説明

画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズム生成方法および装置、プログラムならびにプログラム記録媒体

【課題】 画像中の抽出対象部位と非抽出対象部位との分離能力が反映された評価値を用いた画像処理アルゴリズム評価方法を提供する。
【解決手段】 評価対象となる画像処理アルゴリズムを生成して(STEP1)、これを欠陥位置が既知の学習用画像データに対して適用して擬似欠陥を含む欠陥候補を抽出して各候補の特徴量を算出する(STEP2〜STEP5)、欠陥位置が既知であることに基づき欠陥候補を真欠陥と擬似欠陥に分類し(STEP6)、真欠陥群の特徴量と擬似欠陥群の特徴量の分離度を求め(STEP7)、求めた分離度に基づき画像処理アルゴリズムを評価する(STEP8)。そして、その評価値に基づいて画像処理アルゴリズムのパラメータを調整する(STEP11)ことにより画像処理アルゴリズムの生成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズム生成方法および装置、プログラムならびにプログラム記録媒体に関し、特に、画像データから所望の対象物を含む領域を抽出するための画像処理アルゴリズムの品質を評価する画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズム生成方法および装置、プログラムならびにプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)等の画像撮像デバイスやパーソナルコンピュータ等の画像処理機器の低価格化により、画像処理の適用分野が広がりつつある。とりわけ、産業分野における欠陥検査への画像処理の適用は広範に渡り、製品やデバイスの歩留まり、品質の向上や目視検査員削減によるコストダウンのためにますますその必要性を高めている。よって、現状では欠陥検査のために、対象とする製品やデバイスに合わせて多種多様な画像処理アルゴリズムが開発されている。これは、欠陥検査向けの画像処理アルゴリズムは欠陥対象毎に専用設計することが一般的であり、一度設計した画像処理アルゴリズムを他の欠陥検査に適用できない場合が多いことに起因する。つまり一度開発した画像処理アルゴリズムの再利用性はほとんど無く、適用分野および検査対象の拡大に比例して開発工数は増加してゆく。
【0003】
また、画像処理アルゴリズムの開発は、設計工程と調整工程から構成され、特に調整工程では各種のパラメータ変更とその評価を試行錯誤的に繰り返す。画像処理アルゴリズムの開発フローは、おおむね次の通りである。すなわち、対象とする欠陥を含む欠陥画像データサンプルおよび欠陥を含まない良品画像データサンプルをそれぞれ複数入手する。そして入手した欠陥画像データサンプルのうちから、検出が困難と思われる欠陥を含む欠陥画像データサンプルである限界欠陥画像データサンプルを選択する。そして、欠陥や背景の特徴から画像の正規化、ノイズ除去、2値化処理、2値画像形状計測などの基本となる画像処理の大まかな手順を決定する。ここまでが、画像処理アルゴリズムの開発における設計作業と位置付けられる。
【0004】
次に、上述の基本となる画像処理を限界欠陥画像データサンプルに適用した際に欠陥のみが検出されるように画像処理の手順を構成するフィルタの処理回数、フィルタ形状、およびしきい値などのパラメータの値の変更および変更後に評価を行なうことにより、ベースとなる画像処理アルゴリズムを作成する。ここにおいて評価とは、対象とする欠陥のみが検出され、他に何も検出されない場合が最良となるものである。さらに、限界欠陥画像データサンプルのみならず全ての欠陥画像データサンプルに含まれる欠陥が検出され、良品画像データサンプルからは何も検出されなくなるまでベースとなる画像処理アルゴリズムのパラメータの変更および評価を繰り返すことにより、画像処理アルゴリズムの開発を完了する。
【0005】
しかしながら、通常は全ての欠陥画像データサンプルに含まれる欠陥を検出し、全ての良品画像データサンプルから何も検出しない画像処理アルゴリズムを開発することは困難であり、一部の真欠陥が検出不可能であったり(未検出)、欠陥でない部位である擬似欠陥を検出する(過検出)ことは避けられない。ここで、検出すべき欠陥を真欠陥と呼び、検出すべきでない部位にもかかわらず欠陥と誤判定されて検出されたものを擬似欠陥と呼ぶ。さらに、未検出を避けるために画像処理アルゴリズムの欠陥検出感度を上げるようにパラメータの調整を行なうと過検出が発生し、過検出を避けるために同じく欠陥検出感度を下げると未検出が発生するという、いわば未検出と過検出の間にはトレードオフが存在する。これにより画像処理アルゴリズム開発におけるパラメータ調整と評価作業が非常に困難になっている。このように、画像処理アルゴリズムの開発においては、これらの経験的かつ試行錯誤的なパラメータ調整と評価作業に非常に多くの工数を要する。
【0006】
これらの手順を経て開発された画像処理アルゴリズムを導入した後にも、開発時に入手した欠陥画像データサンプルに含まれる欠陥の特徴量とわずかに特徴量が異なる欠陥が発生した場合や、背景画像のパターンや輝度が変動した場合に、過検出もしくは未検出が発生するため再度、画像処理アルゴリズムの調整作業が必要になる。よって、画像処理アルゴリズムの開発が完了し、一旦は導入に至ったとしても、経験的かつ試行錯誤的なパラメータ調整と評価作業はなくならないのである。
【0007】
このように、画像処理アルゴリズムは、その開発・導入において非常に多くの工数を必要とするため、画像処理適用分野の拡大にともない、画像処理アルゴリズムの自動生成手法の確立が切望されている。さらに、生成されるアルゴリズムは、導入後の多少の環境や対象の変動に対しても安定して動作する高品質なものであることが重要である。そのために、画像処理アルゴリズムの自動生成手法の確立に先立ち、画像処理アルゴリズムの品質を評価する手法の確立が最重要課題となる。
【0008】
画像処理アルゴリズムの評価を行ない、その評価結果に基づいて画像処理アルゴリズムを生成するための従来技術として、欠陥画像データサンプルに対して所望の欠陥のみを抽出した目標画像を、良品画像データサンプルに対しては何も抽出されない目標画像を、それぞれあらかじめ作業者が設定して、各画像データサンプルが画像処理アルゴリズムによって処理されたものである結果画像と各々の目標画像との差に基づき画像処理アルゴリズムの品質を評価し、その評価結果に基づいて画像処理アルゴリズムのパラメータ変更を行なう手法がある(たとえば、特許文献1参照)。また、画像処理アルゴリズムの品質を評価し、その評価結果に基づいて複数の画像処理アルゴリズム候補の中から適切なものを選択する手法がある(たとえば、特許文献2参照)。この手法は、良品画像データサンプルと欠陥画像データサンプルとの中庸の特性をもつ中間グレード画像データサンプルにおいて、良品画像データサンプルと欠陥画像データサンプルの各々に含まれる欠陥部位に作業者が順位を設定する。そして、各画像データサンプルについて画像処理アルゴリズムによって処理された後に算出された欠陥部位の特徴量とあらかじめ作業者が設定した順位との相関に基づき画像処理アルゴリズムの品質を評価し、その評価結果に基づいて複数の画像処理アルゴリズム候補の中から適切なものを選択する。
【0009】
画像データを入力して画像の特徴量を出力する感性モデルの入出力特性を決定するパラメータを、複数の対象画像データに基づき最適化するための構成も提案されている(たとえば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開2002−366929号公報
【特許文献2】特開平4−367982号公報
【特許文献3】特開2000−092611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の従来技術では、目標画像として欠陥画像データサンプルの画素ごとに目標となる達成濃度値を設定する。この設定は、欠陥部位に相当する画素の達成濃度値を取りうる濃度範囲内の最小値とし、欠陥部位に相当しない画素の達成濃度値を同じく最大値とするものである。通常はこのような達成濃度値に至るには2値化処理が必要となるが、この2値化処理では相当な画像情報量が失われる。この点について説明する。
【0011】
まず、欠陥画像データサンプルの濃度階調を256段階とし、欠陥画像データサンプルに含まれる欠陥部位の最大濃度が120であり、非欠陥部位の最小濃度が130であったと仮定する。このときの欠陥部位と非欠陥部位の濃度差は10である。ここにおいて、ある画像処理アルゴリズムにより欠陥画像データサンプル内の欠陥部位の最大濃度値が125に変換され、非欠陥部位の最小濃度値が126に変換された後に、しきい値126にて2値化処理が施された場合、欠陥部位は濃度値が最小となり非欠陥部位は濃度値が最大となる。したがって、変換前の欠陥画像データサンプルをしきい値121〜130で2値化した2値化処理結果画像データと、変換後の欠陥画像データサンプルをしきい値126で2値化した2値化処理結果画像データとは一致する。その結果、後者の2値化処理結果画像データは変換前の欠陥画像データサンプルを元に作成した目標画像と同等となり、評価値が最高となり、最良の画像処理アルゴリズムと誤判断される。
【0012】
つまり、実際にはこの画像処理アルゴリズムにより欠陥部位と非欠陥部位の濃度差は10から1に縮小されており、この画像処理アルゴリズムでは、画像データサンプルと比較して検査時の画像データの濃度変動が1以上発生した場合には欠陥部位と非欠陥部位の分離がうまくいかなくなる。そのため、本来は、画像処理アルゴリズムの品質は低いと判断すべきである。このような誤判断は、欠陥部位と非欠陥部位がどの程度の濃度差をもって分離されたのか考慮されないことに起因する。
【0013】
特許文献2に記載の従来技術では、欠陥を含む不良画像データサンプルと欠陥を含まない良品画像データサンプルとその中庸である中間グレード画像データサンプルそれぞれに対応して望ましい検査結果を相関モデルとして作業者が設定する。本従来技術では、画像処理アルゴリズムは各画像データサンプルに含まれる良品および不良品に対して特徴量を算出し、算出された特徴量と対応して設定されている相関モデルとの相関に基づき画像アルゴリズムの評価を行なっている。ここで、「望ましい検査結果」とは、一例として作業者が欠陥の程度が大きいと感じる欠陥に対しては特徴量の値が高くなり、逆に小さいと感じる欠陥もしくは良品に対しては特徴量の値が低くなるような、不良の程度にあわせた数値によるモデルである。これにより、作業者が明示的に示した良品と不良品の間の分離度が高い場合に、画像処理アルゴリズムの評価値が高くなる評価手法が実現可能となる。しかしながら、ここでは不良品を検出する際に副作用として誤検出される擬似欠陥に対しては評価がなされていない。
【0014】
一般に、真欠陥の検出漏れをなくすために欠陥検出感度を上昇させると、副作用として本来検出すべきでない部位を擬似欠陥として誤検出してしまう。つまり、高品質な画像処理アルゴリズムとは、真欠陥を検出するのみならず、真欠陥検出の副作用として誤検出される擬似欠陥についても考慮されており、両者の分離能力が十分に高いものでなければならない。しかしながら、上記のいずれの手法も暗示的に擬似欠陥を完全に消去した場合に画像処理アルゴリズムの評価が高くなるような画像処理アルゴリズム評価手法となっているため、擬似欠陥と真欠陥の分離をどの程度できるのかが評価値に反映されない。
【0015】
また、特許文献3では、「特徴量によって規定される所定の評価値」を算出するための対象となる「複数の画像データ」はあらかじめ決められている群から選択されている。そのため、上述の副作用を十分にカバーした評価とはなりえない。
【0016】
したがって、検出対象である真欠陥とそれを検出する際の副作用として誤検出される非検出対象の擬似欠陥との分離能力に優れる画像処理アルゴリズムに対して高い評価値を与える画像処理アルゴリズムの評価方法の提供が望まれていた。
【0017】
それゆえに、本発明の目的は、画像中の抽出対象部位と非抽出対象部位との分離能力が反映された評価値を用いた画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズム生成方法および装置、プログラムならびにプログラム記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明のある局面に従う画像処理アルゴリズム評価方法は、非検査画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき画像内の複数の任意の部分領域に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の対象部を被検査画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき1つ以上の対象部を指示するために外部から入力された所定情報を有する画像データを用いて評価する方法であって、以下の特徴を有する。
【0019】
つまり、画像データに対して画像処理アルゴリズムを適用した後に画像内の複数の任意部分領域を抽出する任意領域抽出工程と、
任意領域抽出工程により抽出された複数の任意部分領域それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
所定情報に基づき特徴量算出工程により特徴量を算出する複数の任意部分領域を対象部と残りを非対象部に分類する分類工程と、
分類工程で分類がされた対象部と非対象部の任意部分領域それぞれの、特徴量算出工程で算出された1種類以上の特徴量を、1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
特徴量プロット工程により所定領域上にプロットされた1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、対象部の任意部分領域の1種類以上の特徴量の群と非対象部の任意部分領域の1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
分離度算出工程により算出した分離度に基づき画像処理アルゴリズムの、複数の任意部分領域を所定情報により指示される対象部と残りの非対象部とに分離する性能を評価する評価工程とを備える。
【0020】
本発明に従えば、特徴量算出工程は被評価対象である画像処理アルゴリズムによって任意領域の特徴量を算出する。分類工程は、抽出対象部の所定情報を用いて、任意領域を抽出対象部と非抽出対象部に分類する。特徴量プロット工程は、1種類以上の特徴量で規定される所定領域の特徴量空間上に、任意領域それぞれの持つ1種類以上の特徴量の組みで示される点をプロットする。評価工程は、任意領域の抽出対象部の各々の特徴量を所定領域上にプロットした点群と、同じく非抽出対象部に対応の点群との分離度に基づく評価をしている。このように抽出対象部の特徴量と非抽出対象部の特徴量との差分または隔たりの程度が分離度として定量化されるので、抽出対象部と非抽出対象部を分離する画像処理アルゴリズムの性能の評価が可能となる。
【0021】
この発明の他の局面に従う画像処理アルゴリズム評価方法は、被検査画像を、画像を変換する前処理と特徴量を算出する後処理により処理する画像処理アルゴリズムについて評価する方法であって、以下の特徴を有する。
【0022】
つまり、方法は、被検査画像の画像データを処理して、第1前処理画像データに変換する第1前処理工程と、
第1前処理画像データを入力して処理し、第2前処理データに変換する第2前処理工程と、
第2前処理データに基づき特定される第2前処理データ内対象部に相当する、第1前処理画像データ内対象部を、特徴量を算出する対象として決定する特徴量算出対象部決定工程と、
第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する分類工程と、
分類工程で分類がされた抽出対象部と非抽出対象部の第1前処理画像データ内対象部それぞれの、特徴量算出工程で算出された1種類以上の特徴量を、1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
特徴量プロット工程により所定領域上にプロットされた1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、抽出対象部の第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量の群と非抽出対象部の第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
分離度算出工程により算出した分離度に基づき画像処理アルゴリズムの、第1前処理画像データ内対象部を所定情報により指示される抽出対象部と残りの非抽出対象部とに分離する性能を評価する評価工程とを備える。
【0023】
本発明に従えば、第1と第2前処理工程は、特徴量算出対象決定工程の前に実行される評価対象である画像処理アルゴリズムの一部工程に該当する。特徴量算出工程は被評価対象である画像処理アルゴリズムによって第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を算出する。分類工程は、第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する。したがって、対象部は外部から所定情報を与えることで所望するように決定できる。特徴量プロット工程は、抽出対象部と非抽出対象部の第1前処理画像データ内対象部それぞれの、特徴量算出工程で算出された1種類以上の特徴量を、1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする。評価工程は、画像処理アルゴリズムの、第1前処理画像データ内対象部を抽出対象部と残りの非抽出対象部とに分離する性能を評価している。このように所定領域上にプロットされた抽出対象部の特徴量の群と非抽出対象部の特徴量の群との差分または隔たりの程度が分離度として定量化されるので、抽出対象部と非抽出対象部を分離する画像処理アルゴリズムの性能の評価が可能となる。
【0024】
好ましくは、所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、特徴量プロット工程では、特徴空間において対象部と非対象部を、対象部と非対象部の任意部分領域それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする。
【0025】
この発明の他の局面に従う画像処理アルゴリズム生成方法は、上述の画像処理アルゴリズムの性能評価の基づいて画像処理アルゴリズムを生成する方法であって、前述の画像処理アルゴリズム評価の各工程を備え、さらに所定基準に基づいて、画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、完了判断工程により完了していないと判断されると、評価工程により出力された評価に基づいて画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更し、変更後の画像処理アルゴリズムを特徴量算出工程に出力する調整工程とを備える。
【0026】
好ましくは、前述の所定基準は、評価工程により出力された評価、または、該評価に要した時間に従う基準である。
【0027】
本発明に従えば、完了判断工程は、終了条件に基づいて画像処理アルゴリズムの生成を終了するか否かの判断を行なう。調整工程は、評価結果に基づいて画像処理アルゴリズムのパラメータ等の任意要素を変更して、変更後の画像処理モジュールを特徴量算出工程に出力する。
【0028】
ここで、評価手順は、抽出対象部の各々を特徴量を所定領域上にプロットした点群と、同じく非抽出対象部からなる点群との分離度に基づいている。抽出対象部と非抽出対象部の特徴量に関する差分、または隔たりの程度が分離度として定量化されて、分離度に基づく評価に従い画像処理アルゴリズムの任意要素が調整される。そのため、抽出対象部と非抽出対象部を最適に分離する、言い換えると最良の評価を得る画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。
【0029】
好ましくは、分離度は、所定領域上における、プロットされた抽出対象部の任意領域の特徴量の分布域と、プロットされた非抽出対象部の任意領域の特徴量の分布域との距離で規定される。
【0030】
好ましくは、所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、特徴量プロット工程では、特徴空間において抽出対象部と非抽出対象部を、抽出対象部と非抽出対象部の第1前処理画像データ内対象部それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする。
【0031】
好ましくは、特徴量プロット工程では、分類工程による分類結果が非抽出対象部に該当する任意領域を含まない場合に、仮想の非抽出対象部を特徴空間の任意位置にプロットされる。好ましくは、任意位置は特徴空間の原点、または無限遠点、または対象部の近傍点である。
【0032】
無限遠点にプロットすることにより、特に、非対象部が発生しないような画像処理アルゴリズムの評価値を上げて、非対象部が発生しにくい画像処理アルゴリズムは高く評価される。一般的に、背景が平坦な画像は非対象部は発生しにくい。そのため、非対象部が発生するような状況の評価の必要性は低いので、非対象部の発生状況を十分に評価しないこのような評価手法が有効となる。
【0033】
また、近傍点にプロットすることにより、特に、非対象部が発生しないような画像処理アルゴリズムの評価値を下げて、非対象部が発生しにくい画像処理アルゴリズムは低く評価される。一般的に、背景が複雑な画像は非対象部が発生しやすいため、擬似欠陥が発生するような状況の評価の必要性は高く、非対象部の発生状況を十分に評価するこのような評価手法が有効となる。
【0034】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムが提供される。
【0035】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体が提供される。
【0036】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムが提供される。
【0037】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、評価工程は、特徴量で規定される空間である所定領域上に、特徴量算出工程により算出された抽出対象部の1種類以上の特徴量の組みで示される点をプロットした点群と、非抽出対象部の1種以上の特徴量の組みで示される点をプロットした群との分離度によって評価値を算出しうる。このように、抽出対象部と非抽出対象部の特徴量についての分離度が定量化されるので、両者を分離することにより抽出対象部のみを抽出する画像処理アルゴリズムの性能評価が可能となる。
【0039】
また、本発明によれば、調整工程は評価工程により算出された画像処理アルゴリズムの抽出対象部と非抽出対象部の分離度に基づいて調整を行なう。このように、抽出対象部と非抽出対象部の分離度が定量化された評価値に基づいて画像処理アルゴリズムの任意要素、例えばパラメータの調整等を行なうので、両者を分離することにより抽出対象部のみを抽出する画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズム評価およびそれを用いた画像処理アルゴリズム生成のための処理手順が示されて、図2には本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズム生成装置の機能構成が示されて、図3には図2の装置が搭載されるコンピュータの構成が示される。
【0041】
(コンピュータの構成と記録媒体)
図3を参照してコンピュータは、ユーザが操作して外部から情報を入力するためのマウス110、キーボード350およびペン・タブレット360、CRT(陰極線管)や液晶などからなるモニタ310、該コンピュータ自体を集中的に制御するためのCPU(中央処理装置の略)312、ROM(Read Only Memory)またはRAM(ランダムアクセスメモリの略)を含んで構成されるメモリ324、ハードディスクなどの固定ディスク326、FD(フレキシブルディスク)332が着脱自在に装着されて、装着されたFD332をアクセスするFD駆動装置330、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)342が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM342をアクセスするC
D−ROM駆動装置340、およびインターネットを含む各種の有線又は無線の通信ネットワーク109と該コンピュータとを接続するための通信インターフェィス380を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。通信ネットワーク109を介して外部と各種の情報を送受信できる。受信する情報には処理対象となる画像データが含まれて、該画像データは例えば外部のカメラによって撮影された画像のデータであってもよい。
【0042】
図3のコンピュータには、カセット形式の磁気テープが着脱自在に装着されて磁気テープをアクセスする磁気テープ装置が設けられても良い。
【0043】
本実施形態の図1の手順で示した機能を実現するプログラムコードなどのデータを記録した記録媒体としては、図3に示されているコンピュータで処理が行なわれるために必要なメモリ、たとえばメモリ324のようなそのものがプログラムメディアであってもよいし、また外部記憶装置として図示のない磁気テープ装置およびCD−ROM駆動装置340などのプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体である図示のない磁気テープまたはCD−ROM342が挿入されることで読取可能なプログラムメディアであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムはCPU312がアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムが一旦記録媒体から読出されて、読出されたプログラムは、図3のコンピュータの所定のプログラム記憶エリア、たとえばメモリ324のプログラム記憶エリアにロードされて、CPU312により読出されて実行される方式であってもよい。このロード用のプログラムは、予め当該コンピュータに格納されているものとする。
【0044】
ここで、上述したプログラムメディアはコンピュータ本体と分離可能に構成される記録媒体であり、固定的にプログラムを担持する媒体であってよい。たとえば、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、FD332や固定ディスク326などの磁気ディスクやCD−ROM342/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD
(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカー
ドを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable and Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュ
ROMなどによる半導体メモリが適用可能であろう。
【0045】
また、本実施の形態においては、コンピュータはインターネットを含む通信ネットワーク109と通信インターフェイス380を介して接続可能な構成が採用されているから、通信ネットワーク109からプログラムがダウンロードされてもよい。なお、このように通信ネットワーク109からプログラムがダウンロードされる場合には、ダウンロード用プログラムは予め当該コンピュータ本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体から予め当該コンピュータ本体にインストールされる。
【0046】
なお記録媒体に格納されている内容としてはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0047】
また、コンピュータがこれら記録媒体から読出したプログラムコードを実行することにより、図1と図2に示す機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によってこれらの機能が実現されることは言うまでもない。
【0048】
さらに、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって図1と図2に示す機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0049】
図1および図2を用いて本実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価手順および生成手順、装置について概略説明し、その後、実際の学習用画像データをセットした際の本実施形態の動作について図を用いて説明する。ここでは、あらかじめ欠陥等の抽出対象物の画像内における位置データが作業者によって付与されている画像データを、学習用画像データと呼ぶ。
【0050】
(画像処理アルゴリズム評価の概略手順)
図1を参照して、任意の画像処理アルゴリズムに関して、画像内に含まれる抽出対象部位とそれ以外の部位の分離度を定量化することにより評価する手法について説明する。
【0051】
ここでいう画像処理アルゴリズムは、大きく前処理部と後処理部に分けることができるものである。前処理部は画像データ中の対象部位を強調する等の画像データ変換処理を含み、後処理部は強調された画像データ中の任意の領域の画像特徴量を算出する処理を含む。算出された特徴量に関して、しきい値を設けることにより該当する領域が対象部位か否かを判定することが可能となる。
【0052】
まず、図1において画像処理アルゴリズム評価手法に相当する部位は、STEP2〜STEP8である。同評価手法は、おおまかに学習用画像データ設定部(STEP2)、画像処理アルゴリズムを入力して、入力した画像処理アルゴリズムの前処理部による画像データ変換部(STEP3)、画像処理アルゴリズムの後処理部(STEP4、STEP5)、および画像処理アルゴリズム評価値算出部(STEP6〜STEP8)から構成される。なお、図4以降で、これらのフローに対して実際の学習用画像データを適用した場合の詳細な説明を行なう。
【0053】
STEP2では、画像処理アルゴリズム生成に用いる学習用画像データを学習用画像データ群の中から作業者が選択する。なお、学習用画像データ群は、あらかじめ欠陥等の抽出対象部位の画像内における位置データが作業者によって付与されている1つ以上の学習用画像データを含む。
【0054】
STEP3では、評価対象となる画像処理アルゴリズムを入力して、その前処理部を選択した学習用画像データに対して適用し、それにより処理後画像データを生成する。処理後画像データは、以降の画像処理が可能な形式に変換されたデータである。
【0055】
STEP4では、生成された処理後画像データ内から擬似欠陥部を含む欠陥候補部を抽出する。STEP5では、生成された処理後画像データ内の全ての欠陥候補部の特徴量を算出する。ここで特徴量とは、たとえば欠陥候補部と背景部のコントラストや、欠陥候補部の面積や形状、重心座標などが挙げられる。
【0056】
STEP6では、生成された処理後画像データ内の1つ以上の欠陥候補部を、真欠陥部と真欠陥以外の擬似欠陥部とに分類する。真欠陥部と擬似欠陥部の分類は、各欠陥候補部の位置データと学習用画像データにあらかじめ作業者によって付与されている真欠陥部の位置データとの比較に基づき実現される。
【0057】
STEP7では、欠陥候補部の中の分類結果が示す擬似欠陥群の特徴量分布と同じく真欠陥群の特徴量分布とに基づき、両者の分離度を算出する。擬似欠陥群と真欠陥群との分離度の算出手法については後述する。
【0058】
STEP8では、STEP7にて算出された分離度を正規化し、正規化された分離度を評価対象の画像処理アルゴリズムの評価値とする。
【0059】
(画像処理アルゴリズム生成の概略手順)
次に図1を参照して、画像処理アルゴリズムの評価手順を用いた画像処理アルゴリズム生成手順について説明する。
【0060】
一般に、画像処理アルゴリズムはいくつかの画像処理モジュールが連結されて構成される。さらに画像処理モジュールそれぞれはいくつかのパラメータを有する場合がある。ここで、画像処理モジュールは、たとえば最大値フィルタなどである。最大値フィルタは注目画素とその近傍領域の画素の持つ濃度値の最大のもので注目画素値を置き換える処理を指す。また、最大値フィルタの持つパラメータとしては、たとえば近傍領域を規定するパラメータが含まれて、該パラメータの値が3の場合はフィルタサイズは3画素×3画素と規定される。この場合は注目画素とその近傍の8画素がフィルタ処理の対象となる。同じくパラメータの値が5の場合はフィルタサイズは5画素×5画素と規定される。この場合は注目画素と注目画素の近傍の24画素がフィルタ処理の対象となる。画像処理アルゴリズムは種々の画像処理モジュールの組合せと、各画像処理モジュールの持つパラメータ値によって表現される。
【0061】
画像処理アルゴリズム生成方法は、画像処理アルゴリズム評価方法によって算出された評価値に基づいて、該画像処理アルゴリズムを構成する画像処理モジュールの組合せや、各画像処理モジュールが持つパラメータの値を変更する処理を繰返すことにより、より評価値の高い画像処理アルゴリズムを生成する方法である。なお、画像処理アルゴリズムを構成する1つ以上の画像処理モジュールは、作業者もしくはプログラム等によってあらかじめ生成されて登録されたものの中から選択されたものである。具体的には、生成された1つ以上の画像処理モジュールは固定ディスク326に格納されており、図1のフローチ
ャート実行開始時には固定ディスク326から読出されてメモリ324に格納される。
【0062】
図1を参照して、STEP1では初期画像処理アルゴリズムが生成される。つまり、図1のメモリ324に格納された画像処理モジュール群とそのパラメータ群から任意に選択された画像処理モジュールとパラメータとを組合わせて1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成する。
【0063】
STEP2〜STEP8では、STEP1で作成された1つ以上の画像処理アルゴリズムを全て評価し、各画像処理アルゴリズムについて評価値を算出する。
【0064】
STEP9では、1つ以上の画像処理アルゴリズムのうち、その評価値が最大となるものを最良の画像処理アルゴリズムと決定して、その評価値と、該画像処理アルゴリズムを構成する1つ以上の画像処理モジュールおよびパラメータの組合せを所定メモリに格納する(保存する)。具体的には、以降のSTEP10で終了条件が成立と判定されるまでの間は、STEP9の処理は繰返される。この繰返し時には、メモリに格納された画像処理アルゴリズムの評価値を超えた評価値を有する画像処理アルゴリズムが得られた場合にのみ、メモリ中の画像処理アルゴリズムを、より評価値の大きい新たな画像処理アルゴリズムで入替えを行なう。ただし、最良となる画像処理アルゴリズムの入れ替え基準は上記に制限されるものではない。たとえば、評価値に応じた確率分布に依存して入替えを実施するようにしてもよい。つまり、評価値が高い画像処理アルゴリズムほど高い確率で入替えの対象とされて、評価値が低い画像処理アルゴリズムはほとんど入替えの対象となることはない。これは最良の画像処理アルゴリズム決定のための解が局所解に陥らないように、採用条件(入替え条件)にランダム性を与えている。
【0065】
STEP10では終了条件が成立するか否かを判定して、成立する場合は画像処理アルゴリズムの生成処理は終了する。したがって、終了条件成立と判定した時点でSTEP9によりメモリに格納されている画像処理アルゴリズム、すなわち最大の評価値をもつ画像処理アルゴリズムが最良の画像処理アルゴリズムとなる。ここで、終了条件は、たとえばあらかじめ作業者やプログラム等によって設定された評価値の目標値を超える画像処理アルゴリズムが生成された場合や、後述する画像処理アルゴリズムのパラメータ値調整と画像処理アルゴリズムの再評価作業の繰返し回数が、作業者やプログラム等によって設定された規定回数を超えた場合などである。
【0066】
STEP11では、STEP1で生成された1つ以上の画像処理アルゴリズムそれぞれについて、その評価値に基づいて画像処理モジュールの組合せやパラメータ値の変更(調整)が行なわれる。変更(調整)がされた1つ以上の画像処理アルゴリズムは、STEP3の処理に対して出力される。STEP11における、ある評価値に基づいて画像処理モジュールの組合せやパラメータ値を最適化してゆく手法としては、たとえばGA(遺伝的アルゴリズム)によるものやSA(シミュレーティッドアニーリング)によるものなど多数提案されている。いずれも、評価値の高い組合せやパラメータ値に対して、それらの組合せや値をわずかに変動させて、より評価値の高いものを探索してゆくものである。なお、組合せの数やパラメータ値の取る範囲が十分に小さい場合は、STEP10の終了条件を満たさない範囲で、画像処理アルゴリズムの構成要素である画像処理モジュールの全ての組合せの数とパラメータ値を変動させた条件にて評価を行なうことが可能である。このように画像処理アルゴリズムの調整が完了すると、再度STEP3に戻り、調整済みの1つ以上の画像処理アルゴリズムをSTEP3の処理に対して出力して(与えて)、STEP2で設定した学習用画像データに対して適用して、以降同様の手順を繰返し実行することにより、画像処理アルゴリズムの生成を実現しうる。
【0067】
図1の手順ではSTEP2で1個の学習用画像データが設定されてるとしているが、複
数個の学習用画像データが設定されるとしてもよい。その場合には、設定された学習用画像データの数に応じて、図1のSTEP2〜STEP8の処理が並列して実行(または時分割に実行)されて、STEP9では、学習用画像データそれぞれを用いて算出された評価値の平均値(一例として平均値としたが、平均値以外でもよい)が最大となる画像処理アルゴリズムを、最良の画像処理アルゴリズムとしてメモリに格納する。
【0068】
(機能構成)
図2を参照して、図1に示す画像処理アルゴリズム評価手順、およびこれを用いた画像処理アルゴリズム生成手順を実現する装置の機能構成を説明する。
【0069】
図2を参照して装置は、画像データ入力部1、作業者に各種情報を提示するためのモニタ310に対応の表示部3、および画像データ入力部1と表示部3を接続する画像処理アルゴリズム生成部2を備える。画像処理アルゴリズム生成部2は画像処理装置に相当する。画像処理アルゴリズム生成部2は、学習用画像データ保存部21、抽出対象設定部22、画像処理アルゴリズムパラメータ調整部23、画像処理アルゴリズム性能評価部24、画像処理アルゴリズム生成完了判断部25および画像処理アルゴリズム保存部26を備える。
【0070】
画像データ入力部1は、メモリ324または固定ディスク326に格納された画像データを読出すことで入力する機能であってよく、また通信ネットワーク109を介して外部の装置から送信された画像データを通信インターフェィス380を介して受信することで入力する機能であってもよい。
【0071】
学習用画像データ保存部21は、メモリ30に複数の学習用画像データ31を格納する。学習用画像データ31は、画像データ32と対応の位置データ33とを含む。位置データ33は対応の画像データ32中の真欠陥部の座標位置情報を指す。メモリ30はメモリ324または固定ディスク326または可搬型の記憶媒体である例えばFD332に対応する。
【0072】
画像処理アルゴリズム保存部26はメモリ40に最良である画像処理アルゴリズムを構成する1つ以上の画像処理モジュール42と1つ以上のパラメータそれぞれの値43、および該画像処理アルゴリズムの評価値41を格納する。メモリ40はメモリ324に対応する。ここではパラメータの値43が格納されるとしたが、画像処理アルゴリズムによってはパラメータを含まない場合もあるので、メモリ40にはパラメータの値43が格納されない場合もある。
【0073】
画像データ入力部1によって取得された抽出対象となる1つ以上の真欠陥部を含む1つ以上の画像データ32は、学習用画像データ保存部21に格納される。抽出対象設定部22は、作業者がメモリ30から対象となる画像データ32を読出し表示部3に表示しながらマウス110、キーボード350およびペン・タブレット360の入力装置を用いて表示画像に対して所望の真欠陥部の位置座標を入力する機能を提供する。入力された座標位置情報は学習用画像データ保存部21に、対象となる画像データ32に対応して位置データ33として格納される。これにより学習用画像データ保存部21に学習用画像データ31が格納される。
【0074】
画像処理アルゴリズムパラメータ調整部23は、図1のSTEP1およびSTEP11で実施される機能を提供するものである。また、画像処理アルゴリズム性能評価部24は図1のSTEP3〜STEP8にて実施される機能を提供する。画像処理アルゴリズム生成完了判断部25は図1のSTEP10で実施される機能を持つ。画像処理アルゴリズム保存部26は、図1のSTEP9で実施される画像処理アルゴリズム保存処理時における
最良の画像処理アルゴリズムを格納するために機能する。
【0075】
(学習用画像データへの画像処理アルゴリズム評価手順の適用)
図4を参照して、学習用画像データへの画像処理アルゴリズム評価手順の適用について概略説明する。本実施形態における画像処理アルゴリズムは、画像を変換する前処理部と変換された画像から所望の部位の特徴量を算出する後処理部から構成されている。図4では、画像処理アルゴリズムを適用する前の学習用画像データ31、学習用画像データ31に画像処理アルゴリズムの前処理部を適用した結果を示す画像データ31A、および画像データ31Aに後処理を適用した結果を示すデータ31Bが示される。
【0076】
学習用画像データ31において、直交する斜線で示された部位は抽出対象の真欠陥部51と52を示し、左下がりの斜線で示された部位は背景70を示し、右下がりの斜線で示された部位は背景部位とは異なる特徴を持つが抽出対象とはならない部位(これを擬似欠陥候補部61〜64と呼ぶ)である。また、これまでに説明したとおり、学習用画像データ31には抽出対象となる真欠陥部51と52の位置データ33が作業者によりあらかじめ付与されているものとする。
【0077】
画像データ31Aでは、真欠陥部51と52は垂直線と水平線の直交する部位であり、背景70は水平線で示される部位であり、擬似欠陥候補部62〜64は垂直線で示される部位である。なお、画像データ31Aの擬似欠陥候補部61は画像処理アルゴリズムの前処理により特徴が十分に弱められて、背景70との差がほとんどなくなっている。
【0078】
データ31Bでは、画像データ31A内の真欠陥部51と52および擬似欠陥候補部61〜64の特徴量CH1および特徴量CH2を算出し、算出した値を、特徴量CH1および特徴量CH2の2次元座標にプロットしたものを示す。データ31Bでは真欠陥部51と52の値は太実線の○(正円)で、擬似欠陥候補部61〜64の値は細点線の○(正円)でプロットされている。
【0079】
学習用画像データ31に依存して擬似欠陥候補部が抽出されない場合は、仮想の擬似欠陥候補部として、データ31Bの任意座標における特徴量をプロットする。
【0080】
たとえば、図5(A)のようにデータ31Bの2次元座標の原点を仮想の擬似欠陥候補部として、原点の特徴量がプロットされるとすることも可能である。ここで、画像処理アルゴリズム評価値は、データ31Bの2次元座標における真欠陥群と擬似欠陥候補群との特徴量同士の分離の程度(分離度S)により規定される。
【0081】
また、たとえば、図5(B)のようにデータ31Bの2次元座標の原点から無限に遠い点(特徴量CH1の無限大および特徴量CH2の無限大で規定される2次元座標値の点)を仮想の擬似欠陥候補部としてプロットされることも可能である。
【0082】
また、たとえば、図5(C)のようにデータ31Bの2次元座標の真欠陥部の近傍点を仮想の擬似欠陥候補部としてプロットされることも可能である。ここで、真欠陥部の近傍点とは、たとえば2次元座標の1つ以上の真欠陥の座標の中央値を中心とした同心楕円の内部の点であり、当該同心楕円上もしくは外部に少なくとも1点のプロットされた真欠陥部を含むものとする。
【0083】
図5(A)のように原点に仮想の擬似欠陥候補部をプロットするケースについて図5(D)を参照して説明する。図5(D)のように、本来の特徴量CH1とCH2の2次元座標の空間が定義されると想定すると、画像データ31Bに対して画像処理を施し、かつ何らかのしきい値処理を施すと実線の○で示す真欠陥部は特徴量CH1’とCH2’の2本の座標軸で示す2次元座標の斜線で示す正領域の部分31Cにプロットされる。ここで、特徴量CH1とCH2の2次元座標の空間と特徴量CH1’とCH2’の2次元座標の空間との位置関係は図示されるものに限定されない。
【0084】
部分31Cに点線○の擬似欠陥候補部がプロットされない場合には、擬似欠陥候補部は、特徴量CH1’とCH2’の2次元座標の部分31Cを除いた領域にプロットされている。しかしながら、しきい値調整によって矢印A方向に特徴量CH1’とCH2’の座標軸が移動したり、画像処理の変更により特徴量CH1とCH2の空間に対する特徴量CH1’とCH2’の空間の位置が変わると、擬似欠陥候補部は部分31Cにおいてプロットされる場合がある。
【0085】
ここで、擬似欠陥候補部が部分31Cにプロットされていない場合とは、擬似欠陥候補部が部分31C以外の領域においてプロットされて、そのプロット位置は観測できないために、真欠陥部との距離を計算することができない状態を指す。そのような状態において、距離Sが小さくなるようなワーストケースとして、特徴量CH1とCH2の空間と特徴量CH1’とCH2’の空間の境界であり、かつ各特徴量の重みを考慮した位置において、すなわち特徴量CH1’とCH2’の2次元座標の原点において擬似欠陥部がプロットされていると仮定することができる。
【0086】
図5(B)のように無限遠点にプロットすることにより、特に、擬似欠陥が発生しないような画像処理アルゴリズムの評価値を上げて、擬似欠陥が発生しにくい画像処理アルゴリズムは高く評価される。一般的に、背景が平坦な画像は擬似欠陥が発生しにくいため、擬似欠陥が発生するような状況の評価の必要性は低いため、擬似欠陥の発生状況を十分に評価しないこのような評価手法が有効となる。
【0087】
図5(C)のように近傍点にプロットすることにより、特に、擬似欠陥が発生しないような画像処理アルゴリズムの評価値を下げて、擬似欠陥が発生しにくい画像処理アルゴリズムは低く評価される。一般的に、背景が複雑な画像は擬似欠陥が発生しやすいため、擬似欠陥が発生するような状況の評価の必要性は高く、擬似欠陥の発生状況を十分に評価するこのような評価手法が有効となる。
【0088】
上述の図5(A)〜(C)では、分離度Sを求めるために、データ31Bについて2種類の特徴量CH1とCH2で規定される2個の座標軸で規定される座標空間(座標平面)を用いているので、真欠陥部および擬似欠陥候補部は2次元のベクトル(平面ベクトル)によって張られる2次元特徴空間上(平面)でプロットされた。しかし、適用される特徴空間は座標平面に限定されない。たとえば、1種類の特徴量で規定される1次元の座標軸上で規定されてもよいし、図6で示すようなd(≧3)個の特徴量の各座標軸で規定される座標空間で規定されてもよい。
【0089】
図6の座標空間は、d次元の空間ベクトルによって張られる特徴空間である。今、STEP5においてd個の特徴量CHj(j=1,2,3,…,d)を算出して、算出されたd個の特徴量を用いることにすると、図6では、真欠陥部および擬似欠陥候補部はd次元の特徴ベクトルCHによって張られる特徴空間上でプロットされる。なお、特徴ベクトルCH=(CH1、CH2、…,CHj、…CHd)(tは転置を示す)と示される。
【0090】
図6の特徴空間上において、真欠陥部について特徴ベクトルCHで定まる位置にプロットされた点の分布域である例えばクラスW1と、擬似欠陥候補部について特徴ベクトルCHで定まる位置にプロットされた点の分布域である例えばクラスW2が観測される。したがって、当該特徴空間におけるクラスW1とW2の距離に従い分離度Sを求めることができる。
【0091】
図6の特徴空間についても、図5(A)〜(C)に示したように学習用画像データ31に依存して擬似欠陥候補部が抽出されない場合は、仮想の擬似欠陥候補部として、データ31Bの任意座標における特徴量をプロットする。たとえば、データ31Bの特徴空間の座標の原点(O)を仮想の擬似欠陥候補部として、図6の原点(O)の特徴量がプロットされるとすることも可能である。また、たとえば、図5(B)のように、図6の原点(O)から無限に遠い点(各特徴量CHjの無限大で規定される特徴空間上の1点)を仮想の擬似欠陥候補部としてプロットされることも可能である。また、たとえば、図5(C)のように、図6のデータ31Bの特徴空間の真欠陥部(クラスW1)の近傍点を仮想の擬似欠陥候補部としてプロットされることも可能である。
【0092】
(画像処理アルゴリズムの前処理部と後処理部の手順)
図7(A)〜(G)を参照して、画像処理アルゴリズムの前処理部と後処理部の手順を説明する。
【0093】
図7(A)は画像処理アルゴリズムを適用する前の学習用画像データ31であり、図4の学習用画像データ31に相当する。図7(B)は図7(A)の学習用画像データ31に付与される抽出対象となる真欠陥部51と52の座標を示す位置データ33を太線矩形枠511と521によって示す。ここでは一例として、作業者は表示部3に表示された学習用画像データ31の画像に対してマウス110等の入力機器で抽出対象となる真欠陥部51と52を矩形領域にて囲むことにより位置データ33の設定(入力)が可能となっている。
【0094】
図7(C)は図7(A)の学習用画像データ31に対して画像処理アルゴリズムの前処理を適用した後の画像データ31Aを示しており、図4の画像データ31Aに相当する。
【0095】
図7(D)は図7(C)の画像データ31Aに対して、あるしきい値を適用して2値化することにより欠陥候補部を抽出した後の画像データを示す。図7(D)では、対象とする真欠陥部51と52の2箇所に加えて、対象としない擬似欠陥候補部82〜84の3箇所が濃度値最大部として抽出されている。図7(C)では、背景70が濃度値大(白に近い)、真欠陥部51と52が濃度値小(黒に近い)にて表現されており、2値化しきい値以下のものが図7(D)の黒色領域として抽出される。擬似欠陥候補部62〜64に対応の擬似欠陥候補部82〜84は真欠陥部51と52より濃度値が大きいため、濃度値最大部位として抽出される。
【0096】
なお、2値化のためのしきい値は、任意の初期値から2値化処理を繰返す毎に変更される。つまり、初期のしきい値にて画像データ31Aに作業者が指定した抽出対象部位と抽出された部位(図7(B)の矩形領域)とを画素単位で座標を照合する。照合の結果、作業者が指定した抽出対象部位に矩形領域外の擬似欠陥候補に相当する部位が含まれない場合はさらにしきい値を下げ、多く含まれる場合はしきい値を上げて、2値化処理を繰返す。これにより、図7(D)のような擬似欠陥候補に相当する部位の特定が可能となる。
【0097】
なお、欠陥候補部を抽出する手法はこれに限定されるものではなく、被評価対象となる画像処理アルゴリズムの欠陥候補領域抽出機能に依存するものである。
【0098】
図7(E)は図7(D)により抽出された部位に相当する領域を含む矩形領域512、522、621、631、641が設定される。なお、矩形領域の大きさは、たとえば図7(D)中の抽出された擬似欠陥候補部82〜84(62〜64)と真欠陥部51と52の各領域の水平方向の長さおよび垂直方向の長さに基づいて決定する。
【0099】
図7(F)は、図7(E)の矩形領域512、522、621、631、641で囲まれている部位と、図7(B)において作業者が指定した抽出対象部位の矩形枠511と521とを照合することにより、矩形領域512、522、621、631、641で囲まれている部位それぞれが、抽出対象の真欠陥部(矩形枠511と521の部位)または抽出対象でない擬似欠陥部のいずれに属するかを決定する。その結果、図7(F)の太実線枠513と523で囲まれた2つの領域が真欠陥部であり、細点線枠622、632、642で囲まれた3つの領域が擬似欠陥部と決定される。
【0100】
図7(G)は分離度を説明するためのデータを示す。図7(G)のデータは、図7(F)で決定された(抽出された)真欠陥部51と52および擬似欠陥候補部62〜64のそれぞれについて、その特徴量CH1とCH2を算出して、算出した値を、特徴量CH1とCH2の2次元座標にプロットしたものを示す。ここで、特徴量CH1として、たとえば図7(F)の矩形枠内における部位のうち、図7(D)にて抽出された部位に相当する部位と、それ以外の部位との、濃度差に基づき定義した特徴量を用いる。また、特徴量CH2として、たとえば図7(F)の矩形枠内の楕円部分の面積を用いているが、図7(D)にて抽出された対応部位の面積に相当するものを用いるようにしてもよい。
【0101】
なお、特徴量CH1とCH2は上記のような種類のものに限定されるものではなく、またその算出方法も上述のものに制限されない。例えば1個の特徴量のみを用いて分離度を測るには1次元軸上に特徴量をプロットする、プロットする特徴量は上述の濃度差または面積の値となる。また、2次元座標にプロットする場合には、特徴量CH1とCH2は濃度差と面積となる。
【0102】
このように、画像処理アルゴリズムの前処理および後処理によって真欠陥部および擬似欠陥部の特徴量CH1とCH2が算出される。
【0103】
(画像処理アルゴリズム評価値の算出手順)
図8(A)〜(C)と図9(A)と(B)を参照して、特徴量の分布状況より、画像処理アルゴリズムの評価値を算出する手法について説明する。
【0104】
図8(A)は画像処理アルゴリズムによって算出された真欠陥部の特徴量CH1とCH2を実線○で、擬似欠陥部の特徴量CH1とCH2を点線○で、特徴量CH1および特徴量CH2の2次元座標上にプロットしたものである。ここでは、説明のために真欠陥部および擬似欠陥部ともに、それぞれ9〜10個程度を表示している。ここでは、9〜10個程度の実線○を真欠陥群、9〜10個程度の点線○を擬似欠陥群と呼ぶものとする。
【0105】
画像処理アルゴリズムの評価値を規定する真欠陥群と擬似欠陥群の分離度Sについて説明する。図8(B)では、2次元座標上で真欠陥群の中で最も擬似欠陥の近くに位置するものと、擬似欠陥群の中で最も真欠陥の近くに位置するものとの間の距離Mによって分離度Sを規定することを示す。なお、距離Mを計測するための軸(図8(B)の矢印線L)は、ここでは例えば真欠陥群と擬似欠陥群の主成分軸に相当するものを選択している。
【0106】
図9(A)と(B)を参照して主成分軸について説明する。図9(A)と(B)では○の真欠陥群の特徴量の分布域を示す領域MC1と×の擬似欠陥群の特徴量の分布域を示す領域MC2と関わりを持ちながら、2次元座標上に分布する各群を1次元軸上に投影する直線軸であって、両領域の分離の程度を最大とするような軸を主成分軸という。図9(A)のように領域MC1とMC2が1次元座標上で明確に分離していない(真欠陥と擬似欠陥の分類があいまいである)場合には分離度Sは低くなり、図9(B)のように領域MC1とMC2が1次元座標上で明確に分離している(真欠陥と擬似欠陥が明確に分類されている)場合には分離度Sは高くなる。したがって、分離度Sが高いほど適用した画像処理アルゴリズムの評価は高くなろう。
【0107】
また、分離度Sは別の手順で求めても良い。たとえば、図8(C)は、真欠陥群の分散値をσt、擬似欠陥群の分散値をσf、全ての欠陥群の分散値をσaとして、式1に従い分離度Sを算出することを示している。さらに、これらの線形和として式2に従い算出することも可能である。
【0108】
S=σa/(σf×σt)・・・(式1)
S=α×M+β×(σa/(σf×σt))・・・(式2)
分離度Sを規定する図8(B)の距離Mは、最も真欠陥群に近い擬似欠陥(限界良品)と、最も擬似欠陥群に近い真欠陥(限界欠陥)との間の距離で定義した。これに対して、(式1)は統計的に真欠陥群と擬似欠陥群の分離度を定義する。(式1)では分母の値が小さいほど分離度Sの値は大きくなる。このことは、真欠陥群および擬似欠陥群が2次元座標上でそれぞれ広範に分布するのではなく、狭い範囲で分布するほうが分離度Sが高いことを示す。また、(式1)の分子の値が大きいほど分離度Sの値は大きくなるが、これは真欠陥群と擬似欠陥群との間の距離が大きくなるほど分離度Sが高くなることを示す。
【0109】
また、(式2)の係数αおよびβは各項の重付け係数であり、実験により決定される。なぜならば、どちらの評価(α:距離Mのみでの評価、β:統計的な評価)を重視するべきかは利用シーンに依存するからである。
【0110】
分離度Sを規定する方法は上述のものに制限されるものではない。上記(式1)に代替してS=σa/(σf+σt)・・・(式1A)を用いても良い。また、分離度Sの値が大きいものを最良とする場合には(式1)または(式1A)を用いるが、分離度Sの値が小さいものを最良とする場合には、S=(σf×σt)/σaまたはS=(σf+σt)/σaを用いても良い。
【0111】
また分離度Sの値が大きいものを最良とする場合には上記(式2)を用いるが、分離度Sの値が小さいものを最良とする場合には(式2)に代替して1/S=α×(1/M)+β×(1/(σa/(σf×σt)))を用いても良い。
【0112】
また、分離度Sにより決定される画像処理アルゴリズムの評価値は、画像処理アルゴリズムの利用形態に応じて、処理速度や、実装の難易度や、メモリ・CPUなどのリソースの使用量などを用いて、必要に応じて正規化を行なうことも可能である。
【0113】
本実施の形態においては、画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズムの生成方法および装置として2次元の欠陥検査用画像データに対して適用する場合を想定しているが、これに限定されない。つまり、欠陥検査に限らず、画像データからなんらかの注目物のデータを抽出する場合にも適用可能であり、多数の画像サンプルの中から注目物を含む画像を抜き出す場合にも適用可能である。また、適用される画像データについても、たとえば音声などの1次元信号への適用についても同様の効果を発揮する。
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価、およびその評価値に基づく画像処理アルゴリズム生成のための処理フローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価に基づく画像処理アルゴリズム生成装置の構成図である。
【図3】図2の装置を搭載するコンピュータの構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価手順を、実際の画像に適用した場合の説明図である。
【図5】(A)〜(D)は、仮想の擬似欠陥候補部として任意座標における特徴量をプロットする状態を説明する図である。
【図6】3次元以上の特徴量空間における特徴量のプロットを例示する図である。
【図7】(A)〜(G)は、本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価手順の前処理および後処理を、実際の画像に適用した場合の説明図である。
【図8】(A)〜(C)は、本発明の実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価における評価値算出手順を説明する図である。
【図9】(A)と(B)は、評価値算出に係る分離度を規定するための主成分軸を説明する図である。
【符号の説明】
【0116】
1 画像データ入力部、2 画像処理アルゴリズム生成部、3 表示部、51,52 真欠陥部、61,62,63,64 擬似欠陥候補部、CH1,CH2 特徴量、S 分離度、M 距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の任意の部分領域に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の対象部を前記被検査画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の対象部を指示するために外部から入力された所定情報を有する画像データを用いて評価する方法であって、
前記画像データに対して前記画像処理アルゴリズムを適用した後に前記画像内の複数の任意部分領域を抽出する任意領域抽出工程と、
前記任意領域抽出工程により抽出された前記複数の任意部分領域それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出工程により前記特徴量を算出する前記複数の任意部分領域を前記対象部と残りを非対象部に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類がされた前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれの、前記特徴量算出工程で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
前記特徴量プロット工程により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群と前記非対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記複数の任意部分領域を前記所定情報により指示される前記対象部と残りの前記非対象部とに分離する性能を評価する評価工程とを備える、画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項2】
前記分離度は、前記所定領域上における、プロットされた前記対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の分布域と、プロットされた前記非対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の分布域との距離で規定されることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項3】
前記所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、
前記特徴量プロット工程では、前記特徴空間において前記対象部と前記非対象部を、前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする、請求項1に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項4】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点にプロットすることを特徴とする、請求項3に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項5】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点から無限遠点にプロットすることを特徴とする、請求項3に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項6】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の前記対象部の近傍点にプロットすることを特徴とする、請求項3に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項7】
被検査画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の任意の部分領域に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の対象部を前記被検査画像から抽出する画像処理アルゴリズムについての、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の対象部を指示するために外部から入力された所定情報を有する画像データを用いた評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを生成する方法であって、
入力する前記画像処理アルゴリズムを前記画像データに対して適用した後に前記画像内の複数の任意部分領域を抽出する任意領域抽出工程と、
前記任意領域抽出工程により抽出された前記複数の任意部分領域それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出工程により前記特徴量を算出する前記複数の任意
部分領域を前記対象部と残りを非対象部に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類がされた前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれの、前記特徴量算出工程で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
前記特徴量プロット工程により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記抽出対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群と前記非抽出対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記複数の任意部分領域を前記所定情報により指示される前記対象部と残りの前記非対象部とに分離する性能の評価を出力する評価工程と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、
前記完了判断工程により完了していないと判断されると、前記評価工程により出力された前記評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更し、変更後の前記画像処理アルゴリズムを前記特徴量算出工程に出力する調整工程とを備える、画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項8】
前記所定基準は、前記評価工程により出力された前記評価、または、該評価に要した時間に従う基準であることを特徴とする、請求項7に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項9】
前記分離度は、前記所定領域上における、プロットされた前記対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の分布域と、プロットされた前記非対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の分布域との距離で規定されることを特徴とする、請求項7に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項10】
前記所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、
前記特徴量プロット工程では、前記特徴空間において前記対象部と前記非対象部を、前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする、請求項7に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項11】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点にプロットすることを特徴とする、請求項10に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項12】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点から無限遠点にプロットすることを特徴とする、請求項10に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項13】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の前記対象部の近傍点にプロットすることを特徴とする、請求項10に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項14】
被検査画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の任意の部分領域に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の対象部を前記被検査画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の対象部を指示するために外部から入力された所定情報を有する画像データを用いて評価する装置であって、
前記画像データに対して前記画像処理アルゴリズムを適用した後に前記画像内の複数の任意部分領域を抽出する任意領域抽出手段と、
前記任意領域抽出手段により抽出された前記画像の複数の任意部分領域それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出手段により前記特徴量を算出する前記複数の任意部分領域を前記対象部と残りを非対象部に分類する分類手段と、
前記分類手段で分類がされた前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれの、前記特徴量算出手段で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット手段と、
前記特徴量プロット手段により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群と前記非対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記複数の任意部分領域を前記所定情報により指示される前記対象部と残りの前記非対象部とに分離する性能を評価する評価手段とを備える、画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項15】
被検査画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の任意の部分領域に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の対象部を前記被検査画像から抽出する画像処理アルゴリズムについての、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の対象部を指示するために外部から入力された所定情報を有する画像データを用いた評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを生成する装置であって、
入力する前記画像処理アルゴリズムを前記画像データに対して適用した後に前記画像内の複数の任意部分領域を抽出する任意領域抽出手段と、
前記任意領域抽出手段により抽出された前記画像の複数の任意部分領域それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出手段により前記特徴量を算出する前記複数の任意部分領域を前記対象部と残りを非対象部に分類する分類手段と、
前記分類手段で分類がされた前記対象部と前記非対象部の前記任意部分領域それぞれの、前記特徴量算出手段で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット手段と、
前記特徴量プロット手段により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群と前記非対象部の前記任意部分領域の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記複数の任意部分領域を前記所定情報により指示される前記対象部と残りの前記非対象部とに分離する性能の評価を出力する評価手段と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断手段と、
前記完了判断手段により完了していないと判断されると、前記評価手段により出力された前記評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更し、変更後の前記画像処理アルゴリズムを前記特徴量算出手段に出力する調整手段とを備える、画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項16】
請求項1に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項1に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項18】
請求項7に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項7に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項20】
被検査画像を、画像を変換する前処理と特徴量を算出する後処理により処理する画像処理アルゴリズムについて評価する方法であって、
前記被検査画像の画像データを処理して、第1前処理画像データに変換する第1前処理工程と、
前記第1前処理画像データを入力して処理し、第2前処理データに変換する第2前処理工程と、
前記第2前処理データに基づき特定される第2前処理データ内対象部に相当する、前記第1前処理画像データ内対象部を、特徴量を算出する対象として決定する特徴量算出対象部決定工程と、
前記第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、前記所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類がされた前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれの、前記特徴量算出工程で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
前記特徴量プロット工程により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種
類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記第1前処理画像データ内対象部を前記所定情報により指示される前記抽出対象部と残りの前記非抽出対象部とに分離する性能を評価する評価工程とを備える、画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項21】
前記分離度は、前記所定領域上における、プロットされた前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の分布域と、プロットされた前記非対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の分布域との距離で規定されることを特徴とする、請求項20に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項22】
前記所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、
前記特徴量プロット工程では、前記特徴空間において前記抽出対象部と前記非抽出対象部を、前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする、請求項20に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項23】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非抽出対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非抽出対象部を前記特徴空間の原点にプロットすることを特徴とする、請求項22に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項24】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点から無限遠点にプロットすることを特徴とする、請求項22に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項25】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の前記対象部の近傍点にプロットすることを特徴とする、請求項22に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項26】
被検査画像を、画像を変換する前処理と特徴量を算出する後処理により処理する画像処理アルゴリズムについての評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを出力する方法であって、
前記被検査画像の画像データを処理して、第1前処理画像データに変換する第1前処理工程と、
前記第1前処理画像データを入力して処理し、第2前処理データに変換する第2前処理工程と、
前記第2前処理データに基づき特定される第2前処理データ内対象部に相当する、前記第1前処理画像データ内対象部を、特徴量を算出する対象として決定する特徴量算出対象部決定工程と、
前記第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、前記所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類がされた前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれの、前記特徴量算出工程で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット工程と、
前記特徴量プロット工程により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記第1前処理画像データ内対象部を前記所定情報により指示される前記抽出対象部と残りの前記非抽出対象部とに分離する性能の評価を出力する評価工程と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、
前記完了判断工程により完了していないと判断されると、前記評価工程により出力された前記評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更し、変更後の前記画像処理アルゴリズムを前記特徴量算出工程に出力する調整工程とを備える、画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項27】
前記所定基準は、前記評価工程により出力された前記評価、または、該評価に要した時間に従う基準であることを特徴とする、請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項28】
前記分離度は、前記所定領域上における、プロットされた前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の分布域と、プロットされた前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の分布域との距離で規定されることを特徴とする、請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項29】
前記所定領域は、d(d≧2)種類の特徴量それぞれに対応の座標軸で規定される特徴空間であり、
前記特徴量プロット工程では、前記特徴空間において前記抽出対象部と前記抽出非対象部を、前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれについて算出されたd(d≧2)種類の特徴量により示されるd次元ベクトルによりプロットする、請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項30】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非抽出対象部に該当する前記第1前処理画像データ内対象部を含まない場合に、仮想の前記非抽出対象部を前記特徴空間の原点にプロットすることを特徴とする、請求項29に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項31】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の原点から無限遠点にプロットすることを特徴とする、請求項29に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項32】
前記特徴量プロット工程では、前記分類工程による分類結果が前記非対象部に該当する前記任意領域を含まない場合に、仮想の前記非対象部を前記特徴空間の前記対象部の近傍点にプロットすることを特徴とする、請求項29に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項33】
被検査画像を、画像を変換する前処理と特徴量を算出する後処理により処理する画像処理アルゴリズムについて評価する装置であって、
前記被検査画像の画像データを処理して、第1前処理画像データに変換する第1前処理手段と、
前記第1前処理画像データを入力して処理し、第2前処理データに変換する第2前処理手段と、
前記第2前処理データに基づき特定される第2前処理データ内対象部に相当する、前記第1前処理画像データ内対象部を、特徴量を算出する対象として決定する特徴量算出対象部決定手段と、
前記第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出手段と

前記第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、前記所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する分類手段と、
前記分類手段で分類がされた前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれの、前記特徴量算出手段で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット手段と、
前記特徴量プロット手段により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記第1前処理画像データ内対象部を前記所定情報により指示される前記抽出対象部と残りの前記非抽出対象部とに分離する性能を評価する評価手段とを備える、画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項34】
被検査画像を、画像を変換する前処理と特徴量を算出する後処理により処理する画像処理アルゴリズムについての評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを生成する装置であって、
前記被検査画像の画像データを処理して、第1前処理画像データに変換する第1前処理手段と、
前記第1前処理画像データを入力して処理し、第2前処理データに変換する第2前処理手段と、
前記第2前処理データに基づき特定される第2前処理データ内対象部に相当する、前記第1前処理画像データ内対象部を、特徴量を算出する対象として決定する特徴量算出対象部決定手段と、
前記第1前処理画像データ内対象部の1種類以上の特徴量を、算出する特徴量算出手段と、
前記第1前処理画像データ内対象部を、抽出すべき対象部を指示するために外部から入力された所定情報に基づき、前記所定情報により指示される対象部を抽出対象部に、残りの対象部を非抽出対象部に分類する分類手段と、
前記分類手段で分類がされた前記抽出対象部と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部それぞれの、前記特徴量算出手段で算出された前記1種類以上の特徴量を、前記1種類以上の特徴量に基づき規定される所定領域上にプロットする特徴量プロット手段と、
前記特徴量プロット手段により前記所定領域上にプロットされた前記1種類以上の特徴量の分布状況に基づき、前記抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群と前記非抽出対象部の前記第1前処理画像データ内対象部の前記1種類以上の特徴量の群との分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度に基づき前記画像処理アルゴリズムの、前記第1前処理画像データ内対象部を前記所定情報により指示される前記抽出対象部と残りの前記非抽出対象部とに分離する性能の評価を出力する評価手段と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、
前記完了判断手段により完了していないと判断されると、前記評価手段により出力された前記評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更し、変更後の前記画像処理アルゴリズムを前記特徴量算出手段に出力する調整手段とを備える、画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項35】
請求項20に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項36】
請求項20に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項37】
請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項38】
請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−17264(P2007−17264A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198745(P2005−198745)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】