説明

生体情報検出装置並びに被検者検出方法

【課題】 被検者に装着することが可能なコンパクトかつ軽量で、被検者に負荷を与えることなく被検者の歩幅及び移動距離を自動的に検出することができる生体監視システムを提供できる。
【解決手段】 被検者に直接装着可能な生体情報検出ユニット100の3次元加速度センサ150の検出結果に対応した被検者の標準的な歩幅情報をあらかじめ標準データ登録部120に登録しておき、標準データ登録部120の登録データを参照して被検者が移動したときの加速度センサ150の検出データから自動的に歩幅を求め、被検者の移動距離等を求めることができる生体情報検出装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の装着した加速度センサーよりの検出結果を基に被検者の移動時の歩幅を求めて正確な移動距離を検出可能な生体情報検出装置及び生体情報検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の健康ブームから、歩数計の機能も向上してきており、単に何歩歩いたかを計数するのみの機能から、歩くピッチ等より歩行速度を割り出し、一定以上の速度で歩いた、例えば有酸素運動に該当する運動をした歩数と、ゆっくり歩いた歩数を別途計数して表示したり、これらの歩数から消費カロリーを計算して表示するものが登場してきている。
【0003】
また、特許文献1に記載された発明は、身体に装着した加速度センサにより使用者の走行を検出し、予め設定された歩幅と検出した歩数より走行距離を算出し、算出した走行距離に応じて報知形態を変えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−2230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、歩数は自動的に計数しているが、歩幅はあくまで予め設定する必要があり、単純に設定された歩幅と歩数を乗算した結果が走行距離として蓄積されるのみであった。このため、どうしても走行距離に誤差が生じてしまうほか、歩幅の設定などの面倒な操作が避けられなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来技術の課題を解決することを目的としてなされたもので、一般の人も無理なく使用でき、かつ被検者に負担をかけることなく、正確に走行距離を把握することができる生体情報検出装置及び生体情報検出方法を提供することを目的とする。係る目的を達成する一手段として以下の構成を備える。
【0007】
即ち、被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置であって、被検者の身体の動く状態を検出する加速度センサと、前記加速度センサの検出値と該検出値に対応する前記加速度センサ装着者の標準歩幅情報を記憶する標準データ記憶手段と、前記加速度センサの検出値から被検者の歩数を検出すると共に、前記標準データ記憶手段が記憶する標準歩幅情報に基づいて前記加速度センサ装着者の歩幅を求める歩幅検出手段と、前記歩幅検出手段で検出した歩幅と歩数情報から被検者の走行距離を算出する走行距離算出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
そして例えば、更に前記加速度センサの検出値から被検者の移動状態を判別する被検者状態判別手段を備え、前記標準データ記憶手段は、被検者の移動状態毎の前記標準歩幅情報を記憶し、前記歩幅検出手段は、前記判別手段が判別した状態に対応する前記標準歩幅情報に基づいて歩幅を求めることを特徴とする。
【0009】
また例えば、更に、前記被検者の移動状態には、歩行状態、走行状態が含まれることを特徴とする。あるいは、また。更に、被検者の生体情報を検出可能な生体電極を備え、前記生体電極を用いて被検者の脈拍を検出し、被検者への負荷状況を検知可能であることを特徴とする。
【0010】
または、加速度センサを備える生体情報検出装置を被検者に装着して被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出方法であって、前記加速度センサの検出値に対応する前記加速度センサ装着者の標準歩幅情報を前記生体情報検出装置に登録し、前記加速度センサの検出値から被検者の歩数を検出すると共に、登録されている前記標準歩幅情報に基づいて前記加速度センサ装着者の歩幅を求め、該求めた歩幅と歩数情報とから被検者の走行距離を算出する生体情報検出方法であることを特徴とする。
【0011】
そして例えば、前記標準歩幅情報として、被検者の移動状態毎の前記標準歩幅情報を記憶し、前記加速度センサの検出値から被検者の移動状況を判別し、判別した移動状態に対応する前記標準歩幅情報に基づいて歩幅を求めることを特徴とする生体情報検出方法とする。
【0012】
また例えば、更に、前記被検者の移動状態には、歩行状態、走行状態が含まれることを特徴とする。更に例えば、更に、前記生体情報検出装置は被検者の生体情報を検出可能な生体電極を備え、前記生体電極を用いて被検者の脈拍を検出し、被検者への負荷状況を検知可能であることを特徴とする生体情報検出方法とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクトかつ軽量で、被検者の負荷となることなく、被検者の歩幅を被検者の体動より自動的に検知して、被検者の走行距離を容易かつ誤差少なく認識することができる生体情報検出装置並びに被検者監視システム及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施の形態例の生体監視システムの全体構成を説明するための図である。
【図2】加速度センサ装着者の歩行、走行時の歩幅と加速度センサ検出結果との関連性の測定結果を示す図である。
【0015】
【図3】本実施の形態例の加速度センサの検出結果の例を示す図である。
【図4】図3のAに示す部分の詳細検出例を示す図である。
【図5】図3のBに示す部分の詳細検出例を示す図である。
【0016】
【図6】図3のCに示す部分の詳細検出例を示す図である。
【図7】本実施の形態例の動作制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態例の生体監視システムの全体構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0017】
100 生体情報検出ユニット
110、310 制御部
120 標準データ登録部
130、340 表示部
140 温度センサ
150 3次元加速度センサ
160、360 通信制御部
170 音響出力部
180 電源部
185 電源スイッチ
220 生体電極
300 端末監視装置
320 標準情報管理部
330 更新プログラムダウンロード制御部
350 入力部
370 警報出力部
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する構成要素の相対配置、数値等に何ら限定されるものではなく、特に特定的な記載がない限り本発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨ではない。
【0019】
本発明に係る一実施の形態例は、装着者に過度な負荷を与えることなく、装着者の状態を監視して検出することができる生体監視システムを提供するものである。
【0020】
以下に説明する本実施の形態例では、歩くときなどの歩幅は同一人でも歩行走行の状態により変化する点に着目し、被検者の状態の変化を加速度センサでの検出波形の解析結果より推定することができるか否かについて複数の被検者に本実施の形態例の加速度センサを装着して各歩行走行状態で所定距離移動して貰い、センサ検出波形と歩幅との関連性を調べ、互いに異なる被検者であっても走行状態毎に検出波形パターンが類型化できることを発見した。
【0021】
即ち、後述する加速度センサを複数のサンプル提供者に装着して、歩行状態時・走行状態時など状態を変えて所定距離移動して貰い、各状態時の加速度センサの出力値を検出し、実測値よりの回帰式を求めて加速度センサの検出結果と歩幅との関連性を見いだした。
【0022】
具体的には、検出した加速度データをFFT解析した際に得られる最も振幅の大きな波を加速度センサの検出値とする。歩行走行時の加速度センサの検出値の基本周波数は、左右で一歩ずつを検出する周期であることから、前記した最も振幅の大きな波はこの基本周波数の2倍となる。
【0023】
歩行状態での周波数検出結果を類型化して被検者の状態毎に検出されるであろう加速度センサ検出パターンの範囲を定め、移動した距離からそのときの歩幅を算出した。これにより、速度と距離の時々刻々の変化を容易かつ確実に把握することができる。
【0024】
更に、生体電極を装備して生体の循環系の状態を検出可能とすることにより、時々刻々の消費エネルギー変動、心拍数変動の状態を得る事ができる。
〔第1の実施の形態例〕
【0025】
以下、図1を参照して本実施の形態例の生体監視システムの詳細構成を説明する。第1の実施の形態例では後述する標準歩幅情報として被検者の体格や移動状態にかかわらず共通の標準情報を使用している。
図1は本発明に係る第1の実施の形態例の生体監視システムの全体構成を説明するための図である。
【0026】
なお、図1においては、例えば合成樹脂ケース内に収納されている生体情報検出ユニット100は一つのみ記載されているが、生体情報処理装置300は複数の生体情報検出ユニットとの間で必要な情報の授受を行うことができ、それぞれとの間で情報の授受を行い、それぞれ処理することが可能である。
【0027】
又、以下の説明は生体情報検出ユニット100と端末監視装置300を共に備える例を説明するが、以下の例に限定されるものではなく、生体情報検出ユニットのみで構成してもよい。この場合には後述する通信制御部160による検出情報の送信は不要となり、通信制御部160を備えなくてもよい。
【0028】
標準データ登録部120に登録する基準データを他装置からの無線通信で受信する機能を備える構成でない場合には、後述する標準データ登録部120を着脱自在に構成し、仕様に応じた基準データを用意すれば足りる。あるいは、不図示の外部接続コネクトを介して外部メモリより直接ダウンロードしてもよい。
【0029】
図1において、100は本実施の形態例の生体情報検出ユニットであり、例えば小形軽量化を図るため合成樹脂(プラスチック)でモールドされている。合成樹脂としてはポリスチレン系合成樹脂、或いは、ポリメチルメタクリレート系合成樹脂を使用することができる。
【0030】
大きさとしては、例えば、最大でも40×40×10mm程度以下の軽量小型の大きさとしている。このように、小形軽量であるため、被検者に直接装着しても、被検者にほとんど負荷を与えることなく被検者の状態を検出することができる。
【0031】
生体情報検出ユニット100において、110は生体情報検出ユニットの全体制御を司る制御部であり、例えばマイクロプロセッサとメモリ、入出力インタフェース部などを備えている。他の全ての各生体情報検出ユニットにはそれぞれ固有の識別番号、例えば14桁の識別番号が付与されている。この識別番号は制御部110が管理している。
【0032】
制御部110は、詳細を後述する3次元加速度センサ150よりの検出結果と標準データ登録部120に登録されている基準データとを比較検討して被検者の身体の状態を検出し、歩行動作中の場合における歩幅を判定する動き・歩幅判定手段110aを有する。動き・歩幅判定手段110aはソフトウェアにより実現することでユニットの形状などに影響なく当該機能を実現できる。
【0033】
120は標準データ登録部であり、本ユニット100を装着する被検者の走行状態あるいは体動作に応じた基準データを登録する。データには、標準的な被検者における動作時の加速度センサの検出データと対応する歩幅とを対応付けたデータを予め収集して登録可能なメモリで構成されている。
【0034】
本ユニット100の仕様を歩行走行状態の検出と歩幅の検出が可能に構成し、走行距離の測定、消費カロリー量の算出が可能なユニットとする場合には、標準データ登録部120は、読み出し専用のROMで構成することができる。
【0035】
一方、本ユニット100を汎用品として構成する場合には、標準データ登録部120を読み書き可能なメモリで構成することが望ましく、予め標準的な基準データを登録させたものを使用し、使い方や被検者に合わせて、例えば通信制御部160を介して他の装置、例えば端末監視装置300から更新された基準データを受信して標準データ登録部120に格納可能にすることが望ましい。
【0036】
あるいは着脱式のメモリチップに監視するべき姿勢や動きに対応させた基準データを記憶させ、希望する仕様にあわせて基準データの記憶されたメモリチップを本ユニット100に装着しても良い。
【0037】
130は装置の状態を表示可能な表示部であり、例えば複数色で発光する発光ダイオード等で構成され、装置の状態により発光色を変え、正常動作時には連続点灯または「青」で表示し、電源不良や検出結果設定範囲から外れた姿勢や動きであった場合など検出結果に問題がある場合等には点滅点灯または「赤」で表示し、一定時間経過後あるいは非動作時には消灯することなどが考えられる。
【0038】
140は被検者の体表面温度(体温)を検出する温度センサであり、例えば温度により抵抗値が変化するサーミスタ素子を用いている。体温の検出方法は電子体温計などで公知であるため詳細説明を省略する。3次元加速度センサ150が被検者の移動状態を検出した後の体温の変化を逐次検出することにより、どの程度の負荷がかかっているかを検出することが可能であり、体温の上昇が激しい場合には警報を出して負荷の軽減をアドバイスすること等が考えられる。なお、この温度センサ140は必ず備えなければならないものではなく、省略することも可能である。
【0039】
150は3次元加速度センサであり、本装置装着者(被検者)の3次元の動きを検出してX方向、Y方向、Z方向のそれぞれの3方向の動きに応じた検出電圧値を出力する。3次元加速度センサ150としては、例えばKionix社製のKXM52シリーズを適用できる。KXM52シリーズの加速度センサであればほぼ5mm×5mm×1.8mmの小形DFNパッケージであり、生体情報検出ユニットも小型の構成とできる。
【0040】
160は通信制御部であり、通信モード時に制御部110の制御下で各種検出値(例えば生体電極の検出値、3次元加速度センサの検出値、温度センサの検出値)を端末監視装置300の通信制御部360に一定の間隔でデータ伝送すると共に、動作制御のためのプログラムの自動アップデート処理の実行や、標準データ登録部120の登録で多くの更新データの受信等を行う。
【0041】
データ伝送等は、例えば2.4GHzの周波数で行われる。なお、通信モードを備えず、自ユニットのみで動作する構成とすることも可能であり、この場合には通信制御部160は省略することが可能である。そして一定期間分の検出データは不図示の検出データ記憶メモリに記憶させることが望ましい。
【0042】
なお、送信データは少なくとも10メートル以上離れた距離まで到達する仕様とすることが望ましく、より好ましくは被検者のいるフロア内に到達する仕様とすることが望ましい。これにより、フロア内のどの位置に端末監視装置300が設置されていても、確実に検出データを送ることができる。
【0043】
170は音響出力部であり、検出データが標準データ登録部120に登録されている基準データと比較して差異が大きく、許容範囲を超えている場合等(異常な検出状態となったときや装着された状態から外れた状態になったと検出された場合)に、例えば警報音を出力する。検知した状態により音響出力パターンを変化させることにより、より詳細に注意を換気させることができる。
【0044】
180は電源部であり、本実施の形態例ではボタン電池を採用している。しかし、電池に限定されるものではなく、必要な電力供給が可能であれば1次電池であるか2次電池であるかも問わない。185は電源スイッチであり、本実施の形態例に動作電源を供給するか否かを指示する。
【0045】
220は生体表面に貼着可能な皮膚表面電極である生体電極であり、例えば2つの電極パターンが所定距離離れて配設された貼着パットで構成されることが考えられる。生体電極220は、繰り返し使用すると特性が劣化するため、使い捨てタイプの電極パッドを使用することが望ましい。
【0046】
生体電極については、公知の一般的な心電電極等をそのまま転用することが可能である。広く汎用品として市場に供給されている、心電図信号を検出する心電図電極を用いることにより、専用の電極などを用意することなく、廉価で必要な特性を有する生体電極とできる。例えば、日本光電工業製またはフクダ電子製の「ディスポ電極」を使用できる。
【0047】
生体電極220により生体電気信号を検出することにより、3次元加速度センサ150のみにより心拍数検出する場合に比し、心拍数等を正確に検出することができ、心拍数の変化から被検者への負荷状態をより正確に検出することができる。このため、安静時の(移動していないときの)心拍数に比しどの程度心拍数があがったかを監視することにより、有酸素運動を行っている状態か否かなどを極めて容易に判別可能となる。
【0048】
本実施の形態例の生体情報検出ユニット100では、制御部110の各センサよりの検出結果の確認間隔は任意で良く、数mS間隔でも、数十mS間隔でも、数百mS間隔で検出してもよい。人間の動きなどを検出するものであるため、短期間で大きく変化することはないからである。
【0049】
300は生体情報検出ユニット100からの各種検出データなどを受け取って被検者の状態監視を行っている端末監視装置である。本実施の形態例生体情報検出ユニット100は、単独で被検者の姿勢や動作を検視することができ、単独動作モードでは端末監視装置300は不要である。
【0050】
しかしながら、生体情報検出ユニット100よりの各種検出データを受信して解析できれば、より詳細な被検者の状態分析が可能となり、よりきめ細かな管理ができる。また、被検者の検出履歴を記憶することも可能となる。
【0051】
このため、作業状態の把握も可能であるほか、各種の動きの上達経過の把握も可能となる。又、生体情報検出ユニット100に送信モードでの動作を実現することで、例えば各種報知音を端末監視装置300より出力する場合に比しより大きな音量での警報出力が可能となり、生体情報検出ユニット100の消費電力の消耗を防ぐことが可能となる。
【0052】
端末監視装置300において、310は全体制御を司る制御部、320は端末の標準データ登録部120に登録される標準データを管理する標準情報管理部であり、標準データが更新された場合には、必要に応じてアクセスしてきた端末の標準データ登録部120に登録されている最新標準データとアクセスしてきた端末に登録されている標準データのバージョンを確認し、最新の標準データをダウンロードした方が望ましい場合にはその旨のメッセージを該当する端末側に送る。
【0053】
そして、その結果、端末からのダウンロード要求があれば最新の標準データを端末の標準データ登録部120にダウンロードするダウンロード制御を行う。なお、以上の処理は、生体情報検出ユニット100に最新情報をダウンロード可能な場合の処理であり、生体情報検出ユニット100に通信機能がない場合などにおいては、標準データ登録部120を着脱自在または書き換え可能メモリで構成し、最新のデータに更新可能に構成することが望ましい。
【0054】
330は生体情報検出ユニット100その他の端末における動作制御プログラムを登録し、登録した最新プログラムとアクセスしてきた端末に格納されている制御プログラムのバージョンを確認し、最新の端末制御プログラムをダウンロードした方が望ましい場合にはその旨のメッセージを生体情報検出ユニット100その他の該当する端末側に送る更新プログラムダウンロード制御部であり、端末からのダウンロード要求があれば最新の制御プログラムをダウンロードさせるダウンロード制御を行う。
【0055】
340は表示部であり、装置の状態や操作ガイダンスを表示するほか、生体情報検出ユニット100より受信データに基づく被検者の動作状態や姿勢状態、目標達成率などを表示する。更に緊急時のメッセージ表示なども行う。350は各種指示や情報を入力するキーボードあるいはカードリーダなどからなる入力部である。
【0056】
360は生体情報検出ユニット100とのデータ通信を行う通信制御部であり、生体情報検出ユニット100との間の制御プログラムや標準データのダウンロード制御を行うと共に、必要に応じて生体情報検出ユニット100での検出結果などを受信する。
【0057】
また、370は警報出力部であり、各種の音響出力の他、各種ブザー音や各種合成音を出力することができる。例えば大型スピーカを備える構成ともでき、このような場合には大きな音量での出力が可能であり、離れた場所からも音響出力された内容を確認することができる様に構成できる。
【0058】
例えば、通信制御部360を介して生体情報検出ユニット100との間の通信路が確保されている場合にはその旨を、通信路が切断された場合には切断された旨を報知することが可能である。
【0059】
更に、生体情報検出ユニット100を装着した被検者の近くに設置され、検出データをリアルタイムで受信するような場合には、検出データを受信する生体情報検出ユニット毎に出力パターンを変えて、どの生体情報検出ユニットに対する警報かを識別可能とし、更に、どのような状態かを例えば音声情報として出力することにより、より詳細に検出状況を被検者に報知できる。この時、例えば生体情報検出ユニット毎に被検者情報を例えば入力部350より入力することにより、具体的に被検者を特定して適切な指示を出力することが可能となる。
【0060】
本実施の形態例装置をダイエットや運動トレーニングに用いようとしたときには、一定速度以上で歩行または走行することで所望の効果を得られることから、ピッチが遅くなって所望の効果の達成が出来ていない状態となったとき等にはある程度の音量で警報を出力しないと、被検者が聞き逃すおそれがあるが、端末監視装置300に検出データを送信して(または警報出力を端末監視装置300に依頼して)必要な警報を出力することにより、消費電力を気にすることなく被検者に確実に伝えることが可能となる。
【0061】
この時に具体的な検出データや警報を出力する根拠となった事項を表示部340に表示させることにより、被検者が警報の出力を聞いてその原因をより確実に知ることができ、確実に目標達成に向かう学習効果などを上げることもできる。
【0062】
通信制御部160、360間で検出データをリアルタイムで送受信する場合の制御の詳細を以下に説明する。本実施の形態例では、生体情報検出ユニット100からほぼ一定間隔でパケットデータを送信し、これを端末監視装置300で受信している。
【0063】
パケットには、予め各生体情報検出ユニット毎に割り当てられている識別番号(送信元情報)格納領域、パケットを送信する毎に歩進される送信番号情報(位置情報)格納領域、生体情報検出ユニットで測定した送信するべきデータ等が割り当てられているデータ格納領域、誤り訂正符号であるCRCデータを格納するCRC格納領域等からなり、データ格納領域に生体電極検出データ、加速度センサの各方向データ、温度センサ検出データなどが格納される。
端末監視装置300では、受信した生体情報検出ユニット毎の受信データ変化をリアルタイムで監視すると共に、表示部340に選択表示してもよい。
【0064】
次に標準データ登録部120に登録させる標準歩幅情報について説明する。
歩幅は同一人でも移動状態、例えば歩行状態か、走行状態か、鈍歩行状態か等により変化する。そして、移動状態によって加速度センサ150の検出結果もそれぞれ異なり、また、身体への負荷により呼吸数や心拍数が変化するため、加速度センサ150や生体電極220により呼吸数や心拍数を検出し、この検出結果を参照して被検者の移動状態検出の補助とすることにより、より検出精度が上がる。
【0065】
このようにして、本実施の形態例では歩行状態、走行状態、あるいはそれ以外の状態時の加速度変動を加速度波形の解析結果より推定する。更に、波形解析によりピッチ(周波数)を安定して求めている。
【0066】
即ち、歩行状態あるいは走行状態、それ以外の状態の変化を加速度波形の解析結果を基本として推定すると共に、波形解析によりピッチ(周波数)を安定して求める。状態の検出結果とピッチの組み合わせにより、速度と距離の時々刻々の変化を把握する。
これにより、時々刻々の消費エネルギー変動、心拍数変動も得る事ができ、自己のトレーニング、及び結果について速やかにフィードバックができる。
【0067】
具体的には、本願発明者は、本実施の形態例の3次元加速度センサ(以下、単に「加速度センサ」とも言う。)150を被検者に装着して予め定めた歩幅で歩行または走行させてそのときの加速度センサの検出結果との関係を調べた。すると、個々の検出結果でばらつくことがあっても、測定する歩数が多くなるほど誤差が平均化してくることから、ある程度以上の歩数となると加速度センサ150の検出結果と実際の歩幅との関係がほぼ一定の範囲に収まることを発見した。
【0068】
発明者は、実際に、複数の被検者にそれぞれ所定の歩幅で所定距離歩行・走行を行わせ、その後歩幅を変えて同様の歩行・走行を行わせ、その間の加速度センサの検出結果を解析して、加速度センサの検出結果と歩幅の関係を確認した。その確認結果の一例を図2に示す。
【0069】
図2に黒丸で示すのが加速度センサで検出した加速度をFFT解析した解析結果、実線で示すのが加速度センサの検出結果に対する実際の歩幅の変換係数例である。
【0070】
図2に明らかな如く、変換係数の傾斜はほぼ一定の範囲内に収束しており、加速度センサの検出結果から歩幅を算出できることが確認できた。即ち、加速度センサで検出した加速度をFFT解析することにより、加速度センサの検出結果のみから被検者の歩幅を求めることが可能であることを見いだすことができた。
【0071】
次に、実際の被検者に生体情報ユニット100を装着して一定時間被検者の各種の状態を検出した場合の加速度センサ150の検出結果を図3に示す。図3のAに示すタイミングの検出結果が走行状態での検出結果、Bに示すタイミングの検出結果が早足での歩行状態での検出結果、Cに示すタイミングの検出結果が一定の速度以下での鈍歩行などの状態での検出結果である。
【0072】
上記したように、加速度センサ150の検出した加速度データをFFT解析した際に得られる波の例を左下部に示す。これらの波の中で最も振幅の大きな波を加速度センサの検出値とすることになる。
【0073】
図3のAに示すタイミング時の検出結果の詳細を図4に示す。図4は数秒間の加速度センサ検出結果を示している。3種の検出波形はそれぞれX方向、Y方向、Z方向の検出結果である。図の右側に示すのが特定タイミング時の加速度データをFFT解析した際に得られる波の例であり、各波の中で最も振幅の大きな振幅の波を検出波形としている。
【0074】
図3のBに示すタイミング時の検出結果の詳細を図5に示す。図5も図4と同様に数秒間の加速度センサ検出結果を示している。図の右側に示すのが特定タイミング時の加速度データをFFT解析した際に得られる波の例であり、図5においても各波の中で最も振幅の大きな振幅の波を検出波形としている。
【0075】
図3のCに示すタイミング時の検出結果の詳細を図6に示す。図6も図4と同様に数秒間の加速度センサ検出結果を示している。図の右側に示すのが特定タイミング時の加速度データをFFT解析した際に得られる波の例であり、図6においても各波の中で最も振幅の大きな振幅の波を検出波形としている。
【0076】
次に図7を参照して本実施の形態例の生体監視システムによる生体監視制御を説明する。図7は本実施の形態例の基本的な生体監視制御を説明するためのフローチャート図である。図7では標準データ登録部120に1種類の基準データが登録されている場合の例について説明する。
【0077】
なお、図7では主に加速度センサ150の検出結果から歩数と歩幅を検出し、移動距離を算出する場合を説明するが、上述するように、消費エネルギーなどは温度センサ140や生体電極220の検出結果を参照して求める制御を排除するものではない。
【0078】
まずステップS1で、例えば、標準データ登録部120に例えば図2に示す関係式に基づいた標準歩幅情報が登録されているか(標準データ登録部120が着脱自在な構成の場合に装着されているか)確認し、登録されていない場合には、生体情報検出ユニット100に標準データを登録する。そして、ステップS3で生体情報検出ユニット100を被検者の例えば胸部に装着して稼働状態とする。
【0079】
被検者への装着は、例えば身体正面の略真中の胸部の真ん中に加速度計が略垂直となる様に生体電極220と共に装着することが望ましい。しかし、以上の例に限定されるものではなく、例えば生体電極220を備えずにベルトなどに装着するものであっても、姿勢や動作を検出することが可能である。これにより生体情報検出ユニット100は生体情報の検出モードになる。
【0080】
制御部110は、ステップS5において、3次元加速度センサ150の一定時間分の検出データを読み込む。そして、制御部110は読み込んだ検出データを続くステップS7において解析する。そして、ステップS9において解析の結果被検者が移動していると判断できるか否かを調べる。移動状態でなく静止した状態である場合にはステップS5に戻り、被検者が動き出すのを監視する。
【0081】
ステップS9において被検者が移動したとことを検出した場合にはステップS11に進み、移動に際しての歩数を積算する。例えば、加速度センサ150が一定値以上の上下動を検出したときに一歩移動した検出結果であると認定することができる。この歩数の検出方法としては従来より公知の歩数検出方法を用いることができる。身体の上下動が僅かしかないなど歩行または走行状態でないと判断できる場合等で歩数が検出できない場合には歩数の積算は行わない。
【0082】
続いてステップS13において、加速度センサの検出値と標準データ登録部に登録されている標準値に基づいて被検者の移動歩幅を算出する。例えば加速度センサの検出値を対応する歩幅情報に変換する。
【0083】
そして、ステップS15において、ステップS13で検出した歩幅とステップS11で検出した歩数から、被検者の移動距離と消費エネルギーを算出して積算する。続くステップS17で検出処理終了か否かを調べる。例えば電源電圧が低下したか、一定時間全てのセンサよりの検出結果の変動がないか(被験者に装着されていない状態あるいは就寝状態等)等が該当する。検出処理終了と判断されると検出処理を終了してスタンバイモードに移行する。
【0084】
検出処理終了でない場合にはステップS19に進み、今までの検出結果などを表示する表示指示か否かを調べる。表示指示でない場合にはステップS5に戻りセンサによる検出を継続する。表示指示であった場合にはステップS21に進み、指示された検出結果を一定時間表示する。そしてステップS17に戻る。
【0085】
なお、以上の説明では、生体情報検出ユニット100は、温度センサ140、3次元加速度センサ150及び生体電極220を全て備え、各センサよりの検出データを総合的に判断する場合を例としたが、以上の例に限定されるものではなく、例えばセンサとして3次元加速度センサ150のみ備える構成、あるいは3次元加速度センサ150に更に温度センサ140を備える構成でも良い。生体電極220を備えなくとも、本実施の形態例ユニットを胸部に装着することにより、呼吸状態の検出や心臓の鼓動も検出することができ、活動中か、就寝中かなどの検出が可能である。
【0086】
以上説明した様に本実施の形態例によれば、被検者に装着した3次元加速度センサ150の一定時間の検出結果(一定時間の加速度センサ検出データ)をFFT解析した際に得られる最も振幅の大きな波を加速度センサの検出値とする。このことにより、歩行・走行時の加速度センサの検出値の基本周波数は、左右で一歩ずつを検出する周期となり、上述した最も振幅の大きな波はこの基本周波数の2倍となる。このため、歩行状態での周波数検出結果を類型化して被検者の状態毎に検出されるであろう加速度センサ検出パターンの範囲を定め、主に検出周波数の振幅値からそのときの歩幅を算出した。これにより、速度と距離の時々刻々の変化を容易かつ確実に把握することができる。
【0087】
更に、生体電極を装備して生体の循環系の状態を検出可能とすることにより、時々刻々の消費エネルギー変動、心拍数変動の状態を得る事が可能となる。この循環系の状態の検出は、心拍数の変動を検出することにより身体への負荷状態をより正確に把握することができ、一定心拍数以上の状態での歩数を閾値を変えて複数に分けて計数することで、よりきめ細かな消費エネルギーを測定することが可能となる。
【0088】
〔第2の実施の形態例〕
以上の説明は、標準歩幅情報を一種類のみ備える場合を例として説明した。しかし、本発明は以上の例に限定されるものではなく、複数の状態時毎の標準歩幅情報を予め測定して求めておき、3次元加速度センサ150の検出結果等から被検者の移動状態の詳細を検出し、検出した移動状態毎にそれぞれ対応した歩幅標準情報を予め登録しておき、移動状態毎に登録されている標準データと比較して歩幅を検出してもよい。
【0089】
例えば3種類の標準情報を登録する場合においては、例えば予め通常の歩行状態時、早足の歩行状態時、走行状態時の移動距離と歩数と加速度センサの検出データとを測定して標準となるデータを求めて登録しておけばよい。これにより、より精度の高い検出結果となることが期待できる。
【0090】
第2の実施の形態例でも、基本的なハードウェア構成は上記した第1の実施の形態例とほぼ同様のものと出来る。第2の実施の形態例では、標準データ登録部120に登録されている標準歩幅情報が異なり、例えば3種類の標準情報を登録する場合においては、通常の歩行状態時の標準歩幅情報、早足の歩行状態時の標準歩幅情報、走行状態時の標準歩幅情報が登録されている。
【0091】
本発明に係る第2の実施の形態例のブロック構成を図8に示す。図8において、上述した図1の構成と同様構成には同一番号を附し詳細説明を省略する。図8において、第1の実施の形態例と異なるのは、標準データ登録部120に通常歩行標準歩幅情報120A、早足歩行標準歩幅情報120B、走行標準歩幅情報120Cが登録されている点である。
【0092】
そして、制御部110の制御において、第1の実施の形態例のステップS9の移動状態が検出された後、補数を積算すると共に、ここで移動状態を判別する。そして、標準データ登録部120に登録されている標準歩幅情報の中から判別した移動状態に応じた標準歩幅情報を選択し、ステップS13の歩幅検出処理に移行すればよい。
【0093】
以上説明したように第2の実施の形態例によれば、このように移動状態に応じて最適の標準歩幅情報を選択することにより、より誤差の少ない検出結果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置であって、
被検者の身体の動く状態を検出する加速度センサと、
前記加速度センサの検出値と該検出値に対応する前記加速度センサ装着者の標準歩幅情報を記憶する標準データ記憶手段と、
前記加速度センサの検出値から被検者の歩数を検出すると共に、前記標準データ記憶手段が記憶する標準歩幅情報に基づいて前記加速度センサ装着者の歩幅を求める歩幅検出手段と、
前記歩幅検出手段で検出した歩幅と歩数情報から被検者の走行距離を算出する走行距離算出手段とを備えることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
前記加速度センサの検出値から被検者の移動状態を判別する被検者状態判別手段を備え、
前記標準データ記憶手段は、被検者の移動状態毎の前記標準歩幅情報を記憶し、
前記歩幅検出手段は、前記判別手段が判別した状態に対応する前記標準歩幅情報に基づいて歩幅を求めることを特徴とする請求項1記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
更に、前記被検者の移動状態には、歩行状態、走行状態が含まれることを特徴とする請求項2記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
更に、被検者の生体情報を検出可能な生体電極を備え、前記生体電極を用いて被検者の脈拍を検出し、被検者への負荷状況を検知可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
加速度センサを備える生体情報検出装置を被検者に装着して被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出方法であって、
前記加速度センサの検出値に対応する前記加速度センサ装着者の標準歩幅情報を前記生体情報検出装置に登録し、
前記加速度センサの検出値から被検者の歩数を検出すると共に、登録されている前記標準歩幅情報に基づいて前記加速度センサ装着者の歩幅を求め、
該求めた歩幅と歩数情報とから被検者の走行距離を算出することを特徴とする生体情報検出方法。
【請求項6】
前記標準歩幅情報として、被検者の移動状態毎の前記標準歩幅情報を記憶し、
前記加速度センサの検出値から被検者の移動状況を判別し、判別した移動状態に対応する前記標準歩幅情報に基づいて歩幅を求めることを特徴とする請求項5記載の生体情報検出方法。
【請求項7】
更に、前記被検者の移動状態には、歩行状態、走行状態が含まれることを特徴とする請求項6記載の生体情報検出方法。
【請求項8】
更に、前記生体情報検出装置は被検者の生体情報を検出可能な生体電極を備え、前記生体電極を用いて被検者の脈拍を検出し、被検者への負荷状況を検知可能であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の生体情報検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−37245(P2012−37245A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174817(P2010−174817)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(509131339)株式会社アール・アイ・イー (8)
【Fターム(参考)】