説明

生物活性メチレンブルー誘導体(2)における開発

微生物感染予防用抗菌剤として使用するための式(I)のフェノチアジニウム化合物:
【化1】


(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、場合により置換されていてもよい線状、分枝状又は環状炭化水素基であり;又はR1及びR2又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成し;XP-は、対アニオンであり;及びPは、1、2又は3である)。本発明は、フェノチアジニウム化合物を含む組成物、選択された化合物及び薬剤として、PDT剤として、光診断剤としてのそれらの使用、フェノチアジニウム及びポリマーの間に形成される共役物又は複合材料、及び流体を照射しながら共役物又は複合材料に通す流体を殺菌する方法に関する。化合物は、生物学的に活性な光増感剤であり、それは、享禄に光細胞毒性であり、光力学的治療(PDT)の領域において及び医薬条件の診断及び検出のための用途を有し、及び光化学内在化における、ガンワクチンの製造における、微生物感染の治療及び予防における及び光消毒又は光殺菌における関連用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、強い光細胞毒であり及び光線力学療法(PDT)の領域における適用を有する生物活性光増感剤、それらの組成物、特に癌の治療における及び微生物感染の治療及び予防における薬剤としてのそれらの使用、医療条件の診断及び検出におけるそれらの使用及び光化学内在化における、癌ワクチンの製造における及び光消毒又は光殺菌における関連使用に関する。本発明は、更に、光増感剤の共役物(conjugate)及び複合材料に関し、それは、光消毒又は光殺菌において使用され得る。
発明の背景
ある有機化合物(“光増感剤”)は、酸素の存在における光の吸収により細胞死を誘導し得ることが知られている。細胞毒効果は、タイプI及び/又はタイプIIの光酸化を含む。そのような光増感剤は、光(光線力学療法)での癌及び他の疾患又は感染の治療において及び微生物の光誘発破壊による表面及び流体の殺菌(消毒を含む)において使用が見い出されている。これに関連して、用語殺菌は、特別な状況において微生物の低減又は除去を意味する。
【0002】
ある色のフェノチアジニウム化合物(例えばメチレンブルー)は、タイプI及びタイプIIの光酸化工程に関与することができるが、このタイプの化合物は、これまで、光線力学療法のための増感剤として不適切又は低効能であること、又は低い光化学抗菌活性を示し、又はそれらがエームズポジティブ(Ames positive)であるため使用における潜在的問題を有することもまた知られている。
PDTにおける適用のため、良好な増感剤は、次の特性の少なくともいくつか及び好ましくは全てを有さなければならない:
・光(好ましくは波長約600〜800nm)への暴露の際に対象細胞(例えば腫瘍細胞又は細菌細胞)の破壊を効果的に引き起こすべきであり、
・対象及び通常組織の間で高度の選択性を示すべきであり、
・比較的にダーク毒性がほとんどないべきであり、
・患者において肌光感受性がほとんどない又は全くないべきであり、
・患者及び病院の都合のためにインターバルを軽くするための及び治療コストを最小にするためのショートドラッグを有するべきであり、
・インビボにおいて使用するのに適切であるべきであり、特に変異原性でないべきであり、
・光殺菌における適用のために、良好な増感剤は、微生物の幅広い範囲において強い光毒性作用を理想的には周囲光を使用して示さなければならず及び容易に光退色であるべきではない。
【0003】
腫瘍学において、いくつかの異なるタイプの光増感剤を使用して、中空器官例えば食道及び膀胱の固体腫瘍及び弱い(thin)腫瘍双方を治療してきている。しかしながら、これらの光増感剤の使用は、腫瘍及び健康な組織の間で選択の欠如のために部分的に及び引き起こされ得る長期の肌光感受性のため部分的に制限されている。肌の光感受性をほとんど又は全く生じず及び腫瘍細胞を選択的に破壊する新しい光増感剤が必要である。
PDTは、腫瘍の治療に前もって使用されているけれども、それは細菌又は他の微生物により引き起こされる感染に対して臨床上まだ使用されていない。細菌感染を治療するための抗生物質の使用は、通常使用される抗生物質例えばテトラサイクリン及びβ-ラクタムに対する多くのバクテリア種の耐性増加のために挑戦となってきている。病院の獲得抗生物質耐性感染例えばMRSAは、特に問題がある。光線力学抗細菌治療は、局部治療のための抗生物質の有望な代替物である。
抗細菌剤を開発する際、克服しなければならない主な問題は、細菌細胞への薬剤の吸収である。グラム陰性菌及びグラム陽性菌は、それらの外側面の組成において異なり及び特に吸収に関して、異なって抗微生物剤に応答する。グラム陰性細菌の高い負電化表面のために、それらは、最も通常使用される光増感剤を含む中性薬物又はアニオン性薬物に比較的に不浸透性である。グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌に対して有効である抗微生物光増感剤の開発は、耐性のために次第に効果がなくなってくる通常使用される抗生物質及び薬剤を置換するのに利益が高いであろう。
【0004】
多くの異なるタイプの光増感剤は、バクテリアにおいて研究されてきた。これらは、フェノチアジニウム化合物、フタロシアニン、塩素及び天然発生光増感剤を含む。グラム陰性菌への吸収のために、カチオン誘導体が最も効果的であるということが受け入れられている。
フェノチアジニウム化合物は、600〜700nmの間の波長で最大吸収を有する青色色素である。それらは、それらの非光線力学抗細菌特性について研究されてきているが、メチレンブルー及びトルイジンブルーは別としていくつかは、光線力学的に研究されてきている。
Wainwrightら(1998)は、腫瘍細胞系及びバクテリアにおいて一連のフェノチアジニウムメチレンブルー誘導体の効果を研究した。新規メチレンブルー(NMB)及びジメチルメチレンブルー(DMMB)は、不活生化MRSAで効果的であり及び色素性メラノーマ細胞系で活動する際、メチレンブルーより効果的な光増感剤であることが示された。Wangnerら(1998)は、これらの染料及びまたエンベロープを持ったウィルスの活性化のための疎水性誘導体を研究した。
【0005】
メチレンブルーの抗細菌作用の正確なモードは知られていないが、ある仮説は、その立体化学のためにDNAに挿入することができること及び光動的作用がDNA損傷を引き起こす。メチレンブルーそれ自身は、抗腫瘍剤として効果的でないことが示されている。また、メチレンブルーは、光退色に影響を受けやすいことが知られており、それは、いくつかの適用において深刻な不利点であり得る。メチレンブルーの認可された制限のために、抗腫瘍PDT及び抗微生物PDTは、新規フェノチアジニウムベース光増感剤の開発のためになるであろう。
PCT出願PCT/GB02/02278は、生物学的に活性であるフェノチアジニウム化合物を記載し及び一連のN,N,N,Nテトラn-C1-6アルキル誘導体において、テトラn−ブチル誘導体が最も活性的であり、鎖における炭素原子の数が増加する際、活性が速く減少することを提案する。
驚くべきことに、更なるフェノチニアジニウム化合物誘導体が見い出され、それは、生物学的に活性であり及びそれは、特に微生物感染の予防における及び癌及び微生物感染の治療における薬剤として使用するのに適切である。
本発明によれば、微生物感染の予防のための抗菌剤として使用するための式(I)のフェノチアジニウム化合物が提供され:










【0006】
【化1】

【0007】
(式中、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、場合により置換されていてもよい線状、分枝状又は環状炭化水素基であり、又はR1及びR2又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5-、6-又は7-員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2及び3である)。
創傷感染の予防について、創傷部位が殺菌され及び本願明細書において、殺菌は、細菌量(load)において又は創傷部位付近において有意な低減を意味し、それは、効率的な創傷治療を促進するのを助け又はそれは、創傷感染が起きるであろう機会を最小限にする。
感染の予防のための式(1)の化合物の使用は、好ましくはPDTによるものであって、その中において、化合物が創傷部位に適用され、その後、光の適用が続く。都合の良い抗菌剤は、それらが感染の予防のための短い寿命を有し及びそれらの効果を維持するために例えば綿棒で塗布することによる繰り返し適用を必要とするという不利点を持つ。予防効能が、化合物を再び塗布する必要なしに更なる光の適用により必要に応じて長期にわたり及び再活性化することができるので、式(I)の化合物は、前もって知られ及び使用される抗菌剤を超えて改善された特性を有する。創傷部位を、必要な時、適切な波長の光に曝露し続けることにより又は適切な波長の光の断続的な使用により殺菌条件において保持することができる。本発明の更なる特徴によれば、抗ウィルス剤として使用するための式(II)のフェノチアジニウム化合物が提供され、その中において、式(II)の化合物は、式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、場合により置換されていてもよい線状、分枝状又は環状炭化水素基であり、又はR1及びR2又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5-、6-又は7-員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である。
【0008】
微生物感染を予防するための及び抗ウィルスとしての使用について、ここでは、R1、R2、R3及びR4により表される線状及び分枝状鎖炭化水素基が、好ましくは、1〜12個の炭素原子を含む。R1、R2、R3及びR4により表される炭化水素基が同一である化合物において、各々が線状又は分枝状であり及び4個又は5個の炭素原子を含むことが好ましい。R1=R2及びR3=R4であり、R1/R2は、R3/R4と異なる化合物において、各々が線状又は分枝状であり及び1個〜6個の炭素原子から含むこと、及び更にR1、R2R3及びR4における全炭素原子数が8〜18であることが好ましい。
本発明の更なる特徴によれば、微生物感染の治療における抗菌剤として使用するための式(III)のフェノチアジニウム化合物が提供され、その中において、式(III)の化合物は、式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中:
i)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、ただしR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC7-12-アルキルであり;又は
ii)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが、分枝状又は環状であり;又は
iii)各R1、R2,R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、ただしR1及びR2の少なくとも1つがR3及びR4の少なくとも1つと同一でなく;又は
iv)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は異なり又はR3及びR4は異なり;又は
v)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、C1-12-アルキルから選択され及びR1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つは、それらが結合するN原子と一緒に場合により置換されていてもよい5-、6-又は7員環を形成する。
【0009】
本発明の更なる特徴によれば、薬剤として使用するための又は抗癌剤として使用するための式(IV)のフェノチアジニウム化合物が提供され、その中において、式(IV)の化合物は、式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中:
i)各R1、R2、R3及びR4は、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、ただしR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC7-12-アルキルであり;又は
ii)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、分枝状又は環状であり;又は
iii)R1及びR2の双方がHO(CH22-であり及びR3及びR4の双方がn-ブチル又はn-ペンチルである化合物を除いて、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、ただしR1及びR2の少なくとも1つが、R3及びR4の少なくとも1つと同一ではなく;又は
iv)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は異なり又はR3及びR4は異なり;又は
v)R1及びR2がそれらが結合するN原子と一緒にモルホリノ環を形成し及びR3及びR4Rの双方がn-ブチルである化合物を除いて、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、C1-12-アルキルから選択され及び1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つが、それらが結合するN原子と一緒に場合により置換されていてもよい5-、6-又は7-員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である。
【0010】
本発明の更なる特徴によれば、式(V)のフェノチアジニウム化合物が提供され、その中において式(V)の化合物は、式(I)の化合物と同一構造を有するが式中:
i)各R1,R2,R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、ただしR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC7-12-アルキルであり;又は
ii)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが分枝状又は環状であり;又は
iii)R1及びR2双方がHO(CH22-であり及びR3及びR4の双方がn-ブチル又はn-ペンチルである化合物を除いて、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、ただしR1及びR2の少なくとも1つはR3及びR4の少なくとも1つと同一ではなく;又は
iv)各R1、R2、R3及びR4は、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中においてR1及びR2は異なり又はR3及びR4は異なり;又は
v)R1及びR2はそれらが結合するN原子と一緒にモルホリノ環を形成し及びR3及びR4Rの双方がn-ブチルである化合物ブチルを除いて、各R1、R2、R3及びR4は、独立して、C1-12-アルキルから選択され及びR1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つが、それらが結合するN原子と一緒に場合により置換されていてもよい5-、6-又は7-員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である。
【0011】
一般に、式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つにおいてR1、R2、R3及びR4により表される線状及び分枝状鎖炭化水素基は、1又は2以上の不飽和結合例えば1又は2以上のアルケン基を含み得、及び場合によりH、F、Cl、Br、I、-OH、-OC1-6-アルキル、-CN、-OCOC1-6-アルキル又はアリール例えばフェニルから選択される基により置換され得る。これらの線状及び分枝状鎖炭化水素基は、好ましくは非置換であり及び好ましくは飽和炭化水素基である。
式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つにおいてR1、R2、R3及びR4により表される環状炭化水素基は、3〜8個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子及びより好ましくは6個の炭素原子を含む。これらの環状炭化水素基は、1又は2以上の不飽和結合を含み得、それらは、場合により置換され得及び場合によりヘテロ原子例えば窒素を含み得る。
式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つにおけるR1及びR2及び/又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に場合により置換されていてもよい5-、6-又は7-員環を形成する場合、環は、他のヘテロ原子を含み得及び場合により置換され得る。ヘテロ原子は、好ましくはN、O又はSから選択される。ヘテロ原子が、Sである場合、これはOで置換され得、ヘテロ原子がNである場合、これはH、-CO C1-6-アルキル又はC1-6-アルキルで置換され得、それは場合により-OHにより置換され得、好ましい置換されたヘテロ原子は、SO2、NH、NCH3、NC25、NCH2CH2OH及びNCOCH3から選択される。任意の環置換基は、-C1-6-アルキル、-OH、-OC1-6-アルキル、-OC OC1-6-アルキルから選択され得る。例は以下を含む:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中Zは、CH2、CH2-C1-6-アルキル、O、S、SO2、NH,NCH3、NC25、NCH2CH2OH又はNCOCH3である)。
式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つにおいてXP-により表される対アニオンは、有機又は無機対アニオンであり得及び好ましくはF-、Br-、Cl-、I-、NO3-、SCN-、ClO3-、ClO4、IO3-、BF4-、HSO4-、H2PO4-、CH3SO4-、N3-、SO42-、HPO42-、PO43-、アセテート、ラクテート、シトレート、タートレート、グリコレート、グリセレート、グルタメート、β-ヒドロキシグルタメート、グロコウロネート(glucouronate)、グルコネート、マレエート及びアスパルテートから選択される。好ましくは、対アニオンは、Cl-、Br-、I-、F-、NO3-、HSO4-、CH3CO2-、SO42-、HPO42-を含む群より又はCl-、Br-、I-、アセテート、ラクテート、シトレート、タートレート、グリコレート、グリセレート、グルタメート、β-ヒドロキシグルタメート、グロコウロネート、グルコネート、マレエート、アスパルテートを含む群より及びより好ましくはCl-、Br-、I-を含む群より選択される。
式(I)〜(V)の化合物の好ましいサブグループにおいて、R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく及びR1及びR2により表されるアルキル側鎖における炭素原子の合計は、14〜40、好ましくは16〜36及びより好ましくは18〜30及び特には18〜24である。
式(I)〜(V)の化合物の更なる好ましいサブグループにおいて、R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく及びR1及びR2により表されるアルキル側鎖における炭素原子の合計は、16〜20好ましくは18〜20である。
【0014】
式(I)〜(V)のフェノチアジニウム化合物を次のように合成することができる:
1)R1及びR2=R3及びR4である対称的なフェノチアジニウム化合物
a)フェノチアジンを、初めに氷酢酸における臭素で臭素化して、3,7-ジブロモフェノチアジン-5-イウムを得、形成されたサスペンションをろ過により集める。
b)3,7-ジブロモフェノチアジン-5-イウム臭化物をR1R2NH(その中においてR1及びR2は、上に定義される)により表されるアミン又はクロロホルムにおけるN-ヘテロ環に添加する。形成された固体をろ過により集め及び例えばクロロホルム、クロロホルム/メタノール(98/2)及びその後クロロホルム/メタノール(90/10)を使用してシリカゲル60でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を石油エーテル(b.p. 60〜80℃)でのクロロホルムからの沈殿により更に精製し得る。
2)R1及びR2はR3及びR4ではなく、又はR1はR2ではなく及び/又はR3はR4ではない非対称フェノチアジニウム化合物。
a)クロロホルムにおけるフェノチアジンを5℃より下に冷却し及びクロロホルムにおけるヨードの溶液を添加した。形成された固体をろ過により集め、ヨードがなくなるまでクロロホルムで洗浄し及びその後一晩真空下で室温に保って、フェノチアジン-5-イウムテトラヨウ化物水和物を得た。
b)メタノールにおけるフェノチアジン-5−イウムテトラヨウ化物水和物をメタノールにおけるアミンR1R2NH(その中においてR1及びR2は、上に定義される)の溶液に添加する。反応混合物を一晩攪拌し、蒸発により低減(reduce)して、冷却する。形成された固体をろ過により集め、ジエチルエーテルで洗浄し及び乾燥する。
c)ジクロロメタンにおけるトリエチルアミン、次いでジクロロメタンにおける異なる第二級アミンR3R4NH(その中においてR3及びR4は、上に定義される)の溶液を、ジクロロメタンにおける上のb)からの固体の溶液に添加する。反応混合物を一晩中攪拌し、有機層を希釈塩酸及び水で洗浄し、分離及び乾燥(MgSO4)する。溶剤の大部分を蒸発し及びジエチルエーテルを添加して、ろ過により集められる生成物を沈殿させ、ジエチルエーテルで洗浄し及び乾燥する。必要ならば生成物の更なる精製が、フラッシュカラムクロマトグラフィーによりなされ得る。
【0015】
1又は2以上の医薬的に許容可能なキャリアー、希釈剤又は賦形剤(各々が、医薬組成物の最適な組成を可能にするある特徴のために選択された)と一緒に式(V)の化合物を含む組成物は、本発明の更なる特徴を形成する。本発明の組成物はまた、式(I)〜(V)の2又は3以上の化合物を含む物及び1又は2以上の治療薬又は活性剤を有する式(I)〜(V)の1又は2以上の化合物を含む物を含む。組成物は、リポソーム、ナノ粒子、コロイド懸濁液、ミセル、マイクロエマルジョン、ベシクル(vesicle)及びナノスフェアを含む。
組成物はまた、更なる成分、例えば従来のデリバリービヒクルお賦形剤を含んでいてもよく、それは、溶剤例えばアルコール(例えばエタノール、ポリエチレングリコール、グリセロール又はn-ブタノール)、ジメチルスルホキシド、水、生理食塩水、可溶化剤例えばキャスターオイル誘導体例えばCremophor EL(商標BASF AG)又はTween(商標、ICI Americans Inc.)タイプ又はSolutol HS15(Solitolは、BASF AGの商標である)のようなエトキシル化されたキャスターオイル、等張剤例えば尿素、グリセロール、アミノエタノール、プロピレングリコール、pH調整剤、染料、ゲル化剤、増粘剤、緩衝剤及びそれらの組み合わせを含む。
典型的には、組成物を、式(I)の化合物と1又は2以上の医薬的に許容可能なキャリアーとを適切な温度、典型的には15〜65℃で、適切なpH、典型的にはpH3〜9で及び好ましくは生理学的に適切なpH例えばpH6.5〜7.5で、混合することにより製造する。
式(I)〜(V)の1又は2以上の化合物を含む組成物において、組成物にける化合物の濃度は、化合物の感光能力に依存し及び好ましくは局所的な使用のために0.0005〜20%の範囲及び静脈内の使用のために100μM〜30mMの範囲である。
使用前に再構成することができる乾燥組成物が、また本発明において提供される。これらを、組成物の固体成分を乾燥混合すること又は通常穏やかな条件下、真空下又は低温度オーブンにおいて蒸発して、乾燥物とされる液体組成物を製造することにより製造し得る。
式(IV)の化合物及びそれらの組成物を、感染及び癌を含む種々の治療条件における;皮膚科、眼科、心臓血管、婦人科及び歯科の治療条件における;及び感染の予防における薬剤として使用し得る。好ましくは薬剤としての使用は、抗癌剤、抗細菌剤、抗真菌剤及び抗ウィルス剤としてのものである。これらを、人体又は動物において使用し得る。
本発明のある実施態様において、式(I)〜(V)のいずれか1つの化合物をPDT剤又は写真診断用薬として使用する。
式(I)〜(V)の種々の化合物及びそれらの組成物の使用例は、PDT用感光薬としてであり、バレット食道、外陰部上皮内新生物質(VIN)及び頚部上皮内癌(CIN)、膀胱癌、結腸癌、非メラノーマ皮膚癌、光線角化症、メラノーマ、脳下垂体癌、脳神経こう腫、膵臓癌、頭部及び頚部癌、肺癌、特に非小細胞、中皮腫、食道癌、胃癌、皮膚T細胞リンパ腫を含む癌及び予備癌状態を治療するため;全身及び局所感染、例えば、皮膚及び損傷感染、例えば火傷のための抗微生物及び抗真菌治療として使用するため、潰瘍、特には下腿潰瘍、より特には感染慢性下腿潰瘍、爪感染の治療において;寄生虫感染、胃感染、マラリア、ハンセン病のため;バクテリア及び真菌胞子不活性化のため;プリオン及びウイルス感染、例えばHIVの治療のため;耳、鼻及びのど感染、結核のため;性感染症(STD)、疱疹のため;例えば毛髪、爪及び表皮のカンジダ局部感染、例えば足白せん及びカンジダ外陰膣炎の治療のため;及び感染予防薬、例えば外科創傷の殺菌、植皮殺菌、幹細胞殺菌、移植片対宿主拒絶反応疾患としての使用のため;眼科状態、例えば斑点状退化、オカルト脈絡膜血管新生(CNV)、病的近視によるCNV、加齢黄斑変性症(AMD)でのオカルト、糖尿病性黄斑浮腫の治療のため;血管問題、例えば循環器疾患、動脈硬化及び再狭窄のため;自己免疫疾患、例えば関節リウマチのため;皮膚疾患、例えば乾癬、にきび、白斑及び湿疹及び他の皮膚状態、例えば多毛症及び日焼けによる損傷、他の良性状態、例えば子宮内膜症及び月経過多のため;口腔内細菌症、例えば歯肉膿瘍、歯周病、歯肉炎、及びプラークバイオフィルムの除去、不活性化又は死滅のためである。
【0016】
化合物は、また、それらの光増感特性による光化学内在化(薬剤の摂取及び細胞内局在性を助けるための光増感剤の使用)において及び非治療使用、例えばそれらの蛍光特性による光診断において使用することができる。後者のアプローチは、光増感剤が、健康な組織周辺においてより腫瘍においてより集中し、及び蛍光を発するように誘導される場合(青色光の適用による)、腫瘍は、周辺組織より強力に蛍光を発する。適用領域の例は、口腔疾患のための及び膀胱、肺及び皮膚の疾患のための診断を含む。
式(I)〜(V)のいずれかの化合物及びそれらの組成物は、獣医適用における、例えば癌、例えば猫の耳癌におけるPDT用光感受性薬剤として、動物の創傷の殺菌のための抗真菌、抗菌及び抗ウイルス治療として及び動物の眼科治療のために使用することができる。
式(I)〜(V)の化合物のいずれか及びそれらの組成物の使用は、好ましくは、ヒトにおける及び動物における局部的な及び/又は初期癌及び/又は予備癌病巣の治療におけるもの;又はヒト及び動物における創傷又は皮膚における感染の治療及び/又は予防におけるものである。
【0017】
式(I)〜(V)の化合物は、治療が、不要な組織又は細胞、例えば癌、予備がん疾患、眼科疾患、血管疾患、自己免疫疾患、及び皮膚及び他の器官の増殖状態の除去、不活性化又は死滅を必要とする状態のPDT用光増感剤として特に有用である。これらの材料の特定の及び予期せぬ利点は、全身投与(使用する特定の増感剤に依存する)後の異なる時間に標的組織に対して光活性であるそれらの能力、及び従って、例えば血管系又は腫瘍細胞が直接狙われるそれらの能力に関連する。それらは、また、全身投与されたときに周辺抗に対して皮膚を敏感にする傾向が低く及び皮膚を着色する傾向が低い。
一般的用語において、式(I)及び(V)の化合物のいずれか及びそれらの組成物は、全身的に、局所的又は局部的に投与することによる上記種々の条件及び疾患の治療、それに次ぐ、適切な投与量及び波長又は波長範囲の光の適用において使用することができる。
全身的に投与される場合、化合物は、例えば、静脈内に、経口的に、皮下的に、筋肉内に、病気におかされた組織及び器官に直接的に、腹腔内に、腫瘍に直接的に、皮内的に又はインプラントを介してデリバリーすることができる。
局部的又は局所的に投与される場合、化合物は、種々の手段を介して、例えばスプレー、ローション、サスペンション、エマルジョン、ゲル、軟膏、膏薬、スティック、ソープ、液体エアロゾル、粉末エアロゾル、ドロップ又はペーストを介してデリバリーすることができる。
【0018】
本発明の化合物について、活性化は、適切な波長、通常は600〜800nmの範囲の白色光を含む光によるものであり、好ましい波長は、630〜700nmである。
光源は、適切な光源、例えばレーザー、レーザーダイオード又は非コヒーレント光源であってもよい。
PDTの間に投与される光量は、変動し得るが、好ましくは1〜200J/cm2、より好ましくは20〜100J/cm2である。
光暴露は、薬剤を最初に投与した後又は薬剤投与後48時間までのいずれかの時間に行うことができ及びその時間は、治療される条件、薬剤デリバリーの方法及び使用される式(I)〜(V)の特定の化合物により調整され得る。光暴露は、好ましくは、薬剤を最初に投与し、3時間までのいずれかの時間に、より好ましくは薬剤を最初に投与した時間から1時間まで、特には10分までに行う。
光投与量の上昇した強度は、一般に、暴露時間を低減する。
光への暴露は、治療されるエリア/領域に制限され、及び腫瘍が治療される場合、より好ましくは、腫瘍自体に制限される。
本発明のある実施態様においては、式(I)〜(V)の化合物又はその組成物は、好ましくは、治療を必要とする被検体に投与され、及び、光暴露は、薬剤が最初に投与されてから10分までになされる。
本発明の更に好ましい実施態様においては、光暴露は、薬剤を最初に投与してから1分以内になされる。
より好ましくは、光暴露は、薬剤投与の時点でなされる。
本発明の化合物は、他のフェノチアジニウム光増感剤に比し、それらが、それらの細胞破壊活性を行う際に、細胞が受ける変異原性軽質転換の危険が非常に少ないように、細胞の核を標的にしない。
【0019】
細菌感染
式(I)、(II)及び(III)の化合物は、細菌、真菌及びウイルス感染を含む細菌感染の予防及び治療について多くの利点を有する:
・グラム陽性及びグラム陰性菌、MRSA及び真菌感染を含む幅広い微生物を不活性化させる際に高度に有効的。
・静止/固定バクテリアに対して活性。
・宿主組織への最小ダメージを有する微生物の高度選択性。
・予期せぬ低いレベルの光退色。
式(I)、(II)及び(III)の化合物又はその組成物は、バクテリア、真菌及びウイルス感染を含む微生物感染を予防又は治療するための光光活性化可能な抗菌剤としてのPDTにおいて、皮膚及び他の局所感染のための治療、やけど及び他の損傷の殺菌のため、潰瘍のための治療、皮膚を含む、器官間の受容体組織及び供給組織の双方の殺菌のため、移植、及び歯科的微生物疾患の治療のため使用されるとき、それは、治療されるエリアに、治療的有効量の化合物を適用し、及び、そのエリアに光を暴露して化合物を活性化させることにより、全身的に、局所的に又は局部的に(上記手段のいずれかにより)投与される。
【0020】
式(I)の化合物を適用して、いずれかの段階で感染を防止することができ、それは、非複製生物が創傷中に存在する創傷汚染;複製微生物が創傷中に存在する創傷入植(wound colonisation);及び宿主に対して損傷をもたらす複製微生物が存在する創傷感染を含む。>105CFU/g組織が存在するとき、敗血症が発達するであろうことがより有望視される。
インビトロでのバクテリア細胞死滅のために使用される濃度は、0.1〜100μM、好ましくは1〜50μM及びより好ましくは5〜20μM、特には10μMである。
ある実施態様においては、微生物感染の予防は、好ましくは、式(I)の化合物を投与する工程を含み、その中において、R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、及び独立して、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ及びシクロヘキシルより選ばれる。
ある実施態様においては、微生物感染の治療は、好ましくは、式(III)の化合物を投与する工程を含み、その中において、R1=R2=R3=R4=メチル、エチル又はn−ヘキシルである化合物及びR1=R2=HO(CH22−及びR3=R4=n−ブチルである化合物を除いて、R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、及び独立して、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、MeO(CH22−又はHO(CH22−より選ばれ、ここで、R1及びR2及び/又はR3及びR4の少なくとも1つは、それらが結合するN原子と一緒に、ピペリジノ、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ又はモルホリノを形成する。
【0021】
微生物感染の予防において使用するための又は抗ウイルス剤として使用するための好ましい成分は以下のものである:
3,7-(テトラ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-イソ-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-エチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-ジ(ピペリジノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-エチルピペリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-メチルピロリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジメトキシエチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;及び
3,7-(テトラ-ベンジルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム。これらの化合物は、好ましくは、対アニオンとしてのハロゲン化物を含み、それは、好ましくは、Cl-、Br-又はI-である。
【0022】
微生物感染の予防において使用するための又は抗ウイルス剤として使用するための特に好ましい成分は、以下のものである:
3,7-(テトラ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;及び
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウム。
式(I)及び(III)の化合物は、好ましくは、バクテリアに対して使用され、より好ましくは、化合物は、耐抗生物質バクテリアに対して使用される。
【0023】
抗癌剤
式(IV)の化合物は、癌の治療について多くの利点を有する:
・メチレン及びエチレンブルーと比較した際にきわめて強い光活性。
・UV/ブルー領域における光の低吸収性。これは、皮膚光感受性に対する化合物のより低い傾向をもたらす。
・急速な皮膚クリアランス。
・腫瘍についての高い選択性。
・低い暗毒性。
・メチレンブルーと比較した際のDNA損傷についての低い可能性。
・現在のPDT薬剤と比較して非常に短い薬剤−光時間インターバル。
本発明の化合物を哺乳類細胞及び腫瘍用PDT剤として使用する場合、それらは、上記組成物を用いて、種々の方法で、例えば、全身的に、局所的に又は局部的に(上記手段のいずれかにより)投与することができ、及び単独で又は他の成分及び薬剤との成分又は混合物として使用することができる。
腫瘍学的治療のためにヒトに静脈内投与するための式(IV)の化合物の投与割合は、0.01〜10μmol(マイクロモル)/kgの範囲内、好ましくは0.1〜2.0μmol(マイクロモル)/kgの範囲内である。その投与量を達成するために、70kgの患者における2μmol(マイクロモル)/kgの投与量は、2mM溶液の70ml又は27mM(16mg/ml)の濃度で5ml又は50mM溶液の2.8mlの注入を必要とする。典型的な注入量は、0.1〜100ml、好ましくは5〜50mlの範囲内である。
【0024】
ある実施態様においては、癌の治療方法は、式(IV)の化合物を投与する工程を含み、ここで、R1、R2、R3及びR4は、独立して、エチル、n−プロピル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ、シクロヘキシル、ベンジル及びHO(CH22より選ばれ、好ましくは、ここで、R1、R2、R3及びR4は、独立して、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ及びベンジルより選ばれる。
薬剤として使用するための又は抗癌剤として使用するための式(IV)のフェノチアジニウム化合物において、R1、R2、R3及びR4の各々は、好ましくは、独立して、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ、シクロヘキシル、ベンジル及びHO(CH22より選ばれ、より好ましくは、ここで、R1、R2、R3及びR4は、独立して、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルピペリジノ、2−メチルピロリジノ及びベンジルより選ばれる。
【0025】
物品(articles)/表面の殺菌/消毒
本発明の更なる特徴によれば、式(V)の化合物は、表面及び流体の一般的殺菌のための抗バクテリア剤、抗真菌剤及び抗ウイルス剤を含む光活性化抗菌剤として使用することができ、例えば、それらを使用して、特にこれらが被覆され又は含浸される場合に外科的インプラント及びステントを殺菌し、感染の転移を防止するための水、空気、血液、血液製剤及び食品食品パッケージの殺菌のため及び一般家庭、病院及びオフィスクリーニングのため、布地、例えばバンデージ及びドレッシング(dressing)、IV系及びカテーテルを殺菌することができる。化合物は、表面及び流体に直接的に適用又は接触することができ、及び化合物は光への暴露により活性化させる。付加的に、殺菌される表面は、化合物の混合物又は溶液中に浸すことができ、又は殺菌される流体は、化合物又は化合物を含む溶液又は混合物と混合することができる。
現存する既知の抗菌光増感剤を超えるこれらの化合物の特定の利点は、光退色を受ける傾向が低いこととの組み合わせでの、低光レベルでのそれらの高い光細胞毒性である。
本発明は、更に、式(V)の化合物及びポリマーの間に形成される共役物(conjugate)及び複合材料を提供する。本願明細書において使用されるような用語複合材料は、本発明の化合物が、ポリマー中に組み込まれ又は物理的にマトリックス又は基質内をふさぐ又はそれらの上に吸収される状況を意味する。ポリマーは、生物学的ポリマー、例えばペプチド又はタンパクであってもよい。好ましいポリマーは、無水物及び/又はエステル基を有するものを含む。ポリマーと共役物又は複合材料を形成する式(V)の好ましい化合物は、その中において、R1及びR2及び/又はR3及びR4の少なくとも1つが、それらが結合するN原子と一緒にピペラジニル基を形成するものである。
【0026】
本発明は、更に、式(V)の化合物及びクロロトリアジン誘導体の間の反応により形成される化合物を提供する。クロロトリアジン誘導体は、それらに結合するクロロトリアジン基を有するポリマーであり得る。
式(V)の適切な化合物は、物品の表面、特にはポリマー表面に直接的に又は式(V)の化合物及びポリマーの間に形成される共役物又は複合材料を介して又はクロロトリアジン誘導体を介して、共有結合により不変的に又は分子間相互作用により可逆的に結合し得る。これは、光の適用により必要とされるときはいつでも殺菌され得る表面を提供し、及び例えば、患者の静脈ラインについて及び縫合及びカテーテル及び静脈ラインにおいて特に有用であり、ここで、関連表面の長期ステリリティ(sterility)を保持することが問題である。化合物の光消毒に対する耐性は、そのような適用において利点であり、ここで、長期着色安定性が必要とされる。
従って、本発明は、更に、式(V)の化合物が結合する少なくとも1つの表面を有する物品(article)を提供する。
好ましくは、物品は、医薬デバイス、例えば静脈、尿又はバルーンカテーテル、縫合、整形外科の又は人工のインプラント、心臓弁、外科的スクリュー又はピン、ペースメーカーリード、栄養チューブ又は呼吸管、血管ステント、人工水晶体又はスモール関節置換体である。物品は、また、創傷ケアにおいて及び医療的使用のためのパッケージ材料、例えば医療装置用材料において有用であり得る。
【0027】
式(V)の化合物は以下のものに適用又は接触することができる:病院の壁、床及び天井、医薬表面、例えば手術タブレット(operating tablet)、食肉処理場、科学実験室のクリーンルーム、織った、編んだ又は不織テキスタイル製品、例えばクリーニングクロス、ワイプ、手術衣、シーツと枕カバー、創傷ドレッシング及びバンデージ。化合物は、直接的に又は接触を介してポリマー種に適用することができる。
化合物は、壁、床、天井及び加工物の表面に適用されるべき場合、それが、ペイント又はラッカーの成分として使用されるであろうが、それは、化合物、フィルム形成ポリマー(それは、クロスリンク可能であってもなくてもよい)、及び適切な溶剤、場合により乾燥剤及び他の着色剤を含むことが予想される。表面コーティングは、溶液又は水ベース分散体の形となり得る。
あるいはまた、製品は、食品及び飲料において使用するためのものであり及び包装のアイテム、包装紙又は貯蔵カートン又は処理装置の一片であってもよい。製品は、冷蔵庫、ベンディングマシン、氷製造機、レストランの装置の一片又は他の台所用品であってもよい。
本発明は、更に、式(V)の化合物を表面又は流体に接触又は適用すること及び害化合物を光により活性化することを含む表面又は流体を殺菌するための式(V)の化合物の使用を提供する。式(V)の化合物は、いずれかの手段、例えばスプレー、液体、溶液、サスペンション、泡、クリーム、ゲル又はエマルジョンにより接触又は適用することができる。
【0028】
本発明の更なる特徴によれば、流体を殺菌するための式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つの使用が提供され、その中において、流体は、式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つと又は式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つとポリマーとの間に形成される共役物複合材料と接触するが、化合物又は共役物又は複合材料は、照射される。
流体は、液体又はガス又は蒸気であってもよい。その方法は、例えば、液体の殺菌に適用され、例えば、水、医薬的に使用される液体、例えば非経口液体、例えば生理食塩水及びグルコースの殺菌のため、特には、生物学的液体、例えば血液、血液製剤、赤血球、骨髄細胞及び幹細胞の殺菌のためである。その方法は、また、ガス、例えば空気、特には空調装置において使用される空気、及び医薬的に使用される酸素の殺菌に適用され得る。その方法は、ろ過法により容易に殺菌することができない材料を殺菌するのに特に有用である。
その方法は、好ましくは、水、又は医薬的に使用される液体、例えば非経口液体、例えば生理食塩水又はグルコースの殺菌のため及び生物学的液体、例えば骨髄細胞及び幹細胞の殺菌のために使用される。
【0029】
式(I)〜(V)の化合物のいずれか及びそれらの共役物又は複合材料は、そのままで、好ましくは、その最大化された表面領域で、例えば微粉化形態において又はビーズ又はプレートの形態において使用することができ、又はそれは、大きな表面領域を提供する支持材料、例えばグラス、グラスウール、セラミックス、プラスチック、金属及び金属酸化物と関連して使用することができる。支持材料は、好ましくは、光に対して透明であり又は光がそれを通過することを可能にする。支持材料が使用される場合、これは、配置されて、共役物又は複合材料によりカバーされる表面領域を最大化し及びビーズ、プレート、カラム又はチューブの大きな表面領域、泡又は繊維の形態にあってもよい。
式(I)〜(V)の化合物のいずれか又はそれらの共役物又は複合材料は、好ましくは、連続的に、上記波長及び光投与量で照射される。
式(I)〜(V)の好ましい化合物は、この殺菌方法において好ましいものである。
本発明のこの態様の特定の実施態様においては、式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つ又はそれらの共役物又は複合材料のいずれかは、単独で又は支持材料上で、典型的には光に対して透明である材料、例えばシリカガラス又は合成繊維からなるカラムにパックされる。殺菌を必要とする液体は、カラムの一末端に通され、全カラムは、連続的に照射され及び殺菌材料は、カラムのもう一方の末端より流れ出る。
【0030】
本発明のいくつかの新規成分は以下のものを含む:
3,7-(N,N−テトラ-イソ-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(N,N−テトラ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-エチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-ジ(ピペリジノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-エチルピペリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-メチルピロリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジメトキシエチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;及び
3,7-(N,N-テトラ-ベンジルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム。
【0031】
これらの化合物は、好ましくは、対アニオンとしてのハロゲン化物を含み、それは、好ましくは、Cl-、Br-又はI-である。
本発明の新規成分は、PCT/GB02/02778に記載された化合物を超える予期せぬ利点を示す。
例えば:
3,7-(N,N−テトラ-イソ-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、n−ブチル類似体と比較された場合、驚くべきことに、抗癌剤として使用されたときの最小組織損傷をもたらし及びエームズ・ネガティブ(Ames negative)であり;
3,7-(N,N−テトラ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、n−ペンチル類似体と比較された場合、驚くべきことに、光インターバルに対して短い薬剤で効果的であり;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラメチル及びテトラn−プロピル誘導体の双方と比較した場合に改良された抗菌活性を有し;
3-(N,N-ジ-エチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラエチル及びテトラn−プロピル誘導体の双方と比較した場合に改良された抗菌活性を有し;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラn−プロピル誘導体と比較した場合により良好な抗菌活性及びより良好なエームズ性能(Ames performance)を有し及び驚くべきことに、いくらか悪いと予期される場合にテトラn−ブチル誘導体の抗菌活性及びエームズ性能と同等であり;
【0032】
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラn−プロピル誘導体と比較した場合により良好な抗菌活性及びより良好なエームズ性能を有し及び驚くべきことに、いくらか悪いと予期される場合にテトラn−ペンチル誘導体の抗菌活性及びエームズ性能と同等であり;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラn−ヘキシル及びテトラn−プロピル誘導体の双方と比較してより良好な抗菌活性を有し、及び抗癌剤としてテトラn−ヘキシル誘導体より良好な性能を有し及びテトラn−プロピル誘導体の半分の線量率で(at half the dose rate)抗癌剤として同等の性能を有し;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、カンジダ・アルビカンスに対する活性がテトラn−ペンチル誘導体より良好であり及びいくらか悪いと予期される場合にテトラn−ブチルとほとんど同一の活性を有し;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、カンジダ・アルビカンスに対する活性がテトラn−ブチル及びテトラn−ペンチル誘導体の双方より良好であり;
【0033】
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、抗腫瘍活性がテトラメチル誘導体より良好であり及び抗癌剤として使用した場合に最小正常組織ダメージを生じ;
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウムは、抗腫瘍活性がテトラエチル誘導体より良好であり及び抗菌活性がテトラエチル及びテトラn−ヘキシル誘導体の双方と比較してより良好であり;
3-(2-エチルピペリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラn−ペンチル誘導体と比較した場合に光インターバルに対してより短い薬剤で効果的であり;
3-(2-メチルピロリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラn−ペンチル誘導体と比較した場合に光インターバルに対してより短い薬剤で効果的であり;及び
3,7-(N,N-テトラ-ベンジルアミノ)-フェノチアジン-5-イウムは、テトラメチル誘導体より良好な抗腫瘍活性を有する。
【0034】
実施例
1)R1=R2=R3=R4、又はR1及びR2及び/又はR3及びR4がそれらが結合するN原子と一緒になってN−ヘテロ環を形成し;P=1、Xp-=Br-である式(I)の対称フェノチアジニウム臭化物の一般的合成。
a)3,7−ジブロモフェノチアジン−5−イウム臭化物の製造
酸素のない氷酢酸(150cm3)中のフェノチアジン(2.00g、0.01モル)の溶液に対して、一回で(in one portion)及び強力な攪拌を伴って、酸素のない氷酢酸中の臭素溶液(100cm3、10%v/vBr2)を添加した。反応混合物は、暗い固体の形成を伴って暗くなった。攪拌を1分間続け、及び水(400cm3)を次いで添加した(サスペンションが赤色外観を帯びたとき)。反応混合物を真空フィルターにかけて、暗色固体及び茶色ろ液を得た。固体をエーテルで洗浄し及び真空下で1時間乾燥して(40℃、50mmHg)、赤れんが色の生成物を得た。固体の質量=3.63g。収率=83%。
【0035】
b)対称フェノチアジニウム臭化物の製造
クロロホルム(200cm3)中の適切なアミンR1R2NH又はN−ヘテロ環(32.4mmol)の溶液に対して、窒素下及び強力な攪拌を伴って、一回で、3,7−ジブロモフェノチアジン−5−イウム臭化物(2.0g、4.6mmol)を添加した。反応混合物の色彩が青色になり及び窒素下で3時間攪拌した。クロロホルム溶液を、HBr(2%aq.、2×50cm3)及び水(2×50cm3)で連続的に洗浄し、及び次いで、MgSO4で乾燥した。ろ過後、大部分の溶剤を回転蒸発(rotary evaporation)により除去し、過剰なジエチルエーテルを添加し及び反応混合物を次いで放置した。いくらか経ってから、多量の無色固体が堆積した。この材料は、ろ過により除去した。ろ液を蒸発して乾燥物とし及び残留粗生成物を、連続してクロロホルム、クロロホルム/メタノール(98/2)及び最終的にクロロホルム/メタノール(90/10)の移動相を用いる、シリカゲル60でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。関連する青色クロマト分画を組み合わせ及び溶剤を回転蒸発により除去した。暗い青色生成物を最小量のジクロロメタン(10cm3)で採取し及び最終生成物が、過剰の石油エーテル(b.p.60〜80℃)の添加により結晶形態で沈殿した。固体をろ過により収集し、エーテルで洗浄し及び空気乾燥した。
各生成物の純度を薄層クロマトグラフィー(単一検出可能なブルースポットを示す)により確認し、及び構造をエレクトロスプレー質量分析法及びUV/可視吸収分光法により確認した。
【0036】
2)式(I)(R1R2NがR3R4Nでなく又はR1及びR2及び/又はR3及びR4がそれらが結合するN原子と一緒になってN−ヘテロ環を形成し、P=1、Xp-=I-)の非対称フェノチアジニウムヨウ化物の一般的合成。
a)フェノチアジン−5−イウムテトラヨージドヒドレートの製造
氷浴中において5℃未満に冷却されたクロロホルム(100cm3)中におけるフェノチアジン(10mmol)の攪拌溶液に対して、1.5時間にわたり、クロロホルム(400cm3)中のヨウ素(33mmol)の溶液を添加した。混合物を30分間攪拌し、及び得られた沈殿物をろ過により収集し、クロロホルムでヨウ素がなくなるまで洗浄し、及び次いで、室温で真空下一晩保持して、生成物を得た。
b)非対称フェノチアジン−5−イウムヨウ化物の製造
メタノール(300cm3)中のフェノチアジン−5−イウムテトラヨージドヒドレート(1.4mmol)の攪拌溶液に対して、滴下で、60分間にわたり、メタノール(50cm3)中の適切なアミンR1R2NH(3.6mmol)の溶液を添加した。反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物の容量を次いで蒸発により低減し及びホット溶液を放置して冷却した。形成された固体をろ過により収集し、ジエチルエーテルで洗浄し及び乾燥した。
【0037】
c)ジクロロメタン(100cm3)中のこの固体(0.34mmol)の溶液に対して、ジクロロメタン(5cm3)中のトリエチルアミン(0.40mmol)の溶液及び次いでジクロロメタン(50cm3)中の異なる第2級アミンR3R4NH(1.4mmol)の溶液を60分間かけて添加した。反応混合物を一晩攪拌した。有機層を、その後、希塩酸(4×25cm3)次いで水(2×25cm3)で洗浄した。有機層を次いで乾燥した(MgSO4)。大部分の溶剤を回転蒸発により除去し及び過剰のジエチルエーテルを添加して、固体を沈殿させた。固体をろ過により収集し、ジエチルエーテルで洗浄し及び乾燥した。化合物の更なる精製は、必要なら、フラッシュカラムクロマトグラフィーとした。
各生成物の純度を薄層クロマトグラフィー(単一の検出可能なブルースポット)により確認した。構造を、エレクトロスプレー質量分析法及びUV/可視吸収分光法により確認した。
以下の特定の化合物を上記方法により製造した:
【0038】
【化3】

【0039】
化合物1 R1−R4=n−C37:テトラ−n−プロピル。
化合物2 R1−R4=n−C49:テトラ−n−ブチル。
化合物3 R1−R4=n−C511:テトラ−n−ペンチル。
化合物4 R1−R4=n−C613:テトラ−n−ヘキシル。
メチレンブルー(R1−R4=n−CH3)化合物5及びエチレンブルー(R1−R4=n−C25)化合物1〜6を比較目的のために試験した。化合物1〜6は、ヨウ化物対アニオンを有する。
化合物7、7a、8、8a、8b及び14〜29は、類似の方法により製造した。
化合物9 3−(N,N−ジメチルアミノ)−7−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(20%)
この化合物は、3−(N,N−プロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジメチルアミン塩酸塩での連続処理により得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶が生じた。質量分析法:C20263OSは、m/z=340を必要とした;実測m/z=340(I-質量分析法により検出されず)。
【0040】
化合物10 3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(15%)
この化合物は、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジエチルアミンでの連続処理で得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶を得た。質量分析法:C22303OSは、m/z=368を必要とし;実測m/z=368(I-質量分析法により検出されず)。
化合物11 3−(N,N−ジブチルアミノ)−7−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(19%)
この化合物は、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジブチルアミンでの連続処理で得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶を得た。質量分析法:C26383OSはm/z=424を必要とし;実測m/z=424(I-質量分析法により検出されず)。
化合物12 3−(N,N−ジペンチルアミノ)−7−(N,N−ジプロピルアミノ)フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(20%)
この化合物は、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジペンチルアミンの連続処理で得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶を得た。質量分析法:C28423OSは、m/z=452を必要とし;実測m/z=452(I-質量分析法により検出されず)。
【0041】
化合物13 3−(N,N−ジヘキシルアミノ)−7−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(22%)
この化合物は、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジヘキシルアミンでの連続処理で得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶を得た。質量分析法:C30463OSは、m/z=480を必要とし;実測m/z=480(I-質量分析法により検出されず)。
化合物28 3−(N,N−ジエタノールアミノ)−7−(N,N−ジペンチルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムヨウ化物(23%)
この化合物は、3−(N,N−ジペンチルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムトリヨージドの以下の単離及びジエタノールアミンでの連続処理で得た。ジエチルエーテルの添加によるジクロロメタンからの沈殿により、紫色の光沢のある結晶を得た。質量分析法:C263832Sは、m/z=456を必要とし;実測m/z=456(I-質量分析法により検出されず)。
更なる化合物を合成し及びこれらを表Aに概要する。化合物5及び6は、本発明の化合物ではなく及び比較目的のために含ませた。光増感剤の原液を水及び/又はDMSO中において製造し及び必要とされるまで暗所において貯蔵した。試験溶液を、緩衝液又は溶剤又は必要とされる生物学的媒体中において製造した。
フェノチアジニウム化合物のスペクトル及び物理的特性
メタノール中のフェノチアジニウム化合物のスペクトルデータ(表1)は、全ての化合物が650〜700nm領域において吸収ピークを有するが、正確なピーク位置において考慮すべき変化があることを示す。
【0042】
表1

上記表における及び本願明細書においてMe、Et、Pr、Bu、Pent、Hex、Hept、Octは、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを表し、n−及びi−は、それぞれ、線状及びイソアルキル鎖を示す。
【0043】
癌治療
式(I)の化合物を、培地中のRIF−1マウス線維肉腫細胞におけるPDT効果について評価した。細胞を、フェノチアジニウムを用いて1時間インキュベートし、次いでPBSで3回洗浄し、及び新鮮な培地を添加した。細胞を、次いで、ダイオード・レーザーを用いて18J/cm2(10mW/cm2)665nm光で照射した。暗色毒性(dark toxicity)をパラレルに測定した。MTTアッセイを使用して治療後24時間の細胞生存を評価した。細胞内局在化を、また、蛍光顕微鏡検査法を用いるフェノチアジニウムでの1時間のインキュベーション後RIF−1細胞において測定した。局在化は、光の暴露前及び後に測定した。これらの化合物のサンプルデータを表2に示す。
【0044】
表2 RIF−1細胞における例フェノチアジニウムの光毒性、暗色毒性及び細胞内局在化

これらのデータは、いくつかの対称フェノチアジニウム誘導体(R1=R2がR3=R4でない)が、絶対活量及び光対暗色毒性比(light to dark toxicity ratio)の双方の点においてメチレンブルーより光増感剤として優れた特性を有することを示す。
【0045】
インビボでの抗腫瘍効果
腫瘍破壊を、CBA/gyマウスベアリング皮下CaNT腫瘍において評価した。光増感剤を16.7μmol/kgまでの投与量で静脈内投与した。投与量は、高いレベルの罹患率又は死亡率が観察された場合又は溶解度が制限された場合に8.35μmol/kgまで低減した。光増感剤の投与後種々の時間で、腫瘍を660±15nmフィルターを用いてパターソンランプからの60J/cm2、50mW/cm2光で表面的に照射した。薬剤−光インターバルは、0時間(実際には1〜2分)から96時間までとした。照射後72時間、横断面スライスを入射光線にパラレルな腫瘍中心から除去し、このイメージを保存し及び巨視的壊死領域を、イメージ分析ソフトウェアを用いて定量化した。壊死は、全腫瘍スライスの%領域として表した。コントロール腫瘍における%腫瘍壊死は、一般に、<10%であった。抗腫瘍活性をカテゴリー化した:なし0〜10%腫瘍壊死、低11〜39%腫瘍壊死、中40〜69%腫瘍壊死、高70〜100%腫瘍壊死。
各化合物につての最適投与量及び薬剤−光インターバルでの抗腫瘍活性を表4に示す。
内部器官、例えばマウスにおける腎臓及び肝臓に対する皮下腫瘍の近接近のため、これらの器官に対するダメージは、このモデルにおいてPDTの後に観察されることが多い。PDT後の内部器官のダメージを表3におけるようにスコアした。
【0046】
表3:内部器官に対するダメージについてのスコアシステム

以下の化合物は、正常組織のダメージのない(平均スコア=0)比較的高い抗腫瘍活性を示す:テトラヘキシル、ジペンチルジエタノールアミン。以下の化合物は、最小の正常組織ダメージ(平均スコア<1)を有する比較的高い抗腫瘍活性を示す:テトライソブチル、ジヘキシルジプロピル、ビスメチルオクチル。
















































【0047】
【表1】



【0048】
【表2】



【0049】
【表3】

【0050】
本発明の化合物は、現在入手可能な化合物、例えばPhotofrin(商標、Axcan Pharma PDT Inc)及びFoscan(商標、Bioscience Technology Investment Holdings Limited)を越えた多くの利点を有する。例えば、本発明の化合物は、比較的単純な方法により製造される単一アイソマーのない化合物であるが、Photofrinは、ポルフィリン誘導体の複合混合物である。短い薬剤投与から光インターバルが、治療期間中の病院における患者の利便性及び時間及び関連コストの双方の点で望ましい。Photofrinは、典型的には48時間の、長い薬剤投与から光インターバルを必要とし、なぜなら、短い薬剤から光インターバルで腫瘍を囲む正常組織に対する許容できないダメージが生じるからである。本発明の化合物は、腫瘍を囲む正常組織のダメージなしに短い薬剤−光インターバルで活性である。例えば、ジブチルジプロピル誘導体は、商社が投与直後である場合に98%腫瘍壊死をもたらす。
腫瘍に重なる皮膚へのダメージの比較(かさぶた形成により評価)は、本発明の化合物の全てについて、いかなる薬剤から光インターバルでもかさぶた形成が観察されなかったが、短い薬剤から光インターバル(0〜3時間)で25%までのかさぶた形成をギブアップ(give up)し、48時間の長い薬剤から光インターバルでは、かさぶた形成がおこらなかったが、腫瘍壊死がほんの50%であった。
他の入手可能な化合物、Foscanについて、血流への注入及びレーザー光での活性化の間、癌細胞における蓄積(accumulation)のための時間を可能にするために4日の遅れがある。Foscanの投与により、約15日の感度の期間で、患者は光に対して高度に敏感になる。
【0051】
光−抗菌活性
1)一般的方法
抗菌性バクテリアの光不活性化実験のための方法
a)光増感剤の標準的製造
光増感剤のストック溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中の5mMまで製造した。5mMストックを、更に、DMSO中において希釈して、1mMの実用的濃度とした。全ての光増感剤を、必要となるまでホイルカバーされたバイアル中において室温で貯蔵した。
b)微生物の標準的製造
以下に概要する標準プロトコールを適切に変更して、種々の実験パラメータの変化を研究した。
寒天プレートからの単一バクテリアコロニーを使用して、無菌で、1リットル三角フラスコ中において100mlの栄養培地(0.5%酵母エキス:1.0%トリプトンw/v)を接種した。C. albicansについて、単一の菌性コロニーを使用して、1リットル三角フラスコ中の100mlのサブロー(sabouraud)デキストロース培地を接種した。培地は、振盪培養器において一晩37℃でインキュベートした。インキュベーターは、1分あたり250ストローク及び2.5cm円の回転運動にセットした。この培地は、静止期実験のために使用した。対数期バクテリア実験のために、一晩の培地を使用して、200mlの栄養培地を接種し(2リットル勾配付きフラスコ中)、C. albicansについて、200mlのサブローデキストロース培地を接種し、双方とも、600nmで0.1の視覚密度(optical density)であった。微生物は、中−対数期におけるまで成長させ、次いで、集菌し及び再懸濁した。
c)PDT用微生物の製造
対数又は静止期の細胞を遠心分離により収集し及び0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中において2回洗浄した。洗浄後、細胞を同一の緩衝液において再懸濁して、650nmで0.87の吸光度とした。この吸光度は、E. coli、S. aureus、MRSA及びP. aeruginosaについて3.5×108CFU/ml又は8.5log10CFU/mlに等しかった。C. albicansについて、これは、1.0×107CFU/ml又は7.0log10CFU/mlに相互に関連した。培地中のE. coli細胞の光不活性化について、バクテリアこの段階で栄養培地中に再懸濁した。
【0052】
バクテリア細胞の光不活性化実験
光増感剤での標準インキュベーション
25mlの製造した細胞サスペンションを、250ml殺菌ホイルカバーされた三角フラスコ中において光増感剤の1mMストック溶液(10μMの最終濃度となる)の0.25mlを用いてインキュベートした。サスペンションを、250rpmで37℃振盪培養器において暗所で30分間インキュベートした。
白色光源からの照射
10μMフェノチアジニウム化合物でのインキュベーション後、サスペンションを60分間75cmの距離から500Wハロゲンランプにより照射し、ランプのパワーは、その時間照射で4.68J/cm2を与える1.3W/cm2とした。
665nmレーザーからの照射
10μMフェノチアジニウム化合物でのインキュベーション後、10mlのバクテリア培地を、無菌で、殺菌細胞に移した。これは、挿入されたシール化キャピラリーチューブを有するシール化バイアルからなり、その中に、光学繊維を置くことができる。照射は、Ceram optec diode laser(665nm)を用いて行い、それは、100mWで、3cm拡散チップを有する光学的繊維を使用した。E. coliにおけるフェノチアジニウム化合物シリーズを比較する実験のため、サンプルを4分間照射した。これは、照射されるシリンダーの領域が18.86cm2であると仮定される5.3mW/cm2のフルエンス率に一致する。4分間の照射後、全フルエンスは、1.3J/cm2であった。10分間の照射及び50μlサンプルを使用した他の実験は、0、1、2、4、8及び10分間の照射後のCFU分析のために除去された。これらの照射時間は、それぞれ、以下のフルエンスに等しい:0J/cm2;0.32J/cm2;0.64J/cm2;1.3J/cm2;2.5J/cm2;又は3.2J/cm2。酸素電極トレースは、酸素が照射の期間制限されていなかったことを示した。異なるバクテリアにおけるテトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノチアジン−5−イウム化合物の効果を比較するために、照射は、セットアップしたが3.2J/cm2の光量を提供する10分間レーザーを使用した。この光量は、また、化合物17〜29を比較する実験のために使用した。結果を、上記表4に記載する。
【0053】
バクテリア及び酵母生存分析
サスペンションの照射及び非照射サンプル50mlを、除去し及び0.1MpH7.0リン酸カリウム緩衝液中に希釈した。希釈サスペンション50μlを、その後、バクテリアについて栄養寒天(0.5%酵母エキス、1.0%トリプトン、2.0%寒天w/v)又はC. alvicansについてサブローデキストロース寒天上に置いた。プレートを一晩37℃でインキュベートして、30〜300のユニットを形成する多くのコロニーを形成した。細胞不活性化を次いで測定した。
コントロールは、フェノチアジニウム化合物を有さないが、CFU/mlにおける変化を示さない0.25mlのDMSOを有する30分のインキュベーション工程の前及び後のバクテリアのプレートアウト(plating out)を包含することを研究する。フェノチアジニウム化合物を有さないが、0.25mlのDMSOを有するバクテリア培地のみの照射は、また、CFUにおける変化を示さなかった。栄養培地における照射について、コントロール試験は、その時間の照射の間0.2のCFU/mlにおけるlog10増加を示した。
【0054】
バクテリア細胞成長におけるフェノチアジニウム化合物の効果の測定
ホイルカバーされた250ml三角フラスコにおける栄養培地200ml(0.5%酵母エキス、1.0%トリプトンw/v)を、無菌的に、10mlの十分に成長したバクテリア培地(E. coli)を用いてイノキュレート(innoculate)した。また、培地は、フェノチアジニウム化合物を含まないが1.0mlのDMSOを含むコントロールは別として、最終濃度10μMでフェノチアジニウム化合物の1mMストック溶液1.0mlを含んでいた。
サスペンションは、37℃及び250rpmで振盪培養器において暗所でインキュベートした。1mlサンプルを各時間毎に6時間採取し、及び光散乱により生じる550nmでの明らかな光学的密度をベースとする濁度を測定した。コントロールの研究は、この波長が、光増感剤吸収の領域の外にあることを示した。1.0mlサンプルをリーディングする以下の光学的密度を、MSE Micro-Centaur遠心分離機(10000g×5分)においてスピンし、上清の吸収スペクトルを分光光度法で読み取った。
テトラ−n−ブチル誘導体のみについて、同様の試験を行い、ここで、バクテリアは、光増感剤なしに3時間成長させ、この後、フェノチアジニウム化合物を添加した。その後の成長を時間の関数として、光暴露及び暗所の双方についてモニターした。
【0055】
光増感剤のE. coli内への摂取
光増感剤でのバクテリアのインキュベーション後、2mlの非照射バクテリア培地を、Benchtop Centaur 5遠心分離機(1500g×10分)を用いて沈降させた。バクテリアペレットを0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で2回洗浄して、細胞外及び自由な(loosely)結合光増感剤を除去した。最終的に、ペレットを再懸濁し及び1mlの0.1M NaOH2%(w/v)SDSにおいてボルテックスし、及び室温で、暗所で、少なくとも24時間放置した。蛍光リーディングを、Kontron SFM-25蛍光分光計を用いてとった。細胞サンプル内のフェノチアジニウム化合物の濃度を、標準曲線のインターポレーションにより測定した。
光退色 光増感剤の1mM溶液の0.25ml、10mMトリプトファン0.25mlを、60%メタノール、40%リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)の25mlに添加した。実験を、また、トリプトファンの不在下で行い、ここで、これは、60%メタノール、40%リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)の0.25mlで置き換えた。
混合物を、上記細胞不活性化実験のように(1.3mW/cm2)照射し、サンプルを15分毎にとり及びスペクトルを500〜700nmのUV−可視分光光度計で記録した。高い光量について、勝者は、9mW/cm2で60分間とした。
【0056】
結果
フェノチアジニウム誘導体の抗菌特性
多くの抗生物質は、非成長又は静止バクテリアに対して有効性がたんに乏しく及び静止期バクテリアを不活性化するフェノチアジニウム化合物の能力を評価することが重要である。静止期の間、細胞は、より厚いペプチドグリカン(peptidoglyan)細胞壁及びタンパク質代謝における相違を有し、及び従って、光力学的効果に影響を受けにくい。
バクテリアの不活性化は、治療環境においてより挑戦的なものであり得、なぜなら、増感剤が、選択的に、バクテリアのリポポリサッカライド膜よりむしろ細胞外タンパクに結合し得るからである。これは、多くの因子を含む栄養培地にバクテリアを再懸濁することにより試験され、それは、光増感剤結合のためのバクテリア細胞と競争し得る。
レーザー源の潜在的利点は、光量の上昇された正確さ及びより短い照射時間である。
バクテリア細胞への光増感剤の摂取は、光活性を測定する際に明らかに重要である。
S. aureusは、グラム陽性菌であり、それは、厚い外側ペプチドグリカン層を有し及び外部リポポリサッカライドを有さない点でグラム陰性菌とは異なる。バクテリア構造は、MRSA(Methicillin resistant S. aureus)におけるように同一であり、それは、ほとんど全ての通常使用される抗生物質に耐性である。データは、ほんの1分の照射の後、ほぼ99%のバクテリアが不活性化されることを示し、及び、10分後、ほぼ5logの細胞死があることを示し、このグラム陽性菌に対するテトラ−n−ブチル誘導体の光活性が非常に高いことを説明する。
光増感剤が、また、抗生物質抵抗形態に対して活性であるかを測定するのが重要であり、なぜなら、これは、主要な健康及び工業用途を有するであろうからである。
【0057】
フェノチアジニウム誘導体の抗真菌特性
光において真菌細胞を死滅させる式(I)の化合物の能力を試験するため、光増感剤を、カンジダ・アルビカンスの細胞とともにインキュベートし、及び培養物を上述したようにレーザー光に付した。この光増感剤は、従って、また、多くの通常の感染、例えば、スラッシュ(thrush)に応答性であるこの真菌生物に対して高度に光活性である。
バクテリア細胞対哺乳類組織の選択性
微生物を破壊しながら宿主組織へのダメージは最小にするのが治療目的のために明らかに重要である。これは、式(I)の化合物の溶液を実験マウスの耳へ施すこと及びバクテリア及び真菌除去に必要とされるほぼ20倍の全量での条件下で照射することにより試験した。宿主組織に起こり得る効果は、耳の厚さにおける上昇を測定することにより評価した。これは、皮膚における光力学反応を検出するための標準モデルである。
PHPの静脈内投与の結果の比較、薬剤は、長期化皮膚反応をもたらすことが知られているフォトフリンと同等であった。予期したように、PHPからの反応は非常に強く、式(I)の化合物からの反応はほとんどないか全くなく、ノ乳塁組織は、抗菌剤治療の間にダメージをうけないであろうことが示唆される。
【0058】
光退色
光退色は、光増感剤からの検出可能な色彩を除去し、それを不活性化し及び光及び還元又は酸化に対するその不安定性の結果である。そのような光退色は、潜在的用途に依存して利点又は不利点を有し得る。例えば、光退色は、ライン及びカテーテルのコーティングにおいては望ましくない。2セットの実験を行った;1つは高い光量(9.0mW/cm2)で、1つは低い光量(1.3mW/cm2)で上述したようにトリプトファンを用いるか用いなかった。トリプトファンを用いる又は用いない低光量での吸収スペクトルは、フェノチアジニウム化合物のいずれにつても変化を示さず、それらがこの量で安定であることを証明した。高い光量で、スペクトル変化がメチレンブルーについて観察され、光退色を示す。最大吸収が低減し及び波長ピークは、1時間照射にわたりシフトした。これらの変化は、トリプトファンを用いる又は用いない同一の程度に生じた。しかしながら、他のフェノチアジニウム化合物のいずれも、この分解を示さず及び高い光量で光退色に対して安定性のままでなかった。
テトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノチアジン−5−イウムの抗菌特性を以下の表5に記載する:
【0059】

表5 10μMの光増感剤でのインキュベーション及び3.2J/cm2のフルエンス率で665nmのレーザー光での照射後の、log及び静止成長相におけるバクテリア及び酵母の光不活性化
【0060】
上記式におけるデータは、10μMの光増感剤でのインキュベーション及び3.2J/cm2のフルエンス率で10分間の665nmレーザーを用いる照射をしたバクテリア又は酵母のCFU/mlにおけるlog低減を示す。
フェノチアジニウム介在PDTに対するバクテリアの感受性は、バクテリアがグラム陽性菌かグラム陰性菌かに依存し得る。グラム陽性菌(S.aureus, MRSA)は、約25nmの厚さの高度に架橋したペプチドグリカン細胞壁を有する。グラム陰性菌(E.coli、P.aeruginosa)は、より薄い5nm細胞壁及びユニークなリポオリサッカライド外膜を有する。外膜の存在は、多くの抗菌剤に対するグラム陰性菌の上昇された耐性を提供する。
照射後、テトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノチアジン−5イウム化合物は、双方のlog相、グラム陰性菌(E.coli、P.aeruginosa)及びグラム陽性菌(S.aureus、MRSA)についてCFU/mlにおける>3log低減を導いた。
多くの抗生物質は、静止成長相におけるバクテリアに対して低活性を有する。2つの成長相におけるバクテリアは、生理学及び形態学において異なる。静止相細胞は、より活性が低く及び環境ストレスに対してより耐性であり、従って、フェノチアジニウム介在PDTに対して耐性であり得る。上記表は、テトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノジアジン−5−イウム化合物の効果が、単に、log相細胞に比し、静止相細胞に対してわずかに低減されていることを示す。MRSA、S.aureusの株に耐性の抗生物質は、院内感染(nosocomal infection)の主な原因である。MRSA及びS.aureusは、等しく、テトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノチアジン−5−イウム化合物介在抗微生物PDTに感受性である。log相MRSAに対するテトラ−n−ペンチル−3,7−ジアミノフェノチアジン−5−イウム化合物を用いる3.80 log10CFU/mlのlog低減があった。
【0061】
エームズ試験
エームズ試験を、(Discovery Partners Internationalからのキットを用いて)S.typhimurium混合株(TA7001、TA7002、TA7003、TA7004、TA7005及びTA7006)(それは、GC及びAT部位の双方において塩基対置換突然変異を検出する)、及び株TA98(それは、フレーム・シフト突然変異を検出する)(Geeら、Proc Natl Acad Sci, 91, 11606-11610, 1994)において行った。2細胞分割についての十分なヒスチジンを含む培地における約107バクテリアを、(トリプリケートにおいて)37℃で、250rpmで、90分間、試験剤、溶剤コントロール及びポジティブコントロールの6濃度(concentration)を用いてインキュベートした。インキュベーションは、光及び暗色条件の双方において、及びS9ラット肝臓エキス(4.5%)での代謝活性を伴って又は伴わずに行った。光源は、7つのSylvania Grolux 30W光チューブのバンクだった。試験剤の2倍希釈シリーズを使用し、トップ濃度は、毒性濃度(即ち、プレスクリーンにおける細胞数の可視的低減をもたらす濃度)又は最大溶解濃度である。S9の不在下において、ポジティブコントロールは、4−ニトロキノリン−N−オキシド(500ng/ml)及び2−ニトロフルオレン(2μg/ml)の混合物だった。S9の存在下において、ポジティブコントロールは、2−アミノアントラセン(10μg/ml)だった。90分間のインキュベーション後バクテリアをヒスチジンを欠くpHインディケーター培地で希釈し、及び384ウェルプレートに移して、トリプリケートにおける濃度あたり48ウェルを得た。プレートを37℃で48時間インキュベートし、次いで、ポジティブウェル(his+リバース突然変異の成長がpHを低減するウェルで、色彩が紫色から黄色へ変化した)をカウントした。結果は、48あたりのポジティブウェルとして表した(平均±SD)。ポジティブ応答は、ポジティブウェルの数における濃度関連上昇として定義され、及び、重要性は、ネガティブコントロールに比し1又はそれより多くの試験剤濃度でポジティブウェルの数における上昇であり、統計的重要性は、不対両側ステューデントt−試験を用いて評価した。応答の程度は、光学的試験剤濃度で背景突然変異率における倍増加を計算することにより評価した(弱いポジティブ応答として分類される<10の倍数増加を有する)。
混合株において、全ての試験した化合物は、全ての4つの条件下でネガティブであった(±光、±S9)。株TA98において、試験した全ての化合物は、S9の不在下でネガティブであった(±光)。S9の存在下で(±光)、いくつかの化合物は、株TA98においてポジティブ応答を示し、それらが、代謝的にフレーム・シフト突然変異に対して活性化されることを示す(挿入剤)。株TA98(+S9、−光)における結果を上記表4に示す。
【0062】
ポリマーにおける包含又はポリマー表面への結合又は吸着に適する式(I)の化合物
(a)ポリマー内の包含
実施例
これは、0.01gの式(V)の化合物、例えば3,7−(N,N−テトラ−イソ−ブチルアミノ)−フェノチアジン−5−イウムを、ジクロロメタン(10cm3)中のセルローストリアセテート(0.5g)の透明溶液に対して添加すること及び化合物が完全に溶解するまで攪拌することにより証明することができる。ガラスプレート上における溶液のキャスティング及びゆっくりと乾燥することにより、透明フィルムが得られる。フィルムは、光に暴露された際に典型的な一重項酸素発生特性を示し、例えば、フィルムを含むトルエン中のテトラフェニルシクロペンタジエノン(特徴的な一重項酸素検出器)の通気性赤色溶液は、40wタングステンフィラメントランプからの光に暴露した際に急速に退色(bleach)する。同一の溶液は、フィルムの不在下で同一の期間照射された際に退色を示さなかった。
(b)ポリマーにおける吸着
これは以下の反応式に従って製造することができるフェノチアジニウム化合物(Ia)により証明され得る:
【0063】
【化4】

(式中、両R基=n−ペンチル)
【0064】
化合物は、極度に塩基性であり及び希釈酸において容易にプロトン化されて、以下の(IIa)を提供し、それは、ポリマー表面、例えば、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタンに強力に吸着し得、及び水又は溶剤による除去に強力に抵抗性である。あるいはまた、Iaは、酸性表面に直接吸着されて、それらの対応するカチオン性塩を直接得ることができる。
【0065】
【化5】

【0066】
参考文献
Wainwright M, Phoenix DA, Laycock SL, Wareing DRA, Wright PA. (1998). Photobactericidal activity of phenothiazinium dyes against methicillin-resistant strains of Staphylococcus aureus. FEMS Microbiology Letters 160, 177-181.

Wagner SJ, Skripchenko A, Robinette D, Foley JW, Cincotta L (1998). Factors affecting virus photoinactivation by a series of phenothiazine dyes. Photochemistry and Photobiology 67,
343-349.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物感染予防用抗菌剤として使用するための式(I)のフェノチアジニウム化合物:
【化1】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、場合により置換されていてもよい線状、分枝状又は環状炭化水素基であり;
又は
R1及びR2又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である)。
【請求項2】
抗ウィルス剤として使用するための式(II)のフェノチアジニウム化合物であって、式(II)の化合物が、請求項1における式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、場合により置換されていてもよい線状、分枝状又は環状炭化水素基であり;又は
R1及びR2又はR3及びR4は、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3であるフェノチアジニウム化合物。
【請求項3】
微生物感染の治療における抗菌剤として使用するための式(III)のフェノチアジニウム化合物であって、式(III)の化合物が、請求項1における式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中、
i)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、但し、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC7-12アルキルであり;又は
ii)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが分枝状又は環状であり;又は
iii)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1及びR2が同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4が同一であっても異なっていてもよく、但し、R1及びR2の少なくとも1つがR3及びR4の少なくとも1つと同一でなく;又は
iv)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1及びR2が異なり又はR3及びR4が異なり;又は
v)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、C1-12-アルキルから選択され及びR1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つは、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成する
フェノチアジニウム化合物。
【請求項4】
薬剤として使用するための又は抗がん剤として使用するための式(IV)のフェノチアジニウム化合物であって、式(IV)の化合物は、請求項1における式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中、
i)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝上又は環状C1-12アルキルから選択され、但し、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC7-12アルキルであり;又は
ii)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが分枝上又は環状であり;
又は
iii)R1及びR2の双方がHO(CH22−であり及びR3及びR4の双方がn−ブチル又はn−ペンチルである化合物を除いて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中において、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、但し、R1及びR2の少なくとも1つはR3及びR4の少なくとも1つと同一ではなく;又は
iv)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1及びR2は異なり又はR3及びR4は異なり;又は
v)R1及びR2が、それらが結合するN原子と一緒になって、モルホリノ環を形成し及びR3及びR4の双方がn−ブチルである化合物を除いて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、C1-12-アルキルから選択され及びR1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つは、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である
フェノチアジニウム化合物。
【請求項5】
式(V)のフェノチアジニウム化合物であって、式(V)の化合物は請求項1における式(I)の化合物と同一構造を有するが、式中、
i)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、但し、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、C7-12アルキルであり;又は
ii)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12-アルキルから選択され、その中において、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、分枝状又は環状であり;又は
iii)R1及びR2の双方がHO(CH22−であり及びR3及びR4の双方がn−ブチル又はn−ペンチルである化合物を除いて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく及びR3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、但し、R1及びR2の少なくとも1つはR3及びR4の少なくとも1つと同一ではなく;又は
iv)R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、線状、分枝状又は環状C1-12アルキルから選択され、その中において、R1およびR2は異なり又はR3及びR4は異なり;又は
v)R1及びR2が、それらが結合するN原子と一緒にモルホリノ環を形成し及びR3及びR4の双方がn−ブチルである化合物を除いて、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、C1-12-アルキルから選択され及び、R1及びR2又はR3及びR4の少なくとも1つが、それらが結合するN原子と一緒に、場合により置換されていてもよい5−、6−又は7−員環を形成し;
P-は、対アニオンであり;及び
Pは、1、2又は3である
フェノチアジニウム化合物。
【請求項6】
1又は2以上の医薬的に許容可能なキャリアー、希釈剤又は賦形剤と一緒に式(V)の化合物を含む組成物。
【請求項7】
請求項4において定義されるような式(IV)の化合物の薬剤としての使用。
【請求項8】
請求項1〜5において定義されるような式(I)〜(V)のいずれかの化合物の、PDT剤又は写真診断剤としての使用。
【請求項9】
請求項1〜5において定義されるような式(I)〜(V)のいずれかの化合物の、獣医用途におけるPDT用感光薬としての使用。
【請求項10】
治療が、不要な組織又は細胞の除去、失活又は致死を必要とする条件のPDT用感光薬としての式(I)〜(V)のいずれかの化合物の使用。
【請求項11】
次の化合物の微生物感染の予防における又は抗ウィルス剤としての使用:
3,7-(テトラ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-イソ-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(テトラ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-エチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-ジ(ピペリジノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-エチルピペリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-メチルピロリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-モルホリノ-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジメトキシエチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;及び
3,7-(テトラ-ベンジルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム。
【請求項12】
請求項5において定義されるような式(V)の化合物の、表面及び流体の一般的殺菌のための抗バクテリア剤、抗真菌剤及び抗ウィルス剤を含む光活性化された抗菌剤としての使用。
【請求項13】
請求項5において定義されるような式(V)の化合物及びポリマーの間で形成される共役物又は複合材料。
【請求項14】
請求項5に定義されるような式(V)の化合物及びクロロトリアジン誘導体の間の反応により形成される化合物。
【請求項15】
請求項5において定義されるような式(V)の化合物の、表面又は流体を殺菌するための使用であって、式(V)の化合物を該表面又は流体に接触させ又は施すこと及び該化合物を光により活性化させることを含む使用。
【請求項16】
請求項1〜5において定義されるような式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つの、流体を殺菌するための使用であって、流体を、式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つと又は式(I)〜(V)の化合物のいずれか1つ及びポリマーの間に形成される共益物及び複合材料と接触するが、化合物又は共益物又は複合材料が照射される使用。
【請求項17】
以下の成分:
3,7-(N,N-テトラ-イソ-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3,7-(N,N-テトラ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-エチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-7-(N,N-ジ-イソ-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジ-メチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-((N-エチル-N-シクロヘキシル)アミノ)-7((-N-エチル)-N-シクロヘキシル)アミノ-フェノチアジン-5-イウム;
3,7ジ-(ピペリジノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-エチルピペリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(2-メチルピロリジノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(モルホリノ)-7-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(モルホリノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(モルホリノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジエタノールアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;
3-(N,N-ジメトキシエチルアミノ)-7-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム;及び
3,7-(N,N-テトラ-ベンジルアミノ)-フェノチアジン-5-イウム。

【公表番号】特表2007−512297(P2007−512297A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540597(P2006−540597)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004918
【国際公開番号】WO2005/054217
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506180615)フォトファーマイカ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】