説明

生物材料を起源とするアクリル酸エステルの合成方法

酸触媒の存在下でグリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作る第1段階と、得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸CH2=CH−COOHに転換する第2段階と、第2段階で得た酸をエステル化反応させてアルコール:ROHにする(Rは上記の意味を有する)第3段階とを有することを特徴とする式:CH2=CH−COO−Rのアクリル酸エステル(Rは1〜18の炭素原子、必要な場合には異種原子、窒素を有するアルキル基を表す)の合成方法と、この方法で得られる生物原料を起源とするエステルと、このエステルのポリマー重合でのモノマーまたはコモノマとしての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記式のアクリル酸エステルの合成方法に関するものである:
CH2=CH−COO−R
(ここで、Rは1〜18の炭素原子を有する直鎖または分枝したアルキル基を表し、必要に応じてヘテロ原子、例えば窒素を有することができる)
【背景技術】
【0002】
アクリル酸エステル(アクリレート)は工業的に広く使用されおり、ポリマー製造でのその使用範囲は広い。しかし、コポリマーまたはターポリマーの製造でモノマーまたはコモノマーとして使用されるアクリレートの中には純度の規格が問題になる場合がある。ある種の化合物の純度の規格は最終用途のポリマーの品質に直接関係してくる。そして、こうした規格は極めて高価な分留や精製法を用いないと達成するのが難しい。
【0003】
アクリレートはアクリル酸と最終エステル構造を構成するポリマーの合成に必要なヒドロキシル化合物との単純なエステル化またはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、プロピル・アクリレートまたはブチルアクリレートタイプの軽質アクリレートのトランスエステル化(エステル交換)反応によって製造される。
【0004】
例えば2EHAで表される下記式:
CH2=CH−COO−CH2−CH(C25)−CH3
の2−エチルヘキシル・アクリレート−は一般に式CH2=CH−COOHのアクリル酸と2−エチルエチルヘキサノールとのエステル化で直接得られる:
CH2=CH−COOH+CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OH −> CH2=CH−COO−CH2−CH(C25)−(CH23−CH3+H2
一般にADAMEとよばれる式CH2=CH−COO−CH2−CH2−N(CH32のアミノエステル、ジメチルアミノエチルアクリレートは式CH2=CH−COOR0のアクリル酸エステルから下記反応に従ったエステル交換反応で得られる:
CH2=CH−COOR0+(CH32N−CH2−CH2OH −> CH2=CH−COO−CH2−CH2−N(CH32+R0OH
(ここで、R0はCH3またはC25またはC37またはC49である)
【0005】
コポリマーにエラストマー特性を与えるために共重合プロセスで広く用いられている式:CH2=CH(COO−C49)のエステルであるブチルアクリレート(BuA)は一般にアクリル酸とn−ブタノールとの直接エステル化によって得られる。
【0006】
繊維製造の共重合プロセスで広く用いられる式:CH2=CH−COO−CH3のメチルアクリレート(MA)は一般にアクリル酸とメタノールとの直接エステル化で合成される。
【0007】
繊維織物に凝集性を与えるために共重合プロセスで広く用いられる式:CH2=CH−COO−C25のアクリル酸エチル(EA)は一般にアクリル酸とエチルアルコールとの直接エステル化で合成される。
【0008】
しかし、最終的工業的用途を満たす純度を有するモノマーを得るのは難しい。この点に関しては本出願人の特許文献1(フランス特許第2 777 561号公報)が参照できる。この特許には「汚染源」、例えばアクリル酸エチル(EA)やジメチルアミノエタノール(DMAE)の含有量を厳しい閾値以下の量で含む生成物を得るための複雑なADAMEの製造方法が記載されている。
【0009】
酸触媒を用いる2EHAの合成では一般にスルホン酸型の強いカチオンの樹脂である酸性樹脂を用いた不均質触媒が工業的に使用される。2EHA製造の問題は不純物、特にマレイン酸型化合物のレベルが高く、大抵のマーケット分野、特に感圧接着剤(PSA)用エステルのスペックから外れてしまうことである。
【0010】
上記タイプのプロセスで出発材料として使用されるアクリル酸(AA)は工業的には一般にプロピレンから作られる。すなわち、プロピレンを下記の2つの反応段階で酸化する:
(1)CH2=CH−CH3+O2−>CH2=CH−CHO+H2
(2)2H2=CH−CHO+O2−>2CH2=CH−COOH
全体の反応は下記になる:
CH2=CH−CH3+3/2O2−>2CH2=CH−COOH+H2
【0011】
このアクリル酸合成は「石油化学製品合成」として知られ、2つの連続した酸化反応の出発材料としてプロピレンを使用する。従って、それ自体を販売可能なアクロレイン(ACO)合成の第1段階で合成を停止させるか、酸化反応を終りまで行ってアクリル酸を合成するかの2つの場合に対応できる。
【0012】
しかし、この非常に効率的な酸化反応プロセスは従来の精製法を用いて精製した後でも主生成物との分離が非常に難しい副産物または不純物、例えばフルフラール、環式アルデヒド、無水マレイン酸またはマレイン酸等が形成されるといった不利な点がある。
【0013】
アクリル酸製造の反応は気相で一般に2段階で実行され、下記の段階を2つの別々の反応装置または1つの反応装置で実行できる。
(1)プロピレンを実質的に定量的に酸化反応してAAがマイナーな成分であるアクロレイン(ACO)リッチな混合物金を作る第1段階、
(2)ACOをAAに変換する第2段階。
【0014】
第2段階の酸化反応から得られる気体混合物はアクリル酸以外に以下を含む:
(1)一般に使用される温度および圧力条件下で非凝縮性の軽質化合物(窒素、未変換酸素およびプロピレン、プロピレン反応物中に存在するプロパン、最終酸化反応で形成された少量の一酸化炭素および二酸化炭素)
(2)凝縮可能な軽質化合物:特にプロピレン酸化反応で生じた水、未変換アクロレイン、軽質アルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド、酢酸、反応部で発生したる主として不純物)
(3)重質化合物:フルフラール、ベンズアルデヒド、無水マレイン酸、安息香酸等
【0015】
製造の第2相は第2段階から得られた気体混合物を吸収塔の底部へ導くことでAAを回収することに本質がある。カラム最上部で導かれた溶剤に対してカウンターフローで流す。上記の大多数のプロセスではこのカラムでの溶剤は水または高い沸点を有する疎水性溶剤である。
【0016】
吸収剤溶剤として水を使用している吸収プロセスの場合、追加の精製段階は一般に水の存在下で溶剤抽出またはヘテロ共沸蒸留カラムで行う脱水段階と、軽質物、特に酢酸および蟻酸の回収段階と、重質化合物の分離段階とから成る。
【0017】
疎水性溶剤を使用したプロセスの場合も第1の吸収塔の最上位で実行される水の回収以外は基本的に同じ段階である。これらのプロセスは高い沸点を有する溶剤を非常に多量に使用し、運転コストが高く、カラム底部の熱レベルが高く、環境に有害な溶剤が出るという問題が生じる。
【0018】
これらのプロセスでは上記の課題以上に、重質化合物の分離が主たる問題と成る。
【0019】
さらに、このプロセスは石油から得られた化石材料のプロピレンを使用するという不利な点がある。石油が枯渇し、ますます高価になることは公知である。また、例えばアクリル酸中に0.01重量%以上の濃度で痕跡量の形でフルフラールが存在していたとしても所望用途の生成物の重合には大きな欠点になる。
【0020】
同様に、このプロセスでは副産物として無水マレイン酸またはマレイン酸が0.1重量%以上の濃度で合成されるという不利な点がある。これはある種の用途ではモノマーの酸度を上げるという主たる欠点になる。
【0021】
BuAはイソ異性体(イソブチル・アクリレート)として存在し、最終ポリマーのTg(グラス遷移温度)を変えることになる。
【0022】
EAでは、フルフラールがADAMEの製造に有害であり、このモノマーを次のカチオンのフロック生成剤前駆体として使用するときに有害な不純物を構成する。
【0023】
本発明の目的は、出発材料としてプロピレンでなくグリセロールを使用するという最近の開発対象である、アクリル酸合成のための他のプロセスを使用して上記エステルを合成する新しい方法を提供して、上記欠点を無くすことにある。
さらに、植物および/または動物起源のアルコールを使用することで、基本的に再生可能な出発材料を消費するプロセスの「生物原料」性をより強化することにある。
【0024】
本発明によるアクリル酸の合成方法は以下の反応過程に従ったグリセロールを脱水してアクロレインにする第1段階とアクロレインを酸化してアクリル酸にする第2段階との2つの段階から成る:
CH2OH−CHOH−CH2OH−>CH2=CH−CHO+2H2
CH2=CH−CHO+1/2O2−>CH2=CH−COOH
【0025】
グリセロールからアクロレインを製造する方法は古くから知られている。グリセロール(グリセリンともよばれる)は植物および/または動物起源油のメタノール溶媒分解でメチルエステルと同時に得られる。後者は特にガス油および国内の加熱油の燃料として使用される。グリセロールは植物および/または動物油の加水分解で得られ、脂肪酸となり、植物および/または動物油の鹸化でセッケンが形成される。これは「グリーン」な天然物で、多量にあり、保存、輸送ができ、大規模に利用できる。グリセロールの純度を改良する研究は多数行われており、グリセロールを脱水してアクロレインにするルートはその1つである。
【0026】
グリセロールからアクロレインを得るための上記反応は平衡反応である。大抵の場合、水和反応は低温が好ましく、脱水は高温が好ましい。従って、アクロレインを得るために反応を進めるためには十分な温度および/または減圧が必要である。反応は液相または気相で実行できる。この反応が酸触媒で起きることは公知である。一般に、アクロレインの酸化反応は気相で酸化触媒の存在下で実行される。
【0027】
この問題に関してここ10年間に行なわれた研究として特許文献2(フランス特許第.69.5931号公報)を挙げることができる。この特許ではグリセロール蒸気を酸性塩(リン酸塩)上に高温で通してアクロレインを得る。分別蒸留後の収率は75%以上である。
【0028】
特許文献3(米国特許第2 558 520号明細書)では芳香族溶剤中に懸濁したリン酸塩で含浸した珪藻土の存在下で気体/液相で脱水反応を実行する。これらの条件でのグリセロールのアクロレインへの変換度は72.3%である。
【0029】
特許文献4(米国特許第5 387 720号明細書)にはハメット酸度で定義される固体酸触媒上で液相または気相でグリセロールの脱水でアクロレインを製造する方法が記載されている。この特許では10〜40%のグリセロール水溶液を使用し、反応は液相では180℃〜340℃の温度で、気相では250℃〜340℃で実行される。この特許の著者は100%のグリセロール変換度が可能な気相反応が好ましいとしている。この反応では縮合後のアクロレイン水溶液中に副産物、例えばヒドロキシプロパノン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトンがグリセロールからアクロレインの付加生成物として含まれる。グリセロールの約10%はヒドロキシプロパノンに転換される。これはアクロレイン溶液中の主たる副産物である。回収したアクロレインは分別凝縮または蒸留で精製する。液相反応の変換率は15〜25%で、容認できない量の副産物が形成され、所望品質と相容れないモノマー(アクロレインまたはアクリル酸)の品質を得ることはできない。
【0030】
特許文献5(国際特許第WO 06/087083号公報)では分子状酸素の存在下で気相でグリセロールの脱水反応を実行する。
【0031】
特許文献6(国際特許第WO 06/87,084号公報)では気相でのグリセロールの脱水にハメット酸度H0が−9〜−18の酸性の固体を使用することを勧めている。一般に、グリセロールの脱水反応で使用する出発材料は水溶液である。
【0032】
アクリル酸を製造するためにアクロレインを2段階で酸化反応する方法は特許文献7(欧州特許第EP 1 710 227号公報)に記載されている。気相のグリセロールの脱水反応で得られた反応生成物は次の段階の気相の酸化反応でアクリル酸になる。このプロセスは各反応に適した触媒を収容した2つの反応装置で直列に実行される。特許文献8(国際特許第WO 06/092272号公報)には脱水および酸化反応の第1、第2の2段階之の後に精製されたアクリル酸を得るための追加の段階を有する全プロセスが記載されている。
【0033】
2006年12月19日の特許文献9(フランス特許第FR 2 909 999号公報)には第1段階のグリセロールの脱水で得られた反応気体中の水の分縮を実行する2段階プロセスが記載されている。その後、アクリル酸にするための気体を酸化反応の第2段階の反応装置へ送る。この追加の縮合段階は水の一部が液相として凝縮され、アクロレインの全てがガスの形のままであるような温度にガス流体を冷やすことに本質がある。
【0034】
特許文献10(国際特許第WO 06/114506号公報)には1段階で反応を実行する方法が提案されている。この特許では分子状酸素の存在下でグリセロールのオキシハイドレーション反応によって1段階でアクリル酸を製造し、2つの脱水および酸化反応をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】フランス特許第2 777 561号公報
【特許文献2】フランス特許第.69.5931号公報
【特許文献3】米国特許第2 558 520号明細書
【特許文献4】米国特許第5 387 720号明細書
【特許文献5】国際特許第WO 06/087083号公報
【特許文献6】国際特許第WO 06/087084号公報
【特許文献7】欧州特許第EP 1 710 227号公報
【特許文献8】国際特許第WO 06/092272号公報
【特許文献9】フランス特許第FR 2 909 999号公報
【特許文献10】国際特許第WO 06/114506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明の目的は、グリセロールを主たる出発材料として使用した各種の合成方法によって得られたアクリル酸を使用することで、エステルを製造する方法での上記の欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の対象は、酸触媒の存在下でグリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作る第1段階と、
得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸CH2=CH−COOHに転換する第2段階と、
第2段階で得た酸をエステル化反応させてアルコール:ROHにする(Rは上記の意味を有する)第3段階とを有することを特徴とする式:CH2=CH−COO−Rのアクリル酸エステル(Rは1〜18の炭素原子、必要な場合には異種原子、窒素を有するアルキル基を表す)の合成方法にある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の変形例では第3段階を2つのサブステージで実行する。その第1サブステージはC1〜4の炭素原子を有する軽質アルコールを用いて実行し、その第2サブステージでは得られたエステル、一般にメチルまたはエチルエステルを目的アルコールROHによってエステル交換反応して所望のエステルを形成する。この変形例はアルコールROHが異種原子(例えば窒素)を含む場合に特に適用される。
【0039】
本発明のさらに他の変形例では特許文献10(国際特許第WO 06/114506号公報)に記載のように、分子状酸素の存在下でグリセロールのオキシハイドレーション反応により単一の反応装置で実行し、2つの連続した脱水および酸化反応を使用する。
【0040】
本発明のさらに他の変形例では、グリセロール脱水の第1段階から得られた流れ中に存在する水を縮合する中間段階を実行し、その後にアクリル酸にする酸化反応の第2段階用反応装置へ送る。
【0041】
グリセロール脱水の第1段階は触媒の存在下で150℃〜500℃、好ましくは250℃〜350℃の温度、105Pa〜5×105Paの圧力で反応装置で気相で実行される。使用する反応装置は固体酸触媒の存在下の固定床、流動床または循環流動床またはモジュール配置(シートまたはパン)である。
【0042】
適した触媒は反応媒体に不溶な均質または多相材料で、Hoで表されるハメット酸度が+2以下のものである。ハメット酸度に関しては非特許文献1で引用した特許文献11に記載されている。
【特許文献11】米国特許第US 5 387 720号明細書
【非特許文献1】K. Tanabe et al. in "Studies in Surface Science and Catalysis", vol. 51, 1989, chap. 1 and 2
【0043】
ハメット酸度は指示薬を使用してアミン滴定で測定され、また、気相の塩基吸着によって決定される。ハメット酸度Hoが+2以下の触媒は天然または合成のシリカ質材料または酸性ゼオライト;モノ、ジ、トリまたはポリ酸性無機酸で被覆された無機物担体、例えば、酸化物;酸化物または混合酸化物またはヘテロポリ酸の中から選択できる。
【0044】
これらの触媒は一般にヘテロポリ酸塩から成ることができ、そのプロトンを周期律表のI〜XVI族元素から選択される少なくとも一つのカチオンで置換したヘテロポリ酸にすることができる。このヘテロポリ酸塩は、MoおよびVから成る群の中から選択される少なくとも一つの元素を有する。
【0045】
さらに、鉄、リン、セシウム、リンおよびタングステンをベースにした混合酸化物も挙げられる。
【0046】
ゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材料(フッ素化ポリマースルホン酸ベース)、塩素化アルミナ、燐タングステンおよび/またはシリカタングステン酸および酸の塩並びにボレートBO3、スルフェートSO4、タングステートWO3、フォスフェートPO4、シリケートSiO2またはモリブデートMoO3のような酸基を含浸した酸化タンタルTa25、酸化ニオブNb25、アルミナAl23、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化スズSnO2、シリカSiO2またはアルミノケイ(珪)酸SiO2−Al23のような金属酸化物型の各種固体の中から選択するのが有利である。
【0047】
上記触媒にはプロモータ、例えばAu、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ru、Sm、Ce、Yt、Sc、La、Zn、Mg、Fe、Co、Niまたはモンモリロナイトを加えることができる。
【0048】
好ましい触媒は燐酸ジルコニア、タングステンジルコニア、シリカ質ジルコニア、硫酸酸化チタンまたはチタネートまたは燐タングステン酸塩を含浸した酸化チタンまたは酸化錫、燐酸アルミナまたはシリカ、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩、鉄リン酸塩、プロモータを含む鉄燐酸塩である。
【0049】
本発明方法の第2段階は、以下の条件で実行される。第1段階で得られたアクロレインリッチな流れ(アクロレイン濃度は一般に2〜15容積%)の酸化反応を分子状酸素の存在下かつ反応条件下で不活性な気体、例えばN2、C02、メタン、エタン、プロパン、その他の軽質アルカンおよび水の存在下で実行する。分子状酸素は空気の形または濃縮空気または分子状酸素で希釈した空気の形等で、流入流に対して1〜20容積%の含有量(反応装置入口の2%のACOに対する最小ストイキオメトリ)で導入できる。反応液が引火性領域内になるのを妨ぐために、不活性ガスはプロセスに必要で、その全部または一部を第2段階の反応装置の下流にある分離カラムの頂部で得られた気体にすることができる。
【0050】
酸化反応は200℃〜350℃、好ましくは250℃〜320℃の温度で、105〜5×105Pa の圧力下で実行される。この反応では当業者に酸化触媒として周知の全ての種類の触媒が使用できる。一般に、金属の形または酸化物、硫酸塩またはリン酸塩の形をしたMo、V、W、Re、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Te、Sb、Bi、Pt、Pd、RuおよびRhの中から選択される少なくとも一つの元素を含む固形物が使用される。特に、Moおよび/またはVおよび/またはWおよび/またはCuおよび/またはSbおよび/またはFeを主成分とする混合酸化物の形で使用する。
【0051】
反応装置は固定床、流動床または循環流動床で点できる。また、下記文献に記載の触媒モジュール式の範列を有するプレート交換体を使用することもできる。
【特許文献12】欧州特許第EP 995 491号公報
【特許文献13】欧州特許第EP 1 147 807号公報
【特許文献14】米国特許第US 2005/0020851号明細書
【0052】
エステル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、ブチルアクリレート、プロピル・アクリレートおよびエチルヘキシル・アクリレートを合成するための第3段階のエステル化は下記のような従来の条件下で実行される。
【0053】
触媒反応は60〜90℃温度および1.2×105Pa〜2×105Paの圧力で実行される。エステル化反応の触媒は酸であり、無機酸、例えば硫酸、スルホン酸またはリン酸またはp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸または、ドデシルスルホン酸誘導体等から選択でき、均質単相媒体中で反応させることができる。また、触媒は固形物ポリマー、酸性イオン交換樹脂にすることができる。この場合には反応は不均質2相媒体中で行う。
【0054】
この場合の触媒は一般にゲルまたはマクロポーラス型の「酸性樹脂」として公知のスルホン化スチレン/ジビニールベンゼン(DVB)コポリマーで、DVB含有量は2〜25重量%にすることができ、樹脂のH+eq./lで表される酸度は1〜2の間にある。これは例えばLanxess社からLewatitの名称で市販されており、また、Rohm and Hass社からAmberlystの名称で市販されている。Amberlyst 131およびLewatit K1461型の酸性イオン交換樹脂触媒を使用するのが好ましい。反応は連続運転する反応装置で実行される。
【0055】
軽質アルコールを用いてエステル化する上記プロセスの別の実施例では、所望のエステルのための「標的」アルコールを用いたエステル交換反応を下記のエステル交換反応条件で行う。すなわち、下記文献に記載のように、エステル交換反応反応をバッチまたは連続的に実行する。
【特許文献15】フランス特許第FR 2 617 840号公報
【特許文献16】フランス特許第FR 2 777 561号公報
【特許文献17】フランス特許第FR 2 876 375号公報
【0056】
エステル交換反応プロセスは触媒および少なくとも一種の重合禁止剤の存在下で大気圧または大気圧以下の圧力で20〜120℃の温度で、触媒の存在下で、軽質アクリル酸エステル/アミノアルコールのモル比を1.3〜5し、軽質アクリル酸エステルを標的アルコール、一般にジアルキルアミノアルコールと反応させる。反応中、軽質エステル/軽質アルコール共沸混合物を抜き出し、反応の終わりにジアルキルアミノアルコール・アクリレートを一般に蒸留で分離する。
【0057】
「ジアルキルアミノアルコール・アクリレート」という用語はジメチルアミノエチル・アクリレートおよびジエチルアミノエチル・アクリレートを意味する。
【0058】
触媒としてはアルキル・チタネートが使用できる。アルキル・チタネートの例はエチル・チタネート、錫誘導体、例えばジブチル錫オキシドまたはジスタノキサン、ジルコニウム誘導体、例えばマグネシウム・エトキシドまたはカルシウム誘導体、ジルコニウム・アセチルアセトネート、マグネシウム誘導体、例えばカルシウム・アセチルアセトネートである。これらの化合物はジアルキルアミノアルコール1モルに対して10-3モル〜5×10-2モルの比率、好ましくは5×10-3モル〜1×10-2モルの比率で使用する。
【0059】
ジアルキルアミノアルコールに対する軽質アクリル酸エステルのモル比は1.5〜2.5にするのが好ましい。反応中、温度は80〜120℃、好ましくは90〜115℃の間に維持するのが好ましく、反応は50〜85kPaにしする。すなわち、わずかに減圧下に維持する。
【0060】
本発明に適したジエチルアミノエチルアルコールの中ではジアルキルアミノアルコールおよびジメチルアミノエチルアルコールが好ましく、ジメチルアミノエタノールが好ましい。
【0061】
重合禁止剤としてフェノチアジン系、ヒドロキノン・ジメチルエーテル、ヒドロキノン、ジ(tert-ブチル)メチルヒドロキシトルエンまたは4-ヒドロキシ−Tempoを全供給量に対して500〜2500ppmの比率で単独または混合して使用できる。
【0062】
本発明のプロセスの好ましい実施例では式:CH2=CH−COO(CH2−CH2−N(CH32のアクリル酸アミノエステルが合成される。この場合には第2段階で得られた酸を第3段階で軽質アルコール、メタノールまたはエチルアルコールでエステル化し、最後に、形成されたエステルを式:(CH32−N−CH2−CH2OHのアミノアルコールを用いてエステル交換反応する。
【0063】
解決すべき技術的問題は純度の高い、すなわち、この場合にはこのエステルの次の用途で問題となる化合物のフルフラールの含有量が3ppm未満であるアクリル酸エステルを製造することである。すなわち、上記化合物は特に例えばCH3C1を用いて「ADAME−Quats」として知られた四元塩に転換される。この「ADAME−Quats」はQuats/アクリルアミド共重合体の形でADAMEの形で水質調節用フロック生成剤となるが、ADAME−Quats中に不純物としてフルフラールがわずかな量存在するだけでモノマーの重合に非常に強い効果を与え、分子量(Mw)がはるかに低くなるということが分かっている。従って、この用途での生成物の有効度に対しては純度が必要である。
【0064】
第1段階でグリセロールの脱水反応をハメット酸度H0を+2以下の酸触媒の存在下で行い、第2段階で金属Moおよび/またはVおよび/またはWおよび/またはCuおよび/またはSbおよび/またはFeから成る混合酸化物の形の触媒の存在下で酸化反応によってアクロレインを酸化してアクリル酸にするプロセスの変形例では、第3段階で酸を式:R0OHの軽質アルコール(R0は1〜4の炭素原子を有するアルキル基)、好ましくはエチルアルコールでエステル化し、そして最後にこのエステル(CH32−N(CH2−CH2OHのアミノアルコールによってトランスエステル化する。
【0065】
この第3段階終了後に、好ましくはチタン酸テトラブチル、テトラエチル・チタネートまたはテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートから成る触媒の存在下で撹拌反応器中で90〜120℃の温度で、0.5×105Pa〜105Paの圧力で式:(CH32−N−CH2−CH2OHのアミノアルコールで軽質アクリレートをエステル交換反応する。
【0066】
第1段階終了後に、第2段階に入れる前に水を脱水した後(これが反応媒体の大部分)(グリセロールが水溶液の形で処理されるのを思い出す必要がある)のアクロレイン中のフルフラール含有量は、プロピレンプロセスの第1段階からの流れ中の出口の数百ppmと比較して、数十ppmオーダである。
【0067】
アクリル酸の精製段階、エステル化段階、それからエステルのエステル交換反応段階によって、テクニカルなAA(TAA)中のフルフラール含有量は低下し、アクリル酸エチル中で10ppm、最終ADAME中で3ppm未満になる。各段階から得られる流れは蒸留によって精製される。得られたADAMEは例えば下記文献に記載の方法で塩化メチルを用いて定量化され、例えば、活性物質含有量が80%のADAMQUAT MC水溶液になる。
【特許文献18】欧州特許第EP 1 144 356号公報
【特許文献19】欧州特許第EP 1 144 357号公報
【特許文献20】国際特許第WO00/43348号公報
【0068】
その後、このADAMQUAT MCはアクリルアミドと重合され、得られたポリマーは下記文献に記載のように0.1%のコポリマーを含む1モルのNaCl水溶液を外界温度で測定した粘度で特徴づける。
【特許文献21】フランス特許第FR 2815036号公報
【0069】
本発明のプロセスの他の好ましい実施例では残渣酸度の含有量が低い下記式のエステルを合成する:
CH2=CH−C00−CH2−CH(C25)−(CH23−CH3(2EHA)
【0070】
式:CH2=CH−COO−CH2−CH(C25)−(CH23−CH3(一般に2EHAとよばれる)のエステルは一般に以下の反応に従って式:CH2=CH−COOHを有するアクリル酸と2−エチルヘキサノールとのエステル化によって得られる:
CH2=CH−COOH+CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OH<−>CH2=CH−COO−CH2−CH(C25)−(CH23−−CH3+H2
【0071】
この平衡反応は水を除去すること、一般には溶剤を使用して随伴によって水とのヘテロ共沸混合物にするか、より簡単で好ましくはアルコール、エステルおよび水から成るヘテロ共沸混合物の形にしてエステル形成の方へ進めなければならない。沈殿によって水相は分離除去し、有機相は反応段階へリサイクルする。
【0072】
純粋なアクリル酸エステルを得るために、精製の以下の段階は、トッピング・カラムの最上位で軽質化合物(主として過剰アルコール、未変換アクリル酸および残留水)を除去し、テーリング・カラムの頂部で純粋な生成物を回収し、カラムの底部で重質化合物を除去することに本質がある。
【0073】
化学製品型の従来の石油プロセスに従ってアクリル酸からアクリル酸エステル2EHAを製造し、酸性樹脂をベースにしたプロセスを使用して2−エチルヘキサノールとエステル化する時の問題は、エステル中に存在する不純物のレベルが高く、特にマレイン酸型の化合物の不純物が多く、酸が存在すると重合プロセスが遅くなる接着剤、皮革および織物材料処理等の多くの分野での仕様の許容限度外となる。
【0074】
精製済みモノマー中の残留酸度は主として2つの供給源:アクリル酸の存在とエステル化で仕様するアクリル酸の不純物としての無水マレイン酸の存在からくる。残留アクリル酸の回収は反応段階後に第1トッピング・カラムの頂部で軽質化合物を回収して実行できるが、マレイン酸またはその無水物の回収は無水マレイン酸が2EHAと同様な揮発度を有する化合物であるためずっと難しい。無水マレイン酸はアルコールとのエステル化で(2−エチルヘキシル)マレアートおよびジ(2−エチルヘキシル)マレアートへの変換が不完全なときにできる。モノ(2−エチルヘキシル)マレアートは熱的にあまり安定していない化合物で、精製カラムで不均化して無水物となる。このプロセスでは不均化反応で生じたおよび/またはエステル化で変換されないアクリル酸の不純物として存在する無水マレイン酸はその沸点がモノマーのそれと同様なため蒸留によって簡単には除去できない。エステルからポリマーを製造する再には合成されたエステルの酸度が有害である。
【0075】
この化合物を工業的に満足な純度で得ることは難しいということは下記との共重合に記載されている。
【特許文献22】フランス特許第FR 2818 639号公報
【0076】
この問題を解く唯一の解決策は供給原料から無水マレイン酸を除去することであり、氷状アクリル酸(Glacial Acrylic Acid)と呼ばれるものを使用するか、エステル化段階で例えば水酸化ナトリウムを用いた中和で無水マレイン酸から形成されるモノマレアートを回収する追加の精製段階を付加するかである。しかし、残念なことに、これら2つの解決策は追加のコストを必要とするため工業的ではない。
【0077】
本発明の1つの目的は、出発材料としてプロピレンでなくてグリセロールを使用するアクリル酸合成プロセスを使用して、2EHAの合成の新しい方法の使用方法を提供することで上記の欠点を無くすことにある。
【0078】
本発明の対象は、第1段階で、グリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを酸触媒の存在下で脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作り、第2段階で、得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸:CH2=CH−COOHに転換し、最後に第3段階で、第2段階で得られた酸を式:CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OHのアルコールで酸触媒でエステル化反応する、式:CH2=CHCOO−CH2−CH(C25)−(CH23−CH3のアクリル酸エステルの合成方法にある。
【0079】
プロピレンから出発してアクロレインの酸化反応AAを得る方法では反応装置の出口での無水マレイン酸の含有量が1重量%程度であり、精製段階後の「テクニカル純度の」AA(TAA)のその含有量は一般に1000〜1500ppm程度である。しかし、TAA中に存在する無水マレイン酸はTAAを2−エチルヘキサノールとエステル化して2−エチルヘキシルモノマレアートおよび主としてジ(2−エチルヘキシル)マレアート(10倍)のエステルを形成する段階でも媒体中に残る。重産物である後者の分離は蒸留によって比較的簡単である。しかし、蒸留中にモノマレアートが「ディスミューテート(dismutates)」してジマレアートになり、これは簡単に分離でき、不利ではないが、同時に得られる無水マレイン酸の一部が生成した2EHA中に残り、そのレベルは工業用仕様の閾値(<40ppm)をはるかにオーバーする。
【0080】
脱水および酸化反応の第1の2つの段階は上記のように行い、エステル化反応は50〜150℃の温度で固体酸触媒、例えばLewatit K262lまたはAmberlyst 15型に樹脂の存在下で液相で1〜3×105Paの圧力下で実行される。
【0081】
本発明の主たる目的の1つは、天然および再生可能材料を起源とする(生物原料を出発材料とする)を出発材料として使用することにある。本発明は「天然」グリセロールからアクリル酸を製造することとは独立して、エステル化でバイオマス(換言すれば生物原料)から得られる再生可能な天然起源のアルコールROHを使用するものに適用される。軽質アルコールは一般に天然起源から工業的に得られが高級アルコールは違う。例えばブタノールはプロピレンのハイドロホーミレイションによってn−ブチルアルデヒドを作り、それを水素化してn−ブタノールにする。このプロセスは今でも使用されているが、化石出発材料から作られるという事実から、この合成方法ではn−ブタノール中に1000ppmオーダの痕跡量のイソブタノールを含み、最後にイソブチル・アクリレートの形でブチルアクリレートとされる。
【0082】
本発明はさらに、上記のようにグリセロールからアクリル酸を作り、それをバイオマスの好気性発酵によってバクテリアの存在下で得られるn−ブタノールでエステル化してブチルアクリレートを合成するプロセスを対象とする。
【0083】
再生可能な材料の発酵によるブタノールの生産は一種以上の微生物の存在下で一般にアセトンの存在下で実行される。この微生物は自然に変成し、また、化学物質または物理的応力または遺伝子工学的にミュータントが作られる。従来仕様されている微生物はクロストリジウムであり、好ましくはClostridium acetobutylicumまたはそのミュータントの1つであるが、これらに限定されない。
【0084】
発酵段階の前に、セルラーゼ型の酵素またはセルラーゼ型の酵素の複合物を用いて出発材料を加水分解する。再生可能な出発材料としては植物材料、動物起源材料または植物または動物起源の材料から得られた回収材料(リサイクル材料)を使用できる。植物材料には糖、デンプンおよび糖、繊維素、ヘミセルロースおよび/またはデンプンから成る任意の植物材料が含まれる。回収材料から得られる材料の中では植物または糖および/またはデンプン、任意の発酵可能な廃棄物から成る有機性廃棄物が挙げられる。低品質の出発材料、例えば損傷した霜ジャガイモ、マイコトキシンで汚染された穀類は、砂糖大根または過剰酪農チーズを使用するのが好ましい。
【0085】
好ましい再生可能な出発材料は植物材料である。発酵段階の次は一般にブタノールの分離段階である。このブタノールの分離は例えばヘテロ共沸蒸留による種々の反応生成物の分離から成る。この分離後により濃縮された形のブタノールを得るために蒸留する。
【0086】
N−ブタノールを他の異性体から分離する段階を設けることもできる。しかし、発酵ではプロピレンのハイドロホーミレイションの化学ルートよりもブタノール異性体の数が少ない。下記の表に再生可能な出発材料の発酵から得られるブタノールと、化石出発材料から得られるブタノールの分析結果を示す。
【0087】

【0088】
再生可能な出発材料の発酵で得られるブタノールは、n−ブタノールの分離段階の前でも、化石出発材料から得られる精製されたブタノールよりも、イソブタノール/n−ブタノール比が低い。イソブタノールとn−ブタノールは物理化学特性が非常に類似しているためこれらを分離するにはコストがかかる。従って、イソブタノールおよびその他の副産物を含まないn−ブタノールを使用する本発明の対象である方法は、石油化学のブタノールBuAよりも純度の高いブチルアクリレートを低コストで生産できるという経済的な効果を有する。
【0089】
天然および再生可能な材料を起源とする出発材料から成る炭素の使用は、最終製品の組成物中に含まれる炭素原子によって検出できる。すなわち、化石原料から得られる材料とは違って、生物原料の再生可能な出発材料から成る材料は14Cを含む。生物(動物または植物)から得られる全ての炭素のサンプルは3つの同位元素:12C(約98.892%)、13C(約1.108%)および14C(痕跡量:1.2×10-12%)の混合物である。生物組織の14C/12C比は大気のそれと同じである。環境中では14Cは2つの優れた形:無機の形すなわち二酸化炭素(C02)の形と、有機の形すなわち有機分子中に一体化された炭素の形で存在する。
【0090】
有機生物体中では炭素が環境と絶えず交換しているので、14C/12C比は新陳代謝によって一定に保たれる。大気中の14Cの比率は一定であるので、その比は生物中でも同じである。生きている間、生物は12Cと一緒に14Cも吸収し、14C/12C比の平均値は1.2×l0-12に等しい。
【0091】
12Cは安定しており、サンプル中の12C原子の数は経時敵に一定である。一方、14Cは放射性であり(生物中の炭素の1グラム当たり毎分、13.6個の14C同位元素が崩壊)、サンプル中のこの原子の数は下記の式に従って時間(t)の関数で減少する:
n=no exp(−at)
(ここで、noは材料(死ぬ運命にある生物、動物または植物)の14Cの数であり、nは時間tの開始時に残っている14C原子の数であり、aは壊変定数(または放射性定数)で、半減期に関連する)
【0092】
半減期(または半減時間)は生物種の放射性核または不安定粒子の数が壊変によって半分に減少するまでの期間であり、この半減期T1/2は壊変定数aに関連し、式aT1/2=In2で表される。14Cの半減期は5730年である。
【0093】
14Cの半減期(T1/2)から考えると、植物出発材料の抽出からポリマー製造まで、さらにはその使用終了時まで、14Cの含有量は一定である。
【0094】
本出願人は、再生可能な材料起源のCの質量を炭素の全質量に対して少なくとも15%(0.2×10-12/l.2×10-12)を含む場合、好ましくは再生可能な材料起源のCの質量を炭素の全質量に対して少なくとも50%を含む場合、その製品は再生可能な出発材料に由来するとみなす。
【0095】
換言すれば、炭素の全重量に対して14Cを少なくとも0.2×10-10%含む場合、好ましくは0.6×10-10%含む場合に、その製品は再生可能な出発材料に由来する。特に、14Cを0.2×10-10%〜1.2×10-10重量%含む場合に、その製品またはポリマーは再生可能な出発材料に由来する。
【0096】
現在、サンプル中の14Cの含有量を測定する方法は2つある:
(1)液体シンチレーションを用いたスペクトロメトリ:
この方法の基本は14Cの崩壊で生じた「β」粒子をカウントすることにある。質量(12Cの原子数)が分かっているサンプルに由来するβ線を一定時間測定する。この「放射能」は14C原子の数に比例し、それは求めることができる。サンプル中に存在する14Cはβ線を発し、それが液体発光物質(シンチレータ)と接触すると光子が出る。この光子は種々のエネルギー(O〜156Kev)を有し、14Cスペクトルを形成する。この方法と2つの変形法があり、適当な吸収剤の溶液中で炭素化サンプルが予め出したC02を測定するか、炭素化サンプルを予めベンゼンに変換してベンゼンを測定する。
【0097】
(2)マススペクトル分析:
サンプルをグラファイトまたはC02ガスにし、質量分析機で分析する。この方法では14Cイオンを12Cイオンから分離するための加速器と質量分析装置とを使用して、2つの同位元素の比を求める。
【0098】
材料中の14Cの量を測定するこれらの方法はASTM規格D686.6(特にD686.6−06)およびASTM規格D7026(特に7026−04)に記載されている。これらの方法でサンプル中の14C/12C比を測定し、再生可能な材料が100%の参照サンプルの14C/12C比と比較することで、各サンプル中の再生可能な材料起源のCの相対百分比を求めることができる。
【0099】
本発明の場合に好ましくは使用される測定方法はASTM規格D686.6−06(「加速付き質量分析」)に記載のマススペクトル分析である。
【0100】
本発明のさらに他の対象は、本発明方法で得られる14Cを少なくとも0.2×10-10重量%含むエステルの、工業用のポリマーまたはコポリマーの重合のためのモノマーまたはコモノマーとして種々の形での使用にある。
本発明はさらに他の対象は、本発明方法で合成されるエステルから製造されるポリマーまたはコポリマーにある。
以下、本発明の方法の実施例を示す。
【実施例】
【0101】
実施例1(比較例)
石油化学製品TAAからのADAMEの合成
第1段階でプロピレンの酸化反応によってアクロレインを合成する。この段階は気相でモリブデンとビスマスの酸化物をベースにした触媒の存在下で320℃近傍の温度、大気圧で実行される。第2段階では第1段階で得られたアクロレイン豊富なガスの出口流を分子状酸素の存在下で銅およびアンチモンを含むモリブデン/バナジウム混合酸化物から成る触媒を用いて260℃の温度、大気圧での選択酸化反応でアクリル酸にする。
この反応は実験室の固定床式反応器で実行した。第1の酸化反応反応装置は320℃の温度に維持した塩浴(KNO3、NaNO3およびNaNO2共融混合物)中に浸した22mmの直径を有する反応管に500mlの触媒を充填し、プロピレンを酸化反応してアクロレインにする。8モル%のプロピレンと、8モル%の水と、必要量の空気と、残部の窒素とから成る気体混合物をO2/プロピレン・モル比を1.8/1にして供給した。
【0102】
上記からの気体混合物はアクロレインの酸化反応でアクリル酸にする第2の反応装置にフィードとして送る。第2の反応装置は第1反応段階と同じ型の熱交換塩浴中に浸した260℃の温度に維持した30mmの直径を有する反応管に500mlの触媒を充填したものから成る。第2反応装置の出口の気体混合物はカラム最上部に導入する水流とカウンターフローで吸収塔に導入する。このカラム下部は縮合部を備え、ProPackパッキングを充填する。カラム頂部で回収した凝縮した混合物の一部は外部交換体の冷却の後、底部へリサイクルする。
【0103】
以下はテクニカル品質のアクリル酸を得るためにアクリル酸を精製する段階である。これに使用する装置は当業者に公知の一連の連続した蒸留装置である。得られる水溶液はカラム最上部でメチルイソブチルケトン(MIBK)の存在下で蒸留される。メチルイソブチルケトンはヘテロなMIBK/水共沸混合液の静置分離と塔頂部での溶剤の還流の後、水を除去することができる。カラム底で回収された脱水済みアクリル酸はトッピング・カラムにフィードとして運ばれ、その最上部で基本的に酢酸から成る軽質化合物を除去する。最後に、このカラムの底部で回収されたアクリル酸テーリング・カラムにフィードとして運ばれ、底部で重質化合物を除去する。カラム最上部で得られたアクリル酸がテクニカル品質のアクリル酸(TAA)を構成する。
【0104】
第3段階では、テクニカル品質のアクリル酸をLewatit K1461酸性樹脂から成る触媒の存在下で以下の温度および圧力条件でエチルアルコールでエステル化する:T: 80℃およびP:1.5×105Pa。この反応は樹脂から成る平行に配置された2つの反応装置から成る第1反応段階へ反応物(TAA、エチルアルコール)を連続的に供給して実行される。第1段階から出た流れは樹脂から成る反応装置から成る第2反応段階に入る。2つの反応段階は直列である。第1段階の入口ではエチルアルコール/AAのモル比を2にしてエチルアルコール過剰で運転する。第2段階の入口では第1蒸留塔の底部からのTAAを噴射してTAA過剰で運転して、EA/エチルアルコール/水混合液(この場合、TAA/エチルアルコールのモル比は2)からTAAを分離する。第2反応段階の出口から流れは蒸留および液体/液体抽出で精製する。蒸留ラインは第1カラム1に加えて4つの他の蒸留塔および液体/液体抽出蒸留塔を有する。
【0105】
第1のカラムからの最上部生成物はEA/エタノール/水混合液から成る。これを蒸留塔へ運び、その最上部でこの混合物をEA/エチルアルコール/水共沸混合物の理論値になる方向へ濃縮する。このカラムの底部では主として水から成る流れを回収する。カラム最上部生成物は液体抽出蒸留塔へ運ばれ、そこでエチルアルコール/水混合液からEAを分離する。この混合物は蒸留塔で処理され、下記が回収される:
【0106】
(1)最上部で濃縮されたエチルアルコール/水混合液。これは反応にリサイクルされる。
(2)底部で水。これは抽出蒸留塔に返される。抽出蒸留塔の最上部の生成物はEA/軽質化合物/重質合成の混合物から成り、蒸留塔へ運ばれ、その最上部から基本的に酢酸エチルから成る軽質化合物が取り出され、その底部からEAおよび重質化合物(フルフラール、安定化剤塔の各種添加剤)が取り出される。
【0107】
カラム5からのボトムは蒸留塔6へ運ばれ、その最上部から純粋なEAが、底部から重質化合物が取り出される。
【0108】
最後に、最後の段階で撹拌反応器中で115℃の温度で、8.67×104Paの圧力で、テトラエチル・チタネートから成る触媒の存在下で式:(CH32−N−CH2−CH2OHのアミノアルコールでアクリル酸エチルがエステル交換反応される。
アニリンの存在下でのUV/可視分光光度法で測定した各段階でのフルフラール含有量(感受性閾値は0.5ppm)は第1段階のアクロレイン中で300pmm、TAA中で120ppm、アクリル酸エチル中で10ppm、最終エステル中で3ppm。
【0109】
実施例2
Ex-グリセロールTAAからのADAMEの合成
実施例1を繰り返したが、最初の2つの段階の出発材料としてのグリセロールを脱水してアクロレインにし、それから酸化反応してアクリル酸にした。最後の2段階は同じである。
【0110】
脱水反応はタングステンジルコニアZrO2/W03から成る固体触媒の存在下で固定床式反応器で気相で320℃の温度で大気圧で実行した。グリセロール(20重量%)と水(80重量%)の混合物をO2/グリセロールのモル比を0.6にして空気の存在下で蒸発器へ送る。290℃で蒸発器から出た気体媒体は30mmの直径を有するチューブから成る400mlの触媒を充填した反応装置に導かれる。反応装置は320℃の温度で維持された塩浴(KNO3、NaNO3およびNaNO2共融混合物)中に浸した。反応装置の出口で気体反応混合物を縮合カラムの底部へ送る。このカラムの下部にはラシヒリングが充填され、その上に熱交換器流体が循環する凝縮器を載せた。熱交換器流体の温度はカラム最上部で大気圧で72℃の蒸気温度が得られるように調節した。この条件での縮合カラム底部でのアクロレインのロスは5%以下である。
【0111】
6.5モル%のアクロレイン軽質を得るのに必要な量の空気と窒素を添加した後(O2/アクロレイン・モル比=0.8/1)、気体混合物をアクロレインを酸化反応してアクリル酸にする反応装置へフィードとして送る。この酸化反応の反応装置はMo/V混合酸化物をベースにした480mlの触媒で充填された30mmの直径を有するチューブから成る。反応装置は上記と同じ250℃の温度に維持した塩浴中に浸した。触媒ベッドに入れる前に気体混合物をチタネート塩浴に浸したチューブで予熱した。反応出口の気体混合物は比較例1と同じ精製処理をした。
【0112】
第3および第4段階(エステル化およびエステル交換反応)は実施例1の条件で実行した。
UV/可視分光光度法によって測定した各段階の流れ中のフルフラール含有量は、アクロレインに対するフルフラールの重量比でアクロレインをアクリル酸にする酸化反応の反応装置のフィード中で70ppm、水の縮合後、TAA中で30ppm、アクリル酸エチル中で3ppm、最終エステル中で0.5ppmである。
【0113】
これらの非常に低い計測量は問題を含み、操作条件が複雑になる。これらの分子が重合して4量化後に得られる結果ははるかに意味深い。実施例2の分子から得られるポリマーの粘度は4.5cPsであるのに対して実施例1の分子から得られるポリマーの粘度は3.6cPsである。これは実施例2のポリマーの分子量が実施例1のそれのそれより著しく高いことを意味する。
【0114】
実施例3(比較例)
石油化学製品TAAからの2EHAの合成
実施例1を繰り返したが、実施例1に記載の精製段階後に得られたテクニカル品質のアクリル酸を式:CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OHのアルコールでエステル化した。
【0115】
エステル化反応は液相でLewatitK262i樹脂の存在下でTAAをわずかに過剰にし、95℃の温度で、0.65×105Paの圧力下で実行した。各出口流中の無水マレイン酸含有量を逆相高性能液体クロマトグラフィで測定した。クロマトグラフィ・カラムは長さ250mm、内径4mmのLichrosphere 100RP 18である。溶出剤は水/メタノール混合物。検出器は225ナノメートルで運転されるUV検出器である。第1段階の出口でのアクリル酸の無水マレイン酸含有量は1重量%でる。精製後、TAAの無水マレイン酸含有量は1500ppm、エステル化段階およびそれに続く蒸留精製後の精製された生成物の酸度は150ppmに下がる。
【0116】
実施例4
Ex-グリセロールTAA からの2EHAの合成
実施例2の最初の2つの段階を繰り返し、得られたテクニカルアクリル酸を実施例3に記載の条件で式:CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OHのアルコールでエステル化した。
アクロレインに対する無水マレイン酸の重量濃度は、第2反応段階のフィード中で1重量%以下であり、水縮合後のテクニカルアクリル酸の含有量は500ppm程度であり、精製された2EHA中の最終酸度は40ppmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸触媒の存在下でグリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作る第1段階と、
得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸CH2=CH−COOHに転換する第2段階と、
第2段階で得た酸をエステル化反応させてアルコール:ROHにする(Rは上記の意味を有する)第3段階とを有することを特徴とする式:CH2=CH−COO−Rのアクリル酸エステル(Rは1〜18の炭素原子、必要な場合には異種原子、窒素を有するアルキル基を表す)の合成方法。
【請求項2】
第1段階を反応装置中で気相で固体酸触媒の存在下で150℃〜500℃、好ましくは250℃〜350℃の温度で、l05〜5×l05Paの圧力で、H0で表されるハメット酸度を+2以下にして実行する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
得られたアクロレインを第2段階を200℃〜350℃、好ましくは250℃〜320℃の温度で、105〜5×105Paの圧力下で、金属、酸化物、硫酸塩またはリン酸塩の形をしたMo、V、W、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Te、Sb、Bi、Pt、Pd、RuおよびRhの中から選択しる少なくとも一つの元素を含む固体酸化触媒の存在下で、酸化反応で実行する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第3の段階のエステル化を60〜90℃の温度で、1.2×105〜2×105Paの圧力下で、硫酸、スルホン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸またはドデシルスルホン酸誘導体等の酸触媒の存在下で実行し、反応を均質単相媒体中または固体酸触媒、例えば固形物ポリマー、酸性のイオン交換樹脂、特にスルホン化スチレン−ジビニールベンゼン(DVB)コポリマーで行い、反応は不均質な2相媒体中で行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
最後の段階を2つのサブステージで実行し、その第1サブステージは請求項4と同じであるが式:CH2=CH−COOR0の軽質アルコールを用いて実行し(R0はCH3またはC25CH3またはC37またはC49である)、その第2サブステージは得られたエステルを目的アルコールROHによってエステル交換反応して所望のエステルを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エステル交換反応を触媒および少なくとも一つの重合禁止剤の存在下で、20〜120℃、好ましくは80〜120の温度で、大気圧〜大気圧以下の圧力、好ましくは50〜85kPaで実行し、触媒をアルキル・チタネート、例えば、エチルチタネート、錫誘導体、例えばジブチルすずオキシドまたはジスタノキサン、ジルコニウム誘導体、ジルコニウム・アセチルアセトネート等、マグネシウム誘導体、マグネシウム・エトキシド等またはカルシウム誘導体、カルシウム・アセチルアセトネート等の中から選択する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られ、炭素の全重量に対して14Cを少なくとも0.2×10-10重量%含み、好ましくは14Cを少なくとも0.6×10-10重量%含むことを特徴とする式:CH2=CH−COO−Rのエステル(ここで、Rが1〜18の炭素原子必要に応じて異種原子、窒素を有する直鎖または分枝したアルキル基を表す)。
【請求項8】
合成で使用するアルコールROHが生物原料である請求項7に記載のエステル。
【請求項9】
アルコールがバクテリアの存在下でバイオマスを好気性発酵して得たn−ブタノールである請求項7または8に記載のエステル。
【請求項10】
第1段階で、グリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを酸触媒の存在下で脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作り、第2段階で、得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸:CH2=CH−COOHに転換し、最後に第3段階で、第2段階で得られた酸を式:CH3−(CH23−CH(C25)−CH2OHのアルコールで酸触媒でエステル化反応する式:CH2=CHCOO−CH2−CH(C25)−(CH23−CH3のアクリル酸エステルの合成方法。
【請求項11】
第1段階を反応装置中で気相で触媒の存在下で150℃〜500℃、好ましくは250℃〜350℃の温度で、105〜5×105Paの圧力で、H0で表されるハメット酸度が+2以下にして固体酸触媒の存在下で実行する請求項10に記載の合成方法。
【請求項12】
第2段階を、得られたアクロレインを200の℃から350の℃まで変動している温度で、、好ましくは250の℃〜320の℃で、105〜5×105Paの圧力で、Mo、V、W、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Te、Sb、Bi、Pt、Pd、RuおよびRhの中から選択される少なくとも一つの元素を含むる金属または酸化物、硫酸塩またはリン酸塩の形をした固体酸化触媒の存在での酸化反応のための反応によって、実行されて実行する請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
エステル化段階を60〜90℃の温度、1.2×105Pa〜2×105Paの圧力下で、例えば、硫酸、スルホン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸またはドデシル・スルホン酸誘導体等の均一単相媒体中または固体酸触媒、例えば固形物ポリマー、酸性のイオン交換樹脂、特にスルホン化スチレン−ジビニールベンゼン(DVB)コポリマーのような酸触媒の存在下で実行し、この場合、反応を不均質2相媒体中で実行する請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
炭素の全重量に対して14Cを少なくとも0.2×10-10重量%含み、好ましくは14Cを少なくとも0.6×10-10重量%含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法で製造可能な式:CH2=CHCOO−CH2−CH(C25)−(CH2)−CH3のエステル。
【請求項15】
第1段階で、グリセロール:CH2OH−CHOH−CH2OHを酸触媒の存在下で脱水反応して式:CH2=CH−CHOのアクロレインを作り、第2段階で、得られたアクロレインを触媒酸化によってアクリル酸:CH2=CH−COOHに転換し、最後に第3段階で、第2段階で得られた酸を式:式R0OHのアルコール(R0はCH3またはC25かC37またはC49ある)でエステル化反応し、最後の第4段階で、得られたエステルを式:(CH32−N−CH2−CH2OHのアミノアルコールによってエステル交換反応することを特徴とする式:CH2=CH−COO−CH2−CH2−N(CH32のアクリル酸アミノエステルの合成方法。
【請求項16】
第1段階を反応装置中で気相で触媒の存在下で150℃〜500℃、好ましくは250℃〜350℃の温度で、105〜5×105Paの圧力で、H0で表されるハメット酸度が+2以下にして固体酸触媒の存在下で実行する請求項15に記載の合成方法。
【請求項17】
第2段階を、得られたアクロレインを200の℃から350の℃まで変動している温度で、好ましくは250の℃〜320の℃で、105〜5×105Paの圧力で、Mo、V、W、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Te、Sb、Bi、Pt、Pd、RuおよびRhの中から選択される少なくとも一つの元素を含む金属または酸化物、硫酸塩またはリン酸塩の形をした固体酸化触媒の存在での酸化反応のための反応によって、実行されて実行する請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
第3段階のエステル化を式:R0OHのアルコール(R0はCH3またはC25かC37またはC49)で、60〜90℃の温度で、酸触媒の存在下で、1.2×105Pa〜2×105Paの圧力下で、例えば、硫酸、スルホン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸またはドデシル・スルホン酸誘導体等の均一単相媒体中または固体酸触媒、例えば固形物ポリマー、酸性のイオン交換樹脂、特にスルホン化スチレン−ジビニールベンゼン(DVB)コポリマーのような酸触媒の存在下で実行し、この場合、反応を不均質2相媒体中で実行する請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第4段階のエステル交換反応を20〜120℃、好ましくは80〜120℃の温度で、大気圧または大気圧以下の圧力、好ましくは50〜85kPaの圧力で、少なくとも一つの重合禁止剤および触媒、例えば、アルキル・チタネート、エチル・チタネート、錫誘導体、ジブチルすずオキシドまたはジスタノキサン等、ジルコニウム誘導体、例えばジルコニウム・アセチルアセトネート、マグネシウム誘導体、マグネシウム・エトキシド等またはカルシウム誘導体、カルシウム・アセチルアセトネート等之中から選択されるの触媒の存在下で実行することを特徴とする請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法で得られ、炭素の全重量に対して14Cを少なくとも0.2×10-10重量%含み、好ましくは14Cを少なくとも0.6×10-10重量%含むことを特徴とする式:CH2=CH−COO−CH2−CH2−N(CH32のアクリル酸アミノエステル。
【請求項21】
請求項7〜9、14または20に記載のエステルの、ポリマーまたはコポリマー化合物の重合用モノマーまたはコモノマとしての使用。
【請求項22】
請求項7〜9、14または20のエステルの重合によって得られるポリマーまたはコポリマー。

【公表番号】特表2011−529034(P2011−529034A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519223(P2011−519223)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051491
【国際公開番号】WO2010/010309
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】