説明

画像上に重ね合わせたパラメータ設定部

【課題】視覚メディア編集アプリケーションを用いるユーザが、視覚メディアを編集することを可能にするメカニズムを提供する。
【解決手段】視覚メディア自体の上にパラメータ調整メカニズムを重ね合わせ、パラメータ調整メカニズムによって検出されたユーザ入力に基づいてパラメータ設定を調整することにより、視覚メディアを編集することが可能とし、視覚メディア編集アプリケーションにおいて、ユーザが視覚メディアを見続けることができ、かつ、ユーザが視覚メディアを編集する時に視覚メディア自体が他の制御用ユーザインターフェースおよびウィンドウによって隠されないように、視覚メディア上に重ね合わせる。ユーザは、以後のユーザ入力のための固定基準点として機能する制御点を視覚メディア上に設定する。パラメータ調整メカニズムは、その後のユーザ入力を検出し、その入力に基づいて新たなパラメータ設定を算出する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ここ数年で、写真および動画などの視覚的なメディアアートは、より高度になってきた。実際、画像、フィルム、および、その他の視覚コンテンツをユーザが作成および編集することを可能にするアプリケーションが一般的に利用されるようになっている。例えば、デジタルカメラを用いて高解像度の写真を撮影することが可能であり、その後、それらの写真は、コンピュータにインポートされる。その後、ユーザは、コンピュータ上で実行される写真編集ソフトウエアを用いて写真を編集する。
【0002】
従来の写真編集アプリケーションは、ユーザが利用可能な様々な機能に対して別個のウィンドウを備えたユーザインターフェースを有する。例えば、コンピュータ上で実行されるアプリケーションによって編集するためにデジタルカメラからコンピュータにインポートされた画像は、通常、アプリケーションによって1つのウィンドウに表示され、画像のアピアランス(見え方)を調整するための制御部は、別のウィンドウに表示される。アプリケーションによって画面上に表示される利用可能なスペースは、編集中の画像と編集を実行するための制御部の両方を収容するのに十分な大きさを有する必要がある。従来の写真編集アプリケーションの問題の1つは、写真編集アプリケーションによって提供される機能が増えるにつれ、これらの新しい機能を実行するための制御部が、アプリケーションによって提供されるインターフェース上で占める領域がますます大きくなるということである。
【0003】
例えば、従来の写真編集アプリケーションのためのユーザインターフェースは、通常、ツールバーおよびメニューオプションを備えている。ツールバーおよびメニューオプションは、画面の一部を占める。ユーザインターフェース内で、編集される画像は、画面の別の部分を占める。また、編集ツールおよび他の機能を含む他のウィンドウが、画面のさらに他の部分を占める場合がある。結局、画面スペースの大部分が、編集される画像以外のコンテンツを表示するために用いられる。実際、ユーザが写真編集アプリケーション全体に画像を拡大したとしても、なお、画像の一部は、アプリケーションの他の制御用ユーザインターフェースによって隠される。結果として、画像を修正する際に、ユーザには、画像の見えている部分に対して起こる変化しか見えない。
【0004】
画像の一部を隠すことに加えて、制御用ユーザインターフェースでは、ユーザは、画像を調整する際に画像から目を離す必要がある。例えば、調整制御部は、画像とは別個のウィンドウにあるため、ユーザは、すべての必要な変更を加えるまでに、調整制御部を見ながら調整を行い、変更が画像にどのように影響したかを確認するために画像に目を移し、調整制御部を再び見ながら調整をさらに行い、追加した変更の効果を確認するために画像を再び目を移し、調整制御部を再び見る、などの作業を行う必要がある。
【0005】
この作業は、効率が悪く、編集処理に集中できない。ユーザは、設定を調整するために視覚メディアから視線を離す必要があり、変更がすでに適用された後にしか画像を再び見ることができない。したがって、視覚メディアへの変更の効果全体は、ユーザが再び画像を見た時に初めて認識される。そして、変更を気に入らなかった場合には、ユーザは、設定にさらなる編集を加えるために調整制御部に戻らなければならない。
【0006】
この問題を軽減するために、一部の視覚メディア編集アプリケーションは、HUD(ヘッドアップディスプレイ)を用いている。HUDは、ユーザがそれを通して下にあるコンテンツを見ることができるようにほぼ透明になっている制御用ユーザインターフェースである。HUDの目的は、ユーザが視覚メディアを編集している場所に制御部をより近づけることを可能にすることである。したがって、視覚メディアと編集制御部との間での目の移動が軽減される。しばしば、ユーザは、視覚メディアを調整する前に、コンテンツ上にHUDを配置することができる。しかし、HUDの利用では、ある程度の透明度を提供するものの、視覚メディアの編集中に視覚メディアの一部を隠すという問題は残る。
【0007】
ここに記載した方法は、達成可能な方法ではあるが、必ずしも従来、着想または実行されてきた方法とは限らない。したがって、特に明記しない限り、上記のいかなる方法も、ここに記載されているという理由だけで従来技術とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に従って、視覚メディア編集アプリケーションのユーザインターフェースの一例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に従って、編集ウィンドウの一例を示す図。
【図3A】本発明の一実施形態に従って、制御点を表示する編集ウィンドウの一例を示す図。
【図3B】本発明の一実施形態に従って、いかなる調整を視覚メディアに対して直接実行できるかを表示する編集ウィンドウの一例を示す図。
【図3C】本発明の一実施形態に従って、いかなる調整を視覚メディアに対して直接実行できるかを表示する編集ウィンドウの一例を示す図。
【図4】本発明の一実施形態に従って、視覚メディア上に直接、パラメータ設定部を重ね合わせることにより、視覚メディアを編集するための手順の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態を実装できるコンピュータシステムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本明細書に記載された本発明の実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項について説明されている。しかしながら、本明細書に記載された本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細事項がなくても実施することが可能である。また、本明細書に記載された本発明の実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の構造および装置は、ブロック図で示している。
【0010】
機能の概要
本明細書に記載のツールおよび技術は、視覚メディア自体の上にパラメータ調整メカニズムを重ね合わせることにより、視覚メディア編集アプリケーションを用いるユーザが、視覚メディアを編集することを可能にするメカニズムを提供する。一実施形態において、パラメータ調整メカニズムは、画面上で非表示にされる(または、少なくとも、メカニズムの最小限の視覚表現しか表示されない)ため、画面上のスペースを占めることがない。その代わり、メカニズムは、ユーザ入力(例えば、マウスの動き、他の種類の入力デバイスからの動きなど)を検出し、ユーザ入力に基づいてパラメータ設定を調整する。
【0011】
例えば、写真編集アプリケーションにおいて、ユーザは、画像の明るさ設定を変更することができる。マウスを使う場合、ユーザは、マウスボタンをクリックして押下したまま、マウスポインタをドラッグする。このように、ユーザは、マウスポインタを(例えば、左、右、上、または、下へ)動かすと、画像の明るさ設定が調整される。実質的には、調整が行われる間に、目に見える制御用ユーザインターフェースは存在しない。さらに、ユーザがマウスポインタを動かすと、変更は自動的に視覚メディアに適用される。一実施形態では、明るさ設定は、ユーザが画像のクリックを止めた時(例えば、マウスボタンを離した時)に保存される。このように、ユーザは、パラメータ設定が変更される時に、視覚メディアを直接見続けることができる。
【0012】
さらに、このツールおよび技術では、視覚メディア自体を不必要に遮ることなく、パラメータ設定を変更するができる。一実施形態では、編集中の視覚メディアを最大で表示する全画面表示モードで、パラメータ調整メカニズムを利用することができる。
【0013】
本明細書に記載のツールおよび技術は、視覚メディア編集アプリケーションを用いるユーザが、パラメータ調整メカニズムによってどのパラメータを修正するかを選択することを可能にするメカニズムをさらに提供する。このように、ユーザは、パラメータ調整メカニズムを用いて、調整すべきパラメータを切り替えることができる。
【0014】
視覚メディア編集アプリケーション環境
本発明に記載の手順およびツールは、しばしば、視覚メディア編集技術、特に、写真編集技術に関連して説明されている。これらの環境は、本発明の技術が利用される環境の例として挙げられているにすぎない。別の実施例では、他の環境で本技術を利用してもよい。
【0015】
視覚メディア
視覚メディアは、視覚メディア編集アプリケーションによって編集可能であるコンテンツおよびデータオブジェクトを含む。本明細書において、視覚メディアは、いかなる特定の構造またはファイルフォーマットにも限定されない。例えば、視覚メディアは、写真編集ツールにおける画像、動画編集アプリケーションにおける静止画像、音声プレーヤにおける音声ファイルの視覚的表示、デザインアプリケーションにおけるウエブページ、CADファイルのエレメント、3Dアニメオブジェクト、動画ファイル、および、その他の種類のデータオブジェクト、を含んでよい。
【0016】
視覚メディア編集ユーザインターフェース
視覚メディア編集ユーザインターフェースとは、一般に、視覚メディア編集アプリケーションにおいてユーザがやり取りを行う部分を指す。視覚メディア編集ユーザインターフェースは、ボタン、ウィンドウ、メニュー、および、ツールバーなど、ユーザが視覚メディアを編集することを可能にする制御用ユーザインターフェースを提供する。視覚メディア編集ユーザインターフェースの一例を、図1に示す。
【0017】
図1は、以下の視覚メディア編集アプリケーションの機能を備える視覚メディア編集ユーザインターフェースの一例100を示す:ファイルメニュー105、ツールバー108、編集ウィンドウ115、調整ウィンドウ110。さらに、視覚メディア編集ユーザインターフェース100は、ユーザが、視覚メディア編集中に、保存、開く、インポート、および、その他の機能を実行することを可能にする多数の他の制御部を備えてもよい。ユーザインターフェース100は、全画面表示制御部150を備えてもよい。
【0018】
一実施形態において、視覚メディア編集ユーザインターフェース100は、別のセットの機能を備える。
【0019】
ユーザインターフェースのいくつかの機能
ファイルメニュー105およびツールバー108は、視覚メディア編集アプリケーションで利用可能な各種の種類の制御用ユーザインターフェースを提示している。例えば、ファイルメニュー105は、ファイル、編集、表示、ツール、ヘルプ、ウィンドウなどのメニューを含み、メニューは、選択されると、ユーザが視覚メディアを開く、保存する、編集するのを支援するために、さらなるオプションをユーザに提供する。ヘルプメニューは、オンラインドキュメントを検索するための機能およびチュートリアルにアクセスするための機能を備えてよい。ウィンドウメニューは、ユーザがプロジェクトを切り替えることを可能にする。ツールメニューは、選択されると、表示された画像の編集に利用可能なさらなるツールを表示する。同様に、ツールバー110は、様々なボタンを含み、それらのボタンは、選択されると、コンテンツをウェブにアップロードする、コンテンツを保存する、新しいファイルを開く、アプリケーションにコンテンツをインポートする、スライドショーを作成する、などの動作をユーザに促す。
【0020】
一実施形態において、編集ウィンドウ115とは、視覚メディアが表示されるユーザインターフェースの一部を指す。視覚メディアに対する編集および調整が行われると、編集ウィンドウ115は、それらの変更を反映するよう更新を行う。一実施形態において、編集ウィンドウ115は、拡大されて、全画面表示されてもよい。全画面表示モードでは、編集ウィンドウ115は、視覚メディア編集ユーザインターフェース100の全体を占める。
【0021】
調整ウィンドウ110は、編集ウィンドウ115に表示された視覚メディアのアピアランス(見た目)に影響するパラメータをユーザが調整することを可能にする他の制御部(「インスペクタ」とも呼ばれる)を備える制御用ユーザインターフェースである。調整ウィンドウ110に表示された制御部が選択されて調整されると、調整ウィンドウ110内の設定に対してなされた変更に従って、編集ウィンドウ115内の視覚メディアのアピアランスが変化する。例えば、編集ウィンドウ115内の視覚メディアが画像であるとする。画像である場合、調整ウィンドウ110は、画像の基本的なパラメータのいくつかを修正する露出制御部、彩度調整部、および、明るさ調整部などのインスペクタを備えていてよい。ユーザがそれらのインスペクタの内の1つを調整すると、その調整は、編集ウィンドウ115内の画像に適用される。例えば、ユーザが画像の明るさ設定を変更した場合、それに応じた変更が画像に対してなされる。
【0022】
図1に示した機能は、視覚メディア編集ユーザインターフェースで利用可能な機能の種類の例であることに注意されたい。別の実施形態では、他のセットの制御用ユーザインターフェースが用いられてもよい。
【0023】
パラメータ設定
本明細書に記載の制御部を用いて、ユーザは、視覚メディアパラメータ設定を編集することができる。パラメータ設定とは、一般に、画面上の視覚メディアの個々のプロパティに対して割り当てられた値を指す。ユーザは、許容範囲内で新たな値を指定することによってパラメータ設定を調整する。図2を参照して説明する。図2は、視覚メディア編集ウィンドウ200を示している。
【0024】
図2において、編集ウィンドウ200内の調整ウィンドウ210は、ディスプレイ上の視覚メディアの個々のプロパティを記述する様々なパラメータ(例えば、露出、彩度、明るさ、コントラスト、色合いなど)をリスト表示している。リスト表示されたプロパティの各々に対するパラメータ設定は、パラメータのスライダ式制御部によって定義される。例えば、明るさスライダ212は、スライダの値の範囲に沿って中間点よりもやや小さい値に設定されている。従って、明るさスライダが0から100の標準範囲を有している場合、ウィンドウ200内に表示された視覚メディアに対する明るさ設定は、約40である。図に示したように、露出、彩度、コントラスト、色合いのパラメータ設定も同様に約40になっている。パラメータ設定は、パラメータ調整メカニズムによって修正することができる。
【0025】
パラメータ調整メカニズム
視覚メディアを隠すことなく、かつ、ユーザがメディアから目を離す必要なく、パラメータ設定を修正するために、一実施形態では、パラメータ調整メカニズムを視覚メディア上に重ね合わせる。一実施形態によると、パラメータ調整メカニズムは、最小限の画面スペースしか占めることがない。パラメータ調整メカニズムは、編集中の視覚メディアの上に重ね合わせられた制御用ユーザインターフェースを備える。制御用ユーザインターフェースは、画像を隠さず、かつ、パラメータ設定の修正中にユーザが視覚メディアから目を離す必要がないように、重ね合わせられる。一実施形態において、パラメータ調整メカニズムは、画面スペースをまったく占めない。この実施形態では、パラメータ調整メカニズムは、ユーザ入力を検出してパラメータ設定調整に変換する不可視の制御用ユーザインターフェースを備える。
【0026】
図3Aは、編集される視覚メディアを含む編集ウィンドウ300を示す。編集ウィンドウ300は、一実施形態において、より大きいユーザインターフェース(例えば、図1の編集ウィンドウ115のような視覚メディア編集アプリケーションの編集ウィンドウ)の一部である。あるいは、編集ウィンドウ300は、全画面表示モードの視覚メディア編集ユーザインターフェースであってもよい。
【0027】
図3Aにおいて、パラメータ調整メカニズムの可視の要素は以下を含む:1)どのパラメータが選択されたのかを示すためのパラメータ選択制御部305、および、2)選択されたパラメータに対する調整を算出するための固定始点を示すための制御点315。さらに、パラメータ調整メカニズムは、ユーザ入力デバイスからの動きを追跡してその入力をパラメータ設定の調整に変換する下層のアプリケーションの一部である入力検出部を備える。例えば、一実施形態において、ユーザが、マウスポインタを用いて編集ウィンドウ300内でカーソルを左へ動かすと、それらのマウスの動きは、入力検出部によって検出されて値の変更に変換され、現在のパラメータ設定に適用される。
【0028】
パラメータ設定の選択
パラメータ調整メカニズムがどのパラメータを調整するかは、様々な方法で選択することができる。一実施形態においては、ユーザは、視覚メディア編集ユーザインターフェース内に1セットの制御部を提示され、修正したいパラメータを(例えば、マウスでクリックすることによって)簡単に選択する。
【0029】
例えば、図1に示した視覚メディア編集ユーザインターフェースにおいて、ユーザは、メニューバー105またはツールバー108から制御部を選択してよく、そうすると、制御部は、パラメータ調整メカニズムによって修正すべきパラメータを選択するようユーザに促す。ユーザが選択を行うと、そのパラメータが、現在のパラメータ、例えば、パラメータ調整メカニズムに割り当てられたパラメータになる。こうして、パラメータ調整メカニズムになされた任意の調整が、現在のパラメータの設定に適用されるようになる。現在のパラメータの設定に対する任意の修正が、表示されている視覚メディアに対して自動的に適用される。
【0030】
同様に、ユーザが図2に示した調整ウィンドウ210などの調整ウィンドウからパラメータを選択可能とされてもよい。調整ウィンドウ内でパラメータを選択すると、そのパラメータは、自動的に、パラメータ調整メカニズムに対する現在のパラメータとなり得る。例えば、一実施形態では、調整ウィンドウ210は、ユーザが(例えば、マウスポインタでパラメータ制御部をクリックすることによって)選択可能な視覚メディアに関連するパラメータをリスト表示する。パラメータを選択することによって、ユーザは、そのパラメータをパラメータ調整メカニズムに対して割り当てる。例えば、ユーザが明るさ制御部212を選択すると、パラメータ調整メカニズムの現在のパラメータは、明るさパラメータになる。これで、パラメータ調整メカニズムに対してユーザ行う任意の修正が、表示された視覚メディアに対する明るさ設定に影響するようになる。
【0031】
一実施形態において、調整ウィンドウは、HUDである。
【0032】
全画面表示の一実施形態では、ユーザは、バンプ領域内のバンプ制御部にアクセスすることによって、修正すべきパラメータを選択してよい。バンプ制御部は、バンプ領域と呼ばれる画面上の位置に隠された制御用ユーザインターフェースである。ユーザがバンプ領域にアクセスすると、その位置に隠されたバンプ制御部が画面上で開く。バンプ制御部およびバンプ領域については、2007年3月16日にSchulzらによって出願された同時係属の特許出願、「Full Screen Editing of Visual Media」に記載されており、これは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0033】
他の実施形態では、視覚メディア編集アプリケーションは、ユーザが様々なパラメータをパラメータ調整メカニズムに割り当てることを可能にするための他のメカニズムを備えてもよい。
【0034】
一実施形態おいて、ユーザは、パラメータ調整メカニズムに割り当てるために2以上のパラメータを選択することができる。この実施形態では、1つのパラメータになされた変更が、自動的に、他の選択されたパラメータにも適用されてよい。あるいは、ユーザは、複数種類のユーザ入力を区別して、異なるパラメータに対して個別の種類の入力を割り当ててもよい。例えば、ユーザは、左右への水平移動のような特定の種類のマウスの動きを、明るさ設定を調整するためのメカニズムとして定義してよい。一方で、上下のマウスポインタの動きで色合い設定を調整する。他の実施形態では、パラメータ設定を調整するために、異なる組み合わせのユーザ入力を用いることができる。
【0035】
ユーザがパラメータを選択すると、一実施形態においては、現在の編集ウィンドウを遮る他の全ての制御用ユーザインターフェースが画面から隠される。例えば、図2において、ユーザが明るさパラメータを選択すると、調整ウィンドウ210は、画面から自動的に隠される(例えば、調整ウィンドウが、現在のウィンドウ表示の背後に移動される、バンプ領域内に配置される、などしてよい)。あるいは、ユーザは、視覚メディア編集ウィンドウを簡単に前面に持って来ることができる。
【0036】
図3Aは、編集ウィンドウ300を示す。ウィンドウは、視覚メディアを表示しており、一対の例外を除いて、他の全ての制御用ユーザインターフェースは画面から隠されている。以下に述べるように、制御点315およびパラメータ選択制御部305は、ユーザがパラメータ調整メカニズムによってパラメータを修正する時にユーザをガイドするために、ディスプレイに残されてもよい。
【0037】
パラメータ選択制御部
パラメータ選択制御部305とは、パラメータ調整メカニズムに現在割り当てられているパラメータの画面上での視覚表示を指す。表示される必要はないが、表示される場合には、どのパラメータが現在選択されているのかをユーザに知らせるよう機能する。視覚表示は、現在のパラメータを示す小さいアイコンまたはその他の小さい視覚表現であってよい。一実施形態において、パラメータ選択制御部は、画面上でユーザのカーソルと連結されている。あるいは、パラメータ選択制御部は、画面上の他の場所に位置してもよい(例えば、編集ウィンドウの隅、画面の最下部、など)。
【0038】
例えば、ユーザが、編集ウィンドウ300に表示された視覚メディアの明るさパラメータを修正しようとする場合、小さい明るさアイコン(例えば、選択制御部305)がカーソルに付加されて、明るさパラメータが現在のパラメータであることをユーザに知らせる。同様に、ユーザが別のパラメータを選択した場合には、別の視覚表示が表示される。
【0039】
一実施形態において、パラメータ選択制御部は、修正中のパラメータの値などの追加情報をさらに表示してもよい。例えば、画像の現在の明るさ設定が50である場合、パラメータ選択制御部の中央に、小さい数字”50”が配置される。その後、ユーザが明るさ設定を修正すると、パラメータ選択制御部は、値の変化を反映するよう更新される。
【0040】
制御点
パラメータがパラメータ調整メカニズムに割り当てられると、パラメータ調整メカニズムは、視覚メディア上に重ね合わせられる。上述のように、視覚メディア上にはパラメータ調整メカニズムの可視的な表示は存在しなくてよい。しかし、説明のために、パラメータ調整メカニズムは、画面上に少なくとも制御点の小さい視覚表示を提供すると仮定する。
【0041】
制御点は、固定された基準点として機能し、そこを基準として、パラメータに対する修正を算出できる。結果として、ユーザが、「制御点の挿入」コマンドを(例えば、マウスポインタで視覚メディア上をクリックすることによって)入力すると、固定基準点が生成され、そこから離れる任意の動きが、現在のパラメータ設定の変更を引き起こすようになる。
【0042】
例えば、図3Aにおいて、ユーザが編集ウィンドウ300に表示された視覚メディアについて明るさ設定を修正する場合を仮定する。この時、ユーザは編集ウィンドウ300内の任意の場所をマウスポインタでクリックする。そうすることによって、制御点315が生成され、その場所に配置される。制御点315は、調整されるパラメータについての固定基準点として機能する。一実施形態では、ユーザがマウスポインタを左に動かすと、マウスの動きが検出され、視覚メディアの明るさ設定に適用される調整値に変換される。従って、ユーザがマウスポインタを動かすと、視覚メディアの明るさ設定が変化する。制御点315によって隠される視覚メディアのピクセルは(隠されるとしても)非常に少ないということに注意されたい。
【0043】
入力検出部
入力検出部は、パラメータ調整メカニズムの別の態様である。一実施形態では、入力検出部とは、ユーザが編集ウィンドウに制御点を入力する時に検出を行い、制御点が設定された後の任意の入力をさらに検出する、視覚メディア編集アプリケーション内の1組の下層の構成要素を指す。これにより、入力検出部は、現在のパラメータに対して、いつ、どのような調整が行われるかを算出することができる。
【0044】
一実施形態において、入力検出部は、パラメータ調整メカニズム上で検出されたユーザ入力を、現在のパラメータ設定に対して加算または減算することができる調整値に変換する。図3Bを参照して説明する。図3Bの要素は、図3Aに示した同様の要素に対応する。図3Bにおいて、ユーザが、写真編集アプリケーションの画像の明るさ設定を修正しようとする場合を仮定する。ユーザは、マウスを用いて、制御点315を入力し、その後、マウスポインタを左に動かす。マウスの動き310は、パラメータ調整メカニズムの入力検出部によって検出される。一実施形態においては、マウスの動き310の視覚表現が、画面上に(例えば、小さい水平線として)表示される。あるいは、別の方法で視覚的に表示されてもよいし、全く表示されなくてよい。
【0045】
入力検出部は、マウスの動き310を検出すると、その入力を取得して現在のパラメータ設定に適用できる値に変換する。ここで、図3Bにおいて、左へのマウスの動きは、パラメータ調整メカニズムが現在のパラメータ設定を減少させることを示し、右へのマウスの動きは、パラメータ設定が増加することを示すこととする。従って、マウスの動き310は、現在のパラメータの値を減少させる。図3Cに示すように、ユーザがマウスポインタを右に動かすと、明るさ設定の値は増大する。このように、ユーザは、画像の任意の他の部分を隠すことなく、パラメータ設定を変更することができる。
【0046】
ユーザ入力によって修正されるパラメータの量は、ユーザがマウスポインタを左、右、上、下、または、その他の方向へどれだけ動かすかによって決まる。例えば、画面上の各ピクセルが調整値の単位(例えば、ユーザが左へ1ピクセル動かすとパラメータ設定が1だけ減少する)を表してもよく、ユーザがマウスを動かすスピードが設定をどのように修正するかを決定する際の要因となってもよく、ユーザがマウスポインタを左へ動かし続ける時間がパラメータ設定に影響してもよく、ユーザがカーソルを動かす方向など、他の要因も用いられ得る。上述の例において、カーソルをさらに左へ動かすと、さらにパラメータ設定が減少する。
【0047】
パラメータ設定を減少させる正確な量は、様々な情報によって決まることに注意されたい。例えば、用いる入力デバイスの種類、画面のサイズ、用いるアプリケーションの種類、および、その他の要因に依存しうる。
【0048】
一実施形態においては、ユーザ入力がパラメータ調整メカニズムによって検出されると、現在のパラメータ設定に対する変更が、即座に視覚メディアに適用される。例えば、ユーザが制御点を設定して、マウスポインタを動かすと、パラメータ設定に適用された変更は、視覚メディアにも適用される。従って、ユーザは、視覚メディアのパラメータへの任意の変更の直接的な効果を見ることになる。一実施形態においては、適切なパラメータ設定を見いだしたまたは特定した時に、ユーザが、視覚メディアのクリックを解除する(例えば、マウスボタンを離す)だけで、新しいパラメータ設定が保存される。あるいは、別のコマンドを用いて、パラメータ設定への調整を保存する。
【0049】
一実施形態において、パラメータ調整メカニズムの値の範囲は、制限されてよい。あるいは、パラメータ調整メカニズムは、無限スライダの機能を用いて、パラメータ値の標準範囲を越えて移動してもよい。無限スライダについては、2006年9月7日にSchulzらによって出願された特許出願、「Magnifying Visual Information Using A Center−Based Loupe」に記載されており、これは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
これらの技術およびツールを用いることで、ユーザは、従来の視覚メディア編集アプリケーションにおける問題の多くを回避することができる。ユーザは、編集中に視覚メディアを見続けることができる。さらに、パラメータ調整メカニズムとその制御部によって隠される編集ウィンドウ内のコンテンツは、隠されるとしてもごくわずかである。
【0051】
パラメータ調整メカニズムによる編集の手順
図4には、視覚メディア上にパラメータ調整メカニズムを重ね合わせることによって、視覚メディアを編集するための手順400を示すフローチャートが示されている。例えば、一実施形態においては、手順400によって、ユーザは、写真編集アプリケーションで画像を編集することができる。
【0052】
以下では、写真家が写真編集アプリケーションを用いて画像を編集するという観点で、手順400を説明しているが、手順400との関連で記載されている原理は、3Dグラフィックの編集、ウエブページ、および、その他の種類のデータオブジェクトの編集など、他の様々なシナリオにも適用することができる。
【0053】
この例では、ブラジルのアマゾンのジャングルでの休暇から最近戻ったばかりのハリーという名前の写真家を想定する。ジャングルにいる間、ハリーは、ジャングルの野生動物や植物の写真を大量に撮影した。ハリーが撮影した画像の中に、非常に希少な花の写真があった。彼は、今、アートギャラリーにその写真を展示するために編集を加えようとしている。
【0054】
こうして、ハリーは、写真を編集するために写真編集アプリケーションを開く。写真編集アプリケーションは、特に、ユーザが画像を表示、編集、および、保存することを可能にするユーザインターフェースを備える。さらに、写真編集アプリケーションは、表示された画像の上にパラメータ調整メカニズムを重ね合わせるために必要な下層のロジックを備える。一実施形態によると、写真編集アプリケーション内に画像を表示することは、デジタルカメラ、スキャナ、または、その他のデバイスから画像をインポートすることを含んでよい。
【0055】
写真編集アプリケーション内に開かれる画像のコンテンツおよびフォーマットは、プロジェクトごと、および、実施ごとに異なっていてよいことに注意されたい。例えば、写真編集アプリケーションは、JPG、GIF、TIF、RAW、BMPなど、複数の画像ファイルフォーマットを認識することが好ましい。
【0056】
ハリーは、編集したい画像に対応するファイルを開く。画像は、図1に示した編集ウィンドウ115のような視覚メディア編集ユーザインターフェースの編集ウィンドウ内に開く。画像が開かれると、ハリーは、画像の編集を始めることができる。そのために、ハリーは、画像の見える部分をできるだけ多くしたいと思う。従って、工程410で、ハリーは、視覚メディアパラメータを選択して画像上に重ねる。一実施形態では、これは、上述のようにパラメータ調整メカニズムを用いて行われる。
【0057】
例えば、図1において、ハリーは、編集すべきパラメータを選択することを可能にするメニューバー105上の選択肢を選択してもよいし、編集すべきパラメータを選択するよう促すツールバー108上のボタンをクリックしてもよい。あるいは、ハリーは、ウィンドウ(調整ウィンドウ110または他の制御用ユーザインターフェースなど)内にリスト表示されたパラメータを選択する。これで、選択されたパラメータが、パラメータ調整メカニズムに割り当てられる。一実施形態では、パラメータ調整メカニズムは、視覚メディア編集アプリケーションの構成要素である。
【0058】
この例において、ハリーは、画像を明るくする必要があると考えているため、調整ウィンドウ110内にリスト表示された明るさ制御部を選択する。この選択により、明るさパラメータが、パラメータ調整メカニズムの現在のパラメータになる。この例においては、明るさ設定は、もともと、0から100のスケール上の43に設定されている。ハリーは、望んだように画像が見えるようにするには、明るさを65付近まで増大させる必要があると考えている。
【0059】
従って、工程420で、ハリーが明るさパラメータを選択すると、パラメータ調整メカニズムが、編集ウィンドウ内の画像上に重ね合わせられる。例えば、図1において、ハリーは、明るさ設定を選択した後に、マウスポインタを編集ウィンドウ115上に重ねるだけでよい。パラメータ調整メカニズムは、自動的に画像の上に重ね合わせられる。上述のように、一般的には、画像によって占められる画面空間の広さが最大化し、編集ツールによって占められる画像空間の広さが最小化するように、パラメータ調整メカニズムは視覚化されない。パラメータ調整メカニズムを用いることによって、ハリーは、他の制御部およびウィンドウによって遮られることなく、直接画像を見ながら画像の明るさ設定を編集できる。
【0060】
一実施形態においては、必要に応じて、ハリーは、ユーザインターフェース100内のより広い領域を占めるように編集ウィンドウ115を拡大することができる。全画面表示モードをサポートする一実施形態では、ハリーは、(例えば、全画面表示制御部150をクリックすることによって)画面全体を占めるように編集ウィンドウ115を拡大できる。全画面表示制御部150をクリックすることによって、画像は、画面全体を占めるように拡大され、画像の細部を見ることが容易になる。さらに、全画面表示の実施形態において、画像の一部を隠し得る制御用ユーザインターフェースは、バンプ領域内または画像自体の背後に、見えないように隠される。図3Aは、全画面表示モードに拡大された編集ウィンドウ300の一例を示している。
【0061】
この例では、ハリーが全画面表示モードを選択し、画像を編集する間、全画面モードを保持すると仮定する。工程430で、ハリーは、画像の明るさ設定を調整する。まず、制御点を設置するために、画像をクリックする。例えば、図3Aにおいて、制御点を設置するために画像上にマウスポインタを配置しつつ、マウスのボタンを押下して保持する。制御点は、現在の明るさ設定(例えば、43)の値を取り、明るさ設定への任意の変更のための基準点になる。
【0062】
次いで、工程440で、図3Bに示すように、ハリーは、マウスポインタを左に動かす。ハリーがマウスポインタを動かすと、入力検出部がマウスの動きを検出し、その動きをパラメータ設定値の変化に変換する。マウスの動きの結果として、明るさ設定が変化する。マウスポインタが左に移動すると、明るさ設定は低くなる(例えば、43から42、41など)。ハリーがカーソルを制御点315から遠くに移動させるほど、明るさ設定は低くなる。
【0063】
さらに、ハリーがマウスポインタを動かした時に、明るさパラメータ設定の変更は、自動的に画像に適用される。これは、ハリーがマウスポインタを左に動かすと、明るさ設定の値が変化するだけでなく、実際の画像自体も暗くなるということを意味する。
【0064】
パラメータ設定制御部305などのパラメータ設定制御部は、現在どのパラメータを修正しているのかを表示してよい。別の実施形態においては、パラメータ設定制御部は、修正中のパラメータの値も表示する。例えば、パラメータ設定制御部は、明るさ設定が調整されていることを示す小さな円である。さらに、明るさ設定の値(例えば、43)を表示してもよい。ハリーが左に移動させるにつれて、制御部の数字は0になるまで減少し続ける。無限スライダを備える一実施形態においては、パラメータ値の標準範囲よりも小さく、値が下がり続けてもよい。
【0065】
所望の明るさの変更が得られたと判断した時に、ハリーが、単にマウスボタンを離す(すなわち、制御点のクリックを解除する)だけで、新たな明るさレベルが保存される。
【0066】
ここで、ハリーは間違えに気づき、(例えば、もともと計画した通りに)明るさを増す必要があると判断したとする。そのために、画像上で位置決めしつつマウスのボタンを再び押下して保持し、新たな制御点を設置する。明るさ設定は、ハリーがマウスを離した直後に保存された上記の新たな値である。その値が、固定基準点になる。次いで、ハリーは、(例えば、明るさ設定値を高くするために)マウスポインタを右に動かす。図3Cに示すように、ハリーがマウスポインタを右に動かすと、明るさ設定が増大する。設定値が65に達した時に、ハリーは、さらに明るくする必要があると判断してもよい。そうして、ハリーは、望んだ通りに画像が見えるようになるまで、カーソルを右に動かし続けてよい。ハリーは、マウスボタンを離すことで停止し、その時、新たな設定が保存される。
【0067】
ここで、ハリーが画像のコントラスト設定を修正したいと思ったとする。一実施形態において、ハリーは、図2に示した調整ウィンドウ210などの調整ウィンドウを引き出し、コントラスト設定を選択する。こうして、コントラストが、パラメータ調整メカニズムの現在のパラメータになる。次いで、ハリーは、上述のように、画像の一部をクリックし、マウスポインタを左右に移動させることで、コントラスト設定を調整する。
【0068】
このように、本明細書に記載のツールおよび技術を用いて、ハリーは、写真を編集するための制御部を表示するために必要な画面空間の広さを最小限に抑えつつ、写真の修正をすることができる。
【0069】
ハードウエアの概要
図5は、本発明の実施形態を実装できるコンピュータシステム500を示すブロック図である。コンピュータシステム500は、情報を通信するためのバス502またはその他の通信機構と、バス502に接続され情報を処理するためのプロセッサ504とを備える。コンピュータシステム500は、情報とプロセッサ504によって実行される命令とを格納するためにバス502に接続されたメインメモリ506(ランダムアクセスメモリ(RAM)またはその他の動的記憶デバイスなど)をさらに備える。メインメモリ506は、プロセッサ504によって実行される命令の実行中に、一時変数またはその他の中間情報を格納するために用いられてよい。コンピュータシステム500は、プロセッサ504のための静的情報および命令を格納するためにバス502に接続された読み出し専用メモリ(ROM)508またはその他の静的記憶デバイスをさらに備える。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶デバイス510が提供され、情報および命令を格納するためにバス502と接続される。
【0070】
コンピュータシステム500は、コンピュータのユーザに対して情報を表示するために、バス502を介してブラウン管(CRT)などのディスプレイ512に接続されてよい。英数字およびその他のキーを備えた入力デバイス514が、情報およびコマンド選択をプロセッサ504に通信するために、バス502と接続されている。別の種類のユーザ入力デバイスとしては、プロセッサ504に指示情報およびコマンド選択を通信するため、および、ディスプレイ512上のカーソルの動きを制御するためのカーソル制御部516(マウス、トラックボール、または、カーソル指示キーなど)が挙げられる。この入力デバイスは、通例、第1軸(例えば、x軸)および第2軸(例えば、y軸)の2軸での2自由度を有することで、平面内で位置を特定することが可能になっている。
【0071】
本発明は、本明細書に記載の技術を実装するためのコンピュータシステム500の利用に関する。本発明の一実装例によると、これらの技術は、プロセッサ504がメインメモリ506に格納された1または複数の命令の1または複数のシーケンスを実行するのに応えて、コンピュータシステム500によって実行される。かかる命令は、記憶デバイス510など別の機械読み取り可能な媒体からメインメモリ506に読み込まれてよい。メインメモリ506に格納された命令のシーケンスの実行により、プロセッサ504が本明細書に記載の処理工程を実行する。別の実装では、本発明を実施するために、ハードワイヤード回路が、ソフトウエア命令の代わりに用いられてもよいし併用されてもよい。このように、本発明の実装は、ハードウエア回路およびソフトウエアのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
【0072】
本明細書で用いるように、「機械読み取り可能な媒体」という用語は、特定の方法で機械を動作させるデータを提供することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータシステム500を用いて実施される一実装例では、例えば、実行のためにプロセッサ504に命令を提供することなどに、様々な機械読み取り可能な媒体が関与する。かかる媒体は、様々な形態を取ってよく、不揮発性媒体、揮発性媒体、および、伝送媒体を含むがそれらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス510など、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ506など、動的メモリを含む。伝送媒体は、バス502を備えたワイヤなど、同軸ケーブル、銅線、および、光ファイバを含む。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信の際に生成されるものなど、音波または光波の形態を取ってもよい。かかる媒体はすべて、媒体によって搬送される命令が、機械に命令を読み込む物理的な機構によって検出できるように、具現化される必要がある。
【0073】
機械読み取り可能な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク(登録商標)、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープまたは他の任意の磁気媒体、CD−ROMまたは他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープまたは穴のパターンを備えた他の任意の物理媒体、RAM、PROM、および、EPROM、FLASH−EPROM他の任意のメモリチップまたはカートリッジ、以下に記載するような搬送波、もしくは、コンピュータが読み取り可能な任意の他の媒体が挙げられる。
【0074】
様々な形態の機械読み取り可能な媒体が、プロセッサ504に1または複数の命令の1または複数のシーケンスを実行に向けて搬送することに関与してよい。例えば、命令は、最初、リモートコンピュータの磁気ディスク上に保持されていてよい。リモートコンピュータは、動的メモリに命令をロードして、モデムを用いて電話回線で命令を送信することができる。コンピュータシステム500にローカルなモデムが、電話回線でデータを受信し、赤外線トランスミッタを用いてデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出部は、赤外線信号で搬送されるデータを受信することができ、適切な回路が、バス502上にデータを配置することができる。バス502は、メインメモリ506にデータを搬送し、プロセッサ504は、メインメモリ506から命令を取り出して実行する。メインメモリ506が受信した命令は、プロセッサ504による実行の前または後に記憶デバイス510に適宜格納されてよい。
【0075】
コンピュータシステム500は、バス502に接続された通信インターフェース518をさらに備える。通信インターフェース518は、2方向のデータ通信を提供するものであり、ローカルネットワーク522に接続されたネットワークリンク520に接続する。例えば、通信インターフェース518は、総合デジタル通信網(ISDN)カードまたはモデムであってよく、対応する種類の電話回線に対するデータ通信接続を提供する。別の例では、通信インターフェース518は、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってよく、互換性のあるLANに対するデータ通信接続を提供する。無線リンクが実装されてもよい。任意のかかる実装において、通信インターフェース518は、様々な種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電子的、電磁的、または、光学的信号を送受信する。
【0076】
ネットワークリンク520は、通例、1または複数のネットワークを介して他のデータデバイスに対するデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク520は、ローカルネットワーク522を介して、ホストコンピュータ524、または、インターネットサービスプロバイダ(ISP)526によって運営されるデータ装置への接続を提供してよい。ISP526は、一般に「インターネット」528と呼ばれるワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク522およびインターネット528は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電子的、電磁的、または、光学的信号を用いる。様々なネットワークを介した信号、および、ネットワークリンク520および通信インターフェース518を介した信号は、コンピュータシステム500とやり取りするデジタルデータを搬送するものであり、情報を運ぶ搬送波の典型例である。
【0077】
コンピュータシステム500は、ネットワーク、ネットワークリンク520、および、通信インターフェース518を介して、メッセージを送信し、プログラムコードなどのデータを受信できる。インターネットの例では、サーバ530が、インターネット528、ISP526、ローカルネットワーク522、および、通信インターフェース518を介して、アプリケーションプログラムに必要なコードを送信してよい。
【0078】
コードが受信されると、その受信されたコードは、プロセッサ504によって実行され、および/または、後で実行するように記憶デバイス510またはその他の不揮発性記憶装置に格納されてよい。このように、コンピュータシステム500は、搬送波の形態でアプリケーションコードを取得してよい。
【0079】
明細書においては、実装ごとに変化しうる多くの具体的な詳細事項を参照しつつ、本発明の実装例を説明している。従って、本発明、および、出願人が本発明であると意図するものは、後の任意の訂正を含め、本願に係る請求を具体的な形態で示した特許請求の範囲によってのみ規定される。かかる請求項に含まれる用語について本明細書で明示的に説明された任意の定義は、請求項内で用いられている用語の意味を規定するものとする。従って、請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、属性はいずれも、請求項の範囲を限定するものではない。本明細書および図面は、従って、限定を意図するものではなく、例示を目的としたものであり、例えば以下の方法として実現され得る。
視覚メディア編集アプリケーションにおいて視覚メディアを編集する方法は、前記視覚メディア編集アプリケーションにおいて、前記視覚メディアの修正すべきパラメータを選択する第1のユーザ入力を受信し、前記第1のユーザ入力の受信後に、前記パラメータの元の値を修正するために、調整制御部を重ね合わせ、前記パラメータの前記元の値を示す固定基準点を前記視覚メディア上に確立する第2のユーザ入力を、前記調整制御部によって受信し、前記調整制御部によって前記パラメータに対する調整値を示す第3のユーザ入力を検出し、前記調整値に基づいて前記元の値を調整することによって、前記パラメータの新たな値を決定することを備えても良い。
視覚メディア編集アプリケーションにおいて視覚メディアを編集する方法は、前記視覚メディア編集アプリケーションにおいて、前記視覚メディアの修正すべきパラメータを選択する第1のユーザ入力を受信し、前記第1のユーザ入力の受信後に、前記パラメータの元の値を修正するために、調整制御部を重ね合わせ、前記パラメータの前記元の値を示す固定基準点を前記視覚メディア上に確立する第2のユーザ入力を、前記調整制御部によって受信し、前記調整制御部によって前記パラメータに対する調整値を示す第3のユーザ入力を検出し、前記調整値に基づいて前記元の値を調整することによって、前記パラメータの新たな値を決定し、前記視覚メディアに前記新たな値を適用することによって、前記視覚メディアのアピアランスを更新することを備えても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚メディア編集アプリケーションにおいて視覚メディアを編集する方法であって、
前記視覚メディア編集アプリケーションにおいて、前記視覚メディアの修正すべきパラメータを選択する第1の入力を受信し、
前記第1の入力の受信後に、前記パラメータの現在の設定値を修正するために、調整制御部を重ね合わせ、
前記パラメータの前記現在の設定値に相関し、前記パラメータの前記現在の設定値に対する修正値を算出する際の基準となる固定基準点として、ユーザによって選択された点を前記視覚メディア上に確立する第2の入力を、前記調整制御部によって受信し、
前記調整制御部によって新たな位置を示す入力を含む第3の入力を検出し、
前記新たな位置と前記固定基準点との距離に基づいて、前記パラメータの前記現在の設定値に対する調整値を算出し、
前記調整値に基づいて前記パラメータの前記現在の設定値を調整することによって、前記パラメータの新たな設定値を決定すること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記視覚メディア上の前記新たな位置と前記固定基準点との距離は、前記パラメータのスケールとなる値の範囲に基づいて前記調整値に変換される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記調整値は、前記パラメータの前記現在の設定値に加算または減算される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、前記パラメータは、露出、彩度、明るさ、コントラストおよび色合いの内の少なくとも一つである、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法はさらに、
前記第1の入力の受信の前に、複数の制御部を含む調整ウィンドウを表示させ、前記複数の制御部はそれぞれ複数の異なるパラメータに対応し、
前記第1の入力が受信されると、前記調整ウィンドウを画面から隠すこと、を備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記第2の入力は入力すべき制御点の選択を含み、これにより前記固定基準点が確立され、
前記第3の入力は前記入力すべき制御点の選択の解除を含み、これにより前記新たな位置が確立される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法はさらに、
前記第1の入力の受信の前に、前記パラメータを第1の位置に表示させることを備え、
前記視覚メディア上において、前記固定基準点は前記第1の位置とは異なる第2の位置にある、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記新たな値は、標準の値の範囲外の値である、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記調整制御部は、パラメータ設定制御部を備え、前記パラメータ設定制御部は、どのパラメータが修正されているかを示す、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記パラメータ設定制御部は、前記パラメータの現在の設定値を示す、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記視覚メディア編集アプリケーションは、全画面表示モードである、方法。
【請求項12】
視覚メディア編集アプリケーションにおいてデジタル画像を編集する方法であって、
前記視覚メディア編集アプリケーションにおいて、現在表示されているデジタル画像の修正すべきパラメータを選択する第1の入力を受信し、
前記パラメータの現在の設定値に相関し、前記パラメータへの修正を算出する際の基準となる前記現在表示されているデジタル画像上の固定基準点として、ユーザによって選択された点を前記現在表示されているデジタル画像上に確立する第2の入力を受信し、
新たな位置を示す入力を含む第3の入力を検出し、
前記新たな位置と前記固定基準点との距離に基づいて、前記パラメータの現在の設定値に対する調整値を算出し、
前記調整値に基づいて前記パラメータの前記現在の設定値を調整することによって、前記パラメータの新たな設定値を決定し、
前記現在表示されているデジタル画像に前記パラメータの前記新たな設定値を適用することによって、前記現在表示されているデジタル画像のアピアランスを更新すること、
を備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記アピアランスの更新は、前記第3のユーザ入力の受信と同時に起きる、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法はさらに、
保存されるべき前記パラメータの前記新たな設定値をもたらす第4の入力を受信することを備える、方法。
【請求項15】
視覚メディアを編集するための命令を格納する機械読み取り可能な媒体であって、1または複数のプロセッサに前記命令を実行させることで、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法を実行する、機械読み取り可能な媒体。
【請求項16】
視覚メディアを編集するための装置であって、
1または複数のプロセッサと、
命令を格納する機械読み取り可能な媒体と、
を備え、
前記1または複数のプロセッサに前記命令を実行させることで、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法を実行する、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−216211(P2012−216211A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95903(P2012−95903)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2009−553666(P2009−553666)の分割
【原出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】