説明

生産計画作成システムおよび生産計画作成方法

【課題】鉄鋼製品の製造中に需要家の納入指示に応じて生産計画を容易に変更可能にすること。
【解決手段】生産計画作成部145が契約納期に基づいて前記鉄鋼製品の生産計画を作成し、入力部11が鉄鋼製品の使用予定日および要求重量に関する情報を少なくとも含む鉄鋼製品ごとのオーダー情報の入力を受け付け、スケジュール商品データ作成部143が前記オーダー情報の入力に応じて、作成された生産計画に基づいて、所定期間内に生産される鉄鋼製品ごとの予定重量を算出し、スケジュール商品割付部144が前記使用予定日までに前記要求重量の鉄鋼製品を納品可能なように、算出された予定重量に基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付け、生産計画作成部145が、オーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成システムおよび生産計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鋼製品の受発注から納品までの取引では、需要家(例えば、自動車メーカや電機メーカ)が注文者(例えば、鉄鋼メーカの営業や商社)に対して製品の発注や完成した製品(商品)の納入指示を行い、これを受け付けた注文者が受注者(例えば鉄鋼メーカ)に対して、該当製品の発注や納入指示を行っている。
【0003】
このような取引では、受注者が発注情報どおりに製品の製造を行おうとすると、製造能力の制限から一時的な製品の過不足が生じる場合がある。そこで、このような取引では、受注者は、複数の発注情報に基づいて製品製造の優先順位を決定して生産計画を作成している。
【0004】
ところで、発注情報に含まれる納入期限(納期)や重量(要求重量)は、需要家が製品を使用する予定日(使用予定日)およびその重量が具体化される前に交わされた契約上の納期および総重量に過ぎない。このため、実際には注文者が需要家と連絡をとりながら、徐々に使用予定日とその要求重量とが具体化され、1つの発注情報は数回に分割されて納入指示がなされる場合が多い。
【0005】
したがって、複数の発注情報に基づいて製品製造の優先順位を決定して生産計画を作成しても、各発注情報に記載されている納期や重量とは異なる納期・重量の納入指示がなされると、製品製造の優先順位が変更され生産計画の変更を余儀なくされる。
【0006】
なお特許文献1には、製品の仕様毎の使用実績に基づいて製品を製造して在庫を適正化することにより、納期と納入重量との決定が不定期なリピート品の納期に適正に対応することが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−356809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般に、鉄鋼製品は、製鋼工程、熱延工程、冷延工程、鍍金工程などの複数の工程を経て製造される。このような鉄鋼製品について、スラブやコイルなど、途中の工程で製造される現品(仕掛品)を製造中に、発注情報に記載されている納期や重量とは異なる納期・重量の納入指示に基づいて生産計画を変更するためには、多くの労力を必要とする上に、納入指示への対応が確実とは言えない場合があった。また、製造中に規格外の現品が製造される、いわゆる格落ちが発生した場合にも同様に、多大な労力で生産計画を変更する必要がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鉄鋼製品の製造中になされる需要家の納入指示に応じて生産計画を容易に変更可能な生産計画作成システムおよび生産計画作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産計画作成システムは、複数の工程を経て製造される鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成システムであって、契約納期に基づいて前記鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成手段と、鉄鋼製品の使用予定日および要求重量に関する情報を少なくとも含む鉄鋼製品ごとのオーダー情報の入力を受け付ける受付手段と、前記オーダー情報の入力に応じて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画に基づいて、所定期間内に生産される鉄鋼製品ごとの予定重量を算出する算出手段と、前記使用予定日までに前記要求重量の鉄鋼製品を納品可能なように、前記算出手段によって算出された予定重量に基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付ける紐付け手段と、前記紐付け手段によるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画を変更する変更手段と、を備える。
【0011】
また、本発明に係る生産計画作成システムは、上記発明において、前記受付手段は、前記予定重量を変更する入力を受け付け可能であり、前記受付手段が前記予定重量を変更する入力を受け付けた場合に、前記紐付け手段が、前記受付手段により受け付けられた予定重量と前記算出手段によって算出された予定重量とに基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付け、前記変更手段が、前記紐付け手段によるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画を変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る生産計画作成方法は、複数の工程を経て製造される鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成方法であって、契約納期に基づいて前記鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成ステップと、鉄鋼製品の使用予定日および要求重量に関する情報を少なくとも含む鉄鋼製品ごとのオーダー情報の入力を受け付ける受付ステップと、前記オーダー情報の入力に応じて、前記生産計画作成ステップにおいて作成された生産計画に基づいて、所定期間内に生産される鉄鋼製品ごとの予定重量を算出する算出ステップと、前記使用予定日までに前記要求重量の鉄鋼製品を納品可能なように、前記算出手段によって算出された予定重量に基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付ける紐付けステップと、前記紐付けステップによるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成ステップにおいて作成された生産計画を変更する変更ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、需要家の使用予定日に応じて製造中の現品にまでさかのぼって自動的に生産計画が変更されるので、鉄鋼製品の製造中になされる需要家の納入指示に応じて生産計画を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明が適用される鉄鋼製品の製造から納入までの流れの一例を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態による生産計画作成システムの概略構成を示す模式図である。
【図3】図3は、本実施の形態のオーダー情報DBのデータ構成例を示す図である。
【図4】図4は、本実施の形態の構成現品DBのデータ構成例を示す図である。
【図5】図5は、本実施の形態の割付用現品DBのデータ構成例を示す図である。
【図6】図6は、本実施の形態のスケジュール商品DBのデータ構成例を示す図である。
【図7】図7は、本実施の形態の生産計画作成処理手順の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態の生産計画作成処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
まず、図1を参照して本実施の形態の生産計画作成対象とする鉄鋼製品の製造から納入までの流れについて説明する。図1に示すように、鉄鋼製品は、製鋼工程でスラブが出鋼されると、熱延工程HOT、冷延工程TCM、鍍金工程CGLなどの複数の工程を経て商品としての鉄鋼製品が製造される。なお、各工程で製造される仕掛品(スラブ、ホットコイル、冷延コイルなど)を現品という。製造された鉄鋼製品は需要家の要求重量に応じて荷揃が行われる。そして、荷揃がなされた鉄鋼製品は、所定の手続期間に受信した注文者の出荷指示にしたがって、所定の船積工期を経て出荷される。出荷された鉄鋼製品は、所定の輸送工期を経て需要家に到達して引取がなされる。引取がなされた鉄鋼製品は、需要家により在庫として所定の期間保管された後に使用される。言い換えれば、需要家の使用予定日が決まると、所定の在庫期間を確保して引取予定日が決まり、引取り予定日から所定の輸送工期を差し引いて出荷予定日が決まり、出荷予定日から所定の船積工期と出荷指示待ちの手続期間とを差し引いて、製品の荷揃が完了するべき日(荷揃要求日)が決まる。本発明は、鉄鋼製品の荷揃が可能となる日(荷揃予定日)が、このようにして需要家の使用予定日から決まる荷揃要求日に間に合うように、製造済みの現品から鉄鋼製品を製造するまでの生産計画を作成または変更するものである。
【0017】
次に、図2を参照して、本実施の形態による生産計画作成システム1の概略構成について説明する。図2に示すように、生産計画作成システム1は、入力部11と、出力部12と、各種データベース(以下DB)131〜135と、各構成部を制御する制御部14とを備える。なお、各種DB131〜135は、LANやインターネットなどの電気通信回線を介して制御部14と通信する構成としてもよい。
【0018】
入力部11は、電源スイッチおよび入力キーなどの入力デバイスを用いて実現され、操作者による入力操作に対応して、制御部14に対して生産計画作成などの各種指示情報を入力する。
【0019】
出力部12は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンターなどの印刷装置、情報通信装置などによって実現される。出力部12は、生産計画作成システム1によって作成された生産計画を出力する。
【0020】
オーダー情報DB131は、需要家の発注情報や使用予定などのオーダー情報を格納する。図3に例示するように、オーダー情報の識別情報(オーダーID)をキー情報として、納期および要求重量が記憶される。当初の発注情報により1つのオーダーIDに1組の納期(契約納期)および要求重量が記憶される。その後、注文者による1組または複数組の使用予定日および要求重量を含む納入指示の入力により、契約納期および要求重量に上書きされ、1つのオーダーIDに複数組の納期(使用予定日)および要求重量が記憶される。もちろん、契約納期および要求重量に、複数組の使用予定日および要求重量を追加記憶する形態としてもよい。なお、オーダー情報は、入力部11を介して入力・変更することができる。
【0021】
制約条件DB132は、後述する生産計画作成処理において参照される制約条件を格納する。制約条件としては、例えば、前述の手続期間、船積工期、輸送工期、在庫期間などの需要家ごとに定まる所定期間の情報や、製造工程の各工程の通過や最終工程後の仕上げの標準的な所要時間、各工程間に必要なリードタイム、各工程通過に伴って変化する製品仕様の標準的な変化量(予定変化量)などの製造に関する標準情報や、前述の各種期間に含めない休日の情報などが記憶される。
【0022】
構成現品DB133は、製造済みの現品に関する情報(構成現品データ)を格納する。構成現品データには、図4に例示するように、現品の識別情報(現品ID)をキー情報として、少なくとも、現在の工程(仕掛ライン)と、現品の厚み(現品厚)、幅(現品幅)、重量(現品重量)などの仕様情報が含まれる。なお、構成現品DB133には、製造(荷揃)済みの鉄鋼製品のデータも含まれる。これにより、後述するように、割付用現品DB134およびスケジュール商品DB135に荷揃済みの鉄鋼製品のデータを含めることができる。
【0023】
割付用現品DB134は、上記の構成現品DB133に格納される製造済みの現品を元にして、これから所定期間内に製造する予定の現品(スケジュール現品)に関する情報(割付用現品データ)を格納する。割付用現品データには、図5に例示するように、現品IDをキー情報として、少なくとも、鉄鋼製品になるまでに通過する予定の工程(通過予定ライン)、現在の工程(仕掛ライン)、通過予定の工程での処理前の現品の厚み(入側厚)、幅(入側幅)、重量(入側重量)などの仕様情報、通過予定の各工程の終了予定時刻(自ライン通過予定時刻)、1つ前の工程の終了予定時刻(前ライン通過予定時刻)、次の工程の終了予定時刻(後ライン通過予定時刻)などが含まれる。なお、現品IDは構成現品DB133と共通の値であり、同一現品を元にするスケジュール現品に対して、各通過予定工程についてのレコードに同一の現品IDを付与する。
【0024】
スケジュール商品DB135は、構成現品DB133に格納される製造済みの現品および上記の割付用現品DB134に格納されるスケジュール現品を元にして、最終工程を通過した後に仕上げられる予定の鉄鋼製品(スケジュール商品)に関する情報(スケジュール商品データ)を格納する。スケジュール商品データには、図6に例示するように、スケジュール商品の識別情報(スケジュール商品ID)をキー情報として、少なくとも、対応する現品ID、当該製品の重量(予定重量)、荷揃予定日、荷揃要求日、手続予定日、出荷予定日、引取予定日、使用予定日、船積予定日、契約納期などの情報が含まれる。
【0025】
制御部14は、処理プログラム等を記憶したメモリおよび処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現され、前述した生産計画作成システム1の各構成部を制御する。また、制御部14は、要求情報作成部141と、割付用現品データ作成部142と、スケジュール商品データ作成部143と、スケジュール商品割付部144と、生産計画作成部145とを有し、後述する生産計画作成処理を実行する。
【0026】
ここで、図7のフローチャートを参照して、生産計画作成システム1による生産計画作成処理手順について説明する。図7のフローチャートは、例えば、操作者が入力部11を操作して生産計画作成の指示入力があったタイミングで開始となり、生産計画作成処理はステップS1の処理に進む。
【0027】
ステップS1の処理では、制御部14が、例えば入力部11を監視する、あるいは、オーダー情報DB131の更新を監視することにより、注文者による需要家のオーダー情報の入力の有無を監視する。発注情報や納入指示がオーダーDB131に登録される際などに、制御部14がオーダー情報の入力を検知すると、生産計画作成処理は、ステップS2の処理に進む。
【0028】
ステップS2の処理では、要求情報作成部141が、ステップS1で入力されたオーダー情報に基づいて、要求情報を作成する。要求情報には、オーダー情報に含まれる納期または使用予定日と要求重量のほか、荷揃要求日、出荷予定日、引取予定日、使用予定日、船積予定日などの日付に関する情報を含む。これらの日付に関する情報は、オーダー情報に含まれる納期あるいは使用予定日に基づいて、制約条件DB132を参照することにより算出される。算出された日付に関する情報と要求重量とを含めて作成された要求情報は、メモリなどの適宜な記憶部に記憶される。これによりステップS2の処理は完了し、生産計画作成処理は、ステップS3の処理に進む。
【0029】
ステップS3の処理では、割付用現品データ作成部142が、構成現品DB133に格納される構成現品データに基づいて、割付用現品DB134に格納する割付用現品データを作成する。ここで、図8を参照してステップS3以降の処理について説明する。図8において、製造済みのスラブ・コイルは実線で描かれ、製造予定のスラブ・コイル(スケジュール現品)は点線で描かれている。すなわち、ステップS3の処理は、図8において実線で描かれている現品のデータに基づいて、点線で描かれているスケジュール現品のデータを生成し、これらを割付用現品DB134に格納するものである。
【0030】
具体的には、割付用現品データ作成部142は、構成現品DB133に記憶される現品IDに対応付けられた1レコードについて、鉄鋼製品に至る後続の通過予定の工程の数だけ、同一の現品IDに対応付けた割付用現品データを作成する。例えば、図4の例では、現品ID=cの現品は、現在は熱延工程HOTにおいて処理中であるので、図5の割付用現品DB134に格納する割付用現品データとして、同一の現品ID=cに対して、熱延工程HOT、冷延工程TCM、鍍金工程CGLの3工程に対応する3レコードが作成される。そして、割付用現品データ作成部142は、各工程に対応するレコードについて、予定の仕様情報(入側厚、入側幅、入側重量)を算出し、対応づけて記憶する。予定の仕様情報の算出は、例えば、制約条件DB132に格納される予定変化量を参照して実施する。さらに、割付用現品データ作成部142は、各工程に対応するレコードについて、当該工程および前後の工程を通過する予定の時刻(自ライン通過予定時刻、前ライン通過予定時刻、後ライン通過予定時刻)を算出し、対応付けて記憶する。通過予定時刻の算出は、例えば、制約条件DB132に格納される各工程の標準的な所要時間を参照して実施する。割付用現品データ作成部142は、以上のように作成した割付用現品データを割付用現品DB134に格納する。これによりステップS3の処理は完了し、生産計画作成処理はステップS4に進む。
【0031】
なお、前述したように、割付用現品DB134には荷揃済みの鉄鋼製品のデータも含まれる。構成現品DB133に含まれる荷揃済みの鉄鋼製品のデータをそのまま格納することにより、実現している。
【0032】
ステップS4の処理では、スケジュール商品データ作成部143が、(構成現品DB133に格納される構成現品データおよび)割付用現品DB134に格納される割付用現品データに基づいて、スケジュール商品DB135に格納するスケジュール商品データを作成する。すなわち、図8に例示するように、スケジュール商品データ作成部143は、構成現品データおよび割付用現品データに対応する現品を、製造の最終工程を通過した後に鉄鋼製品として仕上げられる際の予定重量の範囲がおおよそ5〜10tとなるように適宜分割し、各々をスケジュール商品とする。そして、スケジュール商品データ作成部143は、当該分割したスケジュール商品ごとに1レコードとして、スケジュール商品IDを付与する。
【0033】
たとえば、図5に示される現品ID=cのスケジュール現品は、最終工程である鍍金工程CGLを通過した後に、仕上げ時の予定重量=10.270tの2つのスケジュール商品に分割される。このときには、1つの現品ID=cに2つのスケジュール商品ID=c−01,c−02が対応付けられる。このようにしてスケジュール商品IDと対応する予定重量、対応する現品IDおよび荷揃予定日を含むスケジュール商品データが作成され、スケジュール商品DB135に格納される。これによりステップS4の処理は完了し、生産計画作成処理はステップS5に進む。なお、荷揃予定日は、最終工程の通過予定時刻と、例えば制約条件DB132に格納される仕上げの標準的所要時間に基づいて算出される。図6に例示するスケジュール商品データの他の項目は、後述するステップS5の処理により設定される。また、前述したように、スケジュール商品DB135には、構成現品DB133および割付用現品DB134に含まれる荷揃済みの鉄鋼製品のデータをそのまま格納することにより、荷揃済みの鉄鋼製品のデータも含まれる。
【0034】
ステップS5の処理では、スケジュール商品割付部144が、ステップS2で作成した要求情報と、ステップS4で作成したスケジュール商品データとを対応付ける。すなわち、ステップS5の処理は、図8に示すように、スケジュール商品の予定重量を適宜な重量で分割または統合して、要求情報に充当するものである。
【0035】
具体的には、スケジュール商品割付部144は、要求情報に含まれる要求重量を満たすようにスケジュール商品データに含まれる予定重量を適宜に分割または統合して対応付けして、対応付けた要求情報の荷揃要求日、出荷予定日、引取予定日、使用予定日、船積予定日などの日付に関する情報をスケジュール商品データに設定し、スケジュール商品DB135を更新する。これによりステップS5の処理は完了し、生産計画作成処理は、ステップS6の処理に進む。
【0036】
ステップS6の処理では、生産計画作成部145が、ステップS5で更新したスケジュール商品データに基づいて、生産計画を作成あるいは変更する。具体的には、生産計画作成部145が、上記のステップS5でスケジュール商品データに設定された荷揃要求日と荷揃予定日とを対比し、荷揃予定日が荷揃要求日以前の日付になるように、必要な場合には荷揃予定日を更新する。続いて生産計画作成部145は、当該スケジュール商品データの現品IDに基づいて、該当の割付用現品データの通過予定時刻等の日付に関する情報を確認し、スケジュール商品データの荷揃予定日に間に合うように、必要な場合には更新登録することにより、生産計画を変更する。これによりステップS6の処理は完了し、一連の生産計画作成処理は終了する。
【0037】
なお、上記ステップS1にてオーダー情報として発注情報が入力された場合には、同様の処理が実行され、その結果としてステップS6にて生産計画作成部145が契約納期および要求重量に基づいて生産計画を作成する。
【0038】
また、上記のステップS1にてオーダー情報の入力が検知されない場合には、制御部14が規格外の現品(格落現品)が製造された旨の入力の有無を監視する処理(ステップS7)に移行する。制御部14は、例えば、入力部11を監視することにより、あるいは、構成現品DB133の更新を監視することにより実現する。制御部14が格落現品の入力を検知した場合には、前述のステップS3に進む。この場合にステップS3の処理において、当該現品IDの構成現品データを除いて割付用現品データを作成する。ステップS4以降の処理は上記と同様に実施され、再度生産計画が作成または変更される。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態の生産計画作成システム1によれば、需要家の使用予定日の確定・変更に応じて、製造中の現品にまでさかのぼって自動的に生産計画が変更されるので、人的コストを低く抑えつつ在庫を過剰に抱えることなく、需要家の納入指示に応じて容易に生産計画を変更できる。
【0040】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0041】
1 生産計画作成システム
11 入力部
12 出力部
131 オーダー情報DB
132 制約条件DB
133 構成現品DB
134 割付用現品DB
135 スケジュール商品DB
14 制御部
141 要求情報作成部
142 割付用現品データ作成部
143 スケジュール商品データ作成部
144 スケジュール商品割付部
145 生産計画作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を経て製造される鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成システムであって、
契約納期に基づいて前記鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成手段と、
鉄鋼製品の使用予定日および要求重量に関する情報を少なくとも含む鉄鋼製品ごとのオーダー情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記オーダー情報の入力に応じて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画に基づいて、所定期間内に生産される鉄鋼製品ごとの予定重量を算出する算出手段と、
前記使用予定日までに前記要求重量の鉄鋼製品を納品可能なように、前記算出手段によって算出された予定重量に基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付ける紐付け手段と、
前記紐付け手段によるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする生産計画作成システム。
【請求項2】
前記受付手段は、前記予定重量を変更する入力を受け付け可能であり、前記受付手段が前記予定重量を変更する入力を受け付けた場合に、前記紐付け手段が、前記受付手段により受け付けられた予定重量と前記算出手段によって算出された予定重量とに基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付け、前記変更手段が、前記紐付け手段によるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成手段によって作成された生産計画を変更することを特徴とする請求項1に記載の生産計画作成システム。
【請求項3】
複数の工程を経て製造される鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成方法であって、
契約納期に基づいて前記鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成ステップと、
鉄鋼製品の使用予定日および要求重量に関する情報を少なくとも含む鉄鋼製品ごとのオーダー情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記オーダー情報の入力に応じて、前記生産計画作成ステップにおいて作成された生産計画に基づいて、所定期間内に生産される鉄鋼製品ごとの予定重量を算出する算出ステップと、
前記使用予定日までに前記要求重量の鉄鋼製品を納品可能なように、前記算出手段によって算出された予定重量に基づいて前記所定期間内に生産される鉄鋼製品を前記オーダー情報に紐付ける紐付けステップと、
前記紐付けステップによるオーダー情報の紐付け結果に基づいて、前記生産計画作成ステップにおいて作成された生産計画を変更する変更ステップと、
を含むことを特徴とする生産計画作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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