説明

画像処理システム及び画像処理方法

【課題】 電子メールシステムや受信端末に対して負荷になるような大容量ファイルを添付しなくても、確実に宛先に画像情報を伝達することができ、さらに受信側での判断のもとに、必要な画像データを受信側が容易に獲得することができる画像処理システム及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】 画像入出力装置10では、画像入力装置201等からイメージ情報を入力し、コントロールユニット200内のHDD208に格納する。そして、イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて、当該イメージ情報から低解像度画像やベクトルデータを生成し、それらの情報とイメージ情報の格納先に関する情報とを指定された送信先に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージ情報を送受信する画像処理システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する関心が高まっている中、オフィス等でのペーパーレス化が急速に進んでいる。これに伴って、従来からバインダー等で蓄積されていた紙文書をスキャナで読み取ってポータブルドキュメントフォーマット(以下、「PDF」と記す。)に変換して、画像記憶装置にデータベースとして蓄積するようにした文書管理システムが知られている。
【0003】
また、紙文書をスキャナで読み取って、原稿に記載されている文字、表、イラスト等のオブジェクトをOCR(Optical Character Recognition)技術やエッジ抽出等の画像処理を施すことにより抽出し、ベクトルデータとして生成し、これを再利用することができる画像処理システムも開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、端末間で画像情報を送受信する画像通信においては、特に特定の個人への転送を目的とした場合、主に公衆回線を利用して専用プロトコルにより画像情報の送受信を行うファクシミリ装置や、或いはネットワーク接続されたコンピュータ端末間の電子メールに画像ファイルを添付する方法等が利用されていた(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、特定の個人への転送を目的としたものではないが、コンピュータ通信網を利用するWWW(World Wide Web)システムがインターネットの普及により注目されている。このWWWシステムは、電子メール等のインターネットアプリケーションと同様に、TCP/IPという通信プロトコルをベースとしたクライアント/サーバシステムである。そして、WWWシステムは、「WWWブラウザ」と呼ばれるGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を持つクライアントアプリケーションとWWWサーバアプリケーションとの間で、画像情報だけでなく、テキスト、音声、或いは動画等のコンピュータ上で扱われる各種データを通信することにより実現される情報検索/提供システムとして発展している。
【特許文献1】特開平5−342408号公報
【特許文献2】特開平8−242326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のファクシミリ装置等による画像通信を利用する場合、ユーザは、受信側で印刷されるまでどのような画像が送信されてくるのかを確認することができない。そのため、受信側にとって不必要な情報であっても事前にそれを認知し、受信を回避することができないという問題があった。また、複数の人が共用して利用する場合が多く、装置間での画像転送を前提とするファクシミリ装置は、確実に宛先の個人に届くという保証がなく、同時に宛先個人以外の人に受信内容が見られるおそれがあるという欠点があった。さらに、送信画像が宛先の相手に確認されることを目的とする送信者にとっては、これを確認するためには電話などの他の手段を利用しなければならないといった不都合が生じていた。
【0007】
ここで、上述した従来のネットワーク接続されたコンピュータ端末間電子メールに画像ファイルを添付する方法によれば、個人を対象として利用される電子メールを利用していることから、上述した問題点である宛先個人への転送の確実性を確保することが可能である。
【0008】
しかしながら、ファクシミリ装置を利用した場合と同様に、従来の電子メールによる方法であっても通信完了後でなければ受信画像を確認することができず、また受信側にとって不必要な情報であっても事前にそれを認知し、受信を回避することができないという問題があった。
【0009】
また、電子メールは、本来テキストデータの送受信を目的としたものであることから、印刷に使用されるような高解像度である高品質の画像ファイルを添付した場合、膨大なデータ量の転送を伴い、電子メールサーバに大きな負荷を与えてしまう。さらに、このような画像ファイルを受信した端末の表示装置に表示させるためには、表示用アプリケーションソフトが必要であり、同時に大量のメモリを要し、CPUに対しても大きな負荷を与えてしまうといった問題を伴うものであった。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電子メールシステムや受信端末に対して負荷になるような大容量ファイルを添付しなくても、確実に宛先に画像情報を伝達することができ、さらに受信側での判断のもとに、必要な画像データを受信側が容易に獲得することができる画像処理システム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理システムは、
イメージ情報を入力する入力手段と、
前記イメージ情報を格納する格納手段と、
前記イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて該イメージ情報から所定の情報を生成する生成手段と、
生成された前記情報と前記イメージ情報の格納先に関する情報とを所定の送信先に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記画像処理システムにおいて、
前記生成手段が、前記イメージ情報を複数のオブジェクトに分割する分割手段と、
分割されたそれぞれのオブジェクトの属性を定義する属性定義手段と、
前記複数のオブジェクトの所定属性オブジェクトの割合に応じた画像処理を前記イメージ情報に対して行って、該イメージ情報から所定の情報を生成する画像処理手段と
を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る画像処理方法は、
イメージ情報を入力する入力工程と、
前記イメージ情報を所定の格納先に格納する格納工程と、
前記イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて該イメージ情報から所定の情報を生成する生成工程と、
生成された前記情報と前記イメージ情報の格納先に関する情報とを所定の送信先に送信する送信工程と
を有することを特徴とする。
【0014】
さらにまた、上記画像処理方法において、
前記生成工程が、前記イメージ情報を複数のオブジェクトに分割する分割工程と、
分割されたそれぞれのオブジェクトの属性を定義する属性定義工程と、
前記複数のオブジェクトの所定属性オブジェクトの割合に応じた画像処理を前記イメージ情報に対して行って、該イメージ情報から所定の情報を生成する画像処理工程と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子メールシステムや受信端末に対して負荷になるような大容量ファイルを添付しなくても、確実に宛先に画像情報を伝達することができ、さらに受信側での判断のもとに、必要な画像データを受信側が容易に獲得することができる。
【0016】
すなわち、原稿を添付して送信する際にポインタ情報であるURLのみ送信するだけでは受信者は送信データのみからはその情報の内容を容易に知ることができない。そこで、本発明を用いることによって、受信者が、受信したデータ中の文書、又は低解像度のサムネール画像やベクトルデータ等の添付ファイルを閲覧することにより、URLにアクセスする必要なく受信したデータだけからイメージ情報の内容を容易に知ることができ、必要に応じてオリジナルのイメージ情報を入手することができる。
【0017】
また、原稿中のオブジェクト属性の割合に基づいて、送信データに低解像度サムネールを添付するか、又はベクトルデータを添付するかを自動的に判断することにより、そのイメージ情報の内容を受信側が確認する際にデバイスの状態等に応じた最適な方法で提供することができる。さらに、ベクトルデータを添付することによって、低容量のファイルとしてイメージ情報を送信することが可能になる。さらにまた、そのイメージ情報は解像度に依存しないために画質劣化もなく、データの再利用が可能なものでもある。このように、本発明によれば、イメージ情報の端末間の授受を行う上で非常に利便性の高いシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る画像処理システムの構成及びそれを用いた各種画像処理の内容について説明する。
【0019】
[画像処理システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示す画像処理システムにおいて、10は画像入出力装置であり、後述するように、スキャナ等から構成される画像入力装置とプリンタ等から構成される画像出力装置とを備える。また、画像入出力装置10の画像入力装置から読み込んだ画像データをローカルエリアネットワーク(LAN)40に流したり、LAN40から受信した画像データを画像入出力装置10の画像出力装置からプリント出力することも可能である。尚、図1には記載されていないが、LAN40を使用した画像データの送受信の他にも、公衆回線を使用したファクシミリ装置を用いた送受信を行うことも可能である。
【0020】
また、図1に示す画像処理システムにおいて、20は電子メールサーバであり、画像入出力装置10によって読み取られた画像データを電子メールの添付ファイルとして受け取ることができる。さらに、30は電子メールクライアントであり、電子メールサーバ20が受け取った電子メールを受信して、閲覧したり、電子メールを送信したりすることが可能である。
【0021】
さらに、図1に示す画像処理システムにおいて、50はルータであり、LAN40をインターネット/イントラネット60に連結して接続可能な状態にする。また、70は電子メールクライアント30と同等の機能を有する電子メールクライアント、80は電子メールサーバ20と同等の機能を有する電子メールサーバ、90は画像入出力装置10と同等の機能を有する画像入出力装置である。そして、これらの電子メールクライアント70、電子メールサーバ80及び画像入出力装置90は、それぞれインターネット/イントラネット60に接続されている。
【0022】
尚、図1では図示していないが、本実施形態に係る画像処理システムが、画像入出力装置10で読み取られた画像データを蓄積したり、画像データを管理・保存することが可能なデータベースサーバや、データベースクライアント、さらにHTML文書をLAN40上に提供するWWWサーバ等を含むネットワークシステムで構成されていてもよい。
【0023】
[画像入出力装置10のコントロールユニットの構成]
図2は、本実施形態に係る画像処理システムにおける画像入出力装置10のコントロールユニット(コントローラ)の一構成例を示すブロック図である。図2において、コントロールユニット200は、スキャナ等から構成される画像入力装置201やプリンタ等から構成される画像出力装置202と接続され、画像データの読み取りやプリント出力のための制御を行う。また、コントロールユニット200は、LAN203や公衆回線(WAN)204と接続することで、画像情報やデバイス情報をネットワーク経由で入出力するためのコントロールでもある。
【0024】
図2に示すコントロールユニットにおいて、CPU205はシステム全体を制御するための中央処理装置である。RAM206は、CPU205が動作するためのシステムワークメモリであり、入力された画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。さらに、ROM207はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD208はハードディスクドライブであり、各種処理のためのシステムソフトウェア及び入力された画像データを等格納する。
【0025】
さらに、図2において、操作部I/F209は、画像データ等を表示可能な表示画面を有する操作部210に対するインタフェース部であり、当該操作部210に対して画像データを出力する。また、操作部I/F209は、操作部210から操作者(すなわち、本画像処理システムの使用者)が入力した情報をCPU205に伝える役割をする。さらに、ネットワークインタフェース211は、例えばLANカードで実現され、LAN203に接続して外部装置との間で情報の入出力を行う。さらにまた、モデム212は公衆回線204に接続し、外部装置との間で情報の入出力を行う。
【0026】
本実施形態に係るコントロールユニット200では、以上のデバイスがシステムバス213上に配置されている。
【0027】
次に、イメージバスI/F214は、システムバス213と画像データを高速で転送する画像バス215とを接続するためのインタフェースであり、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス215は、PCIバス又はIEEE1394で構成される。
【0028】
そして、画像バス215上には、以下で説明するRIP216、デバイスI/F217、画像入力用画像処理部218、画像出力用画像処理部219、画像編集用画像処理部220といったデバイスが接続される。
【0029】
ラスターイメージプロセッサ(RIP)216は、PDLコードをビットマップイメージに展開するものである。デバイスI/F部217は、スキャナ等から構成される画像入力装置201やプリンタ等から構成される画像出力装置202とコントロール200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0030】
また、画像入力用画像処理部218は、入力画像データに対して、補正、加工、編集等の各種処理を行う。画像出力用画像処理部219は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等の処理を行う。さらに、画像編集用画像処理部220は、画像データの回転や、画像データの圧縮伸長処理、後述するベクトル化処理等の各種画像処理を行う。
【0031】
[画像入出力装置10の装置構成]
図3は、本実施形態に係る画像処理システムにおける画像入出力装置10の装置構成の一例を示す断面図である。以下では、カラー原稿画像をデジタル的に読み取って複写画像を生成する画像入出力装置10の例について説明する。
【0032】
図3において、301は図2に示す画像入力装置201に相当するスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、302は、図2に示す画像出力装置202に相当するプリンタ部302であり、スキャナ部301によって読み取られた原稿画像に対応した画像を、記録用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0033】
原稿304は、鏡面圧板と原稿台ガラス303の間にセットされる。そして、図2に示す操作部210(図3では不図示)よりスキャン又はコピー等の指示がされると、当該原稿304はランプ305で照射され、その反射光はミラー306、307、308に導かれる。そして、当該反射光はレンズ309によって、3ラインの個体撮像素子センサ(以下、「CCD」と称す。)310上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの画像信号としてコントローラ311に送られる。
【0034】
コントローラ311は、図2で示したコントロールユニット200に相当する。尚、ランプ305及びミラー306は速度vで、また、ミラー307、308は速度1/2vで、それぞれラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿304の全面を走査(副走査)する。図3に示すスキャナ部301の例では、原稿304は、主走査及び副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読み取られるものとする。
【0035】
ここで、スキャナ部301(画像入力装置201)によってスキャンされた画像データ(スキャン画像)をLAN203又は公衆回線204を使用して他装置に配信する場合について説明する。この場合、当該スキャン画像に対して、まず画像入力用画像処理部218において所定の画像入力用画像処理を施す。次いで、画像編集用画像処理部220において配信先に応じて適切な画像処理を施す。さらに、その後ネットワークI/F211又はモデム212を経由して、それぞれLAN203又は公衆回線204を介して画像処理後の画像データが配信される。
【0036】
また、スキャン画像の複写、いわゆるコピーを行う場合について説明する。スキャン画像の複写においては、画像入力用画像処理部218において所定の画像入力用画像処理を施した後に、さらに画像編集用画像処理部220において画像処理を施す。そして、その後画像出力用画像処理219において、読み取られた画像信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(Bk)の各成分に分解し、生成されたそれぞれの濃度信号値をプリンタ部302に送る。尚、本実施形態に係る画像入出力装置では、スキャナ部301における一回の原稿読み取り走査につき、M、C、Y、Bkのうちひとつの成分の画像信号がプリンタ部302に送られ、計4回の原稿読み取り走査によって、一回のフルカラーのプリントアウトが完成する。
【0037】
次に、プリンタ部302における処理の詳細について説明する。スキャナ部301より送られてくるM、C、Y、Bkの各画像信号は、レーザードライバ312に送られる。レーザードライバ312は、送られてきた画像信号に応じて半導体レーザー313を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー314、f−θレンズ315及びミラー316を介して感光ドラム317上を走査する。ここで、読み取り時と同様に、主走査及び副走査ともに例えば600dpiや1200dpi等の解像度で書き込まれる。
【0038】
また、318は回転現像器であり、マゼンタ現像部319、シアン現像部320、イエロー現像部321及びブラック現像部322から構成され、4つの現像部が交互に感光ドラム317に接して、感光ドラム上に形成された静電現像をトナーで現像する。
【0039】
さらに、323、324、325、326はそれぞれY、M、C、Kトナー保存部であり、各色毎にトナー容器が装着され、現像用のトナーを供給する。さらにまた、327は転写ドラムであり、用紙カセット328又は329より供給される記録用紙が当該転写ドラム327に巻き付けられ、感光ドラム上に現像された像が用紙に転写される。
【0040】
このようにして、プリンタ部302では、M、C、Y、Bkの4色が順次転写された後に、記録用紙が定着ユニット330を通過して、トナーが当該記録用紙に定着され、外部に排紙される。
【0041】
[画像送信処理手順]
図4は、本実施形態に係る画像入出力装置の画像送信機能による処理動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、画像入出力装置10の操作部210を操作して、所定の送信先に電子メールによって画像送信を行うような画像送信機能に関する処理を説明するものである。
【0042】
まず初めに、画像送信を行わせる操作者は、画像入力装置201(スキャナ部301)の原稿台303に送信すべき原稿をセットする(ステップS401)。そして、操作者は、操作部210を用いて画像送信機能のモードを選択し、その際に操作部210の表示画面上表示されるメッセージに従って、操作部210を用いて所定の送信先のアドレスを入力する、或いは、予め送信先のアドレスが登録・保存されているアドレス帳から送信先のアドレスを選択する(ステップS402)。尚、アドレスの入力時に、予め用意された定型文やコメントの入力等を操作者の操作により付加することも可能である。
【0043】
さらに、送信のために必要な送信画像の解像度設定やカラー/モノクロ切替え等の各種モード設定を行う(ステップS403)。
【0044】
そして、設定内容に間違いがなければ、操作者は操作部210に備わっているスタートキーを押すことにより、画像入力装置201において原稿のスキャン動作が開始される(ステップS404)。
【0045】
スキャン動作が開始されると、読み取られた画像データは、コントロールユニット200における画像入力用画像処理部218において所定の画像入力用画像処理が施される(ステップS405)。その後、画像編集用画像処理部220において送信に適した画像データへ編集処理される。尚、ここで施される処理の詳細については後述するが、本実施形態では、スキャンされた画像データを所定の属性に基づいて像域分離し、それぞれの像域毎に文章、見出し文章、ラインアート、写真、背景等の属性をスキャン画像の中の各オブジェクト毎に定義するブロックセレクション処理を行うものとする(ステップS406)。
【0046】
ステップS406で示すブロックセレクション(BS)処理について説明する。ブロックセレクション処理では、まず文字/線画部分とハーフトーンの画像部分とに領域を分離し、文字部は更に段落で塊として纏まっている文字ブロック毎に、或いは細線や図形、もしくは表などの属性に分離し各々のオブジェクトをセグメント化する。一方、ハーフトーンで表現される画像部分は、矩形に分離されたブロックの画像部分、背景部等の所謂ブロック毎に独立したオブジェクトに分割する。この際、上述したステップS403のモード設定処理において、ブロックセレクション処理で分割する属性の種類を指定する構成にしても良い。この場合には、選択したベクトルモードに応じて、分割するオブジェクトの属性種類を決定するようにする。
【0047】
例えば、Text/Graphic/Table/Imageモードを指定した場合には、Text(文字)、Graphic(細線、図形)、Table(表)、Image(画像)、Background(背景)の属性毎にオブジェクトを分割し、Textモードが指定された場合にはText(文字)とBackground(背景)の属性に従ってオブジェクトを分割する。
【0048】
Background(背景)に関しては、例えば、Textモードの場合にはText(文字)オブジェクト以外の領域がBackground(背景)とされるので、ベクトルモード選択の表記に入れていない。もちろん、TextモードをText/Backgroundモードという表記にしても良い。以下では、ベクトルモードの具体例について示す。
【0049】
1.Text/Graphic/Table/Imageモード
→ Text(文字)、Graphic(細線、図形)、Table(表)、Image(画像)、及びBackground(背景)に分割
2.Text/Graphic/Imageモード
→ Text(文字)、Graphic(細線、図形、表)、Image(画像)、及びBackground(背景)に分割
3.Text/Imageモード
→ Text(文字)、Image(細線、図形、表、画像)、及びBackground(背景)に分割
4.Textモード
→ Text(文字)及びBackground(細線、図形、表、画像、背景)に分割
5.Imageモード
→ Image(文字、細線、図形、表、画像)及びBackgournd(背景)に分割。
【0050】
上述したように、本実施形態では、属性の例として、Text(文字)、Graphic(細線、図形)、Table(表)、Image(画像)、Background(背景)を挙げたが、属性の種類はこれに限るものではなく、またすべて使用する必要もない。また、ベクトルモードの具体例として、Text/Graphic/Table/Image、Text/Graphic/Image、Text/Image、Text、Imageモードを挙げたが、モードの種類はこれらだけに限られるものではなく、またすべて使用する必要もない。
【0051】
次に、ステップS406の結果から定義された属性の割合を比較して、それによって送信先へ送信する形態を切り替える(ステップS407)。例えば、本実施形態では、ステップS407の処理として、属性割合を比較することにより、入力されたイメージ情報のサムネール画像を生成してそれを添付して送信する場合と、当該イメージ情報をベクトル化して必要な情報だけを添付して送信する場合とに切り替える。
【0052】
例えば、Text/Graphic/Imageモードで分割された場合であっても、Image属性を持つオブジェクトの数が多い場合(ステップS407で「画像」と判定された場合)には、イメージ情報をベクトル化しない。しかしながら、当該スキャン画像をそのまま添付ファイルとして電子メールに添付して送信してしまうと、転送されるデータ容量が極めて大きいものになってしまう。そこで本実施形態では、画像編集用画像処理部220において、スキャン画像の解像度変換を行って低解像度のサムネール画像を生成し(ステップS408)、元のスキャン画像と対応させてHDD208に記憶・保存する(ステップS413)。
【0053】
一方、Text/Graphic/Imageモードで分割された場合であって、Text属性やGraphic属性を持つオブジェクトの数が多い場合には、ベクトル化ファイルを生成する。すなわち、本実施形態では、画像編集用画像処理部220において、ベクトル化ファイルを生成し(ステップS412)、元のスキャン画像と対応させてHDD208に記憶・保存する(ステップS413)。
【0054】
そこで、Text属性やGraphic属性を持つオブジェクトの数が多い場合(ステップS407で「文字等」と判定された場合)には、ステップS406において属性毎にセグメント化された各オブジェクトとしてのイメージ情報に対してベクトル化処理を行い、イメージデータをベクトルデータファイルに変換していく。そのため、まずOCR処理を行う(ステップS409)。
【0055】
そして、OCR処理された文字ブロックに対しては、さらに文字のサイズ、スタイル、字体等を認識し、原稿を走査して得られた文字に可視的に忠実なフォントデータに変換するベクトル化処理を行う(ステップS410)。また、線で構成される表や図形ブロックに対しては、アウトライン化/関数近似することでベクトル化処理を行う。一方、画像ブロックに対しては、イメージデータとして個別のJPEGファイルとして画像の処理を行う(ステップS411)。
【0056】
また、例えば、ステップS403においてText/Graphic/Table/Imageモードを指定した場合には、Text(文字)オブジェクトはフォントデータに変換される。そして、Graphic(細線、図形)オブジェクトは、アウトライン化/関数近似化されて、関数としてベクトル変換される。さらに、Table(表)オブジェクトについては、数値情報をフォントデータに変換し、表部についてはアウトライン化/関数近似化されて、関数としてベクトル変換されるとともに、各数値についてはセル情報として関連付けられて表オブジェクトとしてコード化される。さらにまた、Image(画像)オブジェクトについては、画像入力装置201の読み取り解像度600dpiのまま、低圧縮でJPEG保存される。さらにまた、Background(背景)オブジェクトについては、解像度300dpiになるように、読み取り解像度から低解像度へ解像度変換を施した後に高圧縮でJPEG保存される。
【0057】
また、例えば、ステップS403においてTextモードが指定された場合には、Text(文字)オブジェクトがフォントデータに変換される。そして、その他の細線、図形、表、画像領域については、Background(背景)オブジェクトと同じ扱いになり、解像度300dpiに解像度変換が施された後に高圧縮でJPEG保存される。
【0058】
このように、各種ベクトル化モードを準備してベクトル化処理の属性を適宜変更するようにすることで、生成されるベクトルデータの容量、画質等を目的に応じて任意に変更させることが可能になる。
【0059】
そして、上述したようなベクトル化処理の終了後、それらのベクトルデータは各オブジェクトのレイアウト情報と対応付けて生成される(ステップS412)。その後、元のスキャン画像と対応付けてHDD208に記憶・保存される(ステップS413)。尚、生成されたベクトルデータは、汎用のファイル形式として、例えばRTF(Rich Text Format)形式に変換したり、SVG形式に変換したり、PDF形式に変換したりする等して、再利用可能な形式に変換して保存される。
【0060】
以上の手順によって得られたベクトルデータは、読み取られた原稿画像に可視的に非常に近い状態のベクトル情報が編集可能な形式で全て含まれている状態になっている。従って、それらのデータを直接加工したり、再利用したり、或いは蓄積、伝送、再印刷等を行うことが可能になる。
【0061】
尚、上述した処理で生成されたベクトルデータは、文字や細線等を記述コードで表現するものである。従って、当該ベクトルデータは、単純にイメージデータ(ラスタビットマップデータ)化したものを直接扱う場合と比較して、情報量が削減され、蓄積効率が高まり、伝送時間が短縮され、記録表示する際には高品位なデータとして非常に優位なものとなる。
【0062】
以上説明したように、サムネール画像の生成(ステップS408)、或いはベクトル化ファイルの生成(ステップS412)が終了して、それぞれのデータがHDD208に記憶・保存された後に、元のスキャン画像の所在を示すポインタ情報(格納先情報)を、HTML(HyperText Markup Language)で記述した文章(HTML文書)として生成する(ステップS414)。
【0063】
このHTML文書(HTMLファイル)及び表示データの所在については、例えばインターネット上の情報リソースを一元的に表記するURL(Uniform Resource Locator)で記述される。WWW(World Wide Web)システムで利用されるURLの一般形式は、例えば”resource_type://host.domain/path”のように示される。
【0064】
ここでresource_typeは、使用するプロトコルやサービスを表し、本実施形態に係る画像処理システムにおいては、http(Hyper Text Transfer Protocol)を指定する。その他としては、gopher、ftp、nntp等があるがそれぞれの説明は省略する。また、host.domainは、アクセスすべきサーバのインターネット上のアドレスを示しており、IPアドレス又はドメイン各形式で指定されるものであり、本実施形態の画像処理システムにおいては、システム内のWWWサーバのIPアドレスを指定する。
【0065】
さらに、pathは、サーバ上でのファイルの位置を示すものである。例えば、本実施形態の画像処理システムにおいては、前述したHTMLファイルの所在は、”http://Server‐ip‐address/□□□/×××.html”と表し、また保存された送信画像の確認用表示データの所在の記述については、HTMLタグによる表記によって”<IMG SRC=”http://Server_ip_address/□□□/○○○.△△△”>”と記述される。
【0066】
ここで、画像ファイルの拡張子△△△は、GIFやJPG等の圧縮画像ファイル形式を用いることが一般的である。また、これらはWWWシステムのクライアイントアプリケーションであるWWWブラウザによって解釈され、画像処理システムのWWWサーバに対して○○○.△△△という画像ファイルを要求し、WWWブラウザはこれを表示させることが可能である。
【0067】
ステップS414でHTML文書が作成された後、ステップS402で設定した送信宛先や定型文やコメント入力等から既存の汎用電子メールの書式に基づいて送信文書の作成を行う(ステップS415)。さらに、ステップS408、S412、S413で作成され保存されたHTMLファイルの所在と、低解像度のサムネール画像又はベクトルデータのどちらかと、この電子メールの送信文書に添付する。このように作成された電子メールの送信文書は、画像入出力装置10の持つ電子メールの送信機能により、指定された宛先に電子メールとして送信される(ステップS416)。そして、画像入出力装置10から送信された電子メールは、図1で示した電子メールサーバ20を介して送信先の電子メールクライアント30等に届けられる。
【0068】
[画像送信機能に基づく電子メール受け取りの処理手順]
電子メールの受信者は、メールクライアントアプリケーションによって受信した電子メールの文書内容を表示画面等に表示させて確認することができる。この電子メールの内容には、本実施形態に示すような特別な画像伝送サービスにより送付されたものであることや、添付されるURLへのWWWブラウザによるアクセスを促す文面、送信者に関する情報や送信者からのコメント等が記載される。尚、記載内容についてはこれらに限定されるものではなく、場合によっては、これらの暗黙的な取扱いも可能である。尚、本実施形態では、画像入出力装置10でスキャンされた原稿種類によって、低解像度のサムネール画像又はベクトルデータのどちらかが添付される。即ち、イメージ部分が多い場合はサムネール画像、ベクトル化される部分が多い場合はベクトルデータを用いるようにする。なお、ベクトルデータを添付する際、イメージの部分は元データと比べて解像度を落とすようにしてデータサイズを小さくするようにするのが好ましい。
【0069】
また、低解像度のサムネール画像にしてもベクトルデータにしても、それらを閲覧する際には、WWWブラウザを起動させることができれば即座に画像の確認が可能である。しかし、このようなブラウザ機能を持たない電子メールクライアントの場合には、画像入出力装置10から送信されてくる電子メールに、それらを表示するための画像用のビューワーの在りかを示すURLを併せて送信し、閲覧が可能な構成で電子メールを送信する構成としてもよい。
【0070】
この場合、電子メールクライントの受信者は、必要に応じて元のスキャン画像の在りかを示すURLに基づいて、メールサーバを介さずに画像入出力装置10から直接、元のスキャン画像を受けることができる。
【0071】
このようにすることで、ネットワーク接続されたコンピュータ端末間の電子メールに画像ファイルを添付する方法であっても、低解像度のサムネール画像又は拡大縮小しても劣化のない解像度に依存しないベクトルデータを添付しておくことにより、受信者はイメージ情報の内容を容易に把握することが可能になる。また、ベクトルデータを受信した場合には、イメージ情報と異なって画質の劣化を伴わずに当該データを自由に拡大・縮小することができるため、元の高品質の画像ファイルをダウンロードする必要がほとんどなくなる。
【0072】
上述したように、高品質のスキャン画像を受信することを想定した場合に膨大なデータ量の転送を伴うことで、電子メールサーバに大きな負荷を与えてしまうという問題を解決し、電子メールサーバ等に負荷をかけることなく容易にかつ確実に受信者に画像データを渡すことができる。また、このような画像データを受信した端末の表示装置に表示させるために表示用アプリケーションソフトが必要であり、同時に大量のメモリを要し、CPUに対しても大きな負荷を与えてしまうといった問題を解決し、容易にかつ確実に受信者に画像データを渡すことができる。
【0073】
以下では、上述したベクトル化処理に関する各処理ブロックについて詳細に説明する。
【0074】
[ブロックセレクション処理(ステップS406)]
図5は、画像入力装置で読み取られた1ページのイメージ情報に含まれるオブジェクトの属性を判定し複数のブロックに分割する様子を示す図である。すなわち、ブロックセレクション処理とは、符号51に示すステップS404で読み取られた一頁のイメージ情報を、符号52に示すようにオブジェクト毎の塊として認識し、それぞれのブロックを文字(TEXT)、写真(PHOTO)、線(LINE)、表(TABLE)等の属性に判定し、異なる属性を持つ領域(ブロック)に分割する処理である。
【0075】
ブロックセレクション処理の一実施形態を以下に説明する。
【0076】
まず、入力画像を白黒に2値化して、輪郭線追跡を行って黒画素輪郭で囲まれる画素の塊を抽出する。そして、面積の大きい黒画素の塊については、内部にある白画素に対して同様に輪郭線追跡を行って白画素の塊を抽出する。さらに、一定面積以上の白画素の塊の内部からも再帰的に黒画素の塊を抽出する。尚、上記処理は、白地に黒字等で記載されている原稿の場合の処理であって、それ以外の場合は背景に相当する色を「白」、オブジェクトに相当する色を「黒」とすることにより同様に処理することができる。
【0077】
このようにして得られた黒画素の塊を、大きさ及び形状等で分類し、異なる属性を持つ領域へ分類する。例えば、縦横比が1に近く、大きさが一定の範囲のものを文字相当の画素塊とし、さらに近接する文字が整列良くグループ化可能な部分を文字領域とする。また、扁平な画素塊を線領域、一定の大きさ以上でかつ四角系の白画素塊を整列よく内包する黒画素塊の占める範囲を表領域、不定形の画素塊が散在している領域を写真領域、それ以外の任意形状の画素塊を図画領域等とする。これにより、1枚の原稿を読み取って作成した電子データの再利用に対してより高度な制限等を設けることができる。
【0078】
図6は、ステップS406のブロックセレクション処理で得られる各ブロックに対するブロック情報の一例について示す図である。図6に示されるブロック毎の情報は、後述するベクトル化のための情報として用いられる。
【0079】
[OCR処理(ステップS409)]
ここでは、公知のOCR処理技術を使用して文字認識処理を行う。以下では、文字認識処理の一例について説明する。
【0080】
文字ブロックに対しては各文字に対して文字認識処理を行う。文字認識処理のため、本実施形態では文字単位で切り出された画像に対し、パターンマッチングの一手法を用いて認識を行い、対応する文字コードを得るものとする。この認識処理は、文字画像から得られる特徴を数十次元の数値列に変換した観測特徴ベクトルと、あらかじめ字種毎に求められている辞書特徴ベクトルと比較し、最も距離の近い字種を認識結果とする処理である。尚、特徴ベクトルの抽出には種々の公知手法があり、例えば、文字をメッシュ状に分割し、各メッシュ内の文字線を方向別に線素としてカウントしたメッシュ数次元ベクトルを特徴とする方法を用いることができる。
【0081】
ブロックセレクション処理(ステップS406)で抽出された文字領域に対して文字認識を行う場合、まず該当領域に対して横書き、縦書きの判定を行い、各々対応する方向に行を切り出し、その後文字を切り出して文字画像を得る。横書き、縦書きの判定は、該当領域内で画素値に対する水平/垂直の射影を取り、水平射影の分散が大きい場合は横書き領域、垂直射影の分散が大きい場合は縦書き領域と判断すればよい。
【0082】
また、文字列及び文字への分解は、横書きの場合は水平方向の射影を利用して行を切り出し、さらに切り出された行に対する垂直方向の射影から、文字を切り出す。一方、縦書きの文字領域に対しては、水平と垂直を逆にすればよい。尚、文字のサイズは切り出した大きさに基づいて検出することができる。
【0083】
[ベクトル化処理(ステップS410)]
次に、図4のステップS410で示されるベクトル化処理について説明する。前述したように、ステップS407で「文字等」と判定された場合は、入力されたイメージ情報をブロックごとにベクトル化する。
【0084】
まず、最初にOCR処理によって文字認識された文字ブロックの各文字に対してフォント認識処理を行う。
【0085】
《フォント認識》
文字認識の際に用いられる字種数分の辞書特徴ベクトルを、文字形状種、すなわちフォント種に対して複数用意し、マッチングの際に文字コードとともにフォント種を出力することで、文字のフォントを認識することができる。
【0086】
《文字のベクトル化》
前述した文字認識処理及びフォント認識処理によって得られた文字コード及びフォント情報を用いて、各々あらかじめ用意されたアウトラインデータを用いて、文字部分の情報をベクトルデータに変換する。尚、入力された原稿画像がカラーの場合は、カラー画像から各文字の色を抽出してベクトルデータとともに記録する。
【0087】
以上の処理により、文字ブロックに属するイメージ情報をほぼ形状、大きさ、色が忠実なベクトルデータに変換することができる。
【0088】
《文字以外の部分のベクトル化》
ステップS406のブロックセレクション処理で、図画或いは線、表領域とされた領域を対象として、それぞれ抽出された画素塊の輪郭をベクトルデータに変換する。具体的には、輪郭を成す画素の点列を角とみなされる点で区切って、各区間を部分的な直線或いは曲線で近似する。ここで、「角」とは、曲率が極大となる点である。
【0089】
図7は、曲率が極大となる点を説明するための図である。図7に示すように、任意点Piに対して左右k個の離れた点Pi-k〜Pi+kの間に弦を引いたとき、この弦とPiの距離が極大となる点として求められる。さらに、Pi-k〜Pi+k間の弦の長さ/弧の長さをRとし、Rの値が閾値以下である点を角とみなすことができる。角によって分割された後の各区間は、直線は点列に対する最小二乗法等を用いて、曲線は3次スプライン関数等を用いてベクトル化することができる。
【0090】
また、対象が内輪郭を持つ場合、ブロックセレクション処理で抽出した白画素輪郭の点列を用いて、同様に部分的直線或いは曲線で近似する。
【0091】
以上のように、輪郭の区分線近似を用いることによって、任意形状の図形のアウトラインをベクトル化することができる。尚、入力される原稿がカラーの場合は、カラー画像から図形の色を抽出してベクトルデータとともに記録する。
【0092】
図8は、外輪郭が内輪郭又は別の外輪郭と近接している場合に太さを持った線として表現する例について説明するための図である。図8に示すように、ある区間で外輪郭が、内輪郭又は別の外輪郭が近接している場合、2つの輪郭線を一まとめにし、太さを持った線として表現することができる。具体的には、ある輪郭の各点Piから別輪郭上で最短距離となる点Qiまで線を引き、各距離PQiが平均的に一定長以下の場合、注目区間はPQi中点を点列として直線又は曲線で近似し、その太さはPQiの平均値とする。線や線の集合体である表罫線は、前述したような太さを持つ線の集合として、効率よくベクトル表現することができる。
【0093】
尚、文字ブロックに対する文字認識処理を用いたベクトル化については前述したように、当該文字認識処理の結果、辞書からの距離が最も近い文字を認識結果として用いる。ここで、この距離が所定値以上の場合は、必ずしも本来の文字に一致するとは限らず、形状が類似する文字に誤認識するような場合が多い。従って、本実施形態では、このような文字に対しては上記したように、一般的な線画と同様に扱って当該文字をアウトライン化する。すなわち、従来は文字認識処理で誤認識を起こしていたような文字でも、誤った文字にベクトル化されることなく、可視的にイメージデータに忠実なアウトライン化によるベクトル化を行うことができる。また、写真と判定されたブロックに対しては、本発明ではベクトル化せずに、イメージデータのままとする。
【0094】
《図形認識》
ここでは、上述したように任意形状の図形のアウトラインをベクトル化した後、これらのベクトル化された区分線を図形オブジェクト毎にグループ化する処理について説明する。
【0095】
図9は、ベクトルデータを図形オブジェクト毎にグループ化するまでの処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、各ベクトルデータの始点、終点を算出する(ステップS700)。次に、各ベクトルの始点、終点情報を用いて、図形要素を検出する(ステップS701)。ここで、図形要素の検出とは、区分線が構成している閉図形を検出することである。検出に際しては、閉形状を構成する各ベクトルはその両端にそれぞれ連結するベクトルを有しているという原理を応用して検出を行う。
【0096】
次に、図形要素内に存在する他の図形要素又は区分線をグループ化し、一つの図形オブジェクトとする(ステップS702)。尚、図形要素内に他の図形要素又は区分線が存在しない場合は、図形要素を図形オブジェクトとする。
【0097】
図10は、図形要素を検出する処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、ベクトルデータから両端に連結していない不要なベクトルを除去し、閉図形構成ベクトルを抽出する(ステップS710)。次に、閉図形構成ベクトルの中から当該ベクトルの始点を開始点とし、時計回りに順にベクトルを追っていく。そして、開始点に戻るまで追跡を行い、通過したベクトルを全て一つの図形要素を構成する閉図形としてグループ化する(ステップS711)。尚、この際に、閉図形内部にある閉図形構成ベクトルも全てグループ化する。さらに、まだグループ化されていないベクトルの始点を開始点とし、同様の処理を繰り返す。最後に、ステップS710で除去された不要ベクトルのうち、ステップS711で閉図形としてグループ化されたベクトルに接合しているものを検出し、一つの図形要素としてグループ化する(ステップS712)。
【0098】
以上の処理によって、図形ブロックを個別に再利用可能な個別の図形オブジェクトとして扱うことが可能になる。
【0099】
[ベクトルファイルの記憶保存]
図11は、一頁分のイメージ情報をブロックセレクション処理(ステップS406)及びベクトル化処理(ステップS410)によって変換された結果として得られる中間データ形式のファイルのデータ構造を示す図である。図11に示すようなデータ形式は、ドキュメント・アナリシス・アウトプット・フォーマット(DAOF)と呼ばれる。すなわち、図11は、DAOFのデータ構造を示す図である。
【0100】
図11において、791はHeader(ヘッダ)であり、処理対象の文書画像データに関する情報が保持される。792はレイアウト記述データ部であり、文書画像データ中のTEXT(文字)、TITLE(タイトル)、CAPTION(キャプション)、LINEART(線画)、PICTURE(自然画)、FRAME(枠)、TABLE(表)等の属性毎に認識された各ブロックの属性情報とその矩形アドレス情報を保持する。
【0101】
793は文字認識記述データ部であり、TEXT、TITLE、CAPTION等のTEXTブロックを文字認識して得られる文字認識結果を保持する。794は表記述データ部であり、TABLEブロックの構造の詳細を格納する。795は画像記述データ部であり、PICTUREやLINEART等のブロックのイメージデータを文書画像データから切り出して保持する。
【0102】
このようなDAOFは、中間データとしてのみならず、それ自体がファイル化されて保存される場合もあるが、このファイルの状態では、一般の文書作成アプリケーションで個々のオブジェクトを再利用することはできない。そこで、次に、DAOFから後処理するためのデータに変換する処理について説明する。
【0103】
図12は、アプリデータへの変換処理全体の概略手順を説明するためのフローチャートである。まず、DAOFデータを入力する(ステップS800)。次いで、アプリデータの元となる文書構造ツリー生成を行う(ステップS802)。そして、生成した文書構造ツリーに基づいて、DAOF内の実データを流し込み、実際のアプリデータを生成する(ステップS804)。
【0104】
図13は、文書構造ツリー生成処理(ステップS802)の詳細な処理手順を説明するためのフローチャートである。また、図14は、文書構造ツリーの概要を説明するための図である。尚、全体制御の基本ルールとして、処理の流れはミクロブロック(単一ブロック)からマクロブロック(ブロックの集合体)へ移行するものとする。また、以後の説明では、ブロックとは、ミクロブロック及びマクロブロック全体を指す。
【0105】
まず、ブロック単位で縦方向の関連性を元に再グループ化する(ステップS802a)。尚、スタート直後はミクロブロック単位での判定となる。ここで、関連性とは、距離が近く、ブロック幅(横方向の場合は高さ)がほぼ同一であること等で定義することができる。また、距離、幅、高さ等の情報はDAOFを参照して抽出する。
【0106】
図14において、(a)は実際のページ構成、(b)はその文書構造ツリーを示している。ステップS802aのグループ化の結果、T3、T4、T5が一つのグループV1として、T6、T7が一つのグループV2として、それぞれ同じ階層のグループとして生成される。
【0107】
次に、縦方向のセパレータの有無をチェックする(ステップS802b)。セパレータは、例えば、物理的にはDAOF中でライン属性を持つオブジェクトである。また、論理的な意味としては、アプリ中で明示的にブロックを分割する要素である。ここでセパレータを検出した場合は、同じ階層で再分割する。
【0108】
次いで、分割がこれ以上存在し得ないか否かをグループ長を利用して判定する(ステップS802c)。例えば、縦方向のグルーピング長がページ高さか否かを判定する。その結果、縦方向のグループ長がページ高さとなっている場合は(Yes)、文書構造ツリー生成は終了する。例えば、図14に示すような構造の場合は、セパレータもなく、グループ高さはページ高さではないので、Noと判定され、ステップS802dに進む。
【0109】
ステップS802dでは、ブロック単位で横方向の関連性を元に再グループ化する。但し、この再グループ化においてもスタート直後の第一回目は、ミクロブロック単位で判定を行うことになる。また、関連性及びその判定情報の定義は、縦方向の場合と同じである。例えば、図14の構造の場合は、T1とT2でH1、V1とV2でH2が生成され、H1はT1、T2の一つ上、H2はV1、V2の1つ上の同じ階層のグループとして生成される。
【0110】
次いで、横方向セパレータの有無をチェックする(ステップS802e)。図14では、S1があるので、これをツリーに登録し、H1、S1、H2という階層が生成される。そして、分割がこれ以上存在し得ないか否かをグループ長を利用して判定する(ステップS802f)。例えば、横方向のグルーピング長がページ幅か否かを判定する。その結果、横方向のグループ長がページ幅となっている場合(Yes)、文書構造ツリー生成は終了する。一方、ページ幅となっていない場合(No)は、ステップS802bに戻り、再度もう一段上の階層で、縦方向の関連性チェックから繰り返す。例えば、図14の構造の場合は、分割幅がページ幅になっているので、ここで終了し、最後にページ全体を表す最上位階層のV0が文書構造ツリーに付加される。
【0111】
文書構造ツリーが完成した後、その情報に基づいて、ステップS804においてアプリデータの生成を行う。図14の構造の場合は、具体的に以下のようになる。
【0112】
すなわち、H1は横方向に2つのブロックT1、T2があるので、2カラムとし、T1の内部情報(DAOFを参照した文字認識結果の文章や画像等)を出力後、カラムを変えて、T2の内部情報出力し、その後S1を出力する。また、H2は横方向に2つのブロックV1、V2があるので、2カラムとして出力し、V1はT3、T4、T5の順にその内部情報を出力し、その後カラムを変えて、V2のT6、T7の内部情報を出力する。以上により、ベクトルデータへの変換処理を行うことができる。
【0113】
<その他の実施例>
上述した実施例においては、ステップS407において、URL+低解像度サムネールの送信か、URL+ベクトルデータの送信かをブロックセレクション処理の結果から得られる属性数の割合で自動的に決定した。そこで、自動的に決定するのではなく、送信者が操作部等から任意に指定することができる構成にしてもよい。
【0114】
また、上述した実施例においては、ステップS416でURL+低解像度サムネール、又はURL+ベクトルデータのいずれかを送信する構成であったが、低解像度サムネールとベクトル化ファイルの両方をURLと共に送信する構成にしてもよい。
【0115】
さらに、上述した実施例においては、URL+低解像度サムネール、又はURL+ベクトルデータのいずれかを送信する構成になっていたが、ブロックセレクション処理でText属性と判断された箇所に関しては、OCR処理を行った後の文書を併せて送信する構成にしてもよい。すなわち、URL+OCR文書+低解像度サムネール、又はURL+OCR文書+ベクトルデータのいずれかを送信するようにしてもよい。或いは、URL+低解像度サムネール、又はURL+ベクトルデータのいずれかを送信する構成に対して、OCR文書を付加して送信する構成であってもよい。尚、OCR文書として付加するものの例として、大きな見出しとして認識された属性エリアの文書、あるポイント数以上の大きさの文書、これらの近傍の文書、文字属性と認識された文書全文等を選択するようにしてもよい。
【0116】
さらにまた、上述した実施例においては、URL+低解像度サムネール、又はURL+ベクトルデータのいずれかを送信する構成になっていたが、URL+OCR文書を送信するような選択ができる構成をしてもよい。この場合、操作者が操作部で任意に選択することができる構成であっても、ブロックセレクション処理の結果からText属性の割合が最も多い場合に自動的に選択するような構成であってもよい。
【0117】
さらにまた、上述した実施例においては、スキャンされた画像(スキャン画像)を電子メールに添付したり、ベクトルデータを生成する構成であったが、クライアントPC等からのプリントデータや、デジタルカメラ等で撮影された画像データ等に対して上述した一連の処理を行う構成としてもよい。
【0118】
さらにまた、上述した実施例においては、各種データを電子メールに添付して電子メールクライアントに送信する構成について説明したが、それ以外の装置、例えばPC、PDA、携帯電話、カーナビゲーション等の電子メール送信、受信、送受信のいずれかが可能なデバイスやアプリケーションに対して送信するような構成であってもよい。
【0119】
さらにまた、上述した実施例においては、画像入出力装置10の実現例としてマルチファンクションプリンタ(MFP)を挙げて説明したが、これだけに限られることはなく、スキャナ単体のデバイスであってもよい。また、デジタルカメラ等の撮影画像を入力またはストレージできるデバイスであれば、その機器上で上述した動作を行うようにしてもよい。
【0120】
さらにまた、上述した実施例においては、元のスキャン画像を画像入出力装置10内のHDD208に記憶・保存する構成について説明したが、格納場所として、画像入出力装置10に接続するLANやインターネット/イントラネット上に構築されるデータベースサーバ等に保存する構成であってもよい。
【0121】
さらにまた、上述した実施例においては、ベクトルデータの生成および、低解像度のサムネール画像の生成を画像入出力装置内のコントロールで行なっていたが、接続するLAN、もしくはインターネット/イントラネット上に構築される画像処理サーバなどで処理を行なう構成であっても良い。
【0122】
さらにまた、上述した実施例以外にも、ブロックセレクション処理による属性分離の分離タイプを選択する構成にし、その分離タイプに応じて、サムネール送信か、ベクトルデータ送信かを切り替える構成としてもよい。例えば、Imageモードが選択された場合には、サムネール送信をするようにしてもよい。
【0123】
さらにまた、上述した実施例以外にも、ブロックセレクション処理による属性分離の分離タイプを選択する構成にし、その分離タイプに応じて選択されたオブジェクト属性を添付して送信する構成にしてもよい。例えば、Textモードが選択された場合には、Text属性を持つオブジェクトのみを添付して送信するようにする。
【0124】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0125】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0126】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0127】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0128】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0129】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0130】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0131】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0132】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理システムにおける画像入出力装置10のコントロールユニットの一構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像処理システムにおける画像入出力装置10の装置構成の一例を示す断面図である。
【図4】本実施形態に係る画像入出力装置の画像送信機能による処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】画像入力装置で読み取られた1ページのイメージ情報に含まれるオブジェクトの属性を判定し複数のブロックに分割する様子を示す図である。
【図6】ステップS406のブロックセレクション処理で得られる各ブロックに対するブロック情報の一例について示す図である。
【図7】曲率が極大となる点を説明するための図である。
【図8】外輪郭が内輪郭又は別の外輪郭と近接している場合に太さを持った線として表現する例について説明するための図である。
【図9】ベクトルデータを図形オブジェクト毎にグループ化するまでの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】図形要素を検出する処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】DAOFのデータ構造を示す図である。
【図12】アプリデータへの変換処理全体の概略手順を説明するためのフローチャートである。
【図13】文書構造ツリー生成処理(ステップS802)の詳細な処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図14】文書構造ツリーの概要を説明するための図である。
【符号の説明】
【0134】
10、90 画像入出力装置
20、80 電子メールサーバ
30、70 電子メールクライアント
40 LAN
50 ルータ
60 インターネット/イントラネット
200 コントロールユニット
201 画像入力装置
202 画像出力装置
210 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ情報を入力する入力手段と、
前記イメージ情報を格納する格納手段と、
前記イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて該イメージ情報から所定の情報を生成する生成手段と、
生成された前記情報と前記イメージ情報の格納先に関する情報とを所定の送信先に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記生成手段が、前記イメージ情報を複数のオブジェクトに分割する分割手段と、
分割されたそれぞれのオブジェクトの属性を定義する属性定義手段と、
前記複数のオブジェクトの所定属性オブジェクトの割合に応じた画像処理を前記イメージ情報に対して行って、該イメージ情報から所定の情報を生成する画像処理手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記送信手段が、前記情報を添付ファイルとし、前記格納先に関する情報を本文に記述した電子メールを用いて前記送信先に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記生成手段が、前記イメージ情報に含まれる文字属性のオブジェクトからテキストデータを生成し、
前記送信手段が、前記テキストデータを前記電子メールの見出し又は本文に記述して前記送信先に送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記テキストデータ中の見出しと認められる文書、所定サイズ以上の大きさの文字で構成されている文書、又は全文書を選択する選択手段をさらに備え、
前記送信手段が、前記選択手段によって選択された文書を前記電子メールの見出し又は本文に記述して送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記生成手段が、前記イメージ情報から低解像度画像を生成し、
前記送信手段が、前記体解像度画像を添付ファイルとして前記送信先に送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記生成手段が、前記イメージ情報からベクトルデータを生成し、
前記送信手段が、前記ベクトルデータを添付ファイルとして前記送信先に送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記送信手段によって前記情報が送信される送信先からの指示内容を認識する認識手段をさらに備え、
前記生成手段が、前記認識手段で認識された指示内容に基づいて、前記格納手段に格納された前記イメージ情報から前記情報を生成し、
前記送信手段が、前記指示内容に基づいて、前記情報を前記送信先に送信する
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記入力手段が、撮像装置によって撮像されたイメージ情報、他装置が記憶しているイメージ情報、又は可搬可能な記録媒体に記録されているイメージ情報を通信ケーブル、ネットワーク、又はシステムに固有のインタフェースを介して入力することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記格納先に関する情報が、前記格納手段に格納された前記イメージ情報のネットワーク上の位置情報を示すポインタ情報であることを特徴とする請求項1から9に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記生成手段が、文字属性のオブジェクトに対してOCR処理による文字コード化、アウトライン化又は関数化を行って記述コードを生成することを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記生成手段が、写真属性のオブジェクトに対して解像度変換処理による低解像度イメージ情報を生成することを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項13】
前記生成手段が、図形属性のオブジェクトに対してアウトライン化又は関数化を行って記述コードデータを生成することを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項14】
前記添付ファイルとして、前記イメージ情報の低解像度サムネール又はベクトルデータのいずれかを指定する指定手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項15】
前記送信手段が、前記添付ファイルとして、前記イメージ情報の低解像度サムネール及びベクトルデータを前記格納先に関する情報とともに送信することを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項16】
前記生成手段は、前記イメージ情報に含まれるオブジェクトの属性のうち、文字属性のオブジェクトの割合が所定以上の場合、前記テキストデータを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項17】
前記生成手段は、前記イメージ情報に含まれるオブジェクトの属性のうち、画像属性のオブジェクトの割合が所定以上の場合、該イメージ情報の低解像度画像を生成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項18】
イメージ情報を入力する入力工程と、
前記イメージ情報を所定の格納先に格納する格納工程と、
前記イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて該イメージ情報から所定の情報を生成する生成工程と、
生成された前記情報と前記イメージ情報の格納先に関する情報とを所定の送信先に送信する送信工程と
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
前記生成工程が、前記イメージ情報を複数のオブジェクトに分割する分割工程と、
分割されたそれぞれのオブジェクトの属性を定義する属性定義工程と、
前記複数のオブジェクトの所定属性オブジェクトの割合に応じた画像処理を前記イメージ情報に対して行って、該イメージ情報から所定の情報を生成する画像処理工程と
を有することを特徴とする請求項18に記載の画像処理方法。
【請求項20】
コンピュータに、
イメージ情報を入力する入力手順と、
前記イメージ情報を所定の格納先に格納する格納手順と、
前記イメージ情報に含まれる個々のオブジェクトの属性に応じて該イメージ情報から所定の情報を生成する生成手順と、
生成された前記情報と前記イメージ情報の格納先に関する情報とを所定の送信先に送信する送信手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
前記生成手順が、前記イメージ情報を複数のオブジェクトに分割する分割手順と、
分割されたそれぞれのオブジェクトの属性を定義する属性定義手順と、
前記複数のオブジェクトの所定属性オブジェクトの割合に応じた画像処理を前記イメージ情報に対して行って、該イメージ情報から所定の情報を生成する画像処理手順と
を有することを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
請求項20又は21に記載のプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−23942(P2006−23942A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200804(P2004−200804)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】