説明

画像ガイド下前立腺癌針生検のためのシステムおよび方法

画像ガイド下前立腺眼針生検において、前立腺の第1の画像を前立腺の第2の画像と一致させる第1のレジストレーションを行う(210)。前立腺の第3の画像を取得し、3次元(3D)画像に合成する(220)。合成3D画像中の前立腺をその境界を示すためにセグメント化する(230)。第1の画像と合成3D画像の前立腺の境界から生成された距離マップについて第2のレジストレーションと、第2のレジストレーションとは異なる第3のレジストレーションとを行い、ここで、第2のレジストレーションおよび第3のレジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいている(240)。第1の画像中の対象領域を合成3D画像または第2のモダリティを用いて取得された前立腺の第4の画像にマッピングする(250)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/176,969号の優先権を主張するものであり、その開示は全体が本明細書に参照により含まれる。
【0002】
1.技術分野
本発明は、前立腺生検に関し、より詳細には、癌検診のための前立腺生検処理の感度を高めることに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
前立腺癌は、現状、経直腸超音波(US)ガイド下針生検を用いて診断される。経直腸超音波ガイド下針生検は、前立腺特異抗原(PSA)のレベルが高い場合、または、直腸診(DRE)によって顕著な小結節が発見された場合に指示される。USを用いる画像ガイド下生検の導入は、実質的に生検の精度を向上させ、経直腸超音波ガイドは前立腺生検のための広く受け入れられた方法となっている。この精度の向上は、完全盲目生検の精度と比較される。経直腸USガイド下生検は臨床的に受け入れられた方法である一方、全体の処理結果において、感度は約60%と低く、陽性的中率はわずか約25%である。結果として、生検を繰り返す必要がある。たとえば、20%を超える癌の研究において、臨床的決定に達するには、複数の生検作業が必要である。
【0004】
磁気共鳴(MR)映像法は、前立腺だけでなく、中心領域、移行領域および周辺領域を含むその下部構造も明確に示すことができる。T2強調画像によれば、周辺領域における小結節が示される。前立腺生検の前に腫瘍病巣および周辺領域をMR映像法を用いて特定することにより、全体の癌検出率が向上しうる。さらに、拡散強調画像(DWI)、ダイナミック造影画像化法(DCE)、化学シフト画像化法(CSI)などの技術を用いて機能情報を取得し、前立腺の腫瘍組織をさらに特徴づけることができる。USガイド下生検においてこの情報を用いて、生検処理の感度を向上させることができる。たとえば、既知の技術では、直腸内MR映像法による被検腫瘍病巣の所見が、経直腸USガイド下生検における針の配置のガイドに用いられた。直腸内MR画像において被検腫瘍病変または標的を特定し、かつ、経直腸USガイド下生検においてUS画像に位置を視覚的に関連づけることにより、MR映像法を用いる経直腸USガイド下生検の精度は、33人の患者の研究において67%であった。この研究に関するデータは退屈な視覚的調査により行われたものであり、臨床ルーチンとして行うことができるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前立腺生検処理において悪性病変の検出感度を向上させることへの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の例示的実施形態によれば、腫瘍およびその周辺領域を特定し、この情報を、超音波(US)検査における針の病巣病変への配置に用いるため、前立腺生検のための磁気共鳴(MR)映像法を用いるシステムおよび方法が開示される。この方法は、臨床的実施に必要とされる、この処理の自動化を目的としている。このシステムは、画像取得プロセスの実施を容易とするものである。さらに、全体の処置において処理および可視化のステップを扱う特別な特徴を有するナビゲーションソフトウェアが開示される。
【0007】
本発明の例示的実施形態においては、画像ガイド下前立腺癌針生検のための方法およびシステムが提供される。
【0008】
上記方法は、前立腺の第1の画像を受信するステップであって、該第1の画像は、第1の画像化モダリティを用いて取得され、前立腺の範囲を示すようセグメント化されるステップと、前立腺の第2の画像を取得するステップであって、該第2の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得されるステップと、上記第1の画像の方向および上記第2の画像の方向と、上記第1の画像および上記第2の画像における前立腺のフィーチャと、を一致させる第1のレジストレーションを実行するステップと、前立腺の第3の画像を取得するステップであって、該第3の画像は、第2の画像化モダリティを用いて取得され、3次元(3D)画像に合成されるステップと、前立腺の境界を示すために上記合成された3D画像において前立腺をセグメント化するステップであって、該セグメント化には上記第1のレジストレーションのパラメタと、上記第1の画像における前立腺のバイナリマスクとが用いられるステップと、上記の前立腺の境界から生成された距離マップについて、第2のレジストレーションと、次いで該第2のレジストレーションとは異なる第3のレジストレーションとを実行するステップであって、上記第1のレジストレーションおよび上記第2のレジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいているステップと、上記合成された3D画像、または、上記第2の画像化モダリティを用いて取得された前立腺の第4の画像において対象領域をマッピングするステップであって、該マッピングは上記第2のレジストレーションおよび上記第3のレジストレーションの結果に基づいているステップと、を有する。
【0009】
上記第1の画像化モダリティは磁気共鳴断層法であり、上記第2の画像化モダリティは超音波(US)法である。
【0010】
上記第1の画像および上記第2の画像の方向は、軸方向、矢状または冠状である。
【0011】
前立腺の一致したフィーチャは前立腺の中心を含む。
【0012】
上記の前立腺の第3の画像はUSの扇状スイープにより取得される。
【0013】
上記の、前立腺の境界を示すために上記合成された3D画像において前立腺をセグメント化するステップは、上記バイナリマスクから前景シードおよび背景シードを生成するステップを含み、上記前景シードは合成3D画像において上記バイナリマスクを収縮させることにより生成され、上記背景シードは上記合成3D画像において上記バイナリマスクを拡大することにより生成される。
【0014】
上記第2のレジストレーションは剛体レジストレーションであり、上記第3のレジストレーションは可変形レジストレーションである。
【0015】
上記合成3D画像または上記第4の画像の上に、上記対象領域をマッピングして表示するステップをさらに含む。
【0016】
上記合成3D画像または上記第4の画像中で、生検針を可視的にトラッキングするステップをさらに含む。
【0017】
上記対象領域の位置をメモリに保存し、上記対象領域が生検されたか否か記録するステップをさらに含む。
【0018】
上記対象領域がマッピングされた上記合成3D画像または上記第4の画像上に、計画された針の経路を表示するステップをさらに含む。
【0019】
上記第1の画像は複数の対象領域を含んでおり、該複数の対象領域の位置を保存するステップをさらに含む。
【0020】
上記第4の画像について上記合成3D画像に対するレジストレーションを行い、次いで、上記対象領域を上記第4の画像にマッピングするステップをさらに含む。
【0021】
上記前立腺の生体力学的性質は前立腺の弾性を含む。
【0022】
上記システムは、プログラムを記録するメモリ装置と、上記メモリ装置に接続されたプロセッサと、を備えるシステムであって、上記プロセッサは、上記プログラムによって、前立腺の第1の画像を受信し、ここで、該第1の画像は、第1の画像化モダリティを用いて取得され、前立腺の境界を示すようセグメント化され、前立腺の第2の画像を取得し、ここで、該第2の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得され、第1のレジストレーションのパラメタを受信し、該第1のレジストレーションにおいては、上記第1の画像の方向が上記第2の画像の方向と一致され、かつ、上記第1の画像および上記第2の画像における前立腺のフィーチャが一致され、前立腺の第3の画像を取得し、ここで、該第3の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得され、3次元(3D)画像に合成され、前立腺の境界を示すために上記合成された3D画像において前立腺をセグメント化し、ここで、該セグメント化には上記第1のレジストレーションのパラメタと、上記第1の画像における前立腺のバイナリマスクとが用いられ、上記の前立腺の境界から生成された距離マップについて、第2のレジストレーションと、次いで該第2のレジストレーションとは異なる第3のレジストレーションとを実行し、ここで、上記第1のレジストレーションおよび上記第2のレジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいており、上記合成された3D画像、または、上記第2の画像化モダリティを用いて取得された前立腺の第4の画像において対象領域をマッピングし、ここで、該マッピングは上記第2のレジストレーションおよび上記第3のレジストレーションの結果に基づいている。
【0023】
上記第2の画像、上記第3の画像または上記第4の画像を提供する超音波装置をさらに備える。
【0024】
上記プロセッサは、上記プログラムによって、上記対象領域がマッピングされた上記合成3D画像または上記第4の画像を表示し、上記合成3D画像または上記第4の画像中に生検針の画像を表示する、よう動作する。
【0025】
生検針をトラッキングする装置をさらに備える。
【0026】
超音波プローブをトラッキングする装置をさらに備える。
【0027】
別の方法は、前立腺の、3次元(3D)トラッキング超音波(US)スイープを取得し、上記スイープから合成3D超音波画像を生成するステップと、上記合成3D超音波画像の、前立腺の磁気共鳴断層(MR)画像に対するレジストレーションを行うステップであって、上記レジストレーションステップは、上記MR画像およびUS画像における前立腺のセグメント化から生成された距離マップについて剛体レジストレーションを行い、次いで、可変形レジストレーションを行うステップを含み、該剛体レジストレーションおよび該可変形レジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいている、ステップと、病変を含むと推測される対象領域を識別するマーカを、上記MR画像から、上記合成3D US画像またはリアルタイムUS画像へ送るステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の例示的実施形態に係るシステムを示す。
【図2】本発明の例示的実施形態に係る方法を示す。
【図3】本発明の例示的実施形態に係る、計画に関する磁気共鳴(MR)画像についてセグメント化された前立腺を示す。
【図4】本発明の例示的実施形態に係る合成超音波(US)画像についてセグメント化された前立腺を示す。
【図5】本発明の例示的実施形態に係る図3および4のセグメント化に基づく、前立腺のレジストレーションおよびその下層における変形を示す。
【図6】本発明の例示的実施形態に係るMRから送られた特定の標的領域および計画された針の経路を含む超音波画像を示す。
【図7】本発明の例示的実施形態に係るコンピュータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、本発明の例示的実施形態に係るシステムを示す。このシステムは、定常座標系すなわち固定座標系において超音波(US)プローブ110をトラッキングする外部トラッキング装置105を備える。プローブ110はたとえばトランスデューサであり、プローブ110に設けられたトラッキングセンサ115の位置をトラッキングする。針120は生検に用いられるものであり、針120に設けられたトラッキングセンサ125の位置によってトラッキングされる。このシステムは、参照画像、たとえば、病変140を有する前立腺135aの磁気共鳴(MR)画像130を表示させるコンピュータ(図1中には示していないが、図7に示す)をさらに備える。
【0030】
簡単に言えば、USプローブ110の校正情報を含むUSプローブ110のトラッキング情報により擬3次元(3D)データセットが生成され、このデータセットは、3Dでの(手動で取得された)任意の方向の2次元(2D)US画像から構成される。一方で、参照データ(たとえばMR画像130)は、MR画像130の取得に用いられるスキャン装置の座標系において位置特定されている。本発明の例示的実施形態によれば、画像に基づくレジストレーションの技術は、参照MR画像130を3DのUS画像上にマッピングするために必要とされる変換手法を確立するものである。このレジストレーションの詳細およびこのレジストレーションプロセスに必要な関連要素について、本明細書において以下説明される。
【0031】
しかしその前に、USに対する参照MR画像の、画像に基づくレジストレーションに関連するいくつかの課題について説明する。たとえば、USおよびMRにおける前立腺の外観は完全に異なっている。このことによりこれらの2つの画像の間に関連する構造を確立することは困難である。さらに、US画像の取得においては、MRに用いられる経直腸コイルの結果として生じる変形と比べて異なるかたちの前立腺の局所的な変形が引き起こされ、または、コイルが用いられない場合には全く変形は引き起こされない。
【0032】
これらの2つは、第1にロバストな画像類似性測定の確立における課題、第2に可変形レジストレーションのフレームワークにこの類似性測定/計量作業を含ませることにおける課題に置き換えられる。
【0033】
本発明の例示的実施形態に係る方法によれば、これらの2つの課題が克服される。この方法の各ステップを図2に示す。たとえば、図2中、MR画像およびUS画像の最初のレジストレーションが行われる(210)。3DトラッキングされたUSスイープ(映像出力)が生成される(220)。前立腺は、USスイープにより生成された前立腺の合成3D画像中でセグメント化される(230)。MR画像とUS画像との間での画像のレジストレーションが再び行われる(240)。合成マップが生成され、針がガイドされる(250)。このプロセスについて、以下詳細に説明する。
【0034】
1.(図2の3Dトラッキングスイープの前の)計画段階において、3D計画データ(たとえばMR)についての半自動的なセグメント化が行われる。ここで、前立腺のバイナリマスクまたは輪郭が保存される。図3はMRに基づいて輪郭を描いた前立腺を示す。図3中、前立腺の境界は参照番号310で識別される。疑わしい領域も、マルチパラメトリックMRを用いて前立腺中に識別される。このデータは、生検の実行計画に用いられ、計画情報は記録される。
【0035】
2.USガイド下生検作業の間、磁気トラッキングシステムを用いたトラッキングUS画像の3Dスイープ(スイープの例に関しては図1の参照番号145を参照)が行われる。ここで、3D US装置を用いることができる。2D US装置も用いることもできる。しかし、2D US装置を用いる場合には、USプローブがセンサを備えている必要がある(たとえば、図1のプローブ−センサ構成を参照)。
【0036】
3.最初の剛体位置合わせがMR画像とUS画像との間で行われる。これは、US画像とMR画像との間の誤まった方向の位置合わせを補償するために行われる。これは、USにより前立腺の標準視野(軸方向、矢状または冠状)を最初に得て、次いでMRのそれに方向を一致させることにより行われる。この標準視野は医療従事者に、たとえばUS画像の中心において前立腺が得られるようにUSプローブを操作させることにより行われる。これは、手作業で行われる。
【0037】
4.方向の一致したMR画像およびUS画像について、MR画像とUS画像との間の平行方向の誤った位置合わせを考慮して、平行方向の手動による調整が行われる。ここで、医療従事者はMR画像をUS画像上にスライドさせ、MR画像をUS画像の内容に一致させる。たとえば、前立腺の中心がMR画像とUS画像との両方において一致される。
【0038】
5.トラッキングされた2D US画像は3Dボリュームに合成される。ここで、前立腺を含む3D USスイープ(図1の前立腺135bを参照)が取得される。ここで、3Dトラッキングスイープは結合デカルトボリュームに構成され、2D画像のシーケンスが3Dボリュームに再サンプリングされる。
【0039】
6.前立腺は、MRとUSとの間の確立された最初のレジストレーションおよび計画段階からのMRに基づくバイナリマスクを用いることにより、合成3D US画像においてセグメント化される。図4は、合成US画像においてセグメント化された前立腺を示す。図4中、前立腺の境界は参照番号410によって示されている。合成US画像において前立腺をセグメント化するステップは以下の通りである。形状を変えることのできるバイナリマスクから前景シードおよび背景シードを生成する。前景シードは、たとえばマスクを約20%収縮させることにより生成される。背景シードは、たとえばマスクを約20%拡大することにより生成される。拡大と収縮の割合は、剛体レジストレーションおよび2つの画像にわたって存在するありうる変形による形状の変化を考慮する。基本的に、この段階では、MR中の前立腺の境界が、US画像上にオーバーレイされ、US画像において前立腺の境界が決定される。
【0040】
7.MRおよびUSにおける前立腺のセグメント化は、最初に剛体レジストレーションに用いられ、次いで、(前立腺の弾性によって調整される)可変形レジストレーションに用いられる。換言すれば、MRおよびUSからのメッシュ表面は、剛体変換および弾性変形(生体力学的性質)を考慮してレジストレーションに用いられる。セグメント化されたものの境界から生成された距離マップについてレジストレーションが行われる。距離マップのレジストレーションによって、前立腺における輪郭の食い違いは均一に拡げられる。これは、物体表面にかかる力による、内部の物体の動きを抽出することに等しい。図5は、レジストレーションが行われた前立腺の境界(510−MR;520−US)、および、下層の変形フィールド(参照番号530によって示される歪んだメッシュ)を示す。
【0041】
8.計画にかかるMR画像は、合成US画像または他のリアルタイムに取得されたUS画像についての全ての注釈およびセグメント化された構造とともに変換される。換言すれば、変形フィールドが見いだされたとき、被検領域(たとえば病変)はMR画像からUS画像に移される(たとえば、マッピングされる)。
【0042】
9.確立された変換手法を用いてMR画像からリアルタイムのUS(または記録されたUS)に変換された対象点(たとえば生検の標的点)の概略的注釈が表示される。図6は、MR画像からマッピングされた、病変位置610(生検の標的点)を含むUS画像を示す。また、図6には、前立腺の境界620が示されている。磁気的な位置トラッキングによって、対応するMR画像および標的の情報が、任意の時点でUSにおいて正しく可視化される。適切な重畳手法(ダイレクトMRIオーバーレイ、カラーブレンド、構造化オーバーレイなど)により、ユーザは位置合わせの質を知ることができ、患者の固定が不十分であったり、解剖構造が動くことにより質が低下している場合には、レジストレーションのワークフローを再実行することができる(たとえば、ステップ2、5〜8を繰り返し、位置合わせの誤りが大きければさらにステップ3、4を加えて繰り返す)。
【0043】
以下に示すものは、本発明の変形例であり、拡張例である。
【0044】
磁気的な位置および方向トラッキングシステムとは異なる、機械的および/または光学的トラッキングシステムを、超音波プローブのトラッキングに用いることができる。
【0045】
トラッキング2D US画像のセットからの合成3Dボリュームとは異なる、元となる(native)3D USボリュームの生成に、3Dウォブラ(wobbler)または2Dマトリックスエアウェイ(matrix airway)を用いても良い。
【0046】
1つの3D MR計画データセットとは異なる、マルチスライスの2D MRの取得を用いても良い。
【0047】
1つの2Dまたは3D計画データセット(たとえば、形態情報を取得するためのT2強調MR画像ならびに機能情報を取得するための画像(たとえば拡散強調画像、ダイナミック造影画像、および化学シフト画像))だけでなく、一連の2Dおよび3Dの画像を用いても良い。画像は、1回のスキャン作業または複数の時点のいずれかから得ても良い。異なる画像取得が行われる場合、一連の画像を1つの座標フレームに構成するためにはレジストレーションが必要である。
【0048】
超音波画像を患者の方向が特定される計画データセットにおおよそ位置合わせするため、トラッキングシステムおよび患者の全体方向が用いられる。
【0049】
合成および可視化のためのMRと異なる、別の3Dまたは2D US画像のセットを用いる。これらの3Dおよび2D US画像は、いくらかの付加的情報(たとえば病変の検出)を抽出するために処理されるか、または、付加処理なしにそのままただ用いられる。
【0050】
ユーザが特定した点の対応(たとえば、MR画像およびUS画像の両方における、前立腺の中央たとえば尿道における一点)を用いて、おおよその平行移動(translation)を計算する。3つ以上の点の対応が特定された場合、剛体レジストレーションの推定および解剖学的変形量に関する初期推定が自動的に計算される。
【0051】
完全に自動化されたセグメント化方法を、計画されているデータにおける前立腺のセグメント化に用いることができる。
【0052】
レベルセットまたは機械学習に基づくアプローチに基づく、形状モデル制約付きセグメント化などの異なるセグメント化方法を、US画像についての前立腺のセグメント化に用いても良い。
【0053】
生体力学的有限要素に基づくレジストレーションにより、MRおよびUSにおける前立腺のセグメント化の抽出された境界にレジストレーションを行い、物理的に妥当な変形を生成しても良い。
【0054】
輪郭に基づくレジストレーションの代わりにまたはその後に、Wein et al. "Automatic CT-Ultrasound Registration for Diagnostic Imaging and Image-Guided Intervention." Medical Image Analysis 1295), pp 577-585, October 2008に記載されているような、MRおよびUSの画像強度に直接作用する自動アルゴリズムを実行する。いくつかの内部構造はMRの相応部分よりもより良く対応しうるものの、前立腺の輪郭それ自体はUSでは十分可視化できないため、これはレジストレーションの精度を向上させる。別の実施形態では、MR画像の強度は粗く推定された音響インピーダンス値についてマッピング可能であり、次いで、元々のMR画像の強度とインピーダンス値の両方を、MR画像からのUSのマルチチャネルシミュレーションの生成に用いることができる。適切な向上された局所類似性計量を用いて、それを実際の3D US画像と(その2D/3D画像化形状を考慮して)比較することができ、非線形の最適化により、この類似性に関して可変形変換パラメタをリファインする。
【0055】
レジストレーションの視覚的モニタリング(上記ワークフローステップ9)に加えて、リアルタイムのUS画像平面に基づくレジストレーションの自動画像ベース検証および/または動的なリファインを行っても良い。
【0056】
標準BモードUS画像化の代わりにまたはこれに加えて、(音響放射圧画像化法(ARFI)などの)弾性率計測法または造影画像化などの異なる画像化モードを用いても良い。
【0057】
本発明の例示的実施形態を実施可能なコンピュータについて図7を参照して以下説明する。図7に示すように、コンピュータ705は、スキャナ725と、データベース730と、トラッキングシステム735に、有線または無線ネットワーク740を介してアクセスする。スキャナ725は、たとえば、MRスキャナまたは機能的画像化が可能な他のタイプのスキャナあるいはUSスキャナであってよい。スキャナ725により取得される画像データは、コンピュータ705によるその後のアクセスのためにデータベース730に直接送られても良い。トラッキングシステム735は光学的、磁気的または機械的なものであってよい。USプローブおよび/または生検針は、トラッキングシステム735およびコンピュータ705に接続可能である。コンピュータ705は、とりわけ、中央処理部(CPU)710と、メモリ715と、ナビゲーションモジュール720とを備え、ナビゲーションモジュール720は本発明の例示的実施形態にかかる方法を実行するプログラムコードを有している。コンピュータ705は、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)型のコンピュータスクリーンであるディスプレイ745に接続されている。
【0058】
例示的実施形態では、本発明は、プログラム記録装置(磁気フロッピー(登録商標)ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用コンパクトディスク(CD ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)、ROM、フラッシュメモリなど)に実施可能に具体化されたアプリケーションプログラムとしてのソフトウェアにおいて実現可能である。このアプリケーションプログラムは、たとえば、任意の適したアーキテクチャを備える装置にアップロードされ、当該装置において実施される。
【0059】
添付図面に示したいくつかのシステムの構成要素および方法の構成ステップはソフトウェアで実施可能であり、システムの構成要素(またはプロセスのステップ)の間の実際の接続は本発明がプログラムされている様式に依存して異なっていても良い。本明細書中に記載されている教示により、当業者はこれら、および本発明の類似の実施または構成を考慮することができるであろう。
【0060】
本発明について例示的実施形態を参照して詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正および置換をなし得ることは当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0061】
110 プローブ、 120 針、 705 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺の第1の画像を受信するステップであって、該第1の画像は、第1の画像化モダリティを用いて取得され、前立腺の範囲を示すようセグメント化されるステップと、
前立腺の第2の画像を取得するステップであって、該第2の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得されるステップと、
前記第1の画像の方向および前記第2の画像の方向と、前記第1の画像および前記第2の画像における前立腺のフィーチャと、を一致させる第1のレジストレーションを実行するステップと、
前立腺の第3の画像を取得するステップであって、該第3の画像は、第2の画像化モダリティを用いて取得され、3次元(3D)画像に合成されるステップと、
前立腺の境界を示すために前記合成された3D画像において前立腺をセグメント化するステップであって、該セグメント化には前記第1のレジストレーションのパラメタと、前記第1の画像における前立腺のバイナリマスクとが用いられるステップと、
前記の前立腺の境界から生成された距離マップについて、第2のレジストレーションと、次いで該第2のレジストレーションとは異なる第3のレジストレーションとを実行するステップであって、前記第1のレジストレーションおよび前記第2のレジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいているステップと、
前記合成された3D画像、または、前記第2の画像化モダリティを用いて取得された前立腺の第4の画像において対象領域をマッピングするステップであって、該マッピングは前記第2のレジストレーションおよび前記第3のレジストレーションの結果に基づいているステップと、
を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の画像化モダリティは磁気共鳴断層法であり、前記第2の画像化モダリティは超音波(US)法である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の画像および前記第2の画像の方向は、軸方向、矢状または冠状である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前立腺の一致したフィーチャは前立腺の中心を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記の前立腺の第3の画像はUSの扇状スイープにより取得される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記の、前立腺の境界を示すために前記合成された3D画像において前立腺をセグメント化するステップは、前記バイナリマスクから前景シードおよび背景シードを生成するステップを含み、
前記前景シードは合成3D画像において前記バイナリマスクを収縮させることにより生成され、前記背景シードは前記合成3D画像において前記バイナリマスクを拡大することにより生成される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第2のレジストレーションは剛体レジストレーションであり、前記第3のレジストレーションは可変形レジストレーションである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記合成3D画像または前記第4の画像の上に、前記対象領域をマッピングして表示するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記合成3D画像または前記第4の画像中で、生検針を可視的にトラッキングするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記対象領域の位置をメモリに保存し、前記対象領域が生検されたか否か記録するステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記対象領域がマッピングされた前記合成3D画像または前記第4の画像上に、計画された針の経路を表示するステップをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記第1の画像は複数の対象領域を含んでおり、該複数の対象領域の位置を保存するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第4の画像について前記合成3D画像に対するレジストレーションを行い、次いで、前記対象領域を前記第4の画像にマッピングするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記前立腺の生体力学的性質は前立腺の弾性を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
プログラムを記録するメモリ装置と、
前記メモリ装置に接続されたプロセッサと、を備えるシステムであって、前記プロセッサは、前記プログラムによって、
前立腺の第1の画像を受信し、ここで、該第1の画像は、第1の画像化モダリティを用いて取得され、前立腺の境界を示すようセグメント化され、
前立腺の第2の画像を取得し、ここで、該第2の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得され、
第1のレジストレーションのパラメタを受信し、該第1のレジストレーションにおいては、前記第1の画像の方向が前記第2の画像の方向と一致され、かつ、前記第1の画像および前記第2の画像における前立腺のフィーチャが一致され、
前立腺の第3の画像を取得し、ここで、該第3の画像は第2の画像化モダリティを用いて取得され、3次元(3D)画像に合成され、
前立腺の境界を示すために前記合成された3D画像において前立腺をセグメント化し、ここで、該セグメント化には前記第1のレジストレーションのパラメタと、前記第1の画像における前立腺のバイナリマスクとが用いられ、
前記の前立腺の境界から生成された距離マップについて、第2のレジストレーションと、次いで該第2のレジストレーションとは異なる第3のレジストレーションとを実行し、ここで、前記第1のレジストレーションおよび前記第2のレジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいており、
前記合成された3D画像、または、前記第2の画像化モダリティを用いて取得された前立腺の第4の画像において対象領域をマッピングし、ここで、該マッピングは前記第2のレジストレーションおよび前記第3のレジストレーションの結果に基づいている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記第2の画像、前記第3の画像または前記第4の画像を提供する超音波装置をさらに備える、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記プログラムによって、
前記対象領域がマッピングされた前記合成3D画像または前記第4の画像を表示し、
前記合成3D画像または前記第4の画像中に生検針の画像を表示する、
よう動作する、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
生検針をトラッキングする装置をさらに備える、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
超音波プローブをトラッキングする装置をさらに備える、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
前立腺の、3次元(3D)トラッキング超音波(US)スイープを取得し、前記スイープから合成3D超音波画像を生成するステップと、
前記合成3D超音波画像の、前立腺の磁気共鳴断層(MR)画像に対するレジストレーションを行うステップであって、前記レジストレーションステップは、前記MR画像およびUS画像における前立腺のセグメント化から生成された距離マップについて剛体レジストレーションを行い、次いで、可変形レジストレーションを行うステップを含み、該剛体レジストレーションおよび該可変形レジストレーションは前立腺の生体力学的性質に基づいている、ステップと、
病変を含むと推測される対象領域を識別するマーカを、前記MR画像から、前記合成3D US画像またはリアルタイムUS画像へ送るステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2012−526623(P2012−526623A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510898(P2012−510898)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/034214
【国際公開番号】WO2010/132349
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(510299444)シーメンス コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Corporation
【住所又は居所原語表記】170 Wood Avenue South, Iselin, New Jersey 08830, United States of America
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】