説明

田植機

【課題】正面にポールを立設することなく、簡易な操作で苗を整列させることができる田植機を提供することを目的とする。
【解決手段】往路又は復路において、操作者がGUI151a又は151bを選択することによって、右フロントカメラ又は左フロントカメラが撮像した画像を撮像表示部151に表示させる構成とした。また既設の情報表示部と撮像表示部151とを一体化した。またいわゆるバックモニタとして撮像表示部151を使用できる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は苗の植付けを連続的に行う田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
田植機によって圃場に苗の植付けを行う場合、栽培される作物の品質を保ち且つ収穫量を向上させるために、所定の間隔を空けた状態で苗を整列させる必要がある。一般に田植機は、横方向を軸方向とした回転軸に支持された多数の爪部を備えており、回転軸の回転数を調整することによって苗同士の間隔を調整することができる。また田植機は、走行フレームの側方に突出したアームと、該アームの突出端部に位置し、該突出端部を中心として回転する略円形のマーカとを備える。該マーカの外周部分には複数の突起部が設けてある。
【0003】
田植機を走行させた場合、マーカは圃場に接触して回転し、前記突起部によって圃場に凹部が形成される。該凹部は、田植機の進行方向に沿って連続的に列状に形成され、操作者が田植機の進行方向を決定する指標となる。操作者は、列状の凹部とフロントバンパーに立設してあるポールとの左右方向の位置を一致させることによって、田植機の進行方向を既に植付けた苗の並び方向に整合させることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−22832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしポールは正面に立設しているため、操作者の正面の視界に入りやすく、操作者の視認性を悪化させるおそれがある。また運転席から観察される凹部は、ポールに比べて小さく、ポールと凹部との整合は容易ではなかった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、正面にポールを立設することなく、簡易な操作で苗を整列させることができる田植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る田植機は、走行部によって移動し、苗を植え付ける植付部と、前記走行部の状態を示す情報を表示する情報表示手段とを備える田植機において、前記走行部に配置してあり、前方を撮像する撮像部と、該撮像部によって撮像された画像を表示する撮像表示手段とを備え、該撮像表示手段によって表示される苗の並び方向に沿う線状の指標が前記撮像表示手段に配置してあり、前記情報表示手段及び撮像表示手段は共通の筐体内に配置してあることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、圃場に植え付けられた苗を撮像部にて撮像し、撮像した画像を撮像表示手段に表示する。操作者は、撮像表示手段に配置された線状の指標と苗の列とを一致させて、苗の並び方向と田植機の進行方向とを整合させる。また既設の情報表示手段と撮像表示手段とを一体化させる。
【0009】
本発明に係る田植機は、前記撮像部は、前記走行部の左右にそれぞれ配置してあり、前記撮像表示手段又は情報表示手段はいずれかの撮像部を選択する選択部を備え、前記選択部にて選択された撮像部によって撮像された画像を前記撮像表示手段に表示するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、例えば田植機の右側に苗が植えてあり、操作者が右側の撮像部を選択した場合に、田植機の右側を撮像部にて撮像し、撮像した苗を撮像表示手段に表示する。一方、例えば田植機の左側に苗が植えてあり、操作者が左側の撮像部を選択した場合には、田植機の左側を撮像部にて撮像し、撮像した苗を撮像表示手段に表示する。
【0011】
本発明に係る田植機は、前記選択部はタッチパネルを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、タッチパネルにて右側又は左側の撮像部を選択するので、情報表示手段又は撮像表示手段に表示されたGUI(Graphical User Interface)に基づいて直感的な操作を実現することができる。
【0013】
本発明に係る田植機は、後方を撮像する後方撮像部を備え、該後方撮像部にて撮像された画像を前記撮像表示手段に表示するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、撮像表示手段をいわゆるバックモニタとして使用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明にあっては、圃場に植え付けられた苗を撮像部にて撮像し、撮像した画像を撮像表示手段に表示するので、操作者は、撮像表示手段に配置された線状の指標と苗の列とを一致させて、苗の並び方向と田植機の進行方向とを整合させることができる。また既設の情報表示手段と撮像表示手段とを一体化させることによって、操作者の正面の視認性を悪化させることなく、撮像表示手段を設けることができる。
【0016】
本発明にあっては、対向する畔の間を田植機が往復する場合、往路及び復路において、圃場に植付けた苗の位置は、田植機の進行方向に対して左右反対となる。往路又は復路において、操作者が選択部を操作して選択することによって、田植機の右側又は左側の画像を表示させることができ、操作者は基準とする苗を確実に視認することができる。
【0017】
本発明にあっては、タッチパネルにて右側又は左側の撮像部を選択するので、情報表示手段又は撮像表示手段に表示されたGUIに基づいて直感的な操作を実現することができ、操作者の負担を軽減することができる。
【0018】
本発明にあっては、撮像表示手段に、後方撮像部にて撮像した画像を表示し、いわゆるバックモニタとして撮像表示手段を使用することによって、従来バックミラーでは死角となっていた領域をも確認することができ、安全確保を徹底することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】右後方から見た実施の形態に係る田植機を略示する斜視図である。
【図2】左前方から見た田植機を略示する斜視図である。
【図3】アームを略示する斜視図である。
【図4】ダッシュボードパネル付近を略示する平面図である。
【図5】表示ユニットを略示する拡大図である。
【図6】コントローラ周りの構成を略示するブロック図である。
【図7】右フロントカメラにて撮像された画像を表示する撮像表示部の一例を示す模式図である。
【図8】左フロントカメラにて撮像された画像を表示する撮像表示部の一例を示す模式図である。
【図9】リヤカメラにて撮像された画像を表示する撮像表示部の一例を示す模式図である。
【図10】右フロントカメラにて撮像された画像を表示する撮像表示部の他の例を示す模式図である。
【図11】一つの表示パネルを筐体内に配置した場合における表示ユニットを示す模式図である。
【図12】一つの表示パネルを筐体内に配置した場合における表示ユニットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明を実施の形態に係る田植機を示す図面に基づいて詳述する。図1は右後方から見た田植機を略示する斜視図であり、図2は左前方から見た田植機を略示する斜視図、図3はアームを略示する斜視図である。
【0021】
田植機は、車台を含む走行部1を備えており、該走行部1の前部にボンネット2が設けてあり、該ボンネット2の内側にエンジン3が設けてある。走行部1の前部の下側にエンジン3の駆動力を伝達する伝動機構及びサスペンションなどを収容したフロントアクスルケース(図示せず)が設けてあり、該フロントアクスルに前輪30が支持されている。走行部1の後部の下側にエンジン3の駆動力を伝達する伝動機構及びクラッチなどを収容したリヤアクスルケース(図示せず)が設けてあり、該リヤアクスルに後輪31が支持されている。
【0022】
ボンネット2の左右それぞれには、後述する植付部に供給する苗を載置する複数の予備苗載台4、4、・・・、4が上下方向に並設してある。ボンネット2の後側には、ダッシュボードパネル5が設けてあり、該ダッシュボードパネル5の上側に田植機を操舵するためのステアリングホイール7が配してある。該ステアリングホイール7の後側に、運転席6が設けてある。
【0023】
該運転席6の後側に苗を植え付ける植付部10が設けてあり、該植付部10は、植付部10を昇降させる昇降リンク16を介して走行部1に連結してある。植付部10は、左右方向に並んだ上下に細長い8個の苗載台11と、該苗載台11の下端部付近に配置してあり、苗の植付けを行う植付爪14とを備える。なお苗載台11は8個に限定されず、例えば6個又は4個でも良い。苗載台11の中途部に、マット状の土台にて育成した複数の苗(苗マット)を押さえる苗マット押え12が設けてある。苗載台11の下端部には、上方に突出した柵状の苗マット保持機構13が設けてある。苗載台11の下端部の左右に植付部10の沈下を防ぐフロート15、15がそれぞれ設けてある。
【0024】
前記走行部1における予備苗載台14付近に、左右にそれぞれ突出した二つのアーム20、22が設けてある。右側に突出したアーム20の先端部に右フロントカメラ21が設けてあり、左側に突出したアーム22の先端部に左フロントカメラ23が設けてある。アーム20、22の先端部と逆側の端部(基端部)は、上下方向に突出した枢軸(図示せず)を介して走行部1に連結してあり、図3に示すように、基端部側を中心にしてアーム20、22を回動させることができる。なお図3はアーム22を示しているが、アーム20も同様に回動させることができる。操作者は、苗の植付け作業を行う場合にアーム20、22を右側又は左側に回動させることによって、左右のフロントカメラ21、23をそれぞれ走行部1から左右に所定距離離間させた位置(例えば走行部1に最も接近した苗の略真上)に配し、苗を撮像することができる。また苗の植付け作業を終了する場合にアーム20、22を前側に回動させることによって、アーム20、22を前方へ向けて折り畳むことができる。
【0025】
前記植付部10の左側に上下に延びる軸17が設けてあり、該軸17の上端部にリヤカメラ18が設けてある。リヤカメラ18は、植付部10の後方を撮像するように苗載台11の上側に配置してある。
【0026】
図4はダッシュボードパネル5付近を略示する平面図である。ダッシュボードパネル5には、田植機の状態を表示する表示ユニット50と、進行方向及び走行速度の切替に使用する主変速レバー51と、走行速度を一定にする場合に使用する変速固定レバー52と、植付部10の昇降及び植付部10のオン/オフを行う植付昇降レバー53と、植付部10を設定された高さにする昇降ボタン54とが配設してある。
【0027】
またダッシュボードパネル5の下方の床面には、走行速度の調節を行う変速ペダル60、走行停止時に使用するブレーキペダル61及び駐車時に使用する駐車ブレーキレバー62が設けてある。また運転席6の下側には、植付爪14、14、・・・、14の駆動を停止させる条止レバー63、63、63、63が左右に二つずつ設けてある。各条止レバー63は、二つの植付爪14、14を駆動又は停止させるために使用される。
【0028】
図5は表示ユニット50を略示する拡大図である。表示ユニット50は、筐体150を備えている。該筐体150の正面は透明なプラスチックカバーで構成されている。筐体150内には、左右のフロントカメラ21、23及びリヤカメラ18によって撮像された画像を表示する撮像表示部151と、種々の情報(例えばエンジン3及び植付部10の作動状態)を表示する情報表示部153とが配置してある。撮像表示部151及び情報表示部153は台形状をなし、上下に並設されている。撮像表示部151は、タッチパネル152を有している。なお撮像表示部151及び情報表示部153は、視認できる態様であれば良く、形状及び配置は限定されない。
【0029】
情報表示部153の左部に、各種警報ランプ154〜156が上下方向に並設されている。各種警報ランプ154〜156は、例えば植付昇降レバー53によって植付クラッチ(図示せず)を切断する操作を行った場合に、点滅又は点灯する。また後述する液晶パネルに警告内容が表示される場合に、点灯する。
【0030】
情報表示部153の中央部に、苗つぎ警報ランプ157、植付条止警報ランプ158、各種警報ランプ159及び160が左右方向に並設されている。苗つぎ警報ランプ157は、苗載台11に載置された苗が苗つぎの必要な位置まで減った場合に、点滅する。植付条止警報ランプ158は、条止レバー63を植付爪14を停止させる位置に移動させた場合に点滅する。苗つぎ警報ランプ157、植付条止警報ランプ158、各種警報ランプ159及び160の下側には、情報を表示する横長矩形の液晶パネル161が設けてある。該液晶パネル161には、例えば「充電していません」、「エンジン油圧異常」、「オーバーヒート」又は「燃料センサ異常」などの文字が表示される。
【0031】
情報表示部153の右部に、植深さ自動調節ランプ162及び作業機不装着表示ランプ163が上下方向に並設されている。植深さ自動調節ランプ162は、図示しないUFO手動スイッチがオンになった場合に点灯し、オフになった場合に消灯する。作業機不装着表示ランプ163は、所定の作業機を装着していない場合に点滅する。
【0032】
図6は、コントローラ周りの構成を略示するブロック図である。ダッシュボードパネル5内に、CPU91(Central Processing Unit)、ROM92(Read Only Memory)、RAM93(Random Access Memory)並びに右フロントカメラ21、左フロントカメラ23及びリヤカメラ18と表示ユニット50との接続を切り替える切替スイッチ94を備えるコントローラ90が設けてある。切替スイッチ94は、表示ユニット50と右フロントカメラ21、左フロントカメラ23及びリヤカメラ18との接続を切り替える3接点式のロータリスイッチを使用している。なお切替スイッチ94は、3接点以上の接点を有する他のスイッチを使用しても良い。
【0033】
CPU91は、ROM92に格納された制御プログラムをRAM93に読出して実行する。右フロントカメラ21、左フロントカメラ23及びリヤカメラ18からコントローラ90に画像信号が入力される。タッチパネル152からコントローラ90に、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18を選択したことを示す信号が入力される。コントローラ90は、表示ユニット50に画像信号を出力する。
【0034】
図7は、右フロントカメラ21にて撮像された画像を表示する撮像表示部151の一例を示す模式図である。図7に示すように、撮像表示部151の下部に、右フロントカメラ21を選択するためのGUI151a、リヤカメラ18を選択するためのGUI151b及び左フロントカメラ23を選択するためのGUI151cが左右方向に並んで表示されている。操作者がGUI151a〜151c上に位置するタッチパネル152を押圧した場合に、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18が選択される。
【0035】
GUI151a付近が押圧された場合、タッチパネル152からコントローラ90に、GUI151a付近が押圧されたことを示す信号が入力され、コントローラ90は、GUI151aの背景を着色する。また切替スイッチ94を操作して、右フロントカメラ21と撮像表示部151とを接続する。右フロントカメラ21の画像信号が撮像表示部151に入力される。
【0036】
図7に示すように、撮像表示部151には、右フロントカメラ21にて撮像された画像が表示されており、圃場に植付けられた苗140が右側に表示されている。また。撮像表示部151の左右方向中央部に、撮像表示部151に表示される苗の列に沿う上下に延びる線100がGUIによって表示されている。該線100は視認される態様であればよく、撮像表示部151の表面に予め印刷されていてもよい。また線100は、撮像表示部151に表示される苗の列に沿う線であればよく、その位置は左右方向中央に限定されない。線100に代えて、破線、矢印又は苗の並び方向を示すその他の図形又は記号を使用してもよい。なおGUI151b及び151cの背景は、着色されていない。
【0037】
操作者は、表示された苗140の最も左の列と線100とを重畳させる。換言すれば左右方向の位置を一致させる。これにより田植機の進行方向と苗140の並び方向とを略一致させることができる。その結果、植付部10にて植付けられる苗は、既に圃場に植付けた苗140の列と同方向に沿って植付けられ、苗を整列させることができる。
【0038】
図8は、左フロントカメラ23にて撮像された画像を表示する撮像表示部151の一例を示す模式図である。GUI151b付近が押圧された場合、タッチパネル152からコントローラ90に、GUI151b付近が押圧されたことを示す信号が入力され、コントローラ90は、GUI151bの背景を着色する。また切替スイッチ94を操作して、左フロントカメラ23と撮像表示部151とを接続する。左フロントカメラ23の画像信号が撮像表示部151に入力される。
【0039】
図8に示すように、撮像表示部151には、左フロントカメラ23にて撮像された画像が表示されており、圃場に植付けられた苗140が左側に表示されている。また前記線100が表示されている。なおGUI151a及び151cの背景は、着色されていない。
【0040】
操作者は、表示された苗140の最も右の列と線100とを重畳させる。換言すれば左右方向の位置を一致させる。これにより田植機の進行方向と苗140の並び方向とを略一致させることができる。その結果、植付部10にて植付けられる苗は、既に圃場に植付けた苗140の列と同方向に沿って植付けられ、苗を整列させることができる。
【0041】
図9は、リヤカメラ23にて撮像された画像を表示する撮像表示部151の一例を示す模式図である。GUI151c付近が押圧された場合、タッチパネル152からコントローラ90に、GUI151c付近が押圧されたことを示す信号が入力され、コントローラ90は、GUI151cの背景を着色する。また切替スイッチ94を操作して、リヤカメラ18と撮像表示部151とを接続する。リヤカメラ18の画像信号が撮像表示部151に入力される。
【0042】
図9に示すように、撮像表示部151には、リヤカメラ18にて撮像された画像が表示されており、植付部10及びその後方が表示部8に表示されている。そのため、操作者は植付部10付近に障害物又は人がいないか確認することができ、安全を確保した上で田植機を後進させるか又は植付部10を駆動させることができる。なおGUI151a及び151bの背景は、着色されていない。
【0043】
右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18にて撮像された画像を以下のように表示してもよい。図10は右フロントカメラ21にて撮像された画像を表示する撮像表示部151の他の例を示す模式図である。GUI151a付近が押圧された場合、タッチパネル152からコントローラ90に、GUI151a付近が押圧されたことを示す信号が入力され、コントローラ90は、GUI151aの背景を着色する。
【0044】
そしてGUI151aを右隅に移動させる。またGUI151b及び151cを消去して、消去した箇所に右フロントカメラ21にて撮像された画像を表示する。これにより、右フロントカメラ21にて撮像された画像を表示する面積を拡大することができる。なお左フロントカメラ23又はリヤカメラ18にて撮像された画像を撮像表示部151に表示する場合も同様にすればよい。
【0045】
なお右隅に移動したGUI151a付近を押圧した場合、GUI151b及び151cが再度表示される(図7参照)。再度表示されたGUI151b又は151cが押圧された場合、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18にて撮像された画像が撮像表示部151に表示される。
【0046】
またクロック、GPS(Global Positioning System)又は通信装置などから情報を取得するようにコントローラ90を構成し、図7〜図9の状態において、着色されたGUI151a〜151cが押圧された場合に、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18にて撮像された画像を切り替えて、所定の情報(例えば、時刻、位置又は天気情報など)を表示するように構成してもよい。
【0047】
実施の形態に係る田植機にあっては、圃場に植え付けられた苗を右フロントカメラ21又は左フロントカメラ23にて撮像し、撮像した画像を撮像表示部151に表示するので、操作者は、撮像表示部151に表示された線と苗の列とを一致させて、苗の並び方向と田植機の進行方向とを整合させることができる。また往路又は復路において、操作者がGUI151a又は151bを選択することによって、右フロントカメラ21又は左フロントカメラ23にて撮像した田植機の右側又は左側の画像を表示させることができ、操作者は基準とする苗を確実に視認することができる。またステアリングホイール7の下側に位置する既設の情報表示部153と撮像表示部151とを一体化させることによって、操作者の正面の視認性を悪化させることなく、撮像表示部151を設けることができる。
【0048】
またGUI151a〜151cを視認し、タッチパネル152を押圧することによって、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18を選択することができ、直感的な選択操作を実現することができる。またいわゆるバックモニタとして撮像表示部151を使用することによって、従来バックミラーでは死角となっていた領域をも確認することができ、安全確保を徹底することができる。
【0049】
なおGUI151a〜151c及びタッチパネル152に代えて、押圧式のスイッチを撮像表示部151の適所に三つ設け、各スイッチを押圧することによって、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18を選択するように構成しても良い。また軸周りに回転するロータリ式のスイッチを撮像表示部151の適所に設け、該スイッチの軸周りの位置を変更することによって、右フロントカメラ21、左フロントカメラ23又はリヤカメラ18を選択するように構成しても良い。
【0050】
上述した実施例においては、撮像表示部151及び情報表示部153を上下に並設しているが、一つの表示パネルを筐体150内に配置してもよい。図11及び図12は、一つの表示パネルを筐体150内に配置した場合における表示ユニット50を示す模式図である。
【0051】
図11に示すように、筐体150内に表示パネル200が配置してある。該表示パネル200上に、タッチパネル201が配してある。タッチパネル201からコントローラ90に信号が入力される。図11には、図7と同様に、右フロントカメラ21にて撮像された画像が表示されている。図11には、画像を切り替える切替GUI151dが表示されている。タッチパネル201において、操作者が切替GUI151dを押圧した場合、タッチパネル201からコントローラ90に画像を切り替える指令が入力される。コントローラ90は、表示パネル200に切替後の画像を示す信号を出力する。なおGUI151a〜151cが押圧された場合、上述したように各カメラの選択が行われ、選択されたカメラにて撮像された画像が表示される。
【0052】
図12は切替後の画像を表示した表示ユニット50を示す模式図である。図12の表示パネル200には、図5の情報表示部153と同様に、各種警報ランプ154〜156、苗つぎ警報ランプ157、植付条止警報ランプ158、各種警報ランプ159及び160、植深さ自動調節ランプ162、作業機不装着表示ランプ163がGUIによって表示されている。また前述した液晶パネル161に相当する情報表示領域164がGUIによって表示されている。また切替GUI151dが表示されており、該切替GUI151dを押圧することによって、画像が切り替わる。例えば図11に示す画像に切り替わる。
【0053】
なお図11及び図12の二画像を表示パネル200に上下又は左右に並べて表示するように構成してもよい。また三つ以上の画像を表示パネル200に表示するように構成しても良い。また表示パネル200に表示された画像をスクロールすることができるようにしてもよい。この場合、表示された画像をスクロールすることによって、図11及び図12の画像を表示パネル200に表示させることができる。
【0054】
一つの表示パネル200に、撮像した画像及び各種情報を示す画像を表示することによって、表示ユニット50を小型化することができる。また表示パネル200によって大きな画像を表示することができ、苗を広範囲に表示させることができる。また操作者の前方に大型の部品を配設することを回避し、操作者の視界を確保することができる。
【0055】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲に記載された事項及び特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる
【符号の説明】
【0056】
1 走行部
10 植付部
14 植付爪
18 リヤカメラ(後方撮像部)
21 右フロントカメラ(撮像部)
23 左フロントカメラ(撮像部)
50 表示ユニット
100 線(指標)
150 筐体
151 撮像表示部
151a〜151c GUI(選択部)
152 タッチパネル
153 情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部によって移動し、苗を植え付ける植付部と、前記走行部の状態を示す情報を表示する情報表示手段とを備える田植機において、
前記走行部に配置してあり、前方を撮像する撮像部と、
該撮像部によって撮像された画像を表示する撮像表示手段とを備え、
該撮像表示手段によって表示される苗の並び方向に沿う線状の指標が前記撮像表示手段に配置してあり、
前記情報表示手段及び撮像表示手段は共通の筐体内に配置してあること
を特徴とする田植機。
【請求項2】
前記撮像部は、前記走行部の左右にそれぞれ配置してあり、
前記撮像表示手段又は情報表示手段はいずれかの撮像部を選択する選択部を備え、
前記選択部にて選択された撮像部によって撮像された画像を前記撮像表示手段に表示するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記選択部はタッチパネルを備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の田植機。
【請求項4】
後方を撮像する後方撮像部を備え、
該後方撮像部にて撮像された画像を前記撮像表示手段に表示するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の田植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−157335(P2012−157335A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21167(P2011−21167)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】