説明

生体状況判定装置、除細動器、生体監視装置、及び生体監視システム

【課題】患者に対する除細動器の使用の要否を正確に決定することが可能な生体状況判定装置を得る。
【解決手段】生体状況判定装置1は、患者に対する除細動器2の使用の要否を決定するための生体状況判定装置であって、患者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波50を送信する送信部11と、送信部11から送信され反射面によって反射された電波50である反射波51を受信する受信部12と、受信部12が受信した反射波51に基づいて、患者の心拍状況を検出する検出部25と、検出部25による心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器2の使用の要否を判定する判定部26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対する除細動器の使用の要否を決定するための生体状況判定装置、及びこれを備えた除細動器に関する。また、本発明は、被監視者の異常呼吸状態を検出するための生体監視装置、及びこれを備えた生体監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共施設や民間施設等への除細動器の普及が進んでいる。除細動器の一つである自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)は、致死性不整脈である心室細動が生じている患者に対して、心臓に電気ショックを与えることにより、心臓の拍動を細動状態から正常状態に回復させるものである。AEDの一般的な使用方法として、介護者は、まず患者の意識及び脈の有無を確認し、意識及び脈が無い場合に患者の衣服を脱がせて胸部を露出し、その後、AEDの一対の電極パッドを胸部に貼付する。AEDは、電極パッドを用いて患者の心電図波形を解析し、患者に心室細動が生じていると判定した場合に、電極パッドを介して患者に電気ショックを与える。
【0003】
なお、下記特許文献1には、除細動器のケースから取り外した特殊形状のカバーを患者の首及び肩と床面との間に配置することで、当該カバーによって患者の顎が持ち上がるような姿勢となり、それによって患者の気道を確保することが可能な体外式除細動器が開示されている。
【0004】
また、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)という、睡眠中に無呼吸状態又は低呼吸状態になる病気が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4272058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り除細動器の一般的な使用方法では、介護者はまず患者の意識及び脈の有無を確認する。しかしながら、日常的に救護業務に従事していない一般の介護者にとっては、患者の脈の有無を正確に判断することは容易ではない。意識を失った人間が目の前に倒れているという非常事態において、患者の脈の有無を一般の介護者が冷静に判断するのは困難な場合が多い。また、電極パッドを貼付するためには胸部を露出させる必要があるため、患者が成人女性である場合には特に慎重を要する。例えば、患者の脈が正常であるにも拘わらず、脈無しとの誤判断によって胸部を露出させてしまう可能性がある。その逆に、患者が成人女性であることを理由に胸部の露出を介護者がためらう可能性もあり、その場合には、除細動の処置が必要であるにも拘わらず除細動器が使用されないという不適切な状況が生じ得る。
【0007】
また、睡眠時無呼吸症候群は自覚症状が弱く、患者本人が気付きにくいため、独居者等の場合にはその症状が悪化しやすい。従って、例えば列車の運転手が重度の睡眠時無呼吸症候群を患っている場合において、睡眠時無呼吸症候群に伴った睡眠不足に起因する強い眠気が運転中に発生した場合には、正常な運転操作を行うことができず、最悪の場合には事故の発生につながる可能性がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、患者に対する除細動器の使用の要否を正確に決定することが可能な生体状況判定装置、及びこれを備えた除細動器を得ることを目的とする。また、本発明は、被監視者に生じている異常呼吸状態を正確に検出することが可能な生体監視装置、及びこれを備えた生体監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る生体状況判定装置は、患者に対する除細動器の使用の要否を決定するための生体状況判定装置であって、患者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信され前記反射面によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出する検出手段と、前記検出手段による前記心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、「除細動器の使用の要否を決定する」とは、患者の胸部へ除細動器の電極パッドを貼付する必要があるか否かを決定することを意味する。
【0011】
第1の態様に係る生体状況判定装置によれば、送信手段は、患者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信し、受信手段は、その反射波を受信する。そして、検出手段は、受信手段が受信した反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出し、判定手段は、検出手段による心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する。従って、判定手段は、患者の心拍状況が異常である場合に、患者に対する除細動器の使用が必要であると判定することができる。その結果、介護者の判断によって決定する場合と比較すると、患者に対する除細動器の使用の要否を正確に決定することが可能となる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る生体状況判定装置は、第1の態様に係る生体状況判定装置において特に、前記検出手段は、前記反射波に基づいて患者の胸部から前記反射面までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記心拍状況を検出することを特徴とするものである。
【0013】
第2の態様に係る生体状況判定装置によれば、検出手段は、反射波に基づいて患者の胸部から反射面までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて心拍状況を検出する。患者の心拍に伴って胸部が上下動する場合には、胸部から反射面までの距離が変化する。従って、所定期間内における当該距離の測定結果に基づくことにより、患者の心拍状況を正確に検出することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る生体状況判定装置は、第1又は第2の態様に係る生体状況判定装置において特に、前記反射面を有する反射板を患者の胸部上方に位置決めして支持する支持体をさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
第3の態様に係る生体状況判定装置によれば、支持体は、反射面を有する反射板を患者の胸部上方に位置決めして支持する。従って、患者が屋外で倒れた場合等であっても、患者の胸部上方を覆って支持体を配置することにより、患者の胸部上方に反射面を規定することができる。その結果、屋外等においても本発明に係る生体状況判定装置を使用することが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る生体状況判定装置は、患者に対する除細動器の使用の要否を決定するための生体状況判定装置であって、患者の胸部の略正面から当該患者の胸部に向けて電波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信され患者の胸部によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出する検出手段と、前記検出手段による前記心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
ここで、「除細動器の使用の要否を決定する」とは、患者の胸部へ除細動器の電極パッドを貼付する必要があるか否かを決定することを意味する。
【0018】
第4の態様に係る生体状況判定装置によれば、送信手段は、患者の胸部の略正面から当該患者の胸部に向けて電波を送信し、受信手段は、その反射波を受信する。そして、検出手段は、受信手段が受信した反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出し、判定手段は、検出手段による心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する。従って、判定手段は、患者の心拍状況が異常である場合に、患者に対する除細動器の使用が必要であると判定することができる。その結果、介護者の判断によって決定する場合と比較すると、患者に対する除細動器の使用の要否を正確に決定することが可能となる。
【0019】
本発明の第5の態様に係る生体状況判定装置は、第4の態様に係る生体状況判定装置において特に、前記検出手段は、前記反射波に基づいて前記生体状況判定装置から患者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記心拍状況を検出することを特徴とするものである。
【0020】
第5の態様に係る生体状況判定装置によれば、検出手段は、反射波に基づいて生体状況判定装置から患者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて心拍状況を検出する。患者の心拍に伴って胸部が上下動する場合には、胸部から反射面までの距離が変化する。従って、所定期間内における当該距離の測定結果に基づくことにより、患者の心拍状況を正確に検出することが可能となる。
【0021】
本発明の第6の態様に係る生体状況判定装置は、第4又は第5の態様に係る生体状況判定装置において特に、前記生体状況判定装置を患者の胸部上方に位置決めして支持する支持体をさらに備えることを特徴とするものである。
【0022】
第6の態様に係る生体状況判定装置によれば、支持体は、生体状況判定装置を患者の胸部上方に位置決めして支持する。従って、患者の胸部上方を覆って支持体を配置することにより、患者の胸部上方に生体状況判定装置を配置することができる。従って、屋内、屋外に拘わらず、本発明に係る生体状況判定装置を使用することが可能となる。また、部屋の天井等に反射面を規定する場合と比較すると、生体状況判定装置と患者の胸部との距離が短くなるため、生体状況判定装置から患者の胸部までの距離をより正確に測定することが可能となる。
【0023】
本発明の第7の態様に係る除細動器は、第1又は第4の態様に係る生体状況判定装置としての生体状況判定部と、前記生体状況判定部によって患者に対する除細動器の使用が必要と判定された場合に、患者に対して除細動のための処置を行う除細動処置部と、を備えることを特徴とするものである。
【0024】
ここで、「除細動のための処置」には、患者の胸部に貼付された電極パッドを用いて患者の心電図波形を解析し、その解析の結果、患者に心室細動が生じていると判定した場合に、電極パッドを介して患者に電気ショックを与える処置が含まれる。
【0025】
第7の態様に係る除細動器によれば、除細動器が第1又は第4の態様に係る生体状況判定装置としての生体状況判定部を備えることにより、当該生体状況判定部によって、患者に対する除細動のための処置の要否を正確に決定することが可能となる。また、除細動のための処置が必要である旨の判定結果が生体状況判定部から出力された場合には、除細動処置部による除細動のための処置に速やかに移行することができる。その結果、患者の蘇生率を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第8の態様に係る生体監視装置は、被監視者の異常呼吸状態を検出するための生体監視装置であって、被監視者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信され前記反射面によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出する検出手段と、前記検出手段による前記呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0027】
第8の態様に係る生体監視装置によれば、送信手段は、被監視者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信し、受信手段は、その反射波を受信する。そして、検出手段は、受信手段が受信した反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出し、判定手段は、検出手段による呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する。従って、被監視者に異常呼吸状態が発生している場合に、それを生体監視装置が検知することにより、被監視者への自動呼び掛けや監視サイトへの自動通報等の適切な措置をとることが可能となる。
【0028】
本発明の第9の態様に係る生体監視装置は、第8の態様に係る生体監視装置において特に、前記検出手段は、前記反射波に基づいて被監視者の胸部から前記反射面までの距離を測定し、当該距離の測定結果に基づいて前記呼吸状況を検出することを特徴とするものである。
【0029】
第9の態様に係る生体監視装置によれば、検出手段は、反射波に基づいて被監視者の胸部から反射面までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて呼吸状況を検出する。被監視者の呼吸に伴って胸部が上下動する場合には、胸部から反射面までの距離が変化する。従って、所定期間内における当該距離の測定結果に基づくことにより、被監視者の呼吸状況を正確に検出することが可能となる。
【0030】
本発明の第10の態様に係る生体監視装置は、被監視者の異常呼吸状態を検出するための生体監視装置であって、被監視者の胸部の略正面から当該被監視者の胸部に向けて電波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信され被監視者の胸部によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出する検出手段と、前記検出手段による前記呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0031】
第10の態様に係る生体監視装置によれば、送信手段は、被監視者の胸部の略正面から当該被監視者の胸部に向けて電波を送信し、受信手段は、その反射波を受信する。そして、検出手段は、受信手段が受信した反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出し、判定手段は、検出手段による呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する。従って、被監視者が用いるベッド等の上方に生体監視装置を設置することにより、患者本人が気付きにくい睡眠時無呼吸症候群を、生体監視装置によって発見することができる。また、被監視者に異常呼吸状態が発生している場合に、それを生体監視装置が検知することにより、被監視者への自動呼び掛けや監視サイトへの自動通報等の適切な措置をとることが可能となる。
【0032】
本発明の第11の態様に係る生体監視装置は、第10の態様に係る生体監視装置において特に、前記検出手段は、前記反射波に基づいて前記生体監視装置から被監視者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記呼吸状況を検出することを特徴とするものである。
【0033】
第11の態様に係る生体監視装置によれば、検出手段は、反射波に基づいて生体監視装置から被監視者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて呼吸状況を検出する。被監視者の呼吸に伴って胸部が上下動する場合には、生体監視装置から被監視者の胸部までの距離が変化する。従って、所定期間内における当該距離の測定結果に基づくことにより、被監視者の呼吸状況を正確に検出することが可能となる。
【0034】
本発明の第12の態様に係る生体監視システムは、第8又は第10の態様に係る生体監視装置と、前記生体監視装置によって得られた被監視者における異常呼吸状態の発生状況に関するデータを受信し、当該データに基づいて所定の管理を行う管理装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0035】
第12の態様に係る生体監視システムによれば、管理装置は、生体監視装置によって得られた被監視者における異常呼吸状態の発生状況に関するデータを受信し、当該データに基づいて所定の管理を行う。従って、睡眠時無呼吸症候群の発生状況の管理や、監視サイトへの自動通報等の管理を、管理装置によって行うことが可能となる。
【0036】
本発明の第13の態様に係る生体監視システムは、第12の態様に係る生体監視システムにおいて特に、前記被監視者は移動体の運転者であり、前記管理装置は、前記移動体の運転中に運転者に異常呼吸状態が発生した旨のデータを受信した場合に、前記移動体を減速又は停止させるための制御を行う移動体制御部を有することを特徴とするものである。
【0037】
第13の態様に係る生体監視システムによれば、移動体制御部は、移動体の運転中に運転者に異常呼吸状態が発生した旨のデータを受信した場合に、移動体を減速又は停止させるための制御を行う。これにより、事故の発生を未然に防止することが可能となる。
【0038】
本発明の第14の態様に係る生体監視システムは、第12の態様に係る生体監視システムにおいて特に、前記生体監視装置は睡眠中の被監視者の呼吸状況を監視し、前記管理装置は、睡眠中の被監視者に所定時間以上の無呼吸状態が発生した旨のデータを受信することにより、被監視者における睡眠時無呼吸症候群の発生状況を管理することを特徴とするものである。
【0039】
第14の態様に係る生体監視システムによれば、管理装置は、睡眠中の被監視者に所定時間以上の無呼吸状態が発生した旨のデータを受信することにより、被監視者における睡眠時無呼吸症候群の発生状況を管理する。これにより、患者本人が気付きにくい睡眠時無呼吸症候群を、管理装置によって適切に管理することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、患者に対する除細動器の使用の要否を正確に決定することが可能な生体状況判定装置、及びこれを備えた除細動器を得ることができる。また、本発明によれば、被監視者に生じている異常呼吸状態を正確に検出することが可能な生体監視装置、及びこれを備えた生体監視システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】生体状況判定装置及び除細動器の構成例を模式的に示す図である。
【図2】生体状況判定装置の構成例を示す平面図である。
【図3】生体状況判定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】生体状況判定装置の第1の使用例を示す図である。
【図6】生体状況判定装置の第2の使用例を示す図である。
【図7】支持体を模式的に示す斜視図である。
【図8】生体状況判定装置の第3の使用例を示す図である。
【図9】検出部及び判定部における処理を説明するための図である。
【図10】検出部及び判定部における処理を説明するための図である。
【図11】検出部及び判定部における処理を説明するための図である。
【図12】検出部及び判定部における処理を説明するための図である。
【図13】検出部及び判定部における処理を説明するための図である。
【図14】生体状況判定装置及び除細動器の構成例を模式的に示す図である。
【図15】生体状況判定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図16】除細動器の機能構成を示す図である。
【図17】生体監視装置の第1の使用例を示す図である。
【図18】生体監視システムの機能構成を示すブロック図である。
【図19】周波数解析によって得られた波形の一例を示す図である。
【図20】生体監視装置の第2の使用例を示す図である。
【図21】生体監視システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0043】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る生体状況判定装置1及び除細動器2の構成例を模式的に示す図である。除細動器2は、例えば自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)であり、ケース本体3A及びケース蓋3Bを有するケース3と、ケース本体3A上に配置された液晶表示画面等の表示部4と、ケース本体3A上に配置されたスピーカ等の音声出力部5と、ケース本体3Aに接続された二股のケーブル6と、ケーブル6に接続された一対の電極パッド7とを備えて構成されている。生体状況判定装置1は、薄板状(又はカード形)の外形を有しており、不使用時には、ケース蓋3Bに形成された凹部8に収納されている。使用時には、凹部8から生体状況判定装置1を取り出すことにより、除細動器2とは別体として使用することができる。
【0044】
図2は、生体状況判定装置1の構成例を示す平面図である。図2の(A)には上面構造を示しており、図2の(B)には底面構造を示している。生体状況判定装置1の筐体10の上面には、電波を送信する送信部11と、送信電波の反射波を受信する受信部12と、液晶表示画面等の表示部13と、スピーカ等の音声出力部14と、操作ボタン等を含む操作部15とが配置されている。筐体10の底面には、粘着テープ又はマジックテープ(登録商標)等の貼付部16が配置されている。
【0045】
図3は、生体状況判定装置1の機能構成を示すブロック図である。生体状況判定装置1は、CPU等の処理部20に接続された、送信部11、受信部12、表示部13、音声出力部14、操作部15、及び半導体メモリ等の記憶部21を備えている。
【0046】
図4は、処理部20の機能構成を示すブロック図である。処理部20は、患者の心拍状況(及び呼吸状況)を検出する検出部25と、検出部25による心拍状況(及び呼吸状況)の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器2の使用の要否を判定する判定部26とを有している。ここで、「除細動器の使用の要否を決定する」とは、患者の胸部へ電極パッド7を貼付する必要があるか否かを決定することを意味する。
【0047】
本実施の形態に係る生体状況判定装置1及び除細動器2の使用方法として、介護者は、意識の無い患者に対して、まず生体状況判定装置1を用いて患者の心拍状況(及び呼吸状況)を確認する。除細動器2を使用する必要があると生体状況判定装置1によって判定された場合には、次に介護者は、患者の衣服を脱がせて胸部を露出し、その後、電極パッド7を患者の胸部に貼付する。除細動器2は、電極パッド7を用いて患者の心電図波形を解析し、患者に心室細動が生じていると判定した場合に、電極パッド7を介して患者に電気ショックを与える。
【0048】
図5は、生体状況判定装置1の第1の使用例を示す図である。屋内で意識を失って倒れた人物100が、床面30上に寝かされている。介護者は、操作部15のスタートボタンを押下した後、貼付部16の粘着テープ等を用いて、人物100の胸部上(衣服上)に生体状況判定装置1を貼付する。あるいは、胸部にポケットがある衣服を人物100が着用している場合には、そのポケット内に生体状況判定装置1を差し込む。送信部11から送信された電波50は、天井31の天井面によって反射され、受信部12はその反射波51を受信する。なお、スタートボタンの押下と、人物100の胸部上への生体状況判定装置1の配置とは、上記の例と逆の順序であってもよい。
【0049】
図6は、生体状況判定装置1の第2の使用例を示す図である。屋外で意識を失って倒れた人物100が、地面32上に寝かされている。介護者は、操作部15のスタートボタンを押下した後、上記と同様に、人物100の胸部上(衣服上)に生体状況判定装置1を貼付し、あるいは、胸部のポケット内に生体状況判定装置1を差し込む。また、介護者は、除細動器2に備え付けられている支持体40(図1では図示を省略した)を、人物100の胸部の上方を覆って配置する。なお、スタートボタンの押下と、人物100の胸部上への生体状況判定装置1の配置とは、上記の例と逆の順序であってもよい。
【0050】
図7は、支持体40を模式的に示す斜視図である。支持体40は、4本の支脚42と、これらの支脚42によって支持される天板41とを有している。周知の折り畳み機構又は伸縮機構等によって、不使用時には支脚42は収納されている。支持体40の配置を短時間で行うべく、介護者によるワンタッチ動作で全ての支脚42が出現する機構が用いられている。
【0051】
図6を参照して、送信部11から送信された電波50は、天板41の底面によって反射され、受信部12はその反射波51を受信する。
【0052】
図8は、生体状況判定装置1の第3の使用例を示す図である。屋外で意識を失って倒れた人物100が、地面32上に寝かされている。図8に示した例では、生体状況判定装置1は、天板41の底面に配置されている。この例の場合、不使用時の生体状況判定装置1は、天板41の底面に予め固定された状態で収納されている。あるいは、介護者が、ケース蓋3Bの凹部8から取り出した生体状況判定装置1を天板41の底面に貼付してもよい。介護者は、人物100の胸部の上方を覆って支持体40を配置する。これにより、生体状況判定装置1は、人物100の胸部の略正面(正面及びほぼ正面を含む)に位置することとなる。その後、介護者が操作部15のスタートボタンを押下すると、送信部11から人物100の胸部に向かって電波50が送信される。送信された電波50は人物100の胸部によって反射され、受信部12はその反射波51を受信する。
【0053】
なお、図6,8では屋外での使用方法について説明したが、同様の方法による屋内での使用も可能である。
【0054】
図9〜13は、検出部25及び判定部26(図4参照)における処理を説明するための図である。検出部25は、まず、送信部11が送信した電波50と、受信部12が受信した反射波51とに基づいて、生体状況判定装置1から反射面までの距離の時間変動を測定する。この距離の測定は、微小な時間間隔(例えば100msec間隔)で周期的に行われる。
【0055】
図5に示した例では、生体状況判定装置1は人物100の胸部上に配置されており、反射面は天井31の天井面であるため、検出部25は、人物100の胸部から天井31の天井面までの距離の時間変動を測定する。
【0056】
また、図6に示した例では、生体状況判定装置1は人物100の胸部上に配置されており、反射面は天板41の底面であるため、検出部25は、人物100の胸部から天板41の底面までの距離の時間変動を測定する。
【0057】
また、図8に示した例では、生体状況判定装置1は天板41の底面に配置されており、反射面は人物の胸部であるため、検出部25は、生体状況判定装置1から患者の胸部までの距離の時間変動を検出する。
【0058】
具体的に、送信部11は、所定周波数の電波50を反射面に向けて送信し、受信部12は、反射面によって反射された電波50である反射波51を受信する。人物100の呼吸や心拍に伴ってその胸部が上下動している場合には、その上下動に応じて生体状況判定装置1から反射面までの距離が変化するため、ドップラー効果によって反射波51の周波数が電波50の周波数からシフトする。従って、送信した電波50の周波数と受信した反射波51の周波数との差に基づいて、生体状況判定装置1から反射面までの距離を測定することができる。マイクロ波領域の電波を用いた測距方式としては、周波数が異なる二つの送信電波を用いる二周波CW(Continuous Wave)方式、周波数変調によって送信電波の周波数を連続的に変化させるFM−CW(Frequency Modulated - Continuous Wave)方式、又は、DDS(Direct Digital Synthesizer)回路を用いたディジタルデータ合成によって生成された所望波形の送信電波を用いるDDS方式等があるが、任意の方式を採用することができる。図9には、検出部25によって測定された、生体状況判定装置1から反射面までの距離の時間変動の一例を示している。この例に示す波形には、人物100の呼吸に伴う低周波成分と、人物100の心拍に伴う高周波成分とが含まれている。
【0059】
次に、検出部25は、生体状況判定装置1から反射面までの距離の時間変動を表す波形のうち、直近の所定期間(例えば30秒)の範囲についてFFT(Fast Fourier Transform)による周波数解析を行うことにより、距離の時間変動を表す波形を、周波数毎の信号強度を表す波形に変換する。図10〜13には、FFTによって得られた様々な波形を示している。
【0060】
図10には、呼吸及び心拍がともに正常である場合の波形を示している。正常状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1(例えば0.3〜0.8Hz)が設定されており、この周波数帯域R1内において信号強度が所定の閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100の呼吸状況は正常であると判定する。なお、閾値Th1は、図3に示した記憶部21に記憶されている。また、そのピークの周波数に基づいて、所定期間(例えば1分間)あたりの人物100の呼吸数を算出することもできる。例えば、そのピークの周波数が0.5Hzである場合には、人物100の呼吸数は、60×0.5=30(回/分)となる。そして、判定部26は、人物100の呼吸数と、正常状態の人間の一般的な呼吸数の範囲の上下限を示す閾値との比較結果に基づいて、人物100の呼吸状況が正常であるか否かを判定してもよい。
【0061】
また、正常状態の人間の一般的な心拍周期に対応する周波数帯域R2(例えば1.0〜2.0Hz)が設定されており、この周波数帯域R2内において信号強度が所定の閾値Th2以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100の心拍状況は正常であると判定する。なお、閾値Th2は、図3に示した記憶部21に記憶されている。また、そのピークの周波数に基づいて、所定期間(例えば1分間)あたりの人物100の心拍数を算出することもできる。例えば、そのピークの周波数が1.25Hzである場合には、人物100の心拍数は、60×1.25=75(回/分)となる。そして、判定部26は、人物100の心拍数と、正常状態の人間の一般的な心拍数の範囲の上下限を示す閾値との比較結果に基づいて、人物100の心拍状況が正常であるか否かを判定してもよい。
【0062】
図11には、呼吸が正常で心拍が異常である場合の波形を示している。周波数帯域R1内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れていることにより、判定部26は、人物100の呼吸状況は正常であると判定する。また、周波数帯域R2内において信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れていないことにより、判定部26は、人物100の心拍状況は異常であると判定する。なお、心室細動が生じている状態の人間の一般的な心拍周期に対応する周波数帯域R3(例えば7.0〜10.0Hz)を設定してもよく、この周波数帯域R3内において信号強度が所定の閾値Th3以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100に心室細動が生じていると判定することができる。なお、閾値Th3は、図3に示した記憶部21に記憶されている。
【0063】
図12には、呼吸が異常で心拍が正常である場合の波形を示している。周波数帯域R1内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れていないことにより、判定部26は、人物100の呼吸状況は異常であると判定する。また、周波数帯域R2内において信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れていることにより、判定部26は、人物100の心拍状況は正常であると判定する。
【0064】
図13には、呼吸及び心拍がともに異常である場合の波形を示している。周波数帯域R1内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れていないことにより、判定部26は、人物100の呼吸状況は異常であると判定する。また、周波数帯域R2内において信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れていないことにより、判定部26は、人物100の心拍状況は異常であると判定する。なお、図11と同様に、周波数帯域R3内において信号強度が閾値Th3以上となるピークが表れていることにより、判定部26は、人物100に心室細動が生じていると判定することもできる。
【0065】
なお、閾値Th1〜Th3の値は、互いに同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。実験又はシミュレーション等によって、それぞれ適切な値が設定される。
【0066】
判定部26は、人物100の心拍状況が異常である場合には、除細動器2の使用が必要であると判定する。従って、図10,12に示した例については除細動器2の使用が必要でないと判定され、図11,13に示した例については除細動器2の使用が必要であると判定されることとなる。判定部26による判定の結果(つまり除細動器2の使用の要否)は、生体状況判定装置1の表示部13に表示されるとともに、音声出力部14から音声出力される。これにより、介護者は、人物100に対する除細動器2の使用の要否を知ることができる。
【0067】
判定手法の他の例として、判定部26は、人物100の呼吸状況に拘わらず、周波数帯域R3内において信号強度が閾値Th3以上となるピークが表れている場合に、除細動器2の使用が必要であると判定してもよい。この場合も上記と同様に、図10,12に示した例については除細動器2の使用が必要でないと判定され、図11,13に示した例については除細動器2の使用が必要であると判定されることとなる。
【0068】
判定手法のさらに他の例として、判定部26は、人物100の呼吸状況及び心拍状況がともに正常である場合を除いて、人物100に対する除細動器2の使用が必要であると判定してもよい。換言すれば、呼吸状況及び心拍状況の少なくとも一方が異常である場合には、除細動器2の使用が必要であると判定してもよい。この場合は、図10に示した例については除細動器2の使用が必要でないと判定され、図11〜13に示した例については除細動器2の使用が必要であると判定されることとなる。AEDの一般的な使用方法として、意識の無い患者の脈及び呼吸の有無を介護者が確認し、脈又は呼吸が無い場合に患者の胸部を露出して電極パッドを貼付する、という使用がなされる場合もある。しかしながら、日常的に救護業務に従事していない一般の介護者にとっては、患者の脈及び呼吸の有無を正確に判断することは容易ではない。また、患者があえぎ呼吸(死線期呼吸)を行っている場合に、あえぎ呼吸を正常呼吸と誤って判断してしまう可能性も十分にある。従って、判定部26によって人物100の呼吸状況及び心拍状況が正常であるか否かを判定し、呼吸状況及び心拍状況の少なくとも一方が異常である場合には、除細動器2の使用が必要である旨の判定結果を表示部13に表示等することにより、介護者は、人物100に対する除細動器2の使用の要否を知ることができる。
【0069】
<変形例>
図14は、本実施の形態の変形例に係る生体状況判定装置1及び除細動器2の構成例を模式的に示す図である。また、図15は、生体状況判定装置1の機能構成を示すブロック図である。生体状況判定装置1には、図3に示した表示部13及び音声出力部14に代えて、通信部60が設けられている。また、図14に示すように、除細動器2には、通信部60と無線通信が可能な通信部61が設けられている。生体状況判定装置1の判定部26による判定の結果(つまり除細動器2の使用の要否)に関するデータは、通信部60から無線送信されて、通信部61によって受信される。そして、その判定の結果は、除細動器2の表示部4に表示されるとともに、音声出力部5から音声出力される。これにより、介護者は、人物100に対する除細動器2の使用の要否を知ることができる。また、除細動器2は、除細動器2の使用が必要である旨のデータを生体状況判定装置1から受信した場合には、人物100に対する除細動のための処置に自動的に移行する。具体的には、電極パッド7を人物100の胸部に貼付すべき旨の指示を、表示部4に表示するとともに、音声出力部5から音声出力する。介護者によって電極パッド7が貼付された後、除細動器2は、電極パッド7を用いて人物100の心電図波形を解析し、人物100に心室細動が生じていると判定した場合には、電極パッド7を介して人物100に電気ショックを与える。
【0070】
図16は、本変形例に係る除細動器2の機能構成を示す図である。生体状況判定装置1は除細動器2による除細動処置のためのいわば前処理を行っているため、生体状況判定装置1は除細動器2の機能の一部として捉えることができる。このように捉えた場合、図16に示すように除細動器2は、生体状況判定装置1としての生体状況判定部65と、除細動のための処置を実行する除細動処置部66とを備えて構成される。図1に示した生体状況判定装置1と除細動器2との関係についても同様である。
【0071】
<第1の実施の形態の効果>
本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図5,6に示したように、送信部11は、患者である人物100の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波50を送信し、受信部12は、その反射波51を受信する。そして、検出部25は、受信部12が受信した反射波51に基づいて、人物100の心拍状況(及び呼吸状況)を検出し、判定部26は、検出部25による心拍状況(及び呼吸状況)の検出結果に基づいて、人物100に対する除細動器2の使用の要否を判定する。従って、判定部26は、人物100の心拍状況(又は呼吸状況)が異常である場合に、人物100に対する除細動器2の使用が必要であると判定することができる。その結果、介護者の判断によって決定する場合と比較すると、人物100に対する除細動器2の使用の要否を正確に決定することが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図5,6に示したように、検出部25は、反射波51に基づいて人物100の胸部から反射面までの距離の時間変動を測定し、当該距離の時間変動の測定結果(つまり所定期間内における当該距離の測定結果)に基づいて心拍状況(及び呼吸状況)を検出する。人物100の心拍(及び呼吸)に伴って胸部が上下動する場合には、胸部から反射面までの距離が変化する。従って、当該距離の時間変動の測定結果に基づくことにより、人物100の心拍状況(及び呼吸状況)を正確に検出することが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図6に示したように、支持体40は、反射面を有する反射板(天板41)を人物100の胸部上方に位置決めして支持する。従って、人物100が屋外で倒れた場合等であっても、人物100の胸部上方を覆って支持体40を配置することにより、人物100の胸部上方に反射面を規定することができる。その結果、屋外等においても本実施の形態に係る生体状況判定装置1を使用することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図8に示したように、送信部11は、人物100の胸部の略正面から人物100の胸部に向けて電波50を送信し、受信部12は、その反射波51を受信する。そして、検出部25は、受信部12が受信した反射波51に基づいて、人物100の心拍状況(及び呼吸状況)を検出し、判定部26は、検出部25による心拍状況(及び呼吸状況)の検出結果に基づいて、人物100に対する除細動器2の使用の要否を判定する。従って、判定部26は、人物100の心拍状況(又は呼吸状況)が異常である場合に、人物100に対する除細動器2の使用が必要であると判定することができる。その結果、介護者の判断によって決定する場合と比較すると、人物100に対する除細動器2の使用の要否を正確に決定することが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図8に示したように、検出部25は、反射波51に基づいて生体状況判定装置1から人物100の胸部までの距離の時間変動を測定し、当該距離の時間変動の測定結果(つまり所定期間内における当該距離の測定結果)に基づいて心拍状況(及び呼吸状況)を検出する。人物100の心拍(及び呼吸)に伴って胸部が上下動する場合には、生体状況判定装置1から胸部までの距離が変化する。従って、当該距離の時間変動の測定結果に基づくことにより、人物100の心拍状況(及び呼吸状況)を正確に検出することが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態に係る生体状況判定装置1によれば、図8に示したように、支持体40は、生体状況判定装置1を人物100の胸部上方に位置決めして支持する。従って、人物100の胸部上方を覆って支持体40を配置することにより、人物100の胸部上方に生体状況判定装置1を配置することができる。従って、屋内、屋外に拘わらず、本実施の形態に係る生体状況判定装置1を使用することが可能となる。また、部屋の天井等に反射面を規定する場合と比較すると、生体状況判定装置1と人物100の胸部との距離が短くなるため、生体状況判定装置1から人物100の胸部までの距離の時間変動をより正確に測定することが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態に係る除細動器2によれば、図16に示したように、除細動器2が生体状況判定装置1としての生体状況判定部65を備えることにより、生体状況判定部65によって、人物100に対する除細動のための処置の要否を正確に決定することが可能となる。また、図14,15に示した例によれば、除細動のための処置が必要である旨の判定結果が生体状況判定部65(生体状況判定装置1)から出力された場合には、除細動処置部66(除細動器2)による除細動のための処置に速やかに移行することができる。その結果、人物100の蘇生率を高めることが可能となる。
【0078】
<第2の実施の形態>
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る生体監視装置9の第1の使用例を示す図である。この例では、生体監視装置9は、列車の運転手である人物100(被監視者)に呼吸の異常が生じた場合に、それを検出するために使用される。生体監視装置9は、薄板状(又はカード形)の外形を有しており、人物100が着用している制服の胸部のポケット内に差し込まれて使用される。図17に示すように列車の運転室には、列車を制御するための制御装置17(管理装置)と、人物100が列車の前方を視認するための窓70とが配置されている。また、人物100の胸部の略正面には、反射板72が配置されている。
【0079】
図18は、生体監視装置9及び制御装置17を有する生体監視システムの機能構成を示すブロック図である。生体監視装置9は、CPU等の処理部20に接続された、送信部11、受信部12、記憶部21、及び通信部60を備えている。また、制御装置71は、CPU等の処理部80に接続された、スピーカ等の音声出力部81、半導体メモリ等の記憶部82、通信部60と無線通信が可能な通信部83、列車の運行を管理する管制センタ86と無線通信が可能な通信部84、及び、列車の運転を制御する列車制御部85を備えている。
【0080】
図4と同様に、処理部20は、検出部25及び判定部26を有している。検出部25は、人物100の呼吸状況を検出し、判定部26は、検出部25による呼吸状況の検出結果に基づいて、人物100における異常呼吸状態の発生の有無を判定する。具体的には以下の通りである。
【0081】
図17,18を参照して、送信部11から送信された電波50は、反射板72によって反射され、受信部12はその反射波51を受信する。但し、反射板72を用いずに、窓70、制御装置71の筐体、又は運転室内の壁面等によって反射された反射波51を受信してもよい。図4を参照して、検出部25は、まず、送信部11が送信した電波50と、受信部12が受信した反射波51とに基づいて、生体監視装置9から反射板72までの距離の時間変動を測定する。次に、検出部25は、生体監視装置9から反射板72までの距離の時間変動を表す波形(例えば図9)のうち、直近の所定期間(例えば30秒)の範囲についてFFTによる周波数解析を行うことにより、距離の時間変動を表す波形を、周波数毎の信号強度を表す波形に変換する。
【0082】
図19は、周波数解析によって得られた波形の一例を示す図である。正常呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Nが設定されており、この周波数帯域R1N内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は正常呼吸状態であると判定する。また、低呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Lが設定されており、この周波数帯域R1L内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は低呼吸状態(異常状態)であると判定する。また、過呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Hが設定されており、この周波数帯域R1H内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は過呼吸状態(異常状態)であると判定する。また、周波数帯域R1N,R1L,R1Hのいずれにおいても信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れない場合には、判定部26は、人物100は無呼吸状態(異常状態)であると判定する。なお、閾値Th1は、図18に示した記憶部21に記憶されている。また、そのピークの周波数に基づいて、所定期間(例えば1分間)あたりの人物100の呼吸数を算出することもできる。そして、判定部26は、人物100の呼吸数と、正常状態の人間の一般的な呼吸数の範囲の上下限を示す閾値との比較結果に基づいて、人物100の呼吸状況が正常であるか異常であるかを判定してもよい。
【0083】
図18を参照して、人物100に異常呼吸状態が発生していると判定部26が判定した場合には、異常呼吸状態の発生を示すデータD1が、通信部60から通信部83に送信される。通信部83が受信したデータD1は、通信部83から処理部80を介して通信部84に入力された後、列車及び運転手の識別情報とともに通信部84から管制センタ86に送信される。また、制御装置71が生体監視装置9からデータD1を受信した時刻等を含むログ情報が、記憶部82に記憶される。さらに、人物100に呼び掛けを行うための自動音声メッセージ又はアラーム音が、音声出力部81から音声出力される。
【0084】
人物100が重度の睡眠時無呼吸症候群を患っている場合には、睡眠時無呼吸症候群に伴った睡眠不足に起因する強い眠気が運転中に発生することがある。人物100が運転中に睡眠状態に陥り、その状態で睡眠時無呼吸症候群が発症すると、運転中の人物100は一時的に無呼吸状態又は低呼吸状態となる。生体監視装置9がこの無呼吸状態又は低呼吸状態を検出し、制御装置71の音声出力部81から自動音声メッセージ等を出力することにより、人物100を睡眠状態から覚醒させることができる。なお、人物100が睡眠時無呼吸症候群を患っている場合に限らず、突発性又は慢性の疾病又は疾患等に起因して人物100に異常呼吸状態が発生した場合にも、生体監視装置9によってその異常呼吸状態を検出することができる。
【0085】
制御装置71からデータD1を受信した管制センタ86は、該当列車の運転手である人物100に対して無線で呼び掛けを行う。そして、人物100からの応答がない場合、又は非常事態の発生を知らせる内容の応答が人物100からあった場合に、該当列車を減速又は停止させるための制御信号D2を、該当列車の制御装置71に送信する。制御信号D2を受信した制御装置71は、列車を減速又は停止させるよう、列車制御部85によって列車を制御する。
【0086】
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る生体監視装置9の第2の使用例を示す図である。この例では、生体監視装置9は、人物100における睡眠時無呼吸症候群の発生を検出するために使用される。生体監視装置9は、人物100が使用する寝室の天井31に設置されている。望ましくは、ベッド90上に横臥する人物100の胸部の略正面となる位置に設置されている。ベッド90には、人物100がベッド90上に横臥していることを検出するための重量センサ91が取り付けられている。また、図20に示すように寝室には、生体監視装置9と無線通信が可能な管理装置92が配置されている。
【0087】
図21は、生体監視装置9及び管理装置92を有する生体監視システムの機能構成を示すブロック図である。生体監視装置9は、CPU等の処理部20に接続された、送信部11、受信部12、記憶部21、及び通信部60を備えている。また、管理装置92は、CPU等の処理部93に接続された、液晶表示画面等の表示部94、半導体メモリ等の記憶部95、通信部60と無線通信が可能な通信部96、及び、操作ボタン等を含む操作部97を備えている。
【0088】
図4と同様に、処理部20は、検出部25及び判定部26を有している。検出部25は、人物100の呼吸状況を検出し、判定部26は、検出部25による呼吸状況の検出結果に基づいて、人物100における睡眠時無呼吸症候群の発生の有無を判定する。具体的には以下の通りである。
【0089】
図20,21を参照して、人物100がベッド90上に横臥すると、重量センサ98から管理装置92に起動信号D3が入力され、これによって管理装置92は動作を開始する。また、起動信号D3は管理装置92の通信部96から生体監視装置9の通信部60に送信され、これによって生体監視装置9は動作を開始する。
【0090】
送信部11から送信された電波50は、人物100の胸部によって反射され、受信部12はその反射波51を受信する。図4を参照して、検出部25は、まず、送信部11が送信した電波50と、受信部12が受信した反射波51とに基づいて、生体監視装置9から人物100の胸部までの距離の時間変動を測定する。次に、検出部25は、生体監視装置9から人物100の胸部までの距離の時間変動を表す波形(例えば図9)に対してFFTによる周波数解析を行うことにより、距離の時間変動を表す波形を、周波数毎の信号強度を表す波形に変換する。
【0091】
図19に示したように、正常呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Nが設定されており、この周波数帯域R1N内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は正常呼吸状態であると判定する。また、低呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Lが設定されており、この周波数帯域R1L内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は低呼吸状態であると判定する。また、過呼吸状態の人間の一般的な呼吸周期に対応する周波数帯域R1Hが設定されており、この周波数帯域R1H内において信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は過呼吸状態であると判定する。また、周波数帯域R1N,R1L,R1Hのいずれにおいても信号強度が閾値Th1以上となるピークが表れない場合には、判定部26は、人物100は無呼吸状態であると判定する。なお、閾値Th1は、図21に示した記憶部21に記憶されている。また、そのピークの周波数に基づいて、所定期間(例えば1分間)あたりの人物100の呼吸数を算出することもできる。そして、判定部26は、人物100の呼吸数に基づいて、人物100の呼吸状況が正常状態であるか、無呼吸状態又は低呼吸状態であるかを判定してもよい。
【0092】
図21を参照して、人物100に所定時間(例えば10秒)以上継続して無呼吸状態又は低呼吸状態が発生していると判定部26が判定した場合には、無呼吸状態又は低呼吸状態の発生を示すデータD4が、通信部60から通信部96に送信される。そして、管理装置92が生体監視装置9からデータD4を受信した時刻等を含むログ情報が、記憶部95に記憶される。記憶されたログ情報は、操作部97を操作することによって表示部94に表示させることが可能である。また、無呼吸状態が所定時間(例えば1分間)以上継続して検出された場合には、管理装置92に予め登録されている監視サイト(同居若しくは別居の家族の携帯電話、又は契約セキュリティ会社等)に対して、非常事態の発生が自動通報される。
【0093】
<変形例>
本実施の形態の説明では、生体監視装置9によって人物100の異常呼吸状態を検出する例について述べたが、上記第1の実施の形態と同様に、異常呼吸状態とともに異常心拍状態を検出することもできる。
【0094】
図19を参照して、正常心拍状態の人間の一般的な心拍周期に対応する周波数帯域R2Nが設定されており、この周波数帯域R2N内において信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は正常心拍状態であると判定する。また、周波数帯域R2Nの低周波側及び高周波側に周波数帯域R2L及び周波数帯域R2Hがそれぞれ設定されており、この周波数帯域R2L,R2H内において信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れた場合には、判定部26は、人物100は異常心拍状態であると判定する。また、周波数帯域R2N,R2L,R2Hのいずれにおいても信号強度が閾値Th2以上となるピークが表れない場合には、判定部26は、人物100は心拍停止状態であると判定する。なお、そのピークの周波数に基づいて、所定期間(例えば1分間)あたりの人物100の心拍数を算出することもできる。そして、判定部26は、算出した心拍数に基づいて、人物100が正常心拍状態、異常心拍状態、及び心拍停止状態のいずれであるかを判定してもよい。
【0095】
図17,18に示した例において、人物100に異常心拍状態又は心拍停止状態が発生していると判定部26が判定した場合には、異常心拍状態又は心拍停止状態の発生を示すデータD1が、通信部60から通信部83に送信される。通信部83が受信したデータD1は、通信部83から処理部80を介して通信部84に入力された後、列車及び運転手の識別情報とともに通信部84から管制センタ86に送信される。また、制御装置71が生体監視装置9からデータD1を受信した時刻等を含むログ情報が、記憶部82に記憶される。さらに、人物100に呼び掛けを行うための自動音声メッセージ又はアラーム音が、音声出力部81から音声出力される。
【0096】
図20,21に示した例において、人物100に異常心拍状態又は心拍停止状態が発生していると判定部26が判定した場合には、異常心拍状態又は心拍停止状態の発生を示すデータD4が、通信部60から通信部96に送信される。そして、管理装置92が生体監視装置9からデータD4を受信した時刻等を含むログ情報が、記憶部95に記憶される。また、心拍停止状態の発生が検出された場合には、管理装置92に予め登録されている監視サイト(同居若しくは別居の家族の携帯電話、又は契約セキュリティ会社等)に対して、非常事態の発生が自動通報される。
【0097】
<第2の実施の形態の効果>
本実施の形態に係る生体監視装置9によれば、図17,18に示したように、送信部11は、被監視者である人物100の胸部近傍から反射板72に向けて電波50を送信し、受信部12は、その反射波51を受信する。そして、検出部25は、受信部12が受信した反射波51に基づいて、人物100の呼吸状況を検出し、判定部26は、検出部25による呼吸状況の検出結果に基づいて、人物100における異常呼吸状態の発生の有無を判定する。従って、人物100に異常呼吸状態が発生している場合に、それを生体監視装置9が検知することにより、人物100への自動呼び掛けや監視サイトである管制センタ86への自動通報等の適切な措置をとることが可能となる。
【0098】
また、本実施の形態に係る生体監視装置9によれば、図17,18に示したように、検出部25は、反射波51に基づいて人物100の胸部から反射板72までの距離の時間変動を測定し、当該距離の時間変動の測定結果(つまり所定期間内における当該距離の測定結果)に基づいて呼吸状況を検出する。人物100の呼吸に伴って胸部が上下動する場合には、胸部から反射板72までの距離が変化する。従って、当該距離の時間変動の測定結果に基づくことにより、人物100の呼吸状況を正確に検出することが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態に係る生体監視装置9によれば、図20,21に示したように、送信部11は、被監視者である人物100の胸部の略正面から人物100の胸部に向けて電波50を送信し、受信部51は、その反射波51を受信する。そして、検出部25は、受信部12が受信した反射波51に基づいて、人物100の呼吸状況を検出し、判定部26は、検出部25による呼吸状況の検出結果に基づいて、人物100における異常呼吸状態の発生の有無を判定する。従って、人物100が用いるベッド90等の上方に生体監視装置9を設置することにより、患者本人が気付きにくい睡眠時無呼吸症候群を、生体監視装置9によって発見することができる。また、人物100に異常呼吸状態が発生している場合に、それを生体監視装置9が検知することにより、人物100への自動呼び掛けや監視サイトへの自動通報等の適切な措置をとることが可能となる。
【0100】
また、本実施の形態に係る生体監視装置9によれば、図20,21に示したように、検出部25は、反射波51に基づいて生体監視装置9から人物100の胸部までの距離の時間変動を測定し、当該距離の時間変動の測定結果(つまり所定期間内における当該距離の測定結果)に基づいて呼吸状況を検出する。人物100の呼吸に伴って胸部が上下動する場合には、生体監視装置9から人物100の胸部までの距離が変化する。従って、当該距離の時間変動の測定結果に基づくことにより、人物100の呼吸状況を正確に検出することが可能となる。
【0101】
また、本実施の形態に係る生体監視システムによれば、制御装置71及び管理装置92(管理装置)は、生体監視装置9によって得られた人物100における異常呼吸状態の発生状況に関するデータD1,D4を受信し、当該データD1,D4に基づいて所定の管理を行う。従って、睡眠時無呼吸症候群の発生状況の管理や、監視サイトへの自動通報等の管理を、当該管理装置によって行うことが可能となる。
【0102】
また、本実施の形態に係る生体監視システムによれば、図18に示したように、列車制御部85(移動体制御部)は、列車の運転中に人物100に異常呼吸状態が発生した旨のデータD1を受信した場合に、管制センタ86から受信した制御信号D2に基づいて、列車を減速又は停止させるための制御を行う。これにより、事故の発生を未然に防止することが可能となる。
【0103】
また、本実施の形態に係る生体監視システムによれば、図21に示したように、管理装置92は、睡眠中の人物100に所定時間(例えば10秒)以上の無呼吸状態が発生した旨のデータD4を受信することにより、人物100における睡眠時無呼吸症候群の発生状況を管理する。これにより、患者本人が気付きにくい睡眠時無呼吸症候群を、管理装置92によって適切に管理することができる。
【0104】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、上記各実施の形態では距離の時間変動波形を周波数解析した結果に基づいて人物の生体状況を検出したが、これとは異なるアルゴリズムによって生体状況を検出してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 生体状況判定装置
2 除細動器
9 生体監視装置
11 送信部
12 受信部
25 検出部
26 判定部
40 支持体
50 電波
51 反射波
65 生体状況判定部
66 除細動処置部
71 制御装置
85 列車制御部
92 管理装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対する除細動器の使用の要否を決定するための生体状況判定装置であって、
患者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信され前記反射面によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する判定手段と、
を備える、生体状況判定装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記反射波に基づいて患者の胸部から前記反射面までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記心拍状況を検出する、請求項1に記載の生体状況判定装置。
【請求項3】
前記反射面を有する反射板を患者の胸部上方に位置決めして支持する支持体をさらに備える、請求項1又は2に記載の生体状況判定装置。
【請求項4】
患者に対する除細動器の使用の要否を決定するための生体状況判定装置であって、
患者の胸部の略正面から当該患者の胸部に向けて電波を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信され患者の胸部によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、患者の心拍状況を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記心拍状況の検出結果に基づいて、患者に対する除細動器の使用の要否を判定する判定手段と、
を備える、生体状況判定装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記反射波に基づいて前記生体状況判定装置から患者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記心拍状況を検出する、請求項4に記載の生体状況判定装置。
【請求項6】
前記生体状況判定装置を患者の胸部上方に位置決めして支持する支持体をさらに備える、請求項4又は5に記載の生体状況判定装置。
【請求項7】
請求項1又は4に記載の生体状況判定装置としての生体状況判定部と、
前記生体状況判定部によって患者に対する除細動器の使用が必要と判定された場合に、患者に対して除細動のための処置を行う除細動処置部と、
を備える、除細動器。
【請求項8】
被監視者の異常呼吸状態を検出するための生体監視装置であって、
被監視者の胸部近傍から所定の反射面に向けて電波を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信され前記反射面によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する判定手段と、
を備える、生体監視装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記反射波に基づいて被監視者の胸部から前記反射面までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記呼吸状況を検出する、請求項8に記載の生体監視装置。
【請求項10】
被監視者の異常呼吸状態を検出するための生体監視装置であって、
被監視者の胸部の略正面から当該被監視者の胸部に向けて電波を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信され被監視者の胸部によって反射された電波である反射波を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記反射波に基づいて、被監視者の呼吸状況を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記呼吸状況の検出結果に基づいて、被監視者における異常呼吸状態の発生の有無を判定する判定手段と、
を備える、生体監視装置。
【請求項11】
前記検出手段は、前記反射波に基づいて前記生体監視装置から被監視者の胸部までの距離を測定し、所定期間内における当該距離の測定結果に基づいて前記呼吸状況を検出する、請求項10に記載の生体監視装置。
【請求項12】
請求項8又は10に記載の生体監視装置と、
前記生体監視装置によって得られた被監視者における異常呼吸状態の発生状況に関するデータを受信し、当該データに基づいて所定の管理を行う管理装置と、
を備える、生体監視システム。
【請求項13】
前記被監視者は移動体の運転者であり、
前記管理装置は、前記移動体の運転中に運転者に異常呼吸状態が発生した旨のデータを受信した場合に、前記移動体を減速又は停止させるための制御を行う移動体制御部を有する、請求項12に記載の生体監視システム。
【請求項14】
前記生体監視装置は睡眠中の被監視者の呼吸状況を監視し、
前記管理装置は、睡眠中の被監視者に所定時間以上の無呼吸状態が発生した旨のデータを受信することにより、被監視者における睡眠時無呼吸症候群の発生状況を管理する、請求項12に記載の生体監視システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−234830(P2011−234830A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107646(P2010−107646)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】