Aに達したところで再びゼロに戻り、その後再び上昇して5Aに達してゼロに戻るといったことが繰り返されることとなる。
この場合、上記の噛込み異常を生じた場合と、振動異常を生じた場合とで、電流値がゼロから上昇するときの上昇の仕方が異なったものとなる。即ち噛込み異常の場合には回転刃40が回転不能の状態にあるため、電流値は速やかに上昇して5Aに達する。
【0033】
これに比べて振動異常の場合には、回転刃40はある程度回転した状態にあるため、電流値がゼロから上昇するときの上昇の速度は噛込み異常の場合に比べてゆっくりとしたものとなる。
図3はこれらの関係を模式的に表している。
【0034】
図3(A)は噛込み異常が生じたときの電流値の波形を、(B)は振動異常が生じたときの電流値の波形をそれぞれ模式的に表している。
図3(A)に示しているように、噛込み異常が生じた場合にはモータ42が回転不能(回転刃40が回転不能)の状態にあるため、電流値は速やかに上昇して5Aの上限電流値に達し、そこで電流遮断される。
【0035】
一方(B)に示しているように振動異常のときには、そのときモータ42(回転刃40)はある程度回転した状態にあるため、電流値の上昇速度は(A)の噛込み異常に比べて遅く、電流値は(A)の場合よりもゆっくりと上昇して5Aの上限電流値に達し、そこで電流遮断される。
電流遮断により一旦ゼロとなった電流値は、(A)の噛込み異常の場合及び(B)の振動異常の場合の何れにおいても、その後0.1ミリ秒の間隔で電流値を検出するドライバ56による通電開始によって再び上昇し、(A)及び(B)に示す波形に従って電流値を変化させ、これを繰り返す。
【0036】
一方マイコン58は、ドライバ56の電流値検出の時間間隔0.1ミリ秒よりも長い時間間隔の10ミリ秒の時間間隔(第2設定時間間隔)で、その間の平均の電流値を検出し、これを繰り返すことで電流値監視を行う。
ここでマイコン58による電流値の検出値は、図3(A)の噛込み異常の場合の電流値の検出値(図中K)に対して、図3(B)の振動異常の場合の電流値の検出値(図中B)の方が高くなる。
【0037】
この実施形態では、それら電流値の違いに着目し、噛込み異常のときに検出される電流値Kと、振動異常のときに検出される電流値Sとの間に基準電流値Pを設定し、検出された電流値が基準電流値P未満か或いはそれ以上かによって、回転数低下を来たした異常が噛込み異常によるものか、或いは振動異常によるものかをマイコン58において判定する。
【0038】
図4は、上記噛込み異常が生じた場合及び振動異常が生じた場合の実際の回転数変化と電流値変化とを表している。
但し図中(B)は噛込み異常を生じた場合の回転数及び電流値の変化を、また(A)は振動異常を生じた場合の回転数の変化及び電流値の変化を表している。
【0039】
(A)に示しているように、上記の振動異常を生じるとモータ42(回転刃40)の回転数は、正常時の2000rpmよりも低くなる。具体的にはここでは設定した下限回転数1200rpmよりも低くなる。また併せて電流値が正規の通常モードでの動作時よりも低くなる。但しこのときの電流値は、設定した基準電流値Pである2Aよりも高い値となる。
【0040】
一方(B)に示しているように噛込み異常を生じた場合には、モータ42(回転刃40)の回転数はゼロとなり、またそのときの電流値は基準電流値2Aよりも低いものとなる。
逆に言えば、回転数が下限回転数1200rpmよりも低くなった場合において、そのときの電流値が2Aよりも低ければ噛込み異常によるものと判定でき、また電流値が基準電流値2A以上であれば振動異常によるものと判定することができることになる。
【0041】
上記マイコン58は、モータ42の回転数及び電流値の監視を行って上記の異常を判定し、それぞれに応じた解除動作を行わせる。
尚回転数の検出は、この実施形態ではモータ42に備えられた回転センサ(図示無し)にて行われる。この回転センサは、モータ42の回転によって生じる磁気の変化を検出することによって回転数検出を行う。
但し回転刃40の回転数検出を行なうことによって、間接的にモータ42の回転数検出を行なうようになしても良い。
この回転センサからの信号はドライバ56を通じてマイコン58に送信され、マイコン58はこれを受けて回転数監視を行う。
【0042】
図2に、マイコンによる制御の具体的な内容がフローチャートとして示してある。
図2に示すようにこの実施形態では、粉砕動作開始後、マイコン58においてモータ42即ち回転刃40の回転数監視及びモータ42の電流値の監視を行い、そして回転数が設定した下限回転数の1200rpm以上であるときには特別の異常が生じていないものとして、正規の通常モードでの粉砕動作を行う(ステップS16)。
具体的にはここでは、モータ42を5秒間正転させた後に0.5秒間休止し、その後5秒間逆転させた後再び0.5秒間休止して正転に転じ、これを繰り返す通常モードでの粉砕動作を行う。
【0043】
そして電流値が2A以下を2秒間継続した場合には、生ごみが粉砕され終わったものとして粉砕停止する(ステップS14,S30)。或いは設定した運転満了時間T(T=60秒)を経過したときには、そこで粉砕を停止する(ステップS18)。
尚、粉砕動作中に電流値が5A以上で0.1秒以上継続した場合には、上記の噛込み異常,振動異常以外の他の何らかの異常が発生したものとして、そこで緊急停止を行う(ステップS10,S26)。
【0044】
一方、粉砕動作中に回転数が1200rpm未満を0.5秒(第1設定時間)以上継続したと判定したときには(ステップS12)、続いてステップS20を実行し、電流値が2A未満であるか否かを判断する。そして電流値が2A未満であるときには噛込み異常が発生したものと判定し、ステップS22において噛込み解除操作を既に実行しているか否かを判断する(ステップS22)。
【0045】
このとき、噛込み解除動作を未だ一度も行っていない場合には、続いてステップS24を実行し、噛込み解除動作を行う。
ここで噛込み解除動作は、モータ42を先ず0.5秒間休止させた後に回転数2000rpmで今までとは違う方向の回転、即ち逆回転を1秒間行い、その後0.5秒間の休止を置いて正回転を1秒間行い、以下これを繰り返して正転,逆転を0.5秒の休止時間を間に挟んで併せて5回行う。
そしてこの一連の噛込み解除動作を行った後、再び元に戻ってステップS10以下の各ステップを実行する。
【0046】
この第1回目の噛込み解除動作で噛込みが解除されていない場合も有り得、この場合には再び回転数が1200rpm未満且つ電流値が2A未満となることから、再度ステップS12,S20の実行によって現在の状態が噛込み異常の状態にあるものと判定され、そしてステップS22で噛込み解除動作が既に1回実行済みであると判断されることとなる。
この場合には続いてステップS24の実行、即ち噛込み解除動作は行われず、直ちにステップS26の緊急停止が実行される。
【0047】
即ちこの実施形態では上記のよう1回の粉砕動作中、2回目の噛込解除動作は行わないで緊急停止を行なう。
但し場合によって2回までは噛込解除動作を行い、3回目以降或いはそれ以上の複数回目の噛込解除動作を行わないで直ちに緊急停止を行なうようになすこともできる。
【0048】
他方、ステップS20において電流値が2A未満でない、即ち2A以上であると判断したときには、発生した異常が振動異常であると判定し、これに基づいてステップS28において振動解除動作を実行する。
ここで振動解除動作は、先ず0.5秒の休止時間をおいて回転数2000rpmで今までとは逆方向の回転(逆転)を1秒間行い、その後0.5秒の休止時間をおいて今度は正方向の回転を2000rpmで1秒間行い、以下同様の動作を正転,逆転併せて合計3回繰り返し行う。
即ち振動解除動作は、基本的には噛込み解除動作と同様であるが、モータ42の正転と逆転との合計回数を、噛込み解除動作のときよりも少ない3回行う。
そしてこの振動解除動作を実行した後、元に戻ってステップS10以下の各ステップを実行する。
【0049】
図4には上記噛込み解除動作を行ったとき、また振動解除動作を行ったときの回転数変化及び電流値変化を併せて示してある。
尚図4(B)では、第1回目の噛込み解除動作を行っても尚噛込み異常が解除されずに、その後緊急停止を行ったときの回転数及び電流値の状態も併せて示してある。
但し図4(A)では、振動解除モードの実行によって振動異常が解消されたときの回転数,電流値の回復の状態を併せて示してある。
【0050】
以上のように本実施形態では、モータ42の回転数低下によって異常が発生したことを知ることができ、またそのときのモータ42の電流値によって、その異常が噛込みによる異常か、振動による異常かを区別することができ、従ってそのような異常が生じたとき、それぞれの異常に応じて適正な異常解除のための動作を行わせることができる。
【0051】
また本実施形態では、噛込み解除モードでの動作を1回行った後は、2回目の噛込み解除モードでの動作は行なわず、直ちに緊急停止を行う。
そしてこのことによって噛込み異常が長時間解除されないまま装置の運転が続行されることにより、生ごみの粉砕が進行しないばかりか、かえって装置にかかる負担が大となって装置故障を誘引するといった不都合を回避することができる。
【0052】
一方、粉砕容器32内部での生ごみの偏りによる振動異常の場合には、モータ42の緊急停止は行わないで振動解除モードでの動作を繰り返し行わせる。
これにより確実に生ごみの偏りを緩和し若しくは解消して、振動異常を無くすことが可能となる。
【0053】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。例えば上記実施形態では第1設定時間と第2設定時間とを等しい時間としているが、それらの設定時間を異ならせるといったことも可能であるし、また本発明はディスポーザ以外の回転刃の回転により生ごみを粉砕する生ごみ粉砕装置一般に適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態である生ごみ粉砕装置示す図である。
【図2】同実施形態の生ごみ粉砕装置の動作の制御の内容をフローチャートで示す図である。
【図3】同実施形態におけるモータの電流値の変化の波形を模式的に表わした図である。
【図4】モータの実際の回転数と電流値の回転数の変化を示した図である。
【符号の説明】
【0055】
12 ディスポーザ(生ごみ粉砕装置)
40 回転刃
42 モータ
56 ドライバ
58 マイコン(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転刃と、該回転刃を回転駆動する電動式のモータと、該モータを作業制御する制御部とを備え、投入された生ごみを該回転刃の回転により粉砕する生ごみ粉砕装置において
粉砕動作中に前記モータの電流値が上限電流値に達したときには通電遮断した上で再び通電開始する動作を、第1設定時間間隔で繰り返し行う安全装置を備えるとともに
前記制御部を、前記モータの回転数と前記電流値を監視し、該回転数が第1設定時間継続して設定した下限回転数未満で且つ該電流値が該第1設定時間と同じ又は異なった第2設定時間継続して設定した基準電流値未満であるときには前記回転刃の噛込み異常と判定して噛込み解除モードでの動作を行わせ
また前記第1設定時間継続して前記下限回転数未満で且つ前記電流値が前記第2設定時間継続して前記基準電流値以上であるときには振動による異常と判定して振動解除モードでの動作を行わせるものとなしたことを特徴とする生ごみ粉砕装置。
【請求項2】
請求項1において、前記制御部は、前記第1設定時間間隔よりも長い時間間隔で設定した第2設定時間間隔で前記モータの平均の電流値を検出し、前記監視を行うものであることを特徴とする生ごみ粉砕装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、前記噛込み解除モードでの動作を行わせた後に正規の通常モードでの動作に移行させ、設定した複数回目の噛込み異常が生じたと判定したときにはモータを緊急停止させるものであることを特徴とする生ごみ粉砕装置。
【請求項4】
請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、前記振動解除モードでの動作を行わせた後は、正規の通常モードでの動作に移行させるものであることを特徴とする生ごみ粉砕装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記噛込み解除モードの動作は、前記モータの正転と逆転とを間に休止時間を挟んで複数回行うものであることを特徴とする生ごみ粉砕装置。
【請求項6】
請求項5において、前記振動解除モードの動作は、前記モータの正転と逆転とを間に休止時間を挟んで且つ前記噛込み解除モードよりも少ない回数で複数回行うものであることを特徴とする生ごみ粉砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−55379(P2008−55379A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238212(P2006−238212)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】