説明

生物試料回収/輸送組成物および方法

生物試料、および臨床、法医学的、または環境サンプルから核酸の集団を回収、選別、および輸送するための組成物を開示する。さらなる処理またはアッセイの前に、病原体を殺滅する、ヌクレアーゼを不活性化する、およびサンプル内の他の細胞要素からポリヌクレオチドを放出する、および核酸を安定化するためのワンステップ製剤として、これらの組成物を使用するための方法をさらに開示する。特定の実施形態では、本発明は、回収/輸送媒体の適合度をモニタリングし、処理サンプルから後に単離および精製する核酸の完全性を測定するための内部参照対照として働く、既知量の非ゲノム、核酸担体分子を含有する、1つの、ワンステップ、サンプル回収/輸送/保存製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1つ以上の従来法またはアッセイを使用して後に単離、精製および/または特徴付けすることができる核酸の集団を含有する生物サンプルの回収、輸送、および保存のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
分子分析および診断分析の分野では、核酸を首尾よく分析することができるかどうかは、遠隔位置、医院または研究室のいずれにおいて試料を得るかに関わらず、生物サンプル中の核酸(特に、ヒト患者から入手する診断サンプル中に含有される核酸)を安定状態に保つ能力によって決定されることが多い。生物サンプル中の核酸は、室温ですぐに分解および/または変性し、安定状態に保つために凍結温度下で一般に保存しなければならない。しかし、それでも、ある程度の分解が経時的に依然として起こる。この問題は、試料を遠隔位置、または医院もしくは研究室環境から相当な距離で回収するとき、特に、電源、または冷凍/凍結機器へのアクセスが信頼できないか、存在しないかのいずれかの場合など、サンプルを分析するまで持続的および一定の冷却/冷蔵/凍結状態へのアクセスが限られる、または存在しない可能性がある場合、拡大する。そこから核酸を入手することが望ましい生物試料の回収および処理に関する問題は、下流分析に望ましい核酸が、内因性または外因性ヌクレアーゼ活性による分解を特に受けやすいリボ核酸(RNA)を含むとき、さらに悪化する。市販の試料輸送法は、回収地点から分析地点まで輸送するための生物サンプル用の特別な輸送媒体を使用することが多く、特に、サンプルを保存することができる時間に制約を課すパッケージングは、輸送または長期保存中でさえ低温での連続的なサンプル維持を必要とし、回収場所と診断研究室の間の考えられる時間および距離に実際制約を与える。
【0003】
試料の安定性に関する懸念に加えて、回収サンプルの保存および輸送において使用する試薬の処理および/または保存に関するさらなる懸念がしばしば存在する。例えば、試薬自体は、安定状態を維持するために低温または他の特別なケアを必要とすることが多い。これらの安定性に関する問題のため、例えば、現場への試薬の輸送、使用前の現場での保存、および生物試料および試薬の試験場への再輸送は主たる懸念である。
【0004】
生物試料を用いた作業時の別の重大な懸念は、試料から環境への生きた感染病原体または生物因子の考えられる接種、放出、または播種である。感染する可能性があるか、または他の場合健康上もしくは安全上のリスクをもたらす可能性があるサンプルの処理時に利用される、具体的なプロトコールが現在存在する。サンプルを生存状態および/または生物学的に完全な状態に維持して、試験用にその完全性を保つ場合、回収、移動、および試験プロセスに関与する個体は非常に危険な病原体に曝される恐れがある。さらに、病原体の放出が起こる場合、現場もしくはサンプル回収場所近辺(または輸送中近辺)の局外者が曝される可能性がある。結果として、必要とされる安全対策は、一箇所から別の箇所にこのようなサンプルを移動するのに必要とされる支出および尽力を典型的には増大する。
【0005】
近年まで、病原体を検出するための臨床試験法は、具体的経験を有する高度に知識がある専門の科学者を必要とする、労働集約的で、高価な方法であった。大部分の臨床試験研究室は、ウイルス培養に3−7日、およびいくつか他の細菌標的にはさらに長期間を典型的に必要とする従来の培養法の使用を用いた。さらに、従来の培養は、例えば、エボラ、鳥類インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)などのおそらく感染性がある生物因子の回収、輸送、ならびに研究室内での増殖および処理を必要とする。
【0006】
臨床用分子診断の分野は80年代半ばにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の出現と共に劇的に変化したが、しかしながら、その直後90年代半ばにリアルタイムPCRが出現した。例えば定量リアルタイムPCR(qPCR)または逆転写酵素PCR(RT−PCR)および定量、リアルタイム、逆転写酵素PCR(qRT−PCR)アッセイを利用する核酸ベースの検出プラットホームは、従来の培養および単離法が何日間かを必要とするのに対して、何時間かのうちに結果をもたらすことができ、分子検出法を現代の研究室の診断分析の主流にすることができる。新たな改善されたレポーティング/クエンチングフルオロ、副溝結合剤(MGB)(TaqMan MGB(商標)、Applied Biosystems;一般的な参照に関しては、例えば、Baraldiら、Pure Appl.Chem、75(2−3):187−194頁、2003年も参照)、および安定化増幅試薬などの検出用化学物質の近年の改善は、さらに感度が良く高度に特異的な核酸検出アッセイへの道を開き、従来の細胞培養ベースの方法よりタイムリー、確実、および経済的であることを証明した。転写仲介増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、およびいわゆる「チップ上実験室」多重化アッセイなどの他の核酸検出戦略の進歩は、臨床研究室における培養バイアルからマイクロアレイへの移行にも貢献している。
【0007】
いくつかの民間企業(例えば、Qiagen[Valencia、CA、USA]、Roche Applied Science[Indianapolis、IN、USA]、Gen−Probe[San Diego、CA、USA]、およびbioMerieux[Durham、NC、USA])は、サンプル単離から分子分析までの核酸抽出プロセスを自動化するための装置を開発している。例えば、Tigris DTS(登録商標)(Gen−Probe、San Diego、CA、USA)は検出プロセス全体を自動化し、2004年後半には、Gen−ProbeのAPTIMA COMBO−2(登録商標)増幅核酸試験(NAT)アッセイを使用したクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)とネイセリア・ゴノロエア(Neisseria gonorrhoeae)の同時検出に関して、アメリカ食品医薬品局(FDA)によって承認された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Baraldiら、Pure Appl.Chem、75(2−3):187−194頁、2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現代の検出およびアッセイシステムにおける高品質の核酸サンプルに関する要件を鑑みて、様々な生物サンプルおよび試料中に含有される核酸の完全性および質を維持する、安全で容易な回収、保存および輸送システムが当技術分野で現在必要とされている。さらに、回収試薬(複数可)、生物サンプル自体、またはその中に含有される核酸集団の冷凍、凍結、または他の特別処理なしで、長期間の周囲環境(すなわち、非理想的)条件下において、遠隔地または現場でサンプル(特に有害または病原体生物を含有するサンプル)を回収、保存、および輸送することも現在必要とされている。さらに、作業者または局外者が病原体に曝されるリスクを最小限にし、ワンステップ製剤の使用を可能にし、長距離または長時間にわたる、高適合度、高品質の核酸集団を含有する生物試料の好都合な周辺輸送を容易にする、安価で、より好都合な回収/輸送/保存媒体が現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、1つ以上の生物供給源から核酸を調製するための従来の回収、溶解、輸送および保存法を有利に改善することができる、新規で有用な組成物、ならびにそれらを作製および利用する方法を包含する。したがって、本発明は有利なことに、核酸を含有する生物試料を不活性化および溶解するため、および核酸の完全性が少なくとも実質的に維持される、および好ましくは全て維持されるように、核酸の一部分が分子学的診断分析に容易に利用可能であるように、生物試料内、好ましくは全て単一反応容器中に核酸(例えば、RNAまたはDNA)を保存するための、回収および保存製剤を提供する。本発明の他の利点は、冷蔵または冷凍など持続的および一定冷却温度を必要とせずに、製剤が分離または放出された核酸を少なくとも実質的に安定状態に保つことができることである。
【0011】
本明細書で開示するワンステップ製剤は、以下の主な機能、サンプル内の病原体の不活性化または殺滅、細胞の溶解および細胞からの核酸の分離または放出、サンプル中に存在する核酸の分解を予防するための内因性または外因性ヌクレアーゼおよび他の細胞酵素の不活性化、ならびに周囲温度でのサンプルの回収および処理の簡便化、サンプルのその後の輸送および保存中の核酸の安定化、処理サンプルの適合度をモニタリングするための内部陽性対照(IPC)としても働くゲノム外、ナンセンスRNA担体分子の使用によるサンプル完全性の保持を実施する。
【0012】
単一ステップ製剤において、好ましくは単一反応帯または反応容器においてこれら全ての望ましい機能を遂行できることは、現在利用可能な能力に優る特に顕著な利点である。現在存在する技術は、核酸を含有する生物要素の不活性化、細胞の溶解による核酸の放出、および核酸の分離または放出、遊離核酸集団の完全性の維持をもたらす単一ステップ組成物、および試料の適合度を定量化するのに好都合なIPCを含まない。本発明は、診断試験用の試料中に存在する核酸を安定化し、それらの完全性を維持し、一方で容易に検出可能で、定量可能なRNA担体分子を利用する回収培地の適合度をモニタリングするのに好都合な方法も提供する。
【0013】
本発明のワンステップ製剤は、好ましくは、核酸を含有する生物要素の同時不活性化、核酸の溶解および分離または放出、安定化、および保存を可能にする。一実施形態では、一部分または全ての不活性化、溶解および分離または放出、安定化、および保存が連続的である。好ましい実施形態では、しかしながら、大部分または好ましくは全てのこれらの機能が同時に生じる。全ての実施形態において、ワンステップ製剤をサンプルと組合せてこれらの機能を開始させる。これは、不活性化が必ずしも起こらず、溶解、安定化、および保存が一連の別個のステップで起こり、それぞれのステップが別々に加えられた1つ以上の異なる試薬およびプロトコールを典型的に使用する以前の技術とは対照的である。
【0014】
誤差を最小にし、試薬の不適合性を回避し、結果の段階的制御をもたらすために、多数の連続ステップを必要とした従来の核酸単離法と異なり、本発明は、1つのワンステップ製剤において全てのこれらの利点を提供し、核酸の完全性を維持し、内部ナンセンスRNA担体分子の使用により保存/回収/輸送プロセスの適合度をモニタリングし、サンプル核酸の高い抽出効率と精製効率の両方を容易にし、およびそれらの最終収率を改善する、さらなる利点も加える。本発明のワンステップ製剤は、核酸を含有する生物要素の同時不活性化、細胞残骸からの核酸の溶解および放出、安定化、および溶解前、最中、または後に存在し得る生物サンプル中に含有される核酸集団の分解に関する可能性を低減する核酸の保存を容易にすることが好ましい。
【0015】
開示する組成物は、1)臨床または環境試料からの高品質の核酸の調製を容易にし、2)生物サンプル中のおそらく感染性がある病原体を不活性化、殺滅、または他の場合は中和して、回収試料の安全な処理および輸送を容易にし、および3)放出された核酸の加水分解またはヌクレアーゼ分解なしで長期間、放出された(すなわち「裸状態の」)DNA/RNAを安定化するように開発および最適化されている。本明細書に記載する組成物は、臨床、現場および開発用途、または高容量サンプルの回収/抽出に理想的である。1つ以上の開示する組成物において回収する試料は生物学的に不活性であり、典型的には冷蔵またはドライアイスなしでも安全に出荷することができる。
【0016】
特定の実施形態では、核酸(例えば、RNAおよび/またはDNA)の添加は、a)「担体」として(少量の補充RNA/DNAの添加は、サンプル/試料、特に少量の標的、すなわち細胞、ウイルス、細菌を含有し得る原型試料の全体収率を増加/増大することが以前に示されている)、b)下流分子プロセスのIPCとして、および検出用サンプル回収からの核酸調製物の適合度を追跡またはモニタリングするための、およびc)下流定量分析、例えばqRT−PCRなどの「キャリブレーター」と比較するための、開示する方法の様々な目的および適用例に有益であると企図される。このような実施形態では、1つ以上の公知または「対照」核酸を、約1agから約1mg、より好ましくは約1fgから約1μg、およびより好ましくはさらに、約1pgから約1ngの最終濃度で組成物に加えることが可能である。
【0017】
例示的な実施形態では、本発明は、(a)核酸を含有する疑いがある生物サンプルからのポリヌクレオチドの回収を容易にするための担体分子として、および/または(b)試料回収およびポリヌクレオチド単離/安定化の完全性および適合度をモニタリングするためのIPC(すなわち、「公知」、「レポーター」、「対照」、「標準」、または「マーカー」)配列として有用である、単離単鎖(ss)または二本鎖(ds)RNA、DNA、PNA、またはこれらのハイブリッドを提供する。特定の実施形態では、本発明は、担体分子および/またはIPCとして有用である、単離ds−RNA、ds−DNA、ds−PNA、またはこれらのハイブリッドを提供する。他の実施形態では、本発明は、担体分子としておよび/またはIPC配列として有用である、単離ssRNA、ssDNA、ssPNA、またはこれらのハイブリッドを提供する。例示的な実施形態では、本発明は、担体分子とIPC配列の両方として有用である、単離ssRNA分子を提供する。
【0018】
このような分子は、研究室内で調製した天然供給源、または代替的に、天然配列と非天然配列の両方を含有するハイブリッドから単離することができる。本明細書に記すように、本発明の組成物は、病原体起源のポリヌクレオチドを含有する疑いがある哺乳動物(特に、ヒト)供給源から得た生物試料を単離および特徴付けするのに特に有用であるので、担体および/または陽性対照化合物として利用する配列(複数可)は、哺乳動物のゲノム内、またはこのような哺乳動物に対して病原性がある生物のゲノム内で通常見られない一次ヌクレオチド配列を実質的に含有することが好ましい。例示的な哺乳動物には、非制限的に、ウシ、ヒツジ、ブタ、オオカミ、イヌ、ウマ、ネコ、クマ、ネズミ、ライオン、ウサギ、ヤギ、および非ヒト霊長類がある。
【0019】
好ましくは、この非哺乳動物、非病原体特異的担体/レポーター配列は交差反応性がない、すなわち、実質的、または好ましくは、哺乳動物または病原体特異的配列とハイブリダイズせず、したがって非コード、非縮重(すなわちナンセンス)配列は、対照/担体配列と回収試料から得たポリヌクレオチドの単離集団のメンバーのハイブリダイゼーションを最小にするための、対照/担体配列の調節において特に好ましい。例示的な対照/担体配列は、したがって、実質的、または好ましくは、哺乳動物ゲノムから単離したポリヌクレオチドの集団と、または哺乳動物に対して病原性である細菌、真菌、ウイルスのゲノムから単離したポリヌクレオチドの集団と結合しない(例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイズしない)。当業者に知られている例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、非制限的に、(a)約5×SSC、0.5%のSDS、および1.0mMのEDTA(pH8.0)を含有する溶液中での事前洗浄、(b)一晩5×SSC中での約60℃から約70℃の温度におけるハイブリダイゼーション、および(c)0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた20分間約65から約70℃における後の洗浄、またはこれらと同等のハイブリダイゼーション条件がある。
【0020】
任意の実長の担体分子を、本発明の組成物において、特に、本明細書で開示する製剤(例えば、PSS製剤)において利用することはできるが、好ましくは、担体分子の長さは約40から約900ヌクレオチド長、より好ましくは約50から約800、または代替的に約60から約700ヌクレオチド長、さらにより好ましくは約70から約600、または代替的に、約80から約500ヌクレオチド長、およびさらにより好ましくはさらに、約90から約400ヌクレオチド、または代替的に、約100から約300などのヌクレオチド長である。
【0021】
このように、全ての中間長のポリヌクレオチドは、約45ヌクレオチド長、約50ヌクレオチド長、約55ヌクレオチド長、約60ヌクレオチド長、約65ヌクレオチド長、約70ヌクレオチド長、約75ヌクレオチド長、約80ヌクレオチド長、約85ヌクレオチド長、約90ヌクレオチド長、約95ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド長、約120ヌクレオチド長、約140ヌクレオチド長、約160ヌクレオチド長、約180ヌクレオチド長、約200ヌクレオチド長、約220ヌクレオチド長、約240ヌクレオチド長、約260ヌクレオチド長、約280ヌクレオチド長、またはさらに約300などのヌクレオチド長である担体分子配列を非制限的に含む、本開示の範囲の範疇にあると企図される。
【0022】
任意の実用的、ナンセンス/最小限にクロスハイブリダイズしたポリヌクレオチド配列が、ポリヌクレオチドの標的集団の改善単離を容易にするための担体配列の調製において有用であると企図されるが、対照配列が望ましい状況では、分子の一次核酸配列の追加的要件が課される、すなわち、配列は1つ以上の従来の分子生物学技法を使用して検出可能および/または定量可能でなければならない。
【0023】
その目的のため、本発明は、分子標識プローブおよびそれらの誘導体を非制限的に含む、適切に検出可能なプローブと特異的にハイブリダイズする(すなわち結合する)少なくとも第一の配列ドメインを含有する担体/レポーター分子を提供する。例示的な標識プローブは、分子技術分野の当業者に知られている、放射性、発光、化学発光、蛍光、酵素、磁気、またはスピン共鳴標識を含むプローブである。例示的な実施形態では、標識プローブは少なくとも第一の副溝結合剤を含有する。特定の実施形態では、従来の検出可能な標識プローブの結合を容易にするために、本発明の担体/レポーター分子は、少なくとも第一の検出可能なプローブと特異的に結合する、約10から約60ヌクレオチド長の少なくとも第一の配列ドメインを含有する。
【0024】
第一の配列ドメインは担体配列全体内の任意の実長であってよいが、好ましくは、第一の配列ドメインは、約12から約50ヌクレオチド長、より好ましくは、約14から約45ヌクレオチド長、さらにより好ましくは約16から約40などのヌクレオチド長、およびさらにより好ましくはさらに、約18から約30などのヌクレオチド長である。
【0025】
このように、全ての中間長のプローブハイブリダイズ配列ドメインは、約13ヌクレオチド長、約14ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長、約16ヌクレオチド長、約17ヌクレオチド長、約18ヌクレオチド長、約19ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長、約21ヌクレオチド長、約22ヌクレオチド長、約23ヌクレオチド長、約24ヌクレオチド長、約25ヌクレオチド長、約26ヌクレオチド長、約27ヌクレオチド長、約28ヌクレオチド長、またはさらに約29または30などのヌクレオチド長であるプローブ結合ドメインを非制限的に含む、本開示の範囲の範疇にあると企図される。
【0026】
担体/レポーター配列が1つ以上の増幅ベースの方法(PCRベースの方法を非制限的に含む)によって検出可能であることが望まれる場合、担体/レポーター配列に関する他の分子特性が望まれる、すなわち、配列、またはその少なくとも一部分が、1つ以上のポリメラーゼ連鎖反応ベースのアッセイを使用して増幅可能であることが望まれる。PCRまたはFRETベースの方法に関しては、例えば、担体/レポーター分子が、フォワードPCR増幅プライマー(典型的には約20から約40ヌクレオチド長)と特異的に結合する少なくとも第二の配列ドメイン、およびリバースPCR増幅プライマー(これも典型的には約20から約40ヌクレオチド長)と特異的に結合する第三の配列ドメインを含有することが望まれる。第二の配列ドメインと第三の配列ドメインが操作可能に位置して、少なくとも第一部分を増幅するのに有効な条件下でフォワードおよびリバースプライマーからの核酸セグメントの少なくとも第一部分のPCR定方向増幅を容易にすることが好ましい。
【0027】
担体/レポーター配列が1つ以上の非対称増幅ベースの方法(不斉PCR、分子ハイブリダイゼーション、親和性−標識ベースの方法などを非制限的に含む)によって検出可能であることが望まれる場合、一対のフォワードプライマーとリバースプライマーの結合ドメインが必要とされることは必須ではなく、ただ1つの第二の配列ドメインが適切な診断アッセイを使用して担体配列を検出するのに十分であり得る。このような実施形態では、1つの検出/複製プライマー(またはポリメラーゼ結合ドメイン)を利用することができる。典型的には、このような配列ドメインは約15から約35などのヌクレオチド長であるが、従来の分析法を使用して任意の従来の標的ドメインを利用することができる。このようなドメインの設計および一次配列は分子技術分野では一般的であると考えられ、このように、当業者の技術範囲内にある。
【0028】
IPC配列の長さおよび一次ヌクレオチドに応じて、特定の実施形態では、第一の配列ドメインは、第二、第三、またはさらに第二配列ドメインと第三配列ドメインの両方と、少なくとも第一の共通ヌクレオチド配列領域を共有する。このような配列の重複部分は1つ以上のヌクレオチドのみ、または代替的に、5から10個以上のヌクレオチドからなる重複部分の大領域であってよい。
【0029】
例示的な実施形態では、IPC配列は、1つ以上の適切な分子生物学の技法によって、例えば、対照の配列を含む、または代替的に、対照自体の配列と相補的である核酸配列を含むポリヌクレオチドのインビトロ転写を含めた技法によって調製することができる。以下の実施例中に記載するように、対照配列を調製する1つの方法は、そこから一本鎖RNA対照配列を合成することができるDNAデュプレックスの調製を含む。
【0030】
例示的な一本鎖RNA対照配列には、RNA配列:
【0031】
【化1】

由来の少なくとも約105、少なくとも約95、少なくとも約85、少なくとも約75、少なくとも約65、少なくとも約55、少なくとも約45、少なくとも約35、または少なくとも約25などの隣接ヌクレオチドを含有する配列があるが、これらだけには限られない。例示的な実施形態では、単離一本鎖リボ核酸分子を、配列番号2の核酸配列を含む、この配列から本質的になる、または代替的に、この配列からなるポリヌクレオチドのインビトロ転写を含む方法によって調製する。
【0032】
このような一実施形態では、一本鎖RNA対照配列は、配列:
【0033】
【化2】


由来の少なくとも約90、少なくとも約80、少なくとも約70、少なくとも約60、少なくとも約50、少なくとも約40、少なくとも約30、または少なくとも約20以下の隣接ヌクレオチドを含有するDNA配列からインビトロで合成することができる。例示的な実施形態では、単離一本鎖リボ核酸分子を、配列番号1の核酸配列を含む、この配列から本質的になる、または代替的に、この配列からなるポリヌクレオチドのインビトロ転写を含む方法によって調製する。
【0034】
本発明の一態様では、PSS製剤を非制限的に含む本明細書に記載する1つ以上の製剤を非制限的に含む、開示するサンプル回収/保存製剤を使用して調製した生物サンプルから得た複数のポリヌクレオチド内の、RNA担体分子の有無を検出するための方法を提供する。サンプル内のRNA担体分子の量を定量化し、単離ポリヌクレオチドの分子適合度を安定化および保護する際の製剤の有効度をモニタリングするための方法もある。一定時間経過後サンプル中に残存する担体分子の量と、開始溶液中に存在する既知量の担体分子の量を比較することによって、生物サンプル中に存在する間に担体分子が経た分解の量を決定することができる。原型サンプルから遊離したポリヌクレオチド集団中で経時的に起こった分解度の推定値として、この関係を使用することができる。
【0035】
他の態様では、本発明は、IPC配列の配列などの特定のポリヌクレオチド配列を、生物サンプル中で迅速に検出するための方法を提供する。全体的および一般的な意味で、この方法は、PCR、ならびに標的配列に特異的であるフォワードおよびリバースプライマー、特異的プローブセットと生成する一本鎖PCR産物のハイブリダイゼーション、融解曲線分析の実施、および一本鎖PCR産物とハイブリダイゼーションプローブのハイブリッドのT変化の分析などの従来法を使用した、特定配列を含有する疑いがあるヌクレオチド集団の増幅を含む。
【0036】
一実施形態では、本発明は、PCRベースの方法を使用して(担体IPC配列などの)ポリヌクレオチドの存在を迅速に検出するための方法を提供し、この方法は一般に、(a)分析するサンプルからポリヌクレオチドを単離するステップ、(b)標的配列に特異的であるプライマーセットを使用してPCRによりポリヌクレオチドを増幅するステップ、(c)対象のポリヌクレオチドに特異的である1つ以上の標識プローブと、ステップ(b)から得た一本鎖PCR産物をハイブリダイズさせるステップ、および(d)単離ポリヌクレオチドの集団内の特異的標的配列の存在を示す、サンプル中の標識プローブの存在を検出するステップを含む。
【0037】
標識「プローブ」配列を使用してポリヌクレオチドを検出するための1つのこのような方法は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のプロセスを利用する。例示的なFRET検出法は、ドナーフルオロフォアおよびアクセプターフルオロフォアを含むフルオロフォア対に関することが多く、この場合ドナーフルオロフォアは、アクセプターフルオロフォアに共鳴エネルギーを移動することができる。例示的なFRETアッセイでは、ドナーフルオロフォアの吸収スペクトルはアクセプターフルオロフォアの吸収スペクトルと実質的に重複しない。本明細書で使用する「ドナーオリゴヌクレオチドプローブ」は、蛍光共鳴エネルギー移動対のドナーフルオロフォアで標識されるオリゴヌクレオチドを指す。本明細書で使用する「アクセプターオリゴヌクレオチドプローブ」は、蛍光共鳴エネルギー移動対のアクセプターフルオロフォアで標識されるオリゴヌクレオチドを指す。本明細書で使用する「FRETオリゴヌクレオチド対」は、「アンカー」または「ドナー」オリゴヌクレオチドプローブおよび「アクセプター」または「センサー」オリゴヌクレオチドプローブを典型的に含み、ドナーオリゴヌクレオチドプローブとアクセプターオリゴヌクレオチドプローブがいずれもそれらの相補標的核酸配列とハイブリダイズするとき、このような対はFRET関係を形成する。蛍光共鳴エネルギー移動対として使用するのに許容されるフルオロフォア対は当業者に知られており、フルオレセイン/ローダミン、フィコエリスリン/Cy7、フルオレセイン/Cy5、フルオレセイン/Cy5.5、フルオレセイン/LCRed640、およびフルオレセイン/LCRed705などだけには限られないが、これらを含む。
【0038】
特定IPC配列の増幅において有用なプライマーは、例えばOLIGO(登録商標)(Molecular Biology Insights Inc.、Cascade、CO、USA)などのコンピュータプログラムを使用して設計することができる。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは約10から約60などのヌクレオチド長であるが(全ての間の整数、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59を非制限的に含む、またはさらに60以上のヌクレオチド長)、任意の実長のプライマーが本発明を実施する際に有用であり得る。
【0039】
本発明は、ポリヌクレオチドを含有する疑いがある生物サンプルからこのようなポリヌクレオチドの精製集団を入手する有効性を増大するための方法も提供する。全体的および一般的な意味で、この方法は、生物サンプルからポリヌクレオチドの精製集団を入手する有効性を増大するのに十分な量および時間、(PSS製剤を非制限的に含めた)本明細書に記載する1つ以上の製剤、ならびに担体および/またはIPC核酸セグメントを含む組成物とサンプルを接触させることを含む。
【0040】
例示的な実施形態では、サンプルを含む組成物を約7日から約14日以上の間約−20℃から約40℃の温度で、あるいは約7日から約14日以上の間約−20℃から約40℃の温度で、またはあるいは約14日から約30日以上の間約20℃から約40℃の温度で保存するとき、生物サンプル中のポリヌクレオチド集団の完全性、および/またはサンプルから得たポリヌクレオチドの少なくとも1つの少なくとも第一配列の適合度は、少なくとも実質的に保たれる(すなわち、集団内の少なくとも75%のヌクレオチドが実質的に完全長である)。
【0041】
あるいは、生物サンプル中のポリヌクレオチド集団の完全性は、サンプルを最初に回収したとき溶液中に存在した量と比較したとき、集団内の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%以上のヌクレオチドが溶液中に存在するように、少なくとも実質的に保たれる。好ましい実施形態では、サンプルの完全性は、初期サンプル中に存在した全ての、またはほぼ全てのポリヌクレオチドが経時的に保たれる(すなわち、検出可能なほど分解されない)ように実質的に保たれる。
【0042】
開示する方法を実施する際に、回収時から内部のポリヌクレオチド集団を単離、精製、または特徴付けする時間まで、回収サンプル中に本来存在した約20%未満のポリヌクレオチド集団が、後の保存中に経時的に分解することが好ましい。好ましくは、回収サンプル中に本来存在した実質的に約15%未満のポリヌクレオチド集団が後の保存中に経時的に分解され、より好ましくは、回収サンプル中に本来存在した約10%未満のポリヌクレオチド集団が後の保存中に経時的に分解され、およびより好ましくはさらに、回収サンプル中に本来存在した約5%未満のポリヌクレオチド集団が後の保存中に経時的に分解される。特に好ましい実施形態では、回収サンプル中に本来存在した約5%、約4%、約3%、約2%または約1%を超えないポリヌクレオチド集団が後の保存中に経時的に分解される。サンプル品質のこのような高い完全性の保持は、サンプルを保存する条件とは無関係に好ましく、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約21日、少なくとも約30日、少なくとも約45日、少なくとも約60日、またはさらに少なくとも約90日以上の時間の間、実質的に保たれる。
【0043】
そこから1つ以上の核酸集団を得ることができる生物起源のサンプルを回収、保存、および/または輸送するための開示する方法は、(a)サンプルから得た1つ以上のポリヌクレオチドを分析および/または定量化するステップ、(b)回収サンプル中の担体分子(すなわちIPC)の存在を検出するステップ、(c)回収サンプル中のIPCの量を定量化するステップ、および/または(d)回収サンプル中のIPCの配列適合度を測定する、またはその分解度を決定するステップを非制限的に含む、1つ以上のステップも任意にさらに含むことができる。
【0044】
本発明の実施で得られる、または利用される個々のポリヌクレオチド配列の存在、完全性、または配列適合度は、分子技術分野の当業者に知られている任意の従来法を使用して決定することができるが、一実施形態ではPCR増幅を利用する。同様に、対象ポリヌクレオチドの完全性の決定は所与の条件下でのPCRサイクル閾値(C)の決定を含むことができ、回収した核酸の配列適合度、品質完全性の決定は、Maxam−Gilbertの化学ベースの方法、Sangerらのジデオキシ鎖末端法、Mathiesらの色素フルオロフォアベースの方法、またはNyren and Ronaghiによって記載されたピロシークエンシング技法を非制限的に含めた、従来のDNAまたはRNA配列決定法によって決定することができる。
【0045】
本発明の例示的な製剤は、後のRNAおよび/またはDNA単離、検出、定量化、増幅、および/または分析用の生物サンプルから調製した核酸を溶解する、安定化する、およびそれらの完全性を保つワンステップ回収溶液を含む。特定の実施形態では、本発明のナンセンス、担体/IPC組成物を、a)1つ以上のカオトロープ(組成物中にそれぞれ約0.5Mから約6Mの量で存在することが好ましい)、b)1つ以上の界面活性剤(組成物中にそれぞれ約0.1%から約1%の量で存在することが好ましい)、c)1つ以上のキレート剤(組成物中にそれぞれ約0.01mMから約1mMの量で存在することが好ましい)、d)1つ以上の還元剤(組成物中にそれぞれ約0.05Mから約0.3Mの量で存在することが好ましい)、およびe)1つ以上の消泡剤(組成物中にそれぞれ約0.0001%から約0.3%の量で存在することが好ましい)を含む、ワンステップサンプル回収/保存/輸送媒体で製剤化する。
【0046】
例示的なカオトロープには、非制限的に、グアニジンチオシアネート(GuSCN)、グアニジン塩酸塩(GuHCl)、グアニジンイソシアネート、カリウムチオシアネート(KSCN)、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、尿素、またはこれらの任意の組合せがある。他の例示的なカオトロープおよびカオトロープ塩の記載は、(その明確な参照によりその全容を具体的に本明細書に組み込む)米国特許第5,234,809号中で見ることができる。
【0047】
例示的な界面活性剤には、非制限的に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム(LDS)、タウロデオキシコール酸ナトリウム(NaTDC)、タウロコール酸ナトリウム(NaTC)、グリココール酸ナトリウム(NaGC)、デオキシコール酸ナトリウム(NaDC)、コール酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaABS)、N−ラウロイルサルコシン(ΝLS)、カルボン酸の塩(すなわち石鹸)、スルホン酸の塩、硫酸の塩、リン酸およびポリリン酸エステル、アルキルホスフェート、モノアルキルホスフェート(MAP)、およびペルフルオロカルボン酸の塩、(その明確な参照によりその全容を具体的に本明細書に組み込む)米国特許第5,691,299号中に記載される界面活性剤を含めたアニオン性界面活性剤、またはこれらの任意の組合せがある。
【0048】
例示的な還元剤には、非制限的に、2−メルカプトエタノール(β−ME)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ジチオスレイトール(DTT)、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはこれらの任意の組合せがある。好ましい実施形態では、還元剤はTCEPを含む、またはTCEPである。
【0049】
例示的なキレート剤には、非制限的に、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組合せがある。好ましい実施形態では、キレート剤はEDTA、クエン酸、またはこれらの組合せを含む。より好ましい実施形態では、キレート剤はEDTを含む。
【0050】
本発明の組成物は、製剤中の界面活性剤の存在に典型的に起因する泡の形成を予防するために、消泡剤をさらに含むことができる。消泡剤は、開示する組成物のピペット操作および処理を容易にする。例示的な表面活性剤/消泡剤には、非制限的に、コカミドプロピルヒドロキシサルタイン、アルキルアミンプロピオン酸、イミダゾリンカルボン酸、ベタイン、スルホベタイン、サルタイン、アルキルフェノールエトキシレート、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化メルカプタン、長鎖カルボン酸エステル、アルカノールアミド、第三級アセチレングリコール、ポリオキシエチレン化シリコーン、N−アルキルピロリドン、アルキルポリグリコシダーゼ、Antifoam A(登録商標)などのシリコーンポリマー、またはTween(登録商標)などのポリソルベート、またはこれらの任意の組合せがある。好ましい実施形態では、消泡剤はシリコーンポリマーを含む。
【0051】
必要に応じて、本発明の組成物は、1つ以上のバッファーをさらに含むことができる(最終組成物中にそれぞれ約1mMから約1Mの量で存在することが好ましい)。例示的なバッファーには、非制限的に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、クエン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン(Bis−Tris)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−l−プロパンスルホン酸(CAPSO)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン−Ν,Ν\’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(POPSO)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸(ADA)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、重炭酸塩、リン酸塩、またはこれらの任意の組合せがある。好ましい実施形態では、バッファーはクエン酸を含む。
【0052】
核酸抽出は約5から7のpH範囲で最適であることが分かっているので、1つ以上のこのような任意であるが、好ましいバッファーの封入は製剤のpHを調節するのに望ましい。約6のpHから約8のpHの範囲、より好ましくは約6から約7のpH範囲内、およびより好ましくはさらに、約6.2から約6.8のpH範囲内で、開示する組成物において利用する1つ以上のバッファーを選択して有意な緩衝能力を与えることが好ましい。例示的な実施形態では、(本明細書で「PSS」とも呼ぶ)PrimeStore(商標)溶液のpHは約6.9±0.25であることが好ましい。
【0053】
本発明の組成物は、1つ以上の短鎖(好ましくは1から6炭素の[すなわちC−C]アルコール)アルカノールも任意にさらに含むことができる(組成物中にそれぞれ約1%から約25%の量で存在することが好ましいが、高い割合のアルコールを望む場合利用することができる)。例示的な短鎖アルカノールには、非制限的に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはこれらの任意の組合せなどの、直鎖状および分岐状アルコールがある。
【0054】
本発明の組成物は、(N,N,N−トリメチルグリシン、コカミドプロピルベタインなどを非制限的に含めた)ベタインなどのカチオン官能性双性イオン性化合物、(ウシ、ウマ、またはヒト起源のオボアルブミン、および血清アルブミンを非制限的に含めた)アルブミノイド、および(トリメチルアミンN−オキシド(TMAO)、ジメチルスルホニオプロピオネート、サルコシン、およびトレハロース、マルトース、ラムノース、スクロース、アラビノース、フコース、マンニトール、ソルビトール、アドニトールなどを非制限的に含めた糖類または糖アルコールを非制限的に含めた)オスモライトを非制限的に含めた、1つ以上の他の化合物もしくは試薬も任意にさらに含むことができる。
【0055】
本発明の組成物は、サンプルから得たポリヌクレオチドの集団を適切に安定化するのに十分な緩衝能力を与えることが好ましく、本明細書に記載する保存/回収用製剤とサンプルを接触させるとき、製剤化中に約6.4から6.9のpHに緩衝剤で処理し、類似したpH範囲にポリヌクレオチドの単離集団を維持することが最も好ましい。
【0056】
本発明の組成物は、典型的には、後のインビトロまたはインビボ分析用のサンプルの回収、溶解、保存、および輸送中に、サンプルの核酸がいかなる分解も実質的に含まない、好ましくは分解しない、または完全性を失わないように、サンプル中に存在する任意の内因性または外因性RNAsesもしくはDNAseを少なくとも実質的に不活性化し、好ましくは完全に不活性化する。
【0057】
本発明の保存/輸送/回収組成物の例示的な製剤は本明細書の実施例中に記載し、約4Mのカオトロープ(グアニジンチオシアネート、グアニジン塩酸塩、グアニジンイソシアネート、またはこれらの任意の組合せなど)、約10mMから30mMのキレート剤(EGTA、HEDTA、DTPA、NTA、EDTA、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組合せなど)、約0.25%の界面活性剤(SDS、LDS、NaTDC、NaTC、NaGC、NaDC、コール酸ナトリウム、NaABS、NLS、またはこれらの任意の塩もしくは組合せなど)、約0.1Mの還元剤(β−ME、DTT、DMSO、ホルムアミド、TCEP、またはこれらの任意の組合せなど)、および約0.1%の表面活性剤/消泡剤(シリコーンポリマー[例えばAntifoam A(登録商標)]またはポリソルベート[例えばTween(登録商標)]、またはこれらの任意の組合せなど)を含む組成物を非制限的に含む。
【0058】
本発明の試料回収組成物の他の例示的な製剤は、約3Mのカオトロープ(グアニジンチオシアネート、グアニジン塩酸塩、グアニジンイソシアネート、またはこれらの任意の組合せなど)、約1mMから0.5Mの還元剤(例えばβ−ME、TCEP、ホルムアミド、DTT、DMSO、またはこれらの任意の組合せなど)、約1mMから約10mMのキレート剤(例えばEGTA、HEDTA、DTPA、NTA、EDTA、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組合せなど)、約0.25%の界面活性剤(SDS、LDS、NaTDC、NaTC、NaGC、NaDC、コール酸ナトリウム、NaABS、NLS、またはこれらの任意の塩もしくは組合せなど)、および任意に、ただし好ましくは約0.0002%の消泡剤(抗泡剤とも呼ぶ)(シリコーンポリマーまたはポリソルベート、またはこれらの任意の組合せなど)、および約100mMのバッファー(Tris、MES、BES、Bis−Tris、HEPES、MOPS、重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、またはこれらの任意の組合せなど)を含む組成物を非制限的に含む。
【0059】
開示するポリヌクレオチド単離および安定化組成物の別の例示的な製剤は、グアニジンチオシアネート、グアニジン塩酸塩、またはグアニジンイソシアネートなどの約1から約4Mのカオトロープ剤、EDTA、またはクエン酸ナトリウム、または両方などの約0.5から100mMのキレート剤、SDSまたはN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩などの約0.1から約1%のアニオン性界面活性剤、シリコーンポリマー、Antifoam A(登録商標)などの約0.001から約0.0001%の表面活性剤もしくは湿潤剤、e);Tris−HClなどの約10から約500mMの緩衝剤、およびエタノールなどの約10から約25%の短鎖アルカノールを含む組成物を非制限的に含む。
【0060】
特定の実施形態では、本発明は、約2.5Mのグアニジンチオシアネート、約0.5mMのTCEP、約10mMのクエン酸ナトリウム、約0.4%のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、約0.0002%の抗泡剤A、約10OmMのTris−HCl、約0.1mMのEDTA、および約23%エタノールを含む組成物を提供する。
【0061】
本発明は、核酸を含有する疑いがあるサンプルから、ポリヌクレオチドの集団を得るための方法も提供する。この方法は一般に、サンプルからポリヌクレオチド集団を得るのに有効な条件下で、一定量の開示する一組成物とサンプルを結合させることを含む。本発明はサンプルを「得る」ための集団の分離を必要としない。後の診断がこのような分離を必要とし得る、または必要とし得ないからである。
【0062】
本発明は、RΝAおよび/またはDΝAなどの核酸の回収用の、本明細書に記載する回収/溶解/輸送/保存組成物のワンステップ水性製剤を調製する方法も提供する。全体的な意味で、この方法は一般に、反応帯中で約20℃から90℃の温度において1つ以上のカオトロープとヌクレアーゼを含まない水を組合せること、次いで反応帯中で溶解した1つ以上のカオトロープと、1つ以上の還元剤、1つ以上のキレート剤、および1つ以上の界面活性剤を組合せて中間体組成物を形成すること、ワンステップ水性製剤のさらなる調製中の泡形成を最小にするのに十分な量で、シリコーンポリマーと中間体組成物を任意に組合せること、十分な量のバッファーと中間体組成物を組合せて約6から6.9のpHを維持すること、第二のキレート剤と反応帯を任意に組合せること、次いで約1から30分間で約60℃から95℃の温度まで第二の中間体組成物の温度を上げ、周囲条件まで温度を下げること、C−Cアルコールと反応帯の含有物を任意に次いで組合せること、および約6.4から6.9にpHを任意に調節することを含む。
【0063】
別の実施形態では、本発明は、核酸を含有する疑いがある生物サンプルまたは試料からのポリヌクレオチド集団の入手に適合させた、ワンステップ水性製剤を調製するための方法を提供する。この方法は一般に、
a)i)サンプル中のおそらく感染性がある病原体を少なくとも実質的に殺滅または不活性化する
ii)細胞の一部分を少なくとも溶かしてサンプルからRNAおよび/またはDNAを放出する、および
iii)サンプル中に放出されたポリヌクレオチドをさらなる加水分解または酵素分解、修飾、または不活性化から少なくとも実質的に阻害または予防して、サンプルからポリヌクレオチド集団を得る
のに有効な量のワンステップ水性製剤とサンプルを接触させるステップを少なくとも含む。
【0064】
本発明の方法は、このような組成物と接触するサンプル内に含有される核酸の実質的劣化、分解、酵素による切断、および/または核酸分解による消化、修飾、またはプロセシングを引き起こさずに、少なくとも24時間の時間期間、より好ましくは少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間以上の時間期間、0℃から約40℃の温度(より好ましくは4℃から約35℃の温度、およびさらにより好ましくは10℃から約30℃の温度)で、一定量の1つ以上の開示する組成物とサンプルを接触させることを少なくとも含むことが好ましい。
【0065】
特定の実施形態では、本発明の方法は、このように処理するサンプル内に含有される核酸の実質的劣化、分解、酵素による切断、および/または核酸分解によるプロセシングを引き起こさずに、少なくとも7日間の時間期間、より好ましくは少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日以上の時間期間、約0℃から約40℃の温度(より好ましくは約4℃から約35℃の温度、さらにより好ましくは約10℃から約30℃の温度、およびより好ましくはさらに約15℃から約25℃の温度)で、一定量の1つ以上の開示する組成物とサンプルを接触させることを少なくとも含む。サンプルと本発明の組成物の接触は短時間で行うことのみが必要であるが、サンプルおよび本発明のワンステップ組成物からの核酸の即時分離の必要性を回避し、全ての物質は核酸の任意の実質的、または任意の分解なしで前に示した時間接触状態であり得ることは理解されるはずである。サンプルを含む組成物を周囲温度で、および約10日間を超える、約20日間を超える、またはさらに約30日間を超える、またはそれより長い保存を非制限的に含めてさらに長期間保存するときでさえ、サンプルから組成物中に放出されるポリヌクレオチド集団の完全性は実質的に保たれることが好ましい。同様に、サンプルを含む組成物を亜熱帯および熱帯温度で、さらに約5日間以上、約10日間以上、約15日間以上、またはさらに約20、約25、約30、約35、約40、約60、または約90日間以上、またはさらにそれより長い保存を非制限的に含めて長期間保存するときでさえ、サンプルから組成物中に放出されるポリヌクレオチド集団の完全性は実質的に保たれることが望ましい。
【0066】
本発明の方法を実施する際に、サンプル内に含有される少なくとも1つ以上の生物細胞を実質的に溶かし、組成物中にこのような細胞内に含有される少なくとも第一の集団または第一の複数のポリヌクレオチドを放出することが好ましい。開示する組成物の構成要素は、全てまたは実質的に全ての残存細胞/組織および/またはサンプル残骸から、このような集団を放出するのに十分であることが好ましい(脂質、リン脂質、ペプチド、タンパク質、多糖、リポ多糖、ポリオール、細胞オルガネラ、膜構成要素などを非制限的に含む)。
【0067】
本発明の方法を実施する際に、サンプル自体の中、上、または周辺に存在し得る少なくとも1つ以上の外因性または内因性ヌクレアーゼが、サンプル内に含有される生物細胞が実質的に溶けて細胞からポリヌクレオチドの集団が放出されるときに、生成する核酸が破壊、損傷、または核酸分解によって切断されないように、組成物の1つ以上の構成要素によって十分に不活性化されることも望ましい。開示する組成物の1つ以上の構成要素は、このようなタンパク質がサンプル中に存在するとき、DNAseまたはRNAseの生物活性を殺滅、不活性化、または実質的に阻害するのに有効であることが好ましい。
【0068】
本発明の方法を実施する際、対象の1つ以上の微生物、ウイルス、真菌、および/または他の病原体もしくは生物が回収時にサンプル中、上、または周辺に存在するとき、このような対象の微生物、ウイルス、真菌、および/または他の病原体もしくは生物は、組成物との接触によって、溶解、十分に不活性化、または実質的に殺滅され、これによって実践者によるサンプルの安全な処理が容易になることも望ましい。開示する組成物の1つ以上の構成要素は、組成物への別の構成要素の添加を必要とせずに、病原性サンプルを実質的または好ましくは完全に、非病原性にするのに有効であることが好ましい。しかしながら、特定の適用例では、1つ以上の別の抗菌、抗ウイルス、または抗真菌剤を組成物に封入して、それらを実質的に非病原性にする、したがって実践者による処理に安全にすることが望ましい可能性もある。
【0069】
サンプルを含有する組成物は、試料またはサンプルを実質的に回収した時間から、そのサンプル内からの少なくとも第一のポリヌクレオチド集団を分析または特徴付けする時間まで、周囲、ほぼ周囲、またはさらに低温もしくは高温状態において少なくとも実質的に(または完全に)組成物中のサンプルを保存することができるほど、少なくとも十分に安定状態であることが好ましい。本明細書で使用する「周囲温度」は、約18℃から25℃の温度、またはいくつかの実施形態では、より好ましくは約20℃から約22℃を指すことができる。
【0070】
特定の実施形態では、サンプルを含有する組成物を、1つ以上の従来の分子生物学の方法を使用して、少なくとも実質的に回収時からサンプルから得たポリヌクレオチドをさらに単離、精製、または特徴付けする時間まで、約0℃から約40℃の温度、より好ましくは約4℃から約30℃の温度、より好ましくは約10℃から約25℃の温度で保存することができる。
【0071】
特定の実施形態では、核酸を含有する疑いがあるサンプルを含有する組成物は、周囲、冷蔵、またはゼロ℃未満の温度で組成物を長期保存したときでさえ核酸が少なくとも実質的に非分解状態である(すなわち、少なくとも実質的に安定状態である)程度まで、核酸を安定状態にする。この安定性によって、保存サンプル内に含有される少なくとも約70%、少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、またはさらにより好ましくは、少なくとも約98%のポリヌクレオチドが、サンプルの長期保存によって分解しないことが望ましい。特定の実施形態では、サンプル内に含有される実質的に全てのポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの本来の完全性が処理サンプルの回収、溶解、保存、および輸送中に保たれるように安定状態である。
【0072】
特定の実施形態では、方法は、サンプルを組成物中に最初に導入した後少なくとも24、48、72、または96時間以上の間−20℃から約40℃の温度における組成物での保存後、その中でサンプル内に含有される約15%未満のポリヌクレオチドがサンプルの回収、溶解、保存、および輸送中に分解される生物サンプルから調製される核酸の集団をもたらすことが好ましい。
【0073】
関連実施形態では、方法は、サンプルを組成物中に最初に導入した後少なくとも24、48、72、または96時間以上の間−20℃から約40℃の温度における組成物での保存後、その中でサンプル内に含有される約10%未満のポリヌクレオチドがサンプルの回収、溶解、保存、および輸送中に分解される生物サンプルから調製される核酸の集団をもたらすことが好ましい。
【0074】
同様に、本明細書で開示する方法のいくつかの適用例では、開示する組成物の使用は、サンプルを組成物中に最初に導入した後少なくとも24、48、72、または96時間以上の間−20℃から約40℃の温度における組成物での保存後、その中でサンプル内に含有される約5%未満のポリヌクレオチドがサンプルの回収、溶解、保存、および輸送中に分解される生物サンプルから調製される核酸の集団をもたらすことが好ましい。
【0075】
いくつかの場合、本方法によって調製した核酸の集団を、数日から数週間の間0℃から約40℃の温度で組成物を保存するときでさえ約1または2%を超えないサンプルが分解するように、十分な完全性で維持することができる。実際、本発明者らは、開示する方法を使用して単離した核酸のサンプルは、10℃から約40℃の温度で核酸を含有する組成物を保存するときでさえ、数週間からさらに数カ月以上の間、それらの非分解形で、少なくとも実質的に安定状態である、好ましくは安定状態であることを示している。好ましい一実施形態では、前に記した温度範囲に関する上限は約37℃である。したがって、本明細書で使用する用語「安定状態」は、所与温度での特定時間経過後の核酸集団の完全性に関して前に記した、様々な実施形態を指すことができる。
【0076】
本発明のポリヌクレオチド、特にIPCの調製において有用なポリヌクレオチドは、陽性対照配列(PCS)と操作可能に連結した少なくとも第一のポリメラーゼ転写領域を含有することが好ましい。このような領域は、適切な反応条件下で適切なポリメラーゼ(例えば、T3、SP6、またはT7ポリメラーゼなど)とPCSが接触するときPCSが増幅するように、PCSの上流に操作可能に位置し得る。この構築物は1つのプライマーをさらに含むことができ、または代替的に、2つ以上のプライマー(例えば、「フォワード」および「リバース」プライマー)を使用してPCSの発現を容易にすることができる。本発明を実施する際に有用な例示的なプライマーには、非制限的に、PCS自体またはPCSのすぐ上流(5’)およびまたは下流(3’)の領域と特異的に結合するプライマー配列がある。例示的な実施形態では、PCSは、(本明細書に記載する発光、蛍光、化学発光、またはFRETプローブを非制限的に含めた)第一の検出プローブが特異的に結合する少なくとも第一の領域を含有する。
【0077】
IPCの調製において有用なポリヌクレオチドは、1つ以上の天然、合成、同型、異型、またはハイブリッドプロモーター(複数可)、エンハンサー(複数可)、制御エレメント(複数可)、リンカー(複数可)、スペーサー(複数可)、結合ドメイン(複数可)、または転写活性化部位(複数可)なども任意にさらに含むことができる。
【0078】
例示的な実施形態では、本発明者らは、周囲の環境条件で保存したときでさえ、開示するサンプル回収/輸送媒体を首尾よく利用して、数日、数週間、数カ月の間に、生物サンプルを回収および保存することができることを実証している。このように、開示する製剤は、サンプル内に含有されるポリヌクレオチドの品質の重大な劣化なしで、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、またはさらに約10週間以上、単離核酸の集団の適合度および完全性を維持するのに有効な組成物をもたらす。実際、サンプルの長期保存は、数カ月以上の間、周囲および周囲に近い条件下でも可能であり、任意の従来の市販製剤に優る有意な改善が本発明中で本発明者らによって調べられた。回収試料のインビトロ分析を使用して得たデータは、数日から数週間、数カ月以上の間溶液中に保存すると、開示する回収/保存/輸送製剤の1つで回収および保存したサンプルは実質的に非分解状態、および機能上活性があることを実証している。約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、またはさらに約8週間以上の後に得た結果の比較は、単離ポリヌクレオチドに対する実質的ヌクレアーゼ活性の予防、および汚染または分子分解からの単離分子の予防における溶液の有効性を実証した。
【0079】
本発明は、a)1つ以上のカオトロープ、b)1つ以上の界面活性剤、c)1つ以上の還元剤、d)1つ以上のキレート剤、e)1つ以上のバッファー、およびf)(1)核酸セグメントの検出に特異的である約12から約40ヌクレオチド長の標識プローブと特異的に結合する第一の配列ドメインを含み、(2)約20から約40ヌクレオチド長のフォワードPCR増幅プライマーと特異的に結合する第二の配列ドメインを含み、(3)約20から約40ヌクレオチド長のリバースPCR増幅プライマーと特異的に結合する第三の配列ドメインを含む、核酸セグメントを含む約60から500ヌクレオチド長の単離、一本鎖核酸分子を含み、第二の配列ドメインと第三の配列ドメインが操作可能に位置して、フォワードおよびリバースプライマーからの、核酸セグメントの少なくとも第一部分のPCR定方向増幅を、少なくとも第一部分を増幅するのに有効な条件下で容易にし、分子がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、哺乳動物ゲノム、または哺乳動物に対して病原性である細菌、真菌、またはウイルスのゲノムと実質的に結合せず、さらに(a)−(e)が、サンプルと組成物の接触時に、1つ以上のタンパク質を変性する、1つ以上のヌクレアーゼを不活性化する、1つ以上の病原体を殺滅する、または核酸集団を含有する疑いがあるサンプル中で1つ以上の核酸が分解するのを妨げるのに十分な量で組成物中に存在する、組成物を包含する。
【0080】
一実施形態では、(a)−(e)のそれぞれが、約1日から約90日の間約10℃から約40℃の温度で保存するとき、一本鎖核酸分子を含むヌクレオチド集団の実質的分解を阻害または予防するのに十分な量で組成物中に存在する。別の実施形態では、a)1つ以上のカオトロープが約0.5Mから約6Mの量でそれぞれ存在し、b)1つ以上の界面活性剤が約0.1%から約1%の量でそれぞれ存在し(重量/体積)、c)1つ以上の還元剤が約0.05Mから約0.3Mの量でそれぞれ存在し、d)1つ以上のキレート剤が約0.01mMから約1mMの量でそれぞれ存在し、およびe)1つ以上のバッファーが約1mMから約1Mの量でそれぞれ存在する。さらに別の実施形態では、標識プローブは、少なくとも第一の副溝結合剤、放射性標識、発光標識、化学発光標識、蛍光標識、酵素標識、磁気標識、またはスピン共鳴標識、またはこれらの組合せを含む。
【0081】
好ましい一実施形態では、組成物は、a)グアニジンチオシアネート、グアニジンイソシアネート、グアニジン塩酸塩、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上のカオトロープ、b)ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上の界面活性剤、c)2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、ジチオスレイトール、ジメチルスルホキシド、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上の還元剤、d)エチレングリコール四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、エチレンジアミン四酢酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上のキレート剤、またはe)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、クエン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、重炭酸塩、リン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上のバッファーを含む。別の好ましい実施形態では、組成物は以下の:g)シリコーンポリマー、ポリソルベート、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の表面活性剤、h)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、またはヘキサノール、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の短鎖アルカノール、およびi)シリコーンポリマー、ポリソルベート、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の消泡剤の1つ以上、ならびにこれらの任意の組合せをさらに含む。
【0082】
さらに別の実施形態では、組成物はa)約6.0から7.0のpHに緩衝剤されている、b)RNAseもしくはDNAse活性を実質的に含まない、またはc)RNA、DNA、PNA、もしくはこれらの任意の組合せを含む細菌、ウイルスもしくは真菌起源の単離ポリヌクレオチドの集団をさらに含む。好ましい実施形態では、組成物はa)約4Mのグアニジンチオシアネート、約30mMのクエン酸ナトリウム、約0.25%(重量/体積)のドデシル硫酸ナトリウム、約0.25%(重量/体積)のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、(v)約0.1Mの2−メルカプトエタノール、および約0.1%の(重量/体積)シリコーンポリマー、b)約3Mのグアニジンチオシアネート、約1mMのTCEP、約10mMのクエン酸ナトリウム、約0.5%のN−ラウロイルサルコシン、約0.0002%のシリコーンポリマー、約100mMの2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)、および約0.1mMのEDTA、c)約1Mから約4Mのグアニジンチオシアネート、約0.5mMから10mMのTCEP、約1mMから100mMのクエン酸ナトリウム、約0.1%から約1%のSDSもしくはNLS、約0.001%から約0.0001%のシリコーンポリマー、約10mMから500mMのTRIS、約0.1mMから1mMのAPCA、EDTA、EGTA、HEDTA、DTPA、NTA、もしくはクエン酸、および約10%から約25%のエタノール(体積/体積)、またはd)約3Mのグアニジンチオシアネート、1mMのTCEP、約10mMのクエン酸ナトリウム、約0.5%のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、約0.0002%のシリコーンポリマー、約100mMのTRIS、約0.1mMのEDTA、および約10%から約25%のエタノール(体積/体積)を含む。
【0083】
別の実施形態では、核酸の集団を、組成物を含む単一反応容器中に回収および保存する。他のさらなる実施形態では、サンプルは臨床、獣医学的、疫学的、環境、法医学的、もしくは病理学的起源の生物サンプルであり、またはサンプルは、ウイルス、細菌、真菌、または哺乳動物起源の1つ以上のポリヌクレオチドを含有する、もしくは含有する疑いがある。好ましい実施形態では、単離、一本鎖核酸分子は配列:
【0084】
【化3】

からの少なくとも20の隣接ヌクレオチドを含む。一実施形態では、前に記した組成物のそれぞれを、微生物、真菌またはウイルス感染の診断または療法における使用に適合させる。
【0085】
本発明は、微生物感染、またはその1つ以上の症状を診断または治療するための医薬品の製造における、前の実施形態のいずれか1つに記載の組成物の使用も包含する。好ましい実施形態では、本発明は、細菌、ウイルス、または真菌感染、またはその1つ以上の症状を診断または治療するために使用する。
【0086】
本発明は、a)請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物、およびb)微生物感染の診断または治療において組成物を使用するための説明書を含む、診断キットまたはサンプル回収システムをさらに包含する。
【0087】
本発明は、生物サンプルからポリヌクレオチドの精製集団を入手する有効性を増大するのに十分な量および時間、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離、一本鎖核酸分子を含む組成物とサンプルを接触させることを含む、ポリヌクレオチドの精製集団を、そのようなポリヌクレオチドを含有する疑いがある生物サンプルから入手する有効性を増大するための方法をさらに包含する。一実施形態では、生物サンプル中のポリヌクレオチド集団の完全性またはポリヌクレオチドの1つの少なくとも第一配列の適合度が、サンプルを含む組成物を(a)約7日から約14日の間、または(b)約14日から約30日の間、約10℃から約40℃の温度で保存するときに、少なくとも実質的に保たれる。別の実施形態では、(a)サンプルを含む組成物を、回収時から内部のポリヌクレオチド集団を単離、精製、または特徴付けする時間まで、実質的に約10℃から約40℃の温度で保存する、または(b)サンプルを含む組成物を約7日から約30日の間約10℃から約40℃の温度で保存した後に、サンプル中に含有されるポリヌクレオチド集団の約5%未満が分解される。好ましい実施形態では、サンプルを含む組成物を、(a)約24時間から約96時間の間約10℃から約40℃、または(b)約7日から約30日の間約10℃から約30℃の温度で保存する。好ましい実施形態では、方法は、精製サンプルから入手したポリヌクレオチド集団を分析または定量化することをさらに含む。さらに別の実施形態では、定量化のステップは分子のPCRサイクル閾値(C)の決定を含む。
【0088】
本発明は、サンプルを含む組成物を少なくとも約7日から約30日の間約10℃から約40℃の温度で保存した後に、サンプル中に含有されるポリヌクレオチド集団の約30%未満が分解されるように、ポリヌクレオチド集団を安定化するのに十分な量で存在する、約1Mから約4Mのグアニジンチオシアネート、約0.5mMから10mMのTCEP、約1mMから100mMのクエン酸ナトリウム、約0.1%から約1%のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、約0.001%から約0.010%の10%消泡剤A溶液、約10mMから約500mMのTris、約0.1mMから約1mMのEDTA、約10%から約25%のエタノール(体積/体積)、および配列
【0089】
【化4】


を有する核酸分子を含む一定量の組成物を、サンプルと接触させることを含む、核酸を含有する疑いがある生物サンプルからポリヌクレオチド集団を入手する方法も包含する。
【0090】
市販の製剤およびキット
本発明は、開示する組成物および本明細書に開示する回収/保存/輸送溶液を使用する、診断キットおよびサンプル回収システムも提供する。特定の実施形態では、このようなサンプル回収システムは、1つ以上の本明細書に開示する組成物を含有する、スワブ、キューレット、または培養ループ、およびバイアル試験管、または試料カップなどの回収容器などの回収デバイスを含むことができる。回収容器は、それを開放してワンステップ組成物を挿入することができ、閉鎖および梱包する、開放してサンプルおよび任意に回収デバイスの一部分を挿入し、保存および輸送用に閉鎖する、またはその両方ができるように、放出可能なように開放可能であることが好ましい。回収容器は、スクリューキャップ、スナップトップ、プレス−アンド−ターントップなどを非制限的に含む、任意の適切な放出可能または開放可能なメカニズムを使用することができる。このようなシステムは、1つ以上の他の試薬、保存デバイス、輸送デバイス、および/またはこのようなシステムにおいてサンプルを入手、回収、溶解、保存、または輸送するための説明書も任意にさらに含むことができる。好ましい実施形態では、本発明のワンステップ組成物を、サンプルが結合可能である反応帯中に事前に置くことができる。このような実施形態では、本発明は、回収デバイスと回収容器のみを必要とする。キットは、同定、検出、またはさらなる分子分析に適した少なくとも部分的、または実質的に精製された核酸を得るために、1つ以上の他の生物分子もしくはサンプル構成要素からのサンプル内に含有される1つ以上の核酸集団もしくは多数の核酸の遊離および/または分離を助長するための、1つ以上の単離または抽出デバイスも含むことができる。
【0091】
キットは流通用にパッケージすることもでき、サンプルまたは試料回収、操作、または処理用の、1つ以上の回収、送達、輸送、または保存デバイスを任意にさらに含むことができる。このようなキット用の容器(複数可)は、その中に個々の試料回収、輸送、および/または保存用に組成物(複数可)を置く、および好ましくは、適切に等分することができる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、キャップ、または他の適切な容器または回収デバイスを典型的には含むことができる。キットは、前に記したより小さな個々の容器、および他の回収デバイス、機器、試薬、説明書などを含む、ケースなどのより大きな容器も含むことができる。キットは1つ以上の他のバッファー、化合物、または組成物も任意に含むことができ、1つ以上の生物、臨床、診断、環境、または法医学的サンプルの回収または保存のいずれかにおけるキットの用途(複数可)を詳述する1つ以上の説明書も必要に応じてさらに含むことができる。必要に応じて、キットは1つ以上の開示する組成物を中に置いた後のサンプルの輸送に関する説明書もさらに与えることができ、サンプルまたは試料から単離した核酸を利用する1つ以上の後の分析法またはアッセイを詳述する説明書、または他の試薬をさらに含むことができる。このようなキットは、多数の様々な回収デバイスおよび回収容器および含まれる任意の他の構成要素も含むことができ、したがって、このようなキットを使用して、同じ供給源または異なる供給源から多数のサンプルを回収することができる。1つの市販用途では、好都合な販売および使用のためにキットを5つ以上のセットでパッケージする。
【0092】
本発明の原理の理解を促進するために、図面中に例示する実施形態、または実施例をここで参照し、具体的な用語を使用してこれらを記載する。それにもかかわらず、本発明の範囲の限界はそれらによって意図されないことは理解される。記載した実施形態中の任意の変更およびさらなる修正、および本明細書に記載する本発明の原理の任意のさらなる適用例が、本発明に関する当技術分野の当業者が通常思い浮かべるように企図される。
【0093】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様を実証するためにこれらを含める。本発明は、同じ参照番号が同じ要素を示す添付の図面と共に、以下の記載を参照することによってさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】PSS(バージョン1)の抽出効率を示す図である。標準量の完全インフルエンザAウイルスを使用してRNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion、カタログ番号AM1931)中に与えられた溶解溶液と比較したPSS(バージョン1[ここでは「ワンステップ+」として示す])。比較用に、RNAqueous(登録商標)−マイクロキット中に与えられたワンステップ製剤または溶解溶液のいずれかをウイルスRNA溶解用に使用し、次いで製造者のプロトコールに従い抽出した。複製反応混合物を処理し、例えばApplied Biosystems ABI7500配列検出システム(Life Technologies Corporation、Carlsbad、CA、USA)を使用して、qRT−PCRによって分析した。
【図2】市販のキットと比較したPSS(バージョン1)の抽出効率を示す図である。2006−07期の間に回収済みのインフルエンザA(H3N2)またはヒト臨床インフルエンザA(H1N1)サンプルで攻撃した均質コットンラット鼻部(*)はPSS中で溶解し、または3つの市販のキット:RNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion)、QiaAmp(商標)ウイルスミニキット(Qiagen)、およびAI/NCD MaxMag(商標)(Ambion)キットからの、それぞれの溶解溶液、プロトコール、および抽出手順を使用して溶解した。抽出効率は、Applied Biosystems ABI7500プラットホームおよび比較C法を使用して評価した。PSS(「ワンステップ製剤」として示す)を、それぞれの標準的な市販のキット中に与えられたそれぞれの溶解バッファーの代わりに利用したとき、相対C値および検出したウイルスコピー数は最適であった。
【図3】PSS中対Ambion社製RNA保存溶液中での裸状態のRNAの保存を示す図である。一本鎖の鳥類H5RNAは、96時間周囲温度(22−24℃)で、PSS、RNA保存溶液(Ambion)、または水中に保存した。合計5pgのRNAを、製造者の奨励に従いRNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion、カタログ番号AM1931)を使用して抽出し、Applied Biosystems ABI7500プラットホーム(Life Technologies)でqRT−PCRを使用して後に分析した。絶対定量法を使用してCとして値を与える。
【図4A】臨床診断用回収のためのPSSパッケージング形式の一例を示す図である。臨床回収用スワブ(Copan Diagnostics)および1.5mLのPSSを含有する5mLの回収用試験管を使用したサンプル回収の説明。
【図4B】臨床診断用回収のためのPSSパッケージング形式の一例を示す図である。臨床回収用スワブ(Copan Diagnostics)および1.5mLのPSSを含有する5mLの回収用試験管を使用したサンプル回収の説明。
【図4C】臨床診断用回収のためのPSSパッケージング形式の一例を示す図である。臨床回収用スワブ(Copan Diagnostics)および1.5mLのPSSを含有する5mLの回収用試験管を使用したサンプル回収の説明。
【図4D】臨床診断用回収のためのPSSパッケージング形式の一例を示す図である。臨床回収用スワブ(Copan Diagnostics)および1.5mLのPSSを含有する5mLの回収用試験管を使用したサンプル回収の説明。
【図4E】臨床診断用回収のためのPSSパッケージング形式の一例を示す図である。臨床回収用スワブ(Copan Diagnostics)および1.5mLのPSSを含有する5mLの回収用試験管を使用したサンプル回収の説明。
【図5】PSSの例示的な市販の製剤を示す図である。3つの例示的な市販の溶液回収形式:25mLの容器、ならびに5mLおよび1.5mLの試験管を示す。
【図6】微生物を早急に殺滅するPSSの能力を示す図である。培養培地(TSB)中、またはPSの溶液中のいずれかにおける、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)の細胞増殖の比較を示す。PSSにおいて10秒後、生命力のある細菌病原体は検出しなかった。
【図7A】PSS(バージョン1)におけるニワトリ排出腔試料の不活性化を示す図である。PSS(バージョン1)は細菌因子を1時間以内に不活性化した。4つの原型ニワトリ排出腔サンプルをPSS(バージョン1)(上列)または水中に浸し(下列)、血液寒天プレート上に後に平板培養した。
【図7B】PSSが室温で30日間RNA塩基加水分解を阻害することを示す図である。RNAは室温(22−26℃)においてPSS(ゲルレーン1および3)および水中(ゲルレーン2および4)で温置し、第0日および第30日でその後RT−PCR増幅した(1500塩基対)。PSSは回収RNAを保存し、第30日まで室温においてRNA/DNA分解を妨げた。
【図8A】RNA/DNAヌクレアーゼ中での温置後PSS中に保存した「裸状態の」インフルエンザA鳥類H5RNA鋳型のqRT−PCR分析を示す図である。H5cRNA(2ng)を37℃で1時間@リボヌクレアーゼAおよびT1、およびDNAseIと温置し、RNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion)を使用して抽出した。三連の反応混合物をそれぞれの反応条件に関して含めた。ヌクレアーゼを加えたPSS中に保存した裸状態RNAのqRT−PCRのC値(平均C:22.88)は、等量の鋳型cRNA対照と同等であった(平均C:23.70)。PSSなしのヌクレアーゼ消化に曝した鋳型cRNA反応混合物はほぼ完全に分解された(平均C:39.58)。
【図8B】7日間37℃におけるRNA/DNAヌクレアーゼ中での温置後PSS中に保存した「裸状態の」インフルエンザA鳥類H5RNA鋳型のqRT−PCR分析およびゲル電気泳動を示す図である。2ナノグラムのH5cRNAをRNaseA、RNaseT1、およびDNAseIと温置し、次いで7日後RNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion)を使用して抽出した。二連の反応混合物をそれぞれの反応に関して含めた。ヌクレアーゼを加えたPSS中に保存した裸状態RNAのqRT−PCRのC値(平均C:33.51)は7日後に検出した。PSSなしのヌクレアーゼ消化に曝した鋳型cRNA反応混合物は完全に分解され、NTC反応混合物と同等であった。
【図8C】PSS製剤が内因性ヌクレアーゼによるサンプルポリヌクレオチドの消化を実質的に阻害したことを実証する図である。増幅後産物のゲル電気泳動。レーン3は7日間37℃での鋳型RNA+PSS由来のPCR産物であり、およびレーン5は陽性対照RNAの増幅である。レーン5(増幅なし)はPSSなしでRNAを含有し、レーン2および6は、それぞれ100−bpラダー、およびNTC反応混合物である。
【図9】PSS中に得た核酸の保存状態が他の溶液のそれより良いことを示す図である。30日間周囲温度(22−25℃)においてQiagen AVLバッファー、エタノール、およびウイルス輸送媒体(VTM)(Becton−Dickinson、Franklin Lakes、NJ、USA)と比較した、インフルエンザAウイルス由来のRNAのPSS(ver.2およびver.2.2)保存状態。
【図10】様々な温度で30日間、PSS(ver.2.2)中に保存したインフルエンザAウイルスの抽出効率を示す図である。環境(21−37℃)、凍結−解凍(−25℃;32×)、周囲温度(22−26℃)、およびレーン5:冷凍(4℃)。
【図11】完全インフルエンザAウイルスおよび還元剤としてTCEPを使用したC対モル濃度のグラフである。
【図12】H5N1鳥類インフルエンザssRNAおよび還元剤としてTCEPを使用したC対モル濃度のグラフである。
【図13A】PSS製剤中の還元剤要素としてのTCEPとβ−ME、および対照としてのみ働く水の比較を示す図である。図13A中では、H5鳥類インフルエンザRNAを利用し、一方図13B中では、完全ウイルスを使用した。
【図13B】PSS製剤中の還元剤要素としてのTCEPとβ−ME、および対照としてのみ働く水の比較を示す図である。図13A中では、H5鳥類インフルエンザRNAを利用し、一方図13B中では、完全ウイルスを使用した。
【図14A】血液由来の核酸を保存する際にPSSを利用した試験の結果を示す図である。QIAamp(登録商標)DNA Bloodミニキットにおける溶解溶液と比較したRNAをスパイクした全血のPSS抽出効率。0.1pgおよび1pgのインフルエンザARNAをスパイクし、PSSまたはAL溶解バッファーを使用して抽出した。両方のRNA濃度において、qRT−PCRのC値によって明らかなように、PSSは優れた結果をもたらした。
【図14B】血液回収用試験管からの「裸状態の」H5鳥類インフルエンザssRNAの抽出に関する図14A中に示した試験からのデータを表にした図である。異なる抗凝血剤を使用した、QIAamp(登録商標)DNA Bloodミニキットにおける溶解溶液と比較したRNAをスパイクした全血のPSS抽出効率。一般的な抗凝血剤回収用試験管中でRNAをスパイクした血液を使用して、QiagenからのAL溶解バッファーと比較してPSSは優れていた。および
【図14C】PSS対市販の抽出キット保存試薬(QIAamp(登録商標)、Qiagen、Inc.)の比較に関する図14A中に示した試験からのデータを表にした図である。QIAamp(登録商標)DNA Bloodミニキットにおける溶解溶液と比較したRNAをスパイクした全血に関するPSSの抽出効率を示す。0.1pgおよび1pgのインフルエンザAウイルスRNAをスパイクし、PSSまたはAVL溶解バッファーを使用して抽出した。両方のRNA濃度において、qRT−PCRのC値によって明らかなように、PSSは優れた結果をもたらした。
【図15a】IPCを検出するのに特異的なアッセイを使用した、141ヌクレオチド一本鎖DNAのqPCR増幅を示す図である。図15a:10−6から10−13(すなわち8log)の連続希釈DNA鋳型を使用して、二連の反応で増幅を実施した。図15b:DNA増幅のIPC標準曲線。アッセイ勾配は−3.39であり、E=10(−1/slope)−1を使用して計算したPCR効率は97.23%であった。qPCRはApplied Biosystems ABI7500プラットホームを使用して実施した。
【図15b】IPCを検出するのに特異的なアッセイを使用した、141ヌクレオチド一本鎖DNAのqPCR増幅を示す図である。図15a:10−6から10−13(すなわち8log)の連続希釈DNA鋳型を使用して、二連の反応で増幅を実施した。図15b:DNA増幅のIPC標準曲線。アッセイ勾配は−3.39であり、E=10(−1/slope)−1を使用して計算したPCR効率は97.23%であった。qPCRはApplied Biosystems ABI7500プラットホームを使用して実施した。
【図16a】IPCとして働くことができる130ヌクレオチドssRNA担体分子のqRT−PCR増幅を示す図である。図16a中に示すのは:5ピコグラム(pg)(2.75×10コピー)から5アトグラム(ag)(約2−10コピー)の連続希釈RNA鋳型を使用して、二連の反応で増幅を実施した。図16b中、担体ssRNA分子の増幅に関するIPC標準曲線を示す。アッセイ勾配は−3.144であり、E=10(−1/slope)−1を使用して計算したPCR効率は100%であった。qRT−PCRはApplied Biosystems ABI7500プラットホームを使用して実施した。
【図16b】IPCとして働くことができる130ヌクレオチドssRNA担体分子のqRT−PCR増幅を示す図である。図16a中に示すのは:5ピコグラム(pg)(2.75×10コピー)から5アトグラム(ag)(約2−10コピー)の連続希釈RNA鋳型を使用して、二連の反応で増幅を実施した。図16b中、担体ssRNA分子の増幅に関するIPC標準曲線を示す。アッセイ勾配は−3.144であり、E=10(−1/slope)−1を使用して計算したPCR効率は100%であった。qRT−PCRはApplied Biosystems ABI7500プラットホームを使用して実施した。
【図17】合成ssRNA担体/IPC分子を含有するPSSが裸状態RNA病原体標的の保存状態を向上したことを示す図である。この試験では、裸状態のインフルエンザARNA鋳型(1.27ng/μl)をヒト鼻部洗浄試料に加え、37℃で合成RNA添加物の存在下(黒い四角形)または不在下(黒い丸)においてPSSで保存した。RNAを抽出し、次いでqRT−PCRによって後に検出した。製剤中の合成ssRNA担体/IPC分子の存在は、サンプルポリヌクレオチドの高い初期抽出(第0日)と、長期間にわたる単離ポリヌクレオチドの安定した保存状態の両方をさらにもたらした(例えば、第31日参照)。
【図18】溶液中でサンプルポリヌクレオチドを安定化し保存するPSSの能力は、PSS製剤に合成ssRNA担体/IPC核酸を加えることによって向上することを示す図である。この試験では、完全インフルエンザAウイルスを、35日間37℃で合成ssRNA担体/IPC添加物の存在下(黒い四角形)または不在下(黒い丸)においてPSS中に保存した。完全インフルエンザウイルスはVTM(黒い三角形)中にも保存した。RNAを抽出し、qRT−PCRを使用して検出した。製剤中の合成担体RNA分子の存在は、サンプルポリヌクレオチドの高い初期抽出(第0日)と、長期間にわたる単離ポリヌクレオチドの安定した保存状態の両方をさらにもたらした(例えば、第35日参照)。
【図19】室温および37℃での合成ssRNA担体分子の安定性を示す図である。この試験では、合成RNA(0.1pg/μl)をPSSに加え、14日間室温(RT)または37℃で保存した。Applied Biosystems ABI7500プラットホームを使用し、IPCアッセイを使用してqRT−PCRの関数としてRNAの安定性を測定した。合成RNAは14日間RTおよび37℃において安定状態であり、C値の著しい消失はなかった。二連反応の平均を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
例示的実施形態の詳細な説明
本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。明確性のため、実際の履行の全ての特徴を本明細書に記載するわけではない。当然ながら、任意のこのような実際の実施形態の開発において、多数の履行特異的な決定をして、一履行と別の履行で変わるシステム関連およびビジネス関連の制約があるコンプライアンスなどの、開発者の特異的な目標を達成しなければならないことは理解される。同様に、このような開発努力は複雑または時間を浪費する可能性がある一方で、それにもかかわらずそれらは、本開示の利点を有する当業者には通常の作業であることも理解される。
【0096】
開示する製剤によって与えられる長期の安定化、回収、輸送、および保存は、サンプルまたは試料が試験施設から離れた地理領域に位置するとき特に有利である。現場とも呼ばれる遠隔位置は、診断試験が典型的には実施されない様々な環境を包含する。これらの現場には、医院、トリアージセンター、空港、広域境界、疫病発生領域、および様々な屋外箇所がある。それらの用途のため開示する組成物および方法は、電気および/または冷凍装置が利用可能ではない、またはアクセスが一貫していない場所で特定の利点を与える。室温での長期の安定性のため、サンプルは任意の遠隔位置から、例えば非制限的にアフリカでのマラリア発生領域で得ることができ、サンプルは研究室での診断分析用に米国またはヨーロッパに出荷することができる。開示する回収製剤は室温以下、および好ましくはさらに熱帯もしくは亜熱帯温度で一定期間は安定状態なので、それらは通常、典型的には回収地点から遠く離れた場所でサンプルを分析することができるまでに、試薬成分(RNA対照など)自体が分解する心配無く現場に持ち込むことができる。
【0097】
本発明の組成物は、溶液、縣濁液(コロイド縣濁液含む)、スラリー、エマルジョン、ホモジェネートなどだけには限られないが、これらを含めた、本明細書に記載する任意の適切な水性製剤であってよい。好ましい水性製剤は溶液であり、したがって用語「溶液」は好ましい実施形態の詳細な説明を通じて例示的な意味で使用しており、本発明の任意の水性組成物を指す。
【0098】
本発明の重要な態様は、単離RNAおよびDNAセグメント、ならびにそれらを含む組換えベクターおよびポリヌクレオチド集団、ならびにqPCR、qRT−PCRなどを非制限的に含む従来の分子生物学技術の適用によってRNA担体分子を調製するための組換え法の作製および使用に関する。
【0099】
本発明はさらに、本明細書に記載する試料回収/保存/輸送媒体を使用して1つ以上の生物サンプルまたは試料から単離可能なDNA、RNAおよびPNA、または担体分子および/またはIPCとして利用される単離RNAもしくはDNAセグメントを非制限的に含む核酸組成物に関する。
【0100】
本明細書で使用する用語「DNAセグメント」は、特定種のゲノムDNA全体から単離除去されたDNA分子を指す。したがって、本明細書に開示する組成物の1つを使用して生物サンプルから得たDNAセグメントは、哺乳動物もしくはヒトゲノムDNA全体から単離除去された、または精製除去された1つ以上のDNAセグメントを指す。用語「DNAセグメント」内に含まれるのは、DNAセグメントおよびこのようなセグメントのさらに小さな断片、および例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含めた組換えベクターである。
【0101】
同様に、用語「RNAセグメント」は、特定種の細胞RNA全体から単離除去されたRNA分子を指す。したがって、本明細書に開示する組成物の1つを使用して生物サンプルから得たRNAセグメントは、他のRNAから単離除去された、または精製除去された1つ以上のRNAセグメント(天然または合成起源のいずれか)を指す。用語「RNAセグメント」内に含まれるのは、RNAセグメントおよびこのようなセグメントのさらに小さな断片である。
【0102】
単離および/または精製ポリヌクレオチドを含む核酸セグメントは、回収および後の分析を経る生物サンプル中に存在し得る他の天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から、実質的に単離除去された核酸セグメントを指す。
【0103】
特定の実施形態では、本発明は、このようなサンプルから得た核酸の単離および安定化を容易にするための第一の担体分子を含む核酸サンプル回収、保存、および輸送媒体に関する。担体分子は一本鎖RNA分子であることが好ましいが、いくつかの状況では、RNA:RNA、またはRNA:DNAデュプレックス分子も利用することができる。
【0104】
特に本明細書で開示する試料回収/保存/輸送製剤への、外因性担体分子、およびRNA分子の取り込み方に関する特定の分子機構を本発明の通常の実施のために解明する必要はないが、いかなる特定の理論によっても制限されることなく、本発明者らは、本明細書に記載するPSSおよび関連製剤に外から供給されるRNA担体分子の存在は、PSSとの接触時に細胞物質から遊離するポリヌクレオチドの沈殿および安定化を容易にし、ポリヌクレオチド凝集または沈殿に好ましい防御分子型で遊離したサンプル核酸を「コーティング」または「エンロービング」するための方法として働くこともできると考える。
【0105】
作用機構と無関係に、本発明者らは、回収、単離、保存、および輸送プロセス中に分解および汚染を被る従来のサンプルにおいて通常観察される有害な影響を除去した、高品質、高適合度の核酸集団の調製において従来のポリヌクレオチド単離溶液に優り与えられる驚くべき利点を実証している。
【0106】
担体分子および/またはIPC含有配列は、当技術分野で知られている従来の方法を使用して部分的または完全に合成することができ、または(インビトロ転写および/またはPCR増幅などの翻訳法を非制限的に含めた)組換え分子生物学法から調製することができ、または天然生物供給源から(好ましくは非哺乳動物供給源、および哺乳動物種に対して病原性がない供給源から)得ることができる。あるいは、本発明の担体RNA分子は、分子遺伝学および組換えDNA/RNA分野における1つ以上の従来法を使用して操作可能に連結した、天然部分と合成部分の両方を含有するハイブリッド分子であってよい。特定の適用例では、RNA担体分子は、1つ以上の転写開始配列、プライマーまたはプローブ結合ドメイン、官能性結合部位、エクソ−またはエンド−ヌクレアーゼ切断部位、および/または官能性モチーフまたは活性部位から構成され得る。
【0107】
用語「本質的に配列番号Xで示す配列」は、配列が配列番号Xの一部に実質的に相当すること、および配列番号Xのヌクレオチドと同一、または生物学上機能的に同等ではない、比較的少ないヌクレオチド(またはポリペプチド配列の場合アミノ酸)を有することを意味する。用語「生物学上機能的に同等」は当技術分野で十分理解されており、本明細書においてさらに詳細に定義する。したがって、本明細書で提供する1つ以上のヌクレオチド配列と同一または機能的に同等である、約85%から約90%、またはより好ましくは、約91%から約95%、またはさらにより好ましくは、約96%から約99%のヌクレオチドを有する配列は、本発明の実施において有用であると特に企図される。
【0108】
本発明に適した標準ハイブリダイゼーション条件は、例えば、16時間42℃における、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSC、25mMのリン酸ナトリウム、0.1%のSDSおよび100μg/mlの変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーション、次に所望量のバックグラウンドシグナルを除去するための60℃における0.1×SSC、0.1%SDS溶液で1時間の連続洗浄を含む。本発明の低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、例えば、16時間42℃における、35%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSC、25mMのリン酸ナトリウム、0.1%のSDSおよび100μg/mlの変性サケ精子DNAまたはイーコリ(E.coli)DNA中でのハイブリダイゼーション、次に55℃における0.8×SSC、0.1%SDS溶液での連続洗浄を含む。当業者は、条件を容易に調節して望ましいレベルのストリンジェンシーを得ることができることを理解している。
【0109】
当然ながら本発明は、本明細書で述べる1つ以上の特異的配列と相補的である、または本質的に相補的であるDNAセグメントも包含する。「相補的」である核酸配列は、標準的なワトソン−クリック相補性の法則に従い塩基対形成することができる核酸配列である。本明細書で使用する用語「相補的配列」は、前述したのと同じヌクレオチド比較によって評価する、または直前に記載した条件などの比較的ストリンジェントな条件下で、本明細書で開示する1つ以上の特異的核酸セグメントとハイブリダイズすることができるとして定義することができるように、実質的に相補的である核酸配列を意味する。
【0110】
前に記載したように、本発明のプローブおよびプライマーは任意の長さであってよい。配列に数値、例えば、第一の残基は1であり、第二の残基は2であるなどを割り当てることによって、全てのプライマーを定義するアルゴリズムを示すことができる:
nからn+y
上式でnは1から配列の最後の数までの整数であり、yはプライマーの長さ−1であり、n+yは配列の最後の数を超えない。したがって、25量体に関して、プローブは塩基1から25、2から26、3から27などに相当する。45量体に関して、プローブは塩基1から45、2から46、3から47などに相当する。60量体に関して、プローブは塩基1から60、2から61、3から62などに相当する。
【0111】
特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションを測定するのに適した検出可能マーカー(すなわち「標識」)と組合せて、本発明の核酸配列を利用することが有利である。検出することが可能である、蛍光、放射性、酵素または他のリガンド、例えばアビジン/ビオチンなどを非制限的に含めた、広く様々で適切な指標化合物および組成物は当技術分野で知られている。特定の実施形態では、放射性または他の環境上あまり望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識、またはウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼなどの酵素タグの利用を望むことができる。酵素タグの場合、人間の目に見える、または例えばシンチグラフィー、蛍光定量法、分光測定法などの分析法によりサンプルを検出して、1つ以上の相補的もしくは実質的に相補的である核酸配列を含有するサンプルとの特異的ハイブリダイゼーションを確認する方法をもたらすために利用することができる、比色定量、色素生成、または蛍光生成指標基質が知られている。
【0112】
一般に、本明細書に記載するハイブリダイゼーションプローブは、特定ヌクレオチドを検出するため、および固相を利用する実施形態において、溶液中ハイブリダイゼーションとPCRの両方の試薬として有用であると想定される。
【0113】
ハイブリダイズ後、核酸:プライマー複合体を、鋳型依存性核酸合成を容易にする1つ以上の酵素と接触させる。「サイクル」とも呼ばれる複数ラウンドの増幅を、十分な量の増幅産物が生成するまで実施する。
【0114】
次に、増幅産物を検出する。特定の適用例では、目視によって検出を実施することができる。あるいは検出は、取り込まれた放射標識または蛍光標識の化学発光、放射線シンチグラフィーによる、またはさらに電気または熱衝撃シグナルを使用するシステムによる、産物の間接的同定を含むことができる。
【0115】
いくつかの鋳型依存性プロセスが、所与の鋳型サンプル中に存在するマーカー配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られている増幅法の1つは、それぞれ参照により全容を本明細書に組み込む米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号および同第4,800,159号中に詳細に記載される、(PCRと呼ばれる)ポリメラーゼ連鎖反応である。
【0116】
別の増幅法は、例えば、その明確な参照によりその全容をそれぞれ本明細書に組み込むEPA No.320308および米国特許第4,883,750号中に開示された、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。
【0117】
その中で制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを使用して、制限部位の一鎖中のヌクレオチド5’−[α−チオ]−3リン酸を含有する標的分子の増幅を実施する等温増幅法も、本発明の核酸の増幅において有用である可能性がある。
【0118】
鎖置換増幅(SDA)は、複数ラウンドの鎖置換および合成、すなわちニックトランスレーションを含む、核酸の等温増幅を実施する別の方法である。鎖修復反応(RCR)と呼ばれる同様の方法は、増幅標的領域全体の数個のプローブのアニーリング、次にその中で4塩基の2つのみが存在する修復反応を含む。他の2塩基は、容易な検出のためビオチニル化誘導体として加えることができる。同様の手法がSDAにおいて使用される。標的特異的配列は、環状プローブ反応(CPR)を使用して検出することもできる。CPRでは、非特異的DNAの3’および5’配列ならびに特異的RNAの中心配列を有するプローブを、サンプル中に存在するDNAとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション時、反応混合物はRNaseHで処理し、プローブの産物は消化後に放出される特徴的産物として同定する。原型鋳型は別の環状プローブとアニーリングし、反応は繰り返される。
【0119】
生成する「ジ−オリゴヌクレオチド」の配列を有し、したがってジ−オリゴヌクレオチドを増幅する核酸の存在下での2つ(またはより多くの)オリゴヌクレオチドの連結に基づく方法も、本発明の増幅ステップにおいて使用することができる。
【0120】
任意の増幅後、特異的増幅が起こったかどうか決定するために、鋳型および過剰プライマーから増幅産物を分離することは望ましい可能性がある。一実施形態では、当業者に知られている従来の方法を使用して、アガロース、アガロース−アクリルアミドまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって増幅産物を分離する。
【0121】
ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド組成物
本明細書に記載する「核酸」または「ポリヌクレオチド」組成物は、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドのいずれか、例えばデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)、またはこれらの任意の組合せもしくは誘導体(例えば、ゲノム、ゲノム外、プラスミド、コスミド、組換え、人工、および/または合成を含む)などを含有する組成物だけには限られないが、これらを含む。このような配列はコードまたは非コード配列、センス、ナンセンス、またはアンチセンス配列であってよく、1つ以上の集団以上のポリヌクレオチド内に存在し得るが、必ずしもその必要はない(本発明のいずれか、ポリヌクレオチドは他の分子および/または担体物質と連結し得るが、必ずしもその必要はない)。
【0122】
同様に、本発明のポリヌクレオチド、特に開示する試料回収/輸送媒体において担体ポリヌクレオチドまたはIPC分子として機能するポリヌクレオチドは、本明細書で例示する本発明の様々な実施形態中で利用する個々の配列と同一、またはさらに実質的に相同である必要はない。本発明者らは、完全性および品質をモニタリングする、および好ましくは、本明細書に記載する組成物において回収、輸送、または保存されるポリヌクレオチドの安定性を増大するためのツールとしての、個々のDNAおよびRNA対照配列の使用を例示しているが、このような対照配列は、利用する個々のヌクレオチド配列を含有する必要はない。
【0123】
実際、いくつかの状況では、開示する回収/輸送/保存組成物において内部対照配列として有用であるポリヌクレオチドは、このような目的で入手、調製、修飾、または合成することが可能である任意の適切な配列を含むことができる。さらに、このような内部対照配列は、開示する製剤を使用として同定しようと努めたウイルス、細菌、真菌、または他の病原体種と有意な相同性または同一性を共有しないことが好ましい。
【0124】
あるいは、IPCとして適したポリヌクレオチドは、本明細書で開示する1つ以上の代表的IPC配列と相同的、またはさらに実質的に同一であってよく、およびこのように、適度にストリンジェントな、高度にストリンジェントな、および/またはさらに非常に高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、本明細書で開示する特異的IPC配列(またはそれらと相補的である配列)の1つとハイブリダイズすることができる。
【0125】
核酸のハイブリダイゼーションに関する方法は分子生物学の分野の当業者には一般的であると考えられ、およびこのように、それらを利用した分析法の詳細な考察を本明細書で与える必要はない。しかしながら、指針として、Southernらによって普及した「適度にストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件は、例えば、約5×標準クエン酸ナトリウムバッファー(SSC)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1.0mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(例えばpH8.0)を含有する溶液中での予備洗浄、一晩5×SSC中で約50℃から約60℃の温度におけるハイブリダイゼーション、次に0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた20分間約60から65℃で2回の洗浄を含むと当技術分野では一般に考えられる。同様に、「ストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件は、例えば、約5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)を含有する溶液中での予備洗浄、一晩5×SSC中で約60℃から約70℃の温度におけるハイブリダイゼーション、次に0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた20分間約65から70℃で2回の洗浄を典型的には含む。同様に、「高度にストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件の代表例には、約5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)を含有する溶液中での予備洗浄、一晩5×SSC中で約70℃から約75℃の温度におけるハイブリダイゼーション、次に0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いた20分間約70℃から約75℃で2回の洗浄があるが、これらだけには限られない。
【0126】
遺伝コードの縮重の結果として、所与の一次アミノ酸配列をコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者によって理解される。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列と最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドン使用の差が原因で変化するポリヌクレオチドは本発明によって具体的に企図される。
【0127】
IPCは従来の分子生物学の組換え法によって調製することができ、または代替的に、化学合成(例えば、固相ホスホラミダイト化学合成)などを含めた、当技術分野で知られている従来の方法によって全部または一部分を合成することができる。ポリヌクレオチド配列の修飾も、オリゴヌクレオチド定方向部位特異的突然変異誘発などの、標準的な突然変異誘発技法を使用して導入することができる。IPCのRNA分子は直接合成することもでき、または代替的に、適切な系(例えば、T3、T7、およびSP6ポリメラーゼなど)を使用してDNA配列のインビトロまたはインビボ転写によって調製することもできる。
【0128】
本発明のポリヌクレオチド、特にIPCを調製するために使用するポリヌクレオチドを修飾して、インビトロおよび/またはインビボいずれかでの安定性を増大することができる。このような修飾には、非制限的に、5’末端、3’末端、または両方での隣接配列の添加、骨格中のホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’−o−メチルの使用、および/またはイノシン、クエオシンおよびワイブトシン、ならびにアセチル−、メチル−、チオ−、または他の修飾型のアデニン、シチジン、グアニン、チミンおよびウリジン、またはこれらの任意の組合せなどの非従来型塩基の封入がある。
【0129】
本明細書に記載するヌクレオチド配列は、確立した組換え技法を使用して、様々な他のヌクレオチド配列と接合または連結させることが可能である。例えば、IPCとして有用なポリヌクレオチドは、1つ以上のプラスミド、ファージミド、λファージ誘導体およびコスミドを含めた、様々なクローニングベクターのいずれかへのクローニングによって生成することができる。特定対象のベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、および配列決定ベクターがある。一般にベクターは、少なくとも1種の生物において機能的な複製起点、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位および1つ以上の選択可能マーカーを含有する。他のエレメントは所望の用途に依存し、当業者には明らかである。あるいは、IPC配列は1つ以上の鋳型依存性、またはアンプリコン定方向組換え生成法によって調製することができる。
【0130】
特定の実施形態では、本発明は、開示する回収/保存/輸送媒体に加えて1つ以上のIPCを与える、本明細書で利用するサンプリング/保存/および輸送プロセスの適合度および完全性をモニタリングすることができる、ポリヌクレオチド組成物を提供する。このようなポリヌクレオチド組成物は、特異的ポリメラーゼ、オリゴヌクレオチドプライマー、および/または組換えプローブが結合することができる1つ以上の配列ドメインを含有することができる。例示的な実施形態では、1つ以上の特異的増幅プライマー配列を使用して増幅することができ、PCSの少なくとも第一配列ドメインと特異的にハイブリダイズする1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを使用して検出および/または定量化することができる陽性対照配列(PCS)を含有する、例示的なIPCを利用することができる。特定の実施形態では、所与サンプル中のPCSの量を検出および/または定量化するために蛍光、化学発光、またはFRET特異的検出法を利用する検出プローブを利用することができる。サンプル中のPCSの検出によって、本明細書で利用するワンステップ回収/保存/輸送溶液の有効性および適合度をモニタリングするための内部参照標準をもたらすことができる。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、1つ以上のPCSの選択的増幅および検出用に設計することができる。このようなプライマー配列は、ハイブリダイゼーション法中、および(例えば、リアルタイムPCR分析、RT−PCRなどを含めた)PCRベースの増幅法などの増幅法中での使用に適している。同様に、開示するオリゴヌクレオチド検出プローブは、本明細書に開示する1つ以上対の増幅プライマーを使用した核酸の増幅から生じた産物の、検出および定量化に適した標識による標識に適している。
【0131】
適切なマーカーで標識するとき、オリゴヌクレオチド検出プローブは、例えばFRETベースの分析を介した検出を含めた、回収/保存媒体(非制限的にPSS製剤含む)中に含有されるIPC特異的ヌクレオチド配列の蛍光ベースの検出に特に適している。FRET標識検出プローブは、例えばFRETベースの微小体積蛍光検出デバイスを含めた蛍光検出法において特に有用である。1つ以上の増幅および検出用オリゴヌクレオチドの使用は、組合せリアルタイムPCR/微小体積蛍光FRETベースの方法(リアルタイムPCR−FRET)において特に、特にIdaho Technology、Inc.(Salt Lake City、UT、USA)によって開発され、現在Roche Applied Science(Indianapolis、IN、USA)によって製造および市販されている「LightCycler(登録商標)」装置によって容易になる分析において企図される。
【0132】
内部陽性対照(IPC)配列
例示的な実施形態では、本発明は、前に開示した任意の1つ以上の配列、特に配列番号2から配列番号13のいずれか1つで開示する配列と好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上同一である核酸配列を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなるIPC配列をさらに提供する。
【0133】
関連実施形態では、本発明は、配列番号1、または配列番号14から配列番号23で開示する配列の任意の1つ以上由来の少なくとも30隣接ヌクレオチド配列と好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上同一である核酸配列を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる鋳型アンプリコンを使用してインビトロで合成されるIPC配列をさらに提供する。
【0134】
ポリヌクレオチド増幅キット
本発明は、IPC、特に、PSS製剤を非制限的に含む本明細書に開示する製剤の1つの中に含有されるRNAまたはDNAIPC配列を検出および/または増幅するためのキットをさらに提供する。このようなキットは、IPC特異的配列を増幅するのに必要な2個以上の構成要素を典型的に含み、このような構成要素は化合物、試薬、容器および/または機器であってよい。例えば、キット内の一容器は第一のプライマーを含有することができ、一方キット内の第二の容器は第二のプライマーを含有することができる。キット内の第三の容器は、一組のハイブリダイゼーションプローブ、またはプローブを標識するための1つ以上の蛍光プローブを含有することができる。さらに、本発明のキットは、使用説明書、例えば、本明細書に記載する増幅および/または検出反応中でプライマー、および1つ以上の蛍光分子、または必要に応じて、例えば、バッファー、酵素、ポリメラーゼ、RNasesなどだけには限られないが、これらを含めた他の試薬を使用するための説明書も含むことができる。
【0135】
本発明は、診断ツールの単離、検出、増幅、または定量化において利用することができる、1つ以上の担体RNAまたはDNA組成物、ならびに1つ以上の回収/輸送/保存溶液(PSS製剤を非制限的に含む)、または適合性のある賦形剤、バッファー担体、希釈剤、アジュバント、および/または他の構成要素を提供する。
【0136】
リアルタイムPCRベースのFRET検出
リアルタイムPCRおよびFRET法は文献中で十分記載されている(例えば、その明確な参照によりその全容をそれぞれ本明細書に具体的に組み込む、米国特許第4,996,143号、同第5,565,322号、同第5,849,489号、同第6,162,603号を参照)。LightCycler(登録商標)プラットホームは、遺伝子突然変異スクリーニングおよび分析における著しい躍進である。このシステムは、20分未満で30ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)サイクルを実施することができる、迅速な、エア駆動式の熱循環装置を組み込む。それは蛍光標識ハイブリダイゼーションプローブを検出し定量化するためのインライン微小体積蛍光検出装置を利用し、融解曲線の分析値を決定するのに必要なデータを提供する。LightCycler(登録商標)プラットホームは、遺伝子分析ツールの開発を容易にするため、および特異的ヌクレオチド配列、および遺伝子突然変異のアッセイ用の迅速な定量法をもたらすための革新的装置となる。増幅および検出法における装置の詳細な適用は、製造者のウエブサイト上、および製品適用マニュアル中で見ることができる。この技術は、例えば(その明確な参照によりその全容をそれぞれ本明細書に具体的に組み込む)PCT Intl.Appl.Publ.Nos.WO97/46707、WO97/46714およびWO97/46712を含めてさらに記載されている。
【0137】
臨床診断検査所用の試料回収
回収は、ウイルスを含めた病原体からのおそらく最小量の核酸の検出を必要とする、診断基盤または分子学的プロトコールにおける第一のステップである。核酸ベースの検出戦略の機能的進展および主流診断検査所へのそれらの組み込みを容易にするために、前述の基盤などの下流の核酸ベースの検出に利用する目的で具体的に開発された、確かな、確固たる、標準化された回収システムに関する多大な必要性が存在する。本発明は代替的に、医院または手術室からの核酸の運搬、または代替的に病院などの総括局への運搬に適合させることが可能である。
【0138】
臨床または獣医学的試料または法医学的または環境サンプル回収システムは、効率よく、
1)当技術分野で現在入手可能な収量を超える高収量の適切な試料を入手し、
2)おそらく感染性がある生物病原体を、それらがもはや生命力がなく、病原体放出もしくは汚染の恐れが最小限で、処理、出荷、または運搬することができるように不活性化し、または
3)サンプルを診断検査所で処理することができるまで、および好ましくはこれらの目標の2つ以上、または3つ全てを達成するため、周囲温度で長期間、加水分解またはヌクレアーゼ分解から溶解した「裸状態の」RNA/DNAポリマーを有効に安定化し保存するための、
1つ以上の回収ツールおよび1つ以上の試薬を含むことができる。
【0139】
本明細書で記すように、本発明のサンプル回収/輸送/保存溶液は、従来技術で入手可能な改善に優るいくつかの有意な改善をもたらすことができる。例示的な利点は、以下の1つ以上を非制限的に含む:
・微生物、ウイルス、または病原体の不活性化、殺滅、および/または溶解、
・RNaseおよび/またはDNaseを非制限的に含む外因性または内因性ヌクレアーゼの破壊および/または不活性化、
・様々な従来の核酸抽出、精製、および増幅システムとの適合性、
・サンプル内のRNAおよび/またはDNA完全性の保存、
・周囲温度、さらに長期間、または極端な温度変化での運搬および出荷の容易化、および
・単離核酸の短期(数時間から数日間)、中期(数日間から数週間)、または長期(数週間から数カ月)期間の保存の適性。
【0140】
開示する組成物は、ポイントオブケア、実地試験、在宅ヘルスケアまたは試験、トリアージ/緊急性および災害評価(複数可)、モバイルフォレンジック、病理学、疫学的サンプリング、犯罪現場捜査、父親鑑定、妊娠前および妊娠後遺伝子スクリーニング、レイプ/近親相姦鑑定、ファミリーカウンセリング、性感染症の機密試験(HIV、梅毒、クラミジア、淋病、および他の性病などを非制限的に含む)に非常に良く適している。同様に、開示する組成物は、特にウイルス「転位および移動」を予想および管理するため、および出現中もしくは発生中の流行性疾患、汎発性疾患などを同定または管理するための、インフルエンザ含有試料の回収および分析を含めて、病因のモニタリング、および国内と海外両方でのヒトもしくは動物集団中の流行性もしくは汎発性疾患の調整とも非常に関連し得る。
【0141】
特定の実施形態では、本発明の方法を使用して単離した核酸は、遺伝子フィンガープリント法、増幅断片長多型(AFLP)PCR、制限酵素断片長多型分析(RFLP)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド分析(ASOA)、マイクロサテライト分析、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、様々な数のタンデムリピート(VNTR)PCR、ドットブロットハイブリダイゼーション、ポリメラーゼサイクリングアセンブリー(PCA)、ネストPCR、定量PCR(qPCR)、非対称PCR、DNAフットプリンティング、一塩基多型(SNP)遺伝子型決定、逆転写PCR(RT−PCR)、多重PCR(m−PCR)、多重連結反応依存性プローブ増幅(MLPA)、連結反応仲介型PCR(LmPCR)、メチル化特異的PCR(MPCR)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、オーバーラップエクステンションPCR(OE−PCR)、完全ゲノム増幅(WGA)、プラスミド単離、対立遺伝子増幅、部位特異的突然変異誘発、ハイスループット遺伝子スクリーニングなど、またはこれらの任意の組合せを非制限的に含めた、1つ以上の後の分子生物学用途、アッセイ、または技法において鋳型として働くことができる。
【0142】
一実施形態では、試料回収/保存/輸送製剤は、長期間、特に、例えば、従来のサンプル回収媒体によって与えられる時間期間より実質的に長い時間期間、試料から遊離したポリヌクレオチド集団中の少なくとも第一の核酸の安定性を保持、延長、容易化、または維持する。
【0143】
組成物は、周囲環境条件下でサンプルを回収、または保存するときでさえ、回収サンプルの冷蔵、または凍結を必要とせずに、少なくとも約7日、好ましくは少なくとも約14日、より好ましくは、少なくとも約21日、およびより好ましくはさらに、少なくとも約28、35、42、56、63、または約70日以上を非制限的に含めた時間の間、このようなポリヌクレオチド単離集団が由来する1つ以上の核酸セグメントの保持および安定化を容易にすることが好ましい。このような改善された試料保存性は、遠隔位置、または温帯、亜熱帯もしくは熱帯気候で、このようなサンプルを回収または保存するとき特に望ましい。
【0144】
別の実施形態では、本発明は、冷凍または凍結条件下でのサンプルの選別を必要とせずに、少なくとも約5日、少なくとも約10日、好ましくは少なくとも約15日、より好ましくは、少なくとも約20日、またはより好ましくはさらに、少なくとも約25日以上を非制限的に含めた長時間の間、サンプルから放出されたポリヌクレオチド集団内に含有される1つ以上の核酸の完全性および適合度の維持において、生物起源のサンプルから核酸を調製するための開示する組成物の使用を提供する。
【0145】
開示する方法を実施する際に得られる核酸は、いくつかの従来の分子および診断単離、精製、検出、および/または分析法と有利に適合する。開示する組成物は、核酸単離、精製、増幅、および分子分析および/または診断試験、アッセイ、分析、または特徴付けなどを非制限的に含めた様々な後の方法において使用するための、安定状態の、実質的に非分解状態のポリヌクレオチドの集団の、回収保存、および運搬を容易にする。
【0146】
本発明の例示的な市販のキット
以下の概要は、本発明のPSS製剤を利用する例示的な市販のキットを与える(図5)。
【0147】
剥離ポーチ回収システム
1.5mLのPrimeStore(商標)溶液を含有する5mLチューブ、回収用スワブ(例えば、FlockedSWABS(登録商標)[Copan Diagnostics、Inc.、Murrieta、CA、USA])、およびサンプルの回収および/または処理に関する説明書。(例えば、50ポーチ/単位でパック状態)(このようなシステムの概略的実証に関しては図4A、図4B、図4C、図4D、および図4Eを参照)。
【0148】
PRIMESTORE(商標)ストック溶液
製剤化後、PrimeStore(商標)ストック溶液は、少なくとも1年以上の間4℃以下で安定状態である。製剤化PrimeStore(商標)溶液は、数カ月の間周囲温度(例えば、約20−30℃)で安定状態であることも示されている。
【0149】
本明細書に開示するPrimeStore(商標)製剤とサンプルを接触させた後、核酸組成物、サンプルの適合度または完全性を著しく消失せずに、冷蔵下で少なくとも1年以上0℃以下の温度で(例えば、約4℃、および少なくとも30日以上、周囲温度(例えば、約20−30℃)で)無期限に保存されることは、道理的に予想することができる。例えば、非制限的に、サンプルを含む組成物を、約30日から約60日の間約−20℃から約40℃の温度で保存するとき、サンプルから得るポリヌクレオチド集団の完全性は、検出可能な分解なしで少なくとも実質的に維持される、および好ましくは完全に維持される。
【0150】
環境サンプル用の回収キット
環境サンプルの回収用の開示する製剤の例示的な市販のパッケージは、有効量の保存溶液を含有する回収容器(例えば、0.1mL、0.2mL、0.25mL、0.5mL、0.75mL、または1mLのPrimeStore(商標)溶液をそれぞれ含有する、0.1−、0.2−、0.5−、1−、2−、または3−mL回収バイアル)、およびサンプルの回収および/または処理に関する説明書を非制限的に含む。回収容器は、示される試料(複数可)または回収法(複数可)に応じて、必要に応じてより小さいまたはより大きい大きさに分類またはパッケージすることができる。特定の適用例では、多数の容器に個々の回収デバイスをパッケージすることが望ましい可能性もある(例えば、10または20回収デバイス/単位パッケージを含有する市販のパックを非制限的に含む)。
【0151】
配列の比較、同一性、および相同性
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈での用語「同一」または「同一性」の割合は、以下に記載する配列比較アルゴリズム(または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用してまたは目視により測定して、最大対応性に関して比較しアラインメントをとるとき、同一であり、または同一である特定割合のアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列または部分列を指す。
【0152】
2つ以上の核酸の文脈での語句「実質的に同一な」は、配列比較アルゴリズムを使用してまたは目視により測定して、最大対応性に関して比較しアラインメントをとるとき、少なくとも約90%、好ましくは91%、最も好ましくは約92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%以上のヌクレオチド残基同一性を有する、2つ以上の配列または部分列を指す。このような「実質的に同一な」配列は、実際の起源を参照せずに「相同的」であると典型的に考えられる。
【0153】
配列比較および相同性決定用に、典型的には1つの配列が、試験配列と比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列と参照配列はコンピュータへの入力値であり、部分列座標を示し、必要な場合、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを示す。次いで、配列比較アルゴリズムを使用して、示されるプログラムのパラメータに基づき、参照配列に対する試験配列(複数可)の配列同一率を計算することができる。
【0154】
比較用配列の最適アラインメントは、例えば局所相同性アルゴリズムによって(例えば、Smith and Waterman、1981参照)、相同性アラインメントアルゴリズムによって(例えば、Needleman and Wunsch、1970参照)、類似性比較検索法によって(例えば、Pearson and Lipman、1988参照)、コンピュータによるWisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WI、USAにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTAなどのアルゴリズムの実行によって、または目視によって実施することができる。配列同一率および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズム(Altschulら、1990)およびBLOSUM62スコアリングマトリクス(例えば、Henikoff and Henikoff、1989参照)である。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公に利用可能である。
【0155】
配列同一率を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは2配列間の類似性の統計分析も実施する(例えば、Karlin and Altschul、1993参照)。有用な配列アラインメントアルゴリズムの別の例は、累進、ペアワイズアラインメントを使用して一群の関連配列から多重配列アラインメントを作成するPILEUPプログラムである。それはアラインメントを作成するために使用するクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは累進アラインメント比較法の簡略化を使用し(例えば、Feng and Doolittle、1987参照)、Higgins and Sharp(1989)により記載されたのと同様の一般的なアラインメントマトリクスを利用する。
【0156】
例示的な定義
他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載するのと同等または均等な任意の方法および組成物を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および組成物を本明細書に記載する。本発明の目的で、以下の用語を以下に定義する:
本明細書で使用する用語「約」と「およそ」は交換可能であり、所与の数値周辺の一定範囲の数値、および列挙する数値範囲内の全ての数値を指すと一般に理解されるはずである(例えば、他に言及しない限り「約5から15」は「約5から約15」を意味する)。さらに、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内のそれぞれの完全整数を含むと理解されるはずである。
【0157】
本明細書で使用する用語「担体」は、関連動物への投与に薬学的に許容され、または該当する場合診断目的に許容される、任意の溶媒(複数可)、分散媒、コーティング(複数可)、希釈剤(複数可)、バッファー(複数可)、等張剤(複数可)、溶液(複数可)、縣濁液(複数可)、コロイド(複数可)、不活性剤(複数可)など、またはこれらの組合せを含むものとする。一般に化学化合物、ならびに特にペプチドおよびエピトープの1つ以上の送達媒体の使用は、薬剤分野の当業者によく知られている。いずれかの従来の培地または作用物質が活性成分と不適合である場合を除いて、診断、予防、および治療組成物におけるその使用が企図される。1つ以上の補助活性成分(複数可)を、1つ以上の開示する免疫原性組成物と共に取り込む、または投与することも可能である。
【0158】
本明細書で使用する用語「核酸」は、1つ以上の型の(2−デオキシ−D−リボースを含有する)ポリデオキシリボヌクレオチド、(D−リボースを含有する)ポリリボヌクレオチド、およびプリンもしくはピリミジン塩基、または修飾プリンもしくはピリミジン塩基(脱塩基部位を含む)のN−グリコシドである任意の他の型のポリヌクレオチドを含む。本明細書で使用する用語「核酸」は、典型的にはサブユニット間のホスホジエステル結合によって、ただしいくつかの場合はホスホロチオエート、メチルホスホネートなどによって共有結合した、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドのポリマーも含む。「核酸」は、一本鎖および二本鎖DNA、ならびに一本鎖および二本鎖RNAを含む。例示的な核酸には、非制限的に、gDNA、hnRNA、mRNA、rRNA、tRNA、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snORNA)、低分子小核RNA(snRNA)、および低分子一過性RNA(stRNA)など、およびこれらの任意の組合せがある。
【0159】
本明細書で使用する用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は交互に使用し、2つ以上のアミノ酸残基が一緒になって結合した少なくとも1つのアミド結合を含む分子を含む。交互に使用するが、一般に、ペプチドは比較的低分子であり(例えば、2から約100アミノ酸残基長)、一方タンパク質またはポリペプチドは比較的長鎖のポリマーである(例えば、100以上の残基長)。しかしながら、鎖の長さによって具体的に定義しない限り、用語ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は交互に使用する。
【0160】
本明細書で使用する「サンプル」は、対象の物質を含有する、またはそれを含有すると推定される任意の物体を含む。したがって、それは対象の核酸、タンパク質、または別の生物分子を含有する組成物であってよい。したがって用語「サンプル」は、溶液、細胞、組織、または核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA、タンパク質、他の細胞分子など)の集団を含む1つ以上のこれらの集団を包含することができる。用語「核酸供給源」、「サンプル」、および「試料」は、広い意味で本明細書において交互に使用し、対象の核酸、タンパク質、1つ以上の他の生物分子、またはこれらの任意の組合せを含有する様々な生物供給源を包含するものとする。例示的な生物サンプルには、全血、血漿、血清、喀痰、尿、大便、白血球細胞、赤血球細胞、バフィーコート、スワブ(口腔スワブ、咽頭スワブ、膣スワブ、尿道スワブ、頸部スワブ、直腸スワブ、病巣スワブ、膿瘍スワブ、鼻咽頭スワブなどを非制限的に含む)、尿、大便、喀痰、涙、粘液、唾液、精液、膣液、リンパ液、羊水、髄液または脳脊髄液、腹膜滲出液、胸膜滲出液、滲出物、皮膚病変、上皮スメア、バイオプシー、骨髄サンプル、嚢胞または膿瘍含有物由来の液体、滑液、硝子体液または水様液、洗眼薬または吸引液、肺洗浄液または肺吸引液、ならびに肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓など、およびこれらの任意の組合せだけに限られないが、これらを含めた臓器および組織があるが、これらだけには限られない。いくつかの実施形態では、サンプルは、蚊、またはダニ、または他の昆虫(複数可)などのベクターとして働く生物であってよく、またはこれらに由来してよい。
【0161】
移植材料、初代細胞、二次細胞系などを含めた組織培養細胞、ならびに任意の細胞から得た溶解物、ホモジェネート、抽出物、または材料も、本明細書で使用する用語「生物サンプル」の意味の範囲内にある。生物サンプル上または中に存在し得る、微生物(原始細菌および真正細菌、シアノバクテリア、真菌、酵母、カビ、放線菌、スピロヘータ、およびマイコプラズマなどの原核生物を非制限的に含む)、ウイルス(オルソヘパドナウイルス属[例えば、A、B、およびC型肝炎ウイルスを含む]、ヒトパピローマウイルス、フラビウイルス属[例えば、デングウイルスを含む]、リサウイルス属[例えば、狂犬病ウイルスを含む]、モルビリウイルス属[例えば、麻疹ウイルスを含む]、シンプレックスウイルス属[例えば、単純ヘルペスウイルスを含む]、ポリオーマウイルス属、ルブラウイルス属[例えば、ムンプスウイルスを含む]、ルビウイルス属[例えば、風疹ウイルスを含む]、バリセロウイルス属[例えば、水痘ウイルスを含む]、ロタウイルス、コロナウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、レトロウイルス、ワクシニア、ポックスウイルスなどを非制限的に含む)、藻類、原生動物、原生生物、植物、コケ類など、および前述のいずれかの任意の組合せも本発明の範囲内にあり、臨床または法医学設定から得られる1つ以上の核酸を含有する任意の材料も本発明の範囲内にある。当業者は、任意の前述の例示的生物サンプルから得た溶解物、抽出物、または材料も、本発明の範囲内にあることをさらに理解している。
【0162】
本明細書で使用する用語「バッファー」は、酸またはアルカリをバッファーを含む溶液または組成物に加えるとき、pHの変動に耐性がある1つ以上の組成物、またはその水溶液を含む。pHの変化に対するこの耐性はこの溶液の緩衝能力によるものであり、組成物中に含まれる1つ以上の特定化合物の関数であり得る。したがって、緩衝活性を示す溶液または他の組成物はバッファーまたはバッファー溶液と呼ぶ。バッファーは一般に、溶液または組成物のpHを維持する無限の能力を有するわけではなく、そうではなく、バッファーは典型的に、特定範囲内、例えば約5から7のpHにpHを維持することができる。
【0163】
本明細書で使用する用語「生物分子」は、細胞内で見られる、またはウイルスを含む生きた生物によって生成される任意の分子を指す。生物分子は、核酸、タンパク質、炭水化物、および脂質だけには限られないが、これらを含むことができる。本明細書で使用する「細胞」は、独立して働くことができ、細胞膜によって囲まれた細胞質および様々なオルガネラで構成される生物の最小構造単位を指す。これは、細菌および原生生物などの独立して働く細胞、または白血球および赤血球などのより大きな生物内で生存する細胞だけには限られないが、これらを含むことができる。本明細書で定義するように、成熟ヒト赤血球細胞など、細胞は核を有していない可能性がある。
【0164】
本発明の実施においてサンプルは新鮮な状態で使用することができ、または、例えば凍結乾燥、凍結、もしくは冷蔵サンプルなどを含めて、一定期間、もしくは長期間保存した後に使用することができ、臨床、獣医学的、環境または法医学的起源の材料を含むことができ、食品、飲料、供給材料、飲料水源、排水流、工業排水または流出水、天然水源、土壌、空気伝染源、パンデミックもしくはエピデミック集団、疫学サンプル、研究材料、病理集団、疑わしいバイオテロ因子、犯罪現場の証拠などから単離することができる。
【0165】
本明細書で使用する用語「患者」(「宿主」または「対象」とも交互に呼ぶ)は、本明細書で論じる1つ以上の生物サンプルもしくは試料の供給源として働くことができる任意の宿主を指す。特定の態様では、ドナーは任意の動物種(および好ましくは、人間などの哺乳動物種)を示すと考えられる脊椎動物である。特定の実施形態では、「患者」は、家畜、集団または移動性動物もしくは鳥類、外来または動物学的試料、ならびにコンパニオンアニマル、ペット、および獣医師のケア下の任意の動物を非制限的に含む、ヒトおよび非ヒト霊長類、鳥類、爬虫類、両生類、ウシ、イヌ、ヤギ、テンジクネズミ、カラス、エピン、ウマ、ネコ、ヤギ、去勢ウサギ、ウサギ、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、ブタ、競走馬、キツネなどだけには限られないが、これらを含めた任意の動物宿主を指す。本発明を使用して、有蹄類の消耗性疾患、結核、エボラ、SARS、および鳥インフルエンザを非制限的に含む様々な世界人口に関する疾患の大発生、進行、および疫学統計をモニタリングすることもできる。特定の実施形態では、サンプルは哺乳動物起源であることが好ましく、およびより好ましくはヒト起源である。
【0166】
本明細書で使用する用語「カオトロープ」または「カオトロープ剤」は、例えば、非制限的に、一次構造を完全に保ちながらのタンパク質または核酸の二次、三次、または四次構造の変化によって、タンパク質または核酸の障害を引き起こす物質を含む。
【0167】
本明細書で使用する用語「例えば」は単に例によって使用し、制限することは目的とせず、明確に列挙する項目のみを指すと解釈すべきではない。
【0168】
本明細書で使用する用語「実質的に含まない」または「本質的に含まない」は、組成物が約10重量パーセント未満、好ましくは約5重量パーセント未満、およびより好ましくは約1重量パーセント未満の化合物を含有することを典型的に意味する。好ましい実施形態では、これらの用語は、約0.5重量パーセント未満、より好ましくは約0.1重量パーセント未満、またはさらに約0.01重量パーセント未満を指す。この用語は、化合物または他の言及する性質を完全に含まない組成物も包含する。分解または劣化に関して、用語「実質的」は前述の重量パーセントを指すこともでき、したがって実質的分解の予防は、約15重量パーセント未満、約10重量パーセント未満、好ましくは約5重量パーセント未満などが損害を受けて分解することを指す。他の実施形態では、これらの用語は、用語「実質的に」が約10パーセント未満、約5パーセント未満などの病原活性が残存することを指す、用語「実質的に非病原性」に関してと同様に、重量パーセントではなく単なるパーセントを指す。
【0169】
本明細書で使用する用語「異種」は、所定の参照核酸配列に関して定義する。例えば、構造遺伝子配列に関して、異種プロモーターは、参照構造遺伝子と隣接して本来存在しないが、分子生物学分野の当業者により通常使用される1つ以上の研究室内操作で人の手によって配置されるプロモーターとして定義する。同様に、異種遺伝子または核酸セグメントは、参照配列、プロモーターおよび/またはエンハンサーエレメント(複数可)などと隣接して本来存在しない遺伝子または核酸セグメントとして定義する。
【0170】
本明細書で使用する用語「相同性」は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の相補性の程度を指す。語句「同一性」は、第一の核酸またはアミノ酸配列が第二の核酸またはアミノ酸配列と全く同じ一次配列を有するとき、語句「相同性」に置き換えることができる。配列相同性および配列同一性は、当技術分野で知られているアルゴリズムおよびコンピュータプログラムを使用して、2つ以上の配列を分析することによって決定することができる。このような方法を使用して、所与の配列が別の選択配列と同一または相同であるかどうか評価することができる。
【0171】
本明細書で使用する「相同的」は、ポリヌクレオチドを指すとき、異なる起源から生じたにもかかわらずほぼ同じヌクレオチド配列を有する配列を意味する。典型的には、相同的核酸配列は、密接に関連した遺伝子、または1つ以上の実質的に類似したゲノム配列を有する生物に由来する。対照的に、「類似的」ポリヌクレオチドは、異なる種または生物に由来するポリヌクレオチドと同じ機能を共有するが、類似した機能を果たす1つ以上のタンパク質もしくはポリペプチドをコードする有意に異なる一次ヌクレオチド配列を有し、または類似した生物活性を保有する可能性があるポリヌクレオチドである。類似的ポリヌクレオチドは、しばしば、(例えば、遺伝的もしくは系統的のいずれかで)密接に関係がない2種以上の生物に由来し得る。
【0172】
2つ以上の核酸またはポリヌクレオチド配列の文脈での用語「同一的」または「同一性」率は、配列比較アルゴリズムを使用して、または手動アラインメントおよび目視により測定して、比較ウインドウで最大対応性に関して比較しアラインメントをとるとき、同一でありまたは同一である特定割合のヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分列を指す。
【0173】
「プライマー」または「プライマー配列」は、相補的鋳型核酸鎖(「標的配列」)と選択的にハイブリダイズし、鋳型鎖を複製するためのヌクレオチド付加の開始地点として機能する、任意の核酸配列またはセグメントを含むことができる。本発明のプライマー配列は標識することができ、または増幅産物の検出および/または分析を可能にする他の修飾を含有することができる。標的DNA配列のポリメラーゼ仲介複製の開始剤として働く以外に、プライマー配列は、対応するDNAへの鋳型RNAの逆転写に使用することもできる。
【0174】
本明細書で使用する「標的配列」または「標的ヌクレオチド配列」は、ポリメラーゼ活性を有する酵素がプライマー配列を延長させ、それによって相補鎖を複製する条件下で、前記プライマー配列の1つがハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列を含む。
【0175】
本明細書で使用する用語「操作可能に連結している」は、機能的関係における2つ以上のポリヌクレオチドまたは2つ以上の核酸配列の連結を指す。それが別の核酸配列と機能的関係に位置するとき、核酸は「操作可能に連結している」。例えば、それがコード配列の転写に影響を与える場合、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列と操作可能に連結している。「操作可能に連結している」は、連結している核酸配列は典型的には隣接しており、または実質的に隣接しており、および必要な場合、隣接およびリーディングフレームの2つのタンパク質コード領域と接合していることを意味する。エンハンサーは一般にプロモーターから数キロベース離れているときに機能し、イントロン配列は様々な長さであり得るが、しかしながら、いくつかのポリヌクレオチドエレメントは隣接しておらず、操作可能に連結している可能性がある。
【0176】
「転写単位」は、少なくとも第一のシス作用性プロモーター配列と操作可能に連結し、および任意に構造遺伝子配列の有効な転写に必要な1つ以上の他のシス作用性核酸配列と操作可能に連結した、少なくとも第一の構造遺伝子を含むポリヌクレオチド配列、およびプロモーターおよび/またはエンハンサーエレメントの制御下で操作可能に位置する構造遺伝子配列の適切な組織特異的および発生段階転写に必要とされ得る少なくとも第一の遠位制御エレメント、および有効な転写および翻訳に必要な任意の別のシス配列(例えば、ポリアデニル化部位(複数可)、mRNA安定化制御配列(複数可)など)を指す。
【0177】
語句「単離」または「生物学的に純粋」は、それがその天然状態で見られる物質に通常付随する構成要素を実質的、または本質的に含まない物質を指す。したがって、本発明による単離ポリヌクレオチドは、それらの天然、またはインシチュー、環境においてポリヌクレオチドと通常結合した物質を含有しないことが好ましい。
【0178】
「連結」または「接合」は、組換え融合、共有結合、ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合、静電気的結合などを非制限的に含む、1つ以上のタンパク質、ペプチド、核酸、またはポリヌクレオチドを機能的に結びつけるための当技術分野で知られている任意の方法を指す。
【0179】
用語「病原体」は、例えば、ウイルス、プリオン、原生動物、寄生虫、ならびに例えば細菌、酵母、カビ、真菌などの微生物を含めた、任意の種類の感染因子として本明細書では定義する。
【0180】
本明細書で使用する用語「プラスミド」は、遺伝物質(すなわち、核酸)で構成される遺伝子構築物を指す。典型的にプラスミドは、細菌宿主細胞、例えばイーコリ(Escherichia coli)において機能性がある複製起点、およびプラスミドを含む細菌宿主細胞を検出するための検出可能マーカーを含有する。本発明のプラスミドは、挿入コード配列が真核細胞内で転写および翻訳することができるように配置した、本明細書に記載する遺伝子エレメントを含むことができる。さらにプラスミドは、天然または人工供給源由来の1つ以上の核酸を含むことができる。
【0181】
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、1つの「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含し、2つ以上のアミノ酸の任意の1つ以上の鎖を含むものとする。したがって、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「タンパク質」、「酵素」、「アミノ酸鎖」、および「隣接アミノ酸配列」だけには限られないが、これらを含めた本明細書で使用する用語はいずれも「ポリペプチド」の定義内に包含され、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりに、またはこれらと交互に使用することができる。この用語は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、タンパク質分解切断、翻訳後プロセシング、または1つ以上の非天然アミノ酸の封入による修飾だけには限られないが、これらを含めた、1つ以上の翻訳後修飾(複数可)を経たポリペプチドをさらに含む。ポリヌクレオチドおよびポリペプチド構造に関する従来の命名が当技術分野に存在する。例えば、一文字および三文字の略語がアミノ酸を記載するために広く利用されている。アラニン(A;Ala)、アルギニン(R;Arg)、アスパラギン(N;Asn)、アスパラギン酸(D;Asp)、システイン(C;Cys)、グルタミン(Q;Gln)、グルタミン酸(E;Glu)、グリシン(G;Gly)、ヒスチジン(H;His)、イソロイシン(I;Ile)、ロイシン(L;Leu)、メチオニン(M;Met)、フェニルアラニン(F;Phe)、プロリン(P;Pro)、セリン(S;Ser)、スレオニン(T;Thr)、トリプトファン(W;Trp)、チロシン(Y;Tyr)、バリン(V;Val)、およびリシン(K;Lys)。本明細書に記載するアミノ酸残基は「L」異性体型であることが好ましい。しかしながら、ポリペプチドの望ましい性質が保持されるという条件で、「D」異性体型の残基を任意のL−アミノ酸残基に置換することができる。
【0182】
「タンパク質」は本明細書では「ペプチド」および「ポリペプチド」と交互に使用し、合成、組換え、またはインビトロで生成したペプチドとポリペプチドの両方、ならびに核酸配列を宿主動物またはヒト対象に投与した後にインビボで発現したペプチドおよびポリペプチドを含む。用語「ポリペプチド」は、約2から約20アミノ酸残基長の短鎖ペプチドのポリペプチド、約10から約100アミノ酸残基長のオリゴペプチド、および約100以上のアミノ酸残基長を含むポリペプチドを含めた、全てのアミノ酸鎖長を指すことを意図することが好ましい。用語「配列」は、アミノ酸を指すとき、所与のアミノ酸鎖内の直線状N末端からC末端順のアミノ酸の全部または一部、例えばポリペプチドまたはタンパク質に関するものであり、「部分列」は、配列内のアミノ酸の任意の連続延長部分、例えば、所与のタンパク質またはポリペプチド配列内の少なくとも3連続アミノ酸を意味する。ヌクレオチドおよびポリヌクレオチド鎖を参照すると、「配列」と「部分列」は5’から3’順のヌクレオチドに関して類似した意味を有する。
【0183】
本明細書で使用する用語「実質的に相同的」は、一次ヌクレオチド配列レベルで互いに有意に類似した2つ以上の生物分子配列を包含する。例えば、2つ以上の核酸配列の文脈で、「実質的に相同的」は、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約85%または少なくとも約90%同一である、およびさらにより好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%同一である、より好ましくは少なくとも約98%同一である、より好ましくは少なくとも約99%同一である、およびさらにより好ましくはさらに、少なくとも実質的にまたは完全に100%同一であること(すなわち「不変」)を指すことができる。
【0184】
同様に、本明細書で使用する用語「実質的に同一」は、ヌクレオチドレベルで互いに高度の同一性を示す2つ以上の生物分子配列(特にポリヌクレオチド配列)を包含する。例えば、2つ以上の核酸配列の文脈で、「実質的に同一」は、少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約85%または少なくとも約90%互いに同一である、およびさらにより好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%同一である、より好ましくは少なくとも約98%同一である、より好ましくは少なくとも約99%同一である、およびさらにより好ましくは一層、少なくとも実質的にまたは完全に100%同一である(すなわち「非縮重」)配列を指すことができる。用語「組換え体」は、物質(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)が人間の介入によって人為的または合成的に(不自然に)変化したことを示す。その天然環境または状態内、またはそこから除去した物質に、変更を実施することができる。具体的には、例えばプロモーター配列は、人間の手により操作された核酸セグメントの発現によってそれが生成されるとき「組換え体」である。例えば、「組換え核酸」は、例えばクローニング、DNAシャッフリングもしくは他の手順中の核酸の組換えによって、または化学的もしくは他の突然変異誘発によって作製される核酸であり、「組換えポリペプチド」または「組換えタンパク質」は、組換え核酸の発現によって生成されるポリペプチドまたはタンパク質であり、および「組換えウイルス」、例えば「組換えインフルエンザウイルス」は組換え核酸の発現によって生成される。
【0185】
本発明によれば、ポリヌクレオチド、核酸セグメント、核酸配列などは、DNA(ゲノムまたはゲノム外DNAだけには限られないが、これらを含む)、遺伝子、ペプチド核酸(PNA)、RNA(rRNA、mRNAおよびtRNAだけには限られないが、これらを含む)、ヌクレオシド、および天然源から得た、人間の手により全部または一部を化学合成、修飾、または他の方法で調製もしくは合成したいずれかの適切な核酸セグメントだけには限られないが、これらを含む。
【0186】
同様に、長期間続く特許法の慣習によれば、語句「a」および「an」は、特許請求の範囲を含めて本出願中で使用するとき、「1つ以上」を示す。
【0187】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態を実証するために含める。以下の実施例中に開示する技法は本発明を実施する際に十分機能することが発見された技法を表し、したがって本発明を実施するのに好ましい形態を構成すると考えることができることは、当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示する具体的な実施形態の多くの変形を作製することができ、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、同様または類似の結果をさらに得ることができることを理解するはずである。
【実施例1】
【0188】
例示的な保存溶液の製剤
この実施例は、本発明のPSS(PanFlu)組成物の一般的な製剤を提供する。PSS組成物の他の製剤も実施例2から実施例5中に例示する。
【0189】
材料
グアニジンチオシアネート、クエン酸ナトリウム、消泡剤A(登録商標)Concentrate、およびN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩は、いずれもSigma Chemical Co.(St.Louis、MO、USA)から購入した。トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)はSoltec Ventures Inc.(Beverly、MA、USA)から得た。2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)はApplied Biosystems/Ambion(Austin、TX、USA)から得た。2−[2−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)エチル−(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(EDTA)GIBCO(登録商標)Ultra PureはInvitrogen Corp.(Carlsbad、CA、USA)から得た。全ての他の試薬はSigma−AldrichまたはUSB Corporationから市販されている。
【0190】
【表1】

【実施例2】
【0191】
例示的な保存溶液の製剤
この実施例は、本発明の組成物の第一の例示的な製剤を記載する。この製剤は、本発明者らによって「PrimeStore(商標)Solution」または「PSS」バージョン1とも代替的に呼ばれている。
【0192】
【表2】

【実施例3】
【0193】
第二の例示的な保存溶液の調製
この実施例は、本発明による別の例示的な保存溶液の調製を記載する。この製剤は、本発明者らによってPrimeStore(商標)バージョン2とも代替的に呼ばれている。
【0194】
【表3】

【実施例4】
【0195】
第三の例示的な保存溶液の調製
この実施例は、本発明による別の例示的な保存溶液の調製を記載する。この製剤は、本発明者らによってPSSバージョン2.2とも代替的に呼ばれている。
【0196】
【表4】

【0197】
PSS(バージョン2.2)の調製用の例示的なプロトコール
1. 攪拌棒を用いて新たなビーカーに40mLのヌクレアーゼを含まない水を加える。
2. ホットプレート/攪拌機上にビーカーを置き、60−65℃に温度を調節する。攪拌スピードは中程度に設定する。
3. 35.488gmのグアニジンチオシアネートをゆっくりと水に加え、添加時にそれが溶けるようにする。
4. 0.0287gmのTCEPをビーカーに加え、攪拌スピードを増大して結晶の溶解を助長する。
5. 0.2931gmのクエン酸ナトリウムをビーカーに加える。
6. 0.5gmのNLSを溶液に加える。攪拌スピードを増大してビーカー内に攪拌状態を作製する。これによってNLSは溶液中に引き込まれ、試薬の溶解を助長する。
7. 調製した10%消泡剤A溶液(1mLの消泡剤A Concentrate+9mLのヌクレアーゼを含まない水)を攪拌する。200μLの10%消泡剤Aを溶液にピペッティングする。
8. 10mLの1M TRISを溶液にピペッティングする。
9. 20μLの0.5M EDTAを溶液にピペッティングする。
10. 温度を上昇させ溶液を75−80℃にし、3−5分間攪拌する。
11. 熱源からビーカーを遠ざけ、溶液は室温(約22−25℃)まで冷やす。
12. 23mLのエタノールを溶液に加え、完全に混合する。
13. HClを用いてpHを6.9に調節する。
14. 新たな100mLの目盛りつきシリンダーに溶液を注ぐ。
15. ヌクレアーゼを含まない水を加え合計体積を100mLにする。
16. 溶液をラベル付き滅菌容器に移す。室温(約22−25℃)で保存する。
*注:次の添加前にそれぞれの試薬が完全に溶けていることを、確認することが好ましい。
【実施例5】
【0198】
PRIMESTORE(商標)溶液と従来の製剤の比較
インフルエンザA(H3N2)で攻撃したコットンラット(Sigmodon hispidus)由来の均質鼻部組織のサンプル、または2006−07期の間のヒト臨床用鼻部洗浄時に回収したヒト臨床インフルエンザA(H1N1)サンプルをPSS(バージョン1)中に置き、3つの市販のキット:RNAqueous(登録商標)−マイクロキット(Ambion、Austin、TX、USA)、QIAampウイルスRNAミニキット(カタログ番号52904、Qiagen、Valencia、CA、USA)、およびMagMax AI/NDウイルスRNA単離キット(カタログ番号AM1929、Ambion)からの、それぞれの溶解製剤およびプロトコール、および抽出手順と比較して試験した。抽出効率は、ABI7500配列検出システムおよび比較C法を使用して評価した(図2参照)。
【0199】
図2中、「delta Rn」は、蛍光レポーターシグナル−ベースライン量を表す。図1および図2中に示すように、相対C値および検出したウイルスコピー数は、各市販品キットのそれぞれの従来型溶解バッファーの代わりに一定製剤を使用したとき最適であった。これらの2サンプル型では、本発明の組成物は、抽出目的で2つの従来型キットより良く働いた。PrimeStore(商標)溶液(バージョン1)組成物は、市販の核酸抽出キットに容易に適合することも示された。図1は、バージョン1のPSSを3つの市販のキット:Qiagenウイルスミニ、Ambion RNAqueous Mini、およびAmbion Al/NCD MagMaxと共に使用したRNA抽出結果を示す。図1によって示されるように、抽出キットの溶解バッファーを一定製剤と交換すると(この図で「ワンステップ+」として示す)、標準プロトコールに従うキットを使用した抽出と比較して(この図で「ワンステップ−」として示す)、優れた核酸抽出を得た。抽出効率は、リアルタイム(r)逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)[rRT−PCR]によって測定した。
【0200】
図3は、予備溶液、および対照として使用した水中での保存と比較した、PrimeStore(商標)溶液中での裸状態のRNAの保存を示す図である。図3中に示すように、(蛍光による)検出は、アッセイした全時間地点においてPSS(バージョン1)中に保存したRNAの初期増幅サイクルで行った。
【実施例6】
【0201】
鼻部洗浄試料の回収用のPRIMESTORE(商標)溶液
予期臨床検出試験を、1)症候性小児患者および2)無症候性または症候性家人由来の鼻部洗浄試料を使用して実施した。それぞれqRT−PCRおよび従来の培養法によって、PrimeStore(商標)溶液およびVTMに回収した鼻部洗浄試料と比較したインフルエンザウイルスの検出。ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、およびマトリクス表面(MA)タンパク質をコードするインフルエンザ遺伝子の遺伝的特徴付けを、PrimeStore(商標)溶液中に保存した選択鼻部洗浄試料を使用して実施して、ウイルス株内のワクチン有効性および薬剤感受性を評価した。
【0202】
インフルエンザは、米国で毎年200,000を超える入院および約36,000の死の原因である、高度に進化した、RNAベースの呼吸器系ウイルスである。現在循環しているヒトウイルス間でのインフルエンザ連続変異体の広範囲の出現は、来る2008/09期の全3個のワクチンコンポーネントの変化を促した。2007/08期中の高い罹患率および死亡率には、循環ウイルス株内の72のインフルエンザ関連の小児の死、および連続的薬剤耐性(オセルタミビル[タミフル(登録商標)、Roche Laboratories、Inc.、Nutley、NJ、USA]およびアダマンタジン)があった。
【0203】
材料および方法
インフルエンザ感染および126の家族間接触に関する臨床試験基準に適合した合計100人の小児(指標)患者をこの試験に登録した。鼻部洗浄試料をPrimeStore(商標)溶液およびUniversal VTM中に置き、それぞれrRT−PCRまたは培養分析によって分析した。rRT−PCRは、Daumら(2007)に従いインフルエンザ(AまたはB)型および(H3、H1、H5)亜型特異的プライマー/プローブを使用して実施した。PSS中に保存した選択臨床サンプルのさらなる遺伝的特徴付けを、ヘマグルチニンHA、NA、およびMAウイルスタンパク質の標準的なRT−PCRおよび直接的ヌクレオチド配列決定を使用して実施した。
【0204】
結果
評価した全サンプル(N=226;100指標、126の家族間接触)の中で、66人(29%)がrRT−PCRによってインフルエンザウイルスに陽性反応を示した(45人がH3N2、2人がH1N1および19人がB)。PSS中に保存した鼻部洗浄試料からのrRT−PCRによって、培養法によって検出されなかった11人の患者(9人がインフルエンザAおよび2人がインフルエンザB)からインフルエンザウイルスを検出した(表5および表6)。これらの11試料のうち、5試料が家族間接触として登録した患者由来であった。
【0205】
インフルエンザAおよびBのHA遺伝子の系統学的分析は2007/08ワクチン株と比較して連続変異を示し、2008/09ブリスベンワクチン株に対して高い遺伝的相同性を明らかにした。家人間、特にインフルエンザA(H3N2)株間の、ウイルスのある程度の遺伝的差異が示された。MA分析は、全てのインフルエンザAH3N2株におけるアダマンタン耐性、ただし両H1N1ウイルスにおける感受性を明らかにした。全てのインフルエンザB株(n=18)は、NA遺伝子中のアミノ酸197(インフルエンザBのナンバリング)におけるアスパラギン酸(D)の存在に基づいて、ノイラミニダーゼ阻害剤薬剤ザナミビル(リレンザ(登録商標)、GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、NC、USA)およびオセルタミビル(タミフル(登録商標)、Roche)に対して感受性があった。
【0206】
QRT−PCR対従来の培養法
qRT−PCRは、PSS中に保存した原型鼻部洗浄試料からのインフルエンザウイルスの検出に関して従来の培養法より優れており、インフルエンザは2時間以内に検出し(ちなみに、従来の培養法に関しては2から7日)、この分析はより感度が高かった(11個の試料;培養限界未満で検出した9個のインフルエンザAおよび2個のインフルエンザB)。さらに、従来の生物培養に代わる分子診断法の使用はおそらく感染性があるウイルスを増殖させず、同時にインフルエンザウイルス型および亜型をもたらさなかった。
【0207】
遺伝子分析
ワクチン関連性
H3N2株:インフルエンザA(H3N2)ヘマグルチニン(HA)のHA1遺伝子の分析は、2007−08A/ウィスコンシン/67/2005ワクチン株と比較して全てのテキサス株において、5個のアミノ酸差異を含めた遺伝的浮動を明らかにした。全てのテキサス株において示された1つのHA1突然変異(D122N)は潜在的グリコシル化部位であった。全てのA/テキサス(H3N2)株は、新たに選択した2008−09A/ブリスベン/10/2007株に対して高いHA相同性(99.0−99.7%)を示した。
【0208】
H1N1株:2インフルエンザA(H1N1)のヘマグルチニンのHA1遺伝子は、A/ソロモン諸島/3/2006ワクチン株と比較して7個のアミノ酸変化を示した。4個の置換(R90K、T145V、K210TおよびE290K)が、公知のH1抗体結合部位の内部に存在した。両方のテキサスH1N1株が、新たに選択した2008−09A/ブリスベン/59/2007ワクチン株に対して高いHA相同性(98.8%および99.4%)を示した。
【0209】
インフルエンザB株:HA1ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼ遺伝子の分析は、全てのテキサス株はB/Yamagata系統であり、2007/08B/マレーシア/2506/2004ワクチン株より2008−09B/ブリスベン/5/2007ワクチン株に対して遺伝的に相同性があったことを明らかにした。
【0210】
家族性突然変異
家人間でNA、HA1、M1およびM2eにおいてアミノ酸変化が示された。HA1ヘマグルチニンは分析したインフルエンザ遺伝子の最も高度な突然変異を示し、1家族は5個のアミノ酸変化を示した。
【0211】
高度に保存された24アミノ酸M2eウイルス表面プロトンポンプの分析は、家族内のある程度の変異を示した。1つの指標患者株は、家人ウイルス株内では「野生型」であった3個の特有アミノ酸M2e置換を含有した。
【0212】
抗ウイルス感受性
アダマンタン:マトリクス遺伝子(MA)の遺伝子分析、具体的には位置31(S31N)におけるセリンからアスパラギンへの置換によって、全てのインフルエンザA(H3N2)株におけるアダマンタン耐性、ただし両インフルエンザA(H1N1)ウイルスにおける感受性が明らかになった。
【0213】
ノイラミニダーゼ阻害剤:全てのテキサスインフルエンザA(H3N2)分離株は、NA遺伝子中のE119V、R292K、およびN294S置換の遺伝子分析によってオセルタミビルに感受性があることが示された。インフルエンザBのNA遺伝子の遺伝子分析によって、全てのテキサス株が位置197にアスパラギン酸(D)残基を含有し、したがっておそらくオセルタミビルに感受性があることが明らかになった。
【0214】
本明細書のプロトコールおよび試験は、抗菌感受性を早急に知ることが必要である場合、結核菌、マラリア、スタフィロコッカスなどのような他の微生物、および他の病原体に適合させることが可能である。
【実施例7】
【0215】
PRIMESTORE(商標)溶液を使用したインフルエンザサンプルの回収
本発明の組成物は、1)臨床または環境試料からの高品質の核酸の調達、2)試料の安全な処理および輸送のためのおそらく感染性がある生物病原体の不活性化、および3)周囲温度における長期の加水分解/ヌクレアーゼ分解を予防する放出された「裸状態の」RNA/DNAの安定化および保存を容易にする1つのサンプル回収、輸送、および保存試薬となる。1つのこのような試験の結果は以下の実施例中に表す。この実施例は、病原性微生物(複数可)を殺滅する際のPSS(バージョン2.2)の有効性を例示する。
【0216】
【表5】

【0217】
【表6】

【0218】
方法
qRT−PCRを使用してPrimeStore(商標)溶液中に保存したインフルエンザA(H5N1)ウイルス核酸をアッセイした。室温での時間行程試験を実施して臨床試料、排出腔サンプルの完全性を評価し、クローン鋳型鳥類インフルエンザAウイルス(H5)RNAを、PSS、VTM、RNA保存溶液、またはヌクレアーゼを含まない水から抽出し保存した。PrimeStore(商標)溶液の抽出効率を3つの市販の核酸抽出キットと比較した。さらに、ヌクレアーゼ分解に耐性を示すPSS中に含有されるRNAの能力を評価した。
【0219】
結果
PSS(バージョン2、ただしエタノールを含まず)は、臨床材料、すなわち鼻部洗浄液、咽頭スワブ、または環境サンプルから放出されたRNA/DNAを保存しながら微生物因子を不活性化した。この溶液中に置いた臨床試料または環境サンプルは30日まで室温で安定状態であり、一方で核酸の分解が他の輸送媒体中で起こった。PSSは市販のRNA単離キットと適合性があり、高い核酸収率をもたらした。
【実施例8】
【0220】
PRIMESTORE(商標)溶液中でのMRSA(ATCC33592)の殺滅
この実施例は、細菌病原体を殺滅する際のPSS(バージョン2.2)の有効性を例示する。メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)株ATCC33592を、PSS(バージョン2.2)中に10倍および1000倍希釈し定量化した(図6参照)。
【0221】
実験プロトコール
日数 手順
0 MRSA(ATCC33592)をCulti−loop(登録商標)(Remel)から15ml円錐形試験管中の1.5mLTSBに移す。約15分間37℃で温置する。縣濁液を軽く攪拌し、100μLを血液寒天プレートに移す。プレートを一晩37℃で温置する。
【0222】
1 12時間の温置後に多量で均一なコロニー増殖を観察する。約10%のコロニーを滅菌状態の1リットルフラスコ中の300mLのトリプシン大豆ブロス(TSB)に移す。37℃および200rpmでシェイカー上にフラスコを置く。
【0223】
約4−6時間の温置後、約50mLの細菌縣濁液を、300mLの新たなTSBを含有する新たな1リットルフラスコに移す。
【0224】
約4−6時間の温置後、約100μLの培養液を900μLのTSBに移す(1:10対照希釈)。この縣濁液から、10μLを990μLのTSBに移した(1:1000対照希釈)。
【0225】
100μLの培養液を900μLのPrimeStore(商標)溶液に移す(1:10PSS希釈)。この縣濁液から、10μLを990μLのTSBに移した(1:1000PSS希釈)。
【0226】
TSBまたはPrimeStore(商標)溶液(バージョン2.2)への移動直後、縣濁液を軽く攪拌し、対照とPrimeStore(商標)縣濁液の両希釈液からの100μLを血液寒天プレート上に平板培養した。TSBまたはPSSへの細菌の添加後、時間ゼロの時間地点は実際は約2分であった。
【0227】
TSBおよびPSS(バージョン2.2)中の縣濁液を室温で維持した。
【0228】
TSBおよびPSS中の縣濁液の調製後5、15、30、60、120および240分でさらに100μLを血液寒天プレート上に平板培養した。
【0229】
プレート上の細菌縣濁液を乾燥させ、反対に平板培養し、プレートは37℃で一晩温置した。
【0230】
攪拌培養物の滴定も、攪拌培養物からの100μL縣濁液と900μLのTSBを混合することによって実施した(10−1希釈)。連続10倍希釈液を10−9まで調製した。10−1以外の全希釈液からの100μLのサンプルを、血液寒天プレート上に平板培養した。
【0231】
2 細菌コロニーに関してプレートを観察した。必要な場合、後の観察用に全てのプレートは4℃で保存した。
【0232】
結果
結果は表7および表8中に表す。簡単に言うと、細菌縣濁液は約4.7×10cfu/mlを含有した。したがって、1:10希釈は約4.7×10cfu/mlを含有し、1:1000希釈は4.7×10cfu/mlを含有した。全ての時間地点で、TSB中に縣濁した細菌は数え切れなかった。全ての時間地点で、PrimeStore(商標)溶液中に縣濁し、血液寒天プレート上に平板培養した細菌は、検出可能なコロニーは有していなかった。
【0233】
【表7】

【0234】
【表8】

【0235】
さらなる試験を実施して、PSS(バージョン2.2)に10倍希釈したときのMRSAATCC33592を殺滅するのに必要な露出時間を決定し、PSSへの露出後、ただし平板培養前の、細菌の希釈の影響を決定した。
【0236】
実験プロトコール
日数 手順
0 MRSA(ATCC33592)を前に記載した試験からのTNTCプレートから4mLのTSBに移す。これらのプレートは約48時間4℃で保存した。細菌は軽く攪拌し、使用前に約10分間室温で放置した。0.1mLの細菌縣濁液を0.9mLのPSSに移し、軽く攪拌した。約60秒後、PrimeStore(商標)中の細菌を再度軽く攪拌し、0.1mLの細菌縣濁液を0.3mLのTSBに移した(1:4希釈)。100μLのPrimeStore(商標)溶液中の細菌(「非希釈」と示す)、および1:4希釈からTSBに血液寒天プレート上に平板培養した(5%ヒツジRBC、TSA中)。このプロセスを5分と15分で繰り返し、次いでPrimeStore(商標)溶液の代わりにTSBに再度希釈した。血液寒天プレート上の液体細菌縣濁液を室温で乾燥させ、次いで37℃において一晩温置した。
【0237】
1 約16時間の温置後、プレートをインキュベーターから除去し、コロニーを計数した。
【0238】
結果
細菌縣濁液は1mL当たり未知数のコロニー形成単位(cfu)を含有していた。全ての時間地点で、トリプシン大豆ブロス(TSB)中に縣濁した細菌は数え切れなかった(TNTC)。全ての時間地点で、PrimeStore(商標)組成物中に縣濁し血液寒天プレート上に平板培養した細菌はコロニーを生成しなかった(表9)。
【0239】
【表9】

【実施例9】
【0240】
PRIMESTORE(商標)溶液を評価したさらなる試験
図7B中に示すデータは、微生物を不活性化するPSSの能力を例示する。示すのは、ニワトリクローン試料をPSS(バージョン1)中に回収した試験である。PrimeStore(商標)溶液は細菌因子を1時間以内に不活性化した。4つの原型ニワトリ排出腔サンプルをPSSまたは水中に浸し、血液寒天プレート上に後に平板培養した。これらの結果は、開示する組成物が、サンプル中の微生物を迅速に殺滅または不活性化することが可能であったことを示した。
【0241】
図7C中に示すデータは、室温で30日間RNA塩基加水分解を阻害するPSSの能力を例示する。RNAは室温(22−26℃)PrimeStore(商標)において(ゲルレーン1および3)および水中(ゲルレーン2および4)で温置し、第0日および第30日でその後RT−PCR増幅した(1500塩基対)。PSSは回収RNAを保存し、第30日まで室温においてRNA/DNA分解を妨げた(例えば、表11をさらに参照)。
【0242】
インフルエンザ阻害アッセイ
このアッセイの試薬は以下の試薬を含む:
(a)45mLの滅菌N/CEMEM、(b)3mLのストック7.5%重炭酸ナトリウム(2%)、(c)1.5mLのSPG(1%)、(d)75μLのトリプシン(0.05%)、(e)1.5mLのファンギゾン(1%)および(f)150μLのゲンタマイシンを含有するトリプシン培地。
【0243】
(a)150mlのグルタル酸ジアルデヒド、(b)2gmのクリスタルバイオレット、および(c)2850mLの脱イオン水を含有するクリスタルバイオレット。
【0244】
アッセイ用の血清サンプルの調製
血清サンプルを解凍し攪拌する。それぞれのサンプルに関して、対応するSpin−X(商標)チューブの蓋にラベルを付ける。450μLの非完全EMEMと50μLの血清をSpin−X(商標)チューブ中に組合せる。30分間56℃の水浴中で血清およびEMEMを含有するチューブを温める。室温において2分間8000RPMでチューブを遠心分離にかける。サンプルにラベルを付け、アッセイするまで−20℃のフリーザー中に置く。
【0245】
希釈用プレート
160μLのそれぞれの非希釈化合物または血清サンプルをウエルA1からA12に充填する。残りのウエルには120μLのトリプシン培地を充填する。マルチチャンネルピペットを使用して、40μLの非希釈サンプルを列Aから取り出し、列B中の対応するウエルに希釈する。それぞれの列に関して希釈を繰り返し、それぞれの移動後ウエルを混合する。列Hでは、混合後、列Gから移動させ、それぞれのウエルから40μLを取り出し廃棄する。−80℃のフリーザーからウイルスストック(10)を得て解凍する。ウイルスストックはトリプシン培地中に10希釈まで希釈する。連続希釈が終了した後、120μLのインフルエンザウイルス(1ml当たり10TCID50)を希釈用プレート中の全てのウエルに移す。これは全てのウエルで合計240μLをもたらす。室温で1時間、希釈用プレート(複数可)を温置する。
【0246】
MDCKセルプレート
ガラス容器、コームディスペンサーおよびチューブを滅菌し、ヒュームフード中に置く。フード中では、チューブを容器に接続し、コームのノズルを充填する。アスピレーター用チューブをコームの真空ノズルに接続する。容器を上昇面に置き、アスピレーターのスイッチを入れる。PBSを容器に入れる(プレートの数に応じて1L以上が必要とされ得る)。セルプレートはPBSコームで3回洗浄し、(培地を吸引し、次いでボタンを約1秒押してウエルを洗浄し、2回繰り返す)。マルチチャンネルピペットを使用して、希釈用プレートの縦列1中のそれぞれのウエルからの50μLを、セルプレートの縦列1から4に移す。希釈用プレートの縦列2中のそれぞれのウエルからの50μLは、セルプレートの縦列5から8に移す。縦列3中のそれぞれのウエルからの50μLは、セルプレートの縦列9から12に移す。残りのサンプルに関して他のセルプレートへの移動を繰り返す。セルプレートは37℃で1時間温置する。温置時間後、50μLのトリプシン培地をセルプレートの全てのウエルに加える。プレートは温置チャンバーに戻し、感染後4日間温置する。
【0247】
染色
100μLのクリスタルバイオレットを全てのウエルに加える。1時間放置する。プレートは冷たい流水ですすぎ、空気で乾燥させる。
【0248】
【表10】

【0249】
PRIMESTORE(商標)組成物の長期安定性の時間行程試験
以下のデータは、室温で保存したサンプルで30日間核酸の完全性を保つ際の、様々なPrimeStore(商標)組成物の有効性を実証する。PrimeStore(商標)組成物を、水単独、エタノール単独、VTMおよびAVLなどの市販のバッファーと比較している。
【0250】
【表11】

【実施例10】
【0251】
IPCを含有する保存溶液
本明細書で記すように、特定の実施形態では、核酸担体分子および/またはIPC配列を含めて単離ポリヌクレオチドの調製、安定化、および定量化を容易にすることが望ましい。
【0252】
一実施形態では、本発明者らは、以下の配列:
【0253】
【化5】

を含有する配列番号2の配列を含む一本鎖RNA分子を利用している。
【0254】
図15Aから図19中に表すデータは、ポリヌクレオチドの単離集団を安定化し、アッセイ可能な対照配列として作用する際の、このようなIPC分子の有効性を実証する。特に、図15Aおよび図15Bは、IPCの検出に特異的なアッセイを使用した、一本鎖DNAのリアルタイムPCR増幅を例示する。同様に、図16Aおよび図16Bは、130ヌクレオチドssRNAの同様のqRT−PCR増幅を例示する。
【0255】
図17中のデータは、合成RNAを含有するPSSは、裸状態のRNA病原体標的の保存を延長したことを実証した。その試験では、裸状態のインフルエンザAのRNA鋳型をヒト鼻部洗浄試料に加え、次いで合成RNAを含有するか、またはそれを欠くかのいずれかのPSS中に保存した。これらの結果は、合成RNAの存在が標的サンプルの増大した初期抽出、および長期保存を容易にしたことを実証した。
【0256】
同様に、図18中のデータは、PrimeStore(商標)溶液の安定性は、合成担体RNAの添加によって増大したことを実証した。この試験では、完全インフルエンザAウイルスを、合成RNAを含有するか、またはそれを欠くかのいずれかのPSS中に保存した。これらの結果は、合成RNAは、標的ポリヌクレオチドの初期抽出、および長期保存を増大したことを実証した。
【0257】
最後に、図19中のデータは、室温およびヒト体温(37℃)での合成RNAの安定性を実証した。この試験では、合成RNA担体分子をPSSに加え、いずれかの温度で2週間保存した。RNAの安定性はqRT−PCRによって測定した。合成担体RNAは、C値の著しい低下なしで少なくとも2週間、室温と37℃の両方において安定状態であった。
【0258】
本発明の実施において有用なIPCは本明細書に記載する例示的配列の1つを含む必要はなく、IPCは本明細書に含まれる任意のIPC配列と実質的相同性がある必要もないことを記すことは重要である。この点を例示するため、以下の配列は、縮重配列:
【0259】
【化6】


を有するにもかかわらず、担体RNA/IPC配列としても機能性がある配列番号2の変異体を表す。
【実施例11】
【0260】
ssRNA IPC配列のインビトロ転写
前に記したように、本発明のIPCは、従来の方法を使用して直接化学合成することができ、または代替的に、組換えDNA技術を使用して調製することができる。この実施例は後者の方法の例を与え、PCRおよびインビトロRNA転写アッセイを使用したdsDNAアンプリコンの調製を例示する。このような組換え技法を使用して、病原体特異的配列のqPCRに関する正規化群として働く安定状態のIPCとしてPSSに加えるための、オリゴヌクレオチドを生成する。141ヌクレオチド(nt)の配列を5’から3’に表し、1)T7RNA転写開始(一本下線)部位、2)内部フォワードおよびリバースプライマー(二本下線)、および3)リアルタイム内部プローブ配列(太線)を示す。RNAはT7フォワード(一本下線)およびIPCリバース(二本下線)プライマーを使用したPCR増幅によって合成し、GreenT7転写開始部位を使用してインビトロ転写する。生成する一本鎖RNAポリマーは130ヌクレオチド長であり、IPC配列はRNA転写産物内に(フォワードおよびリバースプライマーにより結合して)位置する。
【0261】
【化7】

この試験で利用した例示的なDNA配列に関する仕様は以下の通りである:DNAヌクレオチドの合計数は141であり、一方RNAヌクレオチドの合計数は130である。
【0262】
Aの%=26.95 (38ヌクレオチド)
Gの%=22.70 (32ヌクレオチド)
Tの%=26.24 (37ヌクレオチド)
Cの%=24.11 (34ヌクレオチド)
G+Cの含有率:
A+Tの%=53.19 (75ヌクレオチド)
C+Gの%=46.81 (66ヌクレオチド)
塩基数:38(A)、34(C)、32(G)、および37(T)。
【0263】
例示的なIPCアッセイ用のプライマーおよびプローブ配列は、合成DNA/RNAポリマー内に位置する(以下に示す)。生成する増幅産物は100bp長である。プライマーおよびプローブアッセイを設計して、それぞれ逆転写およびホットスタート活性化に関する50℃で20分間および95℃で5分間の1サイクルからなる2ステップの熱循環プロトコールを使用して操作した。次いでこれに95℃で15秒および60℃で30秒の40サイクルを続けた。
【0264】
フォワードプライマー:5’−GTGCAGTCAGTCCCTCGGTTA−3’(配列番号24)。
【0265】
リバースプライマー:5’−TTGACTTTGAAACCTGGACTGATC−3’(配列番号25)。
【0266】
プローブ:5’−(FAM)−AAATATCCGTACCGTAGTCG−(MGB)−3’(配列番号26)。
【0267】
【表12】

【0268】
前に記したように、いずれも非ゲノム性であり、哺乳動物ゲノム、または対象の病原体種のゲノムと有意にハイブリダイズしないIPC配列を調製することが望ましい。
【0269】
その目的のため、配列番号1からPCR増幅によってインビトロで生成したIPCを、いくつかのウイルスおよび細菌種、ならびに全ヒトRNAおよびDNA由来の一群の全ゲノム配列に対してスクリーニングした。表12はスクリーニングした種を列挙し、いずれもIPC配列とクロスハイブリダイズせず、試験したいずれの生物とも有意な相同性を欠く「ナンセンス」対照配列としてのその所望性を示した。
【0270】
前に記したように、本発明のIPCは、配列番号1として本明細書に開示する通りの例示的DNAアンプリコンから調製する必要はない。適切な担体RNA分子のインビトロ調製において有用なDNA配列の他の例には、非制限的に、1つ以上の以下の配列がある。それぞれの場合、ポリメラーゼ転写部位(ここでは、T7転写部位)は一本下線で示し、一方で例示的なフォワードおよびリバースPCRプライマー結合ドメインの配列は二本下線で示す。適切な標識分子プローブが結合する例示的な配列ドメインは太線で示す。
【0271】
【化8】


【0272】
本明細書で開示および特許請求する全ての組成物および方法は、本開示に照らして過度の実験なしで作製し実施することができる。本発明の組成物および方法を例示的な実施形態に関して記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに、本明細書に記載する組成物、方法、および方法のステップまたはステップの順序に変形を施すことができることは、当業者には明らかである。より具体的には、同じまたは類似の結果を得ながら、化学的と生理的の両方で関連がある特定の作用物質は本明細書に記載する作用物質で置換することができることは明らかである。当業者には明らかである全てのこのような類似した置換および修飾は、添付の特許請求の範囲によって定義するように、本発明の精神、範囲および概念の範囲内にあると考えられる。したがって、特許請求すべき専有権は以下の特許請求の範囲に記載する通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって
a)1つ以上のカオトロープ、
b)1つ以上の界面活性剤、
c)1つ以上の還元剤、
d)1つ以上のキレート剤、
e)1つ以上のバッファー、および
f)核酸セグメントであって、
(1)核酸セグメントの検出に特異的である約12から約40ヌクレオチド長の標識プローブと特異的に結合する第一の配列ドメインを含み、
(2)約20から約40ヌクレオチド長のフォワードPCR増幅プライマーと特異的に結合する第二の配列ドメインを含み、ならびに
(3)約20から約40ヌクレオチド長のリバースPCR増幅プライマーと特異的に結合する第三の配列ドメインを含む
核酸セグメントを含む約60から500ヌクレオチド長の単離、一本鎖核酸分子
を含み、
第二の配列ドメインと第三の配列ドメインが操作可能に位置して、フォワードおよびリバースプライマーからの、核酸セグメントの少なくとも第一部分のPCR定方向増幅を、前記少なくとも第一部分を増幅するのに有効な条件下で容易にし、
前記分子が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、哺乳動物ゲノム、または哺乳動物に対して病原性である細菌、真菌、またはウイルスのゲノムと実質的に結合せず、ならびに
さらに(a)−(e)が、サンプルと組成物の接触時に、1つ以上のタンパク質を変性する、1つ以上のヌクレアーゼを不活性化する、1つ以上の病原体を殺滅する、または核酸集団を含有する疑いがあるサンプル中で1つ以上の核酸が分解するのを妨げるのに十分な量で組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
(a)−(e)のそれぞれが、約1日から約90日の間約10℃から約40℃の温度で保存するとき、一本鎖核酸分子を含むヌクレオチド集団の実質的分解を阻害または予防するのに十分な量で組成物中に存在する、請求項1の組成物。
【請求項3】
a)1つ以上のカオトロープが約0.5Mから約6Mの量でそれぞれ存在し、
b)1つ以上の界面活性剤が約0.1%から約1%(重量/体積)の量でそれぞれ存在し、
c)1つ以上の還元剤が約0.05Mから約0.3Mの量でそれぞれ存在し、
d)1つ以上のキレート剤が約0.01mMから約1mMの量でそれぞれ存在し、および
e)1つ以上のバッファーが約1mMから約1Mの量でそれぞれ存在する、
請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
標識プローブが、少なくとも第一の副溝結合剤、放射性標識、発光標識、化学発光標識、蛍光標識、酵素標識、磁気標識、またはスピン共鳴標識、またはこれらの組合せを含む、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
a)1つ以上のカオトロープが、グアニジンチオシアネート、グアニジンイソシアネート、グアニジン塩酸塩、またはこれらの任意の組合せを含み、
b)1つ以上の界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン、またはこれらの任意の組合せを含み、
c)1つ以上の還元剤が、2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、ジチオスレイトール、ジメチルスルホキシド、またはこれらの任意の組合せを含み、
d)1つ以上のキレート剤が、エチレングリコール四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、エチレンジアミン四酢酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組合せを含み、または
e)1つ以上のバッファーが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、クエン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、重炭酸塩、リン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含む、
請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
g)シリコーンポリマー、ポリソルベート、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の表面活性剤、
h)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、またはヘキサノール、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の短鎖アルカノール、ならびに
i)シリコーンポリマー、ポリソルベート、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の消泡剤、ならびにこれらの任意の組合せ
の1つ以上をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
a)約6.0から7.0のpHに緩衝されている、
b)RNAseもしくはDNAse活性を実質的に含まない、または
c)RNA、DNA、PNA、もしくはこれらの任意の組合せを含む細菌、ウイルスもしくは真菌起源の単離ポリヌクレオチドの集団をさらに含む、
請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
a)約4Mのグアニジンチオシアネート、約30mMのクエン酸ナトリウム、約0.25%(重量/体積)のドデシル硫酸ナトリウム、約0.25%(重量/体積)のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、(v)約0.1Mの2−メルカプトエタノール、および約0.1%の(重量/体積)シリコーンポリマー、
b)約3Mのグアニジンチオシアネート、約1mMのTCEP、約10mMのクエン酸ナトリウム、約0.5%のN−ラウロイルサルコシン、約0.0002%のシリコーンポリマー、約100mMの2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)、および約0.1mMのEDTA、
c)約1Mから約4Mのグアニジンチオシアネート、約0.5mMから10mMのTCEP、約1mMから100mMのクエン酸ナトリウム、約0.1%から約1%のSDSもしくはNLS、約0.001%から約0.0001%のシリコーンポリマー、約10mMから約500mMのTRIS、約0.1mMから約1mMのAPCA、EDTA、EGTA、HEDTA、DTPA、NTA、もしくはクエン酸、および約10%から約25%のエタノール(体積/体積)、または
d)約3Mのグアニジンチオシアネート、1mMのTCEP、約10mMのクエン酸ナトリウム、約0.5%のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、約0.0002%のシリコーンポリマー、約100mMのTRIS、約0.1mMのEDTA、および約10%から約25%のエタノール(体積/体積)
を含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
核酸の集団を、組成物を含む単一反応容器中に回収および保存する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
サンプルが臨床、獣医学的、疫学的、環境、法医学的、もしくは病理学的起源の生物サンプルである、またはサンプルが、ウイルス、細菌、真菌、または哺乳動物起源の1つ以上のポリヌクレオチドを含有する、もしくは含有する疑いがある、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
単離、一本鎖核酸分子が配列:
【化1】

からの少なくとも20の隣接ヌクレオチドを含む、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
微生物、真菌またはウイルス感染の診断または療法において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
微生物感染、またはその1つ以上の症状を診断または治療するための医薬品の製造における、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
細菌、ウイルス、または真菌感染、またはその1つ以上の症状を診断または治療するための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
a)請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物、および
b)微生物感染の診断または治療において組成物を使用するための説明書
を含む、診断キットまたはサンプル回収システム。
【請求項16】
生物サンプルからポリヌクレオチドの精製集団を入手する有効性を増大するのに十分な量および時間、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離、一本鎖核酸分子を含む組成物と前記サンプルを接触させることを含む、ポリヌクレオチドの精製集団を、そのようなポリヌクレオチドを含有する疑いがある生物サンプルから入手する有効性を増大するための方法。
【請求項17】
生物サンプル中のポリヌクレオチド集団の完全性またはポリヌクレオチドの1つの少なくとも第一配列の適合度が、前記サンプルを含む組成物を(a)約7日から約14日の間、または(b)約14日から約30日の間、約10℃から約40℃の温度で保存するときに、少なくとも実質的に保たれる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)サンプルを含む組成物を、回収時から内部のポリヌクレオチド集団を単離、精製、または特徴付けする時間まで、実質的に約10℃から約40℃の温度で保存する、または(b)サンプルを含む組成物を約7日から約30日の間約10℃から約40℃の温度で保存した後に、サンプル中に含有されるポリヌクレオチド集団の約5%未満が分解される、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
サンプルを含む組成物を、(a)約24時間から約96時間の間約10℃から約40℃、または(b)約7日から約30日の間約10℃から約30℃の温度で保存する、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
精製サンプルから入手したポリヌクレオチド集団を分析または定量化するステップをさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
定量化のステップが分子のPCRサイクル閾値(C)の決定を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
核酸を含有する疑いがある生物サンプルからポリヌクレオチド集団を入手する方法であって、サンプルを含む組成物を少なくとも約7日から約30日の間約10℃から約40℃の温度で保存した後に、サンプル中に含有されるポリヌクレオチド集団の約30%未満が分解されるように、ポリヌクレオチド集団を安定化するのに十分な量で存在する、
約1Mから約4Mのグアニジンチオシアネート、
約0.5mMから10mMのTCEP、
約1mMから100mMのクエン酸ナトリウム、
約0.1%から約1%のN−ラウロイルサルコシンナトリウム塩
約0.001%から約0.010%の10%消泡剤A溶液
約10mMから約500mMのTris、
約0.1mMから約1mMのEDTA、
約10%から約25%のエタノール(体積/体積)、および
配列
【化2】

を有する核酸分子
を含む一定量の組成物を、サンプルと接触させることを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−523851(P2012−523851A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507319(P2012−507319)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/031761
【国際公開番号】WO2010/123908
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511252903)ロングホーン・バクシーンズ・アンド・ダイアグノステイツクス・エル・エル・シー (1)
【Fターム(参考)】