説明

生理活性コーティングを備える医療装置の電子ビーム滅菌

【課題】本発明は、カテーテル、ティシューエンジニアリングスカフォールド、又は薬剤送達担体材料のような医療装置に使用される、ヘパリンを含有する、材料及び医用材料用生理活性ヘパリンコーティングのための、単一工程最終滅菌プロセスのための方法を提供する。
【解決手段】これには、改善された抗血栓性及び生体適合性のヘパリン表面による利益を受け得る任意の医療装置又は移植物が含まれ得る。他の関係する装置の例としては、凝固及び再狭窄を低減するためにヘパリン又はヘパリン誘導体でコーティングされたステント、歯科用又は眼科用移植物が含まれ得る。これらの材料は、ポリエチレンイミン、硫酸デキストラン、又はこれらの変性形態のような追加的な高分子組成物を含む場合がある。これらのポリマーをヘパリンコーティングと共に金属、セラミック、又は生体由来材料のような他の医療装置基材に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性表面コーティングを備える医療装置に関するものであり、より具体的には、パッケージ材に包まれた、生理活性表面コーティングを備える医療装置を、電子ビーム滅菌手法を用いて滅菌する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の記載)
数々の金属材料及び高分子材料が、移植可能な医療装置の製作及び移植可能な医療装置のコーティングの製作に使用されてきた。同じ又は異なる組成物の表面改質及びコーティングは、移植可能な医療装置の生体適合性、血液適合性、及び機能性を更に改善するために頻繁に使用される。これらの装置の表面改質又はコーティングは、典型的に、完了すべきいくつかのプロセス工程を要求する。これらのプロセスのそれぞれ及び表面コーティングによって改良された基材は、患者に使用する製品の滅菌を確実にするためにいくつかの最終滅菌のやり方を要求する。現在、地金装置に利用されている滅菌プロセスは、コーティングされた装置に利用されたときに、コーティング材料がこれらの従来の滅菌方法と適合性がない場合があるために、例えば、低いコーティング安定性及び機能のような潜在的欠点を有する場合がある。
【0003】
好ましい母材応答を目的とした異なる表面改質法が文献に記載されてきた。いくつかの米国特許は、医療装置、特に血液と接触するステントのような医療装置のコーティングのための手段及び方法を説明しているが、その後の滅菌の問題には取り組んでいない(米国特許第4,656,083号、同第5,034,265号、同第5,132,108号、同第5,244,654号、及び同第5,409,696号)。Palmazらは、血管内ステントの評価において、ステントコーティングの使用に対して懐疑的である(Palmaz,J.,F.Rivera and C.Encamacion.Intravascular Stents,Adv.Vasc.Surg.,1993,1:107〜135)。しかし、Kocsisらは、ヘパリンでコーティングされたステントの使用が、ステント表面の血栓形成の低減に効果的であったと報告している(Kocsis,J.,G.Llanos and E.Holmer.Heparin−Coated Stents,J.of Long−Term Effects of Medical Implants,2000,10 19〜45)。
【0004】
典型的な表面改質としては、ステント及びペースメーカーのような心臓血管内移植物、又は留置医療装置、局所創傷治癒用品、コンタクトレンズ、眼内レンズ、及びこれらと同類のものの表面へのポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、又はヒアルロン酸(HA)のような親水性及び/又はヒドロゲルコーティングが挙げられる。疎水性の又はぬるぬるした(lubricious)コーティングは、冠状動脈又は神経血管用ガイドワイヤ、縫合糸、針、カテーテル、及びトロカールのような医療装置に使用される。生理活性コーティングは、ティシューエンジニアリング用途における細胞接着分子(RGD(アミノ酸配列Arg−Glu−Asp)のようなCAM、ラミニン、コラーゲン、及び同類のもの)、又は大静脈フィルター又は小径血管移植物のような医療装置で使用される接着防止コーティングのような、目的とする細胞応答のために使用される。コーティング材料としては、また、抗感染剤又は抗菌剤も含まれる。いくつかのコーティングは、また、ステントからの薬剤の持続放出のような持続的薬剤放出、又は薬剤を運ぶデポーの放出時間の延長のための疎水性オーバーコートも提供する。ヘパリン、ホスホリルコリン(PC)、ウロキナーゼ、及び同類のもののような治療薬を含有する生理活性コーティングは、抗血栓特性のために使用される。
【0005】
これらのコーティングは、治療薬及び医薬剤の送達に使用される場合があり、これらには、ビンカアルカロイド(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピポドフィロトキシン(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン、及びイダルビシン)、アントスラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びミトマイシン、酵素(体系的にLアスパラギンを代謝し、それら自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を剥奪する酵素(Lアスパラギナーゼ))のような天然生成物を含む抗増殖剤/抗有糸分裂剤;窒素マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類縁体、メルファラン、クロランブチル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルフォネート−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類縁体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(DTIC)のような抗増殖剤/抗有糸分裂性アルキレート化剤;葉酸類縁体(メトトレキセート)、ピリミジン類縁体(フルオロウラシル、フロクスリジン、及びシタラビン)、プリン類縁体、及び関係する阻害剤(メルカプロプリン、チオグアニン、ペントスタチン、及び2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})のような抗増殖剤/抗有糸分裂代謝拮抗剤;プラチナ配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(すなわちエストロゲン);抗凝血剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、及び他の血栓阻害剤);線維素溶解剤(組織プラスミノーゲン活性剤、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗移動剤;抗分泌剤(ブレベルジン);抗炎症剤(アドレノコルチコステロイド(コルチゾル、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、及びデキサメタゾンのような)、非ステロイド剤(サリチル酸誘導体、すなわち、アスピリン);パラアミノフェノール誘導体、すなわち、アセトアミノフェン;インドール及びインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク、及びエトダラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリマス(FK−506)、シロリマス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管由来剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド類及びそれらの組み合わせ、が含まれる。
【0006】
コーティングは、1つ以上の治療薬を高分子コーティング混合物と混合することによって処方され得る。治療薬は、液体、超微粒子状固体、又は任意の他の適切な物理的形態として存在し得る。選択的に、コーティング混合物は、1つ以上の添加剤、例えば、希釈剤、担体、賦形剤、安定剤、又は同類のもののような非毒性補助物質を含むことができる。他の好適な添加剤を、ポリマー及び医薬活性剤又は化合物と配合してもよい。例えば、親水性ポリマーを生体適合性のある疎水性コーティングに加えて放出特性を変更すること、又は、疎水性ポリマーを親水性コーティングに加えて放出特性を変更することができる。一例は、ポリエチレンオキシド(PEO)、PVP、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシメチルセルロースからなる群から選択される親水性ポリマーを疎水性(コ)ポリマーコーティングに加えて放出特性を変更することである。適切な相対量は、治療薬の及び/又は生体内放出特性をモニタリングすることによって決定できる。
【0007】
表面改質の方法では、典型的に、表面活性化工程の後に所望の分子の結合が行われる。表面活性化は、通常、エネルギー補助気相反応(プラズマ、パルスプラズマ、フローディスチャージ反応化学(FDRC)、コロナディスチャージなど)によって、及び/又は、高度に反応性の脱離基(N−OHスクシンイシド、イミダゾールなど)で基材を活性化すること、自己組立分子(SAM、機能シラン、チオール)を用いた表面での機能分化、表面でのエステル及びアミドの制御加水分解(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、PLGAなど)によって達成される。結合反応は、典型的に、カルボジイミド化学、還元的アミノ化、マレミド−チオール反応などによって達成される。
【0008】
光化学表面改質法では、典型的に予め表面活性工程を行う必要がないため、通常、この方法が好ましい。アリルケトン系化学、アジド化学、アクリレート化学が、主たる例である。
【0009】
コーティングのタイプに関わらず、最終製品の滅菌は上記のような潜在的問題を引き起こす場合がある。熱蒸気、照射(ガンマ線及び電子ビーム)、及びエチレンオキシドのような従来の滅菌法は、コーティングの活性にマイナスの影響を与え得る。例えば、医療装置は、通常、エチレンオキシド(EtO)滅菌、ガンマ線滅菌、又は最近では電子ビーム滅菌のような最終滅菌プロセスによって滅菌される。EtO滅菌は、カテーテル、地金ステント、及び初期世代の薬剤溶出ステントのような金属及び高分子ベースの医療製品に対してマイルドである。EtO滅菌は、持続時間、温度、湿度、担体ガスと水分の割合のようなプロセスパラメータの微妙な調整、及びプロセス後に残留EtOを除去するための長時間の脱気プロセスを要する、長く、しばしば面倒なプロセスである。より重要なのは、EtOが病原菌を殺すまさにその機構(核酸の崩壊)自体が、水分存在下では、高感度の化合物及びほとんどの生体由来分子に有害であり得ることである。タンパク質、ペプチド、及び遺伝子製品は、EtOの破壊を最も被りやすい。水分が関与しないガンマ線滅菌は、生体由来物質含有装置及び薬剤装置組み合わせ製品の滅菌工程において有用となるには、極めてエネルギー集約的である。電気的に生成されたガンマ線照射である電子ビーム滅菌もまた、エネルギー集約的であり、また、多くのバイオロジクスに対し潜在的に破壊性があることで知られている。
【0010】
エチレンオキシド滅菌(EtOと水蒸気の混合物)は、ヘパリンでコーティングされた表面のような生理活性表面の活性を低減することで知られている。加えて、EtOプロセスにおける水蒸気の存在もまた、ヘパリン表面を含有する滅菌医療装置の貯蔵寿命にマイナスの影響を有することで知られている。ガンマ線及び電子ビーム滅菌プロセスのような他のエネルギー集約的プロセスは、生理活性コーティングの活性の低減を引き起こすことが示されている(米国特許6,787,179号を参照)。
【0011】
ヘパリンコーティングされたステント及びEtO滅菌を用いたこれまでの経験から、このタイプの滅菌プロセスは制御が難しく、ヘパリン活性の有意な低減が起こり得ることが示されている。EtOはまた、製造場所によるヘパリン活性の変動も引き起こし得る。
【0012】
EtO滅菌条件の小さな変化は、ヘパリン活性の広範な変化につながり、結果的に、ヘパリンでコーティングされたステントの放出仕様及び貯蔵寿命の広範な変化につながる場合がある。薬剤溶出ステントの時代において、ヘパリン及び他の生理活性コーティング又は表面は、シロリマスのような薬剤及びPLGAポリマーのような薬剤担体の近くに置かれるであろう。EtOに対するヘパリンの感度に加えて、シロリマス及び生分解性ポリマーは、かなりの量のEtOポストプロセスを持つことで知られている。加えて、PLGAは、EtOプロセスで要求される水分による加水分解によって劣化される。したがって、ヘパリンコーティングされた薬剤溶出装置の最終滅菌に電子ビームのような代替方法を使用することは有益である。文献においては、電子ビームのような高エネルギープロセスを医薬品含有バイオロジクス及び/又は薬剤装置組み合わせ製品の滅菌に使用することは概して推奨されていない。代わりに、最終パッケージ製品の滅菌を確実にするために、高価な防菌製造、濾過/凍結乾燥プロセスが一般に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
エチレンオキシド、電子ビーム及びガンマ線照射プロセスを含む従来の滅菌に伴う上記の制限のため、これらは、ヘパリンコーティングのような生理活性成分を含有する医療装置の滅菌に通常使用されてこなかった。したがって、医療装置の滅菌とその生体由来コーティングの活性との両方を確保する便利な最終滅菌プロセスの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、端的に上述したような現在使用されている滅菌手法に伴う制限を克服する。
【0015】
本発明は、医療装置を滅菌するための方法及びプロセス条件に関するものであり、生理活性ヘパリンコーティングを有する医療装置の、真空下で乾燥剤を用いて行うパッケージ工程及び封着工程と、パッケージされた医療装置及びその生理活性コーティングを好適な照射量の電子ビームプロセスで滅菌する工程と、を含む。
【0016】
本発明は、エネルギー集約的プロセスであり、生体由来成分を有する又は有さない医療製品の滅菌に通常使用される、電子ビームプロセスを目的とし、このプロセスは、表面ヘパリンコーティングの生理活性の維持のために使用することができる。最適な範囲内において、電子ビームエネルギーは、驚くべきことに、ヘパリンコーティングの生物学的機能を保持及び回復する。このプロセスはまた、不動化された、おそらく遊離形態のヘパリンの貯蔵寿命を延長する有効な手段として用いることができる。本発明は、ヘパリンコーティングされた医療装置及び他のヘパリンベースの医薬品の滅菌のための広範な用途を有する。
【0017】
本発明は、適正に制御されたときの電子ビームプロセスがヘパリンコーティングの生理活性を維持するだけでなく、溶媒への曝露及び高温長期乾燥工程を伴う薬剤溶出ステントの製造プロセス中に損失したヘパリン活性の回復もまた行う。また、制御下の実験において、25KGyの照射量の電子ビームプロセスが、長期の貯蔵中及び/又は貯蔵後に損失したヘパリンの生理活性を回復することが発見された。したがって、本発明は、他の形態でヘパリンを維持する可能性を有し得るものであり、かつ、電子ビームプロセスを使用した再処理によって製品の貯蔵寿命を延長する簡易な方法となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、以下の付随する図面に示される本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図1】本発明による拡張可能な医療装置の等尺図。
【図2】本発明による抗トロンビンIII摂取アッセイにより測定された、電子ビーム照射がヘパリン活性に与える影響を示すグラフ。
【図3】本発明による抗因子Xaアッセイにより測定された、電子ビーム照射がヘパリン活性に与える影響を示すグラフ。
【図4】本発明による電子ビーム照射がヘパリン表面密度に与える影響を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、医療装置に伴うヘパリンのような生物分子の活性を電子ビーム滅菌プロセスが破壊又は低減するという長年の重要な懸念を解決する。それはまた、ヘパリンコーティングの活性を激しく低下させることで知られるエチレンオキシド滅菌のような、より従来的な滅菌法にはるかに勝るものである。
【0020】
本発明の意外な発見は、利用したプロセス工程によって、医療装置の表面又は貯留器にあるヘパリンコーティングの活性が、文献で予測及び他者により報告されているように低減しなかったことである。FXa及び抗トロンビンバインディングアッセイの両方で測定されたヘパリン活性は、電子ビームプロセス後に、後に詳細に説明するように、利用した電子ビーム照射量に比例して一貫して意外な増加を示した。
【0021】
概して、本発明のプロセスは、生理活性ヘパリン表面を含有する医療装置を真空条件下の窒素及び乾燥剤を用いてパッケージすることと、この医療装置を好適な照射量の電子ビームによって滅菌することと、を含む。より具体的には、滅菌される装置を、出荷及び輸送中の損害を防ぐようなやり方でカテーテルコイルにパッケージする。それぞれのコイルはポーチの中に個別封着される。ポーチの中に装置が配置されるときに、真空吸引し、窒素のような非反応性ガスでパージする。再び真空吸引して、ポーチを封着する。任意の数の基材で利用できるプロセスだが、説明を簡易にするために、プロセスの代表的な実施形態はを、1つのステントに関して説明する。
【0022】
本発明の代表的な一実施形態において、基材材料は、金属、非金属、ポリマー、又は金属とポリマーの両方の組み合わせを含む場合がある。好ましい代表的な実施形態では、基材材料は、ステンレススチール、アルミニウム、ニチノール、コバルトクロム、チタン、及び同類の金属合金からなる群から選択される。代替実施形態では、この材料は、ガラス、シリカ、及びセラミックからなる群から選択される。好ましい実施形態は、ストラットに貯留器もまた有するCoCr合金(L605)冠状動脈ステントを含む。
【0023】
図1は、拡張可能な医療装置による、組織への送達のための有益な薬剤を含有する複数の孔を有する拡張可能な医療装置又はステントの代表的な実施形態を示す。図1に示される拡張可能な医療装置100は、管状の材料から切り出され、円筒形の拡張可能な装置を形成している。拡張可能な医療装置100は、複数の架橋要素104により相互接続された複数の円筒形部分102を含む。架橋要素104は、脈管の曲がりくねった経路を配備部位まで通過する際に、組織支持装置が軸方向に屈曲することを可能にし、また支持される管腔の屈曲に一致する必要がある場合、装置が軸方向に屈曲することを可能にする。円筒形のセクション102のそれぞれは、延性ヒンジ110により相互接続された細長いストラット108及び周囲方向ストラット112の網状組織から形成されている。医療装置100の拡張中、延性ヒンジ110は変形する一方、ストラット108は変形しない。
【0024】
図1に示すように、細長いストラット108及び周囲方向ストラット112は開口部114を含み、開口部の数個は、内部に拡張可能な医療装置が植え込まれた管腔に送達するための有益な薬剤を収容する。加えて、架橋要素104などの装置100の他の部分は、開口部も含むことができる。開口部114は、ストラット108等の装置100の非変形部分に提供され、それ故、装置の拡張中に開口部が変形されず、有益な薬剤は破砕、排出、又は別様に損傷される危険性なしで送達されることが好ましい。
【0025】
図示した本発明の代表的な実施形態は、有限要素解析(Finite Element Analysis)及び他の技術により更に洗練されて、開口部114内の有益な薬剤の留置を最適化してもよい。基本的には、開口部114の形状及び位置は、延性のあるヒンジ部110に対して、相対的に高いストラットの強度及び剛性を維持しつつ、空隙の体積を最大にするように修正することができる。本発明の好ましい代表的な一実施形態によれば、開口部の面積は少なくとも3225.8μm(5×10−6平方インチ)であり、好ましくは少なくとも4516.1μm(7×10−6平方インチ)である。一般に、開口部は、約50%〜約95%だけ有益な薬剤で充填される。
【0026】
本明細書に記載される本発明の様々な代表的な実施形態は、拡張可能な装置内の異なる開口部内に異なる有益な薬剤を提供し、又は数個の開口部内に有益な薬剤を提供して他には提供しない。別の実施形態では、有益な薬剤又は治療薬の組み合わせは、単一の開口部内で使用されてもよい。拡張可能な医療装置の特定の構造は、本発明の趣旨から逸脱することなく、変えることができる。それぞれの開口部は独立して充填されるので、それぞれの開口部における有益な薬剤に、別々の化学組成物及び薬物動力学特性を与えることができる。
【0027】
本発明の別の代表的な実施形態では、基材材料は、医療装置内又は医療装置上の医薬製剤の放出を制御するためのマトリクスとして作用する、追加的な高分子材料もまた含有することができる。ポリマーは、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルイミド、ポリフッ化ビニリデン、並びにコポリマー及びこれらの組み合わせを含む群のような生体安定性のものであってよい。本発明の別の代表的な実施形態では、材料は、ポリシロキサン、フッ素化ポリシロキサン、エチレン−プロピレンゴム、フルオロエラストマー、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される。高分子材料は生分解性又は生溶解性であってよく、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリパラジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、及びこれらのコポリマー、コラーゲン、エラスチン、キチン、サンゴ、ヒアルロン酸、骨、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸−コ−カプロラクトン)、ポリ(ブロック−エチレンオキシド−ブロック−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PEO−b−PLGA及びPEO−b−PLGA−b−PEO)、ポロキサマーポリ(b−エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド−b−エチレンオキシド);ポリ(オルトエステル);多糖類及び多糖類誘導体、ポリ(グルコース)、ポリ(アルギン酸)、キトサン、キトサン誘導体;ポリペプチド、及びアルブミン、ポリ(リシン)、ポリ(グルタミン酸)のようなタンパク質;ポリ(無水物);ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)のようなポリ(ヒドロキシアルコノアート)、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0028】
本発明の別の代表的な実施形態では、医療装置は、装置の抗感染、抗菌、及び潤滑性の増強のために追加的な生理活性材料もまた含有することができる。
【0029】
本発明の好ましい代表的な実施形態では、医療装置はヘパリンコーティングを備え、装置に又はその表面に又は貯留器に、及び/又は装置の構造のブラインドホールに埋め込まれた追加的な医薬活性剤を、単独で(又は)ポリマーのようなマトリクス賦形剤と共に混ぜて、有することができる。医薬活性剤は、例えば、ラパマイシン、シロリマス、及びこれらの多様な誘導体及び類縁体のような抗炎症薬、パクリタキセル並びにその誘導体及び類縁体のような抗増殖剤の群から選択することができる。
【0030】
好ましい代表的な実施形態では、生理活性コーティング剤は未修飾ヘパリン、部分劣化ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、又はヘパリンの多様な修飾形態である。ヘパリンは、共有結合、共役、エンドポイント結合、イオン錯化、陽電荷塩を伴う塩複合体、及び他の、当業者に周知の方法によって、医療装置の表面に恒久的に付着することができる。
【0031】
材料に適用されるコーティングは、製造中に材料表面に重合して共有結合することができる。コーティングは、親水性又は疎水性の性質であってよい。この重合及びグラフトされたコーティングは、水性除去(含浸及び濯ぎ、及び/又は水性環境での移植)に対する抵抗性があり、使用前に滅菌することができる。しかし、プロセス/製造中に材料表面に共有結合されずに適用されたコーティング(ファンデルワールス、静電、表面張力)の多くは、水性除去に対する抵抗性がない。
【0032】
重合可能なコーティングは更なるプロセスによって基材表面に共有結合することができるが、重合不可能なコーティングは表面に重合又はグラフトされない。材料表面にコーティングの重合/グラフトを誘導し、1工程で滅菌することが発見された更なるプロセス工程は、低温過酸化水素ガスプラズマでの滅菌プロセスである。コーティングで既に重合及びグラフトされた材料は、過酸化水素ガスプラズマ滅菌システムでの更なる滅菌プロセスに好適な候補でもある。
【0033】
材料は、金属若しくは非金属、又はエラストマーであってもよい。金属材料は、多様な金属を含むことができ、ステンレススチール、アルミニウム、ニチノール、コバルト、クロム、又はチタンが含まれるが、これらに限定されない。材料はまた、エラストマーであってもよく、ポリシロキサン、フッ素化ポリシロキサン、エチレン−プロピレンゴム又はフルオロエラストマーが含まれるが、これらに限定されない。基材はまた、無機物であってもよく、ガラス、シリカ、及びセラミクスが含まれるが、これらに限定されない。材料はまた、生物学的に誘導されたものであってもよく、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、骨、サンゴ、又はキチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の用途及び効能を、多くの実施例を通して例示することができる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
図1に図示した設計の電気研磨されたコバルトクロムステントを、表面結合されたヘパリンでコーティングした。ヘパリンコーティングは、結合層のような一連の中間層を介してステント表面に共有結合される。最終ヘパリンコーティングを水で繰り返し洗い、このコーティングは、約13μg/cmの一定の最終ヘパリン表面密度を有する。ヘパリン表面の活性は、競合抗トロンビンIIIバインディングアッセイで約65ピコモル/cm、及び修正USP FXa阻害アッセイで0.9ヘパリンユニティ/ステントと測定された。
【0036】
これらのヘパリンコーティングされたステントのストラットの貯留器に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)とシロリマスのマトリクスを、インクジェット(又は「液体ナノデポジション」)プロセスによって充填した。昇温で乾燥し、貯留器内のPLGA/シロリマスマトリクスから余分な溶剤を除去した後、一致するカテーテルバルーンに空気式クリンパーでステントを圧着し、プラスチックトレーに置いた。次いで、プラスチックステントトレーを、乾燥剤袋を備えたアルミニウムポーチに入れた。次いで、プラスチックトレーを窒素でフラッシュし、真空吸引して、残りの空気及び水分を全て除去した。このプロセスを3回繰り返し、ホットプレスシーラーでポーチを封着した。
【0037】
次いで、乾燥剤を含む真空封着したポーチを多様な照射量(10KGy、25KGy、及び40KGy)の電子ビーム滅菌で滅菌した。このプロセスでは、それぞれのプロセスポイント及び電子ビーム照射量でのヘパリンの密度と活性の決定のために3つのステントを使用した。ヘパリン、密度及び活性アッセイのために、真空パッケージしたプラスチックポーチ内にヘパリン表面を有するステントを戻した。結果を図2(AT摂取)及び図3(FXa阻害アッセイ)に示す。
【0038】
図2のデータは、約65〜約43ピコモル/cmへの一時的なヘパリン活性の減少があることを明らかに示している。この減少は、おそらく、DMSOのような処理溶媒への曝露及び余分な溶媒を取り除くために使用される昇温によるものである。しかし、追加的な乾燥剤と共にいったんステントを真空パックし、電子ビーム照射によって滅菌した後、ヘパリン表面はその元の活性を回復した。加えて、滅菌プロセスで使用される電子ビーム照射量には、より高い電子ビーム照射量がより高い特定のヘパリン活性につながるという正の相関が存在するようであった。ガンマ線及び電子ビームによる滅菌のようなエネルギー集約的な滅菌プロセスの後の生理活性コーティングの破壊又は減少に関する多くの文献報告を鑑みると、これらは非常に驚くべき意外な結果である。慎重に制御した条件下での電子ビーム滅菌は、図2に示すように、室温で貯蔵された対照試料に比べて高いAT摂取値さえも達成した。これらの結果は、真空乾燥及び追加的な乾燥剤をポーチに挿入することのようなパッケージパラメータの慎重な制御が、ヘパリン表面及び同様の生理活性表面の最終滅菌プロセス後の活性損失を防ぐという、プロセス条件の組み合わせが存在することを示唆しているようである。電子ビーム照射量の増加に伴うヘパリン活性の増加は、おそらく、エネルギー集約的滅菌中のヘパリンの立体配座の変化によるものである。この仮説は、ヘパリン表面を溶剤(DMSO、IPAなど)及び高温(55℃)に曝さなかったにもかかわらず電子ビーム滅菌の後にヘパリンコーティングがより高いAT摂取活性を示したその後の実験によって間接的に裏付けられる。したがって、医療装置の滅菌と、蒸気、エチレンオキシド、又はガンマ線法のような従来の滅菌プロセスの条件下で劣化しやすい生理活性表面の活性と、を確保するための一式のプロセス条件がある。
【0039】
ヘパリン表面の変性USP抗因子Xアッセイは、ヘパリン表面及び表面から試験液に放出されたヘパリン表面の遊離形態の組み合わされた能力を直接に測定する。図3に示すデータは、現在の慎重に制御された条件下での電子ビームプロセスが、薬剤充填プロセス中のヘパリン活性損失を留めること、また逆行さえさせることに有効であることを実証している。この曲線は、製造の後期段階での製品に比べて対照が比較的低い抗FXa活性を有する図2の傾向と異なる。この傾向は、最終滅菌製品における良好なヘパリン活性を確保するために慎重に制御されたパッケージング及び電子ビームプロセスを使用することの重要性を示している。
【0040】
図2及び3のデータは、ヘパリン活性の照射量応答曲線が、最適なパッケージングと電子ビームでの滅菌プロセスとの後に維持され得る、本発明の主要な態様を指す。より高い照射量の電子ビームを用いて、最終滅菌パッケージにおけるより高いレベルのヘパリン活性を必要に応じて達成することができる。パッケージが滅菌封着されるので、多様な貯蔵期間の後に、ヘパリン表面の貯蔵寿命を延長するために電子ビームプロセスを使用することもまた、実行可能である。
【0041】
図4に示す結果は、電子ビームプロセスの後に徐々にヘパリン表面密度が減少し、電子ビーム照射量が高いほどヘパリン密度の損失が大きいことを示している。この結果は、エネルギー集約的な電子ビームプロセスがおそらく表面からの何らかのヘパリンの鎖切断を引き起こし、照射量が高いほどステント表面からのヘパリンの脱離が高くなるという点で、意外ではない。したがって、次の発明は、ヘパリンの活性を確保する一方で、ヘパリン含有量の損失の程度を最小限にする最適な範囲を更に追求すべきである。試験した範囲では、ヘパリン含有量の損失は残りのヘパリン表面のヘパリン活性に影響しなかった。従来からの25KGyという電子ビーム照射量は、高レベルのヘパリン活性を維持しながら滅菌性を確保するために最適な範囲のようである。
【0042】
(実施例2)
この研究では、ヘパリンコーティングされたステントを、薬剤溶出ステントの製造に使用される薬剤充填プロセスの実際のプロセス条件を真似た、6サイクルのDMSO曝露に曝した。それぞれの曝露後に、ステント表面のヘパリンコーティングと混合した溶剤DMSOを、室温か55℃のいずれかで1時間後に室温か55℃のいずれかで24時間焼なましするような条件の組み合わせで除去した。これらの長い溶媒処理及び除去プロセスの後、ヘパリンコーティングを有するステントを乾燥剤と共に真空パッケージし、25KGy照射量の電子ビームプロセスで滅菌した。多様な条件を経るステントのヘパリン活性を、標準AT III摂取アッセイで決定した。
【表1】

【0043】
表1のデータは、対照ヘパリン表面の基準AT摂取値である51ピコモル/cmと比較し、高温(55℃)でのより長い乾燥がヘパリン活性を約39ピコモル/cmに減少させたことを実証している。データはまた、DMSO曝露のみでは、それが後に完全に除去されればヘパリン活性に影響しないようであることも示唆している。データから、電子ビーム滅菌プロセスが、室温(B群対E群)及び高温(C群対F群)の両方で乾燥後のヘパリン活性の維持に有効であることが確認できる。データはまた、電子ビーム滅菌が、コーティングが室温で長期間貯蔵された後の失われたヘパリン活性の回復さえもすることを示唆している(A群(対照)対電子ビーム制御(D群)。これらの結果に基づき、多様な貯蔵期間の後のパッケージ医療装置のヘパリン活性を、本発明を使用して回復できると示唆することは、合理的である。
【0044】
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明及び図示した特定の構成に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれうるすべての改変とすると解釈されるべきである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 生理活性表面を有する医療装置の滅菌方法であって、
乾燥剤を有するパッケージ内に前記医療装置を配置する工程と、
前記パッケージを非反応性ガスで少なくとも1回フラッシングする工程と、
前記パッケージ内に少なくとも1回真空を生成して、残留するガス及び水分を全て除去する工程と、
前記パッケージを封着する工程と、
前記パッケージ及び前記医療装置を、既定期間にかけて既定量レベル及び温度で、電子ビーム照射量に1回以上曝露する工程と、を含む、方法。
(2) 前記装置が、心臓血管内ステント、血管内ステント、及び神経血管内ステント、薬剤溶出心臓血管内ステント、薬剤溶出血管内ステント、及び薬剤溶出神経血管内ステント、血管内グラフト、血管及び静脈ステントグラフト、血管形成バルーン、AVシャント、人工肺、人工心臓膜及び補助装置、AAA装置からなる群から選択される、実施態様1に記載の医療方法。
(3) 前記医療装置が、ステンレススチール、アルミニウム、ニチノール、コバルトクロム、及びチタン、並びにそれらの合金からなる群から選択される材料を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記医療装置が、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルイミド、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及び組み合わせからなる群から選択される材料を追加的に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記医療装置が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリパラジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、及びこれらのコポリマー、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、サンゴ、ヒアルロン酸、骨、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を追加的に含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記生理活性材料が、未分画ヘパリン、部分的に解重合されたヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、及び他の化学的又は生物学的に変性されたヘパリンからなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記電子ビーム照射量が、10KGy〜40KGyの間である、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記医療装置が、医薬活性成分を追加的に含有する、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記医薬活性成分が、ラパマイシン、パクリタキセル、並びにこれらの誘導体及び類縁体からなる抗増殖剤から選択される、実施態様8に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性表面を有する医療装置の滅菌方法であって、
乾燥剤を有するパッケージ内に前記医療装置を配置する工程と、
前記パッケージを非反応性ガスで少なくとも1回フラッシングする工程と、
前記パッケージ内に少なくとも1回真空を生成して、残留するガス及び水分を全て除去する工程と、
前記パッケージを封着する工程と、
前記パッケージ及び前記医療装置を、既定期間にかけて既定量レベル及び温度で、電子ビーム照射量に1回以上曝露する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記装置が、心臓血管内ステント、血管内ステント、及び神経血管内ステント、薬剤溶出心臓血管内ステント、薬剤溶出血管内ステント、及び薬剤溶出神経血管内ステント、血管内グラフト、血管及び静脈ステントグラフト、血管形成バルーン、AVシャント、人工肺、人工心臓膜及び補助装置、AAA装置からなる群から選択される、請求項1に記載の医療方法。
【請求項3】
前記医療装置が、ステンレススチール、アルミニウム、ニチノール、コバルトクロム、及びチタン、並びにそれらの合金からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療装置が、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルイミド、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及び組み合わせからなる群から選択される材料を追加的に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医療装置が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリパラジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、及びこれらのコポリマー、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、サンゴ、ヒアルロン酸、骨、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を追加的に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生理活性材料が、未分画ヘパリン、部分的に解重合されたヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、及び他の化学的又は生物学的に変性されたヘパリンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電子ビーム照射量が、10KGy〜40KGyの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記医療装置が、医薬活性成分を追加的に含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬活性成分が、ラパマイシン、パクリタキセル、並びにこれらの誘導体及び類縁体からなる抗増殖剤から選択される、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104369(P2011−104369A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−254523(P2010−254523)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(510197221)コーディス・コーポレイション (11)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【住所又は居所原語表記】430 Route 22, Bridgewater, NJ  08807, United States of America
【Fターム(参考)】