説明

生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための方法

本発明は、生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための方法、前記方法によって得られる材料、その用途に関する。特に、本発明は、ポリマーを補綴材料の表面に直接グラフトする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性ポリマーを補綴材料(prosthetic material)にグラフトするための方法、この方法によって得られる材料、その用途に関する。特に、本発明は、ポリマーを補綴材料の表面に直接グラフトする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨部位に補綴を埋入すると、「宿主応答」と呼ばれる一連の組織/インプラント反応が生じるが、これを制御すれば、最終的には「インプラントのオステオインテグレーション」につながる。オステオインテグレーションとは、骨組織/補綴が密着することで、なおかつ界面に線維組織が存在しないがゆえに、インプラントが骨と完全に結合することをいう。この結合は、不十分な身体機能を、最終的なボディインプラント(人工関節、歯科用インプラント)で回復する上で必要なものである。しかしながら、この方法は、第1に表面トポグラフィや粗さ、化学組成、表面エネルギなどの材料の物理化学的特性、第2に外科技術や微生物の存在といった、いくつかのパラメータに影響されることがある。さらに、インプラント周囲には「線維性炎症(fibro−inflammatory)」組織が存在するが、この組織は骨組織の生物活性と機械的特性のいずれも持たず、この組織があることで無菌性の緩み(インプラントが外れること)や埋入部位の感染に対する羅患率が高くなる。
【0003】
現在のところ、全人工股関節を骨に確実に固定するのに、一般に、金属製のインプラント(ヒドロキシアパタイトをコーティングしておいてもよい)に力をかけてこれを骨に機械的に固定する方法と、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)を主成分とするセメントを使って取り付ける方法の2つの手法がとられている。ここ30年ほど、インプラントのオステオインテグレーションの改善に「ヒドロキシアパタイト」コーティングが極めて広く用いられている。このコーティングによって、骨がうまく固定されると同時に、比較的わずかな期間で良好な機械的性能が得られるためである。
【0004】
欠損組織、欠損臓器または欠損臓器部分では果たせなくなってしまった機能を完全にまたは部分的に代替することを意図した材料に、生体材料がある。このためには、埋入可能な生体材料は主に2つの基準を満たさなければならない。まず、不完全な組織または臓器の機械的機能を正しく確保するのに必要な特定の機械的特性を持つことが必須である。また、宿主による敵対的な応答の引き金にならないことが必須すなわち、「受け入れられて」制御された状態で宿主にインテグレーションされる(取り込まれる)必要がある。言い換えれば、「バイオインテグレーション可能」でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現時点で埋入されている合成材料には、本当の意味で「バイオインテグレーション可能」であるとみなせるものはない。その理由は以下のとおりである。埋入される材料は生体から「異物」とみなされ、炎症反応という名でくくられる一連の現象の引き金となるのであるが、これが制御されないと最終的にはインプラントの拒絶につながることもある。さらに、この「異物」とみなされた材料は、細菌などの微生物が付着してコロニーを形成するのには格好の場であるように見える。潜在的に感染力のある細菌の生物医学的インプラントへの付着が感染の初期段階であり、すなわちこのことが深刻な問題である。さらに、この細菌付着が起こると、多くの場合は「生物膜」が形成され、この生物膜があらゆる治療法、特に抗生物質から細菌を守る役目を果たす。たとえば、永久的な生体材料(整形外科用補綴)の埋入後、あるいは一過性の生体材料(カテーテル)ですら、埋入後にぶどう球菌感染が生じると、敗血症、心内膜炎または骨髄炎など患者にとって劇的な結果に至ることが多く、インプラントが本来の位置にあるかぎり治癒が極めて困難であるか、不可能であることもある。こうしたことから、生体材料を生命体に埋入すると、拒絶や埋入後の材料の感染が頻繁に観察されている。このようなインプラントに対する望ましくない生物反応が起こると、さらに外科的な介入を行うことになる、あるいは、場合によっては埋入した生体材料を取り除くことになり得る。
【0006】
このため、関節用インプラントの場合は生体材料/細胞相互作用を最適化しておく必要があるが、歯科用インプラントの場合も同様であり、これと平行して、生体材料/細菌相互作用を制御することでこれらの材料の感染を防ぐ必要もある。
【0007】
インプラントとして用いる材料の生体適合性およびバイオインテグレーションを改善し、結果として敵対的な宿主応答によるインプラントの拒絶を減らすために、調査研究が行われてきている。一研究調査手法は、補綴材料表面の改良、特にチタンおよびその合金の表面を改良することに関するものである。このような改良の目的は、骨組織へのインプラントのバイオインテグレーションを促進すると同時に、感染を予防することにある。
【0008】
今までにも、シラン化によってポリマーをグラフトする方法が説明されている。この方法を用いると、ポリマーのグラフトに先だって、ヒドロキシル化された表面またはNHの豊富な表面を官能化することが可能になる。チタンの場合、シラン化は主に、金属−ポリマー界面を生成するのに使用された。被グラフトポリマーは、生理活性ポリマーすなわち、このような被グラフトポリマーが補綴インプラントのオステオインテグレーションを促進し、かつ、感染の発生を防止するという意味で、真核および/または原核生物の細胞応答を正しい形にできるポリマーであり得る。
【0009】
著者の大多数がこれらの支持体に対して使用しているシラン化のプロトコールでは、試料の表面を化学的に攻撃してヒドロキシル基の存在を促進した後、シラン分子を含有する溶液に、この試料を浸漬する。これらの反応の利点はその単純さと安定性にあり、これはその共有結合とそのネットワーク構造とに起因する。しかしながら、シラン化の有効性は材料表面のヒドロキシル基の濃度に左右される上、この手法ですべてのポリマーを固定化できるわけではなく、シラン誘導体の鎖の端に位置する官能基と相性のよい官能基を持つポリマーだけが固定化される。
【0010】
このため、著者の大多数が、次の生理活性分子または有機分子のグラフティングにつなげる中間ステップとしてシラン化を利用している。本特許出願では、以下、この事前シラン化によるグラフト法を「間接的グラフト法」と呼ぶ。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための新規な方法を開発した。
【0012】
よって、本発明の第1の態様は、生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための方法に関するものである。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、このような方法によって得られる補綴材料に関する。
【0014】
最後の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得られる補綴材料から製造される、補綴インプラントに関する。
【0015】
本発明のグラフティング方法では、上述した間接的グラフト法とは異なり、材料表面と、これにグラフトする対象となるポリマーとの間に、シラン誘導体などの中間分子を使用しない。
【0016】
このため、本発明の一主旨は、生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための方法であって、
−補綴材料の表面でフリーラジカル供与活性種を生成するステップと、
−表面に活性種が生成された補綴材料を、酸素の非存在下で生理活性ポリマーを形成できるようにするラジカル重合を可能にする機能を持つ少なくとも1種のモノマーと接触させるステップと、を含む方法である。
【0017】
本発明による方法は、構成要素となるモノマーからポリマーが直接的に補綴材料に形成されるという意味で、上述した間接的な方法との対比で直接的な方法である。具体的には、本方法では、補綴材料にフリーラジカルを直接形成し、これが重合反応の開始剤として機能することになる。
【0018】
本発明者らは、このような直接的なグラフティング方法には間接的グラフト法にはない利点がいくつかあることを示すことができた。本発明による方法は、特に、間接的な方法よりも経済的で、速く、かつ特に補綴材料に結合されるポリマーの量の点で効率的である。このため、概して本発明の方法は、従来技術のシラン化によって間接的グラフト法を用いて得られるよりも2〜15倍高いグラフティング密度を得ることを可能にするものである。
【0019】
上述したように、本発明のグラフティング方法には、補綴材料と被グラフトポリマーとの間に中間体分子をグラフトする中間ステップがない。
【0020】
本発明の目的で、補綴材料は、補綴、特に人工股関節または義歯などの医用インプラントの製造に使用可能な材料である。
【0021】
本発明の方法で改良される材料は、具体的には、化学酸化、特に酸による化学酸化またはオゾン化後に熱を加えることで表面にフリーラジカルを形成できる、あらゆる材料に対応する。この観点で、特にチタンおよびその合金をはじめとする金属支持材、特に、ニッケル、バナジウム、アルミニウムおよび/またはモリブデン、アルミニウム、タンタル、イリジウム、ジルコニウム、金および鋼をベースにしたものか、セラミックまたはガラスをベースにしたものをあげることができる。本発明の特定の一実施形態では、補綴材料は非ポリマー補綴材料である。
【0022】
好都合なことに、補綴材料はチタンまたはその合金である。
【0023】
チタンは生体適合性であるため、補綴材料として一般に用いられている。具体的には、チタンは、機械的特性が骨に極めて近く、オステオインテグレーション性のよさおよび/またはチタンに対するアレルギー現象または拒絶現象のなさから許容範囲が広いことが理由で、整形外科用インプラントまたは歯科インプラントに最善の材料のひとつである。
【0024】
好都合なことに、フリーラジカルの形成前に補綴材料を研磨によりポリッシュし、材料表面の粗さの問題をなくすようにしてもよい。このため、本発明の特定の一実施形態では、補綴材料を研磨紙でポリッシュし、好ましくは粒度分布を小さくしながら異なる研磨紙でポリッシュする。具体的には、研磨紙の粒度分布を小さくしながら、ロータリーポリッシャに装着した自動アームを利用して、補綴材料を機械的にポリッシュすればよい。これには、グレード800、1000、さらには1200の研磨紙を順に使用することができる。また、好ましくはポリッシュ後に、特にアセトン溶液に入れて補綴材料を洗浄してもよく、その後で好ましくは乾燥させることもできる。これをポリッシュ、洗浄および/または乾燥ステップ後に直に使用してもよいし、酸素の非存在下で、好ましくはアルゴンまたはヘリウム下などの不活性雰囲気下で保管してもよい。
【0025】
好都合なことに、酸化、特に化学酸化によって、補綴材料の表面でフリーラジカル供与活性種が生成される。特に、酸/H混合物、とりわけHSO/Hを用いる化学酸化またはオゾン化による酸化があげられる。金属製補綴材料の酸化の場合、酸/H混合物を用いての化学酸化、とりわけHSO/H混合物の使用が特に好ましい。他の酸、特にフッ化水素酸または塩酸を、この場合もHとの混合物として利用して、補綴材料の表面に過酸化物を形成してもよい。
【0026】
「酸/H混合物」という用語は、溶液すなわち、酸溶液とH溶液との同時または逐次的な混合を意味する。よって、2種類の溶液を同時に酸化対象となる補綴材料と接触させるか、第1段階で酸溶液を接触させた上で、第2段階でH溶液を補綴材料と接触させる。いずれの場合も、酸化時間は広い範囲内で可変であり、当業者であれば、処理対象となる補綴材料、この材料の表面でのフリーラジカル供与種の形成に使用する化学酸化モード、所望のグラフティング密度の関数として、適切な酸化時間とすることが可能である。特に当業者は、特にトルイジンブルーを用いてグラフティング密度をアッセイすることで、試験対象となる酸化済み補綴材料にポリマーをグラフトして得られるグラフティング度を測定(実施例1.5参照)して、最適な手法を判断することができる。
【0027】
同時酸/H酸化混合物の場合、酸化時間は、好ましくは1から10分、より好ましくは3から6分であり、最も好ましい酸化時間は5分である。好ましくは、この酸化時間は、HSO/H溶液を用いたチタンまたはその合金の酸化に適用される。
【0028】
逐次的な混合を用いる場合、補綴材料を、たとえば、酸溶液に少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも20秒間、好ましくは少なくとも30秒間、より好ましくは50秒間よりも長く、好ましくは1分間よりも長く、好ましくは2分間よりも長く、好ましくは3分間よりも長く、好ましくは4分間よりも長く浸漬することができる。このチタンまたはその合金とHSOとの接触時間は、かなり長めでもよく、最大でたとえば、30分間またはそれよりも長くてもよい。しかしながら、好ましい一実施形態では、補綴材料と酸溶液との接触時間は5分以下であり、この時間を超えるとグラフティング度の低下が観察される。この手順は特に、チタンまたはその合金をHSO溶液と接触させて酸化させる場合に適用される。
【0029】
同様に、補綴材料とH溶液との接触時間も可変である。好ましくは、補綴材料、好ましくはチタンまたはその合金を、H溶液を加えてから少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも20秒間、好ましくは少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも40秒間、好ましくは少なくとも50秒間、好ましくは少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、好ましくは2から3分間、最も好ましくは2分間、Hと接触させる。好ましい一実施形態では、チタン(またはその合金)に対してHSOを1分間作用させた後、チタンにHを2分間作用させるのが好ましい。
【0030】
補綴材料と酸溶液および/またはH溶液との接触は、それ自体が周知のどのような手段で行ってもよい。よって、たとえば、補綴材料を入れた容器に溶液を注いでもよいし、溶液の入った容器に補綴材料を浸漬してもよい。
【0031】
特定の理論に拘泥されることなく、本発明者らは、酸溶液での処理によって、空気の存在下で補綴材料に自然発生的に形成される自然酸化物層を化学的に攻撃して除去できると考えている。過酸化水素は、補綴材料の表面でヒドロペルオキシドを形成し、特にチタンを補綴材料として用いる場合はチタンヒドロペルオキシド(TiOOH)を形成する。これらのヒドロペルオキシドは、加熱されるとフリーラジカルを供与し、補綴材料、特にチタン上でのモノマーのラジカル重合の開始剤として機能することができる。
【0032】
に対する酸の比率は広い範囲で可変であり、当業者であれば、本明細書に基づいて、所望のグラフティング度を達成するのに最も効率的な比を規定することができる。
【0033】
好ましくは、50/50(v/v)HSO/H溶液を使用して補綴材料を酸化させる。酸化反応が発熱を伴うことがあるため、使用する温度は通常、室温(20〜30℃)あるいは、場合によってはこれよりも低めの温度(0から20℃など)である。
【0034】
好都合なことに、フリーラジカル供与活性種を生成するステップのあいだに、金属塩(鉄、ニッケル、クロム、銅)を添加する。これらの金属塩は、特に酸/H混合物に添加される。これらの塩の濃度は広い範囲で可変である。特に、濃度は10−4mol/l〜2mol/lの範囲にある。これらの塩は、補綴材料の表面、特にチタンまたはその合金の表面で、高めの濃度での過酸化物形成を促進するため、グラフティング度が高くなる。たとえば、鉄、ニッケル、クロムまたは銅を主成分とする塩、たとえば硫酸鉄(FeSO)、酢酸鉄(Fe(C)、臭化鉄(FeBr)、ヨウ化鉄(FeI)、硝酸鉄(Fe(NO)、チオシアン酸鉄(Fe(SCN)、Fe(SCN)、Fe(SCN)など)を、酸/H混合物に有利に添加することができる。好ましくは、酸/H混合物に硫酸鉄を添加する。
【0035】
好都合なことに、材料の表面であらかじめ生成した活性種からフリーラジカルを得るステップを、特に生成される活性種の熱反応によって実施する。具体的には、25から160℃、好ましくは40から100℃、なお一層好ましくは50から80℃、より好ましくは60から75℃の温度、最も好ましくは70℃で熱反応を実施する。
【0036】
フリーラジカル生成ステップを、表面に活性種が生成されている材料とモノマーを接触させるステップの前、好ましくはそのステップのあいだ、あるいは後で実施することができる。
【0037】
このため、特定の一実施形態では、本発明による方法は、
−上記にて定義したような補綴材料で活性種を生成するステップと、
−特に40℃〜100℃で加熱することによって、フリーラジカルを生成するステップと、
−表面にフリーラジカルが生成された補綴材料を、酸素の非存在下で生理活性ポリマーを形成できるようにするラジカル重合を可能にする機能を持つ少なくとも1種のモノマーと接触させるステップと、を含む。
【0038】
もうひとつの実施形態によれば、まず材料に活性種を生成し、これを、特にモノマー溶液を加熱することによって活性種からのフリーラジカルの形成を可能にする条件下でモノマーと接触させる。
【0039】
本発明のもうひとつの特定の実施形態では、まず材料に活性種を生成し、これをモノマー溶液と接触させて、特にモノマー溶液を加熱することによってフリーラジカルを形成する。
【0040】
本方法で用いるモノマーは、好都合なことに、ラジカル重合反応によって上述した支持材にグラフトされる。この反応は、グラフト対象となる支持材上に直に生成されたフリーラジカルによって開始される。
【0041】
本発明による方法で用いるモノマーは、重合を可能にする基を少なくとも1つ含む。好都合なことに、これらのモノマーは、重合を可能にする少なくとも1つの脂肪族不飽和、好ましくはビニル基を含む。本発明によれば、「少なくとも1つの脂肪族不飽和を持つモノマー」という表現は、1つまたは2つ、好ましくは1つの二重結合または三重結合、有利には二重結合−CH=CH−を持つモノマーを意味する。
【0042】
上述した間接的な方法にはない、本発明の方法が有する利点のひとつに、多種多様なポリマーをグラフトできる可能性がある。具体的には、ラジカル重合反応によって重合可能なものであれば、どのようなモノマーを本発明に使用してもよい。
【0043】
本発明で用いるモノマーの構造は、補綴材料の表面で生理活性ポリマーの形成を可能にするものである。本発明の目的で、あるポリマーが、真核および/または原核生物の細胞応答を、本発明の方法によって得られる補綴材料から製造される補綴インプラントの結合部位に指向できるのであれば、すなわち、補綴インプラントのオステオインテグレーションを促進し、感染の発生を防ぐことができるのであれば、そのポリマーは生理活性である。
【0044】
上述した材料のオステオインテグレーションおよび抗菌特性を改善するために、本方法の文脈で用いるモノマーは、好都合なことに、スルホネート基および/またはカルボキシレート基を含む。具体的には、スルホネートおよび/またはカルボキシレートのイオン性基を持つポリマーが、骨芽細胞の付着、コロニー形成および分化を促進することが最近になって明らかになっている。さらに、これらの同じ基を持つが、スルホネート基のみを持つ場合にはなおさら、ポリマーが、菌株、特に補綴材料での感染に主に関与する株である黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus)の付着の阻害を可能にすることも明らかになっている。
【0045】
また、サッカライド基(グルコース、スクロース、フルクトース、ポリオースなど)または−O−PO−(OH)、特に以下の式(A)のタイプのホスフェート基をグラフトすることも想定できる。
【化1】

【0046】
好ましくは、本発明による方法で補綴材料に形成されるポリマーは、以下のモノマーのうちの少なくとも1種から形成される。アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル(MMA)、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)アクリルアミド(NaAS)、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)メタクリルアミド(NaMS)、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、メタクリロイルジイソプロピリデン、オシド(oside)サッカライド基を持つモノマー、たとえば、グルコース、グルコフラノース、スクロース、ポリオース、フルクトースなど。
【0047】
得られる被グラフトポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。このため、本発明の特定の一実施形態では、スチレンスルホン酸ナトリウム(ポリNaSSのグラフティング)またはメタクリル酸メチル(ポリ(メタクリル酸メチル)すなわちPMMAのグラフティング)から被グラフトホモポリマーが形成される。
【0048】
本発明の特定の一実施形態では、本発明による方法でグラフトできるポリマーは、一般式(I)で表される少なくとも1種のモノマーと、一般式(II)で表される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマーのラジカル重合によって得られるコポリマーであり、式(I)および(II)は以下のとおりである。
【化2】

または対応する金属塩
【化3】

式中、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキルラジカルを示し、Aは、アリールスルホネートまたは対応する酸タイプのラジカルを示す。
【0049】
本発明の方法の一変形例によれば、式(I)のモノマーは、開始時にエステル機能を持つことができ、このようにして得られるコポリマーを(部分的または完全に)加水分解して、対応する酸機能を得る。
【0050】
具体的には、Aは、以下の式で表されるラジカルから選択される。
【化4】

式中、Mは金属イオン、好ましくはアルカリ金属を示す。
【0051】
アルカリ金属は、ナトリウムおよびカリウムから優先的に選択され、有利なのはナトリウムである。
【0052】
特に言及できる直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキルラジカルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはt−ブチル、ペンチルおよびヘキシルラジカルがある。
【0053】
特に言及できる式(I)のモノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MA)およびエタクリル酸(EA)、これらの対応する塩(特にアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩)およびこれらの混合物がある。メタクリル酸が好ましい。
【0054】
特に言及できる式(II)のモノマーとしては、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)アクリルアミド(NaAS)、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)メタクリルアミド(NaMS)、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)ならびに、これらの混合物がある。スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0055】
例示のために、式(II)のモノマーのAが式(III)で表される場合、補綴材料にグラフトされるコポリマーは、具体的には、以下の一般式(V)で表すことのできるものである。
【化5】

式中、R、R’およびMは上記にて定義したとおりであり、nは10から1000の実数を示す。
【0056】
カンマは、コポリマー中に存在するモノマー単位の量、比および配列が変化することを意味する。このばらつきは、重合方法のパラメータ、たとえば使用する各モノマーの量と直接的に結び付いている。
【0057】
本発明の方法による被グラフトポリマーの分子量は、広い範囲で可変であり、当業者によって、その以後の用途または使用法の関数として選択または制御される。桁数でいえば、重量平均分子量は1000から100000ダルトンの範囲となり得る。
【0058】
この観点で、式(I)および(II)のモノマーの量は広い範囲で可変であり、特に、コポリマーに望まれる特性に左右される。好ましくは、(I)対(II)のモル比は90/10から10/90の範囲であり、有利なのは80/20から20/80の範囲である。本発明によるコポリマーは特に、(I)対(II)のモル分率が以下のとおりとなる。90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80および10/90(これらの分率は、実際には、導入されるモノマーの分率に対応し、NMR解析によって得られるコポリマーに取り込まれるモノマーの分率は、上述した分率に対して変動幅が多くても±2である)。
【0059】
本発明の方法による被グラフトコポリマーは、式(I)および(II)のモノマーに加えて、少なくとも1種の脂肪族不飽和を含有する他のモノマーを含むモノマーのラジカル重合によって得られる。少なくとも1種の脂肪族不飽和を含有する他のモノマーは、どのような性質のものであってもよく、被グラフトポリマーを水溶性または水不溶性にするモノマーもこれに含まれる。好ましくは、追加のモノマーは、糖またはホスフェートタイプのラジカルを持つモノマーなどの水溶性のものである。
【0060】
言及できる追加のモノマーとしては、以下の式で表されるモノマーがあげられる。
【化6】

式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、上述したように水素原子または直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキルラジカルを示し、n’は10から1000の実数を示す。式(VII)のサッカライド基としては、特に、グルコース、ガラクトースおよびスクロースがあげられる。
【0061】
被グラフトポリマーの特徴を保つために、当業者は、常法によって、想定できる追加のモノマーとその量を判断することができる。
【0062】
特に、桁数でいえば、式(I)および(II)のモノマーの量は、ポリマー中に存在するモノマー単位の総モル数に対して、好都合なことに25mol%以上、好ましくは50mol%以上である。
【0063】
本発明の特定の一態様によれば、式(I)および(II)のモノマーだけのラジカル重合によってコポリマーを得ることができる。
【0064】
グラフティング時間は広い範囲で可変である。当業者であれば、補綴材料での重合に必要な時間を、その性質、グラフト対象となるポリマー、所望のグラフティング密度の関数として選択することができる。当業者であれば、トルイジンブルーを用いてグラフティング密度を測定する(実施例1.5参照)ことで、最も適切な時間を選択可能である。
【0065】
好都合なことに、補綴材料を少なくとも約30分間、好ましくは約1時間〜約48時間モノマーと接触させる。より好ましくは、補綴材料を2時間より長く、好ましくは3時間より長く、好ましくは5時間より長く、好ましくは8時間より長く、好ましくは約15時間モノマーと接触させる。
【0066】
好ましい一実施形態では、本発明は、ポリNaSSをチタンにグラフトするための方法であって、
−チタン表面でフリーラジカル供与活性種を生成するステップと、
−表面に活性種が生成されたチタンを、40から100℃の温度で少なくとも8時間、酸素の非存在下でNaSSと接触させるステップと、を含む方法に関する。
【0067】
特に好ましい一実施形態では、本発明は、ポリNaSSをチタンにグラフトするための方法であって、
−チタン表面でフリーラジカル供与活性種を生成するステップと、
−表面に活性種が生成されたチタンを、70℃の温度で15時間、酸素の非存在下でNaSSと接触させるステップと、を含む方法に関する。
【0068】
酸素は反応のインヒビターであるため、ラジカル重合反応は酸素の非存在下で実施しなければならない。好ましくは、酸素の非存在下で、不活性雰囲気下、特にアルゴン、ヘリウムまたは窒素下、有利には窒素下で反応を実施する。
【0069】
重合後、こうしてグラフトした材料を回収し、任意にこれを、特に形成されたがグラフトはされなかったポリマーを取り除く目的で、特に水(蒸留水など)ですすぐ。
【0070】
本発明のもうひとつの主旨は、上述した方法で得られる生理活性ポリマーをグラフトした補綴材料に関する。
【0071】
また、本発明は、本発明による補綴材料を補綴インプラントの製造、特に人工関節または義歯の製造に用いる使用法にも関する。
【0072】
本発明の別の主旨は、上述した方法によって得られる補綴材料から製造される、補綴インプラントに関する。
【0073】
本発明の利点について、以下の実施例を参照し、場合によっては添付の図面を考慮して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明によるNaSSの直接的なグラフティングの手法を示す図である。
【図2】化学的に酸化させた後にポリNaSSをグラフトしたチタン表面のIRスペクトルを示すグラフである。
【図3A】化学的に酸化させたチタンの元素である炭素C1s(左側)および酸素O1s(右側)のデコンボリューション結果である。
【図3B】ポリNaSSをグラフトしたチタンの元素である炭素C1s(左側)および酸素O1s(右側)のデコンボリューション結果である。
【図3C】化学的に酸化させたチタンの元素であるチタンTi2p(左側)および硫黄S2p(右側)のデコンボリューション結果である。
【図3D】ポリNaSSをグラフトしたチタンの元素であるチタンTi2p(左側)および硫黄S2p(右側)のデコンボリューション結果である。
【図3E】化学的に酸化させたチタン(左側)とポリNaSSをグラフトしたチタン(右側)の元素である硫黄S2pのデコンボリューション結果を比較したものである。
【図4】インプラント周囲に新たに形成された骨表面の断面図である。S100/0C:100%スルホネートおよび0%カルボキシレート;C100/S0:100%カルボキシレートおよび0%スルホネート。
【発明を実施するための形態】
【0075】
(実施例)
実施例1:チタンシリンダ表面への生理活性ポリマーのグラフティング
第1のステップは、イオン性基のグラフティングの開発であった。簡単にするために、本発明者らは第1段階でアリールスルホネート基のみのグラフトを選択した。あらかじめポリッシュして粗さの問題を排除したチタンディスク(99.7%純度)で機能化を実施した。
【0076】
チタン表面へのアリールスルホネート基のグラフティングについては、化学酸化によってフリーラジカルを生成する直接的な経路で実施した。このラジカルを、アリールスルホネート機能を有するモノマー用の重合開始剤として用いる。
【0077】
モノマー分子はスチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)である。ここで採用した手順全体を図1にまとめておく。
【0078】
1.1.チタンの特徴
チタン(アルファ・エイサー(Alfa Aesar)社から入手)は、押出成形した直径12.7mmの棒状で、700℃で30分間、応力除去焼きなまし処理したものである。その純度(表1)は公称組成(グレード1またはT40)で99.7%である。
【0079】
【表1】

【0080】
研究はいずれも、プレスタセム社(Prestasem)(シャンパーニュ・シュール・セーヌ(Champagne−sur−Seine)(77)、フランス)によって水浴中で電気浸食スライシング(electroerosion slicing)して得られた厚さ2mmのディスクで実施した。このスライシング方法には、タワー加工(tower machining)などと比較したときに、材料の過剰な加工硬化や材料の過剰な損失が回避されるという利点がある。
【0081】
1.2.チタンのポリッシング
研磨紙の粒度分布(ストルアス(Struers))を小さくしながら、ロータリーポリッシャに装着した自動アームを利用して、ディスクの機械的ポリッシングを実施する。グレード800(砥粒22μm)の研磨紙での1回目のポリッシングで約1/10ミリメートル分の厚さを除去するが、これには電気浸食(電気アーク)によるスライシング方法が原因の孔食で損傷した金属の厚み部分を取り除く効果がある。
【0082】
次に、紙の粒度分布の細かさを上げながら(1000の紙、続いて1200の紙)ポリッシングを仕上げていく。使用したプロトコールは次のとおりである。P800で8分、P1000で4分、P1200で4分(砥粒14μm)。細胞挙動研究の文献で一般に用いられているものと粗さが等しい表面が得られる。
【0083】
ポリッシング後、試料を室温にて純粋なアセトン溶液で超音波的に10分間洗浄する。これを乾燥させ、すぐに使用するか、アルゴン下(グローブボックス)で保管する。
【0084】
1.3.NaSSモノマーの精製
チタン表面で適切なイオン性基を得るのに使用するモノマーは、4−ビニルベンゼンスルホン酸のスチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS、ナトリウム塩、アルドリッチ(Aldrich))すなわち、以下の化学式で表されるビニルモノマーである。
【化7】

【0085】
スチレンスルホン酸ナトリウム分子
スチレンスルホン酸ナトリウムを再結晶化によって精製する。この手法は、60〜70℃の温度にてモノマーの質量mを比率10/90の水/エタノール混合物に溶解させることからなる。続いて、この溶液を送水ポンプ真空下で高温濾過する。このようにして濾過した溶液を4℃で24時間放置する。形成される結晶を真空濾過により回収し、60〜70℃で真空下にて乾燥させる。
【0086】
1.4 酸化およびグラフティング
制御したアルゴン雰囲気下(グローブボックス)で機能化を行うが、これを以下のようにまとめることができる。
1.ポリッシュ済みのチタン表面を清浄。
2.試料を室温にて50/50HSO(アクロス(Acros)/H(アルドリッチ(Aldrich))混合物に浸漬してチタンディスクの表面に過酸化物ラジカルを形成。試料の入ったビーカーに2種類の試薬を同時に注ぎ、全体を2分間攪拌する。反応はすぐに起こり、発熱量が多くガスが発生する。最初は無色であった酸化溶液が黄色、オレンジ色と変化し、赤煉瓦色になる(硫酸とチタンとの反応によってTi4+イオンが形成されることによる)。
3.酸化した表面を蒸留水で数回すすぐ。
4.試料をNaSSモノマーの濃度0.7Mの水溶液に浸漬。
5.モノマー溶液をチタン試料と接触させて14時間かけて70℃まで加熱。70℃での加熱によって、過酸化物の結合(O−O)が開裂して遊離TiO・ラジカルになることができ、これがビニルモノマーのラジカル重合を開始する機能を果たすことになる。
6.溶液中に形成されたホモポリマー(被グラフトポリマー鎖に混入しやすい)を除去するためにポリNaSSをグラフトした金属表面を蒸留水ですすぐ。
【0087】
1.5.化学的および物理化学的キャラクタリゼーション
a)トルイジンブルーを用いてのグラフティング密度のアッセイ
トルイジンブルーでのアッセイは、633nmの可視領域で吸収する発色団であるトルイジンブルーを利用する比色分析法である。この分子には、そのN(CH3)基によって、イオン性基(−COO)と錯体化されるという特有の特徴がある。トルイジンブルー1モルがカルボキシレート基1モルとの間で錯体を形成する。このため、トルイジンブルーアッセイでは、被グラフトモノマーの量が得られる。この特性を、自らのスルホネート基(−SO)によってN(CH3)基と錯体形成可能なNaSSに置き換えた。
【化8】

【0088】
被グラフトチタン試料を5×10−4Mのトルイジンブルー溶液(pH10に調整)30℃の温度で6時間接触させる。このステップは、トルイジンブルーを被グラフトポリNaSSモノマー単位に錯体化することに対応する。試料を1×10−4Mの水酸化ナトリウム溶液でしっかりとすすいで、錯体を形成しなかったトルイジンブルーを除去する。溶液が無色になったら、このすすぎを停止する。
【0089】
錯体化したトルイジンブルーを50%酢酸溶液(アクロス・オーガニクス(Acros Organics))で脱錯体化して、これを24時間チタン試料と接触したままにする。
【0090】
得られた溶液を、そのソフトウェアによって駆動されるサファス・ゼニウス(Safas Xenius)タイプの分光光度計を用いて分光分析でアッセイする。トルイジンブルーのモル吸光係数εは51230L.mol−1.cm−1である。
【0091】
計算で求めた濃度から、以下の式を用いて被グラフト分子の量を求める。
m=[Monomer]×V×Mmonomer(単位g)
V=アッセイした溶液の容積(5×10−3L)
monomer=モノマーNaSSのモル質量
【0092】
ペレットの表面積は1cmであるため、この被グラフトモノマーの質量を1ペレット面(face)の被グラフト材料の量として単位g/cmで表すことができる。測定した光学密度から、被グラフト分子の量約10μg/cmが得られる。
【0093】
アッセイ済みの試料を再度水で数回洗浄し、トルイジンブルーとの錯体化を最大4回アッセイした。測定したグラフティング密度は3μg/cmに下がり、この値で安定した。上記で概説した現象は、この観察結果を説明できる。具体的には、トルイジンブルーとの錯体化は、ポリマー鎖のゆがみにつながる可能性があり、数回洗浄することで、絡まってはいるがグラフト化されていない鎖を除去することができた。
【0094】
文献においてシラン化による間接的な方法で得られる値はどちらかというとほぼ0.1から0.2μg/cm程度であるため、本発明による方法を用いて得られるグラフティング密度は、極めて高い密度である。
【0095】
b)減衰全反射フーリエ変換赤外線分光法(ATR/FTIR)
FTIR分光法を減衰全反射(ATR)モードで利用して、本発明者らのチタン試料の表面を分析した。測定値を得るのに使用したFTIR分光光度計は、ニコレ・アヴァター(Nicolet Avatar) 370−FTIR装置である。試料をATRモードで分析する。測定のために、4cm−1区切り、解像度1cm−1で4000から650cm−1の波長を走査する。酸化または未酸化、グラフト化または未グラフト化チタン試料を、較正した力(calibrated force)で結晶に密着させ、試料とダイヤモンドとが最大限に接触するようにする。それぞれの点で積算回数120回とし、バックグラウンドノイズを最小限に抑える。バックグラウンドは大気で得る。
【0096】
以下の表2に、さまざまな化学基に対するポリNaSSおよびその帰属の主な特性吸収帯をまとめておく。
【0097】
【表2】

【0098】
NaSS分子のスルホン基O=S=Oおよび芳香族核の振動の特性ピークは、1009〜1040cm−1に位置する二重線を構成し、約1127および1180cm−1にあるピークはスルホン酸塩の吸収によるものである可能性がある。SO基の反対称の原子価振動は1410cm−1でのピークに相当し、これよりも前の約1220cm−1にショルダピークがあるが、これはSO基の対称な原子価振動に相当する。1640から1430cm−1の間の一連のピークに関しては、これはベンゼン核の(>C=C<)結合の原子価振動によるものである可能性がある。
【0099】
この同じ生成物の化学的に酸化させてグラフトしたチタン表面の赤外線スペクトルを図2に示す。
【0100】
この表面にポリNaSSが存在することは、特に1008および1040cm−1の2つの特性ピークから確認できる。約1127〜1180cm−1でのスルホン酸塩の吸収も認められる。一方、芳香族核のC=C二重結合およびSO基の原子価振動は、バックグラウンドノイズに埋もれ、粉末状の純粋なポリNaSS生成物と表面にグラフトした生成物との強度差が得られる。
【0101】
c)光電子分光法(XPS)による化学分析
Escalab VG 220i−XLスペクトロメータで試料を分析した。1486.6eVの単色AlKα源でX線を生成する。
【0102】
試料を4つずつ分析チャンバに導入し、このチャンバを超高真空(10−9から10−10mbar)でポンプ吸引する。使用した放出角は45°、表面分析深度は全深度で10nm(検出器を試料に対して垂直になる位置に設置する)である。試料にポイントする直径は150から200μm(電力約70W、入射光線10kV)である。
【0103】
試料表面に存在する主な化学元素を同定するために、結合エネルギのドメイン全体を走査して全スペクトルを得て各試料の分析を開始し、各々後からさらに詳細に分析する。エネルギ解像度は±0.1eVとする。
【0104】
単純に酸化した試料の分析では、主な元素は、炭素、酸素およびチタンである。被グラフト試料では、硫黄およびナトリウム(NaSS)も詳細に分析する。VGから提供されているエクリプス(Eclipse)ソフトウェアでデコンボリューションを実施する。炭素のC1s寄与のメインピークに基準をとり、これを結合エネルギ284.8eVに設定する。
【0105】
化学的に酸化させてグラフトしたチタン表面の化学組成を表3にあげておく。
【0106】
【表3】

【0107】
化学酸化物の全表面組成は、チタン原子の割合が低かったこと以外は、もともとの制御酸化物の全表面組成と実質的に同じであり、炭素と酸素の割合はそれぞれ、自然酸化物で33%および46%、化学酸化物で34%および47%である。一方、チタンの原子割合は化学酸化後に15%から7%まで落ちる。事実、検出されたチタン量は硫黄汚染の実質的な存在が原因で「相対的比率」で減少する。この酸化試料で大量(8原子%)に検出された硫黄は、おそらくは硫酸を含有する酸化浴の残渣であり、これがすすぎをすべて実施した後も残ったものであろう。
【0108】
ポリNaSSの酸化状態とグラフト状態での原子組成の変化を分析すると、以下の観察を行うことができるようになる。
・炭素の原子割合が1.6倍に増し、化学酸化物の34%から被グラフト酸化物の54%まで上がる。
・平行して、酸素の割合が1.6分の1に減り(decrease by a factor of 1.6)、その寄与割合が47%から30%に落ちる。結果として、C/O比が酸化物のみの0.7からポリNaSSをグラフとした酸化物の1.8に上昇する。添加したNaSS分子が炭素に比してわずかな酸素しか含有しないとすれば、これは論理的であるようにみえる。
・酸化物がマスクされ、被グラフトポリマーに厚みが出てチタンの検出が一層困難になるため、チタンの寄与も7.4%から5%に低下する。
・酸化物のみの場合(8%)と比較して、ナトリウムが出現(4%)し、硫黄の割合は6%に維持される。
【0109】
これらの結果は、NaSSの重合が起こり、チタン表面にポリNaSSが確かに存在することを裏付けるものである。
【0110】
さらに、Na/Sの原子割合の比は理屈では1になるべきであるが、0.6から0.7の間で振れる。これは、スチレンスルホン酸ナトリウムNaSSが水性媒質中で解離する塩であり、このためナトリウムが別の対イオンと錯体化可能であることから説明できる。
【0111】
化学的に酸化させてポリNaSSをグラフトした試料の元素C1s、O1s、Ti2pおよびS2pのさまざまな寄与のデコンボリューションを図3A〜図3Eにあげておく。
【0112】
被グラフト酸化物(図3B)の炭素のC1sスペクトルのデコンボリューション(左側)の形状は、グラフトしていない酸化物(図3A)の場合と実質的に似ている。しかしながら、炭素鎖と被グラフトポリNaSSの環(CHxおよびC=C結合)が原因で284.6eVで炭化水素ベースの種が極めて高い割合になる。この寄与は存在する事実上すべて(85%)の炭素に相当する。
【0113】
残りは、前よりもかなり低い強度で酸素に結合した成分である(酸化物のみの場合に35%であるのに対し、存在する炭素の15%)。
【0114】
酸素のO1sスペクトル(右側)では、通常、532eVでのヒドロキシル寄与が531.5eVでエネルギの低いほうにシフトする。これは、ポリNaSS環の官能基のSOイオンによるものである可能性がある。この成分(存在する酸素の50%)は、カルボニルC=Oも含み、潜在的にはヒドロキシルOHが依然として存在すればこのうちのいくつかも含む。
【0115】
被グラフト酸化物(図3D)のTi2pのスペクトルのデコンボリューション(左側)は、グラフトしていない酸化物(図3C)の場合と同様であり、単一の成分Ti(IV)があって強度が低い。これは、TiO酸化物中のチタンが、ポリマーの層でマスクされて分析ゾーンから離れたためである。
【0116】
168.1eVでの硫黄ピークの位置(531.5eVでのO1sに相当)から、スルホネートイオンSOの形で硫黄が存在することが分かる。S2p1/2ピークが、エネルギのΔ1.18eV、すなわち約169.3eVに位置する。
【0117】
図3Eは、比較目的で、それぞれ化学酸化物のみ(左側)と被グラフト化学酸化物(右側)で得られる硫黄のS2p3/2スペクトルを示すものである。酸化状態とグラフト状態での168.9eVから168.1eVへのS2p3/2ピークの位置シフトが容易に観察される。これは、ポリNaSS−グラフト試料の硫黄が硫酸塩SO2−ではなくスルホネートイオンSOの形で存在することを裏付けるものであり、ここでもポリNaSSのグラフティングが裏付けられる。
【0118】
ナトリウムのNa1sピークはエネルギ1072eVで出現する。
【0119】
d)接触角を測定することによる表面エネルギ
液体の滴を表面にのせ、平衡位置に達した後に、滴の接線と表面とのなす角度をゴニオメータで測定する。
【0120】
「付着液滴法」によって、静的モードで、DSA 10装置(クラス(Kruss))を用いて接触角を測定した。これらの角度の測定値から、オーウェンズ−ウェント(Owens−Wendt)法で表面エネルギを推定した。
【数1】

【0121】
異なる溶媒すなわち、蒸留水、ホルムアミド(99.5%、アルドリッチ(Aldrich))、エチレングリコールおよびジヨードメタンの0.5μLの滴を表面にのせる。それぞれの滴を付着させた後、平衡状態に達してからすなわち約5秒間後に測定値を得る。こうして同じプロトコールで生成した2種類の試料の表面の少なくとも6つのゾーンを写真撮影し、研究対象となる表面の均一性を確認する。実験誤差については±2°と推測する。測定結果を表4にあげておく。
【0122】
【表4】

【0123】
制御チタンからポリNaSSをグラフトしたチタンに至る際に、ポリNaSSの親水性がゆえに水との接触角の値の減少が認められる。
【0124】
接触角の値から、オーウェンズ−ウェント(Owens−Wendt)法で対応する表面エネルギを算出した(表5)。
【0125】
【表5】

【0126】
ポリッシュしたチタンからポリNaSSをグラフトしたチタンに至る際に、表面エネルギの全体の値が次第に大きくなることが分かる。よって、これは手を加えていないチタンでの44.3mN/mから酸化させたチタンの59.2mN/m、さらにはグラフトしたチタンの64.9mN/mへと上昇する。この上昇は主に、エネルギの極性成分の上昇によるものであり、その寄与は手を加えていない状態と酸化状態とで2倍になる。実際には同じ寄与が手を加えていない状態とグラフト状態とで3倍になるのに対し、分散成分では同時に1.6分の1に減少する(decrease by a factor of 1.6)。
【0127】
過酸化水素での化学酸化は、事実、TiOH基を出現させるため、チタン表面の親水性が高まる。
【0128】
次に、ポリNaSSのグラフティングでは、化学的に酸化させたチタンと比較して表面エネルギがわずかに増加する。表面エネルギは59.2から64.9mN/mに上昇する。ここで、NaSSはそのイオン性スルホネート基がゆえに極性分子であり、3つの酸素原子を有する。
【0129】
追加の実験:
ポリNaSSの場合と同様にして、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のグラフティングを実施した。PMMAをグラフトしたチタンで水滴の接触角を測定したところ、純粋なPMMAで得られる70°の値に近い値である65°が得られた。この実験は、チタン表面にさまざまなポリマーをグラフトできることを裏付けるものである。
【0130】
実施例2:ポリNaSSグラフティング密度の改善
チタンにグラフトされるポリマーの量を最適化するために、上記実施例1の方法におけるさまざまなパラメータを修正した。このため、以下のパラメータ(方法A)で、トルイジンブルーでのアッセイによって測定した場合の密度として15.4μg/cmという高い値が得られた。
−逐次的な混合物を用いる酸化:HSOを1分間に続いてHを2分間。
−HSO/H混合物中の触媒として硫酸鉄の使用。
−70℃で15時間の重合反応。
【0131】
このような方法を用いると、従来技術のシラン化による間接的な方法で得られるであろう密度に比して、得られるグラフティング密度が特に高くなる。さらに、1か月後、チタン表面でのポリマーの損失がまったく観察されなかったことから、方法Aで得られるグラフティングは安定している(表6)。
【0132】
【表6】

【0133】
実施例3:修飾面との接触時の細胞活性
A)修飾チタン表面での骨芽細胞の発達
修飾チタン表面との接触時の細胞活性の研究のために選択した細胞は、ヒト骨芽細胞MG−63由来の株に属する。本発明者らは、付着、アルカリホスファターゼ活性および沈殿したリン酸カルシウムの量を測定した。
【0134】
MG63細胞での付着測定値については、140ダイン/cmの一定の力をかけてインキュベーションを行った30分間後に得た。剥離する細胞の割合が、酸化チタン(14%)からポリNaSS−グラフトチタン(8%)で減少することが明らかになっている。ポリNaSS−グラフト表面では、親水性が酸化させただけの表面の親水性に比較的近いレベルでありながら、付着性は改善される。
【0135】
インキュベーションの4時間後に付着を測定したところ、差はそれほど顕著ではなくなるが同様の結果が認められる。
【0136】
2つのメインマーカーとしてアルカリホスファターゼ活性と鉱化を利用して、細胞の分化についても研究した。
【0137】
第1のステップは、細胞のアルカリホスファターゼ活性を、この酵素の骨形成における根本的な役割の点から測定し、また、鉱物堆積に対する誘導効果についても測定するためのものであった。これがホスフェート搬送を調節するものであることがその理由である。チタン表面にグラフトされたポリNaSSが存在すると、酸化させたチタン表面と比してアルカリホスファターゼ活性が約25%有意に増加する。
【0138】
分化の第2のステップは、骨と鉱物堆積の形成すなわち石灰化を特徴とする。リン酸カルシウムアッセイを実施し、骨芽細胞MG−63での分化の段階を判断した。支持材にポリNaSSをグラフトすると、酸化させた表面の場合よりも細胞から抽出されるカルシウムの量が有意に(約30%)増加することが見いだされた。
【0139】
得られた最終結果は、ポリNaSSまたはポリメタクリル酸またはこれらの2種類のポリマーの混合物を用いて改良したチタン製補綴の埋入に関するものである。これらの予備試験は、ヒト骨芽細胞MG−63での付着研究時に完全なポリNaSS−グラフト試料とは特徴付けられなかったチタン試料で実施した。この研究の目的は、in vivoで、スルホネートまたはカルボキシレート基をグラフトしたチタンの組織応答を評価することであった。この目的を達成するために、改良または未改良のチタンシリンダをウサギの大腿顆に埋入し、4週間後に屠殺した。各試料の切片を使用し、画像分析装置によって、インプラント周囲に新たに形成された骨表面の定量化を評価する(図4)。
【0140】
半定量的に、ポリNaSSで覆われた試料では比較的広い接触面で骨表面に沿って骨が均一に分布することに留意できる。改良していないチタンインプラントとは対照的に、線維組織および軟骨結節は観察されない。
【0141】
カルボキシレート基しか含まない組成物では、骨とインプラントとの接触は存在するが、表面は小さめで数も少ない。巨細胞を含む、インプラントした表面と接触した線維組織のゾーンがある。
【0142】
スルホネート基が存在すると、インプラントと接触した骨組織の量が増える。逆に、カルボキシレート基が存在すると、線維組織の形成が促進される。
【0143】
骨/インプラント接触のより一層定量的な評価を組織形態計測によって実施した。改良していないチタンでの骨/インプラント接触の平均割合は32%、スルホネートで改良したチタンでは38%であった。カルボキシレート基で覆ったインプラントでは接触率が大幅に低下する(12%)。軟骨/インプラント接触の割合はチタンSOでの1.3%からカルボキシレート処理したチタンでの8%の範囲である。重要な点は、スルホネート処理したチタンでの骨+軟骨接触の割合が、未改良のチタンで測定した場合よりも高いことである。
【0144】
B)細菌付着の阻害
細菌付着に関して、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus)で若干の測定値を得た。本発明者らが細菌付着の阻害レベルを測定したところ、ポリッシュ済みチタンとの比較で79%、酸化させたチタンとの比較で54%であった。これらの極めて励みになる中間結果は、ポリNaSSへの黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の付着についての測定で得られた結果を裏付けるものであった。最近になって、これらの結果はスルホネート基で覆ったシリコーンインプラントでも裏付けられ、これによってin vivoでの細菌付着を2対数単位も減らすことが可能になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性ポリマーを補綴材料にグラフトするための方法であって、
−前記補綴材料の表面でフリーラジカル供与活性種を生成するステップと、
−表面に活性種が生成された前記補綴材料を、酸素の非存在下で生理活性ポリマーを形成できるようにするラジカル重合を可能にする機能を持つ少なくとも1種のモノマーと接触させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記補綴材料が、金属、セラミックまたはガラス材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補綴材料が、チタン、その合金、特に、そのニッケル合金、バナジウム合金、アルミニウム合金および/またはモリブデン合金、アルミニウム、ニッケル、タンタル、イリジウム、ジルコニウム、金または鋼である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記補綴材料が、チタン材料またはチタン合金である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記材料の表面であらかじめ生成した活性種からフリーラジカルを得るステップを実施する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
特に25℃〜160℃、好ましくは40℃〜100℃の温度での熱反応によって前記フリーラジカルを得る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
50〜80℃、好ましくは60〜75℃での熱反応によって前記フリーラジカルを得る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
70℃での熱反応によって前記フリーラジカルを得る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーを前記材料と接触させるステップの前、好ましくはそのステップのあいだ、あるいは後で前記フリーラジカルを得る、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーが、少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノマーがビニル基を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種のモノマーが、カルボキシレートまたはスルホネート機能を持つ、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル(MMA)、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)アクリルアミド(NaAS)、N−(フェニルスルホン酸ナトリウム)メタクリルアミド(NaMS)、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)、エチレングリコールメタクリレートメタクリレートホスフェート、メタクリロイルジイソプロピリデン、さらには、グルコース、グルコフラノース、スクロース、ポリオースまたはフルクトースなどのオシド基を持つモノマー、またはこれらの化合物の任意の混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
表面に活性種が生成された前記補綴材料を、酸素の非存在下で生理活性ポリマーを形成できるようにするラジカル重合を可能にする機能を持つ少なくとも1種のモノマーと、少なくとも約30分間接触させる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
表面に活性種が生成された前記補綴材料を、酸素の非存在下で生理活性ポリマーを形成できるようにするラジカル重合を可能にする機能を持つ少なくとも1種のモノマーと、1〜48時間、好ましくは約15時間接触させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記補綴材料表面への前記活性種の形成前に、この補綴材料をポリッシュする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記材料を研磨紙でポリッシュする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粒度分布がP1200まで下がる異なった研磨紙で前記材料をポリッシュする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
一連の研磨紙が、粒度分布P800、P1000およびP1200のものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記材料を酸/H混合物で酸化させる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記酸/H混合物が、前記補綴材料を酸溶液と接触させた後、これをHと接触させることを含む逐次的な混合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記酸が、フッ化水素酸、塩酸またはHSOであり、好ましくはHSOである、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記補綴材料が、チタンまたはその合金であり、これを酸性のHSO溶液と1分間接触させた後、H溶液と2分間接触させ、HSO/H比が好ましくは50/50(v/v)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記酸/H混合物に金属塩を添加する、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記金属塩を、10−4mol/l〜2mol/lの範囲の濃度で添加する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属塩が、鉄、ニッケル、クロムおよび銅の塩から選択される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記金属塩が硫酸鉄である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法により得られる生理活性ポリマーがグラフトされる、補綴材料。
【請求項29】
請求項28に記載の補綴材料を、補綴インプラントの製造に用いる使用法。
【請求項30】
人工関節の製造に用いる、請求項29に記載の使用法。
【請求項31】
義歯の製造に用いる、請求項29に記載の使用法。
【請求項32】
請求項28に記載の補綴材料から製造されることを特徴とする、補綴インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−539453(P2009−539453A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513738(P2009−513738)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051389
【国際公開番号】WO2007/141460
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(503455916)ユニヴェルシテ・パリ・13 (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS 13
【Fターム(参考)】