説明

用紙残量検出装置、画像形成装置

【課題】用紙残量を検出するに際し、測距センサが測定すべき距離を小さくすることができる用紙残量検出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】用紙取出位置に位置するように、トレイ334を上下方向で移動させるモータMと、動滑車P1、P2と、トレイ334と静止部材2との間に、動滑車P1、P2を支持した状態で接続されており、トレイ334の移動により動滑車P1、P2を回転させながらトレイ334の移動方向と逆方向に移動させる索W2、W3と、動滑車P1、P2と一体となって移動するように動滑車P1、P2に取り付けられた板部材30と、板部材30と対向して設けられており、自身と板部材30との間の距離を表す測定信号を出力する測距センサSと、測距センサSにより出力された測定信号に基づいて、トレイ334に載置されている用紙の残量を検出する残量検出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙残量検出装置、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の給送装置は、用紙束を載置するためのトレイを備えており、当該用紙束の最上位置の用紙を画像形成装置に向けて給紙する。
【0003】
そして、当該給送装置は、トレイに載置されている用紙の量が少なくなるにつれて、当該トレイに載置されている用紙束の最上位置の用紙を給紙ローラで給紙することができるように、トレイを上方向に押し上げる。
【0004】
また、当該給送装置は、トレイに載置されている用紙の残量を検出するために、当該トレイの上面と自身との間の距離を測定して、測定した距離を測定信号の形で表す測距センサが設けられている。そして、当該給送装置は、測距センサにより出力された測定信号のレベル値を用いて用紙の残量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−114452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10は、測距センサの出力特性を示した図である。図10に示すように、測距センサにより得られる電圧値(レベル値)Voutは、当該測距センサと被測定対象物の表面(例えばトレイ上面)との間の距離Lが2cmを超えたくらいから、当該距離Lが大きくなるにつれて、順次低下する。
【0007】
図10から判るように、測距センサにより測定されるべき距離が大きい範囲では、得られる電圧値が小さくなる。このように、測距センサからの電圧信号(測定信号)の電圧値が小さい範囲では、当該電圧信号がノイズの影響を受けやすくなる。そうすると、当該電圧信号を用いた用紙残量の検出精度が低下する。
【0008】
そして、測距センサは、光束を、被測定対象物表面に対して垂直に、当該被測定対象物表面に向けて出力し、当該被測定対象物で拡散反射されて得られた反射光を位置検出部で受光して、当該位置検出部における当該反射光の受光位置により、測距センサと被測定対象物表面との間の距離を測定する。
【0009】
このような測距センサは、一般に、当該測距センサにより測定されるべき距離が大きなときには、被測定対象物表面において、測距センサからの光束が照射されるべきスポットエリアの面積を大きく確保する必要がある。尚、スポットエリアの意味については後述する。
【0010】
以下、測距センサにより測定されるべき距離を300mmとした場合に要されるスポットエリアについて説明する。
【0011】
当該測距センサから出力される光束は、被測定対象物表面に向けて円錐状に広がる。図11は、測距センサから被測定対象物表面に向けて出力される光束の縦断面を示した図である。図11には、測距センサSから、当該測距センサSと被測定対象物表面SUとを結ぶ垂線に対して2°広がる円錐状の光束が出力される例が示されている。
【0012】
図11に示すように、測距センサSと被測定対象物表面SUとを結ぶ垂線に対して2°広がる円錐状に出力されている場合に、測距センサSにより300mmの距離を測定するためには、半径10.5mmのスポット径が必要となる。ここに、スポット径とは、測距センサSからの光束が被測定対象物表面SUに到達した場所を表す円状のスポットSPの半径のことをいう。
【0013】
さらに、測距センサSは、当該測距センサSの取付誤差や、当該測距センサSの特性に応じて光軸誤差が生じうる。図12は、光軸誤差が生じうる範囲の縦断面を示した図である。
【0014】
図12には、光軸誤差が生じうる範囲として、測距センサSを起点として、当該測距センサSと被測定対象物表面SUとを結ぶ垂線に対して9.5°広がる円錐状の範囲が例示されている。
【0015】
図12のように、測距センサSを起点として、当該測距センサSと被測定対象物表面SUとを結ぶ垂線に対して9.5°広がる円錐状の範囲で光軸誤差が生じうる場合には、測距センサSから300mm離れた被測定対象物表面SUにおいて、前記スポットSPの中心となりうる位置が形成する範囲は、光軸誤差が生じていない場合のスポットの中心Oを中心とした半径50.2mmの円の範囲となる。
【0016】
尚、図12において、点Oは、最大の光軸誤差、つまり、9.5°の光軸誤差が生じている場合に被測定対象物表面SUにおいてスポットSPの中心となりうる位置であって、光軸誤差が生じていないとした場合のスポットSPの中心Oから最も離れた位置である。図12の例では、50.2mmである。
【0017】
図13は、測距センサが図11及び図12の特性を有する場合に、測距センサSにより300mmの距離を測定するのに要されるスポットエリアについて説明するための横断図である。
【0018】
図13に示すように、被測定対象物表面SUにおいて確保されるべきスポットエリアSAは、光軸誤差が生じていない場合のスポットSPの中心Oと、最大の光軸誤差、つまり、9.5°の光軸誤差が生じている場合のスポットの中心Oとを結ぶ線分の長さ(50.2mm)に、当該中心O1を中心とするスポットSPのスポット径(10.5mm)を加算して得られる長さ(60.7mm)を半径とする円で表される領域である。
【0019】
このように、測距センサSにより測定されるべき距離が300mmである場合には、当該測距センサSにより当該距離を測定するためには、半径60.7mmの円で表されるスポットエリアSAが必要となる。
【0020】
そして、このようなスポットエリアSAの面積は、測距センサSと被測定対象物表面SUとの間の距離が大きくなるほど、スポット径及び光軸誤差の生じうる範囲が大きくなるため、より大きくなるように確保される必要がある。
【0021】
ところで、給紙装置において被測定対象物表面SUとなるトレイ上面の面積は、一般に、用紙サイズに合わせて定められているので、トレイ上面のうち用紙が載置されていない部分の面積はさほど大きく確保されているわけではない。
【0022】
そのため、測距センサにより測定すべき距離が大きくなるほど、当該距離を測定できるだけの面積のスポットエリアを被測定対象物SU表面で確保することが困難となる。
【0023】
以上説明したように、測距センサにより測定されるべき距離が大きくなるほど、測距センサによる用紙残量の検出精度が低下する上に、当該測距センサが距離を測定できるだけの面積のスポットエリアを確保することができなくなる。
【0024】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、用紙残量を検出するに際し、測距センサが測定すべき距離を小さくすることができる用紙残量検出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一局面に係る用紙残量検出装置は、用紙を収容するための用紙収容部であって、前記用紙を取り出すための用紙取出位置が予め設定された用紙収容部と、前記用紙を載置するために設けられており、前記用紙収容部の内部で上下方向で移動可能なトレイと、前記トレイに載置されている用紙のうち最上位置の用紙が、前記用紙取出位置に位置するように、当該トレイを前記上下方向で移動させるモータと、動滑車と、前記トレイと静止部材との間に、前記動滑車を支持した状態で接続されており、前記トレイの移動により前記動滑車を回転させながら前記トレイの移動方向と逆方向に移動させる索と、前記動滑車と一体となって移動するように当該動滑車に取り付けられた板部材と、前記板部材と対向して設けられており、自身と前記板部材との間の距離を表す測定信号を出力する測距センサと、前記測距センサにより出力された前記測定信号に基づいて、前記トレイに載置されている用紙の残量を検出する残量検出部と、を備えることを特徴とすることを特徴とする(請求項1)。
【0026】
この構成によれば、トレイの移動により動滑車が回転しながらトレイの移動方向と逆方向に移動する。そして、板部材が動滑車と一体となって移動する。
【0027】
これにより、動滑車と一体となって移動する板部材が、トレイの移動方向とは逆方向に、当該トレイの移動距離の半分の距離だけ移動する。
【0028】
そのため、板部材の最大の移動距離は、トレイの最大の移動距離の半分で済み、板部材の移動距離として設定されるべき距離範囲が、トレイの移動距離として設定されるべき距離範囲の半分ですむ。
【0029】
その結果、板部材との距離を測定する測距センサが測定すべき距離が、当該測距センサがトレイ上面との間の距離を測定する場合と比べて半分となる。これにより、用紙残量を検出するに際し、測距センサが測定すべき距離を小さくすることができる。
【0030】
結果として、用紙残量の検出精度が向上し、要されるスポットエリアの面積を小さくすることができる。
【0031】
上記構成において、前記板部材の両端には、それぞれ前記動滑車が取り付けられており、前記索が、前記板部材の下側で前記両端の動滑車間に掛け渡されるように張設されていることが好ましい(請求項2)。
【0032】
この構成によれば、板部材の下部に索を通して当該板部材を支持することができる。これにより、板部材を動滑車でつり下げる場合と比べて、構成をコンパクトにすることができる。
【0033】
上記構成において、前記測距センサは、当該測距センサと前記板部材との間の距離が小さくなるほど大きなレベル値の測定信号を出力する一方で、前記距離が大きくなるほど小さなレベル値の測定信号を出力し、前記残量検出部は、前記測距センサにより得られたレベル値が小さくなるにつれて、用紙残量が少ないと判断し、当該レベル値が大きくなるにつれて、用紙残量が多いと判断することが好ましい(請求項3)。
【0034】
この構成によれば、残量検出部は、測距センサにより得られたレベル値が小さくなるにつれて、用紙残量が少ないと判断し、当該レベル値が大きくなるにつれて、用紙残量が多いと判断する。
【0035】
これにより、残量検出部は、板部材がトレイの移動方向と逆方向に移動する場合において、用紙残量の検出を適切に行うことができる。また、距離の増減の方向と測定信号のレベル値の増減の方向とが同じであるため、測距センサにより得られたレベル値を距離や用紙残量に換算することが容易となる。
【0036】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の用紙残量検出装置と、前記用紙収容部に収容された用紙を前記用紙取出位置で取り出して搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする(請求項4)。
【0037】
この構成によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の用紙残量検出装置を備えるため、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の効果を奏する画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、板部材との距離を測定する測距センサが測定すべき距離が、当該測距センサがトレイ上面との間の距離を測定する場合と比べて半分となる。これにより、用紙残量を検出するに際し、測距センサが測定すべき距離を小さくすることができる。
【0039】
結果として、用紙残量の検出精度が向上し、要されるスポットエリアの面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示した概略断面図である。
【図2】ストッカの外観の一例を概念的に示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
【図4】電圧値範囲−残量対応テーブルの一例について示した図である。
【図5】用紙残量検出機構の一例について示した図である。
【図6】用紙残量検出機構の他の例について示した図である。
【図7】測距センサが測定すべき距離が小さくなったときのスポット径について説明するための図である。
【図8】測距センサが測定すべき距離が小さくなった場合に、光軸誤差が生じることによりスポットの中心となりうる位置が形成する範囲について説明するための図である。
【図9】測距センサが測定すべき距離が小さくなった場合に、当該距離を測定するのに要されるスポットエリアについて説明するための横断図である。
【図10】測距センサの出力特性を示した図である。
【図11】測距センサから被測定対象物表面に向けて出力される光束の縦断面を示した図である。
【図12】光軸誤差が生じうる範囲の縦断面を示した図である。
【図13】測距センサが図11及び図12の特性を有する場合に、測距センサにより300mmの距離を測定するのに要されるスポットエリアについて説明するための横断図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置及び画像形成装置を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示した概略断面図である。尚、図1に示す画像形成装置には、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置が含まれている。
【0042】
図1に示すように、画像形成装置Aは、略直方体に形成された筐体2と、筐体2の内部空間下部に配設されるとともに用紙SHが蓄えられる貯留部3と、貯留部3から用紙SHを取り出すとともに搬送する搬送部4と、搬送途中の用紙SHの面にトナー画像を形成する画像形成部5と、用紙上に形成されたトナー画像を用紙SHの面上に定着させる定着部6と、トナー画像が定着された用紙SHを筐体2外に排出する排出部7とを備える。筐体2の上部には、原稿の画像を読み取るための原稿読取部8が配設される。原稿読取部8は、原稿の画像を読み取り、電子データ化する。
【0043】
貯留部3は、少量の用紙SHの束を収容する第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32を含む。第2カートリッジ32は、第1カートリッジ31の上方に配設される。貯留部3は、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32が収容可能な枚数以上の用紙SHを収容するためのストッカ(用紙収容部)33をさらに含む。ストッカ33は、第2カートリッジ32の上方に配設される。
【0044】
ストッカ33は、略矩形板状の底部331と、底部331の周縁から上方に向かって延出する周壁部332とを含む。周壁部332の上縁は、ストッカ33の開口部を形成する。底部331と周壁部332とで定められるストッカ33の内部空間に収容された用紙SHは、ストッカ33の上部に形成される開口部を通じて、搬送部4により取り出され、画像形成部5に向けて搬送される。第1カートリッジ31、第2カートリッジ32及びストッカ33は、筐体2内部から引き出し可能に設けられている。
【0045】
ストッカ33は、当該ストッカ33の内部空間を横切って配設される仕切板333を含む。仕切板333は、底部331から上方に延出し、図1中において、ストッカ33の内部空間を左右に互いに隣接する小空間に仕切る。左方に形成される小空間は第1収容部33Aを形成しており、右方に形成される小空間は第2収容部33Bを形成している。
【0046】
第1収容部33Aには、第1トレイ334が配設され、第2収容部33Bには第2トレイ335が配設されている。第1トレイ334は、用紙SHの束を載置するための上面を備える。また、第2トレイ335も、用紙SHの束を載置するための上面を備える。
【0047】
第1トレイ334及び第2トレイ335は、ストッカ33の内部において、予め設定された、最下位置PLと用紙取出位置PHとの間で上下方向に移動可能に構成されている。
【0048】
搬送部4は、貯留部3の右側で上下方向に延びる搬送路43を含む。用紙取りだしローラ413A及び414Aによりストッカ33から取り出された用紙SHは、ベルト装置412により搬送路43に搬送され、搬送路43を通じて画像形成部5に向かう。
【0049】
用紙取りだしローラ413Aは第1ローラ装置413に設けられており、用紙取りだしローラ414Aは第2ローラ装置414に設けられている。第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414は、筐体2に対して回動可能に取り付けられており、ストッカ33に載置されている用紙SHに上方向に押されることにより水平面との間の角度が変動する。
【0050】
そして、第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414の水平面との間の角度が予め設定された角度となったときに、第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414を上方向に押す力を発生させるモータの駆動が停止する。
【0051】
搬送部4は更に、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32の右上部角隅部近傍に配設されるピックアップローラ44及びピックアップローラ44の近傍下流に配設される分離・給紙ローラ45を含む。ピックアップローラ44及び分離・給紙ローラ45は、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32から1枚ずつ用紙SHを取り出し、搬送路43へ搬送する。搬送部4は更に、搬送路43に沿って配設される複数の搬送ローラ46を含む。搬送ローラ46は、ストッカ33、第1カートリッジ31又は第2カートリッジ32から送り出された用紙SHを、搬送路43を通じて、画像形成部5へ搬送する。
【0052】
画像形成部5は、筐体2に回転可能に支持される略円筒形状の感光体ドラム51と、感光体ドラム51の上方に配設される帯電器52とを含む。感光体ドラム51は、図1中、時計回りに回転する。帯電器52は、感光体ドラム51に電荷を付与し、感光体ドラム51周面を一様に帯電させる。画像形成部5は更に、露光装置53を備える。露光装置53は、原稿読取部8が原稿の画像を読み取ることにより得られた画像データに基づき、レーザ光を感光体ドラム51の帯電された周面に照射する。この結果、レーザ光は感光体ドラム51上の電荷を消失させるため、感光体ドラム51上には画像データに一致する静電潜像が形成されることとなる。画像形成部5は更に、現像装置54を備える。現像装置54は、トナーを収容するトナーコンテナ55を備え、トナーコンテナ55から静電潜像が形成された感光体ドラム51の周面にトナーを供給する。この結果、感光体ドラム51の周面に、静電潜像に一致するトナー像が形成されることになる。
【0053】
画像形成部5は更に、感光体ドラム51の下方に配設される転写ベルト56を含む。搬送路43を通じて、用紙SHは、感光体ドラム51と転写ベルト56との間に送り込まれる。感光体ドラム51と転写ベルト56との間を用紙SHが通過するとき、感光体ドラム51の周面に形成されたトナー像は、トナーの帯電と逆の極性の逆バイアスの印加により用紙SHに転写されることとなる。
【0054】
画像形成部5は更に、用紙SHへトナー像を転写した後の感光体ドラム51の周面上に残留するトナーを除去するクリーニング装置57と、残留トナーの除去がなされた感光体ドラム51の周面から残留電荷を除去する除電装置58とを含む。
【0055】
画像形成部5にて、トナー像の転写がなされた用紙SHは、定着部6へ送られる。定着部6は、定着ローラ61と、定着ローラ61に圧接される加圧ローラ62とを含む。定着ローラ61の内部には熱源63が配設され、定着ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する用紙SH上のトナーが溶融されるとともに、加圧ローラ62からの圧力により用紙SH上にトナーが定着される。これにより、用紙SH上へのトナー像の定着がなされることとなる。
【0056】
排出機構7は、定着部6の下流に配設されるとともに筐体2の内壁面近傍に取り付けられる排出ローラ71と、排出ローラ71から筐体2外に排出された用紙SHを受け止める排出トレイ72とを含む。
【0057】
図1に示される画像形成装置Aは、ストッカ33と画像形成部5/定着部6との間に両面印刷用の搬送路47を備える。排出ローラ71は、スイッチバック方式で搬送路47へ用紙SHを送り出すことも可能である。搬送路47は、搬送路43途中部に配設されたレジストローラ48の直前で合流する。搬送路47を通過した用紙SHは、レジストローラ48により画像形成部5へ送り出され、画像形成部5内でトナー像が定着されていない面にトナー像の転写がなされる。その後、定着ユニット6により新たに転写されたトナー像の用紙SHへの定着がなされる。最後に、用紙SHは排出ローラ71により排紙トレイ72上に排紙されることとなる。
【0058】
図2は、ストッカ33の外観の一例を概念的に示した図である。尚、図1と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
このストッカ33では、第1トレイ334及び第2トレイ335は、当該第1トレイ334及び第2トレイ335の上面に、予め設定された最大枚数の用紙SHが載置されたときには、ストッカ33の底部331に当接する。このときの第1トレイ334及び第2トレイ335の上面の位置が、先述した最下位置PLとして設定されている。
【0060】
このように、最大枚数の用紙SHが載置されたときには、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が最下位置PLに位置し、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面に載置された用紙SHのうち最上位置の用紙SHが、用紙取出位置PHに位置する。最上位置の用紙SHが用紙取出位置PHに位置するときには、当該最上位置の用紙SHが、用紙取りだしローラ413及び414と当接する。
【0061】
そして、第1トレイ334及び第2トレイ335上の最上位置の用紙SHが順次取り出されると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHの枚数が減少する。すると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHのうち最上位置の用紙SHが用紙取りだしローラ413及び414と当接しなくなる。
【0062】
したがって、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHの枚数が減少するにつれて、第1トレイ334及び第2トレイ335は、後述するモータの駆動力を受けて上方向に移動する。すると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHのうち最上位置の用紙SHが用紙取りだしローラ413及び414と当接する。これにより、第1トレイ334及び第2トレイ335の用紙SHの枚数が減少しても、最上位置にある用紙SHを順次取り出すことができる。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
【0064】
用紙残量検出装置1は、図3に示す用紙残量検出機構Dを備えている。用紙残量検出機構Dは、モータM、第1トレイ334が配置されたストッカ33、測距センサS、板部材30、などを含んで構成されている。
【0065】
尚、以下の説明において、第1トレイ334に載置されている用紙残量を検出するための用紙残量検出機構Dのみが示されているが、第2トレイ335に載置されている用紙残量を検出するための構成は、第1トレイ334に載置されている用紙残量を検出するための構成と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0066】
また、用紙残量検出装置1は、CPUやA/Dコンバータなどで構成されており用紙残量検出装置1を統括的に制御する制御部10を備える。また、用紙残量検出装置1は、残量検出部11が用紙残量の検出を行うためのデータを記憶した記憶部40を備える。
【0067】
モータMは、制御部10により制御される。制御部10は、第1トレイ334に載置されている用紙を用紙取りだしローラ413Aにより取り出すことができるように、モータMにより、第1トレイ334に載置されている用紙SHのうち最上位置の用紙SHが用紙取出位置PHに位置するように、第1トレイ334を上方向に移動させる。
【0068】
制御部10は、第1トレイ334に載置されている用紙残量を検出する残量検出部11を備える。残量検出部11は、測距センサSから出力される電圧信号を受け付けて、第1トレイ334に載置されている用紙の残量を検出する。
【0069】
板部材30は、後述するように、第1トレイ334の移動方向と逆方向に移動する。そのため、第1トレイ334に載置されている用紙SHが減少して当該第1トレイ334が上方向に移動すると、板部材30は、第1トレイ334とは逆方向、つまり、下方向に移動する。
【0070】
このため、残量検出部11は、測距センサSと板部材30上面との間の距離が大きくなるにつれて、用紙残量が少ないと判断し、測距センサSと板部材30上面との間の距離が小さくなるにつれて、用紙残量が多いと判断する。
【0071】
例えば、測距センサSにより得られた電圧値が、当該測距センサSと板部材30上面との間の距離が大きくなるにつれて順次小さくなり、当該距離が小さくなるにつれて順次大きくなるような場合には(図8参照)、残量検出部11は、測距センサSにより得られた電圧値が小さくなるにつれて、用紙残量が少ないと判断し、当該電圧値が大きくなるにつれて、用紙残量が多いと判断する。
【0072】
このような残量検出部11による処理を可能とするため、記憶部40には、残量検出部11が用紙残量の検出を行うためのデータとして、例えば、図4に示される電圧値範囲−残量対応テーブル40Aが予め記憶されている。
【0073】
尚、図4において、V10は、板部材30が測距センサSに最も近い位置に位置するとき、つまり、第1トレイ334が最下位置PLに位置するときに測距センサSにより得られた電圧値を示している。
【0074】
また、V0は、板部材30が測距センサSから最も離れた位置に位置するとき、つまり、第1トレイ334が用紙取出位置PHに位置するときに測距センサSにより得られた電圧値を示している。
【0075】
さらに、図4において、V9〜V1は、板部材30が、測距センサSに最も近い位置と、測距センサSから最も離れた位置との間で下方向に移動する間に、つまり、第1トレイ334が、最下位置PLと用紙取出位置PHとの間で上方向に移動する間に測距センサSにより得られた電圧値を示している。電圧値V9〜V1は、V9からV1に向けて順次小さくなる電圧値である。
【0076】
電圧値範囲−残量対応テーブル40Aでは、残量検出部11が、用紙残量を、10%、20%、・・・、100%と10%きざみで検出するように、10個の電圧値範囲データと、各電圧値範囲データに対応する用紙残量データとが、予め記憶されている。
【0077】
そして、各電圧値範囲データで表される電圧値範囲の上限及び下限の双方が大きくなるにつれて、当該電圧値範囲データに対応する用紙残量が順次大きくなるように、電圧値範囲データ及び用紙残量データが記憶されている。
【0078】
残量検出部11は、測距センサSからの電圧信号を受信したときには、当該電圧信号の電圧値が、いずれの電圧値範囲データで表される電圧値範囲に含まれているかを判断し、判断した電圧値範囲を表す電圧値範囲データに対応して記憶されている用紙残量データを読み出して、当該用紙残量データで表される用紙残量を、例えば、表示回路により表示部へ表示させる。
【0079】
これにより、残量検出部11は、板部材30が、後述するように第1トレイ334の移動方向と逆方向に移動する場合において、用紙残量の検出を適切に行うことができる。
【0080】
図5は、用紙残量検出機構Dの一例について示した図である。
【0081】
一般に、動滑車に固定された荷を、一端が天井などの静止箇所に固定され、且つ当該動滑車が載置されたワイヤの他端を上下方向に操作することにより、上下方向に移動させるに当たり、荷を例えば1m上下方向に移動させるためには、ワイヤの他端を2m、荷と同方向に移動させる必要がある。
【0082】
本実施形態の用紙残量検出機構Dは、以上の動滑車の特性に着目して為されたものである。
【0083】
図5に示す用紙残量検出機構Dでは、第1トレイ334上面の一端には第1ワイヤW1の一端が固定されており、第1トレイ334上面の他端には第2ワイヤ(索)W2及び第3ワイヤ(索)W3の一端が固定されている。そして、板部材30上面の一端には動滑車P1が取り付けられており、板部材30上面の他端には動滑車P2が取り付けられている。
【0084】
また、筐体2には、3つの定滑車P3〜P5が固定されている。定滑車P3〜P5のうち、定滑車P3及びP4がモータMの駆動力を受けて互いに異なる方向に回転するよう構成されている。
【0085】
そして、第1トレイ334上面の一端に固定された第1ワイヤW1の他端が定滑車P3に固定されている。第1ワイヤW1は、定滑車P3が紙面反時計回り方向に回転したときには、定滑車P3により巻き回される。
【0086】
また、第1トレイ334上面の他端に固定された第2ワイヤW2は、定滑車P4及び動滑車P1を経由して筐体(静止部材)2に至っており、第2ワイヤW2の他端は、当該筐体2に固定されている。さらには、第1トレイ334上面の他端に固定された第3ワイヤW3は、定滑車P4、定滑車P5、及び、動滑車P2を経由して筐体(静止部材)2に至っており、第3ワイヤW3の他端は、当該筐体2に固定されている。
【0087】
そして、板部材30上面に対向するようにして、測距センサSが配置されている。当該測距センサSは、第1トレイ334に載置されている用紙SHの残量を検出するために配置されている。
【0088】
当該測距センサSは、いわゆる三角測距法により、当該測距センサSと板部材30上面との間の距離を測定し、測定した距離を電圧値(レベル値)で表す電圧信号(測定信号)を出力する。
【0089】
尚、当該測距センサSは、測定された距離がレベル値として得られるものであればよく、三角測距法により距離を測定するセンサには限られない。また、測定信号のレベル値は、電流信号の電流値やデジタル信号のデジタル値で表されていてもよい。
【0090】
以下、用紙残量検出機構Dの基本動作について説明する。以下の説明において、第1トレイ334が上方向に移動し、板部材30が下方向に移動する際の各構成要素の回転方向或いは移動方向を実線矢印で示す。一方で、第1トレイ334が下方向に移動し、板部材30が上方向に移動する際の各構成要素の回転方向或いは移動方向を点線矢印で示す。
【0091】
用紙残量検出機構Dは、第1トレイ334を上方向に移動させるために、モータMにより、定滑車P3を反時計回り方向に、定滑車P4を時計回り方向に回転させる。すると、第1トレイ334は、ワイヤW1〜W3により引き上げられるので、上方向に移動する。
【0092】
また、定滑車P4の時計回り方向の回転により、第2ワイヤW2が下方向に繰り出されるため、動滑車P1は反時計回り方向に回転しながら下方向に移動する。さらには、定滑車P4の時計回り方向の回転により第3ワイヤW3に定滑車P4の回転力が伝達されるため、定滑車P5が時計回り方向に回転する。これにより、第3ワイヤW3下方向に繰り下げられるため、動滑車P2は時計回り方向に回転しながら下方向に移動する。
【0093】
このように、定滑車P3が反時計回り方向、定滑車P4が時計回り方向に回転することにより、第1トレイ334が上方向に移動する一方で、動滑車P1及びP2が下方向に移動する。そして、板部材30は、動滑車P1及びP2に固定されているから、動滑車P1及びP2と一体となって下方向に移動する。
【0094】
このとき、動滑車P1及びP2は、動滑車の特性により、第2ワイヤW2及び第3ワイヤW3の移動量、つまり、第1トレイ334の上方向の移動距離dの半分の距離(d/2)だけ、下方向に移動する(図5の実線矢印参照)。
【0095】
その一方で、モータMの回転を停止させると、第1トレイ334は自重により下方向へ移動する。このとき、定滑車P3は時計回り方向、定滑車P4は反時計回り方向に回転する。
【0096】
第1トレイ334が下方向へ移動すると、第2ワイヤW2が上方向に繰り出されるため、動滑車P1は時計回り方向に回転しながら上方向に移動する。さらには、第1トレイ334の下方向の移動により第3ワイヤW3に第1トレイ334の移動力が伝達されるため、定滑車P5が反時計回り方向に回転する。これにより、第3ワイヤW3が上方向に繰り出されるため、動滑車P2は反時計回り方向に回転しながら上方向に移動する。
【0097】
このように、第1トレイ334が自重により下方向に移動することにより、動滑車P1及びP2が上方向に移動する。そして、板部材30は動滑車P1及びP2に固定されているから、動滑車P1及びP2と一体となって上方向に移動する。
【0098】
このとき、動滑車P1及びP2は、動滑車の特性により、ワイヤW2及びW3の移動量、つまり、第1トレイ334の下方向の移動距離dの半分の距離(d/2)だけ、上方向に移動する(図5の点線矢印参照)。
【0099】
尚、図5では、第1トレイ334上の用紙残量を検出するための構成として、用紙残量検出機構Dを例示しているが、本発明ではこの例に限られず、第1トレイ334上の用紙残量を検出するために、図6に示す用紙残量検出機構D1が配置されていてもよい。
【0100】
図6は、用紙残量検出機構の他の例を示した図である。尚、図6において、図5に示す用紙残量検出機構Dと同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
図6に示すように、用紙残量検出機構D1では、第2ワイヤW2の一端が第1トレイ334の一端(図6では右端)に固定されており、当該第2ワイヤW2の他端が筐体2に固定されている。そして、当該第2ワイヤW2は、定滑車P4、動滑車P1、及び動滑車P2を経由している。
【0102】
動滑車P1及びP2は、第2ワイヤW2に支持されている。動滑車P1及びP2の上には、動滑車P1が板部材30の一端側(図6では左端側)、動滑車P2が板部材30の他端側(図6では右端側)に位置するように、板部材30が載置されている。
【0103】
このように、用紙残量検出機構D1によれば、第2ワイヤW2に支持されている動滑車P1及びP2には、動滑車P1が板部材30の一端側、動滑車P2が板部材30の他端側に位置するように、板部材30が載置されているため、動滑車P1及びP2は、板部材30を水平方向に支持することができる。これにより、板部材30を水平方向に安定させながら上下方向に移動させることができる。その結果、測距センサSによる板部材30との間の距離測定の精度を確保できる。
【0104】
また、用紙残量検出機構D1によれば、板部材30の下に第2ワイヤW2を通して板部材30を支持できるため、図5のように、第3ワイヤW3や定滑車P5を必要としないため、図5の場合と比べて構成をコンパクトにすることができる。
【0105】
用紙残量検出機構D1によれば、モータMにより、定滑車P3を反時計回り方向、定滑車P4を時計回り方向にそれぞれ回転させて第1トレイ334を上方向に移動させると、動滑車P1及びP2を支持している第2ワイヤW2が下方向に繰り出される。
【0106】
これにより、動滑車P1が反時計回り方向、動滑車P2が時計回り方向にそれぞれ回転しながら下方向に移動する。このとき、動滑車P1及びP2は、前記動滑車の特性により、第1トレイ334の移動距離dの半分の距離(d/2)だけ移動する。
【0107】
板部材30は、動滑車P1及びP2の上に載置されているため、動滑車P1及びP2と同じ距離(d/2)だけ下方向に移動する。
【0108】
その一方で、第1トレイ334が自重により下方向に移動すると、動滑車P1及びP2を支持している第2ワイヤW2が上方向に繰り出されるため、動滑車P1は時計回り方向、動滑車P2が反時計回り方向にそれぞれ回転しながら上方向に移動する。このとき、動滑車P1及びP2は、前記動滑車の特性により、第1トレイ334の移動距離dの半分の距離(d/2)だけ移動する。
【0109】
板部材30は、動滑車P1及びP2の上に載置されているため、動滑車P1及びP2と同じ距離(d/2)だけ上方向に移動する。
【0110】
以上に説明したように、用紙残量検出機構D及びD1によれば、動滑車P1及びP2が動滑車の特性により、第1トレイ334の移動距離dの半分の距離(d/2)だけ移動する。そのため、動滑車P1及びP2に取り付けられた板部材30が動滑車P1及びP2と一体となって、第1トレイ334の移動距離の半分の距離だけ移動する。
【0111】
そのため、板部材30の最大の移動距離は、第1トレイ334の最大の移動距離の半分で済み、板部材30の移動距離として設定されるべき距離範囲が、第1トレイ334の移動距離として設定されるべき距離範囲の半分ですむ。
【0112】
その結果、板部材30との距離を測定する測距センサSが測定すべき距離が、当該測距センサSが第1トレイ334上面との間の距離を測定する場合と比べて半分となる。これにより、用紙残量を検出するに際し、測距センサSが測定すべき距離を小さくすることができる。
【0113】
結果として、用紙残量の検出精度が向上する。これについて、図10を用いて説明する。測距センサSが第1トレイ334上面との間の距離を測定する場合の距離範囲を、例えば、8cmから14cmの範囲とする。
【0114】
測距センサSが板部材30上面との間の距離を測定する場合には、測距センサSが測定すべき距離が、測距センサSが第1トレイ334上面との間の距離を測定する場合に当該測距センサSが測定すべき距離の半分となる。
【0115】
そのため、測距センサSが板部材30上面との間の距離を測定する場合には、測距センサSが第1トレイ334上面との間の距離を測定する場合の距離範囲の下限値である8cmが4cmに変化し、当該距離範囲の上限値である14cmが7cmに変化する。
【0116】
図10から判るように、測距センサSにより得られる電圧値Voutは、距離範囲が4cmから7cmである場合のほうが、距離範囲が8cmから14cmである場合と比べて大きい。
【0117】
その結果、残量検出部11は、測距センサSにより、ノイズの影響を受けにくい範囲の電圧値の電圧信号に基づいて用紙残量の検出ができるため、用紙残量の検出精度が向上する。
【0118】
また、本実施形態に係る用紙残量検出装置1は、測距センサSが検出すべき距離を小さくすることができるため、測距センサSが距離を検出するのに要されるスポットエリアの面積を小さくすることができる。これについて、図7〜図9を用いて説明する。
【0119】
尚、以下の説明において、測距センサSの特性は、図11及び図12の特性と同様であるとする。また、図7〜図9において、実線は300mmの距離を測定する例を示しており、点線は150mmの距離を測定する例を示している。
【0120】
図7は、測距センサSが測定すべき距離が小さくなったときのスポット径について説明するための図である。図7には、測距センサSから板部材30の上面SUに向けて出力される光束の縦断面が実線で示されている。
【0121】
図7において、三角形(△SO’α’)と、三角形(△SOα)とは相似関係にある。したがって、三角形(△SO’α’)の辺α’O’の長さは、三角形(△SOα)の辺αOの長さ(10.5mm)の半分であるから、5.25mmである。
【0122】
したがって、測距センサSにより測定すべき距離が150mmである場合には、スポットSPのスポット径は、当該距離が300mmである場合の半分である5.25mmとなる。
【0123】
図8は、測距センサSが測定すべき距離が小さくなった場合に、光軸誤差が生じることによりスポットの中心となりうる位置が形成する範囲について説明するための図である。図7には、光軸誤差が生じうる範囲の縦断面が実線で示されている。
【0124】
図8において、三角形(△SO’O’)と、三角形(△SOO)とは相似関係にある。したがって、三角形(△SO’O’)の辺O’O’の長さは、三角形(△SOO)の辺OOの長さ(50.2mm)の半分であるから、25.1mmである。
【0125】
したがって、測距センサSにより測定すべき距離が150mmである場合には、板部材30の上面SUにおいて、前記スポットSPの中心となりうる位置が形成する範囲は、光軸誤差が生じていない場合のスポットの中心Oを中心とした半径25.1mmの円の範囲となる。
【0126】
つまり、測距センサSにより測定すべき距離が150mmである場合には、当該距離が300mmである場合の半分の半径の円の範囲が、スポットSPの中心となりうる位置が形成する範囲となる。
【0127】
尚、図8において、点O’は、最大の光軸誤差、つまり、9.5°の光軸誤差が生じている場合に板部材30の上面SUにおいてスポットSPの中心となりうる位置であって、光軸誤差が生じていないとした場合のスポットSPの中心Oから最も離れた位置である。
【0128】
図9は、測距センサSが測定すべき距離が小さくなった場合に、当該距離を測定するのに要されるスポットエリアについて説明するための横断図である。図8には、測距センサSが測定すべき距離が150mmである場合のスポットエリアが実線で示されている。
【0129】
図9に示すように、板部材30の上面SUにおいて確保されるべきスポットエリアSAは、光軸誤差が生じていない場合のスポットSPの中心Oと、最大の光軸誤差、つまり、9.5°の光軸誤差が生じている場合のスポットの中心Oとを結ぶ線分の長さ(25.1mm)に、当該中心Oを中心とするスポットSPのスポット径(5.25mm)を加算して得られる長さ(30.35mm)を半径とする円で表される領域である。
【0130】
このように、測距センサSにより測定されるべき距離が150mmである場合には、スポットエリアの半径は、当該距離が300mmである場合の半径(60.7mm)の半分である30.35mmで済む。
【0131】
これにより、当該距離が300mmである場合の1/4の面積のスポットエリアを確保すれば、測距センサSにより距離の測定が可能となる。
【0132】
以上により、本実施形態に係る用紙残量検出装置1によれば、測距センサSが検出すべき距離を小さくすることができるため、測距センサSが距離を検出するのに要されるスポットエリアの面積を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0133】
A 画像形成装置
1 用紙残量検出装置
11 残量検出部
30 板部材
33 ストッカ
334 第1トレイ
335 第2トレイ
M モータ
P1、P2 動滑車
S 測距センサ
W2 第2ワイヤ
W3 第3ワイヤ
SH 用紙
PH 用紙取出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収容するための用紙収容部であって、前記用紙を取り出すための用紙取出位置が予め設定された用紙収容部と、
前記用紙を載置するために設けられており、前記用紙収容部の内部で上下方向で移動可能なトレイと、
前記トレイに載置されている用紙のうち最上位置の用紙が、前記用紙取出位置に位置するように、当該トレイを前記上下方向で移動させるモータと、
動滑車と、
前記トレイと静止部材との間に、前記動滑車を支持した状態で接続されており、前記トレイの移動により前記動滑車を回転させながら前記トレイの移動方向と逆方向に移動させる索と、
前記動滑車と一体となって移動するように当該動滑車に取り付けられた板部材と、
前記板部材と対向して設けられており、自身と前記板部材との間の距離を表す測定信号を出力する測距センサと、
前記測距センサにより出力された前記測定信号に基づいて、前記トレイに載置されている用紙の残量を検出する残量検出部と、
を備えることを特徴とする用紙残量検出装置。
【請求項2】
前記板部材の両端には、それぞれ前記動滑車が取り付けられており、
前記索が、前記板部材の下側で前記両端の動滑車間に掛け渡されるように張設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙残量検出装置。
【請求項3】
前記測距センサは、当該測距センサと前記板部材との間の距離が小さくなるほど大きなレベル値の測定信号を出力する一方で、前記距離が大きくなるほど小さなレベル値の測定信号を出力し、
前記残量検出部は、前記測距センサにより得られたレベル値が小さくなるにつれて、用紙残量が少ないと判断し、当該レベル値が大きくなるにつれて、用紙残量が多いと判断する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙残量検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の用紙残量検出装置と、
前記用紙収容部に収容された用紙を前記用紙取出位置で取り出して搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された用紙に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−246254(P2011−246254A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123060(P2010−123060)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】