説明

生体活性の広く織られたメッシュ

生体活性材料で被覆される広く織られたメッシュが開示され、このメッシュの治療効目を増大する。このメッシュは、ヘルニア、膣子宮脱出症およびその他の類似の損傷の処置のために用いられ得る。このメッシュは、約5g/m〜約50g/mの最大残存質量密度を有するストランドであって、このストランド間に約1mm〜約10mmのスペースを有するストランド、および生体活性被覆を備える。この生体活性被覆は、少なくとも1つの生体活性薬剤を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年3月22日に出願された米国仮特許出願第60/664,134号の利益を主張し、その全体の開示は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、ヘルニア、子宮膣の脱出症およびその他の関連する損傷の処置において用いられ得る被覆された外科用メッシュに関する。
【0003】
(関連技術の背景)
ヘルニアは、基本的に、器官が通常含まれる身体の腔の壁を通ってその器官の一部の突出を生じる欠陥である。
【0004】
例えば、かなり一般的でかつ周知のタイプのヘルニアは、腹壁を通って突出する小腸の一部を含み得る嚢を生じる下部腹壁における欠陥である。これは、鼡径ヘルニアと称される。手術後の腹壁における欠陥は、切開創ヘルニアと称される。別のタイプのヘルニアは、子宮、膀胱、腸、または、例えば、膣壁を通って突出するその他の周辺組織の一部を生じる骨盤床における欠陥である。これは、通常、子宮膣の脱出症と称される。
【0005】
ヘルニアを処置する一般的な方法は、突出する器官がその正常の位置に含まれるために、ヘルニアの嚢がまた縫合されるか、または修復されるか否かにかかわらず、縫合糸によってこの欠陥を修復することである。この欠陥は、一般に、筋膜壁における組織の別離に至る弱体化および減衰を含むので、それは、通常、別離された組織を閉じるために縫合糸に張力を付与することが必要である。従って、筋膜壁は、一般に、別離された組織を閉鎖するためにこの欠陥の領域の周りで締め付けられるか、または張力を与えられる。
【0006】
この筋膜の周辺組織を締め付けるか、または張力を与える必要性なくして弱体化し、そして別離された組織に重層するか、または閉鎖するための外科用インプラントを用いることが示唆されている。このような外科用インプラントは、一般に、メッシュを含み、そして今や鼡径ヘルニア修復に広く用いられている。メッシュは、内部に皮下的に(すなわち、皮膚の下)、または腹壁の外部に付与され、そして処置される特定の欠陥の性質および重篤度に依存して、吸収性または非吸収性のいずれかであり得る。メッシュは、縫合糸と組み合わせて適用され得、メッシュをその場に保持するか、または、それに代わって、「非メッシュ」技法におけるように、縫合糸が別離された組織を閉鎖する。
【0007】
メッシュは、通常、開放手術手順で付与されるが、それらは、ときどき、腹腔鏡外科的手順で付与され得る。鼡径ヘルニア修復のための代表的なメッシュは、織られたか、または編まれたポリプロピレン、例えば、MARLEX(登録商標)またはPROLENE(登録商標)を含む。このようなメッシュは、それらをヘルニア修復における使用のために有効にする多くの所望の性質を有している。例えば、それらは、身体中に移植されるとき、有害な反応を引き起こす可能性がより少ないように、適切に不活性である材料から作製される。さらに、それらは、機械的に強く、安価で、容易に滅菌され、そして作業するのが容易である。
【0008】
子宮膣の脱出症の処置においてメッシュを用いることがまた示唆されている。子宮膣の脱出症の修復における使用のために提案されているメッシュは、鼡径ヘルニアの修復のために用いられているものと類似である。
【0009】
従来は、欠陥の部位への比較的広い接近が縫合糸などによりメッシュを適正に移植および固定するために要求されるので、開放手順がメッシュでのヘルニアの処置のために好まれてきた。しかし、任意の手術を実施するときのように、患者への外傷をできるだけ少なくしてヘルニアを処置することが所望される。従って、最小侵襲的技法の使用が、ヘルニアの処置のために示唆されている。このような外科的技法は、メッシュでの子宮膣の脱出症の処置で有用であるとは考えられていなかった。なぜなら、膣壁中に皮下的にメッシュを位置決めすることは、この領域への直接接近を得る困難性に起因して実際的であるとは考えられていないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来は、欠陥の部位への比較的広い接近が縫合糸などによりメッシュを適正に移植および固定するために要求されるので、開放手順がメッシュでのヘルニアの処置のために好まれてきた。しかし、任意の手術を実施するときのように、患者への外傷をできるだけ少なくしてヘルニアを処置することが所望される。従って、最小侵襲的技法の使用が、ヘルニアの処置のために示唆されている。このような外科的技法は、メッシュでの子宮膣の脱出症の処置で有用であるとは考えられていなかった。なぜなら、膣壁中に皮下的にメッシュを位置決めすることは、この領域への直接接近を得る困難性に起因して実際的であるとは考えられていないからである。
【0011】
さらに、ヘルニア修復で用いられる現在利用可能なメッシュの1つの欠点は、それらがぎざぎざであるか、または粗いエッジを有することである。従って、ヘルニアおよび脱出症を処置するために用いられるような外科的インプラントに対する改良が所望されたままである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要約)
本開示は、メッシュの治療的効目を増加する生体活性被覆で被覆された広く織られたメッシュに関する。このメッシュは、約1mm〜約10mmのストランド間のスペース、および約5g/m〜約50g/mの最大残存質量密度を有するストランドに織られているフィラメントから作製される。
【0013】
本開示はさらに、1つ以上の外科用ファスナーと組み合わせた生体活性被覆を備えた広く織られたメッシュの使用を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(詳細な説明)
本開示に従って、ヘルニア、脱出症、またはその他の類似の損傷の処置のために適切な外科用インプラントが提供される。このインプラントは、1つ以上の生体活性薬剤を含む組成物で被覆されている50g/m以下の最大残存質量密度を有する広く織られたメッシュを含む。残存質量密度は、移植および任意の生体吸収性被覆の吸収の後のメッシュの質量密度である。1つの実施形態では、上記最大残存質量密度は30g/m以下であり得、その一方、別の有用な実施形態では、残存質量密度は25g/m以下であり得る。従って、実施形態においては、この最大質量密度は約5g/m〜約50g/mであり得、実施形態においては約15g/m〜約40g/m、実施形態においては約25g/m〜約35g/mであり得る。
【0015】
本開示の広く織られたメッシュはストランドから作製され、これはまた、任意の適切な生体適合性材料から作製され得る。このメッシュが作製され得る適切な材料は、以下の特徴を有する:ヘルニアを引き起こす筋膜壁中の欠陥の修復の間に筋膜壁を支持するために十分な引張り強度;長期間の間ヒト身体中に保持されるとき、外来身体反応を避けるように実質的に不活性;メッシュがヒト身体中に移植されるとき、感染の導入を避けるように容易に滅菌される;そして身体中の所望の位置に配置するために適切に容易な取り扱い特徴を有している。
【0016】
この広く織られたメッシュは、ストランド、主要スペース、およびポアを含む。この広く織られたメッシュのストランドは、少なくとも2つのフィラメントによって形成され得、上記スペースはストランド間に形成され、必要な強度をもつ外科用インプラントを提供し、フィラメントは、ポアがストランドそれ自体中に形成されるように配列される。あるいは、これらストランドは、これらストランド中のポアに生じるループを形成するよう整列されるモノフィラメントによって形成され得る。これらストランドは、間隔をおいて離され得、ストランド間に約1mm〜約10mmの主要スペースを形成する。1つの有用な実施形態では、これらストランドは、間隔を置かれて離され得、ストランド間に約2mm〜約8mmの主要スペースを形成する。本開示に従って間隔を置いて離されたストランドを有するメッシュの使用は、ヒト身体中に移植されている外来本体塊を減少する利点を有し、その一方、上記広く織られたメッシュによって修復されている欠陥および組織を堅く支持するために十分な強度を維持する。
【0017】
この広く織られたメッシュのストランドは、約600μmより小さい、実施形態では約200μm〜約600μm、実施形態では約300μm〜約500μmの直径を有し得る。フィラメントは、約0.02mm〜約0.15mm、実施形態では約0.08〜約0.1mmの直径を有する。
【0018】
上記ストランドおよびフィラメントは、種々の異なるメッシュ形状にたて編みされるか、または織られ得る。いくつかの実施形態では、これらストランドは、等方性またはほぼ等方性の引張り強度および弾性を有するネットメッシュを形成するように整列され得る。
【0019】
このような欠陥、およびインプラントによる修復を必要とし得る種々の筋膜の種々のサイズに起因して、このインプラントは任意の適切なサイズであり得る。1つの実施形態では、この外科用インプラントは、約1cm〜約10cmの幅、および約1cm〜約10cmの長さである。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記フィラメントは、プラスチックまたは類似の合成の非吸収性材料から作製され得る。いくつかの例は、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドを含む。ポリプロピレンがいくつかの実施形態で利用され得る。
【0021】
別の実施形態では、上記メッシュのフィラメントは、ポリエステルのような吸収性材料から作製され得る。上記フィラメントを形成するために利用され得る適切な吸収性材料のいくつかの詳細な例は、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。
【0022】
一部が吸収性材料から作製されているフィラメントが、より良好な外科的取り扱いを可能にし、そして上記インプラントを、身体中の移植後、最小の塊を有することを可能にすることが認識され得る。
【0023】
なお別の実施形態では、上記広く織られたメッシュは、記憶を有する材料から作製され得る。記憶をもつメッシュは、外科用インプラントを平坦な配座を採用するようにする。このようなインプラントは、湾曲した周を有し得、すなわち、隅または頂点がほとんどないか、またはない。なぜなら、鋭い隅は、エッジ腐食および感染の可能性を増加するからである。この特有の形状は、しかし、インプラントの意図された使用に従って変動する。
【0024】
本開示の実施形態では、フィラメントは、約0.07mm〜0.08mmの直径を有するポリプロピレンから形成され得、ここで、このメッシュを構成するストランドは間隔を置かれ、約2mm〜約5mmのメッシュ中のスペースを形成する。
【0025】
その他の実施形態では、フィラメントは、約0.05mm〜約0.09mmの直径を有するポリエステルから形成され得、ここで、上記ストランドは間隔を置かれて約2mm〜約5mmのメッシュ中のスペースを形成する。
【0026】
上記外科用インプラントは、比較的広いギャップによって間隔を置かれる狭いストランドを含むので、組織は、本開示の広く織られたメッシュ中に生育することが遅いかも知れない。それ故、このメッシュが組織内成長を促進する手段を有することが所望され得る。実施形態では、メッシュのストランド中にポアを提供することが所望され得、組織内成長を支援し、そして組織はそれにより容易に接着し得る。
【0027】
少なくとも1つのフィラメントが織り込まれるか、または編まれてポアを有するストランドを生成し、それは、次に、本開示のメッシュを形成するために利用される。製造する理由のため、2つのフィラメントを用い、メッシュのストランド中にポアを形成し、組織内成長を支援することが所望され得る。しかし、1つのフィラメントが適切に結ばれるか、または絡みあわされ得、適切な寸法のポアを形成する場合、この単一のフィラメントは、メッシュのストランドを形成するよう同様に行うために用いられ得る。
【0028】
本開示のメッシュのポアは、代表的には、繊維芽細胞貫通成長および整然としたコラーゲン敷設を許容するサイズであり、このメッシュの身体中への組み込みを生じる。例えば、織られ/編まれたフィラメントは、直径が約50μm〜約200μm、実施形態では直径が約55μm〜約75μmであるストランド中にポアを生成する。あるいは、直径が約50μm〜約200μmの材料のリングまたはループが、メッシュのストランド上に接着されるか、またはその上に形成され得、これらストランド上にさらなるポアを提供する。
【0029】
本開示のメッシュのストランド間の広い間隔、およびフィラメントの小直径に起因して、現在利用可能なメッシュで見出される問題、すなわち、それらのぎざぎざの、そして/または粗いエッジは和らげられる。
【0030】
本開示の広く織られたメッシュは、少なくとも1つの生体活性薬剤を有する生体活性被覆を所有する。本明細書で用いられるとき、用語「生体活性」は、最も広い意味で用いられ、そして臨床使用を有する任意の物質または物質の混合物を含む。結果として、生体活性薬剤は、薬理学的活性自体(例えば色素)を有しても良いし、有さなくても良い。あるいは、生体活性薬剤は、治療または予防効果;組織成長、細胞成長および/または細胞分化に影響または参加する化合物;免疫応答のような生物学的作用を発動し得る化合物;または1つ以上の生物学的プロセスで任意のその-他の役割を演じ得る化合物を提供する任意の薬剤であり得る。
【0031】
本開示に従って利用され得る生体活性薬剤のクラスの例は、抗微生物剤、鎮痛薬、抗発熱剤、麻酔薬、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、心臓血管薬物、診断薬剤、交感神経作用剤、コリン作用剤、抗ムスカリン剤、鎮痙薬、ホルモン、成長因子、筋肉弛緩剤、アドレナリン作用ニューロンブロッカー、抗新生物剤、免疫原性薬剤、免疫抑制剤、胃腸管薬物、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖、多糖、および酵素を含む。生体活性薬剤の組み合わせが用いられ得ることもまた意図される。
【0032】
本開示の生体活性被覆中の生体活性薬剤として含められ得る適切な抗微生物薬剤は、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた知られるトリクロサン、クロルヘキシジン、およびクロルヘキシジンアセテート、クロルヘキシジングルコネート、クロルヘキシジンハイドロクロライド、およびクロルヘキシジンサルフェートを含むその塩、銀および酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリル酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、タンパク質銀、およびスルファジアジン銀を含むその塩、ポリミキシン、テトラサイクリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンのようなアミノグリコシド、リファンプシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、オキソリン酸のようなキノロン、ノルフロキサシン、ナリジキシン酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシン、オキサシリンおよびピペラシルのようなペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、およびそれらの混合物を含む。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBのような抗微生物タンパク質およびペプチドが、本開示の生体活性被覆中の生体活性薬剤として含められ得る。
【0033】
本開示の組成物中に生体活性薬剤として含められ得るその他の生体活性薬剤は:局所麻酔剤;非ステロイド系避妊薬剤;副交感神経遮断薬剤;精神療法薬剤;トランキライザー;うっ血除去薬;鎮痛催眠薬;スルホンアミド;交感神経作用薬剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア剤;抗片頭痛薬剤;L−ドパのような抗パーキンソン病薬剤;抗痙性剤;抗コリン作用性薬剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管拡張薬;冠状動脈血管拡張薬およびニトログリセリンのような心臓血管薬剤;アルカロイド;鎮痛剤;コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルホリンなどのような麻酔剤;サリチレート、アスピリン、アセタミノフェン、d−プロポキシフェンなどのような非麻酔剤;ナルトレキソンおよびナロキソンのようなオピオイドレセプターアンタゴニスト;抗癌剤;抗痙攣薬;抗催吐薬;抗ヒスタミン薬;ホルモン薬剤、ヒドロコルチゾン、プレドニソロン、非ホルモン薬剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなどのような抗炎症剤;プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬剤;エストロゲン;抗細菌剤;抗生物質;抗真菌剤、抗ウイルス剤;抗凝固剤;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン;および免疫学的薬剤を含む。
【0034】
本開示の生体活性被覆中に含まれ得る適切な生体活性薬剤のその他の例は、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、およびそれらの活性フラグメント、例えば、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFN、γ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インシュリン、抗腫瘍薬剤および腫瘍サプレッサー、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インシュリン様成長因子);タンパク質阻害剤、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;アンチセンス分子、DNAおよびRNAのような核酸;オリゴヌクレオチド;およびリボザイムを含む。
【0035】
単一の生体活性薬剤が利用されて、本開示の広く織られたメッシュの生体活性被覆を形成し得るか、または代替の実施形態では、生体活性薬剤の任意の組み合わせが利用されて、
本開示の広く織られたメッシュの生体活性被覆を形成し得る。
【0036】
生体活性被覆は、1つ以上の生体活性薬剤を含む組成物または被覆、または適切な生体適合性溶媒中に分散された生体活性薬剤(単数または複数)としてメッシュに付与され得る。特定の生体活性薬剤のための適切な溶媒は、当業者の範囲内にある。その他の実施形態では、この生体活性被覆は、生体吸収性材料中の生体活性薬剤を含み得る。
【0037】
生体活性薬剤と組み合わされ得、そして本開示の生体活性被覆を形成するために利用される吸収性材料は、ゼラチンまたはスターチのような可溶性ヒドロゲル、またはセルロースを基礎にしたヒドロゲルを含む。実施形態では、この吸収性材料は、アルギネートまたはヒアルロン酸であり得る。生体活性被覆を形成するために利用され得る吸収性材料のその他の例は、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。この生体活性被覆は、任意の厚みまたは塊を有し得、そして適切な取り扱い特徴を備えた広く織られたメッシュを提供するために利用され得る。実施形態では、この被覆は、メッシュの厚みより大きい厚みを有するシートの形態であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示の生体活性被覆は、脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸エステルの塩を含む脂肪酸成分を含み得る。適切な脂肪酸は、飽和または不飽和であり得、そして約12より多い炭素原子を有する高級脂肪酸を含む。適切な飽和脂肪酸は、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸およびラウリル酸を含む。適切な不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む。さらに、ソルビタントリステアレートまたは水素化ひまし油のような脂肪酸のエステルが用いられ得る。
【0039】
適切な脂肪酸塩は、Cおよびより高級の脂肪酸、特に約12〜約22の炭素原子を有するものの多価金属イオン塩、およびそれらの混合物を含む。ステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸のカルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、および亜鉛の塩を含む脂肪酸塩は、本開示のいくつかの実施形態で有用であり得る。特に有用な塩は、市販の「食品グレード」のステアリン酸カルシウムであり、これは、約1/3のC16および2/3のC18脂肪酸の混合物を、少量のC14およびC22とともに含む。
【0040】
本開示の生体活性被覆中に含められ得る脂肪酸エステルの適切な塩は、ステアロイルラクチレートカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛;パルミチルラクチロイルカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛;オレリルラクチレートカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛;カルシウムステアロイル−2−ラクチレート(例えば、American Ingredients Co.Kansas City,Mo.)から商標名VERVの下で市販され入手可能なカルシウムステアロイル−2−ラクチレートが、いくつかの実施形態では有用である。利用され得るその他の脂肪酸エステルは、リチウムステアロイルラクチレート、カリウムステアロイルラクチレート、ルビジウムステアロイルラクチレート、セシウムステアロイルラクチレート、フランシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムパルミトイルラクチレート、リチウムパルミトルラクチレート、カリウムパルミトイルラクチレート、ルビジウムパルミトイルラクチレート、セシウムパルミトイルラクチレート、フランシウムパルミトイルラクチレート、ナトリウムオレイルラクチレート、リチウムオレイルラクチレート、カリウムオレイルラクチレート、ルビジウムオレイルラクチレート、セシウムオレイルラクチレート、およびフランシウムオレイルラクチレートを含む。
【0041】
利用される場合、脂肪酸成分の量は、総生体活性被覆の約5重量%〜約50重量%、実施形態では、総生体活性被覆の約10%〜約20%であり得る。
【0042】
この生体活性薬剤を含む任意の被覆組成物は、全体のフィラメント、ストランドまたはメッシュをカプセル化し得る。あるいは、この生体活性被覆は、フィラメント、ストランドまたはメッシュの1つ以上の側面に付与され得る。このような被覆は、メッシュの所望の治療特徴を改善する。
【0043】
生体活性被覆は、当業者に公知の任意の適切な方法を利用して上記広く織られたメッシュに付与され得る。いくつかの例は、制限されないで、噴霧、浸漬、成層、カレンダー処理などを含む。生体活性薬剤または生体活性被覆はまた、本名明細書中に記載される吸収性被覆中に取り込まれ得、そしてそれ故、広く織られたメッシュに付与される。
【0044】
上記生体活性被覆は、メッシュに、それがより容易に取り扱われるように嵩(bulk)を付加し得る。この生体活性被覆が生体吸収性材料を含む場合、この被覆は、移植後身体中に放出されるべきであり、そしてそれ故、身体中に保持される外来本体質量に寄与すべきではない。従って、最小の質量を有する外科用インプラントの利点は保持される。
【0045】
上記生体活性被覆が吸収性材料を含む場合、この被覆は、移植後、約2日〜約14日までの時間内に身体中に放出される。1つの実施形態では、この被覆は、移植後、約2日〜約3日に放出され得る。別の有用な実施形態では、この被覆は、移植後、約7日〜約14日に放出され得る。
【0046】
本開示のメッシュ上の生体活性被覆からの生体活性薬剤の放出の速度は、当業者の範囲内の任意の手段によって制御され得る。いくつかの例は、制限されずに、この被覆の表面からの生体活性薬剤の深さ;生体活性薬剤のサイズ;生体活性薬剤の疎水性;および生体活性薬剤、生体活性被覆および/またはメッシュ材料間の物理的および物理的−化学的相互作用を含む。これら因子のいくつかを適正に制御することにより、本開示のメッシュからの生体活性薬剤の制御された放出が達成され得る。
【0047】
別の実施形態では、本開示の広く織られたメッシュは、このメッシュに離脱可能に付着され得る裏打ち細片を含み得る。この裏打ち細片は、プラスチックを含む所定範囲の材料から形成され得、そして接着剤によって離脱可能に付着され得る。
【0048】
裏打ち細片のメッシュへの離脱可能な付着は、よりしっかりとし、かつより可撓性でない外科用インプランを提供し得、これは、外科医によってより容易に取り扱われ得る。外科用インプラントの適切な配置の後、この裏打ち細片は、外科用インプラントから除去され得、この外科用インプラントは、身体中に保持され、そしてこの裏内材料は、外科医によって除去される。外科用インプラントは、それ故、なお外科的取り扱いに必要な特徴を提供しながら、減少した質量からの利益を受け得る。
【0049】
実施形態では、本開示の広く織られたメッシュのストランドを生成するために用いられるフィラメントは、生体成分マイクロファイバーから作製され得る。生体成分マイクロファイバーは、コア材料および表面材料を含み得る。実施形態では、この生体成分マイクロファイバーは、非吸収性または長く継続する吸収性のコア、およびより短く継続する吸収性の表面材料を含み得る。この生体成分マイクロファイバーの表面材料は、コア部分のみが、延長された期間の間、代表的には、組織内成長を可能にするに十分に長い時間の間、残るように、多くの時間内に身体によって吸収され得る。これらの生体成分マイクロファイバーを形成する際に種々の材料が用いられ得るが、適切な材料は、コアについてはポリプロピレン、および表面材料についてはポリ乳酸またはポリグリコール酸を含む。別の実施形態では、この生体成分マイクロファイバーは、身体によって迅速に吸収され得るコア材料、および同様に迅速に吸収されない、すなわち、コアより長い時間に亘り吸収される表面材料から作製され得る。
【0050】
実施形態では、生体成分マイクロファイバーの表面材料は、外科的取扱いに必要な特徴を備えた外科用インプラントを提供する。身体中への挿入後、この生体成分マイクロファイバーの表面材料は、身体によって吸収され得、メッシュのストランドとしてコア材料の毛減少した質量を後に残す。
【0051】
外科医が特定の患者を処置するために適切なサイズのインプラントを選択し得るように、異なるサイズを有する種々のインプラントを提供することが所望され得る。これは、送達前にインプラントが完全に成形されることを可能にし、製造業者の制御の下にこのインプラントの円滑なエッジが適正に形成されることを確実にする。外科医は、それ故、患者の評価の後に用いるべき適切なインプラントを選択するように種々の異なるサイズ(および/または形状)を有し得る。
【0052】
別の実施形態では、上記メッシュは、任意の所望のサイズに切断され得る。この切断は、外科医が手に多くの異なるサイズのインプラントを有する必要はなく、患者の評価の後、インプラントの所望のサイズにメッシュを単に切断し得るように、滅菌条件下で外科医または看護婦によって実施され得る。換言すれば、上記インプラントは、大きなサイズで供給され得、そして所望により、より小さなサイズに切断され得る。
【0053】
上記メッシュの切断が、生成されるべきメッシュの仕上げられていないエッジを生じる場合でさえ、この仕上げられていないメッシュは、より少ないストランド、より小さな直径のフィラメント、および、損傷が最も生じる可能性のあるとき、外科的手順の間にメッシュから組織を保護する被覆でのメッシュの処置に起因して、先行技術のインプラントの粗く、かつぎざぎざのエッジと同じ問題を引き起こしそうにない。
【0054】
異なる形状が、筋膜組織中の異なる欠陥を修復するために適切であり、そしてそれ故、所定範囲の形状に切断され得る外科用インプラントを提供することによって、筋膜組織中の広範な範囲の欠陥が処置され得る。
【0055】
より広範には、本開示は、上記インプラントが、このインプラントによって修復されるべき欠陥を受け得るヒトまたは動物身体の解剖学的表面と一致する任意の形状を有し得ることを認識する。
【0056】
代表的には、前部子宮膣の脱出症は、形状が楕円または先欠け楕円であり、その一方、後部の脱出症は、形状が円形または卵形である。従って、上記インプラントの形状は、処置されるべきヘルニアまたは脱出症に依存して用いられるべき、楕円、先欠け楕円、丸形、円形、卵形(oval)、卵(ovoid)または特定の類似の形状の任意の1つであり得る。
【0057】
この点で、本開示の外科用インプラントは、子宮膣の脱出症の修復のために有用であり得るが、それはまた、ヘルニアの修復を含む種々の外科的手順で用いられ得る。
【0058】
エッジの問題をさらに低減するために、本開示の広く織られたメッシュは、周縁部材を有し得、これは、使用において、インプラントの周の少なくとも一部に沿って延び、実質的に円滑なエッジを提供する。換言すれば、上記メッシュは、その周縁の少なくとも一部の周りを、このインプラントの周の少なくとも一部が周縁部材によって規定されるように延びる少なくとも1つの周縁部材(すなわち、ファイバー、ストランドなど)を有し得る。あるいは、上記インプラントの周の少なくとも一部は、メッシュのエッジで、1つ以上の周縁部材によって規定され得る。
【0059】
メッシュのエッジ、そしてそれ故、インプラントの周は、従って、ほぼ円滑であり、そしてそれ故、従来のメッシュに対して顕著な利点を有している。詳細には、円滑なエッジを有するインプラントは、エッジの突出または腐食を引き起こす可能性がより少ない。
【0060】
インプラントの周の任意の量は、周縁部材(単数または複数)によって規定され得る。1つの実施形態では、インプラントの少なくとも50%の周が、周縁部材(単数または複数)によって規定され得る。別の実施形態では、インプラントの少なくとも80%の周が、周縁部材(単数または複数)によって規定され得る。本開示のメッシュの利点を最大にするため、いくつかの実施形態では、周縁部材(単数または複数)によって規定されるインプラントの100%の周を有することが所望され得る。それ故、インプラントの約50%〜約100%が周縁部材(単数または複数)によって規定され得、実施形態ではインプラントの周の約65%〜約95%が周縁部材(単数または複数)によって規定され得る。メッシュの大部分または全体の周が円滑であることは、エッジ腐食または感染を引き起こす粗いエッジのリスクを最小にする。
【0061】
上記周縁部材(単数または複数)は、種々の方法で整列され得、本開示のメッシュの円滑エッジまたは周を提供する。いくつかの場合には、周を形成するために利用される部材の数を最小にすることが所望され得る。これは、メッシュの構築を単純にし、これは、製造のためのみならず、より単純な構造は、移植後に問題となり得る欠陥を有する可能性がより少ないからである。実施形態では、メッシュの周は、1つの周縁部材によって規定され得る。
【0062】
別の実施形態では、上記メッシュは、異なる半径方向位置に整列される複数の周縁部材を有し得る。所望の寸法のインプラントを提供するために、所望の周縁部材の外側のメッシュの周は、1つ以上の選択された周縁部材が所望のようにインプラントの周を形成するように切り取られ得る。
【0063】
これら周縁部材はまた、同心に配列され得る。複数の周縁部材の同心配列は、異なるサイズのインプラントの形状の維持を可能にし、そしてこのメッシュに均一な構造を提供する。
【0064】
上記周縁部材はまた、一体メッシュを形成するために互いと接続するように配列され得る。あるいは、このメッシュは、周縁部材を接続して周縁部材を横切って延びる横方向部材をさらに備え得る。
【0065】
これら横方向部材は、中央点から、インプラントの周まで半径方向に延び得る。これら横方向部材は、実質的に均一な構造的強度、および剛直性をインプラントに提供するように配列され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、メッシュが患者中に適正に位置されたなら、それをその場に固定することが所望され得る。広く織られたメッシュは、当業者に公知の任意の様式で固定され得る。いくつの例は、強い側方組織にメッシュを縫合すること、生体適合性接着剤を用いてメッシュをその場に接着すること、または、メッシュをその場に保持するために、外科用ファスナー、例えばタックを用いることを含む。
【0067】
実施形態では、生体適合性の接着剤を用いることが有利であり得る。なぜなら、外科用インプラントの周りの領域に接着剤を付与することはかなり迅速であるからである。さらに、このメッシュは、インプラントをその場に固定するために生体適合性の接着剤を含む少なくとも1つのカプセルを含み得る。特定の状況では、このメッシュは、外科用インプラントの周の周りに提供され得る生体適合性接着剤を含む約4つまでのカプセルを含み得る。これらのカプセルは、直径が約3mm〜約5mmの中空の薄壁のスフェアであり得、そしてゼラチンから作製され得る。
【0068】
当業者の範囲内の任意の生態適合性接着剤が用いられ得る。実施形態において、有用な接着剤は、フィブリン接着剤およびシアノアクリレート接着剤を含む。
【0069】
別の実施形態では、本開示の広く織られたメッシュは、外科用タックのような外科用ファスナーを用いて組織に固定され得る。用いられ得るその他の外科用ファスナーは、当業者の範囲内にあり得、ステープル、クリップ、らせんファスナーなどを含む。
【0070】
実施形態では、上記広く織られたメッシュを固定するために外科用ファスナーとして外科用タックを用いることが有利であり得る。タックは、その他のファスナーと比較して、より大きな除去力に抵抗することが知られている。さらに、タックは、ステープルによって生成される複数の穿孔と比較したとき、1つの穿孔を生成するに過ぎない。タックはまた、修復部位の1つの側面のみから用いられ得、修復部位の両側面への接近を必要とするステープル、クリップまたはその他のファスナーとは異なる。これは、脱出症の両側面に接近しなければならないことなくしてはこの脱出症に接近することが困難である、膣脱出症の修復で特に有利であり得る。本開示の広く織られたメッシュを組織に固定するために利用され得る適切なタックは、制限されないで、その全体の開示が本明細書中に参考として援用される米国特許出願公開番号第2004/0204723号に開示されるタックを含む。
【0071】
本開示の広く織られたメッシュと組み合わせてこれを組織に固定するために利用され得るその他のファスナーのための適切な構造は、当該技術分野で公知であり、そして例えば、Graftonらによる米国特許第5,964,783号に開示される縫合糸アンカーを含み得、その全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。利用され得るさらなるファスナーおよびそれらの挿入のためのツールは、米国特許第6,562,051号に開示されるらせんファスナー、および2004年6月14日に出願された国際特許出願番号第PCT US04/18702号に開示されるネジファスナーを含み、これらの各々の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0072】
本明細書中の広く織られたメッシュとともに有用な外科用ファスナーは、生体吸収性材料、生体吸収性でない材料、およびそれらの組み合わせから作製され得る。利用され得る適切な材料は、米国特許出願公開番号2004/0204723号、および国際特許出願番号第PCT US04/18702号に記載されるものを含み、これらの各々の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。利用され得る吸収性材料の例は、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。利用され得る非吸収性材料の例は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、クロム合金およびその他の生体適合性の移植可能な金属を含む。実施形態では、形状記憶合金が、ファスナーとして利用され得る。適切な形状記憶材料はニチノールを含む。
【0073】
本開示の広く織られたメッシュとともに利用される外科用ファスナーは、任意のサイズまたは形状に作製され得、修復部位において位置する組織のサイズ、形状およびタイプに依存してそれらの使用を増大する。
【0074】
外科用ファスナー、例えば、タックは、単独または本明細書中に記載されるその他の固定方法と組み合わせて用いられ得、メッシュをヘルニア、脱出症、またはその他の修復部位に固定する。例えば、広く織られたメッシュは、その場に、タック付けされ、そして接着剤で付けられ、または、縫合され、そしてタック付けされる。
【0075】
外科用ファスナーは、広く織られたメッシュに種々の方法で取り付けられ得る。実施形態では、メッシュの端部がファスナー(単数または複数)に直接取り付けられ得る。その他の実施形態では、メッシュは、移植の前にファスナー(単数または複数)の周りに巻かれ得る。なお別の実施形態では、ファスナーは、メッシュの外側エッジの内側に配置され得、そしてこのメッシュをファスナーに対し、そして損傷の部位中に締め付ける様式で移植される。
【0076】
本開示の別の局面によれば、子宮膣の脱出症を処置する最小侵襲的方法が提供され、この方法は以下の工程:膣の腔の開口部に近接する膣壁に切開を作製する工程;この切開を通って、脱出症の領域上およびそれを取り囲んで皮下カットを作製する工程であって、そのカットが上記膣壁に実質的に平行である工程;および本開示による広く織られたメッシュを上記切開を通じて上記カットによって規定されるスペース中に挿入する工程を含む。
【0077】
従って、本開示に従うメッシュは、膣の腔の周縁または開口部の領域中に小切開(例えば、長さが約1cm〜約2cm)を通じて挿入され得る。この位置における切開は、外科医が膣の腔中のより深い切開より接近することがより容易である。本開示のメッシュをこのような切開を通じて移植することにより膣の脱出症を処置することはまたより便利である。
【0078】
1つの実施形態では、上記切開は、膣の腔の脱出症の膀胱の最前部または最後部に存在し得る。これは脱出症は最も頻繁に前部または後部膣壁に生じるので、このような位置に切開をそのように位置決めすることは、膣壁のこれらの部分への最も便利な接近を可能にするので所望され得る。
【0079】
最小侵襲的技法によるメッシュの適切な配置、特に、子宮膣の脱出症の処置においては、メッシュが可能な限り可撓性であることが必要である。従って、このメッシュ上の生体活性被覆は、戦略的に配置されるべきであり、メッシュが、折畳み可能、巻き可能、可撓性などのままであることを確実にする。いくつかの実施形態では、可撓性のより嵩張らないメッシュが、特定のツールによる脱出症の修復においてより容易に取り扱われ得る。この手順を実施するために用いられ得るツールは、当業者に公知である。適切なツールの例は、PCT出願番号第PCT/GB02/01234号に記載され、その全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。上記メッシュを適正に挿入し得る任意のツールが最終的に用いられ得る。
【0080】
本開示の実施形態が、ここで、添付の図面を参照して、例示のみによって説明される。
【0081】
図1および2を参照して、ヘルニア、膣脱出症または類似の損傷が、筋膜壁1が破裂し、欠陥2、すなわち、弱体化すること、この場合では、筋膜壁1の別離を形成するとき、生じる。この筋膜壁1によって含まれる器官3は、次いで、この欠陥2を通って突出する。このような突出は図2中に示され、そして特に筋膜壁1によって規定される腔内の圧力が高められるときに生じる。例えば、鼡径ヘルニアの場合、患者が咳をするとき、腹部内の圧力が高められ、そして腸が腹壁中の欠陥を通って押され得る。
【0082】
欠陥2を通って突出し得る器官3は、通常、なお特定のその他の膜4に含まれるが、ヘルニア、脱出症などは、必然的に痛みをともない、そして感染またはその他の合併症を受け易い。有効かつ所望される処置は、それ故、欠陥2を閉鎖すること、および器官3をその正常位置に含めることである。
【0083】
図3を参照して、ヘルニアまたは膣脱出症は、従来は、筋膜壁1の組織を連結するために欠陥2を横切る縫合糸5を提供することによって修復され得る。さらに、その他の膜4にひだを付ける(すなわち、折り畳むか、または縮小する)ことが必要であり得る。なぜなら、これは、器官3の膨張に起因して拡張したかも知れないからである。このその他の膜4のひだは、この伸張を矯正し、そして治癒の間に欠陥2の領域に対する圧力を軽減する。なぜなら、このその他の膜4は、器官3をある程度含むように作用し得るからである。ひだは、一般に、このその他の膜4に縫合糸6を付与することによって達成される。
【0084】
図4を参照して、これはまた、ヘルニアを処置する公知の方法であって、縫合糸に加え、またはそれに代わって欠陥2を横切るメッシュ7を提供する。これは、筋膜壁1の分かたれた組織が必ずしも一緒になる必要性なくして欠陥2が修復されること、そしてこの欠陥が、この欠陥2を矯正するために筋膜壁1が締め付けられるか、または張力を与えられることなくして治癒することを可能にする。
【0085】
図5は、ヒト女性の膣領域(の前後方向図)を概略的に示す。膣8は図の上部でその前部部分(前)、および図の底部で後部部分(後)で示される。子宮の開口部、または子宮オリフィスの9は、膣8の前方または前部の端部にある。膣8の中心部分は、頸部10で終了する膣の腔を形成する。膣8の後方または後部の端部から間隔をおいて肛門がある。膣壁12の4つの領域A〜Dは、図5に概要が示される。これらの領域A〜Dは、膣脱出症がしばしば起こるような膣壁12の領域である。
【0086】
図6を参照して、これは図5中の線A−Aに沿った断面図であり、膣8の壁12が膀胱13および尿道14、子宮15、小腸16および直腸17によって境されることがより明瞭に観察され得る。小腸16および直腸17は、ダグラス窩によって分離されている。
【0087】
領域Aは、膀胱13および尿道14に隣接する前部膣壁12の下部の1/3である(すなわち、膣の腔への入口に最も近い1/3)。この領域における脱出症は、前部、またはより詳細には、尿道腔腸(urethracoele)脱出症と称される。領域Bは、前部膣壁12の上部2/3である。この領域における脱出症は、前部、またはより詳細には、膀胱腔腸(cystocoele)脱出症と称される。頸部10が位置する膣壁12の中央領域は、子宮15に隣接して位置し、そしてこの領域における脱出症は、中央、子宮腟円蓋脱出症と称される。領域Cは、後部膣壁12の上部1/3である。膣壁12のこの領域は、小腸16に隣接し、そしてこの領域における脱出症は、後部または腸腔腸(enterocoele)脱出症。最後に、領域Dは、後部膣壁の下部2/3であり、そして直腸17に隣接している。この領域における脱出症は、一般に後部または直腸腔腸(rectocoele)脱出症と称される。
【0088】
従来は、任意の上記のタイプのヘルニアは、脱出症の領域中に縫合糸を提供することにより処理されている。例えば、脱出症を引き起こす欠陥の程度は、最初、外科医によって識別される。側方縫合糸、すなわち、図5に見られるような膣壁12の一方の側から他方の側までの縫合糸、または前部から後部までよりむしろ右から左がこの欠陥の領域を横切って提供される。これは、膣壁の分かたれた組織を接続し、そして欠陥を修復する。膣壁を通って突出する器官は、従って含められる。この技法の欠点は、欠陥を修復するための縫合糸による壁に張力を与えられることに起因する膣の解剖学的歪みを含む。
【0089】
図7Aおよび7Bを参照して、本開示の実施形態に従う膣脱出症の修復における使用のための外科用インプラントは、被覆されたメッシュ20を含む。このメッシュは、ストランド22からなる。これらのストランドは、直径が約600μm、そしてほぼ約150μm〜600μmであり得る。これらストランドは、それらが規則的なネットワークを形成し、そして互いから、ダイヤモンド形状のメッシュについては、図7Aに描写されるように、約2mm〜約5mmのスペースが、メッシュのストランドが互いと相互作用する点の間に存在するように互いから間隔を置いて離れる。六角形のネット配列では、このスペースは、図7Bに描写されるようにメッシュのストランドが相互作用する対向する対角線の点間が約2mm〜約5mmである。
【0090】
メッシュに十分な引張り強度および有効である弾性を提供しながら、血液がインプラントを通過し、そしてインプラントの質量を減少することを可能するに可能な限り遠くパーツとしてストランドの間隔を置くことが所望され得る。従って、ストランド間の最大スペースどりにおけるかなりの多様性が、ストランドが作製される材料、およびストランドが配列されるネットパターンに依存して達成され得ることが認識され得る。
【0091】
図7Aに示される実施形態では、ストランドは、ダイヤモンドネットパターンで配列されるが、しかし、適切な引張り強度および弾性を提供する任意のパターンが用いられ得る。例えば、図7Bに示されるように、六角形のネットパターンが用いられ得る。理想的には、インプラントの全体の質量を低減するために、ストランド22は、適切な引張り強度および弾性をメッシュ20になお提供しながら、可能な限り狭い直径を有するべきである。
【0092】
メッシュ20のストランド22は、ポア28がフィラメント25間に形成されるように相互作用するよう配列される少なくとも2つのフィラメント25からなり得る。フィラメント25の間に形成されるこれらのポア28は、直径が約50μm〜約200μmであり得、これは、線維芽細胞の貫通成長が起こることを可能にする。この線維芽細胞の貫通成長は、このインプラント20を身体内のその場に固定する。適正なサイズのポアは、このインプラント20が新たな組織の構築を促進するための足場として作用する。新たな組織の構築は、処置されるべきヘルニアまたは脱出症の治癒を促進する。
【0093】
これらフィラメント25は、任意の生体適合性材料から形成され得る。1つの実施形態では、これらフィラメント25はポリエステルから形成され得、ここで、各ポリエステルフィラメント25は、直径が約0.09mmである。示される実施形態では、ストランド22のフィラメント25は、フィラメント25およびストランド22の擦り切れの可能性を低減するためにたて編みを用いて一緒に編まれる。
【0094】
このフィラメント25の微細なたて編みは、取り扱う際に可撓性であり、そして異なる形状および寸法に容易に切断され得る外科用インプラントを提供する。ストランド22がたて編みを用いて形成されるとき、生産の後の外科用インプラント20のエッジの擦り切れ、または外科用インプラント20の切断の可能性は低減される。
【0095】
フィラメントの擦り切れを低減するその他の方法は、外科用インプラントのエッジをシールするための熱処理、レーザー処理などである。
【0096】
メッシュ20は、任意の形状またはサイズで供給され得、そして外科医によって要求されるように適切な寸法に切断される。
【0097】
メッシュの切断は、仕上げられていないエッジを生成することが認識され得る。メッシュを形成するストランドのまばらな性質、およびそれらの狭い直径に起因して、この仕上げられていないエッジは、先行技術のメッシュのエッジと同じ問題を被らない。換言すれば、生成されたエッジは、それがインサイチュ(in situ)におけるメッシュのエッジの突出または感染の機会の可能性を増加するようには粗くなく、かつぎざぎざでない。
【0098】
上記で論議されたように、本開示のメッシュの利点は、それが、実質的により少ない外来材料が身体内に残ることを可能にする、ヘルニア修復のために適切なメッシュの生産を可能にすることである。
【0099】
図8Aおよび8Bを参照して、メッシュは、生体活性被覆32を含む。この生体活性被覆32は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生体活性薬剤を所有する吸収性材料の層を備え、ここで、この被覆層は、メッシュ20のストランド22のそれより大きい厚みを有する。例えば、被覆材料の層の厚みは、約1mm〜約2mmであり得る。メッシュ20のストランドは、メッシュ20の外面が生体活性被覆32によって完全に覆われるように生体活性被覆32中に完全に包埋され得る。実際、全体の外科用インプラントは、図8Aに示されるように、生体活性被覆中に取り囲まれ得る。
【0100】
従って、この外科用インプラントは、その表面上にギャップまたは穴を有さない。これは、メッシュ20の移植前にメッシュ20のストランド上に細菌が宿るようになる可能性を低減する利点を有する。さらに、生体活性被覆32は、メッシュ20を、それが外科医によってより容易に取り扱われるようにより実質的であり、かつより可撓性でなくする。これは、特に、このメッシュを従来の開放手術手順で所望の位置に配置することが所望されるとき有用である。
【0101】
図8Bに示される代替の実施形態では、生体活性被覆32は、メッシュ20の1つの面34に付与される被覆材料の層を、このメッシュが被覆材料が付与された第1の面34および被覆材料が付与されていない第2の面36を有するように備える。それ故、これら第1の面34および第2の面36の各々は、異なる特徴を有する。
【0102】
図8Cに描写される別の実施形態では、外科用インプラントは、裏打ち細片40へのメッシュ20の離脱可能な取り付けを利用することが所望され得る。この裏打ち細片はプラスチック材料から形成され得、そして離脱可能な接着剤を用いて外科用インプラントに接着され得る。この裏打ち細片40は、メッシュ20が外科医によってより容易に取り扱われるように、より実質的かつより可撓性でないようにする。メッシュ20の適切な配置の後、この裏打ち細片40はメッシュ20から除去され得、メッシュ20は身体中に保持され、そして裏打ち材料40は外科医によって除去される。メッシュ20に付与された裏打ち細片40を所有するインプラントは、メッシュ20が減少した質量からの利益を受けるが、このメッシュ20および裏打ち細片40が一緒に、外科的取扱いのための望ましい特徴を提供し得ることを意味する。
【0103】
図8Dに示されるように、さらなる実施形態では、メッシュのフィラメントは、生体成分マイクロファイバーから構成され得る。この生体成分マイクロファイバーは、コア52(切欠きセクションはコア領域を示す)、および表面材料54を含み得る。この表面材料54は、それが時間の事項で身体によって吸収されるように、その一方、コア材料52は、組織内成長を可能にするようにより長い時間の間身体中に残るように設計される。
【0104】
適切な生体成分マイクロファイバーは、ポリプロピレン非吸収性部分、およびポリ乳酸吸収性部分を含む。表面材料54は、メッシュが患者中に挿入されており、そして位置されるとき、外科的手順の間に存在し、そしてこのメッシュに外科的取扱いのために望ましい特徴を提供する。身体中の挿入の期間、代表的には2〜3時間の後、この表面材料54は身体中に吸収され、フィラメントのコア材料52のみを身体中に残す。
【0105】
図9Aおよび9Bを参照して、メッシュのさらなる実施形態は、周のストランドを含み得る。代表的には、このメッシュ20は、形状が円形などであり、そして周のストランドは、一般に、周縁ストランド70と称される。
【0106】
図9Aに示される実施形態では、1つのストランド70が、メッシュ20の卵形状の周縁の周りを走る。別の実施形態では、いくつかの周縁ストランドが存在し得、各周縁ストランドは、この卵形状のメッシュの1つの側面上を、例えば、メッシュの周縁の半分、メッシュの周縁の1/4などの周りを延びる。
【0107】
図9Bに示されるように、この周縁ストランド70はまた、同心で配列され得、そして各々は、異なる半径方向位置でメッシュ20の周りを延びる。外側周縁ストランド78は、メッシュ20の周の周りを延び、そしてさらなる周縁ストランド72および74は、この外側周縁ストランドの内側に配列され、距離(a)だけ間隔を置かれた周を形成する。隣接する周縁部材78、72および74間の距離(a)は変動し得、そしてこの例では、約20mmである。
【0108】
図9Bにまた描写されるように、横方向ストランド76が、卵形メッシュの中心から、メッシュ78の周上の点まで延びて存在し得る。この例では、4つの横方向ストランド76が、メッシュ20の直径を横切って提供され、このメッシュを8つの角度が等しい部分に分割する。
【0109】
この実施形態のメッシュ20は、先に記載されたような材料から形成され得る。選択された材料に依存して、メッシュは織られ、編まれ、または1つの片として押出されるか、または個々のもしくはグループのストランドが別個に押出され得、そして互いに接続される。
【0110】
上記に記載のような構築は、十分な引張り強度を備えたメッシュ20を提供して膣脱出症を引き起こす欠陥を修復し、その一方、最小の嵩を有する。同様に、このような構築は、取扱いのためになお可撓性のなお弾性のメッシュを提供する。
【0111】
図9Cおよび9Dを参照して、メッシュ80および90が角度なす側面を有して生成され得る。これらのメッシュは、図9Aおよび9Bを参照して説明された構造と類似の構造を有する。さらに、このメッシュは、すべてがメッシュの直径を横切っているよりはむしろ、メッシュの周に向かって延びるに過ぎないよう配列される横方向部材を有し得る。これは、より均一な構造を提供する。より詳細には、図9Dを参照して、このメッシュは、その対称の軸に沿って延びる横方向部材84を有し得、横方向部材86は、この対称の軸を二分し、そして4つのさらなる横方向部材88が対称の軸からメッシュ90の周まで延びる。
【0112】
メッシュのストランドを形成するフィラメントの組み合わせによって提供されるポアに加え、ポアは、周縁部材と横方向部材との交わりに位置決めされるポリプロピレンのリングによって提供され得る。
【0113】
あるいは、ポアは、組織内成長を可能にするために適切な約50μm〜約200μmのサイズのポアが横方向部材間に存在するように、これら横方向部材の間隔によって形成され得る。
【0114】
このメッシュを身体内の適切な位置に固定するために、多くの方法が用いられ得る。生体活性被覆は粘着性であり得、そしてそれ故、メッシュをそれが組織内成長によって固定されるまで保持するために適切である。
【0115】
あるいは、外科用インプラントは、タックのようなファスナーを利用し得、メッシュをその場に固定する。図10A〜Dを参照して、種々の異なるタック100が、メッシュ20をその場に固定するために用いられ得る。このメッシュ20は、図10Aおよび10D中に見られるように、タックに直接取り付けられ得る。あるいは、メッシュ20は、図10Bおよび10Cによって示されるように、移植の前にタックのヘッドの下に配置され得る。また、メッシュのエッジは、タックの周りで覆われ得、これら2つのデバイスをさらに固定する。
【0116】
本開示の広く織られたメッシュを組織に取り付けるために利用され得るさらなるファスナーの形態は、図11(図11A〜Fを含む)、図12(図12A〜Cを含む)、図13(図13A〜Cを含む)、および図14に描写されるらせんファスナーである。図11〜14のらせんファスナーは、その全体の開示が本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,562,051号の図1〜4に対応する。
【0117】
本開示の広く織られたメッシュを組織に取り付けるために利用され得るその他のファスナーは、図15、16、17および18に描写されるねじファスナーである。図15〜18のねじファスナーは、その全体の開示が本明細書中に参考として援用される、2004年6月14日に出願された国際特許出願第PCT US04/18702号の図1〜4に対応する。
【0118】
上記の記載は多くの詳細を含むけれども、これらの詳細は、本明細書中の開示の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、その特に有用な実施形態の単なる例示である。当業者は、本明細書に添付された請求項によって規定されるような本開示の範囲および思想内の多くのその他の可能性を想定する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、ヘルニアの例示である。
【図2】図2は、腹内圧力が高くなるときの図1のヘルニアの例示である。
【図3】図3は、先行技術による修復後の図1のヘルニアの例示である。
【図4】図4は、先行技術による代替の修復後の図1のヘルニアの例示である。
【図5】図5は、ヒト膣領域の概略図である。
【図6】図6は、図5の線A−Aに沿った女性のヒトの膣領域の断面図である。
【図7】図7Aおよび7Bは、第1の形状を有する本開示による広く織られたメッシュを示す。
【図8】図8A、8B、8Cおよび8Dは、第2の形状を有する本開示による広く織られたメッシュを示す。
【図9−1】図9Aおよび9Bは、第3の形状を有する本開示による広く織られたメッシュを示す。
【図9−2】図9Cおよび9Dは、第3の形状を有する本開示による広く織られたメッシュを示す。
【図10】図10A、10B、10Cおよび10Dは、固定デバイスに取り付けられた本開示による広く織られたメッシュの一部を示す。
【図11】図11は、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの斜視図を描写し、らせんファスナーの側面図を示す。
【図11A】図11Aは、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの別の斜視図を描写し、らせんファスナーの端面図を示す。
【図11B】図11Bは、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの概略図を描写し、組織中に部分的に挿入されている比較的小さなギャップで実質的に折り畳まれたらせんファスナーを示す。
【図11C】図11Cは、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの概略図を描写し、組織中に完全に挿入された図11B中に描写されるらせんファスナーを示す。
【図11D】図11Dは、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの概略図を描写し、組織中に部分的に挿入された比較的大きなギャップで実質的に折り畳まれたらせんファスナーを示す。
【図11E】図11Eは、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの概略図を描写し、組織中に完全に挿入された図11Dに描写されたらせんファスナーを示す。
【図11F】図11F、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーの別の実施形態の斜視図を描写し、らせんファスナーの端面図を示す。
【図12A】図12Aは、図12の二重らせんファスナーの前面図である。
【図12B】図12Bは、図12の二重らせんファスナーの側面図である。
【図12C】図12Cは、図12の二重らせんファスナーの平面図である。
【図13】図13は、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得るファスナーのなお別の実施形態の斜視図であり、二重らせんファスナーの別の設計を示す。
【図13A】図13Aは、図13の二重らせんファスナーの前面図である。
【図13B】図13Bは、図13の二重らせんファスナーの側面図である。
【図13C】図13Cは、図13の二重らせんファスナーの平面図である。
【図14】図14は、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得る別のファスナーの斜視図であり、中央ポストを備えたらせんファスナーを示す。
【図15】図15は、組織に本開示の広く織られたメッシュを取り付けるために用いられ得る吸収性のねじの斜視図である。
【図16】図16は、図15の吸収性ねじファスナーの別の斜視図である。
【図17】図17は、図15の線3−3に沿ってとった図15の吸収性ねじファスナーの長軸方向断面図である。
【図18】図18は、図17の吸収性ねじファスナーの直交方向の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広く織られたメッシュであって:
約5g/m〜約50g/mの最大残存質量密度を有するストランドであって;該ストランド間に約1mm〜約10mmのスペースを有するストランド;および
生体活性被覆、を備える、広く織られたメッシュ。
【請求項2】
前記生体活性被覆が、少なくとも1つの生体活性薬剤を含む、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項3】
少なくとも1つの生体活性薬剤が、抗微生物薬剤、抗細菌薬剤、抗真菌薬剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、抗炎症剤、ステロイド、ホルモン、酵素、鎮痛薬、麻酔薬、筋肉弛緩剤、免疫原性試薬、成長因子、免疫抑制剤、脂質、リポ多糖、多糖、およびペプチド、ポリペプチド、タンパク質ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項4】
前記生体活性被覆が、前記メッシュの少なくとも1つの側面を覆う、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項5】
前記生体活性被覆が、前記メッシュの全体を覆う、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項6】
前記生体活性被覆が、少なくとも1つの生体活性薬剤と組み合わせた吸収可能な材料を備える、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項7】
前記生体活性被覆が、約2日〜約14日の時間に亘って分解する、請求項6に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項8】
前記ストランドが、約15g/m〜約40g/mの最大残存質量密度を有する、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項9】
前記ストランドが、約200μm〜約600μmの直径を有する、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項10】
前記ストランドが、該ストランド中にポアを形成するように配向された少なくとも1つのフィラメントを備える、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項11】
前記ストランドが、少なくとも2つのフィラメントから形成される、請求項10に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項12】
前記フィラメントが、約0.02mm〜約0.15mmの間の直径を有し、そして該ストランド中の前記ポアが、直径が約50μm〜約200μmである直径を有する、請求項10に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項13】
前記フィラメントが、約0.08mm〜約0.1mmの直径を有し、そして前記ストランド中のポアが、約55μm〜約75μmの直径を有する、請求項10に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのフィラメントが、合成材料を含む、請求項10に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフィラメントが、ポリプロピレンを含む、請求項14に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのフィラメントが、吸収可能な材料を含む、請求項10に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのフィラメントが、ポリエステルを含む、請求項16に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項18】
前記メッシュ中に約50μm〜約200μmの直径を有するポアを形成する材料のリングをさらに備える、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項19】
前記メッシュのストランドが、コア材料および表面材料を含む生体成分マイクロファイバを含む、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項20】
前記表面材料がポリ乳酸を含み、そして前記コア材料がポリプロピレンを含む、請求項19に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項21】
前記ストランドが、記憶を有する材料を含む、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項22】
前記メッシュが約1cm〜約10cmの幅、および約1cm〜約10cmの長さを有する、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項23】
前記メッシュが、丸、円、卵形、楕円、および先欠け楕円からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項24】
前記メッシュが、該メッシュの周の少なくとも一部に沿って延び、実質的に円滑なエッジを提供する少なくとも1つの周縁部材を有する、請求項1に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項25】
前記メッシュの周の少なくも約50%が、前記少なくとも1つの周縁部材によって規定される、請求項24に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項26】
前記メッシュの周の約80%〜約100%が、前記少なくとも1つの周縁部材によって規定される、請求項24に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項27】
前記メッシュが、異なる半径方向位置に配列された複数の周縁部材を有する、請求項24に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項28】
前記周縁部材が、一体メッシュを形成するために互いとつなぐように配列される、請求項27に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項29】
前記メッシュが、前記周縁部材を横切って延びる横方向部材をさらに備え、それによって該周縁部材をつなぐ、請求項27に記載の広く織られたメッシュ。
【請求項30】
子宮膣の脱出症を処置する方法であって:
膣腔の開口部に近接する膣中に切開を作製する工程;
該切開を通じ、該子宮脱出症の領域の上および該子宮脱出症の領域の周りに皮下切断を作製する工程であって、該切断が該膣壁に実質的に平行である工程;および
請求項1に記載のメッシュを、該切開を通じて、該切断によって規定されるスペース中に挿入する工程を包含する、方法。
【請求項31】
前記膣壁中の切開が、該膣の腔の子宮脱出症の膀胱の後部最端にある、請求項30に記載の子宮膣の脱出症を処置する方法。
【請求項32】
前記膣壁中の切開が、該膣の腔の子宮脱出症の膀胱の前部最端にある、請求項30に記載の子宮膣の脱出症を処置する方法。
【請求項33】
前記メッシュが、タック、らせんファスナー、ねじファスナー、縫合糸、接着剤、ステープル、およびクリップからなる群から選択されるファスナーを利用して組織に取り付けられる、請求項30に記載の子宮膣の脱出症を処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10】
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【図11】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−538300(P2008−538300A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503111(P2008−503111)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/010330
【国際公開番号】WO2006/102374
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】