画像処理回路、表示装置及び印刷装置
【課題】様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を高速化する。
【解決手段】ハッチングパターンレジスタRは、回路内にあり、ハッチングパターンデータを記憶する。バスインタフェース26は、回路の外部にあり、記憶装置23又は外付記憶装置24から外部バスを介して入力画像データを取得する。乗算器MU0は、この入力画像データの各画素値とハッチングパターンレジスタRから読み出された各画素値とを、対応する位置毎に乗算する。減算器SUは、入力画像データの各画素値を反転した値を出力する。乗算器MU1は、背景色情報と減算器SUから出力された値とを対応する位置毎に乗算する。加算器ADは、乗算器MU0の乗算結果と乗算器MU1の乗算結果とを対応する位置毎に加算し、出力画像データとして出力する。
【解決手段】ハッチングパターンレジスタRは、回路内にあり、ハッチングパターンデータを記憶する。バスインタフェース26は、回路の外部にあり、記憶装置23又は外付記憶装置24から外部バスを介して入力画像データを取得する。乗算器MU0は、この入力画像データの各画素値とハッチングパターンレジスタRから読み出された各画素値とを、対応する位置毎に乗算する。減算器SUは、入力画像データの各画素値を反転した値を出力する。乗算器MU1は、背景色情報と減算器SUから出力された値とを対応する位置毎に乗算する。加算器ADは、乗算器MU0の乗算結果と乗算器MU1の乗算結果とを対応する位置毎に加算し、出力画像データとして出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像領域に複数の図形画像を並べて配置する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理の分野では、ハッチング処理と呼ばれる技術が知られている。このハッチング処理とは、文字や表又は図形などの画像領域に複数の図形画像を規則的に並べて配置することで、いわゆる網掛けや模様付けなどを行う処理のことである。例えば特許文献1には、ハッチング描画用のブロックパターンを指定された領域内に繰り返し転送するBiTBLT(ビットバウンダリ、ブロック転送)回路を用いて、フレームメモリにハッチングパターンを迅速に展開する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平05−210381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された技術は、ブロックパターンのサイズの整数倍の大きさを持つ領域に対してハッチング処理を施す場合には都合がよいものであるが、それ以外の場合には上手くハッチング処理を行うことができない。例えばブロックパターンのサイズを極めて小さくすることで、任意の大きさの領域に対するハッチング処理を可能にしたとしても、そのブロックパターンの転送先となる領域のアドレスを逐一きめ細やかに指定しなければならないため、例えば文字などの複雑な形状の画像に対してハッチング処理を施す際には、ブロックパターンの転送先を指定するための作業や処理が非常に煩雑となる。
【0004】
また、このようなハッチング処理においては、ハッチング処理の対象となる画像データと、ハッチングパターンを表すハッチングパターンデータとをそれぞれ、ハッチング回路の外部にある外部記憶手段に記憶させておくのが一般的である。この場合、これらの画像データとハッチングパターンデータとを外部記憶手段から読み出して外部バス経由でハッチング回路に転送し、ここでハッチング処理を施してからフレームバッファに書き込む必要がある。この外部バスは、装置全体を制御するための様々なデータの転送にも用いられるため、トラフィックが多くなることがある。このようなトラフィックが多いときにハッチング処理を行おうとした場合、ハッチング回路へのデータ転送に遅延が発生し、ハッチング処理に要する時間が長くなるという問題がある。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、自回路の外部にあり、0を含む2値で各位値の画素値が表された2値画像データを記憶する外部記憶手段から、自回路の外部にある外部バスを介して前記2値画像データを取得する取得手段と、自回路の内部にあり、並べて配置される複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶する内部記憶手段と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値と、前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第1の乗算手段と、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値を反転する反転手段と、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値又は当該2値画像データに基づく画像の背景となる背景画像データに含まれる各位置の画素値と、前記反転手段によって反転された画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第2の乗算手段と、前記第1の乗算手段の乗算結果と、前記第2の乗算手段の乗算結果とを、それぞれ対応する前記位置毎に加算し、出力画像データとして出力する加算手段とを備えることを特徴とする画像処理回路を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記内部記憶手段は複数設けられ、各々の前記内部記憶手段は、それぞれ異なる前記複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶し、前記複数の内部記憶手段のうちいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値を前記第1の乗算手段に供給する供給手段とを備え、前記第1の乗算手段は、前記供給手段によって供給された各位置の画素値と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算してもよい。
これにより、複数の内部記憶手段のうちのいずれかを、様々な大きさや形状の画像領域に対して並べて配置する複数の図形画像の供給元の記憶手段として指定することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記内部記憶手段は、前記複数の図形画像を構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段と、前記図形画像の色を表す色情報を、前記複数の図形画像を構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段により記憶されている色情報を、前記第1の記憶手段により記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段とを備えてもよい。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して、第2の記憶手段により記憶されている色情報の色の図形画像を並べて配置することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記第2の記憶手段は、複数種類の色情報を記憶しており、前記色情報出力手段は、前記複数の図形画像のうち同一種類の図形画像を構成する画素毎に、前記第2の記憶手段によって記憶されている複数種類の色情報のうちのいずれかを出力してもよい。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域において、同一種類で同じ色の図形画像を並べて配置することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された画素値を前記第2の乗算手段に供給する供給手段とを備えてもよい。
これにより、2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを、出力画像データが表す出力画像における背景領域の画素値として指定することができる。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報が展開される第4の記憶手段のいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された記憶手段に記憶されている情報を、前記背景画像データに含まれる画素値として読み出し、前記第2の乗算手段に供給する供給手段とを備えてもよい。
これにより、予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報を記憶する第4の記憶手段のいずれかを、出力画像データが表す出力画像における背景領域の画素値の供給元の記憶手段として指定することができる。
【0011】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理回路と、前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする表示装置を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができ、さらに、その結果得られた画像を表示することができる。
【0012】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理回路と、前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて印刷を行う印刷手段とを備えることを特徴とする印刷装置を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができ、さらに、その結果得られた画像を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態]
以下に説明する実施形態では、或る画像領域に複数の図形画像を並べて配置する処理のことを、「ハッチング」という。このとき配置される複数の図形画像は、全て同一の図形画像であってもよいし、類似の図形画像であってもよいし、全て異なる図形画像であってもよい。例えば全て同一の方向に延びる線分画像を均等な間隔で繰り返し配置することで“斜線掛け”と呼ばれるハッチングを行うことができる。また、2方向に延びる線分画像をそれぞれ均等な間隔で繰り返し配置することで“網掛け”と呼ばれるハッチングを行うことができる。さらに、ハート型とクローバー型の図形を互い違いに配置するようなハッチングもあるし、形状が全て異なる抽象的な図形をランダムに並べて配置するようなハッチングも考えられる。つまり、ハッチングに用いる図形画像の大きさや形状或いはその個数はどのようなものであってもよい。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像表示装置1の構成を示す図である。
同図に示すように、画像表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、VRAM(Video Random Access Memory)14と、記憶性液晶表示体15と、表示制御装置16と、電源17と、電源制御装置18と、コネクタ19と、記憶制御装置20と、I/O21と、キー22と、記憶装置23と、画像処理回路25とを備えている。これらの各部は、外部バスを介して接続されている。CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM13に展開し、その制御プログラムに記述された手順に従って処理を実行する。キー22は、利用者によって操作される操作手段であり、ペンデバイスやジョイスティックなどの操作デバイスを含んでいる。I/O21は、キー22の操作状態を監視しており、ユーザによってキー22が操作されるとその操作に応じた信号をCPU11に供給する。電源17は、例えば充電可能な電池であり、電源制御装置18は、電源17のオンオフ制御や電力の残量監視など各種の電源管理を行う。
【0015】
コネクタ19に対しては、リムーバブルメディアなどの可搬性の外付記憶装置24が着脱自在である。この外付記憶装置24は、例えばSD(Secure Digital)カードのようなフラッシュメモリ内蔵のカード型記憶媒体であってもよいし、例えばフレキシブルディスクなどの磁気媒体を利用したディスク型記憶媒体であってもよい。記憶装置23は、フラッシュメモリやハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体であり、画像表示装置1に内蔵されている。記憶装置23又は外付記憶装置24には、テキスト(文字)、グラフィック(図形)又はイメージ(写真画像)などの画像を表す画像データが記憶されている。この画像データは、白を表す「0」という画素値及び黒を表す「1」という画素値によって構成された2値データである。画素値「1」の画素の配置された領域は画像の描画領域であり、画素値「0」の画素が配置された領域は非描画領域(背景領域)である。記憶制御装置20は、CPU11の指示に従い、記憶装置23又は外付記憶装置24から画像データを読み出し、外部バスを介して画像処理回路25に供給する。この画像データはハッチング処理対象となるデータである。この画像データが上記のようにハッチング処理を行う画像処理回路25の外部に記憶されている理由は、利用者が画像データを記憶装置23又は外付記憶装置24に自由に記憶させ、また、それを利用しやすくするためである。例えば画像データが外付記憶装置24に記憶されていれば、利用者はその外付記憶装置24のみを自由に持ち歩くこともできるし、その外付記憶装置24内の画像データの内容を他の装置によって自由に変更したりすることができる。
【0016】
画像処理回路25は、ハッチング回路250を備えている。このハッチング回路250は、CPU11の指示に従って供給される画像データに対してハッチングを施し、そのハッチングを施した画像データをVRAM14へと出力する。VRAM14は、フレームバッファであり、記憶性液晶表示体15に表示される1ページ分の画像データを記憶する。記憶性液晶表示体15は、コレステリック液晶や電気泳動などを利用した表示手段であり、電力供給が停止しても画像を表示し続けることができるという記憶性を有している。VRAM14に記憶された画像データは、CPU11の指示の下で表示制御装置16に供給される。表示制御装置16は記憶性液晶表示体15を制御して、供給された画像データに基づいた画像を表示させる。
【0017】
次に、図2は、ハッチング回路250の構成を示す図である。
同図に示すように、ハッチング回路250は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15と、ハッチングパターン指定レジスタR16と、ハッチングカラーレジスタR20,R21と、背景カラーレジスタR22と、セレクタS0,S1と、乗算器MU0,MU1と、減算器SUと、加算器ADとを備えている。これらの各部は、高速なデータ転送が可能な伝送路によって結線されている。ハッチング回路250には、記憶装置23もしくは外付記憶装置24から読み出された画像データが、外部バスを介して入力画像データとして入力される。ここでは、入力画像データの画素値「0」が白色(最低濃度)を表し、画素値「1」が黒色(最高濃度)を表すものとする。そして、この入力画像データに対してハッチング回路250によりハッチング処理を施した結果が、出力画像データとして出力される。
【0018】
ハッチングパターンレジスタR0〜R15には、それぞれ異なるハッチングパターン(つまり複数の図形画像)を構成する各画素の位置が、ハッチングパターンデータとして記憶されている。例えば、ハッチングパターンレジスタR0には、格子模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶されており、ハッチングパターンレジスタR1には、縦縞模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶され、ハッチングパターンレジスタR2には、花柄模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶されているというような具合である。なお、以下の説明では、ハッチングパターンレジスタR0〜R15を特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「ハッチングパターンレジスタR」という。
【0019】
ここで、図3は、ハッチングパターンレジスタR0に記憶されているハッチングパターンデータを模式的に示す図である。
このハッチングパターンデータは、「0」又は「1」という2値のパターンビット値で複数の図形画像が表現されたものである。図において白色の格子を構成する各画素の位置にはパターンビット値「0」が配置され、黒色の格子を構成する各画素の位置にはパターンビット値「1」が配置されている。このハッチングパターンデータによって表されるハッチングパターン全体のサイズは、VRAM14に確保される1ページ分の画像のサイズと同じである。各々の格子は複数個の画素(例えば16×16=256個の画素)によって構成されるが、ここでは説明を簡単にするために、1つの格子は1つの画素によって構成されているものと仮定する。この場合、ハッチングパターン全体の横方向の長さは、VRAM14における画像1ページ分の横方向の画素数Mに相当する長さである。また、ハッチングパターン全体の縦方向の長さは、VRAM14における画像1ページ分の縦方向の画素数Nに相当する長さである。他のハッチングパターンレジスタR1〜R15に記憶されているハッチングパターンデータについても、複数の図形画像が上述と同様にして表現されている。
【0020】
なお、以下の説明では、ハッチングパターンデータにおいて左上端に位置する画素の位置座標を(0,0)とし、その画素から数えて下方向にi画素、右方向にj画素進んだ位置の画素を位置座標(i,j)の画素とする。従って、例えば、位置座標(0,0)の画素から数えて右方向に1画素進んだ位置の画素は、位置座標(0,1)にある画素であり、2画素進んだ位置の画素は、位置座標(0,2)にある画素であり、3画素進んだ位置の画素は位置座標(0,3)にある画素である。また、位置座標(0,0)の画素から数えて下方向に1画素進んだ位置の画素は、位置座標(1,0)の画素であり、2画素進んだ位置の画素は、位置座標(2,0)の画素である。このような位置座標の表現方法は、図3に示したようなハッチングパターンデータのみに限らず、ハッチング回路250に入力される入力画像データ(後述する図4)や、ハッチング回路250から出力される出力画像データ(後述する図8)においても同じである。
【0021】
再び図2の説明に戻る。
ハッチングパターン指定レジスタR16は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、このハッチング指定レジスタR16は、いずれかの記憶手段を指定する指定手段として機能する。本実施形態では、ハッチングパターンレジスタR0〜R15を指定するための選択信号を「0」〜「15」とする。例えば、ハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号が「0」、ハッチングパターンレジスタR1を指定するための選択信号が「1」、ハッチングパターンレジスタR2を指定するための選択信号が「2」という具合である。また、このハッチング指定レジスタR16に格納されている選択信号は、利用者によるキー22の操作に基づいて、CPU11によって書き換えられるようになっている。
【0022】
セレクタS0は、入力信号として、ハッチングパターンレジスタR0〜R15に記憶されている各々のハッチングパターンデータが入力される。また、このセレクタS0には、ハッチングパターン指定レジスタR16に格納されている選択信号が入力される。このセレクタS0は、選択信号によって指定されたハッチングパターンレジスタから供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。例えば、選択信号として「0」が入力されると、セレクタS0は、ハッチングパターンレジスタR0から供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。また、選択信号として「1」が入力されると、セレクタS0は、ハッチングパターンレジスタR1から供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。
【0023】
ハッチングカラーレジスタR20は、各々のハッチングパターンデータにおいてパターンビット値「0」の位置にある画素の色を表す色情報を格納している。ここでは、例えば青色を表す色情報「C0」が格納されているものとする。ハッチングカラーレジスタR21は、各々のハッチングパターンにおいてパターンビット値「1」の位置にある画素の色を表す色情報を格納している。ここでは、例えば黄色を表す色情報「C1」が格納されているものとする。この色情報は、本来は色そのものを指定する情報と、その階調値とを含む。ただし、本実施形態では、色情報の階調値として、その色情報が表す色が有るか無いかの2値しか想定していないので、色情報「C0」だけで「青色」であることを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味している。また、色情報「C1」は、「黄色」であることを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味している。
【0024】
セレクタS1には、入力信号として、ハッチングカラーレジスタR20に格納されている色情報「C0」と、ハッチングカラーレジスタR21に格納されている色情報「C1」とが入力される。また、このセレクタS1には、選択信号として、セレクタS0から出力されたハッチングパターンデータに含まれる各パターンビット値が、上述した画素の位置座標の順番に従って順次入力される。セレクタS1は、選択信号としてパターンビット値「0」が入力されている期間は、色情報「C0」を選択して出力し、選択信号としてパターンビット値「1」が入力されている期間は、色情報「C1」を選択して出力する。
【0025】
上述したハッチングパターンレジスタR0〜R15は、ハッチングパターンを構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段として機能する。また、ハッチングカラーレジスタR20,R21は、ハッチングパターンの色を表す色情報を、各々のハッチングパターンを構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段として機能する。そして、セレクタS1は、ハッチングカラーレジスタR20,R21に記憶されている色情報を、ハッチングパターンレジスタR0〜R15のいずれかに記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段として機能する。結局、これらのハッチングパターンレジスタR0〜R15、ハッチングパターン指定レジスタR16、セレクタS0、ハッチングカラーレジスタR20,R21及びセレクタS1が協働することにより、ハッチングパターンを構成する各画素の位置とその画素値を記憶する内部記憶手段27として機能することになる。
【0026】
バスインタフェース26は、記憶装置23又は外付記憶装置24から読み出された画像データを受け取って、ハッチング回路250に供給する。つまり、バスインタフェース26は、ハッチング回路250の外部にあり、2値の画像データを記憶する外部記憶手段から、ハッチング回路250の外部にある外部バスを介してその画像データを取得する取得手段として機能する。このバスインタフェース26は、図に示したようにハッチング回路250の外部に設けられていてもよいし、ハッチング回路250内に設けられていてもよい。
【0027】
乗算器MU0は、第1の乗算手段であり、セレクタS1から出力される色情報「C0」又は「C1」と、バスインタフェース26から供給される入力画像データに含まれる画素値「0」(白色)又は「1」(黒色)を、それぞれ対応する画素位置毎に乗算して出力する。この「対応する位置」とは、図3に示した画素の位置座標が同じことを意味している。この入力画像データの画素値「0」又は「1」を、以下では「α」と呼ぶ。すなわち、乗算器MU0は、「C0」又は「C1」と「α」とが入力されて、“α×C0”又は“α×C1”を出力することになる。
【0028】
減算器SUには、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、「1」という値とが入力され、この「1」という値から「α」を減算した“1−α”を「β」として出力する。これにより、画素値「α」=「1」の場合は、その「1」が減算器SUにより反転させられて「0」が出力され、画素値「α」=「0」の場合は、その「0」が減算器SUにより反転させられて「1」が出力されることになる。つまり、この減算器SUは、2値で表現された画素値を反転する反転手段として機能する。
【0029】
背景カラーレジスタR22は、入力画像データによって表される画像が記憶性液晶表示体15に表示されるときの非描画領域(つまり入力画像データに基づく画像の背景となる背景領域)の色を表す色情報を格納している。この色情報は例えば白色を表している。この画像処理回路25では、予め決められた色の背景領域に、入力画像データが表す画像を重ねて描画する、という構成になっている。このため、背景カラーレジスタR22には背景領域の色情報が格納されている。以下、この背景領域の色情報を「背景色情報」という。
【0030】
乗算器MU1は、第2の乗算手段であり、減算器SUから出力される「β」と、背景カラーレジスタR22から供給される背景色情報とを、対応する画素位置毎に乗算して出力する。すなわち、乗算器MU1からは、“β×背景色情報”が色情報として出力される。
【0031】
加算器ADは、乗算器MU0から出力される“α×C0”又は“α×C1”と、乗算器MU1から出力される“β×背景色情報”とを、対応する画素位置毎に加算して、その加算した結果を出力画像データとして出力する。すなわち、加算器ADからは、“α×C0+β×背景色情報”という色情報か、“α×C1+β×背景色情報”という色情報のいずれかが、出力画像データに含まれる各画素の色情報として出力される。
【0032】
次に、ハッチング回路250の動作について具体的に説明する。
まず、CPU11は、ハッチングパターンの選択を利用者に促すための画面を記憶性液晶表示体15に表示させて、利用者によるハッチングパターンの選択を受け付ける。例えば、CPU11は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15に各々記憶されているハッチングパターンを利用者が見やすいように拡大した画像を、記憶性液晶表示体15に並べて表示させる。この表示を見た利用者は、キー22を操作して、いずれかのハッチングパターンを選択することができる。利用者によってハッチングパターンが選択されると、CPU11は、選択されたハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタRを特定する。そして、CPU11は、特定したハッチングパターンレジスタRを指定するための選択信号を、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込む。例えば、利用者によって、図3によって表される格子模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、このハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号「0」が書き込まれる。この選択信号の書き込み処理は、CPU11が記憶装置23に予め記憶されているソフトウェアを実行することによって実現される。
【0033】
続いて、CPU11は、記憶装置23又は外付記憶装置24から画像データを読み出し、入力画像データとしてバスインタフェース26に供給する。バスインタフェース26は、供給された入力画像データをハッチング回路250に入力する。
ここで、図4は、ハッチング回路250に入力される入力画像データの一例である、“L”という文字画像が描画された入力画像を表す入力画像データを模式的に示す図である。この入力画像は、図3に示したハッチングパターンと同様に、横方向にM個で縦方向にN個の画素から構成されている。各画素の画素値は、図中の白色部分が「0」であり、黒色部分が「1」である。画素値が「1」の領域は、“L”という文字画像が描画される描画領域であり、画素値が「0」の領域は、文字画像が描画されない非描画領域である。以下の説明では、上述のようにしてハッチングパターンレジスタR0を指定するための「0」という選択信号がハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれ、図4に示した入力画像データがハッチング回路250に入力された場合の動作を例示する。
【0034】
まず、図5を参照して、セレクタS0,S1及び乗算器MU0の動作について説明する。
図4に示した入力画像データの画素値が、位置座標の順番に従って、ハッチング回路250に「α」として入力される。例えば、入力画像データの位置座標(0,0)の画素の画素値は「0」であるため、まず、「0」という値が「α」として入力される。次に、入力画像データの位置座標(0,1)の画素の画素値も「0」であるため、「0」という値が「α」として出力される。同様にして、位置座標(0,2)、(0,3)・・・(0,M−1)というように、図4に示した入力画像データの最上方の1ラインの画素値が順次、ハッチング回路250に「α」として入力される。1ラインの画素値が全てハッチング回路250に入力されると、次に、上から2番目の1ラインに属する位置座標(1,0)、(1,1)、(1,2)・・・(1,M−1)の画素の画素値が順次、ハッチング回路250に「α」として入力される。ここで、位置座標(1,0)、(1,1)、(1,2)、(1,3)の画素の画素値は、それぞれ、「0」、「1」、「1」、「1」である。図5では、これらの画素値が順番に入力されている様子を例示している。
【0035】
この入力動作と並行して、セレクタS0には、入力信号として、ハッチングパターンレジスタR0〜R15からそれぞれ読み出されたハッチングパターンデータが入力され、選択信号として、ハッチングパターン指定レジスタR16に格納されている選択信号が供給される。この例では、ハッチングパターン指定レジスタR16には、「0」という選択信号が書き込まれているため、この選択信号「0」がセレクタS0に供給される。セレクタS0は、供給された「0」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR0から読み出されたハッチングパターンデータ、すなわち図3に示したハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、セレクタS0からは、例えばハッチングパターンデータにおける位置座標(1,0)の画素については、パターンビット値が「0」が出力され、位置座標(1,1)の画素については、パターンビット値が「1」が出力される。同様にして、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,2)の画素については、パターンビット値が「0」が出力され、位置座標(1,3)の画素については、パターンビット値が「1」が出力される。セレクタS0から出力された各パターンビット値は、順次セレクタS1に供給される。
【0036】
セレクタS1には、入力信号として、ハッチングカラーレジスタR20から読み出された色情報「C0」と、ハッチングカラーレジスタR21から読み出された色情報「C1」とが入力され、選択信号として、セレクタS0から出力された各パターンビット値が供給される。セレクタS1は、選択信号として「0」が入力されている期間は色情報「C0」を選択して出力し、選択信号として「1」が入力されている期間は色情報「C1」を選択して出力する。例えば、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,0)の画素については、パターンビット値が「0」であるため、セレクタS1からは色情報「C0」が出力される。続くハッチングパターンデータにおける位置座標(1,1)の画素については、パターンビット値が「1」であるため、セレクタS1からは色情報「C1」が出力される。同様にして、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,2)の画素については、パターンビット値が「0」であるため、色情報「C0」が出力され、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,3)の画素については、パターンビット値が「1」であるため、色情報「C1」が出力される。出力された色情報は順次、乗算器MU0に供給される。
【0037】
乗算器MU0には、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、セレクタS1から供給された色情報「C0」又は「C1」とが入力される。つまり、上述したセレクタS0は、指定手段によって指定された記憶手段から読み出された各位置の画素値を第1の乗算手段に供給する供給手段として機能することになる。乗算器MU0は、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、セレクタS1から供給された色情報「C0」又は「C1」とを、対応する画素位置毎に乗算し、“α×C0”又は“α×C1”を出力する。例えば、位置座標(1,0)の画素については、「α」が「0」、色情報が「C0」であるため、0×C0=「0」という値が出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、「α」が「1」、色情報が「C1」であるため、1×C1=「C1」が、つまりセレクタS1から供給される色情報「C1」がそのまま出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、「α」が「1」であるため、セレクタS1から供給される色情報「C0」が出力され、位置座標(1,3)の画素についても、「α」が「1」であるため、セレクタS1から供給される色情報「C1」が出力される。このように、乗算器MU0による乗算の結果、入力画像データの画素値が「0」である画素、つまり文字画像が描画されない非描画領域の画素については、「0」という値が出力される。一方、入力画像データの画素値が「1」である画素、つまり文字画像が描画される描画領域の画素については、ハッチングパターンデータにおいて対応する位置のパターンビット値の色情報が出力されることになる。この乗算器MU0から出力された“α×C0”又は“α×C1”、つまり“α×ハッチングパターンの色情報”は、加算器ADに供給される。
【0038】
次に、図6を参照して、減算器SU及び乗算器MU1の動作について説明する。
入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」は、上述した乗算器MU0のほか、減算器SUにも供給される。減算器SUは、この「α」と「1」とが入力され、この「1」から「α」を減算した“1−α”を「β」として出力する。例えば位置座標(1,0)の画素については、「α」が0であるため、1−0=「1」という値が「β」として出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力され、(1,3)の画素についても、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力される。減算器SUから出力された「β」は、乗算器MU1に供給される。
【0039】
乗算器MU1には、減算器SUから「β」が供給されるとともに、背景カラーレジスタR22から背景色情報が供給される。乗算器MU1は、この「β」と背景色情報とを、対応する画素位置毎に乗算した“β×背景色情報”を出力する。すなわち、入力画像データの画素値が「0」である画素、つまり文字画像が描画されない非描画領域の画素については、「β」が1になるため、乗算器MU1からは背景色情報がそのまま出力される。一方、入力画像データの画素値が「1」である画素、つまり文字画像の描画領域の画素については、「β」が0になるため、乗算器MU1からは「0」という値が出力される。例えば位置座標(1,0)の画素については、減算器SUから供給される「β」が1であるため、背景カラーレジスタR22から供給される背景色情報がそのまま出力される。続く位置座標(1,1)、(1,2)、(1,3)の画素については、いずれも減算器SUから供給される「β」が0であるため、「0」という値が出力される。乗算器MU1から出力された“β×背景色情報”は、加算器ADに供給される。
【0040】
次に、図7を参照して、加算器ADの動作について説明する。
加算器ADは、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”と、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”とを、対応する画素位置毎に加算した“α×ハッチングパターンの色情報+β×背景色情報”の値を出力する。例えば位置座標(1,0)の画素については、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「0」であり、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”の値が「背景色情報」であるため、「背景色情報」が出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C1」であり、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C1」が出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C0」であり、“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C0」が出力され、位置座標(1,3)の画素については、“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C1」であり、“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C1」が出力される。つまり、加算器ADにおいては、図4に示したような入力画像における描画領域の画素の色を表す色情報が、ハッチングパターンの色情報に置き換えられる一方、非描画領域の画素の色を表す色情報が背景色情報に置き換えられ、これらが出力画像データとして出力されることになる。加算器ADから出力された出力画像データは、VRAM14にいったん記憶された後、表示制御装置16によって解釈されて、記憶性液晶表示体15に画像として表示される。
【0041】
ここで、図8は、出力画像データに基づいて記憶性液晶表示体15に表示される出力画像を示す図である。
同図に示すように、この出力画像は、図4に示した入力画像データと同様に、“L”という文字を表す文字画像が描画された描画領域と、文字画像が描画されていない非描画領域とによって構成されている。ただし、文字画像の描画領域は、図3に示したハッチングパターンに相当する青色と黄色の格子模様になっている。また、文字画像の非描画領域には、ハッチングは施されておらず、背景色情報が表す白色の背景画像となっている。例えば位置座標(1,0)の画素の色は、背景色の白色であるし、位置座標(1,1)の画素の色はハッチングパターンの色情報「C1」が表す黄色であるし、位置座標(1,2)の画素の色はハッチングパターンの色情報「C0」が表す青色であるし、位置座標(1,3)の画素の色は、ハッチングパターンの色情報「C1」が表す黄色である。
【0042】
また、上述では、利用者によって、図3によって表される格子模様のハッチングパターンが選択された場合の動作について例示したが、他のハッチングパターンが選択された場合には以下のようになる。例えば、利用者によって縦縞模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、これを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR1を選択するための「1」という選択信号が書き込まれる。セレクタS0は、その「1」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR1から読み出されたハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、文字画像の描画領域に、利用者によって選択された縦縞模様のハッチングが施される。
あるいは、利用者によって花柄模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、これを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR2を選択するための「2」という選択信号が書き込まれる。セレクタS0は、その「2」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR2から読み出されたハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、文字画像の描画領域に、利用者によって選択された花柄模様のハッチングが施される。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、レジスタ、セレクタ、乗算器、加算器及び減算器からなる比較的簡易な構成の回路を用いるだけで、入力画像における文字などの描画領域だけにハッチングを施すハッチング処理を、ハッチングパターンデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができる。また、ハッチング対象となる領域の位置座標或いはメモリアドレスなどを逐一指定する手間も不要となる。また、利用者は、描画領域に施されるハッチングのハッチングパターンとして、複数のハッチングパターンから所望のハッチングパターンを選択することができる。さらに、ハッチングカラーレジスタR20,R21に所望の色を記憶させるだけで、所望の色のハッチングを施すことができる。
【0044】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0045】
(1)上述した実施形態において、ハッチング回路250には、16個のハッチングパターンレジスタR0〜R15が設けられていたが、その台数は、それよりも多くてもよいし、少なくてもよい。例えば、50個のハッチングパターンレジスタがハッチング回路250に設けられていてもよいし、1個のハッチングパターンレジスタのみがハッチング回路250に設けられていてもよい。ただし、1個のハッチングパターンレジスタのみがハッチング回路250に設けられている場合には、ハッチングパターン指定レジスタR16及びセレクタS0が不要となり、ハッチングパターンレジスタに記憶されているハッチングパターンデータがそのままセレクタS1に供給されることになる。
【0046】
(2)上述した実施形態において、ハッチングパターンレジスタRには、ハッチングパターンデータが予め記憶されていたが、このハッチングパターンデータは、CPU11によって書き換えられてもよい。これにより、ハッチング回路250が施すハッチングのハッチングパターンを後から変更することができる。このハッチングパターンレジスタRに後から書き込まれるハッチングパターンデータとしては、例えば、描画ソフトウェアを用いて利用者によって描画された画像の画像データであってもよい。この場合、ハッチング回路250は、利用者によって描画された画像のハッチングを施すことができる。
【0047】
(3)上述した実施形態において、ハッチング回路250は、利用者によって選択されたハッチングパターンのハッチングを施していたが、これに限らない。例えば、CPU11が、ランダムにハッチングパターンを選択してもよい。この場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、CPU11によって選択されたハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタRを指定するための選択信号が書き込まれることになる。これにより、ハッチング回路250は、CPU11によってランダムに選択されたハッチングパターンのハッチングを施すことができる。
【0048】
また、CPU11が、ハッチング回路250に入力される入力画像データの内容を解析して、その内容毎に予め決められているハッチングパターンを選択してもよい。例えば、CPU11は、入力画像データが文字画像を表すものであれば、格子模様のハッチングパターンを選択し、入力画像データが図形画像を表すものであれば、花柄模様のハッチングパターンを選択してもよい。この場合、CPU11によって格子模様のハッチングパターンが選択されたときには、そのハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号が、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれる。一方、CPU11によって花柄模様のハッチングパターンが選択されたときには、そのハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR2を指定するための選択信号が、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれる。これにより、ハッチング回路250は、入力画像データの内容に応じて、異なるハッチングパターンのハッチングを施すことができる。
【0049】
(4)上述した実施形態では、色情報の階調値として、その色情報が表す色が有るか無いかの2値しか想定していなかったので、ハッチングパターンの色情報C0,C1は、色そのものを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味していた。しかし、記憶性液晶表示体15が同一色を3以上の多階調で表示可能な場合には、この色情報には、色そのものを指定する情報とその階調値とが含まれることになる。
【0050】
(5)上述した実施形態では、2値の入力画像データを反転する反転手段を、減算器SUによって実現していたが、これに限らず、例えば2値の入力画像データを選択信号とし、選択信号「1」が入力されると入力信号「0」を選択して出力し、選択信号「0」が入力されると入力信号「1」を選択して出力するような構成で実現してもよい。
また、入力画像データは、「1」と「0」という2値からなるデータである必要はなく、例えば、「0」と「15」というように、「0」という値と「0」以外の整数値からなる2値データであってもよい。この場合、乗算器MU0にて、「0」以外の値と、ハッチングパターンの色情報とを乗算する場合、そのまま乗算すると、ハッチングパターンの色情報が整数倍されてしまう。そこで、ハッチングパターンの色情報を予め「1/整数値」倍しておくか、または、乗算器MU0に整数値を入力する前に、その整数値を自身で除算して「1」にしておく必要がある。なお、入力画像データは図2に示したハッチング回路250に入力される時点で2値データであればよく、画像がもともと多値データで表されている場合には、その多値データを2値データに変換してからこのハッチング回路250に入力すればよい。
【0051】
(6)ハッチング対象領域以外の領域は要するに背景領域であるが、この背景領域を表示するための画像データとしては、上述した実施形態のように背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報を用いてもよいし、ハッチング回路250に入力される入力画像データを用いてもよい。後者の場合、乗算器MU1には、背景カラーレジスタR22から読み出される背景色情報に代えて、入力画像データが供給されるような回路構成にすればよい。これにより、出力画像における背景領域の色を、入力画像における背景領域の色と同じにすることができる。
【0052】
また、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報、又は、ハッチング回路250に入力される入力画像データのうちのいずれかを指定するようにしてもよい。
図9は、この場合のハッチング回路251を示す図である。このハッチング回路251には、背景カラー指定レジスタR25と、セレクタS2とがさらに設けられている。その他の構成については、図2に示したハッチング回路250の構成と同様である。
背景カラー指定レジスタR25は、入力画像データの各位置の画素値「α」、又は、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、この背景カラー指定レジスタR25は、2値の入力画像データに含まれる各位置の画素値、又は、背景色情報に含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段として機能する。背景カラー指定レジスタR25に格納されている選択信号は、利用者のキー22操作に基づいてCPU11によって書き換えられてもよい。
セレクタS2には、入力信号として、入力画像データの画素値「α」と、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報とが入力される。また、このセレクタS2には、背景カラー指定レジスタR25に格納されている選択信号が入力される。セレクタS2は、入力画像データの各位置の画素値「α」を指定する選択信号(ここでは「0」)が入力されると、入力画像データの画素値「α」を選択して出力する。一方、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報を指定する選択信号(ここでは「1」)が入力されると、背景色情報を選択して出力する。つまり、このセレクタS2は、背景カラー指定レジスタR25によって指定された画素値を第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。
これにより、出力画像における背景領域の色として、入力画像における非描画領域の色又は背景色のいずれかを指定することができる。
【0053】
(7)上述した実施形態において、VRAM14に記憶された画像データは、表示制御装置16によって、記憶性液晶表示体15に表示されていた。これに対し、ハッチング処理が施された画像データが、印刷に用いられてもよい。例えば、加算器ADから出力された出力画像データがRAM13に書き込まれ、その出力画像データが用紙1枚に印刷する画像に相当する画像データとして印刷部に供給されてもよい。印刷部は、供給された画像データに基づいて印刷を行い、画像データが表す画像を用紙に形成する。
【0054】
(8)上述した実施形態では、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報がそのまま乗算器MU1に供給されていたが、この背景カラーレジスタR22に加えて、VRAM14に背景色情報が記憶されている場合には、いずれかの背景色情報が選択されて、乗算器MU1に供給されてもよい。
図10は、この変形例に係るハッチング回路252の構成を示す図である。このハッチング回路252には、背景カラー指定レジスタR26と、セレクタS3とがさらに設けられている。その他の構成については、図2に示したハッチング回路250の構成と同様である。
背景カラー指定レジスタR26は、背景カラーレジスタR22に格納されている第1の背景色情報、又は、VRAM14に記憶されている第2の背景色情報のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、この背景カラー指定レジスタR26は、予め決められた第1の背景色情報を記憶する背景カラーレジスタR22、又は、記憶性液晶表示体15に出力される画像情報が展開されるVRAM14のいずれかを指定する指定手段として機能する。背景カラー指定レジスタR26に格納されている選択信号は、利用者のキー22操作に基づいてCPU11によって書き換えられてもよい。
セレクタS3には、入力信号として、背景カラーレジスタR22に格納されている第1の背景色情報と、VRAM14に記憶されている第2の背景色情報とが入力される。また、このセレクタS3には、背景カラー指定レジスタR26に格納されている選択信号が入力される。セレクタS3は、背景カラーレジスタR22を指定する選択信号(ここでは「0」)が入力されると、背景カラーレジスタR22から読み出された第1の背景色情報を選択して出力する。一方、VRAM14を指定する選択信号(ここでは「1」)が入力されると、VRAM14から読み出された第2の背景色情報を選択して出力する。つまり、このセレクタS3は、背景カラー指定レジスタR26によって指定された記憶手段、すなわち背景カラーレジスタR22又はVRAM14に記憶されている情報を、背景色情報に含まれる画素値として読み出し、第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。
【0055】
また、表示手段又は印刷手段によって画像が出力(表示又は印刷)される場合、その出力画像の画像情報は、RAM13などの記憶手段に展開され、このRAM13にいったん記憶されてから表示手段又は印刷手段へと供給される。このRAM13に記憶された出力画像の画像情報を、上記実施形態における背景色情報として用いてもよい。この場合、背景カラー指定レジスタR26が、予め決められた第1の背景色情報を記憶する背景カラーレジスタR22、又は、出力画像の画像情報が記憶されるRAM13のいずれかを指定する指定手段として機能する。そして、セレクタS3が、背景カラー指定レジスタR26によって指定された記憶手段、すなわち背景カラーレジスタR22又はRAM13に記憶されている背景色情報又は画像情報を、上記実施形態における背景色情報の画素値として読み出し、第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。これにより、RAM13などの記憶手段を、背景色情報の供給元として選択することができる。
【0056】
(9)上述した実施形態において、ハッチング回路250は、画像処理回路25に設けられていた。これに対し、ハッチング回路250が、表示制御装置16などの他のデバイスに設けられていてもよい。
【0057】
(10)上述したハッチング回路250は、画像データに応じた画像を表示する表示装置を有するパーソナルコンピュータ装置、携帯電話機又は電子ブックなどに用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】画像表示装置1の構成を示す図である。
【図2】ハッチング回路250の構成を示す図である。
【図3】ハッチングパターンレジスタR0のハッチングパターンデータを示す図である。
【図4】ハッチング回路250に入力される入力画像データの一例を示す図である。
【図5】セレクタS0,S1及び乗算器MU0の動作を説明する図である。
【図6】減算器SU及び乗算器MU1の動作を説明する図である。
【図7】加算器ADの動作を説明する図である。
【図8】記憶性液晶表示体15に表示される出力画像を示す図である。
【図9】変形例に係るハッチング回路251の構成を示す図である。
【図10】変形例に係るハッチング回路252の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像表示装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…VRAM、15…記憶性液晶表示体、16…表示制御装置、17…電源、18…電源制御装置、19…コネクタ、20…記憶制御装置、21…I/O、22…キー、23…記憶装置、24…外付記憶装置、25…画像処理回路、250,251,252…ハッチング回路、R,R0〜R15…ハッチングパターンレジスタ、R16…ハッチングパターン指定レジスタ、R20,R21…ハッチングカラーレジスタ、S0〜S3…セレクタ、26…バスインタフェース、MU0,MU1…乗算器、SU…減算器、AD…加算器、R22…背景カラーレジスタ、R25,R26…背景カラー指定レジスタ、27…内部記憶手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像領域に複数の図形画像を並べて配置する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理の分野では、ハッチング処理と呼ばれる技術が知られている。このハッチング処理とは、文字や表又は図形などの画像領域に複数の図形画像を規則的に並べて配置することで、いわゆる網掛けや模様付けなどを行う処理のことである。例えば特許文献1には、ハッチング描画用のブロックパターンを指定された領域内に繰り返し転送するBiTBLT(ビットバウンダリ、ブロック転送)回路を用いて、フレームメモリにハッチングパターンを迅速に展開する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平05−210381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された技術は、ブロックパターンのサイズの整数倍の大きさを持つ領域に対してハッチング処理を施す場合には都合がよいものであるが、それ以外の場合には上手くハッチング処理を行うことができない。例えばブロックパターンのサイズを極めて小さくすることで、任意の大きさの領域に対するハッチング処理を可能にしたとしても、そのブロックパターンの転送先となる領域のアドレスを逐一きめ細やかに指定しなければならないため、例えば文字などの複雑な形状の画像に対してハッチング処理を施す際には、ブロックパターンの転送先を指定するための作業や処理が非常に煩雑となる。
【0004】
また、このようなハッチング処理においては、ハッチング処理の対象となる画像データと、ハッチングパターンを表すハッチングパターンデータとをそれぞれ、ハッチング回路の外部にある外部記憶手段に記憶させておくのが一般的である。この場合、これらの画像データとハッチングパターンデータとを外部記憶手段から読み出して外部バス経由でハッチング回路に転送し、ここでハッチング処理を施してからフレームバッファに書き込む必要がある。この外部バスは、装置全体を制御するための様々なデータの転送にも用いられるため、トラフィックが多くなることがある。このようなトラフィックが多いときにハッチング処理を行おうとした場合、ハッチング回路へのデータ転送に遅延が発生し、ハッチング処理に要する時間が長くなるという問題がある。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、自回路の外部にあり、0を含む2値で各位値の画素値が表された2値画像データを記憶する外部記憶手段から、自回路の外部にある外部バスを介して前記2値画像データを取得する取得手段と、自回路の内部にあり、並べて配置される複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶する内部記憶手段と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値と、前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第1の乗算手段と、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値を反転する反転手段と、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値又は当該2値画像データに基づく画像の背景となる背景画像データに含まれる各位置の画素値と、前記反転手段によって反転された画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第2の乗算手段と、前記第1の乗算手段の乗算結果と、前記第2の乗算手段の乗算結果とを、それぞれ対応する前記位置毎に加算し、出力画像データとして出力する加算手段とを備えることを特徴とする画像処理回路を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記内部記憶手段は複数設けられ、各々の前記内部記憶手段は、それぞれ異なる前記複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶し、前記複数の内部記憶手段のうちいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値を前記第1の乗算手段に供給する供給手段とを備え、前記第1の乗算手段は、前記供給手段によって供給された各位置の画素値と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算してもよい。
これにより、複数の内部記憶手段のうちのいずれかを、様々な大きさや形状の画像領域に対して並べて配置する複数の図形画像の供給元の記憶手段として指定することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記内部記憶手段は、前記複数の図形画像を構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段と、前記図形画像の色を表す色情報を、前記複数の図形画像を構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段により記憶されている色情報を、前記第1の記憶手段により記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段とを備えてもよい。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して、第2の記憶手段により記憶されている色情報の色の図形画像を並べて配置することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記第2の記憶手段は、複数種類の色情報を記憶しており、前記色情報出力手段は、前記複数の図形画像のうち同一種類の図形画像を構成する画素毎に、前記第2の記憶手段によって記憶されている複数種類の色情報のうちのいずれかを出力してもよい。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域において、同一種類で同じ色の図形画像を並べて配置することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、前記2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された画素値を前記第2の乗算手段に供給する供給手段とを備えてもよい。
これにより、2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを、出力画像データが表す出力画像における背景領域の画素値として指定することができる。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報が展開される第4の記憶手段のいずれかを指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された記憶手段に記憶されている情報を、前記背景画像データに含まれる画素値として読み出し、前記第2の乗算手段に供給する供給手段とを備えてもよい。
これにより、予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報を記憶する第4の記憶手段のいずれかを、出力画像データが表す出力画像における背景領域の画素値の供給元の記憶手段として指定することができる。
【0011】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理回路と、前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする表示装置を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができ、さらに、その結果得られた画像を表示することができる。
【0012】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理回路と、前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて印刷を行う印刷手段とを備えることを特徴とする印刷装置を提供する。
これにより、様々な大きさや形状の画像領域に対して複数の図形画像を並べて配置するハッチング処理を、その複数の図形画像を表すデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができ、さらに、その結果得られた画像を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態]
以下に説明する実施形態では、或る画像領域に複数の図形画像を並べて配置する処理のことを、「ハッチング」という。このとき配置される複数の図形画像は、全て同一の図形画像であってもよいし、類似の図形画像であってもよいし、全て異なる図形画像であってもよい。例えば全て同一の方向に延びる線分画像を均等な間隔で繰り返し配置することで“斜線掛け”と呼ばれるハッチングを行うことができる。また、2方向に延びる線分画像をそれぞれ均等な間隔で繰り返し配置することで“網掛け”と呼ばれるハッチングを行うことができる。さらに、ハート型とクローバー型の図形を互い違いに配置するようなハッチングもあるし、形状が全て異なる抽象的な図形をランダムに並べて配置するようなハッチングも考えられる。つまり、ハッチングに用いる図形画像の大きさや形状或いはその個数はどのようなものであってもよい。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像表示装置1の構成を示す図である。
同図に示すように、画像表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、VRAM(Video Random Access Memory)14と、記憶性液晶表示体15と、表示制御装置16と、電源17と、電源制御装置18と、コネクタ19と、記憶制御装置20と、I/O21と、キー22と、記憶装置23と、画像処理回路25とを備えている。これらの各部は、外部バスを介して接続されている。CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM13に展開し、その制御プログラムに記述された手順に従って処理を実行する。キー22は、利用者によって操作される操作手段であり、ペンデバイスやジョイスティックなどの操作デバイスを含んでいる。I/O21は、キー22の操作状態を監視しており、ユーザによってキー22が操作されるとその操作に応じた信号をCPU11に供給する。電源17は、例えば充電可能な電池であり、電源制御装置18は、電源17のオンオフ制御や電力の残量監視など各種の電源管理を行う。
【0015】
コネクタ19に対しては、リムーバブルメディアなどの可搬性の外付記憶装置24が着脱自在である。この外付記憶装置24は、例えばSD(Secure Digital)カードのようなフラッシュメモリ内蔵のカード型記憶媒体であってもよいし、例えばフレキシブルディスクなどの磁気媒体を利用したディスク型記憶媒体であってもよい。記憶装置23は、フラッシュメモリやハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体であり、画像表示装置1に内蔵されている。記憶装置23又は外付記憶装置24には、テキスト(文字)、グラフィック(図形)又はイメージ(写真画像)などの画像を表す画像データが記憶されている。この画像データは、白を表す「0」という画素値及び黒を表す「1」という画素値によって構成された2値データである。画素値「1」の画素の配置された領域は画像の描画領域であり、画素値「0」の画素が配置された領域は非描画領域(背景領域)である。記憶制御装置20は、CPU11の指示に従い、記憶装置23又は外付記憶装置24から画像データを読み出し、外部バスを介して画像処理回路25に供給する。この画像データはハッチング処理対象となるデータである。この画像データが上記のようにハッチング処理を行う画像処理回路25の外部に記憶されている理由は、利用者が画像データを記憶装置23又は外付記憶装置24に自由に記憶させ、また、それを利用しやすくするためである。例えば画像データが外付記憶装置24に記憶されていれば、利用者はその外付記憶装置24のみを自由に持ち歩くこともできるし、その外付記憶装置24内の画像データの内容を他の装置によって自由に変更したりすることができる。
【0016】
画像処理回路25は、ハッチング回路250を備えている。このハッチング回路250は、CPU11の指示に従って供給される画像データに対してハッチングを施し、そのハッチングを施した画像データをVRAM14へと出力する。VRAM14は、フレームバッファであり、記憶性液晶表示体15に表示される1ページ分の画像データを記憶する。記憶性液晶表示体15は、コレステリック液晶や電気泳動などを利用した表示手段であり、電力供給が停止しても画像を表示し続けることができるという記憶性を有している。VRAM14に記憶された画像データは、CPU11の指示の下で表示制御装置16に供給される。表示制御装置16は記憶性液晶表示体15を制御して、供給された画像データに基づいた画像を表示させる。
【0017】
次に、図2は、ハッチング回路250の構成を示す図である。
同図に示すように、ハッチング回路250は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15と、ハッチングパターン指定レジスタR16と、ハッチングカラーレジスタR20,R21と、背景カラーレジスタR22と、セレクタS0,S1と、乗算器MU0,MU1と、減算器SUと、加算器ADとを備えている。これらの各部は、高速なデータ転送が可能な伝送路によって結線されている。ハッチング回路250には、記憶装置23もしくは外付記憶装置24から読み出された画像データが、外部バスを介して入力画像データとして入力される。ここでは、入力画像データの画素値「0」が白色(最低濃度)を表し、画素値「1」が黒色(最高濃度)を表すものとする。そして、この入力画像データに対してハッチング回路250によりハッチング処理を施した結果が、出力画像データとして出力される。
【0018】
ハッチングパターンレジスタR0〜R15には、それぞれ異なるハッチングパターン(つまり複数の図形画像)を構成する各画素の位置が、ハッチングパターンデータとして記憶されている。例えば、ハッチングパターンレジスタR0には、格子模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶されており、ハッチングパターンレジスタR1には、縦縞模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶され、ハッチングパターンレジスタR2には、花柄模様のハッチングを施すためのハッチングパターンデータが記憶されているというような具合である。なお、以下の説明では、ハッチングパターンレジスタR0〜R15を特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「ハッチングパターンレジスタR」という。
【0019】
ここで、図3は、ハッチングパターンレジスタR0に記憶されているハッチングパターンデータを模式的に示す図である。
このハッチングパターンデータは、「0」又は「1」という2値のパターンビット値で複数の図形画像が表現されたものである。図において白色の格子を構成する各画素の位置にはパターンビット値「0」が配置され、黒色の格子を構成する各画素の位置にはパターンビット値「1」が配置されている。このハッチングパターンデータによって表されるハッチングパターン全体のサイズは、VRAM14に確保される1ページ分の画像のサイズと同じである。各々の格子は複数個の画素(例えば16×16=256個の画素)によって構成されるが、ここでは説明を簡単にするために、1つの格子は1つの画素によって構成されているものと仮定する。この場合、ハッチングパターン全体の横方向の長さは、VRAM14における画像1ページ分の横方向の画素数Mに相当する長さである。また、ハッチングパターン全体の縦方向の長さは、VRAM14における画像1ページ分の縦方向の画素数Nに相当する長さである。他のハッチングパターンレジスタR1〜R15に記憶されているハッチングパターンデータについても、複数の図形画像が上述と同様にして表現されている。
【0020】
なお、以下の説明では、ハッチングパターンデータにおいて左上端に位置する画素の位置座標を(0,0)とし、その画素から数えて下方向にi画素、右方向にj画素進んだ位置の画素を位置座標(i,j)の画素とする。従って、例えば、位置座標(0,0)の画素から数えて右方向に1画素進んだ位置の画素は、位置座標(0,1)にある画素であり、2画素進んだ位置の画素は、位置座標(0,2)にある画素であり、3画素進んだ位置の画素は位置座標(0,3)にある画素である。また、位置座標(0,0)の画素から数えて下方向に1画素進んだ位置の画素は、位置座標(1,0)の画素であり、2画素進んだ位置の画素は、位置座標(2,0)の画素である。このような位置座標の表現方法は、図3に示したようなハッチングパターンデータのみに限らず、ハッチング回路250に入力される入力画像データ(後述する図4)や、ハッチング回路250から出力される出力画像データ(後述する図8)においても同じである。
【0021】
再び図2の説明に戻る。
ハッチングパターン指定レジスタR16は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、このハッチング指定レジスタR16は、いずれかの記憶手段を指定する指定手段として機能する。本実施形態では、ハッチングパターンレジスタR0〜R15を指定するための選択信号を「0」〜「15」とする。例えば、ハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号が「0」、ハッチングパターンレジスタR1を指定するための選択信号が「1」、ハッチングパターンレジスタR2を指定するための選択信号が「2」という具合である。また、このハッチング指定レジスタR16に格納されている選択信号は、利用者によるキー22の操作に基づいて、CPU11によって書き換えられるようになっている。
【0022】
セレクタS0は、入力信号として、ハッチングパターンレジスタR0〜R15に記憶されている各々のハッチングパターンデータが入力される。また、このセレクタS0には、ハッチングパターン指定レジスタR16に格納されている選択信号が入力される。このセレクタS0は、選択信号によって指定されたハッチングパターンレジスタから供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。例えば、選択信号として「0」が入力されると、セレクタS0は、ハッチングパターンレジスタR0から供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。また、選択信号として「1」が入力されると、セレクタS0は、ハッチングパターンレジスタR1から供給されたハッチングパターンデータを選択して出力する。
【0023】
ハッチングカラーレジスタR20は、各々のハッチングパターンデータにおいてパターンビット値「0」の位置にある画素の色を表す色情報を格納している。ここでは、例えば青色を表す色情報「C0」が格納されているものとする。ハッチングカラーレジスタR21は、各々のハッチングパターンにおいてパターンビット値「1」の位置にある画素の色を表す色情報を格納している。ここでは、例えば黄色を表す色情報「C1」が格納されているものとする。この色情報は、本来は色そのものを指定する情報と、その階調値とを含む。ただし、本実施形態では、色情報の階調値として、その色情報が表す色が有るか無いかの2値しか想定していないので、色情報「C0」だけで「青色」であることを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味している。また、色情報「C1」は、「黄色」であることを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味している。
【0024】
セレクタS1には、入力信号として、ハッチングカラーレジスタR20に格納されている色情報「C0」と、ハッチングカラーレジスタR21に格納されている色情報「C1」とが入力される。また、このセレクタS1には、選択信号として、セレクタS0から出力されたハッチングパターンデータに含まれる各パターンビット値が、上述した画素の位置座標の順番に従って順次入力される。セレクタS1は、選択信号としてパターンビット値「0」が入力されている期間は、色情報「C0」を選択して出力し、選択信号としてパターンビット値「1」が入力されている期間は、色情報「C1」を選択して出力する。
【0025】
上述したハッチングパターンレジスタR0〜R15は、ハッチングパターンを構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段として機能する。また、ハッチングカラーレジスタR20,R21は、ハッチングパターンの色を表す色情報を、各々のハッチングパターンを構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段として機能する。そして、セレクタS1は、ハッチングカラーレジスタR20,R21に記憶されている色情報を、ハッチングパターンレジスタR0〜R15のいずれかに記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段として機能する。結局、これらのハッチングパターンレジスタR0〜R15、ハッチングパターン指定レジスタR16、セレクタS0、ハッチングカラーレジスタR20,R21及びセレクタS1が協働することにより、ハッチングパターンを構成する各画素の位置とその画素値を記憶する内部記憶手段27として機能することになる。
【0026】
バスインタフェース26は、記憶装置23又は外付記憶装置24から読み出された画像データを受け取って、ハッチング回路250に供給する。つまり、バスインタフェース26は、ハッチング回路250の外部にあり、2値の画像データを記憶する外部記憶手段から、ハッチング回路250の外部にある外部バスを介してその画像データを取得する取得手段として機能する。このバスインタフェース26は、図に示したようにハッチング回路250の外部に設けられていてもよいし、ハッチング回路250内に設けられていてもよい。
【0027】
乗算器MU0は、第1の乗算手段であり、セレクタS1から出力される色情報「C0」又は「C1」と、バスインタフェース26から供給される入力画像データに含まれる画素値「0」(白色)又は「1」(黒色)を、それぞれ対応する画素位置毎に乗算して出力する。この「対応する位置」とは、図3に示した画素の位置座標が同じことを意味している。この入力画像データの画素値「0」又は「1」を、以下では「α」と呼ぶ。すなわち、乗算器MU0は、「C0」又は「C1」と「α」とが入力されて、“α×C0”又は“α×C1”を出力することになる。
【0028】
減算器SUには、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、「1」という値とが入力され、この「1」という値から「α」を減算した“1−α”を「β」として出力する。これにより、画素値「α」=「1」の場合は、その「1」が減算器SUにより反転させられて「0」が出力され、画素値「α」=「0」の場合は、その「0」が減算器SUにより反転させられて「1」が出力されることになる。つまり、この減算器SUは、2値で表現された画素値を反転する反転手段として機能する。
【0029】
背景カラーレジスタR22は、入力画像データによって表される画像が記憶性液晶表示体15に表示されるときの非描画領域(つまり入力画像データに基づく画像の背景となる背景領域)の色を表す色情報を格納している。この色情報は例えば白色を表している。この画像処理回路25では、予め決められた色の背景領域に、入力画像データが表す画像を重ねて描画する、という構成になっている。このため、背景カラーレジスタR22には背景領域の色情報が格納されている。以下、この背景領域の色情報を「背景色情報」という。
【0030】
乗算器MU1は、第2の乗算手段であり、減算器SUから出力される「β」と、背景カラーレジスタR22から供給される背景色情報とを、対応する画素位置毎に乗算して出力する。すなわち、乗算器MU1からは、“β×背景色情報”が色情報として出力される。
【0031】
加算器ADは、乗算器MU0から出力される“α×C0”又は“α×C1”と、乗算器MU1から出力される“β×背景色情報”とを、対応する画素位置毎に加算して、その加算した結果を出力画像データとして出力する。すなわち、加算器ADからは、“α×C0+β×背景色情報”という色情報か、“α×C1+β×背景色情報”という色情報のいずれかが、出力画像データに含まれる各画素の色情報として出力される。
【0032】
次に、ハッチング回路250の動作について具体的に説明する。
まず、CPU11は、ハッチングパターンの選択を利用者に促すための画面を記憶性液晶表示体15に表示させて、利用者によるハッチングパターンの選択を受け付ける。例えば、CPU11は、ハッチングパターンレジスタR0〜R15に各々記憶されているハッチングパターンを利用者が見やすいように拡大した画像を、記憶性液晶表示体15に並べて表示させる。この表示を見た利用者は、キー22を操作して、いずれかのハッチングパターンを選択することができる。利用者によってハッチングパターンが選択されると、CPU11は、選択されたハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタRを特定する。そして、CPU11は、特定したハッチングパターンレジスタRを指定するための選択信号を、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込む。例えば、利用者によって、図3によって表される格子模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、このハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号「0」が書き込まれる。この選択信号の書き込み処理は、CPU11が記憶装置23に予め記憶されているソフトウェアを実行することによって実現される。
【0033】
続いて、CPU11は、記憶装置23又は外付記憶装置24から画像データを読み出し、入力画像データとしてバスインタフェース26に供給する。バスインタフェース26は、供給された入力画像データをハッチング回路250に入力する。
ここで、図4は、ハッチング回路250に入力される入力画像データの一例である、“L”という文字画像が描画された入力画像を表す入力画像データを模式的に示す図である。この入力画像は、図3に示したハッチングパターンと同様に、横方向にM個で縦方向にN個の画素から構成されている。各画素の画素値は、図中の白色部分が「0」であり、黒色部分が「1」である。画素値が「1」の領域は、“L”という文字画像が描画される描画領域であり、画素値が「0」の領域は、文字画像が描画されない非描画領域である。以下の説明では、上述のようにしてハッチングパターンレジスタR0を指定するための「0」という選択信号がハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれ、図4に示した入力画像データがハッチング回路250に入力された場合の動作を例示する。
【0034】
まず、図5を参照して、セレクタS0,S1及び乗算器MU0の動作について説明する。
図4に示した入力画像データの画素値が、位置座標の順番に従って、ハッチング回路250に「α」として入力される。例えば、入力画像データの位置座標(0,0)の画素の画素値は「0」であるため、まず、「0」という値が「α」として入力される。次に、入力画像データの位置座標(0,1)の画素の画素値も「0」であるため、「0」という値が「α」として出力される。同様にして、位置座標(0,2)、(0,3)・・・(0,M−1)というように、図4に示した入力画像データの最上方の1ラインの画素値が順次、ハッチング回路250に「α」として入力される。1ラインの画素値が全てハッチング回路250に入力されると、次に、上から2番目の1ラインに属する位置座標(1,0)、(1,1)、(1,2)・・・(1,M−1)の画素の画素値が順次、ハッチング回路250に「α」として入力される。ここで、位置座標(1,0)、(1,1)、(1,2)、(1,3)の画素の画素値は、それぞれ、「0」、「1」、「1」、「1」である。図5では、これらの画素値が順番に入力されている様子を例示している。
【0035】
この入力動作と並行して、セレクタS0には、入力信号として、ハッチングパターンレジスタR0〜R15からそれぞれ読み出されたハッチングパターンデータが入力され、選択信号として、ハッチングパターン指定レジスタR16に格納されている選択信号が供給される。この例では、ハッチングパターン指定レジスタR16には、「0」という選択信号が書き込まれているため、この選択信号「0」がセレクタS0に供給される。セレクタS0は、供給された「0」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR0から読み出されたハッチングパターンデータ、すなわち図3に示したハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、セレクタS0からは、例えばハッチングパターンデータにおける位置座標(1,0)の画素については、パターンビット値が「0」が出力され、位置座標(1,1)の画素については、パターンビット値が「1」が出力される。同様にして、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,2)の画素については、パターンビット値が「0」が出力され、位置座標(1,3)の画素については、パターンビット値が「1」が出力される。セレクタS0から出力された各パターンビット値は、順次セレクタS1に供給される。
【0036】
セレクタS1には、入力信号として、ハッチングカラーレジスタR20から読み出された色情報「C0」と、ハッチングカラーレジスタR21から読み出された色情報「C1」とが入力され、選択信号として、セレクタS0から出力された各パターンビット値が供給される。セレクタS1は、選択信号として「0」が入力されている期間は色情報「C0」を選択して出力し、選択信号として「1」が入力されている期間は色情報「C1」を選択して出力する。例えば、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,0)の画素については、パターンビット値が「0」であるため、セレクタS1からは色情報「C0」が出力される。続くハッチングパターンデータにおける位置座標(1,1)の画素については、パターンビット値が「1」であるため、セレクタS1からは色情報「C1」が出力される。同様にして、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,2)の画素については、パターンビット値が「0」であるため、色情報「C0」が出力され、ハッチングパターンデータにおける位置座標(1,3)の画素については、パターンビット値が「1」であるため、色情報「C1」が出力される。出力された色情報は順次、乗算器MU0に供給される。
【0037】
乗算器MU0には、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、セレクタS1から供給された色情報「C0」又は「C1」とが入力される。つまり、上述したセレクタS0は、指定手段によって指定された記憶手段から読み出された各位置の画素値を第1の乗算手段に供給する供給手段として機能することになる。乗算器MU0は、入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」と、セレクタS1から供給された色情報「C0」又は「C1」とを、対応する画素位置毎に乗算し、“α×C0”又は“α×C1”を出力する。例えば、位置座標(1,0)の画素については、「α」が「0」、色情報が「C0」であるため、0×C0=「0」という値が出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、「α」が「1」、色情報が「C1」であるため、1×C1=「C1」が、つまりセレクタS1から供給される色情報「C1」がそのまま出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、「α」が「1」であるため、セレクタS1から供給される色情報「C0」が出力され、位置座標(1,3)の画素についても、「α」が「1」であるため、セレクタS1から供給される色情報「C1」が出力される。このように、乗算器MU0による乗算の結果、入力画像データの画素値が「0」である画素、つまり文字画像が描画されない非描画領域の画素については、「0」という値が出力される。一方、入力画像データの画素値が「1」である画素、つまり文字画像が描画される描画領域の画素については、ハッチングパターンデータにおいて対応する位置のパターンビット値の色情報が出力されることになる。この乗算器MU0から出力された“α×C0”又は“α×C1”、つまり“α×ハッチングパターンの色情報”は、加算器ADに供給される。
【0038】
次に、図6を参照して、減算器SU及び乗算器MU1の動作について説明する。
入力画像データに含まれる各位置の画素値「α」は、上述した乗算器MU0のほか、減算器SUにも供給される。減算器SUは、この「α」と「1」とが入力され、この「1」から「α」を減算した“1−α”を「β」として出力する。例えば位置座標(1,0)の画素については、「α」が0であるため、1−0=「1」という値が「β」として出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力され、(1,3)の画素についても、「α」が1であるため、1−1=「0」という値が「β」として出力される。減算器SUから出力された「β」は、乗算器MU1に供給される。
【0039】
乗算器MU1には、減算器SUから「β」が供給されるとともに、背景カラーレジスタR22から背景色情報が供給される。乗算器MU1は、この「β」と背景色情報とを、対応する画素位置毎に乗算した“β×背景色情報”を出力する。すなわち、入力画像データの画素値が「0」である画素、つまり文字画像が描画されない非描画領域の画素については、「β」が1になるため、乗算器MU1からは背景色情報がそのまま出力される。一方、入力画像データの画素値が「1」である画素、つまり文字画像の描画領域の画素については、「β」が0になるため、乗算器MU1からは「0」という値が出力される。例えば位置座標(1,0)の画素については、減算器SUから供給される「β」が1であるため、背景カラーレジスタR22から供給される背景色情報がそのまま出力される。続く位置座標(1,1)、(1,2)、(1,3)の画素については、いずれも減算器SUから供給される「β」が0であるため、「0」という値が出力される。乗算器MU1から出力された“β×背景色情報”は、加算器ADに供給される。
【0040】
次に、図7を参照して、加算器ADの動作について説明する。
加算器ADは、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”と、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”とを、対応する画素位置毎に加算した“α×ハッチングパターンの色情報+β×背景色情報”の値を出力する。例えば位置座標(1,0)の画素については、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「0」であり、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”の値が「背景色情報」であるため、「背景色情報」が出力される。続く位置座標(1,1)の画素については、乗算器MU0から供給される“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C1」であり、乗算器MU1から供給される“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C1」が出力される。同様にして、位置座標(1,2)の画素については、“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C0」であり、“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C0」が出力され、位置座標(1,3)の画素については、“α×ハッチングパターンの色情報”の値が「C1」であり、“β×背景色情報”の値が「0」であるため、ハッチングパターンの色情報「C1」が出力される。つまり、加算器ADにおいては、図4に示したような入力画像における描画領域の画素の色を表す色情報が、ハッチングパターンの色情報に置き換えられる一方、非描画領域の画素の色を表す色情報が背景色情報に置き換えられ、これらが出力画像データとして出力されることになる。加算器ADから出力された出力画像データは、VRAM14にいったん記憶された後、表示制御装置16によって解釈されて、記憶性液晶表示体15に画像として表示される。
【0041】
ここで、図8は、出力画像データに基づいて記憶性液晶表示体15に表示される出力画像を示す図である。
同図に示すように、この出力画像は、図4に示した入力画像データと同様に、“L”という文字を表す文字画像が描画された描画領域と、文字画像が描画されていない非描画領域とによって構成されている。ただし、文字画像の描画領域は、図3に示したハッチングパターンに相当する青色と黄色の格子模様になっている。また、文字画像の非描画領域には、ハッチングは施されておらず、背景色情報が表す白色の背景画像となっている。例えば位置座標(1,0)の画素の色は、背景色の白色であるし、位置座標(1,1)の画素の色はハッチングパターンの色情報「C1」が表す黄色であるし、位置座標(1,2)の画素の色はハッチングパターンの色情報「C0」が表す青色であるし、位置座標(1,3)の画素の色は、ハッチングパターンの色情報「C1」が表す黄色である。
【0042】
また、上述では、利用者によって、図3によって表される格子模様のハッチングパターンが選択された場合の動作について例示したが、他のハッチングパターンが選択された場合には以下のようになる。例えば、利用者によって縦縞模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、これを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR1を選択するための「1」という選択信号が書き込まれる。セレクタS0は、その「1」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR1から読み出されたハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、文字画像の描画領域に、利用者によって選択された縦縞模様のハッチングが施される。
あるいは、利用者によって花柄模様のハッチングパターンが選択された場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、これを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR2を選択するための「2」という選択信号が書き込まれる。セレクタS0は、その「2」という選択信号によって指定されるハッチングパターンレジスタR2から読み出されたハッチングパターンデータを選択して出力する。これにより、文字画像の描画領域に、利用者によって選択された花柄模様のハッチングが施される。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、レジスタ、セレクタ、乗算器、加算器及び減算器からなる比較的簡易な構成の回路を用いるだけで、入力画像における文字などの描画領域だけにハッチングを施すハッチング処理を、ハッチングパターンデータが外部バスを介して入力される場合と比べて高速化することができる。また、ハッチング対象となる領域の位置座標或いはメモリアドレスなどを逐一指定する手間も不要となる。また、利用者は、描画領域に施されるハッチングのハッチングパターンとして、複数のハッチングパターンから所望のハッチングパターンを選択することができる。さらに、ハッチングカラーレジスタR20,R21に所望の色を記憶させるだけで、所望の色のハッチングを施すことができる。
【0044】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0045】
(1)上述した実施形態において、ハッチング回路250には、16個のハッチングパターンレジスタR0〜R15が設けられていたが、その台数は、それよりも多くてもよいし、少なくてもよい。例えば、50個のハッチングパターンレジスタがハッチング回路250に設けられていてもよいし、1個のハッチングパターンレジスタのみがハッチング回路250に設けられていてもよい。ただし、1個のハッチングパターンレジスタのみがハッチング回路250に設けられている場合には、ハッチングパターン指定レジスタR16及びセレクタS0が不要となり、ハッチングパターンレジスタに記憶されているハッチングパターンデータがそのままセレクタS1に供給されることになる。
【0046】
(2)上述した実施形態において、ハッチングパターンレジスタRには、ハッチングパターンデータが予め記憶されていたが、このハッチングパターンデータは、CPU11によって書き換えられてもよい。これにより、ハッチング回路250が施すハッチングのハッチングパターンを後から変更することができる。このハッチングパターンレジスタRに後から書き込まれるハッチングパターンデータとしては、例えば、描画ソフトウェアを用いて利用者によって描画された画像の画像データであってもよい。この場合、ハッチング回路250は、利用者によって描画された画像のハッチングを施すことができる。
【0047】
(3)上述した実施形態において、ハッチング回路250は、利用者によって選択されたハッチングパターンのハッチングを施していたが、これに限らない。例えば、CPU11が、ランダムにハッチングパターンを選択してもよい。この場合、ハッチングパターン指定レジスタR16には、CPU11によって選択されたハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタRを指定するための選択信号が書き込まれることになる。これにより、ハッチング回路250は、CPU11によってランダムに選択されたハッチングパターンのハッチングを施すことができる。
【0048】
また、CPU11が、ハッチング回路250に入力される入力画像データの内容を解析して、その内容毎に予め決められているハッチングパターンを選択してもよい。例えば、CPU11は、入力画像データが文字画像を表すものであれば、格子模様のハッチングパターンを選択し、入力画像データが図形画像を表すものであれば、花柄模様のハッチングパターンを選択してもよい。この場合、CPU11によって格子模様のハッチングパターンが選択されたときには、そのハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR0を指定するための選択信号が、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれる。一方、CPU11によって花柄模様のハッチングパターンが選択されたときには、そのハッチングパターンを表すハッチングパターンデータを記憶するハッチングパターンレジスタR2を指定するための選択信号が、ハッチングパターン指定レジスタR16に書き込まれる。これにより、ハッチング回路250は、入力画像データの内容に応じて、異なるハッチングパターンのハッチングを施すことができる。
【0049】
(4)上述した実施形態では、色情報の階調値として、その色情報が表す色が有るか無いかの2値しか想定していなかったので、ハッチングパターンの色情報C0,C1は、色そのものを意味すると同時に、その色が「有る」ということを意味していた。しかし、記憶性液晶表示体15が同一色を3以上の多階調で表示可能な場合には、この色情報には、色そのものを指定する情報とその階調値とが含まれることになる。
【0050】
(5)上述した実施形態では、2値の入力画像データを反転する反転手段を、減算器SUによって実現していたが、これに限らず、例えば2値の入力画像データを選択信号とし、選択信号「1」が入力されると入力信号「0」を選択して出力し、選択信号「0」が入力されると入力信号「1」を選択して出力するような構成で実現してもよい。
また、入力画像データは、「1」と「0」という2値からなるデータである必要はなく、例えば、「0」と「15」というように、「0」という値と「0」以外の整数値からなる2値データであってもよい。この場合、乗算器MU0にて、「0」以外の値と、ハッチングパターンの色情報とを乗算する場合、そのまま乗算すると、ハッチングパターンの色情報が整数倍されてしまう。そこで、ハッチングパターンの色情報を予め「1/整数値」倍しておくか、または、乗算器MU0に整数値を入力する前に、その整数値を自身で除算して「1」にしておく必要がある。なお、入力画像データは図2に示したハッチング回路250に入力される時点で2値データであればよく、画像がもともと多値データで表されている場合には、その多値データを2値データに変換してからこのハッチング回路250に入力すればよい。
【0051】
(6)ハッチング対象領域以外の領域は要するに背景領域であるが、この背景領域を表示するための画像データとしては、上述した実施形態のように背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報を用いてもよいし、ハッチング回路250に入力される入力画像データを用いてもよい。後者の場合、乗算器MU1には、背景カラーレジスタR22から読み出される背景色情報に代えて、入力画像データが供給されるような回路構成にすればよい。これにより、出力画像における背景領域の色を、入力画像における背景領域の色と同じにすることができる。
【0052】
また、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報、又は、ハッチング回路250に入力される入力画像データのうちのいずれかを指定するようにしてもよい。
図9は、この場合のハッチング回路251を示す図である。このハッチング回路251には、背景カラー指定レジスタR25と、セレクタS2とがさらに設けられている。その他の構成については、図2に示したハッチング回路250の構成と同様である。
背景カラー指定レジスタR25は、入力画像データの各位置の画素値「α」、又は、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、この背景カラー指定レジスタR25は、2値の入力画像データに含まれる各位置の画素値、又は、背景色情報に含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段として機能する。背景カラー指定レジスタR25に格納されている選択信号は、利用者のキー22操作に基づいてCPU11によって書き換えられてもよい。
セレクタS2には、入力信号として、入力画像データの画素値「α」と、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報とが入力される。また、このセレクタS2には、背景カラー指定レジスタR25に格納されている選択信号が入力される。セレクタS2は、入力画像データの各位置の画素値「α」を指定する選択信号(ここでは「0」)が入力されると、入力画像データの画素値「α」を選択して出力する。一方、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報を指定する選択信号(ここでは「1」)が入力されると、背景色情報を選択して出力する。つまり、このセレクタS2は、背景カラー指定レジスタR25によって指定された画素値を第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。
これにより、出力画像における背景領域の色として、入力画像における非描画領域の色又は背景色のいずれかを指定することができる。
【0053】
(7)上述した実施形態において、VRAM14に記憶された画像データは、表示制御装置16によって、記憶性液晶表示体15に表示されていた。これに対し、ハッチング処理が施された画像データが、印刷に用いられてもよい。例えば、加算器ADから出力された出力画像データがRAM13に書き込まれ、その出力画像データが用紙1枚に印刷する画像に相当する画像データとして印刷部に供給されてもよい。印刷部は、供給された画像データに基づいて印刷を行い、画像データが表す画像を用紙に形成する。
【0054】
(8)上述した実施形態では、背景カラーレジスタR22に格納されている背景色情報がそのまま乗算器MU1に供給されていたが、この背景カラーレジスタR22に加えて、VRAM14に背景色情報が記憶されている場合には、いずれかの背景色情報が選択されて、乗算器MU1に供給されてもよい。
図10は、この変形例に係るハッチング回路252の構成を示す図である。このハッチング回路252には、背景カラー指定レジスタR26と、セレクタS3とがさらに設けられている。その他の構成については、図2に示したハッチング回路250の構成と同様である。
背景カラー指定レジスタR26は、背景カラーレジスタR22に格納されている第1の背景色情報、又は、VRAM14に記憶されている第2の背景色情報のいずれかを指定するための選択信号を格納している。つまり、この背景カラー指定レジスタR26は、予め決められた第1の背景色情報を記憶する背景カラーレジスタR22、又は、記憶性液晶表示体15に出力される画像情報が展開されるVRAM14のいずれかを指定する指定手段として機能する。背景カラー指定レジスタR26に格納されている選択信号は、利用者のキー22操作に基づいてCPU11によって書き換えられてもよい。
セレクタS3には、入力信号として、背景カラーレジスタR22に格納されている第1の背景色情報と、VRAM14に記憶されている第2の背景色情報とが入力される。また、このセレクタS3には、背景カラー指定レジスタR26に格納されている選択信号が入力される。セレクタS3は、背景カラーレジスタR22を指定する選択信号(ここでは「0」)が入力されると、背景カラーレジスタR22から読み出された第1の背景色情報を選択して出力する。一方、VRAM14を指定する選択信号(ここでは「1」)が入力されると、VRAM14から読み出された第2の背景色情報を選択して出力する。つまり、このセレクタS3は、背景カラー指定レジスタR26によって指定された記憶手段、すなわち背景カラーレジスタR22又はVRAM14に記憶されている情報を、背景色情報に含まれる画素値として読み出し、第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。
【0055】
また、表示手段又は印刷手段によって画像が出力(表示又は印刷)される場合、その出力画像の画像情報は、RAM13などの記憶手段に展開され、このRAM13にいったん記憶されてから表示手段又は印刷手段へと供給される。このRAM13に記憶された出力画像の画像情報を、上記実施形態における背景色情報として用いてもよい。この場合、背景カラー指定レジスタR26が、予め決められた第1の背景色情報を記憶する背景カラーレジスタR22、又は、出力画像の画像情報が記憶されるRAM13のいずれかを指定する指定手段として機能する。そして、セレクタS3が、背景カラー指定レジスタR26によって指定された記憶手段、すなわち背景カラーレジスタR22又はRAM13に記憶されている背景色情報又は画像情報を、上記実施形態における背景色情報の画素値として読み出し、第2の乗算手段である乗算器MU1に供給する供給手段として機能する。これにより、RAM13などの記憶手段を、背景色情報の供給元として選択することができる。
【0056】
(9)上述した実施形態において、ハッチング回路250は、画像処理回路25に設けられていた。これに対し、ハッチング回路250が、表示制御装置16などの他のデバイスに設けられていてもよい。
【0057】
(10)上述したハッチング回路250は、画像データに応じた画像を表示する表示装置を有するパーソナルコンピュータ装置、携帯電話機又は電子ブックなどに用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】画像表示装置1の構成を示す図である。
【図2】ハッチング回路250の構成を示す図である。
【図3】ハッチングパターンレジスタR0のハッチングパターンデータを示す図である。
【図4】ハッチング回路250に入力される入力画像データの一例を示す図である。
【図5】セレクタS0,S1及び乗算器MU0の動作を説明する図である。
【図6】減算器SU及び乗算器MU1の動作を説明する図である。
【図7】加算器ADの動作を説明する図である。
【図8】記憶性液晶表示体15に表示される出力画像を示す図である。
【図9】変形例に係るハッチング回路251の構成を示す図である。
【図10】変形例に係るハッチング回路252の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像表示装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…VRAM、15…記憶性液晶表示体、16…表示制御装置、17…電源、18…電源制御装置、19…コネクタ、20…記憶制御装置、21…I/O、22…キー、23…記憶装置、24…外付記憶装置、25…画像処理回路、250,251,252…ハッチング回路、R,R0〜R15…ハッチングパターンレジスタ、R16…ハッチングパターン指定レジスタ、R20,R21…ハッチングカラーレジスタ、S0〜S3…セレクタ、26…バスインタフェース、MU0,MU1…乗算器、SU…減算器、AD…加算器、R22…背景カラーレジスタ、R25,R26…背景カラー指定レジスタ、27…内部記憶手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自回路の外部にあり、0を含む2値で各位値の画素値が表された2値画像データを記憶する外部記憶手段から、自回路の外部にある外部バスを介して前記2値画像データを取得する取得手段と、
自回路の内部にあり、並べて配置される複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶する内部記憶手段と、
前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値と、前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第1の乗算手段と、
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値を反転する反転手段と、
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値又は当該2値画像データに基づく画像の背景となる背景画像データに含まれる各位置の画素値と、前記反転手段によって反転された画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第2の乗算手段と、
前記第1の乗算手段の乗算結果と、前記第2の乗算手段の乗算結果とを、それぞれ対応する前記位置毎に加算し、出力画像データとして出力する加算手段と
を備えることを特徴とする画像処理回路。
【請求項2】
前記内部記憶手段は複数設けられ、
各々の前記内部記憶手段は、それぞれ異なる前記複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶し、
前記複数の内部記憶手段のうちいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値を前記第1の乗算手段に供給する供給手段とを備え、
前記第1の乗算手段は、前記供給手段によって供給された各位置の画素値と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項3】
前記内部記憶手段は、
前記複数の図形画像を構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段と、
前記図形画像の色を表す色情報を、前記複数の図形画像を構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段により記憶されている色情報を、前記第1の記憶手段により記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記第2の記憶手段は、複数種類の色情報を記憶しており、
前記色情報出力手段は、前記複数の図形画像のうち同一種類の図形画像を構成する画素毎に、前記第2の記憶手段によって記憶されている複数種類の色情報のうちのいずれかを出力する
ことを特徴とする請求項3記載の画像処理回路。
【請求項5】
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された画素値を前記第2の乗算手段に供給する供給手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項6】
予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報を記憶する第4の記憶手段のいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された記憶手段に記憶されている情報を、前記背景画像データに含まれる画素値として読み出し、前記第2の乗算手段に供給する供給手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理回路と、
前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理回路と、
前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
自回路の外部にあり、0を含む2値で各位値の画素値が表された2値画像データを記憶する外部記憶手段から、自回路の外部にある外部バスを介して前記2値画像データを取得する取得手段と、
自回路の内部にあり、並べて配置される複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶する内部記憶手段と、
前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値と、前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第1の乗算手段と、
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値を反転する反転手段と、
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値又は当該2値画像データに基づく画像の背景となる背景画像データに含まれる各位置の画素値と、前記反転手段によって反転された画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する第2の乗算手段と、
前記第1の乗算手段の乗算結果と、前記第2の乗算手段の乗算結果とを、それぞれ対応する前記位置毎に加算し、出力画像データとして出力する加算手段と
を備えることを特徴とする画像処理回路。
【請求項2】
前記内部記憶手段は複数設けられ、
各々の前記内部記憶手段は、それぞれ異なる前記複数の図形画像を構成する各画素の位置と、その画素値とを記憶し、
前記複数の内部記憶手段のうちいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された前記内部記憶手段から読み出された各位置の画素値を前記第1の乗算手段に供給する供給手段とを備え、
前記第1の乗算手段は、前記供給手段によって供給された各位置の画素値と、前記取得手段によって取得された前記2値画像データに含まれる各位置の画素値とを、それぞれ対応する前記位置毎に乗算する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項3】
前記内部記憶手段は、
前記複数の図形画像を構成する各画素の位置を記憶する第1の記憶手段と、
前記図形画像の色を表す色情報を、前記複数の図形画像を構成する各画素の画素値として記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段により記憶されている色情報を、前記第1の記憶手段により記憶されている各位置の画素の画素値として出力する色情報出力手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記第2の記憶手段は、複数種類の色情報を記憶しており、
前記色情報出力手段は、前記複数の図形画像のうち同一種類の図形画像を構成する画素毎に、前記第2の記憶手段によって記憶されている複数種類の色情報のうちのいずれかを出力する
ことを特徴とする請求項3記載の画像処理回路。
【請求項5】
前記2値画像データに含まれる各位置の画素値、又は、当該2値画像データの画像の背景を表す背景画像データに含まれる各位置の画素値のいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された画素値を前記第2の乗算手段に供給する供給手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項6】
予め決められた背景色情報を記憶する第3の記憶手段、又は、表示手段又は印刷手段に出力される画像情報を記憶する第4の記憶手段のいずれかを指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された記憶手段に記憶されている情報を、前記背景画像データに含まれる画素値として読み出し、前記第2の乗算手段に供給する供給手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理回路と、
前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理回路と、
前記加算手段から出力された出力画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−48249(P2009−48249A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211256(P2007−211256)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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