説明

生育基体の製造方法

発明は植物が生育できる培地を製造する方法に関する。この方法の特徴は、a)有機および無機材料の少なくとも1から選択された粒子状基材Iと、熱可塑性の生物学的に分解可能な結合剤IIとを混合し、b)少なくとも結合剤を少なくとも部分的に流動化させるため加熱し、c)結合剤がほぼ凝固するように混合物を冷却し、それにより基材の少なくとも一部が結合剤により結合されることである。発明による方法は環境上安全であり、生物学的に分解可能でかつ形状を良好に保つ植物にやさしい培地を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物を生育させる培地を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
培地を使用することは一般に実用的に、例えば市場園芸で知られている。特に温室栽培において、培地は一般に種を発芽させ植物を生育させるために使用される。培地を作る公知の方法はオランダの特許出願である特許文献1に記載されている。この出願には有機基材を重合可能な混合物で混合し、その後で重合可能な混合物を重合させることが開示されている。しかしこの方法では、重合マトリックスを開いた構造にすることを所望する場合は、発泡剤を付加することが必要になる。これは一般に水吸収を改善する場合のことである。しかし、この方法で得られた培地の組成物は非常に硬くなり、これはポリマー量を調整しても改善できない。
【特許文献1】NL−1017460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は結合しているが開いた構造である培地を製造する方法を提供することである。
発明の特別の目的は基材のコンシステンシーとほぼ同一のコンシステンシーを有する培地を提供することである。
【0004】
最後に発明の目的は環境上安全な培地を得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的の少なくとも1つを達成するために、本発明は序文に記載した方法に次のステップからなる特徴を備える。
(a)有機材料および無機材料の少なくとも1つから選択された粒子状の基材Iと、熱可塑性の生物学的に分解可能な結合剤IIとを混合し、
(b)少なくとも一部を流動化させるために少なくとも結合剤を加熱し、
(c)結合剤がほぼ凝固するよう混合物を冷却して、基材の少なくとも一部を結合剤により結合させる。
【0006】
この方法により、もとの基材のコンシステンシーとほぼ同一のコンシステンシーを有する培地が得られる。また培地の構造はもとの基材の構造とほぼ同一である。
発明による方法で得られた培地のこれらの特性により根の生育に非常に適した培地となる。また、発明による方法で得られた培地は種を発芽させ植物を栽培するために使用するのに非常に適している。
【0007】
発明による方法のさらに好ましい実施形態は従属する請求項に記載される。
特に好ましい方法は、基材の量に対する結合剤の量を最大25重量%、好ましくは最大15重量%、一層好ましくは最大10重量%、さらに好ましくは最大7重量%、さらに一層好ましくは最大5重量%、最も好ましくは最大4重量%とすることである。この方法で基材は良好に結合されているので壊れることはないが、一方培地の構造は根の生育を邪魔しないように開いた構造となる。
【0008】
さらに好ましい方法は、粒子状基材の寸法を最大10mm、好ましくは最大5mm、一層好ましくは最大2mm、さらに一層好ましくは最大1mmとしたときに得られる。これは培地の構造を根の生育に適したものにすることに貢献する。
【0009】
製造直後に培地を使用できるようにするために、ステップ(a)で開始材料を混合した後で成形処理を実施するのが好ましい。この成形処理は、例えば材料を円柱に形成することからなる。これを適当な長さに分割して、市場園芸で便利に使用できる鉢状の培地にする。これらは「培地栓」として知られている。また別の形としては培地マットおよび培地ブロックなどが可能である。これらの形状は実際には、例えば温室栽培で一般に知られている。
【0010】
発明による方法のさらに好ましい実施形態は、有機基材を泥炭、コンポスト、ヤシの繊維、ヤシの粒、麻の繊維、わら、草、おがくず、コーヒーの出がらし、有機廃棄物、動物飼育産業からの残滓、および製紙産業からの残滓からなる群から選択することに特徴がある。このような開始材料は一般に利用しやすく、一般に追加の処理を行なう必要がない。したがって、本発明は有機廃棄物のリサイクルに貢献する。
【0011】
発明のさらに好ましい特徴は、無機基材を粘土、土、パーライト、ロックウールおよびその他の不活性無機材料からなる群から選択することにある。無機材料のリサイクルがこれで保証される。
【0012】
発明のさらなる実施形態によると、ステップ(a)の間に、好ましくは生物学的に分解可能なエラストマーが付加される。この場合、好ましくは生物学的に分解可能な結合剤の量を減らすことが可能となる。付加されたエラストマーの量と減少した結合剤の量は培地に所望の特性を与えるように互いに調整することができる。エラストマーを付加したこのような実施形態により、材料に耐久性のある弾性特性が付与されるという特別の効果がある。エラストマーのガラス転移温度に応じて、低い温度であっても弾性特性が保持される。
【0013】
発明による方法のステップ(b)に基づく結合剤の加熱は蒸気を使用して起こさせるのが好ましい。蒸気、好ましくは乾燥蒸気をステップ(a)からの混合物に加えると、混合物の急速な加熱が達成される。特に、いわゆる乾燥蒸気(すなわち、ガス相の水のみを含み凝縮水を含まない蒸気)を加えると、混合物の有効な加熱が実現される。水の過剰な付加が防止される。低圧の蒸気(例えばゲージ圧力で0.5バール)を供給することで十分である。このような蒸気の供給で混合物は数秒以内に100℃の温度になる。勿論、加熱時間は蒸気の量および混合物の量で左右される。
【0014】
加熱は急速に起こるので、限られた量だけの水を混合物に供給する。蒸気は注入ノズルを使用して簡単に導入できるので、蒸気供給の一様な分布が容易に確保され、混合物全体が一様に加熱される。当分野の専門家であれば注入点の数と蒸気量を全く容易に最適化できる。
【0015】
ステップ(a)で得られた混合物を加熱する別の方法はマグネトロン放射の使用である。マグネトロン放射の利点は物理的接触をせずに混合物を加熱できることである。しかし、加熱設備から環境にマグネトロン放射が漏洩しないように、十分な対策をとる必要がある。
【0016】
さらに別の方法として赤外線放射の使用がある。この利点は、別の対策をとらなくても、ステップ(a)からの材料の外面層が急速に加熱されるが、しかし混合物の内部は急速には加熱されない。内部への熱の伝達は極めて遅い。この方法には、急速に加熱される混合物の外面層が完全に乾燥してしまうという欠点がある。マグネトロン放射による加熱は乾燥する程度がわずかである。蒸気による加熱は全く乾燥を引き起こさない。
【0017】
発明の方法により製造された培地はステップ(c)の間に、例えばガスまたは液体を強制的に供給して冷却することができる。しかし、非強制的な自然冷却によりステップ(c)による固体形状に移行させることも可能である。周囲温度に左右されるが、この方法による冷却には数分から数時間かかる。
【0018】
強制冷却が好ましくない場合は、培地にカバーを設けることが可能である。このようなカバーは例えば、薄い紙またはその他の類似する生物学的に分解可能な材料で構成することができる。このカバーは、冷却期間中、熱可塑性の生物学的に分解可能なポリマーが十分に凝固するまで耐えられる十分に強いものでなければならない。このようなカバーは、例えば生物学的または他の方法で分解する。この材料は、培地がまだ堅固な状態になるまで進んでいない期間中に簡単に壊れるようなことのないコンシステンシーを有することだけが要求される。
【0019】
培地の温度が周囲の温度または作業温度であるとき、結合剤はほぼ固体であることが勿論好ましい。
熱可塑性の生物学的に分解可能なポリマーの溶融温度範囲は20から130℃の範囲、好ましくは40から120℃の範囲、一層好ましくは60から100℃の範囲である。発明の方法で得られ製造された培地は室温(約18℃)において形状が良好に保持される。20℃を超える作業温度においては、使用の間に培地を所望の形状に保つようにポリマーの溶融範囲は作業温度よりも高い温度から始まるのが好ましい。
【0020】
生物学的に分解可能なポリマーは分解の間に有害な物質を形成しないポリマーであればどのようなポリマーであってもよい。例えば、次の群から選択できる。
1)ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸の異なるモノマーに基づく統計的脂肪族芳香族コポリエステルなどの生物学的に分解可能なポリエステル
2)AおよびD変異体を含むポリラクチック酸化合物
3)ポリヒドロキシブチレイト(PHB)化合物およびポリヒドロキシアルカノエイト(PHA)化合物
4)デンプン化合物
上記した群の適当な代表の例は、ポリラクチック酸、デンプン、ポリエステルアミド(BAC)またはポリ−ε−カプロラクトン(例えば、イタリアのNovamontSPA社の製品MaterBI)である。
【0021】
最後に成形ステップの好ましい実施形態であるが、成形の間に混合物を圧縮する。この混合物の圧縮はもとの容積に対して99%以下、好ましくは95%以下、一層好ましくは90%以下、さらに一層好ましくは80%以下とする。この方法で結合剤と基材は多少混合がよくなり、結合剤はこのような圧縮をしない場合に比べて基材の周りにより効果的に流れることになる。これで基材の粒子の結合が改善される。このような圧縮により、同量の結合剤を使用しても基材の粒子間の結合がよくなるか、類似の結合を得るために結合剤の量を減らすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に好ましい実施の形態を参照して発明を説明する。
図面は方法を実施するために好ましい実施の形態を概略的に示したものであるが、種々の図面で同一の引用符号は同一の部品を意味する。
【0023】
図1は底部層1の上に第2の層2が置かれた様子を示す。第1の層1は基材と結合剤との混合物で構成される。基材は有機材料および無機材料の少なくとも1つから選択される。有機材料の例としては、泥炭、コンポスト、ヤシの繊維、ヤシの粒、麻の繊維、わら、草、おがくず、コーヒーの出がらし、有機廃棄物、動物飼育産業からの残滓、および製紙産業からの残滓がある。
【0024】
無機材料の例としては、粘土、土、パーライト、ロックウールおよびその他の不活性無機材料がある。不活性無機材料という用語は意図する適用に反応を示さず、種の発芽またはその植物の生育に悪影響を及ぼさない材料をいう。
【0025】
結合剤は熱可塑性の生物学的に分解可能な結合剤である。結合剤の最適な例はε−ポリカプロラクトンである。この材料はダウケミカルから入手でき、トーンポリマーの商品名で市販されている。このε−カプロラクトンは生物学的に分解可能であり約60℃を超える温度で多少溶融する。
【0026】
層2は基材で構成される。このため結合剤はこの実施例では付加されない。
底部層1は2つの側部3,4を有する。成形操作では、側部3,4を当接させて第2の層2を第1の層1で囲むように底部層1を折り曲げる。これは図1の右側に示す。
【0027】
図1では底部層1は密着する層として示されるが、底部層1の大部分は基材で構成されることが明らかである。したがって実際には底部層1と上層2の違いはほとんど明らかでないかまたは全く明らかでない。
【0028】
図1の底部層1の厚さはそれほど重要ではないが、実際にはかなり厚い。図1の文字Aで示した成形製品の特性は層1の厚さに支配される。成形製品Aの特性は使用する結合剤の量にも当然左右される。
【0029】
図2は図1で示した実施の形態の変形を示す。図2による実施の形態では基材と結合剤とで構成された底部層1は部分的に第2の層2で覆われる。第2の層2の上に、基材と結合剤とで構成された第3の層5が設けられる。第2の層2は図1に示した層2と同一である。
【0030】
図2の頂部層5は2つの側部6,7を有する。図2に示すように構造を成形処理した結果、製品Bとなる。底部層1の側部3,4はそれぞれ頂部層5の側部6および7に当接する。この成形製品に結合剤6を流動的にし、結合剤6が基材の粒子に付着してそれを取り囲む処理を施したとき、各側部3,6または4,7はそれぞれ互いに付着する。したがって、本発明の方法によれば、基材と結合剤とで構成された密着する外側層および基材のみで構成された密着する内側層を有する培地が得られる。
【0031】
最後に図3に基材と結合剤で構成された層1を示す。この基層1は成形処理を施され、その後で、もっぱら基材と結合剤とで構成された培地Cが得られる。結合剤の量は、例えば、基材の量に対して最大25重量%、好ましくは最大15重量%、一層好ましくは最大10重量%とするのが好ましい。その結果、コンシステンシーが丁度、基材とほぼ同じコンシステンシーとなる培地が得られる。基材の量に対する結合剤の量は最大7重量%、より好ましくは最大5重量%、一層好ましくは最大4重量%にするのが、さらに好ましい。
【0032】
明らかなように、本発明は図面に示し、これまでに記載した発明の好ましい実施の形態に限定されるものではない。図面ではストランド状に成形されたもののみを示すが、発明にしたがって、材料を型に、例えば、立方体形状に、例えば10×10×10cm、または棒形状の型に、例えば100×20×10cm等にし、培地をより大きい形状にして製造することも可能である。これらはいわゆる基体栽培における培地ブロック、培地マットなどとして手軽に使用される。基体栽培は一般に市場園芸で、例えば、トマト、トウガラシなどの温室野菜の栽培に使用される。
【0033】
例えば発明による方法によって作られた培地栓またはその他の形状の物体の製造の変形を図4から図6に示す。図4は頂面9と底面10を備えた型8を示す。型8には頂面9に開口11を、底面10に開口12を形成するように全面に渡って穴が作られる。頂面の開口11は底面10の開口12よりもわずかに大きい。粒子状の基材と熱可塑性で生物学的に分解可能な結合剤の混合物を穴の頂面側から充填する。これは、例えば型8の頂面9で削りナイフを使用して混合物を適用し、穴に充填することで実施される。型は一定の昇温された温度で選択的に維持されるので、熱可塑性ポリマーは少なくとも部分的に流動的になる。このためポリマーと基材が型の中で結合することになる。型8の穴に適当に充填させるために、底面10の開口12を塞ぐように、型8を基台上に置くのが好ましい。
【0034】
引き続くステップで、型8を上下逆転させて、頂面9を底部に、底面10を頂部にする。これを図5に示す。型8には穴が2つしか示されていないが、実際には型8には複数の穴が設けられることは明らかである。型8の穴がトレイ13のレセスに揃うように、型8の下にトレイ13を置く。次に、型8の穴内の培地を型8の面10側から下方に押し出して、培地をトレイ13のレセスに載置する。
【0035】
穴をわずかに円錐状にすると、成形された培地は型8から容易に押し出せる。底面10の開口を頂面9の開口よりもわずかに小さくすることが好ましい。この方法で型8を貫通する穴は円錐形状になる。型8を(図5に示すように)逆にしたとき、成形された培地は簡単に型8から押し出すことができる。
【0036】
図6に成形された培地を型8の穴から押し出すステップのさらなる説明を示す。このために穴12の上方に押出し部材14を配置する。この押出し部材14で開口11の方向に、すなわち型8の穴を通して下方に押し出すことができるので、型8の穴から成形された培地が押し出される。型8をトレイ13に当接するように型8をトレイ13上に置いたとき、押出し部材14は開口11まで移動できる十分なものとする。培地がトレイ13のレセス内に移されたとき、押出し部材14の端部は成形された培地の頂部にまだ接している。図6にも示すように、押出し部材14には押出し部材14の端部から下方に移動可能なスピンドル15を設ける。実施状態では、スピンドル15は参照符号16の点線で示すような位置にくる。押出し部材の端部を培地表面の直上に位置させてスピンドル15を使用すると、培地に開口が形成される(図示しない)。このため、例えば、苗、切り枝または種などを培地に入れることが非常に容易になる。温度がまだポリマーの溶融点以上の領域にある間に、培地に開口を形成するこのステップが実行されると、開口部は完全に冷却状態に維持される。
【0037】
図面では型8の穴のテーパーは誇張表現されている。実際には開口11および12の寸法の差はもっと少なくてもよいが、培地を型8から容易に押し出すことができる。
結合剤を流動化させるための加熱は様々な方法で行なわれる。すでに述べたように、蒸気を使用して加熱することが好ましい。この目的のために、注入ノズルを使用して混合物内に蒸気を注入することができ、注入点の数に応じて混合物の一様な加熱が得られる。当分野の専門家は、混合物を適切に加熱するように注入点および注入する蒸気量を決定することができる。乾燥蒸気、すなわち、凝縮水を取り除いた蒸気を使用するのが好ましい。適切な実施例では、混合物の温度が数秒以内に約100℃に達することが容易に可能である。混合物の層の厚さが10cm以上の場合でもこれは可能である。このために、例えば、ゲージ圧力0.5バールで温度112℃の蒸気が使用される。蒸気は熱容量が大きいため、混合物を加熱するのにごく少量の蒸気量しか必要ない。
【0038】
別の可能な方法としては赤外線放射の使用がある。また別の可能な方法としてはマグネトロン放射の使用がある。結合剤のコンシステンシーはマグネトロン放射の手段で加熱可能なようにする必要がある。また結合剤は混合物に含まれた水を介して熱を伝達することで間接的に加熱し、かつマグネトロン放射で加熱することができる。
【0039】
図1および2に示すように、培地栓の外縁は結合剤を備えるが芯は基材のみで構成する場合は、栓を破壊せずに、結合されていない栓の内部に植物を挿入することは非常に簡単となる。
【0040】
分解の際に有害な物質を生成しないポリマーはすべて、生物学的に分解可能なポリマーとして使用できる。これは、分解生成物は植物および動物に有害ないかなる成分も含んではならないことを意味する。生物学的に分解可能な合成ポリマーまたは生物学的に分解可能なバイオポリマーを使用することは可能である。またそれらの組み合わせも可能である。一般にポリマーは次のものから選択できる。
【0041】
1)ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸の異なるモノマーに基づく統計的脂肪族芳香族コポリエステルなどの生物学的に分解可能なポリエステル
2)AおよびD変異体を含むポリラクチック酸化合物
3)ポリヒドロキシブチレイト(PHB)化合物およびポリヒドロキシアルカノエイト(PHA)化合物
4)デンプン化合物
これらのポリマーは例えば、ポリラクチック酸、デンプン、ポリエステルアミドまたはポリカプロラクトンから選択できる。
【0042】
培地の寸法は大幅に変えることができる。例えば、培地は培地ブロックのレセスに常にきっちり適合する形状と寸法にすることができる。適当な寸法は直径が13mm、20mmおよび28mmの栓である。これらは一般に実際に使用される。
【0043】
ポリマーのなかには疎水効果を有するものがある。しかし、この方法により製造された培地は基材と結合剤だけで構成されるので、結合剤のこの疎水特性は実際には基材の水吸収容量に影響を与えない。しかし、結合剤の量は最大25重量%を超えないことが好ましい。
【0044】
基材の湿潤性を大幅に改善するために、表面張力減少剤、例えばWMCを付加することができる。得られた培地の水吸収はこれにより増加する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】発明の方法による第1の実施の形態を示す。
【図2】発明の方法による第2の実施の形態を示す。
【図3】発明の方法による第3の実施の形態を示す。
【図4】発明の方法による別の実施の形態を示す。
【図5】発明の方法による別の実施の形態を示す。
【図6】発明の方法による別の実施の形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物が生育できる培地を製造する方法において、
(a)有機材料および無機材料の少なくとも1つから選択された粒子状の基材Iと、熱可塑性の生物学的に分解可能な結合剤IIとを混合し、
(b)少なくとも一部を流動化させるために少なくとも結合剤を加熱し、
(c)結合剤がほぼ凝固するよう混合物を冷却して、基材の少なくとも一部を結合剤により結合させる
ステップから構成することを特徴とする方法。
【請求項2】
基材の量に対する結合剤の量は最大25重量%、好ましくは最大15重量%、一層好ましくは最大10重量%、さらに好ましくは最大7重量%、さらに一層好ましくは最大5重量%、最も好ましくは最大4重量%とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において開始材料を混合した後で、成形処理を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
成形処理をステップ(b)と(c)の間で実施することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
有機基材は泥炭、コンポスト、ヤシの繊維、ヤシの粒、麻の繊維、わら、草、おがくず、コーヒーの出がらし、有機廃棄物、動物飼育産業からの残滓、および製紙産業からの残滓からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
無機基材は粘土、土、パーライト、ロックウールおよびその他の不活性無機材料からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
粒子状基材の寸法は最大10mm、好ましくは最大5mm、一層好ましくは最大2mm、さらに一層好ましくは最大1mmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)の間に、好ましくは生物学的に分解可能なエラストマーを付加することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
基材と結合剤とからなる第1の層を配置し、その上に基材からなる第2の層を配置し、最後に基材と結合剤とからなる第3の層を配置し、
続いて、第2の層の両側において第1と第3の層を互いに移動させて第2の層が完全に第1の層で囲まれるように成形処理を実施し、
結合剤を基材とともに流動化させ、
第2の層を囲む層において基材が結合するように結合剤をほぼ凝固させる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
基材と結合剤とからなる第1の層を配置し、その上に基材からなる第2の層を配置し、
その後、第2の層を第1の層で完全に囲むように、第1の層を第2の層上に折り曲げることで成形処理を実施し、
その後、結合剤を基材とともに流動化させ、
第2の層を囲む層において基材が結合するように結合剤をほぼ凝固させる
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
例えばガスまたは液体を強制的に供給する手段によるか、非強制的な自然冷却の手段によるかでステップ(c)を実施することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
培地の形状を培地栓、培地マット、培地ブロックなどに形成することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
成形処理の間において、混合物をもとの容積に対して、99%以下、好ましくは95%以下、一層好ましくは90%以下、さらに一層好ましくは80%以下に圧縮することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性の生物学的に分解可能なポリマーの溶融温度範囲は20から130℃の範囲、好ましくは40から120℃の範囲、一層好ましくは60から100℃の範囲であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)における加熱は混合物に蒸気を注入することで実施することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−528697(P2007−528697A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502739(P2006−502739)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000091
【国際公開番号】WO2004/071176
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505305802)
【Fターム(参考)】