説明

画像位置合わせ装置および方法並びにプログラム

【課題】複数の画像の位置合わせをより精度よく行う。
【解決手段】画像取得部10が第1および第2の放射線画像Sa,Sbを取得し、解像度変換部20が第1および第2の放射線画像Sa,Sbを周波数帯域が異なる複数の帯域画像に解像度変換し、第1および第2の帯域画像Ba1〜Ba3,Bb1〜Bb3を生成する。位置ずれ量取得部30が、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3間の位置ずれ量C1〜C3を取得し、位置合わせ部40が、位置ずれ量C1〜C3に基づいて、第2の帯域画像を変形して、第1の帯域画像と第2の帯域画像との位置合わせを行う。再構成部50が変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を再構成して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する。サブトラクション処理部60が、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sbとを用いてサブトラクション処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像の位置合わせを行う画像位置合わせ装置および方法ならびにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被写体を構成する物質によって透過した放射線の減衰量が違うことを利用して、エネルギーが異なる2種類のエネルギーの放射線を被写体に照射して得られた2枚の放射線画像を用いたエネルギーサブトラクション処理が知られている。このエネルギーサブトラクション処理を利用して、例えば、胸部撮影画像から骨部を除去した軟部画像を生成して、骨に邪魔されることなく軟部に現れた陰影を観察できるようにしている。また逆に軟部を除去した骨部画像を生成し、軟部に邪魔されることなく、骨部に現れた陰影を観察できるようにしている。
【0003】
このようなエネルギーサブトラクション処理に用いられる2種類のエネルギーの放射線画像を2ショット撮影する場合には、数百ミリSecの間隔で高エネルギー放射線および低エネルギー放射線を被写体に照射して取得されるが、2ショット間に被写体が動くと位置ずれが生じ、サブトラクション処理を行って生成した画像(差分画像とする)上にアーチファクトが表れる。また、このようなアーチファクトは、撮影時期が異なる2つの時系列的な放射線画像間の差異を表す差分画像を取得する、経時サブトラクション処理を行う場合にも生じる。
【0004】
このようなアーチファクトを低減するための各種手法が提案されている。例えば、特許文献1には、2つの放射線画像の局所的な動きを推定するために、双方の放射線画像に関心領域(ROI)を設定し、ROIを用いてマッチングを行って位置合わせを行う際に、画像のROIのサイズを段階的に小さくして徐々に細かい構造の位置合わせを行う手法が提案されている。具体的には、あるサイズのROIを2つの画像の対応する制御点に設定して位置ずれ量を算出し、これに基づいていずれか一方の画像を変形して位置合わせを行い、位置合わせ後の画像を用いて、より小さいサイズのROIを用いた位置合わせを行い、この処理をあらかじめ定めた最も小さいサイズのROIまで繰り返し行うことにより、画像に含まれる組織のうち、低周波帯域の構造から高周波帯域の構造に徐々に位置を合わせていく手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第2008/0247626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、人体の胸部においては、心臓、肺血管、肋骨および横隔膜等の複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしており、またこれらの複数の組織は被写体像が、放射線を検出して画像信号を出力する放射線検出器に投影される方向において重なっている。ここで、例えば心臓は比較的低周波成分を多く含み、肺血管は比較的高周波成分を多く含む。特許文献1に記載された手法を用いた場合、低周波数帯域の構造物から高周波数帯域の構造物に段階的に位置合わせが行われるため、心臓から肺血管へと段階的に位置合わせが行われることとなる。しかしながら、特許文献1に記載された手法においては、高周波帯域の構造物の位置合わせを行う際に、低周波帯域の構造物も高周波帯域の構造物と同時に変形されるため、心臓および肺血管のように3次元的に異なる動きをする構造物が含まれる画像の場合、肺血管の位置合わせを行うと、既に位置合わせされた心臓に位置ずれが生じてしまう。このように、心臓に位置ずれが生じると、エネルギーサブトラクション処理により得られる差分画像にアーチファクトが残ってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、複数の画像の位置合わせをより精度よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の画像位置合わせ装置は、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成する帯域画像生成手段と、
対応する周波数帯域の前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
「位置ずれ量」としては、第1の帯域画像および第2の帯域画像における互いに対応する対応点の、第1および第2の帯域画像上における位置の相違を表す任意の情報を用いることができる。具体的には、対応点の第1および第2の帯域画像上における距離あるいは対応点間の方向ベクトル等を用いることができる。なお、位置ずれ量は、第1の帯域画像および第2の帯域画像を用いて算出できるが、第1および第2の画像を用いて算出してもよい。
【0010】
なお、本発明による第1の画像位置合わせ装置においては、前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、前記位置ずれ量に基づいて変形する位置合わせ手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0011】
この場合、前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、変形された前記第1の画像および前記第2の画像の少なくとも一方を取得する再構成手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0012】
またこの場合、前記再構成の途中段階において取得される周波数帯域の前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示する表示手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0013】
また、本発明による第1の画像位置合わせ装置においては、前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を用いたエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、前記被写体の主として第1の構造物を含む複数の第1の差分帯域画像および前記被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分帯域画像の少なくとも一方を取得するサブトラクション手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0014】
この場合、前記第1の差分帯域画像および前記第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、前記被写体の主として第1の構造部を含む複数の第1の差分画像および前記被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分画像の少なくとも一方を取得する再構成手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0015】
またこの場合、前記再構成の途中段階において取得される周波数帯域の前記変形された前記第1の差分帯域画像および前記第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示する表示手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0016】
本発明による第2の画像位置合わせ装置は、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれに含まれる、解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す複数の第1の特徴画像および複数の第2の特徴画像を生成する特徴画像生成手段と、
対応する構造物を表す前記第1の特徴画像および前記第2の特徴画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
なお、本発明による第2の画像位置合わせ装置においては、前記第1の特徴画像および前記第2の特徴画像の少なくとも一方を、前記位置ずれ量に基づいて変形する位置合わせ手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0018】
この場合、前記変形された前記第1の特徴画像および前記第2の特徴画像の少なくとも一方を再構成して、変形された前記第1の画像および前記第2の画像の少なくとも一方を取得する再構成手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0019】
また、本発明による第1および第2の画像位置合わせ装置においては、前記第1および前記第2の画像の初期位置合わせを行う初期位置合わせ手段をさらに備えるものとし、
前記帯域画像生成手段または前記特徴画像生成手段を、初期位置合わせがなされた前記第1および第2の画像から前記複数の第1の帯域画像または特徴画像および前記複数の第2の帯域画像または特徴画像を生成する手段としてもよい。
【0020】
本発明による第1の画像位置合わせ方法は、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成し、
対応する周波数帯域の前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得することを特徴とするものである。
【0021】
本発明による第2の画像位置合わせ方法は、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれに含まれる、解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す複数の第1の特徴画像および複数の第2の特徴画像を生成し、
対応する構造物を表す前記第1の特徴画像および前記第2の特徴画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得することを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明による第1および第2の画像位置合わせ方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の画像位置合わせ装置および方法によれば、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成し、対応する周波数帯域の第1の帯域画像および第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得するようにしたものである。このため、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしている場合、各周波数帯域の位置ずれ量は、各周波数帯域の構造物の位置ずれ量となる。したがって、位置ずれ量を用いて各周波数帯域の帯域画像の位置合わせを行うことにより、各周波数帯域の構造物毎に位置合わせを行うことができ、その結果、第1および第2の放射線画像に含まれる複数の構造物の周波数帯域が異なっていても、各周波数帯域の構造物の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0024】
また、変形された第1の帯域画像および第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、変形された第1の画像および第2の画像の少なくとも一方を取得することにより、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしていても、対応する周波数帯域の構造物が精度よく位置合わせされた第1の画像および第2の画像の少なくとも一方を得ることができる。
【0025】
ここで、再構成された第1および第2の画像を表示する場合、演算量が多いため、処理を開始してから第1および第2の画像が表示されるまで長時間を要するものとなる。このため、再構成の途中段階において取得される周波数帯域の、変形された第1の帯域画像および第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示することにより、再構成された第1および第2の画像が表示されるまでに、解像度は低いものの位置合わせされた第1および第2の帯域画像を表示することができ、これにより、画像が表示されるまでの待ち時間を低減できる。
【0026】
また、変形された第1の帯域画像および第2の帯域画像の少なくとも一方を用いたエネルギーサブトラクション処理を行って、被写体の主として第1の構造物を含む複数の第1の差分帯域画像および被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分帯域画像の少なくとも一方を取得することにより、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしていても、対応する周波数帯域の構造物が精度よく位置合わせされていることから、アーチファクトが低減された第1および第2の帯域画像の少なくとも一方を得ることができる。
【0027】
また、第1の差分帯域画像および第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、被写体の主として第1の構造部を含む複数の第1の差分画像および被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分画像の少なくとも一方を取得することにより、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしていても、対応する周波数帯域の構造物が精度よく位置合わせされていることから、アーチファクトが低減された第1の差分画像および第2の差分画像の少なくとも一方を得ることができる。
【0028】
ここで、再構成された第1および第2の差分画像を表示する場合、演算量が多いため、処理を開始してから第1および第2の差分画像が表示されるまで長時間を要するものとなる。このため、再構成の途中段階において取得される周波数帯域の変形された第1の差分帯域画像および第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示することにより、再構成された第1および第2の差分画像が表示されるまでに、解像度は低いものの位置合わせされた第1および第2の差分帯域画像を表示することができ、これにより、差分画像が表示されるまでの待ち時間を低減できる。
【0029】
本発明の第2の画像位置合わせ装置および方法によれば、同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれに含まれる、解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す複数の第1の特徴画像および複数の第2の特徴画像を生成し、対応する構造物を表す第1の特徴画像および第2の特徴画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得するようにしたものである。
【0030】
このため、第1および第2の画像に含まれる解剖学的特徴が互いに異なる構造物が、3次元的にそれぞれ異なる動きをしていても、対応する構造物が精度よく位置合わせでき、その結果、対応する構造物についての第1の特徴画像および第2の特徴画像の少なくとも一方を変形しての位置合わせを、取得した位置ずれ量に基づいて精度よく行うことができる。
【0031】
また、変形された第1の特徴画像および第2の特徴画像の少なくとも一方を再構成して、変形された第1の画像および第2の画像の少なくとも一方を取得することにより、対応する構造物が精度よく位置合わせされた第1の画像および第2の画像の少なくとも一方を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】解像度変換を説明するための図
【図3】関心領域(ROI)の設定を説明するための図
【図4】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図
【図6】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図7】本発明の第3の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図
【図8】第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図9】本発明の第4の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図
【図10】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図11】画像の表示を説明するための図
【図12】本発明の第5の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、図1に示す位置合わせ装置1は、2つの放射線画像を用いてサブトラクション処理を行うエネルギーサブトラクション装置に適用されるものであり、このようなエネルギーサブトラクション装置は、例えば放射線検出器を用いて放射線画像を取得する撮影コンソールに搭載されてなる。また、図1に示す位置合わせ装置1の構成は、補助記憶装置に読み込まれた位置合わせ処理プログラムをコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。このとき、この位置合わせ処理プログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされることになる。
【0034】
第1の実施形態による位置合わせ装置1は、画像取得部10、解像度変換部20、位置ずれ量取得部30、位置合わせ部40、再構成部50およびサブトラクション処理部60を備える。
【0035】
画像取得部10は、位置合わせすべき第1および第2の放射線画像Sa,Sbを取得するものであり、第1および第2の放射線画像Sa,Sbとしては、例えば、異なるエネルギーを有する放射線を用いて、2ショット撮影したときの高エネルギー画像および低エネルギー画像を用いることができる。ここで、例えば胸部正面撮影において高エネルギー画像は放射線源に管電圧が100〜140kVp程度印加されたときに撮影された画像であり、低エネルギー画像は放射線源に管電圧が50〜80kVp程度印加されたときに撮影された画像である。なお、高エネルギー画像はそのまま診断にも用いられる。また、第1および第2の放射線画像Sa,Sbとしては、経時サブトラクション処理を行うための、同一被写体の同一部位について撮影時期が異なる2つの時系列的な放射線画像であってもよい。
【0036】
解像度変換部20は、第1および第2の放射線画像Sa,Saを周波数帯域が異なる複数の帯域画像に解像度変換する。なお、図1においては、第1の放射線画像Saを解像度変換する第1の解像度変換部20Aおよび第2の放射線画像Sbを解像度変換する第2の解像度変換部20Bを備えるものとしているが、1つの解像度変換部20により第1および第2の放射線画像Sa,Sbの解像度変換を行うようにしてもよい。また、以降の説明において、第1および第2の解像度変換部20A,20Bを解像度変換部20により代表させるものとする。
【0037】
図2は解像度変換を説明するための図である。なお、ここでは第1の放射線画像Saに対する解像度変換についてのみ説明するが、第2の放射線画像Sbに対しても同様に解像度変換を行うことができる。まず、解像度変換部20は、放射線画像Saに対してσ=1のガウシアンフィルタによりフィルタリング処理を行って、放射線画像Saを1/2に縮小して縮小画像Ssa1を生成する。次いで、解像度変換部20は、例えば3次Bスプライン補間等の補間演算を行って、縮小画像Ssa1を放射線画像Saと同一サイズに拡大して拡大画像Ssa1′を生成する。そして、放射線画像Saから拡大画像Ssa1′を減算して、第1の帯域画像Ba1を生成する。次いで、縮小画像Ssa1に対してσ=1のガウシアンフィルタによりフィルタリング処理を行って、縮小画像Ssa1をさらに1/2に縮小して縮小画像Ssa2を生成し、縮小画像Ssa2を縮小画像Ssa1と同一サイズに拡大して拡大画像Ssa2′を生成する。そして、拡大画像Ssa1′から拡大画像Ssa2′を減算して、第2の帯域画像Ba2を生成する。さらに、所望とする周波数帯域の帯域画像が生成されるまで上記の処理を繰り返すことにより、複数の周波数帯域の帯域画像Baj(j=1〜n)を生成する。なお、ウェーブレット変換等の他の解像度変換の手法を用いることにより、複数の帯域画像Bajを生成するようにしてもよい。また、放射線画像のサイズを変更することなく、画像の高周波成分を低減するフィルタリング処理により周波数帯域が異なる複数の帯域画像を生成するようにしてもよい。
【0038】
ここで、本実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbのそれぞれについて、3つの帯域画像Ba1〜Ba3,Bb1〜Bb3を生成するものとするが、これ以上の周波数帯域の帯域画像を生成してもよい。
【0039】
位置ずれ量取得部30は、互いに対応する周波数帯域の第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3間において、対応する画素位置の位置ずれ量を取得する。例えば、対応する周波数帯域の第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3間においてテンプレートマッチングを行い、第1および第2の帯域画像において、対応する画素位置の位置ずれ量C1〜C3を算出する。ここで、第1の帯域画像Ba1および第2の帯域画像Bb1を用いた位置ずれ量の算出について説明すると、図3に示すように、第1の帯域画像Ba1および第2の帯域画像Bb1のそれぞれの対応する格子点上に所定サイズの関心領域(ROI)を設定し、一方のROI(例えば第1の帯域画像Ba1のROI)を第2の帯域画像Bb1の対応するROIを基準とした所定範囲でずらしつつ、ROI間の類似度を算出する。そして、類似度が最も高くなったときの、第2の帯域画像Bb1における第1の帯域画像Ba1の格子点に対応する対応点を求め、第2の帯域画像Bb1における対応する格子点と対応点との距離を位置ずれ量C1として算出する。なお、格子点間の画素位置における位置ずれ量は、格子点における位置ずれ量を用いた補間演算により算出する。また、位置ずれ量としては、格子点と対応点とを結ぶベクトルを用いてもよい。
【0040】
なお、類似度としては正規化相互相関値を用いる。また、図3においてはROIの数を4つとしているがこれに限定されるものではない。また、ROIは図3に示すように格子点上のみならず、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3に含まれるエッジの交点等、画像の特徴点上に設定するようにしてもよい。
【0041】
ここで、正規化相互相関値は、例えば特開2000−342558号公報に記載された手法を用いて算出する。正規化相互相関は、第1の帯域画像のROI内のi番目の画素の画素値をSa(i)、第2の帯域画像のROI内のi番目の画素の画素値をSb(i)とした場合、下記の式(1)により算出することができる。なお、IはROI内の画素の総画素数、mA,mBは第1および第2の帯域画像のそれぞれのROI内の画素値の平均値、σA,σBは第1および第2の帯域画像のそれぞれのROI内の画素値の標準偏差である。
【数1】

【0042】
このように、正規化相互相関値を用いることにより、第1および第2の帯域画像間での露光条件の差に起因する平均濃度あるいは階調の違いに影響を受けることなく、類似度を算出することができる。ここで、第1および第2の帯域画像間に位置ずれが存在する領域は、第1および第2の帯域画像の相関が低い。したがって、正規化相互相関値は、第1および第2の帯域画像の対応するROIが完全に一致する場合に1の値をとり、完全に独立である場合に0の値をとる。
【0043】
なお、図1においては、帯域画像Ba1,Bb1の位置ずれ量C1を取得する第1の位置ずれ量取得部30A、帯域画像Ba2,Bb2の位置ずれ量C2を取得する第2の位置ずれ量取得部30B、帯域画像Ba3,Bb3の位置ずれ量C3を取得する第3の位置ずれ量取得部30Cを備えるものとしているが、1つの位置ずれ量取得部30により第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3の位置ずれ量C1〜C3を取得するようにしてもよい。また、以降の説明において、第1〜第3の位置ずれ量取得部30A〜30Cを位置ずれ量取得部30により代表させるものとする。
【0044】
また、位置ずれ量取得部30における位置ずれ量の取得は上記手法に限定されるものではなく、「藤吉弘亘. "Gradientベースの特徴抽出 - SIFTとHOG - ", 情報処理学会 研究報告 CVIM 160, pp. 211-224, 2007.」(非特許文献1)に記載された手法を用いてもよい。非特許文献1に記載された手法は、回転、スケール変化等に不変な特徴量を記述するScale-Invariant Feature Transform(SHIFT)または局所領域における輝度の勾配方向をヒストグラム化した特徴量であるHistograms of Oriented Gradients(HOG)を用いて、位置合わせを行う画像において特徴点を検出する手法である。この場合、位置ずれ量取得部30は、非特許文献1に記載された手法を用いて第1の帯域画像Ba1の特徴点を検出し、特徴点の第2の帯域画像Bb1における対応点を検出し、特徴点と対応点との位置ずれ量を算出すればよい。
【0045】
また、位置ずれ量の取得は、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを用いて行ってもよい。この場合、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3間の位置ずれ量は、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの対応する画素位置の位置ずれ量を用いればよい。
【0046】
また、位置ずれ量を取得する際には、まず最も低い周波数帯域の帯域画像の位置ずれ量を算出し、次いで次の周波数帯域の帯域画像の位置ずれ量を算出することが好ましい。このように位置ずれ量を算出することにより、次の周波数帯域の帯域画像の位置ずれ量を算出する場合には、低い周波数帯域の位置ずれ量を用いてテンプレートマッチングを行う際のROIの探索範囲を絞り込むことができるため、より効率よく位置ずれ量を算出することができる。
【0047】
位置合わせ部40は、例えば特開2001−218110号公報に記載された、2つの画像の一方を非線形に歪曲変形(ワーピング)させる等の手法を用いて、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3の位置合わせを行う。ここで、本実施形態においては、第1の帯域画像の格子点を基準とした、第2の帯域画像の格子点のずれ量を位置ずれ量C1〜C3として算出しているため、第2の帯域画像Bb1〜Bb3を変形することにより、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3の位置合わせを行う。
【0048】
なお、図1においては、帯域画像Ba1,Bb1の位置合わせを行う第1の位置合わせ部40A、帯域画像Ba2,Bb2の位置合わせを行う第2の位置合わせ部40B、帯域画像Ba3,Bb3の位置合わせを行う第3の位置合わせ部40Cを備えるものとしているが、1つの位置合わせ部40により第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3の位置合わせを行うようにしてもよい。また、以降の説明において、第1〜第3の位置合わせ部40A〜40Cを位置合わせ部40により代表させるものとする。
【0049】
また、ワーピングの他、画像の平行移動、拡大縮小および回転を同時に行うアフィン変換、または平行移動、拡大縮小および回転のいずれかのみを行うことにより、第1および第2の帯域画像の位置合わせを行うようにしてもよい。とくに、胸部のように心臓等の大きく動く構造物が含まれない部位の放射線画像の場合には、アフィン変換、または平行移動、拡大縮小および回転のいずれかを行うことにより、ワーピングと比較して演算時間を短縮することができる。
【0050】
再構成部50は、位置合わせ部40により変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を再構成して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する。具体的には、図2に示す解像度変換と逆の処理を行うことにより、第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を再構成して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する。なお、再構成は、上記図2に示す処理を逆に行えばよい。すなわち、帯域画像Bb3′に拡大画像Ssb3′を加算して縮小画像Ssb2を生成し、縮小画像Ssb2を拡大して拡大画像Ssb2″を生成する。次いで、帯域画像Bb2′に拡大画像Ssb2″を加算して縮小画像Ssb1を生成し、縮小画像Ssb1を拡大して拡大画像Ssb1″を生成する。次いで、帯域画像Bb1′に拡大画像Ssb1″を加算して変形された第2の放射線画像Sb′を生成する。なお、ウェーブレット変換により第2の帯域画像Bb1〜Bbを得た場合は逆ウェーブレット変換が用いられるのはいうまでもない。
【0051】
サブトラクション処理部60は、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sb′とを用いてサブトラクション処理を行い、骨を除去した被写体の軟部を表す軟部画像SPと被写体の骨部を表す骨部画像BPとを生成する。一般的に、サブトラクション画像Psubは、第1の重み係数Kaを積算した第1の放射線画像Sa(高エネルギー画像)と、第2の重み係数Kbを積算した変形された第2の放射線画像Sb′(低エネルギー画像)との相対応する画素同志の差分により、下記の式(2)により表される。なお、Kcは所定のオフセット値である。
【0052】
Psub=Ka・Sa−Kb・Sb′+Kc (2)
そして、サブトラクション処理部60は、式(2)の演算を行うことにより、軟部画像SPをサブトラクション画像Psubとして生成する。その後、サブトラクション処理部32は第1の放射線画像Saから軟部画像SPを減算することにより骨部画像BPを生成する(BP=HP−SP)。
【0053】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図4は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず画像取得部10が第1および第2の放射線画像Sa,Sbを取得し(画像取得、ステップST1)、解像度変換部20が、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを周波数帯域が異なる複数の帯域画像に解像度変換し、第1および第2の放射線画像Sa,Sbのそれぞれについて、帯域画像Ba1〜Ba3,Bb1〜Bb3を生成する(ステップST2)。続いて、位置ずれ量取得部30が、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および第2の帯域画像Bb1〜Bb3間の位置ずれ量C1〜C3を取得し(ステップST3)、位置合わせ部40が、位置ずれ量C1〜C3に基づいて、第2の帯域画像Bb1〜Bb3を変形して、第1の帯域画像Ba1〜Ba3と第2の帯域画像Bb1〜Bb3との位置合わせを行い(ステップST4)、再構成部50が変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を再構成して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する(ステップST5)。
【0054】
そして、サブトラクション処理部60が、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sb′とを用いてサブトラクション処理を行い、骨を除去した被写体の軟部を表す軟部画像SPと被写体の骨部を表す骨部画像BPとを生成し(ステップST6)、処理を終了する。
【0055】
このように、第1の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbのそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および第2の帯域画像を生成し、第1および第2の帯域画像の位置ずれ量を取得し、位置ずれ量に基づいて第2の帯域画像を変形して第1および第2の帯域画像の位置合わせを行い、変形された第2の帯域画像を再構成して変形された第2の放射線画像Sb′を生成するようにしたものである。ここで、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の放射線画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしている場合、各周波数帯域の位置ずれ量は、各周波数帯域の構造物の位置ずれ量となる。したがって、位置ずれ量を用いて各周波数帯域の帯域画像の位置合わせを行うことにより、各周波数帯域の構造物毎に位置合わせを行うことができ、その結果、各周波数帯域の構造物の位置合わせを精度よく行うことができる。したがって、第1の放射線画像Saおよび変形された第2の放射線画像Sbを用いてのエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、アーチファクトのない高画質の軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成することができる。
【0056】
とくに、人体の胸部の放射線画像の場合、心臓は比較的低周波帯域の構造物であり、肺血管は比較的高周波帯域の構造物である。第1の実施形態によれば、周波数帯域が異なる帯域画像間で位置合わせが行われるため、心臓および肺血管はそれぞれ別個に位置合わせが行われることとなる。したがって、変形された第2の放射線画像Sb′を用いることにより、第1および第2の放射線画像Sa,Sbに含まれる心臓および肺血管がそれぞれ異なる動きをしていても、心臓および肺血管の双方においてアーチファクトのない軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成することができる。
【0057】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は本発明の第2の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付与し、ここでは詳細な説明は省略する。第2の実施形態による位置合わせ装置1Aは、変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′および変形前の第2の帯域画像Bb1〜Bb3の、相対応する画素間の差分値を、第2の帯域画像Bb1〜Bb3の変形成分帯域画像D1〜D3として算出する変形成分算出部70と、変形成分帯域画像D1〜D3を再構成して変形成分画像Dbを生成する再構成部52と、第2の放射線画像Sbから変形成分画像Dbを減算して、変形された第2の放射線画像Sb′を算出する差分部80とを備えた点が第1の実施形態と異なる。
【0058】
なお、図2においては、変形成分帯域画像D1を算出する変形成分算出部70A、変形成分帯域画像D2を算出する変形成分算出部70B、変形成分帯域画像D3を算出する変形成分算出部70Cを備えるものとしているが、1つの変形成分算出部70により変形成分帯域画像D1〜D3を算出するようにしてもよい。また、以降の説明において、第1〜第3の変形成分算出部70A〜70Cを変形成分算出部70により代表させるものとする。
【0059】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図6は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートにおいて、ステップST11〜ステップST14の処理は、図4のフローチャートにおけるステップST1〜ステップST4の処理と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0060】
ステップST14に続いて、変形成分算出部70が、第2の帯域画像Bb1〜Bb3と変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′との相対応する画素間の差分値を算出することにより、変形成分帯域画像D1〜D3を生成する(ステップST15)。そして、再構成部52が変形成分帯域画像D1〜D3を再構成して変形成分画像Dbを生成する(ステップST16)。変形成分画像Dbは、第2の放射線画像Sbに含まれる、第1の放射線画像Saとの変形した成分のみを表す画像となる。
【0061】
そして、差分部80が第2の放射線画像Sbから変形成分画像Dbを相対応する画素間において減算することにより、第2の放射線画像Sbから第1の放射線画像Saとの変形成分を除去して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する(ステップST17)。そして、サブトラクション処理部60が、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sbとを用いてサブトラクション処理を行い、骨を除去した被写体の軟部を表す軟部画像SPと被写体の骨部を表す骨部画像BPとを生成し(ステップST18)、処理を終了する。
【0062】
ここで、第2の実施形態により生成される変形成分画像Dbは、第1および第2の放射線画像Sa,Sbに含まれる周波数帯域が異なる構造物の位置ずれを表すものとなる。このため、周波数帯域が異なる複数の構造物が第1および第2の放射線画像に含まれており、複数の構造物が3次元的にそれぞれ異なる動きをしていても、第2の放射線画像Sbから変形成分画像Dbを減算することにより、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを、実質的に対応する周波数帯域の第1の帯域画像および第2の帯域画像毎に位置合わせを行うことができることとなる。したがって、第1および第2の放射線画像に含まれる複数の構造物の周波数帯域が異なっていても、各周波数帯域の構造物の位置合わせを精度よく行うことができ、その結果、第1の放射線画像Saおよび変形された第2の放射線画像Sbを用いてのエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、アーチファクトのない高画質の軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成することができる。
【0063】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は本発明の第3の実施形態による画像位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、第3の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付与し、ここでは詳細な説明は省略する。第3の実施形態による位置合わせ装置1Bは、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を用いてサブトラクション処理を行う帯域画像サブトラクション処理部90と、帯域画像サブトラクション処理部90が生成した骨部および軟部の帯域画像を再構成して軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成する再構成部54とを備えた点が第1の実施形態と異なる。
【0064】
帯域画像サブトラクション処理部90は、第1の帯域画像Ba1〜Ba3および変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′を用いて、上記式(2)に示すサブトラクション処理を行い、骨を除去した被写体の軟部についての周波数帯域が異なる複数の軟部帯域画像SP1〜SP3を生成する。その後、帯域画像サブトラクション処理部90は、第1の帯域画像Ba1〜Ba3から軟部帯域画像SP1〜SP3をそれぞれ減算することにより、被写体の骨部についての周波数帯域が異なる複数の骨部帯域画像BP1〜BP3を生成する。
【0065】
なお、図7においては、軟部帯域画像SP1および骨部帯域画像BP1を算出する帯域画像サブトラクション処理部90A、軟部帯域画像SP2および骨部帯域画像BP2を算出する帯域画像サブトラクション処理部90B、並びに軟部帯域画像SP3および骨部帯域画像BP3を算出する帯域画像サブトラクション処理部90Cを備えるものとしているが、1つの帯域画像サブトラクション処理部90により軟部帯域画像SP1〜SP3および骨部帯域画像BP1〜BP3を算出するようにしてもよい。また、以降の説明において、第1〜第3の帯域画像サブトラクション処理部90A〜90Cを帯域画像サブトラクション処理部90により代表させるものとする。
【0066】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図8は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートにおいて、ステップST21〜ステップST24の処理は、図4のフローチャートにおけるステップST1〜ステップST4の処理と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0067】
ステップST24に続いて、帯域画像サブトラクション処理部90が、第1の帯域画像Ba1〜Ba3と変形された第2の帯域画像Bb1′〜Bb3′とを用いてサブトラクション処理を行い、軟部帯域画像SP1〜SP3および骨部帯域画像BP1〜BP3を生成する(ステップST25)。そして、再構成部54が軟部帯域画像SP1〜SP3および骨部帯域画像BP1〜BP3を再構成して軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成し(ステップST26)、処理を終了する。
【0068】
ここで、変形前の帯域画像Bb1〜Bb3と変形後の帯域画像Bb1′〜Bb3′とを用いてサブトラクション処理を行うことにより得られる軟部帯域画像SP1〜SP3および骨部帯域画像BP1〜BP3は、それぞれの周波数帯域の構造物の位置ずれが除去された軟部画像および骨部画像の周波数成分を表すものとなっている。このため、第3の実施形態のように、軟部帯域画像SP1〜SP3および骨部帯域画像BP1〜BP3から、軟部画像SPおよび骨部画像BPを再構成することにより、アーチファクトのない軟部画像SPおよび骨部画像BPを生成することができる。
【0069】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は本発明の第4の実施形態による位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図である。図9に示すように、第4の実施形態による位置合わせ装置100は、画像取得部110、構造分解部120、位置ずれ量取得部130、位置合わせ部140、加算合成部150およびサブトラクション処理部160を備える。なお、第4の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbは、経時サブトラクション処理を行うための、撮影時期が異なる2つの時系列的な放射線画像を用いるものとする。
【0070】
画像取得部110は、第1から第3の実施形態における画像取得部10と同一の処理を行う。
【0071】
構造分解部120は、第1および第2の放射線画像Sa,Sbのそれぞれを、含まれる解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す構造物画像に分解する。なお、第4の実施形態においては、骨部および軟部を表す骨部画像および軟部画像に分解するものとする。骨部画像および軟部画像への分解は、例えば米国特許公開2005/0100208号に記載された手法を用いる。この手法は、骨部および軟部を含む放射線画像から、骨部を抽出した骨部画像を生成するように学習がなされたニューラルネットワークを用いて、放射線画像から骨部画像を生成する手法である。そして、構造分解部120は、米国特許公開2005/0100208号に記載された手法を用いて、第1の放射線画像Saから第1の骨部画像SaBを生成し、第1の放射線画像Saから第1の骨部画像SaBを減算して第1の軟部画像SaSを生成する。また、第2の放射線画像から第2の骨部画像SbBを生成し、第2の放射線画像Sbから第2の骨部画像SaBを減算して第2の軟部画像SbSを生成する。
【0072】
なお、図9においては、第1の放射線画像Saを構造分解する第1の構造分解部120Aおよび第2の放射線画像Sbを構造分解する第2の構造分解部120Bを備えるものとしているが、1つの構造分解部120により第1および第2の放射線画像Sa,Sbの構造分解を行うようにしてもよい。また、以降の説明において、第1および第2の構造分解部120A,120Bを構造分解部120により代表させるものとする。
【0073】
位置ずれ量取得部130は、第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbB、および第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの互いに対応する位置の位置ずれ量C11,C12を取得する。なお、位置ずれ量取得部130が行う処理は、第1から第3の実施形態における位置ずれ量取得部30と同一の処理であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0074】
なお、図9においては、第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbBとの位置ずれ量C11を取得する第1の位置ずれ量取得部130A、第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置ずれ量C12を取得する第2の位置ずれ量取得部130Bを備えるものとしているが、1つの位置ずれ量取得部130により第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbBとの位置ずれ量、および第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置ずれ量を取得するようにしてもよい。また、以降の説明において、第1および第2の位置ずれ量取得部130A,130Bを位置ずれ量取得部130により代表させるものとする。
【0075】
位置合わせ部140は、位置ずれ量C11,C12に基づいて、第2の骨部画像SbBおよび第2の軟部画像SbSを変形して、第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbB、および第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置合わせを行い、変形された第2の骨部画像SbB′および第2の軟部画像SbS′を生成する。なお、位置合わせ部140が行う処理は、第1から第3の実施形態における位置合わせ部40と同一の処理であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0076】
なお、図9においては、第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbBとの位置合わせを行う第1の位置合わせ部140A、第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置合わせを行う第2の位置合わせ部140Bを備えるものとしているが、1つの位置合わせ部140により第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbBとの位置合わせ、第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置合わせを行うようにしてもよい。また、以降の説明において、第1および第2の位置合わせ部140A,140Bを位置合わせ部140により代表させるものとする。
【0077】
加算合成部150は、変形された第2の骨部画像SbB′と変形された第2の軟部画像SbS′とを、相対応する画素間において加算することにより、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する。
【0078】
サブトラクション処理部160は、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sb′とを用いてサブトラクション処理を行い、サブトラクション画像を生成する。なお、第4の実施形態は、第1から第3の実施形態とは異なり、生成されるサブトラクション画像は、第1の放射線画像Saと第2の放射線画像Sb′との単純な相違を表す経時サブトラクション画像STとなる。
【0079】
次いで、第4の実施形態において行われる処理について説明する。図10は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず画像取得部10が第1および第2の放射線画像Sa,Sbを取得し(画像取得、ステップST31)、構造変換部120が、第1および第2の放射線画像Sa,Sbのそれぞれを、解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す構造物画像に分解し、第1の骨部画像SaBおよび第1の軟部画像SaS、並びに第2の骨部画像SbBおよび第2の軟部画像SbSを生成する(ステップST32)。続いて、位置ずれ量取得部130が、第1の骨部画像SaBおよび第2の骨部画像SbB間、並びに第1の軟部画像SaSおよび第2の軟部画像SbS間の位置ずれ量C11,C12を取得する(ステップST33)。そして、位置合わせ部140が、位置ずれ量C11,C12に基づいて、第2の骨部画像SbBおよび第2の軟部画像SbSを変形して、第1の骨部画像SaBと第2の骨部画像SbB、および第1の軟部画像SaSと第2の軟部画像SbSとの位置合わせを行い、変形された第2の骨部画像SbB′および第2の軟部画像SbS′を生成する(ステップST34)。
【0080】
さらに、加算合成部150が、変形された第2の帯域画像SbB′および第2の軟部画像SbS′を加算合成して、変形された第2の放射線画像Sb′を生成する(ステップST35)。そして、サブトラクション処理部160が、第1の放射線画像Saと変形された第2の放射線画像Sb′とを用いてサブトラクション処理を行い、第1の放射線画像Saと第2の放射線画像Sb′との相違を表すサブトラクション画像STを生成し(ステップST36)、処理を終了する。
【0081】
このように、第4の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを、そのそれぞれに含まれる解剖学的特徴が互いに異なる構造物を表す複数の画像に分解し、対応する構造物を表す画像毎に位置合わせを行い、位置合わせ後の画像を再構成して変形された第2の放射線画像Sb′を生成するようにしたものである。このため、第1および第2の放射線画像Sa,Sbに含まれる異なる複数の構造物が3次元的に異なる動きをしていても、構造物毎に位置合わせを行うことができる。したがって、第1の放射線画像Saおよび変形された第2の放射線画像Sbを用いてのエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、アーチファクトのない高画質のサブトラクション画像STを生成することができる。
【0082】
なお、上記第1から第4の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを用いたサブトラクション処理を行って、骨部画像BP、軟部画像SPあるいは経時サブトラクション画像STを取得しているが、第1および第2の放射線画像Sa,Sbを加算して、ノイズが低減された画像を取得する場合の位置合わせにも、本発明を適用できることはもちろんである。
【0083】
また、上記第1から第4の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの位置合わせを行っているが、異なるモダリティにより取得した2つの画像の位置合わせを行う場合にも本発明を適用することが可能である。具体的には、医療画像の分野においては、X線撮影装置の他、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波(US)診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、およびSPET(Single-Photon Emission Tomography)装置等の様々な技術を用いたモダリティが利用されていることから、これらのモダリティにより取得した2枚の画像の位置合わせを行うことが可能である。例えば、X線CT装置により取得したCT画像とMRI装置により取得したMRI画像、あるいはCT画像とPET装置により取得したPET画像との位置合わせを行うことができる。また、X線CT装置により造影剤を用いた撮影を行うこと場合があるが、造影剤の使用により変化する様子を撮影して複数のCT画像を取得し、これらのCT画像の位置合わせを行う場合にも本発明を適用することができる。
【0084】
なお、画像の各画素の画素値はモダリティ毎に固有の値を有するため、位置ずれ量を取得する際に、上記実施形態のように正規化相互相関値を用いたのでは、異なるモダリティにより取得した画像の位置ずれ量を精度よく算出することができない。このため、異なるモダリティにより取得した画像の位置合わせは、例えば「渡部浩司, “マルチモダリティの画像位置合わせと重ね合わせ,” 日本放射線技術学会雑誌, 第59巻, 第1号, pp.60-65, 2003.」(非特許文献2)に記載された、正規化相互情報量を類似度として用いて位置ずれ量を算出する手法を用いる。
【0085】
正規化総合情報量は、例えば特開2005−521502号公報および特開2009−195471号公報に記載された手法を用いて算出できる。相互情報量とは、信号Yが持っている信号Xに関する情報の量を定量化した尺度であり、正規化相互情報量NMI(X,Y)は、信号Xのエントロピーh(X)と信号Yのエントロピーh(Y)と信号XとYの2次元ヒストグラム(同時ヒストグラム、結合ヒストグラム、連合輝度ヒストグラム)Hist(x,y)を算出して、これらを用いて下記の式(3)により算出できる。信号Xのエントロピーh(X)は、信号Xの値(画素値)xの確率密度関数p(x)を用いて算出され、信号Yについても同様に信号Yのエントロピーh(Y)が算出される。
【数2】

【0086】
信号XとYが完全に独立である場合は、h(X,Y)=h(X)+h(Y)となり、独立でない場合は、h(X,Y)<h(X)+h(Y)となる。h(X,Y)のとりうる最小の値はh(X)あるいはh(Y)なので、正規化相互情報量NMI(X,Y)のとりうる範囲は1〜2である。本実施形態においては、正規化相互情報量のとりうる範囲を0〜1とするために、NM1(X,Y)−1を最終的な正規化相互情報量として算出する。これにより、信号XとYが完全に独立な場合にNMI(X,Y)=0となり、重複する情報量が増加するほど大きくなり、信号XとYが完全に等しい場合、すなわち、モダリティが異なる第1および第2の画像の対応するROIが完全に一致する場合にNMI(X,Y)=1となる。
【0087】
以上のようにして算出された類似度は、第1および第2の画像の位置ずれが大きいほど0に近い値となり、位置ずれが小さいほど1に近い値となる。したがって、位置ずれ量取得部30,130は、第1の画像および第2の画像のそれぞれに対して、対応する格子点上に所定サイズのROIを設定し、一方のROI(例えば第1の画像のROI)を第2の画像の対応するROIを基準とした所定範囲でずらしつつ、ROI間の類似度を算出する。そして、類似度が最も高くなったときのROI間のずれ量、すなわち第1の画像の格子点を基準とした、第2の画像の格子点のずれ量を、位置ずれ量として算出する。
【0088】
このようにして算出された位置ずれ量を用いることにより、異なるモダリティにより取得した画像を用いた上記第1から第4の実施形態による位置合わせを、精度よく行うことができる。
【0089】
また、上記第1から第4の実施形態、とくに第3の実施形態においては、再構成部54における再構成は、低周波数帯域の骨部帯域画像BP3および軟部帯域画像SP3から、高周波の骨部帯域画像BP1および軟部帯域画像SP3に向けて順次行われるが、すべての帯域画像が再構成されて骨部画像BPおよび軟部画像SPが生成されるまでは、演算に長時間を要する。その結果、骨部画像BPおよび軟部画像SPを表示するようにした場合、指示を行ったユーザは、骨部画像BPおよび軟部画像SPが表示されるまで、長時間待つ必要がある。
【0090】
このため、とくに第3の実施形態においては、図11に示すようにまず、最低の周波数帯域の骨部帯域画像BP3および軟部帯域画像SP3のみを用いて再構成された骨部画像BP3′および軟部画像SP3′を、サブトラクション処理部60に接続された、液晶ディスプレイ等の表示部200表示し、次いで骨部帯域画像BP3および軟部帯域画像SP3、並びに次の周波数帯域の骨部帯域画像BP2および軟部帯域画像SP2を用いて再構成された骨部画像BP2′および軟部画像SP2′を表示し、最後にすべての周波数帯域の骨部帯域画像BP1〜BP3および軟部帯域画像SP1〜SP3を用いて再構成された骨部画像BPおよび軟部画像SPを表示するようにしてもよい。
【0091】
これにより、解像度は低いものの、最終的な骨部画像BPおよび軟部画像SPが表示されるまで、ある程度の画質の骨部画像および軟部画像が表示されることとなるため、画像が表示されるまでユーザの待ち時間を低減できる。
【0092】
なお、第3の実施形態のみならず、第1の実施形態における変形された第2の放射線画像Sb′を表示する場合、第2の実施形態における変形成分画像Dbを表示する場合にも、再構成の各段階において生成される周波数帯域の画像を順次表示するようにしてもよいことはもちろんである。
【0093】
また、上記第1から第4の実施形態においては、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの大まかな位置合わせを行い、位置合わせ後の第1および第2の放射線画像Sa,sbを用いて、上記第1から第4の位置合わせを行うようにしてよい。以下、これを第5の実施形態として説明する。図12は本発明の第5の実施形態による位置合わせ装置の構成を示す概略ブロック図である。図12に示すように、本発明の第5の実施形態による位置合わせ装置1Cは、本発明の第1の実施形態による位置合わせ装置1に、初期位置合わせ部210を備えた点が第1の実施形態と異なる。
【0094】
初期位置合わせ部210は、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの位置ずれ量を取得し、例えばアフィン変換、または平行移動、拡大縮小および回転のいずれかによる比較的演算量が少ない変換により第2の放射線画像Sbを変形して、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの位置合わせを行うものであり、第1の実施形態が行う、解像度変換により取得された帯域画像の位置合わせを行うものとは異なる。そして、第5の実施形態においては、位置合わせがなされた第1および第2の放射線画像Sa,Sbを用いて、上記解像度変換部20、位置ずれ量取得部30、位置合わせ部40および再構成部50により、変形された第2の放射線画像Sb′を取得するものである。
【0095】
このように、第1および第2の放射線画像Sa,Sbの初期位置合わせを行うことにより、位置ずれ量取得部30および位置合わせ部40における位置合わせを行いやすくなるため、位置合わせの処理を高速に行うことができる。
【0096】
なお、上記第5の実施形態は第1の実施形態による位置合わせ装置に初期位置合わせ部210を設けているが、第2から第4の実施形態による位置合わせ装置に初期位置合わせ部210を設けるようにしてもよい。
【0097】
また、上記第1から第3の実施形態においては、再構成部50,52,54において再構成を行うに際し、位置ずれが小さい画素位置ほど大きい重みとなるように画素値を重み付けてして再構成を行うようにすればよい。具体的には、再構成時に帯域画像同志を加算する際に、位置ずれ量が小さい画素位置ほど大きい重みとなるように画素値を重み付けすればよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、本発明による画像位置合わせ装置を撮影コンソールに搭載しているが、撮影システムにネットワークを介して接続された画像処理ワークステーションや、画像保管通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)等に転送された画像データに対しての位置合わせ処理にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
10,110 画像取得部
20 解像度変換部
30,130 位置ずれ量取得部
40,140 位置合わせ部
50,52,54 再構成部
60,160 サブトラクション処理部
70 変形成分算出部
80 差分部
90 帯域画像サブトラクション処理部
120 構造分解部
150 加算合成部
210 初期位置合わせ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成する帯域画像生成手段と、
対応する周波数帯域の前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段とを備えたことを特徴とする画像位置合わせ装置。
【請求項2】
前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、前記位置ずれ量に基づいて変形する位置合わせ手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像位置合わせ装置。
【請求項3】
前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、変形された前記第1の画像および前記第2の画像の少なくとも一方を取得する再構成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の画像位置合わせ装置。
【請求項4】
前記再構成の途中段階において取得される周波数帯域の前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の画像位置合わせ装置。
【請求項5】
前記変形された前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像の少なくとも一方を用いたエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、前記被写体の主として第1の構造物を含む複数の第1の差分帯域画像および前記被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分帯域画像の少なくとも一方を取得するサブトラクション手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の画像位置合わせ装置。
【請求項6】
前記第1の差分帯域画像および前記第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波帯域から順次再構成して、前記被写体の主として第1の構造部を含む複数の第1の差分画像および前記被写体の主として第2の構造物を含む複数の第2の差分画像の少なくとも一方を取得する再構成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の画像位置合わせ装置。
【請求項7】
前記再構成の途中段階において取得される周波数帯域の前記変形された前記第1の差分帯域画像および前記第2の差分帯域画像の少なくとも一方を、低周波数帯域から高周波数帯域に段階的に表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の画像位置合わせ装置。
【請求項8】
前記第1および前記第2の画像の初期位置合わせを行う初期位置合わせ手段をさらに備え、
前記帯域画像生成手段は、初期位置合わせがなされた前記第1および第2の画像から前記複数の第1の帯域画像および前記複数の第2の帯域画像を生成する手段であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の画像位置合わせ装置。
【請求項9】
同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成し、
対応する周波数帯域の前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得することを特徴とする画像位置合わせ方法。
【請求項10】
同一被写体内の同一部位に関する第1および第2の画像のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成する手順と、
対応する周波数帯域の前記第1の帯域画像および前記第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−255060(P2011−255060A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133538(P2010−133538)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】