説明

画像処理装置、プレビュー画像表示方法及びプレビュー画像表示プログラム

【課題】1つの処理対象データに別々に複数の画像処理を実施する際に、限られた表示領域を有効利用しつつ、ユーザが各処理毎の処理結果や差異の比較等を容易に確認できる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理手段11と、表示手段112と、前記画像処理手段による各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を前記表示手段に同時に表示させる制御手段11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿画像等の処理対象データに画像処理を付加する場合、処理付加後の状態を処理の実行前にプレビュー表示可能な画像処理装置、該画像処理装置で実行されるプレビュー画像表示方法及びプレビュー画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を集約した多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals)等の画像処理装置として、プレビュー表示機能を備えたものが知られている。
【0003】
このプレビュー表示機能は、MFPで処理対象データに付加する画像処理を設定し、その設定した処理結果を処理対象データにマージ(Merge)して表示することができる。また、詳細を確認したい場合に、このプレビュー画像を拡大して表示できるようにした技術も知られている(例えば特許文献1、2)。
【0004】
ところで、MFPの機能操作において、1つの処理対象データに対して複数の異なる画像処理が別々に付加される場合がある。
【0005】
例えば、MFPによるファクシミリ(FAXともいう)送信において、送信時に送信者識別(TTI)を指定して、ヘッダーに付加する名前や番号を変更する機能があり、また1つの原稿を同報送信する際、送信宛先に応じて、異なる送信者識別を指定して送信する機能もある。さらにまた、記憶領域であるボックス(Box)毎に実施する画像処理を関連付けておき、ボックスに保存されるデータに対して関連付けられた画像処理を施しつつボックスに保存するといった機能もある。
【0006】
また、特許文献3には、複数のパターンイメージを登録しておき、入力画像における処理対象部位に、選択した登録パターンイメージを付加することができる画像処理装置において、登録されたパータンを判別するために、複数のサムネイル(パターンイメージ一覧の一部ないしは全部)を並べて表示するようした技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−130333号公報
【特許文献2】特開2009−302759号公報
【特許文献3】特開平9−13575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、処理対象データに対する1つの処理結果しかプレビュー表示できないと、ボックスや宛先毎に設定された複数の画像処理の結果を確認しようとした場合、1つのプレビュー画像を選択して拡大表示する個所を指定して確認し、その後、また次の画像を選択し拡大表示する個所を指定して確認するといった操作を何度も繰り返すことになり、操作に手間がかかる。
【0009】
また、プレビュー画像を一律に同じ大きさのサムネイルで並べて表示する方法では、1つの処理対象データに対して別々に行われる複数の処理結果を確認する場合、処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所が非常に小さい個所であると、それぞれの変更箇所の差異が分かりにくい。また、たとえプレビュー画像を一律に同じ大きさや拡大率で並べて表示したとしても、変更箇所の場所や大きさがまちまちであると、確認に不必要な箇所まで無駄に表示されることになる。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、1つの処理対象データに別々に複数の画像処理を実施する際に、限られた表示領域を有効利用しつつ、ユーザが各処理毎の処理結果や差異の比較等を容易に確認できる画像処理装置、及び該画像処理装置で実行されるプレビュー画像表示方法を提供し、さらには画像処理装置のコンピュータに前記プレビュー画像表示方法を実行させるためのプレビュー画像表示プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決される。
(1)1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理手段と、表示手段と、前記画像処理手段による各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を前記表示手段に同時に表示させる制御手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2)前記制御手段は、前記変更箇所に応じてプレビュー画像の表示エリアを変更する前項1に記載の画像処理装置。
(3)前記制御手段は、各変更箇所における差異部分を表示手段に表示させる前項1または2に記載の画像処理装置。
(4)ユーザが表示させたい変更箇所を指示する指示手段を有し、前記制御手段は、前記指示手段による指示に従って変更箇所を抽出し、プレビュー画像を表示させる前項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)前記制御手段は、表示画面に対するユーザの操作に応じてプレビュー画像の表示エリアを変更する前項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップにおける各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を表示手段に同時に表示させる制御ステップと、を備えたことを特徴とする画像処理装置におけるプレビュー画像表示方法。
(7)1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップにおける各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を表示手段に同時に表示させる制御ステップと、を、画像処理装置のコンピュータに実行させるためのプレビュー画像表示プログラム。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)に記載の発明によれば、1つの処理対象データに対する複数の画像処理が別々に行われるときに、各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所が画像処理毎に抽出され、これらの抽出された変更箇所を示す複数のプレビュー画像が例えばアコーディオン表示方式等により表示手段に同時に表示される。
【0013】
このように、元の処理対象データから変更される変更箇所のみが複数のプレビュー画像として同時に表示されるから、従来のように、1つのプレビュー画像の表示を順番に切り替え拡大表示して処理結果を確認するような手間を要することなく、ユーザは各処理毎の処理結果や差異の比較等を容易に確認することができる。
【0014】
しかも、変更箇所がプレビュー表示されるから、限られた表示領域であっても多くのプレビュー画像を表示できると共に、変更箇所が非常に小さい個所であっても、画像処理後のデータの全体をサムネイル表示する場合のように、確認作業を行い難いといった不都合はなく、各処理結果の比較等を的確に行うことができる。
【0015】
前項(2)に記載の発明によれば、変更箇所の位置や大きさに適したプレビュー画像を表示できる。
【0016】
前項(3)に記載の発明によれば、各変更箇所における差異部分がプレビュー画像として表示されるので、ユーザはさらに容易に差異部分を認識できる。
【0017】
前項(4)に記載の発明によれば、ユーザが特に確認したい部分等、ユーザの意図を反映したプレビュー画像を表示できる。
【0018】
前項(5)に記載の発明によれば、表示画面に対するユーザ操作に応じて、プレビュー画像の表示/非表示を任意に選択したり、あるいはプレビュー画像の表示エリアを拡大/縮小したりすることができる。
【0019】
前項(6)に記載の発明によれば、元の処理対象データから変更される変更箇所を示す複数のプレビュー画像が同時に表示されるから、従来のように、1つのプレビュー画像の表示を順番に切り替え拡大表示して処理結果を確認するような手間を要することなく、ユーザは各処理毎の処理結果や差異の比較等を容易に確認することができる。しかも、変更箇所がプレビュー表示されるから、限られた表示領域であっても多くのプレビュー画像を表示できると共に、変更箇所が非常に小さい個所であっても、画像処理後のデータの全体をサムネイル表示する場合のように、確認作業を行い難いといった不都合はなく、各処理結果の比較等を的確に行うことができる。
【0020】
前項(7)に記載の発明によれば、各画像処理による変更箇所を示す複数のプレビュー画像を表示手段に同時に表示する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置により1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に実施し、変更箇所を抽出して同時にプレビュー表示させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ファクシミリ送信する際のプレビュー画像の表示例を示す図である。
【図4】登録されているボックスに原稿を振り分ける場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。
【図5】振り分け用のボックスに複数の画像処理設定がなされている場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。
【図6】ユーザが表示したい変更箇所を指示したときのプレビュー画像の表示例を示す図である。
【図7】プレビュー画像を非表示にした例を示す図である。
【図8】プレビュー画像の表示エリアを拡大した例を示す図である。
【図9】プレビュー画像の表示エリアを縮小した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、画像処理装置として前述した多機能デジタル画像形成装置であるMFPが用いられている。
【0024】
図1において、このMFPは、CPU1と、RAM2と、ROM3と、不揮発性メモリ4と、記憶部5と、USBインターフェース(I/F)部6と、ネットワークカード7と、FAXモデム8と、スキャナ部9と、プリンタ部10と、操作パネル部11とを備えており、これら各部1〜11は、バス12に接続されている。
【0025】
前記CPU1は、MFPの全体の動作を統括制御する制御手段を構成するものであり、コピー動作、プリント動作、FAX送受信動作、スキャナ動作等、MFPの基本的な動作を制御する。さらにこの実施形態では、CPU1は、1つの処理対象データ(同一の処理対象データ)に対して予め設定された複数の画像処理を別々に行ったり、画像処理前後のデータの変更箇所を抽出し、これら変更箇所を複数のプレビュー画像として、操作パネル11の表示部112に表示させる等の制御を行うが、詳細は後述する。
【0026】
前記RAM2は、CPU1が動作する際の作業領域を提供するメモリである。
【0027】
前記ROM3は、CPU1の動作プログラムやその他のデータが格納されたメモリである。
【0028】
前記不揮発性メモリ4は、処理対象データに画像処理の一つとして付加されるウォーターマークや地紋パターンなどのデータ等を保持している。
【0029】
前記記憶部5は例えばハードディスク装置からなり、スキャナ部9で読み込まれた画像データ、外部のユーザ端末等から送信されたプリントデータ、FAX受信データ等を記憶する。この記憶部5には、ボックス(BOX)と呼ばれる複数の記憶領域が形成されており、各ボックスに各種のデータを区分けして保存することができるものとなされている。
【0030】
前記USBインターフェース(I/F)部6は、USB接続機器との間でのデータの授受を仲介するものである。
【0031】
前記ネットワークカード7は、ネットワーク上の機器であるパーソナルコンピュータからなるユーザ端末やサーバ(いずれも図示せず)等との間で、データの送受信を行うためのものである。
【0032】
前記FAXモデム8は、指定された宛先との間でFAX送受信を行うための変復調装置である。
【0033】
前記スキャナ部9は、原稿台上の原稿の画像を読み取って電子データである画像データに変換する画像読み取り手段である。
【0034】
前記プリンタ部10は、前記スキャナ部9で読み取られた画像データや、ネットワークを介して外部から送信されたプリントデータ等を用紙に印刷するエンジン部である。
【0035】
前記操作パネル部11は、スタートキー、ストップキー、テンキー等のハードキーを備えたキー部111と、LCDタッチパネル等からなる表示部112とから構成されている。この実施形態では、操作パネル部11は、ユーザがプレビュー表示したい変更箇所を指示する指示手段としても機能する。
【0036】
また表示部112は、一つの処理対象データに対して画像処理が別々に行われたときの画像処理前後のデータの変更箇所をプレビュー画像として表示可能であり、さらに、表示部112の表示画面をユーザが例えばタッチ操作することで、表示された画像の拡大、縮小、移動等が可能となっている。
【0037】
前記処理対象データとしては、(1)前記記憶部5に保存されている画像データの中から読み出された画像データ、(2)USBインターフェース(I/F)部6を介して外部のUSB機器から送信された画像データ、(3)ネットワークカード7を介してユーザ端末やサーバから送信された画像データ、(4)FAXモデム8を介して受信した画像データ、(5)スキャナ部9を介して読み取られた原稿の画像データ、等があるが、これらに限定されることはない。
【0038】
また、処理対象データに画像処理が実施された後の出力形態としては、(1)前記記憶部5への保存、(2)USBインターフェース(I/F)部6を介して外部のUSB機器に送信、(3)ネットワークカード7を介してユーザ端末やサーバに送信、(4)FAXモデム8を介して指定された宛先に送信、(5)プリンタ部10による用紙への印刷、等が挙げられる。
【0039】
上記の構成におけるMFPは、1つの処理対象データに対して複数の異なる画像処理を別々に実施する機能を有しており、この機能を利用した時に、それぞれ元の処理対象データから画像処理によって変更された変更箇所を画像処理毎に抽出し、抽出した画像処理毎の変更箇所をプレビュー画像として表示部112に同時にかつアコーディオン表示方式等により並列にプレビュー表示させるようになっている。
【0040】
図2は、MFPにおいて、1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に付加し、変更箇所を抽出して同時にかつ並列にプレビュー表示させる処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、MFPのCPU1がROM3等の記録媒体に記録されている動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0041】
ステップS1で、ユーザの操作に基づいて、処理対象データ及び画像処理の内容を特定したのち、ステップS2で、画像処理後のデータの出力先が複数か否かを判断し、出力先が複数でなければ(S2でNO)、画像処理も一つと考えられるから、ステップS5では1つのプレビュー画像を作成し、操作パネル11の表示部112に表示する。
【0042】
一方、出力先が複数であれば(S2でYES)、ステップS3に進み、データの出力先に応じて付加する画像処理が異なるか否かを判断する。同じであれば(S3でNO)、前記ステップS5に進み、1つのプレビュー画像を作成し、操作パネル11の表示部112に表示する。
【0043】
データの出力先に応じて画像処理が異なるのであれば(S3でYES)、ステップS4で、異なる画像処理毎に画像処理前後のデータの変更箇所を抽出し、これらの抽出した変更箇所を示す複数のプレビュー画像を同時かつ並列に操作パネル11の表示部112に表示する。なお、プレビュー画像は、処理対象データを含む画像処理後の全体のデータに対するものを作成し、変更箇所のみを表示しても良いし、変更箇所のみのプレビュー画像を作成し表示しても良い。
【0044】
以下、処理対象データに複数の画像処理を別々に付加して、変更箇所をプレビュー表示する場合の具体例を説明する。
【0045】
まず、MFPによりFAX送信する際に、送信対象データ(送信原稿)にFAXヘッダ−を付加する場合のプレビュー画像の表示例を示す。
【0046】
図3は、1つの送信原稿を複数の宛先に送信するFAXの同報送信時に、宛先によって発信元情報(TTIともいう)を変えたヘッダー部分Hを付加して送信する場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。
【0047】
MFPの不揮発性メモリ4等には、複数の送信者を予め登録してあり、ユーザは送信時に各宛先毎に登録済の送信者を選択する。
(1)1つ目の宛先には、送信者:コニカミノルタホールディングス(株)を送信者として選択する(タイトル行Tは、例えば「HD」)。
(2)2つ目の宛先には、送信者:コニカミノルタビジネステクノロージズ(株)を送信者として選択する(タイトル行は、例えば「工業会」)。
(3)3つ目の宛先には、送信者:コニカミノルタビジネステクノロージズ(株)営業部を送信者として選択する(タイトル行は、例えば「BT顧客」)。
【0048】
4つ目以降も同様に設定する。
【0049】
MFPには、短縮・グループアドレスといった登録宛先に送信者を紐付けして登録してあるが、送信時に新たに入力するようにしてもよい。
【0050】
このように、1つの送信原稿を送信する際に、ヘッダー部分Hに異なる送信者名とFAX番号部分が画像処理により付加されるので、処理前後の送信原稿の変更箇所であるヘッダー部分Hが抽出され、プレビュー画像として、図3に示すように、このヘッダー部分Hをクローズアップした画像が並べて表示部112に表示される。送信原稿は全ての宛先について同じであるので、表示していない。
【0051】
このように、この実施形態では、変更箇所(ヘッダー部分H)のみが複数のプレビュー画像として同時にかつ並列に表示されるから、従来のように、送信原稿も含めた1つのプレビュー画像の表示を、宛先毎に順番に切り替えて拡大表示して処理結果を確認するような手間を要することなく、ユーザは各宛先毎の送信者や差異の比較等を容易に確認することができる。しかも、変更箇所であるヘッダー部分Hのみが表示されるから、限られた表示領域であっても多くのプレビュー画像を表示できると共に、変更箇所が送信原稿に対して非常に小さい個所であっても、送信原稿を含む全体をサムネイル表示する場合のように、確認作業を行い難いといった不都合はなく、各処理結果の比較等を的確に行うことができる。
【0052】
図4は、記憶部5に登録されている複数のボックスに、1つの処理対象データを振り分けて保存する場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。この例では、前記スキャナ部9から原稿の画像を読み取り、得られた画像データを複数のボックスB1,B2,B3を指定して振り分ける例で説明する。
【0053】
ぞれぞれのボックスは、
(1)ボックスB1は社内用であり、画像処理としてページ右上Prに「ウォーターマーク(社外秘)」を付加して保存する、
(2)ボックスB2は保存用であり、画像処理としてページ下部Puに「ファイルナンバー(XXX−0102)」を付加して保存する、
(3)ボックスB3は社外用であり、画像処理としてページ全体Pwに「地紋(コピー)」を付加して保存する、
設定がなされており、これらボックスB1,B2,B3に保存される際に、設定された画像処理が実行されるようになっている。
【0054】
従って、ボックスB1については、画像データの右上部Prに「ウォーターマーク」が付加されて保存されるので、表示部112には図4に示すように、変更箇所である右上部Prの「社外秘」の文字がクローズアップされてプレビュー表示される。
【0055】
ボックスB2については、ページ下部Puにファイルナンバー(例えばXXX−0102)が付加されて保存されるので、表示部112には、変更箇所であるページ下部Puのファイルナンバーがプレビュー表示される。
【0056】
ボックスB3については、地紋がページ全体に付加されて保存されるので、表示部112には、変更箇所であるページ全体Pwが表示される。
【0057】
図4に示した実施形態においても、変更箇所のみが複数のプレビュー画像として同時にかつ並列に表示されるから、処理毎に画像を順番に切り替えて拡大表示して処理結果を確認するような手間を要することなく、ユーザは変更箇所や差異等を容易に確認することができる。しかも、変更箇所のみが表示されるから、変更箇所が画像データ全体に対して非常に小さい個所であっても、全体をサムネイル表示する場合のように、確認作業を行い難いといった不都合はなく、各処理結果の比較等を的確に行うことができる。
【0058】
なお、変更箇所は、ページ全体、中央、右上、下部等、設定されている位置が異なったり、また変更箇所のサイズも処理によって異なったりするため、該当する処理に合わせて表示エリアSを変更させることが可能である。例えば図4のボックスB3については、変更箇所がページ全体でありサイズが大きいので、画像表示エリアSも伸長して表示されている。このように、該当する処理に合わせて表示エリアSを変更させることで、変更箇所の位置や大きさに適したプレビュー画像を表示できる。
【0059】
図5は、振り分け用のボックスB1,B2,B3に複数の画像処理設定がなされている場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。
【0060】
この例では、処理の一部が各ボックスで共通している場合に、その共通している処理については変更箇所を表示せず、変更箇所における各ボックス毎の差異のみをプレビュー画像として表示するものである。
【0061】
例えば、
(1)ボックスB1は社内用であり、画像処理として、ページ全体Pwに「地紋(コピー)」を、ページ右上Prに「ウォーターマーク(社外秘)」をそれぞれ付加して保存する、
(2)ボックスB2は保存用であり、画像処理として、ページ全体Pwに「地紋(コピー)」を、ページ下部Puに「ファイルナンバー(XXX−0102)」をそれぞれ付加して保存する、
(3)ボックスB3は社外用であり、画像処理として、ページ全体Pwに「地紋(コピー)」を、ページ下部Puに「社名」をそれぞれ付加して保存する、
設定がなされており、これらボックスB1,B2,B3に保存される際に、設定された画像処理が実行されるようになっている。
【0062】
この場合、変更箇所における各ボックスでの差異部分のみをプレビュー画像として表示するようにする。つまり、この例では、ページ全体Pwに付加される「地紋」については、元の画像データとは異なっているが、各ボックスに共通の処理であるので、表示個所として抽出されない。
【0063】
従って、ボックスB1については、図5に示すように、変更箇所である右上部Prの「社外秘」の文字がクローズアップされてプレビュー表示される。また、ボックスB2については、変更箇所であるページ下部Puのファイルナンバーがプレビュー表示される。ボックスB3については、変更箇所であるページ下部Puの社名がプレビュー表示される。
【0064】
このように、この実施形態では、変更箇所における各ボックスでの差異部分がプレビュー画像として表示されるので、ユーザはさらに容易に差異部分を認識できる。
【0065】
図6は、表示部112にプレビュー表示する部分をユーザが着目点として指示する例を示す図である。このような指示は操作パネル部11により可能である。
【0066】
例えば、ユーザが「ウォーターマーク」をプレビュー表示の着目点として指示した場合、画像処理毎の変更箇所のうち、「ウォーターマーク」の部分のみが抽出され、プレビュー表示される。
【0067】
このように、ユーザの指示に基づいてプレビュー画像を表示することで、ユーザが特に確認したい部分等、ユーザの意図を反映したプレビュー画像を表示できる。
【0068】
ところで、上記実施形態では、基本的に画像処理前後の変更箇所をMFPのCPU11が自動で抽出し、これらの変更箇所を示す複数のプレビュー画像を並列に表示する構成でを示した。しかし、ユーザによっては、プレビュー画像の非表示部分を表示させたいとか、表示件数が多い場合等に確認したい宛先・振り分け先だけを表示して、その他のプレビュー画像は省略したい、といった要望もある。
【0069】
そこで、表示部112のタッチパネルの画面を直接操作するか、あるいは別途用意したマウス等の操作機器を画面操作手段として用い、その操作によってプレビュー画像を表示/非表示できるように構成しても良い。
【0070】
また、プレビュー画像の表示エリアSの拡張(伸張)や収縮が可能な構成としても良い。例えば、図7に示すように、表示画像のタイトル行Tをタッチすることにより、プレビュー画像を表示している場合はタイトル行以外の部分を非表示にし、プレビュー画像を表示していない場合は表示にするようにしたり、あるいは、画像の表示エリアSをタッチ操作することにより非表示にするといった方法でプレビュー画像の表示/非表示を切り替える構成としても良い。
【0071】
また、画像表示エリアSとタイトル行Tとの境界を移動させる操作を行うことにより、プレビュー画像の表示エリアSを図8に示すように拡張したり、あるいは図9に示すように収縮したりする構成としても良い。
【0072】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、画像処理の例として処理対象データである画像データに別の画像データを付加する処理を説明したが、画像処理はNページの画像データを1ページの画像データとして出力するNinl処理、画像データを片面用紙または両面用紙に出力する片面両面処理、リピート、枠消し、シフト等の画像配置や消去処理、ステープル、パンチ等の物理的な仕上がり処理等であっても良い。これらの場合も、複数の画像処理によって元の処理対象データと変更が生じる場合の変更箇所を抽出し、抽出された変更箇所をプレビュー画像として同時に表示すればよい。
【符号の説明】
【0073】
1 CPU
3 ROM
5 記憶部
10 プリンタ部
11 操作パネル部
112 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理手段と、
表示手段と、
前記画像処理手段による各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を前記表示手段に同時に表示させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記変更箇所に応じてプレビュー画像の表示エリアを変更する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、各変更箇所における差異部分を表示手段に表示させる請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ユーザが表示させたい変更箇所を指示する指示手段を有し、
前記制御手段は、前記指示手段による指示に従って変更箇所を抽出し、プレビュー画像を表示させる請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、表示画面に対するユーザの操作に応じてプレビュー画像の表示エリアを変更する請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおける各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を表示手段に同時に表示させる制御ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置におけるプレビュー画像表示方法。
【請求項7】
1つの処理対象データに対して複数の画像処理を別々に行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおける各画像処理によって元の処理対象データから変更される変更箇所を画像処理毎に抽出するとともに、抽出された画像処理毎の変更箇所を示す複数のプレビュー画像を表示手段に同時に表示させる制御ステップと、
を、画像処理装置のコンピュータに実行させるためのプレビュー画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−21414(P2013−21414A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151306(P2011−151306)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】