説明

画像データ転送装置及びその制御方法

【課題】画像データを縮小画像ごとに転送する際の、転送時間の増大や電力消費の増大につながる、不要なメモリアクセスを低減する。
【解決手段】X線検出部から出力されたX線画像データを外部装置へ転送する、X線撮影装置のための画像データ転送装置は、X線検出部が出力する画素順でX線画像データを構成する画素値を取得し、取得した各画素値を、画像中の画素位置に基づいて振り分けることによりX線画像データを所定数の縮小画像に分け、それぞれの縮小画像をアドレスが連続するメモリ領域に保持する。画像データ転送装置は、保持された縮小画像ごとに、X線画像データを外部装置へ転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ転送装置に関する。特に、被写体に対してX線を照射し、当該被写体を透過したX線の強度に応じて得られたX線画像データを取得するX線画像撮影装置に好適に用い得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線照射源からX線を被写体に照射し、当該被写体を透過したX線の強度分布であるX線画像をデジタル化し、同デジタル化したX線画像に必要な画像処理を施して、より鮮明なX線画像を生成するデジタルX線撮影装置が製品化されている。このようなデジタルX線撮影装置では、取得したX線画像データを画像処理や保存のためにパーソナルコンピュータなどの画像処理装置に転送する。画像処理装置はディスプレイなどの表示装置に画像処理済みのX線画像データを転送し、表示させる。X線撮影装置と画像処理装置間におけるX線画像データの転送やその他制御信号等の通信は、有線LANや無線LANなどを介して行われる。
【0003】
一方、X線照射に連動したX線画像データの読み出し中に、X線撮影装置と画像処理装置の間で画像データ転送やその他の通信のやり取りが行われると、これらの通信に起因するノイズが読み出し中の画像データに混入し、画質に影響を与える可能性がある。そこで、X線画像データの読み出しと、X線撮影装置から画像処理装置へのX線画像データ転送とを並行して行わず、X線画像データの読み出しが終了してから、X線画像データ転送を行うことで、この課題を回避することが提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、この場合、X線撮影を行ってから表示装置にX線画像が表示されるまでに時間がかかり、ユーザの使い勝手を悪くしてしまう可能性がある。そこで、フルサイズの画像データ(以降、フル画像データ)を画像処理装置へ送信する前に、フル画像データから生成した縮小画像データを画像処理装置へ送信することが行われている。縮小画像はフル画像から特定画素を間引くことで作成することができる(特許文献2)。フル画像データが送信されるまでは、画像処理装置で画像処理された縮小画像データを用いて、表示装置でプレビュー表示を行うことで、ユーザの待ち時間を短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−087566号公報
【特許文献2】特開2003−325494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フル画像データがそのままの形でメモリに保存されていると、縮小画像データ生成に必要な画素データはメモリ上の連続アドレスには存在しないことになる。よって、転送用の縮小画像データを生成する場合、バースト読出しを行った上で不要画素は読み捨てたり、飛び飛びのアドレスにアクセスして必要な画素だけを読み出すことになり、縮小画像を効率的に読み出すことができない。そのため、不要な読み出し時間が生じ、画像表示までの時間を遅らせる要因となりうる。また、不要なメモリアクセスが生じるので、消費電力の増大につながる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、画像データを縮小画像ごとに転送する際の、転送時間の増大や電力消費の増大につながる、不要なメモリアクセスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による画像データ転送装置は以下の構成を備える。すなわち、
X線検出部から出力されたX線画像データを外部装置へ転送する、X線撮影装置のための画像データ転送装置であって、
前記X線検出部が出力する画素順で前記X線画像データを構成する画素値を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した各画素値を、画像中の画素位置に基づいて振り分けることにより前記X線画像データを所定数の縮小画像に分け、それぞれの縮小画像をアドレスが連続するメモリ領域に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された縮小画像ごとに、X線画像データを外部装置へ転送する転送手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像データの縮小画像が、メモリのアドレスが連続する領域に保持されるので、縮小画像のデータ転送における転送時間の増大や電力消費の増大につながる、不要なメモリアクセスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施形態のX線撮影システムの一例を示すブロック図。
【図2】X線検出部から読み出された画像データと縮小画像の関係を示す図。
【図3】図1の画像格納制御部を詳細に示したブロック図。
【図4】従来例と本発明でのメモリ上の画像データ配置の違いを説明する図。
【図5】実施形態による各部の動作、処理を時間軸に沿って示した図。
【図6】第二実施形態による画像データの読み出し順の例を示した図。
【図7】第二実施形態による画像格納制御部の構成を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、第一実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線撮影装置110はX線検出部111と、画像データ読み出し部112と、画像格納制御部113と、画像格納メモリ114と、画像処理部115と、転送制御部116とで構成されている。
【0013】
X線検出部111は、不図示のシンチレータ、撮像素子アレー、A/D変換器を含む。X線発生装置100からX線を照射し、シンチレータの蛍光体に入射したX線量に対応した電気信号が撮像素子から出力され、A/D変換器によってデジタル値へ変換される。画像データ読み出し部112は、不図示のX線検出部111を駆動する回路と、X線検出部111から出力されてくるデジタルX線画像データを取得する回路からなる。画像データ読み出し部112は、X線検出部111を駆動してX線検出部111から出力されてきたX線画像データ、及びX線を照射していない状態での画像データ(オフセット画像データ)を取得する。
【0014】
画像格納制御部113は、取得した各画素値を、画像中の画素位置に基づいて振り分けることによりX線画像データを所定数の縮小画像に分ける。すなわち、画像格納制御部113は、画像データ読み出し部112で取得したX線画像データ及びオフセット画像データについて、それぞれを所定数(複数)の縮小画像に分割し、画像格納メモリ114の各縮小画像用に割り当てられた各メモリ領域へ保存する。なお、詳細は後述する。なお、各縮小画像に割り当てられた各メモリ領域は、画像格納メモリ114のアドレスが連続した領域である。
【0015】
画像処理部115は、予め定められた縮小画像転送順に基づき、画像格納メモリ114から縮小X線画像データと、それに対応する縮小オフセット画像データを読み出し、オフセット補正処理を行い、転送用画像データを順に生成する。転送制御部116は、画像処理部115で生成したオフセット補正済みの転送用画像データを、外部装置としての画像処理装置120へ転送する。
【0016】
画像処理装置120はX線撮影装置110を制御するコントローラであり、またX線撮影装置110から転送された画像データの画像処理及び保存等を行う。画像処理装置120では、X線撮影装置110から転送される複数の縮小画像から、第一のプレビューの生成と、フル画像データの再合成と、必要に応じてその中間のプレビューの生成及び必要な画像処理を行う。生成したプレビューやフル画像は表示装置121で表示される。各プレビューの生成方法や元の画像データの再合成方法は公知の画素合成手法を用いて行えばよいが、第一のプレビューはX線撮影装置110から転送した一つ目の縮小画像を使用する。第二のプレビューは一つ目と二つ目の縮小画像を使用して合成し、同様にフル画像データの再合成は全ての縮小画像を使用する。
【0017】
なお、転送制御部116が行うX線撮影装置110から画像処理装置120への画像データ転送やその他の通信には、有線LANや無線LANなどを使用することができる。また、図1では各部とデータの処理フローが直列に記載してあるが、本発明の機能を実現できる概略構成を示したものであり、本発明の機能を実現できる構成であればどのような構成でもよい。例えば各部をマスタまたはスレーブとして公知のデータバス等で接続した構成であってもよい。
【0018】
図2に、画像データ読み出し部112が取得する元の画像データ(フル画像データともいう)と縮小画像データの関係を示す。図2(a)はフル画像130を表す。実施形態では、フル画像130はm画素×nラインの大きさを持つものとする(m、nは任意の自然数)。図2(a)の中の各マスは、フル画像130を構成する各画素を表しており、各画素内の数字はフル画像における各画素の位置を(x座標,y座標)として示している。画像データ読み出し部112は、画素データ読み出し順131に示されるように、原点からx方向に1画素ずつ1ライン分読み出し、これをy方向に全ライン分繰り返す画素順で、X線検出部111からの読み出しを行う。
【0019】
一方、図2(b)は、フル画像130より派生した縮小画像132〜135を表す。本実施形態では、例として縮小画像は元のフル画像を4つに分割したものとするが、分割数は任意であり、分割数に合わせて以降に示す必要な構成を備えればよい。縮小画像への分割の方法を一般化して示すと次の通りである。すなわち、横×縦がm×n画素の画像データを、横方向に1/M、縦方向に1/Nの大きさの縮小画像に分割する場合、p、qを0以上の整数、kを0〜M×N−1の整数とした場合に、
・入力された画像データの、q×N+(k/Mの整数部)番目のラインのp×M+(k/Mの余り)番目の画素値を取り出し、
・これをk番目の縮小画像におけるq番目のラインのp個目の画素値として保持する、
ことになる。
【0020】
以下、フル画像130を4分割して4つの縮小画像132〜135を得る場合の分割の仕方の一例を示す。この場合、フル画像130を2×2画素の領域に区切り、各領域の中の1画素をその領域を代表する画素として抽出し、それらの画素の集合を縮小画像とする。各領域には4画素が存在するので、抽出する画素位置を変えて、4枚の縮小画像を生成することができる。図2(b)がその例であり、x座標、y座標ともに偶数である画素の集合が第1の縮小画像132となる。同様に、x座標、y座標ともに奇数である画素の集合が第2の縮小画像133、x座標が奇数、y座標が偶数である画素の集合が第3の縮小画像134、x座標が偶数、y座標が奇数である画素の集合が第4の縮小画像135となる。これらの縮小画像は元の画像データに対して縦横とも1/2に間引かれたものであり、データの大きさとしては1/4の縮小画像となっている。フル画像130を構成している画素は全て4枚の縮小画像132〜135のいずれかの画素に対応しているので、4枚の縮小画像132〜135を転送することは、データ転送量としてはフル画像130を送ることと等価である。
【0021】
なお、上記の第1〜第4の縮小画像132〜135は、転送制御部116によりこの順番で画像処理装置120に転送順される。すなわち、最初に縮小画像を送信した後、当該最初に送信した縮小画像と斜めの位置関係を有する縮小画像を送信するようにしている。複数の縮小画像を合成して第二以降のプレビューを行う場合、縦或いは横の隣接画素よりも対角画素を合成するほうがより精細に画像を生成できるからである。但し、縮小画像の転送順は任意であり、これに限定されるものではない。
【0022】
図1の画像格納制御部113の詳細なブロック図を図3に示す。画像格納制御部113は、格納領域判定部140と、画素(x方向)カウンタ141と、ライン(y方向)カウンタ142と、各縮小画像用に割り振られたバッファ143と、メモリ転送制御部144とを具備する。
【0023】
画像データ読み出し部112から画像格納制御部113へは、
・図2(a)の画素データ読み出し順131の順で読み出された画素データ145、
・画像の読み出し開始を示す読み出し開始信号146、
・現在の画素データ145が有効なデータであるかを示す画素データ有効信号147、
・現在の画素データ145がX線画像データかオフセット画像データかを示す画像データモード信号148、が入力される。
【0024】
画素カウンタ141は、読み出し開始信号146によりカウント動作を開始し、画素データ有効信号147(1画素毎に有効となる)ごとに1つカウントアップし、カウンタ値が1ライン分の画素数に達したらリセットして上記カウントを繰り返す。ラインカウンタ142は、読み出し開始信号146によりカウント動作を開始し、画素カウンタ値が1ラインの画素数と等しくなったら1つカウントアップする。なお、図2(a)に例示したように、1ラインにおける画素数は0から(m−1)までのm画素、ライン数は0から(n−1)ラインまでのnラインとする。
【0025】
格納領域判定部140は、画素カウンタ値とラインカウンタ値、及び画像データモード信号148から、画像データ読み出し部112から順に入力されてくる画素データが、どの縮小画像にあたるかを判定する。そして、格納領域判定部140は、各縮小画像用に割り振られたバッファ143へ、上記判定された画素データを順次に書き込んでいく。バッファ143の構成は特に限定されないが、FIFO(First In First Out)で構成すれば、バッファ143から読み出す際にも画素データ順が入れ替わることがないため、扱いやすくなる。
【0026】
格納領域判定部140による具体的な判定内容は次の通りである。すなわち、画像データモード信号148がX線画像データを示す場合であって、
・ラインカウンタ値と画素カウンタの最下位ビットがともに0の場合であれば第1のX線縮小画像、
・ラインカウンタ値と画素カウンタの最下位ビットがともに1であれば第2のX線縮小画像、
・ラインカウンタ値の最下位ビットが0かつ画素カウンタ値の最下位ビットが1であれば第3のX線縮小画像、
・ラインカウンタ値の最下位ビットが1かつ画素カウンタ値の最下位ビットが0であれば第4のX線縮小画像、となる。
【0027】
また、画像データモード信号148がオフセット画像データを示す場合であって、
・ラインカウンタ値と画素カウンタの最下位ビットがともに0であれば第1のオフセット縮小画像、
・ラインカウンタ値と画素カウンタの最下位ビットがともに1であれば第2のオフセット縮小画像、
・ラインカウンタ値の最下位ビットが0かつ画素カウンタ値の最下位ビットが1であれば第3のオフセット縮小画像、
・ラインカウンタ値の最下位ビットが1かつ画素カウンタ値の最下位ビットが0であれば第4のオフセット縮小画像、となる。
【0028】
バッファ143の各縮小画像に対応した各部は、割り振られた縮小画像を保存する領域にあたる画像格納メモリ114上のアドレスが前もって紐付けられている。メモリ転送制御部144は、バッファ143の各部から画素データを順に読み出し、そこに紐付けられた画像格納メモリ114上のアドレスへ順に書き込む。このような構成により、画像格納メモリ114の縮小画像ごとに設けられたアドレスが連続するメモリ領域に各縮小画像が書き込まれ、保持される。なお、メモリ転送制御部144は、書き込み動作制御に関して効率の良いデータ単位以上がバッファ143の各部にたまったところで、バッファ143の各部から当該データ単位で画像データを読み出す。そして、読み出した画像データをまとめて画像格納メモリ114へ書き込むことで、効率の良い書き込み処理が達成される。
【0029】
なお、本実施形態ではバッファ143はX線画像データ用の領域とオフセット画像データ用の領域をそれぞれ別に確保しているが、X線画像データ用とオフセット画像データ用の領域を共通にしてもよい。その場合は、たとえば、バッファ143の各部に、X線画像データ用メモリ領域のアドレスと、オフセット画像データ用メモリ領域のアドレスの両者を紐付けておく。そして、画像データモード信号148によってメモリ転送制御部144が、X線画像データ用メモリ領域のアドレスと、オフセット画像データ用メモリ領域のアドレスのどちらのアドレスに書き込むべきかを判断するようにすればよい。
【0030】
図4に、従来例と本発明でのメモリ上の画像データ配置の違いを示す。図4中の各マスは図2と同様、フル画像の各画素データを表しており、数字はフル画像における(x座標、y座標)を示している。
【0031】
図4(a)は従来例でのメモリ上の画素データ配置を示しており、メモリ上に画素データが、図2(a)に示した読み出し順131のまま並んでいる。この場合、例えば第1の縮小画像を生成するときは、
・偶数ライン目の縮小画像1の要素である画素だけを飛び飛びのアドレスから読み出す、または、
・偶数ライン目を全てバースト読み出しした上で、不要な第3の縮小画像の要素である画素は読み捨てる、といった方法をとることになる。
【0032】
一方、図4(b)は本実施形態による画像格納メモリ114上のデータ配置を示しており、各縮小画像は、それぞれの縮小画像用のアドレスが連続する領域にまとめて置かれている。このように、本実施形態では、画像データ読み出し部112によって読み出された画像データが画像格納メモリ114上に保存される時点で、画像データ読み出し順131のままではなく、画像格納制御部113により各縮小画像となって保存さる。したがって、画像データを転送する際に、画像処理部115はそれらの各縮小画像をアドレス順に読み出せばよいことになる。
【0033】
図5に、本実施形態での各部の動作・処理を、時間軸に沿って示す。ここでは、フル画像データを4つの縮小画像データに分けて転送し、表示装置121で第一のプレビュー、第二のプレビュー、フル画像を表示する場合の例を示し、処理の順に説明する。
【0034】
まず、X線発生装置100からX線が被写体に向けて照射され、被写体を透過した信号がX線検出部111にて検出される(501)。画像データ読み出し部112は読み出し回路を駆動し、X線検出部111からX線画像データを読み出す(502)。X線画像データの読み出しと並行して、画像格納制御部113は画像データ読み出し部112から入力される各信号によって、1画素ずつ入力されてくる画素データがどの縮小画像の要素かを判定する(503)。そして、画像格納制御部113は、この判定に従って対応する画像格納メモリ114上の領域へ当該画素データを保存し、画像格納メモリ114上に各縮小画像を生成していく(504)。
【0035】
X線画像データの取得後、続けてX線の照射がないときの画像データ、つまりオフセット画像データの取得を上記と同様の処理を経て行う(505〜508)。なお、本実施形態では、画像データの読み出し中に画像処理装置120へのデータ転送を行うと、読み出した画像データに、データ転送に起因するノイズが発生する可能性がある。そのため、画像データ読み出し中(501〜508の処理中)には画像処理部115以降での処理(509以降の処理)は行わない。
【0036】
画像データの読み出しが完了し、画像格納メモリ114上にX線画像とオフセット画像の各縮小画像が生成された後、画像処理部115はまず画像格納メモリ114から第1のX線縮小画像と第1のオフセット縮小画像を読み出す(509,510)。そして、画像処理部115は、第1のオフセット縮小画像を用いて第1の縮小画像に対してオフセット補正処理を行い(511)、第1の補正済み縮小画像を得る。なお、オフセット補正処理は、X線縮小画像の各画素値からオフセット縮小画像の同一画素の値を減算することでなされる。
【0037】
転送制御部116は、第1の補正済み縮小画像を画像処理装置120へ転送する(511)。画像処理装置120では受け取った第1の補正済み縮小画像に必要な画像処理を施して第一のプレビューを生成し(512)、表示装置121に送り第一のプレビューの表示を行う(513a)。
【0038】
次に、同様の処理を経て画像処理装置120へ、第2の補正済み縮小画像を転送する(514〜516)。画像処理装置120では、第2の補正済み縮小画像と先に受け取っている第1の補正済み縮小画像とを使用して、合成及び必要な画像処理を行い、第一のプレビューよりも情報量の多い高精細な第二のプレビューを生成する(517)。そして、画像処理装置120はこの第二のプレビューを表示装置121に送り第二のプレビューの表示を行う(513b)。
【0039】
第3の縮小画像及び第4の縮小画像についても同様の処理を経て、順に画像処理装置120へ転送する(518〜523)。画像処理装置120では、受け取った第1〜第4のすべての縮小画像を使用して合成を行い、必要な画像処理を行ってフル画像を生成し保存する(524)とともに、表示装置121へ送りフル画像の表示を行う(525)。
【0040】
以上のような第1実施形態の画像データ転送処理によれば、画像処理部115の縮小画像読み出しが効率よく行えるようになり、読み出し時間の短縮や無駄なメモリアクセスの削減が図られる。そのため、画像表示までの時間の短縮や、消費電力の削減に寄与することができる。
【0041】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0042】
第一実施形態(図2)では、画像データ読み出し部112が、図2(a)中に示した読み出し順131でX線検出部111から画素データを読み出す例を示した。これに対し、第二実施形態では、画像データ読み出し部112が、例えば図6のように画素方向にA、Bの2つの部分領域に分け、これら2つの部分領域から並行して画素値を読み出す構成である場合を説明する。この場合、読み出し順150と151で2つの領域を同時に読み出すことができるので、読み出し時間を短縮することができる。
【0043】
図6のように並行して読み出しを行う場合、図7のような画像格納制御部113の構成にすることにより対応することができる。2つの領域から図6の読み出し順150及び読み出し順151の順に読み出された領域A画素データ160、領域B画素データ161は、それぞれ領域A用バッファ162、領域B用バッファ163に読み出し順に書き込まれる。格納領域判定部140は、画素カウンタ値が領域A内の画素を示している間、つまりカウンタ値が0からm/2−1の間は領域A用バッファ読み出し信号164を出力して領域A用バッファ162から領域Aの画素データを順に取得する。その後は、第一実施形態と同様に処理して、第1〜第4のX線縮小画像或いは第1〜第4のオフセット縮小画像に分けてバッファ143に保持させる。
【0044】
一方、画素カウンタ値が領域Bの画素を示した場合、つまりカウンタ値がm/2からm−1を示した場合は、領域A用バッファ読み出し信号164の出力をやめ、領域B用バッファ読み出し信号165を出力する。これにより、領域B用バッファ163から領域Bの画素データが順に取得される。その後は、第一実施形態と同様に処理して、第1〜第4のX線縮小画像或いは第1〜第4のオフセット縮小画像に分けてバッファ143に保持させる。画素カウンタ値が再度領域A内の画素を示した場合、もしくはラインカウンタ値がカウントアップされた場合は、次のラインに進んだことを示すので、領域A用バッファ162から読み出し処理を行う。
【0045】
以上のような処理により、2領域からの並行読み出しであっても、本発明を適用することができる。なお、領域の分割方法は図6の例に限らず、分割数や分割する比は任意であり、さらに画素方向への分割だけでなく、ライン方向に分割を行うことも可能である。
【0046】
以上のように、各実施形態によれば、X線画像データが複数枚の縮小画像データの形でメモリの各領域(アドレスが連続する領域)に保存されているので、不要なメモリアクセスがなくなり、縮小画像データを転送する際に効率的に読み出すことができる。よって、縮小画像を転送して短い時間でプレビュー表示が要求されるX線撮影装置を実現するには最適な方法を提供することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、画像データを縦横1/2に縮小して、4つの縮小画像として保持したが、縦横の縮小率はこれに限定されるものではない。また、縦と横で異なる縮小率が設定されても良く、画像を横方向に1/M、縦方向に1/Nに縮小し、M×N個の縮小画像を得る構成とすることができる(M,Nは2以上の整数)。このとき、画像格納メモリ114に保持されるk番目の縮小画像におけるn番目のラインのm個目の画素(m,n)の画素値は、入力された画像データのn×N+(k/Mの整数部)番目のラインにおける、m×M+(k/Mのあまり)番目の画素の画素値となる。ここで、n、mは0以上の整数、kは0〜M×N−1の整数である。
【0048】
また、上記実施形態では、本発明の画像データ転送装置をX線撮影装置に適用した場合を説明したが、これに限られるものではなく、一般の撮像センサにより得られた画像を転送する構成に適用することももちろん可能である。また、画像データの転送によるノイズが撮像センサから読み出される画像データに影響を与えない場合は、画像データ読み出し部112による画像データの読み出し中に転送制御部116による画像転送を実行するようにしても良い。
【0049】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出部から出力されたX線画像データを外部装置へ転送する、X線撮影装置のための画像データ転送装置であって、
前記X線検出部が出力する画素順で前記X線画像データを構成する画素値を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した各画素値を、画像中の画素位置に基づいて振り分けることにより前記X線画像データを所定数の縮小画像に分け、それぞれの縮小画像をアドレスが連続するメモリ領域に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された縮小画像ごとに、X線画像データを外部装置へ転送する転送手段とを備えることを特徴とする画像データ転送装置。
【請求項2】
前記保持手段は、
X線を照射して前記取得手段から得られたX線画像データを前記所定数のX線縮小画像として保持するとともに、X線を照射しない状態で前記取得手段から取得されたオフセット画像データを前記所定数のオフセット縮小画像として保持し、
前記転送手段は、各X線縮小画像を対応するオフセット縮小画像を用いて補正することにより補正されたX線縮小画像を生成し、補正されたX線縮小画像ごとに外部装置へ画像データを転送することを特徴とする請求項1に記載の画像データ転送装置。
【請求項3】
前記転送手段は、前記取得手段で取得される1つの画像のX線画像データと1つの画像のオフセット画像データが前記保持手段によって前記所定数のX線縮小画像およびオフセット縮小画像として保持された後に、前記補正された縮小画像ごとに画像データを転送することを特徴とする請求項2に記載の画像データ転送装置。
【請求項4】
前記X線検出部は、1つの画像を複数の部分領域に分割し各部分領域から並行して画素値を出力し、
前記取得手段は、前記複数の部分領域から並行して出力された画素値を取得してバッファに保持し、
前記保持手段は、前記バッファに保持された画像データを前記縮小画像に分けて保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像データ転送装置。
【請求項5】
前記転送手段は、最初に縮小画像を送信した後、前記最初に送信した縮小画像と斜めの位置関係を有する縮小画像を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像データ転送装置。
【請求項6】
撮像センサから出力された画像データを外部装置へ転送する画像データ転送装置であって、
前記撮像センサが出力する画素順で前記画像データを構成する画素値を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した各画素値を画像中の画素位置に基づいて振り分けることにより前記画像データを所定数の縮小画像に分け、それぞれの縮小画像をアドレスが連続するメモリ領域に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された縮小画像ごとに、画像データを前記外部装置へ転送する転送手段とを備えることを特徴とする画像データ転送装置。
【請求項7】
前記画素順は、前記画像データが表す画像の横方向に1画素ずつが入力され、縦方向に1ラインずつが入力される順番であり、
前記所定数の縮小画像は、前記画像データを横方向に1/M、縦方向に1/Nに縮小したM×N個の縮小画像であり(M,Nは2以上の整数)、
前記保持手段は、前記取得手段で取得された前記画像データの、q×N+(k/Mの整数部)番目のラインのp×M+(k/Mの余り)番目の画素値を、k番目の縮小画像におけるq番目のラインのp個目の画素値として保持する(ここで、p、qは0以上の整数、kは0〜M×N−1の整数)ことを特徴とする請求項6に記載の画像データ転送装置。
【請求項8】
撮像センサから出力された画像データを外部装置へ転送する画像データ転送装置の制御方法であって、
取得手段が、前記撮像センサが出力する画素順で前記画像データを構成する画素値を取得する取得工程と、
保持手段が、前記取得工程で取得した各画素値を画像中の画素位置に基づいて振り分けることにより前記画像データを所定数の縮小画像に分け、それぞれの縮小画像をアドレスが連続するメモリ領域に保持する保持工程と、
転送手段が、前記保持工程で保持された縮小画像ごとに、画像データを前記外部装置へ転送する転送工程とを備えることを特徴とする画像データ転送装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至7のいずれか1項に記載された画像データ転送装置の各手段として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−37434(P2012−37434A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179010(P2010−179010)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】