説明

生ゴミ処理機

【課題】送風手段の破損を確実に防止することを第1の課題とし、排気を十分に冷却することを第2の課題とする。
【解決手段】生ゴミを収容する処理槽29を有する処理機本体10を備え、処理槽29内の空気を外部に連通した排気ダクト39を通して排気する生ゴミ処理機において、排気ダクト39を、処理槽29内に連通させた本体管部40と、一端が処理機本体10に設けた外部への排気口15に位置され他端に排気口15へ向けて送風する送風手段(第1送風ファン53)を配設しその間に本体管部40が連通される出口管部44と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用の生ゴミ処理機としては、生ゴミを細かく破砕する破砕方式、生ゴミの水分を無くすことにより重量および容積を低減させる乾燥方式、および、好気性の微生物(バイオ菌)を基材に担持させた処理材によって生ゴミを発酵させて分解するバイオ方式の3種の方式のものがある。
【0003】
本発明の生ゴミ処理機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−231190号公報
【0005】
この特許文献には、処理機本体の処理槽内に回動可能な攪拌手段が配設され、投入した生ゴミを前記攪拌手段によって処理材と攪拌することによって分解処理を行うバイオ方式の生ゴミ処理機が記載されている。この生ゴミ処理機は、分解処理時に発生する臭気や水分を白金触媒などの脱臭手段にて分解し、排気ファンによって外部に排気する構造となっている。
【0006】
しかしながら、この生ゴミ処理機では、排気に含まれる臭気を、排気ダクト内で触媒ヒータにより加熱した白金触媒を通過させて脱臭しているため、この際に排気が高温に加熱される。この特許文献では、この排気を十分に冷却するために排気ダクトを略L字形状に形成し、最大限に冷却距離を設ける構成としているが、冷却が不十分な場合には、排気ダクトの出口近傍に配設した送風手段を構成する樹脂部品が変形するという問題が生じる。また、送風手段のモータも損傷し、寿命(使用可能な期間)が短くなるという問題が生じる。
【0007】
ここで、排気ファンを白金触媒の上流側(処理槽側)に配設すれば、前記問題が生じることはない。しかし、白金触媒による脱臭効果を十分に得るには、可能な限り通過する際の流速を遅くする必要がある。また、処理槽内で発生する水分(生ごみ分解時に発生する)はできる限り多く排出する必要がある。そのため、これらの機能を十分に満足させるには、排気ファンを白金触媒の上流側に配設することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、送風手段の破損を確実に防止することを第1の課題とし、排気を十分に冷却することを第2の課題とした生ゴミ処理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の生ゴミ処理機は、生ゴミを収容する処理槽を有する処理機本体を備え、前記処理槽内の空気を外部に連通した排気ダクトを通して排気する生ゴミ処理機において、前記排気ダクトを、前記処理槽内に連通させた本体管部と、一端が前記処理機本体に設けた外部への排気口に位置され他端に前記排気口へ向けて送風する送風手段を配設しその間に前記本体管部が連通される出口管部と、を有する構成としたものである。
【0010】
この生ゴミ処理機では、本体管部が出口管部の中間部分に連通するため、排気する処理槽内の空気は、送風手段による送風の中間位置で合流し、送風手段には当接しない所謂押し出し排気構造をなす。そのため、処理槽内からの排気が高温であっても、送風手段を構成する樹脂部品が変形したり、駆動手段であるモータの寿命が短くなったりすることを確実に防止できる。また、排気は、送風手段による非加熱状態の送風と合流(混合)されるため、排気温度も十分に低下させることができる。
【0011】
この生ゴミ処理機では、前記出口管部を、前記送風手段から排気口に向けて漸次開口面積が小さくなる形状とすることが好ましい。このようにすれば、出口管部での流速が、排気口に近づくに従って早くなる。その結果、出口管部内が外部に対して負圧となるため、本体管部を通過した排気を確実に吸引して、混合および排気することができる。
【0012】
また、前記本体管部を、前記処理槽内に連通させた入口管部と、該入口管部内に所定の隙間をあけて一端を配設し他端を前記出口管部に連通させた中間管部と、を有する構成とすることが好ましい。このようにすれば、入口管部内の排気を中間管部に確実に流入させ、外気と一緒に混合して冷却しながら、出口管部に流入させることができる。そのため、排気温度を更に十分に低下させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生ゴミ処理機では、排気する処理槽内からの空気は、送風手段には当接しない所謂押し出し排気構造をなすため、処理槽内からの排気が高温であっても、送風手段を構成する樹脂部品が変形したり、駆動手段であるモータの寿命が短くなったりすることを確実に防止できる。また、排気は、送風手段によって処理槽外の非加熱状態の空気と混合されるため、排気温度も十分に低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る生ゴミ処理機を示す。この生ゴミ処理機は、内部の処理槽29に、好気性の酵母菌からなる微生物(バイオ菌)をおがくずなどの基材に担持させた処理材を収容し、投入した生ゴミを処理材によって分解させるバイオ方式であり、大略、処理機本体10と、該処理機本体10の上部を開閉可能に閉塞する蓋体22とからなる。
【0016】
前記処理機本体10は、その外装体11の内部に処理槽29を配設することにより、該処理槽29内の処理部と処理槽29外の部品配設部とに区画したものである。
【0017】
前記外装体11は、略四角筒状をなす枠体12の底に底板13が配設されるとともに、上部に蓋枠14が配設されたものである。前記枠体12の後面(図1中右側)には、その上部に後述する処理槽29内の空気を外部に排気するための排気口15が設けられている。この排気口15にはフィルタ16が配設されている。また、枠体12の後面下部には、処理槽29の排出口30から突出した筒部31を露出させる開口部12aが設けられている。そして、この枠体12の前面(図1中左側)と前記開口部12aが設けられた後面には、前カバー17と後カバー18とが着脱可能に配設されている。前記蓋枠14には、その前部に生ゴミの投入口14aが設けられている。また、枠体12の内部には、処理槽29の上端に位置するように仕切板19が配設されている。この仕切板19は、処理槽29の上端前部に位置するように開口部19aが設けられ、該開口部19aと前記蓋枠14の投入口14aとの間には筒状をなすダクト部材20が配設されている。このダクト部材20の後面側には吸気口21が設けられ、この吸気口21にフィルタ(図示せず)が配設されている。
【0018】
前記蓋体22は、処理機本体10の蓋枠14の上面に回動可能に取り付けられるとともに、付勢手段であるヒンジスプリング23により開放方向に付勢されたものである。このヒンジ接続部分の近傍には、下方向へ円弧状をなすように突出する押圧部材24が設けられ、該押圧部材24によってスイッチ25をオンオフすることにより、蓋体22の開放および閉塞状態を検出できるように構成している。また、この蓋体22の前部には、図4に示すように、下向きに突出した係止受部26が設けられ、この係止受部26がロック部材27によってロックおよびアンロックされる。このロック部材27は、駆動手段であるソレノイド28により動作される。このソレノイド28は、人が近づいたことを検出可能な人体検出手段や、操作スイッチの操作により駆動される。
【0019】
前記処理槽29は、横断面矩形状をなし、かつ、その横断面積が上側の開口に向けて徐々に広がる有底筒状のものである。この処理槽29の前側壁29aは、その上部が前方に位置するダクト部材20の前面を覆うように前方に膨出した形状をなす。また、この処理槽29の後側壁下部には、外部に連通する排出口30が設けられ、その開口縁には先端が前記枠体12の開口部12a内に配置される筒部31が突設されている。この筒部31には、ネジ締めにより蓋32が着脱可能に取り付けられている。さらに、処理槽29の底には、有底筒状をなす軸受部33が一体に設けられ、この軸受部33に攪拌部材34の下端が回転可能に取り付けられる。
【0020】
前記処理機本体10には、前記処理槽29内に回転可能に支持される攪拌部材34と、前記仕切板19上に配設した攪拌部材34の駆動手段である駆動モータ35とからなり、処理槽29内に収容した生ゴミと処理材とを攪拌する攪拌手段が設けられている。
【0021】
前記攪拌部材34は金属製であり、垂直方向に延びる回転軸36に、攪拌翼を構成する4個の羽根部38A〜38Dを放射状をなすように固着した縦型のものである。回転軸36は、その下端が処理槽29の軸受部33に回転可能に支持される一方、上端に継手部材37が配設されている。そして、この継手部材37が前記仕切板19を貫通され、該仕切板19上に配設した駆動モータ35の出力軸35aに接続されている。下側から3個の羽根部38A〜38Cは、回転軸36に対して処理槽29内に収容する処理材に埋没する位置に固着され、処理材および生ゴミを上向きに押し上げるように作用するものである。上端の羽根部38Dは、回転軸に対して処理槽29内に収容した処理材の上表面から露出する位置に固着され、処理材上に載った生ゴミを下向きに押し下げ、処理材内に没入させるように作用するものである。
【0022】
前記処理槽29と処理機本体10との間には、処理槽29内と処理機本体10の外部とを連通する排気ダクト39と、該排気ダクト39の内部に配設した第1送風手段である第1送風ファン53と、処理槽29内に配設した第2送風手段である第2送風ファン54とを有する排気手段が配設されている。また、本実施形態では、排気ダクト39の内部には、排気に含まれる臭気を分解脱臭する脱臭手段が配設されている。
【0023】
図2(A),(B)に示すように、排気ダクト39は、吸気口21から排気口15にかけて延びるように配設されるもので、処理槽29(ダクト部材20)の吸気口21に接続した本体管部40と、処理機本体10の排気口15に接続した出口管部44とを備えている。
【0024】
前記本体管部40は、加熱源を有する脱臭手段を配設するために、排気する空気の冷却区間を設ける目的として、攪拌部材34の駆動モータ35を迂回するように略L字形状に構成されている。吸気口21に接続される接続部41は、内部に矩形状の流路を備え、その内部に脱臭手段が配設される。接続部41の端部に連続する屈曲部42は、内部に接続部41より断面積が小さい矩形状の流路を備え、処理機本体10の背面に沿って延びるものである。この屈曲部42の先端は、処理機本体10内で開放した開口部43となっている。
【0025】
前記出口管部44は、本体管部40の開口部43に対して所定間隔をもって離れた位置において、その先(一)端が処理機本体10の排気口15に配設され、基(他)端側が本体管部40の開口部43を越えて処理槽29の側に向けて延びるものである。具体的には、この出口管部44は、図3に示すように、略四角筒状をなすハウジング45と、オリフィス部材50とを備えている。ハウジング45は、図中右側に位置する先端が排気口15に配置されるもので、その先端に外形が漸次小さくなる角錐筒状部46が設けられている。この角錐筒状部46の内周部には、オリフィス部材50を位置決めするためのリブ47が突設されている。また、この角錐筒状部46の逆側に位置する端部は、第1送風ファン53を配設するファン配設部48を構成する。さらに、ハウジング45には、角錐筒状部46とファン配設部48との間に位置し、開口部43と対向する一側面に、該開口部43から排出された排気を通過させる通気口49が設けられている。オリフィス部材50は、先端(装着状態では排気口15)に向けて開口面積が漸次小さくなるようにした円錐筒形状をなす。このオリフィス部材50において、開口面積が最も大きい基端には、ハウジング45の内面形状より若干小さい四角形状をなすように突出するフランジ部51が設けられている。また、このオリフィス部材50には、ハウジング45への装着状態で、通気口49に対して屈曲部42の延び方向に一致する吸引口52が設けられている。このオリフィス部材50は、ファン配設部48の側からハウジング45の内部に装着し、第1送風ファン53をファン配設部48に配設することにより、該第1送風ファン53とリブ47との間に挟まれた状態で位置決めされる。
【0026】
前記第1送風ファン53は、プロペラ形状の羽根を備えた周知のもので、前記排気ダクト39内において、出口管部44のファン配設部48に配設される。そして、オリフィス部材50の先端に位置する排気口15に向けて送風することにより、本体管部40の屈曲部42の延び方向に対して直交する方向に排気流を形成するものである。この第1送風ファン53は、ハウジングへの装着状態で、オリフィス部材50のフランジ部51に当接するため、排気口15の側に位置する面は、吸引口52より排気口15の側に突出しない。よって、吸引口52から流入した排気は、排気流により該第1送風ファン53には当接(衝突)しない構成である。
【0027】
前記第2送風ファン54は、前記吸気口21の下方である処理槽29内における処理材の上方の空気層領域の空気を拡散するプロペラ形状の羽根を備えた周知のものである。この第2送風ファン54は、送出する風が処理材に向かうように、前記仕切板19の下面に所定間隔をもって配設されている。
【0028】
前記本体管部40内に配設される脱臭手段は、第1送風ファン53の上流側である吸気口21の近傍に配設され、排気する空気に含まれた臭分は勿論、処理槽29内の空気に含まれた臭分をも分解除去するものである。この脱臭手段は、吸気口21の側から排気口15の側に向けて順次配設した触媒ヒータ55と、加熱温度の検出手段であるサーミスタ56と、白金触媒57とを備えている。前記触媒ヒータ55は、白金触媒57が220℃から280℃の温度になるように加熱するもので、サーミスタ56の検出値に基づいてマイコン62がオンオフ制御する。前記サーミスタ56は、白金触媒57を検出し、温度に相当するデータをマイコン62に出力するものである。前記白金触媒57は、Fe-Cr-Alステンレス構造体からなるハニカム状の基材に白金を担持させ、イオウ系やアンモニア系などの臭分を化学的に反応させてCOやHOに変化させるものである。
【0029】
なお、図1に示すように、処理槽29の下部外周面には、処理槽29内の処理材を所定温度範囲内に維持するための加熱手段として加熱ヒータ58が配設されている。また、本実施形態の生ゴミ処理機には、図4に示すように、処理槽29内に収容された処理材によって生ゴミを分解する処理機能の状態を検出するための検出手段として、処理槽29内の処理材の収容領域に第1温度センサ59が配設されるとともに、処理槽29の外部に第2温度センサ60が配設されている。そして、これら温度センサ59,60の検出値に基づいて内外の温度差を演算し、その温度差に基づいて予め設定された補正値を第1温度センサ59の検出値による検出温度に加算して、その演算値に基づいて処理材の温度制御を行う。なお、処理槽29内において、処理材の上部の空間の温度を検出する第3温度センサを配設し、この第3温度センサの検出値を含めて判断する構成とすれば、更に適切な温度制御を行うことができる。
【0030】
前記構成の生ゴミ処理機は、図1中左側に位置する外装体11と処理槽29との間の前方下部に制御基板61が配設されている。そして、この制御基板61に実装された制御手段であるマイコン62は、図示しない電源コンセントを商用電源に接続することにより、処理機本体10に配設した操作パネル63の操作に応じ、予め設定されたプログラムに従って各部品を動作させる。
【0031】
具体的には、マイコン62は、まず、スイッチ25のオンオフ状態により蓋体22の開閉状態を検出する蓋体開閉検出手段の役割をなす。そして、蓋体22の開放を検出した状態で攪拌部材34が動作(回転)中である場合には、該攪拌部材34の動作の停止処理を行う。また、蓋体22の閉塞を検出すると、その閉塞時を制御の開始点として、内蔵したタイマにより時間の計測を開始し、処理材の調整手段である攪拌部材34の回転、加熱ヒータ58のオンオフ、送風ファン53,54および触媒ヒータ55のオンオフ制御を開始する。これにより、処理材に担持させた微生物に対して、適温適湿状態で、常に新鮮な空気に接触させて活性化を促進させるように構成している。さらに、所定時間(2時間)毎にセンサ59,60による検出値に基づいて処理材の処理機能(含水率)の状態を判断し、その判断結果に基づいて各部品の制御を調整する。なお、この調整処理については従来と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
次に、ファン53,54を駆動することによる排気作用について具体的に説明する。なお、一対のファン53,54は同期して駆動され、処理材が乾燥状態である場合、および、蓋体22が開放された状態である場合には停止され、他の状態では駆動される。
【0033】
ファン53,54を駆動することによる排気作用は、まず、第2送風ファン54の回転により、処理槽と仕切板19との境界部分等の隙間から処理槽29外の空気が処理槽29内に吸引され、湿気および臭気を含んだ処理槽29内の空気が吸気口21に向けて押し出され、この第2送風ファン54の風力により排気ダクト39の本体管部40内を通気される。この際の流速は、排気ダクト39を仕切るように送風ファンを配設し、その送風方向と気体流通方向とを一致させた従来の構成と比較すると、格段に遅い。そのため、白金触媒57を通過させることによる脱臭作用を十分に得ることができる。そして、高温に加熱された白金触媒57を通過した排気は、該白金触媒57の熱を吸収して高温になっている。しかし、本実施形態では、第2送風ファン54による風力で屈曲部42を通して開口部43から処理機本体10内に放出されるため、流速が遅いことに伴って十分な冷却作用を得ることができる。
【0034】
このようにして開口部43から放出された排気は、第1送風ファン53による風力で、出口管部44内に吸引され、第1送風ファン53による送風と混合して排気口15から外部に排出される。具体的には、第1送風ファン53は、駆動によりハウジング45から露出した背面側の空気を吸引し、開口面積が漸次小さくなった排気口15の側へ向けて送風する。そうすると、ベンチュリー効果により排気口15に向かうにつれて流速が早くなり、出口管部44内が該出口管部44の周辺(外部)と比較して負圧となる。その結果、開口した吸気口21および吸引口52から外部の空気が出口管部44内に吸引される。この際、本実施形態では、この通気口49の対向位置には本体管部40の開口部43が位置するため、開口部43から放出された排気は殆ど全て通気口49から出口管部44内に吸引されることになる。勿論、この際には、処理槽29からの排気を除く、処理機本体10内の空気も一緒に出口管部44内に吸引されることになる。その結果、非加熱状態の空気と混合されることにより、冷却作用を得ることができる。
【0035】
このようにして出口管部44内に吸引された排気は、第1送風ファン53からの送風と合流して混合されることにより、更に冷却された状態で、外部に排出される。この際、通気口49および吸引口52は、第1送風ファン53と排気口15との間に位置しているため、出口管部44内において吸引した排気が第1送風ファン53に当接することなく外部に排出される。
【0036】
このように、本実施形態の生ゴミ処理機は、出口管部44において、第1送風ファン53による排気流と、排気ダクト39の上流側である屈曲部42での排気方向とが交差するように構成した所謂押し出し排気構造としている。よって、処理槽29からの排気は、第1送風ファン53に当接することはない。そのため、白金触媒57で加熱された排気の冷却作用が不十分であったとしても、第1送風ファン53を構成する樹脂部品が変形したり、駆動手段であるモータの寿命が短くなったりすることを確実に防止できる。また、排気は、出口管部44内に吸引される際に、非加熱状態の周囲の空気と混合されるとともに、第1送風ファン53による送風と混合されるため十分に温度を低下させることができる。
【0037】
図5(A),(B)は第2実施形態の生ゴミ処理機を示す。この第2実施形態では、本体管部40を、処理槽29内に連通させた入口管部64と、該入口管部64内に所定の隙間をあけて配設した中間管部68とを有する構成とした点で、第1実施形態と相違している。
【0038】
前記入口管部64は、第1実施形態の本体管部40と同様に、吸気口21に接続する接続部65と、該接続部65の端部に連続する屈曲部66とを備えたL字形状のものである。そして、この屈曲部66の先端は、処理機本体10内に向けて開放した開口部67となっている。
【0039】
前記中間管部68は、屈曲部42の内部空間の断面積より小さく、所定の隙間をあけた状態で一端を屈曲部42から挿入して接続部41の先端に位置するように配設し、他端を出口管部44の吸引口52に配設した管状のものである。具体的には、この中間管部68の先端は、接続部65と屈曲部66との境界に位置する壁面に当接するように固定されて、閉塞されている。そして、この中間管部68には、吸気口21を臨むように吸気用開口部69が設けられている。また、出口管部44に位置する端部は、吸引口52の内縁と密閉状態で配設される。
【0040】
このように構成した第2実施形態では、主として第2送風ファン54の回転により、処理槽29内の湿気および臭気を含んだ空気が吸気口21に向けて押し出される。但し、第2実施形態では、出口管部44内に連通する中間管部68を、入口管部64の屈曲部66内に挿着し、接続部65に位置させている。そして、出口管部44では、第1実施形態と同様に、第1送風ファン53の駆動により内部が負圧になっているため、中間管部68内の空気が出口管部44内に流入する気流が生じる。その結果、この気流は、吸気用開口部43から接続部65内の排気を吸引するように作用する。但し、入口管部64の接続部65には、白金触媒57を配設していることによって流体抵抗がある。また、屈曲部66と中間管部68との間には隙間が存在し、屈曲部66の開口部67は処理槽29外で、処理機本体10内に開放している。よって、中間管部68の吸気用開口部43からの吸引力は、処理槽29内の空気を吸引することには殆ど作用しない。その結果、中間管部68には、白金触媒57を通過した処理槽29内の全ての排気と、屈曲部66の開口部67から流入した処理機本体10内の空気とが混合して流入されることになる。
【0041】
このようにして中間管部68内に流入した高温の排気は、処理槽29外の非加熱状態の空気との混同により冷却されながら、第1送風ファン53による風力で出口管部44内に吸引される。そして、出口管部44内に流入すると、第1実施形態と同様に、第1送風ファン53からの送風と混合されることにより、更に冷却された状態で外部に排出される。
【0042】
このように、第2実施形態の生ゴミ処理機では、第1実施形態と同様に、第1送風ファン53の損傷を確実に防止できるうえ、入口管部64内の排気を中間管部68に確実に流入させ、外気と一緒に混合して冷却しながら、出口管部44に流入させることができる。そのため、排気温度を更に十分に低下させることができる。
【0043】
なお、本発明の生ゴミ処理機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、各実施形態では、出口管部44の排気流と、その上流側の排気方向とが直交するように構成したが、交差するように構成すれば、その角度は希望に応じて変更が可能である。
【0045】
また、前記実施形態では、処理材によって生ゴミを発酵させて分解するバイオ方式の生ゴミ処理機に本発明の排気構造を適用したが、生ゴミを細かく破砕する破砕方式や、生ゴミの重量および容積を低減させる乾燥方式など、所定のゴミ処理手段を配設した生ゴミ処理機に適用すれば、同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態の生ゴミ処理機を示す断面図である。
【図2】排気手段の構成を示し、(A)平面図、(B)は要部断面図である。
【図3】出口管部の構成を示す要部断面図である。
【図4】生ゴミ処理機の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態の排気手段の構成を示し、(A)平面図、(B)は要部断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10…処理機本体
15…排気口
21…吸気口
22…蓋体
29…処理槽
34…攪拌部材
39…排気ダクト
40…本体管部
43…開口部
44…出口管部
45…ハウジング
49…通気口
50…オリフィス部材
52…吸引口
53…第1送風ファン(送風手段)
54…第2送風ファン
55…触媒ヒータ(脱臭手段)
56…サーミスタ
57…白金触媒(脱臭手段)
58…加熱ヒータ(加熱手段)
62…マイコン(制御手段)
64…入口管部
68…中間管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを収容する処理槽を有する処理機本体を備え、前記処理槽内の空気を外部に連通した排気ダクトを通して排気する生ゴミ処理機において、
前記排気ダクトを、前記処理槽内に連通させた本体管部と、一端が前記処理機本体に設けた外部への排気口に位置され他端に前記排気口へ向けて送風する送風手段を配設しその間に前記本体管部が連通される出口管部と、を有する構成としたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
前記出口管部を、前記送風手段から排気口に向けて漸次開口面積が小さくなる形状としたことを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
前記本体管部を、前記処理槽内に連通させた入口管部と、該入口管部内に所定の隙間をあけて一端を配設し他端を前記出口管部に連通させた中間管部と、を有する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−6237(P2009−6237A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169004(P2007−169004)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】