説明

画像処理システム及び画像処理プログラム

【課題】形式を変換したページ記述言語をページ画像に変換する場合に、ページ記述言語中の少なくとも1つの要素の内容を変更して、ページ記述言語をページ画像に変換する。
【解決手段】PDLフィルタ400は、リソースDB404、リソース変換処理部406及び変換済リソース記憶部408の動作を伴って第1のPDLの形式を第2のPDLの形式に変換する。色属性変換処理部412は、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性と、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性とが異なる場合には、一時記憶部410が記憶しているリソースの色属性を、色属性の変更コマンドが示す色属性に変換し、一時記憶部410が記憶しているリソースを変更するよう上書きする。デコンポーザ402は、一時記憶部410が記憶しているリソースを用いて、PDLフィルタ400が形式を変換した第2のPDLを各色のページ画像に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、各プレーンバッファに独立して描画する手段と、各プレーンに関与して描画する手段とを1ページの画像データで切替え制御し、後づけデータと合成する画像処理装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−305975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、形式を変換したページ記述言語をページ画像に変換する場合に、ページ記述言語中の少なくとも1つの要素の内容を変更して、ページ記述言語をページ画像に変換することができる画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、ページ記述言語をページ画像に変換するページ画像変換手段と、このページ画像変換手段が変換可能な形式のページ記述言語に他の形式のページ記述言語を変換する形式変換手段と、この形式変換手段が変換したページ記述言語中の少なくとも1つの要素を記憶する記憶手段と、前記形式変換手段が新たに変換する他の形式のページ記述言語の変換結果に基づいて、前記記憶手段が記憶した要素の少なくとも1つの内容を変換する要素内容変換手段と、を有し、前記ページ画像変換手段は、前記要素内容変換手段が内容を変換した要素がある場合、変換された要素内容に基づいてページ記述言語をページ画像に変換する画像処理システムである。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記記憶手段は、少なくとも色属性を含む要素を記憶する請求項1記載の画像処理システムである。
【0007】
請求項3に係る本発明は、連続紙を供給する連続紙供給手段と、この連続紙供給手段が供給する連続紙に対し、前記ページ画像変換手段が変換したページ画像を形成するページ画像形成手段と、をさらに有する請求項1又は2記載の画像処理システムである。
【0008】
請求項4に係る本発明は、ページ画像変換手段がページ画像に変換可能な形式のページ記述言語に、他の形式のページ記述言語を変換するステップと、変換したページ記述言語をページ画像に変換するステップと、変換したページ記述言語中の少なくとも1つの要素を記憶するステップと、新たに変換する他の形式のページ記述言語の変換結果に基づいて、記憶した要素の少なくとも1つの内容を変換するステップと、内容を変換した要素がある場合、変換された要素内容に基づいて、形式を変換されたページ記述言語をページ画像に変換するステップと、をコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明によれば、形式を変換したページ記述言語をページ画像に変換する場合に、ページ記述言語中の少なくとも1つの要素の内容を変更して、ページ記述言語をページ画像に変換することができる。
【0010】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、少なくとも色属性を含む要素の内容を変更して、ページ記述言語をページ画像に変換することができる。
【0011】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、ページ画像変換手段が変換したページ画像を連続紙に形成することができる。
【0012】
請求項4に係る本発明によれば、形式を変換したページ記述言語をページ画像に変換する場合に、ページ記述言語中の少なくとも1つの要素の内容を変更して、ページ記述言語をページ画像に変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像処理システム1が例示されている。画像処理システム1は、例えばサーバ、メインフレーム又はパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータ10がネットワーク12を介して画像形成装置2に接続されることにより構成されている。
【0014】
画像形成装置2は、画像形成ユニット20、給紙装置22及びスタック装置24を有する。
給紙装置22は、画像形成されていないロール紙(連続紙)26を画像形成ユニット20に対して供給する。スタック装置24は、画像形成ユニット20により画像形成が行われた後のロール紙26を巻き取ることにより収納する。つまり、スタック装置26は、ロール紙26の先端側、言い換えれば、搬送方向の前側からロール紙26を収納するように構成される。
【0015】
画像形成ユニット20には、例えばタッチパネルなどの入出力装置であるユーザインターフェイス(UI)装置200と、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色毎にそれぞれ独立して構成された感光体ドラム202a〜202dと、定着器204と、制御部3とが備えられている。画像形成ユニット20は、例えばホストコンピュータ10から画像形成信号を受け入れると、制御部3の制御により、感光体ドラム202a〜202dそれぞれをレーザ光により照射することにより感光体ドラム202a〜202d上に静電潜像をそれぞれ形成する。そして、感光体ドラム202a〜202d上に形成された静電潜像は、現像器(図示せず)により各色のトナーで現像され、ロール紙26に転写される。そして、ロール紙26に転写されたトナー画像は、定着器204によりロール紙26に定着される。
【0016】
制御部3は、例えば図2に示すように、CPU30、メモリ32、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置34及びデータの送受信を行う通信インタフェース(IF)36が制御バス38を介して相互に接続されることにより構成され、画像形成装置2を構成する各部を制御する。なお、制御バス38には、例えば上述したUI装置200も接続されている。
【0017】
CPU30は、メモリ32または記憶装置34に格納されたプログラムに基づいて所定の処理を実行し、制御部3の動作を制御する。また、プログラムをメモリ32や記憶装置34から提供するのではなく、当該プログラムをCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。この記録媒体は磁気ディスク、半導体メモリまたはその他の記録媒体であってもよい。
【0018】
通信IF36は、ホストコンピュータ10と画像形成装置2とを接続する通信インターフェイスである。例えば、通信IF36は、ホストコンピュータ10が送信するページ記述言語(Page Description Language:PDL)などの画像形成信号を受信し、CPU30に対して出力する。CPU30は、PDLを受信すると、予め定められた形式のPDLに変換して解析し、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色のページ画像(ページイメージ)を例えばメモリ32上に展開(形成)し、感光ドラム202a〜202d上に各色の静電潜像がそれぞれ形成されるように、画像形成ユニット20を構成する各部を制御するようにされている。
【0019】
図3は、CPU30がPDLを受け入れた場合に実行する画像処理プログラム4を概念的に示す概念図である。
画像処理プログラム4は、ページ記述言語(PDL)フィルタ400、デコンポーザ402、リソースデータベース(DB)404、リソース変換処理部406、変換済リソース記憶部408、一時記憶部410、色属性変換処理部412及び色属性変換テーブル414を有する。
なお、画像処理プログラム4は、例えばCIP4(The International Cooperation for the Integration of Processes in Prepress, Press, and Postpress)のJDF(Job Definition Format)に対応している。
【0020】
PDLフィルタ400は、第1のページ記述言語(PDL)を受け入れて、デコンポーザ402がページ画像に変換可能な第2のページ記述言語に形式を変換する形式変換処理部である。例えば、PDLフィルタ400は、LCDS(Line Conditioned Data Stream)形式の第1のPDLを受け入れて、コマンド(印刷制御情報)が挿入されたプリントデータであるPLW(Printer Language for Windows:Windowsは登録商標)形式の第2のPDLに第1のPDLの形式を変換し、デコンポーザ402に対して出力する。
ここで、PDLフィルタ400は、リソースDB404及びリソース変換処理部406を介して、第1のPDLを第2のPDLに変換する場合に必要なリソースを取得し、第2のPDLに形式を変換されたリソースを変換済リソース記憶部408に記憶させる。また、PDLフィルタ400は、変換した第2のPDLに色属性を示す印刷制御情報がある場合、色属性を示す印刷制御情報を色属性変換処理部412に対して出力するようにされている。
【0021】
リソースDB404は、フォーム(面付けなどを含む)、フォント及び色属性などに関する複数のリソースを記憶しているデータベースである。リソース変換処理部406は、PDLフィルタ400が受け入れた第1のPDLに応じて、リソースDB404から必要なリソースを取得して第2のPDLにリソースを変換する。例えば、リソース変換処理部406は、PDLフィルタ400が受け入れた第1のPDLに応じて、予め定められた画像を赤にする色属性、フォーム及びフォントなどを含むリソースaをリソースDB404から取得し、リソースaを第2のPDLに変換する。ここで、第2のPDLに変換済みのリソースaは、上述したように変換済リソース記憶部408が記憶するようにされている。
【0022】
デコンポーザ402は、PDLフィルタ400から入力される第2のPDLと、変換済リソース記憶部408が記憶する例えばリソースaなどの第2のPDLに変換済みのリソース(上書き可能なリソースx)とを用いて、第2のPDLをY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色のページ画像に変換する。つまり、デコンポーザ402は、RIP(Raster Image Processor)としての機能を有する。
【0023】
また、デコンポーザ402は、第2のPDLを各色のページ画像に変換する場合に用いたリソースを一時記憶部410に一時記憶させるようにされている。一時記憶部410は、例えばキャッシュメモリなどからなり、予め定められた画像を赤にする色属性、フォーム及びフォントなどを含むリソースa又は後述する他のリソースbなどのデコンポーザ402が用いるべきリソース(リソースx)が上書きされるようになっている。
【0024】
色属性変換処理部412は、PDLフィルタ400が変換した第2のPDLに色属性を示す印刷制御情報がある場合、一時記憶部410が記憶しているリソースを取得し、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性と、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性とが異なるか否かを判定し、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性と、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性とが異なる場合、色属性変換テーブル414が記憶する色属性を変換するためのテーブルを参照して、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性を、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性に変換し、新たな色属性(要素内容)を含むリソースを構成して、一時記憶部410が一時記憶しているリソースを上書きする。
例えば、色属性変換処理部412は、一時記憶部410が記憶しているリソースa(予め定められた画像を赤にする色属性、フォーム及びフォントなどを含む)を取得し、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性が予め定められた画像(赤にされている画像)を青にするものである場合、赤にされていた画像を青にする色属性、フォーム及びフォントなどを含むリソースbにリソースaを変換し、一時記憶部410が記憶しているリソースaをリソースbに変更するよう上書きする。
【0025】
次に、CPU30が画像処理プログラム4を実行した場合の画像形成装置2の動作例について説明する。
図4は、CPU30が画像処理プログラム4を実行した場合の画像形成装置2の動作例(S10)を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップ100(S100)において、PDLフィルタ400は、リソースDB404、リソース変換処理部406及び変換済リソース記憶部408の動作を伴って第1のPDLの形式を第2のPDLの形式に変換する(PDLの形式変換)。
【0026】
ステップ102(S102)において、デコンポーザ402は、PDLフィルタ400が形式を変換した第2のPDLを各色のページ画像に変換する。
【0027】
ステップ104(S104)において、一時記憶部410は、デコンポーザ402が第2のPDLをページ画像に変換したときに用いたリソース(色属性を含む)を記憶する。
【0028】
ステップ106(S106)において、PDLフィルタ400は、新たにリソースDB404、リソース変換処理部406及び変換済リソース記憶部408の動作を伴って第1のPDLの形式を第2のPDLの形式に変換する(新たなPDLの形式変換)。
【0029】
ステップ108(S108)において、色属性変換処理部412は、PDLフィルタ400が変換した第2のPDLに色属性を示す印刷制御情報がある場合、一時記憶部410が記憶しているリソースを取得し、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性と、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性とが異なるか否かを判定し、一時記憶部410が記憶しているリソースに含まれる色属性と、PDLフィルタ400から受け入れた印刷制御情報が示す色属性とが異なる場合にはS110の処理に進み、その他の場合にはS112の処理に進む。
すなわち、CPU30は、PDLフィルタ400が形式を変換した第2のPDLに色属性の変更コマンドがあるか否かを判定し、色属性の変更コマンドがある場合にはS110の処理に進み、色属性の変更コマンドがない場合にはS112の処理に進む。
【0030】
ステップ110(S110)において、色属性変換処理部412は、一時記憶部410が記憶しているリソースの色属性を、色属性の変更コマンドが示す色属性に変換し、一時記憶部410が記憶しているリソースを変更するよう上書きする。
【0031】
ステップ112(S112)において、デコンポーザ402は、一時記憶部410が記憶しているリソースを用いて、PDLフィルタ400が形式を変換した第2のPDLを各色のページ画像に変換する。
【0032】
なお、上記実施形態においては、画像形成装置2が有する制御部3が画像処理プログラム4を実行する場合を例に説明したが、これに限定されることなく、例えばホストコンピュータ10が制御部3と同じ構成を有して画像処理プログラム4を実行することにより、画像処理システム1がロール紙26に画像を形成するようにされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理システムの構成を例示する構成図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】CPUがPDLを受信した場合に実行する画像処理プログラムを概念的に示す概念図である。
【図4】CPUが画像処理プログラムを実行した場合の画像形成装置の動作例(S10)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1 画像処理システム
10 ホストコンピュータ
12 ネットワーク
2 画像形成装置
20 画像形成ユニット
22 給紙装置
24 スタック装置
26 ロール紙
200 UI装置
202a〜202d 感光ドラム
204 定着器
3 制御部
30 CPU
32 メモリ
34 記憶装置
36 通信IF
38 制御バス
4 画像処理プログラム
400 PDLフィルタ
402 デコンポーザ
404 リソースDB
406 リソース変換処理部
408 変換済リソース記憶部
410 一時記憶部
412 色属性変換処理部
414 色属性変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語をページ画像に変換するページ画像変換手段と、
このページ画像変換手段が変換可能な形式のページ記述言語に他の形式のページ記述言語を変換する形式変換手段と、
この形式変換手段が変換したページ記述言語中の少なくとも1つの要素を記憶する記憶手段と、
前記形式変換手段が新たに変換する他の形式のページ記述言語の変換結果に基づいて、前記記憶手段が記憶した要素の少なくとも1つの内容を変換する要素内容変換手段と、
を有し、
前記ページ画像変換手段は、
前記要素内容変換手段が内容を変換した要素がある場合、変換された要素内容に基づいてページ記述言語をページ画像に変換する
画像処理システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、
少なくとも色属性を含む要素を記憶する
請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
連続紙を供給する連続紙供給手段と、
この連続紙供給手段が供給する連続紙に対し、前記ページ画像変換手段が変換したページ画像を形成するページ画像形成手段と、
をさらに有する
請求項1又は2記載の画像処理システム。
【請求項4】
ページ画像変換手段がページ画像に変換可能な形式のページ記述言語に、他の形式のページ記述言語を変換するステップと、
変換したページ記述言語をページ画像に変換するステップと、
変換したページ記述言語中の少なくとも1つの要素を記憶するステップと、
新たに変換する他の形式のページ記述言語の変換結果に基づいて、記憶した要素の少なくとも1つの内容を変換するステップと、
内容を変換した要素がある場合、変換された要素内容に基づいて、形式を変換されたページ記述言語をページ画像に変換するステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−55243(P2010−55243A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217686(P2008−217686)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】