説明

生体内診断装置およびその制御方法

【課題】振動子ユニットへの血液や気泡の付着を自動的に抑制して良好な画像を取得できる生体内診断装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】生体内に挿入されるシース2と、信号を送受信する信号送受信部材411を先端に有して前記シース2内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフト42と、を有する生体内挿入プローブ1と接続し、前記信号送受信部材411との間で信号を送受信して生体内の情報を取得するとともに前記駆動シャフト42を前記シース2内で移動させるための生体内診断装置であって、前記駆動シャフト42を軸方向に移動させる軸方向移動装置72と、前記生体内挿入プローブ内へ伝達媒体を供給する媒体供給手段73と、前記媒体供給手段73を制御し、前記信号送受信部材411からの信号または前記駆動シャフト42の軸方向移動量に応じて伝達媒体の供給量を調整する制御部79と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管および脈管などの体腔内に挿入して用いられる生体内診断装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管および脈管などの体腔内の患部を診察する場合には、患部で超音波を送受信する超音波カテーテルが使用される。超音波カテーテルは、一例として、体腔内に挿入されるシースと、超音波を送受信するための振動子ユニットを先端に有してシース内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフトとを有している。
【0003】
超音波カテーテルを使用する際には、まず、シース内に生理的食塩水をプライミングし、振動子ユニットをシース内において予め一番先端側に配置するとともにシースを患部より深部に運ぶ。この後、シースを残したまま振動子ユニットのみをシース先端から後退させて患部を通過させる。振動子ユニットのみを後退(プルバック(pull back))させることにより、振動子ユニットが深部から患部を通過して移動するので、患部の前後に渡って連続的に超音波観察したり、血管および脈管などの形状の断層画像を作成したりすることができる。
【0004】
しかしながら、計測の際にシース内で振動子ユニットを後退させると、カテーテル内の生理的食塩水で満たされるべき領域の体積が増加するため、シース内に血液が引き込まれる。血液がシース内に引き込まれて振動子ユニットに達すると、振動子ユニットが生理的食塩水で覆われている場合と比較して超音波の減衰が大きくなり、計測される画像が劣化する。
【0005】
ところで、特許文献1には、生体組織と超音波変換器(振動子)が直接接触することで計測の際に生体組織が破壊されて正確な診断ができなくなること防止するために、超音波変換器が存在する内針内へ生理的食塩水等の伝達媒体を任意の圧力で供給できるよう、伝達媒体供給装置を備えた超音波画像診断装置が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波画像診断装置では、超音波変換器が生体内に露出した状態で診断が行われるため、血液のシース内への流入は考慮されていない。
【0007】
また、シース内には、生体へは影響のない程度の微小な気泡が存在しえるが、計測の際に気泡が振動子ユニットに付着すると、超音波が伝播しなくなり、振動子ユニットで計測される信号が微弱となって画像を取得できなくなる。
【0008】
そこで、気泡を取り除く技術として、例えば特許文献2には、プローブ(振動子)に気泡が付着した場合に、プローブを高速移動させて気泡を取り除く技術が記載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の超音波検査装置は、生体内での使用が前提ではなく、シース内に振動子ユニットが存在する等の制限がある超音波カテーテルでは、振動子ユニットを高速移動させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−154936号公報
【特許文献2】特開平6−331604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、振動子ユニットへの血液や気泡の付着を自動的に抑制して良好な画像を取得できる生体内診断装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の生体内診断装置は、生体内に挿入されるシースと、信号を送受信する信号送受信部材を先端に有して前記シース内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフトと、を有する生体内挿入プローブと接続し、前記信号送受信部材との間で信号を送受信して生体内の情報を取得するとともに前記駆動シャフトを前記シース内で移動させるための生体内診断装置であって、前記駆動シャフトを軸方向に移動させる軸方向移動装置と、前記生体内挿入プローブ内へ伝達媒体を供給する媒体供給手段と、前記媒体供給手段を制御し、前記信号送受信部材からの信号波形または前記駆動シャフトの軸方向移動量に応じて伝達媒体の供給量を調整する制御部と、を有する。
【0013】
また、上記目的を達成する本発明の生体内診断装置の制御方法は、生体内に挿入されるシースと、信号を送受信する信号送受信部材を先端に有して前記シース内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフトと、を有する生体内挿入プローブと接続し、前記信号送受信部材との間で信号を送受信して生体内の情報を取得するとともに前記駆動シャフトを前記シース内で移動させるための生体内診断装置の制御方法であって、前記信号送受信部材からの信号波形または前記駆動シャフトの軸方向移動量に応じて、前記生体内挿入プローブ内へ伝達媒体を供給する媒体供給手段からの伝達媒体の供給量を制御部により自動調整する。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明の生体内診断装置は、信号送受信部材からの信号または駆動シャフトの軸方向移動量に応じて伝達媒体の供給量を調整する制御部が設けられているため、振動子ユニットへの血液や気泡の付着を自動的に判別して抑制し、良好な画像を取得できる。
【0015】
前記制御部が、前記駆動シャフトの基端側への軸方向移動に伴う前記生体内挿入プローブ内の媒体領域の体積増加速度以上の流量で伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段を制御するようにすれば、シース内に血液が流入せず、振動子ユニットへの血液の付着を抑制して良好な画像を取得できる。
【0016】
前記制御部が、前記信号送受信部材からの信号波形の振幅が予め設定された閾値よりも小さい場合に伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段を制御するようにすれば、信号送受信部材への気泡の付着を判別して、伝達媒体によって信号送受信部材から気泡を自動的に取り除くことができ、良好な画像を取得できる。
【0017】
前記媒体供給手段が、前記軸方向移動装置と一体的に形成されれば、装置が省スペースに纏まり、作業性が向上する。
【0018】
前記媒体供給手段が、前記生体内挿入プローブと接続されて軸方向移動する軸方向移動部に設けられれば、媒体供給手段と連通して伝達媒体が供給される生体内挿入プローブのポートが、軸方向移動装置によって軸方向移動する構成であっても、媒体供給手段と生体内挿入プローブのポートの間の距離が変化せず、軸方向移動装置の良好な動作が可能となる。
【0019】
前記軸方向移動装置から動力を機械的に前記媒体供給手段へ伝達する動力伝達手段を有するようにすれば、媒体供給手段を軸方向移動装置と同期して駆動させることができる。
【0020】
上記のように構成した本発明の生体内診断装置の制御方法は、信号送受信部材からの信号または駆動シャフトの軸方向移動量に応じて媒体供給手段からの伝達媒体の供給量を自動調整するため、振動子ユニットへの血液や気泡の付着を自動的に判別して抑制し、良好な画像を取得できる。
【0021】
前記軸方向移動装置を駆動させる際に、前記駆動シャフトの基端側への軸方向移動に伴う前記生体内挿入プローブ内の媒体領域の体積増加速度を制御部にて算出または制御部に格納されたデータから読み出し、前記制御部から、前記体積増加速度以上の流量で伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段へ指令信号を送信するようにすれば、シース内に血液が流入せず、振動子ユニットへの血液の付着を抑制して良好な画像を取得できる。
【0022】
前記信号送受信部材から制御部へ送信された信号波形の振幅を、制御部にて予め設定された閾値と比較し、閾値よりも低い場合に、前記制御部から、伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段へ指令信号を送信するようにすれば、信号送受信部材への気泡の付着を判別して、伝達媒体によって信号送受信部材から気泡を自動的に取り除くことができ、良好な画像を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る生体内診断装置を示す平面図である。
【図2】超音波カテーテルを示す平面図である。
【図3】超音波カテーテルの先端部を示す長手方向断面図である。
【図4】振動子ユニットをプルバックさせる際の超音波カテーテルを示す平面図である。
【図5】超音波カテーテルのハブを示す長手方向断面図である。
【図6】超音波カテーテルのユニットコネクタおよび中継コネクタを示す長手方向断面図である
【図7】第1実施形態に係る生体内診断装置においてスキャナー装置をプルバックさせる際を示す平面図である。
【図8】プルバックする際の外管内の体積変化を示す長手方向断面図である。
【図9】プルバックの際の生体内診断装置の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】フラッシング処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係る生体内診断装置を示す平面図である。
【図12】第2実施形態に係る生体内診断装置においてスキャナー装置をプルバックさせる際を示す平面図である。
【図13】第3実施形態に係る生体内診断装置を示す平面図である。
【図14】第3実施形態に係る生体内診断装置の動力伝達手段を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態に係る生体内診断装置は、図1に示すように、体腔内を観察するための超音波カテーテル1(生体内挿入プローブ)と、超音波カテーテルが接続されて超音波カテーテルを駆動させるための外部駆動装置7とを有している。
【0026】
まず、超音波カテーテル1について詳述する。
【0027】
超音波カテーテル1は、図2に示すように、体腔内に挿入されるシース2と、使用者が操作するために体腔内に挿入されず使用者の手元側に配置される操作部3とにより構成される。
【0028】
シース2は、図3に示すように、シース先端部材21と、シース本体22と、充填液入出路部材23とを有する。シース本体22は、シース先端部材21および充填液入出路部材23を覆うようにして、シース先端部材21および充填液入出路部材23と接着されている。
【0029】
シース先端部材21とシース本体22との間には、X線造影マーカ24が設けられており、体腔内挿入時にX線透視下で超音波カテーテルの先端位置が確認できるようになっている。
【0030】
シース先端部材21には孔211が形成されており、ガイドワイヤ25がこの孔211に挿入されて通り抜ける。ガイドワイヤ25は、予め体腔内に挿入され、このガイドワイヤ25をシース先端部材21に通しながら、超音波カテーテル1が患部まで導かれる。
【0031】
また、充填液入出路部材23およびシース本体22には、シース本体22内に充填される生理的食塩液を外部に流すための孔であるプライミングルーメン221が形成されている。
【0032】
シース2内には、イメージングコア4がシース2の軸方向にスライド可能に内蔵されている。このイメージングコア4は、体腔内組織に向けて超音波を送受信するための振動子ユニット41と、この振動子ユニット41を先端に取り付けるとともに回転させる駆動シャフト42とを備える。振動子ユニット41は、超音波を送受信する超音波振動子411(信号送受信部材)と、超音波振動子411を収納するハウジング412とで構成されている。
【0033】
シース2は、超音波の透過性の高い材料により形成されている。シース2の超音波振動子411が移動する範囲内の部位が、超音波の透過する音響窓部を構成する。超音波は、音響インピーダンスの変化する境界部で反射する性質がある。診断の際、すなわち血管内に超音波カテーテル1を留置した状態では、超音波カテーテル1の周囲は血液(体液)で満たされている。従って、超音波振動子411と診断対象である血管壁の間には、血液と同等の音響インピーダンスを有するもの以外が存在しないように構成する必要がある。なお、音響インピーダンスは、材料中の音響伝搬速度(音速)と材料の密度との積で表される材料固有の定数である。シース2の管腔内には、超音波伝達液として、血液と音響インピーダンスが略一致する生理食塩水が注入される。そのため、シース2を構成する材料も、同等の音響インピーダンスを有する材料であることが必要である。一例として、本実施形態ではシース2の材料にポリエチレンを使用している。
【0034】
駆動シャフト42は、柔軟で、しかも操作部3(図2参照)において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性をもち、たとえば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が回転し、血管および脈管などの体腔内の患部を360度観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号を操作部3に伝送するための信号線54が内部に通されている。
【0035】
操作部3は、図2に示すように、エア抜きのための生理的食塩液を注入するポート311を有するハブ31と、内管312を介してハブ31と接続されるユニットコネクタ32と、外管331を介してユニットコネクタ32に接続されるとともにシース2と操作部3とを接続する中継コネクタ33とを有する。
【0036】
ハブ31は、駆動シャフト42および内管312を保持する。内管312がユニットコネクタ32および外管331に押し込まれ、または引き出されることによって、駆動シャフト42が連動してシース2内を軸方向にスライドする。
【0037】
内管312を最も押し込んだときには、図2に示すように、内管312は、シース側の端部が外管331のシース側端部付近、すなわち、中継コネクタ33付近まで到達する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、シース2のシース本体22の先端付近に位置する。
【0038】
また、内管312を最も引き出したときには、図4に示すように、内管312は、先端に形成されたストッパー313がユニットコネクタ32の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、シース2を残したままその内部を引き戻されている。振動子ユニット41が回転しながら移動することによって、血管および脈管などの断層画像を作成することができる。
【0039】
次に、超音波カテーテル1の各部の具体的な構造を説明する。
【0040】
図5に示すように、ハブ31は、ジョイント50と、雄コネクタ51と、ロータ52と、接続パイプ53と、信号線54と、ハブ本体55と、シール部材56と、耐キンクプロテクタ57とを有する。
【0041】
ジョイント50は、超音波カテーテル1の使用者手元側に開口部501を有し、雄コネクタ51およびロータ52を内部に配置する。雄コネクタ51は、ジョイント50の開口部501側から外部駆動装置7(図1参照)が有する雌コネクタ711に連結可能であり、これにより、外部駆動装置7と雄コネクタ51とが機械的および電気的に連結される。
【0042】
ロータ52は、接続パイプ53を回転不能に保持しており、雄コネクタ51と一体的に回転する。接続パイプ53は、ロータ52の回転を駆動シャフト42に伝達するために、ロータ52側と反対の端部で駆動シャフト42を保持する。接続パイプ53の内部には信号線54が通されており、この信号線54は、一端を雄コネクタ51に、他端を駆動シャフト42内を通り抜けて振動子ユニット41に接続されている。振動子ユニット41における観察結果は、雄コネクタ51を介して外部駆動装置7に送信され、適当な処理を施され、画像として表示される。
【0043】
ハブ本体55は、ポート311から生理的食塩液を注入され、この生理的食塩液を外部に漏らすことなく、内管312内に導入する。なお、ハブ本体55とジョイント50との間には、Oリング58を含むシール部材56が設置されるので、生理的食塩液がジョイント50の開口部501側に漏れ出すことがない。
【0044】
ハブ本体55には、内管312の一部が嵌挿され、内管312およびハブ本体55の周囲に耐キンクプロテクタ57が配置される。
【0045】
ユニットコネクタ32は、図6に示すように、ユニットコネクタ本体61と、封止部材62と、カバー部材63と、パッキン64とを有する。
【0046】
ユニットコネクタ本体61は、中継コネクタ33に取り付けられた外管331が挿入され、この外管331の内部にハブ31から伸びた内管312が挿入される。封止部材62は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさってパッキン64を保持し、カバー部材63は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさって外管331を保持する。ユニットコネクタ本体61および封止部材62間には、パッキン64が封止されているので、ハブ31のポート311に供給される生理的食塩液が内管312を通って外管331内に流入しても、ユニットコネクタ32の外部に漏れない。
【0047】
また、ハブ31から伸びる内管312は、先端にストッパー313が形成されているので、ハブ31を最も引っ張ったとき、すなわち、内管312を外管331から最も引き出したときでも、ストッパー313がユニットコネクタ本体61の内壁に引っ掛かってユニットコネクタ32から内管312が抜けてしまうようなことがない。
【0048】
中継コネクタ33は、外管保持部65と、中継コネクタ本体66とを有する。外管保持部65は、外管331を保持する。また、外管保持部65の内面には、シース2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42および生理的食塩液をシース2に導入する経路が形成されている。この経路内には、さらに複数の管を挿入して、駆動シャフト42の座屈および生理的食塩液の漏洩などを防止することもできる。
【0049】
外管保持部65の駆動シャフト42が通り抜ける出口部材332の内壁には、保護管67が固定されている。この保護管67は、ハブ31から伸びる内管312内に向かって伸び、駆動シャフト42と内管312との間に配置される。したがって、外管331に内管312が押し込まれるときには、その押し込みの向きと反対向きに内管312に保護管67が押し込まれていくことになる。外管331に内管312が押し込まれたり引き出されたりする際に、反対方向から保護管67も内管312に相対的に押し込まれたり引き出されたりするので、内管312に接触して摩擦が起こり駆動シャフト42に撓む力が発生しても、保護管67によって撓む力を抑制し、折れ曲がりなどを防止することができる。なお、保護管67は、金属の疎巻きコイル状の管体で形成されており、このため、生理的食塩液がコイルの隙間から流れ込めるので、外管331内に空気が残留するようなことがない。
【0050】
次に、外部駆動装置7について詳述する。
【0051】
外部駆動装置7は、図1に示すように、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナー装置71と、スキャナー装置71を把持しモータ等により軸方向へ移動させる軸方向移動装置72と、シリンジポンプ73(媒体供給手段)と、信号処理装置79(制御部)と、振動子ユニット41によって得られた画像を表示する表示部74とを備えている。
【0052】
スキャナー装置71には、スキャナー装置71を駆動操作するためのスキャナー制御装置76が設けられ、軸方向移動装置72には、軸方向移動装置72を駆動制御するための軸方向移動制御装置77が設けられ、シリンジポンプ73には、シリンジポンプ73を駆動制御するためのポンプ制御装置78が設けられる。信号処理装置79は、これらスキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78を統括して制御する。すなわち、信号処理装置79は、スキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78から信号を受信するとともに、スキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78へ指令信号を送信して、これらを同期して制御することができる。信号処理装置79は、例えばPCやEWS(エンジニアリングワークステーション)等のコンピュータであるが、演算処理が可能な専用装置であってもよい。
【0053】
スキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78の各々は、図1ではスキャナー装置71、軸方向移動装置72およびシリンジポンプ73と別体で構成されているが、これらの内部に構成されてもよい。または、スキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78の一部が、信号処理装置79の内部に構成されてもよい。また、スキャナー制御装置76、軸方向移動制御装置77およびポンプ制御装置78の2つ以上が、同一の装置で構成されてもよい。
【0054】
軸方向移動装置72は、スキャナー装置71を把持固定するスキャナー把持部721と、プルバックの際にシース2がずれないように支えるシース支持部722とを備えている。
【0055】
シリンジポンプ73は、本実施形態では軸方向移動装置72と一体的に構成されており、内部に生理的食塩水(伝達媒体)を収納している筒状のシリンジ731と、シリンジ731を固定するシリンジ固定部732と、シリンジ731の内部に入り込むプランジャ733と、プランジャ733を押圧する押圧部734と、押圧部734を駆動するモータ等の駆動源(不図示)とを備えている。シリンジポンプ73と軸方向移動装置72とが一体的に構成されることで、装置が省スペースに纏まり、作業性が向上される。
【0056】
スキャナー装置71は、超音波カテーテル1の雄コネクタ51が接続可能な雌コネクタ711を有し、当該接続によって、振動子ユニット41との間で信号の送受信が可能となると同時に、駆動シャフト42を回転させることが可能となる。
【0057】
超音波カテーテル1における超音波の走査(スキャン)は、スキャナー装置71内のモータの回転運動を駆動シャフト42に伝達し、駆動シャフト42の先端に固定されたハウジング412を回転させることによって、ハウジング412に設けられた超音波振動子411で送受信される超音波を略径方向に走査することによって行われる。ここで得られる超音波画像は、血管内の横断面像である。また、超音波カテーテル1全体を手元側へ引っ張り、イメージングコア4を長手方向に移動させることによって、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0058】
次に、本発明の体腔内を観察するときの超音波カテーテル1および外部駆動装置7の動作について説明する。
【0059】
超音波カテーテル1のシース2を体腔内に挿入する前には、当該超音波カテーテル1内を生理的食塩液で満たすプライミング操作を行う。このプライミング操作を行うことによって、超音波カテーテル1内の空気を除去し、血管などの体腔内に空気が入り込むことを防止することできる。
【0060】
プライミング操作を行うために、図1に示すように、シリンジポンプ73にシリンジ731を設置してシリンジ固定部732で固定する。また、超音波カテーテル1の雄コネクタ51(図5参照)を外部駆動装置7の雌コネクタ711に接続して、ユニットコネクタ本体61を外部駆動装置7のシース支持部722に連結する。更に、ハブ31のポート311とシリンジ731の間を連結チューブ735によって連通させる。
【0061】
次に、ハブ31を使用者の手元側に最も引っ張った状態、すなわち、外管331から内管312が最も引き出された状態で、ポンプ制御装置78によりシリンジポンプ73を作動させてプランジャ733を押圧部734で押圧し、連結チューブ735を介してポート311へ生理的食塩液を注入する。注入された生理的食塩液は、ハブ31から順にシース2内まで充填されていく。超音波カテーテル1内が完全に生理的食塩液で満たされると、シース2の充填液入出路部材23(図3参照)に形成されたプライミングルーメン221から生理的食塩液が抜ける。これにより、生理的食塩液の充填が確認される。
【0062】
プライミングにおけるシリンジポンプ73の作動および停止は、ポンプ制御装置78またはシリンジポンプ73に設けられる作動ボタンを押すことで容易に可能となっており、作業性が向上されている。なお、超音波カテーテル1を外部駆動装置7に連結する前にプライミングを行い、プライミングの後に超音波カテーテル1を外部駆動装置7に連結してもよい。
【0063】
次に、ハブ31を押し込み、外管331に内管312が最も押し込まれた状態とする(図1参照)。この状態で、シース2を体内に挿入していき、シース2の先端が患部を越えてから挿入を止める。
【0064】
次に、図7に示すように、軸方向移動装置72を作動させて、ハブ31を手元側に引きながら振動子ユニット41を軸方向に移動させ、振動子ユニット41により、シース2の音響窓部を介して患部の前後に渡る範囲を観察する。
【0065】
ハブ31を手元側に引くと、図8に示すように、外管331の内部から内管312が引き出され、外管331内の生理的食塩水で満たされる領域の体積が増加する。外管331内における体積の増加量Aは、プルバック距離(引き込み距離)をX、内管312の外径Dに対応する単位長さ当たりの体積をB、駆動シャフト42および内部の信号線54の単位長さ当たりの合計体積をCとすると、体積増加量A=(B−C)×Xで表すことができる。また、シース2内においても、駆動シャフト42および信号線54が引き出されることで、駆動シャフト42および信号線54のプルバック距離Xの分の体積増加量E=C×Xが増加する。したがって、超音波カテーテル1内における生理的食塩水およびプライミングルーメン221より流入した血液で満たされる領域(媒体領域)の体積増加量FはA+Eであるため、媒体領域の体積増加量F=B×Xで表される。
【0066】
プルバックによって媒体領域の体積が増加すると、ポート311から新たな生理的食塩液が供給されない場合、シース本体22の先端のプライミングルーメン221から、血液がシース本体22の内部に流入することになる。シース本体22の内径は、内管312の外径Dよりも小さいため、血液が先端側から流入する長さはプルバック距離Xよりも長くなる。このため、シース本体22内でプルバック距離Xだけ引き戻される振動子ユニット41および駆動シャフト42の位置まで、流入した血液が達することになる。振動子ユニット41が血液で覆われると、生理的食塩水で覆われている場合と比較して超音波の減衰が大きくなり、表示部74に表示される画像が劣化する。
【0067】
また、振動子ユニット41および駆動シャフト42にまで血液が達すると、一旦プルバックさせたスキャナー装置71を再び前方へ移動させる(プッシュフォワード(push forward)させる)際に、血液の粘度が生理的食塩水よりも高いために振動子ユニット41が先端側へ移動し難くなる。これにより、駆動シャフト42や信号線が断線したり、外管331内からシース本体22内へ入り込めない駆動シャフトが外管331内で滞留することで、外管331内で駆動シャフトを覆う保護管67がトグロ状に巻回する等の現象が発生する可能性がある。このような現象の発生を防止するためには、駆動シャフト42を回転させながらプッシュフォワードを行う必要がある。
【0068】
これに対し、本実施形態では、図9に示すフローチャートの通り、プルバックによる媒体領域の体積増加量Fに応じて、体積増加量Fと同体積または同体積以上の生理的食塩水をポート311から供給する。
【0069】
すなわち、予め設定されたプルバック速度(またはいずれかの制御装置に改めて入力されたプルバック速度)に応じて、信号処理装置79が、シリンジポンプ73の流量を算出する(ステップS101)。または、算出するのではなく、信号処理装置79に格納されたデータから読み出してもよい。
【0070】
シリンジポンプ73の流量(単位時間当たりの体積移動量)は、プルバックによる媒体領域の体積増加速度(単位時間当たりの体積増加量Fの変化量)以上であることが好ましい。プルバック速度は一定とは限らないため、プルバック速度の変化に応じたシリンジポンプ73の流量の時間変化を算出もしくは読み出すことが望ましい。なお、シリンジポンプ73の流量を超音波診断の画像計測の前に予め算出するのではなく、画像計測中に、プルバック速度からシリンジポンプ73の流量を信号処理装置79によって逐次算出しつつ、シリンジポンプ73からの流量を制御してもよい。
【0071】
次に、信号処理装置79は、スキャナー制御装置76へ指令信号を送信してスキャナー装置71による超音波計測を開始させ(ステップS102)、軸方向移動制御装置77へも指令信号を送信して軸方向移動装置72によるスキャナー装置71のプルバックを開始させる(ステップS103)。なお、ステップS102とステップS103は、順序が入れ替わってもよい。
【0072】
この後、信号処理装置79によりシリンジポンプ73を軸方向移動装置72のプルバック速度と同期させつつ制御し、シリンジポンプ73の流量を調整する(ステップS104)。したがって、シリンジポンプ73からの生理的食塩水の供給量が、常にプルバックによる媒体領域の体積増加量F以上となり、プライミングルーメン221からシース本体22内部への血液の流入が抑制され、血液による超音波の減衰を抑えて良好な画像を表示し、プッシュフォワードの際の断線等の発生も抑制できる。
【0073】
この後、軸方向移動装置72によるプルバックが予め設定された指定距離に達するか、若しくは指定時間経過すると、信号処理装置79はプルバックが終了したと判断し(ステップS105)、軸方向移動装置72およびシリンジポンプ73を停止させる(ステップS106)。この後、信号処理装置79は、スキャナー装置71による超音波診断計測を停止させる(ステップS107)。
【0074】
また、信号処理装置79では、超音波計測が開始されると、図9に示す処理と並列して、図10に示すフラッシング処理を行うこともできる。
【0075】
シース2内には、生体へは影響ない程度の微小な気泡が存在し、計測の際に気泡が振動子ユニット41に付着(エアートラップ)すると超音波が伝播しなくなり、振動子ユニット41で計測される信号が微弱となって画像を取得できなくなる。このようなエアートラップが発生した場合に、自動でシリンジポンプ73を作動させてフラッシング処理を行うことで、生理的食塩水により気泡を振動子ユニット41から取り除く(フラッシング)することができる。
【0076】
まず、信号処理装置79は、振動子ユニット41で計測されて受信した信号波形の振幅を、予め設定された閾値と比較する(ステップS201)。閾値は、予め行われる実験や解析から決定される。計測される信号が閾値よりも小さくない場合には、エアートラップは発生していないと判別し、ステップS205へ移行する。ステップS205では、超音波計測が終了している場合には処理を終了する。超音波計測が終了していない場合には、ステップS201へ戻り、ステップS201の処理が繰り返される。
【0077】
ステップS201にて計測される信号が閾値よりも小さい場合には、信号処理装置79は、エアートラップが発生したと判別し、ポンプ制御装置78へ指令信号を送信して、シリンジポンプ73を予め設定された流量(または圧力)でフラッシングを開始させるように制御する(ステップS202)。このとき、プルバック速度に応じた流量が図9に示す処理により既にシリンダ731から供給されているが、エアートラップが発生したと判断されると、プルバックに応じた媒体領域の体積増加速度よりも大流量の生理的食塩水が、シリンジポンプ73からポート311へ供給されることになる。
【0078】
なお、振動子ユニット41で計測される信号の程度から、フラッシングのためのシリンジポンプ73の流量(または圧力)を決定してもよい。
【0079】
振動子ユニット41で計測される信号が閾値を超えると、エアートラップが解消したと判別し(ステップS203)、シリンジポンプ73を制御してフラッシングを停止させる(ステップS204)。また、フラッシング中であっても、超音波計測が終了した場合には(ステップS203)、シリンジポンプ73を停止させる(ステップS204)。
【0080】
この後、超音波計測が終了している場合には処理を終了し、超音波計測が終了していない場合には、ステップS201へ戻る(ステップS205)。
【0081】
なお、フラッシング処理において、振動子ユニット41で計測される信号が閾値を超えることでエアートラップが解消したと判別する(ステップS204)のではなく、一定時間経過するまでフラッシングを行う構成とすることもできる。また、図9に示すプルバックに伴う流量の制御処理を行わずに、図10に示すフラッシング処理のみを行うこともできる。
【0082】
このような気泡を除去するフラッシングには、通常、ある程度の流量(圧力)が必要である。したがって、シリンジポンプを用いずに手動でシリンジを押圧するとなると、手動では大口径のシリンジでは高流量(高圧力)を発生させることが困難であることから、小口径のシリンジを使用する必要がある。しかしながら、小口径のシリンジでは、収容できる液体の体積が小さいため、大口径のシリンジも併用して使用することが望ましく、装置が煩雑となる。
【0083】
これに対し、本実施形態では、シリンジポンプ73を用いているため、大口径のシリンジ731のみ用いて、手動の場合よりも高流量(高圧力)を高精度に発生させることが可能であり、フラッシング能力を向上させ、かつ作業性をも向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、エアートラップの発生を閾値により判別してフラッシングを自動で行っているが、ポンプ制御装置78またはシリンジポンプ73に設けられるボタン781(図1参照)等の押すことで、シリンジポンプ73を作動させてフラッシングを行う構成とすることもできる。
【0085】
また、本実施形態では、シリンジ731がシリンジポンプ73に固定されているため、図1,7に示すように、プルバックおよびプッシュフォワードにおける連結チューブ735の移動が限られた範囲内に制限され、連結チューブ735がスキャナー装置71と引っ掛る現象が生じ難くなり、スキャナー装置71をプルバックできなくなる現象の発生を抑制できる。
【0086】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る生体内診断装置は、図11に示すように、外部駆動装置8のシリンジポンプ83が、軸方向に移動するスキャナー把持部721(軸方向移動部)に固定されている点でのみ、第1実施形態に係る生体内診断装置と異なる。また、シリンジポンプ83は、スキャナー把持部721ではなく、スキャナー装置71(軸方向移動部)に固定されてもよい。なお、他の構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0087】
第2実施形態に係る生体内診断装置は、シリンジポンプ83が、プルバックおよびプッシュフォワードの際に軸方向に移動するスキャナー把持部721に固定されているため、図11,12に示すように、シリンジポンプ83も移動する。したがって、プルバックおよびプッシュフォワードの際に、超音波カテーテル1のポート311とシリンジ731の距離が変わらないため連結チューブ735が変形せず、連結チューブ735がスキャナー装置71と引っ掛る現象がより生じ難くなり、スキャナー装置71をプルバックできなくなる現象の発生をより確実に抑制できる。
【0088】
<第3の実施の形態>
図13に示す第3の実施の形態に係る生体内診断装置は、外部駆動装置9のシリンジポンプ93が、軸方向移動装置92の駆動源から直接駆動力を得て作動する点で、第1実施形態に係る生体内診断装置と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を奏する部位には第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0089】
一体的に構成される軸方向移動装置92およびシリンジポンプ93の内部には、第1実施形態に係る構成に加え、図13,14に示すように、軸方向移動装置92の駆動力をシリンジポンプ93へ伝える動力伝達手段100が設けられる。動力伝達手段100は、ラチェット機構を備え、軸方向移動装置92の駆動力が入力される入力軸921に固定された入力回転部110と、入力軸921と同軸で回転可能な出力回転部120とを有している。
【0090】
入力回転部110には、半径外側方向へバネ111により付勢される爪112が周方向に複数(本実施形態では2つ)設けられている。出力回転部120には、内周面に爪112と噛合うラチェット歯121が形成されている。出力回転部120は、同軸の出力歯車123と固定されており、出力歯車123が、シリンジポンプ93の押圧部734に連結されるラック124と噛み合っている。
【0091】
スキャナー把持部721をプルバックするために軸方向移動装置92の駆動源が作動すると、入力回転部110が、図13における時計回りに回転する。このとき、入力回転部110の爪112が出力回転部120のラチェット歯121と噛み合い、出力回転部120とともに出力歯車123が回転し、出力歯車123と噛み合うラック124が移動してシリンジポンプ93から生理的食塩水が供給される。この際に、プルバックによる媒体領域の体積増加量Fと同体積または同体積以上の生理的食塩水がポート311から供給されるように、動力伝達手段100が設計されることが望ましい。
【0092】
また、スキャナー把持部721がプッシュフォワードする際には、入力回転部110が、図13における反時計回りに回転し、爪112がラチェット歯121と噛み合わずに入力回転部110が空転する。このため、出力回転部120には動力が伝わらずに回転せず、シリンジポンプ93の押圧部734が後退することはない。したがって、プッシュフォワード後も押圧部734がプランジャ733から離れず、シリンジポンプ93を再び制御することが可能である。なお、一方向にのみ回転力を伝える動力伝達手段100の構造は一例に過ぎず、他の構造を適用することもできる。例えば、動力伝達手段は、軸方向移動装置92の駆動源からの動力を機械的にシリンジポンプ93へ伝達できるのであれば、駆動源から直接駆動力を得なくてもよく、軸方向移動するスキャナー把持部721の移動力から動力を得てもよい。
【0093】
第3実施形態に係る生体内診断装置は、軸方向移動装置92の駆動源によってシリンジポンプ93を作動させるため、シリンジポンプ93による生理的食塩水の供給を軸方向移動装置92のプルバックと機械的に同期させることができる。このとき、シリンジポンプ93は、軸方向移動制御装置77により制御されていることになるため、軸方向移動制御装置77がポンプ制御装置としての機能も果たしている。したがって、図13に示すポンプ制御装置78は必ずしも設けられなくてもよいが、ポンプ制御装置78が設けられることで、上述したフラッシング等の他の処理も実施することができる。
【0094】
なお、押圧部734が後退しても、プランジャ733が押圧部734とともに後退しない構造(流出した生理的食塩水がシリンジ内へ戻らない構造)となっていれば、必ずしも、一方向にのみ回転力を伝える動力伝達手段100が設けられなくてもよい。
【0095】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、上記実施の形態では、本発明を超音波カテーテルに適用する場合について説明したが、他の診断用カテーテルに適用することもできる。たとえば、光干渉トモグラフィー(OCT)を利用した診断用カテーテルに適用することができる。OCTでは、生体に測定光を入射し、生体内で散乱、吸収、あるいは反射、屈折して戻った光に基づいて、生体を観察することができる。
【0096】
また、媒体供給手段はシリンジポンプに限定されず、媒体の流量または圧力を制御可能であり、生体の安全性が確保できるのであれば、他の構造のポンプを使用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 超音波カテーテル(生体内挿入プローブ)、
2 シース、
7,8,9 外部駆動装置、
42 駆動シャフト、
71 スキャナー装置、
72,92 軸方向移動装置、
73,83,93 シリンジポンプ(媒体供給手段)、
76 スキャナー制御装置、
77 軸方向移動制御装置、
78 ポンプ制御装置、
79 信号処理装置(制御部)、
100 動力伝達手段、
411 超音波振動子(信号送受信部材)、
731 シリンジ、
734 押圧部、
735 連結チューブ、
F 体積増加量、
X プルバック距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入されるシースと、信号を送受信する信号送受信部材を先端に有して前記シース内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフトと、を有する生体内挿入プローブと接続し、前記信号送受信部材との間で信号を送受信して生体内の情報を取得するとともに前記駆動シャフトを前記シース内で移動させるための生体内診断装置であって、
前記駆動シャフトを軸方向に移動させる軸方向移動装置と、
前記生体内挿入プローブ内へ伝達媒体を供給する媒体供給手段と、
前記媒体供給手段を制御し、前記信号送受信部材からの信号波形または前記駆動シャフトの軸方向移動量に応じて伝達媒体の供給量を調整する制御部と、を有する生体内診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動シャフトの基端側への軸方向移動に伴う前記生体内挿入プローブ内の媒体領域の体積増加速度以上の流量で伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段を制御する、請求項1に記載の生体内診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記信号送受信部材からの信号波形の振幅が予め設定された閾値よりも小さい場合に伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段を制御する、請求項1または2に記載の生体内診断装置。
【請求項4】
前記媒体供給手段は、前記軸方向移動装置と一体的に形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体内診断装置。
【請求項5】
前記媒体供給手段は、前記生体内挿入プローブと接続されて軸方向移動する軸方向移動部に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体内診断装置。
【請求項6】
前記軸方向移動装置から動力を機械的に前記媒体供給手段へ伝達する動力伝達手段を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体内診断装置。
【請求項7】
生体内に挿入されるシースと、信号を送受信する信号送受信部材を先端に有して前記シース内で軸回転および軸方向移動が可能な駆動シャフトと、を有する生体内挿入プローブと接続し、前記信号送受信部材との間で信号を送受信して生体内の情報を取得するとともに前記駆動シャフトを前記シース内で移動させるための生体内診断装置の制御方法であって、前記信号送受信部材からの信号波形または前記駆動シャフトの軸方向移動量に応じて、前記生体内挿入プローブ内へ伝達媒体を供給する媒体供給手段からの伝達媒体の供給量を制御部により自動調整する生体内診断装置の制御方法。
【請求項8】
前記軸方向移動装置を駆動させる際に、前記駆動シャフトの基端側への軸方向移動に伴う前記生体内挿入プローブ内の媒体領域の体積増加速度を制御部にて算出または制御部に格納されたデータから読み出し、前記制御部から、前記体積増加速度以上の流量で伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段へ指令信号を送信する請求項7に記載の生体内診断装置の制御方法。
【請求項9】
前記信号送受信部材から制御部へ送信された信号波形の振幅を、制御部にて予め設定された閾値と比較し、閾値よりも低い場合に、前記制御部から、伝達媒体を供給するように前記媒体供給手段へ指令信号を送信する請求項7または8に記載の生体内診断装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−152274(P2011−152274A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15652(P2010−15652)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】