説明

生産管理装置

【課題】生産ラインにおいて、加修を要するワークが発生した場合でも、完成品の出荷時間を精度よく予測することができる生産管理装置を提供すること。
【解決手段】生産管理装置4は、生産ライン2上の処理工程と車両の情報を記憶するライン情報記憶部32と、ライン情報記憶部32に記憶されている情報に基づいて、加修対象車両の生産ライン2からの搬出予定時間を算出するライン搬出予定時間算出部43と、加修エリア3に滞留している加修対象車両の滞留時間の統計値を算出する滞留時間算出部45と、滞留時間算出部45により算出された滞留時間の統計値に基づいて、ライン搬出予定時間算出部43により算出された搬出予定時間を修正して、加修対象車両の予測出荷時間を算出する予測出荷時間算出部46と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理装置に関する。詳しくは、生産ラインにおいて発生した不具合等を起因とした生産遅れによる完成品の出荷時刻を把握する生産管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の生産ラインでは、生産される車両の進捗状況を管理し、この生産ラインから車両が出荷される時期を予測することが要請される。
【0003】
これに対し、車両が出荷される時期を予測するために、様々な方法が提案されている。例えば、生産ラインの各工程に表示装置を設け、各工程における仕掛の車両台数と、納期が近い車両の識別番号を表示装置に表示させる方法が示されている(特許文献1参照)。
このようにすることで、各工程の作業者は、自身が担当する工程の進捗状況及び納期が近い車両を把握でき、その結果、生産ライン全体における納期管理も容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2884955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車等のワークの生産ラインでは、誤組付けや塗装面への外傷発生等の不具合等が発生することにより、加修を要するワークが発生する場合がある。このワークは、生産ラインから搬出された後に、修正処理をするための加修エリアに移動され、この加修エリアにて加修が行われる。
【0006】
ここで、加修内容は、不具合の状態によって異なるため、加修エリアが複数の異なる加修内容ごとに設けられる場合がある。また、加修エリアは、停車可能なワークの数が限られている場合が多い。このため、加修を要するワークが加修エリアに滞留することにより、完成品の出荷時間を予測するのが困難になる場合がある。このような問題に対応するために、加修を要するワークが発生した場合、このワークが加修エリアに搬入されてから完成品として出荷されるまでに要する時間を把握する必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法には、加修を要するワークが発生した場合に、このワークが加修エリアに搬入されてから完成品として出荷されるまでに要する時間を把握する方法について示されておらず、精度よく完成品の出荷時間を予測することは困難である。
【0008】
本発明は、生産ラインにおいて、加修を要するワークが発生した場合でも、完成品の出荷時間を精度よく予測することができる生産管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生産管理装置は、生産ライン上の複数の処理工程を流動するワークに発生した不具合を加修する加修工程を備えた生産ラインにおける生産管理装置であって、前記生産ライン上の処理工程と前記ワークの情報を記憶する工程情報記憶手段と、前記工程情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、前記ワークの前記生産ラインからの搬出予定時間を算出する搬出予定時間算出手段と、前記加修工程に滞留しているワークの滞留時間の統計値を算出する滞留時間算出手段と、前記滞留時間算出手段により算出された滞留時間の統計値に基づいて、前記搬出予定時間算出手段により算出された前記搬出予定時間を修正して、前記ワークの予測出荷時間を算出する予測出荷時間算出手段と、を備える。
【0010】
また、前記滞留時間算出手段は、前記加修工程に滞留しているワークの滞留台数と、該ワークの加修予測時間を算出することが好ましい。
【0011】
また、生産管理装置は、前記滞留時間算出手段により算出された前記ワークの滞留時間が所定値を超える場合に、前記加修工程における要員の数を決定する要員数決定手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生産ラインにおいて、加修を要するワークが発生した場合でも、完成品の出荷時間を精度よく予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る生産設備の概略図である。
【図2】本実施形態に係る生産管理装置の機能構成を示す図である。
【図3】予測出荷時間算出部による加修対象車両の予測出荷時間の算出を説明する図である。
【図4】型式・タイプ・オプション種別毎の加修エリアそれぞれにおける加修対象車両の予測出荷時間が表示部に表示される例を示す図である。
【図5】加修対象車両全体の滞留時間別の滞留台数が表示部に表示される例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る生産管理装置の加修エリアに係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る生産設備1の概略図である。
【0015】
本実施形態に係る生産設備1は、自動車等の車両等のワークの組立工程を有する生産ラインである。この生産設備1は、仕様の異なる複数の車両(ワーク)の組付けや加工等を行い、車両を組立てる生産ライン2と、この生産ライン2において車両に発生した不具合を加修する加修工程としての加修エリア3と、これら生産ライン2及び加修エリア3における車両の生産管理を行う生産管理装置4とを備える。
【0016】
生産ライン2は、複数の工程により構成されている。この生産ライン2は、例えば、図1に示される生産ライン2A、2Bのように2本の生産ラインを備えている。この生産ライン2は、図示は省略するが、複数の工程が設けられている。この生産ライン2は、複数の工程それぞれにおいて組付や加工が行われた車両を所定のタクトで搬送する搬送装置と、この搬送装置を制御するコントローラと、を備える。この生産ライン2では、加修を要する車両(以下、加修対象車両という)ではない車両が搬出された場合、この車両は完成品として出荷可能な状態となり、加修対象車両が搬出された場合、この車両は加修対象車両として加修エリア3に搬入され、加修後に完成車両(完成品)として出荷可能な状態となる。
【0017】
加修エリア3は、生産ライン2において不具合等が発生したことにより発生した加修対象車両の加修を行うエリアである。この加修エリア3は、例えば、図1に示される加修エリア3A、3Bのように不具合の事象に対応して複数設けられている。複数の加修エリア3A、3Bそれぞれでは、それぞれ特定の車両種別に対する特定の加修内容に応じた加修が行われており、これら加修エリア3A、3Bそれぞれでは、1又は複数の要員Pにより、加修対象車両の加修が行われる。つまり、本実施形態では、車両種別、加修内容ごとに、加修エリア3が設けられているものとする。この加修エリア3において加修対象車両の加修が完了すると、この車両は加修エリア3から搬出され、完成車両として出荷可能状態となる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る生産管理装置4の機能構成を示す図である。
生産管理装置4は、生産ライン2における車両の生産状況を管理したり、車両の予測出荷時間を算出したりする。この生産管理装置4は、表示部10と、入力部20と、記憶部30と、制御部40と、を備える。
【0019】
表示部10は、生産管理装置4における処理結果の画面を表示するものであり、生産ライン全体のコントロールセンターや、生産ライン2の複数の工程それぞれに設けられている。この表示部10は、ブラウン管表示装置(CRT)や液晶表示装置(LCD)等により構成される。
【0020】
入力部20は、生産管理装置4の操作者からの指示入力を受け付けるインタフェース装置であり、生産ライン2の複数の工程それぞれに設けられている。この入力部20は、キーボード、マウス及びタッチパネル等により構成される。
【0021】
記憶部30は、生産管理装置4を機能させる各種プログラム、本実施形態の各種機能を制御部40に実行させるプログラム等を記憶する。この記憶部30は、メモリ(RAM、ROM等)、ハードディスクドライブ(HDD)又は光ディスク(CD、DVD等)ドライブ等により構成される。この記憶部30は、生産計画記憶部31と、ライン情報記憶部32と、加修エリア記憶部33と、処理能力記憶部34と、停車台数記憶部35と、加修情報記憶部36と、を備える。
【0022】
生産計画記憶部31は、車両の生産計画情報として、車両が生産される生産ライン2の識別情報、車台番号等の車両の識別情報、型式や装備品やユーザオプション品等の車両種別、出荷予定時間等を記憶する。つまり、この生産計画記憶部31に記憶されている情報により、複数の生産ライン2それぞれにおいて生産される車両の識別情報、生産される車両種別、生産ライン2上の生産ロット順位、ロット毎の台数、及び完成車両の出荷予定時間を確認することができる。
【0023】
ライン情報記憶部32は、生産ライン2上の処理工程と車両の情報を記憶する。具体的には、ライン情報記憶部32は、生産ライン2を構成する複数の工程と、複数の工程それぞれにおける、車両に対する作業の所要時間とを工程情報として記憶する。
【0024】
加修エリア記憶部33は、生産ライン2において発生した加修対象車両に対する加修内容と、この加修内容に対応する加修エリア3の識別情報とを関連付けて記憶する。
【0025】
処理能力記憶部34は、加修エリア3の識別情報と、この加修エリア3において並行して車両を加修可能な台数と、加修を行う要員数と、後述の要員数決定部49により使用されるか否かを判定する使用フラグと、を関連付けて記憶する。ここで、処理能力記憶部34は、1つの加修エリア3に対して、並行して車両を加修可能な台数と、加修を行う要員数との組合せを複数記憶している。また、要員数決定部49により使用されない組合せに対応する使用フラグは0に設定されており、要員数決定部49により使用される組合せに対応する使用フラグは1に設定されている。
【0026】
停車台数記憶部35は、加修エリア3の識別情報と、この加修エリア3における車両の停車可能台数とを関連付けて記憶する。
【0027】
加修情報記憶部36は、加修対象車両の加修に係る情報を記憶する。この加修情報記憶部36は、加修対象車両の識別情報と、この加修対象車両の車両種別と、この加修対象車両の加修が行われる加修エリア3の識別情報と、加修エリア3への加修対象車両の加修搬入時間と、加修エリア3における加修時間とを関連付けて記憶する。
【0028】
制御部40は、生産管理装置4の全体を制御する部分であり、CPU等により構成される。この制御部40は、加修内容受付部41と、加修エリア特定部42と、ライン搬出予定時間算出部43と、加修エリア搬入時間算出部44と、滞留時間算出部45と、予測出荷時間算出部46と、滞留状況算出部47と、加修時間特定部48と、要員数決定部49と、を備える。
【0029】
加修内容受付部41は、生産ライン2において不具合等が発生したことにより加修対象車両が発生した場合、入力部20を介して、この加修対象車両が発生した工程の情報、この加修対象車両の識別情報、及び加修内容の入力を受け付ける。
【0030】
加修エリア特定部42は、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の識別情報及び加修内容と、加修エリア記憶部33に記憶された加修内容及び加修エリア3の識別情報とに基づいて、この加修対象車両の加修エリア3を特定する。
【0031】
具体的には、加修エリア特定部42は、加修エリア記憶部33を参照し、加修内容受付部41により受け付けられた加修内容と一致する加修内容を特定する。続いて、加修エリア特定部42は、この特定した加修内容に関連付けられている加修エリア3の識別情報を特定することで、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の加修が行われる加修エリア3を特定する。
また、加修エリア特定部42は、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の識別情報と、この加修対象車両の車両種別と、特定された加修エリア3の識別情報とを関連付けて加修情報記憶部36に記憶させる。
【0032】
ライン搬出予定時間算出部43は、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の識別情報と、ライン情報記憶部32に記憶されている情報とに基づいて、加修対象車両が生産ライン2から降車すると予想される搬出予定時間を算出する。
【0033】
具体的には、ライン搬出予定時間算出部43は、ライン情報記憶部32に記憶されている工程情報を参照し、加修内容受付部41により受け付けられた識別情報に対応する加修対象車両が所在する工程を特定し、この工程におけるこの加修対象車両の進捗状況を特定する。続いて、ライン搬出予定時間算出部43は、特定した進捗状況に基づいて、この工程の処理時間を算出する。続いて、ライン搬出予定時間算出部43は、ライン情報記憶部32に記憶されているそれぞれの工程の処理時間を取得する。続いて、ライン搬出予定時間算出部43は、算出された処理時間、及び取得したそれぞれの工程の処理時間に基づいて、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の生産ライン2からの搬出予定時間を算出する。
【0034】
加修エリア搬入時間算出部44は、加修エリア特定部42により特定された加修エリア3の識別情報と、ライン搬出予定時間算出部43により算出された生産ライン2からの搬出予定時間とに基づいて、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の加修エリア3への、加修搬入時間を算出する。なお、加修エリア搬入時間算出部44は、加修搬入時間を算出する際に、加修エリア3における加修対象車両の滞留台数や、滞留時間を考慮してもよい。
また、加修エリア搬入時間算出部44は、加修情報記憶部36を参照し、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の識別情報に関連付けて、算出された加修搬入時間を記憶させる。
また、加修エリア搬入時間算出部44は、算出した加修搬入時間、搬入される加修対象車両の識別情報、この加修対象車両の車両種別、及びこの加修対象車両が加修される加修エリア3の識別情報を表示部10に表示させる。
【0035】
滞留時間算出部45は、加修エリア3に滞留している加修対象車両の滞留時間の統計値を算出する。具体的には、滞留時間算出部45は、加修情報記憶部36に記憶されている加修エリア3の識別情報と、加修対象車両の加修搬入時間と、この加修対象車両が加修エリア3から搬出された時間に基づいて、所定の期間(例えば、現在から9時間後までの期間)を対象として、複数の加修エリア3それぞれにおける、複数の加修対象車両の滞留時間の統計値を算出する。つまり、滞留時間算出部45は、複数の加修エリア3それぞれにおいて、完成車両として加修エリア3から搬出された複数の加修対象車両も含めた加修対象車両の滞留時間の統計値(平均値)を算出する。
【0036】
また、滞留時間算出部45は、加修情報記憶部36に記憶されている加修エリア3の識別情報と、加修対象車両の加修搬入時間と、この加修対象車両が加修エリア3から搬出された時間に基づいて、加修エリア3に滞留している加修対象車両の台数と、加修対象車両それぞれの加修予測時間を算出する。
【0037】
予測出荷時間算出部46は、滞留時間算出部45により算出された滞留時間の統計値に基づいて、ライン搬出予定時間算出部43により算出された搬出予定時間を修正して、加修対象車両の予測出荷時間を算出する。
【0038】
具体的には、予測出荷時間算出部46は、加修情報記憶部36を参照し、加修エリア3それぞれにおける、加修対象車両の加修搬入時間(加修対象車両の生産ライン2からの搬出予定時間)を特定する。続いて、予測出荷時間算出部46は、加修エリア3それぞれにおける、加修対象車両の加修搬入時間に対して、当該加修エリア3それぞれに対応し、滞留時間算出部45により算出された滞留時間の統計値を加算する。続いて、予測出荷時間算出部46は、加算された値を、加修対象車両の予測出荷時間とする。つまり、予測出荷時間算出部46は、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の加修エリア3及び加修時間を特定することで、加修対象車両の加修エリア3からの出荷時間を予測することが可能となる。
【0039】
図3は、予測出荷時間算出部46による加修対象車両の予測出荷時間の算出を説明する図である。図3には、A〜Fで示される6種類の車両種別(型式・タイプ・オプション種別)が生産ライン2上に流動している状態を示している。これらの車両は、滞留時間算出部45により、4種類の滞留時間の統計値が算出されている。つまり、ここでは、車両種別ごとに加修内容が異なるとして滞留時間の統計値(平均値)が算出され、これらの車両の滞留時間の統計値(平均値)は、1時間(車両種別Aに対応)、2時間(車両種別B、Dに対応)、4時間(車両種別Cに対応)、8時間(車両種別E、Fに対応)のいずれかとされている。ここで、予測出荷時間算出部46は、これらの滞留時間の統計値を、ライン搬出予定時間算出部43により算出された生産ライン2からの搬出予定時間に加算することで、この加算された値を予測出荷時間とする。
【0040】
また、予測出荷時間算出部46は、型式・タイプ・オプション種別毎の加修エリア3それぞれにおける加修対象車両の予測出荷時間を表示部10に表示させる。図4は、型式・タイプ・オプション種別毎の加修エリアそれぞれにおける加修対象車両の予測出荷時間が表示部に表示される例を示す図である。
【0041】
図4(a)は、生産ライン2上の流動車両の車両種別A、B、C、D毎の統計滞留時間の一覧表である。
図4(b)は、滞留時間の統計値(平均値)を反映した完成時刻予測を示す表である。すなわち、図4(b)は、生産ライン2からの車両の搬出予定時間に、図4(a)に示される車両種別ごとの滞留統計時間が加算されることにより、生産ライン2に流動している車両の、加修エリア3からの予測出荷時間(時刻)を可視的に表示するものである。
図4(c)は、加修エリア3に現在滞留している加修対象車両の完成時刻予測を示す図である。図4(c)では、現時点における加修エリア3からの完成時刻予測が、車両種別A、B、C、Dごとに確認できるとともに、それぞれの車両種別に対する滞留予測時間を把握することができる。
【0042】
また、図4では、複数の加修エリア3における滞留台数についても確認することができる。図4では、例えば、9:30における滞留台数は8台と予測され、13:00における滞留台数は4台と予測されていることが容易に確認できる。
【0043】
滞留状況算出部47は、加修情報記憶部36に記憶されている加修エリア3の識別情報、加修対象車両の生産ライン2からの搬出予定時間、及び予測出荷時間算出部46により算出された加修エリア3からの予測出荷時間に基づいて、加修対象車両全体の時間別の滞留台数の予測値を算出する。
【0044】
図5は、加修エリア3における時間別の加修対象車両の滞留台数が、滞留状況算出部47により、表示部10に表示される例を示す図である。図5では、単位時間ごとの滞留台数の予測値が滞留時間別にグラフで表示されていることが確認できる。また、図5では、滞留している加修対象車両に係る情報として、滞留時間ごとの加修対象車両の台数が表示されていることが確認できる。
【0045】
また、滞留状況算出部47は、停車台数記憶部35に記憶されている停車可能台数と、算出した加修対象車両の滞留台数とに基づいて、加修エリア特定部42により特定された加修エリア3において、加修エリア3に一時的に停車できない車両の台数を算出する。続いて、滞留状況算出部47は、算出した停車できない車両の台数、及び加修エリア3の識別情報を表示部10に表示させる。
【0046】
加修時間特定部48は、加修エリア3における加修対象車両の加修が完了し、この加修エリア3から完成品として搬出されたことに応じて、加修情報記憶部36を参照し、搬出された加修対象車両の識別情報に関連付けて、実際の加修時間を記憶させる。これにより、加修情報記憶部36には、加修内容受付部41により受け付けられた加修対象車両の識別情報、加修される加修エリア3の識別情報、加修エリア3に搬入される時間、及び加修エリア3における実際の加修時間が記憶される。
【0047】
要員数決定部49は、滞留時間算出部45により算出された滞留時間が所定値を超える場合に、処理能力記憶部34に記憶されている、加修可能な台数と加修を行う要員数との組合せに基づいて、加修エリア3における要員数を決定する。
【0048】
具体的には、要員数決定部49は、滞留時間算出部45により算出された滞留時間が所定値を超える場合に、処理能力記憶部34を参照し、加修エリア特定部42により特定された加修エリア3に対応し、使用フラグが1である組合せを特定する。続いて、要員数決定部49は、特定した組合せを構成する加修可能な台数に比べて加修可能な台数が多い組合せのうち、最も加修可能な台数が少ない組合せに対応する要員数を、この加修エリア3における要員数に決定する。続いて、要員数決定部49は、要員数が不足している旨を表示部10に警告表示させるとともに、決定した要員数を表示部10に表示させて、入力部20を介して決定した要員数の確定を受け付ける。続いて、要員数決定部49は、入力部20を介して、決定した要員数の確定を受け付けた場合、使用フラグが1である組合せの使用フラグを0にするとともに、この要員数に対応する使用フラグを1とする。
【0049】
続いて、生産管理装置4における処理の流れについて説明する。
図6は、本実施形態に係る生産管理装置4の加修エリア3に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
ステップS1では、制御部40(加修内容受付部41)は、入力部20を介して、不具合が発生した工程情報、この加修対象車両に対する加修エリア3の加修エリア3A、3B等を示す識別情報、及び加修内容の入力を受け付ける。
【0051】
ステップS2では、制御部40(加修エリア特定部42)は、ステップS1にて受け付けられた加修対象車両の識別情報及び加修内容と、加修エリア記憶部33に記憶された加修内容及び加修エリア3の識別情報とに基づいて、この加修対象車両の加修を行う加修エリア3を特定する。また、制御部40(加修エリア特定部42)は、ステップS1にて受け付けられた加修対象車両の識別情報と、特定された加修エリア3の識別情報とを関連付けて加修情報記憶部36に記憶させる。
【0052】
ステップS3では、制御部40(ライン搬出予定時間算出部43)は、ステップS1にて受け付けられた加修対象車両の識別情報と、ライン情報記憶部32に記憶されている工程情報に基づいて、この加修対象車両の生産ライン2からの搬出予定時間を算出する。
【0053】
ステップS4では、制御部40(加修エリア搬入時間算出部44)は、ステップS2にて特定された加修エリア3の識別情報と、ステップS3にて算出された搬出予定時間とに基づいて、加修対象車両の加修エリア3への加修搬入時間を算出する。また、制御部40(加修エリア搬入時間算出部44)は、加修情報記憶部36を参照し、ステップS1にて受け付けられた加修対象車両の識別情報に関連付けて、算出された加修搬入時間を記憶させる。また、制御部40は、算出した加修搬入時間、搬入される加修対象車両の識別情報、及びこの加修対象車両が加修される加修エリア3の識別情報を表示部10に表示させる。
【0054】
ステップS5では、制御部40(滞留時間算出部45)は、複数の加修エリア3それぞれにおいて、完成品として加修エリア3から搬出された複数の加修対象車両の滞留時間の統計値(平均値)を算出する。なお、制御部40(滞留時間算出部45)は、所定の期間を対象として、統計値を算出する。
【0055】
ステップS6では、制御部40(滞留時間算出部45)は、加修情報記憶部36に記憶されている加修エリア3の識別情報と、ステップS4にて算出された加修搬入時間と、加修対象車両が加修エリア3から搬出された時間とに基づいて、加修エリア3における加修対象車両の滞留台数と、加修対象車両それぞれの加修予測時間を算出する。
【0056】
ステップS7では、制御部40(予測出荷時間算出部46)は、ステップS6において算出された加修予測時間を、ステップS4により算出された加修搬入時間に加算して、加修対象車両の予測出荷時間を算出する。
【0057】
ステップS8では、制御部40(予測出荷時間算出部46)は、加修エリア3それぞれにおける、加修対象車両の滞留時間、予測出荷時間を図4(b)、図4(c)に示す形式で表示部10に表示させる。また、ステップS8において、(滞留状況算出部47)は、滞留台数を図5に示す形式で表示部10に表示させる。
【0058】
ステップS9では、制御部40は、生産支援が必要か否かの判断を受け付ける。制御部40は、生産支援が必要との判断が受け付けられた場合には、処理をステップS10に移し、生産支援が不要との判断が受け付けられた場合には、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0059】
ステップS10では、制御部40(要員数決定部49)は、ステップS5にて算出された滞留時間が所定値を超える場合に、処理能力記憶部34に記憶されている、加修可能な台数と、加修を行う要員数との組合せに基づいて、加修エリア3における要員数を決定する。なお、制御部40(要員数決定部49)は、決定した要員数を表示部10に表示させるようにしてもよい。
【0060】
ステップS11では、制御部40(要員数決定部49)は、入力部20を介して、ステップS10にて決定した要員数の確定を受け付ける。制御部40(要員数決定部49)は、入力部20を介して、決定した要員数の確定を受け付けた場合、使用フラグが1である組合せの使用フラグを0にするとともに、この要員数に対応する使用フラグを1とする。
【0061】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)加修エリア搬入時間算出部44は、加修エリア特定部42により特定された加修エリア3の識別情報と、ライン搬出予定時間算出部43により算出された搬出予定時間とに基づいて、加修対象車両の加修エリア3への加修搬入時間を算出する。
したがって、生産管理装置4では、例えば、表示部10に加修対象車両の加修搬入時間を表示させることで、生産設備1の管理者に対して、加修対象車両の加修搬入時間を確認させることができる。よって、生産ライン2の管理者は、加修対象車両が搬入される前に、この加修対象車両が搬入される加修エリア3における状況を把握して、予定どおりに加修対応を行い、出荷することができる。
【0062】
また、滞留時間算出部45は、加修エリア3に滞留している加修対象車両の滞留時間の統計値を算出する。そして、予測出荷時間算出部46は、滞留時間算出部45により算出された滞留時間の統計値に基づいて、生産ライン2からの搬出予定時間を修正して、加修エリア3からの予測出荷時間を算出する。よって、生産管理装置4は、生産ライン2において、加修対象車両が発生した場合でも、統計値に基づいて、完成品の出荷時間を精度よく予測することができる。
【0063】
(2)滞留時間算出部45は、加修エリア3に滞留している加修対象車両の滞留台数と、加修対象車両の加修予測時間を算出して表示部10に表示させる。よって、生産管理装置4では、加修エリア3における状況を確認することができ、加修能力の調整等の検討を促すことができる。
【0064】
(3)要員数決定部49は、滞留時間算出部45により算出された滞留時間が所定値を超える場合に、処理能力記憶部34に記憶されている、加修可能な台数と加修を行う要員数との組合せに基づいて、加修エリア3における要員数を決定する。
したがって、生産管理装置4では、例えば、表示部10に決定した要員数を表示させて生産ライン2の管理者に、必要な要員数を確認させることができるので、加修対象車両が滞留する前に、予め要員数の確保等の対応を促すことができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 生産設備
2 生産ライン
3 加修エリア(加修工程)
4 生産管理装置
31 生産計画記憶部
32 ライン情報記憶部(工程情報記憶手段)
33 加修エリア記憶部
34 処理能力記憶部
35 停車台数記憶部
36 加修情報記憶部
41 加修内容受付部
42 加修エリア特定部
43 ライン搬出予定時間算出部(搬出予定時間算出手段)
44 加修エリア搬入時間算出部
45 滞留時間算出部(滞留時間算出手段)
46 予測出荷時間算出部(予測出荷時間算出手段)
47 滞留状況算出部
48 加修時間特定部
49 要員数決定部(要員数決定手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ライン上の複数の処理工程を流動するワークに発生した不具合を加修する加修工程を備えた生産ラインにおける生産管理装置であって、
前記生産ライン上の処理工程と前記ワークの情報を記憶する工程情報記憶手段と、
前記工程情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、前記ワークの前記生産ラインからの搬出予定時間を算出する搬出予定時間算出手段と、
前記加修工程に滞留しているワークの滞留時間の統計値を算出する滞留時間算出手段と、
前記滞留時間算出手段により算出された滞留時間の統計値に基づいて、前記搬出予定時間算出手段により算出された前記搬出予定時間を修正して、前記ワークの予測出荷時間を算出する予測出荷時間算出手段と、を備える生産管理装置。
【請求項2】
前記滞留時間算出手段は、前記加修工程に滞留しているワークの滞留台数と、該ワークの加修予測時間を算出する請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
前記滞留時間算出手段により算出された前記ワークの滞留時間が所定値を超える場合に、前記加修工程における要員の数を決定する要員数決定手段を備える請求項2に記載の生産管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−68848(P2012−68848A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212502(P2010−212502)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】