説明

画像処理システム

本発明は、一般に画像処理システムに関し、マルチラインアドレッシングまたはトータルマトリックスアドレッシング技術を使用して画像を表示する技術、およびこれらの技術で生成される表示用データの後処理の技術に関する。複数の時間サブフレームを使用して画像を表示する電子発光ディスプレイを駆動する方法であって、サブフレームのデータがディスプレイのそれぞれの第1および第2軸を駆動する第1組の駆動値(R;C)および第2組の駆動値(C;R)を含み、前記サブフレームが関連のサブフレーム表示時間を有する。この方法は、前記サブフレームの前記駆動値のうちの1つまたは複数に応答して表示されたサブフレームの前記サブフレーム表示時間を決定する段階と、それぞれの前記サブフレーム表示時間について、前記時間サブフレームを表示するように前記ディスプレイを駆動する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に画像処理システムに関する。より詳細には、本発明は、マルチラインアドレッシング(multi-line addressing:MLA)またはトータルマトリックスアドレッシング(total matrix addressing:TMA)技術を使用して画像を表示するシステムおよび方法、およびこれらの技術によって生成される表示用のデータの後処理の技術に関する。本発明の実装形態は、特に、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイの駆動に有用である。
【背景技術】
【0002】
特に非負行列因子分解(NMF)を使用したマルチラインアドレッシング(MLA)またはトータルマトリックスアドレッシング(TMA)の技術が、OLEDディスプレイの駆動にどのように有利に使用され得るかについては、以前説明した(特に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際出願PCT/英国特許第2005/050219号を参照されたい)。次に、大まかに言えば、複数のフレームセットがノイズ低減および画像品質の向上に使用される、これらの技術のさらなる改良について説明する。背景技術は、英国特許第2327798A号、欧州特許第0953956A号、および米国特許第6108122号に記載されている。
【0003】
マルチラインアドレッシングおよびトータルマトリックスアドレッシング
本発明の実装形態の理解を助けるために、まず、その好ましい特別な場合がトータルマトリックスアドレッシング(TMA)技術を含む、マルチラインアドレッシング(MLA)技術について再検討する。これらは、ピクセル(またはカラーサブピクセル)ごとの記憶素子を含んでおらず、したがって連続的にリフレッシュされなければならないディスプレイであるパッシブマトリックスOLEDディスプレイ(passive matrix OLED display)と共に使用されることが好ましい。本仕様書では、OLEDディスプレイは、ポリマー、いわゆる小さい分子(例えば米国特許第4,539,507)、デンドリマー、有機金属材を使用して製造されたディスプレイを含み、このディスプレイは、モノクロでもカラーでもよい。
【0004】
従来のパッシブマトリックスディスプレイでは、ディスプレイは、ライン単位に駆動され、したがって、ラインごとに高駆動が必要である。というのは、このディスプレイは、わずかなフレーム周期のみに照らされるからである。MLA技術は、同時に複数ラインを駆動し、TMA技術では、すべてのラインが同時に駆動され、画像は、観察者の目において統合されると、所望の画像の印象を与える、連続して表示される複数のサブフレームから構築される。各行(ライン)の必要なルミネセンスプロファイル(luminescence profile)は、単一のライン走査期間におけるインパルスとしてよりむしろ、複数のライン走査期間にわたって構築される。したがって、各ライン走査期間中のピクセル駆動を低減することができ、故に、駆動電圧の低減および容量損失(capacitive loss)の低減の結果、ディスプレイの寿命が延長され、かつ/または消費電力が低減される。これは、OLEDの寿命がピクセル駆動(輝度)により一般に1と2の間の力まで低減し、しかし、同じ外観の明度を観察者に提供するためにピクセルが駆動されなければならない時間の長さは、ピクセル駆動が減少するにつれて、実質的に線形にしか増加しないからである。メリットの度合いは、一部には共に駆動されるライン群の間の相関関係に依存する。
【0005】
図1aは、一度に1つの行が駆動される従来の駆動方式での行G、列F、および画像Xの行列を示している。図1bは、マルチラインアドレッシング方式での行、列、および画像の行列を示している。図1cおよび1dは、表示された画像の一般的なピクセルについて、ピクセルの明度、すなわち1フレーム周期にわたるピクセルに対する駆動を示しており、マルチラインアドレッシングを介して達成されるピークピクセル駆動の低減を示す。
【0006】
問題は、1組のサブフレームが所望の画像に近づくように、サブフレームの行および列の駆動信号の組を決定することである。この問題の解決策については、国際特許出願英国特許第2005/050167-9号(3つの出願はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で以前説明している。好ましい技術は、所望の画像を表す行列の非負行列因子分解を使用する。OLED表示要素は、正(またはゼロ)の光放射を提供するため、その要素が正である因子行列は、本質的に、サブフレームの行および列の駆動信号を定義する。その文脈で本発明の実施形態を操作することができる1つの好ましいNMF技術について後述するが、他の技術を使用することもできる。
【0007】
図1aを参照すると、まず、ハードウェア(好ましい)、ソフトウェア、またはその2つの組合せにおいて本発明の実施形態を実施し得るディスプレイ駆動データプロセッサ150を組み込む全体的なOLEDディスプレイシステム100について説明する。
【0008】
図2aにおいて、パッシブマトリックスOLEDディスプレイ120は、行ドライバ回路112によって駆動される行電極124、および列ドライバ110によって駆動される列電極128を有する。図1bに、こうした行ドライバおよび列ドライバの詳細が示されている。列ドライバ110は、電流駆動を列電極のうちの1つまたは複数に設定する列データ入力109を有し、同様に、行ドライバ112は、現在の電流駆動比を2つ以上の行に設定する行データ入力111を有する。好ましくは、入力109および111は、インターフェイスを容易にするために、デジタル入力であり、好ましくは、列データ入力109は、ディスプレイ120のすべてのU列の電流駆動を設定する。
【0009】
表示用データは、データおよび制御バス102上に提供され、これは、直列でも並列でもよい。バス102は、入力をフレームストアメモリ103に提供し、フレームストアメモリは、ディスプレイのピクセルごとに輝度データを格納する、またはカラーディスプレイでは、サブピクセルごとに輝度情報(別個のRGBカラー信号として、または輝度および彩度信号として、または他の何らかの方法で符号化され得る)を格納する。フレームメモリ103に格納されるデータは、ディスプレイのピクセル(またはサブピクセル)ごとに所望の外観の明度を決定し、この情報は、ディスプレイ駆動データプロセッサ150により、第2の読み取りバス105によって読み出すことができる。ディスプレイ駆動データプロセッサ150は、入力データ前処理、NMF、および後処理を行うことが好ましい。
【0010】
図2bは、ディスプレイを駆動するのに適した行および列ドライバ、および因子分解された画像行列を示す。列ドライバ110は、連動され、電流を列電極のそれぞれに設定する可変基準電流Irefが提供される1組の調整可能な実質的に一定した電流源を含む。この基準電流は、NMF因子行列の行から導出される列ごとの異なる値によって変調されるパルス幅(PWM)である。OLEDは、電流-電圧二次従属(quadratic current-voltage dependence)を有しており、これは、行および列の駆動変数(drive variable)の独立制御を抑制する。PWMは、列および行の駆動変数を互いから分離することができるため、有用である。
【0011】
PWM駆動では、PWMサイクルの開始およびサイクルの「オン」部分を常に有するのではなく、PWMサイクルの開始をランダムにディザリングすることによって、ピーク電流を低減することができる。オフタイムが50%を超える場合、PWMサイクルの半分において「オン」部分のタイミングを有効期間の終わりに開始することによって、同様の利点をより少ない複雑性で達成することができる。これは、潜在的に、ピーク行駆動電流を50%低減することができる。
【0012】
行ドライバ112は、好ましくはディスプレイの行ごとに(または同時に駆動される行のブロックの行ごとに)1つの出力を有する、プログラム可能なカレントミラーを含む。行駆動信号は、NMF因子行列の列から導出され、行ドライバ112は、行の電流が比率制御入力(ratio control input)(R)によって設定される比率であるように、行ごとに合計列電流を分配する。適したドライバのこれ以上の詳細は、本発明者のPCT出願英国特許第2005/010168号(参照により本明細書に組み込まれる)で探し出すことができる。(この構成において)行信号は、行ドライバによって実質的に正規化されるため、後処理において、列駆動基準電流および/またはサブフレーム時間は、補償するように調整される。
【0013】
本発明の実施形態は、この後処理の態様を対象とする。例えば、後処理は、1つのサブフレームにおいて最も明るいピクセルの明度に比例して各サブフレームの持続時間を調整することができ、したがって、持続時間が延び、駆動が増加する(したがってピクセルの寿命が延長する)ことによって高輝度が達成される。所望の全フレームレートが維持されるように、相対的なサブフレーム持続時間を(比例して)調整することができる。
【0014】
英国特許第2005/010168号から取得した図2cおよび2dは、行ドライバの例を示している。
【0015】
図2cの例では、いわゆるベータヘルパー(beta helper)(Q5)を備えるバイポラーカレントミラー(bipolar current mirror)が使用されている。V1は、一般的に約3Vの電源装置、およびデジタル制御可能な電流ソース215、217、I1およびI2は、Q1およびQ2のコントローラにおける電流の比率を定義する。2つのライン252、254における電流は、I1対I2の比率であり、したがって、所与の合計列電流は、2つの選択された行に、この比率で分割される。2つの行電力マルチプレクサ256a、bは、基準電流を提供する1つの行電極、「出力」電流(シンク)を提供する別の行電極の選択を可能にするために提供される。この回路は、点線258内の回路の反復実装を提供することによって、任意の数のミラリング済み行に拡張することができる。
【0016】
図2dの代替の例では、各行に、図2cの点線258内のものに対応する回路、すなわちカレントミラー出力段階が備えられ、次いで、1つまたは複数の行セレクタは、これらのカレントミラー出力段階のうちの選択されたものを1つまたは複数のそれぞれのプログラム可能な基準電源装置(ソースまたはシンク)に接続する。別のセレクタは、カレントミラーへの基準入力として使用される行を選択する。この場合も、同時に駆動される行は2つしか示されていないが、回路は、所与の電流比で同時に任意の数の行を駆動するために、容易に拡張することができることを理解されよう。
【0017】
好ましいTMA行ドライバにおいて、示した出力行選択は使用されておらず、代わりに、ディスプレイの同時に駆動される行ごとに個別のカレントミラー出力が提供される。
【0018】
次に、1つの好ましいNMF計算について説明する。
【0019】
入力画像は、要素Vxyを含む行列Vによって提供され、Rは、現在の行行列、Cは現在の列行列、QはVとR.Cとの間の残留誤差(remaining error)、pはサブフレーム数、averageは平均値、gammaはオプションのガンマ補正関数を示す。
【0020】
変数は、以下のように初期化される。
av=average(gamma(Vxy)
【0021】
【数1】

【0022】
Qxy=gamma(Vxy)-av
【0023】
次いで、NMFシステムの一実施形態は、p=1からサブフレームの総数までについて以下の計算を行う。
開始
Qxy = Qxy + RpyCxp xおよびyごと
【0024】
【数2】

【0025】
yごと
【0026】
【数3】

【0027】
xごと
Qxy =Qxy - RpyCxp xおよびyごと
開始に折り返す
【0028】
【数4】

【0029】
変数biasは、ゼロ除算を防ぎ、RおよびCの値がこの値に近づく。biasの値は、initialRC×weight×no.of.columnsによって決定され得る。この場合、列数はxであり、重みは、例えば64と128の間である。
【0030】
大まかに言えば、上記の計算を、最小2乗適合として特徴付けることができる。行列Qは、最初に、対象の行列の形として開始する。というのは、行Rおよび列Cの行列は、一般に、そのすべての要素が同じであり、平均値initialRCに等しいように初期化されるからである。しかし、その時から、行列Qは、画像とサブフレームの結合の結果との間の残差を表すため、理想的にはQ = 0である。したがって、大まかに言えば、手順は、サブフレームpの貢献を追加することによって開始し、次いで、行ごとに最適な列値を見つけ、その後、列ごとに最適な行値を見つける。次いで、更新された行および列の値は、Qから差し引かれ、手順は、次のサブフレームを続行する。一般に、1組のサブフレームについてのRおよびCが最適適合に収束するように、例えば1と100との間など、何度かの反復が行われる。使用されるサブフレームpの数は、実験的な選択であるが、例えば、1と1000との間とすることができる。
【0031】
図1eに、Qの行および列の因子行列RおよびCへの因子分解が概略的に示されている。図1fは、行および列の因子行列RおよびCのサブフレームデータを使用して、1つの時間サブフレーム(temporal sub-frame)でディスプレイを駆動することを概略的に示している。サブフレームは、観察者の目の中に結合して所望の表示された画像の印象を与えるのに十分迅速に表示される。
【0032】
この説明において、行および列への言及は、置き換え可能であり、例えば、上記の式系において、更新されたRpyおよびCxpの値を決定するための処理の順序は交換され得ることを当業者であれば理解されよう。
【0033】
上記の組の式において、すべての整数演算が使用されることが好ましく、RおよびCの値は、8ビット値を含み、Qは、符号付き16ビット値を含むことが好ましい。次いで、RおよびCの値の決定は、四捨五入を伴い得るが、Qにおける丸め誤差はない。というのは、Qは、四捨五入された値で更新されるからである(また、RおよびCの値の積がQ内に収容できる最大値を超えることはできない)。上記の手順は、カラーディスプレイのピクセルに直接適用され得る(詳細は後述)。不完全な黒に対して目が過度に敏感であるため、任意選択で、重みW行列を使用して、低輝度値における誤差により高く重み付けするようにしてもよい。緑の誤差に目が過度に敏感であるため、緑色チャネルにおける誤差の重みを高めるために、同様の重み付けを適用してもよい。
【0034】
上記のNMF手順に基づくディスプレイドライバシステムの実践的な実装のための一般的な1組のパラメータは、例えば160個のサブフレームに対する手順の20回の反復をそれぞれ含む、毎秒25フレームの所望のフレームレートを有し得る。NMF手順は、例えば、DSP(デジタル信号プロセッサ)上など、ソフトウェアにおいて実施することができるが、より安価で低電力の手順の実施を可能にするハードウェアアーキテクチャについても説明している(参照により本明細書に組み込まれる、2006年3月23日出願の英国特許出願第0605748.3号)。
【0035】
図3は、OLEDディスプレイ駆動システム300の別の例のブロック図を示す。図3のシステムは、DSPまたはハードウェアのいずれかにおいて、上述したように、NMFを実行する非負行列因子分解システム310を含む。NMFシステムは、対象の画像データがロードされ、因子行列RおよびCを格納する行306および列308のメモリブロックに結合されるNMFプロセッサ304を含む。システム300は、モノクロのビデオデータでもカラーのビデオデータでもよい入力画像データを受信し、例えばガンマ補正のために、任意選択の前処理302を行う。システム310からのNMF出力は、後述するように、本発明の一実施形態を実施するために、後処理装置312に提供される。次いでデータは、ディスプレイメモリ316、およびOLEDディスプレイ322を駆動する行318および列320ドライバに結合されているコントローラ314に渡される。
【特許文献1】国際出願PCT/英国特許第2005/050219号
【特許文献2】英国特許第2327798A号
【特許文献3】欧州特許第0953956A号
【特許文献4】米国特許第6108122号
【特許文献5】米国特許第4,539,507
【特許文献6】国際特許出願英国特許第2005/050167-9号
【特許文献7】PCT出願英国特許第2005/010168号
【特許文献8】英国特許出願第0605748.3号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0036】
大まかに言えば、TMA駆動のメリットを最適化するために、個々のサブフレームの表示期間を変更するシステムおよび方法について説明する。実施形態は、ピークおよび一般の輝度の低減、より効率的な操作、寿命の延長、および/または駆動電流の低減を提供する。より一般的には、実施形態は、ピクセル輝度とピーク駆動電流との間のうまく設計されたトレードオフを容易にする。
【0037】
したがって、本発明によれば、複数の時間サブフレームを使用して画像を表示するための電子発光ディスプレイを駆動する方法が提供され、前記サブフレームのデータが前記ディスプレイのそれぞれの第1および第2の軸を駆動する第1の組の駆動値(R;C)および第2の組の駆動値(C;R)を含み、前記サブフレームが関連のサブフレーム表示時間を有しており、前記方法が、前記サブフレームの前記駆動値のうちの1つまたは複数に応答して表示されたサブフレームの前記サブフレーム表示時間を決定する段階と、それぞれの前記サブフレーム表示時間について、前記時間サブフレームを表示するように前記ディスプレイを駆動する段階とを含む。
【0038】
この方法の実施形態において、サブフレームの駆動値のうちの1つまたは複数に依存してサブフレームの表示時間を変更することによって、1つまたは複数の駆動パラメータが最適化され得る。例えば、サブフレーム内の最も明るいピクセルの輝度に比例してサブフレーム表示時間を調整する(延長する)ことによって、ピクセルに対する最大駆動を低減することができ(低減された駆動を長い表示時間で補償して、同じ外観の明度を提供する)、したがって、表示寿命が延びる。
【0039】
好ましい一部の実施形態において、ディスプレイの軸のうちの1つにパルス幅変調(PWM)駆動が使用される。この場合、サブフレームの持続時間は、PWM駆動のためのクロックの期間を調整することによって調整され得る。これには、丸め誤差の低減の利点がある。より詳細には、例えば255など、この軸における可能な最大駆動値まで数えるのではなく、代わりに、関連のサブフレームについて、この軸における実際の最大駆動値まで数えるために、クロックを引き延ばすことができる。
【0040】
別の最適化において、関連の軸における最大駆動、より詳細には、ディスプレイの列の行に対する最大駆動に比例して表示時間を調整することによって、ディスプレイのいずれかの軸に対する駆動を最低限に抑えることができる。さらに別の最適化において、例えば、電源からの全体的な駆動電流を最低限に抑えるために、サブフレームについての全体的な駆動に比例して、サブフレームの表示時間を調整することができる。さらに、または代わりに、これらの表示パラメータのうちの1つまたは複数の組合せを、例えばパラメータの線形またはパワースケーリング(power scaling)によって最適化するように、サブフレームの表示時間が選択され得る。
【0041】
この技術は、完全な画像において、またはいくつかの実施形態では、画像の空間部分または再分割において、または1つまたは複数のカラープレーンにおいて、別々に、または組合せで使用することができることを理解されたい。
【0042】
この技術の用途に関する限り、サブフレームが表示される順序は重要ではない。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態では、ディスプレイの駆動は、電流駆動を含む。したがって、例えば、ディスプレイの1つの軸、例えば列軸には、電流駆動(ソースまたはシンク)が提供され、ディスプレイの別の軸、例えば行軸には、第2の表示軸の駆動値によって決定される(行ごとの)比率に従って、第1の軸上の合計駆動を分割するための比率駆動(ratio drive)が提供されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、比例化された駆動(ratioed drive)を有していない軸に、パルス幅変調された駆動が提供される。これは、特に、OLEDディスプレイに有用である。というのは、これは、ディスプレイの第1および第2の軸に対する駆動を、実質的に互いに分離することができるからである。
【0044】
上述したように、PWM駆動が使用される場合、サブフレームの基準駆動(電流)は、サブフレームの持続時間に反比例し得る。ディスプレイに対する実際の駆動信号が制御範囲内、一般に、ディスプレイおよびドライバ回路の応答が比較的線形であり、実際に制御可能である範囲内にあるように、スケーリングが適用されることが好ましい。ディスプレイの1つの軸にPWM駆動を使用する方法の実施形態において、駆動値の時間を計るときに、(例えば、クロックを一定に保ち、駆動についての可能な最大値までカウントするのではなく)カウンタがこの最大値まで数えるように、最大駆動値に従ってPWM駆動のクロックを調整することが有益である。他方の軸の駆動値は、最大値の最上位ビット(MSB)(一般の規定を前提としてロジック「1」)が設定されるように、左シフトすることによってスケーリングされることが好ましい。
【0045】
PWM制御を使用する方法のいくつかの好ましい実施形態において、PWMクロック周期は、少なくとも12ビットの解像度で定義される。基準値(電流)は、少なくとも10ビット解像度で定義されることが好ましい。
【0046】
いくつかの特定の好ましい実施形態において、方法は、例えば、概要で説明したラインに沿って、入力画像データによって定義される対象の行列を因子分解する段階も含む。一般に、画像データは、例えば、ガンマ補正を適用するために、また任意選択で他の調整のために、因子分解の前に前処理される。上述したように、掛け合わせると対象の行列に近づく第1および第2の因子行列が生成されることが好ましい。これらのうちの一方は、(第1の表示軸の)第1の組の駆動値、またはサブフレームのそれぞれを示し、他方は、サブフレームごとの(ディスプレイの第2の軸の)第2の組の駆動値を示す。
【0047】
方法の実施形態は、特に、OLEDディスプレイを駆動するのに適している。一般のディスプレイは、行電極および列電極によってそれぞれアドレス指定可能な複数のピクセル、任意選択で異なる色の複数のピクセルを有する。ディスプレイは、パッシブマトリックスディスプレイを含むことが好ましい。
【0048】
しかし、説明するこの方法ならびにディスプレイドライバおよびシステムの用途は、OLEDディスプレイに限定されず、例えば、無機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、およびiFire(登録商標)ディスプレイなどの薄膜電子発光ディスプレイ(thick and thin film electroluminescent display)にも適用され得る。ディスプレイは、カラーでもモノクロでもよい。
【0049】
また、本発明は、本発明による方法を実施する手段を組み込む電子発光ディスプレイ、特にOLEDディスプレイ用のドライバも提供する。
【0050】
したがって、本発明は、さらに、複数の時間サブフレームを使用して画像を表示するための電子発光ディスプレイを駆動するデータを処理するディスプレイドライバデータ処理システムを提供し、前記サブフレームのデータが前記ディスプレイのそれぞれの第1および第2の軸を駆動する第1の組の駆動値(R;C)および第2の組の駆動値(C;R)を含み、前記サブフレームが関連のサブフレーム表示時間を有しており、前記システムが、前記サブフレームの前記駆動値のうちの1つまたは複数に応答して表示されたサブフレームの前記サブフレーム表示時間を決定する手段を含む。
【0051】
さらに別の態様において、本発明は、画像データの非負行列因子分解(NMF)から導出された複数の時間サブフレームを定義するデータにより電子発光ディスプレイを駆動するディスプレイドライバを提供し、前記サブフレームは、表示されるとき、結合して、前記画像データによって定義される画像の印象を提供し、前記ディスプレイドライバは、データ入力と、前記ディスプレイの行を駆動する複数の行ドライバと、前記ディスプレイの列を駆動する複数の列ドライバと、前記行ドライバの行駆動データおよび前記列ドライバの列駆動データのうちの1つまたは複数に応答して前記サブフレーム表示のタイミングを制御するタイミング制御システムとを含む。
【0052】
ディスプレイの1つの軸を行軸とラベル付けし、別の軸を列軸とラベル付けすることは、任意であり、「列ドライバ」は、ディスプレイの「行」接続を駆動している場合、行ドライバとなり、逆も同様であることを当業者であれば理解されよう。同様に、電流駆動の場合、ドライバは、電流ソースまたは電流シンクのいずれでも実施することができ、いくつかの好ましい実施形態において上述したように、ドライバのうちの1つは、比例化された電流駆動を提供する。
【0053】
本発明は、例えば汎用コンピュータシステムやデジタル信号プロセッサ(DSP)などにおいて、上述した方法を実施するプロセッサ制御コードをさらに提供する。コードは、ディスク、CD-ROMまたはDVD-ROM、読み取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムドメモリなどのキャリアや、光または電気信号キャリアなどのデータキャリア上で提供され得る。本発明の実施形態を実施するコード(および/またはデータ)は、ソース、オブジェクト、または実行可能コードを、Cやアセンブリコードなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型またはコンパイル型)で含み得る。上述した方法は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASCI(特定用途向け集積回路)上でも実施できる。したがって、コードは、ASCIまたはFPGAをセットアップまたは制御するコード、またはVerilog(商標)、VHDL(超高速高集積回路ハードウェア記述言語)、RTLコードまたはSystemCなど、ハードウェア記述言語のコードも含み得る。一般に、専用のハードウェアは、RTL(レジスタトランスファレベルコード)などのコードを使用して、または、より高いレベルでは、Cなどの言語を使用して記述される。こうしたコードおよび/またはデータが、互いに通信する複数の結合された構成要素間に分散されてもよいことを、当業者であれば理解されよう。
【0054】
一例にすぎないが、添付の図面を参照して、本発明のこれらおよび他の態様についてさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
まず、いくつかの一般的なクラスのサブフレーム時間の計算方法について説明し、次いで、詳細な例を提供する。
【0056】
実施形態において、後処理の目的は、TMA駆動のメリットを最適化するために、個々のサブフレームの期間を引き延ばすことである。期間の引き延ばしが無ければ、表示された画像によって、TMAからのメリットがない場合がある。例えば、1つのサブフレームのみに画像全体が生成されており、他は空である空白の白い画面で、すべてのサブフレームが同じ長さに設定されている場合、ドライバは、使用可能なわずかなフレーム周期において、全フレーム電流を送り出そうと試みなければならない。
【0057】
以下に述べるような4つの基本的な目的のうちの1つを達成するために、サブフレームを引き延ばすことができる。より一般的には、妥協点は、これらの最適化の間で選択されてもよい。以下において、Rは、あるサブフレームの行値のベクトル、Cは、そのサブフレームの列値のベクトルを示す。
1.ピクセル輝度を最低限に抑える。この場合、各サブフレームの長さ(持続時間)は、RmaxCmaxによって得られる所与のサブフレームにおける最も明るいピクセルに比例する(この場合、maxの下付き文字は、そのサブフレームについて、組内の最大値を示す)。
2.行電流を最低限に抑える。サブフレーム長は、RmaxCsumによって得られる最高の行電流に比例する。これは、図2bに示されるように、列が時分割(PWM)軸であり、行は電流(比)制御であると仮定する。また、上述したように、例えば「オン」パルスの開始時をディザリングすることによって、列駆動信号が時間内に効果的に分散されると仮定する。これが当てはまらない場合、ピーク電流は、Rmax×非ゼロの列信号のカウントによって得られる(サブフレームの開始時に、列のすべてがオンになるため)。しかし、これは、非常に不十分な割当を投じ得るため、基準としてこれを使用することは、最適には及ばない。したがって、好ましくは、時分割軸(PWM)におけるタイムスロットが妥当によく分散されると仮定とする。
3.列電流を最低限に抑える。これは、上記の最適化(2)に似ている。時分割またはPWM駆動にどの軸が使用されるか(すなわち、行が時分割軸であるかどうか)に応じて、タイムスロットの分散に類似の問題が起こり得る。ディスプレイのどの軸が「行」軸としてラベル付けされ、「列」軸としてラベル付けされるかは任意であることを理解されよう。非時間分散の場合を無視すれば、最高の列電流は、RsumCmaxによって得られる。
4.フレーム電流を最低限に抑える。これは、電源装置全体に制限がある場合を除いて、おそらく前の最適化ほど有用ではない。しかし、これらは、おそらく、表示性能の別の態様に支障を来さない他の手段によって克服することができる。それにもかかわらず、フレーム電流を最低限に抑えることが望ましい場合、サブフレームタイムスロットは、RsumCsumによって得られる合計サブフレーム電流に比例していなければならない。
5.図4を参照すると、これは、上記のサブフレーム時間割当オプション(1)〜(4)の視覚化を示している。より一般的な場合は、正方形の隅によって定義される領域内の点(5)によって視覚化することができるこれら4つのオプションの間のトレードオフを含む。このより一般的な場合、サブフレームタイムスロットは、(Rmax)(1-a)(Rsum)a(Cmax)(1-b)(Csum)(1-b)に比例し、この場合、aおよびbは、0から1であり得る。この手法により、例えば一次関数など他の関数を使用して、異なる極値(1)〜(4)の間でスケーリングすることもできる。パワースケーリングがmaxとして選択され、sum値は、大きさが非常に異なり、その差は、サブフレームによって異なり得る。パワースケーリングは、固定される場合、参照用テーブルとして容易に実施することができる。というのは、特に、タイムスロットが大まかに正しい限り、非常に正確に計算する必要はない。好ましくは正確である必要があるのは、時間割当に続く計算である。
【0058】
最適化基準が決定されると、フレーム時間が基準に比例して、より詳細には、例えばRsumCmaxなど、最適化基準の値に比例して、スロットに細分される。一般に、サブフレームが、表示するには無意味であると考えられるという基準による最小限度が、タイムスロットの長さにはある。最小の有用なサブフレームタイムスロットが定義されてもよく(例えば、システムクロックのいくつかのサイクルの観点から、サブフレームに持続時間が割り当てられてもよい)、この場合、サブフレームは、タイムスロット未満、またはタイムスロットの半分未満の持続時間を有する場合、無意味であると考えることができる。
【0059】
次に、図2bに示されるものなど、ドライバ構成の文脈で、上記の技術の好ましい実装形態について説明する。したがって、1つのドライバ軸が、基準電流によってスケーリングされたパルス幅変調電流ドライバを提供することが好ましい。他方の軸は、この軸上の電流を、その軸の対応する駆動値の比率によって指定される相対的な比率に従って分割して、比例化された電流制御を提供する。
【0060】
まず、PWM基準の決定について説明する。
【0061】
基準電流は、割り当てられた時間に基づいて計算される。これは、所与のサブフレームにおける電流制御軸の総計に比例し、サブフレーム時間に反比例する。基準電流は、制限を超える場合、制限に設定され、サブフレーム時間が再調整される。任意選択で、余裕を作るために、他のサブフレーム時間をスケーリングすることができる。
【0062】
次に、RおよびCの値のビットシフトについて説明する。
【0063】
電流制御(比率)軸において、すべての構成要素がうまくその制御範囲内にあることを確実にするために、最大値の最上位のビット(MSB)が設定されるように、所与のサブフレームにおいて値をスケーリングすることが最適である。例えば、データが8ビットであり、最大値が35である場合、その軸上のすべてのデータを、2ビット左にシフトして(すなわち、4を掛けて)、最大値を140(すなわち、128と255との間)にすべきである。
【0064】
時間制御(パルス幅変調)軸において、使用可能な時間を埋めるために、パルスを引き延ばすことが最適である。したがって、PWM駆動の「オン」時は、実質的にPWMクロック周期に等しくなるように、事実上引き延ばされ得る。これを行う最も簡単な方法は、値のスケーリングではなく、PWMクロックを引き延ばして、最大値まで数え上げるだけである。値を引き延ばすことは、簡単な代替が与えられた場合、不要な丸め誤差をもたらし得る。これは、下記に示される詳細な例で行われる。さらに、この例では、余分な除算を後で行うよりむしろ、PWMクロックパルス長が時間割当段階に直接計算される。
【0065】
次に、上記の最適化(1)に基づいて実施された好ましいサブフレーム時間計算方法の詳細な例について説明する。
【0066】
この例では、時間制御(PWM)軸は行軸であり、電流(比)制御軸は列軸であった。したがって、行ドライバおよび列ドライバの名称は、図2bに示されているものに関して交換される。
【0067】
後処理計算の詳細な例
【0068】
まず、使用された計算について説明し、次いで、その証明を提供する。サブフレームpごとに、以下を計算し、
【0069】
【数5】

【0070】
カラーディスプレイの場合、以下を行う。
【0071】
【数6】

【0072】
式中、Ired、Igreen、およびIblueは、この例における29の公称基準に対する、赤、緑、および青のピクセル(10ビット値)の相対(基準)駆動レベルである。
【0073】
この例における目的は、ピクセル輝度を最低限に抑えることであり、したがって、各サブフレームの持続時間はRmaxCmax(最も明るいピクセルの輝度)に比例する。したがって、次のように合計を計算する。
【0074】
【数7】

【0075】
サブフレームのPWMクロック周期tpは、以下によって得られる。
【0076】
【数8】

【0077】
Rmax×tpの最小値は1024であり、最大値は220-1である。Rmax×tpが512未満である場合、tpは、ゼロに丸められるべきである。Rmax×tpが512と1024との間である場合、tpは、Rmax×tpが1024に等しくなるように、切り上げられるべきである(サブフレームpの持続時間は、以下の通りである)。
【0078】
【数9】

【0079】
次いで、PWM基準電流が、以下によって得られる。
【0080】
【数10】

【0081】
次いで、
ip>4095である場合、4095に設定され、次を計算する。
【0082】
【数11】

【0083】
R行列は、未変更で行(PWM)コントローラに渡される。任意のサブフレームにおけるCの最大値の最上位のビットが設定されるように、Cの各サブフレームベクトル(電流比を定義する)に、2nを掛けるべきである。
【0084】
上記の式(1)から(7)は、後処理手順の好ましい実施形態を定義する。これは、例えば、DSP上など、ソフトウェアにおいて実施されてもよく、またはいくつかの好ましい実施形態では、ハードウェアにおいて実施されてもよい(我々のハードウェアアーキテクチャの特許出願、同上を参照されたい)。
【0085】
次に、タイミングから始めて、上記の例の手順の背後の作業について説明する。
【0086】
一般に、後処理を実行する開始点は、常にタイミングである。これは、1フレームの長さ(例えば10msなど)という明確な境界、および分散の明確な基準、この場合、ピクセルを通るピーク駆動レベルを最低限に抑えるという基準を有する。これを達成するために、サブフレームの長さは、ピークピクセル電流
【0087】
【数12】

【0088】
がすべてのサブフレームについて実質的に一定であるように配分され、したがって、各サブフレームは、フレーム時間に対して、
【0089】
【数13】

【0090】
として定義される時間継続するはずである。
【0091】
サブフレーム時間の精度を決定するために、最小有用サブフレーム表示期間が必要である。試験では、これは、シミュレーションおよび最低プログラミング時間から約10μsであることがわかった。これは、必要な10ビット(1024)の精度を提供する、(推定された10ms)フレーム時間の1/1000に等しい。余分な2ビットの裕度を追加して、212の定数になる。実際に、PWMクロックパルス持続時間を通過することを望んでおり、1つのサブフレームにおいて
【0092】
【数14】

【0093】
クロックパルスがあるため、式(5)における分子からそれを取り消すことによって、サブフレーム期間
【0094】
【数15】

【0095】

【0096】
【数16】

【0097】
で割る必要がある。Rの範囲(この例では8ビット)が与えられると、tp値の精度を212+8=220まで増やす必要がある。これによって、分母は式(4)、分子は(5)となる。
【0098】
非ゼロのサブフレームが1つだけあり、このサブフレームがRmax=1を有している場合、tpの可能な最大値が生じる。この場合、tp=220(-1を無視する)であり、これは、全フレーム周期〜10ms続く単一のPWMクロックパルスを表し、したがって、1のtp値は、10ms/220≒10ns=1つの100MHzクロックパルスを表す。したがって、所与のサブフレームpにおいて、所与のピクセルx,yがオンである時間は、以下によって得られる。
txy=tpRpy10ns (8)
【0099】
次に、基準電流がどのように決定されるかについて説明する。
【0100】
サブフレームの基準電流は、オン時に行によって出力された電流である(本例では、行駆動および列駆動は、図2bの構成に関して交換される)。これは、正しいピクセル電流を生成するために、正確な割合で、すべてのアクティブな列の間に共有される必要がある。したがって、この電流は、(適切なRGB基準電流重量によって重み付けされる)すべての列値の合計に比例する必要がある。さらに、好ましくは制御される必要があるピクセルを介した全統合チャージであるため、基準電流は、(とりあえず定数を無視して)式(8)において提供されるサブフレーム長に反比例するはずである。したがって、以下が得られる。
【0101】
【数17】

【0102】
式中、kは、未知の比例定数である。
【0103】
kを解く最も簡単な方法は、簡単な既知の画像、この場合、白い画面を介することである。
【0104】
色基準値は、すべて等しく29の値であり、白い画面は、1つのサブフレームのみに示され、そのサブフレームにおいて、すべての行および列の値は、255に等しいと仮定とする。これによって、式(4)および(5)から
【0105】
【数18】

【0106】
が得られ、
T = 255×255、tp = 220/255
であり、したがって、式(9)から以下が得られる。
【0107】
【数19】

【0108】
ここで、ipは、12ビット値であるため、4096の最大値を有する。この最大値は、シミュレーションから、白い画面に必要な公称の約16倍となるはずである。しかし、たくさんのオーバーヘッドを残し、(丸め誤差がそれほど重要にはならないように)解像度を維持することが望ましい。12ビットでは所望の品質に不十分であり、そのためには、白い画面の場合の1/64のこの最低電流、および160倍の最大値が必要であり、合計14ビットを必要とすることがわかった。したがって、41mAの最大基準を10μAのステップにおいて与え、白い画面の場合の少なくとも64ステップの必要性を満たし(72ステップが提供される)、オーバーヘッドが大量(〜57回)という妥協案が選択された。したがって、白い画面の場合の公称ipは、720μAを表す、72になるように選択された。この値を(10)に入れると、以下が得られる。
【0109】
【数20】

【0110】
この定数を式(9)に代入することによって、上述したように、式(6)が得られる。
【0111】
次に、画像再構築の例を示す。
【0112】
サブフレームp間にピクセルx,yによって放出された光Lxypは、以下によって得られる。
【0113】
【数21】

【0114】
所与のサブピクセルカラーでは、特定の対象ピーク輝度がある。対象の値は、対象のピークと比較したときの相対輝度貢献である。
【0115】
【数22】

【0116】
取得が望まれる値の範囲へのスケーリングを提供するために、定数aが含まれる。この例では、最大輝度が255×255に対応することを望むため、a=65025である。次いで、式(12)に代入する。
【0117】
【数23】

【0118】
第1項はすべて、定数としてグループ化される。というのは、相対基準電流は、対象のピーク輝度に比例し、色の効率に反比例するからである。したがって、ηcolourIcolour/Lcolourは、常に定数値を有する。これらの定数は、1つの定数bに結合することができる。
【0119】
【数24】

【0120】
Vxyp = CpyRpyとなるように、定数bを選択したいため、以下に代入し、書き換え、
【0121】
【数25】

【0122】
次いで(6)に代入する。
【0123】
【数26】

【0124】
次いで、(15)に戻って代入する。
【0125】
【数27】

【0126】
この比率の項は、好ましくは、1に近い値を生成するはずである。全255の値による単一の非ゼロサブフレームの例では、比率=1.0039である。
【0127】
最後に、(18)は、行列項で表すことができる。その時、その非ゼロの要素を以下と定義することができるサイズp×pの正方対角行列Dを定義する場合、
【0128】
【数28】

【0129】
最後の再構築された画像Vについては、以下の通りである。
【0130】
【数29】

【0131】
上記の後処理技術は、ソフトウェア、またはFPGAやASICなどの専用ハードウェア、または2つの組合せにおいて実施できることを当業者であれば理解されよう。
【0132】
もちろん、他の多くの有効な代替を当業者であれば思い付くであろう。本発明は、記載の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲の意図および範囲内に含まれる当業者には明らかな変更を含むことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1a】従来の駆動方式の行、列、および画像行列を示す図である。
【図1b】マルチラインアドレッシング駆動方式の行、列、および画像行列を示す図である。
【図1c】フレーム周期にわたる一般のピクセルについての対応する明度曲線を示す図である。
【図1d】フレーム周期にわたる一般のピクセルについての対応する明度曲線を示す図である。
【図1e】対象の行列の行および列の因子行列への因子分解を示す図である。
【図1f】行および列の因子行列のサブフレームデータを使用して、1つの時間サブフレームでディスプレイを駆動することを示す図である。
【図2a】本発明の一実施形態によるNMFハードウェアアクセラレータを含むOLEDディスプレイおよびドライバを示す図である。
【図2b】図2aのシステムの行および列ドライバを示す図である。
【図2c】第1の例の行ドライバを示す図である。
【図2d】第2の例の行ドライバを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態を実施するOLEDディスプレイおよびドライバシステムの別の例を示す図である。
【図4】サブフレーム時間割当オプションの視覚化を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
100 OLEDディスプレイシステム
102 データおよび制御バス
103 フレームストアメモリ
105 第2の読み取りバス
109 列データ入力
110 列ドライバ
111 行データ入力
112 行ドライバ回路
120 パッシブマトリックスOLEDディスプレイ
124 行電極
128 列電極
150 ディスプレイ駆動データプロセッサ
215 電流ソース
217 電流ソース
252 ライン
254 ライン
256 行電力マルチプレクサ
300 OLEDディスプレイ駆動システム
302 前処理
304 NMFプロセッサ
306 行メモリ
308 列メモリ
310 非負行列因子分解システム
312 後処理装置
314 コントローラ
316 ディスプレイメモリ
318 行ドライバ
320 列ドライバ
322 OLEDディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の時間サブフレームを使用して画像を表示するための電子発光ディスプレイを駆動する方法であって、前記サブフレームのデータが前記ディスプレイのそれぞれの第1および第2の軸を駆動する第1の組の駆動値(R;C)および第2の組の駆動値(C;R)を含み、前記サブフレームが関連のサブフレーム表示時間を有し、前記方法が、
前記サブフレームの前記駆動値のうちの1つまたは複数に応答して表示されたサブフレームの前記サブフレーム表示時間を決定する段階と、
それぞれの前記サブフレーム表示時間について、前記時間サブフレームを表示するように前記ディスプレイを駆動する段階と
を含む方法。
【請求項2】
前記サブフレーム表示時間が、前記第1の組の駆動値の最大値と、前記第2の組の駆動値の最大値との積に応答する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブフレーム表示時間が、前記第1の組の駆動値の最大値と、前記第2の組の駆動値の合計との積に応答する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サブフレーム表示時間が、前記第1の組の駆動値の合計と、前記第2の組の駆動値の最大値との積に応答する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サブフレーム表示時間が、前記第1の組の駆動値の合計と、前記第2の組の駆動値の合計との積に応答する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サブフレーム表示時間が、前記第1の組の駆動値の最大値、前記第2の組の駆動値の最大値、前記第1の組の駆動値の合計、および前記第2の組の駆動値の合計のうちの2つ以上の組合せに応答する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動の段階が、パルス幅変調(PWM)駆動によりディスプレイの前記第1および第2の軸のうちの一方を駆動する段階を含み、前記方法が、前記サブフレーム表示時間を調整するために、前記PWM駆動のクロック周期を調整することをさらに含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記駆動の段階が、パルス幅変調(PWM)駆動によりディスプレイの前記第1および第2の軸のうちの一方を駆動する段階を含み、前記方法が、前記サブフレームの前記ディスプレイのそれぞれの軸の最大駆動値が前記PWM駆動のクロック周期に実質的に等しくなるように、前記PWM駆動の駆動「オン」期間を引き延ばす段階をさらに含む請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組の駆動値の相対的な比率によって決定された値により、前記ディスプレイの前記第1の軸を駆動する段階と、前記第2の組の駆動値によって決定されたパルス幅変調値により、前記ディスプレイの前記第2の軸を駆動する段階とをさらに含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記PWM駆動の段階が、前記ディスプレイの前記第2の軸を駆動し、前記第2の組の駆動値をスケーリングするために、前記第2の組の駆動値のうちの最大値1に応答して前記PWMクロックを調整する段階を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記PWM駆動の段階が、パルス幅変調基準値により駆動する段階を含み、前記方法が、前記サブフレームの前記表示時間の逆数に依存してサブフレームの前記基準値を調整する段階をさらに含む請求項7、8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記1組の駆動値の値が、デジタル表現を有し、前記方法が、前記第1の組の駆動値のうちの最大値1について、前記デジタル表現の最上位ビットが設定されるように、前記第1の組の駆動値の値を左シフトする段階をさらに含む請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記PWMクロック周期を少なくとも12ビットの解像度に制御する段階をさらに含む請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記画像に対応する対象の行列を定義する画像データを入力する段階と、前記複数のサブフレームの前記第1および第2の組の駆動値をそれぞれ定義する前記第1および第2の因子行列を決定するために、前記対象の行列を因子分解する段階とをさらに含む請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ディスプレイがOLEDディスプレイを含む請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
稼働すると、請求項1から15のいずれかの方法を実施するプロセッサ制御コードを運ぶキャリア。
【請求項17】
複数の時間サブフレームを使用して画像を表示するための電子発光ディスプレイを駆動するデータを処理するディスプレイドライバデータ処理システムであって、前記サブフレームのデータが前記ディスプレイのそれぞれの第1および第2の軸を駆動する第1の組の駆動値(R;C)および第2の組の駆動値(C;R)を含み、前記サブフレームが関連のサブフレーム表示時間を有しており、前記システムが、前記サブフレームの前記駆動値のうちの1つまたは複数に応答して表示されたサブフレームの前記サブフレーム表示時間を決定する手段を含むディスプレイドライバデータ処理システム。
【請求項18】
前記サブフレーム表示時間を調整するために、PWMクロック周期を計算する手段をさらに含む請求項17に記載のディスプレイドライバデータ処理システム。
【請求項19】
請求項17または18の前記ディスプレイドライバデータ処理システムを含み、前記第1の組の駆動値の相対的な比率によって決定される値により前記ディスプレイの前記第1の軸を駆動するための前記データ処理システムに結合されている第1の軸ドライバと、前記第2の組の駆動値によって決定されるパルス幅変調値により前記ディスプレイの前記第2の軸を駆動するための前記データ処理システムに結合されている第2の軸ドライバとをさらに含むディスプレイドライバ。
【請求項20】
前記電子発光ディスプレイがOLEDディスプレイを含む請求項17、18、または19のいずれかに記載のディスプレイドライバ。
【請求項21】
画像データの非負行列因子分解(NMF)から導出された複数の時間サブフレームを定義するデータにより電子発光ディスプレイを駆動するディスプレイドライバであって、前記サブフレームが、表示されるとき、結合して、前記画像データによって定義される画像の印象を提供し、前記ディスプレイドライバが、
データ入力と、
前記ディスプレイの行を駆動する複数の行ドライバと、
前記ディスプレイの列を駆動する複数の列ドライバと、
前記行ドライバの行駆動データおよび前記列ドライバの列駆動データのうちの1つまたは複数に応答して前記サブフレーム表示のタイミングを制御するタイミング制御システムと
を含むディスプレイドライバ。
【請求項22】
前記タイミング制御システムが、前記複数の行および列ドライバのうちの1つのPWM駆動信号のタイミングを制御するシステムを含む請求項21に記載のディスプレイドライバ。
【請求項23】
前記データ入力が、画像行列を定義する画像データを受信するための入力を含み、前記ディスプレイドライバが、前記画像行列を、少なくとも第1および第2の因子行列の積に因子分解するためのNMFシステムを含み、前記第1の因子行列が、前記行ドライバの行駆動データを定義し、前記第2の因子行列が、前記列ドライバの列駆動データを定義する請求項21または22に記載のディスプレイドライバ。
【請求項24】
前記行ドライバが、前記行駆動データに従って前記行の電流駆動比を提供するための比例化された電流ドライバを含み、前記列ドライバが、前記列駆動データに従って、前記列のパルス幅変調電流駆動を提供するためのパルス幅変調電流ドライバを含む請求項21、22、または23に記載のディスプレイドライバ。
【請求項25】
前記電子発光ディスプレイがOLEDディスプレイを含む請求項21から24のいずれか一項に記載のディスプレイドライバ。
【請求項26】
前記非負行列因子分解(NMF)を行うために、NMFハードウェアアクセラレータをさらに含む請求項21から25のいずれか一項に記載のディスプレイドライバ。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d】
image rotate

【図1e】
image rotate

【図1f】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図2d】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−530681(P2009−530681A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500935(P2009−500935)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050139
【国際公開番号】WO2007/107793
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】