説明

甲状腺癌を診断および処置するための方法および組成物

被験体において甲状腺癌を検出、診断、およびモニタリングするための方法が記載される。これらの方法には、被験体由来の試料において、Ep−ICDおよびβ−カテニンを含むマーカーを測定する工程が含まれる。本発明はまた、本発明の方法を実行するためのキットおよび組成物を提供する。本発明のマーカーは、甲状腺癌のマーカーであり、具体的には、EpCAMポリペプチドおよびそのドメイン(具体的には、エクトドメインEpExと細胞内ドメインEP−ICD)、ならびに、β−カテニン(本明細書中ではまとめて「ポリペプチド甲状腺癌マーカー」という)、ならびに、そのようなポリペプチドおよびそのドメインをコードするポリヌクレオチド(本明細書中ではまとめて「ポリヌクレオチド甲状腺癌マーカー」という)が、甲状腺癌(具体的には、浸潤性甲状腺癌、より具体的には、未分化甲状腺癌(ATC))の生体マーカーを構成する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において甲状腺癌と関係がある甲状腺癌マーカーを検出するための方法であって:
(a)患者から試料を得る工程;
(b)1つまたはそれより多い甲状腺癌マーカーを前記試料中で検出または同定する工程;および
(c)検出した量を標準について検出した量と比較する工程
を含むか、あるいは本質的に前記工程からなり、ここでは、前記甲状腺癌マーカーがEp−ICDおよび/またはβ−カテニンである、方法。
【請求項2】
甲状腺癌を診断するための方法であって:
(a)被験体由来の試料から抽出される甲状腺癌マーカーのレベル;と
(b)対照試料中の甲状腺癌マーカーのレベル
とを比較する工程を含み、ここでは、前記対照中の対応するレベルと比較した、甲状腺癌マーカーのレベルの有意な差が甲状腺癌の指標となり、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICD、β−カテニン、および状況に応じてEpExである、方法。
【請求項3】
前記被験体が、甲状腺癌のリスクがあるか、またはスクリーニングが必要な被験体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
甲状腺試料を特性決定または分類するための方法であって、対照と比較して甲状腺癌マーカーの発現の差を検出する工程を含み、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICD、β−カテニン、および状況に応じてEpExである、方法。
【請求項5】
被験体において甲状腺癌の特定の病期を診断する方法であって、前記被験体から得た試料中の甲状腺癌マーカーの状態を決定する工程を含み、ここでは、前記マーカーの異常な状態が特定の病期の存在を示し、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、方法。
【請求項6】
甲状腺癌についての処置の候補である被験体を同定するための診断方法であって、前記被験体から得た試料中の甲状腺癌マーカーの状態を決定する工程を含み、ここでは、前記試料中の前記甲状腺癌マーカーの異常な状態が、処置が望ましいかまたは必要であることを示し、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICD、β−カテニン、および状況に応じてEpExである、方法。
【請求項7】
前記異常な状態が、上昇した状態であってよく、低い状態であってよく、また陰性の状態であってもよい、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
被験体において甲状腺癌の浸潤性または転移能を診断するための方法であって:
(a)前記被験体から試料を得る工程;
(b)甲状腺癌マーカーを前記試料中で検出する工程;および
(c)検出した量を標準について検出した量と比較する工程
を含み、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDおよび/またはβ−カテニンである、方法。
【請求項9】
前記標準または対照が、より低い悪性度の甲状腺癌を持つ被験体において検出されたレベルまたは量を含む、請求項1または8に記載の方法。
【請求項10】
被験体において未分化甲状腺癌(ATC)を診断するための方法であって:
(a)被験体由来の試料を、標的である甲状腺癌マーカーのレベルを測定することができる試薬と接触させる工程であって、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICD、β−カテニン、および状況に応じてEpExである、工程;および
(b)ATCを有していない被験体から、もしくは異なる時間に前記被験体から採取した類似する試料から得た対照レベルを上回る、前記被験体由来の前記試料中での、Ep−ICD、およびβ−カテニンの少なくとも1つのレベルの増大、ならびに、状況に応じて、EpExの減少に基づいて、前記被験体においてATCの診断を提供する工程
を含む、方法。
【請求項11】
被験体において甲状腺癌の進行をモニタリングするための方法であって:(a)第1の時点での患者由来の試料中で甲状腺癌マーカーを検出する工程;(b)次の時点で工程(a)を繰り返し行う工程;および(c)工程(a)で検出したレベルと工程(b)で検出したレベルを比較し、それにより、前記癌の進行をモニタリングする工程を含み、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、方法。
【請求項12】
前記甲状腺癌マーカーが以下の工程により検出されるポリペプチドである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法:
(a)前記試料を、前記ポリペプチドまたはその一部に特異的に結合する結合剤と接触させる工程;および
(b)予め決定した標準と比較して、前記結合剤に結合するポリペプチドの量を前記試料中で検出する工程。
【請求項13】
被験体において浸潤性甲状腺癌または転移能を持つ甲状腺癌の存在を検出あるいは診断するための方法であって:
(a)甲状腺癌マーカーに特異的に結合する結合剤を提供する工程;
(b)前記結合剤と前記甲状腺癌マーカーとを含有する複合体の形成を可能にする条件下で、前記結合剤を前記被験体由来の試料と接触させる工程;
(c)前記複合体の存在または量を決定する工程;および
(d)前記被験体における浸潤性甲状腺癌または転移能を持つ甲状腺癌の存在を決定するために、前記量を標準と比較する工程
を含み、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、方法。
【請求項14】
前記結合剤が抗体である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記甲状腺癌マーカーがポリヌクレオチドである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチドがmRNAまたはその断片である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリヌクレオチドが以下の工程により検出される、請求項15に記載の方法:
(a)前記試料を、前記ポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;および
(b)予め決定した標準値またはカットオフ値と比較して、前記ポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸のレベルを前記試料中で検出し、それから、前記被験体における甲状腺癌の存在または不在を決定する工程。
【請求項18】
前記mRNAが増幅反応を使用して検出される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記増幅反応が、前記ポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを利用するポリメラーゼ連鎖反応である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリヌクレオチドがRT−PCRを使用して検出される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記mRNAが、前記ポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを利用するハイブリダイゼーション技術を使用して検出される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
被験体において甲状腺癌を阻害することについて試験薬剤の潜在的有効性を評価するための方法であって:(a)被験体から得た、前記試験薬剤に曝した第1の試料中の1つまたはそれより多い甲状腺癌マーカーのレベルであって、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDおよび/またはβ−カテニンである、レベルと、(b)前記被験体から得た第2の試料中の前記甲状腺癌マーカーのレベルであって、ここでは、前記試料は前記試験薬剤に曝していない、レベルとを比較する工程を含み、ここでは、前記第2の試料と比較した前記第1の試料中での前記甲状腺癌マーカーの発現レベルの有意な差が、前記試験薬剤が、前記被験体において甲状腺癌を阻害することについて有効である可能性があることの指標となる、方法。
【請求項23】
被験体において甲状腺癌を阻害するための薬剤を選択する方法であって:(a)前記被験体から癌細胞を含有している試料を得る工程;(b)前記試料のアリコートを複数の試験薬剤の存在下に別々に曝す工程;(c)前記アリコートのそれぞれにおける1つまたはそれより多い甲状腺癌マーカーのレベルを比較する工程;および(d)他の試験薬剤と比較して、前記試験薬剤のうちの1つを含有している前記アリコート中で前記甲状腺癌マーカーのレベルを変化させる前記試験薬剤のうちの1つを選択する工程を含み、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDおよび/またはβ−カテニンである、方法。
【請求項24】
他の試験薬剤と比較して、前記試験薬剤のうちの少なくとも1つを含有している前記アリコート中で前記甲状腺癌マーカーのレベルを変化させる、前記試験薬剤のうちの少なくとも1つを、前記被験体に対して投与する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
試験化合物の甲状腺癌細胞の発癌の可能性を評価する方法であって:(a)前記試験化合物の存在下および不在下で、甲状腺癌細胞の別々のアリコートを維持する工程;ならびに、(b)前記アリコートのそれぞれにおける1つまたはそれより多い甲状腺癌マーカーの発現を比較する工程を含み、ここでは、前記試験化合物の不在下で維持した前記アリコートと比較した、前記試験化合物の存在下で維持した前記アリコート中の甲状腺癌マーカーのレベルの有意な差が、前記試験化合物が、甲状腺癌細胞の発癌の可能性を持つことの指標となり、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDおよび/またはβ−カテニンである、方法。
【請求項26】
前記試料が、組織、抽出物、細胞培養物、細胞溶解物、洗浄液(lavage fluid)、または生理学的流体から得られる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記試料が腫瘍組織から得られる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
甲状腺癌マーカーに結合する結合剤、または甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするかもしくは甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドを増幅する作用物質を含有している、浸潤性甲状腺癌あるいは転移能を持つ甲状腺癌を検出ならびに/あるいは診断するためのキットであって、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、キット。
【請求項29】
甲状腺癌マーカーに結合する抗体、または甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするかもしくは甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドを増幅するポリヌクレオチドの、甲状腺癌の浸潤性もしくは転移能を検出および/あるいは診断するための使用であって、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、使用。
【請求項30】
甲状腺癌の浸潤性もしくは転移能を検出および/または診断することにおける使用のための、甲状腺癌マーカーに結合する抗体または甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするかもしくは甲状腺癌マーカーをコードするポリヌクレオチドを増幅するポリヌクレオチドを含有している組成物であって、ここでは、前記甲状腺癌マーカーが、Ep−ICDまたはβ−カテニンである、組成物。
【請求項31】
被験体において甲状腺癌を処置する方法であって、甲状腺癌の処置を必要とする被験体に対して、Ep−CAM、Ep−ICD、またはβ−カテニンに特異的な抗体を送達する工程を含む、方法。

【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3−8】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−505429(P2013−505429A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529080(P2012−529080)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001503
【国際公開番号】WO2011/032296
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505109875)マウント シナイ ホスピタル (4)
【Fターム(参考)】