説明

画像処理装置、および画像処理装置の制御方法

【課題】画像処理装置に印刷データを送信した際に、エラーなどで即時印刷処理ができない場合に、ユーザにかかる負担を軽減しかつ、容易に代替画像処理装置で印刷を可能とすること。
【解決手段】画像処理装置は、情報処理装置から印刷データを受信し、該印刷データを格納する印刷データ入力手段と、前記入力した印刷データを特定するための書誌情報を登録する書誌情報登録手段と、前記入力した印刷データを印刷するための印刷出力機能の使用可否を検知する検知手段と、前記検知手段による結果が印刷出力機能の使用の不可を示す場合に、前記書誌情報を取得することが可能な他の画像処理装置からの印刷データの要求に応じて、前記書誌情報にて特定される前記印刷データ入力手段に入力した印刷データを当該他の画像処理装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置から受信した印刷データを自装置で印刷できない場合の代替印刷を実現するための画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷データをPC(Personal Computer)などの情報処理装置からプリンタなどの画像処理装置に送信し印刷する場合、次のような処理が行われている。すなわち、情報処理装置に搭載されたプリンタドライバを用いて、所望の印刷体裁に加工した印刷データを生成し、生成した印刷データを画像処理装置に送信し画像処理装置が印刷処理を行っている。あるいは、情報処理装置がPDF(Portable Document Format)等を画像処理装置に送信し、画像処理装置が受信したこれらのPDF等を印刷可能形式に変換し印刷処理を行う。このような画像処理装置を用いた印刷システムにおいて、ユーザが印字出力結果を画像処理装置の設置場所まで取りに行った際に、エラーや先行ジョブの存在により印刷が終了していない場合が多々起こり得る。
【0003】
このようなエラー発生時の代替印刷方法として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1によれば、出力先の画像処理装置が印刷可能になるまで印刷データをサーバに保管しておく。そして、印刷データがサーバに保管されている状態でユーザがPCを用いて別の画像処理装置に出力先を変更することでエラーが発生した場合に代替印刷を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ユーザは所望する印刷データが出力されていない場合、プリンタの設置場所からPCの設置場所に戻って設定を変更しなくてはならず利便性の面で問題であった(第1の問題点)。また、特許文献1は、あらかじめ代替印刷するための画像処理装置を指定登録しておき、登録された画像処理装置で自動的に代替印刷する技術も開示している。しかしながら、かかる代替印刷を実現するためにはあらかじめ代替画像処理装置を登録しておかなければならない(第2の問題点)。また、自動で代替画像処理装置に転送されてしまうため、所望する画像形成装置に近接設置された画像処理装置で出力結果のドキュメントを入手できる保障もない(第3の問題点)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、情報処理装置から印刷データを受信し、該印刷データを格納する印刷データ入力手段と、前記入力した印刷データを特定するための書誌情報を登録する書誌情報登録手段と、前記入力した印刷データを印刷するための印刷出力機能の使用可否を検知する検知手段と、前記検知手段による結果が印刷出力機能の使用の不可を示す場合に、前記書誌情報を受信することが可能な他の画像処理装置からの印刷データの要求に応じて、前記書誌情報にて特定される前記印刷データ入力手段に入力した印刷データを当該他の画像処理装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、PCから印刷データを画像処理装置に送信して印刷出力する際に、エラーなどの原因ですぐに印刷出力結果を得られない場合に、別の画像処理装置を使用した代替印刷が可能となる。特に、PCの設置場所に戻らずに代替印刷を行うことが可能となる。また、あらかじめPCに代替先の画像処理装置の登録をしなくとも代替印刷が可能となる。また、事前に設定した画像処理装置ではない任意の画像処理装置で代行印刷が可能となる。これらの利点により、ユーザの利便性を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システムのネットワーク構成の一例を示す図である。
【図2】情報処理装置のブロック図の一例を示す図である。
【図3】画像処理装置のブロック図の一例を示す図である。
【図4】情報処理装置、画像処理装置、およびサーバのプログラム構成を示す図である。
【図5】書誌情報の登録の別の処理の流れを示す図である。
【図6】情報処理装置の印刷画面の一例を示す図である。
【図7】画像処理装置の操作部の一例を示す図である。
【図8】画像処理装置のユーザ認証画面の一例を示す図である。
【図9】画像処理装置の中断ジョブリスト表示画面の一例を示す図である。
【図10】印刷データ投入時のシーケンス概要を示す図である。
【図11】印刷データの印刷出力シーケンス概要を示す図である。
【図12】他の画像処理装置における印刷データの印刷出力シーケンス概要を示す図である。
【図13】印刷再開処理及び印刷再中断処理シーケンス概要を示す図である。
【図14】画像処理装置の処理全般を示すフローチャートの一例を示す図である。
【図15】画像処理装置におけるサーバ登録情報の一例を示す図である。
【図16】書誌情報の一例を示す図である。
【図17】サーバが管理する書誌情報リストの一例を示す図である。
【図18】ユーザ毎の書誌情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<用語の定義>
以下の実施形態で使用する特長的な用語を以下に定義する。
[画像処理装置]
電子データを紙に印刷するための装置。画像出力装置、画像処理装置、印刷装置等と同義で用いる。情報処理装置から送信されたPDL(page description language)等の印刷データを印刷するプリンタ機能を有する。また、情報処理装置から送信されたPDL等の印刷データを補助記憶装置に保存するデータ保存機能を有する。さらに、画像読取装置(スキャナ)で読み取った画像を印刷するコピー機能を有しても良い。また、画像読取装置(スキャナ)で読み取った画像をFAXや電子メールで他の情報処理装置に送信する送信機能を有してもよい。そして、画像処理装置はこれらの機能等をあわせ持ったMFP(Multifunction Peripheral)を指す場合もある。本明細書では、最低限、プリンタ機能とデータ保存機能を併せ持つ装置を「画像処理装置」と呼ぶが、その他、任意の機能が搭載された装置であっても以下の実施形態は適用可能である。
【0010】
[情報処理装置]
PC(Personal Computer)と呼ばれる電子計算機の一形態であり、現在オフィスや家庭等に最も普及している電子計算機のことである。ワークステーションやワードプロセッサなども含む。以下の実施形態においては、画像処理装置に対する印刷データの元となるコンテンツのデータの供給源として使用するものとして説明をする。なお、通常、後述するプリンタドライバを備えている。
【0011】
[PDL]
Page Description Language の略。主に、ページプリンタで使用されるプリンタ制御コード(言語)である。ページイメージを作成するために使用される。単純な文字印刷のほか、図形描画などの機能を拡張しているものも存在する。ページイメージは情報処理装置で作成する場合と、画像処理装置側で作成する場合が考えられるが、以下の実施形態においてはいずれにも適用可能である。
【0012】
[印刷データ]
画像処理装置が印刷出力するためのデータ。PDLなどが該当する。以下の実施形態においては、印刷データとは任意の画像処理装置が印刷可能な汎用的な形式のもの(例えばPDFやXPS(XML Paper Specification)等)を指すが、特定の画像処理装置に特化した形式のものであっても良い。以下で説明する実施形態においては、情報処理装置から受信した印刷データは、受信した画像処理装置の補助記憶装置に記憶(格納)される。
【0013】
[PDF]
Adobe(登録商標) Systems社によって開発された、電子文書フォーマット。レイアウトソフトなどで作成した文書を電子的に配布することができ、PCの機種やOSのバージョン等によらず、オリジナルのイメージをかなりの程度正確に再生することができる。文字情報だけでなく、フォントや文字の大きさ、字飾り、埋め込まれた画像、それらのレイアウトなどを管理可能である。
【0014】
[ドットイメージ]
画像処理装置の印刷エンジンが印刷可能な形式のイメージデータ。本発明の印刷処理では、画像処理装置は、情報処理装置などから受信した印刷データを基に、画像処理装置の特性に応じてドットイメージに展開し、展開したドットイメージを印刷に使用する事とする。
【0015】
[プリンタドライバ]
情報処理装置等で使用可能な、任意のデータ処理アプリケーションからの描画命令により、アプリケーションデータを印刷データに変換するためのソフトウェアモジュール。任意のデータ処理アプリケーションとは、データの編集や表示や計算を行うためのアプリケーションで、例えばMicrosoft(登録商標) Wordや Excel等が広く知られている。プリンタドライバは、任意アプリケーションの印刷機能またはプリンタドライバが提供する印刷体裁指定機能で指定された設定内容を反映してPDLデータ等の印刷用データを作成する。プリンタドライバが作成した印刷用データは画像処理装置に送信され、画像処理装置内で印刷イメージ用のドットイメージに変換されて印刷される。近年、印刷用データを画像処理装置で印刷するだけではなく、画像処理装置内の補助記憶装置に印刷用ジョブやドットイメージを保存するプリンタドライバ及び画像処理装置も存在する。以下で説明する実施形態においては、プリンタドライバはいずれに存在していてもよい。
【0016】
[印刷エンジン]
画像処理装置内で電子的なデータを用紙に印刷する際に使用する、ハードウェアおよびハードウェアを駆動する制御プログラム。
【0017】
[書誌情報]
印刷データを特定するための情報。印刷データを一意に識別するための印刷データID、印刷データのユーザ情報、印刷データの保管場所を含むものとする。なお、印刷データを特定可能であればよく、例えば印刷データIDからユーザ情報及び印刷データの保管場所が特定可能なシステムにおいては、印刷データIDのみが含まれる。以下で説明する実施形態では、書誌情報を参照することにより、画像処理装置は印刷データが他の情報機器(例えば他の画像処理装置)に保存されている場合にも、ネットワークを介して印刷データにアクセス可能になる。詳細については後述するが、この書誌情報の取得要求を行って書誌情報を受信した画像処理装置が、その書誌情報で特定される印刷データの印刷処理を行うことになる。
【0018】
<実施形態1>
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、ネットワークを介して画像処理装置とデータの送受信が可能な、少なくとも1台以上のPC(情報処理装置)と、少なくとも1台以上の画像処理装置を有する画像処理システムのネットワーク構成の一例である。
【0019】
図1において、10はネットワークに接続可能なPC、20は書誌情報を一元管理するサーバ、30および40はネットワークに接続可能な画像処理装置である。104はPC10、サーバ20、画像処理装置30および画像処理装置40をネットワークを介して相互に接続するためのLANである。図1においてはサーバ20を含めた形態を示しているが、サーバ20は必須の構成ではない。画像処理装置30または40がサーバ20の機能を有してもよい。また、本実施形態では、PCと画像処理装置はネットワークを介して接続するものとするが、パラレルケーブルやシリアルケーブル、USBケーブル等により、PCと画像処理装置を接続する形態であっても適用できる。また、有線のみならず無線を用いてネットワークを構成してもよい。また、ネットワーク接続の形態に関しても、LAN環境に限定されることはなく、インターネット環境を用いた形態を適用する事も可能である。
【0020】
図2は、一般的な情報処理装置の内部構成の一例であり、図1におけるPC10、サーバ20の内部構成は図2に示す構成となっている。
【0021】
201は本発明を制御する際の情報処理を行うCPU、202はCPU201のワークエリアを提供するRAMである。203は本実施例における制御プログラムを提供する補助記憶装置(ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM等)である。204は本発明においてユーザにメッセージを通知する目的で使用される画像表示装置(具体的にはCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等)である。205は、ユーザのコマンドを入力するユーザコマンド入力装置(具体的にはマウス、キーボード等)である。206はLAN220を介して他のネットワーク機器と相互にデータをやりとりするためのネットワークインタフェースカード(NIC)である。209はこれらのデバイスを接続するメインバスである。なお、LAN220は図1におけるLAN104と同じであるものとする。
【0022】
図3は画像処理装置30の内部構成を示す図の一例である。図3において301は画像処理装置30を制御する際の情報処理を行うCPUである。302はCPU301のワークエリアの提供やデータの一時保管を行うためのRAMである。303はデータの一時保管や、RAM302の代わりに用いられる補助記憶装置(ハードディスク、CD-ROM等)である。情報処理装置から送られる印刷データは、補助記憶装置303に記憶される。304はタッチパネル等の画像表示装置で、プリンタ装置の状態や、エラーメッセージ等を表示する場合に用いることができる。例えば、情報処理装置を用いて印刷出力を行ったユーザは、画像表示装置304の画面上の表示をみて、エラーが生じたことを理解する。305はユーザコマンド入力装置(タッチパネル等)で、ログイン情報の入力や、所望する印刷データの指定等をユーザが操作するためのものである。なお、ログイン情報とは、ユーザが自身の印刷出力に関する操作を画像処理装置上で行うために行われるログイン時に用いられる情報のことである。具体的には、ユーザIDおよびパスワードが相当する。304、305はタッチパネル等の単一のモジュールとする事も可能である。306はLAN320を介して、他のネットワーク機器と双方向にデータをやり取りするためのNICである。LAN320は図1におけるLAN104と同じである。307はPC10などから投入された印刷データを用紙に出力するための印刷エンジンであり、308は原稿台に置かれた紙原稿を読み取り白黒2値やカラー多値の電子データ等を生成する読み取り部(スキャナ)である。309は各構成を相互に接続するためのメインパスである。310はデジタル回線330に接続し、データ送受信に使用されるためのDSU(Digital Service Unit:ディジタル回線終端装置)である。312はアナログ回線340に接続し、回線の開閉、発着信制御、イメージデータ(アナログ)の送受信等を行うためのNCU(Network Contorol Unit)である。311は送受信データの変調・復調を行うモデムである。314はUSBを用いて外部の情報端末とデータの送受信を行うUSB通信部である。本実施形態においては、読み取り部308、DSU310、モデム311、NCU312、デジタル回線330、アナログ回線340は必須ではない。本実施形態では、画像処理装置40も画像処理装置30と同様の構成とする。
【0023】
図4は本実施形態で使用するプログラム構成の一例を示している。なお、図4においては説明の便宜を図るために各種の手段を設けた構成を示しているが、本発明を限定する趣旨で記載しているわけではない点に留意されたい。すなわち、本発明の範囲は添付する特許請求の範囲の記載に基づくものであり、図4に示す構成を全て備える必要はない。
【0024】
PC10はユーザ識別手段1001、ユーザ識別情報埋め込み手段1002、印刷データ送信手段1003、ユーザ認証手段1004を有する。これら手段はPC10のRAM202上に読み込まれ、CPU201が有する情報処理能力を用いて以下の処理を行うプログラムである。以下では、説明を簡略化するために各手段が各種の動作を行うものとして説明を行うが、具体的にはRAM202上に読み込まれたプログラムをCPU201が実行することで各種の動作が行われることになる。
【0025】
ユーザ認証手段1004はPCをユーザが使用する際のユーザ認証を行う。ユーザ認証に用いるユーザ認証DBはPC内にあっても、認証サーバ(図示せず)が有していても良い。ユーザ認証の詳細な説明は省略するが、少なくともユーザIDによりユーザを一意に特定可能とする。ユーザ識別手段1001はPCの使用ユーザを識別する。例えば、ユーザ識別手段1001は、ユーザ認証手段1004によって認証されたユーザを使用ユーザと識別することができる。ユーザ情報埋め込み手段1002はユーザ識別情報を印刷データに付与する。印刷データ送信手段1003はNIC206を介して印刷データを画像処理装置に送信する。
【0026】
以上説明したPC10は、一般的に用いられているPCと同様の形態であることに留意されたい。すなわち、本実施形態で説明する中においては、PC10は特別な機能を付与されることなく本システムに適用することが可能である。本実施形態で説明するPCは、主としてユーザ識別情報を付与した印刷データを画像処理装置に送信する。画像処理装置(第1の画像処理装置)30は第1の印刷データ受信手段3001、印刷データ記憶手段3002、ユーザ識別情報抽出手段3003、書誌情報作成手段3004、書誌情報登録手段3005を有する。また、書誌情報削除手段3006、書誌情報取得要求手段3007、書誌情報受信手段3008、印刷データ取得要求手段3009、第2の印刷データ受信手段3010、印刷データ取得要求受付手段3011を有する。また、印刷データ送信手段3012、ユーザ認証手段3013、印刷手段3014、印刷データ削除手段3015、印刷能力検知手段3016を有する。これら手段は画像処理装置30のRAM302上に読み込まれ、CPU301が有する情報処理能力を用いて以下の処理を行うプログラムである。
【0027】
第1の印刷データ受信手段3001はPC10から送信された印刷データを受信する。印刷データ記憶手段3002は印刷データを補助記憶装置303に格納して記憶する。第1の印刷データ受信手段3001と印刷データ記憶手段3002は、印刷データ入力手段として機能する。補助記憶装置303に記憶された印刷データは画像処理装置の各プログラムにより任意のタイミングで参照可能とする。ユーザ識別情報抽出手段3003は印刷データに付与されたユーザ識別情報を抽出する。書誌情報作成手段3004は、前記抽出したユーザ識別情報、印刷データの保管場所、印刷データ名称を書誌情報として作成する。印刷データの保管場所は本実施形態では画像処理装置自身のIPアドレスとするが、画像処理装置のデバイス名称を用いても良い。
【0028】
書誌情報登録手段3005は書誌情報をサーバに登録する。本実施形態においては、受信した印刷データに関する書誌情報をまずはサーバに登録する処理が行われる。そして、各画像処理装置がサーバ20から書誌情報の取得に成功した場合に、その書誌情報にて特定される印刷データの印刷出力が行われることになる。例えば、印刷データを受信した画像処理装置30においてエラーが生じている際に、ユーザが他の画像処理装置40を用いてその印刷データを出力したいと考えていると仮定する。すると、ユーザはPCを介して再度のプリンタジョブの投入等をすることなく、他の画像処理装置40を操作することで、他の画像処理装置40が書誌情報をサーバ20から取得する。そして、書誌情報により、その印刷データの記憶場所などを特定する。その後、他の画像処理装置40が画像処理装置30から該当する印刷データを受信して、他の画像処理装置40から印刷データの出力処理が実行されることになる。
【0029】
書誌情報削除手段3006はサーバに登録された任意の書誌情報を削除する。例えば、画像処理装置30自身にて印刷データの出力処理を行う場合には、サーバから書誌情報を受信したことと併せてその書誌情報をサーバから削除する要求を行う。書誌情報を削除することで、他の画像処理装置40などによる重複した印刷データの出力処理が行われずに済む。
【0030】
書誌情報取得要求手段3007はサーバに書誌情報の送信依頼を行なう。例えば、画像処理装置40の書誌情報登録手段4005にて登録された書誌情報の送信依頼を行うことも可能であるし、また、画像処理装置30自身によって登録した書誌情報の送信依頼を行うことも可能である。書誌情報の送信依頼を行うということは、画像処理装置30において、その書誌情報にて特定される印刷データの印刷出力を実行することを意味する。さらには、画像処理装置30において、印刷データの印刷出力を行う能力を有すること、換言すれば、エラー等が発生していないことをも意味する。
【0031】
書誌情報受信手段3008はサーバから書誌情報の受信を行なう。書誌情報を受信した場合には、上述した書誌情報削除手段3006によってサーバに登録している書誌情報を削除する処理が行なわれる。
【0032】
印刷データ取得要求手段3009は他の画像処理装置に任意の印刷データの送信依頼を行なう。この印刷データ取得要求手段3009は、取得した書誌情報にて特定される印刷データの保管場所が他の画像処理装置である場合に用いられる。印刷データ自体は情報処理装置から受信した画像処理装置自体が保持しているため、その画像処理装置に対して該当する印刷データの送信要求を行うことになる。
【0033】
第2の印刷データ受信手段3010は他の画像処理装置から任意の印刷データの受信を行なう。本実施形態では、情報処理装置からの印刷データを受信する手段を第1の印刷データ受信手段3001とし、他の画像処理装置からの印刷データを受信する手段を第2の印刷データ受信手段3010とした。しかしながら、両者を共通化させた印刷データ受信手段(図示せず)を用いてもよいことはもちろんである。
【0034】
印刷データ取得要求受付手段3011は他の画像処理装置から任意の印刷データの送信依頼を受け付ける。例えば、他の画像処理装置40の印刷データ取得要求手段4009からの要求を受け付ける。印刷データ送信手段3012は他の画像処理装置に任意の印刷データを送信する。印刷データを送信した後に、その印刷データを削除することができる。
【0035】
ユーザ認証手段3013は画像処理装置30をユーザが使用する際のユーザ認証を行う。ユーザ認証DBは画像処理装置30内にあっても、他の認証サーバが有していても良い。印刷手段3014は印刷データを画像処理装置の印刷エンジン307が印刷可能な形式に変換し、印刷エンジン307を用いて印刷出力を行う際の制御全般を行う。印刷データ削除手段3015は印刷データを補助記憶装置303から削除する。印刷データの削除は、印刷手段3014による印刷が実行される場合、または印刷データ送信手段3012による他の画像処理装置への印刷データの送信が実行される場合に行なわれる。
【0036】
印刷能力検知手段3016は、印刷手段3014が所望する印刷データの印刷出力機能の使用可否を検知する。すなわち、印刷能力検知手段3016は、印刷データの即時印刷が可能か不可か判断を行う。本実施形態では、印刷不可な場合とは、印刷出力機能の使用が不可であることをいう。例えばジャムまたはトナー無し、または用紙無しにより所望する印刷データの印刷出力ができない場合が挙げられる。または、所望する印刷データ以外の第2の印刷データによる印刷出力が実行されている場合(例えば他人による大量の印刷出力の実行中)が挙げられる。あるいは、第2の印刷データによる印刷出力がジャムまたはトナー無しまたは用紙無しにより停止している場合が挙げられる。これらの印刷不可な状態を判断する方法としては、プリンタ内部に含まれる各種のセンサを用いて行なう方法が挙げられるが、これらの検知方法は周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。なお、検知結果が印刷可能な場合とは、上記に当てはまらない場合とする。
【0037】
画像処理装置(第2の画像処理装置)40は第1の印刷データ受信手段4001、印刷データ記憶手段4002、ユーザ識別情報抽出手段4003、書誌情報作成手段4004、書誌情報登録手段4005を有する。また、書誌情報削除手段4006、書誌情報取得要求手段4007、書誌情報受信手段4008、印刷データ取得要求手段4009、第2の印刷データ受信手段4010、印刷データ取得要求受付手段4011を有する。また、印刷データ送信手段4012、ユーザ認証手段4013、印刷手段4014、印刷データ削除手段4015、印刷能力検知手段4016を有する。これら手段は画像処理装置40のRAM302上に読み込まれ、CPU301が有する情報処理能力を用いて処理を行うプログラムである。処理の内容は、画像処理装置30が有する3001〜3016と同様なので説明は省略する。
【0038】
サーバ20は、書誌情報登録受付手段2001、書誌情報登録手段2002、書誌情報削除受付手段2003、書誌情報削除手段2004、書誌情報取得受付手段2005、書誌情報送信手段2006を有する。これら手段はサーバ20のRAM202上に読み込まれ、CPU201が有する情報処理能力を用いて以下の処理を行うプログラムである。
【0039】
書誌情報登録受付手段2001は画像処理装置30、40からの書誌情報登録要求を受け付ける。書誌情報登録手段2002は書誌情報登録受付手段2001で受け付けた書誌情報をサーバ20の補助記憶装置203に保存する。保存した書誌情報は任意のタイミングでサーバ20の各プログラムから参照可能とする。書誌情報削除受付手段2003は、画像処理装置30、40からの書誌情報削除要求を受け付ける。書誌情報の削除については、書誌情報を送信した先の画像処理装置から要求されることになる。
【0040】
書誌情報削除手段2004は書誌情報削除受付手段2003で受け付けた書誌情報削除要求により書誌情報の削除を行なう。書誌情報取得受付手段2005は画像処理装置30、40からの書誌情報取得要求を受け付ける。書誌情報送信手段2006は、書誌情報受付手段2006で受け付けた書誌情報取得要求に対して書誌情報の送信を行なう。なお、サーバ20は、書誌情報を送信した場合には、例えば書誌情報を管理する書誌情報リスト(図17参照)に書誌情報を送信したことを示すフラグを立てることができる(図示せず)。この場合、フラグが立っているということは既にいずれかの画像処理装置にて印刷出力が行なわれていることを意味する。したがって、続けて別の画像処理装置から書誌情報の要求があった場合には、フラグを参照して、要求元の画像処理装置に対して、既に他の画像処理装置にて印刷出力が行なわれている旨の表示をさせる情報を送信することも可能である。このような状態は、具体的にはエラーが発生したために別の画像処理装置でユーザが印刷出力をしようとした場合に、エラーが発生していた元の画像処理装置のエラーが回復した場合に発生する。このような場合に、ユーザに対して既に他の画像処理装置で印刷中であることを示すことによって、ユーザに現在のプリンタステータスを正確に通知することができる。
また2001から2006の構成を有するサーバは画像処理装置30又は40に含まれていても良い。
【0041】
図15は画像処理装置30に登録済みのサーバ登録情報の一例である。本実施例では、サーバ登録情報1500はサーバ20のIPアドレス1501とする。前述の書誌情報登録手段3005、書誌情報削除手段3006、書誌情報取得要求手段3007は、サーバ登録情報1500に記載されているサーバに対して処理を行う。本実施形態では、同様のサーバ登録情報1500が画像処理装置40にも登録済みとする。
【0042】
図16は前述の書誌情報作成手段3004、4004が作成する書誌情報の一例である。書誌情報1600は印刷データ名1601、保管場所1602、ユーザ識別情報1603が記載されている。保管場所1602は、印刷データを情報処理装置から受信した画像処理装置のIPアドレスを示している。ユーザ識別情報1603は、この印刷データを印刷しようとするユーザIDを示している。
【0043】
図17はサーバ20が管理する書誌情報リストの一例である。書誌情報リスト1700には、複数の書誌情報が管理されている。画像処理装置30の書誌情報取得要求手段3007により、ユーザIDを含む書誌情報取得要求を受信すると、サーバは書誌情報からユーザIDを抽出してそのユーザIDに関する書誌情報一覧を画像処理装置30に送信する。あるいは、画像処理装置30において、ユーザ認証処理が行なわれた場合には、その認証されたユーザIDに関する書誌情報一覧を画像処理装置に送信してもよい。画像処理装置40に対しても同様である。
【0044】
図18はサーバ20が、書誌情報取得受付手段2005により、ユーザIDとともに、書誌情報取得要求を受け付けた際に作成する書誌情報リストの一例である。本例は、前述の書誌情報リスト1700から、「ユーザID=kaneko」に該当する書誌情報のみを抽出した例である。一例としては、この書誌情報リスト1800が画像処理装置の画像表示装置304上に表示され、ユーザがユーザコマンド入力装置305を用いることで、どの印刷データを印刷するかを指定することができる。
【0045】
図6は、PC10が画像処理装置30に印刷データを送信する際に使用する送信画面の一例である。601は送信先プリンタ指定エリア、602は印刷ボタン、603はキャンセルボタンである。送信先プリンタ指定エリア601で画像形成装置30を指定して、印刷ボタン602を押下すると、印刷データ送信手段1003により印刷データが画像形成装置30に送信される事とする。なお、送信される印刷データには、書誌情報で用いられる印刷データ名およびユーザ識別情報が付与される。
【0046】
図7は画像処理装置30、40の画像表示装置304、ユーザコマンド入力装置305の実装例を示している。図7はタッチパネル部701、キー入力部702を有している。タッチパネル部701は画像処理装置が有する機能に関する表示を行うと共に、ボタン等をユーザが押下し画像処理装置に所望の指示をおくるために使用する。本実施例では、タッチパネル部701は画像処理装置の機能をタブページで切り替える事が可能である。キー入力部702はタッチパネル部と併用し、ユーザの指示を画像処理装置に送る際に使用する。
【0047】
図8はタッチパネル部701に表示するログイン画面の一例である。801はユーザID入力エリア、802はパスワード入力エリア、803はログインボタンである。ユーザID入力エリア801、パスワード入力エリア802に入力し、ログインボタンを押下する事で、画像処理装置が有する認証手段によりユーザ認証が行われ、画像処理装置の各プログラムはログインユーザに応じた処理が可能になるものとする。前述のとおり、本実施形態においてはユーザ認証手段は限定しない。画像処理装置内のユーザDBに対する認証であっても、認証サーバが有するユーザDBに対する認証であっても良い。また、ログイン画面800を用いずに、ICカードなどによるユーザ認証システムであってもよい。画像処理装置のログイン処理が行なわれると、その画像処理装置で該当ユーザの印刷出力が可能となる。なお、ユーザは必ずしも個人ユーザでなくてもよく、例えばグループを単位とするユーザであってもよい。
【0048】
図9はタッチパネル部701に表示する中断ジョブ画面の一例である。901は印刷データ一覧表示エリア、902は印刷ボタン、903は削除ボタンである。印刷データ一覧表示エリア901は印刷データの一覧を表示する。印刷データ一覧表示エリア901で所望の印刷データを選択し、印刷ボタン902を押下すると、印刷手段3014により印刷出力が実施されるものとする。また、印刷データ一覧表示エリア901で所望の印刷データを選択し、削除ボタン903を押下すると、印刷データ削除手段3015により該印刷データが補助記憶装置303から削除される。一例としては、印刷データ一覧表示エリア901に表示される情報は、サーバに登録される書誌情報に基づいて表示される。そして、ユーザが所望の印刷データを選択して印刷ボタン902を押下すると、書誌情報の取得・削除処理または印刷データの取得処理等が行なわれることになる。なお、画像処理装置にエラーが発生している場合に、ユーザが中断ジョブ画面を操作して任意で書誌情報を登録することも可能である。
【0049】
図10はPC10が画像処理装置30に印刷データを送信する際の、PC10、画像処理装置30、サーバ20の処理の概要を示すフローの一例である。ユーザがPC10にログインし(S1001)、任意のアプリケーションからデータの印刷機能を選択すると(S1002)、送信用画面600が表示される(S1003)。プリンタ指定エリア601で画像処理装置30を指定して印刷ボタン602を押下すると(S1004)、印刷データ送信手段1003はユーザ識別手段1001を用いて、PCのログインユーザIDを識別(S1005)する。そして、識別したログインユーザIDを印刷データに付与(S1006)し、印刷データ送信手段1003により、指定された印刷データが画像処理装置30に送信される(S1007)。
【0050】
画像処理装置30は、第1の印刷データ受信手段3001により印刷データを受信すると、印刷データ記憶手段3002により補助記憶装置303に印刷データを保存する(S1008)。そして、ユーザ識別情報抽出手段3003により、印刷データに付与されたユーザIDを抽出し(S1009)、図16に示される書誌情報1600を作成し(S1010)、書誌情報登録手段3005により、サーバ20に書誌情報を登録する(S1011)。このように本実施形態においては、画像処理装置において印刷が可能であるか否かの検知結果に関わらず、まずは書誌情報を登録する処理が行なわれる。サーバ20は書誌情報登録受付手段2001で書誌情報の登録要求を受け付けると(S1011)、書誌情報1600を補助記憶装置203に保存する(S1012)。書誌情報1600をサーバ20に登録すると、画像処理装置30は印刷能力検知手段3016により、自身の印刷能力の検知を行う(S1013)。S1013において、印刷能力検知手段3016が印刷可と判断した場合は図11の印刷出力処理に進む。また、印刷能力検知手段3016が印刷不可と判断した場合には、他の画像処理装置、具体的には画像処理装置40などで印刷が行なわれることとなる。他の画像処理装置40における印刷出力処理の概要は図12に示す。
【0051】
図11は図10のS1013で、印刷可と判断した場合の、画像処理装置30における印刷出力処理の概要を示すフローの一例である。印刷能力検知手段3016がS1008で受信した印刷データの印刷出力を可と判断した場合、書誌情報取得要求手段3007により、画像処理装置30はサーバ20に書誌情報取得要求を行う(S1101)。書誌情報取得受付手段2005は、ユーザIDと共に書誌情報取得要求を受け付けると、指定されたユーザIDに対応する書誌情報リスト1800を書誌情報送信手段2006により画像処理装置30に送信する(S1102)。画像処理装置30は印刷データに関する書誌情報の取得に成功すると、書誌情報削除手段3006により、サーバにこの印刷データの書誌情報削除を依頼する(S1103)。サーバ20の書誌情報削除手段2004はこの印刷データの書誌情報の削除処理を行い(S1104)、処理の結果を画像処理装置30に通知する(S1105)。S1105で書誌情報の削除の成功が通知されると、印刷手段3014はこの印刷データの印刷出力を行い(S1106)、印刷データ削除手段3015により印刷データを削除する(S1107)。なお、本実施形態では、S1102で、所望する印刷データの書誌情報が取得できた場合、かつ、S1105で印刷データの書誌情報をサーバから削除成功したと判断した場合に、印刷出力S1106を行う事とする。印刷データに関する書誌情報取得、書誌情報削除に失敗した場合は、印刷出力は行わない。この場合は、他の画像処理装置(たとえば画像処理装置40)が、この印刷データの印刷処理をしている事を示しておりその場合の2重印刷を禁止するための制御である。
【0052】
図12は図10のS1013で、印刷不可と判断した場合、他の画像処理装置40で印刷出力を行う場合の処理概要を示すフローの一例である。印刷能力検知手段3016がS1008で受信した印刷データの印刷出力を不可と判断した場合、画像処理装置30は該印刷データの印刷処理を中断する。印刷データの印刷処理が中断している場合、本発明では他の画像処理装置(たとえば画像処理装置40)での代替印刷処理が可能である。以下では画像処理装置40における処理を中心に説明する。ユーザは画像処理装置40のユーザ認証画面800により、画像処理装置40にログインする(S1201)。ユーザがログインすると、書誌情報取得要求手段4007はサーバに該ユーザに関する書誌情報リスト1800の取得要求を行う(S1202)。書誌情報受信手段4008が書誌情報リスト1800を受信すると、中断ジョブ画面900に中断中の印刷データ一覧を表示する(S1205)。ユーザが中断ジョブ画面900で特定の印刷データを指定して印刷ボタンを押下すると(S1204)、書誌情報取得要求手段4007は、指定された印刷データの書誌情報取得依頼をサーバに通知する(S1206)。該印刷データの書誌情報の取得に成功すると、書誌情報削除手段4006はサーバ20に該印刷データの書誌情報削除要求を送信する(S1207)。サーバ20の書誌情報削除受付手段2003は、書誌情報削除要求を受け付けると、該印刷データの書誌情報削除処理を行い(S1208)、処理結果を画像処理装置40に通知する(S1209)。画像処理装置40は書誌サーバの削除に成功したと判断すると、印刷データ取得要求手段4009により、書誌情報に記載されている保管機器(画像処理装置30)に対して、印刷データの取得要求を行う(S1210)。印刷データを取得すると、画像処理装置40は、印刷手段4014により、該印刷データの印刷処理を行い(S1211)、印刷データ削除手段4015により、画像処理装置30に対して、該印刷データの削除要求を行う(S1212)。本実施形態では、S1209で書誌情報削除に失敗すると判断した場合、画像処理装置40は代替印刷を実施しない事とする。
【0053】
図13は、図10のS1013で、印刷不可と判断した後に印刷可能となった場合の画像処理装置30で印刷出力を行う場合の処理概要を示すフローの一例である。すなわち、エラー等が回復した画像処理装置30で印刷出力を行う場合の例を示す。なお、本フローでは印刷可能となった場合に印刷出力を再開するが、再度エラーが発生した場合の処理の説明も行う。印刷可能となると、書誌情報取得要求手段3007により、該印刷データの書誌情報の取得を試みる(S1301)。なお、図示していないが、図12に示すように書誌情報リスト1800をユーザに提供して、ユーザからの選択を受け付ける形態を採ってもよい。該印刷データの書誌情報の取得に成功すると、書誌情報削除手段3006により、該印刷データに関する書誌情報の削除要求をサーバ20に対して発行する(S1302)。サーバ20は書誌情報削除処理を行い(S1303)、処理結果を画像処理装置30に通知する(S1304)。書誌情報削除に成功したと判断すると、印刷手段3014により該印刷データを印刷出力する(S1305)。ここで、再度エラーなどが発生し、印刷出力の継続ができない場合、印刷手段3014は印刷出力を停止し(S1306)、再度該印刷データに関する書誌情報をサーバに登録する(S1307)。
【0054】
なお、S1106、S1211、S1305における印刷出力処理中も随時印刷能力検知を行う。印刷不可と判断した場合は、再びサーバに書誌情報を登録する事とする。詳細は図14で説明する。
【0055】
図14は画像処理装置30おける処理全体を示すフローチャートの一例である。図14では主に、PCから印刷データを受信した際の処理、印刷データの印刷処理、ユーザログイン処理を説明する。
【0056】
画像処理装置40は起動すると、初期化処理を行う。初期化処理とは、たとえばS1402、S1403のように処理ポートをオープンしイベント待機状態となる事を指す。以降、ユーザからの要求やネットワーク通信などをトリガとして、さまざまな処理が可能となる。
【0057】
PCから印刷データを受信すると(S1405)、印刷データを保存し(S1406)、ユーザIDを抽出し(S1407)、書誌情報を作成し(S1408)、書誌情報をサーバに登録し(S1409)、再びイベント待機状態を保持する。
【0058】
ユーザからの印刷データ印刷要求を受け付けると(S1410)、印刷能力を検知する(S1411)。S1412で印刷可不可と判断するとイベント待機状態を保持する。S1412で印刷可と判断したら、書誌情報を取得し(S1413)、サーバ上から書誌情報を削除する(S1415)。書誌情報の削除に成功すると、印刷対象の印刷データが自装置内に存在するか判断し(S1417)、印刷データが存在する場合は印刷出力を行う(S1419)。印刷データが存在しない場合は、たとえば画像処理装置40から印刷データを取得する(S1418)。印刷が完了したら印刷データを削除し(S1421)、イベント待機状態を保持する。印刷中のエラーなどにより、印刷が完了できない状態になった場合には、サーバに書誌情報を登録し(S1422)、イベント待機状態を保持する。S1422の処理により、印刷中断した場合には、他の画像処理装置からの印刷処理が可能となる。ここで(S1423)、再び印刷可能と判断した場合はS1413の処理に戻る事が可能である。
【0059】
ユーザからのログイン要求があった場合、ユーザIDに関連した書誌情報を取得し(S1425)、取得した書誌情報を一覧表示し(S1427)、イベント待機状態を保持する。
画像処理装置40も同様の処理を行う事とする。
【0060】
以上説明した実施形態においては、画像処理装置が書誌情報をサーバに登録しておき、この書誌情報を取得した画像処理装置が印刷データを印刷出力できる構成となっている。このため、ユーザは、画像処理装置が何らかのエラーで機能していない場合には、PCに戻ることなく直ちに別の任意の画像処理装置を操作して、所望する印刷データを直ちに印刷出力することが可能となる。また、かかる処理を行なうに際しては、ユーザがPCに事前設定しておく必要はない。さらには、所望する任意の画像処理装置で印刷出力が可能となる。例えば、ユーザが会議用の資料を大量印刷する際に、普段使用しているプリンタにエラーが発生している場合には、自席に戻ることなく会議室近辺の空いているプリンタを操作して会議用の資料をその場で入手することが可能となる。また、会議室近辺のプリンタにもエラーが発生した場合であっても、さらに隣のプリンタなどを使用して印刷出力を行なうこと等が可能となるため、利便性が向上する。特に、ユーザ側のPCなどは既存のインフラをそのまま使用することができるため、システム管理・運用上の労力を低減することも可能となる。
【0061】
<実施形態2>
実施形態1においては、画像処理装置は印刷データを受信した場合に書誌情報を登録する処理を行う例について説明を行なった。実施形態2においては、印刷能力検知手段3016によって印刷出力機能の使用が不可を示す場合にのみ、書誌情報を登録する例について説明する。換言すると、印刷出力機能の使用が可である場合には、そのまま受信した印刷データの印刷出力処理が行なわれることになる。
【0062】
実施形態2の構成については、実施形態1で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略して、相違する処理の部分について説明を行なう。
【0063】
図5は、実施形態2の画像処理装置の処理の流れを示す図である。S1901で印刷データをPCから受信すると、S1902で印刷データの保存処理が行なわれる。そして、S1903にて即時印刷が可能であるか否かを判断する。即時印刷が可能である場合には、S1904、S1905と処理を進めて、RIP(Raster Image Processor)でラスターイメージ処理が行なわれて印刷出力処理が行なわれる。一方、S1903で即時印刷が可能でないと判断された場合には、S1908へ進み、書誌情報の登録処理が行なわれる。また、S1905の印刷処理が正常に終了しなかった場合には、同様に書誌情報の登録が行なわれる。以降の処理については、実施形態1で説明したものと同様である。
【0064】
<その他の実施形態>
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0065】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0066】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から印刷データを受信し、該印刷データを格納する印刷データ入力手段と、
前記入力した印刷データを特定するための書誌情報を登録する書誌情報登録手段と、
前記入力した印刷データを印刷するための印刷出力機能の使用可否を検知する検知手段と、
前記検知手段による結果が印刷出力機能の使用の不可を示す場合に、
前記書誌情報を取得することが可能な他の画像処理装置からの印刷データの要求に応じて、
前記書誌情報にて特定される前記印刷データ入力手段に入力した印刷データを当該他の画像処理装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記書誌情報登録手段は、前記検知手段の結果に関わらず前記書誌情報を登録し、
前記画像処理装置、および前記他の画像処理装置による印刷出力は、前記登録された書誌情報を取得することをトリガとして実行されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記書誌情報登録手段は、前記検知手段の結果が、印刷出力機能の使用が不可を示す場合にのみ、前記書誌情報を登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記登録された書誌情報は、当該書誌情報を取得し印刷出力を実行する際に、当該印刷出力を実行する画像処理装置による削除要求によって削除されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
ユーザからの書誌情報の入力を受け付ける書誌情報登録受付手段をさらに備え、
前記書誌情報登録手段は、前記入力された書誌情報を登録することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記登録された書誌情報を取得する書誌情報取得手段をさらに備え、
前記書誌情報取得手段は、
前記書誌情報登録手段による登録が完了した後に前記検知手段における検知結果が印刷出力機能の使用が可能であることを示す場合に、前記入力した印刷データについての印刷出力を当該画像処理装置が実行するために、前記登録された書誌情報を取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記書誌情報取得手段によって書誌情報が取得された後でありかつ当該書誌情報の削除される前に他の画像処理装置から書誌情報取得の要求があった場合には、当該他の画像処理装置に対して別の画像処理装置にて印刷中であることを表示させるための情報を送信すること特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記検知手段が検知する印刷不可な場合とは、
ジャム、トナー無し、他の印刷データによる印刷出力の実行中、または用紙無しにより印刷データの印刷出力ができない場合、のいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
情報処理装置から印刷データを受信し、該印刷データを格納する印刷データ入力ステップと、
前記入力した印刷データを特定するための書誌情報を登録する書誌情報登録ステップと、
前記入力した印刷データを印刷するための印刷出力機能の使用可否を検知する検知ステップと、
前記検知ステップによる結果が印刷出力機能の使用の不可を示す場合に、
前記書誌情報を取得することが可能な他の画像処理装置からの印刷データの要求に応じて、
前記書誌情報にて特定される前記印刷データ入力ステップに入力した印刷データを当該他の画像処理装置に送信する送信ステップと
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記書誌情報登録ステップは、前記検知ステップの結果に関わらず前記書誌情報を登録し、
前記画像処理装置、および前記他の画像処理装置による印刷出力は、前記登録された書誌情報を取得することをトリガとして実行されることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
前記書誌情報登録ステップは、前記検知ステップの結果が、印刷出力機能の使用が不可を示す場合にのみ、前記書誌情報を登録することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記登録された書誌情報は、当該書誌情報を取得し印刷出力を実行する際に、当該印刷出力を実行する画像処理装置による削除要求によって削除されることを特徴とする請求項9から11のいずれか1つに記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
ユーザからの書誌情報の入力を受け付ける書誌情報登録受付ステップをさらに備え、
前記書誌情報登録ステップは、前記入力された書誌情報を登録することを特徴とする請求項9から12のいずれか1つに記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
前記登録された書誌情報を取得する書誌情報取得ステップをさらに備え、
前記書誌情報取得ステップは、
前記書誌情報登録ステップによる登録が完了した後に前記検知ステップにおける検知結果が印刷出力機能の使用が可能であることを示す場合に、前記入力した印刷データについての印刷出力を当該画像処理装置が実行するために、前記登録された書誌情報を取得することを特徴とする請求項9から13のいずれか1つに記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
前記書誌情報取得ステップによって書誌情報が取得された後でありかつ当該書誌情報の削除される前に他の画像処理装置から書誌情報取得の要求があった場合には、当該他の画像処理装置に対して別の画像処理装置にて印刷中であることを表示させるための情報を送信すること特徴とする請求項14に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項16】
前記検知ステップが検知する印刷不可な場合とは、
ジャム、トナー無し、他の印刷データによる印刷出力の実行中、または用紙無しにより印刷データの印刷出力ができない場合、のいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする請求項9から15のいずれか1つに記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに請求項9から16のいずれか1つに記載の制御方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−211627(P2010−211627A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58469(P2009−58469)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】