画像処理方法及び画像処理装置
【課題】記録媒体あるいは中間転写体に印刷された状態での画像における欠陥を精度良く検出することができる画像処理方法および画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置100は、記録媒体105あるいは中間転写体に印刷された画像を検査するものである。当該画像処理装置100において、合成部103は人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成し、印刷部104は合成部103が作成した合成画像情報を媒体に印刷し、検査画像入力部106は記録媒体あるいは中間転写体に印刷された状態の合成画像を検査画像として読み込み、抽出部107は上記検査画像入力部106が入力した検査画像において上記主画像情報に合成されている情報を抽出する抽出処理を行い、欠陥判定部108は上記抽出部107による情報の抽出結果に基づいて記録媒体あるいは中間転写体に印刷されている画像の欠陥を判定する。
【解決手段】画像処理装置100は、記録媒体105あるいは中間転写体に印刷された画像を検査するものである。当該画像処理装置100において、合成部103は人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成し、印刷部104は合成部103が作成した合成画像情報を媒体に印刷し、検査画像入力部106は記録媒体あるいは中間転写体に印刷された状態の合成画像を検査画像として読み込み、抽出部107は上記検査画像入力部106が入力した検査画像において上記主画像情報に合成されている情報を抽出する抽出処理を行い、欠陥判定部108は上記抽出部107による情報の抽出結果に基づいて記録媒体あるいは中間転写体に印刷されている画像の欠陥を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、個人認証用のIDカードあるいは個人認証用の冊子などの記録媒体に顔写真あるいは個人情報を印刷する画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドを用いた熱転写記録方式では、たとえば、受像層とインクリボンとの間、または、サーマルヘッドとインクリボンの間に付着したゴミなどの影響を受けやすい。すなわち、熱転写記録方式では、ゴミなどの影響により、特定の色が抜けてしまったり、所望の色が得られなかったりする画像欠陥が発生することがある。このような画像欠陥は、記録媒体への転写記録が終了した後に、人間による目視で画像を検査している。さらに、画像における欠陥が顕著な場合、当該記録媒体は、不良品として廃棄し、新たに作り直される。
【0003】
さらに、IDカードなどの個人認証用の記録媒体に画像を形成する方法としては、中間転写記録方法がある。中間転写記録方法は、中間転写体(中間記録媒体)に形成した画像をICカードなどの最終的な記録媒体に転写する画像形成方法である。中間転写記録方法としては、たとえば、サーマルヘッドを画像情報に応じて発熱させることによりインクリボンのインクを透明な中間転写体に記録(転写)させ、上記中間転写体に形成された画像をIDカードなどの記録媒体に転写する。このように、中間転写記録方法では、記録媒体に直接画像を形成する方法とは異なり、専用の受像層を有する中間転写体に画像を形成する。このため、中間転写記録方法では、(最終)記録媒体における転写面の状態の影響を受けることが少なく、安定した画像を形成することができる。
【0004】
一方、近年では、偽造あるいは変造などを防止するために、ICチップを内蔵したカード(ICカード)あるいは冊子(IC冊子)などの記録媒体が個人認証用の記録媒体として利用されることが多くなってきている。このようなICチップが内蔵された記録媒体は、高価な記録媒体である。このような高価な記録媒体を画像欠損などによって破棄すると、経済的な損失が大きくなってしまう。
【0005】
たとえば、後述する特許文献1では、記録媒体に転写する前に、中間転写体上に形成された画像と印刷する原画像情報とを比較検査し、画像欠陥があるか否かに応じて、記録媒体に画像を転写するか否かを判定することが記載されている。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、画像欠陥を確実に発見するために、中間転写体に形成された画像情報と原画像情報の位置とを精度良く対応させる必要がある。この点について、特許文献1には、具体的な手法は開示されていない。さらに、特許文献1に記載の手法では、顔画像などの輪郭、あるいは、その2値化画像の面積を利用して検査を行っている。このため、特許文献1に記載の手法では、原理的にも画素単位での画像の欠陥を検査することが困難であると考えられる。
【特許文献1】特開2002−283598号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の一形態では、画像の欠陥を精度良く検出することができる画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一形態としての画像処理方法は、画像を検査する方法であって、人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成ステップと、前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷ステップと、前記印刷ステップにより前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力ステップと、前記検査画像入力ステップにより取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出ステップと、前記情報抽出ステップによる情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定ステップとを有する。
【0008】
この発明の一形態としての画像処理装置は、画像を検査する装置であって、人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成手段と、前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷手段と、前記印刷手段により前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力手段と、前記検査画像入力手段により取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出手段と、前記情報抽出手段による情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一形態によれば、画像の欠陥を精度良く検出することができる画像処理方法および画像処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、主画像取得部101、識別情報取得部102、合成部103、印刷部104、検査画像入力部106、識別情報抽出部107、欠陥判定部108、および、表示部109などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される機能である。
【0011】
上記主画像取得部101は、記録媒体に記録すべき主たる画像(主画像)情報を取得する。たとえば、上記主画像取得部101は、画像入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。また、上記主画像取得部101が取得する主画像情報は、記録媒体に印刷される証明用の顔画像などが想定される。
上記識別情報取得部102は、上記主画像情報に埋め込まれる識別情報を取得する。たとえば、上記識別情報取得部102は、識別情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。上記識別情報取得部102により取得される識別情報は、後述する処理(欠陥判定処理)において、印刷の欠陥を検出するために用いられる情報である。
【0012】
上記合成部103は、主画像情報と識別情報とを合成した合成画像情報を作成する。たとえば、上記合成部103は、画像情報を記憶するメモリなどを用いて制御部が画像処理(画像合成処理)用のプログラムを実行することにより実現される。上記合成部103は、上記主画像取得部101により取得した主画像情報に識別情報取得部102が取得した識別情報を人間の目では知覚しにくい状態(不可視状態)で埋め込んだ合成画像情報を作成するものを想定する。なお、第1の実施の形態では、フーリエ変換などを用いた周波数変換による合成画像情報の作成方法を合成部103に適用した場合について説明する。ただし、上記合成部103による合成画像の作成方法は、種々の作成方法が適用可能である。たとえば、上記合成部103には、第3の実施の形態で説明する色差変調および重畳処理により合成画像情報を作成する手法も適用できる。
【0013】
上記印刷部104は、上記合成部103により作成された合成画像情報を記録媒体(媒体)上に記録(印刷)するものである。すなわち、上記印刷部104は、合成画像情報を記録媒体に記録(印刷)することにより印刷物105を作成する。たとえば、上記印刷部104は、画像形成用のプリンタを制御部が制御することにより実現される。上記印刷部104のプリンタとしては、たとえば、熱転写方式のプリンタを想定する。ただし、本第1の実施の形態で説明する印刷部104のプリンタは、熱転写方式に限定されるものではなく、種々の印刷方式のプリンタが適用可能である。
【0014】
上記検査画像入力部106は、印刷物105に印刷されている画像情報を入力する。すなわち、上記検査画像入力部106は、上記印刷部104が合成画像情報を印刷した記録媒体の面の画像を検査画像情報として入力する。たとえば、上記検査画像入力部106は、光学的に画像情報を読み取るスキャナを制御部が制御することにより実現される。この場合、上記検査画像入力部106は、上記印刷物105に記録されている画像を光学的に読み取り、読取った画像情報をデジタルの画像情報(検査画像情報)に変換する。また、上記検査画像入力部106は、たとえば、主画像情報における解像度の2倍から3倍程度の読み取り解像度で印刷物105から検査画像を読み取るものとする。たとえば、主画像情報の解像度が300dpiであれば、上記検査画像入力部106による検査画像の読み取り解像度は、600〜1200dpi程度が必要である。なお、上記検査画像入力部106は、外部装置としてのスキャナなどにより読取った印刷物105の画像情報を取得するインターフェースであっても良い。
【0015】
上記識別情報抽出部107は、上記検査画像入力部106により入力した検査画像情報から識別情報を抽出する。たとえば、上記識別情報抽出部107は、画像記憶用のメモリを用いて制御部が識別情報抽出用のプログラムを実行することにより実現される。上記検査画像情報には、主画像情報に識別情報を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報の印刷結果(印刷後の合成画像情報)が含まれる。上記識別情報抽出部107は、たとえば、検査画像情報から特定の周波数成分を抽出することにより識別情報を抽出する。この場合、特定の周波数成分は、識別情報に依存する。このため、識別情報としては、予め特定の周波数成分として抽出できるものが用いられる。
【0016】
上記欠陥判定部108は、画像における欠陥を判定する。たとえば、上記欠陥判定部108は、制御部が欠陥判定用のプログラムを実行することにより実現される。上記欠陥判定部108は、上記識別情報抽出部107が検査画像情報が識別情報として抽出した情報に基づいて検査画像情報における欠陥の有無を判定する。つまり、原理的には、上記合成画像情報が印刷物105に正常に印刷されている場合、上記識別情報抽出部107は、当該印刷物105から得られる検査画像情報から正確に識別情報を抽出する。これに対して、上記合成画像情報が印刷物105に正常に印刷されていない場合(つまり、印刷に欠陥がある場合)、上記識別情報抽出部107は、当該印刷物105から得られる検査画像情報から正確な識別情報が抽出できない。従って、上記欠陥判定部108は、各処理段階における統計的な誤差を考慮しつつ、上記識別情報抽出部107が正常に識別情報を抽出できたか否かをすることにより、検査画像情報における欠陥の有無を判定する。
上記表示部109は、処理結果を表示装置に表示する。たとえば、上記表示部109は、画像などを表示する表示装置を制御部が制御することにより実現される。上記表示部109は、上記欠陥判定部108による欠陥の有無の判定結果などを表示装置で表示する。
【0017】
次に、上記のように構成される画像処理装置100における処理の流れについて概略的に説明する。
図2は、第1の実施の形態としての画像処理装置100における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
まず、上記画像処理装置100は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部101により主画像情報を取得する(ステップS111)。上記主画像取得部101は、取得した主画像情報を合成部103へ供給する。また、上記画像処理装置100は、識別情報情報入力処理として、上記識別情報取得部102により識別情報を取得する(ステップS112)。上記識別情報取得部102は、取得した識別情報を合成部103へ供給する。すなわち、上記合成部103には、上記主画像情報と上記識別情報とが入力される。上記主画像情報と上記識別情報とが供給されると、上記合成部103は、上記主画像情報に不可視状態で識別情報を埋め込むことにより合成画像情報を生成する合成画像作成処理を行う(ステップS113)。上記合成部103により合成画像情報が作成されると、上記印刷部104は、作成された合成画像情報を記録媒体上に印刷する印刷処理を行う(ステップS114)。この印刷処理は、合成画像情報をプリントした印刷物105を作成する処理である。
【0018】
上記合成画像情報を印刷した印刷部104が作成されると、当該画像処理装置100は、印刷物に印刷した画像を検査する処理を行う(ステップS115〜S118)。まず、上記検査画像入力部106は、印刷物105に印刷されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS115)。上記検査画像入力部106により検査画像が入力されると、上記識別情報抽出部107は、入力した検査画像から識別情報を抽出する識別情報抽出処理を行う(ステップS116)。たとえば、上記識別情報抽出部107は、検査画像から識別情報としての周波数成分を抽出する。このような上記識別情報抽出部107による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部108は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS117)。上記欠陥判定部108による欠陥の判定結果は、上記表示部109へ通知される。これにより、上記表示部109は、検査画像における欠陥を示す情報を表示装置に表示する表示処理を行う(ステップS118)。
【0019】
次に、印刷物105の例について説明する。
図3は、印刷物105としてのIDカード131の例を示す図である。
図3に示すIDカード131には、個人認証用の顔画像132が印刷されている。上記顔画像132は、カラー多値画像である。上記顔画像132は、画像処理装置100により作成された合成画像情報が記録媒体に印刷されたものである。従って、上記IDカード131に印刷される合成画像情報としての顔画像132には、識別情報が埋め込まれている。
【0020】
言い換えると、上記IDカード131に印刷されている顔画像132は、印刷処理における欠陥の検査対象となる画像である。すなわち、検査画像入力部106は、IDカード131を読み取ることにより検査画像を入力する。上記IDカード131への印刷処理において、合成画像情報としての顔画像132の各画素が正常に印刷されていれば、識別情報抽出部107は、正常に識別情報を抽出する。これに対して、合成画像情報としての顔画像132の各画素の印刷に欠陥があれば、上記識別情報抽出部107は、完全な状態の識別情報が抽出できない。従って、上記欠陥判定部108は、上記識別情報抽出部107による識別情報の抽出結果に基づいて、IDカード131から得られる検査画像に含まれる顔画像132における欠陥を判定する。
【0021】
なお、所定の基準以上の欠陥が存在すると判定された場合、当該IDカード131は、再発行の手続きの対象となる。また、欠陥が存在しない場合、あるいは、欠陥が所定の基準未満であると判定された場合、当該IDカード131は、その状態のままで利用可能である。上記のような再発行するか否かを決定するための基準は、運用形態に応じて適宜設定可能である。例えば、再発行するか否かを決定するための基準としては、個人認証用の顔画像の背景部分の画像における欠陥は許容し、背景以外(顔部分)の領域の画像における欠陥は許容しないように設定することが可能である。
【0022】
次に、識別情報について説明する。
図4(a)及び(b)は、識別情報の例を示す図である。図4(a)は、識別情報を16桁の2進数で表現したものである。図4(b)は、図4(a)に示す識別情報の「0」を白画素に変換し、「1」を黒画素に変換した2値画像である。言い換えると、図4(b)は、識別情報を2値画像化した識別画像情報を示すものである。つまり、本質的には図4(a)に示す識別情報と図4(b)に示す識別画像情報とは同じ情報を示している。図4(b)に示す例では、2進数を2値画像化することにより識別画像情報を作成することを想定している。ただし、識別画像情報は、識別情報抽出処理によって抽出される情報であれば良い。たとえば、識別画像情報は、直接的に生成した幾何学的なパターン画像を用いることも可能である。また、識別情報は、所定の値を用いても良いし、疑似乱数から発生させても良い。さらに、識別情報としては、特定の語句(例えば、個人認証に関連する情報)をアスキーコード等に変換することにより2進数に変換するようにしても良い。
【0023】
次に、上記合成部103による合成画像作成処理について説明する。
図5は、合成画像作成処理としての処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、上記合成部103は、主画像情報に対する周波数解析処理(主画像解析処理)を行う(ステップS121)。上記合成部103は、主画像解析処理として、上記主画像取得部101から供給される主画像情報に対してFFT(離散フーリエ変換)処理を行う。上記FFT処理によれば、上記主画像情報は、実空間領域から周波数領域へ変換される。上記主画像情報を周波数領域へ変換すると、上記合成部103は、上記識別情報取得部102から供給される識別画像情報に対する拡張処理(識別情報の拡張処理)を行う(ステップS122)。上記拡張処理は、識別画像情報を主画像情報の画像領域に応じて拡張する処理である。
【0024】
たとえば、図6は、識別画像情報の拡張処理の例を説明するための図である。
図6に示す例では、主画像情報161のサイズに比べて小さいサイズの識別画像情報の小領域162を個々のタイルに見立てる。この場合、拡張処理では、主画像情報161の画像領域と同じサイズの領域に、タイルに見立てた識別画像情報の小領域162を均一、かつ、周期的に整列させて敷き詰める。主画像情報161と同じサイズの領域に並べられた識別画像情報群全体が、拡張された識別画像情報163となる。このような図6に示す拡張処理は、実空間において、主画像情報のサイズと識別画像情報のサイズとを合わせるために行う。ただし、実空間上で主画像情報のサイズと識別画像情報のサイズとを合わせない場合、拡張処理としては、周波数領域において実空間での画像サイズが一致するように周波数側を変更するようにしても良い。
【0025】
上記識別情報を主画像情報のサイズに合せて拡張すると、上記合成部103は、拡張した識別画像情報(拡張識別画像情報)に対する周波数解析処理(識別情報の解析処理)を行う(ステップ123)。上記合成部103は、識別情報の解析処理として、拡張された識別画像情報に対してFFT(離散フーリエ変換)処理を行う。このようなFFT処理によれば、上記識別画像情報は、実空間領域から周波数領域へ変換される。
【0026】
上記識別画像情報を周波数領域へ変換すると、上記合成部103は、主画像情報と識別画像情報とを合成する処理(合成処理)を行う(ステップS124)。上記合成処理は、周波数領域に変換された主画像情報と周波数領域に変換された識別画像情報とを加算する処理である。これにより、上記合成処理では、周波数領域の合成画像情報を作成する。
一般に、FFT(フーリエ変換)処理では、線形性が成立する。このため、周波数領域で加算した2種類の関数は、実空間上でも加算されていることとなる。つまり、上記合成処理では、主画像情報と拡張された識別画像情報とは実空間領域においても加算(合成)されることを意味している。
【0027】
上記合成処理により周波数領域の合成画像情報を作成すると、上記合成部103は、その周波数領域の合成画像情報を実空間の合成画像情報に変換する処理(領域変換処理)を行う(ステップS125)。領域変換処理は、周波数領域を実空間領域に変換する処理である。たとえば、上記合成部103は、周波数領域の合成画像情報に対してI−FFT処理(逆離散フーリエ変換処理)を実施する。I−FFT処理(逆離散フーリエ変換処理)は、周波数領域の画像を実空間の画像に変換する処理である。従って、上記合成部103は、上記領域変換処理により周波数領域の合成画像情報を実空間領域の合成画像情報に変換する。
【0028】
ここで、主画像情報をsrc(x,y)、拡張識別画像情報をid(x,y)、合成画像情報をdst(x,y)、主画像情報のFFT処理結果をSRC(fx,fy)、拡張識別画像情報のFFT処理結果をID(fx,fy)、合成画像情報のFFT処理結果をDST(fx,fy)とする。この場合、図5に示す各処理は、以下の(A-1)〜(A-4)で表現される各演算処理に相当するものと考えることも可能である。
【0029】
・ステップS121の主画像情報に対する周波数解析処理(主画像解析処理):
src(x,y)→[FFT処理]→SRC(fx,fy) (A-1)
・ステップS123の識別画像情報に対する周波数解析処理(識別情報解析処理):
id(x,y)→[FFT処理]→ID(fx,fy) (A-2)
・ステップS124の周波数領域における主画像情報と拡張識別画像情報との合成処理:
SRC(fx,fy)+ID(fx,fy)=DST(fx,fy) (A-3)
・ステップS125の周波数領域から実空間領域への変換処理:
DST(fx,fy)→[I−FFT処理(逆変換)]→dst(x,y) (A-4)
ただし、(x,y)は、実空間領域での座標であり、(fx,fy)は周波数領域での座標であるものとする。
【0030】
また、図7は、実空間領域での合成画像情報の例を示す図である。図8は周波数領域での合成画像情報の例を示す図である。これらの合成画像情報は、上述した各式を用いれば、以下のような式(B-1)および(B-2)で表現することも可能である。つまり、図7に示す実空間領域での合成画像情報は(B-1)式で表現し、図8に示す周波数領域での合成画像情報は、(B-2)式で表現することが可能である。
【0031】
dst(x,y)=src(x,y)+id(x,y) (B-1)
DST(fx,fy)=SRC(fx,fy)+ID(fx,fy) (B-2)
次に、識別情報抽出処理について詳細に説明する。
上記識別情報抽出部107は、上記ステップS116に相当する識別情報抽出処理として、印刷物105の読取画像としての検査画像から識別画像情報を抽出する。上記識別情報抽出部107において検査画像から識別画像情報を抽出する方法としては、周波数フィルタを用いることができる。この場合、上記識別情報抽出部107は、識別画像情報に対応する周波数フィルタの係数を、以下の(1)〜(4)の手順で計算する。なお、係数の計算は、予め行って結果を格納しておいても良いし、抽出処理を行う前、または、その都度、計算するようにしても良い。
【0032】
(1)識別画像情報のサイズを検査画像の解像度を元にして伸縮する。
【0033】
(2)フーリエ変換により周波数領域に展開する。
【0034】
(3)展開された値を参照し、フィルタの通過域を調整する。
【0035】
(4)調整後の値に対してフーリエ逆変換により得られた値を周波数フィルタの係数とする。
【0036】
上記のような周波数フィルタの係数は、識別画像情報の周波数成分を抽出するために用いられる。ここで、上記識別情報抽出部107は、周波数フィルタ係数g(u,v)を用いて、検査画像I(x,y)から識別画像情報の周波数成分Ik(x,y)を抽出するために、(C-1)式に示す畳込み積分を行う。ただし、u,vは、積分のための変数である。
【0037】
Ik(x,y) = ΣΣ(g(u,v)・I(x-u,y-v)) (C-1)
なお、上記識別情報抽出部107において、識別画像情報の周波数成分としての特定の空間周波数成分を抽出する方法は、上記した空間周波数フィルタを用いる方法に限定されるものではない。たとえば、上記識別情報抽出部107は、フーリエ変換あるいはウェーブレット変換などを利用して、一旦別空間へ写像して処理を施した後に、逆に写像することにより、識別画像情報の周波数成分を抽出する方法を用いても良い。
【0038】
また、上記識別情報抽出部107により抽出された識別画像情報の周波数成分から識別画像情報が再構成される。すなわち、抽出された周波数成分から識別画像情報を再構成処理は、得られた抽出結果に対して所定の閾値Thを用いて2値化処理を行う。これにより、抽出された識別画像情報の周波数成分の分布を示す2値画像が再構成できる。つまり、合成画像情報に埋め込まれた識別画像情報の周波数成分が全て正常に抽出された場合、上記のような再構成処理によって、元の識別画像情報が完全な状態で再構成された2値画像が得られる。
【0039】
次に、欠陥判定処理について詳細に説明する。
上記欠陥判定部108は、上記ステップS117に相当する欠陥判定処理として、検査画像における欠陥を判定する。ここで、上記識別情報抽出部107は、識別情報抽出処理の結果として、検査画像の主画像領域全体における識別画像情報の分布を示す2値画像が得るものとする。この場合、上記欠陥判定部108には、検査画像から抽出された識別画像情報の分布を示す2値画像が供給される。
【0040】
上記識別画像情報は、検査画像における主画像(合成画像)領域全体に均一、かつ、周期的に分布している。ここでは、主画像(合成画像)領域における識別画像情報の分布は、予め設定されているものとする。検査画像は、主画像情報に識別情報を埋め込んだ合成画像情報が印刷された記録媒体をスキャナにより読み取った画像データである。従って、印刷処理が正常に行われれば、検査画像の主画像(合成画像)領域における識別画像情報の分布と作成した合成画像情報(主画像情報)における識別画像情報の分布とは、同じになる。
【0041】
たとえば、上記欠陥判定部108は、検査画像の主画像領域全体を小領域に分割し、各小領域における識別画像情報の分布が乱れているかどうかを確認する。たとえば、上記小領域のサイズは、図4(b)に示すような識別画像情報のサイズと同じかそれ以上が望ましい。すなわち、上記欠陥判定部108は、識別画像情報の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の領域と判定する。つまり、所定の閾値以上の乱れあるいは欠損がある場合、上記欠陥判定部108は、当該検査画像に欠陥があると判定する。また、上記欠陥判定部108は、識別画像情報の分布の乱れが所定の閾値未満である小領域を正常に識別画像情報が埋め込まれている領域と判定する。つまり、全ての小領域における識別情報の分布の乱れが閾値未満である場合、上記欠陥判定部108は、当該検査画像には欠陥が無いと判定する。
【0042】
図9は、識別画像情報の分布の例を示す図である。
図9に示す画像領域全体が、拡張された識別画像情報の領域191である。図9に示す各小領域は、それぞれ識別画像情報が抽出された状態を示している。図9に示す分布例において、斜線が記入されている小領域192は、識別画像情報の分布が乱れていない領域である。図9に示す分布例において、点が記入されている小領域193a、bは、識別画像情報の分布が乱れている領域である。この場合、上記欠陥判定部108は、小領域193aおよび193bが識別画像情報の分布が乱れた領域、つまり画像の欠陥がある領域であると判定する。
【0043】
以上のように、第1の実施の形態としての画像処理装置100では、可視状態の主画像情報に埋め込まれた不可視状態の識別画像情報の抽出結果に基づいて、色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥を精度良く検出することが可能になる。
なお、第1の実施の形態では、合成画像作成処理として、主画像情報および識別画像情報をそれぞれ周波数領域に変換し、周波数領域に変換した画像を合成する手法を想定している。ただし、上記合成画像作成処理は、これに限定されるものではない。例えば、合成画像作成処理としては、識別画像情報を人間の知覚しにくい色、例えば、黄色で直接的に識別画像情報を主画像情報に上書きする手法も適用できる。この場合、識別情報抽出部は、黄色で書込まれた識別画像情報を抽出する処理を行うようにすれば良い。このような処理であっても、上述した実施の形態と同様な効果が得られると考えられる。
【0044】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置200の構成例を概略的に示すブロック図である。
図10に示すように、画像処理装置200は、主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、印刷部204、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208は、それぞれ上記主画像取得部101、識別情報取得部102、合成部103、識別情報抽出部107、および、欠陥判定部108と同様な機能を有するもので実現できる。このため、主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208については、詳細な説明を省略するものとする。
【0045】
上記印刷部204は、印刷制御部211、画像形成部212、および、転写部213を有している。上記印刷制御部211は、印刷部204内における各部の制御を行う。上記印刷制御部211は、外部からの信号に応じて、画像形成部212あるいは転写部213の動作を制御する。
【0046】
上記画像形成部212は、中間転写体(媒体)215上に画像を形成するものである。第2の実施の形態としての画像処理装置200において、上記画像形成部212は、上記合成部203が主画像情報と識別情報とを合成することにより作成された合成画像情報を中間転写体215に形成する。上記中間転写体215は、たとえば、上記画像形成部212により画像が形成される専用の受像層を有する。上記転写部213は、上記中間転写体215に形成された画像を記録媒体に転写するものである。すなわち、上記中間転写体215は、印刷物205として作成する記録媒体に転写する画像そのものを保持する媒体である。
【0047】
上記のような印刷部204における画像記録方式は、一般には中間転写記録方式と呼ばれる。上記中間転写記録方式では、一般に、(最終)記録媒体に直接画像を形成する方式に比べて、記録媒体上に記録される画像が安定する。これは、中間転写記録方式では、専用の受像層を有する中間転写媒体215に画像を形成するため、(最終)記録媒体の転写面によらず画像が安定するためである。
【0048】
また、本画像処理装置200において、上記検査画像入力部206は、上記印刷部204内の中間転写体215に形成された画像を検査画像として入力する。上記検査画像入力部206の基本的な構成は、上記検査画像入力部106と同様である。つまり、上記検査画像入力部206は、中間転写体215に形成された画像を読み取るスキャナを制御部が制御することにより実現される。また、上記検査画像入力部206は、たとえば、主画像情報における解像度の2倍から3倍程度の読み取り解像度で中間転写体215から検査画像を読み取る。
【0049】
また、上記識別情報抽出部207は、上記検査画像入力部206が入力した検査画像(中間転写体215に形成された画像)から識別情報を抽出する。上記欠陥判定部208は、上記識別情報抽出部207による識別情報の抽出結果に基づいて、上記検査画像(中間転写体215に形成された画像)における欠陥の有無を判定する。上記欠陥判定部208は、欠陥判定の結果を上記印刷部204内の印刷制御部211に供給するようになっている。
【0050】
次に、上記のように構成される画像処理装置200における処理の流れについて概略的に説明する。
図11は、第2の実施の形態としての画像処理装置200における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図11に示すような画像処理装置200が実行する各処理は、上述した画像処理装置100が実行する処理と同様な処理が含まれる。図11に示すステップS211−S213およびS216−S217の各処理は、図2に示すステップS111−S113およびS116−S117の各処理と類似する処理である。このため、ステップS211−S213およびS216−S217の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0051】
まず、上記画像処理装置200は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部201により主画像情報を取得する(ステップS211)。また、上記画像処理装置200は、識別情報情報入力処理として、上記識別情報取得部102により識別情報を取得する(ステップS212)。上記合成部203は、主画像情報に不可視状態で識別情報を埋め込むことにより合成画像情報を生成する合成画像作成処理を行う(ステップS213)。上記合成部203により作成された合成画像情報は、印刷部204へ供給される。印刷部204では、上記印刷制御部211は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0052】
上記印刷制御部211は、上記合成画像情報を中間転写体215に形成する画像形成処理を行う(ステップS214)。上記中間転写体215に合成画像が形成されると、当該画像処理装置200は、中間転写体215に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS215〜S217)。まず、上記検査画像入力部206は、中間転写体215に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS215)。上記検査画像入力部206により検査画像が入力されると、上記識別情報抽出部207は、入力した検査画像から識別情報を抽出する識別情報抽出処理を行う(ステップS216)。上記識別情報抽出部207は、たとえば、上記第1の実施の形態で説明したように、検査画像から識別情報としての周波数成分を抽出する。上記識別情報抽出部207による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部208は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS217)。上記欠陥判定部208による欠陥の判定結果は、上記印刷部204内の印刷制御部211へ通知される。
【0053】
上記欠陥判定部208から欠陥判定結果を受けると、上記印刷制御部211は、中間転写体215に形成した画像を記録媒体に転写するか否かを判断する(ステップS218)。この判断では、たとえば、中間転写体215に形成されている画像(検査画像)に欠陥が検出されたか否かにより、記録媒体に画像を転写するか否かを判断する。すなわち、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に形成されている画像から欠陥が検出されなかった場合、上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断する(ステップS218、YES)。
上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断した場合(ステップS218、YES)、上記印刷制御部211は、転写部213により上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS219)。これにより、上記印刷部204は、上記中間転写体215に形成した画像を転写した印刷物205を作成する。
【0054】
また、上記欠陥判定部208が上記中間転写体215に形成されている画像から欠陥を検出した場合、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断する(ステップS218、NO)。上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断した場合(ステップS218、NO)、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に上記合成部103が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部211は、中間転写体215に形成されている画像を破棄し、上記ステップS214からの処理を再度実行する。
【0055】
以上のように、第2の実施の形態では、最終的な記録媒体への印刷前の段階において、中間転写体に形成された画像に対して色抜け等の画像欠陥を判定する。この欠陥判定により中間転写体に形成された画像に欠陥がある場合、当該中間転写体に形成された画像を破棄して、再度、中間転写体への画像形成処理を行う。これにより、中間転写体に形成された画像における欠陥を精度良く検出することができる。さらに、中間転写体に形成された画像に欠陥が検出された場合、最終的な記録媒体への画像の転写を防げるため、最終的な記録媒体に欠陥のある画像を転写することを防止できる。この結果として、最終的な記録媒体(たとえば、ICチップを内蔵した記録媒体)を無駄に破棄することがなくなり、経済的な損失を削減することができる。
【0056】
また、画像記録方式には、サーマルヘッドを用いた熱転写記録方式がある。熱転写記録方式では、たとえば、受像層とインクリボンとの間、または、サーマルヘッドとインクリボンの間に付着したゴミなどの影響を受けやすい。このようなゴミなどの影響を受けると、熱転写記録方式では、所望の色が得られない色抜けなどの画像欠陥が発生する可能性が高くなる。従って、印刷部に熱転写記録方式を採用している画像処理装置では、上述のような画像の欠陥検査により品質及び処理効率の向上が図れる。
【0057】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図12は、第3の実施の形態に係る画像処理装置300の構成例を概略的に示すブロック図である。
図12に示すように、画像処理装置300は、主画像取得部301、副情報取得部302、鍵情報取得部309、合成部303、印刷部304、検査画像入力部306、キャリア抽出部307、および、欠陥判定部308などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。上記主画像取得部301、印刷部304、検査画像入力部306、および、欠陥判定部308は、それぞれ主画像取得部201、印刷部204、検査画像入力部206、および、欠陥判定部208と同様な機能を有するもので実現できる。このため、印刷部304、検査画像入力部306、および、欠陥判定部308は、詳細な説明を省略するものとする。
【0058】
上記副情報取得部302は、上記主画像情報に埋め込まれる副情報を取得する。たとえば、上記副情報取得部302は、副情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。上記副情報取得部302により取得される副情報は、主画像情報のセキュリティ性を高めるための情報である。上記副情報は、主画像情報に埋め込まれる電子透かしの元となる情報である。上記副情報は、画像処理装置300内の図示しないメモリに予め記憶されているものであっても良いし、外部装置から当該画像処理装置300に供給されるものであっても良い。
【0059】
上記鍵情報取得部309は、主画像情報に副情報を埋め込むために用いられる鍵情報を取得する。たとえば、上記鍵情報取得部309は、鍵情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。なお、上記鍵情報は、画像処理装置300内の図示しないメモリに予め記憶されているものであっても良いし、外部装置から当該画像処理装置300に供給されるものであっても良い。上記鍵情報取得部309により取得される鍵情報は、主画像情報に副情報を埋め込むために用いられるとともに、合成画像情報から副情報を復元するためにも用いられる。
【0060】
上記合成部303は、鍵情報を用いて可視状態の主画像情報に不可視状態の副情報を埋め込んだ合成画像情報を作成する。つまり、合成画像情報は、主画像情報のみが視認できる状態となる。たとえば、上記合成部303は、画像情報を記憶するメモリなどを用いて制御部が画像処理(画像合成処理)用のプログラムを実行することにより実現される。上記合成部303は、例えば、人間の色差に対する視覚特性を利用した電子透かし埋め込み方法により、合成画像情報を作成する。このような電子透かし埋め込み方法については、後で説明する。
【0061】
上記印刷部304は、上記印刷部204と同様な構成を有している。上記印刷部304は、印刷制御部311、画像形成部312、転写部313および中間転写体315を有する。印刷制御部311、画像形成部312、転写部313および中間転写体315は、それぞれ印刷制御部211、画像形成部212、転写部213および中間転写体215と同様な機能を有する。すなわち、上記印刷制御部311は、印刷部304内の各部の動作を制御する。上記画像形成部312は、上記中間転写体315に合成画像情報などの画像を形成する。上記転写部313は、上記中間転写体315に形成された画像を記録媒体に転写する。
【0062】
上記検査画像入力部306は、上記検査画像入力部206と同様な構成を有している。すなわち、上記検査画像入力部306は、上記印刷部304内の中間転写体315に形成された画像を検査画像として入力する。
上記キャリア抽出部307は、上記検査画像入力部306が入力した検査画像(中間転写体215に形成された画像)から電子透かしのキャリア信号を抽出する。上記キャリア抽出部307は、当該合成画像情報を作成する際に用いた鍵情報を用いて、上記検査画像における電子透かしのキャリア信号を抽出する。
【0063】
上記欠陥判定部308は、上記キャリア抽出部307によるキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記検査画像(中間転写体315に形成された画像)における欠陥の有無を判定する。上記欠陥判定部308は、欠陥判定の結果を上記印刷部304内の印刷制御部311に供給するようになっている。
上記キャリア信号は、主画像情報に埋め込んだ副情報を示す情報である。従って、検査画像からキャリア信号が正常に抽出されれば、主画像情報に埋め込まれている副情報が完全な状態で復元される。言い換えれば、副情報が完全な状態で復元できない検査画像は、完全なキャリア信号が検出できないような欠陥が存在する状態であると判断できる。
【0064】
次に、上記のように構成される画像処理装置300における処理の流れについて概略的に説明する。
図13は、第3の実施の形態としての画像処理装置300における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図13に示すような画像処理装置300が実行する各処理は、上述した画像処理装置100、あるいは、画像処理装置200が実行する処理と同様な処理が含まれる。たとえば、図13に示すステップS310、S314−S315およびS318−S319の各処理は、図11に示すステップS210、S214−S215およびS218−S219の各処理と類似する処理である。このため、ステップS310、S314−S315およびS318−S319の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0065】
まず、上記画像処理装置300は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部301により主画像情報を取得する(ステップS310)。また、上記画像処理装置300は、副情報入力処理として、上記副情報取得部302により副情報を取得する(ステップS311)。さらに、上記画像処理装置300は、鍵情報入力処理として、上記鍵情報取得部309により鍵情報を取得する(ステップS312)。上記副情報および上記鍵情報は、上記主画像情報とともに、上記合成部303へ供給される。
上記合成部303は、鍵情報を用いて、可視状態の主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成する合成画像作成処理を行う(ステップS313)。上記合成部303により作成された合成画像情報は、印刷部304へ供給される。上記印刷部304において、上記印刷制御部311は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0066】
上記印刷制御部311は、上記合成画像情報を中間転写体315に形成する画像形成処理を行う(ステップS314)。上記中間転写体315に合成画像が形成されると、当該画像処理装置300は、中間転写体315に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS315〜S317)。まず、上記検査画像入力部306は、中間転写体315に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS315)。上記検査画像入力部306により検査画像が入力されると、上記キャリア抽出部307は、鍵情報取得部309から得られる鍵情報を用いて、上記検査画像から電子透かしのキャリア信号を抽出するキャリア抽出処理を行う(ステップS316)。上記キャリア抽出部307により抽出されるキャリア信号は、主画像情報に埋め込んだ副情報を示す情報である。上記キャリア抽出部307による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部308は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS317)。上記欠陥判定部308による欠陥の判定結果は、上記印刷部304内の印刷制御部311へ通知される。
【0067】
上記欠陥判定部308から欠陥判定の結果を受けると、上記印刷制御部311は、中間転写体315に形成した画像を記録媒体に転写するか否かを判断する(ステップS318)。たとえば、上記印刷制御部311は、上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出されたか否かにより、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写するか否かを判断する。
上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出された場合、つまり、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断した場合(ステップS318、YES)、上記印刷制御部311は、転写部313により上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS319)。これにより、上記印刷部304は、上記中間転写体315に形成した合成画像を転写した印刷物305を作成する。
【0068】
また、上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出された場合、つまり、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断した場合(ステップS318、NO)、上記印刷制御部311は、上記中間転写体315に上記合成部303が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部311は、中間転写体315に形成されている画像を破棄し、上記ステップS314からの処理を再度実行する。
【0069】
上記のような画像処理装置300では、可視状態の主画像情報に副情報を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報が印刷された印刷物305が作成される。つまり、上記合成画像情報は、記録媒体に印刷された状態では副情報が不可視状態である。このため、画像処理装置100により作成した印刷物105と画像処理装置300で作成した印刷物305とは、見かけ上、同様なものとなる。たとえば、画像処理装置300は、見かけ上の構成が図3に示す印刷物131と同様なものが作成できる。
【0070】
ただし、第3の実施の形態としての画像処理装置300では、セキュリティ性を向上させるために、副情報として、ID番号、氏名、生年月日、有効期限などの個人管理情報を用いることが可能である。個人識別情報を副情報として用いた印刷物305では、顔画像などの合成画像情報から復元される副情報と個人管理情報とが関連付けられる。これにより、ID証の一部を改ざんしたり、偽造したりすることが困難になり、セキュリティ性を高めることが可能になる。
【0071】
次に、鍵情報について詳細に説明する。
図14(a)及び(b)は、鍵情報の例を示す図である。
【0072】
図14(a)は、鍵情報を16桁の2進数で表現したものである。図14(b)は、図14(a)に示す鍵情報の「0」を白画素に変換し、「1」を黒画素に変換した2値画像である。言い換えると、図14(b)は、鍵情報を2値画像化した鍵画像情報を示すものである。本質的には図14(a)に示す鍵情報と図14(b)に示す鍵画像情報とは同じ情報を示している。図14(b)に示す例では、2進数を2値画像化することにより識別画像情報を作成することを想定している。ただし、鍵画像情報は、2進数を2値画像化したものに限定されるものではない。たとえば、鍵画像情報は、直接的に生成した幾何学的なパターン画像を用いることも可能である。また、鍵情報は、所定の値を用いても良いし、疑似乱数から発生させても良い。さらに、鍵情報としては、特定の語句(例えば、個人認証に関連する情報)をアスキーコード等に変換することにより2進数に変換するようにしても良い。
【0073】
次に、上記合成部303における電子透かし埋め込み処理について説明する。
上記合成部303には、色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理が適用できる。色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理の例としては、例えば、特開平11−168616に開示されている。
色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理では、以下のような特性を利用している。
【0074】
(1)人間の視覚特性を利用する。
・画像周波数が高くなるほど階調識別能力が低下する。
・輝度情報よりも色差情報の方が判別困難である。
(2)物理補色の関係を利用する。
・例えば、加法混色の場合、赤色+シアン色は無彩色(白)に見える。
(3)高周波キャリアパターン画像に補色の関係および色差情報を適用(色差変調処理)する。
【0075】
すなわち、赤色とシアン色は、補色の関係にある。このため、赤色とシアン色が隣り合っている場合、人間の目にはそれぞれを判別することが難しく、無彩色に見える。また、高周波キャリアパターン画像を用いることにより、赤色リッチな画素とシアン色リッチな画素が繰り返し配置されている場合、人間の目では、これらの細かな色差の違いを識別できない。この結果として、人間の視覚特性では、色差量をプラスマイナス0と判断してしまう。
上記のような色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理では、画質劣化を招くことなく、主画像情報に副情報を不可視状態で埋め込むことが可能になっている。
【0076】
図15は、重畳処理を利用した電子透かし埋め込み処理の例を示す図である。
次に、電子透かし埋め込み処理における色差変調処理について説明する。
色差変調処理は、埋め込み情報を作成する処理である。すなわち、以下のように、鍵情報から作成した鍵画像情報を色差変調処理することにより埋め込み情報が作成される。
【0077】
KEY(x,y)=白画素の場合 → EMD(x,y)−R=+△CD−R ・・・(D-1)
EMD(x,y)−G=−△CD−G ・・・(D-2)
EMD(x,y)−B=−△CD−B ・・・(D-3)
KEY(x,y)=黒画素の場合 → EMD(x,y)−R=−△CD−R ・・・(D-4)
EMD(x,y)−G=+△CD−G ・・・(D-5)
EMD(x,y)−B=+△CD−B ・・・(D-6)
KEY(x,y) : 鍵画像情報
EMD(x,y) : 埋め込み情報(色差変調処理結果)
ΔCD : 色差量
上記のような色差変調処理の結果、鍵画像情報において白画素に対応している部分はR-rich(レッド成分リッチ)になり、黒画素に対応している部分はC-rich(シアン成分リッチ)になる。レッドとシアンとは、物理補色の関係にある。このため、レッドとシアンとの両者を足し合わせると無彩色になる。従って、このような画素ピッチを人間の肉眼の感知範囲を超えた高解像度(約300dpi以上)に設定することにより、色差変調処理結果である埋め込み情報は、肉眼ではレッドとシアンが識別できず無彩色(灰色)となる。この性質を利用することにより、色差変調処理では、鍵情報のパターンを見かけ上、無彩色情報に置き換えることができる。なお、上記式では、鍵画像情報が白画素の場合にシアン成分リッチに、黒画素の場合にレッド成分リッチになるように色差変調を行っている。ただし、このような関係は相対的なものである。このため、シアン成分リッチとレッド成分リッチが逆になっても原理上差し支えない。
【0078】
次に、電子透かし埋め込み処理における重畳処理について説明する。
上記重畳処理は、主画像情報に色差変調処理で得られた埋め込み情報を重畳する処理である。ここで、画像の座標(x,y)における主画像情報、(重畳用)埋め込み情報、および、合成画像情報を以下のように定義する。
【0079】
主画像情報 :SRC−C(x,y)…図15の351に相当 (E-1)
(重畳用)埋め込み情報:EMD−C(x,y)…図15の352に相当 (E-2)
合成画像情報 :DES−C(x,y)…図15の353に相当 (E-3)
x,yは画像の座標値(座標サイズは全て同じものとする)
C={R(赤)、G(緑)、B(青)}プレーンを示す
各々の値は24Bitカラー演算の場合は、0〜255の整数値
すると、座標(x,y)における重畳処理は、以下の式(F-1)〜(F-3)で表される。
【0080】
DES−R(x,y)=SRC−R(x,y)+EMD−R(x,y) (F-1)
DES−G(x,y)=SRC−G(x,y)+EMD−G(x,y) (F-2)
DES−B(x,y)=SRC−B(x,y)+EMD−B(x,y) (F-3)
次に、キャリア抽出処理について詳細に説明する。
上記キャリア抽出部307は、上記ステップS316に相当するキャリア抽出処理として、検査画像から副情報を示す鍵画像情報の周波数成分(電子透かしのキャリア信号)を抽出する。上記キャリア抽出部307において検査画像からキャリア信号を抽出する方法としては、周波数フィルタを用いることができる。この場合、上記キャリア抽出部307は、電子透かしのキャリア信号に対応する周波数フィルタの係数を、以下の(1)〜(4)の手順で計算する。なお、係数の計算は、予め行って結果を格納しておいても良いし、抽出処理を行う前、または、その都度、計算するようにしても良い。
【0081】
(1)鍵画像情報のサイズを検査画像の解像度を元にして伸縮する。
【0082】
(2)フーリエ変換により周波数領域に展開する。
【0083】
(3)展開された値を参照し、フィルタの通過域を調整する。
【0084】
(4)調整後の値に対してフーリエ逆変換により得られた値を周波数フィルタの係数とする。
【0085】
上記のような周波数フィルタの係数は、鍵画像情報の周波数成分を抽出するために用いられる。ここで、上記キャリア抽出部307は、周波数フィルタ係数g(u,v)を用いて、検査画像I(x,y)から鍵画像情報の周波数成分Ik(x,y)を抽出するために、(G-1)式に示す畳込み積分を行う。ただし、u,vは、積分のための変数である。
【0086】
Ik(x,y) = ΣΣ(g(u,v)・I(x-u,y-v)) (G-1)
なお、上記キャリア抽出部307において、鍵画像情報の周波数成分としての特定の空間周波数成分を抽出する方法は、上記した空間周波数フィルタを用いる方法に限定されるものではない。たとえば、上記キャリア抽出部307は、フーリエ変換あるいはウェーブレット変換などを利用して、一旦別空間へ写像して処理を施した後に、逆に写像することにより、鍵画像情報の周波数成分を抽出する方法を用いても良い。
【0087】
また、上記キャリア抽出部307により抽出された電子透かしのキャリア信号から鍵画像情報が再構成される。
すなわち、抽出された周波数成分から鍵画像情報を再構成処理は、得られた抽出結果に対して所定の閾値Thを用いて2値化処理を行う。これにより、抽出された鍵画像情報の周波数成分の分布を示す2値画像が再構成できる。つまり、合成画像情報に埋め込まれた鍵画像情報の周波数成分が全て正常に抽出された場合、上記のような再構成処理によって、元の鍵画像情報が完全な状態で再構成された2値画像が得られる。
ただし、電子透かしのキャリア信号に対する閾値は、固定値だと主画像情報の値の影響を受けやすい。このため、注目画素に対する参照領域(例えば3×3画素)を設けて周囲の値によって閾値を変更する適応型の2値化処理が望ましい。
【0088】
次に、欠陥判定処理について詳細に説明する。
上記欠陥判定部308は、上記ステップS317に相当する欠陥判定処理として、検査画像における欠陥を判定する。ここで、上記キャリア抽出部307は、キャリア抽出処理の結果として、検査画像の主画像領域全体における電子透かしのキャリア信号の分布を示す2値画像を得るものとする。ここで、電子透かしのキャリア信号は、鍵画像情報とほぼ等しいものと想定する。この場合、電子透かしのキャリア信号(鍵画像情報)の分布は、あらかじめ判っていて、検査画像における主画像(合成画像)領域全体に周期的に分布している。また、電子透かしのキャリア信号(鍵画像情報)の分布は、予め設定されているものとする。
【0089】
検査画像は、鍵画像情報(電子透かしのキャリア)を用いて、主画像情報に副情報(電子透かし本体)を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報が印刷された記録媒体をスキャナにより読み取った画像データである。従って、印刷処理が正常に行われれば、検査画像の主画像(合成画像)領域における電子透かしのキャリア信号の分布と作成した合成画像情報(主画像情報)における電子透かしのキャリア信号の分布とは、同じになる。
【0090】
たとえば、上記欠陥判定部308は、検査画像の主画像領域全体を小領域に分割し、各小領域における電子透かしのキャリア信号の分布が乱れているかどうかを確認する。たとえば、上記小領域のサイズは、図14(b)に示すような鍵画像情報のサイズと同じかそれ以上が望ましい。上記欠陥判定部308は、電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の領域と判定する。つまり、所定の閾値以上の乱れあるいは欠損がある場合、上記欠陥判定部308は、当該検査画像に欠陥があると判定する。また、上記欠陥判定部308は、電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが所定の閾値未満である小領域を正常に電子透かしのキャリア信号が埋め込まれている領域と判定する。つまり、全ての小領域における電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが閾値未満である場合、上記欠陥判定部308は、当該検査画像には欠陥が無いと判定する。
【0091】
以上のように、第3の実施の形態としての画像処理装置300では、鍵画像情報を用いて可視状態の主画像情報に不可視状態で副画像情報が埋め込まれた合成画像情報の印刷結果に対して、色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥を精度良く検出することが可能になる。また、中間転写体上に形成された合成画像情報に対して画像欠陥を検出できるため、欠陥がある画像をICカードなどの記録媒体に転写することを防げる。この結果として、ICカードなどの記録媒体を無駄に破棄することがなく、経済的な損失を削減することができる。
【0092】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図16は、第4の実施の形態に係る画像処理装置400の構成例を概略的に示すブロック図である。
図16に示すように、画像処理装置400は、主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406、キャリア抽出部407、欠陥候補抽出部408、および、欠陥判定部410などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。上記主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406、キャリア抽出部407は、それぞれ主画像取得部301、副情報取得部302、鍵情報取得部309、合成部303、印刷部304、検査画像入力部306、キャリア抽出部307と同様な機能を有するもので実現できる。このため、主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406およびキャリア抽出部407については、詳細な説明を省略する。
【0093】
上記欠陥候補抽出部408は、キャリア抽出部407による電子透かしのキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記検査画像入力部406が入力した検査画像における欠陥候補を抽出する。上記欠陥候補抽出部408は、基本的には第3の実施の形態で説明した欠陥判定処理と同様な処理により実現可能である。たとえば、上記第3の実施の形態で説明したように、上記キャリア抽出部407が検査画像の領域全体を小領域に分割して電子透かしのキャリア信号を抽出するものとする。この場合、上記欠陥候補抽出部408は、各小領域における電子透かしのキャリア信号の分布が乱れているか否かを所定の閾値と比較することにより判定する。これにより、上記欠陥候補抽出部408は、キャリア信号の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の可能性がある欠陥候補として抽出する。
【0094】
上記欠陥判定部410は、上記欠陥候補抽出部408により抽出された欠陥候補が画像の欠陥であるか否かを判定する。図16に示すように、上記欠陥判定部410は、比較画像作成部421、位置情報算出部422、基準画像作成部423、および、判定部424を有している。
上記比較画像作成部421は、検査画像における欠陥候補の領域を比較画像情報として作成する。つまり、上記比較画像作成部421は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、検査画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す。
【0095】
上記位置情報算出部422は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の位置に対応する位置情報を計算する。
なお、上記合成画像情報は、印刷する前の状態の画像情報である。上記検査画像は、中間転写体415に物理的に形成された画像をスキャナで電子的に取り込んだ画像情報である。このため、実際の運用形態において、合成画像情報と検査画像とは、解像度が異なることが多いと考えられる。たとえば、ここでは、合成画像情報の解像度が300dpiで、検査画像の解像度が1200dpiであることを想定する。このように、合成画像情報の解像度と検査画像の解像度とが異なる場合、上記位置情報算出部422は、解像度変換を行うものとする。
【0096】
上記基準画像作成部423は、中間転写体415への画像形成前の画像情報(合成画像情報)における欠陥候補の領域に対応する領域を基準画像情報として作成する。上記位置情報算出部422で計算した主画像情報における欠陥候補の位置情報に基づいて、主画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す。
上記判定部424は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補が欠陥であるか否かを決定する。上記判定部424は、上記比較画像作成部421が作成した比較画像情報と上記基準画像作成部423が作成した基準画像情報とを比較することにより、欠陥候補を欠陥とするべきか否かを判定する。ここでは、上述したように、比較画像情報と基準画像情報との解像度が一致し、かつ、各画素の位置も一致するように作成されているものとする。
【0097】
次に、上記判定部424における欠陥の判定処理について説明する。
上記判定部424は、たとえば、以下の手順により欠陥候補が欠陥であるか否かを決定する。
(1)判定部424は、比較画像情報を構成する各画素と基準画像情報を構成する各画素について、RGB値をL値、a値、b値に変換する。
【0098】
(2)判定部424は、比較画像情報の各画素と基準画像情報の各画素とを対応づける。判定部424は、対応する画素の色差ΔEi(i=1〜n)を計算する。判定部424は、たとえば、比較画像情報の画素iにおけるL値、a値、b値をそれぞれLci、aci、bciとし、基準画像情報の画素iにおけるL値、a値、b値をそれぞれLbi、abi、bbiとする。この場合、判定部424は、ΔEiを以下の式(H-1)により算出する。
ΔEi=(ΔLdi2+Δadi2+Δbdi2)(1/2) (H-1)
このような各画素の色差に基づいて、判定部424は、比較画像情報全体と基準画像情報全体との色差ΔEを次式(H-2)により算出する。
ΔE=(1/n)ΣnΔ(Ei) (H-2)
ただし、ΔLdi2、Δadi2、Δbdi2は、それぞれ比較画像情報の画素iと基準画像情報の画素iとのL、a、b軸上での差とする。
【0099】
(3)判定部424は、比較画像情報の各画素と基準画像情報の各画素とのL値、a値、b値の標準偏差σB、σCを計算する。
(4)判定部424は、検査画像と合成画像との分離度dを次式(H-3)により計算する。
【0100】
d=ΔE/(σB+σC) (H-3)
(5)判定部424は、分離度が所定の閾値以上である場合には画像欠陥と判定し、閾値未満の場合には画像欠陥ではないと判定する。
【0101】
次に、上記のように構成される画像処理装置400における処理の流れについて概略的に説明する。
図17は、第4の実施の形態としての画像処理装置400における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図17に示すような画像処理装置400が実行する各処理は、上述した画像処理装置100、画像処理装置200、および、画像処理装置300が実行する処理と同様な処理が含まれる。たとえば、図16に示すステップS410−S416およびS422−S423の各処理は、図13に示すステップS310−S316およびS318−S319の各処理と類似する処理である。このため、ステップS410−S416およびS422−S423の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0102】
すなわち、上記画像処理装置400は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部401により主画像情報を取得する(ステップS410)。また、上記画像処理装置400は、副情報入力処理として、上記副情報取得部402により副情報を取得する(ステップS411)。さらに、上記画像処理装置400は、鍵情報入力処理として、上記鍵情報取得部409により鍵情報を取得する(ステップS412)。上記副情報および上記鍵情報は、上記主画像情報とともに、上記合成部403へ供給される。
上記合成部403は、鍵情報を用いて、可視状態の主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成する合成画像作成処理を行う(ステップS413)。上記合成部403により作成された合成画像情報は、印刷部404へ供給される。上記印刷部404において、上記印刷制御部411は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0103】
上記印刷制御部411は、上記合成画像情報を中間転写体415に形成する画像形成処理を行う(ステップS414)。上記中間転写体415に合成画像が形成されると、当該画像処理装置400は、中間転写体415に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS415〜S421)。まず、上記検査画像入力部406は、中間転写体415に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS415)。上記検査画像入力部406により検査画像が入力されると、上記キャリア抽出部407は、鍵情報取得部409から得られる鍵情報を用いて、上記検査画像から電子透かしのキャリア信号を抽出するキャリア抽出処理を行う(ステップS416)。たとえば、上述したように、上記キャリア抽出部407は、検査画像の領域全体を小領域に分割して電子透かしのキャリア信号を抽出する。
【0104】
上記キャリア抽出部407による電子透かしのキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記欠陥候補抽出部408は、検査画像における欠陥候補を抽出する(ステップS417)。ここでは、上記欠陥候補抽出部408は、検査画像において電子透かしのキャリア信号の分布が所定の閾値以上乱れている小領域を画像欠陥の可能性がある欠陥候補として抽出する。検査画像における欠陥候補が抽出されると、上記欠陥判定部410は、抽出された欠陥候補が画像の欠陥であるか否かを判定する(ステップS418〜S421)。
【0105】
すなわち、上記比較画像作成部421は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、検査画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す(ステップS418)。上記位置情報算出部422は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の位置に対応する位置情報を計算する(ステップS419)。なお、上記位置情報算出部422では、検査画像情報と合成画像情報との解像度を一致させるための解像度変換も行う。上記基準画像作成部423は、上記位置情報算出部422で計算した合成画像情報における欠陥候補の位置情報に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の領域に対応する領域を基準画像情報として切り出す(ステップS420)。
【0106】
上記判定部424は、上記比較画像作成部421が作成した比較画像情報と上記基準画像作成部423が作成した基準画像情報とを比較することにより、欠陥候補を画像欠陥とするべきか否かを判定する(ステップS421)。たとえば、上記判定部424は、上述した欠陥判定の手順に従って、画像が欠陥であるか否かを決定する。上記判定部424による欠陥の判定結果は、上記印刷制御部411へ通知される。
【0107】
上記印刷制御部411は、上記中間転写体415に形成されている画像に欠陥がないと判定された場合、上記中間転写体415に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断する(ステップS422、YES)。この場合、上記印刷制御部411は、上記転写部413により上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS423)。これにより、上記印刷部404は、上記中間転写体415に形成した合成画像を転写した印刷物405を作成する。
【0108】
また、上記中間転写体415に形成されている画像に欠陥があると判定された場合、上記中間転写体415に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断する(ステップS422、NO)。この場合、上記印刷制御部411は、上記中間転写体415に上記合成部403が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部411は、中間転写体415に形成されている画像を破棄し、上記ステップS414からの処理を再度実行する。
【0109】
以上のように、第4の実施の形態としての画像処理装置400では、合成画像情報を形成した中間転写体を読み取った検査画像における欠陥候補の領域を抽出し、検査画像における欠陥候補の領域としての比較画像情報と合成画像情報における欠陥候補の領域に対応する領域としての基準画像情報と比較することにより、検査画像の欠陥を判定するようにしたものである。これにより、検査画像から欠陥として抽出される領域が色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥であるか否かを精度良く判定することが可能になる。また、中間転写体上に形成された画像の欠陥を判定できるため、欠陥がある画像をICカードなどの記録媒体に転写することを防げる。この結果として、ICカードなどの記録媒体を無駄に破棄することがなく、経済的な損失を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、印刷物としてのIDカードの例を示す図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、識別情報の例を示す図である。
【図5】図5は、合成画像作成処理としての処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、識別画像情報の拡張処理の例を説明するための図である。
【図7】図7は、実空間領域での合成画像情報の例を示す図である。
【図8】図8は周波数領域での合成画像情報の例を示す図である。
【図9】図9は、識別画像情報の分布の例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、第3の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図14】図14(a)及び(b)は、鍵情報の例を示す図である。
【図15】図15は、重畳処理を利用した電子透かし埋め込み処理の例を示す図である。
【図16】図16は、第4の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図17】図17は、第4の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
100、200、300、400…画像処理装置、101、201、301、401…主画像取得部、102、202…識別情報取得部、103、203、303、403…合成部、104、204、304、404…印刷部、105、205、305、405…印刷物、106、206、306、406…検査画像入力部、107、207…識別情報抽出部、108、208、308…欠陥判定部、109…表示部、211、311、411…印刷制御部、212、312、412…画像形成部、213、313、413…転写部、215、315、415…中間転写体、302、402…副情報取得部、307、407…キャリア抽出部、309、409…鍵情報取得部、408…欠陥候補抽出部、410…欠陥判定部、421…比較画像作成部、422…位置情報算出部、423…基準画像作成部、424…判定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、個人認証用のIDカードあるいは個人認証用の冊子などの記録媒体に顔写真あるいは個人情報を印刷する画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドを用いた熱転写記録方式では、たとえば、受像層とインクリボンとの間、または、サーマルヘッドとインクリボンの間に付着したゴミなどの影響を受けやすい。すなわち、熱転写記録方式では、ゴミなどの影響により、特定の色が抜けてしまったり、所望の色が得られなかったりする画像欠陥が発生することがある。このような画像欠陥は、記録媒体への転写記録が終了した後に、人間による目視で画像を検査している。さらに、画像における欠陥が顕著な場合、当該記録媒体は、不良品として廃棄し、新たに作り直される。
【0003】
さらに、IDカードなどの個人認証用の記録媒体に画像を形成する方法としては、中間転写記録方法がある。中間転写記録方法は、中間転写体(中間記録媒体)に形成した画像をICカードなどの最終的な記録媒体に転写する画像形成方法である。中間転写記録方法としては、たとえば、サーマルヘッドを画像情報に応じて発熱させることによりインクリボンのインクを透明な中間転写体に記録(転写)させ、上記中間転写体に形成された画像をIDカードなどの記録媒体に転写する。このように、中間転写記録方法では、記録媒体に直接画像を形成する方法とは異なり、専用の受像層を有する中間転写体に画像を形成する。このため、中間転写記録方法では、(最終)記録媒体における転写面の状態の影響を受けることが少なく、安定した画像を形成することができる。
【0004】
一方、近年では、偽造あるいは変造などを防止するために、ICチップを内蔵したカード(ICカード)あるいは冊子(IC冊子)などの記録媒体が個人認証用の記録媒体として利用されることが多くなってきている。このようなICチップが内蔵された記録媒体は、高価な記録媒体である。このような高価な記録媒体を画像欠損などによって破棄すると、経済的な損失が大きくなってしまう。
【0005】
たとえば、後述する特許文献1では、記録媒体に転写する前に、中間転写体上に形成された画像と印刷する原画像情報とを比較検査し、画像欠陥があるか否かに応じて、記録媒体に画像を転写するか否かを判定することが記載されている。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、画像欠陥を確実に発見するために、中間転写体に形成された画像情報と原画像情報の位置とを精度良く対応させる必要がある。この点について、特許文献1には、具体的な手法は開示されていない。さらに、特許文献1に記載の手法では、顔画像などの輪郭、あるいは、その2値化画像の面積を利用して検査を行っている。このため、特許文献1に記載の手法では、原理的にも画素単位での画像の欠陥を検査することが困難であると考えられる。
【特許文献1】特開2002−283598号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の一形態では、画像の欠陥を精度良く検出することができる画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一形態としての画像処理方法は、画像を検査する方法であって、人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成ステップと、前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷ステップと、前記印刷ステップにより前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力ステップと、前記検査画像入力ステップにより取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出ステップと、前記情報抽出ステップによる情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定ステップとを有する。
【0008】
この発明の一形態としての画像処理装置は、画像を検査する装置であって、人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成手段と、前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷手段と、前記印刷手段により前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力手段と、前記検査画像入力手段により取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出手段と、前記情報抽出手段による情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一形態によれば、画像の欠陥を精度良く検出することができる画像処理方法および画像処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、主画像取得部101、識別情報取得部102、合成部103、印刷部104、検査画像入力部106、識別情報抽出部107、欠陥判定部108、および、表示部109などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される機能である。
【0011】
上記主画像取得部101は、記録媒体に記録すべき主たる画像(主画像)情報を取得する。たとえば、上記主画像取得部101は、画像入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。また、上記主画像取得部101が取得する主画像情報は、記録媒体に印刷される証明用の顔画像などが想定される。
上記識別情報取得部102は、上記主画像情報に埋め込まれる識別情報を取得する。たとえば、上記識別情報取得部102は、識別情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。上記識別情報取得部102により取得される識別情報は、後述する処理(欠陥判定処理)において、印刷の欠陥を検出するために用いられる情報である。
【0012】
上記合成部103は、主画像情報と識別情報とを合成した合成画像情報を作成する。たとえば、上記合成部103は、画像情報を記憶するメモリなどを用いて制御部が画像処理(画像合成処理)用のプログラムを実行することにより実現される。上記合成部103は、上記主画像取得部101により取得した主画像情報に識別情報取得部102が取得した識別情報を人間の目では知覚しにくい状態(不可視状態)で埋め込んだ合成画像情報を作成するものを想定する。なお、第1の実施の形態では、フーリエ変換などを用いた周波数変換による合成画像情報の作成方法を合成部103に適用した場合について説明する。ただし、上記合成部103による合成画像の作成方法は、種々の作成方法が適用可能である。たとえば、上記合成部103には、第3の実施の形態で説明する色差変調および重畳処理により合成画像情報を作成する手法も適用できる。
【0013】
上記印刷部104は、上記合成部103により作成された合成画像情報を記録媒体(媒体)上に記録(印刷)するものである。すなわち、上記印刷部104は、合成画像情報を記録媒体に記録(印刷)することにより印刷物105を作成する。たとえば、上記印刷部104は、画像形成用のプリンタを制御部が制御することにより実現される。上記印刷部104のプリンタとしては、たとえば、熱転写方式のプリンタを想定する。ただし、本第1の実施の形態で説明する印刷部104のプリンタは、熱転写方式に限定されるものではなく、種々の印刷方式のプリンタが適用可能である。
【0014】
上記検査画像入力部106は、印刷物105に印刷されている画像情報を入力する。すなわち、上記検査画像入力部106は、上記印刷部104が合成画像情報を印刷した記録媒体の面の画像を検査画像情報として入力する。たとえば、上記検査画像入力部106は、光学的に画像情報を読み取るスキャナを制御部が制御することにより実現される。この場合、上記検査画像入力部106は、上記印刷物105に記録されている画像を光学的に読み取り、読取った画像情報をデジタルの画像情報(検査画像情報)に変換する。また、上記検査画像入力部106は、たとえば、主画像情報における解像度の2倍から3倍程度の読み取り解像度で印刷物105から検査画像を読み取るものとする。たとえば、主画像情報の解像度が300dpiであれば、上記検査画像入力部106による検査画像の読み取り解像度は、600〜1200dpi程度が必要である。なお、上記検査画像入力部106は、外部装置としてのスキャナなどにより読取った印刷物105の画像情報を取得するインターフェースであっても良い。
【0015】
上記識別情報抽出部107は、上記検査画像入力部106により入力した検査画像情報から識別情報を抽出する。たとえば、上記識別情報抽出部107は、画像記憶用のメモリを用いて制御部が識別情報抽出用のプログラムを実行することにより実現される。上記検査画像情報には、主画像情報に識別情報を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報の印刷結果(印刷後の合成画像情報)が含まれる。上記識別情報抽出部107は、たとえば、検査画像情報から特定の周波数成分を抽出することにより識別情報を抽出する。この場合、特定の周波数成分は、識別情報に依存する。このため、識別情報としては、予め特定の周波数成分として抽出できるものが用いられる。
【0016】
上記欠陥判定部108は、画像における欠陥を判定する。たとえば、上記欠陥判定部108は、制御部が欠陥判定用のプログラムを実行することにより実現される。上記欠陥判定部108は、上記識別情報抽出部107が検査画像情報が識別情報として抽出した情報に基づいて検査画像情報における欠陥の有無を判定する。つまり、原理的には、上記合成画像情報が印刷物105に正常に印刷されている場合、上記識別情報抽出部107は、当該印刷物105から得られる検査画像情報から正確に識別情報を抽出する。これに対して、上記合成画像情報が印刷物105に正常に印刷されていない場合(つまり、印刷に欠陥がある場合)、上記識別情報抽出部107は、当該印刷物105から得られる検査画像情報から正確な識別情報が抽出できない。従って、上記欠陥判定部108は、各処理段階における統計的な誤差を考慮しつつ、上記識別情報抽出部107が正常に識別情報を抽出できたか否かをすることにより、検査画像情報における欠陥の有無を判定する。
上記表示部109は、処理結果を表示装置に表示する。たとえば、上記表示部109は、画像などを表示する表示装置を制御部が制御することにより実現される。上記表示部109は、上記欠陥判定部108による欠陥の有無の判定結果などを表示装置で表示する。
【0017】
次に、上記のように構成される画像処理装置100における処理の流れについて概略的に説明する。
図2は、第1の実施の形態としての画像処理装置100における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
まず、上記画像処理装置100は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部101により主画像情報を取得する(ステップS111)。上記主画像取得部101は、取得した主画像情報を合成部103へ供給する。また、上記画像処理装置100は、識別情報情報入力処理として、上記識別情報取得部102により識別情報を取得する(ステップS112)。上記識別情報取得部102は、取得した識別情報を合成部103へ供給する。すなわち、上記合成部103には、上記主画像情報と上記識別情報とが入力される。上記主画像情報と上記識別情報とが供給されると、上記合成部103は、上記主画像情報に不可視状態で識別情報を埋め込むことにより合成画像情報を生成する合成画像作成処理を行う(ステップS113)。上記合成部103により合成画像情報が作成されると、上記印刷部104は、作成された合成画像情報を記録媒体上に印刷する印刷処理を行う(ステップS114)。この印刷処理は、合成画像情報をプリントした印刷物105を作成する処理である。
【0018】
上記合成画像情報を印刷した印刷部104が作成されると、当該画像処理装置100は、印刷物に印刷した画像を検査する処理を行う(ステップS115〜S118)。まず、上記検査画像入力部106は、印刷物105に印刷されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS115)。上記検査画像入力部106により検査画像が入力されると、上記識別情報抽出部107は、入力した検査画像から識別情報を抽出する識別情報抽出処理を行う(ステップS116)。たとえば、上記識別情報抽出部107は、検査画像から識別情報としての周波数成分を抽出する。このような上記識別情報抽出部107による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部108は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS117)。上記欠陥判定部108による欠陥の判定結果は、上記表示部109へ通知される。これにより、上記表示部109は、検査画像における欠陥を示す情報を表示装置に表示する表示処理を行う(ステップS118)。
【0019】
次に、印刷物105の例について説明する。
図3は、印刷物105としてのIDカード131の例を示す図である。
図3に示すIDカード131には、個人認証用の顔画像132が印刷されている。上記顔画像132は、カラー多値画像である。上記顔画像132は、画像処理装置100により作成された合成画像情報が記録媒体に印刷されたものである。従って、上記IDカード131に印刷される合成画像情報としての顔画像132には、識別情報が埋め込まれている。
【0020】
言い換えると、上記IDカード131に印刷されている顔画像132は、印刷処理における欠陥の検査対象となる画像である。すなわち、検査画像入力部106は、IDカード131を読み取ることにより検査画像を入力する。上記IDカード131への印刷処理において、合成画像情報としての顔画像132の各画素が正常に印刷されていれば、識別情報抽出部107は、正常に識別情報を抽出する。これに対して、合成画像情報としての顔画像132の各画素の印刷に欠陥があれば、上記識別情報抽出部107は、完全な状態の識別情報が抽出できない。従って、上記欠陥判定部108は、上記識別情報抽出部107による識別情報の抽出結果に基づいて、IDカード131から得られる検査画像に含まれる顔画像132における欠陥を判定する。
【0021】
なお、所定の基準以上の欠陥が存在すると判定された場合、当該IDカード131は、再発行の手続きの対象となる。また、欠陥が存在しない場合、あるいは、欠陥が所定の基準未満であると判定された場合、当該IDカード131は、その状態のままで利用可能である。上記のような再発行するか否かを決定するための基準は、運用形態に応じて適宜設定可能である。例えば、再発行するか否かを決定するための基準としては、個人認証用の顔画像の背景部分の画像における欠陥は許容し、背景以外(顔部分)の領域の画像における欠陥は許容しないように設定することが可能である。
【0022】
次に、識別情報について説明する。
図4(a)及び(b)は、識別情報の例を示す図である。図4(a)は、識別情報を16桁の2進数で表現したものである。図4(b)は、図4(a)に示す識別情報の「0」を白画素に変換し、「1」を黒画素に変換した2値画像である。言い換えると、図4(b)は、識別情報を2値画像化した識別画像情報を示すものである。つまり、本質的には図4(a)に示す識別情報と図4(b)に示す識別画像情報とは同じ情報を示している。図4(b)に示す例では、2進数を2値画像化することにより識別画像情報を作成することを想定している。ただし、識別画像情報は、識別情報抽出処理によって抽出される情報であれば良い。たとえば、識別画像情報は、直接的に生成した幾何学的なパターン画像を用いることも可能である。また、識別情報は、所定の値を用いても良いし、疑似乱数から発生させても良い。さらに、識別情報としては、特定の語句(例えば、個人認証に関連する情報)をアスキーコード等に変換することにより2進数に変換するようにしても良い。
【0023】
次に、上記合成部103による合成画像作成処理について説明する。
図5は、合成画像作成処理としての処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、上記合成部103は、主画像情報に対する周波数解析処理(主画像解析処理)を行う(ステップS121)。上記合成部103は、主画像解析処理として、上記主画像取得部101から供給される主画像情報に対してFFT(離散フーリエ変換)処理を行う。上記FFT処理によれば、上記主画像情報は、実空間領域から周波数領域へ変換される。上記主画像情報を周波数領域へ変換すると、上記合成部103は、上記識別情報取得部102から供給される識別画像情報に対する拡張処理(識別情報の拡張処理)を行う(ステップS122)。上記拡張処理は、識別画像情報を主画像情報の画像領域に応じて拡張する処理である。
【0024】
たとえば、図6は、識別画像情報の拡張処理の例を説明するための図である。
図6に示す例では、主画像情報161のサイズに比べて小さいサイズの識別画像情報の小領域162を個々のタイルに見立てる。この場合、拡張処理では、主画像情報161の画像領域と同じサイズの領域に、タイルに見立てた識別画像情報の小領域162を均一、かつ、周期的に整列させて敷き詰める。主画像情報161と同じサイズの領域に並べられた識別画像情報群全体が、拡張された識別画像情報163となる。このような図6に示す拡張処理は、実空間において、主画像情報のサイズと識別画像情報のサイズとを合わせるために行う。ただし、実空間上で主画像情報のサイズと識別画像情報のサイズとを合わせない場合、拡張処理としては、周波数領域において実空間での画像サイズが一致するように周波数側を変更するようにしても良い。
【0025】
上記識別情報を主画像情報のサイズに合せて拡張すると、上記合成部103は、拡張した識別画像情報(拡張識別画像情報)に対する周波数解析処理(識別情報の解析処理)を行う(ステップ123)。上記合成部103は、識別情報の解析処理として、拡張された識別画像情報に対してFFT(離散フーリエ変換)処理を行う。このようなFFT処理によれば、上記識別画像情報は、実空間領域から周波数領域へ変換される。
【0026】
上記識別画像情報を周波数領域へ変換すると、上記合成部103は、主画像情報と識別画像情報とを合成する処理(合成処理)を行う(ステップS124)。上記合成処理は、周波数領域に変換された主画像情報と周波数領域に変換された識別画像情報とを加算する処理である。これにより、上記合成処理では、周波数領域の合成画像情報を作成する。
一般に、FFT(フーリエ変換)処理では、線形性が成立する。このため、周波数領域で加算した2種類の関数は、実空間上でも加算されていることとなる。つまり、上記合成処理では、主画像情報と拡張された識別画像情報とは実空間領域においても加算(合成)されることを意味している。
【0027】
上記合成処理により周波数領域の合成画像情報を作成すると、上記合成部103は、その周波数領域の合成画像情報を実空間の合成画像情報に変換する処理(領域変換処理)を行う(ステップS125)。領域変換処理は、周波数領域を実空間領域に変換する処理である。たとえば、上記合成部103は、周波数領域の合成画像情報に対してI−FFT処理(逆離散フーリエ変換処理)を実施する。I−FFT処理(逆離散フーリエ変換処理)は、周波数領域の画像を実空間の画像に変換する処理である。従って、上記合成部103は、上記領域変換処理により周波数領域の合成画像情報を実空間領域の合成画像情報に変換する。
【0028】
ここで、主画像情報をsrc(x,y)、拡張識別画像情報をid(x,y)、合成画像情報をdst(x,y)、主画像情報のFFT処理結果をSRC(fx,fy)、拡張識別画像情報のFFT処理結果をID(fx,fy)、合成画像情報のFFT処理結果をDST(fx,fy)とする。この場合、図5に示す各処理は、以下の(A-1)〜(A-4)で表現される各演算処理に相当するものと考えることも可能である。
【0029】
・ステップS121の主画像情報に対する周波数解析処理(主画像解析処理):
src(x,y)→[FFT処理]→SRC(fx,fy) (A-1)
・ステップS123の識別画像情報に対する周波数解析処理(識別情報解析処理):
id(x,y)→[FFT処理]→ID(fx,fy) (A-2)
・ステップS124の周波数領域における主画像情報と拡張識別画像情報との合成処理:
SRC(fx,fy)+ID(fx,fy)=DST(fx,fy) (A-3)
・ステップS125の周波数領域から実空間領域への変換処理:
DST(fx,fy)→[I−FFT処理(逆変換)]→dst(x,y) (A-4)
ただし、(x,y)は、実空間領域での座標であり、(fx,fy)は周波数領域での座標であるものとする。
【0030】
また、図7は、実空間領域での合成画像情報の例を示す図である。図8は周波数領域での合成画像情報の例を示す図である。これらの合成画像情報は、上述した各式を用いれば、以下のような式(B-1)および(B-2)で表現することも可能である。つまり、図7に示す実空間領域での合成画像情報は(B-1)式で表現し、図8に示す周波数領域での合成画像情報は、(B-2)式で表現することが可能である。
【0031】
dst(x,y)=src(x,y)+id(x,y) (B-1)
DST(fx,fy)=SRC(fx,fy)+ID(fx,fy) (B-2)
次に、識別情報抽出処理について詳細に説明する。
上記識別情報抽出部107は、上記ステップS116に相当する識別情報抽出処理として、印刷物105の読取画像としての検査画像から識別画像情報を抽出する。上記識別情報抽出部107において検査画像から識別画像情報を抽出する方法としては、周波数フィルタを用いることができる。この場合、上記識別情報抽出部107は、識別画像情報に対応する周波数フィルタの係数を、以下の(1)〜(4)の手順で計算する。なお、係数の計算は、予め行って結果を格納しておいても良いし、抽出処理を行う前、または、その都度、計算するようにしても良い。
【0032】
(1)識別画像情報のサイズを検査画像の解像度を元にして伸縮する。
【0033】
(2)フーリエ変換により周波数領域に展開する。
【0034】
(3)展開された値を参照し、フィルタの通過域を調整する。
【0035】
(4)調整後の値に対してフーリエ逆変換により得られた値を周波数フィルタの係数とする。
【0036】
上記のような周波数フィルタの係数は、識別画像情報の周波数成分を抽出するために用いられる。ここで、上記識別情報抽出部107は、周波数フィルタ係数g(u,v)を用いて、検査画像I(x,y)から識別画像情報の周波数成分Ik(x,y)を抽出するために、(C-1)式に示す畳込み積分を行う。ただし、u,vは、積分のための変数である。
【0037】
Ik(x,y) = ΣΣ(g(u,v)・I(x-u,y-v)) (C-1)
なお、上記識別情報抽出部107において、識別画像情報の周波数成分としての特定の空間周波数成分を抽出する方法は、上記した空間周波数フィルタを用いる方法に限定されるものではない。たとえば、上記識別情報抽出部107は、フーリエ変換あるいはウェーブレット変換などを利用して、一旦別空間へ写像して処理を施した後に、逆に写像することにより、識別画像情報の周波数成分を抽出する方法を用いても良い。
【0038】
また、上記識別情報抽出部107により抽出された識別画像情報の周波数成分から識別画像情報が再構成される。すなわち、抽出された周波数成分から識別画像情報を再構成処理は、得られた抽出結果に対して所定の閾値Thを用いて2値化処理を行う。これにより、抽出された識別画像情報の周波数成分の分布を示す2値画像が再構成できる。つまり、合成画像情報に埋め込まれた識別画像情報の周波数成分が全て正常に抽出された場合、上記のような再構成処理によって、元の識別画像情報が完全な状態で再構成された2値画像が得られる。
【0039】
次に、欠陥判定処理について詳細に説明する。
上記欠陥判定部108は、上記ステップS117に相当する欠陥判定処理として、検査画像における欠陥を判定する。ここで、上記識別情報抽出部107は、識別情報抽出処理の結果として、検査画像の主画像領域全体における識別画像情報の分布を示す2値画像が得るものとする。この場合、上記欠陥判定部108には、検査画像から抽出された識別画像情報の分布を示す2値画像が供給される。
【0040】
上記識別画像情報は、検査画像における主画像(合成画像)領域全体に均一、かつ、周期的に分布している。ここでは、主画像(合成画像)領域における識別画像情報の分布は、予め設定されているものとする。検査画像は、主画像情報に識別情報を埋め込んだ合成画像情報が印刷された記録媒体をスキャナにより読み取った画像データである。従って、印刷処理が正常に行われれば、検査画像の主画像(合成画像)領域における識別画像情報の分布と作成した合成画像情報(主画像情報)における識別画像情報の分布とは、同じになる。
【0041】
たとえば、上記欠陥判定部108は、検査画像の主画像領域全体を小領域に分割し、各小領域における識別画像情報の分布が乱れているかどうかを確認する。たとえば、上記小領域のサイズは、図4(b)に示すような識別画像情報のサイズと同じかそれ以上が望ましい。すなわち、上記欠陥判定部108は、識別画像情報の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の領域と判定する。つまり、所定の閾値以上の乱れあるいは欠損がある場合、上記欠陥判定部108は、当該検査画像に欠陥があると判定する。また、上記欠陥判定部108は、識別画像情報の分布の乱れが所定の閾値未満である小領域を正常に識別画像情報が埋め込まれている領域と判定する。つまり、全ての小領域における識別情報の分布の乱れが閾値未満である場合、上記欠陥判定部108は、当該検査画像には欠陥が無いと判定する。
【0042】
図9は、識別画像情報の分布の例を示す図である。
図9に示す画像領域全体が、拡張された識別画像情報の領域191である。図9に示す各小領域は、それぞれ識別画像情報が抽出された状態を示している。図9に示す分布例において、斜線が記入されている小領域192は、識別画像情報の分布が乱れていない領域である。図9に示す分布例において、点が記入されている小領域193a、bは、識別画像情報の分布が乱れている領域である。この場合、上記欠陥判定部108は、小領域193aおよび193bが識別画像情報の分布が乱れた領域、つまり画像の欠陥がある領域であると判定する。
【0043】
以上のように、第1の実施の形態としての画像処理装置100では、可視状態の主画像情報に埋め込まれた不可視状態の識別画像情報の抽出結果に基づいて、色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥を精度良く検出することが可能になる。
なお、第1の実施の形態では、合成画像作成処理として、主画像情報および識別画像情報をそれぞれ周波数領域に変換し、周波数領域に変換した画像を合成する手法を想定している。ただし、上記合成画像作成処理は、これに限定されるものではない。例えば、合成画像作成処理としては、識別画像情報を人間の知覚しにくい色、例えば、黄色で直接的に識別画像情報を主画像情報に上書きする手法も適用できる。この場合、識別情報抽出部は、黄色で書込まれた識別画像情報を抽出する処理を行うようにすれば良い。このような処理であっても、上述した実施の形態と同様な効果が得られると考えられる。
【0044】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置200の構成例を概略的に示すブロック図である。
図10に示すように、画像処理装置200は、主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、印刷部204、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208は、それぞれ上記主画像取得部101、識別情報取得部102、合成部103、識別情報抽出部107、および、欠陥判定部108と同様な機能を有するもので実現できる。このため、主画像取得部201、識別情報取得部202、合成部203、検査画像入力部206、識別情報抽出部207、および、欠陥判定部208については、詳細な説明を省略するものとする。
【0045】
上記印刷部204は、印刷制御部211、画像形成部212、および、転写部213を有している。上記印刷制御部211は、印刷部204内における各部の制御を行う。上記印刷制御部211は、外部からの信号に応じて、画像形成部212あるいは転写部213の動作を制御する。
【0046】
上記画像形成部212は、中間転写体(媒体)215上に画像を形成するものである。第2の実施の形態としての画像処理装置200において、上記画像形成部212は、上記合成部203が主画像情報と識別情報とを合成することにより作成された合成画像情報を中間転写体215に形成する。上記中間転写体215は、たとえば、上記画像形成部212により画像が形成される専用の受像層を有する。上記転写部213は、上記中間転写体215に形成された画像を記録媒体に転写するものである。すなわち、上記中間転写体215は、印刷物205として作成する記録媒体に転写する画像そのものを保持する媒体である。
【0047】
上記のような印刷部204における画像記録方式は、一般には中間転写記録方式と呼ばれる。上記中間転写記録方式では、一般に、(最終)記録媒体に直接画像を形成する方式に比べて、記録媒体上に記録される画像が安定する。これは、中間転写記録方式では、専用の受像層を有する中間転写媒体215に画像を形成するため、(最終)記録媒体の転写面によらず画像が安定するためである。
【0048】
また、本画像処理装置200において、上記検査画像入力部206は、上記印刷部204内の中間転写体215に形成された画像を検査画像として入力する。上記検査画像入力部206の基本的な構成は、上記検査画像入力部106と同様である。つまり、上記検査画像入力部206は、中間転写体215に形成された画像を読み取るスキャナを制御部が制御することにより実現される。また、上記検査画像入力部206は、たとえば、主画像情報における解像度の2倍から3倍程度の読み取り解像度で中間転写体215から検査画像を読み取る。
【0049】
また、上記識別情報抽出部207は、上記検査画像入力部206が入力した検査画像(中間転写体215に形成された画像)から識別情報を抽出する。上記欠陥判定部208は、上記識別情報抽出部207による識別情報の抽出結果に基づいて、上記検査画像(中間転写体215に形成された画像)における欠陥の有無を判定する。上記欠陥判定部208は、欠陥判定の結果を上記印刷部204内の印刷制御部211に供給するようになっている。
【0050】
次に、上記のように構成される画像処理装置200における処理の流れについて概略的に説明する。
図11は、第2の実施の形態としての画像処理装置200における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図11に示すような画像処理装置200が実行する各処理は、上述した画像処理装置100が実行する処理と同様な処理が含まれる。図11に示すステップS211−S213およびS216−S217の各処理は、図2に示すステップS111−S113およびS116−S117の各処理と類似する処理である。このため、ステップS211−S213およびS216−S217の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0051】
まず、上記画像処理装置200は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部201により主画像情報を取得する(ステップS211)。また、上記画像処理装置200は、識別情報情報入力処理として、上記識別情報取得部102により識別情報を取得する(ステップS212)。上記合成部203は、主画像情報に不可視状態で識別情報を埋め込むことにより合成画像情報を生成する合成画像作成処理を行う(ステップS213)。上記合成部203により作成された合成画像情報は、印刷部204へ供給される。印刷部204では、上記印刷制御部211は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0052】
上記印刷制御部211は、上記合成画像情報を中間転写体215に形成する画像形成処理を行う(ステップS214)。上記中間転写体215に合成画像が形成されると、当該画像処理装置200は、中間転写体215に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS215〜S217)。まず、上記検査画像入力部206は、中間転写体215に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS215)。上記検査画像入力部206により検査画像が入力されると、上記識別情報抽出部207は、入力した検査画像から識別情報を抽出する識別情報抽出処理を行う(ステップS216)。上記識別情報抽出部207は、たとえば、上記第1の実施の形態で説明したように、検査画像から識別情報としての周波数成分を抽出する。上記識別情報抽出部207による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部208は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS217)。上記欠陥判定部208による欠陥の判定結果は、上記印刷部204内の印刷制御部211へ通知される。
【0053】
上記欠陥判定部208から欠陥判定結果を受けると、上記印刷制御部211は、中間転写体215に形成した画像を記録媒体に転写するか否かを判断する(ステップS218)。この判断では、たとえば、中間転写体215に形成されている画像(検査画像)に欠陥が検出されたか否かにより、記録媒体に画像を転写するか否かを判断する。すなわち、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に形成されている画像から欠陥が検出されなかった場合、上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断する(ステップS218、YES)。
上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断した場合(ステップS218、YES)、上記印刷制御部211は、転写部213により上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS219)。これにより、上記印刷部204は、上記中間転写体215に形成した画像を転写した印刷物205を作成する。
【0054】
また、上記欠陥判定部208が上記中間転写体215に形成されている画像から欠陥を検出した場合、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断する(ステップS218、NO)。上記中間転写体215に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断した場合(ステップS218、NO)、上記印刷制御部211は、上記中間転写体215に上記合成部103が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部211は、中間転写体215に形成されている画像を破棄し、上記ステップS214からの処理を再度実行する。
【0055】
以上のように、第2の実施の形態では、最終的な記録媒体への印刷前の段階において、中間転写体に形成された画像に対して色抜け等の画像欠陥を判定する。この欠陥判定により中間転写体に形成された画像に欠陥がある場合、当該中間転写体に形成された画像を破棄して、再度、中間転写体への画像形成処理を行う。これにより、中間転写体に形成された画像における欠陥を精度良く検出することができる。さらに、中間転写体に形成された画像に欠陥が検出された場合、最終的な記録媒体への画像の転写を防げるため、最終的な記録媒体に欠陥のある画像を転写することを防止できる。この結果として、最終的な記録媒体(たとえば、ICチップを内蔵した記録媒体)を無駄に破棄することがなくなり、経済的な損失を削減することができる。
【0056】
また、画像記録方式には、サーマルヘッドを用いた熱転写記録方式がある。熱転写記録方式では、たとえば、受像層とインクリボンとの間、または、サーマルヘッドとインクリボンの間に付着したゴミなどの影響を受けやすい。このようなゴミなどの影響を受けると、熱転写記録方式では、所望の色が得られない色抜けなどの画像欠陥が発生する可能性が高くなる。従って、印刷部に熱転写記録方式を採用している画像処理装置では、上述のような画像の欠陥検査により品質及び処理効率の向上が図れる。
【0057】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図12は、第3の実施の形態に係る画像処理装置300の構成例を概略的に示すブロック図である。
図12に示すように、画像処理装置300は、主画像取得部301、副情報取得部302、鍵情報取得部309、合成部303、印刷部304、検査画像入力部306、キャリア抽出部307、および、欠陥判定部308などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。上記主画像取得部301、印刷部304、検査画像入力部306、および、欠陥判定部308は、それぞれ主画像取得部201、印刷部204、検査画像入力部206、および、欠陥判定部208と同様な機能を有するもので実現できる。このため、印刷部304、検査画像入力部306、および、欠陥判定部308は、詳細な説明を省略するものとする。
【0058】
上記副情報取得部302は、上記主画像情報に埋め込まれる副情報を取得する。たとえば、上記副情報取得部302は、副情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。上記副情報取得部302により取得される副情報は、主画像情報のセキュリティ性を高めるための情報である。上記副情報は、主画像情報に埋め込まれる電子透かしの元となる情報である。上記副情報は、画像処理装置300内の図示しないメモリに予め記憶されているものであっても良いし、外部装置から当該画像処理装置300に供給されるものであっても良い。
【0059】
上記鍵情報取得部309は、主画像情報に副情報を埋め込むために用いられる鍵情報を取得する。たとえば、上記鍵情報取得部309は、鍵情報入力用のインターフェースを制御部が制御することにより実現される。なお、上記鍵情報は、画像処理装置300内の図示しないメモリに予め記憶されているものであっても良いし、外部装置から当該画像処理装置300に供給されるものであっても良い。上記鍵情報取得部309により取得される鍵情報は、主画像情報に副情報を埋め込むために用いられるとともに、合成画像情報から副情報を復元するためにも用いられる。
【0060】
上記合成部303は、鍵情報を用いて可視状態の主画像情報に不可視状態の副情報を埋め込んだ合成画像情報を作成する。つまり、合成画像情報は、主画像情報のみが視認できる状態となる。たとえば、上記合成部303は、画像情報を記憶するメモリなどを用いて制御部が画像処理(画像合成処理)用のプログラムを実行することにより実現される。上記合成部303は、例えば、人間の色差に対する視覚特性を利用した電子透かし埋め込み方法により、合成画像情報を作成する。このような電子透かし埋め込み方法については、後で説明する。
【0061】
上記印刷部304は、上記印刷部204と同様な構成を有している。上記印刷部304は、印刷制御部311、画像形成部312、転写部313および中間転写体315を有する。印刷制御部311、画像形成部312、転写部313および中間転写体315は、それぞれ印刷制御部211、画像形成部212、転写部213および中間転写体215と同様な機能を有する。すなわち、上記印刷制御部311は、印刷部304内の各部の動作を制御する。上記画像形成部312は、上記中間転写体315に合成画像情報などの画像を形成する。上記転写部313は、上記中間転写体315に形成された画像を記録媒体に転写する。
【0062】
上記検査画像入力部306は、上記検査画像入力部206と同様な構成を有している。すなわち、上記検査画像入力部306は、上記印刷部304内の中間転写体315に形成された画像を検査画像として入力する。
上記キャリア抽出部307は、上記検査画像入力部306が入力した検査画像(中間転写体215に形成された画像)から電子透かしのキャリア信号を抽出する。上記キャリア抽出部307は、当該合成画像情報を作成する際に用いた鍵情報を用いて、上記検査画像における電子透かしのキャリア信号を抽出する。
【0063】
上記欠陥判定部308は、上記キャリア抽出部307によるキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記検査画像(中間転写体315に形成された画像)における欠陥の有無を判定する。上記欠陥判定部308は、欠陥判定の結果を上記印刷部304内の印刷制御部311に供給するようになっている。
上記キャリア信号は、主画像情報に埋め込んだ副情報を示す情報である。従って、検査画像からキャリア信号が正常に抽出されれば、主画像情報に埋め込まれている副情報が完全な状態で復元される。言い換えれば、副情報が完全な状態で復元できない検査画像は、完全なキャリア信号が検出できないような欠陥が存在する状態であると判断できる。
【0064】
次に、上記のように構成される画像処理装置300における処理の流れについて概略的に説明する。
図13は、第3の実施の形態としての画像処理装置300における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図13に示すような画像処理装置300が実行する各処理は、上述した画像処理装置100、あるいは、画像処理装置200が実行する処理と同様な処理が含まれる。たとえば、図13に示すステップS310、S314−S315およびS318−S319の各処理は、図11に示すステップS210、S214−S215およびS218−S219の各処理と類似する処理である。このため、ステップS310、S314−S315およびS318−S319の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0065】
まず、上記画像処理装置300は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部301により主画像情報を取得する(ステップS310)。また、上記画像処理装置300は、副情報入力処理として、上記副情報取得部302により副情報を取得する(ステップS311)。さらに、上記画像処理装置300は、鍵情報入力処理として、上記鍵情報取得部309により鍵情報を取得する(ステップS312)。上記副情報および上記鍵情報は、上記主画像情報とともに、上記合成部303へ供給される。
上記合成部303は、鍵情報を用いて、可視状態の主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成する合成画像作成処理を行う(ステップS313)。上記合成部303により作成された合成画像情報は、印刷部304へ供給される。上記印刷部304において、上記印刷制御部311は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0066】
上記印刷制御部311は、上記合成画像情報を中間転写体315に形成する画像形成処理を行う(ステップS314)。上記中間転写体315に合成画像が形成されると、当該画像処理装置300は、中間転写体315に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS315〜S317)。まず、上記検査画像入力部306は、中間転写体315に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS315)。上記検査画像入力部306により検査画像が入力されると、上記キャリア抽出部307は、鍵情報取得部309から得られる鍵情報を用いて、上記検査画像から電子透かしのキャリア信号を抽出するキャリア抽出処理を行う(ステップS316)。上記キャリア抽出部307により抽出されるキャリア信号は、主画像情報に埋め込んだ副情報を示す情報である。上記キャリア抽出部307による識別情報の抽出結果に基づいて、上記欠陥判定部308は、検査画像における欠陥を判定する欠陥判定処理を行う(ステップS317)。上記欠陥判定部308による欠陥の判定結果は、上記印刷部304内の印刷制御部311へ通知される。
【0067】
上記欠陥判定部308から欠陥判定の結果を受けると、上記印刷制御部311は、中間転写体315に形成した画像を記録媒体に転写するか否かを判断する(ステップS318)。たとえば、上記印刷制御部311は、上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出されたか否かにより、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写するか否かを判断する。
上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出された場合、つまり、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断した場合(ステップS318、YES)、上記印刷制御部311は、転写部313により上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS319)。これにより、上記印刷部304は、上記中間転写体315に形成した合成画像を転写した印刷物305を作成する。
【0068】
また、上記中間転写体315に形成されている画像から欠陥が検出された場合、つまり、上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断した場合(ステップS318、NO)、上記印刷制御部311は、上記中間転写体315に上記合成部303が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部311は、中間転写体315に形成されている画像を破棄し、上記ステップS314からの処理を再度実行する。
【0069】
上記のような画像処理装置300では、可視状態の主画像情報に副情報を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報が印刷された印刷物305が作成される。つまり、上記合成画像情報は、記録媒体に印刷された状態では副情報が不可視状態である。このため、画像処理装置100により作成した印刷物105と画像処理装置300で作成した印刷物305とは、見かけ上、同様なものとなる。たとえば、画像処理装置300は、見かけ上の構成が図3に示す印刷物131と同様なものが作成できる。
【0070】
ただし、第3の実施の形態としての画像処理装置300では、セキュリティ性を向上させるために、副情報として、ID番号、氏名、生年月日、有効期限などの個人管理情報を用いることが可能である。個人識別情報を副情報として用いた印刷物305では、顔画像などの合成画像情報から復元される副情報と個人管理情報とが関連付けられる。これにより、ID証の一部を改ざんしたり、偽造したりすることが困難になり、セキュリティ性を高めることが可能になる。
【0071】
次に、鍵情報について詳細に説明する。
図14(a)及び(b)は、鍵情報の例を示す図である。
【0072】
図14(a)は、鍵情報を16桁の2進数で表現したものである。図14(b)は、図14(a)に示す鍵情報の「0」を白画素に変換し、「1」を黒画素に変換した2値画像である。言い換えると、図14(b)は、鍵情報を2値画像化した鍵画像情報を示すものである。本質的には図14(a)に示す鍵情報と図14(b)に示す鍵画像情報とは同じ情報を示している。図14(b)に示す例では、2進数を2値画像化することにより識別画像情報を作成することを想定している。ただし、鍵画像情報は、2進数を2値画像化したものに限定されるものではない。たとえば、鍵画像情報は、直接的に生成した幾何学的なパターン画像を用いることも可能である。また、鍵情報は、所定の値を用いても良いし、疑似乱数から発生させても良い。さらに、鍵情報としては、特定の語句(例えば、個人認証に関連する情報)をアスキーコード等に変換することにより2進数に変換するようにしても良い。
【0073】
次に、上記合成部303における電子透かし埋め込み処理について説明する。
上記合成部303には、色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理が適用できる。色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理の例としては、例えば、特開平11−168616に開示されている。
色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理では、以下のような特性を利用している。
【0074】
(1)人間の視覚特性を利用する。
・画像周波数が高くなるほど階調識別能力が低下する。
・輝度情報よりも色差情報の方が判別困難である。
(2)物理補色の関係を利用する。
・例えば、加法混色の場合、赤色+シアン色は無彩色(白)に見える。
(3)高周波キャリアパターン画像に補色の関係および色差情報を適用(色差変調処理)する。
【0075】
すなわち、赤色とシアン色は、補色の関係にある。このため、赤色とシアン色が隣り合っている場合、人間の目にはそれぞれを判別することが難しく、無彩色に見える。また、高周波キャリアパターン画像を用いることにより、赤色リッチな画素とシアン色リッチな画素が繰り返し配置されている場合、人間の目では、これらの細かな色差の違いを識別できない。この結果として、人間の視覚特性では、色差量をプラスマイナス0と判断してしまう。
上記のような色差および重畳処理を用いた電子透かし埋め込み処理では、画質劣化を招くことなく、主画像情報に副情報を不可視状態で埋め込むことが可能になっている。
【0076】
図15は、重畳処理を利用した電子透かし埋め込み処理の例を示す図である。
次に、電子透かし埋め込み処理における色差変調処理について説明する。
色差変調処理は、埋め込み情報を作成する処理である。すなわち、以下のように、鍵情報から作成した鍵画像情報を色差変調処理することにより埋め込み情報が作成される。
【0077】
KEY(x,y)=白画素の場合 → EMD(x,y)−R=+△CD−R ・・・(D-1)
EMD(x,y)−G=−△CD−G ・・・(D-2)
EMD(x,y)−B=−△CD−B ・・・(D-3)
KEY(x,y)=黒画素の場合 → EMD(x,y)−R=−△CD−R ・・・(D-4)
EMD(x,y)−G=+△CD−G ・・・(D-5)
EMD(x,y)−B=+△CD−B ・・・(D-6)
KEY(x,y) : 鍵画像情報
EMD(x,y) : 埋め込み情報(色差変調処理結果)
ΔCD : 色差量
上記のような色差変調処理の結果、鍵画像情報において白画素に対応している部分はR-rich(レッド成分リッチ)になり、黒画素に対応している部分はC-rich(シアン成分リッチ)になる。レッドとシアンとは、物理補色の関係にある。このため、レッドとシアンとの両者を足し合わせると無彩色になる。従って、このような画素ピッチを人間の肉眼の感知範囲を超えた高解像度(約300dpi以上)に設定することにより、色差変調処理結果である埋め込み情報は、肉眼ではレッドとシアンが識別できず無彩色(灰色)となる。この性質を利用することにより、色差変調処理では、鍵情報のパターンを見かけ上、無彩色情報に置き換えることができる。なお、上記式では、鍵画像情報が白画素の場合にシアン成分リッチに、黒画素の場合にレッド成分リッチになるように色差変調を行っている。ただし、このような関係は相対的なものである。このため、シアン成分リッチとレッド成分リッチが逆になっても原理上差し支えない。
【0078】
次に、電子透かし埋め込み処理における重畳処理について説明する。
上記重畳処理は、主画像情報に色差変調処理で得られた埋め込み情報を重畳する処理である。ここで、画像の座標(x,y)における主画像情報、(重畳用)埋め込み情報、および、合成画像情報を以下のように定義する。
【0079】
主画像情報 :SRC−C(x,y)…図15の351に相当 (E-1)
(重畳用)埋め込み情報:EMD−C(x,y)…図15の352に相当 (E-2)
合成画像情報 :DES−C(x,y)…図15の353に相当 (E-3)
x,yは画像の座標値(座標サイズは全て同じものとする)
C={R(赤)、G(緑)、B(青)}プレーンを示す
各々の値は24Bitカラー演算の場合は、0〜255の整数値
すると、座標(x,y)における重畳処理は、以下の式(F-1)〜(F-3)で表される。
【0080】
DES−R(x,y)=SRC−R(x,y)+EMD−R(x,y) (F-1)
DES−G(x,y)=SRC−G(x,y)+EMD−G(x,y) (F-2)
DES−B(x,y)=SRC−B(x,y)+EMD−B(x,y) (F-3)
次に、キャリア抽出処理について詳細に説明する。
上記キャリア抽出部307は、上記ステップS316に相当するキャリア抽出処理として、検査画像から副情報を示す鍵画像情報の周波数成分(電子透かしのキャリア信号)を抽出する。上記キャリア抽出部307において検査画像からキャリア信号を抽出する方法としては、周波数フィルタを用いることができる。この場合、上記キャリア抽出部307は、電子透かしのキャリア信号に対応する周波数フィルタの係数を、以下の(1)〜(4)の手順で計算する。なお、係数の計算は、予め行って結果を格納しておいても良いし、抽出処理を行う前、または、その都度、計算するようにしても良い。
【0081】
(1)鍵画像情報のサイズを検査画像の解像度を元にして伸縮する。
【0082】
(2)フーリエ変換により周波数領域に展開する。
【0083】
(3)展開された値を参照し、フィルタの通過域を調整する。
【0084】
(4)調整後の値に対してフーリエ逆変換により得られた値を周波数フィルタの係数とする。
【0085】
上記のような周波数フィルタの係数は、鍵画像情報の周波数成分を抽出するために用いられる。ここで、上記キャリア抽出部307は、周波数フィルタ係数g(u,v)を用いて、検査画像I(x,y)から鍵画像情報の周波数成分Ik(x,y)を抽出するために、(G-1)式に示す畳込み積分を行う。ただし、u,vは、積分のための変数である。
【0086】
Ik(x,y) = ΣΣ(g(u,v)・I(x-u,y-v)) (G-1)
なお、上記キャリア抽出部307において、鍵画像情報の周波数成分としての特定の空間周波数成分を抽出する方法は、上記した空間周波数フィルタを用いる方法に限定されるものではない。たとえば、上記キャリア抽出部307は、フーリエ変換あるいはウェーブレット変換などを利用して、一旦別空間へ写像して処理を施した後に、逆に写像することにより、鍵画像情報の周波数成分を抽出する方法を用いても良い。
【0087】
また、上記キャリア抽出部307により抽出された電子透かしのキャリア信号から鍵画像情報が再構成される。
すなわち、抽出された周波数成分から鍵画像情報を再構成処理は、得られた抽出結果に対して所定の閾値Thを用いて2値化処理を行う。これにより、抽出された鍵画像情報の周波数成分の分布を示す2値画像が再構成できる。つまり、合成画像情報に埋め込まれた鍵画像情報の周波数成分が全て正常に抽出された場合、上記のような再構成処理によって、元の鍵画像情報が完全な状態で再構成された2値画像が得られる。
ただし、電子透かしのキャリア信号に対する閾値は、固定値だと主画像情報の値の影響を受けやすい。このため、注目画素に対する参照領域(例えば3×3画素)を設けて周囲の値によって閾値を変更する適応型の2値化処理が望ましい。
【0088】
次に、欠陥判定処理について詳細に説明する。
上記欠陥判定部308は、上記ステップS317に相当する欠陥判定処理として、検査画像における欠陥を判定する。ここで、上記キャリア抽出部307は、キャリア抽出処理の結果として、検査画像の主画像領域全体における電子透かしのキャリア信号の分布を示す2値画像を得るものとする。ここで、電子透かしのキャリア信号は、鍵画像情報とほぼ等しいものと想定する。この場合、電子透かしのキャリア信号(鍵画像情報)の分布は、あらかじめ判っていて、検査画像における主画像(合成画像)領域全体に周期的に分布している。また、電子透かしのキャリア信号(鍵画像情報)の分布は、予め設定されているものとする。
【0089】
検査画像は、鍵画像情報(電子透かしのキャリア)を用いて、主画像情報に副情報(電子透かし本体)を不可視状態で埋め込んだ合成画像情報が印刷された記録媒体をスキャナにより読み取った画像データである。従って、印刷処理が正常に行われれば、検査画像の主画像(合成画像)領域における電子透かしのキャリア信号の分布と作成した合成画像情報(主画像情報)における電子透かしのキャリア信号の分布とは、同じになる。
【0090】
たとえば、上記欠陥判定部308は、検査画像の主画像領域全体を小領域に分割し、各小領域における電子透かしのキャリア信号の分布が乱れているかどうかを確認する。たとえば、上記小領域のサイズは、図14(b)に示すような鍵画像情報のサイズと同じかそれ以上が望ましい。上記欠陥判定部308は、電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の領域と判定する。つまり、所定の閾値以上の乱れあるいは欠損がある場合、上記欠陥判定部308は、当該検査画像に欠陥があると判定する。また、上記欠陥判定部308は、電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが所定の閾値未満である小領域を正常に電子透かしのキャリア信号が埋め込まれている領域と判定する。つまり、全ての小領域における電子透かしのキャリア信号の分布の乱れが閾値未満である場合、上記欠陥判定部308は、当該検査画像には欠陥が無いと判定する。
【0091】
以上のように、第3の実施の形態としての画像処理装置300では、鍵画像情報を用いて可視状態の主画像情報に不可視状態で副画像情報が埋め込まれた合成画像情報の印刷結果に対して、色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥を精度良く検出することが可能になる。また、中間転写体上に形成された合成画像情報に対して画像欠陥を検出できるため、欠陥がある画像をICカードなどの記録媒体に転写することを防げる。この結果として、ICカードなどの記録媒体を無駄に破棄することがなく、経済的な損失を削減することができる。
【0092】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図16は、第4の実施の形態に係る画像処理装置400の構成例を概略的に示すブロック図である。
図16に示すように、画像処理装置400は、主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406、キャリア抽出部407、欠陥候補抽出部408、および、欠陥判定部410などを有している。これらの各部は、図示しない制御部が制御プログラムなどを実行することにより実現される。上記主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406、キャリア抽出部407は、それぞれ主画像取得部301、副情報取得部302、鍵情報取得部309、合成部303、印刷部304、検査画像入力部306、キャリア抽出部307と同様な機能を有するもので実現できる。このため、主画像取得部401、副情報取得部402、鍵情報取得部409、合成部403、印刷部404、検査画像入力部406およびキャリア抽出部407については、詳細な説明を省略する。
【0093】
上記欠陥候補抽出部408は、キャリア抽出部407による電子透かしのキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記検査画像入力部406が入力した検査画像における欠陥候補を抽出する。上記欠陥候補抽出部408は、基本的には第3の実施の形態で説明した欠陥判定処理と同様な処理により実現可能である。たとえば、上記第3の実施の形態で説明したように、上記キャリア抽出部407が検査画像の領域全体を小領域に分割して電子透かしのキャリア信号を抽出するものとする。この場合、上記欠陥候補抽出部408は、各小領域における電子透かしのキャリア信号の分布が乱れているか否かを所定の閾値と比較することにより判定する。これにより、上記欠陥候補抽出部408は、キャリア信号の分布の乱れが所定の閾値以上である小領域を画像欠陥の可能性がある欠陥候補として抽出する。
【0094】
上記欠陥判定部410は、上記欠陥候補抽出部408により抽出された欠陥候補が画像の欠陥であるか否かを判定する。図16に示すように、上記欠陥判定部410は、比較画像作成部421、位置情報算出部422、基準画像作成部423、および、判定部424を有している。
上記比較画像作成部421は、検査画像における欠陥候補の領域を比較画像情報として作成する。つまり、上記比較画像作成部421は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、検査画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す。
【0095】
上記位置情報算出部422は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の位置に対応する位置情報を計算する。
なお、上記合成画像情報は、印刷する前の状態の画像情報である。上記検査画像は、中間転写体415に物理的に形成された画像をスキャナで電子的に取り込んだ画像情報である。このため、実際の運用形態において、合成画像情報と検査画像とは、解像度が異なることが多いと考えられる。たとえば、ここでは、合成画像情報の解像度が300dpiで、検査画像の解像度が1200dpiであることを想定する。このように、合成画像情報の解像度と検査画像の解像度とが異なる場合、上記位置情報算出部422は、解像度変換を行うものとする。
【0096】
上記基準画像作成部423は、中間転写体415への画像形成前の画像情報(合成画像情報)における欠陥候補の領域に対応する領域を基準画像情報として作成する。上記位置情報算出部422で計算した主画像情報における欠陥候補の位置情報に基づいて、主画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す。
上記判定部424は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補が欠陥であるか否かを決定する。上記判定部424は、上記比較画像作成部421が作成した比較画像情報と上記基準画像作成部423が作成した基準画像情報とを比較することにより、欠陥候補を欠陥とするべきか否かを判定する。ここでは、上述したように、比較画像情報と基準画像情報との解像度が一致し、かつ、各画素の位置も一致するように作成されているものとする。
【0097】
次に、上記判定部424における欠陥の判定処理について説明する。
上記判定部424は、たとえば、以下の手順により欠陥候補が欠陥であるか否かを決定する。
(1)判定部424は、比較画像情報を構成する各画素と基準画像情報を構成する各画素について、RGB値をL値、a値、b値に変換する。
【0098】
(2)判定部424は、比較画像情報の各画素と基準画像情報の各画素とを対応づける。判定部424は、対応する画素の色差ΔEi(i=1〜n)を計算する。判定部424は、たとえば、比較画像情報の画素iにおけるL値、a値、b値をそれぞれLci、aci、bciとし、基準画像情報の画素iにおけるL値、a値、b値をそれぞれLbi、abi、bbiとする。この場合、判定部424は、ΔEiを以下の式(H-1)により算出する。
ΔEi=(ΔLdi2+Δadi2+Δbdi2)(1/2) (H-1)
このような各画素の色差に基づいて、判定部424は、比較画像情報全体と基準画像情報全体との色差ΔEを次式(H-2)により算出する。
ΔE=(1/n)ΣnΔ(Ei) (H-2)
ただし、ΔLdi2、Δadi2、Δbdi2は、それぞれ比較画像情報の画素iと基準画像情報の画素iとのL、a、b軸上での差とする。
【0099】
(3)判定部424は、比較画像情報の各画素と基準画像情報の各画素とのL値、a値、b値の標準偏差σB、σCを計算する。
(4)判定部424は、検査画像と合成画像との分離度dを次式(H-3)により計算する。
【0100】
d=ΔE/(σB+σC) (H-3)
(5)判定部424は、分離度が所定の閾値以上である場合には画像欠陥と判定し、閾値未満の場合には画像欠陥ではないと判定する。
【0101】
次に、上記のように構成される画像処理装置400における処理の流れについて概略的に説明する。
図17は、第4の実施の形態としての画像処理装置400における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。なお、図17に示すような画像処理装置400が実行する各処理は、上述した画像処理装置100、画像処理装置200、および、画像処理装置300が実行する処理と同様な処理が含まれる。たとえば、図16に示すステップS410−S416およびS422−S423の各処理は、図13に示すステップS310−S316およびS318−S319の各処理と類似する処理である。このため、ステップS410−S416およびS422−S423の各処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0102】
すなわち、上記画像処理装置400は、主画像情報入力処理として、上記主画像取得部401により主画像情報を取得する(ステップS410)。また、上記画像処理装置400は、副情報入力処理として、上記副情報取得部402により副情報を取得する(ステップS411)。さらに、上記画像処理装置400は、鍵情報入力処理として、上記鍵情報取得部409により鍵情報を取得する(ステップS412)。上記副情報および上記鍵情報は、上記主画像情報とともに、上記合成部403へ供給される。
上記合成部403は、鍵情報を用いて、可視状態の主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成する合成画像作成処理を行う(ステップS413)。上記合成部403により作成された合成画像情報は、印刷部404へ供給される。上記印刷部404において、上記印刷制御部411は、上記合成画像情報を図示しないメモリに保存する。
【0103】
上記印刷制御部411は、上記合成画像情報を中間転写体415に形成する画像形成処理を行う(ステップS414)。上記中間転写体415に合成画像が形成されると、当該画像処理装置400は、中間転写体415に形成された画像を検査する処理を行う(ステップS415〜S421)。まず、上記検査画像入力部406は、中間転写体415に形成されている画像を検査画像として入力する検査画像入力処理を行う(ステップS415)。上記検査画像入力部406により検査画像が入力されると、上記キャリア抽出部407は、鍵情報取得部409から得られる鍵情報を用いて、上記検査画像から電子透かしのキャリア信号を抽出するキャリア抽出処理を行う(ステップS416)。たとえば、上述したように、上記キャリア抽出部407は、検査画像の領域全体を小領域に分割して電子透かしのキャリア信号を抽出する。
【0104】
上記キャリア抽出部407による電子透かしのキャリア信号の抽出結果に基づいて、上記欠陥候補抽出部408は、検査画像における欠陥候補を抽出する(ステップS417)。ここでは、上記欠陥候補抽出部408は、検査画像において電子透かしのキャリア信号の分布が所定の閾値以上乱れている小領域を画像欠陥の可能性がある欠陥候補として抽出する。検査画像における欠陥候補が抽出されると、上記欠陥判定部410は、抽出された欠陥候補が画像の欠陥であるか否かを判定する(ステップS418〜S421)。
【0105】
すなわち、上記比較画像作成部421は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、検査画像情報における欠陥候補の領域を比較画像情報として切り出す(ステップS418)。上記位置情報算出部422は、上記欠陥候補抽出部408が抽出した欠陥候補の位置に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の位置に対応する位置情報を計算する(ステップS419)。なお、上記位置情報算出部422では、検査画像情報と合成画像情報との解像度を一致させるための解像度変換も行う。上記基準画像作成部423は、上記位置情報算出部422で計算した合成画像情報における欠陥候補の位置情報に基づいて、合成画像情報における欠陥候補の領域に対応する領域を基準画像情報として切り出す(ステップS420)。
【0106】
上記判定部424は、上記比較画像作成部421が作成した比較画像情報と上記基準画像作成部423が作成した基準画像情報とを比較することにより、欠陥候補を画像欠陥とするべきか否かを判定する(ステップS421)。たとえば、上記判定部424は、上述した欠陥判定の手順に従って、画像が欠陥であるか否かを決定する。上記判定部424による欠陥の判定結果は、上記印刷制御部411へ通知される。
【0107】
上記印刷制御部411は、上記中間転写体415に形成されている画像に欠陥がないと判定された場合、上記中間転写体415に形成されている画像を記録媒体に転写すると判断する(ステップS422、YES)。この場合、上記印刷制御部411は、上記転写部413により上記中間転写体315に形成されている画像を記録媒体に転写する(ステップS423)。これにより、上記印刷部404は、上記中間転写体415に形成した合成画像を転写した印刷物405を作成する。
【0108】
また、上記中間転写体415に形成されている画像に欠陥があると判定された場合、上記中間転写体415に形成されている画像を記録媒体に転写しないと判断する(ステップS422、NO)。この場合、上記印刷制御部411は、上記中間転写体415に上記合成部403が作成した合成画像情報を形成する画像形成処理を再度実行する。この場合、上記印刷制御部411は、中間転写体415に形成されている画像を破棄し、上記ステップS414からの処理を再度実行する。
【0109】
以上のように、第4の実施の形態としての画像処理装置400では、合成画像情報を形成した中間転写体を読み取った検査画像における欠陥候補の領域を抽出し、検査画像における欠陥候補の領域としての比較画像情報と合成画像情報における欠陥候補の領域に対応する領域としての基準画像情報と比較することにより、検査画像の欠陥を判定するようにしたものである。これにより、検査画像から欠陥として抽出される領域が色抜けあるいは色ムラなどの画像欠陥であるか否かを精度良く判定することが可能になる。また、中間転写体上に形成された画像の欠陥を判定できるため、欠陥がある画像をICカードなどの記録媒体に転写することを防げる。この結果として、ICカードなどの記録媒体を無駄に破棄することがなく、経済的な損失を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、印刷物としてのIDカードの例を示す図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、識別情報の例を示す図である。
【図5】図5は、合成画像作成処理としての処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、識別画像情報の拡張処理の例を説明するための図である。
【図7】図7は、実空間領域での合成画像情報の例を示す図である。
【図8】図8は周波数領域での合成画像情報の例を示す図である。
【図9】図9は、識別画像情報の分布の例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、第3の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【図14】図14(a)及び(b)は、鍵情報の例を示す図である。
【図15】図15は、重畳処理を利用した電子透かし埋め込み処理の例を示す図である。
【図16】図16は、第4の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図17】図17は、第4の実施の形態としての画像処理装置における処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
100、200、300、400…画像処理装置、101、201、301、401…主画像取得部、102、202…識別情報取得部、103、203、303、403…合成部、104、204、304、404…印刷部、105、205、305、405…印刷物、106、206、306、406…検査画像入力部、107、207…識別情報抽出部、108、208、308…欠陥判定部、109…表示部、211、311、411…印刷制御部、212、312、412…画像形成部、213、313、413…転写部、215、315、415…中間転写体、302、402…副情報取得部、307、407…キャリア抽出部、309、409…鍵情報取得部、408…欠陥候補抽出部、410…欠陥判定部、421…比較画像作成部、422…位置情報算出部、423…基準画像作成部、424…判定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を検査する画像処理方法であって、
人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成ステップと、
前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷ステップと、
前記印刷ステップにより前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力ステップと、
前記検査画像入力ステップにより取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出ステップと、
前記情報抽出ステップによる情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記主画像情報に不可視状態で合成される情報は、特定の周波数を有する識別情報であり、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記主画像情報に不可視状態で合成される情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記情報抽出ステップは、前記検査画像において前記周波数の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記周波数の成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記合成ステップは、鍵情報を用いて前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記鍵情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記鍵情報の周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記合成ステップは、鍵情報に基づく電子透かしのキャリア信号を用いて、前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記電子透かしのキャリア信号の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記情報抽出ステップは、前記検査画像において前記電子透かしのキャリア信号の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における各小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における各小領域から欠陥候補の領域を抽出する候補抽出ステップと、前記候補抽出ステップにより抽出された欠陥候補の領域に対して所定の判定条件に基づいて欠陥候補の領域が画像欠陥か否かを判定する判定ステップと、を有する、
ことを特徴とする前記請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記判定ステップは、前記候補抽出ステップにより抽出された欠陥候補の領域に対応する検査画像情報における比較画像情報と当該欠陥候補の領域に対応する合成画像情報における基準画像情報とを比較することにより画像欠陥の有無を判定する、
ことを特徴とする前記請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記印刷ステップは、前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体としての中間転写体に印刷し、
前記検査画像入力ステップは、前記印刷ステップにより前記中間転写体に形成された画像を検査画像情報として取得し、
さらに、前記欠陥判定ステップにより前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥がないと判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を記録媒体に転写する転写ステップと、
前記欠陥判定ステップにより前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥があると判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を破棄し、再度、前記合成画像情報を前記中間転写体に印刷する印刷制御ステップと、を有する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至8の何れかに1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
画像を検査する画像処理装置であって、
人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成手段と、
前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力手段と、
前記検査画像入力手段により取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出手段と、
前記情報抽出手段による情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
前記主画像情報に不可視状態で合成される情報は、特定の周波数を有する識別情報であり、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記主画像情報に不可視状態で合成される情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記情報抽出手段は、前記検査画像において前記周波数の周期以上の大きさとなる小領域ごとに前記周波数の成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記合成手段は、鍵情報を用いて前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記鍵情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記鍵情報の周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記合成手段は、鍵情報に基づく電子透かしのキャリア信号を用いて、前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記電子透かしのキャリア信号の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記情報抽出手段は、前記検査画像において前記電子透かしのキャリア信号の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における各小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における各小領域から欠陥候補の領域を抽出する候補抽出手段と、前記候補抽出手段により抽出された欠陥候補の領域に対して所定の判定条件に基づいて欠陥候補の領域が画像欠陥か否かを判定する判定手段と、を有する、
する、
ことを特徴とする前記請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記判定手段は、前記候補抽出手段により抽出された欠陥候補の領域に対応する検査画像情報における比較画像情報と当該欠陥候補の領域に対応する合成画像情報における基準画像情報とを比較することにより画像欠陥の有無を判定する、
ことを特徴とする前記請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記印刷手段は、前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体としての中間転写体に印刷し、
前記検査画像入力手段は、前記印刷手段により前記中間転写体に形成された画像を検査画像情報として取得し、
さらに、前記欠陥判定手段により前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥がないと判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記欠陥判定手段により前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥があると判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を破棄し、再度、前記合成画像情報を前記中間転写体に印刷する印刷制御手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項10乃至17の何れかに1項に記載の画像処理装置。
【請求項1】
画像を検査する画像処理方法であって、
人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成ステップと、
前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷ステップと、
前記印刷ステップにより前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力ステップと、
前記検査画像入力ステップにより取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出ステップと、
前記情報抽出ステップによる情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記主画像情報に不可視状態で合成される情報は、特定の周波数を有する識別情報であり、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記主画像情報に不可視状態で合成される情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記情報抽出ステップは、前記検査画像において前記周波数の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記周波数の成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記合成ステップは、鍵情報を用いて前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記鍵情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記鍵情報の周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記合成ステップは、鍵情報に基づく電子透かしのキャリア信号を用いて、前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出ステップは、前記検査画像から前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記情報抽出ステップにより前記検査画像から抽出された前記電子透かしのキャリア信号の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記情報抽出ステップは、前記検査画像において前記電子透かしのキャリア信号の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における各小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記欠陥判定ステップは、前記検査画像における各小領域から欠陥候補の領域を抽出する候補抽出ステップと、前記候補抽出ステップにより抽出された欠陥候補の領域に対して所定の判定条件に基づいて欠陥候補の領域が画像欠陥か否かを判定する判定ステップと、を有する、
ことを特徴とする前記請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記判定ステップは、前記候補抽出ステップにより抽出された欠陥候補の領域に対応する検査画像情報における比較画像情報と当該欠陥候補の領域に対応する合成画像情報における基準画像情報とを比較することにより画像欠陥の有無を判定する、
ことを特徴とする前記請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記印刷ステップは、前記合成ステップにより作成した合成画像情報を媒体としての中間転写体に印刷し、
前記検査画像入力ステップは、前記印刷ステップにより前記中間転写体に形成された画像を検査画像情報として取得し、
さらに、前記欠陥判定ステップにより前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥がないと判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を記録媒体に転写する転写ステップと、
前記欠陥判定ステップにより前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥があると判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を破棄し、再度、前記合成画像情報を前記中間転写体に印刷する印刷制御ステップと、を有する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至8の何れかに1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
画像を検査する画像処理装置であって、
人間の目で知覚される可視状態の主画像情報に、人間の目で知覚し難い不可視状態で情報を合成した合成画像情報を作成する合成手段と、
前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により前記媒体に印刷された画像を検査画像情報として取得する検査画像入力手段と、
前記検査画像入力手段により取得した前記検査画像から前記主画像情報に埋め込まれた情報を抽出する情報抽出手段と、
前記情報抽出手段による情報の抽出結果に基づいて前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する欠陥判定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
前記主画像情報に不可視状態で合成される情報は、特定の周波数を有する識別情報であり、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記主画像情報に不可視状態で合成される情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記情報抽出手段は、前記検査画像において前記周波数の周期以上の大きさとなる小領域ごとに前記周波数の成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記合成手段は、鍵情報を用いて前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記鍵情報の周波数成分を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記鍵情報の周波数成分の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記合成手段は、鍵情報に基づく電子透かしのキャリア信号を用いて、前記主画像情報に不可視状態で副情報を埋め込むことにより合成画像情報を作成し、
前記情報抽出手段は、前記検査画像から前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記情報抽出手段により前記検査画像から抽出された前記電子透かしのキャリア信号の分布に基づいて、前記媒体に印刷されている画像における欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記情報抽出手段は、前記検査画像において前記電子透かしのキャリア信号の周期以上の大きさとなる小領域ごとに、前記電子透かしのキャリア信号を抽出し、
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における各小領域単位で欠陥を判定する、
ことを特徴とする前記請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記欠陥判定手段は、前記検査画像における各小領域から欠陥候補の領域を抽出する候補抽出手段と、前記候補抽出手段により抽出された欠陥候補の領域に対して所定の判定条件に基づいて欠陥候補の領域が画像欠陥か否かを判定する判定手段と、を有する、
する、
ことを特徴とする前記請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記判定手段は、前記候補抽出手段により抽出された欠陥候補の領域に対応する検査画像情報における比較画像情報と当該欠陥候補の領域に対応する合成画像情報における基準画像情報とを比較することにより画像欠陥の有無を判定する、
ことを特徴とする前記請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記印刷手段は、前記合成手段により作成した合成画像情報を媒体としての中間転写体に印刷し、
前記検査画像入力手段は、前記印刷手段により前記中間転写体に形成された画像を検査画像情報として取得し、
さらに、前記欠陥判定手段により前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥がないと判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記欠陥判定手段により前記中間転写体に印刷されている画像に欠陥があると判定された場合、前記中間転写体に印刷されている画像を破棄し、再度、前記合成画像情報を前記中間転写体に印刷する印刷制御手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項10乃至17の何れかに1項に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−136206(P2010−136206A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311460(P2008−311460)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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