説明

生物活性面を有する医療装置

本発明のある側面によると、(a)基板と、(b)少なくとも1個のブロック共重合体を含む基板上に配設されたポリマー領域とを含む医療装置が提供される。ブロック共重合体は、ポリマー領域内で2個以上の非相溶性位相領域に分相する少なくとも2個のポリマーブロックを含む。さらに、生物活性種がポリマーブロックの少なくとも1個に共有結合する。少なくとも1個のポリマーブロックに選択的に生物活性種を接着することにより、ブロックが非相溶性位相領域に分相するにつれ、生物活性種の自己集合クラスタが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種最新医療措置は生物安定性または生物分解性ポリマーコーティングのある医療装置基板からなる。この例として、現在、ボストン・サイエンティフィック(TAXUS),ジョンソン&ジョンソン(CYPHER)その他から入手可能な薬剤溶出性冠状動脈ステントがある。このような装置に用いるポリマーの例としては、ポリイソブチレン・ベースのブロック共重合体、ポリ(ブチルメタクリレート)およびポリビニルアセテートが含まれる。
【背景技術】
【0002】
生物活性種をポリマーに結合したポリマーを製造するため、各種アプローチがとられてきた。このような生物活性ポリマーは、例えば、細胞間相互作用に影響を与えることにより装置に対する身体の生物学的反応を改変するため、医療装置の表面の修正に用いることができる。
【0003】
さらに、表面構造は、生物学的反応に影響を持つ表面特徴の大きさとの細胞間相互作用や、その空間的分布を規制することもできることがわかっている。RGDペプチド等の生物活性ペプチドのクラスタリングを制御する試みが最近、PEGベースのくし形ポリマーを用いて行われている。D.J.Irvine他、「くし形ポリマーを用いた表面におけるRGDペプチドのナノスケール・クラスタリング 1.くし形薄型フィルムの合成と特徴付け」、Biomacromolecules 2001,2,85−94.著者は、細胞接着制御に有効なナノスケール・ペプチド・クラスタまたは大きさを生成したと主張している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一側面によると、(a)基板と、(b)少なくとも1個のブロック共重合体を含む基板上に配設されたポリマー領域とを含む医療装置が提供される。そしてブロック共重合体は、ポリマー領域内で2個以上の非相溶性位相領域に分相する少なくとも2個のポリマーブロックを含む。さらに、生物活性種はポリマーブロックの少なくとも1個に共有結合する。
【0005】
本発明の利点は、少なくとも1個のポリマーブロックに選択的に生物活性種を接着させることで、ブロックが非相溶性位相領域に分相するにつれ、生物活性種の自己集合クラスタが生成される点である。
【0006】
本発明の別の利点は、移植可能または挿入可能で、強化された細胞結合を示す医療装置が提供できる点である。
【0007】
本発明のこれらその他側面、実施例、および利点は、以下の詳細な説明と請求の範囲を参照することにより当業者にとって即時に明らかになるであろう。
【0008】
本書において、「ポリマー」とは、一般にモノマーと称する1個以上の構成単位の複数コピー(例:5、10、25、50、100、250、500、1000以上のコピー)を含む分子である。
【0009】
ポリマーは、例えば、環状、線形、分岐構成から選択することのできる数多くの構成を取ることができる。分岐構成には、星形構成(例:1個の分岐点から3個以上の鎖が広がる構成)、くし形構成(例:主鎖と複数の側鎖とを有する構成)、樹木状構成(例:樹木状および超分岐ポリマー)等が含まれる。
【0010】
本書において、「ホモポリマー」とは、単一構成単位の複数コピーを含むポリマーである。「共重合体」とは、少なくとも2個の非類似構成単位の複数コピーを含むポリマーであり、その例として、ランダム、統計的、傾斜、周期的(例:交互)およびブロック共重合体が含まれる。
【0011】
本書において、「ブロック共重合体」とは、別のポリマーブロックに発見されない構成単位(すなわち、モノマー)が1つのポリマーブロックに発見されるため、例えば、2個以上の異なるポリマーブロックを含む共重合体である。本書において、「ポリマーブロック」とは、ポリマーの一部または全部を形成する構成単位(例:5、10、25、50、100、250、500、1000以上の単位)のグループ分けである。ブロックは分岐していても分岐していなくともよい。ブロックは、例えば、ランダム、統計的、傾斜、または周期的(例:交互)分布に設けることのできる単一種類の構成単位(本書では「ホモポリマー・ブロック」とも称する)または複数種類の構成単位(本書では「共重合体ブロック」とも称する)を含むことができる。本書において、「鎖」とは、構成単位の線形(非分岐)のグループ分けである(すなわち、線形ブロック)。
【0012】
本発明のある側面によると、少なくとも1個のブロック共重合体を含むポリマー領域が提供される。このブロック共重合体は、ポリマー領域内で2個以上の非相溶性位相領域に分相する少なくとも2個のポリマーブロックを含む。さらに、生物活性種をポリマーブロックの少なくとも1個に接着させる。少なくとも1個のポリマーブロックに選択的に生物活性種を接着させることで、ブロックが非相溶性位相領域に分相するにつれ、生物活性種の自己集合クラスタを生成することができる。
【0013】
位相領域の形状、大きさ、および間隔(ひいては、生物活性剤クラスタの形状、大きさ、および間隔)は、とりわけ、位相領域、ポリマーブロックの全体サイズ、および互いに対する(各位相領域の相対体積に影響する)ポリマーブロックの大きさを形成するために用いる処理技術を含む多数の要因によって制御され得る。
【0014】
後者の要因に関して、他に対する1個のブロックの大きさが大きいほど、他に対してそのブロックが生成する位相体積が大きくなる。理想ではあるが、非相溶性ポリマーブロックAおよびB(例:ABジブロック共重合体、ABAトリブロック共重合体、BABトリブロック共重合体等)からなるブロック共重合体の代表的な形態を以下の図5に示す。Aの割合が高から低へ行くにつれ、一般に遭遇する形態は、(a)AのマトリクスにおけるBの球(例:体心立法格子)、(b)AのマトリクスにおけるBの円筒(例:六方格子)、(c)AのマトリクスにおけるBの二重迷路(例:ダブルジャイロイド)、他にバイコンチヒュアスシステムとして知られる、(d)AとBの交互シート(例:ラメラ)、(e)BのマトリクスにおけるAの二重迷路、(f)BのマトリクスにおけるAの円筒、および(g)BのマトリクスにおけるAの球である。円筒およびラメラは、ポリマー領域の表面に対して水平/並行、ポリマー領域の表面に対して鉛直/垂直等の向きでよいこと等に注意する。
【0015】
より複雑で理想的な構成は、3個の非相溶性ポリマーブロックA、BおよびC(例:ABCトリブロック共重合体)を有するポリマーによって表すことができる。
【0016】
ある実施例では、ポリマー領域は、位相領域の少なくとも1個が、平均10から500nmの間(例:10、25、50、75、100、150、200、300、400、500nm)の少なくとも1個の表面寸法を有するような条件下で形成される。位相領域の表面寸法は一般に、表面における位相領域の長さと幅に対応する。例として、図1において、線aおよびbは図示の楕円位相領域の表面の長さと幅に対応する。図2において、線eとfは表面寸法(それぞれ、長さと幅)である。図3の縦円筒において、線gおよびhは表面寸法である(この場合、長さと幅は同じで、直径に対応する)。図4の縦ラメラにおいて、線iおよびjは表面寸法である(それぞれ長さと幅)。位相領域は、AFM(原子間力顕微鏡法)、TEM(透過電子顕微鏡法)、またはSEM(走査電子顕微鏡法)を含むブロック共重合体技術で周知の各種技術により、必要に応じて好適な染色剤で染色した後、視覚化することができる。
【0017】
この点について、位相分離を制御し、自然表面上に見つかるものを模倣する生体分子を選択することにより、細胞種類および接着度合、拡散、および成長を選択する最適表面を得ることができる。細胞表面およびその細胞接着インテグリンの検査により、これらインテグリンの間隔が数十ナノメートルのオーダーであることがわかる。M.Tirrell他、「生物工学材料における表面科学の役割」、Surface Science500(2002年)61から83ページ、および、R.A.FrieTas、Nanomedicine、Landes Bioscience,1999年、pg.255における図8.37参照。例えば、S.P. Massiaによる研究、「440nmのRGDスペーシングは、インテグリン・アルファVベータ3−介在線維芽細胞の拡散に十分であり、140nmは、焦点接着およびストレス・ファイバー形成に十分である」、(The Journal of Cell Biology、第114巻、1089−1100、1991年)は、10から440nmの間の表面上のRGDスペーシングにより、細胞接着および拡散に影響を与えることができることを立証する。他に、細胞の移動運動を、細胞接着を支持する非クラスタインテグリン・リガンド(この場合、YGRGDペプチド)で支持するにはインテグリンのクラスタリングが必要だが、完全拡散もハプトキネティックまたはケモキネティックな運動性はいずれも必要ないと示唆する者もいる。G.Maheshwari他、「細胞接着および運動性はナノスケールRGDクラスタリングに依存」、Journal of Cell Science 113,1677−1686(2000年)参照。
【0018】
本書において、「生物活性種」とは、例えば、骨細胞または軟組織細胞等を最小の生物学的悪影響で細胞接着を促進する材料である(例:線維結合組織などの結合組織の形成)。
【0019】
本発明の実施に好適な生物活性種の例は、特に接着性多糖含有種および接着性ペプチド含有種(細胞接着ペプチドおよび全長タンパク質を含む)を含む。このような種を、例えば、次の好適な部材から選択することができる。(a)粘膜下層、骨髄、細胞外膜、基底膜などの細胞外材料、線維材料および基質(例:グロコサミンオグリカン、プロテオグリカン、およびグリコプロテイン)を含む細胞外材料の各種成分、例えば、特に、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、ヘパリン硫酸、ヒアルロン、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸、コンドロイチン硫酸、(b)アンキリン、カドヘリン(カルシウム依存性接着分子)、N−CAM(カルシウム独立接着分子)、コネクシン、免疫グロブリン、粘膜接着剤、シアリルLex、植物または細菌性レクチン(上皮細胞膜の糖成分に特に結合する接着分子)、インテグリン、エンタクチン、フィブリン、ビメンチン、糖脂質、グリコホリン、糖蛋白質、ヒアルロン酸、スペクトリン、フォン・ヴィレブランド因子、ビンキュリン、ビトロネクチンおよび(ペプチドと蛋白質を含む)接着種で、RGDトリペプチド等の細胞接着ペプチド(すなわち、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、トロンボスポンジン、テネイシンの細胞接着特性の一部に関与することがわかっているArgGlyAsp)、内皮細胞接着を支持するが、平滑筋細胞、線維芽細胞、血小板のそれは支持しないことがわかっているREDVテトラペプチド(すなわち、Arg−Glu−Asp−Val)、上皮細胞接着は促進するが、血小板接着は促進しないYIGSRペンタペプチド(すなわちTyrlleGlySerArg)、(c)成長因子。RGD、REDV、およびYIGSRペプチドに関する詳しいことは、米国特許第6,156,572号、米国特許出願第2003/0087111号にある。生物活性種のさらなる例は、内皮細胞のCD13に結合するNGRトリペプチドである。L.Holle他の「ヒトの血清およびアルファ(1−3)ガラクトース・エピトープを有するNGRペプチド共役ヒトアルブミンタンパク質の共培養によるヒト内皮細胞の体内標的殺傷」、Oncol.Rep.2004年 Mar; 11(3):613−6参照。
【0020】
ある実施例では、第1ポリマーブロックは、第1生物活性種(例:RGDペプチド等のペプチド結合シーケンスからなる種)を備える一方、第2非相溶性ポリマーブロックは、第2生物活性種(例:凝血抵抗性用ヘパリンまたは生体適合性用ヘパリン硫酸等のグリコサミノグリカン種)を備える。米国特許出願第2005/0187146号のHelmusおよびRichardを参照。その開示はさらなる例としてその全体を参照により組み入れる。
【0021】
上述のように、本発明と共に用いるブロック共重合体は、2以上の非相溶性位相領域に分相する少なくとも2個のポリマーブロックを含むことが望ましい。
【0022】
さらに、上記のように、ポリマーブロックの全体の大きさ、互いに対するポリマーブロックの大きさ、および位相領域を形成するのに用いる処理技術を制御することにより、このような非相溶性位相の形状、大きさ、間隔を制御することができる。
【0023】
例えば、形成する位相領域の大きさは、ポリマーブロックが小さくなり、顕微鏡下でも認識可能なだけはっきりした位相を生成できなくなる点まで、ポリマーブロックの全体の大きさ(例:分子量)を減らすことにより減少させることができる。
【0024】
別の例として、第2ポリマーブロックの分子量に対する第1ポリマーブロックの分子量が大きくなるほど、第2ポリマーブロックに対応する位相の体積分率に対する第1ポリマーブロックに対応する位相の体積分率が大きくなる。各種位相領域の体積分率を変えることにより、異なる形態を生成することができる(他の可能性の中でも、上述の、図5の球、円筒、ラミラ、およびダブルジャイロイド形態等を参照)。
【0025】
別の例として、方向凝固および/またはエピタキシを含む急速な凝固を通じた非相溶性位相領域へのブロック共重合体の配向性は、特に垂直ラミラや垂直円筒等各種構造を形成することがわかっている。これにより、位相領域構造の配向はほぼ均一に制御でき、領域の空間配置が制御できる。詳しいことについては、例えば、米国特許出願公開第2003/0118800号、「薄型フィルム中のブロック共重合体マイクロドメインの大面積配向性」と、その中の参考文献を参照すること。また、米国シリアル番号第11/005,852号、「制御された薬剤投与のためのポリマードメインの配向」と、その中の参考文献も参照すること。ここで、電界、磁界、機械的せん断界または溶剤グラジエント界が適用され、分相領域の空間的配向に影響する。
【0026】
位相領域形成、特に、平衡位相領域配置を近似させるものと共に焼鈍工程を採用することができる。
【0027】
ある実施例では、採用するブロック共重合体は生物安定性で、他の実施例では、ブロック共重合体は生物分解性で、さらに他の実施例では、ブロック共重合体は少なくとも1個の生物安定性ブロックと少なくとも1個の生物分解性ポリマーブロックとを含む。
【0028】
ある実施例では、ブロック共重合体は、少なくとも1個の親水性ポリマー鎖と、少なくとも1個の疎水性(脂溶性)ポリマー鎖を含む。
【0029】
ある実施例では、ブロック共重合体は少なくとも1個の低Tgポリマー鎖と、少なくとも1個の高Tgポリマー鎖とを含む。一般に、低Tgポリマー鎖は室温(および体温)で柔らかく弾性で、高Tgポリマー鎖は固い。この種の共重合体は、高強度と弾性を組み合わせ、用途の中でも膨張可能医療装置と共に用いるのに理想的であることが知られる。本書において、「低Tgポリマー鎖」とは、体温より下のTgを示すもので、より一般的には37℃、20℃、0℃、−25℃、−50℃以下である。反対に、高くなるか、「高Tgポリマー鎖」は、体温より高いガラス転移温度を示すもので、より一般的には37℃、50℃、75℃、100℃以上である。Tgは、示差走査熱量計(DSC)を含む多くの技術のいずれかで測定することができる。
【0030】
ブロック共重合体の構成は広く可変で、中でも例えば、次の構成を含む(ポリマー鎖HおよびLは、例えば、それぞれ高および低Tgポリマー鎖、それぞれ親水性および油溶性鎖、またはそれぞれ生物分解性および生物安定性鎖を指定することができる)。(a)タイプ(HL)m、L(HL)mおよびH(LH)mの交互鎖を有するブロック共重合体で、mは1以上の正の整数であるもの、および(b)X(LH)n、およびX(HL)nなどのマルチアーム共重合体で、nは2以上の正の整数であるもので、Xはハブ種(例:開始剤分子残留物、実行済みポリマー鎖を接着した分子の残留物など)である。ハブ種は一般に、ブロック共重合体形態の記述において無視され、HLHトリブロック共重合体としてX(LH)が指定されることに注意する。
【0031】
本発明のブロック共重合体のポリマーブロックの形成には、幅広い範囲のモノマーが利用可能である。
【0032】
例えば、低Tgポリマーブロックの特定の例は、ホモポリマーと、次のうち1個以上を含む共重合体鎖を含む(そのホモポリマーの公開されたTgと共に一覧)(1)次を含むアクリルモノマー:(a)メチルアクリレート(Tg 10℃)、エチルアクリレート(Tg −24℃)、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート(Tg −11℃、イソタクチック)、ブチルアクリレート(Tg −54℃)、sec−ブチルアクリレート(Tg −26℃)、イソブチルアクリレート(Tg −24℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg 19℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg −50℃)、ドデシルアクリレート(Tg −3℃)およびヘキサデシルアクリレート(Tg 35℃)等のアルキルアクリレート、(b)ベンジルアクリレート(Tg 6℃)等のアリールアルキルアクリレート、(c)2−エトキシエチルアクリレート(Tg −50℃)および2−メトキシエチルアクリレート(Tg −50℃)等のアルコキシアルキルアクリレート、(d)2,2,2―トリフルオロエチルアクリレート(Tg −10℃)等のハロ−アルキル アクリレート、および(e)2−シアノエチル アクリレート(Tg 4℃)等のシアノ−アルキル アクリレート、(2)次を含むメタクリリック モノマー:(a)ブチルメタクリレート(Tg 20℃)、ヘキシル メタクリレート(Tg −5℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート(Tg −10℃)、オクチルメタクリレート(Tg −20℃)、ドデシルメタクリレート(Tg −65℃)、ヘキサデシルメタクリレート(Tg 15℃)およびオクタデシルメタクリレート(Tg −100℃)等のアルキルメタクリレートおよび(b)ジエチルアミノエチルメタクリレート(Tg 20℃)および2−tert−ブチル−アミノエチルメタクリレート(Tg 33℃)等のアミノアルキルメタクリレート、(3)次を含むビニルエーテルモノマー:(a)エチルビニルエーテル(Tg −43℃)、プロピルビニルエーテル(Tg −49℃)、ブチルビニルエーテル(Tg −55℃)、イソブチルビニルエーテル(Tg −19℃)、2−エチルヘキシルビニルエーテル(Tg −66℃)およびドデシルビニルエーテル(Tg −62℃)等のアルキルビニルエーテル、(4)環状エーテルモノマーは、テトラヒドロフラン(Tg −84℃)、トリメチレンオキサイド(Tg −78℃)、エチレンオキサイド(Tg −66℃)、プロピレンオキサイド(Tg −75℃)、メチルグリシジルエーテル(Tg −62℃)、ブチルグリシジルエーテル(Tg −79℃)、アリルグリシジルエーテル(Tg −78℃)、エピブロモヒドリン(Tg −14℃)、エピクロロヒドリン(Tg −22℃)、1,2−エポキシブタン(Tg −70℃)、1,2−エポキシオクタン(Tg −67℃)および1,2−エポキシデカン(Tg −70℃)を含む、(5)マロン酸エチレン(TE −29℃)、酢酸ビニル(Tg 30℃)、およびプロピオン酸ビニル(Tg 10℃)を含むエステルモノマー(アクリレートおよびメタクリレート以外)、(6)エチレン、プロピレン(Tg −8から-13℃)、イソブチレン(Tg −73℃)、1−ブテン(Tg −24℃)、トランス−ブタジエン(Tg −58℃)、4−メチルペンテン(Tg 29℃)、1−オクテン(Tg −63℃)およびその他α―オレフィン、シス−イソプレン(Tg −63℃)、およびトランス-イソプレン(Tg −66℃)を含むアルケンモノマー、(7)塩化ビニリデン(Tg −18℃)、フッ化ビニリデン(Tg −40℃)、シス-クロロブタジエン(Tg −20℃)、およびトランス-クロロブタジエン(Tg −40℃)を含むハロゲン化アルケンモノマー、および(8)ジメチルシロキサン(Tg −127℃)、ジエチルシロキサン、メチルエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン(Tg −86℃)、およびジフェニルシロキサンを含むシロキサン モノマー。
【0033】
高Tgポリマーブロックの特定の例は、ホモポリマーと、次のうち1個以上を含む共重合体鎖を含む:(1)次を含むビニル芳香族モノマー:(a)スチレン(Tg 100℃)および2−ビニルナフタレン(Tg 151℃)等の非置換ビニル芳香族、(b)a―メチルスチレン等のビニル置換芳香族、および(c)次を含む環置換ビニル芳香族:3−メチルスチレン(Tg 97℃)、4−メチルスチレン(Tg 97℃)、2,4−ジメチルスチレン(Tg 112℃)、2,5−ジメチルスチレン(Tg 143℃)、3,5−ジメチルスチレン(Tg 104℃)、2,4,6−トリメチルスチレン(Tg 162℃)、および4−tert−ブチルスチレン(Tg 127℃)等の環アルキル化ビニル芳香族、4−メトキシスチレン(Tg 113℃)および4−エトキシスチレン(Tg 86℃)等の環アルコキシル化ビニル芳香族、2−クロロスチレン(Tg 119℃)、3−クロロスチレン(Tg 90℃)、4−クロロスチレン(Tg 110℃)、2,6−ジクロロスチレン(Tg 167℃)、4−ブロモスチレン(Tg 118℃)および4−フルオロスチレン(Tg 95℃)等の環状ハロゲン化ビニル芳香族、および4−アセトキシスチレン(Tg 116℃)等の環エステル置換ビニル芳香族、(2)その他、次を含むビニルモノマー:(a)安息香酸ビニル(Tg 71℃)、ビニル4−tert−安息香酸ブチル(Tg 101℃)、シクロヘキサン化ビニル(Tg 76℃)、ピバル酸ビニル(Tg 86℃)、トリフルオロ酢酸ビニル(Tg 46℃)、ビニルブチラール(Tg 49℃)等のビニルエステル、(b)2−ビニルピリジ(Tg 104℃)、4−ビニルピリジン(Tg 142℃)、およびビニルカルバゾール(Tg 227℃)等のビニルアミン、(c)塩化ビニル(Tg 81℃)およびフッ化ビニル(Tg 40℃)等のビニルハライド、(d)tert−ブチルビニルエーテル(Tg 88℃)およびシクロヘキシルビニルエーテル(Tg 81℃)等のアルキルビニルエーテル、および(e)ビニルフェロセン(Tg 189℃)等のその他ビニル化合物、(3)アセナフタレン(Tg 214℃)およびインデン(Tg 85℃)を含むその他芳香族モノマー、(4)次を含むメタクリリックモノマー:(a)無水メタクリル酸(Tg 159℃)、(b)次を含むメタクル酸エステル(メタクリレート):(i)メチルメタクリレート(Tg 105−120℃)、エチルメタクリレート(Tg 65℃)、イソプロピルメタクリレート(Tg 81℃)、イソブチルメタクリレート(Tg 53℃)、t−ブチルメタクリレート(Tg 118℃)およびシクロヘキシルメタクリレート(Tg 92℃)等のアルキルメタクリレート、(ii)フェニールメタクリレート(Tg 110℃)等の芳香族メタクリレートおよびベンジルメタクリレート(Tg 54℃)等の芳香族アルキルメタクリレートを含む、(iii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg 57℃)および2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(Tg 76℃)等のヒドロキシアルキルメタクリレート、(iv)イソボルニルメタクリレート(Tg 110℃)およびトリメチルシリルメタクリレート(Tg 68℃)を含む追加メタクリレート、および(c)メタクリロニトリル(Tg 120℃)を含むその他メタクリル酸派生物、(5)次を含むアクリルモノマー:(a)tert−ブチルアクリレート(Tg 43−107℃)、ヘキシルアクリレート(Tg 57℃)およびイソボルニルアクリレート(Tg 94℃)等の一部アクリル酸エステル、および(b)アクリロニトリル(Tg 125℃)を含むその他アクリル酸派生物。
【0034】
高および低Tgポリマー鎖のさらなる特定の例は、次から選択した1以上のモノマーからなるか、これを含む生物分解性ポリマー鎖を含む。(a)ナフタレートおよびテレフタレートエステル(ポリエチレンテレフタレートについてTg 70から80℃)、d−ラクチI−ラクチド(Tg 60から65℃)、グリコール酸(Tg 35−40℃)、エプシロン−カプロラクトン(Tg −65から−60℃)、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシ吉草酸等のポリエステル形成モノマー、(b)p−ジオキサノン(Tg −10から0℃)等のポリエーテルエステルを形成するモノマー、および(c)エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)(Tg 10から30℃)、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、テトラメチレンカーボネート(1,3−ジオキセパン−2−オン)、並びに1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オンおよび6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン等のポリカーボネートを形成するモノマー。
【0035】
生物活性種は、例えば、共重合体鎖の末尾に、または共重合体鎖の長さに沿って置くことができる。共重合体鎖の末尾に置いた場合、生物活性種密度は、共重合体鎖の長さを減らすことにより(これにより、単に体積当たりの生物活性種数を増やすことにより)増やすことができ、反対に、生物活性種密度は、共重合体鎖の長さを増やすことにより減少させることができる。
【0036】
共重合体鎖の長さに沿って置いた場合、表面の生物活性種密度は、鎖長に沿った生物活性種数を増やすことにより(例:鎖の長さまたは鎖に沿った生物活性種の密度を増やすことにより)、増やすことができ、鎖長さに沿った生物活性種数を減らすことによって減らすことができる。
【0037】
接着に関して、生物活性種は、重合前にモノマーと共有結合するか、ポリマー合成後、あるいは基になる基板をポリマーからなるポリマー領域でコーティングした後にポリマーに接着することができる。
【0038】
生物活性種と容易に共有結合する官能基を含むポリマーは中でも特に次を有するモノマーを含む。(a)アミン基(例:2−アミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートを用いて形成したもの)、2−tert−ブチル−アミノエチルメタクリレートおよび4−アミノスチレン、(b)カルボキシル基(例:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸等を用いて形成したもの)、(c)ヒドロキシル基(例:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、およびヒドロキシプロピルメタクリレート、およびヒドロキシスチレンなどのヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートを用いて形成したもの)、(d)イソシアネート基(例:2−イソシアナートエチルアクリレートまたはメタクリレート、3−イソシアナートプロピルアクリレートまたはメタクリレート、4−イソシアナートブチルアクリレート またはメタクリレート、6−イソシアナートヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、1−メチル−2−イソシアナートエチルメタクリレートまたは1,1−ジメチル−2−イソシアナートエチルメタクリレート等のビニルイソシアネート、イソプレニルイソシアネート、イソシアナートアルキルアクリレートまたはメタクリレート、スチレンイソシアネートおよびm−イソプロペニル−α, α−ジメチルベンジルイソシアネート等のスチレンイソシアネートを用いて形成したもの)、および(e)無水物基(例:アクリルおよびメタクリル酸無水物、無水マレイン酸およびイタコン酸無水物を用いて形成したもの)。
【0039】
対象のポリマーを調製する方法には、例えば、リビングカチオンまたはアニオン重合や、ニトロキシド介在重合(NMP)、可逆的付加・脱離連鎖移動重合(RAFT)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、およびグループ移動重合(GTP)等の制御されたフリーラジカル重合(CRP)など、ポリマー生成のための周知の方法が含まれる。
【0040】
ATRPやNMP等のCRP方法は、イオン重合方法で必要な高価で時間のかかる保護や脱保護反応の必要なしにモノマー含有カルボキシル、アミン、またはヒドロキシル基などの機能性モノマーの直接重合が可能になるため、ブロック共重合体の重合には特に好適である。
【0041】
上記その他反応基によりポリマーを形成したら、例えば、連結剤を用いて、これに生物活性種を連結することができる。一般に用いられる連結剤の特定の例には、中でも、グルタルアルデヒド、ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、マレイミドヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド、N,N‘−カルボニルジイミダゾールイミドエステル、およびジフルオロベンゼン派生物が含まれる。当業者であれば、存在する官能基により用いることのできるその他連結剤をいくつでも認識するであろう。ブロック共重合体または生物活性種に存在する官能基は、所望なら、反応前に他の官能基に変換して、例えば追加反応性または選択性を与えることができる。共有結合について詳しいことは、例えば、米国特許公開第2005/0002865号にある。
【0042】
特定の例として、Atofina ChemicalsによるARKEMAが開発したSG1タイプの触媒と共にNMPを用いて、アクリレート・ベースのトリブロックポリマーを調製することができる。このようなポリマーは、柔らかい低Tポリマーブロック、例えば、ポリ(ブチルアクリレート)またはポリ(ラウリルアクリレートブロックから構成される弾性のあるミッドブロックと、高Tポリマーブロック、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン)またはポリ(イソボルニルアクリレート)のブロックから構成される固いエンドブロックとを含むことができる。カルボキシルまたはアミン基(例:中でもアクリル酸)等の反応基を含むモノマーと共に2相のいずれかのモノマーを共重合することにより、生物活性種(例:RGDシーケンスから構成されるか、これを含むペプチド等の種を含む生物活性ペプチド)の接着のために、例えば、標準カルボジイミド化学を用いて現場を調製する。このようなブロック共重合体中の反応基の密度は、反応性モノマーを導入するブロックに応じて、反応性モノマーと低Tモノマーとの間のモノマー比率、または反応性モノマーと高Tモノマーとの間のモノマー比率を変えることによって変えることができる。中でも(上記参照)、アミノエチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレート等の他の反応性モノマー種を用いて同様の反応性ポリマーを生成することもできる。
【0043】
一方、ある実施例では、対象のブロック共重合体が固有に反応基を所有し、それを介して生物活性種を連結することができるため、反応性モノマーによる共重合は必要としない。例えば、アクリレート・ベースのトリブロックポリマーは、低Tポリマーブロック、例えばポリ(ブチルアクリレート)ブロックからなる弾性のあるミッドブロックと、親水性の高Tポリマーブロック、例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のブロックから構成される固いエンドブロックとを含むNMPにより調製することができる。高度に疎水性の位相領域を設けることに加えて、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)ブロックはヒドロキシ基も含み、これに様々な飽和度で生物活性種を結合することができる。
【0044】
他の実施例では、生物活性種は、ポリマー鎖形成時に組み込まれる。例えば、共重合は、生物活性モノマー、例えば反応性不飽和モノマー(例:カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、イソシアナート、無水物等の基を持つもの)と生物活性種の反応生成物を用いて実行することができる。上記共重合同様、ブロック共重合体内の生物活性種の密度は、生物活性モノマーを導入するブロックに応じて、生物活性モノマーと低Tモノマーとの間のモノマー比率、または生物活性モノマーと高Tモノマーとの間のモノマー比率を変えることによって変えることができる。
【0045】
他の実施例では、本発明のブロック共重合体はさらに、生体模倣特性のあるポリマーブロック、例えば、アニオン性スルホン基(例:中でもスルホン化ポリスチレンブロック)を含むポリマーブロックで、ヘパリノイド活性を持つもの、メタクリロキシエチルホスホリルコリン型モノマーで重合したブロックで、細胞膜状表面を生成すると知られるもの)を含む。
【0046】
本発明によると、例えば、カテーテル(腎臓または血管カテーテル)、バルーン、カテーテルシャフト、ガイドワイヤ、フィルタ(例:大静脈フィルタ)、ステント(冠血管ステント、脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸管、食道ステントを含む)、ステントグラフト、血管グラフト、血管アクセスポート、脳動脈瘤フィラーコイルを含む塞栓装置(Guglilmi取り外し可能コイルその他金属コイルを含む)、心筋プラグ、中核欠損閉鎖装置、パッチ、ペースメーカーおよびペースメーカーリード、細動除去リードおよびコイル、左心室補助循環装置(LVAD)、人工心臓ポンプ、完全人工心臓、心臓弁、血管弁、軟骨、骨、皮膚その他体内組織再生のための組織工学スキャホールド等を含む、本発明に係るブロック共重合体領域のある広範囲な移植可能または挿入可能な医療装置を設けることができる。
【0047】
ブロック共重合体は、医療装置の全面上あるいは医療装置表面の一部にのみ設けることができる。例えば、ステント(例えば、レーザカットまたは機械的カット管、1以上の編みこみ、織り、または編みフィラメント等からなることができる)等の管状装置により、ブロック共重合体をステントの全面上に設けることができ、またはステントの内側内腔面、ステントの外反管腔面、および/または内腔および反管腔面(端部を含む)の間の横面上に設けることができる。ブロック共重合体は、例えば、中でも適切なマスキング技術を用いて、所望のパターンで設けることができる。別の例として、ブロック共重合体は、一部装置構成要素上に設けることができる。
【0048】
下に設置する医療装置基板として利用する材料は次のものを含む。(a)ポリマー材料等の有機材料(例:50wt%以上の有機種を含む材料)、(b)金属材料(例:金属および金属合金)および非金属材料(例:中でも、カーボン、半導体、ガラスおよびセラミックで各種金属および非金属酸化物、各種金属および非金属窒化物、各種金属および非金属炭化物、各種金属および非金属ほう化物、各種金属および非金属リン酸塩、各種金属および非金属硫化物を含む)等の無機材料(例:50wt%以上の無機種を含む材料)。
【0049】
非金属無機材料の特定の例は、例えば、次の1以上を含む材料から選択することができる:酸化アルミニウムおよび遷移金属酸化物(例:チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、およびイリジウムの酸化物)を含む金属酸化物;シリコン;窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素(ガラスセラミックと称する場合もある)等を含むシリコンベースセラミック;リン酸カルシウムセラミック(例:ヒドロキシアパタイト);炭素;および窒化炭素等の炭素ベースのセラミック状材料。
【0050】
金属無機材料の特定の例は、例えば、金属(例:金、プラチナ、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、チタン、タンタル、タングステン、およびルテニウム等の生物安定性金属と、マグネシウム等の生体吸収性金属)および金属合金で、鉄およびクロム(からなる金属合金例:プラチナ強化放射線不透過性ステンレススチールを含むステンレススチール)と、ニッケルおよびチタンからなる合金(例:ニチノール)と、コバルトおよびクロムからなる合金とを含み、コバルトと、クロムと、鉄とからなる合金(例:エルジロイ合金)と、ニッケルと、コバルトと、クロムとからなる合金(例:MP 35N)と、コバルトと、クロムと、タングステンと、ニッケルとからなる合金(例:L605)と、およびニッケルとクロムとからなる合金(例:インコネル合金)とを含む。
【0051】
有機材料の特定の例は、例えば、次から選択することができる:ポリアクリル酸を含むポリカルボン酸ポリマーおよび共重合体;アセタールポリマーおよび共重合体;アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよび共重合体(例:n−ブチルメタクリレート):酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、レーヨン、レーヨントリアセテート、およびカルボキシルメチルセルロースとヒドロキシアルキルセルロース等のセルロースエーテルを含むセルロースポリマーおよび共重合体;ポリオキシメチレンポリマーおよび共重合体;ポリエーテルブロックイミドおよびポリエーテルブロックアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリエーテルイミド等のポリイミドポリマーおよび共重合体;ポリアリールスルホンおよびポリエーテルスルホンを含むポリスルホンポリマーおよび共重合体;ナイロン6,6,ナイロン12、ポリカプロラクタムおよびポリアクリルアミドを含むポリアミドポリマーおよび共重合体;アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂およびエポキサイド樹脂を含む樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋その他);ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のポリビニルハライド、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン無水マレイン酸共重合体、ビニル芳香族アルキレン共重合体で、スチレンブタジエン共重合体、スチレンエチレンブチレン共重合体(例:ポリスチレンポリエチレン/ブチレンポリスチレン(SEBS)共重合体でKraton(登録商標)Gシリーズとして入手可能なポリマー)、スチレンイソプレン共重合体(例:ポリスチレンポリイソプレンポリスチレン)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体およびスチレンイソブチレン共重合体(例:Pinchukの米国特許第6,545,097号に開示するような、ポリイソブチレンポリスチレンおよびポリスチレンポリイソブチレンポリスチレンブロック共重合体)を含み、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、およびポリビニルアセテート等のポリビニルエステルを含むビニルモノマーのポリマーおよび共重合体;ポリベンゾイミダゾール;エチレンメタクリル酸共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体で、酸基の一部は、亜鉛またはナトリウムイオン(一般にイオノマーとして知られる)で中和することができる;ポリエチレンオキサイド(PEO)を含むポリアルキルオキサイドポリマーおよび共重合体;ラクチドのポリマーおよび共重合体(乳酸並びにd−,1−およびmeso−ラクチドを含む)、エプシロン-カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、パラジオキサノン、トリメチレンカーボネート(およびそのアルキル派生物)、1,4−ジオキセパン−2−オン,1,5−ジオキセパン−2−オンおよび6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン(ポリ(乳酸)およびポリ(カプロラクトン)の共重合体は、1特定例)等のポリエチレンテレフタレートおよび脂肪族を含むポリエステルを含むポリエステル:ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリアリールエーテルを含むポリエーテルポリマーおよび共重合体;ポリフェニレンサルファイド;ポリイソシアネート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン(polybut−1−eneおよびポリイソブチレン等)、ポリオレフィンエラストマ(例:サントプレン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−pen−1−enes、エチレン−アルファーオレフィン共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体およびエチレンビニルアセテート共重合体等のポリアルキレンを含むポリオレフィンポリマーおよび共重合体;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)を含むフッ化ポリマーおよび共重合体;シリコンポリマーおよび共重合体;熱可塑性ポリウレタン(TPU);弾性ポリウレタン等のエラストマおよびポリウレタン共重合体(ポリエーテルベース、ポリエステルベース、ポリカーボネートベース、脂肪族ベース、芳香族ベースのブロックおよびランダム共重合体およびその混合物を含む);市販で入手可能なポリウレタン共重合体の例は、Bionate(登録商標)、Carbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecothane(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Tecoplast(登録商標)、Pellethane(登録商標)、Chronothane(登録商標)およびChronoflex(登録商標)を含む;p−キシリレンポリマー; ポリイミノカーボネート;ポリエチレンオキサイド-ポリ乳酸共重合体などのコポリ(エーテルエステル);ポリホスファジン;ポリシュウ酸アルキレン;ポリオキサアミドおよびポリオキサエステル(アミンおよび/またはアミド基を含むものを含む);ポリオルトエステル;ポリペプチド、タンパク質、ポリサッカライドおよび脂肪酸(およびそのエステル)等のバイオポリマーで、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、でんぷん、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンを含む;並びに上記のさらなる共重合体およびブレンド。
【0052】
各種実施例を特に本書に図解および説明したが、本発明の修正および変形は上記教示のカバーするもので、本発明の精神と意図する範囲から逸脱することなく、添付の請求の範囲内であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ポリマー領域の表面における楕円形状の理想的な位相領域の略図である。
【図2】ポリマー領域面における各種理想的な形状の位相領域の略図である。
【図3】ポリマー領域面における各種理想的な形状の位相領域の略図である。
【図4】ポリマー領域面における各種理想的な形状の位相領域の略図である。
【図5】ABジブロックやABAトリブロック共共同体等、ブロック共重合体の2個の非相溶位相に形成することができる理想的な形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板と、(b)前記基板上に配設されたポリマー領域とからなり、前記ポリマー領域は、第1および第2ポリマーブロックからなるブロック共重合体で、前記ポリマー領域内で第1および第2非相溶性位相領域にそれぞれ対応するものからなり、前記第1および第2ポリマーブロックの少なくとも一方は共有結合された生物活性種からなり、前記第1および第2位相領域の少なくとも一方は、平均が10から500nmの間の表面寸法を有することを特徴とする医療装置。
【請求項2】
前記第1および第2位相領域の少なくとも一方は、平均が10から100nmの間の表面寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1および第2位相領域のそれぞれは、平均が10から500nmの間の表面寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第1および第2非相溶性位相領域は、(a)第2位相領域内の第1位相領域の球、(b)第2位相領域内の第1位相領域の縦に整列した円筒、(c)第2位相領域内の第1位相領域の面内円筒、(d)第1および第2位相領域縦に整列した交互のラメラ、(e)第1および第2位相領域の二重迷路、(f)第1位相領域内の第2位相領域の縦に整列した円筒、(g)第1位相領域内の第2位相領域の面内円筒、および(f)第1位相領域内の第2位相領域の球から選択される形態を有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記第1生物活性種は、生物活性ペプチドシーケンスからなることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記生物活性種は、生物活性RGDペプチドシーケンスからなることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記生物活性種は、グリコサミノグリカンであることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記生物活性種は、前記ポリマーブロックの1個に沿って各種ポイントで接着されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記生物活性種は、前記ポリマーブロックの1個の末尾で接着されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第1および第2ポリマーブロックの他方は、前記生物活性種と異なる共通結合した追加生物活性種からなることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記第1ブロックは高Tgブロックであり、前記第2ブロックは低Tgブロックであることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記第1ブロックは、メチルメタクリレート、スチレン、イソボルニルアクリレート、およびその組み合わせから選択したモノマーからなることを特徴とする請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記第2ブロックは、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、およびその組み合わせから選択したモノマーからなることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
前記第1ブロックは疎水性ブロックであり、前記第2ブロックは親水性ブロックであることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項15】
前記第1ブロックは、スチレン、ビニルナフタレン、イソボルニルアクリレート、およびその組み合わせから選択したモノマーからなることを特徴とする請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記第2ブロックは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン、安息香酸ビニル、およびその組み合わせから選択したモノマーからなることを特徴とする請求項14に記載の医療装置。
【請求項17】
前記ブロック共重合体は、ジブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項18】
前記ブロック共重合体は、中央ブロックとしての前記第1ブロックと、エンドブロックとしての前記第2ブロックの2個とからなるトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項19】
前記ブロック共重合体は、さらに前記ポリマー領域内の第3非相溶性位相領域に対応する第3ポリマーブロックからなることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項20】
前記第3ブロックは生体模倣ブロックであることを特徴とする請求項19に記載の医療装置。
【請求項21】
前記生体模倣ブロックは、アニオン基からなるポリマーブロックと、1以上のホスホリルコリン基からなるモノマーからなるポリマーブロックとから選択されることを特徴とする請求項20に記載の医療装置。
【請求項22】
前記アニオン基は硫酸基からなることを特徴とする請求項21に記載の医療装置。
【請求項23】
前記ポリマー領域は急速凝固技術により形成されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項24】
前記ポリマー領域は、電界、磁界、機械的せん断界および溶剤グラジエント界から選択したフィールドの適用からなる工程によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項25】
前記ポリマー領域は、焼鈍ステップからなる工程によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項26】
前記医療装置は、ステント、グラフト、ステントグラフト、大静脈フィルタ、塞栓コイル、心臓弁、左心室補助循環装置、および人工心臓から選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項27】
前記基板は、金属基板、ポリマー基板、およびセラミック基板から選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項28】
(a)第1ポリマー組成を有する第1ポリマーブロックと、第2モノマー組成を有する第2ポリマーブロックとからなる第1ブロック共重合体からなる第1サンプル上で細胞を成長させることで、前記第1および第2ポリマーブロックは、前記第1サンプル内の非相溶性位相領域に対応し、前記第1および第2ポリマーブロックの少なくとも一方は生物活性種を共有結合しているものと、(b)前記第1ポリマー組成を有する第1ポリマーブロックと、前記第2モノマー組成を有する第2ポリマーブロックとからなる第2ブロック共重合体からなる第2サンプル上で細胞を成長させることで、前記第1および第2ポリマーブロックの少なくとも一方は生物活性種を共有結合しており、前記第1および第2ポリマーブロックは、前記第1サンプルの非相溶性位相領域と形態または大きさあるいは形態および大きさが異なる前記第2サンプル内の非相溶性位相領域に対応するものと、(e)よりよい細胞接着を有するサンプルを選択することとからなる表面への細胞接着を改良する方法。
【請求項29】
前記第1および第2ブロック共重合体は同じで、前記第1および第2サンプル内の前記非相溶性位相領域は、サンプルの形成に用いた処理技術に基づく形態が異なることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1および第2ブロック共重合体は、第1ポリマーブロックの長さまたは第2ポリマーブロックの長さあるいは両方が、前記第1ブロック共重合体と前記第2ブロック共重合体との間で異なることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1および第2ブロック共重合体は、前記第2ポリマーブロックに対する前記第1ポリマーブロックの重量比率が、前記第1ブロック共重合体と前記第2ブロック共重合体との間で異なることを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−537217(P2009−537217A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510955(P2009−510955)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/010026
【国際公開番号】WO2007/136504
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】