説明

画像データ検索装置、画像データ検索方法、プログラム及び記録媒体

【課題】ユーザが記憶している曖昧なレイアウト情報を元に文書データを検索することを可能とするために、グリッド単位で求められた属性情報を用いた文書データ検索システムを提供する。
【解決手段】データ登録部1は入力された画像データに対して、領域分離処理を行い、グリッドごとの属性情報を求め、画像データと属性情報とを関連付けてデータ記憶部2に格納する。条件入力部3は、グリッド単位でのレイアウト条件を入力し、検索部4はレイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索し、検索結果を表示部5に表示し、或いは、インターネット等を通して外部のディスプレイに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ検索装置及び画像データ検索方法、より詳細には、予めファイリングされた文書データや画像データ群から所望するデータを検索、閲覧する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスにおける膨大な紙文書をスキャナなどにより光学的に読み取り、デジタルデータに変換して保存するファイリング技術がある。ファイリングされた大量の文書データの中から任意のデータを検索するために、OCRを用いた文字認識から得られた文字情報による検索などの方法があるが、光学的に読み取られた文書データの文字認識は必ずしも正確ではない。また、大量の文書データから効率的に検索を行うためのキーワードを決定することは容易ではない。
【0003】
上述のような場合、レイアウト情報による検索が有効であると考えられる。特開平9−237282号公報(特許文献1)においては、ユーザによって入力されたあるいは作成された模範文書画像を用いることで文書のレイアウト特徴の類似度から文書データの検索を行うとしている。しかしながら、ユーザが文書データを検索しようとする際に模範たりうる文書画像を持ち合わせていなかったり、あるいは、ユーザ自身が欲する文書データに対して曖昧な記憶しかなかったりする場合が往々にしてあると考えられる。
【特許文献1】特開平9−237282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ユーザが記憶している曖昧なレイアウト情報を元に文書データを検索することを可能とするために、グリッド単位で求められた属性情報を用いた文書データ検索システムを提供する。ここで、属性情報とは領域分離処理により推定された、文字領域、写真領域、網点領域、背景領域などの領域情報そのもの、または、領域情報から求められた領域の特徴を示す特徴情報を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術手段は、電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索装置において、グリッド単位でのレイアウト条件を入力する条件入力部と、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索する検索部と、検索結果を出力する出力部からなることを特徴としたものである。
【0006】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、指定可能なグリッド領域の単位を原画像の画素単位より大きくとることを特徴としたものである。
【0007】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、条件入力時にレイアウト条件の形状を指定する手段を有することを特徴としたものである。
【0008】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、条件入力時にレイアウト条件の方向を指定する手段を有することを特徴としたものである。
【0009】
第5の技術手段は、第1の技術手段において、前記検索部は、検索時にファイリングされている属性情報もしくは指定されたレイアウト条件のいずれかを0度、90度、180度、270度のそれぞれ回転角度で回転させて他方と比較することで検索を行う手段を有することを特徴としたものである。
【0010】
第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記出力部は、条件に合った属性情報に対応する画像データを候補としてユーザに提示する際に、ユーザが指定したレイアウトと整合がとれるように画像データを回転させて出力する手段を有することを特徴としたものである。
【0011】
第7の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、グリッドの粒度を変更できる手段を有することを特徴としたものである。
【0012】
第8の技術手段は、第7の技術手段において、前記条件入力部は、粒度変更前に既に指定されている条件があればそれを継承するように粒度変更後の条件入力画面に反映させる手段を有することを特徴としたものである。
【0013】
第9の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、レイアウト条件指定時にグリッドに対して、全てもしくは複数の属性を指定するような条件指定を行える手段を持つことを特徴としたものである。
【0014】
第10の技術手段は、第1の技術手段において、前記条件入力部は、レイアウト条件指定時に、グリッドに対して検索対象としない条件を指定するような条件指定を行える手段を持つことを特徴としたものである。
【0015】
第11の技術手段は、第10の技術手段において、前記条件入力部は、レイアウト条件指定時に、全グリッドの初期状態の条件を予め指定することを特徴としたものである。
【0016】
第12の技術手段は、電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索装置において、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力する条件入力部と、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索する検索部と、指定された複数のレイアウト条件に合ったページを含む文書を候補として検索結果を出力する出力部からなることを特徴としたものである。
【0017】
第13の技術手段は、電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する検索方法において、グリッド単位でのレイアウト条件を入力するステップと、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索するステップと、検索結果を出力するステップからなることを特徴としたものである。
【0018】
第14の技術手段は、第13の技術手段において、グリッドの粒度を変更できることを特徴としたものである。
【0019】
第15の技術手段は、電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索方法において、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力するステップと、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索するステップと、指定された複数のレイアウト条件に合ったページを含む文書を候補として検索結果を出力するステップからなることを特徴としたものである。
【0020】
第16の技術手段は、第1乃至第12のいずれか1の技術手段を動作させる画像検索装置の制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのものである。
【0021】
第17の技術手段は、第16の技術手段を記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0022】
第1の技術手段によると、検索するレイアウト条件をグリッド単位で指定するようにしたので、ユーザは頭の中で思い描くレイアウトをあいまいに指定することが可能である。
【0023】
第2の技術手段によると、指定可能なグリッド領域の単位を原画像の画素単位より大きくとるようにしたので、タッチパネルの場合は、指で十分指定可能な大きさのグリッドサイズとすることで視認性および操作性をよくすることができる。タッチパネル以外の液晶パネルなどの表示装置およびマウスやキーボードなどの入力デバイスからの入力を行う場合は、表示装置で十分識別可能なグリッドサイズとすることで視認性および操作性をよくすることができる。
【0024】
第3の技術手段によると、条件入力時にレイアウト条件の形状を指定するようにしたので、条件入力画面においてレターやA判などの画像データ形状を切り替え可能とすることで、ユーザの操作性を高めることができる。
【0025】
第4の技術手段によると、条件入力時にレイアウト条件の方向を指定するようにしたので、ポートレートとランドスケープなどの画像データ方向を切り替え可能とすることで、ユーザの操作性を高めることができる。
【0026】
第5の技術手段によると、検索時にファイリングされている属性情報もしくは指定されたレイアウト条件のいずれかを0度、90度、180度、270度のそれぞれ回転角度で回転させて他方と比較するようにしたので、操作性の向上、検索効率の向上を図ることができる。
【0027】
第6の技術手段によると、条件に合った属性情報に対応する画像データを候補としてユーザに出力する際に、ユーザが指定したレイアウトと整合がとれるように画像データを回転させて出力するようにしたので、操作性の向上、検索効率の向上を図ることができる。
【0028】
第7の技術手段によると、条件入力部はグリッドの粒度を変更できるので、ユーザによるより詳細な条件入力が可能となる。
【0029】
第8の技術手段によると、条件入力部は粒度変更前に既に指定されている条件があればそれを継承するように粒度変更後の条件入力画面に反映させるようにしたので、操作性の向上を図ることができる。
【0030】
第9の技術手段によると、条件入力部はレイアウト条件指定時にグリッドに対して、全てもしくは複数の属性を指定するような条件指定を行えるので、操作性の向上を図ることができる。
【0031】
第10の技術手段によると、条件入力部はレイアウト条件指定時にグリッドに対して、検索対象としない条件を指定するような条件指定を行えるので、一部グリッドを検索対象としないように指定できるようにすることで、ユーザは必要最小限のグリッドのみを入力するだけで検索を行うことができる。
【0032】
第11の技術手段によると、条件入力部はレイアウト条件指定時に、全グリッドの初期状態の条件を予め指定することができるので、操作性の向上、検索効率の向上を図ることができる。
【0033】
第12の技術手段によると、条件入力部は、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力できるので、ファイリング時に連続する複数ページの画像データ群を1つの文書として関連付けられている場合、1ページのレイアウト条件のみでは絞りきれない場合に複数ページのレイアウト条件を指定することでより詳細な検索を行うことができる。
【0034】
第13の技術手段によると、グリッド単位でのレイアウト条件を入力するステップを有するので、検索するレイアウト条件をグリッド単位で指定することにより、ユーザは頭の中で思い描くレイアウトをあいまいに指定することが可能である。
【0035】
第14の技術手段によると、グリッドの粒度を変更できるので、ユーザによるより詳細な条件入力を可能とする。
【0036】
第15の技術手段によると、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力するステップを有するので、ファイリング時に連続する複数ページの画像データ群を1つの文書として関連付けられている場合、1ページのレイアウト条件のみでは絞りきれない場合に複数ページのレイアウト条件を指定することでより詳細な検索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、本発明に関する画像データ検索装置10(又は方法)の一実施例としてのシステム構成例を示す図で、図中、1はデータ登録部を示し、ファイリング時において、文書データはスキャナなどから光学的に読み取られるあるいはラスターデータとしてレンダリングされることでページごとに該データ登録部1に画像データとして入力される。データ登録部1は画像データに対して領域分離処理を行い、グリッドごとの属性情報を求めて画像データと属性情報を関連付けてデータ記憶部2に格納する。検索時にはユーザがグリッド単位で属性情報を指定し、レイアウト条件として条件入力部3への入力を行うことで、画像データの検索が開始される。検索部4では条件入力部3から送られてきたレイアウト条件とデータ記憶部2から順次参照された各画像データに関連付けられた属性情報とをグリッド単位で比較していくことで各画像データに対するレイアウト条件の類似度を求める。データ記憶部2に格納された画像データの中に、予め決められた所定の閾値以上の類似度をもつ画像データが存在していれば、検索部4は該当する画像データを表示部5に送り、表示部5は画像データのイメージを表示デバイス上に表示する。
【0038】
なお、画像データとしてはスキャナで読み込んだり、印刷のために展開したラスタデータ(ビットマップデータ)を想定した説明になっているが、たとえばWord(登録商標)のようなアプリケーションプログラムのファイルからオブジェクトの位置等を(当該アプリケーションプログラムやそのビューワ等を利用して)抽出し、その結果に基づいて属性情報(レイアウト情報)を作成することも可能である。
【0039】
また、ここで表示するイメージは画像データのサムネイル画像でもよく、サムネイル画像とする場合は、ファイリング時に予め文書データと属性情報とは別にサムネイル画像を作成し、関連付けてデータ記憶部に格納しておいてもよい。
【0040】
図1は、本発明をスタンドアローンを想定して構成した図であるが、図2に示すように、サーバで検索を行うことも可能である。スタンドアローンでは、入力はキーボードやポインティングデバイス、出力はディスプレイということになるが、サーバでは入力は他のPC等からの検索条件の受信手段となる。また、出力はスタンドアローンでは表示部ということになるが、サーバでは他のPC等への検索結果の送信手段(出力)となり、結果出力部よりサーバ上の表示装置(ディスプレイ)に表示される。
【0041】
<属性情報の作成>
属性情報は領域分離処理などによって、ある単位の領域がどのような属性をもつか判別された結果から作成する。領域分離処理の結果そのものでもよいし、領域分離処理の結果から別に作成したものでも良い。必要とされる最小グリッドサイズ毎に1つの属性を持つことで属性情報を格納するメモリ量を削減することができるが、画素毎の情報として格納しておいてもよい。複数画素から構成されるグリッドの属性情報を求める場合、グリッドに含まれる各属性ごとにそれぞれの属性を有する画素数の総和を算出して最も大きな値となる属性を属性情報にするなどの方法がある。また、属性ごとの画素数の総和に属性ごとに重み係数をかけた結果から最も大きな値となる属性をグリッドの属性情報として求めても良い。例えば文字属性は実際に文字と判定される画素数に対して文字領域として判定されるべき画素数が多くなることが想定されるため、文字属性の総和には他の属性に対して大きい重み係数をかけることなどが考えられる。また、1グリッドに対するエリア情報として「文字または背景」のように複数の属性を持たせるようにしても良いし、さらに柔軟性を持たせるために、各属性の出現率などを表すパラメータとして持っても良い。
【0042】
<レイアウト条件の入力>
レイアウト条件の入力時は液晶パネルなどの表示装置5に、図3に示すようなレイアウト条件作成枠11を表示する。ユーザはグリッド単位で属性情報を指定していくことで検索レイアウト条件を入力する。例えば、図3の例によれば、背景、文字、図の3つの属性情報を示すボタン12〜14があり、ユーザがいずれかのボタンを選択した後、グリッド領域を指定することで選択された属性情報が指定されたグリッド領域に適用される。検索ボタン15が押された時点で指定されているレイアウト条件が検索条件として検索部4に送られる。
【0043】
<検索処理>
図4は、本発明に関する検索処理手順例を説明するためのフロー図で、図4において、図4(A)は検索処理のフロー図であり、図4(B)は図4(A)の一部である類似度算出処理S5のフローを示している。
【0044】
データ登録部1に予め登録された画像データは、登録時に予めIDがつけられており、それぞれ対応する属性情報と関連付けられてデータ記憶部2に格納されている。条件入力部3の入力条件におけるグリッド粒度とデータ記憶部2に格納されている属性情報のグリッド粒度が異なる場合は、S2(入力条件粒度調整)において入力条件におけるグリッド粒度を属性情報のグリッド粒度と合わせる。粒度を合わせる際にはニアレストネイバー法などの拡大/縮小アルゴリズムを用いればよい。これは、予め登録されていた属性情報の粒度とレイアウト条件として入力されたグリッド粒度が異なっていた場合にお互いの粒度を合わせるためであり、双方における粒度が同じである場合はS2の手順は省略してもよい。
【0045】
登録された画像データ群から入力されたレイアウト条件に適合するものあるいは類似するものを検索する場合、S4(属性情報取得)で画像データに対応する属性情報をデータ記憶部2から取得する。次に、S5(類似度算出)で条件と属性情報がどの程度類似しているかを算出する。S5で求められた類似度はS6において予め設定された閾値と比較され、閾値以上であれば属性情報に対応する画像データが候補であるとして画像データのIDと類似度が記憶される(S7)。類似度が閾値未満であれば候補ではないとして、何も記憶せずに現在の属性情報に対する処理を終了する。以上の処理を登録されている画像データ群に対して順次行う(S8)。
【0046】
類似度の算出(S5)は条件入力時のグリッド単位でレイアウト条件と属性情報の比較処理が行われることで求められる。S5で類似度算出処理が呼び出されたとき、図4(B)に示すS11に移行して類似度算出処理が開始される。この時、初期値として、類似グリッドと有効グリッドに0がそれぞれ格納される。ここで類似グリッドは全グリッドの内、類似していると判定されたグリッドの数を示し、有効グリッドは比較対象となる全グリッドの数を示すものとする。
【0047】
注目グリッドに対して入力された条件と、属性情報内の対応するグリッドの属性値を比較する際には、S13で有効グリッドの値が1インクリメントされる。次に、S14において属性値と条件とが比較され、一致していれば(S14)、S15で類似グリッドの値が1インクリメントされる。以上の処理を全グリッドに対して順次行い(S16)、全グリッドに対する処理が終了したら、S17で類似グリッドの値を有効グリッドの値で割ることで画像データに対する類似度を求める。類似度算出処理が終了したら、類似度の値をS5(図4(A)の類似度算出)の出力結果とする。
【0048】
検索対象画像の方向がランドスケープ(横)である場合、条件入力画像がポートレート(縦)であると(図5(A))、ユーザはいちいち頭でイメージしているレイアウトを90度回転させて条件として入力していく必要があり、操作性が悪い。また、レターやA判などの画像データの形状が検索対象画像とレイアウト条件作成枠とで異なる場合(図5(B))も、操作性が悪くなることが有る。条件入力前に表示装置に表示されるレイアウト条件作成枠の方向や形状を図5に示すように切り替えることを可能にすることで操作性を向上させることができる。例えば、図5(A)の場合、画像方向として縦と横の2つのボタン16,17によりレイアウト作成枠の方向を切り替えることができる。同様に、ユーザが画像形状としてA判とレターの2つのボタン18,19を押すことでレイアウト条件作成枠の形状を切り替えることができる。
【0049】
文書の方向は一意に決められることが多いが、まれにユーザによって異なる方向で認識されることも考えられる。また、ファイリング時に正しい方向で登録されない場合も考えられる。図1の検索部4においてレイアウト条件と登録された属性情報を比較する際に、それぞれの方向が異なる場合、良好な検索結果が得られない。
【0050】
図6は、前記問題すなわちレイアウト条件と属性情報を比較する際に、それぞれの方向が異なる場合の問題を解決するための処理フローを説明するための図で、検索処理が開始されると(S21)、まず、条件入力部3より与えられたレイアウト条件を90度ごと回転させた条件を4種類作成する(S22)。画像データに対応する属性情報ごとに類似度を算出する際に、前記で作成された4種類の条件それぞれに対して類似度を算出し(S25)、最も高い類似度が予め決められた閾値以上であるかを判定し、閾値以上であれば(S26)、最も高い類似度と対応する回転角度情報を記憶しておき(S27)、次の画像データに対して比較処理を同様に行う。この時、最大類似度が閾値未満であれば、候補データでないとしてそのまま次の画像データに対して比較処理を行う。回転させるのは登録されている属性情報でもよいが、一般にレイアウト条件を回転させたものを保存しておく方が処理量および処理時間もしくは必要となるメモリ量が少なくすむ。
【0051】
検索結果として画像データのイメージがレイアウト条件と異なった方向で表示装置に表示されるのを防ぐため、図6のフロー図で記憶された回転角度情報を用いることでユーザの入力したレイアウト条件と同じ方向になるように画像データのイメージを回転させて表示する。
【0052】
グリッド幅を変更するための手段を持たせることでユーザは必要なときに、より詳細なレイアウト条件を入力することが出来る。例えば、検索を行ったときに候補が多く挙がった場合、より細かい条件を入力することで目当ての原稿とその他の類似原稿とを区別することが出来る。また、ユーザがグリッド幅を変更するように指示したときに予め入力されたレイアウト条件があれば、グリッド幅変更時に新たに設定されたグリッド幅に適するように条件を継承させる。
【0053】
図7は、グリッド軸の変更例を説明するための図で、図7(A)は、グリッド幅変更時にレイアウト条件が入力されていない場合の例である。「あらく」ボタン20を押下することで現在のグリッド粒度よりもあらい粒度でグリッドが再設定され、「細かく」ボタン21を押下することで現在のグリッド粒度よりも細かい粒度でグリッドが再設定される。図7(B)は、グリッド幅変更時にレイアウト条件が入力されている場合の例であり、図7(A)と同様に2つのボタン22,23により粒度変更されたグリッドが再設定されるが、そのときに、変更前のグリッドに指定されている条件が対応する変更後のグリッドに設定される。変更後のあるグリッドが変更前に複数のグリッドからなるときは変更後のグリッドにおいて多く占めている条件を設定する。
【0054】
レイアウト条件の入力手段として複数の属性を持つ条件を指定する手段を持つことでより曖昧な条件検索を行えるようにする。図8は、その一例を説明するための図で、図8における「文字または背景」24で指定されたグリッドに対応する比較対照画像の属性情報における領域が文字である場合または背景で有る場合は類似度が高いと判定され、図である場合は類似度が低いと判定する。また、条件が検索対照としないことを示す「無効」25で指定された場合は、該当グリッドが類似度に影響を及ぼさないように処理する。
【0055】
例えば、曖昧な条件検索を行う場合、図9のような類似度算出処理フローとなる。
図9は、前述の図4(B)のフロー図に、S30,S31,S32の処理を追加したものである。S30において、比較を行う対象グリッドの条件が判定され、条件が「無効」と指定されている場合は、S13〜S15の処理を行わないようにする。これによって、「無効」と指定されたグリッドが類似度に影響を及ぼさないように処理することが可能となる。
【0056】
全てのグリッドが「無効」と指定されている場合は、有効グリッドの値が0となり、S17の割り算の分母が0となるのを避けるために、S31で有効グリッドが0であればS32の処理に移行するようにする。S32では全グリッドが「無効」と指定された場合、全ての画像データが候補となるように類似度を1とする。
また、「文字または背景」というような複数の属性を指定する条件の場合は、S15において属性値が文字か背景であれば真としてS15に移行するように指定された複数の属性のうち、いずれかが適合していれば真とするような処理とする。
【0057】
連続して登録される複数の画像データを1つの文書として関連付けて登録された画像データ群から、文書として関連付けられた任意の画像データを検索する画像データ検索方法において、レイアウト条件の追加を指示する手段と、レイアウト条件を1つ以上記憶しておく手段を持ち、レイアウト条件の追加が指示された場合はその時点までに入力されたレイアウト条件を記憶しておき、次のレイアウト条件を新規で入力できるようにする。これによって複数のレイアウト条件の論理積を満たす文書を候補とする。また、複数のレイアウト条件の論理和を満たす文書または画像データを候補とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による画像データ検索装置の一構成例(スタンドアローンの例)を示す図である。
【図2】本発明による画像データ検索装置の他の構成例(サーバを用いる例)を示す図である。
【図3】レイアウト条件入力画面例を示す図である。
【図4】本発明による検索処理のフロー例を示す図である。
【図5】原稿方向の切り替え画面例を示す図である。
【図6】本発明による検索処理の他のフロー例を示す図である。
【図7】グリッド幅変更例を示す図である。
【図8】条件指定例を示す図である。
【図9】曖昧な条件指定時の類似度算出処理フロー例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…データ登録部、2…データ記憶部、3…条件入力部、4…検索部、5…表示装置(表示部)、11…レイアウト条件作成枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索装置において、グリッド単位でのレイアウト条件を入力する条件入力部と、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索する検索部と、検索結果を出力する出力部からなることを特徴とする画像データ検索装置。
【請求項2】
前記条件入力部は、指定可能なグリッド領域の単位を原画像の画素単位より大きくとることを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項3】
前記条件入力部は、条件入力時にレイアウト条件の形状を指定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項4】
前記条件入力部は、条件入力時にレイアウト条件の方向を指定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項5】
前記検索部は、検索時にファイリングされている属性情報もしくは指定されたレイアウト条件のいずれかを0度、90度、180度、270度のそれぞれ回転角度で回転させて他方と比較することで検索を行う手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項6】
前記出力部は、条件に合った属性情報に対応する画像データを候補としてユーザに提示する際に、ユーザが指定したレイアウトと整合がとれるように画像データを回転させて出力する手段を有することを特徴とする請求項5に記載の画像データ検索装置。
【請求項7】
前記条件入力部は、グリッドの粒度を変更できる手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項8】
前記条件入力部は、粒度変更前に既に指定されている条件があればそれを継承するように粒度変更後の条件入力画面に反映させる手段を有することを特徴とする請求項7に記載の画像データ検索装置。
【請求項9】
前記条件入力部は、レイアウト条件指定時にグリッドに対して、全てもしくは複数の属性を指定するような条件指定を行える手段を持つことを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項10】
前記条件入力部は、レイアウト条件指定時に、グリッドに対して検索対象としない条件を指定するような条件指定を行える手段を持つことを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項11】
前記条件入力部は、レイアウト条件指定時に、全グリッドの初期状態の条件を予め指定することを特徴とする請求項10に記載の画像データ検索装置。
【請求項12】
電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索装置において、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力する条件入力部と、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索する検索部と、指定された複数のレイアウト条件に合ったページを含む文書を候補として検索結果を出力する出力部からなることを特徴とする画像データ検索装置。
【請求項13】
電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する検索方法において、グリッド単位でのレイアウト条件を入力するステップと、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索するステップと、検索結果を出力するステップからなることを特徴とする画像データ検索方法。
【請求項14】
グリッドの粒度を変更できることを特徴とする請求項13に記載の画像データ検索方法。
【請求項15】
電子的にファイリングされた画像データ群から任意の画像データを検索する画像データ検索方法において、グリッド単位でのレイアウト条件を複数入力するステップと、レイアウト条件を用いて画像データ群から画像データを検索するステップと、指定された複数のレイアウト条件に合ったページを含む文書を候補として検索結果を出力するステップからなることを特徴とする画像データ検索方法。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像データ検索装置を動作させる画像検索装置の制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の制御プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−65763(P2007−65763A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247898(P2005−247898)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】