説明

生理活性高分子物質の精製方法及びその方法により得られる精製物

【課題】 従来の生理活性高分子物質の精製方法がもつ種々の欠点を克服し、動植物由来の生理活性高分子物質含有精製画分を効率よく精製して、比活性の高い高純度の精製品を得ることができる新規な精製方法を提供する。
【解決手段】 生理活性高分子物質含有液に対し、透析処理及び等電点沈殿処理を同時に行うことにより生理活性高分子物質を精製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤血球凝集素、天然タンパク質、酵素、DNA、RNAのような生理活性高分子物質を高純度に精製するための新規な方法及びその方法により得られた精製物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤血球凝集素、天然タンパク質、酵素、DNA、RNAのような動植物に由来する生理活性高分子物質は、それを利用する場合には高純度に精製して活性を高めるのが望ましいが、共存する各種高分子不純分や、分離、回収する際に混入する薬品に起因する低分子不純分など多種多様の不純分を含有するため、それらを完全に除去して高純度の製品とするのは非常に難しい。
したがって、これらの生理活性高分子物質について、簡単に、かつ効率よく純度をあげる精製方法を開発することが重要な課題となっている。
【0003】
ところで、生理活性高分子物質の1種である赤血球凝集素は、各動物の赤血球に対し特異的な挙動を示すので、医療、製薬、生化学分野などにおける検査用試薬や分離用材料として広く用いられている。この赤血球凝集素は、動物由来のものと植物由来のものとに大別されるが、大量に入手しうること、処理しやすいことなどを考慮して、植物由来のものが実用上注目されている。
【0004】
これまで、これらの植物由来の赤血球凝集素としては、陸上植物由来のものとしてタチナタマメからのコンカナバリンA(Con A)や小麦からの小麦胚芽レクチン(WGA)などや(非特許文献1参照)、海洋植物由来のものとしてオゴノリ(Gracilaria verrucosa)からのGVAI、カギイバラノリ(Hypnea japonica)からのハイピン(Hypnin) A、B、C及びD(非特許文献2参照)などが知られている。
【0005】
しかしながら、陸上植物由来のものは、凝集活性の高い標品を比較的容易に得ることができるが、単糖類や二糖類のような単純な糖によっても赤血球凝集活性が阻害されるため、認識糖鎖選択性が低いという欠点がある。これに対し、海洋植物由来のものは、単糖類や二糖類によって赤血球凝集活性が阻害されず、フェツイン、アシアロフェツインのような糖タンパク質によって阻害されるため、認識糖鎖選択性が高いと考えられるが、凝集活性の高い標品を得ることが困難であるという欠点を有する。また両者ともイオン強度の変化により凝集活性の制御を行うことができないという欠点をもっている。
また、一般に赤血球凝集素については100℃での熱処理によって、その糖鎖結合能力を喪失するという欠点がある。
【0006】
赤血球凝集素の細胞に対する生物活性の中で、画期的なものとしてリンパ球との反応を挙げることができる。リンパ球を非常に低い濃度の赤血球凝集素とともに培養すると、リンパ球が増殖し、分裂するようになる。このように静止期にあるリンパ球を成長・増殖する状態へと引き金を引く効果はマイトジェン刺激と呼ばれ、異物すなわち抗原に対する生体の免疫反応の鍵となる重要な現象である。マイトジェン刺激機能は細胞性免疫能力賦活機能の一つであり、赤血球凝集素の自然免疫増強活性の指標となる。
【0007】
マイトジェンとして主に利用される赤血球凝集素はコンカナバリン エイ(Con A)、インゲンマメレクチン ピイ(PHA−P)、インゲンマメレクチン エル(PHA−L)、アメリカヤマゴボウレクチン(PWM)などで、これらをリンパ球とともに48〜72時間培養し、DNAに取り込まれた標識チミジンの増加率を測定することにより検定される。
【0008】
マイトジェン能をもつ赤血球凝集素は細胞の抗原特異性とは無関係に、活性化可能なリンパ球のほとんどを活性化できるため、細胞の増殖による変化を追求したり、研究したりするのが容易である。また赤血球凝集素がTリンパ球に対し、細胞傷害活性を誘導させることも明らかとなっている。誘導されたT細胞の細胞傷害活性は抗原非特異的であることから、様々な正常細胞や悪性化細胞に対して発揮される。
【0009】
このように、赤血球凝集素によるマイトジェン活性化は、使用が容易で簡単なことから、エイズを含む様々な病気の患者の免疫能を判定する手段となっている。また種々の免疫抑制効果や免疫療法の効果を調べる目的にも使われている。さらに最近では、ガンの新しい治療法であるLAK療法におけるリンパ球の分裂促進剤としても注目されている。
【0010】
赤血球凝集素は糖鎖を特異的に認識し、結合する能力を有している。この性質は、マイトジェンとして生体内への直接投与あるいは皮膚へ経皮投与した場合、細胞表層糖鎖を認識し、細胞と結合できるため、糖鎖結合能力を持たないマイトジェン例えば、リポ多糖と比べて、細胞表層の糖鎖と結合して細胞表層に接近できるなどして、より効果的にマイトジェンとして機能を発揮することが考えられる。
【0011】
しかし、これらマイトジェン能をもつ赤血球凝集素は、タンパク質が主成分であり、高温(約100℃)での熱処理や40〜50℃でも長時間放置をすると糖結合能力を失ってしまうため、生体内投与に際しての他試薬との併用が制限されるのを免れない。したがって、熱処理後も糖鎖結合能力を保持することができるマイトジェン能をもつ赤血球凝集素が求められており、本発明者らは先にオゴノリ属紅藻類から高活性赤血球凝集素を製造する方法を提案した(特許文献1参照)。
【0012】
また、生理活性高分子物質として知られているタンパク質の中には、反応を触媒する機能を有する酵素が含まれている。酵素のその生物機能は、化学的プロセスでまねの出来ない機能も多く知られている。酵素の生物機能を産業的に利用する試みや酵素の工業的生産プロセスの開発、遺伝子工学による酵素の大量生産などが行われている。しかし、生体内での含有量が極端に少なかったり、酵素を生産する生物が希有で合ったり、酵素が変性しやすい性質を持つなどして、未だに工業的生産がなされていない酵素の方が多数を占めている。これら未だ未利用な酵素を使用するために、効率的で簡便な生体高分子物質、特に酵素タンパク質を精製して純度を高め、活性の高い製品を得る方法が求められている。
【0013】
例えば、海藻由来の生体高分子物質、なかでも赤血球凝集素や酵素タンパク質は、藻体内での含有量が少ないことや精製を妨害する多糖類などが多く含まれていることから、陸上生物由来の赤血球凝集素や酵素に比べて精製物を得ることが難しく、工業的な製造例は皆無に等しい。
【0014】
ところで、一般に生理活性高分子物質の精製に際しては、不純分との溶解度の差を利用して、硫酸アンモニウムのような塩を用いた塩析により不純分を除き、純度を高めることが行われている。そして、この際の生理活性高分子物質の精製度の指標として比活性すなわち単位質量当りの活性(units/mg)が用いられている。
【0015】
硫酸アンモニウム塩析により沈殿として濃縮分別された生理活性高分子物質の粗活性画分は、適当な溶媒に溶解され、クロマトグラフィーなどにより更に分離されて精製品とされる。しかしながらクロマトグラフィーによる精製は、複雑で時間がかかる欠点があり、より簡便な精製方法が求められていた。
【0016】
本発明者らは、先にオゴノリ属紅藻類から硫酸アンモニウム塩析により高活性赤血球凝集素を沈殿させて活性成分を濃縮分別することや、100℃に加熱して夾雑タンパク質を分解除去することに成功したが(特許文献2参照)、これらの方法では熱安定性の良いタンパク質や、溶解度の高い夾雑物を簡単に取り除くことはできない。
【0017】
また、透析法により生理活性高分子物質の精製を行うことも知られている。この透析法は古くからタンパク質溶液の脱塩と濃縮に用いられてきた操作である。透析法は、低分子物質は自由に通過できるがタンパク質のような高分子は通過できない、いわゆる半透膜を用いる。約1,000から50,000の透析膜が市販されており、容易に入手することができる。しかしながら、透析膜では、分子量の離れたタンパク質同士を分けることはできるが、分子量の近いタンパク質同士を分けることは困難である。
【0018】
この透析法は、透析すべき試料を再生セルロース膜のような透析膜を介して透析液と接触させ、低分子不純分を透析液に移行させて除去する方法で、接触させる透析液の量が多ければ多いほど効率はよくなるが、装置の収容量に限度があるので、多くとも試料の10倍体積の透析液を用いて複数回繰り返し使用して行うのが普通である。この際、透析中におけるタンパク質の変性を防止するために、低温下で処理することが必要である。
【0019】
一方、溶解度の差を利用した分別方法として等電点沈殿法がある。この方法は、生理活性高分子物質の等電点による溶解度の差を利用した分離方法である。可溶性の生理活性高分子物質、例えばタンパク質は分子内に多くの極性基を有しているが、それらの電荷の総和が零になるpHがそのタンパク質の等電点で、このpHにおいてタンパク質の溶解度は最少になる(非特許文献3参照)。一般に塩類の陰イオンほどタンパク質と結合しやすいため、塩類の添加により等電点は酸性側にずれる。
【0020】
しかしながら、この等電点沈殿法には、共存する塩類濃度を低くしておかなければならない、夾雑タンパク質があまり多いと等電点に近いタンパク質やその他のタンパク質まで共沈するおそれがある、pHを調整する際に、液の局所的なpHの急激な変化が起こると変性して不溶性の沈殿を生じるため、強力なかくはんを行う必要がある、硫酸アンモニウムでの塩析による沈殿が水を加えると再溶解できるのに対して、この不溶性沈殿は再溶解できない、塩析の沈殿が約1〜2時間で生成するのに対して、等電点沈殿はpH調整後半日ぐらいの時間が沈殿生成に必要である、硫酸沈殿した画分を等電点沈殿する際、あらかじめ硫酸アンモニウムを除去する必要がある、などの欠点がある。
【0021】
また、pHの急上昇を避けるために、低濃度緩衝液を用いると全体の液量が増大し、沈殿する画分を回収する場合、液中に多量のタンパク質が溶解し、回収されずに残存するという欠点もある。
【0022】
【非特許文献1】「ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)」、1936年、第32巻、p.227−237
【非特許文献2】「ブレタン・オブ・ジャパニーズ・ソサエティ・オブ・サイエンティフィック・フィッシェリイズ(Bul.Jap.Soc.Sci.Fishe.)」、1981年、第47巻、p.1079−1084
【非特許文献3】日本生化学会編、「生化学実験講座1 タンパク質の化学1分離精製」、東京化学同人発行、1976年、p.73−74
【特許文献1】特開平7−278004号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】特願2004−108562号(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、従来の生理活性高分子物質の精製方法がもつ種々の欠点を克服し、動植物由来の生理活性高分子物質含有精製画分を効率よく精製して、比活性の高い高純度の精製品を得ることができる新規な精製方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、動植物由来の生理活性高分子物質から不純分を分離除去して、比活性の高い高純度の生理活性高分子物質を得る方法について鋭意研究を重ねた結果、生理活性高分子物質含有液に対し、透析処理と等電点沈殿処理を同時に行うことにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0025】
すなわち、本発明は、生理活性高分子物質含有液に対し、透析処理及び等電点沈殿処理を同時に行うことを特徴とする生理活性高分子物質の精製方法、及びこの精製方法により得られる生理活性高分子物質精製物を提供するものである。
本発明では透析処理及び等電点沈殿処理を同時に行う処理を透析同時等電点処理という。
【0026】
本発明の精製方法は、例えば生理活性高分子物質及び不純分を含有する緩衝液を透析膜を介して、生理活性高分子物質の等電点に調整された透析液と接触させ、低分子不純分を透析液中に移行させて除去すると同時に高分子不純分例えば可溶性糖類を含む溶液から生理活性高分子物質を沈殿させて回収するか、あるいは低分子不純分を透析液中に移行させて除去すると同時に高分子不純分を沈殿させて除去することによって行われる。
【0027】
この際、高分子不純分を沈殿させ、生理活性高分子物質を可溶性成分として溶液中に残存させるか、又は高分子不純分を可溶性成分として溶液中に残存させ、生理活性高分子物質を沈殿として回収するかは、生成した沈殿を再溶解し、沈殿再溶解画分と可溶性画分の活性を比較することにより、高比活性な生理活性高分子物質画分を沈殿再溶解画分又は可溶性画分として得ることができたか確認することができる。
【0028】
次に、海藻オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)から生理活性高分子物質として赤血球凝集素を得る方法を例として、本発明方法を詳細に説明する。
すなわち、オゴノリ属紅藻類から塩類水溶液で抽出される抽出液に、最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第1段目の塩析を行い、沈殿した夾雑物を除去したのち、さらにその抽出液に最終濃度60〜80%飽和濃度程度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第2段目の塩析を行い、粗活性画分を沈殿として回収し、沈殿を適当な溶液で溶解した粗活性画分を以下の操作(1)〜(3)を行って、透析同時等電点沈殿処理済みの活性画分を得る。
【0029】
(1)硫酸アンモニウム塩析沈殿を最少量の緩衝液A[30mM 塩化カリウム、3μM 硫酸亜鉛、1mM 2−メルカプトエタノールを含む25mM Tris−HCl(pH7.6)]に溶解する。(2)粗活性画分再溶解液の硫酸アンモニウム濃度が濃い間は、最初の内は透析液として緩衝作用のない蒸留水溶液は、pHが極端に変化するために使用しない方がよい、そこで、粗活性画分再溶解液約50mlを収納した透析チューブ8本当たり、2.5リットルの緩衝液Aで透析を開始する。透析液の交換は2回/日とする。(3)透析液の硫酸イオンをイオンクロマトで分析し、硫酸アンモニウムの濃度が低下したことを見極めてから、透析液を緩衝液B[0.15mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]にして透析を2回、緩衝液C[0.015mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]にして透析を2回した後、透析液をpH5.5の蒸留水にする。
【0030】
透析液を蒸留水(pHは約pH5.5)に変更後、3日後(透析液交換6回)に試料液の透明度が低下してきた後、更に透析を1日(透析液交換2回)続けると透析チューブ内底部に沈殿の蓄積を確認し、その後透析を1日(透析液交換2回)行った後、透析チューブの上下両端を手で持ち、透析チューブを上下に動かし、沈殿を懸濁させた。懸濁液を遠心分離により、沈殿と可溶性画分に分別した。沈殿を適当な溶媒に溶解して沈殿再溶解画分を得る。沈殿再溶解画分及び可溶性画分について所望の生理活性高分子物質の活性を測定する。ここでは、比活性の高い画分を「透析同時等電点処理済みの活性画分」という。
【0031】
この際用いることのできる透析液のpHは所望の回収・濃縮あるいは除去しようとする生理活性高分子物質の等電点により選択することができる。pH5.5付近の蒸留水であれば、蒸留水製造装置で調製したままで使用できるので便利である。この際用いる水溶液は、低濃度の塩を含んでいてもよいが、好ましくは蒸留水がよい。微量成分(金属など)も含まない透析液が好ましいが、生理活性高分子物質の活性保持のために必須の場合はできるだけ少量を透析液に添加して使用できる場合がある。この際用いることができる透析膜は、分画分子量10,000以下の透析膜が好ましい。透析中の透析液の撹拌は行った方が好ましい。透析同時等電点処理は生理活性高分子物質の耐熱性により使用する温度を選ぶことができるが、好ましくは4℃から10℃の低温で行うのが好ましい。透析液の交換回数は多いほど、早く透析同時等電点処理が可能であるが、1日2回の交換回数でもよい場合がある。試料液の体積に対する透析液の体積の比は大きいほどよいが、試料液の体積50mlに対して透析液の体積2.5リットルでもよい場合がある。
【0032】
透析同時等電点沈殿処理の初期において、透析同時等電点沈殿処理中に、透析チューブの上下をもって倒立撹拌し、透析チューブ内の液を均一にすることが可能である。透析同時等電点沈殿処理の初期とは、透析液を蒸留水に二酸化炭素ガスを吹き込んで適当なpHに調節したあるいは適当なpHの水溶液に変える前までを意味する。
【0033】
本発明の方法によって得られる精製画分は、例えば、海藻オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)から塩類水溶液で抽出される抽出液に、最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第1段目の塩析を行い、沈殿した夾雑物を除去したのち、さらにその抽出液に最終濃度60〜80%飽和濃度程度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第2段目の塩析を行い、粗活性画分を沈殿として回収し、沈殿を適当な溶液で溶解することにより得た液状の粗活性画分を透析同時等電点沈殿処理して得られる透析同時等電点沈殿処理済みの活性画分である。
【0034】
この際の原料としては、オゴノリ属紅藻類が用いられるが、特にオゴノリ(Gracilaria verrucosa)、ツルシラモ(Gracilaria chorda)、それらの亜種が好ましく、天然で成熟体として雌雄配偶体が検出されず、四分胞子体のみの成熟体が検出される特徴をもち、淡水混入天然海水域で繁殖するオゴノリ属紅藻類がより好ましく、天然で成熟体として雌雄配偶体が検出されず、四分胞子体のみの成熟体が検出される特徴をもち、淡水混入天然海水域で繁殖するオゴノリ属紅藻類から作成された非成熟性単藻培養株が最も好ましい。
【0035】
本発明においてオゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)とは、(1)オゴノリ属海藻(Gracilaria sp.)に分類される海藻、あるいは、(2)Gracilariopsis sp.に分類される海藻、あるいは、(3)Gracilariopsis sp.に過去に分類された海藻を含む。
【0036】
例えば、日本産海藻では、オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)とは、非特許文献「新日本海藻誌日本産海藻類総覧、吉田忠生著、内田老鶴圃発行、1998年」においてオゴノリ目(Gracilariales:グラシラリアレス)オゴノリ科(Gracilariaceae:グラシラリアシー)に分類されている海藻を含む。
これらの紅藻類は、寒海にも存在するが特に暖海に多く、わが国ではほとんどすべての海岸地帯に分布しており、寒天の増量物や刺身のつまなどに用いられている。
【0037】
本発明方法によれば、酵素タンパク質の精製を行うことができる。酵素タンパク質とは例えば、大まかには(1)酸化還元酵素(Oxidoreductases)、(2)転移酵素(Transferases)、(3)加水分解酵素(Hydrolases)、(4)リアーゼ(Lyases)、(5)異性化酵素(Isomerases)、(6)リガーゼ(Ligases)又は合成酵素(Synthetases)が挙げられる。
【0038】
酸化還元酵素としては、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、2−ニトロプロパンジオキシゲナーゼ、その他の酸化還元酵素が挙げられる。
【0039】
転移酵素としては、ニコチンアミドメチルトランスフェラーゼ、カテコールメチルトランスフェラーゼ、ホモシステインメチルトランスフェラーゼ、ホスホリラーゼ、アミロホスホリラーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、ポリホスホリラーゼ、UDP−guruko−su−グリコーゲングルコシルトランスフェラーゼ、1,4−α−グルカン分岐酵素、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ、トランスアミラーゼ(アミノトランスフェラーゼ)、アスパラギン酸−α−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ(アスパラギン酸トランスアミナーゼ、グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、γ−アミノ酪酸トランスアミナーゼ(GABAトランスアミナーゼ)、リシン−α−ケトグルタル酸ε−トランスアミナーゼ、ヘキソキナーゼ、その他の転移酵素が挙げられる。
【0040】
加水分解酵素としては、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、溶菌酵素、デキストラナーゼ、イヌラナーゼ、グリコシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、リポプロテインリパーゼ、ホスホリパーゼ、コレステロールエラスターゼ(ステロールエステルヒドラーゼ)、ヌクレアーゼ、タンナーゼ、その他の加水分解酵素が挙げられる。Lyases(リアーゼ)としては、アミノ酸デカルボキシラーゼ、アルドラーゼ、トリプロファナーゼ、チロシンフェノールリアーゼ、フマラーゼ、トリプトファンシンターゼ、アンモニアリアーゼ、その他のリアーゼが挙げられる。
【0041】
異性化酵素としては、アミノ酸ラセマーゼ、乳酸ラセマーゼ、UDP−グルコース4−エプメラーゼ、マレイン酸シス−トランスイソメラーゼ、マレイルアセト酢酸イソメラーゼ、まれ入るピル便酸シス−トランスイソメラーゼ、リノレイン酸イソメラーゼ、その他の異性化酵素が挙げられる。
【0042】
リガーゼ又は合成酵素としては、アシルCoAシンテターゼ、アミドシンテターゼ、ペプチドシンテターゼ、その他のリガーゼ又は合成酵素が挙げられる。
【0043】
本発明方法は、透析液として2種類以上の異なったpHに調整した蒸留水や緩衝液を用いて、生理活性高分子物質画分から沈殿を多段階で生成、分別し、この連続操作により他種類の生理活性高分子物質を高純度化することができる。
この処理の1つの操作例を述べると、上部が開放されたセルあるいは容器で底部・側面に透析膜を取り付けた透析用器具を用いて適当なpHに調整した蒸留水や緩衝液で透析同時等電点処理を行い、沈殿が生じた後、透析器具内の可溶性画分をピペットなどで取り出し、別のpHに調整した蒸留水や緩衝液に浸したもう一つの透析用器具内へ移す。この操作を繰り返すことによって、連続的に高純度化を行うことができる。
【0044】
本発明方法は、再生セルロース膜のような透析膜で隔離された2室をもつ容器を用い、一方の室に処理しようとする試料液を他方の室に透析液を収容して行うことができるが、試料液を再生セルロースチューブに詰め、これを透析液を満たして容器中に浸漬して行うのが便利である。この際、試料液を透析液との接触を促進するために、透析液を撹拌又は強制循環させるのが好ましい。
【0045】
一般に等電点沈殿は、試料液、例えばタンパク質溶液のpHを酸あるいはアルカリを加えて変化させて、沈殿をさせたい所望の生理活性高分子物質の等電点に近づけることにより等電点沈殿を生成させる。しかし、このとき、急激なpH変化が溶液で局所的に起こりタンパク質が変性することが問題となっている。
これに対し、本発明方法においては、あらかじめ適当なpHに調節した蒸留水や緩衝液を透析液として用いて等電点沈殿を生成させているので、試料液中での急激なpH変化が起こらず、タンパク質が変性しない。
【0046】
また、一般の等電点沈殿を再溶解させるには、pH調整や透析など煩雑な操作が必要である。これに対し、本発明方法で得られた透析チューブ容器(透析チューブ、透析セルなど)内の沈殿は、透析容器を適当なpHに調整した蒸留水や緩衝液に対して再度透析することにより、沈殿は懸濁状態を通り最終的に再溶解し、可逆的に生理活性高分子物質溶液に戻すことができる。
【0047】
また、一般の等電点沈殿では、塩が含まれるため、一般に塩類の陰イオンほどタンパク質と結合しやすいため、塩類の添加により等電点は酸性側にずれる。これに対し本発明方法では、透析液に適当なpHに調整した蒸留水あるいはごく低濃度の緩衝液を用いているため、酸性タンパク質や中性タンパク質を沈殿として分別する場合に一般の等電点沈殿法よりも酸性側にずれずに中性側で、沈殿が形成される。すなわち、生理活性高分子物質溶液のpHがより酸性側になることが防止されるため、一般の等電点沈殿法よりも本発明方法によれば、タンパク質の変性を少なくすることができる。
【0048】
ところで、本発明方法においては、透析液のpHを変化させることにより、容器内の生理活性高分子物質溶液を透明液から懸濁液に変え、さらに沈殿形成させることができる。この変化はまた逆に進行させることもできる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によると、動植物体由来の不純分を含む生理活性高分子物質画分から、高い比活性をもつ高純度の生理活性高分子物質を含む画分を効率よく回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
(イ)水溶性画分の抽出工程
ツルシラモ(徳島県吉野川河口域産)を0.15M塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、天日乾燥して乾燥物を得た。この乾燥物100gに0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)700mlを加えてホモゲナイズしたのち、このホモゲナイズした液を4℃で6時間放置後、遠心分離して上澄である粗抽出液を得た。
【0052】
(ロ)粗活性画分の分別工程
次いで、この粗抽出液に、最終濃度が35%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを加えて1段目の塩析を行った。硫酸アンモニウムの添加終了後、4℃で1時間放置、生成した沈殿を遠心分離して除去した。この操作で色素などの夾雑物が沈殿画分として除去された。次に、遠心分離で得た上澄に、最終濃度が70%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを添加し、添加終了後、4℃で一晩放置した。生成した沈殿を遠心分離して分別した。分別した沈殿画分(沈殿状態の粗活性画分)を、最少量の緩衝液A[30mM 塩化カリウム、3μM 硫酸亜鉛、1mM 2−メルカプトエタノールを含む25mM Tris−HCl(pH7.6)]に溶解し、液状の粗活性画分を得た。次いで粗活性画分の一部を0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)に対して透析し、ウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性を測定した結果、256単位であった。ここで、凝集活性の単位は、凝集活性が検出できる試料の最大希釈率の逆数と定義した。これらの結果を表1に示す。
【0053】
液状の粗活性画分の一部を、透析と同時に等電点沈殿処理を行う。すなわち、粗活性画分の硫酸アンモニウム塩析沈殿を最少料の緩衝液A[30mM 塩化カリウム、3μM 硫酸亜鉛、1mM 2−メルカプトエタノールを含む25mM Tris−HCl(pH7.6)]に溶解して得た液状の粗活性画分を透析チューブに収容し、透析液を適当な時間間隔で変えながら透析と同時に等電点沈殿処理を行った。液状の粗活性画分の硫酸アンモニウム濃度が濃い間は、最初の内は透析液として緩衝作用のない蒸留水溶液は、pHが極端に変化するために使用しない方がよい、そこで、粗活性画分再溶解液約50mlを収納した透析チューブ8本当たり、2.5リットルの緩衝液Aで透析を開始する。透析液の交換は2回/日とする。透析液の硫酸イオンをイオンクロマトで分析し、硫酸アンモニウムの濃度が低下したことを見極めてから、透析液を緩衝液B[0.15mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]に変更し透析を2回、さらに緩衝液C[0.015mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]に変更して透析を2回した後、透析液を蒸留水(pHは約pH5.5)にした。ここで使用したpH5.5の蒸留水は、蒸留水に二酸化炭素ガスを吹き込んでpH調整した蒸留水である。透析チューブは分画分子量8,000の膜を使用した。この操作は4℃の低温室内で行った。
【0054】
透析液を蒸留水(pHは約pH5.5)に変更後、3日後(透析液交換6回)に試料液の透明度が低下してきた。更に透析を1日(透析液交換2回)続けると透析チューブ内底部に沈殿の蓄積が確認できた。その後透析を1日(透析液交換2回)行った後、透析チューブの上下両端を手で持ち、透析チューブを上下に動かし、沈殿を懸濁させた。懸濁液を遠心分離により、沈殿と可溶性画分に分別した。沈殿を適当な溶媒に溶解して沈殿再溶解画分を得た。沈殿再溶解画分及び可溶性画分についての活性を測定した。このようにして透析同時等電点処理した活性画分を得ることができる。
生理活性高分子物質の精製画分である透析同時等電点処理した活性画分の赤血球凝集活性とタンパク質量を測定した結果、粗活性画分よりも比活性が高かった。この結果を表1に示す。
以上の結果から、本発明方法を用いると、紅藻類由来の赤血球凝集素が、その活性を保持したまま効果的に得られることが分かる。
【0055】
比較例1
透析同時等電点処理の代わりにオゴノリ属紅藻類の粗活性画分を温度100℃で10分間加熱処理を行い、遠心分離により夾雑タンパク質を除去し、熱処理した活性画分を得る以外は、実施例1記載の方法と同様にして赤血球凝集素の精製を行った。得られた熱処理した活性画分のタンパク質量、赤血球凝集活性を測定し比活性を求めた。結果を表1に示す。
表1から赤血球凝集素は熱処理により失活せず、耐熱性があることが分かる。また熱処理により熱に弱い夾雑タンパク質が沈殿として除去されるため、熱処理により比活性が上昇することが分かる。しかし、熱処理による比活性の上昇は、透析同時等電点処理による比活性の上昇よりは小さい結果であり、赤血球凝集素の精製方法としては、透析同時等電点処理の方が、熱処理よりもより効果的であることが分かる。
【実施例2】
【0056】
(イ)水溶性画分の抽出工程
ツルシラモ(徳島県吉野川河口域産)湿質量500gを0.15M塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、−30℃で凍結した。30mM塩化カリウムと3μM硫酸亜鉛、5mM2−メルカプトエタノールを含んだ0.5Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.2)を抽出用緩衝液として使用し、細かく粉砕した凍結海藻(ツルシラモ湿質量500g相当)に対し、抽出用緩衝液800mlを加えてホモゲナイズしたのち、このホモゲナイズした液を4℃で6時間放置後、遠心分離して上澄である粗抽出液を得た。
【0057】
(ロ)粗活性画分の分別工程
次いで、この粗抽出液に、最終濃度が35%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを加えて1段目の塩析を行った。硫酸アンモニウムの添加終了後、4℃で1時間放置、生成した沈殿を遠心分離して除去した。この操作で色素などの夾雑物が沈殿画分として除去された。次に、遠心分離で得た上澄に、最終濃度が70%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを添加し、添加終了後、4℃で一晩放置した。生成した沈殿を遠心分離して分別した。分別した沈殿画分(沈殿状態の粗活性画分)を、最少量の緩衝液A[30mM 塩化カリウム、3μM 硫酸亜鉛、1mM 2−メルカプトエタノールを含む25mM Tris−HCl(pH7.6)]に溶解し、液状の粗活性画分を得た。次いで粗活性画分の一部を0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)に対して透析し、アルドラーゼ活性を測定した結果、0.0122単位であった[画分200μl中に含まれている活性(unit)]。
。ここで、酵素活性の単位は、25℃において1分間に基質であるフルクト−ス−1,6−ビスリン酸(FBPと略する)を1μモル分解する活性を1単位と定義した。これらの結果を表2に示す。
活性測定は、5mMのフルクト−ス−1,6−ビスリン酸を基質として、40mMトリスー塩酸緩衝液(pH7.6)の溶液の中で25℃で測定した。
【0058】
次いで、透析と同時に等電点沈殿処理を行う。すなわち、粗活性画分の硫酸アンモニウム塩析沈殿を最少料の緩衝液A[30mM 塩化カリウム、3μM 硫酸亜鉛、1mM 2−メルカプトエタノールを含む25mM Tris−HCl(pH7.6)]に溶解して得た液状の粗活性画分を透析チューブに収容し、透析液を適当な時間間隔で変えながら透析と同時に等電点沈殿処理を行った。粗活性画分再溶解液約50mlを収容した透析チューブ8本当たり、2.5リットルの緩衝液Aで透析を開始する。透析液の交換は2回/日とする。透析液の硫酸イオンをイオンクロマトで分析し、硫酸アンモニウムの濃度が低下したことを見極めてから、透析液を緩衝液B[0.15mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]に変更し透析を2回、さらに緩衝液C[0.015mMNaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)]に変更して透析を2回した後、透析液を蒸留水(pHは約pH5.5)にした。ここで使用したpH5.5の蒸留水は、蒸留水に二酸化炭素ガスを吹き込んでpH調整した蒸留水を使用した。透析チューブは分画分子量8,000の膜を使用した。この操作は4℃の低温室内で行った。
【0059】
透析液を蒸留水(pHは約pH5.5)に変更後、3日後(透析液交換6回)に試料液の透明度が低下してきた。更に透析を1日(透析液交換2回)続けると透析チューブ内底部に沈殿の蓄積が確認できた。その後透析を1日(透析液交換2回)行った後、透析チューブの上下両端を手で持ち、透析チューブを上下に動かし、沈殿を懸濁させた。懸濁液を遠心分離により、沈殿と可溶性画分に分別した。沈殿を適当な溶媒に溶解して沈殿再溶解画分を得た。沈殿再溶解画分及び可溶性画分についてその活性を測定する。
また、生理活性高分子物質の精製画分である透析同時等電点処理した活性画分の赤血球凝集活性とタンパク質量を測定した結果、組活性画分よりも比活性が高かった。これにより、本発明の精製方法が有効であることが分かる。この結果を表2に示す。
以上の結果から、本発明の生体高分子の精製方法を用いると、紅藻類由来のアルドラーゼが、その活性を保持したまま効果的に得られることが分かる。
【0060】
比較例2
透析同時等電点処理の代わりにオゴノリ属紅藻類の粗活性画分を温度100℃で10分間加熱処理を行い、遠心分離により夾雑タンパク質を除去し、熱処理した活性画分を得る以外は、実施例1記載の方法と同様にしてアルドラーゼの精製を行った。得られた熱処理した活性画分のタンパク質量、アルドラーゼ活性を測定し比活性を求めた。結果を表2に示す。
表2からアルドラーゼは熱処理により活性が低下し、熱に不安定であることが分かる。したがって、酵素タンパク質であるアルドラーゼの濃縮方法としては、本発明方法の方が、熱処理よりもより効果的であることが分かる。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
実施例2から明らかなように、本発明方法を用いると、紅藻類由来のアルドラーゼが、その活性を保持したまま効果的に得られる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明方法は、生理活性高分子物質、特にタンパク質、酵素の精製技術として産業的に有用である。
本発明方法により得られる生理活性高分子物質の精製画分は、臨床分野、医療分野、生化学工業分野における治療用、検査用材料、試薬及び化粧品分野の添加剤などとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性高分子物質含有液に対し、透析処理及び等電点沈殿処理を同時に行うことを特徴とする生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項2】
生理活性高分子物質及び不純分を含有する緩衝液を透析膜を介して、生理活性高分子物質の等電点に調整された透析液と接触させ、低分子不純分を透析液中に移行させて除去すると同時に高分子不純分を含む溶液から生理活性高分子物質を沈殿させて回収する請求項1記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項3】
生理活性高分子物質及び不純分を含有する緩衝液を透析膜を介して、高分子不純分の等電点に調整された透析液と接触させ、低分子不純分を透析液中に移行させて除去すると同時に高分子不純分を沈殿させて除去する請求項1記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項4】
透析液が二酸化炭素でpH調整された蒸留水又は緩衝液である請求項2又は3記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項5】
透析膜が再生セルロースチューブである請求項2ないし4のいずれかに記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項6】
生理活性高分子物質が赤血球凝集活性物質である請求項1ないし5のいずれか記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項7】
生理活性高分子物質がタンパク質である請求項1ないし5のいずれか記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項8】
生理活性高分子物質が酵素である請求項1ないし5のいずれか記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項9】
生理活性高分子物質が海藻抽出物である請求項1ないし5のいずれか記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項10】
高分子不純分が可溶性糖類である請求項2ないし9のいずれか記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項11】
低分子不純分が硫酸アンモニウムである請求項2ないし10のいずれかに記載の生理活性高分子物質の精製方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか記載の精製方法により得られる生理活性高分子物質精製物。

【公開番号】特開2006−104119(P2006−104119A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292027(P2004−292027)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】