説明

生理不活性被膜を有する基材

本発明は、(i)基材の表面を酸化するステップ、(ii)基材の酸化表面に1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を塗布するステップ、及び(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成させるステップを含む、基材の表面への生物学的材料の低下された付着性を付与する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面への生物学的材料の低下された付着性を付与する方法と、基材を被覆する方法と、前記方法における使用に適した化合物の混合物とに関する。
【0002】
基材を生物学的な侵襲及び増殖から保護するために、殺生物剤で基材を処理することができる。基材の表面上の生物学的材料(例えば植物、藻又は微生物)の望ましくない蓄積は、通常、生物学的汚損と呼ばれる。一般的な防汚剤としては、テトラブチルスズ(TBT)や酢酸フェニル水銀がある。防汚剤は、環境中に漏出すると、環境を汚染する。これらの殺生物剤の漏出は、標的生物の中に耐性を引き起こす可能性があり、防汚剤は、通常、ヒトや他の哺乳類等の非標的生物に対しても非常に毒性が高いことから、これらの生物体に対する望ましくない害を除外することはできない。
【0003】
従って、本発明の目的は、一般的な防汚剤を必要とすることなく基材を生物学的な侵襲及び増殖から保護する方法を提供することである。前記方法はまた、既存の装置で、大量に、且つ、連続的な様式で技術的に可能となる。
【0004】
この目的は、請求項1及び10の方法、請求項17の基材、及び請求項18の混合物により解決される。
【0005】
本発明の基材の表面への生物学的材料の低下された付着性を付与する方法は、以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップ
(ii)基材の酸化表面に1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を塗布するステップ、及び
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成させるステップ、を含む。
【0006】
生物学的材料は、タンパク質、胞子、核酸、ウィルス又は生物学的細胞、並びに生物学的細胞の断片又は抽出物であり得る。
【0007】
タンパク質の例としては、繊維状タンパク質(例えばアクチンやチューブリン)、球状タンパク質(例えばアルブミン、フィブリン、トロンビン、免疫グロブリン)、酵素(例えば酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素)、プリオンがある。
【0008】
胞子の例としては、真菌、シダ類、シダ類似植物の胞子がある。
【0009】
核酸の例としては、デオキシリボ核酸やリボ核酸がある。
【0010】
ウィルスの例としては、アデノウイルス、AIDSウィルス、ラムダファージ、T4ファージ、T7ファージがある。
【0011】
生物学的細胞の例としては、古細菌、細菌細胞、真核細胞がある。
【0012】
細菌細胞の例としては、アクチノバクテリア門、クラミジア門、シアノバクテリア門、ファーミキューテス門、プロテオバクテリア門、スピロヘータ門に由来する細胞がある。アクチノバクテリア門の属の例としては、アクチノミセス属、アルトロバクター属、コリネバクテリウム属、ノカルジア属、ストレプトミセス属がある。ファーミキューテス門の属の例としては、バチルス属、エンテロコッカス属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、アセトバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属、ヘリオバクテリウム属がある。プロテオバクテリア門の属の例としては、エンテロバクター属、エシェリヒア属、クレブシエラ属、サルモネラ属、シュードモナス属、ビブリオ属、バークホルデリア属、ヘリコバクター属、カンピロバクター属がある。大腸菌種の細胞が、特に好ましい細菌細胞である。
【0013】
真核細胞の例としては、真菌細胞、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞がある。
【0014】
真菌細胞の例としては、カビ、キノコ、イースト細胞がある。イースト細胞の例としては、サッカロミセス属やカンジダ属の細胞がある。サッカロミセスセレビジエ種及びカンジダアルビカンス種の細胞は、特に好ましいイースト細胞である。
【0015】
好ましい生物学的材料は、タンパク質、細菌細胞及び生物学的細胞である。より好ましい生物学的材料は、タンパク質、細菌細胞及び真菌細胞である。最も好ましい生物学的材料は、細菌細胞、特に大腸菌の細菌細胞である。
【0016】
基材の表面に対する生物学的物質の付着度は、本発明の方法に従って処理された基材の表面に付着した生物学的材料の量を、未処理の基材の表面に付着した生物学的材料の量と比較することにより決定することが可能である。
【0017】
基材は、シートやフィルム等の二次元的な対象物、又はいかなる三次元的な対象物であってよく、それは、透明又は不透明であり得る。基材は、紙、厚紙、木、革、金属、織物、ガラス、セラミック、石及び/又はポリマーから作製され得る。
【0018】
金属の例としては、鉄、ニッケル、パラジウム白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウムや、合金(例えば鋼、黄銅、青銅、ジュラルミン)がある。
【0019】
織物は、動物や植物由来の繊維等の天然繊維、又は合成繊維から作製され得る。動物由来の天然繊維の例としては、羊毛や絹がある。植物起源の天然繊維の例としては、綿、亜麻、ジュートがある。合成織物の例としては、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリオレフィン(例えばポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド(例えばナイロンやライクラ)がある。
【0020】
セラミックの例としては、粘土から主に作製される製品(例えばレンガ、タイル、磁器)や、技術的なセラミックがある。技術的セラミックは、酸化物(例えば酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム)、炭化物(例えば炭化ナトリウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素)、ホウ化物(例えばホウ化チタン)、窒化物(例えば窒化チタンや窒化ホウ素)及びケイ化物(例えばケイ化ナトリウムやケイ化チタン)であり得る。
【0021】
石の例としては、石灰岩、花崗岩、片麻岩、大理石、粘板岩、砂岩がある。
【0022】
ポリマーの例としては、アクリルポリマー、スチレンポリマー及びその水素化物、ビニルポリマー及びその誘導体、ポリオレフィン及びその水素化物又はエポキシド化物、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、スルホン系ポリマー並びにその天然ポリマー及び誘導体がある。
【0023】
アクリルポリマーは、少なくとも1種のアクリルモノマー或いは又は少なくとも1種アクリルモノマー及び少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマー(例えばスチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマー、マレイン酸モノマー)から形成されるポリマーであり得る。
【0024】
アクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートがある。スチレンモノマーの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ビニルビフェニルがある。ビニルモノマーの例としては、ビニルアルコール、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルイソブチルエーテル、ビニルアセテートがある。オレフィンモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、それらの塩素化誘導体やフッ素化誘導体(例えばテトラフルオロエチレン)がある。マレイン酸モノマーの例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイミドがある。
【0025】
アクリルポリマーの例としては、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸、スチレン/2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、スチレン/アクリル酸コポリマー。
【0026】
スチレンポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマー或いは少なくとも1種のスチレンモノマー及び少なくとも1種のビニルモノマー、オレフィンモノマー及び/又はマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。スチレンポリマーの例としては、ポリスチレン(PS)、スチレンブタジエンスチレンブロックポリマー、スチレンエチレンブタジエンブロックポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマーがある。
【0027】
ビニルポリマーは、少なくとも1種のビニルモノマー或いは少なくとも1種のビニルモノマー及び少なくとも1種のオレフィンモノマー又はマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。ビニルポリマーの例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、部分的加水分解ポリビニルアセテート、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーがある。それらの誘導体の例としては、カルボキシ修飾ポリビニルアルコール、アセトアセチル修飾ポリビニルアルコール、ジアセトン修飾ポリビニルアルコール、ケイ素修飾ポリビニルアルコールがある。
【0028】
ポリオレフィンは、少なくとも1種のオレフィンモノマー或いは少なくとも1種のオレフィンモノマー及びマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。ポリオレフィンの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリブタジエン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon−PTFE)、塩素化ポリエチレン、イソプロピレン−無水マレイン酸コポリマーがある。
【0029】
アルデヒドポリマーは、少なくとも1種のアルデヒドモノマー又はアルデヒドポリマーと、少なくとも1種のアルコールモノマー又はアルコールポリマー、アミンモノマー又はアミンポリマー及び/又は尿素モノマー又は尿素ポリマーとから形成されるポリマーであり得る。アルデヒドモノマーの例としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、ブチラールがある。アルコールモノマーの例としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノールがある。ポリアルコールの例としては、ポリビニルアルコールがある。アミンモノマーの例としては、アニリンやメラミンがある。尿素モノマーの例としては、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミドがある。アルデヒドポリマーの例としては、ブチラールから形成されるポリビニルブチラールや、ポリビニルアルコールがある。
【0030】
エポキシドポリマーは、少なくとも1種のエポキシドモノマーと、少なくとも1種のアルコールモノマー及び/又はアミンモノマーとから形成されるポリマーであり得る。エポキシドモノマーの例としては、エピクロロヒドリンやグリシドールがある。アルコールモノマーの例としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノールA、グリコールがある。エポキシドポリマーの例としては、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとから形成されるフェノキシ樹脂がある。
【0031】
ポリアミドは、アミド基又はアミノ基並びにカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、或いは2個のアミノ基を有する少なくとも1種のモノマー及び2個のカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されるポリマーであり得る。アミド基を有するモノマーの例としては、カプロラクタムがある。ジアミンの例としては、1,6−ジアミノヘキサンがある。ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸がある。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンアジパミドやポリカプロラクタムがある。
【0032】
ポリエステルは、ヒドロキシ基並びにカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、或いは2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1種のモノマーと、2個のカルボキシ基又は1個のラクトン基を有する少なくとも1種のモノマーとから形成されるポリマーであり得る。ヒドロキシ基並びにカルボキシ基を有するモノマーの例としては、アジピン酸がある。ジオールの例としては、エチレングリコールがある。ラクトン基を有するモノマーの例としては、カプロラクトンがある。ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸がある。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)がある。いわゆるアルキド樹脂もまた、ポリエステルポリマーに属すると考えられる。
【0033】
ポリウレタンは、少なくとも1種のジイソシアネートモノマーと、少なくとも1種のポリオールモノマー及び/又はポリアミンモノマーとから形成されるポリマーであり得る。ジイソシアネートモノマーの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアナートがある。
【0034】
ポリカーボネートの例としては、ポリ(芳香族カーボネート)やポリ(脂肪族カーボネート)がある。ポリ(脂肪族カーボネート)は、二酸化炭素及び少なくとも1種のエポキシドから形成され得る。
【0035】
スルホン系ポリマーの例としては、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリスルホン(PSF)がある。ポリスルホン(PSF)は、4,4−ジクロロジフェニルスルホン及びビスフェノールAから形成されるポリマーである。
【0036】
天然ポリマーの例としては、デンプン、セルロース、ゼラチン、カゼイン、天然ゴムがある。誘導体の例としては、酸化デンプン、デンプン−ビニルアセテートグラフトコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトリルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースがある。
【0037】
基材は、医療分野で使用する基材であってよい。かかる基材の例としては、インプラント、人工臓器、人工関節、人工血管、医療機器(例えば創傷包帯、カテーテル、聴診器、チューブ、注射器、針)等のin−vivoで使用される基材がある。
【0038】
基材は、水ライナ又は包装、例えば食品包装であってよい。基材は、膜である可能性もあった。
【0039】
好ましくは、基材はポリマーから作製される。より好ましくは、基材は、スチレンポリマー、ビニルポリマー及びその誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル及びスルホン系ポリマーから成る群から選択されるポリマーから作製される。更により好ましくは、基材は、ポリオレフィンから作製される。最も好ましくは、基材は、ポリプロピレン(PP)又は二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)から作製される。
【0040】
好ましくは、ポリマーから作製される基材はフィルムである。
【0041】
基材の表面の酸化は、例えば、コロナ放電、プラズマ、火炎、オゾン、電子ビーム、X線又は紫外線放射による処理によって行うことが可能である。
【0042】
コロナ放電は、コロナを特徴とする、気体中の2つの電極の内の1つが、電極間よりも著しく大きいその表面での電界を引き起こす形状を有する場合に発生する放電であり得る。気体としては、通常、空気が用いられる。基材は、例えば2つの電極間に基材としてのフィルムを通すことによって、通常、2つの電極間の放電場における周囲圧力で位置する。
【0043】
プラズマは、電子及びイオンが存在する気体であり得る。プラズマは、高温又は高電場で気体を処理することにより作製することが可能である。プラズマ処理は、通常、真空室において、不活性ガス又は反応性ガス、例えば酸素から成るガス雰囲気中で非熱的プラズマにより10〜100Paで行われる。
【0044】
火炎は、可燃性ガスと、酸素含有ガス、例えば大気とが混合して燃焼する際に形成される火炎であり得る。可燃性ガスの例としては、プロパン、ブタン、都市ガスがある。火炎処理は、通常、周囲圧力で行われる。
【0045】
オゾンは、コロナ放電において、又は、紫外線放射によって、大気酸素から生成させることができる。
【0046】
電子ビームは、電子ビーム加速器によって、例えば陰極線管によって生成させることができる。
【0047】
X線は、X線発生装置によって、例えばX線管によって生成させることができる。
【0048】
好ましくは、表面の酸化は、コロナ放電、プラズマ又は火炎による処理によって行われる。より好ましくは、それは、コロナ放電処理又はプラズマ処理によって行われる。
【0049】
1種以上のエチレン性不飽和化合物は、重合可能な任意のエチレン性不飽和化合物であってよい。
【0050】
1種以上のエチレン性不飽和化合物は、例えば、式
【化1】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであってよく、
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)R4、C(O)OR5、OR6、OC(O)R7、NR8C(O)R9又はC(O)NR1011であってよく、ここでアリールは、以下で概説されるように、非置換又は置換されていてもよく、
ここで、
4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、同一又は異なってよく、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく、及び
8及びR9は、同一又は異なってよく、R5と同じ意味を有してよく、更に、NC(O)と共に4〜7員環を形成してよく、
ここで、
1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2は、1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又は非置換又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく、
2-30アルケニル基は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく、
アリール基又はアリール−C1-30アルキレン−アリール基は、1つ以上のC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていなくても置換されていてもよく、ここで
12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、
及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]のものであってよい。
【0051】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であってよい。C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルであってよい。
【0052】
1-6アルキレン−アリール−(C1-6−アルキル)2の例としては、トリエチルイソシアヌレートがある。C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキルの例としては、ジメチルトリシクロデカンがある。
【0053】
アリールは、フェニル又はナフチル又はヘテロアリール(例えばイミダゾリル、ピリル、イソシアヌリル)であってよい。好ましくは、アリールはフェニルである。
【0054】
1-6アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルであってよい。
【0055】
1-100アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。C1-100アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、エイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチルがある。
【0056】
3-8シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルがある。
【0057】
2-30アルケニルの例としては、ビニルやアリルがある。
【0058】
アリール−C1-30アルキレン−アリールの例としては、フェニル−エチレン−フェニルやフェニル−プロピレン−フェニルがある。
【0059】
式1のエチレン性不飽和化合物の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリル酸、メタクリルアミド、ビニルアセテート、イソブチルビニルエーテル、スチレン、N−ビニルピロリジノン、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、グリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート及びネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール−モノ−メタクリレートがある。
【0060】
好ましくは、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素又はC1-6アルキルである。
【0061】
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR5、OR6、OC(O)R7、NR8C(O)R9又はC(O)NR1011であり、ここでR5、R6、R7、R10及びR11は、水素、C1-100アルキル、C2-30アルケニル又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであり;R8及びR9は、同一又は異なり、R5と同じ意味を有し、更に、NC(O)と共に4〜7員環を形成してよく、ここで、C1-100アルキルは、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、O−C2-30アルケニル、OR15、NR1617、OC(O)C(R21)=C(R22)R23、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく、及びアリールは、非置換又は1つ以上のC2-30アルケニル又はOC(O)C(R21)=C(R22)R23で置換されていてもよく;R15、R16、R17、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであり、及び、C1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、及びC3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい。
【0062】
より好ましくは、Aは、C(O)OR5[式中、R5は、C1-100アルキルであり、ここでC1-100アルキルは、1つ以上のOC(O)C(R21)=C(R22)R23で置換され、C1-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−で置換してよい]である。
【0063】
式1の好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートがある。
【0064】
これらの化合物は、例えばSartomer Companyから市販されている。或いは、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート及びポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートは、例えば、ポリエチレングリコール(600)をそれぞれメチルアクリレート及びメチルメタクリレートと反応させることによって製造することが可能である。
【0065】
最も好ましくは、Aは、C(O)OR5[式中、R5は、C30-60アルキルであり、ここでC30-60アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよく、1つ以上のOC(O)C(R21)=C(R22)R23で置換され、C30-60アルキルの1個以上のCH2基は、−O−で置換してよい]である。
【0066】
式1の特に好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート及びポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート及びエトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレートがある。ポリエチレングリコール(600)ジアクリレートは、式1の最も好ましい化合物である。
【0067】
また、前記1種以上のエチレン性不飽和化合物は、アリル基、例えばジアリルフタレート、トリアリルホスフェート及びトリアリルイソシアヌレートであってもよい。
【0068】
また、前記1種以上のエチレン性不飽和化合物は、少なくとも5個のモノマー単位を有するポリマーを形成し得るマクロモノマーであってもよく、そのマクロモノマーは、1’000〜1’000’000’000g/モルの範囲の分子量を有し、且つ、エチレン性不飽和基を有する側鎖を有する。この種のマクロモノマーの例としては、(メタ)アクリロイル修飾ポリビニルアルコール、(メタ)アクリロイル修飾部分加水分解ポリビニルアセテート、(メタ)アクリロイル修飾メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリロイル修飾メチルイソプロピレン−無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリロイル修飾ポリウレタン、(メタ)アクリロイル修飾セルロースがある。
【0069】
前記1種以上のエチレン性不飽和化合物は、好ましくは式1の化合物である。
【0070】
好ましくは、前記組成物は、溶媒を含むこともできる。
【0071】
前記溶媒は、水、有機溶媒又はそれらの混合物であってよい。
【0072】
有機溶媒の例としては、C1-4アルカノール、C2-4ポリオール、C3-6ケトン、C4-6エーテル、C2-3ニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホランがあり、それによってC1-4アルカノール及びC2-4ポリオールはC1-4アルコキシで置換してよい。C1-4アルカノールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールがある。そのC1-4アルコキシ誘導体の例としては、2−エトキシエタノールや1−メトキシ−2−プロパノールがある。C2-4ポリオールの例としては、グリコールやグリセロールがある。C3-6ケトンの例としては、アセトンやメチルエチルケトンがある。C4-6エーテルの例としては、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランがある。C2-3ニトリルの例としては、アセトニトリルがある。好ましくは、有機溶媒は、C1-4アルカノール、C2-4ポリオール、C3-6ケトン、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドから成る群から選択され、それによってC1-4アルカノール及びC2-4ポリオールはC1-4アルコキシで置換してよい。より好ましくは、有機溶媒はC1-4アルカノールである。
【0073】
好ましくは、前記溶媒は、水或いは水及び有機溶媒の混合物である。
【0074】
前記組成物はまた、1種以上のラジカル開始剤を含むこともできる。前記1種以上のラジカル開始剤は、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の熱開始剤や光重合開始剤であってよい。好ましくは、前記1種以上のラジカル開始剤は光重合開始剤である。
【0075】
前記光重合開始剤は、式
【化2】

[式中、
Lは、水素又は
【化3】

[式中、C1-6アルキレンは非置換又はヒドロキシルで置換されてもよい]であってよく、及び
27、R28及びR29は、同一又は異なってよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アルキル、アリール、O−C1-6アルキル、O−アリール、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR3031であってよく、
ここでR30及びR31は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル、O−C1-6アルキル及びS−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル、OC(O)C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化4】

であってよく、ここでE及びGは、−O−、−S−又はNR40であってよく、ここでR40は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR40、R32、R35はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化5】

で置換してよく;
32、R35及びR39は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であってよく、
36、R37及びR38は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル、S−C1-100アルキル、NR451-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であってよく、ここでR45はR32と同じ意味を有してよく、R44はR36と同じ意味を有してよく、
33及びR34は、R36と同じ意味を有してよく、更に、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成してよく、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54、C(O)OC(R55)=C(R56)R57
【化6】

で置換されていてもよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54又はC(O)OC(R55)=C(R56)R57で置換されていてもよく;
ここでR41、R42、R43、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56及びR57は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、
及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NR40−及び/又はフェニレンで置換してよく、及びC3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]のものであってよい。C1-6アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン及びブチレンがある。
【0076】
式2の光重合開始剤の例としては、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインエチルエーテル)、ベンジルモノケタール(例えば2,2−ジエトキシ−1−フェニルエタノンや2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタノン)、α置換アセトフェノン誘導体(例えば2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン)、アシルホスフィン酸化物(例えばジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物やフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物)、α−アシルオキシムエステル(例えば1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)オクタン−1,2−ジオン)、フェニルグリオキサル酸エステル(例えばジエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、トリエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(150)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(300)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(400)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート))がある。
【0077】
式2の好ましい化合物において、R27、R28及びR29は、同一又は異なってよく、水素、ヒドロキシル、C1-6アルキル、O−C1-6アルキル、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR3031であってよく、ここでR30及びR31は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル及びO−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化7】

であり、ここでE及びGは、−O−又はNR40であってよく、ここでR40は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR40、R32、R35はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化8】

で置換してよく、
32、R35及びR39は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であってよく;
36、R37及びR38は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル又はC(O)R44であってよく;R33及びR34は、R36と同じ意味を有してよく、更に、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成してよく、R44はR36と同じ意味を有してよく、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のアリール、アミノ、ヒドロキシル、OC(O)C(R52)=C(R53)R54、C(O)OC(R55)=C(R56)R57
【化9】

で置換されていてもよく、
ここでR41、R42、R43、R52、R53、R54、R55及びR56及びR57は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキルで置換されていてもよく、及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NR40−で置換してよい。
【0078】
式2のより好ましい化合物において、R27、R28及びR29は、同一又は異なってよく、水素、ヒドロキシル、C1-6アルキル、O−C1-6アルキル、S−C1-6アルキル又はNR3031であってよく、ここでR30及びR31は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、ここでC1-6アルキル及びO−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化10】

であり、ここでGは、−O−又はNR40であってよく、ここでR40は水素であってよく、或いはR40及びR35は窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化11】

で置換してよく、R35は、水素、C1-100アルキル又はC2-30アルケニルであり、ここでC1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のアミノ、ヒドロキシル、OC(O)C(R52)=C(R53)R54及び/又は
【化12】

で置換されていてもよく、
ここでR41、R42、R43、R52、R53及びR54は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NR40−で置換してよい。
【0079】
式2の最も好ましい化合物において、R27、R28及びR29は、水素又はC1-6アルキルであり、及び
Xは、
【化13】

であり、
ここでGは、−O−であり;R35は、C1-100アルキルであり、ここでC1-100アルキルは、非置換又は1つ以上の
【化14】

で置換されていてもよく、及び
1-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−で置換してよい。
【0080】
式2の特に好ましい光重合開始剤は、ジエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、トリエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(150)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(300)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(400)ジ(フェニルグリオキシレート)及びポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)である。ポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)が特に好ましい。
【0081】
また、前記光重合開始剤は、チタノセン、或いは共開始剤(例えば三級アミン)とのそれぞれベンゾフェノン及びチオキサントン誘導体の組み合わせであってもよい。しかし、好ましくは、前記光重合開始剤は式2の化合物である。
【0082】
前記組成物は、1個以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含むこともできる。通常、これらの化合物は、殺生物的活性を有する。1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、式
【化15】

[式中、
58、R59及びR60は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、
61、R62及びR63は、同一又は異なってよく、及び、C1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル、アリールであるか、或いはR61及びR62は、アンモニウム基のNと共に4〜8員環を形成し、ここで前記環の1個のCH2基は、NH又はOで置換してよく、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-15アルキレンであり、
Mは架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はアニオンであり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル又はC1-15アルキレンは、非置換又は1つ以上のアリール、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR64、C(O)NR6566、OR67、NR6869、NHC(O)C(R70)=C(R71)R72、OC(O)C(R73)=C(R74)R75又はC(O)OC(R76)=C(R77)R78で置換されてもよく;
ここでアリールは、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR64、C(O)NR6566、OR67、NR6869、NHC(O)C(R70)=C(R71)R72、OC(O)C(R73)=C(R74)R75又はC(O)OC(R76)=C(R77)R78で置換されてもよく;
64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77及びR78は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-15アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]のものであってよい。
【0083】
1-30アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。C1-30アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチルがある。
【0084】
1-15アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン、ブチレンがある。
【0085】
架橋基Mの例としては、C3-8シクロアルキレン、アリーレン、ポリマー、OC(O)、C(O)O、NH(CO)、C(O)NHがある。アリーレンは、フェニレンであってよい。ポリマーの例としては、ポリエチレンイミンがある。
【0086】
-は、任意のアニオン、例えばサルフェート、サルファイト、カーボネート、ホスフェート又はハロゲン化物であってよい。ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物であってよい。
【0087】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物の例としては、トリメチルアミノエチルアクリレートクロライド、トリメチルアミノエチルメタクリレートクロライド、トリメチルアミノテトラデシルアクリレートクロライド、トリメチルアミノヘキサデシルアクリレートクロライド、トリメチルアミノオクタデシルアクリレートクロライド及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド、並びに式
【化16】

の化合物がある。
【0088】
より好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、式
【化17】

[式中、
58、R59及びR60は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
61、R62及びR63は、同一又は異なってよく、及び、C1-30アルキル又はC2-30アルケニルであり、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-15アルキレンであり、
Mは、アリーレン、ポリマー、OC(O)及びC(O)Oから成る群から選択される架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はハロゲン化物であり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル又はC1-15アルキレンは、非置換又は1つ以上のOC2-6アルケニル、C(O)OR64、C(O)NR6566、OR67、NR6869、NHC(O)C(R70)=C(R71)R72、OC(O)C(R73)=C(R74)R75又はC(O)OC(R76)=C(R77)R78で置換されてもよく、
ここでR64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77及びR78は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-15アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]のものである。
【0089】
最も好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、式
【化18】

[式中、
58、R59及びR60は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
61、R62及びR63は、同一又は異なってよく、及び、C1-30アルキルであり、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-6アルキレンであり、
Mは、ポリマー及びOC(O)から成る群から選択される架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はハロゲン化物であり、
ここでC1-30アルキル又はC1-6アルキレンは、非置換又は1つ以上のOR67で置換されてもよく、R67は、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-6アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2で置換してよい]のものである。
【0090】
1-6アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン、ブチレンがある。
【0091】
化合物3A及び3Bは、特に好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物である。
【0092】
化合物3Aは、N−3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピル−N−ラウリル−ジメチルアンモニウムクロライド及び臭化アリルとポリエチレンイミンを反応させることによって製造することが可能である。化合物3Bは、S.M.Hamid and D.C.Sherrington、Polymer1987,28,325−331に記載のようにドデシルブロマイドとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを反応させることによって製造することが可能である。
【0093】
前記組成物は、更なる成分(例えば殺生物剤、界面活性剤、消泡剤)を含むこともできる。
【0094】
殺生物剤の例としては、例えば商品名Ciba(登録商標)Irgasan(登録商標)DP300で販売されている5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、商品名Ciba(登録商標)Irgarol(登録商標)1051で販売されているN’−tert−ブチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、商品名Ciba(登録商標)Irgaguard(登録商標)F3000で販売されている2−チアゾール−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール、クロルヘキシジン、没食子酸、ムコブロム酸、イタコン酸、商品名Maguard(商標)l−100で販売されている3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートがある。
【0095】
界面活性剤の例としては、アニオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウム)、カチオン界面活性剤(例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムや塩化セチルピリジニウム)、両性界面活性剤(例えばドデシルベタイン)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリ(エチレンオキシド)やポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー)がある。
【0096】
消泡剤の例としては、商品名Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)2526で販売されている消泡剤等の鉱油製造品や、商品名Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)2550で販売されている消泡剤等のポリエーテル官能性ポリシロキサンがある。
【0097】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0.001〜100質量%の1種以上のエチレン性不飽和化合物を含むことができる。好ましくは、それは、0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む。
【0098】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜99.999質量%の溶媒を含むことができる。好ましくは、それは10〜99.9質量%、より好ましくは80〜99質量%の溶媒を含む。
【0099】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜50質量%の1種以上のラジカル開始剤を含むことができる。好ましくは、それは、0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の1種以上のラジカル開始剤を含む。
【0100】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜50質量%の、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含むことができる。好ましくは、それは、0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の四級アンモニウム化合物を含む。
【0101】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜50質量%の更なる成分を含むことができる。好ましくは、それは、0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の更なる成分を含む。
【0102】
好ましくは、1種以上のエチレン性不飽和化合物/溶媒の質量比は、0.01/100〜50/100、より好ましくは、0.1/100〜20/100、最も好ましくは0.5/100〜10/100の範囲である。
【0103】
好ましくは、1種以上のエチレン性不飽和化合物/1種以上のラジカル開始剤のモル比は、100/1〜1/100、好ましくは10/〜1/10、より好ましくは2/1〜1/2の範囲である。最も好ましくは、1種以上のエチレン性不飽和化合物及び1種以上のラジカル開始剤は、ほとんど等モル量で用いられる。
【0104】
前記組成物は、溶液、乳濁液又は分散液であってよい。好ましくは、前記組成物は溶液である。前記組成物は、例えば、ワイヤバーを用いて、或いは、浸漬、スプレー又はスピン被覆によって塗布することが可能である。
【0105】
組成物の硬化は、1種以上のエチレン性不飽和化合物と、重合可能で、且つ、必要に応じて前記組成物中に存在する他の成分、例えば1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物との重合によって達成され得る。
【0106】
十分なラジカルが基材の酸化表面に存在する場合、1種以上のエチレン性不飽和化合物は、いずれの更なる処理を行うことなく塗布後に重合することが可能である。しかし、通常、重合は、熱、電子ビーム又は電磁放射による処理によって開始される。電磁放射の例としては、X線、ガンマ線、紫外線放射、赤外線放射、可視光、マイクロ波がある。好ましくは、重合は、電磁放射による処理によって、より好ましくは紫外線放射による処理によって開始される。通常、紫外線放射は、60〜300ワット/cm及びベルト速度1〜1000m/分、好ましくは10〜200m/分で行われる。
【0107】
好ましくは、重合は、ほんの極微量の酸素を含有する不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウムがある。好ましくは、不活性ガス雰囲気中に存在する酸素の量は、1000体積ppm未満、より好ましくは、それは500体積ppm未満、最も好ましくは、それは150体積ppm未満である。
【0108】
硬化被膜層は、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの厚みを有することができる。
【0109】
殺生物剤は、例えば表面の酸化前(ステップ(i)の前)、表面の酸化後、且つ、エチレン性不飽和化合物を含む組成物の塗布前(ステップ(i)の後、且つ、ステップ(ii)の前)、前記組成物の塗布後、且つ、硬化前(ステップ(ii)の後で、ステップ(iii)の前)、又は前記組成物の硬化後(ステップ(iii)の後)に、基材の表面に塗布することが可能である。
【0110】
基材は、本発明の方法により形成された被膜層の前又は後に基材に塗布することができる更なる被膜層で被覆してよい。
【0111】
また、本発明の一部は基材を被覆する方法であって、その方法は、以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップ
(ii)式
【化19】

[式中、
79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、Yは、C(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルは、非置換又は1つ以上のOC2-30アルケニル、OR82、NR8384、OC(O)C(R85)C=C(R86)R87及び/又はNHC(O)C(R88)C=C(R89)R90で置換されてもよく、ここでR82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89及びR90は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NH−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を、基材の酸化表面に塗布するステップ、及び
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成させるステップ、を含む。
【0112】
C(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル及びO−C30-100アルキル中のC30-100アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。
【0113】
式1Aの好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレートやポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートがある。
【0114】
式1Aの好ましい化合物において、R79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、YはC(O)−OC30-100アルキルであり、そのC(O)−OC30-100アルキルは、非置換又は1つ以上のOC2-30アルケニル、OR82、NR8384、OC(O)C(R85)C=C(R86)R87及び/又はNHC(O)C(R88)C=C(R89)R90で置換されてもよく、ここでR82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89及びR90は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NH−で置換してよい。
【0115】
式1Aのより好ましい化合物において、R79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、YはC(O)−OC30-60アルキルであり、そのC(O)−OC30-60アルキルは、非置換又は1つ以上のOC(O)C(R85)C=C(R86)R87で置換されてもよく、ここでC(O)−OC30-60アルキルの1個以上のCH2基は、−O−で置換してよい。
【0116】
C(O)−OC30-60アルキルにおけるC30-60アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。
【0117】
式1Aの特に好ましい化合物は、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート及びポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートである。
【0118】
基材の定義は、上記で定義された通りである。表面の酸化、組成物の塗布、及び組成物の硬化は、上記で定義された通りである。
【0119】
また、本発明の一部は、後の方法によって得ることができる基材である。
【0120】
また、本発明の一部は、式
【化20】

[式中、
79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、Yは、C(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルは、非置換又は1つ以上のOC2-30アルケニル、OR82、NR8384、OC(O)C(R85)C=C(R86)R87及び/又はNHC(O)C(R88)C=C(R89)R90で置換されてもよく、ここでR82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89及びR90は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NH−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物と、式
【化21】

[式中、
Lは、水素又は
【化22】

[式中、C1-6アルキレンは非置換又はヒドロキシルで置換されてもよい]であってよく、及び
27、R28及びR29は、同一又は異なってよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アルキル、アリール、O−C1-6アルキル、O−アリール、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR3031であってよく、
ここでR30及びR31は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル、O−C1-6アルキル及びS−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル、OC(O)C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化23】

であってよく、ここでE及びGは、−O−、−S−又はNR40であってよく、ここでR40は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR40、R32、R35はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化24】

で置換してよく;
32、R35及びR39は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であってよく、
36、R37及びR38は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル、S−C1-100アルキル、NR451-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であってよく、ここでR45はR32と同じ意味を有してよく、R44はR36と同じ意味を有してよく、
33及びR34は、R36と同じ意味を有してよく、更に、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成してよく、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54、C(O)OC(R55)=C(R56)R57
【化25】

で置換されていてもよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54又はC(O)OC(R55)=C(R56)R57で置換されていてもよく;
ここでR41、R42、R43、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56及びR57は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、
及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NR40−及び/又はフェニレンで置換してよく、及びC3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]の1種以上のラジカル光重合開始剤との混合物である。
【0121】
式1Aのエチレン性不飽和化合物及び光重合開始剤2に対する上記の好ましさは、ここでもまた当てはまる。
【0122】
本発明の方法は、生物学的材料の低下された付着性を付与する被膜層で被覆された基材を提供するという利点がある。これらの被覆基板によって、生物学的材料に対する耐性が増加し、従って、重金属に基づく可能性があり、且つ、毒性が高い可能性もある殺生物剤による更なる処理は時代遅れのものとなる。本発明の方法の別の利点は、大量連続方法での既存のプリント装置における生物学的材料への付着が抑制された被膜で、基材を容易に被覆することが可能であるということである。
【0123】
実施例
実施例1
ExxonMobil Chemical Companyによって供給された50μm幅の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムの両面に対して、BOPPフィルムまで0.8mm離れた1個のセラミック電極を用いて、3m/分のベルト速度で1×600Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、イソプロパノールにおけるSartomer CompanyによりSR−610として販売されているポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(1B)の1質量%溶液を、4μmワイヤバーを用いてBOPPフィルムの両面に塗布する。イソプロパノールが蒸発するまで、処理BOPPフィルムを保存する。50m/分のベルト速度で120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサと二色性反射器とを使用して、約500ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で乾燥処理BOPPフィルムに照射を行う。
【0124】
【化26】

【0125】
実施例2
1Bの1質量%の溶液の代わりに、WO06/067061の実施例3に記載のように製造した1Bとポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)(2A)との等モルの混合物の1質量%溶液を用いること以外は、実施例1の方法を繰り返す。
【0126】
【化27】

【0127】
実施例3
4μmのワイヤバーの代わりに、12μmのワイヤバーを用いること以外は、実施例2の方法を繰り返す。
【0128】
実施例4
1B及び2Aの等モル混合物の1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける、1B及び2Aの90質量%の等モル混合物(1B、2A及び3Aの全質量に対する)と、10質量%の殺生物剤3A(1B、2A及び3Aの全質量に対する)との1質量%溶液を用いること以外は、実施例2の方法を繰り返す。
【0129】
【化28】

【0130】
化合物3Aを、以下のように製造する。ポリエチレンイミン(5g)の溶液に、エタノール(60g)におけるN−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−N−ラウリル−ジメチルアンモニウムクロリド(10.35g)及び水酸化カリウム(1.71g)を添加し、窒素下で、混合物を80℃で29時間加熱する。臭化アリル(5.63g)及び水酸化カリウム(2.6g)を添加し、混合物を還流下で6時間撹拌する。反応混合物を冷却し、濾過し、濃縮して、不透明な淡黄色のシロップを得る。22時間にわたる真空乾燥後、8.6gの化合物3Aを得る。ポリアミン部分、ドデシル部分及びアリル部分は、NMRにより同定する。各ドデシル部分につき約1個のアリル部分が存在し、存在する各9個のエチレンアミノ部分につき、約1個のドデシル部分及び1個のアリル部分が存在する。
【0131】
実施例5
1B及び2Aの90質量%の等モル混合物(1B、2A及び3Aの全質量に対する)と、10質量%の3A(1B、2A及び3Aの全質量に対する)との1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける、1B及び2Aの90質量%の等モル混合物(1B、2A及び3Bの全質量に対する)と、10質量%の3B(1B、2A及び3Bの全質量に対する)との1質量%の溶液を用いること以外は、実施例4の方法を繰り返す。3Bを、S.M.Hamid and D.C.Sherrington,Polymer1987,28,325−331に記載のように製造する。
【0132】
【化29】

【0133】

【0134】
実施例6
ExxonMobil Chemical Companyによって供給された50μm幅の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムの両面に対して、BOPPフィルムまで1.5mm離れた2個のセラミック電極(15’000V、500mA、10〜40kHz)を用いて、50m/分のベルト速度で3×700Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の1質量%溶液を、4μmの大きなワイヤバーを用いてBOPPフィルムの両面に塗布する。イソプロパノールが蒸発するまで、処理BOPPフィルムを保存する。50m/分のベルト速度で80W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサと二色性反射器とを使用して、約500ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で乾燥処理BOPPフィルムに照射を行う。
【0135】
実施例7
80W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサの代わりに、120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサを用いること以外は、実施例6の方法を繰り返す。
【0136】
実施例8
1B及び2Aの等モル混合物の1質量%溶液の代わりに、1B及び2Aの等モル混合物の10質量%溶液を用いること以外は、実施例6の方法を繰り返す。
【0137】
実施例9
80W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサの代わりに、120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサを用いること以外は、実施例8の方法を繰り返す。
【0138】
実施例10
80W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサの代わりに、200W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサを用いること以外は、実施例8の方法を繰り返す。
【0139】
実施例11
ExxonMobil Chemical Companyによって供給された50μm幅の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムの両面に対して、BOPPフィルムまで1.5mm離れた2個のセラミック電極(15’000V、500mA、10〜40kHz)を用いて、50m/分のベルト速度で3×700Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の1質量%溶液を、スプレーボトルを用いるスプレーによりBOPPフィルムの両面に塗布する。イソプロパノールが蒸発するまで、処理BOPPフィルムを保存する。50m/分のベルト速度で120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサと二色性反射器とを使用して、約70〜80ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で乾燥処理BOPPフィルムに照射を行う。
【0140】
実施例12
スプレーの代わりに浸漬によって1B及び2Aの等モル混合物の1質量%溶液を塗布すること以外は、実施例11の方法を繰り返す。
【0141】
実施例13
1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の3質量%溶液を用いること以外は、実施例11の方法を繰り返す。
【0142】
実施例14
1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の3質量%溶液を用いること以外は、実施例12の方法を繰り返す。
【0143】
実施例15
1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の6質量%溶液を用いること以外は、実施例11の方法を繰り返す。
【0144】
実施例16
1質量%溶液の代わりに、イソプロパノールにおける1B及び2Aの等モル混合物の6質量%溶液を用いること以外は、実施例12の方法を繰り返す。
【0145】
実施例1〜16の処理BOPPフィルム上の細菌細胞の付着率の試験
実施例1〜16において得られた処理BOPPフィルムの一方の面を、粘着テープによってガラススライドに取り付ける。処理BOPPフィルムの反対面上に、ポリマーガスケットを配置する。100μLのHEPES緩衝液(150mM、pH=7.4)と、次いで約109細胞/mLの大腸菌K12(Professor Sokurenko、University of Washington,Seattle,WA98195,USAから得られる)を含有する400μLの溶液とを、ガスケットに添加する。37℃で20分間インキュベーションを行った後、処理BOPPフィルムに付着していない細菌細胞を、HEPES緩衝液(10×300μL)で洗い流す。BOPPフィルムを投影し、処理BOPPフィルムの表面に付着した細菌細胞の数を計数する。
【0146】
また、未処理のBOPPフィルム(比較例1)、BOPPフィルムまで0.8mm離れた1個のセラミック電極を用いて、3m/分のベルト速度で1×600Wのコロナ放電でコロナ前処理されたBOPPフィルム(比較例2)、BOPPフィルムまで1.5mm離れた2個のセラミック電極を用いて、50m/分のベルト速度で3×700Wのコロナ放電でコロナ前処理されたBOPPフィルム(比較例3)で、それぞれ同じ手順を繰り返す。未処理のBOPPフィルムに付着した細菌細胞の数は、細菌細胞の付着率100%に相当する。下記の第1表に結果をまとめる。
【0147】
【表1】

第1表
【0148】
また、シリーズCのBOPPフィルムを、a)蒸留水中に3週間、b)2007年2月、投影前の3週間、Frick/Switzerlandにおいて庭で(太陽、風、雨等の外的条件に曝露して)保存する。
【0149】
下記の第2表に結果をまとめる。
【0150】
【表2】

第2表 a決定されず
【0151】
実施例17
Kloeckner Pentaplast GMBHによって供給されている250μm幅のポリエチレンテレフタレート(PET)箔を、O2プラズマで10秒間処理する。次いで、イソプロパノールにおける、Sartomer CompanyによりSR−610として販売されているポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(1B)と、WO06/067061の実施例3に記載のように製造したポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)(2A)との60/40(モル/モル)の混合物の3質量%溶液を、PET箔の一方の面に、スピン被覆(1000rpm)によって塗布する。イソプロパノールが蒸発するまで、処理PET箔を保存する。350W圧水銀ランプ及び320nmフィルターを用いて、乾燥処理PET箔を、約20ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で5分間UV照射する。得られた被膜層は、100nmの厚さを有し、水又は石鹸液で20分間洗浄した際に安定する。
【0152】
実施例18
イソプロパノールにおける1B及び2Aの60/40(モル/モル)混合液の3質量%溶液の代わりに、エタノールにおける、1Bと、2Aと、Sartomer CompanyによりSartomer CD−552として販売されている式1Cのモノメトキシル化メタクリレートとの2/10/88(モル/モル/モル)混合液の3質量%溶液を用いたこと以外は、実施例17の方法を繰り返す。
【0153】
【化30】

【0154】
実施例19
1Bと、2Aと、1Cとの2/10/88(モル/モル/モル)混合液の3質量%溶液の代わりに、1Bと、2Aと、1Cとの2/10/88(モル/モル/モル)混合液の6質量%溶液を用いたこと以外は、実施例18の方法を繰り返す。
【0155】
実施例17〜19の処理PET箔上の細菌細胞の付着率の試験
上記に記載される実施例1〜16の処理BOPPフィルムと同様にして、実施例17〜19の処理PET箔上の細菌細胞の付着率を試験する。下記の第3表に結果をまとめる。
【0156】
【表3】

第3表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップと、
(ii)基材の酸化表面に1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を塗布するステップと、
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成させるステップと
を含む、基材の表面への生物学的材料の低下された付着性を付与する方法。
【請求項2】
前記1種以上のエチレン性不飽和化合物が、式
【化1】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであってよく、
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)R4、C(O)OR5、OR6、OC(O)R7、NR8C(O)R9又はC(O)NR1011であってよく、ここで、
4、R5、R6、R7、R10及びR11は、同一又は異なってよく、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく、及び
8及びR9は、同一又は異なってよく、R5と同じ意味を有してよく、或いはNC(O)と共に4〜7員環を形成してよく、
ここで、
1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく;
2-30アルケニル基は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく、
アリール基又はアリール−C1-30アルキレン−アリール基は、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR12、C(O)NR1314、OR15、NR1617、NHC(O)C(R18)=C(R19)R20、OC(O)C(R21)=C(R22)R23又はC(O)OC(R24)=C(R25)R26で置換されていてもよく、ここで
12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、
及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が溶媒も含む、請求項1から2までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が1種以上のラジカル開始剤も含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
エチレン性不飽和化合物が、エチレン性不飽和基を有するナノ粒子でなくてよい場合、前記組成物がラジカル開始剤を含まない、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物も含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が更なる成分も含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
1種以上の殺生物剤が、ステップ(i)の前、ステップ(i)の後、且つ、ステップ(ii)の前、ステップ(ii)の後、且つ、ステップ(iii)の前、又はステップ(iii)の後に、前記基材の表面に塗布される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材が更なる被膜層で被覆される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップと、
(ii)式
【化2】

[式中、
79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、Yは、C(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルは、非置換又は1つ以上のOC2-30アルケニル、OR82、NR8384、OC(O)C(R85)C=C(R86)R87及び/又はNHC(O)C(R88)C=C(R89)R90で置換されてもよく、ここでR82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89及びR90は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NH−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を、前記基材の酸化表面に塗布するステップと、
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成させるステップと
を含む、基材の被覆方法。
【請求項11】
前記組成物が溶媒も含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が1種以上のラジカル開始剤も含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物がラジカル開始剤を含まない、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物も含む、請求項10から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が更なる成分も含む、請求項10から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
1種以上の殺生物剤が、ステップ(i)の前、ステップ(i)の後、且つ、ステップ(ii)の前、ステップ(ii)の後、且つ、ステップ(iii)の前、又はステップ(iii)の後に、前記基材の表面に塗布される、請求項10から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項10から16までのいずれか1項に記載の方法によって得られる基材。
【請求項18】

【化3】

[式中、
79、R80及びR81は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、Yは、C(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルは、非置換又は1つ以上のOC2-30アルケニル、OR82、NR8384、OC(O)C(R85)C=C(R86)R87及び/又はNHC(O)C(R88)C=C(R89)R90で置換されてもよく、ここでR82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89及びR90は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、ここでC(O)−OC30-100アルキル、C(O)−NHC30-100アルキル又はO−C30-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NH−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物と、式
【化4】

[式中、
Lは、水素又は
【化5】

[式中、C1-6アルキレンは非置換又はヒドロキシルで置換されてもよい]であり、及び
27、R28及びR29は、同一又は異なってよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アルキル、アリール、O−C1-6アルキル、O−アリール、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR3031であってよく、
ここでR30及びR31は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであり、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル、O−C1-6アルキル及びS−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル、OC(O)C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化6】

であり、ここでE及びGは、−O−、−S−又はNR40であり、ここでR40は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR40、R32、R35はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化7】

で置換してよく;
32、R35及びR39は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であり、
36、R37及びR38は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル、S−C1-100アルキル、NR451-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R44であり、ここでR45はR32と同じ意味を有し、R44はR36と同じ意味を有し、
33及びR34は、R36と同じ意味を有し、或いは、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成し、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54、C(O)OC(R55)=C(R56)R57
【化8】

で置換されていてもよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R46、C(O)OR47、C(O)NR4849、OR50、OC(O)R51、OC(O)C(R52)=C(R53)R54又はC(O)OC(R55)=C(R56)R57で置換されていてもよく;
ここでR41、R42、R43、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56及びR57は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、かつ
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NR40−及び/又はフェニレンで置換してよく、及びC3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]の1種以上のラジカル光重合開始剤との混合物。

【公表番号】特表2010−527385(P2010−527385A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504618(P2010−504618)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054413
【国際公開番号】WO2008/132037
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】