説明

画像データのダビング方法及び撮像装置

【課題】本発明は、異なる種類の記録媒体間で画像データをダビングする場合であっても、ダビング先の記録媒体に応じたガンマ補正、輪郭補正処理、あるいは、ホワイトバランス処理を施すことが可能となる画像データのダビング方法を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、磁気テープ記録装置105に記録された画像データ及び不揮発性メモリ記録装置106に記録された画像データの変換に用いる画像処理変換データを格納する第1の変換データテーブル116及び第2の変換データテーブル117を備え、磁気テープ記録装置105と不揮発性メモリ記録装置106との間の画像データのダビング時に、第1の変換データテーブル116又は第2の変換データテーブル117に格納した各画像処理変換データを用いて、画像処理を変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データのダビング方法及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラなどの撮像装置において、撮影した画像を磁気テープに記録する他に、不揮発性メモリに記録してパーソナルコンピュータに取り込む方式が考案されている。これは、ビデオカメラがテレビジョン用として発展し、記録媒体に磁気テープを用いていたが、パーソナルコンピュータに画像を取り込むには不揮発性メモリの方が手軽なためである。
【0003】
以下に、従来の撮像装置を図7を参照して説明する。図7は、従来の撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【0004】
図7において、撮像装置100は、結像用レンズ101と、露出制御のための絞り102と、入射した光を光電変換する撮像素子103と、撮像素子103に接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理(アパーチャ補正)、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う信号処理回路104と、信号処理回路104に切替スイッチ110を介して接続され、磁気テープを記録媒体とする磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリを記録媒体とする不揮発性メモリ記録装置106と、信号処理回路104と各記録装置との間の接続切替を行う記録媒体選択装置109と、信号処理回路104に接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理に用いる各種画像処理データを格納する画像処理データテーブル107とで構成される。
【0005】
結像用レンズ101を通った入射光は、絞り102で露光量調節された上で撮像素子103に結像される。結像された画像は、撮像素子103で光電変換され、信号処理回路104に送られる。信号処理回路104では、画像処理データテーブル107に格納されている各種画像処理データを用いて、送られた画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う。画像処理された画像信号は、記録媒体選択装置109により選択された磁気テープ記録装置105又は不揮発性メモリ記録装置106に出力され、画像データとして記録される。画像処理データテーブル107に格納されている各種画像処理データは、テレビジョンモニタの特性に合わせたものである。
【0006】
磁気テープ記録装置105は、主に動画の画像信号を記録するものであり、例えば、記録された画像信号を再生してテレビジョンモニタで鑑賞する。また、不揮発性メモリ記録装置106は、主に静止画像の画像信号を記録するものであり、例えば、撮像装置から不揮発性メモリを取り外してパーソナルコンピュータで画像信号を読み出し、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタで鑑賞したり、プリンタ等で印刷する。
【特許文献1】特開平7−184097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の撮像装置では、画像処理データテーブル107に格納された画像処理データがテレビジョン用に合わせられているので、パーソナルコンピュータに画像を取り込んだ場合に、ガンマ特性、アパーチャ、色などがパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適合しないため、画像の再現性が損なわれる場合があった。
【0008】
一般に、テレビジョンモニタは、ガンマ特性2.2、色温度特性9600K(NTSC日本)であるが、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタはガンマ特性1.8、色温度特性6500K(基準値)で、明らかな違いがある。パーソナルコンピュータのディスプレイモニタは、テレビジョンモニタに比べて解像度が高いために、過度の輪郭強調で画質の低下に繋がる。更に、パーソナルコンピュータでプリンタに出力したときには、プリンタ側で輪郭強調が施されるため、過度の輪郭強調になる場合が多い。逆に、画像処理データをパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに合わせたときは、テレビジョンモニタで表示される場合の画質が低下する。
【0009】
本発明は、異なる種類の記録媒体間で画像データをダビングする場合であっても、ダビング先の記録媒体に応じたガンマ補正、輪郭補正処理、あるいは、ホワイトバランス処理を施すことが可能となる画像データのダビング方法及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像データのダビング方法は、第1の記録媒体に記録された画像データを、前記第1の記録媒体とは種類の異なる第2の記録媒体にダビングする画像データのダビング方法において、前記第1の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第2の記録媒体に適するように変換処理を施す工程を有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項4記載の撮像装置は、撮影によって得られた画像データを種類の異なる第1の記録媒体と第2の記録媒体に記録可能な撮像装置において、前記第1の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第2の記録媒体に適するように変換処理を施す信号変換回路を有し、前記第1の記録媒体に記録された画像データに対して前記信号変換回路にて変換処理を施してから、該画像データを前記第2の記録媒体にダビングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異なる種類の記録媒体間で画像データをダビングする場合であっても、ダビング先の記録媒体に応じたガンマ補正、輪郭補正処理、あるいは、ホワイトバランス処理を施すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の参考となる撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、撮像装置100は、結像用レンズ101と、露出制御のための絞り102と、入射した光を光電変換する撮像素子103と、撮像素子103に接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理(アパーチャ補正)、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う信号処理回路104と、信号処理回路104に切替スイッチ110を介して接続され、磁気テープを記録媒体とする磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリを記録媒体とする不揮発性メモリ記録装置106と、信号処理回路104に切替スイッチ111を介して接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理に用いる各種画像処理データを格納するテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bと、信号処理回路104と各記録装置、各画像処理データテーブルとの間の各接続切替を同時に行う記録媒体選択装置109とで構成される。
【0015】
上記構成において、記録媒体選択装置109は、信号処理回路104と磁気テープ記録装置105又は不揮発性メモリ記録装置106との間の接続を切替スイッチ110により選択し、同時に信号処理回路104とテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bとの間の接続を切替スイッチ111により選択する。
【0016】
結像用レンズ101を通った入射光は、絞り102で露光量調節された上で撮像素子103に結像される。結像された画像は、撮像素子103で光電変換され、信号処理回路104に送られる。信号処理回路104では、記録媒体選択装置109で選択されたテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bのいずれかに格納されている各種画像処理データを用いて、供給された画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う。記録媒体選択装置109により磁気テープ記録装置105が選択された場合、画像信号は、テープ用画像処理データテーブル107Aの画像処理データで処理され、磁気テープ用記録装置105に画像データとして記録される一方、記録媒体選択装置109により不揮発性メモリ記録装置106が選択された場合、画像信号は、メモリ用画像処理データテーブル107Bの画像処理データで処理され、不揮発性メモリ106に画像データとして記録される。
【0017】
磁気テープ記録装置105は、動画などの画像データを記録するために、記憶容量が大きい磁気テープを記録媒体としている。一方、不揮発性メモリ記録装置106は、フラッシュROM(フラッシュメモリ)を代表とする不揮発性メモリを記録媒体としている。不揮発性メモリは、静止画等の画像データを記録し、ランダムに読み出すことが可能で、サイズがコンパクトであることから、取り外してパーソナルコンピュータなどに直接接続することができる。
【0018】
また、テープ用画像処理データテーブル107Aにはテレビジョンモニタに適したガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理の各種画像処理データが格納され、メモリ用画像処理データテーブル107Bにはパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適したガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理の各種画像処理データが格納されている。これにより、磁気テープ記録装置105にテレビジョンモニタに適した画像データが記録され、不揮発性メモリ記録装置106にパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適した画像データが記録される。
【0019】
通常、テレビジョンモニタとパーソナルコンピュータのディスプレイモニタとでは各種の特性が異なっている。このため、テレビジョンモニタを前提に各種特性に合わせた撮像装置で撮影して処理した画像は、テレビジョンモニタで再生した場合はバランスのとれた画像でも、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタで再生した場合はバランスの悪い画像となることが多い。画像のバランスを左右する要素として、ガンマ特性、輪郭強調、及びホワイトバランスが挙げられる。
【0020】
次に、図1の撮像装置におけるガンマ補正を図2を参照して説明する。図2は、図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各ガンマ特性を示す特性図である。
【0021】
図2において、曲線aはテープ用画像処理データテーブル107Aに格納されている画像処理用データのガンマ特性、曲線bはメモリ用画像処理データテーブル107Bに格納されている画像処理用データのガンマ特性をそれぞれ示す。ガンマ特性aのガンマ係数は0.45でテレビジョンモニタに適したものであり、ガンマ特性bのガンマ係数は0.56でパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適したものである。
【0022】
一般にガンマ特性は、テレビジョンモニタ等の印加電圧V、発光輝度Lを用い、次のような式で表される。
【0023】
L=cVγ(ただしcは定数で、γ(ガンマ特性)は2〜3の値をとる。)
この式において、印加電圧Vは、入力したRGB値に比例するので、同様な関係がRGB値と輝度値との間に仮定される。一般に、この関係を線形にすることがガンマ補正と呼ばれる処理である。
【0024】
ガンマ特性は、NTSC方式のテレビジョンモニタでは2.2(日本におけるNTSC方式では2.5)であり、PAL方式のテレビジョンモニタでは2.8、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタでは1.8である。例えば、NTSC方式のテレビジョンモニタで画像を再生する場合、撮像装置の信号処理においてガンマ係数を0.45とすると、テレビジョンモニタの画像としてトータルのガンマ特性が1となり、ガンマ特性のバランスがとれた画像再生を行うことができる。
【0025】
しかし、ガンマ係数を0.45とした撮像装置からの画像をガンマ特性の異なるパーソナルコンピュータのディスプレイモニタで再生した場合には、トータルのガンマ特性が1未満になる。このため、階調性の悪い画像が再生される。
【0026】
本撮像装置では、上述のように記録媒体の切替に応じてテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bを選択してガンマ特性を切替えるようにしたので、選択した記録媒体に適したガンマ処理を行うことができる。
【0027】
次に、図1の撮像装置における輪郭強調補正を図3を参照して説明する。図3は、図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各輪郭強調補正の違いを示した波形図であり、(a)はテープ用画像処理データテーブル107Aを用いた輪郭強調補正時の信号の波形図、(b)はメモリ用画像処理データテーブル107Bを用いた輪郭強調補正時の信号の波形図である。
【0028】
図3(a)では、上から輪郭強調処理前の信号、テープ用の輪郭強調信号、テープ用の輪郭強調後の信号の各信号波形を表し、テープ用の輪郭強調後の信号の波形は、輪郭強調処理前の信号にテープ用の輪郭強調信号を加算したものである。図3(b)では、上から輪郭強調処理前の信号、メモリ用の輪郭強調信号、メモリ用の輪郭強調後の信号の各信号波形を表し、メモリ用の輪郭強調後の信号の波形は、輪郭強調処理前の信号にメモリ用の輪郭強調信号を加算したものである。また、テープ用の輪郭強調信号、メモリ用の輪郭強調信号の各輪郭強調信号は、それぞれテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bに格納されている画像処理データを構成する。
【0029】
一般に撮像装置では、テレビジョンモニタで再生する際の鮮鋭度を上げるために輪郭強調処理を施している。この輪郭強調処理は、画像信号にその高周波成分から生成した輪郭信号を加算し、見た目の鮮鋭度を上げている。しかしながら、パーソナルコンピュータではユーザによって好みの画像に画像処理することが可能であることから、その素材として通常の輪郭強調処理されていない画像の方が好ましい。また、一般にパーソナルコンピュータのディスプレイモニタの解像度はテレビジョンモニタの解像度に比べて高く、画像の鮮鋭度を上げるとかえって輪郭が強調されすぎるので、輪郭強調は少ない方が好ましい。
【0030】
更に、輪郭強調が施されているとプリンタを用いて印刷する場合、プリンタのドライバにも印刷時に輪郭強調を施すものが多いため、予め輪郭強調を行った画像を印刷すると更に輪郭部分が太くなり、不自然な画像になってしまう場合が多い。
【0031】
本撮像装置では、上述のように記録媒体の切替に応じてテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bを選択して輪郭補正処理を切替えるようにしたので、選択した記録媒体に適した輪郭補正処理を行うことができる。
【0032】
次に、図1の撮像装置におけるホワイトバランス補正を図4を参照して説明する。図4は、図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各ホワイトバランスの目標値の違いを示した図であり、(a)はテープ用ホワイトバランスの目標値を示した図、(b)は、メモリ用ホワイトバランスの目標値を示した図である。
【0033】
図4(a)のテープ用ホワイトバランスの目標値は、テープ用画像処理データテーブル107Aに格納され、画像処理データとして用いられる。また、図4(b)は、メモリ用ホワイトバランスの目標値を示し、メモリ用画像処理データテーブル107Bに格納され、同様に画像処理データとして用いられる。
【0034】
同図の(a)の目標値は、テレビジョンモニタが比較的色温度特性が高いために多少暖色気味の設定としているが、(b)の目標値は、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタが比較的色温度特性が低く、また印刷時に白い部分に色が着くことを避けるためにニュートラルな設定としている。
【0035】
一般に、テレビジョンモニタの色温度特性は、テレビジョンの方式や各国地域によって異なるが、NTSC方式では6740K(日本のNTSC方式では9300K)、PAL方式やHDTV(High Definition Television:高品位テレビジョン)方式では6504Kとなっている。これに対してパーソナルコンピュータのディスプレイモニタの色温度特性は、メーカーによって統一されていなかったが、カラーマネージメントの考え方の普及によって6500Kを基準とするものが多くなってきている。
【0036】
通常ホワイトバランス補正は、G=R=Bとなるように行うが、モニタによっては画像がアンバー系やブルー系に見えることがあり、色温度特性が9300Kのテレビジョンモニタと6500Kのパーソナルコンピュータのディスプレイモニタでは同じ色には見えないことが多い。
【0037】
本撮像装置では、上述のように記録媒体の切替に応じてテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bを選択してホワイトバランス目標値を切替えるようにしたので、選択した記録媒体に適したホワイトバランス処理を行うことができる。
【0038】
なお、磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリ記録装置106の各記録装置は、それぞれ磁気テープ及び不揮発性メモリを記録媒体としたが、他の記録媒体を用いてもよい。また、テープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各画像処理データは、他の異なる値でもよい。
【0039】
撮像装置100は、テレビジョンモニタ用及びパーソナルコンピュータのディスプレイモニタ用にそれぞれ適したガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理の各画像処理データを、テープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bにそれぞれ格納し、記録媒体選択装置109により磁気テープ記録装置105又は不揮発性メモリ記録装置106を選択すると共に、この選択した記録装置に対応したテープ用画像処理データテーブル107A又はメモリ用画像処理データテーブル107Bの画像処理データを選択し、この選択された画像処理データを用いて画像信号を信号処理回路104で処理し、選択した磁気テープ記録装置105又は不揮発性メモリ記録装置106に記録することにより、所定の記録媒体を備えた各記録装置毎に、最適なガンマ処理、輪郭処理、及びホワイトバランス処理を行った画像データを記録するこができ、その画像データを用いてテレビジョンモニタでの鑑賞及びパーソナルコンピュータでの使用等使用目的に応じた最適な画像が得られる。
【0040】
本発明の実施の形態に係る撮像装置を図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【0041】
図5において、撮像装置100は、結像用レンズ101と、露出制御のための絞り102と、入射した光を光電変換する撮像素子103と、撮像素子103に接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う信号処理回路104と、信号処理回路104に切替スイッチ110を介して接続され、磁気テープを記録媒体とする磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリを記録媒体とする不揮発性メモリ記録装置106と、信号処理回路104と各記録装置との間の接続切替を行う記録媒体選択装置109と、磁気テープ記録装置105と不揮発性メモリ記録装置106との間を切替スイッチ112,113を介して接続され、画像処理変換データを用いて画像処理の変換を行う信号変換回路114と、信号変換回路114に切替スイッチ115を介して接続され、画像処理の変換に用いる画像処理変換データを格納する第1の変換データテーブル116及び第2の変換データテーブル117と、信号変換回路114と各変換データテーブル、各記録装置との間の各接続の切替を同時に行うダビング選択装置118とで構成される。
【0042】
上記構成において、記録媒体選択装置109は、信号処理回路104と磁気テープ記録装置105、不揮発性メモリ記録装置106との間の接続を記録媒体選択装置109により選択する。信号変換回路114は、磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリ記録装置106に記録されている画像データを相互にダビングする際に、その画像処理の変換を行う。第1の変換データテーブル116から信号変換回路114に画像処理変換データが供給され、第2の変換データテーブル117から信号変換回路114に第1の変換データテーブル116とは異なる画像処理変換データが供給される。ダビング選択装置118は、ダビングする方向を切替スイッチ112,113により選択する。
【0043】
結像用レンズ101を通った入射光は、絞り102で露光量調節された上で撮像素子103に結像される。結像された画像は、撮像素子103で光電変換され、信号処理回路104に送られる。信号処理回路104では、供給された画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う。画像信号は、記録媒体選択装置109に選択された磁気テープ記録装置105又は不揮発性メモリ記録装置106に画像データとして記録される。
【0044】
磁気テープ記録装置105と不揮発性メモリ記録装置106との間で画像データをダビングする場合、まず記録されている画像データが切替スイッチ112又は切替スイッチ113を介して信号変換回路114に送られる。信号変換回路114では、ダビング選択装置118により選択された第1の変換データテーブル116又は第2の変換データテーブル117のいずれかに格納されている画像処理変換データを用いて、画像データのガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理を行う。ダビング選択装置118により磁気テープ記録装置105から不揮発性メモリ記録装置106へのダビングが選択された場合、第1の変換データテーブル116が選択され、不揮発性メモリ記録装置106から磁気テープ記録装置105へのダビングが選択された場合、第2の変換データテーブル117が選択される。
【0045】
次に、本実施の形態において、図1〜図4で説明した上記撮像装置と同様に、テレビジョンモニタに適した画像データが磁気テープ記録装置105に記録され、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適した画像データが不揮発性メモリ記録装置106に記録されている場合について説明する。
【0046】
テレビジョンモニタ用として磁気テープ記録装置105に記録された画像データを不揮発性メモリ記録装置106にダビングする場合、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適した画像となるように変換する必要がある。そこで、磁気テープ記録装置105に記録されている画像データをパーソナルコンピュータのディスプレイモニタに適したガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理の各変換処理を行ってからダビングを行う。このとき、変換処理に用いる画像処理変換データは、第1の変換データテーブル116に格納されているものを用いる。反対に、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタ用として不揮発性メモリ記録装置106に記録された画像データを磁気テープ記録装置105にダビングする場合、第2の変換データテーブル117が選択され、信号変換回路114にて画像処理変換データを用いてテレビジョンモニタに適した変換処理を行ってからダビングを行う。
【0047】
なお、磁気テープ記録装置105及び不揮発性メモリ記録装置106の各記録媒体として、磁気テープ及び不揮発性メモリを用いたが、他の記録媒体を用いてもよい。
【0048】
上記実施の形態によれば、撮像装置100は、磁気テープ記録装置105に記録された画像データ及び不揮発性メモリ記録装置106に記録された画像データの変換に用いる画像処理変換データを格納する第1の変換データテーブル116及び第2の変換データテーブル117を備え、磁気テープ記録装置105と不揮発性メモリ記録装置106との間の画像データのダビング時に、第1の変換データテーブル116又は第2の変換データテーブル117に格納した各画像処理変換データを用いて、画像処理を変換することにより、所定の記録媒体を備えた各記録装置毎に、最適なガンマ処理、輪郭補正処理、及びホワイトバランス処理を行った画像データを記録することができ、その画像データを用いてテレビジョンモニタでの鑑賞及びパーソナルコンピュータでの使用等使用目的に応じた最適な画像が得られる。
【0049】
次に、本発明の他の実施の形態に係る撮像装置を図6を参照して説明する。図6は、本発明の他の実施の形態に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【0050】
図6において、撮像装置100は、結像用レンズ101と、露出制御のための絞り102と、入射した光を光電変換する撮像素子103と、撮像素子103に接続され、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行う信号処理回路104と、信号処理回路104に接続され、信号処理回路104から出力された画像信号を記録する記録媒体を備えた記録装置120と、パーソナルコンピュータ等に対して画像のディジタル信号を出力する第1の出力装置121と、テレビジョンモニタに対して画像のアナログ信号を出力する第2の出力装置122と、記録装置120に接続され、記録された画像データに対して所定の信号処理を行い、第2の出力装置122に送る信号処理回路123とで構成される。
【0051】
結像用レンズ101を通った入射光は、絞り102で露光量調節された上で撮像素子103に結像される。結像された画像は、撮像素子103で光電変換され、信号処理回路104に送られる。信号処理回路104では、画像信号のガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理、及びエンコード処理等を行い、処理された画像信号が記録装置120に送られ、記録装置120に画像データとして記録される。
【0052】
記録された画像データは、第1の出力装置121からディジタル信号として出力され、一方、第2の出力装置122から信号処理回路123にてガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理を行った画像データが、アナログ信号として出力される。
【0053】
第1の出力装置121から出力されるデジタル信号の画像データは、ガンマ処理、輪郭補正処理、ホワイトバランス処理をしていない画像データであるので、パーソナルコンピュータ等での利用に適している。一方、信号処理回路123にて上記処理を行ったアナログ信号の画像データは、テレビジョンモニタでの利用に適している。
【0054】
なお、記録装置120の記録媒体は、磁気テープ又は不揮発性メモリでもよいし、他の記録媒体でもよい。また、第1の出力装置121の前段に、信号処理回路123とは異なる信号処理回路を介した信号処理を行ってもよい。
【0055】
上記実施の形態によれば、撮像装置100は、所定の記録媒体を備えた記録装置120に記録された画像データを、一方の第1の出力装置からデジタル信号として出力し、他方、信号処理回路123にて所定の画像処理を行った後、第2の出力装置からアナログ信号として出力することにより、同じ画像データについて画像処理したものと処理していないものと両方出力することができ、テレビジョンモニタでの鑑賞及びパーソナルコンピュータでの使用等使用目的に応じた最適な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の参考となる撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各ガンマ特性を示す特性図である。
【図3】図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各輪郭強調補正の違いを示した波形図であり、(a)はテープ用画像処理データテーブル107Aを用いた輪郭強調補正時の信号の波形図、(b)はメモリ用画像処理データテーブル107Bを用いた輪郭強調補正時の信号の波形図である。
【図4】図1のテープ用画像処理データテーブル107A及びメモリ用画像処理データテーブル107Bの各ホワイトバランスの目標値の違いを示した図であり、(a)はテープ用ホワイトバランスの目標値を示した図、(b)は、メモリ用ホワイトバランスの目標値を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】従来の撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
100 撮像装置
101 結像用レンズ
102 絞り
103 撮像素子
104,123 信号処理回路
105 磁気テープ記録装置
106 不揮発性メモリ記録装置
107 画像処理データテーブル
107A テープ用画像処理データテーブル
107B メモリ用画像処理データテーブル
109 記録媒体選択装置
110,111,112,113,115 切替スイッチ
114 信号変換回路
116 第1の変換データテーブル
117 第2の変換データテーブル
118 ダビング選択装置
120 記録装置
121 第1の出力装置
122 第2の出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録媒体に記録された画像データを、前記第1の記録媒体とは種類の異なる第2の記録媒体にダビングする画像データのダビング方法において、
前記第1の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第2の記録媒体に適するように変換処理を施す工程を有することを特徴とするダビング方法。
【請求項2】
前記第2の記録媒体に記録された画像データを前記第1の記録媒体にダビングする場合に、前記第2の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第1の記録媒体に適するように変換処理を施す工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のダビング方法。
【請求項3】
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体のいずれか一方は磁気テープであり、他方は不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1または2に記載のダビング方法。
【請求項4】
撮影によって得られた画像データを種類の異なる第1の記録媒体と第2の記録媒体に記録可能な撮像装置において、
前記第1の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第2の記録媒体に適するように変換処理を施す信号変換回路を有し、
前記第1の記録媒体に記録された画像データに対して前記信号変換回路にて変換処理を施してから、該画像データを前記第2の記録媒体にダビングすることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記信号変換回路は、前記第2の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第1の記録媒体に適するように変換処理を施すものであって、
前記第2の記録媒体に記録された画像データに対して前記信号変換回路にて変換処理を施してから、該画像データを前記第1の記録媒体にダビングすることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第2の記録媒体に適するように変換処理を施すための第1の変換テーブルと、
前記第2の記録媒体に記録された画像データに施されているガンマ処理、輪郭補正処理、および、ホワイトバランス処理の少なくともいずれかに対して、前記第1の記録媒体に適するように変換処理を施すための第2の変換テーブルとを備え、
前記信号変換回路は前記第1の変換テーブルと前記第2の変換テーブルのいずれか一方を選択して変換処理を施すことを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体のいずれか一方は磁気テープであり、他方は不揮発性メモリであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−295600(P2007−295600A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147996(P2007−147996)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【分割の表示】特願平11−191582の分割
【原出願日】平成11年7月6日(1999.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】