説明

画像処理システム、画像処理装置、情報処理装置、及び画像処理方法

【課題】通信手段を備えた機器同士の連携動作による画像処理が可能な画像処理システム、画像処理装置、情報処理装置、及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】画像処理システム1は、画像処理装置200と情報処理装置100とが接続されるシステムであって、画像処理装置200が、ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を情報処理装置100に要求する手段61と、情報処理装置100から送信された動作命令を受信する手段71と、動作命令を基に、搭載ハードウェアを制御し、画像処理を行う手段72と、を有し、情報処理装置100が、画像処理装置200から実行要求を受け付ける手段51と、実行要求を基に、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアSW1を実行する手段52と、ソフトウェアSW1の実行により発行された、画像処理時に利用する搭載ハードウェアの動作命令を画像処理装置200に送信する手段53と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置と情報処理装置とが連携して動作する画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、画像処理装置において、複数の仮想マシン(VM:Virtual Machine)環境を構築し、各仮想マシン上で動作するソフトウェアに対して、ハードウェアリソースを共有化・最適化する技術が開示されている。
【0003】
近年の多機能を搭載した画像処理装置では、機能(サービス)を実現する様々なソフトウェアを搭載しており、またこれらのソフトウェアを組み合わせることで、新たな機能(機能拡張)を実現できるようになっている。
【0004】
そのため、画像処理装置では、これらの機能の処理性能を向上させるために、搭載ハードウェアの高度化が求められるが、製品コストの観点から、高価なハードウェアを搭載することはできない。
【0005】
このようなことを背景に、画像処理装置では、例えば、特許文献1に開示されるような、限られたハードウェアリソースを効率よく利用し、製品コストと機能性能とを両立させる技術が考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、製品コストと機能性能との両立を画像処理装置単体で実現しようとしていることから、機能拡張など、今後さらに多機能化が進めば、実現が困難なものとなる。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、通信手段を備えた機器同士の連携動作により画像処理が行える画像処理システム、画像処理装置、情報処理装置、及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理システムは、画像処理装置と情報処理装置とが所定のデータ伝送路で接続される画像処理システムであって、前記画像処理装置が、ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を前記情報処理装置に要求する実行要求手段と、前記情報処理装置から送信された動作命令を受信する命令受信手段と、受信した動作命令に基づき、前記画像処理装置が備えるハードウェアを制御し、画像処理を行うハードウェア制御手段と、を有し、前記情報処理装置が、前記画像処理装置から前記実行要求を受け付ける実行要求受付手段と、受け付けた実行要求に基づき、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを実行するソフトウェア制御手段と、前記画像処理機能を実現するソフトウェアの実行により発行された、画像処理時に利用する前記画像処理装置が備えるハードウェアの動作命令を前記画像処理装置に送信する動作命令送信手段と、を有している。
【0009】
このような構成によって、本発明に係る画像処理システムは、画像処理装置から情報処理装置に対して、画像処理機能の実行要求を通知する。情報処理装置は、通知された実行要求に基づき、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、画像処理装置に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を発行する。画像処理装置は、発行された動作命令に基づき、ハードウェアを制御し、画像処理を実行する。
【0010】
これによって、本発明に係る画像処理システムでは、通信手段を備えた機器同士の連携動作により画像処理が行える。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理方法は、画像処理装置と情報処理装置とが所定のデータ伝送路で接続される画像処理システムにおける画像処理方法であって、前記画像処理装置から前記情報処理装置に対して、ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を要求する実行要求手順と、前記情報処理装置が、前記画像処理装置から前記実行要求を受け付ける実行要求受付手順と、前記情報処理装置において、受け付けた実行要求に基づき、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを実行するソフトウェア制御手順と、前記情報処理装置から前記画像処理装置に対して、前記画像処理機能を実現するソフトウェアの実行により発行された、画像処理時に利用する前記画像処理装置が備えるハードウェアの動作命令を送信する動作命令送信手順と、前記画像処理装置が、前記情報処理装置から送信された動作命令を受信する命令受信手順と、前記画像処理装置において、受信した動作命令に基づき、前記画像処理装置が備えるハードウェアを制御し、画像処理を行うハードウェア制御手順と、を有している。
【0012】
このような手順によって、本発明に係る画像処理方法は、画像処理装置から情報処理装置に対して、画像処理機能の実行要求を通知し、情報処理装置で、実行要求に基づき、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、情報処理装置から画像処理装置に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を発行し、画像処理装置で、動作命令に基づき、ハードウェアを制御し、画像処理を実行すると言う動作を実現する。
【0013】
これによって、本発明に係る画像処理方法では、通信手段を備えた機器同士の連携動作による画像処理が可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像処理装置で、画像処理機能の実行要求を受け付け、情報処理装置で、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、画像処理装置に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を発行することで、通信手段を備えた機器同士の連携動作により画像処理が行える画像処理システム、画像処理装置、情報処理装置、及び画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムのソフトウェア構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る遠隔操作機能の動作例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムの機能構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像処理手順例(コピー要求時)を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムのソフトウェア構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムの機能構成例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る機能部システムの切替処理手順例(その1)を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る機能部システムの切替処理手順例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」と言う)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像処理システム1では、1又は複数の画像処理装置200〜200(以降総称する場合「画像処理装置200」と言う)が、LAN(Local Area Network)などの内部データ伝送路Nに接続されている。なお、画像処理装置200は、画像処理機能を実現するハードウェアを備えた機器であり、例えば、複合機(MFP:Multifunction Peripheral)やプリンタなどである。また、画像処理システム1では、画像処理装置200が接続される内部データ伝送路Nが、インターネットなどの外部データ伝送路Iを介して、情報処理装置100が接続される内部データ伝送路Nに接続されている。なお、情報処理装置100は、画像処理機能を実現するソフトウェアを有する機器であり、例えば、PC(Personal Computer)などである。
【0018】
本実施形態に係る画像処理システム1は、内部データ伝送路N及び外部データ伝送路Iを介して、情報処理装置100と画像処理装置200との間でデータ通信を行う。
【0019】
以上のように、本実施形態に係る画像処理システム1は、上記システム構成により、通信手段を備えた機器同士の連携動作による画像処理サービスを提供することができる。
【0020】
なお、内部データ伝送路Nと外部データ伝送路Iとの接続は、セキュリティの観点から、ファイアウォール(FW:Fire Wall)を介して接続するものとする。
【0021】
<ハードウェア構成>
本実施形態に係る情報処理装置100及び画像処理装置200のハードウェア構成について説明する。
【0022】
《情報処理装置》
図2は、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0023】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、情報処理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、情報処理装置100による処理結果を表示する。
【0024】
インタフェース装置107は、情報処理装置100をデータ伝送路に接続するインタフェースである。これにより、情報処理装置100は、インタフェース装置107を介して、通信手段を有する外部機器とデータ通信を行うことができる。
【0025】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する基本ソフトウェア(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などのOS(Operating System))、及び各種機能を実現するアプリケーションソフトウェアなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0026】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、情報処理装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。
【0027】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、情報処理装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置100は、上記ハードウェア構成により、各種情報処理サービス(情報処理機能)を提供することができる。
【0029】
《画像処理装置》
図3は、本実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図3に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210、操作パネル220、プロッタ230、及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0030】
操作パネル220は、表示部及び入力部を備えており、機器情報などの各種情報をユーザに提供したり、動作設定や動作指示などの各種ユーザ操作を受け付けたりする。プロッタ230は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ240は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する。
【0031】
コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備えており、それぞれが相互にバスBで接続される制御基板(制御ボード)である。
【0032】
CPU211は、プログラムを実行することで装置全体を制御する。また、記憶装置212は、上記プログラムや各種データ(例えば「画像データ」)を格納し保持する。記憶装置212には、例えば、揮発性のメモリであるRAM、不揮発性のメモリであるROM、及び大容量の記憶領域を備えたHDDなどがある。RAMは、CPU211のワークエリア(プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリア)として機能する。ROMやHDDは、プログラムや各種データの格納先として用いられる。例えば、ROMには、装置全体を制御する基本ソフトウェア(OS)が格納されている。これにより、画像処理装置200では、CPU211がROMに格納されたプログラムをRAM上に読み出し、プログラムを実行する。
【0033】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200をデータ伝送路に接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置200では、通信手段を備えた外部機器とデータ通信を行うことができる。
【0034】
外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aを接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置200では、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100では、上記ハードウェア構成により、各種画像処理サービス(画像処理機能)を提供することができる。
【0036】
<画像処理機能>
本実施形態に係る画像処理機能について説明する。
本実施形態に係る画像処理システム1では、画像処理機能を実現するハードウェアを備えた画像処理装置200と、画像処理機能を実現するソフトウェアを有する情報処理装置100とが、次のように連携動作する。画像処理装置200は、ユーザからの画像処理機能の実行要求を受け付け、実行要求を情報処理装置100に通知する。情報処理装置100は、通知された実行要求を受け付けると、実行要求に基づき、要求機能を実現するソフトウェアを実行する。これにより、情報処理装置100からは、画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令が発行される。その結果、画像処理装置200では、発行された動作命令を受け取ると、動作命令に基づき、ハードウェアが制御され、要求された画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理システム1は、このような画像処理機能を有している。
【0037】
従来では、画像処理装置単体で、製品コストの軽減と機能性能の向上との両立を実現しようとしていた。
【0038】
画像処理装置200において、画像処理機能を実現するために搭載されるソフトウェアは、主に2つに分けられる。1つは、動作命令に基づき、搭載ハードウェアを制御する制御ソフトウェアである。もう1つは、実行要求に基づき、これらの制御ソフトウェアに対して動作命令を発行し、要求された機能を実現する機能ソフトウェアである。このように、後者は、画像処理装置200の搭載ハードウェアに依存しないソフトウェアである。
【0039】
そこで、本実施形態に係る画像処理システム1は、機能ソフトウェアを、画像処理装置以外の外部機器で動作させ、制御ソフトウェアと機能ソフトウェアとを分散処理する仕組みとした。具体的には、画像処理装置200で、画像処理機能の実行要求を受け付け、情報処理装置100で、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を発行する。
【0040】
これにより、本実施形態に係る画像処理システム1では、通信手段を備えた機器同士の連携動作により画像処理が行える。
【0041】
また、従来、画像処理装置200では、機能拡張に伴い、機能アプリが、コントローラ210が備える記憶装置212にインストールされ、処理装置であるCPU211により、機能アプリが実行されていた。つまり、処理性能を向上するためには、コントローラ210をハードウェア拡張(高度化)しなければならない。しかし、コントローラ210は、他の搭載ハードウェアとの整合性や装着スペースなどの観点から、搭載可能なハードウェアが限定され、ハードウェア拡張が困難であった。
【0042】
これに対して、本実施形態に係る画像処理システム1では、機能アプリを汎用装置で実行する構成としたことにより、安価にハードウェア拡張が行える。
【0043】
これにより、本実施形態に係る画像処理システム1では、製品コストと処理性能との両立に柔軟に対応できる。
【0044】
以下に、本実施形態に係る画像処理機能の構成とその動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像処理システム1のソフトウェア構成例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る画像処理システム1には、情報処理装置100に、機能部システム31が実装され、画像処理装置200に、制御部システム41及び操作部システム42が実装されている。
【0045】
機能部システム31は、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を発行することで、実行要求された機能を実現するソフトウェア群を有している。
【0046】
制御部システム41は、情報処理装置100から発行された動作命令を受け取ると、動作命令に基づき、ハードウェアを制御し、要求された画像処理を行うソフトウェア群を有している。
【0047】
操作部システム42は、ユーザからの画像処理機能の実行要求を受け付け、実行要求を情報処理装置100に通知するソフトウェア群を有している。
【0048】
このように、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100と画像処理装置200とに実装された各システムが、両装置が備える通信手段を介して連携動作することで、制御ソフトウェアSW2と機能ソフトウェアSW1とを分散処理する構成となっている。
【0049】
《機能部システム》
本実施形態に係る情報処理装置100には、ハイパーバイザー10が実装されている。ハイパーバイザー10は、ハードウェアリソースを複数の仮想マシンに仮想化するソフトウェアであり、ハードウェアリソースを論理的に区分する。ハイパーバイザー10は、OSとその上で動作するソフトウェアを1つのシステムとして取り扱い、各システムにハードウェアリソースを仮想マシンとして認識させる機能を提供し、1つのハードウェアリソース上で複数のシステムを同時に実行させることができる。
【0050】
よって、本実施形態に係る情報処理装置100では、ハイパーバイザー10により、論理区分で動作するOS311に対して、ハードウェアリソースが適切に割り振られる。
【0051】
機能部システム31は、UI層312、コントロール層313、アプリ・ロジック層314、通信アプリ315、及び遠隔操作アプリ316などのソフトウェア群を有し、これらのソフトウェア群が、OS311上で動作する。
【0052】
UI層312には、画像処理機能の画面生成・提供(画像処理装置に表示)処理を行う情報出力ソフトウェアや、画像処理機能の操作情報(例えば「実行要求」や「動作条件」など)の受付処理を行う情報入力ソフトウェアが実装されているレイヤである。
【0053】
コントロール層313には、実行要求された画像処理機能を実現するための処理を制御する制御ソフトウェアが実装され、アプリ・ロジック層314には、画像処理機能を実現する処理を行う機能ソフトウェアSW1が実装されているレイヤである。
【0054】
つまり、コントロール層313は、アプリ・ロジック層314が有する機能ソフトウェアSW1を実行し、実行要求された機能を実現する。
【0055】
機能ソフトウェアSW1は、画像処理の基本機能を実現するソフトウェアであり、ユーザに提供される画像処理を実現するための機能部品である。ここで言う「画像処理」とは、実行要求されてから、受け付けた入力情報が出力されるまでの一連の処理を意味する。例えば、画像処理には、複合機が有する画像処理の場合、コピーなどがある。また、ここで言う「基本機能」とは、入力情報が出力されるまでの処理工程における入力、加工、出力単位の機能を意味する。例えば、基本機能には、複合機が有する画像処理の場合、入力にあたるスキャン機能(読み取り機能)や、出力にあたるプリント機能(印刷機能)などがある。このように、機能ソフトウェアSW1は、画像処理装置200の搭載ハードウェアが処理可能な単位で部品化された機能実現モジュールである。
【0056】
コントロール層313は、実行要求された機能に応じて、アプリ・ロジック層314が有する機能ソフトウェアSW1のうち、要求された画像処理機能を実現するために必要な機能ソフトウェアSW1を実行する。例えば、コントロール層313は、コピーが実行要求されると、アプリ・ロジック層314が有するスキャン機能及びプリント機能の各アプリを実行する。このように、本実施形態では、これらの機能ソフトウェアSW1を組み合わせて画像処理機能が実現される。
【0057】
通信アプリ315は、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を画像処理装置200に対して送信する通信ソフトウェアであり、命令送信モジュールである。動作命令は、コントロール層313により制御される機能ソフトウェアSW1から発行され、通信アプリ315により、情報処理装置100と画像処理装置200との間で通信可能な形式に変換される。
【0058】
遠隔操作アプリ316は、情報処理装置100から画像処理装置200を遠隔操作する操作ソフトウェアである。例えば、遠隔操作アプリ316には、リモートデスクトップ(RD:Remote Desktop)のサーバモジュールなどがある。これにより、情報処理装置100は、RDサーバとして機能する。
【0059】
機能部システム31では、上記レイヤのソフトウェアが、次のように連携動作する。まず、UI層312は、画像処理装置200から、実行要求を受け付ける。UI層312は、受け付けた実行要求をコントロール層313に伝達し、コントロール層313は、伝達された実行要求に応じて、アプリ・ロジック層314の機能ソフトウェアSW1を実行する。その結果、アプリ・ロジック層314は、機能ソフトウェアSW1から発行された動作命令を、通信アプリ315に伝達する。これにより、通信アプリ315は、変換後の動作命令を、実行要求元である画像処理装置200に対して送信する。
【0060】
《制御部システム》
制御部システム41は、デバイス制御層412、サービス層413、及び通信アプリ415などのソフトウェア群を有し、これらのソフトウェア群が、OS411上で動作する。
【0061】
デバイス制御層412は、画像処理装置200が備えるハードウェアの制御処理を行う制御ソフトウェアSW2が実装されているレイヤである。ここで言う「制御処理」とは、画像処理装置200の搭載ハードウェア単位で制御する処理を意味する。例えば、制御ソフトウェアSW2には、記憶装置212、プロッタ230、スキャナ240などの制御モジュールがある。このように、制御ソフトウェアSW2は、画像処理装置200の搭載ハードウェア単位で部品化されたデバイス制御モジュールである。
【0062】
デバイス制御層412は、当該レイヤが有する制御ソフトウェアSW2のうち、動作命令に基づき、画像処理時に利用するハードウェアに対応する制御ソフトウェアSW2を実行し、ハードウェアを制御する。例えば、デバイス制御層412は、コピー動作が命令されると、記憶装置212、プロッタ230、及びスキャナ240に対応する制御ソフトウェアSW2を実行し、各ハードウェアを制御する。このように、本実施形態では、これらの制御ソフトウェアSW2を組み合わせて画像処理に係るデバイス制御が実現される。
【0063】
サービス層413は、制御部システム41と、情報処理装置100に実装された機能部システム31とのインタフェース処理を行うI/Fソフトウェアが実装されているレイヤである。つまり、サービス層413は、機能部システム31が、画像処理装置200の搭載ハードウェアに依存しないようにするためのインタフェースを提供する。
【0064】
通信アプリ415は、情報処理装置100から送信された動作命令を受信する通信ソフトウェアであり、命令受信モジュールである。通信アプリ415は、情報処理装置100に実装された通信アプリ315から、変換後の動作命令を受信する。
【0065】
制御部システム41では、上記レイヤのソフトウェアが、次のように連携動作する。まず、通信アプリ415は、情報処理装置100から、動作命令を受信する。通信アプリ415は、受信した動作命令を、サービス層413を介して、デバイス制御層412に伝達する。その結果、デバイス制御層412は、伝達された動作命令に基づき、同じレイヤの制御ソフトウェアSW2を実行する。これにより、画像処理装置200では、要求された画像処理が行われる。
【0066】
《操作部システム》
操作部システム42は、操作アプリ422及び遠隔操作アプリ426などのソフトウェア群を有し、これらのソフトウェア群が、OS421上で動作する。
【0067】
操作アプリ422は、画像処理装置200が備える操作パネル220に画面を表示するソフトウェアである。
【0068】
遠隔操作アプリ426は、情報処理装置100からの遠隔操作を受け付ける操作受付ソフトウェアである。例えば、遠隔操作アプリ426には、リモートデスクトップのクライアントモジュールなどがある。これにより、画像処理装置200は、RDクライアントとして機能する。
【0069】
ここで、本実施形態に係る画像処理システム1で行われるRDサーバ・クライアント間の遠隔操作動作例を説明する。
【0070】
図5は、本実施形態に係る遠隔操作機能の動作例を示す図である。図5には、情報処理装置100に実装された機能部システム31と画像処理装置200に実装された操作部システム42との間(遠隔操作アプリ316,426との間)で行われる遠隔操作の処理手順例が示されている。
【0071】
図5に示すように、まず、画像処理装置200は、遠隔操作アプリ(RDクライアント)426により、情報処理装置100に対して、接続開始を要求する(ステップS11)。このとき、遠隔操作アプリ(RDクライアント)426は、接続先となる情報処理装置100のネットワーク設定(例えば「IPアドレス:Internet Protocol address」)に基づき、接続開始を要求する。
【0072】
情報処理装置100は、遠隔操作アプリ(RDサーバ)316により、接続開始要求元の画像処理装置200に対して、認証情報の送信を要求する(ステップS12)。このとき、遠隔操作アプリ(RDサーバ)316は、接続開始要求時に受け取った画像処理装置200のネットワーク設定に基づき、認証情報送信を要求する。
【0073】
画像処理装置200は、遠隔操作アプリ(RDクライアント)426により、認証情報要求元の情報処理装置100に対して、接続用の認証情報を送信する(ステップS13)。
【0074】
これにより、情報処理装置100は、遠隔操作アプリ(RDサーバ)316により、認証情報に基づく認証処理を行う(ステップS14)。
【0075】
その結果、情報処理装置100は、認証OKの場合(ステップS15:YES)、遠隔操作アプリ(RDサーバ)316により、認証情報送信元の画像処理装置200に対して、操作画面情報を送信する(ステップS16)。このとき、遠隔操作アプリ316(RDサーバ)は、UI層312で生成された操作画面の情報を送信する。
【0076】
これにより、画像処理装置200では、操作アプリ422により、操作パネル220に画面が表示され、操作画面を介して、ユーザからの機能の実行要求や動作条件などを受け付けることができる。このとき、遠隔操作アプリ(RDクライアント)426は、表示画面から受け付けた操作情報を、操作画面情報送信元の情報処理装置100に対して、操作情報を送信する(ステップS17)。
【0077】
このように、本実施形態に係る画像処理システム1では、画像処理装置200が有するRDクライアント機能からの接続開始要求を、情報処理装置100が有するRDサーバ機能が受け付け、RDサーバ機能においてRDクライアントが認証されると、情報処理装置100から画像処理装置200に対しての遠隔操作が可能となる。
【0078】
なお、情報処理装置100は、認証NGの場合(ステップS15:NO)、遠隔操作アプリ(RDサーバ)316により、認証情報送信元の画像処理装置200に対して、認証エラー情報を送信する(ステップS16)。
【0079】
これにより、画像処理装置200では、操作アプリ422により、操作パネル220にエラー画面が表示され、表示画面を介して、ユーザに認証エラーとなった旨を通知し、処理が終了する。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る画像処理システム1では、上記ソフトウェア構成により、情報処理装置100には、機能部システム31が動作する仮想マシン環境(VM環境)が構築され、情報処理装置100と画像処理装置200とには、両装置間で遠隔操作を含むデータ通信を行うソフトウェアが実装されている。よって、本実施形態に係る画像処理システム1では、処理負荷に応じて機器同士を連携動作させることができ、スケールメリットを生かしたハードウェアリソースの共有化・最適化が図れるソフトウェア構成となっている。
【0081】
ここからは、上記ソフトウェアにより実現される本実施形態に係る画像処理機能の構成について説明する。
【0082】
図6は、本実施形態に係る画像処理システム1の機能構成例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る画像処理システム1は、情報処理装置100が、要求受付部51、ソフトウェア制御部52、及び命令送信部53などを有し、画像処理装置200が、実行要求部61、命令受信部71、及びハードウェア制御部72などを有している。
【0083】
要求受付部51、ソフトウェア制御部52、及び命令送信部53は、情報処理装置100に実装された機能部システム31が有する機能部である。
【0084】
また、命令受信部71及びハードウェア制御部72は、画像処理装置200に実装された制御部システム41が有する機能部であり、実行要求部61は、画像処理装置200に実装された操作部システム42が有する機能部である。
【0085】
《情報処理装置が有する機能部》
要求受付部51は、画像処理装置200から、画像処理機能の実行要求通知を受け付ける機能部であり、UI層312に実装されたソフトウェアにより実現される機能である。要求受付部51は、情報処理装置100から遠隔操作が可能となった(認証された)画像処理装置200から、遠隔操作アプリ316を介して、実行要求通知を受け付ける。
【0086】
ソフトウェア制御部52は、実行要求に基づき、要求機能を実現する機能ソフトウェアSW1を実行する機能部であり、コントロール層313に実装されたソフトウェアにより実現される機能である。このとき、ソフトウェア制御部52は、実行要求に基づき、アプリ・ロジック層314に実装される機能ソフトウェアSW1の中から、要求機能を実現する機能ソフトウェアSW1を選択し、選択した機能ソフトウェアSW1に対して、処理の実行を指示する。よって、ソフトウェア制御部52は、利用ソフト選択部521及び実行指示部522を有している。
【0087】
例えば、利用ソフト選択部521は、受け付けた実行要求がコピー要求の場合、実行要求時に受け付けた情報(以下「実行要求情報」と言う)に含まれる"原稿読み取り"及び"印刷"の基本機能指定に基づき、スキャナ機能の機能ソフトウェア(A)SW1a(読取機能実現モジュール)と、プリント機能の機能ソフトウェア(B)SW1b(印刷機能実現モジュール)とを選択する。その結果、実行指示部522は、選択された機能ソフトウェアSW1a,SW1bに対して、処理の実行を指示する。このとき、実行指示部522は、実行要求情報に含まれる各基本機能の動作条件を示す情報(以下「動作条件情報」と言う)を、機能ソフトウェア(A)SW1a,(B)SW1bに対して指定し、処理の実行を指示する(例えば、機能実現モジュールのパラメータ(引数)指定により実行する)。
【0088】
命令送信部53は、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を、実行要求元の画像処理装置200に対して送信する機能部であり、通信アプリ315により実現される機能である。命令送信部53は、機能ソフトウェアSW1から、動作条件指定に従って発行された動作命令を、情報処理装置100から画像処理装置200へと送信可能な形式に変換する。よって、命令送信部53は、命令変換部531を有している。
【0089】
例えば、命令変換部531は、情報処理装置100と画像処理装置200との間の通信プロトコルに従って、動作命令を送信データへと変換する。
【0090】
このように、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100が、要求受付部51により、画像処理装置200からの実行要求を受け付けると、ソフトウェア制御部52により、要求機能を実現する機能ソフトウェアSW1を実行し、命令送信部53により、実行要求元の画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を送信する。
【0091】
《画像処理装置が有する機能部》
実行要求部61は、情報処理装置100に対して、操作画面を介して受け付けた画像処理機能の実行を要求する機能部であり、操作アプリ422により実現される機能である。実行要求部61は、画像処理装置200を認証し遠隔操作を行う情報処理装置100に対して、遠隔操作アプリ426を介して、実行要求を通知する。
【0092】
命令受信部71は、情報処理装置100から送信された動作命令を受信する機能部であり、通信アプリ415により実現される機能である。命令受信部71は、動作命令を、受信順にバッファリングする。
【0093】
ハードウェア制御部72は、動作命令に基づき、画像処理装置200の搭載ハードウェアを制御し、要求された画像処理を行う機能部であり、サービス層413及びデバイス制御層412に実装されたソフトウェアにより実現される機能である。このとき、ハードウェア制御部72は、動作命令に基づき、画像処理装置200の搭載ハードウェアの中から、画像処理時に利用するハードウェアを選択し、選択したハードウェアに対応する制御ソフトウェアSW2に対して、処理の実行を指示する。よって、ハードウェア制御部72は、利用ハード選択部721及び実行指示部722を有している。
【0094】
例えば、利用ハード選択部721は、動作命令として受信した情報(以下「動作命令情報」と言う)に含まれる"原稿読み取り"、"読み取り画像記憶"、及び"記憶画像印刷"の動作条件情報に基づき、スキャナ240、記憶装置212、及びプロッタ230を選択する。その結果、実行指示部722は、選択されたスキャナ240、記憶装置212,及びプロッタ230それぞれに対応する制御ソフトウェア(A)SW2a(読取制御モジュール)、制御ソフトウェア(B)SW2b(記憶制御モジュール)、及び制御ソフトウェア(C)SW1c(印刷制御モジュール)に対して、処理の実行を指示する。このとき、実行指示部722は、動作命令情報に含まれる各ハードウェアの動作条件情報を、制御ソフトウェア(A)SW1a,(B)SW2b,(C)SW2cに対して指定し、処理の実行を指示する(例えば、デバイス制御モジュールのパラメータ(引数)指定により実行する)。これにより、画像処理装置200では、対象ハードウェアが動作し、実行要求された画像処理が行われる。
【0095】
また、ハードウェア制御部72は、画像処理時に利用するハードウェアの動作順序及び動作タイミングを制御する。
【0096】
本実施形態では、実行要求された画像処理機能が、複数の基本機能(入力、加工、出力)を組み合わせて実現されていることから、ハードウェアの動作順序及び動作タイミングが、基本機能の処理工程順(要求された画像処理工程順)に依存する場合がある。
【0097】
例えば、コピーは、基本機能「スキャン機能」と「プリント機能」とを組み合わせて実現される画像処理機能である。このときの動作条件情報には、"原稿読み取り"、"読み取り画像記憶"、及び"記憶画像印刷"の各条件が含まれる。つまり、コピーの一連の処理では、まず、スキャナ240が、原稿を読み取り、画像を記憶装置212に一時保持し、その後、プロッタ230が、記憶装置212から画像を取得して印刷を行うことになる。
【0098】
このように、コピーの場合、プロッタ230の動作タイミングは、読み取り画像が記憶装置212に書き込まれた後でないと動作することができないというスキャナ240との依存関係があり、これが、プロッタ230の動作要件となる。よって、受信したコピーの動作命令情報には、プロッタ230に対する動作条件情報として、この動作要件が含まれている。
【0099】
上記点を踏まえ、ハードウェア制御部72では、動作条件情報に基づき、実行指示部722の実行指示タイミングを制御することで、ハードウェアの動作順序及び動作タイミングを制御する。ハードウェア制御部72は、受信した動作命令情報を参照し、まず、動作条件情報に含まれる動作要件を示す情報(以下「動作要件情報」と言う)を確認する。すなわち、ハードウェア制御部72は、動作要件情報から、画像処理時に利用するハードウェアの動作順序及び動作タイミングを決定する。
【0100】
例えば、コピーの場合、記憶装置212とプロッタ230に対応する動作条件情報に、動作要件情報が含まれる。具体的には、"原稿読み取りが完了していること"と"読み取り画像記憶が完了していること"である。よって、ハードウェア制御部72は、実行指示部722により、動作要件のないハードウェアであるスキャナ240に対応する制御ソフトウェアSW2aに対して、処理の実行を指示し、コピー動作を開始する。続いて、ハードウェア制御部72は、実行指示部722により、記憶装置212、プロッタ230の順序で、各ハードウェアに対応する制御ソフトウェア(B)SW2b,(C)SW2cに対して、処理の実行を指示する。このとき、ハードウェア制御部72は、記憶装置212とプロッタ230の各ハードウェアに対する動作要件に従って、実行指示部722の制御ソフトウェア(B)SW2b,(C)SW2cに対する実行指示タイミングを制御する。これにより、記憶装置212では、原稿読み取り完了後に読み取り画像が保持され、プロッタ230では、読み取り画像記憶完了後に画像が印刷される。なお、ハードウェア制御部72には、制御ソフトウェアSW2を介して、画像処理時に利用するハードウェアから動作完了が通知される。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る画像処理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る画像処理機能は、画像処理システム1を構成する各機器に搭載(インストール)されるプログラム(画像処理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0102】
本実施形態に係る画像処理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図を用いて説明する。
【0103】
図7は、本実施形態に係る画像処理手順例(コピー要求時)を示すシーケンス図である。
図7に示すように、画像処理装置200は、実行要求部61により、操作画面を介して受け付けた実行要求情報を送信する(ステップS101)。実行要求された画像処理機能がコピーの場合、動作条件情報を含むコピーの実行要求情報が送信される。
【0104】
情報処理装置100は、要求受付部51により、動作要求情報を受信し、コピー要求を受け付ける(ステップS102)。
【0105】
続いて、要求受付部51は、ソフトウェア制御部52に対して、コピーの実行を要求する(ステップS103)。このとき、要求受付部51は、ソフトウェア制御部52に対して、コピーの実行要求情報を渡す。
【0106】
ソフトウェア制御部52は、利用ソフト選択部521により、コピーの実行要求情報に基づき、コピーを実現する基本機能に対応する機能ソフトウェアSW1を選択する(ステップS104)。このとき、利用ソフト選択部521は、「スキャン機能」及び「プリント機能」に対応する機能ソフトウェア(A)SW1a,(B)SW1bを選択する。
【0107】
続いて、ソフトウェア制御部52は、実行指示部522により、選択された機能ソフトウェアSW1に対して、処理の実行を指示する(ステップS105)。
【0108】
これにより、機能ソフトウェアSW1からは、動作条件に基づき、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令が、命令送信部53へと渡され(ステップS106)、命令送信部53では、動作命令が、画像処理装置200と通信可能なデータ形式に変換される(ステップS107)。このとき、命令送信部53は、画像処理装置200との間の通信プロトコルに従って、動作命令を送信データへと変換する。
【0109】
その結果、命令送信部53は、変換後の動作命令(送信データ)を、画像処理装置200へと送信する(ステップS108)。このとき、命令送信部53は、遠隔操作の接続処理において取得したネットワーク設定に基づき、画像処理装置200にデータを送信する。
【0110】
ここで、コピー要求時におけるステップS105からS108の処理手順について説明する。
【0111】
ソフトウェア制御部52は、実行指示部522により、スキャン機能に対応して選択された機能ソフトウェア(A)SW1aに対して、動作命令情報に含まれるスキャン機能の動作条件情報に基づき、処理の実行を指示する(ステップS105)。このとき、実行指示部522は、機能ソフトウェア(A)SW1aのパラメータ(引数)に、動作条件情報を設定し、処理の実行を指示する。
【0112】
これにより、機能ソフトウェア(A)SW1aからは、動作条件に基づき、画像処理時に利用するスキャナ240の動作命令が、命令送信部53へと渡され(ステップS106)、命令送信部53では、動作命令が、画像処理装置200と通信可能なデータ形式に変換され(ステップS107)、変換後の動作命令(送信データ)が、画像処理装置200へと送信される(ステップS108)。
【0113】
また、ソフトウェア制御部52は、実行指示部522により、プリンタ機能に対応して選択された機能ソフトウェア(B)SW1bに対して、動作命令情報に含まれるプリンタ機能の動作条件情報に基づき、処理の実行を指示する(ステップS105)。このとき、実行指示部522は、機能ソフトウェア(B)SW1bのパラメータ(引数)に、動作条件情報を設定し、処理の実行を指示する。
【0114】
これにより、機能ソフトウェア(B)SW1bからは、動作条件に基づき、画像処理時に利用するプロッタ230の動作命令が、命令送信部53へと渡され(ステップS106)、命令送信部53では、動作命令が、画像処理装置200と通信可能なデータ形式に変換され(ステップS107)、変換後の動作命令(送信データ)が、画像処理装置200へと送信される(ステップS108)。
【0115】
なお、上記説明では、ステップS105からS108の処理が、実行要求された画像処理機能を実現するための基本機能ごとに順次実行される手順例を示したが、この限りでない。これらの処理手順は、画像処理時に利用するハードウェアに依存しない処理のため、並列実行することで、処理時間を短縮できる。
【0116】
このようにして、情報処理装置100から送信されたデータは、画像処理装置200が有する命令受信部71により、コピー実行時に利用するハードウェアの動作命令情報として受信され、バッファリングされる(ステップS201)。
【0117】
これを受けて、画像処理装置200は、命令受信部71により、ハードウェア制御部72に対して、受信した動作命令情報(変換後の動作命令)を転送する(ステップS202)。
【0118】
ハードウェア制御部72は、利用ハード選択部721により、動作命令情報に基づき、コピー実行時に利用するハードウェアを選択する(ステップS203)。このとき、利用ハード選択部721は、記憶装置212、プロッタ230、及びスキャナ240に対応する制御ソフトウェア(A)SW2a,(B)SW2b,(C)SW2cを選択する。
【0119】
続いて、ハードウェア制御部72は、動作命令情報に含まれる動作条件情報に基づき、選択されたハードウェアの動作タイミングを決定する(ステップS204)。このとき、ハードウェア制御部72は、選択された記憶装置212、プロッタ230、及びスキャナ240に対応する各動作条件情報に含まれる動作要件情報に基づき、コピー実行時におけるハードウェアの動作順序及び動作タイミングを決定する。例えば、記憶装置212の動作要件が"原稿読み取り完了後"であり、プロッタ230の動作要件が"読み取り画像記憶完了後"であったとする。これにより、ハードウェア制御部72は、これらの動作要件に基づき、「最初にスキャナ240を動作させ原稿を読み取り、その後、記憶装置212を動作させ読み取り画像を記憶し、その後、プロッタ230を動作させ記憶画像を印刷する」という各ハードウェアの動作順序及び動作タイミングを決定する。
【0120】
ハードウェア制御部72は、決定したスキャナ240の動作タイミングに従って、実行指示部722により、スキャナ240に対応する制御ソフトウェア(A)SW2aに対して、処理の実行を指示する(ステップS205)。このとき、実行指示部722は、制御ソフトウェア(A)SW2aのパラメータ(引数)に、スキャナ240の動作条件情報を設定し、処理の実行を指示する。
【0121】
その結果、スキャナ240では、原稿が読み取られ(ステップS206)、記憶装置212の所定の記憶領域に読み取り画像が書き込まれ(ステップS207)、原稿読み取り完了が、制御ソフトウェア(A)SW2aを介して、ハードウェア制御部72へと応答される。
【0122】
ハードウェア制御部72は、原稿読み取り完了を受けて、決定した記憶装置212の動作タイミングに従って、実行指示部722により、記憶装置212に対応する制御ソフトウェア(B)SW2bに対して、処理の実行を指示する(ステップS208)。このとき、実行指示部722は、制御ソフトウェア(B)SW2bのパラメータ(引数)に、記憶装置212の動作条件情報を設定し、処理の実行を指示する。
【0123】
その結果、記憶装置212では、書き込まれた読み取り画像が画像データとして記憶(一時保持)され(ステップS209)、読み取り画像記憶完了が、制御ソフトウェア(B)SW2bを介して、ハードウェア制御部72へと応答される。
【0124】
ハードウェア制御部72は、読み取り画像記憶完了を受けて、決定したプロッタ230の動作タイミングに従って、実行指示部722により、プロッタ230に対応する制御ソフトウェア(C)SW2cに対して、処理の実行を指示する(ステップS210)。このとき、実行指示部722は、制御ソフトウェア(C)SW2cのパラメータ(引数)に、プロッタ230の動作条件情報を設定し、処理の実行を指示する。
【0125】
その結果、プロッタ230では、記憶装置212から画像データが取得され(ステップS211)、取得画像が印刷され(ステップS212)、記憶画像印刷完了が、制御ソフトウェア(C)SW2cを介して、ハードウェア制御部72へと応答される。
【0126】
このようにして、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100と画像処理装置200との連携動作により、実行要求された画像処理機能が実現される。
【0127】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、画像処理機能を実現するハードウェアを備えた画像処理装置200と、画像処理機能を実現するソフトウェアを有する情報処理装置100とが、次のように連携動作する。
【0128】
画像処理装置200は、実行要求部61により、ユーザからの画像処理機能の実行要求を受け付け、実行要求を情報処理装置100に通知する。
【0129】
情報処理装置100は、要求受付部51により、通知された実行要求を受け付けると、ソフトウェア制御部52により、実行要求に基づき、要求機能を実現するソフトウェアを実行する。これにより、情報処理装置100からは、画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令が発行される。
【0130】
その結果、画像処理装置200では、命令受信部71により、発行された動作命令を受け取ると、ハードウェア制御部72により、動作命令に基づき、ハードウェアが制御され、要求された画像処理が行われる。
【0131】
これによって、本実施形態に係る画像処理システム1では、通信手段を備えた機器同士の連携動作により画像処理が行える。
【0132】
また、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100の汎用装置に機能拡張環境を有する構成(機能拡張時のソフトウェアインストール先)としたことで、製品コストと処理性能との両立に柔軟に対応できる。
【0133】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ハイパーバイザー上に1つの機能部システムが実装されたソフトウェア構成の情報処理装置と、画像処理装置とからなる画像処理システムについて説明を行った。
【0134】
しかし、このような画像処理システムでは、機能部システムに何らかの不具合が発生した場合、ユーザに対して画像処理機能が提供できなくなってしまう。
【0135】
そこで、本実施形態では、情報処理装置に複数の機能部システムを実装し、不具合が発生しても、正常に動作している他の機能部システムにより、画像処理機能の提供が継続して行える画像処理システムを提案する。
【0136】
なお、以降の説明では、第1の実施形態と同一な事項の説明を省略し、同一参照符号を付す。
【0137】
<ソフトウェア構成>
図8は、本実施形態に係る画像処理システム1のソフトウェア構成例を示す図である。
図8には、情報処理装置100のハイパーバイザー上に、機能部システム(1)31,(2)31の2つのシステムが実装された構成例が示されている。このように、本実施形態に係る情報処理装置100は、同一の機能部システム31が複数実装されている。
【0138】
この場合、ハイパーバイザー10は、論理区分で動作する機能部システム(1)31,(2)31それぞれに対して、ハードウェアリソースを適切に割り振る。
【0139】
また、機能部システム(1)31,(2)31は、同一システムであることから、システムごとに、通信アプリ315及び遠隔操作アプリ316を有している。
【0140】
よって、本実施形態に係る画像処理システム1では、動作命令の送受信を、画像処理装置200に実装された制御部システム41が有する通信アプリ415と、情報処理装置100に実装されたどちらか一方の機能部システム31が有する通信アプリ315との間で行うことができる。また、遠隔操作については、画像処理装置200に実装された操作部システム42が有する遠隔操作アプリ426と、情報処理装置100に実装されたどちらか一方の機能部システム31が有する遠隔操作アプリ316との間で行うことができる。
【0141】
このように、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100に実装された機能部システム31の動作状態に応じて、画像処理装置200に実装された操作部システム42が、接続先となる機能部システム31を切り替えることで、画像処理機能を継続して提供する。
【0142】
<画像処理機能>
図9は、本実施形態に係る画像処理システム1の機能構成例を示す図である。
図9に示すように、本実施形態に係る画像処理システム1では、画像処理装置200に実装された操作部システム42が接続先切替部62を有している。
【0143】
接続先切替部62は、情報処理装置100に実装された機能部システム31のうち、どの機能部システム31を接続するのかを制御し、接続先となる機能部システム31を切り替える機能部である。接続先切替部62は、次のようにして接続先を切替制御する。
【0144】
まず、接続先切替部62は、接続先となる機能部システム31のネットワーク設定が管理された情報(以下「接続先管理情報」と言う)を参照する。上述したように、ハイパーバイザー10は、機能部システム31に対して、ハードウェアリソースを割り振るため、システムごとにネットワーク設定が割り当てられる。よって、接続先管理情報には、予め、情報処理装置100に実装された各機能部システム31のネットワーク設定を登録しておく。
【0145】
接続先切替部62は、接続先管理情報を参照し、登録されたネットワーク設定に基づき、情報処理装置100に実装された各機能部システム31に対して、定期的に動作状態の確認を行う。接続先切替部62は、機能部システム31から応答された動作状態に基づき、接続先となる機能部システム31を切り替える。例えば、接続先切替部62は、現在接続している機能部システム(1)31から、動作状態[異常]が応答された場合、動作状態[正常]が応答された機能部システム(2)31に接続先を切り替える。
【0146】
これにより、本実施形態に係る画像処理システム1では、画像処理装置200に実装された操作部システム42の実行要求部61から、情報処理装置100に実装された正常に動作している機能部システム(2)31の要求受付部51に対して、実行要求情報が送信される。また、本実施形態に係る画像処理システム1では、情報処理装置100に実装された正常に動作している機能部システム(2)31の命令送信部53から、画像処理装置200に実装された制御部システム41の命令受信部71に対して、動作命令情報が送信される。
【0147】
以下に、接続先切替部62による詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図を用いて説明する。なお、接続先切替後の画像処理については、第1の実施形態と同一であるため、その説明を省略する。また、本実施形態に係る画像処理機能においても、画像処理システム1を構成する各機器に搭載(インストール)されるプログラム(画像処理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0148】
図10は、本実施形態に係る機能部システム31の切替処理手順例(その1)を示す図である。なお、図10には、情報処理装置100に、2つの機能部システム(1)31,(2)31が実装され、そのうち、画像処理装置200には、機能部システム(1)31が接続先として設定されている場合の処理手順例が示されている。
【0149】
図10に示すように、画像処理装置200は、操作部システム42が有する接続先切替部62により、接続先管理情報を参照する(ステップS21)。なお、接続先管理情報には、情報処理装置100に実装された2つの機能部システム(1)31,(2)31それぞれに割り当てられたネットワーク設定が登録されている。
【0150】
接続先切替部62は、登録されたネットワーク設定に基づき、機能部システム(1)31,(2)31それぞれに対して、動作状態の確認を要求する(ステップS22,S22)。このとき、接続先切替部62は、情報処理装置100と画像処理装置200との間の通信プロトコルに従って、所定の情報取得コマンドを発行し、動作状態を示す情報(以下「動作状態情報」と言う)を取得する。その結果、接続先切替部62には、機能部システム(1)31,(2)31それぞれから、システムの動作状態情報が応答される。また、接続先切替部62は、ステップS22の処理を所定期間ごとに実行する(定期的に行う)。つまり、接続先切替部62は、機能部システム31の動作状態確認をポーリング処理する。
【0151】
接続先切替部62は、状態応答(取得した動作状態情報)に基づき、接続先となる機能部システム31を切り替える必要があるか否かを判定する(ステップS23)。このとき、接続先切替部62は、現在、画像処理装置200から接続している機能部システム31からの状態応答に基づき、切替要否を判定する。例えば、現在、接続している機能部システム(1)31の動作状態が「異常」で、機能部システム(2)31の動作状態が「正常」の場合、接続先を切り替える必要があると判定する。なお、接続先切替部62は、情報処理装置100に実装された全ての機能部システム31の動作状態が「異常」であった場合、所定のエラー通知(例えば「操作パネルへのエラー表示」)を行い、処理を終了する。
【0152】
接続先切替部62は、切り替える必要があると判定した場合(ステップS24:YES)、接続先設定を変更し(ステップS25)、接続先となる機能部システム31を切り替える。接続先切替部62は、現在、接続している異常な機能部システム(1)31から、正常に動作している機能部システム(2)31へと設定変更する。
【0153】
接続先切替部62は、切替後の接続先となる機能部システム31に対して、接続開始を要求する(ステップS26)。その結果、情報処理装置100では、切り替えられた機能部システム(2)31において、遠隔操作の接続が認証されると、画像処理装置200のネットワーク設定が、実行要求や動作命令などの送受信先として設定される(ステップS27)。
【0154】
なお、接続先切替部62は、切り替える必要がないと判定した場合(ステップS24:NO)、処理を終了する。
【0155】
図11は、本実施形態に係る機能部システム31の切替処理手順例(その2)を示す図である。図10に示した処理手順と異なる点は、情報処理装置100に実装された機能部システム31から動作状態情報を取得する方法である。以下には、異なる処理手順についてのみ説明する。
【0156】
図11に示す処理では、画像処理装置200が接続している機能部システム(1)31が、自身の動作状態の変化を検知し、変化した動作状態が、画像処理装置200に実装された操作部システム42へと能動的に通知される(ステップS31)。つまり、接続先の機能部システム(1)31は、自身の動作状態通知をトラップ処理する。
【0157】
操作部システム42は、接続している機能部システム(1)31から動作状態が通知されると、接続先管理情報を参照し(ステップS32)、登録されたネットワーク設定に基づき、他の機能部システム(2)31に対して、動作状態の確認を要求する(ステップS33)。その結果、操作部システム42には、機能部システム(2)31から、システムの動作状態情報が応答される。
【0158】
操作部システム42は、接続先設定を変更し(ステップS34)、接続先となる機能部システム31を、異常な機能部システム(1)31から正常に動作している機能部システム(2)31に切り替える。
【0159】
これにより、図11に示す処理では、図10に示した処理と異なり、情報処理装置100と画像処理装置200との間で定期的にデータ通信を行わないため、両装置間の通信負荷を軽減できる。
【0160】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、情報処理装置100に実装された機能部システム31の動作状態に応じて、画像処理装置200に実装された操作部システム42が有する接続先切替部62により、接続先の機能部システム31を、異常な機能部システム31から、正常に動作している他の機能部システム31に切り替える。
【0161】
なお、切替後の画像処理は、第1の実施形態と同様である。つまり、本実施形態に係る画像処理システム1では、画像処理装置200から情報処理装置100に対して、画像処理機能の実行要求を通知し、情報処理装置100で、実行要求に基づき、要求機能を実現するソフトウェアを実行し、情報処理装置100から画像処理装置200に対して、画像処理時に利用するハードウェアHWの動作命令を発行し、画像処理装置200で、動作命令に基づき、ハードウェアHWを動作させる。
【0162】
これによって、本実施形態に係る画像処理システム1では、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、接続している機能部システム31において不具合が発生しても、正常に動作している他の機能部システム31により、画像処理機能の提供が継続して行われる。
【0163】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「画像処理機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、画像処理システム1を構成する各機器(画像処理装置、情報処理装置など)の処理装置(例えば「CPU」)により実行されることで実現される。
【0164】
例えば、情報処理装置100の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、ドライブ装置103を介して、情報処理装置100にインストールすることができる。また、情報処理装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0165】
また、上記第2の実施形態では、画像処理装置200に実装された操作部システム42が、情報処理装置100に実装された複数の機能部システム31の動作状態に応じて、接続先となる機能部システム31を切り替える処理について説明を行った。その中で、接続先の候補となる機能部システム31が複数存在する場合には、予め決めておいた優先順位に従って、接続先となる機能部システム31を決定してもよい。
【0166】
また、上記第2の実施形態のように、情報処理装置上で複数の機能部システム31が動作する画像処理システム1では、機能部システム31ごとに、接続可能な画像処理装置200を分けて管理し、分散処理させることもできる。
【0167】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0168】
1 画像処理システム
10 ハイパーバイザー
31 制御システム(1:OS,2:UI層,3:コントロール層,4:アプリ・ロジック層,5:通信アプリ(命令送信モジュール),6:遠隔操作アプリ(RDサーバ))
41 機能提供システム(1:OS,2:デバイス制御層,3:サービス層,5:通信アプリ(命令受信モジュール))
42 操作部システム(1:OS,2:操作アプリ,6:遠隔操作アプリ(RDクライアント))
51 要求受付部
52 ソフトウェア制御部(1:利用ソフト選択部,2:実行指示部)
53 命令送信部(1:命令変換部)
61 実行要求部
62 接続切替部
71 命令受信部
72 ハードウェア制御部(1:利用ハード選択部,2:実行指示部)
100 情報処理装置(クラウドサーバ)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(処理装置)
107 インタフェース装置
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
200 画像処理装置
210 コントローラ(制御基板)
211 CPU(処理装置)
212 記憶装置(ROM,RAM,HDD)
213 ネットワークI/F(NIC:Network I/F Card)
214 外部記憶I/F(a:記録媒体)
220 操作パネル(入力・表示装置)
230 プロッタ(印刷装置)
240 スキャナ(原稿読み取り装置)
B バス
I 外部データ伝送路(インターネット)
N 内部データ伝送路(LAN)
SW ソフトウェア(1:機能ソフトウェア,2:制御ソフトウェア)
HW ハードウェア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】
【特許文献1】特開2008−77186号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と情報処理装置とが所定のデータ伝送路で接続される画像処理システムであって、
前記画像処理装置が、
ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を前記情報処理装置に要求する実行要求手段と、
前記情報処理装置から送信された動作命令を受信する命令受信手段と、
受信した動作命令に基づき、前記画像処理装置が備えるハードウェアを制御し、画像処理を行うハードウェア制御手段と、を有し、
前記情報処理装置が、
前記画像処理装置から前記実行要求を受け付ける実行要求受付手段と、
受け付けた実行要求に基づき、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを実行するソフトウェア制御手段と、
前記画像処理機能を実現するソフトウェアの実行により発行された、画像処理時に利用する前記画像処理装置が備えるハードウェアの動作命令を前記画像処理装置に送信する動作命令送信手段と、を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記画像処理機能を実現するソフトウェアを複数有し、
前記ソフトウェア制御手段は、
受け付けた実行要求に基づき、前記画像処理機能を実現する複数のソフトウェアの中から、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを選択し、
選択したソフトウェアに対して、処理の実行を指示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記ソフトウェア制御手段は、
受け付けた実行要求に含まれる動作条件に基づき、選択したソフトウェアに対して、処理の実行を指示することを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記画像処理を行うハードウェアを複数備え、
前記ハードウェア制御手段は、
受信した動作命令に基づき、前記画像処理を行う複数のハードウェアの中から、命令された画像処理を行うハードウェアを選択し、
選択したハードウェアに対して、処理の実行を指示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記ハードウェア制御手段は、
受信した動作命令に含まれる動作条件に基づき、選択したハードウェアに対して、処理の実行を指示することを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記ハードウェア制御手段は、
前記動作条件に含まれる画像処理時に利用するハードウェアの動作要件に基づき、選択されたハードウェアの動作順序及び動作タイミングを決定し、
決定した動作順序及び動作タイミングに従って、前記画像処理装置が備えるハードウェアを制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記動作命令送信手段は、
前記画像処理装置と前記情報処理装置との間の通信プロトコルに基づき、前記動作命令を両装置間で通信可能なデータ形式に変換し、前記画像処理装置に送信することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記実行要求受付手段、前記ソフトウェア制御手段、及び前記動作命令送信手段として機能する第1のシステムを複数有し、
前記画像処理装置は、前記実行要求手段、前記ハードウェア制御手段、及び前記動作命令受信手段として機能する第2のシステムを有し、
前記第2のシステムは、前記第1のシステムの動作状態に応じて、動作要求や動作命令の送受信先を切り替える切替手段を有し、
前記切替手段は、
前記第1のシステムから取得した動作状態に基づき、動作要求や動作命令の送受信先を、動作状態が異常な第1のシステムから、正常に動作している他の第1のシステムに切り替えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
実行要求に基づき、画像処理機能を実現するソフトウェアを実行し、画像処理時に利用するハードウェアの動作命令を送信する情報処理装置と、所定のデータ伝送路で接続される画像処理装置であって、
ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を前記情報処理装置に要求する実行要求手段と、
前記情報処理装置から送信された動作命令を受信する命令受信手段と、
受信した動作命令に基づき、当該装置が備えるハードウェアを制御し、画像処理を行うハードウェア制御手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
動作命令に基づき、搭載ハードウェアを制御し、画像処理を行う画像処理装置と、所定のデータ伝送路で接続される情報処理装置であって、
前記画像処理装置から画像処理機能の実行要求を受け付ける実行要求受付手段と、
受け付けた実行要求に基づき、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを実行するソフトウェア制御手段と、
前記画像処理機能を実現するソフトウェアの実行により発行された、画像処理時に利用する前記画像処理装置が備えるハードウェアの動作命令を前記画像処理装置に送信する動作命令送信手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
画像処理装置と情報処理装置とが所定のデータ伝送路で接続される画像処理システムにおける画像処理方法であって、
前記画像処理装置から前記情報処理装置に対して、ユーザから受け付けた画像処理機能の実行を要求する実行要求手順と、
前記情報処理装置が、前記画像処理装置から前記実行要求を受け付ける実行要求受付手順と、
前記情報処理装置において、受け付けた実行要求に基づき、要求された画像処理機能を実現するソフトウェアを実行するソフトウェア制御手順と、
前記情報処理装置から前記画像処理装置に対して、前記画像処理機能を実現するソフトウェアの実行により発行された、画像処理時に利用する前記画像処理装置が備えるハードウェアの動作命令を送信する動作命令送信手順と、
前記画像処理装置が、前記情報処理装置から送信された動作命令を受信する命令受信手順と、
前記画像処理装置において、受信した動作命令に基づき、前記画像処理装置が備えるハードウェアを制御し、画像処理を行うハードウェア制御手順と、を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−10058(P2012−10058A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143559(P2010−143559)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】