説明

画像処理式車両検出装置及び画像処理式車両検出方法

【課題】車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置検出が可能な画像処理式車両検出装置および画像処理式車両検出方法を提供すること。
【解決手段】道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段121と、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段123と、前記車頭検出手段121および前記ヘッドライト点灯判定手段123の結果に基づいて前記車頭位置を補正する車頭検出補正手段122とを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理による車両検出装置装置及び車両検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両検出装置では、道路上の車両を撮影した画像から車両を検出する技術が提案されており、車両のヘッドライトを抽出して判断することにより、夜間における車種を高い精度で判別している。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−353580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、カメラの設置状況や路面状況によってはヘッドライトの路面反射が画像内に大きく発生し、正確に車両の車頭位置を検出することが困難になる。車頭が正確に検出できなければ、車両速度を正確に計測することができないという課題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであって、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置検出することが可能な画像処理式車両検出装置および画像処理式車両検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の画像処理式車両検出装置は、道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段と、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段と、前記車頭検出手段および前記ヘッドライト点灯判定手段の結果に基づいて前記車頭位置を補正する車頭検出補正手段とを有する構成としている。
【0006】
この構成により、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置を検出することができる。
【0007】
また、本発明の第2の画像処理式車両検出装置は、前記車両候補矩形が、前記撮影画像および前記撮影画像に基づいて作成された背景画像から検出される構成としている。
【0008】
この構成により、背景差分法を用いることで、車両を前方から撮影した場合にヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置を検出することができる。
【0009】
また、本発明の第3の画像処理式車両検出装置は、前記車両検出補正手段が、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合、前記検出された車頭位置を平均明度未満になった前記水平ラインの垂直位置に補正する構成としている。
【0010】
この構成により、背景差分法を用いてヘッドライト光路面反射部分を安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【0011】
また、本発明の第4の画像処理式車両検出装置は、前記車両検出補正手段が、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合、前記検出された車頭位置を最小値である水平ラインの垂直位置に補正する構成としている。
【0012】
この構成により、画面全体がヘッドライト光路面反射により明るくなり、背景よりも撮影画像が暗くならない場合でも、背景差分法を用いないで安定的に車頭位置を検出することができる。
【0013】
また、本発明の第5の画像処理式車両検出装置は、前記車両検出補正手段が、前記車頭検出手段により検出された車頭位置を、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合には前記水平ラインの垂直位置に、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合には前記平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置に、補正する構成としている。
【0014】
この構成により、ヘッドライト光路面反射部分をより安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【0015】
また、本発明の第6の画像処理式車両検出装置は、前記ヘッドライト点灯判定手段が、前記撮影画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度が予め設定した値を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する構成としている。
【0016】
この構成により、背景差分法を用いない場合でも容易にヘッドライトが点灯していることを認識することができる。
【0017】
また、本発明の第7の画像処理式車両検出装置は、前記ヘッドライト点灯判定手段が、前記撮影画像および前記背景画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度を比較し、前記撮影画像の平均明度が前記背景画像の平均明度を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する構成としている。
【0018】
この構成により、背景差分法を用いてヘッドライトが点灯していることを認識することができる。また、ヘッドライト点灯を判定するための閾値の設定が不要である。
【0019】
また、本発明の第1の画像処理式車両検出方法は、道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出ステップと、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定ステップと、前記車頭検出ステップおよび前記ヘッドライト点灯判定ステップの結果に基づいて前記車頭位置を補正する車頭検出補正ステップとを有する方法としている。
【0020】
この方法により、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置を検出することができる。
【0021】
また、本発明の第2の画像処理式車両検出方法は、前記車両候補矩形が、前記撮影画像および前記撮影画像に基づいて作成された背景画像から検出される方法としている。
【0022】
この方法により、背景差分法を用いることで、車両を前方から撮影した場合にヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置を検出することができる。
【0023】
また、本発明の第3の画像処理式車両検出方法は、前記車両検出補正ステップが、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合、前記検出された車頭位置を平均明度未満になった前記水平ラインの垂直位置に補正する方法としている。
【0024】
この構成により、背景差分法を用いてヘッドライト光路面反射部分を安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【0025】
また、本発明の第4の画像処理式車両検出方法は、前記車両検出補正ステップが、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合、前記検出された車頭位置を最小値である水平ラインの垂直位置に補正する方法としている。
【0026】
この構成により、画面全体がヘッドライト光路面反射により明るくなり、背景よりも撮影画像が暗くならない場合でも、背景差分法を用いないで安定的に車頭位置を検出することができる。
【0027】
また、本発明の第5の画像処理式車両検出方法は、前記車両検出補正ステップが、前記車頭検出ステップにより検出された車頭位置を、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合には前記水平ラインの垂直位置に、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合には前記平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置に、補正する方法としている。
【0028】
この構成により、ヘッドライト光路面反射部分をより安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【0029】
また、本発明の第6の画像処理式車両検出方法は、前記ヘッドライト点灯判定ステップが、前記撮影画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度が予め設定した値を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する方法としている。
【0030】
この構成により、ヘッドライト光路面反射部分を安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【0031】
また、本発明の第7の画像処理式車両検出方法は、前記ヘッドライト点灯判定ステップが、前記撮影画像および前記背景画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度を比較し、前記撮影画像の平均明度が前記背景画像の平均明度を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する方法としている。
【0032】
この構成により、背景差分法を用いてヘッドライトが点灯していることを認識することができる。また、ヘッドライト点灯を判定するための閾値の設定が不要である。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置検出が可能な画像処理式車両検出装置および画像処理式車両検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の画像処理式車両検出装置について、図面を用いて説明する。
【0035】
まず、ヘッドライトを点灯している車両と路面の状況に関して先に説明する。図5は、本発明の実施形態におけるヘッドライト点灯車両および路面の概略図である。
【0036】
撮影カメラなどにより車両や路面などを撮影した撮影画像から車両候補矩形500を抜粋する。この画像では、ヘッドライト502を点灯している車両501が路面503上を走行しており、路面503にヘッドライト光が反射している。車両501と路面503との間にあるタイヤ近傍の部分は、車両自身が作り出した水平方向にのびている車体影504が発生している。
【0037】
後述のような車両候補矩形500を抽出して車頭位置を求めると、ヘッドライト光も含まれた車両候補矩形500の矩形底辺が車頭位置として認識されてしまう。そこで、本発明においては、車体影504を利用することで車体影504の部分を車頭として車頭位置を補正するように、後述する3つの実施形態を提案する。
【0038】
次に、本発明の実施形態における画像処理式車両検出装置について説明する。
図1は本発明の実施形態における画像処理式車両検出装置100のブロック図である。
【0039】
本発明の実施形態における画像処理式車両検出装置100は、画像入力手段101、背景画像作成手段102、特徴画像作成手段103、特徴コード作成手段104、画像格納手段110、車両認識手段120および特徴コード格納手段131を有する。また、画像格納手段110は、現画像格納手段111、背景画像格納手段112および特徴画像格納手段113を有する。また、車両認識手段120は、車頭検出手段121、車頭検出補正手段122およびヘッドライト点灯判定手段123を有する。
【0040】
背景画像作成手段102、特徴画像作成手段103、特徴コード作成手段104および車両認識手段120は、後述する各処理を行うプロセッサ等により構成される。また、画像格納手段110および特徴コード格納手段131はメモリ等により構成される。
【0041】
画像入力手段101では、撮影用カメラなどにより撮影された撮影画像データを入力する。撮影画像データには、256階調の濃淡画像データ等が用いられる。撮影画像データは現画像格納手段111に格納される。背景画像作成手段102では、撮影画像データに基づいて背景画像を作成する。背景画像データは背景画像格納手段112に格納される。
【0042】
特徴画像作成手段103では、撮影画像データおよび背景画像データを用いて背景差分、微分背景差分、フレーム差分、微分フレーム差分等の処理を行うことで特徴画像を作成する。特徴画像データは特徴画像格納手段113に格納される。
【0043】
特徴コード作成手段104では、特徴画像データに基づいて車両候補矩形を算出するための各画素の特徴を示す特徴コードを作成する。特徴コードは、特徴画像において各画素ごとに0、1、2、…、9などのコードを割り当てたものである。例えば、背景画像データと同一で差分処理によってデータ無しとなったデータは0、ノイズ等と思われる捨てデータは1、車両として有効な有効データのうち、車幅より小さい部分は2、車幅より大きい部分は3、車両候補となる部分は6、車体として認識される部分は8、車尾として認識される部分は9などとして、車両の位置を判別可能にしたデータである。特徴コードは特徴コード格納手段131に格納される。
【0044】
車頭検出手段121では、撮影画像データおよび特徴コードを用いて車両候補矩形および車頭の位置を検出する。車頭検出補正手段122では、車頭検出手段121および後述するヘッドライト点灯判定手段123の結果に基づいて車頭位置を補正する。
【0045】
ヘッドライト点灯判定手段123では、撮影画像データおよび特徴コードから車両のヘッドライトが点灯しているか否かを判定する。例えば、車両候補矩形の矩形底辺から車両最小高さ(予め設定した任意の高さ)までの平均明度がヘッドライト点灯判定値(予め設定した任意の値)よりも大きい場合はヘッドライトが点灯していると判定する。また、撮影画像データおよび背景画像データの車両候補矩形の矩形底辺から前述の車両最小高さまでの平均明度を比較して、撮影画像データの平均明度が背景画像データの平均明度よりも大きい場合にヘッドライトが点灯していると判定してもよい。
(第1の実施形態)
【0046】
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、背景差分法を用いて車頭位置を補正する場合の画像処理式車両検出装置の動作を説明する。ここで背景差分法とは、入力画像および背景画像の明度や輝度を比較し、その明度差に基づいて移動物体を抽出する手法である。図2は本発明の第1の実施形態における画像処理式車両検出装置100の動作説明のためのフロー図である。
【0047】
まず、車頭検出手段121により車両候補矩形の検出が完了する(ステップS201)。ヘッドライト点灯判定手段123により車両候補矩形の車両のヘッドライトが点灯されていると判定された場合、車頭検出補正手段122は、検出された車両候補矩形内の撮影画像データおよび背景画像データについて、各水平ライン毎の平均明度(撮影画像データの平均明度(1)、背景画像データの平均明度(2)とする)を算出する(ステップS202)。そして各車両候補矩形の画像最下段の水平ライン(車両候補矩形底辺)から上方へと検索を開始する(ステップS203)。
【0048】
車頭検出補正手段122は、撮影画像データおよび背景画像データの水平ラインの垂直位置が等しい位置において、撮影画像データの平均明度(1)と背景画像データの平均明度(2)との比較を行い、撮影画像データの平均明度(1)が背景画像データの平均明度(2)よりも小さいか否かの判定を行う(ステップS204)。判定結果が真の場合は、車頭検出補正手段122は現在比較している水平ラインの垂直位置を車頭補正位置として登録し(ステップS205)、処理を終了する。
【0049】
また、ステップS204の判定結果が偽の場合は、現在比較している水平ラインよりも一段上に比較を行うための水平ラインを移動する(ステップS211)。そして移動後の水平ラインの垂直位置が車両候補矩形の上辺よりも上方に位置するか否かの判定を行う(ステップS212)。判定結果が偽の場合はステップS204に戻り、処理を続行する。判定結果が真の場合は、車頭補正位置の検出は不可能であるので(ステップS213)、処理を終了する。
【0050】
このような本発明の第1の実施形態の画像処理式車両検出装置100によれば、道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段121と、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段123と、車頭検出手段121およびヘッドライト点灯判定手段123の結果に基づいて車頭位置を補正する車頭検出補正手段122とを有し、車両候補矩形は、撮影画像および撮影画像に基づいて作成された背景画像から検出される構成とすることで、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置を検出することができる。
(第2の実施形態)
【0051】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、背景差分法を用いずに車頭位置を補正する場合の画像処理式車両検出装置の動作を説明する。図3は本発明の第2の実施形態における画像処理式車両検出装置100の動作説明のためのフロー図である。
【0052】
まず、車頭検出手段121により車両候補矩形の検出が完了する(ステップS301)。ヘッドライト点灯判定手段123により車両候補矩形の車両のヘッドライトが点灯されていると判定された場合、車両検出補正手段122は、検出された車両候補矩形内の撮影画像データについて、各水平ライン毎の平均明度を算出する(ステップS302)。そして各車両候補矩形の画像最下段の水平ライン(車両候補矩形底辺)から上方へと検索を開始する(ステップS303)。
【0053】
車両検出補正手段122は、車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い車両候補矩形内の探索窓(図5の探索窓505に相当)を用いて、探索窓内における水平ラインの平均明度の最大値および最小値を検索する(ステップS304)。そして、この最大値および最小値の差が車頭判定閾値(車頭を判定するために、予め設定されている値)よりも大きいか否かを判定する(ステップS305)。判定結果が真の場合、車両検出補正手段122は検索された平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置を車頭補正位置として登録し(ステップS306)、処理を終了する。
【0054】
尚、前述の探索窓は車両候補矩形内の垂直方向の長さを有する直線や矩形などである。また、探索窓の垂直方向の長さは例えば車両候補矩形の横幅から算出し、車両候補矩形の横幅の半分から車両候補矩形の横幅までの間が適値と考えられる。本実施形態および後述する本発明の第3の実施形態における探索窓は垂直方向の長さを有する直線とし、探索窓の長さは車両候補矩形の横幅の半分とする。
【0055】
また、ステップS305の判定結果が偽の場合は、現在の検索に使用している探索窓と比較して水平ライン一段分上に探索窓を移動する(ステップS311)。そして移動後の探索窓の上端が、車両候補矩形の上辺よりも上方に位置するか否かの判定を行う(ステップS312)。判定結果が偽の場合はステップS304に戻り、処理を続行する。判定結果が真の場合は車頭補正位置の検出が不可能であるので(ステップS313)、処理を終了する。
【0056】
このような本発明の第2の実施形態の画像処理式車両検出装置100によれば、道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段121と、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段123と、車頭検出手段121およびヘッドライト点灯判定手段123の結果に基づいて車頭位置を補正する車頭検出補正手段122とを有し、車両検出補正手段122は、車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い車両候補矩形内の探索窓を用いて、撮影画像の水平ライン毎の平均明度を探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合、検出された車頭位置を最小値である水平ラインの垂直位置に補正する構成とすることで、画面全体がヘッドライト光路面反射により明るくなり、背景よりも撮影画像が暗くならない場合でも、安定的に車頭位置を検出することができる。
(第3の実施形態)
【0057】
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、車頭位置の補正に背景差分法を用いる方法と用いない方法を組み合わせて実施する画像処理式車両検出装置の動作を説明する。図4は本発明の第3の実施形態における画像処理式車両検出装置100の動作説明のためのフロー図である。
【0058】
まず、車頭検出手段121により車両候補矩形の検出が完了する(ステップS401)。ヘッドライト点灯判定手段123により車両候補矩形の車両のヘッドライトが点灯されていると判定された場合、車両検出補正手段122は、検出された車両候補矩形内の撮影画像データおよび背景画像データについて、各水平ライン毎の平均明度(撮影画像データの平均明度(1)、背景画像データの平均明度(2)とする)を算出する(ステップS402)。そして各車両候補矩形の画像最下段の水平ライン(車両候補矩形底辺)から上方へと検索を開始する(ステップS403)。
【0059】
背景差分法を用いない車頭位置の補正方法によって、車頭補正位置が検出されたか否かを判定する(ステップS404)。実際の背景差分法を用いない車頭位置の補正方法は、本発明の第2の実施形態を参照されたい。判定結果が真の場合には、車頭検出補正手段122は車頭補正位置の登録を行い(ステップS411)、処理を終了する。判定結果が偽の場合は、以下の処理を続行する。
【0060】
背景差分法を用いた車頭位置の補正方法によって、車頭補正位置が検出されたか否かを判定する(ステップS405)。実際の背景差分法を用いた車頭位置の補正方法は、本発明の第1の実施形態を参照されたい。判定結果が真の場合には、車頭検出補正手段122は車頭補正位置の登録を行い(ステップS411)、処理を終了する。判定結果が偽の場合には以下の処理を続行する。
【0061】
次に、背景差分法を用いない場合に関しては、現在の検索に使用している探索窓と比較して水平ライン一段分上に探索窓を移動し、背景差分法を用いる場合に関しては、現在比較している水平ラインよりも一段上に比較を行うための水平ラインを移動する(ステップS406)。
【0062】
背景差分法を用いない場合に関して、ステップS406にて移動後の探索窓の上端が、車両候補矩形の上辺よりも上方に位置するか否かの判定を行う(ステップS407)判定結果が偽の場合はステップS404に戻り、処理を続行する。判定結果が真の場合は、以下の処理を続行する。
【0063】
背景差分法を用いる場合に関して、ステップS406にて移動後の水平ラインの垂直位置が、車両候補矩形の上辺よりも上方に位置するか否かの判定を行う(ステップS408)。判定結果が偽の場合はステップS405に戻り、処理を続行する。判定結果が真の場合は、背景差分法を用いない場合、用いる場合ともに車頭補正位置の検出は不可能であるので(ステップS409)、処理を終了する。
【0064】
このような本発明の第3の実施形態の画像処理式車両検出装置100によれば、道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段121と、車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段123と、車頭検出手段121およびヘッドライト点灯判定手段123の結果に基づいて車頭位置を補正する車頭検出補正手段122とを有し、車両検出補正手段122は、車頭検出手段121により検出された車頭位置を、撮影画像および背景画像の水平ライン毎の平均明度を車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、撮影画像の平均明度が背景画像の平均明度未満となった場合には水平ラインの垂直位置に、車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い車両候補矩形内の探索窓を用いて、撮影画像の水平ライン毎の平均明度を探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合には平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置に、補正する構成とすることで、ヘッドライト光路面反射部分をより安定的に除去して車頭位置を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、車両を前方から撮影した場合、ヘッドライト光の影響を除去して安定的に車頭位置検出が可能な画像処理式車両検出装置および画像処理式車両検出方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態における画像処理式車両検出装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態における画像処理式車両検出装置の動作説明のためのフロー図
【図3】本発明の第2の実施形態における画像処理式車両検出装置の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の第3の実施形態における画像処理式車両検出装置の動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の実施形態におけるヘッドライト点灯車両および路面の概略図
【符号の説明】
【0067】
100 画像処理式車両検出装置
101 画像入力手段
102 背景画像作成手段
103 特徴画像作成手段
104 特徴コード作成手段
110 画像格納手段
111 現画像格納手段
112 背景画像格納手段
113 特徴画像格納手段
120 車両認識手段
121 車頭検出手段
122 車頭検出補正手段
123 ヘッドライト点灯判定手段
131 特徴コード格納手段
500 車両候補矩形
501 車両
502 ヘッドライト
503 路面
504 車体影
505 探索窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出手段と、
車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定手段と、
前記車頭検出手段および前記ヘッドライト点灯判定手段の結果に基づいて前記車頭位置を補正する車頭検出補正手段と
を有する画像処理式車両検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記車両候補矩形は、前記撮影画像および前記撮影画像に基づいて作成された背景画像から検出される画像処理式車両検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記車両検出補正手段は、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合、前記検出された車頭位置を平均明度未満になった前記水平ラインの垂直位置に補正する画像処理式車両検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記車両検出補正手段は、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合、前記検出された車頭位置を最小値である水平ラインの垂直位置に補正する画像処理式車両検出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記車両検出補正手段は、前記車頭検出手段により検出された車頭位置を、
前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合には前記水平ラインの垂直位置に、
前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合には前記平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置に、
補正する画像処理式車両検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記ヘッドライト点灯判定手段は、前記撮影画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度が予め設定した値を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する画像処理式車両検出装置。
【請求項7】
請求項2、3または5に記載の画像処理式車両検出装置であって、前記ヘッドライト点灯判定手段は、前記撮影画像および前記背景画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度を比較し、前記撮影画像の平均明度が前記背景画像の平均明度を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する画像処理式車両検出装置。
【請求項8】
道路上の車両を撮影した撮影画像から車両位置を示す車両候補矩形を検出して車頭位置を検出する車頭検出ステップと、
車両のヘッドライトの点灯を判定するヘッドライト点灯判定ステップと、
前記車頭検出ステップおよび前記ヘッドライト点灯判定ステップの結果に基づいて前記車頭位置を補正する車頭検出補正ステップと
を有する画像処理式車両検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記車両候補矩形は、前記撮影画像および前記撮影画像に基づいて作成された背景画像から検出される画像処理式車両検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記車両検出補正ステップは、前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合、前記検出された車頭位置を平均明度未満になった前記水平ラインの垂直位置に補正する画像処理式車両検出方法。
【請求項11】
請求項8または9に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記車両検出補正ステップは、前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合、前記検出された車頭位置を最小値である水平ラインの垂直位置に補正する画像処理式車両検出方法。
【請求項12】
請求項9に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記車両検出補正ステップは、前記車頭検出ステップにより検出された車頭位置を、
前記撮影画像および前記背景画像の水平ライン毎の平均明度を前記車両候補矩形内の画像最下段から上方へと比較し、前記撮影画像の前記平均明度が前記背景画像の前記平均明度未満となった場合には前記水平ラインの垂直位置に、
前記車両候補矩形の垂直方向の長さよりも垂直方向の長さが短い前記車両候補矩形内の探索窓を用いて、前記撮影画像の水平ライン毎の平均明度を前記探索窓内の画像最下段から上方へと検索し、前記平均明度の最大値と最小値との差が予め設定した値以上となった場合には前記平均明度が最小値である水平ラインの垂直位置に、
補正する画像処理式車両検出方法。
【請求項13】
請求項8ないし12に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記ヘッドライト点灯判定ステップは、前記撮影画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度が予め設定した値を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する画像処理式車両検出方法。
【請求項14】
請求項9、10または12に記載の画像処理式車両検出方法であって、前記ヘッドライト点灯判定ステップは、前記撮影画像および前記背景画像の前記車両候補矩形の画像最下段から予め設定した車両最小高さ分までの平均明度を比較し、前記撮影画像の平均明度が前記背景画像の平均明度を上回ったときにヘッドライト点灯と判定する画像処理式車両検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−285549(P2006−285549A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103440(P2005−103440)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】