説明

生活廃棄物処理用キット、生活廃棄物処理器具及び生活廃棄物の処理方法

【課題】袋体の取り外し時の生活廃棄物の処理作業を容易にする生活廃棄物処理用キット、生活廃棄物処理器具及び生活廃棄物の処理方法を提供する。
【解決手段】生活廃棄物処理器具1を、袋体2と、袋体2を支持する便座3と、便座3を支持するバケツ4と、袋体2に収納される生分解性組成物5と、バケツ4の底面に載置され上方に延びて袋体2と当接する当接部材6と、を備える構成にする。袋体2を、袋体2の底部22と当接部材6の天板62とが当接するように吊り下げ、断面逆M字状に形成し、周壁部23における底部22の周囲の部分に底部22より下方に位置する第二の底部24を形成する。第二の底部24に、生分解性組成物5を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活廃棄物処理用キット、生活廃棄物処理器具及び生活廃棄物の処理方法に関するもので、特に災害発生時に生ゴミ、糞尿等を処理できるものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の簡易トイレとして、特許文献1に記載されるものがあった。上記の簡易トイレは、内側に空間が設けられた便座支持台と、用便用開口部を有し便座支持台の上端に着脱自在に取り付けられる便座と、便座支持台の内側の空間内に配置され、上端の開口部を便座の用便用開口部に連通させて上端縁を便座支持台の上端に着脱自在に装着される便収容袋と、を備え、便座支持台の空間の下部には、便収容袋の底部を一方側が他方側より低くなるように傾斜させて支える受板が設けられていた。
【0003】
便収容袋内に排泄された汚物は低い側に流動して集合する。そして、集合した汚物上に高分子吸収剤を散布することにより、汚物を凝固させて、廃棄処理をすることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−209692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の簡易トイレにおいては、便収容袋の底部の偏心した位置に汚物が集合するため、便収容袋を取り外す際、便収容袋内の汚物が流動するため処理作業がしにくくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、便収容袋の取り外し時の生活廃棄物の処理作業を容易にする生活廃棄物処理用キット、生活廃棄物処理器具及び生活廃棄物の処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、挿通孔又は切り欠き部を有して支持本体に支持される袋体支持部材と、支持本体の底面又は支持本体が設置される設置面に、上方に延びて配置される当接部材と、一端に開口する開口部を有し、他端に閉塞した底部を有し、開口部から底部に向かって形成された周壁部を有し、袋体支持部材又は/及び袋体支持部材を支持する支持本体に掛止され、開口部と挿通孔又は切り欠き部の内側とが連通するとともに底部と当接部材の上端部とが当接して吊り下げられて、周壁部における底部の周囲の部分が底部より下方に位置する第二の底部が形成される袋体と、を備える生活廃棄物処理用キットとしている。
【0008】
これにより、既存のバケツ等の支持本体と組み合わせて使用することで、袋体を上に持ち上げるだけで袋体の生活廃棄物が周壁部に沿って底部に移動して集合するので、袋体取り外し時の生活廃棄物の処理作業を容易にすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、支持本体の底面又は支持本体が設置される設置面に配置されて、上方に延びる袋体と当接する当接部材を備え、袋体は、袋体支持部材又は/及び袋体支持部材を支持する支持本体に掛止され、袋体の開口部と挿通孔又は切り欠き部の内側とが連通するとともに袋体の底部と当接部材の上端部とが当接して吊り下げられて、周壁部における底部の周囲の部分が底部より下方に位置する第二の底部が形成される、生活廃棄物処理器具としている。
【0010】
これにより、袋体を上に持ち上げるだけで袋体の生活廃棄物が周壁部に沿って底部に移動して集合するので、袋体取り外し時の生活廃棄物の処理作業を容易にすることができる。
【0011】
請求項3記載の発明のように、第二の底部に、生分解性組成物を配置すれば、請求項2記載の発明の効果に加え、生分解性組成物が周壁部に沿って生活廃棄物に被さるように移動するので、悪臭を遮断することができる。
【0012】
請求項4記載の発明のように、生活廃棄物処理器具において、袋体の周壁部を、開口部から底部に向かって狭小に形成して又は周壁部のいずれかの部分から底部に向かって狭小に形成すれば、周壁部に上下方向に対して傾斜が生じるので、生活廃棄物の底部への移動又は生活廃棄物の底部への移動及び生分解性組成物の生活廃棄物に被さる移動を円滑にすることができる。
【0013】
請求項5記載の発明のように、袋体を生分解性ポリマーで形成すれば、袋体ごと土壌に埋めて生活廃棄物を処理することができる。
【0014】
請求項6記載の発明のように、請求項1記載の生活廃棄物処理用キットにおいて、第二の底部に配置される生分解性組成物を備えるようにすれば、生分解性組成物が周壁部に沿って生活廃棄物に被さるように移動するので、悪臭を遮断することができる。
【0015】
請求項7記載の発明のように、請求項1又は6記載の生活廃棄物処理用キットにおいて、袋体の周壁部を、開口部から底部に向かって狭小に形成する又は周壁部のいずれかの部分から底部に向かって狭小に形成すれば、周壁部に上下方向に対して傾斜が生じるので、生活廃棄物の底部への移動又は生活廃棄物の底部への移動及び生分解性組成物の生活廃棄物に被さる移動を円滑にすることができる。
【0016】
請求項8記載の発明では、支持本体の底面又は支持本体が設置される設置面に、上方に延びる当接部材を配置し、袋体の底部と当接部材の上端部とを当接させつつ、周壁部における底部の周囲の部分を当接部材の上端部よりも下方に吊り下げて、袋体の周壁部に底部より下方に位置する第二の底部を形成する。
【0017】
そして、第二の底部に生活廃棄物を落下させた後、袋体を持ち上げ、生活廃棄物を周壁部に沿って底部に向かうように移動させる。
【0018】
これにより、袋体を上に持ち上げるだけで袋体の生活廃棄物が周壁部に沿って底部に移動して集合するので、袋体取り外し時の生活廃棄物の処理作業を容易にすることができる。
【0019】
請求項9記載の発明のように、第二の底部を形成した後、第二の底部に生分解性組成物を配置し、袋体を持ち上げた時に、生分解性組成物を前記周壁部に沿って生活廃棄物に被せるように移動させれば、悪臭を遮断することができる。
【0020】
請求項10記載の発明のように、生分解性ポリマーで形成した袋体を用いれば、袋体ごと土壌に埋めて生活廃棄物を処理することができる。
【0021】
請求項11記載の発明のように、請求項8記載の発明において、第二の底部に生活廃棄物を落下させた後、袋体を持ち上げる前に、第二の底部に生分解性組成物を配置することによっても、悪臭を遮断することができる。
【0022】
請求項12記載の発明では、生活廃棄物が収納された袋体を、生分解性廃棄物処理装置で処理すれば、迅速に生活廃棄物を処理することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の生活廃棄物の処理方法及び生活廃棄物処理器具では、袋体を上に持ち上げるだけで生活廃棄物を覆い隠すとともに、悪臭を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明における第一の実施形態の生活廃棄物処理器具の断面図である。
【図2】本発明における第一の実施形態の生活廃棄物処理器具の分解斜視図である。
【図3】本発明における生活廃棄物処理器具を用いた生活廃棄物の処理方法の(a)生活廃棄物を落下させた状態、(b)袋体を持ち上げ途中の状態、(c)袋体を持ち上げ完了した状態、の説明図である。
【図4】袋体をバケツの上端部で係止した状態の断面図である。
【図5】本発明における第二の実施形態の生活廃棄物処理器具の斜視図である。
【図6】図5におけるH−H間の断面図である。
【図7】袋体を重ねて使用する時の使用状態図である。
【図8】図5における便座の変形例の斜視図である。
【図9】袋体の変形例における(a)円筒状、(b)角筒状、(c)周壁部が狭小かつ底部が円形状、に形成された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における生活廃棄物処理器具の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、図1における上下を、上下方向とする。
【0026】
生活廃棄物処理器具1は、図1、2に示すように、袋体2と、袋体2を支持する便座3(袋体支持部材に相当する。)と、便座3を支持するバケツ4(支持本体に相当する。)と、袋体2に収納される生分解性組成物5と、バケツ4の底部41の上面に載置され上方に延びて袋体2と当接する当接部材6と、を備えている。
【0027】
袋体2は、生分解性ポリマーで形成され、一端に開口する開口部21を有し、他端に閉塞した底部22を有し、開口部21から底部22に向かって狭小に形成された周壁部23を有する。周壁部23は、開口部21から底部22に向かって次第に狭小となるように形成されている。
【0028】
便座3は、メタクリル樹脂製で円盤状に形成され、中央部分にダルマ形状の挿通長孔31を有している。
【0029】
バケツ4は、円盤状の底部41と、略円筒状に形成された周壁部42と、を有している。
【0030】
生分解性組成物5は、粒状に形成され生分解性を有するおがくずが用いられている。
【0031】
当接部材6は、合成樹脂で形成され、バケツ4の底部41に載置される平板状のベース板61と、袋体2と当接する平板状の天板62と、ベース板61と天板62とを連結する円筒状の支柱63と、を備えている。天板62は、平面視における面積をベース板61より小さく形成されている。
【0032】
袋体2は、底部22側から挿通長孔31に挿入され、便座3の上面、便座3の外周縁、を経てバケツ4の周壁部42の内側に到るまで袋体2の周壁部23が配置され、周壁部23の上部で便座3の下面とバケツ4の上端面とに挟み込まれて掛止されている。袋体2は、開口部21を開口させて開口部21と挿通長孔31の内側とが連通するとともに袋体2の底部22と当接部材6の天板62とが当接して吊り下げられて断面逆M字状に形成され、周壁部23における底部22の周囲の部分に、袋体2の周壁部23に底部22より下方に位置する第二の底部24が形成されている。
【0033】
第二の底部24は、平面視において当接部材6の天板62を中心とする円環状に形成されている。第二の底部24には、生分解性組成物5が配置されている。
【0034】
本発明の生活廃棄物処理器具1を用いた生活廃棄物7の処理方法の説明をする。
【0035】
設置面Fに便座3を支持するバケツ4を設置する。袋体2を、底部22側から挿通長孔31に挿入して、便座3の上面、便座3の外周縁、を経てバケツ4の周壁部42の内側に到るまで周壁部23の上部を配置して、便座3の下面とバケツ4の上端面とで周壁部23の上部を挟み込むことにより、掛止するとともに、開口部21を開口させて、開口部21と挿通長孔31の内側とが連通するように吊り下げる。
【0036】
そして、バケツ4の底部41に、上方に延びる当接部材6を載置する。
【0037】
さらに、袋体2を、袋体2の底部22と当接部材6の天板62とを当接させつつ、断面逆M字状に形成され、周壁部23における底部22の周囲の部分を、当接部材6の天板62よりも下方に吊り下げて、袋体2の周壁部23に底部22より下方に位置する第二の底部24を形成して、第二の底部24に生分解性組成物5を配置する。
【0038】
第二の底部24に生活廃棄物7を落下させた後、袋体2を持ち上げ、生活廃棄物7を周壁部23に沿って底部22に向かうように移動させるとともに生分解性組成物5を周壁部23に沿って生活廃棄物7に被せるように移動させる。
【0039】
詳細に説明すれば、袋体2を持ち上げることで周壁部23から生分解性組成物5が平面視における袋体2の底部22方向に滑り落ちる。それと同時に円環状に形成された第二の底部24は、平面視における半径を徐々に縮小させていく。この過程で生活廃棄物7は、平面視における袋体2の底部22方向に移動することになる、袋体2の底部22と当接部材6とが離れて、袋体2の底部22に生活廃棄物7が移動したときには、袋体2の周壁部23から滑り落ちた生分解性組成物5が、生活廃棄物7の上側に覆いかぶさった状態となる。
【0040】
そして、生活廃棄物7が収納された袋体2を土壌内に埋めて生分解させる。なお、生活廃棄物7が収納された袋体2を、生分解性廃棄物処理装置で処理すれば、生活廃棄物7の処理速度を速めることができる。
【0041】
なお、周壁部23を、開口部21から底部22に向かって周壁部23が次第に狭小となるように形成すれば、周壁部23に上下方向に対して傾斜が生じるので、生活廃棄物7の底部22への移動と、生分解性組成物5の生活廃棄物7に被さる移動とを円滑にすることができる。
【0042】
生活廃棄物処理器具1では、バケツ4の底部41に載置され、上方に延びて袋体2と当接する当接部材6を備える構成とし、袋体2を、底部22側から挿通長孔31に挿入して、便座3の上面、便座3の外周縁、を経てバケツ4の周壁部42の内側に到るまで袋体2の周壁部23の上部を配置して、周壁部23の上部において便座3の下面とバケツ4の上端面とで挟み込んで掛止して、開口させた袋体2の開口部21と挿通長孔31内側と連通させるとともに袋体2の底部22と当接部材6の天板62とを当接させて吊り下げ、周壁部23における底部22の周囲の部分に底部22より下方に位置する第二の底部24を形成している。
【0043】
これにより、袋体2を上に持ち上げるだけで袋体2の生活廃棄物7が周壁部23に沿って底部22に移動して集合するので、袋体2取り外し時の生活廃棄物7の処理作業を容易にすることができる。
【0044】
また、第二の底部24に、生分解性組成物5を配置している。これにより、上記の効果に加え、生分解性組成物5が周壁部23に沿って生活廃棄物7に被さるように移動するので、悪臭を遮断することができる。
【0045】
また、袋体2の周壁部23を、開口部21から底部22に向かって狭小に形成しているので、生活廃棄物7の底部22への移動又は生活廃棄物7の底部22への移動及び生分解性組成物5の生活廃棄物7に被さる移動を円滑にすることができる。
【0046】
また、袋体2が生分解性ポリマーで形成されているので、袋体2ごと土壌に埋めて生活廃棄物7を処理することができる。
【0047】
なお、袋体2は、図4に示すように、バケツ4の周壁部42の上端部で掛止することもできる。
【0048】
本発明における生活廃棄物処理器具の第二の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、第一の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0049】
生活廃棄物処理器具1Aは、図5に示すように、支持本体として底板91及び連結柱92と、袋体支持部材として便座3Aと、底板91の上に配置され上方に延びて袋体2と当接する当接部材6Aと、を備えている。底板91と連結柱92、便座3Aと連結柱92及び底板91と当接部材6Aとは、それぞれ組立分解可能に形成されている。
【0050】
便座3Aは、メタクリル樹脂製で円盤状に形成され、中央部分にダルマ形状の挿通長孔31Aを有している。便座3Aの下面側には、連結柱92が挿入可能に形成された係合部32Aが四か所設けられている。
【0051】
底板91は、円盤状に形成され、上面側に連結柱92を挿入可能に形成された係合部93が四か所設けられている。
【0052】
連結柱92は、円柱状に形成され、両端部は底板91の係合部93に挿入しやすいように半球状に丸みを帯びて形成されている。本実施形態では四本用いられている。連結柱92は、上端部が便座3Aの係合部32Aに挿入され、下端部が底板91の係合部93に挿入されて、便座3Aと、底板91とを連結している。
【0053】
当接部材6Aは、円柱状の棒部63Aと、円盤状で棒部63Aに直交する天板部62Aと、を有して一体に形成されている。棒部63Aの下端部は、挿入しやすいように半球状に丸みを帯びて形成されている。棒部63Aの下端部は、底板91の略中央部に設けられた挿入部94に挿入されている。
【0054】
袋体2は、図6に示すように、底部22側から挿通長孔31Aに挿入され、便座3Aの上面、便座3Aの外周縁、を経て便座3Aの係合部32Aの内側に到るまで袋体2の周壁部23が配置され、周壁部23の上部で便座3Aの係合部32Aと連結柱92の上端部とに挟み込まれて掛止されている。袋体2は、底部22側から挿通長孔31に挿入され、便座3の上面、便座3の外周縁、を経てバケツ4の周壁部42の内側に到るまで袋体2の周壁部23が配置され、周壁部23の上部で便座3の下面とバケツ4の上端面とに挟み込まれて掛止されている。
【0055】
生活廃棄物処理器具1Aは、第一の実施形態の生活廃棄物処理器具1の効果に加え、平時において自治体等の収納倉庫に分解して保管することができる。また、キャンプや登山等の移動を伴う時に分解搬送することができる。
【0056】
図1状態から、袋体2をさらに被せ、図7に示すように、第二の底部24に生分解性組成物5を配置して多層構造にして、生活廃棄物7を処理するごとに袋体2を持ち上げて外して次の処理をするようにすることもできる。
【0057】
また、生分解性ポリマーで形成した袋体2を用いれば、袋体2ごと土壌に埋めて生活廃棄物7を処理することができる。
【0058】
また、生活廃棄物7が収納された袋体2を、生分解性廃棄物処理装置で処理すれば、迅速に生活廃棄物7を処理することができる。
【0059】
便座3、3Aの変形例として、図8の便座3Bに示すように、便座3、3Aにおける挿通長孔31、31Aを便座3、3Aの外周縁と連続させて切り欠き部33として形成すれば、男性の小用時に便座3Bの上面に尿が当たって飛び散ることを軽減することができる。この場合、袋体2は、図6に示す生活廃棄物処理器具1Aと同様に掛止してもよいし、袋体2を、底部22側から挿通長孔31に挿入して、便座3の上面、便座3の外周縁、を経て便座3の外周縁の周辺の便座3の下面に到るまで袋体2の周壁部23を配置して、便座3Aの外周縁部で掛止するようにしてもよい。
【0060】
袋体2は、図9(a)に示す袋体2Xのように、周壁部23Xを開口部21Xから底部22Xに向かって次第に狭小となるように形成せず、底部22Xが上下方向から見て円形である円筒状に形成することができる。この場合、持ち上げ時に底部22Xがテーパ状となるように、少なくとも底部22Xが可撓性を有するようにすることが望ましい。
【0061】
袋体2は、図9(b)に示す底部22Yのように、周壁部23Yを開口部21Yから底部22Yに向かって次第に狭小となるように形成せず、底部22Yが平面視において矩形形である角筒状に形成することができる。この場合、持ち上げ時に底部22Yがテーパ状となるように、少なくとも底部22Yが可撓性を有するようにすることが望ましい。
【0062】
袋体2は、図9(c)に示すように、周壁部23Zを開口部21Zから底部22Zに向かって次第に狭小となるように形成して、底部22Zが平面視において円形である円錐台形状に形成することができる。
【0063】
袋体2、2X、2Y、2Zは、開口部21、21X、21Y、21Zと、底部22、22X、22Y、22Zとの間の、周壁部23、23X、23Y、23Zのいずれかの部分から底部22に向かって次第に狭小となるように形成することができる。
【0064】
袋体2は、図2に示すように、開口部21から底部22に向かって次第に狭小となるように形成されているが、当接部材6、6Aの上端部と当接して、第二の底部24を形成できるものであれば、これに限定するものではない。例えば、周壁部23を側面視において左右方向のいずれか一方の端部が次第に狭小となるように形成して、第二の底部24が平面視において半円環状となるように形成してもよい。
【0065】
袋体2は、周壁部23を、周壁部23のいずれかの部分から底部22に向かって狭小に形成することによっても、周壁部に上下方向に対して傾斜が生じるので、生活廃棄物7の底部22への移動又は生活廃棄物7の底部22への移動及び生分解性組成物5の生活廃棄物7に被さる移動を円滑にすることができる。
【0066】
袋体2は、市販されているビニール袋等を用いることができるが、より望ましくは、でんぷん、食物繊維、パルプ、綿、紙、おから、コーヒー豆等を繊維状にしたものを用いることができる。
【0067】
生分解性組成物5は、生分解性を有するものであれば上述したものにこだわらない、例えば、でんぷん、食物繊維、パルプ、綿、紙、おから、コーヒー豆等を粒状物にしたものを用いることができる。
【0068】
当接部材6は、天板62を用いることにはこだわらない。袋体2の底部22と当接できる形状であれば、支柱63の上端部を半球状に形成したり、支柱63の上端部に水平方向に沿った端面を形成したりしてもよい。
【0069】
また、支持本体は、バケツ4には、こだわらない。例えば、底部を有さない角筒状、円筒状の周壁部のみ有する部材を支持本体として用いることができる。この場合、ベース板61を設置面Fに直接載置させてもよい。
【0070】
当接部材6と同様に、当接部材6Aも天板部62Aを形成せずに、棒部63Aの上端部を半球状に形成したり、棒部63Aの上端部に水平方向に沿った端面を形成したりしてもよい。
【0071】
また、販売する際の形態として、挿通長孔31を有して支持本体に支持される便座3と、バケツ4の底部41に、上方に延びて配置される当接部材6と、一端に開口する開口部21を有し、他端に閉塞した底部22を有し、開口部21から底部22に向かって形成された周壁部23を有し、便座3又は/及び便座3を支持するバケツ4に掛止され、開口部21と挿通長孔31の内側とが連通するとともに底部22と当接部材6の天板62とが当接して吊り下げられて、周壁部23における底部22の周囲の部分が底部22より下方に位置する第二の底部24が形成される袋体2と、を備える生活廃棄物処理用キットとすることができる。この場合、支持本体を別売りにして、震災避難グッズとして販売の対象とすることができる。また、オプションとして、第二の底部24に配置される生分解性組成物5を組み合わせることも可能である。
【0072】
また、本発明の生活廃棄物処理器具1を用いた生活廃棄物7の処理方法の変化例として、第二の底部24を形成した後、第二の底部24に生分解性組成物5を配置せずに、第二の底部24に生活廃棄物7を落下させた後、袋体2を持ち上げる前に、第二の底部24に生分解性組成物5を配置することによっても、悪臭を遮断することができる。
【0073】
本発明の生活廃棄物処理器具は、上述した使用態様に限定されるものではない、小型化して車載用トイレとしても使用できるし、介護用トイレとしても使用することもできる。さらに、水道設備のない場所での廃棄物処理装置、登山用トイレとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、1A 生活廃棄物処理器具
2、2X、2Y、2Z 袋体
21、21X、21Y、21Z 開口部
22、22X、22Y、22Z 底部
23、23X、23Y、23Z 周壁部
24 第二の底部
3、3A 駆動部
3、3A 便座
31 挿通長孔
4、4A バケツ
41 底部
5 生分解性組成物
6、6A 当接部材
62 天板
62A 天板部
7 生活廃棄物
8 生分解性廃棄物処理装置
91 底板
92 連結柱
F 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔又は切り欠き部を有して支持本体に支持される袋体支持部材と、
前記支持本体の底面又は前記支持本体が設置される設置面に、上方に延びて配置される当接部材と、
一端に開口部を有し、他端に閉塞した底部を有し、前記開口部から前記底部に向かって形成された周壁部を有し、前記袋体支持部材又は/及び前記袋体支持部材を支持する支持本体に掛止され、前記開口部と前記挿通孔又は前記切り欠き部の内側とが連通するとともに前記底部と前記当接部材の上端部とが当接して吊り下げられて、前記周壁部における前記底部の周囲の部分が前記底部より下方に位置する第二の底部が形成される袋体と、
を備えることを特徴とする生活廃棄物処理用キット。
【請求項2】
一端に開口する開口部を有し、他端に閉塞した底部を有し、前記開口部から前記底部に向かって形成された周壁部を有する袋体と、
挿通孔又は切り欠き部を有する袋体支持部材と、
該袋体支持部材を支持する支持本体と、
を備える生活廃棄物処理器具であって、
前記支持本体の底面又は前記支持本体が設置される設置面に配置されて、上方に延びる前記袋体と当接する当接部材を備え、
前記袋体は、前記袋体支持部材又は/及び前記袋体支持部材を支持する前記支持本体に掛止され、前記袋体の前記開口部と前記挿通孔又は前記切り欠き部の内側とが連通するとともに前記袋体の前記底部と前記当接部材の上端部とが当接して吊り下げられて、前記周壁部における前記底部の周囲の部分が前記底部より下方に位置する第二の底部が形成されていることを特徴とする生活廃棄物処理器具。
【請求項3】
該第二の底部には、生分解性組成物が配置されていることを特徴とする請求項2記載の生活廃棄物処理器具。
【請求項4】
前記袋体の前記周壁部が、前記開口部から前記底部に向かって狭小に形成され又は前記周壁部のいずれかの部分から前記底部に向かって狭小に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の生活廃棄物処理器具。
【請求項5】
前記袋体は、生分解性ポリマーで形成されていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の生活廃棄物処理器具。
【請求項6】
前記第二の底部に配置される生分解性組成物を備えることを特徴とする請求項1記載の生活廃棄物処理用キット。
【請求項7】
前記袋体の前記周壁部が、前記開口部から前記底部に向かって狭小に形成され又は前記周壁部のいずれかの部分から前記底部に向かって狭小に形成されていることを特徴とする請求項1又は6記載の生活廃棄物処理用キット。
【請求項8】
一端に開口部を有し、他端に閉塞した底部を有し、前記開口部から前記底部に向かって形成された周壁部を有する袋体を、挿通孔又は切り欠き部を有した袋体支持部材、又は/及び、前記袋体支持部材を支持する支持本体で掛止するとともに、前記袋体の前記開口部と前記挿通孔又は前記切り欠き部の内側とが連通するように前記袋体を吊り下げ、
該支持本体の底面又は前記支持本体が設置される設置面に、上方に延びる当接部材を配置し、
前記袋体の前記底部と前記当接部材の上端部とを当接させつつ、前記周壁部における前記底部の周囲の部分を前記当接部材の上端部よりも下方に吊り下げて、前記袋体の前記周壁部に前記底部より下方に位置する第二の底部を形成し、
前記第二の底部に生活廃棄物を落下させた後、前記袋体を持ち上げ、前記生活廃棄物を前記周壁部に沿って前記底部に向かうように移動させることを特徴とする生活廃棄物の処理方法。
【請求項9】
前記第二の底部を形成した後、前記第二の底部に生分解性組成物を配置し、
前記袋体を持ち上げた時に、前記生分解性組成物を前記周壁部に沿って前記生活廃棄物に被せるように移動させることを特徴とする請求項8記載の生活廃棄物の処理方法。
【請求項10】
前記袋体は、生分解性ポリマーで形成されたものが用いられていることを特徴とする請求項8又は9記載の生活廃棄物の処理方法。
【請求項11】
前記第二の底部に前記生活廃棄物を落下させた後前記袋体を持ち上げる前に、前記第二の底部に生分解性組成物を配置することを特徴とする請求項8記載の生活廃棄物の処理方法。
【請求項12】
前記生活廃棄物が収納された前記袋体を、生分解性廃棄物処理装置で処理することを特徴とする請求項8、9、10又は11記載の生活廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−245110(P2012−245110A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118119(P2011−118119)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(501403656)株式会社新工 (5)
【Fターム(参考)】