説明

生体情報収集装置

【課題】被験対象からの微小振動でなる生体情報を収集しようとする。
【解決手段】載置構造体の脚部2から伝達されて来る被験対象及び載置構造体の重量荷重を荷重支持用弾性部材25によってベース部材21に支持すると共に、脚部2から伝達されて来る微小振動を振動伝達弾性部材32を介してベース部材に振動自在に設けられた圧電素子板31に伝達するようにしたことにより、大きな重量荷重に含まれて伝達されて来る微小な振動に基づく生体情報を、圧電素子板31から鮮明にかつ確実に収集することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生成情報収集装置に関し、特にベッド又は椅子などを使用している被験対象の心拍数や、呼吸数や、咳及びいびきなどの体動を表す生体情報を収集する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
病院や、介護施設などでベッドで寝起きしたり、椅子などに座ったり載ったりしている人及びその他の動物(これを被験対象と言う)を観察する手法として、従来特許文献1〜4に記載された生体情報収集装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3242631号公報
【特許文献2】特許第3364474号公報
【特許文献3】特許第4101765号公報
【特許文献4】特許第4411580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、空気袋を用いたものであるが、被験者の体が空気袋から外れたり、横になった場合には検知できないと問題がある。
【0005】
この問題を解決する手段として、特許文献2及び3には、ベッドの足下に配置した密閉型の空気式生体センサが提案されているが、空気気密状態を維持しなければならないことや、センサの原信号レベルがセンサ部の投影面積に依存するために小型化が困難なことや、キャスタなどが付属されたベッドに使用することが困難な問題がある。
【0006】
また特許文献4のものは、ベッド及び被験者の重量荷重を高い弾性係数を有する弾性材によって支持しなければならないために、呼吸などの極く低い周波数の振動成分を検知することが困難な問題がある。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、被験者の生体情報を広い周波数範囲に亘って確実に収集できるようにした生体情報収集装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、ベース部材21とベース部材21に装着され、被験対象を載せた載置構造部の脚部2の下端部から、当該脚部2を伝達して来る被験対象及び載置構造部の重量荷重並びに被験対象が発生する微小振動を受けて、重量荷重をベース部材21との間に支持する荷重支持用弾性部材28と、脚部2の下端部から微小振動を受けて、ベース部材21に振動自在に設けられた圧電素子板31に伝達する振動伝達部材32とを具え、圧電素子板31から微小振動に応じた生体情報信号を送出するようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、載置構造部の脚部から伝達されて来る被験対象及び載置構造部の重量荷重を荷重支持用弾性部材によってベース部材に支持すると共に、脚部から伝達されて来る微小振動を振動伝達部材を介してベース部材に振動自在に設けられた圧電素子板に伝達するようにしたことにより、大きな重量荷重に含まれて伝達されて来る微小な振動に基づく生体情報を、圧電素子板から鮮明にかつ確実に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】キャスタ付きのベッド脚に適用した場合の生体情報収集装置を示す側面図である。
【図2】図1の情報処理部の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図1の生体情報収集構造部の詳細構成を示す縦断面図である。
【図4】収集された生体情報を示す信号波形図である。
【図5】荷重支持用弾性部材28の歪特性を示す特性曲線図である。
【図6】第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図7】第3の実施の形態を示す縦断面図である。
【図8】第4の実施の形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)第1の実施の形態
図1において、1は生体情報収集装置を示し、ベッドのフレームに設けられているベッド脚2及びキャスタ3間を連結する中間保持部材4内に設けられている。
【0013】
この実施の形態の場合、ベッドのフレームに設けられている4本のベッド脚のうちの1本に、生体情報収集装置1が設けられ、これにより当該1本のベッド脚2から伝達されて来る被験対象(すなわちベッドを使用している人)の生体情報を収集する。
【0014】
中間保持部材4は、円板状の中心板部4Aから上方に延長する円筒状連結管部4Bをパイプ状ベッド脚2の中心孔に摺動自在に挿入して取付ボルト5によってベッド脚2に対して上下方向に摺動できるように係止されている。
【0015】
また中心板部4Aから下方に円筒状の連結管部4Cが延長しており、その中心孔に下方からキャスタ3のキャスタ軸3Aを摺動自在に挿入した状態において、取付ボルト6によって上下方向に摺動できるように係止されている。
【0016】
かくして中間保持部材4は、ベッド脚2の中心軸線L1上において、ベッド脚2に対してキャスタ軸3Aを上下方向に揺動自在に連結することにより、そのベッド脚2が取り付けられているベッド全体の重量荷重を、生体情報収集装置1を介してキャスタ軸3Aに伝達することにより、当該ベッド脚2から与えられる重量荷重に含まれている生体情報を生体情報収集装置1において収集するようになされている。
【0017】
この実施の形態の場合、中間保持部材4の内周面には、キャスタ軸3Aの外表面と対向するように、ゲル状シリコン材料(又はゴム材料)でなる円筒状の緩衝部材8が設けられている。
【0018】
この緩衝部材8は、中心軸線L1上に配設されているキャスタ軸3Aの下端部に対してキャスタ3が偏心した位置に取り付けられていることにより、ベッド軸2とキャスタ軸3Aとの間に生ずる傾きに基づいてキャスタ軸3Aから中間保持部材4に対して側圧が生ずるのに対して、当該側圧を緩衝するように支持することによってベッド脚2から圧電素子板31への微小振動の伝達を確保する。
【0019】
生体情報収集装置1は、図2に示すように、生体情報処理回路11を搭載する回路基板からなる情報処理部1Bを有し、当該情報処理部1Bから生体情報S1を外部に送出する。
【0020】
生体情報収集装置1は、図3に示す生体情報収集構造部1Aを有し、中間保持部材4の中心板部4Aの直下の連結管部4Cに嵌め込まれる鋼性をもつ金属材料でなる円柱状のベース部材21を有する。
【0021】
ベース部材21の上端部には、大きい直径の円形空間でなる第1の弾性材収納室22が形成されていると共に、その直下に、直径が少しずつ小さくなる2段の円形空間でなる第2の弾性材収納部23及び24が順次連接するように形成される。
【0022】
かくして第1の弾性材収納室22並びに第2の弾性材収納室23及び24の境界位置に円環状の段部25が形成されると共に、第2の弾性材収納室23及び24の円形空間の境界位置に円環状の段部26が形成される。
【0023】
第1の弾性材収納室22における段部25上には、円環状の上側座金27が嵌め込まれていると共に、当該座金27の上面に皿ばねでなる荷重支持用弾性部材28が配設されている。
【0024】
荷重支持用弾性部材28は大きいばね定数を有し、これにより中心板部4Aに対してベッド脚2から大きい重量荷重が与えられたとき、当該大きい重量荷重を支持しながら座金27からベース部材21に伝達するようになされている。
【0025】
段部26上には、銅板でなる台板31Aの下面にピエゾ素子31Bを設けてなる圧電素子板31が設けられ、中心軸線L1を中心とする位置に円環状の振動伝達弾性部材32が設けられている。
【0026】
振動伝達弾性部材32上の中心線L1の位置には、下方突出部を中心孔に嵌め込むように、半球状の鋼体でなる上側接触子33が設けられ、当該上側接触子33の上端面が中間保持部材4の中心板部4Aの下面に接触する状態に保持されている。
【0027】
振動伝達弾性部材32は、小さいばね定数を有するシリコンゴム材料でなるクッション材で構成され、これによりベッド脚2から中心板部4Aに被験対象の生体情報を含む振動が伝達して来たとき、この生体情報振動を、中心板部4Aの下面から上側接触子33を介して振動伝達弾性部材32の上面に伝達することにより、当該振動伝達弾性部材32の伝達特性に応じた振動成分を圧電素子板31に伝達する。
【0028】
この結果圧電素子板31のピエゾ素子31Bに得られる圧電変換出力は、情報処理部1Bの生体情報処理回路11(図2)に導出される。
【0029】
ベース部材21の第2の弾性材収納室24の直下には、当該円形空間の直径に対して順次直径が大きくなる連結円形空間41及び42が穿設され、かくしてベース部材21の下端面に形成された円形空間42に下方から嵌め込まれた下側座金43とキャスタ軸3Aとの間に鋼体でなる下側接触子44が配設されている。
【0030】
かくして、荷重支持用弾性部材28及び上側座金27を介してベース部材31の段部25に与えられたベッド脚20からの重量荷重が、下側座金43及び下側接触子44を介してキャスタ軸3Aに伝達し、その結果ベッド脚2が取り付けられたベッドフレームの重量荷重をキャスタ軸3Aを介してキャスタ3によって支持するようになされている。
【0031】
図3の生体情報収集構造部1Aの構成によれば、被験対象を載せる載置構造部となるベッドフレーム上の被験対象の挙動を含めて、ベッド脚2に与えられる重量負荷及び振動が、ベッド脚2とキャスタ軸3Aとの間に上下方向に揺動自在に介挿された中間保持部材4に伝達される。
【0032】
伝達して来た重量負荷及び振動のうち、大きな値をもつ重量負荷は中間保持部材4の中心板部4Aから荷重支持用弾性部材28、上側座金27、ベース部材21、下側座金43及び下側接触子44を介してキャスタ軸3Aに伝達される。
【0033】
これに対して当該重量荷重に含まれて伝達して来た被験対象者の生体情報、すなわち体動情報、呼吸情報及び心拍情報を表す微小振動は、中心板部4A、上側接触子33、振動伝達弾性部材32を介して圧電素子板31に伝達される。
【0034】
このとき圧電素子板31に伝達される微小振動成分は、振動伝達子32のばね定数に基づく伝達特性に基づいて、微小振動のうちでも、被験対象の体動に基づく体動振動、被験対象の呼吸に基づく呼吸振動成分及び被験対象の心拍に基づく心拍情報が抽出されて圧電素子板31に伝達される。
【0035】
かくして圧電素子板31の振動に基づいてピエゾ素子31Bに得られた図4(A)に示すような生体情報信号S11が、いわゆる生体信号として、生体情報処理部1Bの生体情報処理回路11に取り込まれる(図2)。
【0036】
この生体情報信号S11は、前段増幅回路51において増幅されてローパスフィルタ52に与えられて、生体情報信号S11に含まれている低周波数成分S12が抽出される。
【0037】
この低周波数成分S12の信号成分は、被験対象のゆっくりした体動を表す周波数成分を含んでおり、体動有無判別回路53は被験対象の体動に基づく信号成分の有無を判別して、体動有無判別信号S21を情報処理部1Bの生体情報S31として送出する。
【0038】
また低周波数成分S12には、1〔Hz〕程度の呼吸振動成分が含まれており、その信号成分をピーク検出回路54において波形整形処理をすることにより、図4(B)に示すような呼吸成分信号S13を抽出して呼吸回数判別回路55に与える。
【0039】
呼吸回数判別回路55は、呼吸成分信号S13に基づいて単位時間当たりの呼吸回数を判別して呼吸回数判別信号S22を情報処理部1Bの生体情報S31として送出する。
【0040】
前段増幅回路51から得られる生体情報信号S11はバンドパスフィルタ56に与えられて、バンドパス周波数成分S14を抽出する。
【0041】
このバンドパスフィルタ56は、生体情報信号S11(図4(A))に含まれる振動成分のうち、図4(C)に示すように、被験対象の心拍(6.6〔Hz〕程度)をバンドパス周波数信号S14として抽出してピーク検出回路57に与える。
【0042】
ピーク検出回路57は、このバンドパス周波数成分S14を波形整形処理をすることにより、図4(D)に示すように、パルス化した心拍成分信号S15に変換して心拍回数判別回路58に与える。
【0043】
心拍回数判別回路58は、心拍成分信号S15に基づいて単位時間当たりの心拍数をカウントして、心拍回数判別信号S23を情報処理部1Bの生体情報S31として送出する。
【0044】
以上の構成によれば、ベッドフレームから被験対象の挙動に基づいて、体動や、咳及びいびきなどの呼吸及び心拍に基づいて生ずる微小振動をベッド脚2を通ってキャスタ3に伝達して来るのをその間に設けた生体情報収集装置1によって検出することができる。
【0045】
かくするにつき、生体情報収集構造部として、ばね定数が大きい荷重支持用弾性部材28によってベッド脚2に付与された大きな重量荷重(被験対象及びそれが載っている載置構造部の重量荷重)をキャスタ軸3Aに伝達するのに対して、当該重量荷重に含まれている微小振動を上側接触子33及び振動伝達弾性部材32を介して圧電素子板31に伝達させるように、振動伝達弾性部材32の伝達特性を生体情報の微小振動に適合するように選定することにより、ベッド脚2に微小振動として伝達されて来る生体情報を鮮明かつ確実に収集することができる。
【0046】
(2)弾性特性の実施例
荷重支持用弾性部材28は、皿ばね上面にあるベッド脚2から伝達される重量荷重をキャスタ軸3Aに伝達すると共に、ベッド脚2から伝達される微小振動を振動伝達弾性部材32を介して圧電素子板31に伝達するため、次のような防振動作をするように構成されている。
【0047】
荷重支持用弾性部材28の弾性体としての第1の機能は、ベッド脚2に伝達される重量荷重として、ベッドの重量及び被験対象の全体重量の和の1/4相当の支持力をもつことが必要で(4本のベッド脚で支持する場合)、この支持力としては、概ね40〜50〔kg〕(最大でも80〔kg〕)程度は必要である。
【0048】
従って荷重支持用弾性部材28を構成する皿ばねは、図5に示すように、この支持力の範囲で線形のばね定数を呈する高鋼性のばねによって構成される。
【0049】
荷重支持用弾性部材28の第2の機能は、防振の際に、振動伝達弾性部材32に伝達すべき周波数成分として、心拍に含まれる調和周波数(30〔Hz〕)の半分以下に共振周波数を設定し、これによりベッド脚2を伝達して来る振動成分を圧電素子板31に、減衰させることなく、変位量を伝えるために必要である。
【0050】
そこで、荷重支持用弾性部材28の固有振動数fnを次式、
【0051】
【数1】

【0052】
によって求める。(1)式において、ばね定数K′を次式、
【0053】
【数2】

【0054】
のように、最大80〔kg〕の重量荷重に基づいて設定する。
【0055】
これに加えて荷重支持用弾性部材28にかかるばね上の重量Wとして、
【0056】
【数3】

【0057】
のように、〔kgf〕を支持力として設定する。
【0058】
かかる設定による荷重支持用弾性部材28の共振周波数fnは次式
【0059】
【数4】

【0060】
のように、ほぼ心拍周波数6.6〔Hz〕になる。
【0061】
この結果、荷重支持用弾性部材28はベッド脚2から伝達して来る振動の中でも、微小で収集し難い心拍周波数周辺の振動を特定して振動伝達部材32に伝達することができる。
【0062】
これに対して、振動伝達弾性部材32に求められる弾性体としての機能は、第1に、荷重支持用弾性部材28から伝達される荷重が直接に圧電素子板31に印加されることを防ぐ弾性係数をもつことである。
【0063】
また第2に、荷重支持用弾性部材28のひずみ量と、振動伝達弾性部材32の寸法校差との和と、振動伝達弾性部材32の圧縮量とによる圧電素子板31への印加圧力が圧力限界値400〔g・cm〕になるような弾性係数に設定する。
【0064】
この圧力限界値400〔g・cm〕の値は、セラミックスで構成されるピエゾ素子31Bを破壊させないための圧力限界値である。
【0065】
実験によれば、硬度が40〜50度以下のシリコンゴムが、この条件に好適であることを確認できた。
【0066】
(3)第2の実施の形態
図6は第2の実施の形態を示すもので、図3との対応部分に同一符号を付して示すように、この実施の形態の生体情報収集装置1のベース部材21は、上側接触子33、振動伝達弾性部材32及び圧電素子板31を設けた第1の弾性材収納室22並びに第2の弾性材収納室23及び24のキャスタ軸3A側において、ベース部材21の底面21Aとの間に、並びに第2の弾性材収納室24より小さい直径を有する円形空間60を形成している。
【0067】
この実施の形態の場合、ベース部材21の底面21Aは床面62上に配設するのに対して、荷重支持用弾性部材28及び上側接触子33の上面に直接に接触させるように、ベッド脚61の底面61Aを載置する。
【0068】
図6の構成において、ベッド脚61の底面61Aに与えられる重量荷重は、荷重支持用弾性部材28、上側座金27及びベース部材21を順次介して床面62によって支持される。
【0069】
このときベッド脚61から伝達される微小振動は、上側接触子33及び振動伝達弾性部材32を介して圧電素子板31に伝達されて生体情報S31として導出される。
【0070】
かくして床面62上に生体情報収集装置1を設置して、これにベッド脚61に載せることにより、ベッド上の被験対象からベッドフレームに伝達された微小振動でなる生体情報を鮮明かつ確実に収集することができる。
【0071】
(4)第3の実施の形態
図7は第3の実施の形態の生体情報収集装置1Yを示すもので、図3との対応部分に同一符号を付して示すように、生体情報収集構造部1YAは、ベッド脚65と床面66との間に設けられる。
【0072】
この実施の形態の場合、荷重支持用弾性部材28は、ベース部材21に形成された大きい直径の第1の弾性材収納室22内に、その直下に連接される小さい直径の第2の弾性材収納室23との間に形成される段部25上に直接に(上側座金27を介さずに)配設されている。
【0073】
また第2の弾性材収納室23及び24に形成された段部26上に配設された圧電素子板31上には、円柱形状の振動伝達弾性部材32が設けられ、その上方端が皿ばねでなる荷重支持用弾性部材28の中心孔28Aから僅かに突出するようになされている。
【0074】
この実施の形態の場合、皿ばねでなる荷重支持用弾性部材28の上端面及び振動伝達弾性部材32の上端面を覆うように、ハット状キャップ部材67が設けられ、その鍔部67Aがベース部材21の円環状上半部と対向しながら上下動できるように配設されている。
【0075】
かくしてキャップ部材67の天板部67Bの下面67Cが荷重支持用弾性部材28及び振動伝達弾性部材32の上面に接触しながら上下動できることにより、キャップ部材67の天板部67Bの上面にベッド脚65の底面65Aを直接に載せることにより、ベッド脚65に伝達されて来る重量負荷と当該重量荷重に含まれて伝達されて来る微小振動でなる生体情報をキャップ部材67に付与できるようになされている。
【0076】
以上の構成において、ベッド脚65から伝達される重量荷重及び微小振動がキャップ部材67に付与されたとき、キャップ部材67の天板部67Bが荷重支持用弾性部材28及びベース部材21を介して重量荷重を床面66に伝達することにより支持する。
【0077】
かかる重量荷重の支持状態において、ベッド脚65から伝達される微小振動でなる生体情報は、キャップ部材67の天板部67B、振動伝達弾性部材32を介して圧電素子板31の台板31Aに伝達し、当該微小振動に対応する生体情報をピエゾ素子31Bから外部に導出することができる。
【0078】
図7の構成によれば、ベッド脚65から伝達される大きな重量荷重を、キャップ部材67、荷重支持用弾性部材28及びベース部材21でなる簡易な構造によって支持できると共に、ベッド脚65から伝達されて来る微小振動をキャップ部材67及び振動伝達弾性部材32を通る簡易な構成によって圧電素子板31に与えることができる。
【0079】
かくして全体として偏平な生体情報収集構造部1YAを構成することができることにより、単純に生体情報収集構造部1YAを床面66に配設した状態でその上にベッド脚65を載せるだけの簡易な操作によって、ベッドフレーム上の被験対象の生体情報を鮮明かつ確実に収集することができる。
【0080】
(5)第4の実施の形態
図8は第4の実施の形態の生体情報収集装置1Zを示すもので、図7との対応部分に同一符号を付して示す。
【0081】
この場合の生体情報収集構造部1ZAは、ベース部材21について、図7において皿ばねでなる荷重支持用弾性部材28を収納していた円形空間でなる第1の弾性材収納室22が省略され、これに代え、ベース部材21の第2の弾性材収納室23の外周縁部に円環状切欠70を形成した構成を有する。
【0082】
この場合、キャップ部材67の鍔部67Aの下面部内周縁には、ベース部材21の円環状切欠70と対向するように円環状切欠71が穿設されたおり、この円環状切欠70及び71によって形成される円環状空間に、Oリング形状でかつ大きいばね定数を有する弾性材料でなる円環状の荷重支持用弾性部材67Zが挿入されている。
【0083】
図8の構成において、ベッド脚65から伝達されて来る重量荷重は、キャップ部材67、荷重支持用弾性部材67Z及びベース部材21を順次介して床面66によって支持される。
【0084】
従ってベッド脚65からキャップ部材67に伝達された微小振動でなる生体情報は、大きな重量荷重の影響を受けずにキャップ部材67の下面67Cから振動伝達弾性部材32に伝達されることにより、圧電素子板31のピエゾ素子37Bから微小振動に対応する生体情報を外部に導出することができる。
【0085】
かくするにつき、荷重支持用弾性部材67Zとして、皿ばね構造に代えてOリング構造のものを用いることによって、その直径方向の弾性特性を利用してベッド脚65から伝達される大きな重量荷重の影響を圧電素子板31に付与させないようにした生体情報収集装置を得ることができる。
【0086】
(6)他の実施の形態
(6−1)上述の実施の形態においては、ベッド脚から伝達されて来る重量荷重及び微小振動に基づいて当該微小振動による生体情報を生成するようにしたが、生体情報の収集対象としては、ベッド脚に限らず、椅子などに座った被験対象など、要するに、被験対象が載ったり、腰かけたりすることにより、被験対象の重量がかかった状態で、被験対象の心拍、呼吸、並びに咳及びいびきなどの体動を表す微小振動が伝達されるような構造体(これを載置構造体と呼ぶ)から、当該微小な振動に基づく生体情報を収集するような場合に、広く適用できる。
【0087】
(6−2)上述の実施の形態においては、被験対象がベッドに載った人の場合について述べたが、被験対象はこれに限らず、人以外の動物であっても、上述の場合と同様にして、微小振動に基づく生体情報の収集をすることができる。
【0088】
(6−3)上述の実施の形態においては、微小振動を伝達する振動伝達弾性部材として、硬度が40〜50度以下のシリコンゴムを適用した場合について述べたが、同程度のばね特性をもつものであれば、その他の弾性材料を用いても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
病院などの施設又は自宅において被験者の生体情報を収集する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1、1X、1Y、1Z……生体情報収集装置、1A、1YA、1ZA……生体情報収集構造部、1B……情報処理部、2……ベッド脚、3……キャスタ、3A……キャスタ軸、4……中間保持部材、5、6……取付ボルト孔、21……ベース部材、22〜24……円形空間、25、26……段部、27……内側座金、28……荷重支持用弾性部材、31……圧電素子板、31A……台板、31B……ピエゾ素子、32……振動伝達弾性部材、33……上側接触子、41、42……円形空間、43……下側座金、44……下側接触子、51……前段増幅回路、52……ローパスフィルタ、53……体動有無判別回路、54……ピーク検出回路、55……呼吸回数判別回路、56……バンドパスフィルタ、57……ピーク回路、58……心拍回数判別回路、61、65……ベッド脚、61A、65A……底面、62、66……床面、67……キャップ部材、67A……鍔部、67B……天板部、67C……下面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
上記ベース部材に装着され、被験対象を載せた載置構造体の脚部の下端部から、当該脚部を伝達して来る上記被験対象及び上記載置構造体の重量荷重並びに上記被験対象が発生する微小振動を受けて、上記重量荷重を上記ベース部材との間に支持する荷重支持用弾性部材と、
上記脚部の下端部から上記微小振動を受けて、上記ベース部材に振動自在に設けられた圧電素子板に伝達する振動伝達弾性部材と
を具え、上記圧電素子板から上記微小振動に応じた生体情報信号を送出する生体情報収集装置。
【請求項2】
上記荷重支持用弾性部材は、上記振動伝達弾性部材より大きい弾性係数と、上記微小振動の振動周波数に相当する共振周波数とを有する
請求項1に記載の生体情報収集装置。
【請求項3】
上記載置構造体はベッド又は椅子で構成され、当該ベッド又は椅子を支持する脚部に組み込まれた
請求項1に記載の生体情報収集装置。
【請求項4】
上記載置構造体の脚部の下端部に対して、上記ベース部材と、回転軸を有するキャスタとを、上下方向に揺動自在に順次重ねるように装着した
請求項1に記載の生体情報収集装置。
【請求項5】
上記キャスタの回転軸は、円筒状中間保持部材の内周面に配設された円筒状緩衝部材内に配設されている
請求項4に記載の生体情報収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65717(P2012−65717A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211019(P2010−211019)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(507398349)株式会社リアルデザイン (7)
【Fターム(参考)】