説明

画像処理による環境適応型侵入者検知装置

【課題】監視カメラの画像を用い、入力画像全体に対する環境変化による誤認識を防止しつつ、重要な施設や道路等の立ち入り禁止箇所への侵入者等を検知する。
【解決手段】画像処理による環境適応型侵入者検知装置を、侵入禁止区域及びその周辺部を撮像した入力画像を伝送するように構成された監視カメラ1と、監視カメラから入力画像を入力し記憶部へ保管する画像入力部21、入力画像を分割して複数の変化検査小領域を設定し、変化小領域と背景候補小領域とを検出する画像変化検出部22、背景候補小領域ごとに予め設定した条件に基づいて背景画像データの更新を行う逐次背景更新部23、画像変化検出部において出力された変化小領域に基づいて侵入物の検出を行う侵入物検出部24、侵入物検出部において検出された結果を出力する結果出力部25、および処理メモリ26を備える画像処理部2とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設や道路における立ち入り禁止箇所等への侵入者を検知する装置に関するもので、特に立ち入り禁止箇所を監視する監視カメラを設置して、その撮像した画像を処理することにより、画像中の立ち入り禁止箇所に侵入する人物等を検出する侵入者検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設や道路などの立ち入り禁止箇所に設置された監視カメラの映像を画像解析することにより立ち入り禁止区域への侵入物を検知するため、監視カメラと画像処理部により構成した侵入者検知装置がある(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3において開示される侵入者検知装置においては、監視カメラは立ち入り禁止区域を見渡せる位置に設置され、立ち入り禁止区域とその周辺部を撮像してその画像を画像処理部へ伝送する。そして、画像処理部は監視カメラの画像を入力し、画像を適当な小領域に分割し、一つ一つの小領域毎に予め取得しておく背景画像と入力画像中の対応する小領域の画像との相対計算を行い、その時間的な変化を基にして画像中の変化小領域と背景候補小領域を検出し、隣接する変化小領域を結合して変化検出領域を決定し、変化検出領域の幾何学的特徴量が予め設定した侵入物に対応する特徴量範囲内であるときに、その変化検出領域に侵入者が存在すると判断することにより、侵入物を検知してその画像中における位置を特定するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−252248号公報
【特許文献2】特開2007−233919号公報
【特許文献3】特開2007−041616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3においては、入力画像と予め設定する背景画像との比較を行い、立ち入り禁止区域等に侵入して監視カメラによって撮像された侵入物を背景画像との相違点として検出することで、侵入物を検知する構成としている。
【0005】
しかしながら、このような侵入者検知装置にあっては、監視カメラによって撮像する場所、即ち監視対象となる場所が、例えば屋内のように環境変化の少ない場所であれば、入力画像の撮像時と、該入力画像と比較される背景画像の撮像時とで環境(例えば、照度)の変化は少ないと考えられるが、監視対象となる場所が例えば屋外のように時間の経過に応じて日照の変化の影響を受けるなど環境変化の大きい場所であれば、時間の経過とともに環境が徐々に変化することによって入力画像の撮像時と背景画像の撮像時とで例えば画像全体における照度が異なることとなり、これによって誤った検知結果を出力する可能性があった。
【0006】
このようなことから本発明は、監視カメラの画像を用い、入力画像全体に対する環境変化による誤認識を防止しつつ、重要な施設や道路等の立ち入り禁止箇所への侵入者等を検知することが可能な画像処理による環境適応型侵入者検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、侵入禁止区域及びその周辺部を撮像した入力画像を伝送するように構成された監視カメラと、前記監視カメラから伝送された前記入力画像の解析を行なう画像処理部とを備えた画像処理による環境適応型侵入者検知装置において、前記画像処理部が、記憶手段と、前記監視カメラから前記入力画像を入力し前記記憶手段へ保管する画像入力手段と、前記入力画像を分割して複数の変化検査小領域を設定し、各々の前記変化検査小領域ごとに予め所得した背景画像の対応する領域との比較を行って前記背景画像との差異が予め設定した値より大きい領域を変化小領域として検出するとともに前記変化検査小領域の前記変化小領域とは異なる領域を背景候補小領域として検出する画像変化検出手段と、前記背景候補小領域ごとに予め設定した条件に基づいて逐次背景画像を取り直し、背景画像データの更新を行う逐次背景更新手段と、前記画像変化検出手段において出力された前記変化小領域に基づいて侵入物の検出を行う侵入物検出手段と、前記侵入物検出手段において検出された結果を出力する結果出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための第2の発明に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、第1の発明において、前記逐次背景更新手段が、各々の前記変化検査小領域に対応して時間を監視する機能を有する時計カウンタを備え、前記画像処理部の起動時に前記時間カウンタをリセットした後、経過時間を監視し、前記背景候補小領域として検出された小領域に対応する該時間カウンタが予め設定しておいた所定値に達した場合に、該当する前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを取り直すとともに前記背景画像データを取り出した前記背景候補小領域に対応する時間カウンタをリセットすることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための第3の発明に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、第2の発明において、前記逐次背景更新手段が、前記所定値として、各々の前記背景候補小領域に対してそれぞれ任意に設定される値を用いることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための第4の発明に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、第1の発明において、前記逐次背景更新手段が、前記変化検査小領域に対して予め設定する順位に基づいて前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを更新することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための第5の発明に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、第1の発明において、前記逐次背景更新手段が、相互に隣接する複数の前記小領域を一つのブロックとして前記入力画像中に複数の前記ブロックを設定し、前記ブロック及び該ブロック内の前記背景候補小領域の各々に対して予め順位を設定し、当該順位に基づいて前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、屋外環境のような時間経過に対する環境変化の大きな場所を監視対象場所とした場合でも、常時新しい背景画像データに入力画像との比較を行うことができ、環境変化に適応した正しい検知結果を得ることができる。
【0013】
また、時間経過に対する環境変化に適応し正しい検知結果を得ることができるため、日々の天気の変化に対応した連続運用可能な屋外監視システムを構築することができる。
【0014】
更に、環境変化に対応して自動的に監視装置が環境へ対応するため、天気が変わる毎に作業者がシステムの初期設定を行い直す必要がないため、利便性を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を以下に示す実施例において詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図3を用いて本発明の第1の実施例について説明する。図1は本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置の構成を示すブロック図、図2(a)は入力画像を変化検査小領域に分割する例を示す説明図、図2(b)は変化小領域及び背景候補小領域の例を示す説明図、図2(c)は変化検出領域の例を示す説明図、図3は本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置における処理の流れを示すフローチャートである。本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、施設や道路等の立ち入り禁止箇所に設置された監視カメラ映像を画像解析して立ち入り禁止区域への侵入者を検知するものである。
【0017】
図1に示すように、本実施例において、画像処理による環境適応型侵入者検知装置は、監視カメラ1と画像処理部2とを備えている。監視カメラ1は立ち入り禁止箇所を見渡せる位置に設置されて当該立ち入り禁止区域とその周辺部を撮像し、撮像した画像のデータを画像処理部2へ伝送する。また、画像処理部2は、監視カメラ1によって撮像された画像に対して解析処理を行って検知結果や処理状態を出力するものであり、少なくとも画像入力手段としての画像入力部21、画像変化検出手段としての画像変化検出部22、逐次背景更新手段としての逐次背景更新部23、侵入物検出手段としての侵入物検出部24及び結果出力手段としての結果出力部25の各処理部と、記憶手段としての処理メモリ26とを備えている。
【0018】
画像入力部21は監視カメラ1から該監視カメラ1によって撮像された画像(以下、入力画像という)のデータを入力し処理メモリ26へ保管する手段である。
【0019】
また、画像変化検出部22は処理メモリ26から画像データとして入力画像と予め取得しておいた背景画像のデータを取り出し、これらを比較して相違点(入力画像中の背景画像に対する変化)を検出し、検出した結果を小領域データとして処理メモリ26に保管する手段である。より詳しくは、図2(a)に示すように、画像変化検出部22では、処理メモリ26から取り出した入力画像3を分割して複数(同図では108個)の適当な小領域(以下、変化検査小領域という)31を設定し、一つ一つの変化検査小領域31ごとに、当該変化検査小領域31と該変化検査小領域31に対応する背景画像の領域との相関計算を行う。そして、相関値の時間的な変化を基にして入力画像3中に設定した変化検査小領域31の中から、侵入者4の存在や環境変化等により、変化の発生を検出した変化小領域(例えば、図2(b)中斜線で示す部分)31aと、背景画像との変化が少ない背景候補小領域(変化小領域31a以外の部分)31bとを検出し、変化小領域31aと背景候補小領域31bの情報を小領域データとして処理メモリ26に保管する。
【0020】
逐次背景更新部23は、予め設定した条件に基づいて逐次背景画像を更新する手段である。詳しくは、該逐次背景更新部23は、画像変化検出部22において設定した各変化検査小領域31に対応してそれぞれの変化検査小領域31に対応する背景画像の領域が更新されていない時間を監視する時間カウンタ(図示せず)を備える。そして、画像処理部2の起動に伴い処理メモリ26から入力画像のデータ及び小領域データを取り出す一方、上記時間カウンタをリセットした後、背景候補小領域31bとして検出された小領域に対応する時間カウンタを進め、この時間カウンタにおいて監視する経過時間が予め設定しておいた所定値に達した場合に、その背景候補小領域31bに対応する背景画像のデータを取り直すものである。なお、背景画像データを取り直した場合には、これと同時に該当する背景候補小領域31bに対応する時間カウンタをリセットするものとする。取得した背景画像データは処理メモリ26に保管する。
【0021】
また、侵入物検出部24は処理メモリ26から画像変化検出部22によって検出された変化の情報である小領域データを取り出し、該小領域データに基づいて侵入物を検出する手段である。より詳しく説明すると、侵入物検出部24では、処理メモリ26に保管されている小領域データを取り出し、図2(c)に示すように、入力画像3中の隣接する変化小領域31aを結合して変化検出領域31cを決定し、変化検出領域31cの幾何学的特徴量が予め設定した侵入物に対応する特徴量範囲内である時に、その変化検出領域31cに侵入物が存在すると判断することにより、侵入物を検知してその画像中における位置を特定する。特定した結果は、侵入物データとして処理メモリ26に保管する。
【0022】
また、結果出力部25は侵入物検出部24において検出された結果(本実施例では侵入物データ)等を出力する手段である。また、処理メモリ26には上記処理部21〜24から出力される各種データ及び背景画像等が保管される。背景画像は監視カメラ1によって撮像するのと同一の領域を予め撮像した画像である。
【0023】
以下、図3に基づいて図1に示す本実施例の画像処理部2による処理の流れを詳細に説明する。図3に示すように、本実施例において画像処理部2では、まず、上記時間カウンタをリセットする一方、画像入力部21によって監視カメラ1が撮像した立ち入り禁止箇所の画像データを入力する(ステップS101)。
【0024】
続いて、画像変化検出部22において入力画像を図2(a)に示すような複数の変化検査小領域31に分割し、画像変化検出部22において、上述したように、背景画像に対して入力画像に変化が生じている変化小領域31aと背景候補小領域31bとを検出する処理を行う(ステップS102)。
【0025】
その後、逐次背景更新部23において、画像変化検出部22が検出した背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域が更新されていない時間を監視し、時間カウンタによって監視している時間が予め設定した所定値に達したか否かを判定し、判定の結果、時間カウンタが予め設定した所定値に達したと判断された背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域に対し、例えばその時点で入力された入力画像の該背景候補小領域31bを背景画像データとして取り込む。一方、判定の結果、時間カウンタが予め設定した所定値に達していないと判断された背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域については現状の背景画像を維持する(ステップS103)。
【0026】
続いて、侵入物検出部24において入力画像3中の侵入物を検出する処理を行い(ステップS104)、最後に、結果出力部25において侵入物検出の有無を出力する処理を行う(ステップS105)。即ち、処理メモリ26から取り出した全体照度検出状態及び侵入物データに基づき、全体照度変化検出の有無、侵入物検知の有無および侵入物データ等を出力する。作業者は、例えば全体照度変化を検出した場合に侵入物検出処理を手動で復旧する等、必要に応じた対応を行うことができる。
【0027】
上述した本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置によれば、各変化検査小領域31に設けた時間カウンタによって背景候補小領域31bに対して時間の監視を行い、該時間カウンタが予め設定しておいた所定値に達する度に、その背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域に対して背景画像データを取り直すようにしたため、時間の経過に応じて徐々に小領域毎の背景画像データを更新することができ、屋外環境のような時間経過に対する環境変化が大きい場所を監視対象場所とした場合であっても、入力画像を常時新しい背景画像データと比較することができるので、環境変化に適応したより正確な検知結果を得ることができる。
【実施例2】
【0028】
(起動時にオフセット時間を設定する機能を追加した方法)
本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、実施例1の画像処理による環境適応型侵入者検知装置とは逐次背景更新部23における処理が異なる例である。具体的には、本実施例では、逐次背景更新部23において画像処理部2の起動時に時間カウンタをリセットする代わりに、図2(a)に示し上述した各変化検査小領域31に対応する各時間カウンタに対して背景画像を更新するまでの所定時間としてランダムなオフセット時間を設定するものである。その他の構成は実施例1において説明したものと概ね同様であり、重複する説明は省略する。
【0029】
本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置によれば、実施例1に示した装置の効果に加え、起動時に各小領域31の時間カウンタに対してランダムなオフセット時間を設定するため、各時間カウンタの値が様々となり、各々の背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域において同時に背景更新が実施されることを防止することができ、背景画像のデータを更新することによって侵入者検知の処理が途切れることを防止することができる。
【実施例3】
【0030】
(背景更新小領域を順次指定する方法)
図4を用いて本発明の第3の実施例を説明する。図4は本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置において背景更新を行う小領域を指定する例を示す説明図である。
【0031】
本実施例は、実施例1の画像処理による環境適応型侵入者検知装置とは逐次背景更新部23における処理が異なる例である。具体的には、本実施例では逐次背景更新部23において、図4に示すように、画像変化検出部22によって入力画像3に設定した複数の変化検査小領域31に対して背景画像データを更新する順番を指定し(図4では、まず1段目の左端から右端へ向かって順次指定し、一段目が終了したら同様に2段目、3段目の順にそれぞれ左端から右端へ向かって順次指定する)、指定された順に背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域について連続的又は断続的に背景画像を取り直すことにより、背景画像のデータを更新するものである。
【0032】
本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置によれば、背景取得を行う小領域として各小領域が指定される度にその領域の背景画像データを取り直すため、時間の経過に従って徐々に小領域毎の背景画像データが更新されるため、屋外環境のような時間経過に対する環境変化の大きな場所を監視対象場所とした場合でも、常時新しい背景画像データによる入力画像との比較を行うことができ、環境変化に適応した正しい検知結果を得ることができる。これに加え、実背景更新を行う小領域を順次指定するため、各小領域が同時に背景更新を行うことを確実に回避することができ、背景を更新することによって侵入物検知処理が途切れることを防止することができる。
【実施例4】
【0033】
(背景更新小領域をブロック別順次指定する方法)
図5を用いて本発明の第4の実施例を説明する。図5は本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置において背景更新を行う小領域を指定する例を示す説明図である。
【0034】
本実施例は、実施例1とは逐次背景更新部23における処理が異なる例である。具体的には、本実施例では逐次背景更新部23において、図5に示すように、複数(図5では9個)の小領域31を一つの領域(以下、ブロックという)32として入力画像3に複数(図5では9個)の該ブロック32を設定し、該ブロック32及び一つのブロック32内の背景候補小領域31bに対してそれぞれ背景を更新する順位を指定するものである。
【0035】
一例として図5に示す入力画像3を用いて詳しく説明すると、背景を更新する順位を、一つのブロック32内にある背景候補小領域31bに対しては、まず1段目(最上段)の左端から右端へ向かって順次指定し、一段目が終了したら同様に2段目、3段目の順にそれぞれ左端から右端へ向かって順次指定する。また、ブロック32に対しては、まず1列目(最左列)の上端から下端に向かって順次指定し、1列目が終了したら続いて2列目、3列目の順にそれぞれ上端から下端へ向かって順次指定するのである。
【0036】
即ち、まず、図5に示す入力画像3の左上のブロック32(仮にブロック32−1とする)内の全ての背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域について上述した順に背景画像データを取り直した後、続いて該ブロック32−1の下方に隣接するブロック32(仮にブロック32−2とする)内の全ての背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域について上述した順に背景画像データを取り直すというようにして、順次背景画像を更新する。
【0037】
上述した本実施例に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置によれば、実施例3に示した装置の効果に加え、背景候補小領域31bに対応する背景画像の領域に対してブロック32ごとに背景画像を取り直す順番を指定するようにしたため、背景画像においてデータを更新する領域が常に連続することを防止し、検知対象物がたまたま背景更新を行っている小領域に存在した場合でも、背景更新によって侵入物検出処理に影響を与えることなく、侵入物検知を精度よく実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、施設や道路における立ち入り禁止箇所等への侵入者を検知する装置に関するもので、特に立ち入り禁止箇所を監視する監視カメラを設置して、その撮像した画像を処理することにより、画像中の立ち入り禁止箇所に侵入する人物等を検出する侵入者検知装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は入力画像を変化検査小領域に分割する例を示す説明図、図2(b)は変化小領域及び背景候補小領域の例を示す説明図、図2(c)は変化検出領域の例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置における侵入者検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例3に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置における背景更新の指定順位の例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例4に係る画像処理による環境適応型侵入者検知装置における背景更新の指定順位の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 監視カメラ
2 画像処理部
3 入力画像
21 画像入力部
22 画像変化検出部
23 逐次背景更新部
24 侵入物検出部
25 結果出力部
26 処理メモリ
31 変化検査小領域
31a 変化小領域
31b 背景候補小領域
31c 変化検出領域
32 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵入禁止区域及びその周辺部を撮像した入力画像を伝送するように構成された監視カメラと、前記監視カメラから伝送された前記入力画像の解析を行なう画像処理部とを備えた画像処理による環境適応型侵入者検知装置において、前記画像処理部が、記憶手段と、前記監視カメラから前記入力画像を入力し前記記憶手段へ保管する画像入力手段と、前記入力画像を分割して複数の変化検査小領域を設定し、各々の前記変化検査小領域ごとに予め所得した背景画像の対応する領域との比較を行って前記背景画像との差異が予め設定した値より大きい領域を変化小領域として検出するとともに前記変化検査小領域の前記変化小領域とは異なる領域を背景候補小領域として検出する画像変化検出手段と、前記背景候補小領域ごとに予め設定した条件に基づいて逐次背景画像を取り直し、背景画像データの更新を行う逐次背景更新手段と、前記画像変化検出手段において出力された前記変化小領域に基づいて侵入物の検出を行う侵入物検出手段と、前記侵入物検出手段において検出された結果を出力する結果出力手段とを備えたことを特徴とする画像処理による環境適応型侵入者検知装置。
【請求項2】
前記逐次背景更新手段が、各々の前記変化検査小領域に対応して時間を監視する機能を有する時計カウンタを備え、前記画像処理部の起動時に前記時間カウンタをリセットした後、経過時間を監視し、前記背景候補小領域として検出された小領域に対応する該時間カウンタが予め設定しておいた所定値に達した場合に、該当する前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを取り直すとともに前記背景画像データを取り出した前記背景候補小領域に対応する時間カウンタをリセットすることを特徴とする請求項1記載の画像処理による環境適応型侵入者検知装置。
【請求項3】
前記逐次背景更新手段が、前記所定値として、各々の前記背景候補小領域に対してそれぞれ任意に設定される値を用いることを特徴とする請求項2記載の画像処理による環境適応型侵入者検知装置。
【請求項4】
前記逐次背景更新手段が、前記変化検査小領域に対して予め設定する順位に基づいて前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを更新することを特徴とする請求項1記載の画像処理による環境適応型侵入者検知装置。
【請求項5】
前記逐次背景更新手段が、相互に隣接する複数の前記小領域を一つのブロックとして前記入力画像中に複数の前記ブロックを設定し、前記ブロック及び該ブロック内の前記背景候補小領域の各々に対して予め順位を設定し、当該順位に基づいて前記背景候補小領域に対応する前記背景画像の領域の背景画像データを更新することを特徴とする請求項1記載の画像処理による環境適応型侵入者検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−169718(P2009−169718A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7738(P2008−7738)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】