説明

生体情報測定装置

【課題】血糖値の測定精度が実用レベルにある血糖値測定装置を提供する。
【解決手段】近赤外光源110と、光源側光ファイバー120と、検出側光ファイバー140と、近赤外吸収スペクトル測定装置150と、データ解析装置170とを備える生体情報測定装置であって、生体を接触させる接触面131と、光源側光ファイバー固定部132と、検出側光ファイバー固定部133と、光源側光ファイバー130からの近赤外光を空隙を介して生体情報取得部位に導光するとともに生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して検出側光ファイバー140に導光するための導光空間134とを有する測定用アタッチメント130をさらに備える生体情報測定装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値測定装置、血中コレステロール濃度測定装置、血中中性脂肪濃度測定装置、血中アルコール濃度測定装置などの生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食事や運動、ストレスなどの生活習慣が原因で引き起こされる糖尿病、高血圧症、高脂血症、動脈硬化、がんなどの生活習慣病が深刻問題となっている。また、これらの生活習慣病は、それぞれが独立した別の病気ではなく、内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因であることが判明している。このように、内臓脂肪型肥満によってさまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を『メタボリックシンドローム』と言い、血糖値を含む診断基準が確立され、治療の対象として考えられるようになってきている。
【0003】
このような状況において、病気の予防あるいは治療をするためには、個人で実際に血糖値測定を行い、自己管理をする必要がある。現在では採血による測定法が一般的であるが、患者に苦痛やストレスを与え、感染症の危険性を伴うなどの問題点を含んでいるため、従来から非侵襲で血糖値を測定できる血糖値測定装置の開発が進められている(例えば、非特許文献1及び特許文献1〜4参照。)。
【0004】
これらのうち、非特許文献1には、板状プリズムを利用した血糖値測定装置(以下、従来の血糖値測定装置80という。)が記載されている。図16は、従来の血糖値測定装置80を説明するために示す図である。図16(a)は血糖値測定装置80の全体構成を示す図であり、図16(b)は血糖値測定装置80の要部を示す図である。
【0005】
従来の血糖値測定装置80は、図16に示すように、赤外光を射出する光源装置810と、試料室830と、赤外光を検出する検出装置850,852と、検出装置850,852で検出された赤外光の解析をして血糖値の情報を得るデータ解析装置(図示せず)とを備える。光源装置810と試料室830と検出装置850,852とでフーリエ変換赤外分光光度計FTIRを構成する。そして、試料室830には、生体LBを接触させる接触面を有する板状プリズム832と、光源装置810からの近赤外光を板状プリズム832に導光するミラー820と、板状プリズム832からの近赤外光を検出装置850に導光するミラー840とが配設されている。板状プリズム832は、赤外光を通す高屈折率物質(セレン化亜鉛:ZnSe)からなる。
【0006】
従来の血糖値測定装置80を用いて生体表面の赤外吸収スペクトルを測定する際には、板状プリズム832の表面に生体LBを密着させ、可動式干渉計816により干渉光にされた赤外光を板状プリズム832に対し臨界角以上の入射角度で入射し、生体との界面で当該赤外光を繰り返し全反射させながら導波させる。このとき、赤外光は、生体表面に存在する吸収物質によってエバネッセント光が吸収され減衰する。そこで、板状プリズム832を通過した赤外光の強度を可動鏡の移動距離の関数として測定し、検出器850,852で得られたインターフェログラムと呼ばれる干渉波形をフーリエ変換することにより、例えば1500cm−1〜950cm−1の波数範囲で赤外吸収スペクトルを得る。
【0007】
従来の血糖値測定装置80を用いて血糖値を測定する際には、所定の糖負荷を与えた被験者について、上記した手順に従って例えば中指の赤外吸収スペクトルを測定するとともに、侵襲型の血糖値測定器により血糖値を測定し、赤外吸収スペクトルを説明変数とし、血糖値を目的変数としてPLS回帰分析を行って、血糖値検量線を構築する。
【0008】
図17は、従来の生体情報測定装置80による検量線構築結果を説明するための図である。図17(a)はエラーグリッド上における血糖値の分布を示す図であり、図17(b)はPLS結果及びEGA結果を示す図である。なお、図17(a)中、横軸は参照血糖値を示し、縦軸は予測血糖値を示す。
【0009】
図17からも分かるように、従来の血糖値測定装置80を用いることにより、例えばPLS因子8の場合において、比較的高い相関係数(0.85)及び比較的低い予測誤差(17.4mg/dl)を有する検量線を作成することができ、この検量線を用いて血糖値の定量評価を行えることが確認できた。なお、相関係数は参照血糖値と予測血糖値との相関の高さを表すパラメータであり、高い方(例えば0.80以上)が好ましい。予測誤差は、検量線の精度の指標となるパラメータであり、低い方(例えば20mg/dl以下)が好ましい。
【0010】
また、非特許文献1には、光ファイバープローブを利用した血糖値測定装置(以下、従来の血糖値測定装置90という。)が記載されている。
図18は、従来の血糖値測定装置90を説明するために示す図である。
【0011】
従来の血糖値測定装置90は、従来の血糖値測定装置80における板状プリズム832の代わりに光ファイバープローブ930を用いて赤外吸収スペクトルを測定するというものであり、図18に示すように、赤外光を射出する光源装置910と、光ファイバープローブ930と、赤外光を検出する検出装置950と、図示しないデータ解析装置とを備える。光ファイバープローブ930は、直径500μmのカルコゲナイド製ファイバーを光源側に7本、検出側に12本配設したバンドル型光ファイバーの先端部にセレン化亜鉛(ZnSe)からなる全反射プリズム936を配設した構造を有する。
【0012】
従来の血糖値測定装置90を用いて生体表面の赤外吸収スペクトルを測定する際には、生体LBに光ファイバープローブ930の全反射プリズム936を密着させた状態で、例えば1500cm−1〜950cm−1の波数範囲で赤外吸収スペクトルを測定する。
【0013】
従来の血糖値測定装置90を用いて血糖値を測定する際には、所定の糖負荷を与えた被験者について、上記した方法に従って例えば耳垂裏側の赤外吸収スペクトルを測定するとともに、侵襲型の血糖値測定器により血糖値を測定し、赤外吸収スペクトルを説明変数とし、血糖値を目的変数としてPLS回帰分析を行って、血糖値検量線を構築する。
【0014】
図19は、従来の生体情報測定装置90による検量線構築結果を説明するための図である。図19(a)はエラーグリッド上における血糖値の分布を示す図であり、図19(b)はPLS結果及びEGA結果を示す図である。なお、図19(a)中、横軸は参照血糖値を示し、縦軸は予測血糖値を示す。
【0015】
図19からも分かるように、従来の血糖値測定装置90を用いることにより、例えばPLS因子6の場合において、比較的高い相関係数(0.82)及び比較的低い予測誤差(19.1mg/dl)を有する検量線を作成することができ、この検量線を用いて血糖値の定量評価を行えることが確認できた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】藤田圭一,田村一人,兼子亘,石澤広明,鳥羽栄治、「赤外分光法を用いた非侵襲血糖値測定センサの開発」、電学論B、122巻、11号、平成14年
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−325794号公報
【特許文献2】特開2006−87913号公報
【特許文献3】特開2003−050200号公報
【特許文献4】国際公開2006/082859号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、これらの血糖値測定装置80,90においても、血糖値の測定精度が実用上十分でないという問題がある。すなわち、これらの血糖値測定装置80,90においては、侵襲型の血糖値測定装置で得られている測定精度(誤差±10%以内)が得られないという問題がある。また、高血糖値や低血糖値における被験者リスクを回避する信頼性についても十分な解決に至っていない。
【0019】
なお、赤外光の代わりに近赤外光を用いた血糖値測定装置が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。しかしながら、これらの血糖値測定装置においても、実際上、侵襲型の血糖値測定装置で得られている測定精度(誤差±10%以内)が得られないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、血糖値の測定精度が実用レベルにある(血糖値の測定精度が10%程度以内にある)血糖値測定装置を提供することを目的とする。
【0021】
[1]本発明の生体情報測定装置は、近赤外光を生体に照射する近赤外光照射部と、生体により拡散反射された近赤外光を導光する検出側導光部材と、前記検出側導光部材により導光された近赤外光を用いて生体情報を含む近赤外吸収スペクトルを測定する近赤外吸収スペクトル測定装置と、前記近赤外吸収スペクトル測定装置により測定された近赤外吸収スペクトルを解析して生体情報を得るデータ解析装置とを備える生体情報測定装置であって、前記生体情報測定装置は、生体を接触させる接触面と、前記近赤外光照射部を固定するための近赤外光照射部固定部と、前記検出側導光部材を固定する検出側導光部材固定部と、前記近赤外光照射部からの近赤外光を空隙を介して生体における生体情報取得部位に導光するとともに、前記生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して前記検出側導光部材に導光するための導光空間とを有する測定用アタッチメントをさらに備えることを特徴とする。
【0022】
[2]本発明の生体情報測定装置においては、前記近赤外光照射部は、近赤外光を射出する近赤外光源と、前記近赤外光源から射出された近赤外光を一方端から他方端に導光する光源側光ファイバーとを有し、前記近赤外光照射部は、前記光源側光ファイバーの他方端から近赤外光を生体に照射することが好ましい。
【0023】
[3]本発明の生体情報測定装置においては、前記近赤外光照射部は、近赤外光を射出する近赤外光源からなり、前記近赤外光照射部は、前記近赤外光源から近赤外光を直接生体に照射することも好ましい。
【0024】
[4]本発明の生体情報測定装置においては、導光部材は、生体により拡散反射された近赤外光を一方端から他方端に導光する検出側光ファイバーからなることが好ましい。
【0025】
[5]本発明の生体情報測定装置においては、導光部材は、生体により拡散反射された近赤外光を前記近赤外吸収スペクトル測定装置に導光する光学系からなることも好ましい。
【0026】
[6]本発明の生体情報測定装置においては、前記近赤外光照射部として、近赤外光を射出する近赤外光源と、前記近赤外光源から射出された近赤外光を一方端から他方端に導光する光源側光ファイバーとを備え、前記導光部材として、生体により拡散反射された近赤外光を一方端から他方端に導光する検出側光ファイバーを備え、前記測定用アタッチメントは、前記近赤外光照射部固定部として、前記光源側光ファイバーの他方端近傍を固定する光源側光ファイバー固定部を有し、前記導光部材固定部として、前記検出側光ファイバーの一方端近傍を固定する検出側光ファイバー固定部を有し、前記導光空間として、前記光源側光ファイバーの他方端からの近赤外光を空隙を介して生体における生体情報取得部位に導光するとともに、前記生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して前記検出側光ファイバーの一方端に導光するための導光空間を有することが好ましい。
【0027】
[7]本発明の生体情報測定装置においては、前記測定用アタッチメントは、前記導光空間が前記接触面に露出して生体情報取得部位押し当て用孔を構成し、前記光源側光ファイバーの他方端における光ファイバーの光軸と前記検出側光ファイバーの一方端における光ファイバーの光軸とが前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置近傍で交差するように構成されていることが好ましい。
【0028】
[8]本発明の生体情報測定装置においては、前記光源側光ファイバーの他方端における光ファイバーの光軸と前記検出側光ファイバーの一方端における光ファイバーの光軸との交差角度は、60°〜120°の範囲内にあることが好ましい。
【0029】
[9]本発明の生体情報測定装置においては、前記光源側光ファイバーの他方端から前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置までの距離d1及び前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置から前記検出側光ファイバーの一方端までの距離d2はともに、1mm〜5mmの範囲内にあることが好ましい。
【0030】
[10]本発明の生体情報測定装置においては、前記生体情報取得部位は、指の腹と指先との間に位置する部位であることが好ましい。
【0031】
[11]本発明の生体情報測定装置においては、前記測定用アタッチメントは、前記接触面の一方側に指の腹を載置する指の腹載置面が形成されていることが好ましい。
【0032】
[12]本発明の生体情報測定装置においては、前記測定用アタッチメントは、前記接触部の他方側に指先を突き当てるための指先突き当て面が形成されていることが好ましい。
【0033】
[13]本発明の生体情報測定装置においては、前記測定用アタッチメントは、樹脂からなることが好ましい。
【0034】
[14]本発明の生体情報測定装置においては、前記測定用アタッチメントは、金属からなることも好ましい。
【0035】
[15]本発明の生体情報測定装置においては、前記近赤外吸収スペクトル測定装置は、生体により拡散反射された近赤外光を分光する回折格子と、前記回折格子により分光された光を選択的に反射するMEMSチップと、前記MEMSチップにより反射された光を検出する単一の光検出素子とを有するMEMS型近赤外吸収スペクトル測定装置であることが好ましい。
【0036】
[16]本発明の生体情報測定装置においては、前記データ解析装置は、前記近赤外吸収スペクトル測定装置により測定された近赤外吸収スペクトルのうち所定波長範囲の近赤外吸収スペクトルをPLS回帰分析法により解析して生体情報を得る機能を有することが好ましい。
【0037】
[17]本発明の生体情報測定装置においては、前記所定波長範囲は、1600nm〜2400nmの波長範囲を含むことが好ましい。
【0038】
[18]本発明の生体情報測定装置においては、前記生体情報は、血糖値であることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、後述する実施形態からも分かるように、血糖値の測定精度が実用レベルにある(血糖値の測定精度が10%程度以内にある)血糖値測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態1に係る生体情報測定装置10を説明するために示す図である。
【図2】測定用アタッチメント130を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1で得られた近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図4】EGA法を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1における検量線構築結果を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1における検量線検証結果を説明するために示す図である。
【図7】実施形態2における検量線構築結果を説明するために示す図である。
【図8】実施形態2における検量線検証結果を説明するために示す図である。
【図9】実施形態3における検量線構築結果を説明するために示す図である。
【図10】実施形態3における検量線検証結果を説明するために示す図である。
【図11】変形例1における測定用アタッチメント130aの側面図である。
【図12】変形例2における測定用アタッチメント130bの断面図である。
【図13】変形例3における測定用アタッチメント130c及び変形例4における測定用アタッチメント130dの断面図である。
【図14】変形例5における測定用アタッチメント130eの断面図である。
【図15】変形例6に係る生体情報測定装置12を説明するために示す図である。
【図16】従来の生体情報測定装置80を説明するために示す図である。
【図17】従来の生体情報測定装置80による検量線構築結果を説明するための図である。
【図18】従来の生体情報測定装置90を説明するために示す図である。
【図19】従来の生体情報測定装置90による検量線構築結果を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の生体情報測定装置を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0042】
[実施形態1]
1.生体情報測定装置の構成
図1は、実施形態1に係る生体情報測定装置10を説明するために示す図である。図2は、測定用アタッチメント130を説明するために示す図である。図2(a)は測定用アタッチメント130の側面図であり、図2(b)は測定用アタッチメント130の上面図であり、図2(c)は光源側光ファイバー120及び検出側光ファイバー140を取り付けた状態の測定用アタッチメント130の断面図である。
【0043】
実施形態1に係る生体情報測定装置10は、血糖値を測定するための生体情報測定装置(血糖値測定装置)である。従って、実施形態1においては、生体情報は、血糖値である。そして、実施形態1に係る生体情報測定装置10は、図1に示すように、近赤外光を射出する近赤外光源110と、近赤外光源110から射出された近赤外光のうち一方端から入射した近赤外光を他方端に導光するとともに生体に照射する光源側光ファイバー120と、生体により拡散反射された近赤外光のうち一方端から入射した近赤外光を他方端に導光する検出側光ファイバー140と、検出側光ファイバー140の他方端から射出された近赤外光を用いて生体情報を含む近赤外吸収スペクトルを測定する近赤外吸収スペクトル測定装置150と、近赤外吸収スペクトル測定装置150により測定された近赤外吸収スペクトルを解析して生体情報を得るデータ解析装置170とを備える。このうち、近赤外光源110と、光源側光ファイバー120とが、近赤外光照射部100(本発明の近赤外光照射部)を構成する。また、検出側光ファイバー140が、本発明の検出側導光部材を構成する。なお、符号180は、血糖値の検量線を構築する際に参照する侵襲型の血糖値測定装置を示す。
【0044】
そして、実施形態1に係る生体情報測定装置10は、図2に示すように、生体を接触させる接触面131と、光源側光ファイバー120の他方端近傍を固定する光源側光ファイバー固定部132と、検出側光ファイバー140の一方端近傍を固定する検出側光ファイバー固定部133と、光源側光ファイバー120の他方端からの近赤外光を空隙を介して生体における生体情報取得部位に導光するとともに、生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して検出側光ファイバー140の一方端に導光するための導光空間134とを有する測定用アタッチメント130をさらに備える。
【0045】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、測定用アタッチメント130は、導光空間134が接触面131に露出して生体情報取得部位押し当て用孔135を構成し、光源側光ファイバー120の他方端における光ファイバーの光軸と検出側光ファイバー140の一方端における光ファイバーの光軸とが生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置近傍で交差するように構成されている。
【0046】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、光源側光ファイバー120の他方端における光ファイバーの光軸と検出側光ファイバー140の一方端における光ファイバーの光軸の交差角度は、60°〜120°の範囲内(例えば90°)にある。
【0047】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、光源側光ファイバー120の他方端から生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置までの距離d1及び生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置から検出側光ファイバー140の一方端までの距離d2はともに、1mm〜5mmの範囲内(例えば2.5mm)にある。
【0048】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、生体情報取得部位は、指の腹と指先との間に位置する部位である。
【0049】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、測定用アタッチメント130は、接触面131の一方側に指の腹を載置する指の腹載置面136が形成されている。
【0050】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、測定用アタッチメント130は、加工性や剛性、硬度など機械的特性に優れた樹脂(例えばABS樹脂)からなる。
【0051】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、近赤外吸収スペクトル測定装置150は、検出側光ファイバー140の他方端から射出された近赤外光を分光する回折格子154と、回折格子154により分光された光を選択的に反射するMEMSチップ158と、MEMSチップ158により反射された光を検出する単一のInGaAs系の光検出素子160とを有するMEMS型近赤外吸収スペクトル測定装置である。実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、近赤外吸収スペクトル測定装置150として、Polychromix社のポータブル近赤外分光システム(LABPOD1624/LABPODはPolychromix社の商標)を用いた。検出した信号をアダマール変換することで近赤外吸収スペクトルが得られる。
【0052】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、データ解析装置170は、近赤外吸収スペクトル測定装置150により測定された近赤外吸収スペクトルのうち所定波長範囲の近赤外吸収スペクトルをPLS回帰分析法により解析して生体情報を得る機能を有する。
【0053】
実施形態1に係る生体情報測定装置10においては、上記した所定波長範囲は、1600nm〜2400nmの波長範囲を含む。
【0054】
2.生体情報測定装置10を用いた血糖値の測定
2−1.血糖値測定
12時間絶食した被験者1名(20歳男性)に対して75gの糖負荷を行なった後、生体情報測定装置10を用いて、洗浄した左手中指について近赤外吸収スペクトルを測定した。リファレンス測定時には標準反射板としてSpectralon(Labsphere社製、250nm〜2500nmの範囲で反射率99%)を用いた。図3は、得られた近赤外吸収スペクトルを示す図である。近赤外吸収スペクトルの測定波長範囲は、図3に示すように、1600nm〜2400nmを含む波長範囲とし、積算回数は10回とした。
【0055】
近赤外吸収スペクトルのデータ解析にはPLS回帰分析(Partial Least Square Regression)を用いた。上記のようにして得られた近赤外吸収スペクトルを説明変数とし、侵襲型の血糖値測定装置(ダイキン工業製アントセンスII)により測定して得られた血糖値を目的変数としてPLS回帰分析を行って、血糖値検量線を構築した。なお、解析波長範囲は1600nm〜2400nmとし、スペクトル処理として、Savizky-Golay法による一次微分(3点)を施した。その後、検量線の検証を行った。
【0056】
エラーグリッド分析法(EGA法)とは、バージニア大学のクラーク博士が開発した「血糖値計が臨床的に有効であるか否か」を示す指標である。図4は、エラーグリッドを示す図である。図4中、横軸は参照血糖値を示し、縦軸は予測血糖値を示す。対角線は参照値と予測値との一致を示しており、プロットが対角線の上方にあるときは予測血糖値が過大評価されていることを示し、プロットが対角線の下方にあるときは予測血糖値が過小評価されていることを示す。エラーグリッドにおいて、Aゾーンは予測血糖値が20%しか外れない、あるいは参照値が70mg/dlよりも低いときに低血糖値(<70mg/dl)である領域を示し、Bゾーンは上方と下方は参照血糖値に対して20%よりも大きく外れているが良性の治療が行われている領域を示し、Cゾーンは好ましい血糖値レベルを修正しすぎることとなる領域を示し、Dゾーンは誤りを検出する「危険な失敗」を犯すこととなる領域を示し、Eゾーンは「誤った治療」となる範囲を示す。
【0057】
図5は、実施形態1における検量線構築結果を説明するために示す図である。図5(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図5(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。図6は、実施形態1における検量線検証結果を説明するために示す図である。図6(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図6(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。
【0058】
図5から分かるように、実施形態1においては、従来よりも小さなPLS因子(3)であっても、比較的高い相関係数(0.82)及び従来よりもかなり低い予測誤差(11mg/dl)が得られ、このことは高度に有意な結果が得られたと判断できる。また、全ての予測値(79個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(77個)又はBゾーン(2個)に入る結果が得られた。
また、検証の結果、図6から分かるように、予測誤差が20mg/dlと大きくなったが、全ての予測値(30個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(26個)又はBゾーン(4個)に入る結果が得られた。
【0059】
以上説明したように、実施形態1に係る生体情報測定装置(血糖値測定装置)10によれば、血糖値の測定精度が実用レベルにある(血糖値の測定精度が10%程度以内にある)生体情報測定装置(血糖値測定装置)を提供することが可能となる。
【0060】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、近赤外光照射部100からの近赤外光を空隙を介して生体LBにおける生体情報取得部位に導光するとともに、生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して検出側導光部材140に導光するための導光空間134を有する測定用アタッチメント130を備えるため、生体への近赤外光の照射のされ具合を適切な状態に調整することで、生体への近赤外光の進入距離を適切な値に調整することが可能となる。その結果、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0061】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、近赤外光照射部として、近赤外光源110と、近赤外光源110から射出された近赤外光を一方端から他方端に導光する光源側光ファイバー120とを有する近赤外光照射部100を備えるとともに、検出側導光部材として、生体LBにより拡散反射された近赤外光を一方端から他方端に導光する検出側光ファイバー140からなる導光部材を備えるため、全体としては高機能・高性能な生体情報測定装置でありながら、使用者が最もよく使う測定用アタッチメントを小型化することが可能となるため、操作性に優れた生体情報測定装置を提供することが可能となる。
【0062】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、光源側光ファイバー120の他方端における光ファイバーの光軸と検出側光ファイバー140の一方端における光ファイバーの光軸とが生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置近傍で交差するように構成された測定用アタッチメントを備えるため、生体により拡散反射された近赤外光を効率良く検出側光ファイバー140の一方端に入射させることが可能となる。その結果、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0063】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、光源側光ファイバー120の他方端における光ファイバーの光軸と検出側光ファイバー140の一方端における光ファイバーの光軸との交差角度が60°〜120°の範囲内にあるため、生体への近赤外光の進入角度が適切な値になり、生体への近赤外光の進入距離が適切な値になる。その結果、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0064】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、光源側光ファイバー120の他方端から生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置までの距離d1及び生体情報取得部位押し当て用孔135の中心位置から検出側光ファイバー140の一方端までの距離d2はともに、1mm〜5mmの範囲内にあるため、ベースラインが低く、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0065】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、接触面131の一方側に指の腹を載置する指の腹載置面136が形成されている測定用アタッチメント130を備えるため、指の腹と指先との間に位置する生体情報取得部位にところで、常に安定して近赤外光吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0066】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、加工性や剛性、硬度など機械的特性に優れた樹脂(例えばABS樹脂)からなる測定用アタッチメント130を備えるため、実用性に優れた生体情報測定装置を提供することが可能となる。
【0067】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、近赤外吸収スペクトル測定装置として、生体により拡散反射された近赤外光を分光する回折格子154と、回折格子154により分光された光を選択的に反射するMEMSチップ158と、MEMSチップにより反射された光を検出する単一の光検出素子160とを有するMEMS型近赤外吸収スペクトル測定装置150を備えるため、高性能でありながら小型でコンパクトな生体情報測定装置を提供することが可能となる。
【0068】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、データ解析装置として、近赤外吸収スペクトル測定装置150により測定された近赤外吸収スペクトルのうち所定波長範囲の近赤外吸収スペクトルをPLS回帰分析法により解析して生体情報を得る機能を有するデータ解析装置170を備えるため、近赤外吸収スペクトルの全情報を利用して回帰式を算出することが可能となり、高い予測精度を得ることが可能となる。
【0069】
また、実施形態1に係る生体情報測定装置10によれば、1600nm〜2400nmの波長範囲を含む所定波長範囲の近赤外吸収スペクトルをPLS回帰分析法により解析して生体情報を得ることとしているため、赤外吸収スペクトルを解析して生体情報を得る場合と比較して、生体への進入距離を大きくとることが可能となる。その結果、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0070】
[実施形態2]
実施形態2は、スペクトル処理としてSavizky-Golay法による二次微分(5点)を施して血糖値検量線を構築するとともに血糖値検量線の検証を行うこと以外は、実施形態1と同様の実験を行った。
【0071】
図7は、実施形態2における検量線構築結果を説明するために示す図である。図7(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図7(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。図8は、実施形態2における検量線検証結果を説明するために示す図である。図8(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図8(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。
【0072】
図7から分かるように、実施形態2においても、従来よりも小さなPLS因子(4)であっても、比較的高い相関係数(0.85)及び従来よりもかなり低い予測誤差(10mg/dl)が得られ、このことは高度に有意な結果が得られたと判断できる。また、全ての予測値(79個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(78個)又はBゾーン(1個)に入る結果が得られた。
また、検証の結果、図8から分かるように、予測誤差が18mg/dlと大きくなったが、全ての予測値(30個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(26個)又はBゾーン(4個)に入る結果が得られた。
【0073】
[実施形態3]
実施形態3は、アルミニウム製の測定用アタッチメントを用いて近赤外吸収スペクトルを測定すること以外は、実施形態1と同様の実験を行った。
【0074】
図9は、実施形態3における検量線構築結果を説明するために示す図である。図9(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図9(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。図10は、実施形態3における検量線検証結果を説明するために示す図である。図10(a)はエラーグリッド上における血糖値分布を示す図であり、図10(b)はPLS結果及びEGA結果を示す表である。
【0075】
図9から分かるように、実施形態3においても、従来よりも小さなPLS因子(2)であっても、比較的高い相関係数(0.79)及び従来よりもかなり低い予測誤差(14mg/dl)が得られ、このことは高度に有意な結果が得られたと判断できる。また、全ての予測値(56個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(53個)又はBゾーン(3個)に入る結果が得られた。
また、検証の結果、図10から分かるように、予測誤差が23mg/dlと大きくなったが、全ての予測値(17個)が臨床的に好ましいとされるAゾーン(14個)又はBゾーン(3個)に入る結果が得られた。
【0076】
実施形態3においては、近赤外領域において吸収を持つABS樹脂の代わりに近赤外領域においてほとんど吸収を持たないアルミニウムを測定用アタッチメントの材料に用いたため、実施形態1の場合よりも小さなPLS因子(2)の場合であっても実施形態1の場合とほぼ同等のPLS結果及びEGA結果が得られた。
【0077】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0078】
(1)上記実施形態1においては、測定用アタッチメントの素材としてABS樹脂を用い、上記実施形態1においては測定用アタッチメントの材料としてアルミニウムを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。ABS樹脂以外の樹脂、アルミニウム以外の金属、セラミックスその他の材料を用いることができる。
【0079】
(2)上記実施形態1においては、測定用アタッチメントとして、接触面131の一方側に指の腹載置面136が形成された測定用アタッチメント130を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。図11は変形例1における測定用アタッチメント130aを説明するために示す図である。図11に示すように、接触面131の一方側に指の腹載置面136が形成されるとともに、接触面131の他方側に指先を突き当てるための指先突き当て面が形成された測定用アタッチメントを用いることもできる。この場合、指先を突き当てた状態で測定用アタッチメントに指を押し付けることができるため、より一層安定して近赤外吸収スペクトルを測定することができ、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することができる。
【0080】
(3)上記実施形態1においては、測定用アタッチメントとして、接触面131の一方側に指の腹載置面136が形成された測定用アタッチメント130を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。図12は変形例2における測定用アタッチメント130bの断面図である。図12に示すように、接触面131の一方側に指の腹載置面136が形成されていない測定用アタッチメントを用いることもできる。この場合、測定用アタッチメントを生体における種々の部位に容易に押し付けることが可能となる。
【0081】
(4)上記実施形態1又は上記変形例2においては、測定用アタッチメントとして、光源側光ファイバー120の他方端における光ファイバーの光軸と検出側光ファイバー140の一方端における光ファイバーの光軸との交差角度が90°になるように構成された測定用アタッチメント130,130bを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。図13は、変形例3における測定用アタッチメント130c及び変形例4における測定用アタッチメント130dの断面図である。図13(a)に示すように上記交差角度が90°よりも小さくなるように構成された測定用アタッチメント130cを用いてもよいし、図13(b)に示すように上記交差角度が90°よりも大きくなるように構成された測定用アタッチメント130cを用いてもよい。上記交差角度を、60°〜120°の範囲内にある適宜の角度に調整することにより、生体への近赤外光の進入角度を適切な値に調整することで、生体への近赤外光の進入距離を適切な値に調整することが可能となる。その結果、S/N比の高い近赤外吸収スペクトルを測定することが可能となり、ひいてはより一層高い精度で血糖値を測定することが可能となる。
【0082】
(5)上記実施形態1においては、近赤外光照射部として、近赤外光を射出する近赤外光源110と光源側光ファイバー120とを有する近赤外光照射部110を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。図14は変形例5における測定用アタッチメント130eの断面図である。図14に示すように、近赤外光照射部として、近赤外光を射出する近赤外光源からなる近赤外光照射部を用いることができる。
【0083】
(6)上記実施形態1においては、測定用アタッチメント130と近赤外吸収スペクトル測定装置150とが別体として構成された生体情報測定装置10を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図15は変形例6に係る生体情報測定装置12を説明するために示す図である。図15に示すように、測定用アタッチメント130fと近赤外吸収スペクトル測定装置150aとが一体化された生体情報測定装置12に本発明を適用することもできる。なお、変形例6に係る生体情報測定装置12においては、検出側導光部材として、生体により拡散反射された近赤外光を近赤外吸収スペクトル測定装置150aに導光する光学系(レンズ142)を用いている。
【0084】
(7)上記変形例6においては、検出側導光部材として、生体により拡散反射された近赤外光を近赤外吸収スペクトル測定装置150aに導光する光学系として、レンズ142を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。上記した光学系として、光導波路を用いることもできる。
【0085】
(8)上記各実施形態においては、血糖値測定装置を例にとって本発明の生体情報測定装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、血中コレステロール濃度測定装置、血中中性脂肪濃度測定装置、血中アルコール濃度測定装置などの生体情報測定装置も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
10,12,80,90…血糖値測定装置、100…近赤外光照射部、110,810,910…光源装置、120…光源側光ファイバー、130,130a,130b,130c,130d,130e,130f…測定用アタッチメント、131…接触面、132…光源側光ファイバー固定部、133…検出側光ファイバー固定部、134…導光空間、135…生体情報取得部位押し当て用孔、136…指の腹載置面、137…指先突き当て面、140…検出側光ファイバー、150…近赤外吸収スペクトル測定装置、152…ミラー、154…回折格子、156…レンズ、158…MEMSチップ、160…単一検出素子、170…データ解析装置、180…参照用血糖値測定装置、812…赤外光源、814,818…レンズ、816…可動式干渉計、820,840…ミラー、830…試料室、832…板状プリズム、850,852,950…検出装置、930…光ファイバープローブ、932…光源側光ファイバーバンドル、934…ファイバーバンドル、934a…光源側光ファイバー、934b…検出側光ファイバー、936…全反射プリズム、938…検出側光ファイバーバンドル、LB…生体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外光を生体に照射する近赤外光照射部と、
生体により拡散反射された近赤外光を導光する検出側導光部材と、
前記検出側導光部材により導光された近赤外光を用いて生体情報を含む近赤外吸収スペクトルを測定する近赤外吸収スペクトル測定装置と、
前記近赤外吸収スペクトル測定装置により測定された近赤外吸収スペクトルを解析して生体情報を得るデータ解析装置とを備える生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、生体を接触させる接触面と、前記近赤外光照射部を固定するための近赤外光照射部固定部と、前記検出側導光部材を固定する検出側導光部材固定部と、前記近赤外光照射部からの近赤外光を空隙を介して生体における生体情報取得部位に導光するとともに、前記生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して前記検出側導光部材に導光するための導光空間とを有する測定用アタッチメントをさらに備えることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報測定装置において、
前記近赤外光照射部は、近赤外光を射出する近赤外光源と、前記近赤外光源から射出された近赤外光を一方端から他方端に導光する光源側光ファイバーとを有し、
前記近赤外光照射部は、前記光源側光ファイバーの他方端から近赤外光を生体に照射することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生体情報測定装置において、
前記近赤外光照射部は、近赤外光を射出する近赤外光源からなり、
前記近赤外光照射部は、前記近赤外光源から近赤外光を直接生体に照射することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
導光部材は、生体により拡散反射された近赤外光を一方端から他方端に導光する検出側光ファイバーからなることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
導光部材は、生体により拡散反射された近赤外光を前記近赤外吸収スペクトル測定装置に導光する光学系からなることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の生体情報測定装置において、
前記近赤外光照射部として、近赤外光を射出する近赤外光源と、前記近赤外光源から射出された近赤外光を一方端から他方端に導光する光源側光ファイバーとを備え、
前記導光部材として、生体により拡散反射された近赤外光を一方端から他方端に導光する検出側光ファイバーを備え、
前記測定用アタッチメントは、前記近赤外光照射部固定部として、前記光源側光ファイバーの他方端近傍を固定する光源側光ファイバー固定部を有し、前記導光部材固定部として、前記検出側光ファイバーの一方端近傍を固定する検出側光ファイバー固定部を有し、前記導光空間として、前記光源側光ファイバーの他方端からの近赤外光を空隙を介して生体における生体情報取得部位に導光するとともに、前記生体情報取得部位で拡散反射された近赤外光を空隙を介して前記検出側光ファイバーの一方端に導光するための導光空間を有することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の生体情報測定装置において、
前記測定用アタッチメントは、前記導光空間が前記接触面に露出して生体情報取得部位押し当て用孔を構成し、前記光源側光ファイバーの他方端における光ファイバーの光軸と前記検出側光ファイバーの一方端における光ファイバーの光軸とが前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置近傍で交差するように構成されていることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生体情報測定装置において、
前記光源側光ファイバーの他方端における光ファイバーの光軸と前記検出側光ファイバーの一方端における光ファイバーの光軸との交差角度は、60°〜120°の範囲内にあることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の生体情報測定装置において、
前記光源側光ファイバーの他方端から前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置までの距離d1及び前記生体情報取得部位押し当て用孔の中心位置から前記検出側光ファイバーの一方端までの距離d2はともに、1mm〜5mmの範囲内にあることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
前記生体情報取得部位は、指の腹と指先との間に位置する部位であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の生体情報測定装置において、
前記測定用アタッチメントは、前記接触面の一方側に指の腹を載置する指の腹載置面が形成されていることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の生体情報測定装置において、
前記測定用アタッチメントは、前記接触部の他方側に指先を突き当てるための指先突き当て面が形成されていることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
前記測定用アタッチメントは、樹脂からなることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
前記測定用アタッチメントは、金属からなることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
前記近赤外吸収スペクトル測定装置は、生体により拡散反射された近赤外光を分光する回折格子と、前記回折格子により分光された光を選択的に反射するMEMSチップと、前記MEMSチップにより反射された光を検出する単一の光検出素子とを有するMEMS型近赤外吸収スペクトル測定装置であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の生体情報測定装置において、
前記データ解析装置は、前記近赤外吸収スペクトル測定装置により測定された近赤外吸収スペクトルのうち所定波長範囲の近赤外吸収スペクトルをPLS回帰分析法により解析して生体情報を得る機能を有することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項17】
請求項16に記載の生体情報測定装置において、
前記所定波長範囲は、1600nm〜2400nmの波長範囲を含むことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項18】
請求項1〜17に記載の生体情報測定装置において、
前記生体情報は、血糖値であることを特徴とする生体情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−191969(P2012−191969A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55993(P2011−55993)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(591137949)株式会社西澤電機計器製作所 (7)
【Fターム(参考)】