説明

画像処理装置、ワークフロー設定方法およびワークフロー設定プログラム

【課題】 使用される頻度の高いワークフローを選択して設定すること。
【解決手段】 MFPは、複数の一連の処理を定義するワークフロー83をHDD116に記憶しており、ユーザの操作を受け付ける操作受付部51と、受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行部53と、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報81をHDD116に記憶する履歴管理部55と、履歴情報81に基づいて、ワークフローを使用可能に設定するワークフロー設定部57と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、ワークフロー設定方法およびワークフロー設定プログラムに関し、特に、複数の一連の処理を定義したワークフローを実行可能な画像処理装置、その画像処理装置で実行されるワークフロー設定方法およびワークフロー設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MFP(Multi Function Peripheral)で代表される画像処理装置は、多機能化により操作が複雑になっている。操作を容易にする技術として特開平5−246111号公報に、複数個のキーと表示部を有する操作パネルによって様々な印刷モードや印刷機能および印刷環境などの選択,設定する機能を持つ装置において、印刷モード等の選択,設定の手順をキーを押下した時に発生するキーコードで登録しかつ呼出しができる機能を有することを特徴とする印刷装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、特開平5−246111号公報に記載の印刷装置は、印刷モード等の選択、設定の手順を、キーを押下した時に発生するキーコードに登録する操作をユーザがしなければならない。このため、キーコードに登録する操作をユーザが理解しなければならず、さらに、その操作をしなければならないといった問題がある。
【特許文献1】特開平5−246111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能な画像処理装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能なワークフロー設定方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能なワークフロー設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像処理装置は、複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するワークフロー記憶手段と、ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行手段と、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、記憶された履歴情報に基づいて、ワークフローを使用可能に設定する設定手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、複数の一連の処理を定義するワークフローが記憶されており、ユーザの操作が受け付けられると、受け付けられた操作に従って処理が実行され、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報が記憶される。そして、記憶された履歴情報に基づいて、ワークフローが使用可能に設定される。このため、履歴情報に基づいてワークフローが設定されるので、ユーザが使用する頻度の高いワークフローを設定することができる。さらに、ユーザはワークフローを設定する操作をする必要がない。その結果、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、設定手段は、記憶されたワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数を集計する集計手段を含み、ワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数が所定のしきい値を超えることを条件に、ワークフローを使用可能に設定する。
【0010】
好ましくは、設定手段は、ワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を操作受付手段が備える複数のキーのいずれかと関連付ける割当手段を含む。
【0011】
好ましくは、設定手段は、ワークフローで定義される複数の処理の一部の複数の部分処理のみで実行された回数が所定のしきい値を超える場合、複数の部分処理を定義する新たなワークフローを生成するワークフロー生成手段を含み、生成された新たなワークフローを使用可能に設定する。
【0012】
この局面に従えば、ワークフローで定義される複数の処理の一部の複数の部分処理のみで実行された回数が所定のしきい値を超える場合、複数の部分処理を定義する新たなワークフローが生成され、新たなワークフローが使用可能に設定される。このため、ユーザにより使用される頻度の高い処理を実行させるための新たなワークフローを使用可能に設定することができる。
【0013】
好ましくは、設定手段は、所定のしきい値を設定するしきい値設定手段を、さらに含む。
【0014】
この発明の他の局面によれば、ワークフロー設定方法は、複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するステップと、ユーザの操作を受け付けるステップと、受け付けられた操作に従って処理を実行するステップと、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶するステップと、記憶された履歴情報に基づいて、ワークフローを使用可能に設定するステップと、を含む。
【0015】
この局面に従えば、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能なワークフロー設定方法を提供することができる。
【0016】
この発明のさらに他の局面によれば、ワークフロー設定プログラムは、予め定められた複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するステップと、ユーザの操作を受け付けるステップと、受け付けられた操作に従って処理を実行するステップと、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶するステップと、記憶された履歴情報に基づいて、ワークフローを使用可能に設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0017】
この局面に従えば、使用される頻度の高いワークフローを選択して設定することが可能なワークフロー設定プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。図2は、MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1および図2を参照して、MFP100は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する静止画像を用紙等に形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザインターフェースとしての操作パネル160と、を含む。
【0020】
メイン回路110は、中央演算装置(CPU)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、ファクシミリ部117と、フラッシュメモリ118Aが装着されるカードインターフェース(I/F)118とを含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0021】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる静止画像を一時的に記憶する。
【0022】
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部160Aと操作部160Bとを含む。表示部160Aは、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electroluminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部160Bは、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受付ける。操作部160Bは、表示部160A上に設けられたタッチパネルをさらに含む。
【0023】
通信I/F部112は、MFP100をネットワークに接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介してネットワークに接続された別のコンピュータ、またはネットワークを介してインターネットに接続された別のコンピュータと通信が可能である。
【0024】
ファクシミリ部117は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部117は、受信したファクシミリデータを、HDD116に記憶する、または画像形成部140に出力する。画像形成部140は、ファクシミリ部117により受信されたファクシミリデータを用紙に印刷する。また、ファクシミリ部117は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0025】
カードI/F118は、フラッシュメモリ118Aが装着される。CPU111は、カードI/F118を介してフラッシュメモリ118Aにアクセス可能である。CPU111は、カードI/F118に装着されたフラッシュメモリ118Aに記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。
【0026】
本実施の形態におけるMFPは、複数の一連の処理を定義するワークフローを予め記憶している。ここで、ワークフローについて説明する。MFP100は、スキャン処理、コピー処理、ファクシミリ送受信処理およびデータ送信処理などの複数の処理を実行可能である。これらの複数の処理をMFPに実行させるために、MFP100は、複数の処理それぞれを実行させるための設定を入力するための設定画面を予め記憶している。この複数の設定画面は、ログイン画面を最上位の階層に配置した階層構造で定義される。
【0027】
図3は、複数の設定画面が配置される階層構造の一例を示す図である。図3を参照して、最上位の階層に1つのログイン画面が配置され、第1階層に原稿をスキャンするための設定値を設定するためのスキャン設定画面、HDD116に記憶されたデータを記憶する記憶領域(ボックス)を管理するためのボックス設定画面、およびMFP100が実行する処理を管理するためのジョブ設定画面が配置される。さらに、スキャン設定画面の下位の第2階層には、原稿をスキャンして得られるデータを電子メールで送信するための宛先を設定するためのE−mail宛先設定画面と、ファクシミリで送信するための宛先を設定するためのFAX宛先設定画面とが配置される。
【0028】
ボックス設定画面の下位の第2階層には、ボックスを確認するためのボックス確認画面、およびボックスを生成するためのボックス作成画面が配置される。さらに、ボックス確認画面の下位の第3階層には、ボックスに記憶された文書(データ)を送信するための設定値を設定するための文書送信設定画面と、ボックスに記憶された文書(データ)を印刷するための設定値を設定するための文書印刷設定画面とが配置される。
【0029】
ジョブ設定画面の下位の第2階層には、過去に実行された処理に関する情報である履歴ジョブを閲覧等するための履歴ジョブ確認画面と、現在実行中の処理に関する情報である実行中ジョブを閲覧等するための実行中ジョブ確認画面と、が配置される。
【0030】
図4は、ワークフローの一例を示す図である。図4に示すワークフローは、スキャンして得られるデータを電子メールで送信する処理、HDD116に記憶されているデータを送信する処理、履歴ジョブを確認する処理の3つの処理を定義する。このワークフローが実行されると、図4に示した設定画面のうちE−mail宛先設定画面が最初に表示され、次に、文書送信画面が表示され、最後に履歴ジョブ確認画面が表示される。
【0031】
一方、ワークフローを実行させることなく、ワークフローで定義された処理と同じ処理を実行させようとする場合、ユーザは、スキャン設定画面を表示させた後に、E−mail宛先設定画面を表示させなければならず、次に文書送信画面を表示させるためには、ボックス設定画面、ボックス確認画面を表示させなければならない。このため、表示させる画面数が多くなり、操作が煩雑になる。このように、ワークフローを実行させることにより、設定画面を表示させるための操作を少なくすることができる。
【0032】
図5は、MFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。図5を参照して、MFP100が備えるCPU111は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部51と、受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行部53と、処理実行部53により過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を管理する履歴管理部55と、履歴管理部55により記憶された履歴情報に基づいて、ワークフローを使用可能に設定するワークフロー設定部57と、を含む。
【0033】
操作受付部51は、ユーザが操作部160Bに入力する操作を受け付ける。そして、受け付けた操作を処理実行部53に出力する。処理実行部53は、操作受付部51から入力される操作に従って処理を実行する。処理実行部53は、処理を実行する毎に、処理を識別するための処理識別情報を履歴管理部55に出力する。
【0034】
操作受付部51は、また、ワークフローを実行させるための操作を受け付け可能である。操作受付部51は、後述するワークフロー設定部57からキー識別情報とワークフロー識別情報とが入力され、操作受付部51は、ワークフロー設定部57から入力されるキー識別情報とワークフロー識別情報とを関連付けてEEPROM115に記憶する。ワークフロー識別情報は、ワークフローを識別するための情報である。ワークフローは、複数の一連の処理を定義し、処理手順を予め定める定義情報であり、HDD116にワークフロー識別情報が付されて予め記憶される。そして、操作受付部51は、キーを指示する操作が入力されると、指示されたキーのキー識別情報に関連付けられたワークフロー識別情報を処理実行部53に出力する。
【0035】
処理実行部53は、操作受付部51からワークフロー識別情報が入力される場合、ワークフロー識別情報で特定されるワークフローをHDD116に記憶されている複数のワークフロー83のうちから読出し、読み出したワークフローに従って処理を実行する。具体的には、処理実行部53は、ワークフローよって定義されている複数の一連の処理をワークフローによって定義された順に実行する。処理実行部53は、処理を実行する毎に、処理を識別するための処理識別情報を履歴管理部55に出力する。
【0036】
履歴管理部55は、処理実行部53から処理識別情報が入力されると、処理識別情報を含む履歴情報レコードを生成し、HDD116に記憶されている履歴情報81に追加して記憶する。履歴情報レコードは、処理識別情報の他に、処理の実行を指示したユーザを識別するためのユーザ識別情報、処理が実行された日時、処理を実行するための設定情報を含むようにしてもよい。
【0037】
ワークフロー設定部57は、履歴管理部55によりHDD116に記憶された履歴情報81に基づいて、HDD116に予め記憶されるワークフロー83の少なくとも1つを使用可能に設定する。ワークフロー設定部57は、集計部61と、ワークフロー生成部63と、しきい値設定部65と、割当部67と、を含む。
【0038】
集計部61は、HDD116に記憶された履歴情報81を読み出し、処理毎に実行された回数を集計する。処理は、HDD116に記憶された複数のワークフロー83それぞれで定義される複数の処理を含む。
【0039】
しきい値設定部65は、ユーザが操作部160Bを操作することにより、ユーザが設定するしきい値を受け付け、受け付けたしきい値を設定する。しきい値設定部65は、設定されたしきい値を割当部67に出力する。複数のユーザがMFP100を使用する場合には、複数のユーザ毎にしきい値を受け付け、設定するようにしてもよい。この場合、複数のユーザ毎にワークフローを設定する基準を異ならせることができる。なお、ここでは、しきい値を回数としたが、所定の期間における回数、すべての処理が実行された回数に対するその処理が実行かれた回数の割合をしきい値とするようにしてもよい。
【0040】
割当部67は、集計部61により集計された結果に基づいて、HDD116に予め記憶されるワークフロー83の少なくとも1つを使用可能に設定する。具体的には、ワークフロー設定部57は、HDD116に記憶されている複数のワークフロー83それぞれについて、ワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数のすべてがしきい値設定部65により設定されたしきい値以上であれば、そのワークフローを使用可能に設定する。具体的には、割当部67は、複数のワークフローの1つを使用可能に設定するために、そのワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を操作部160Bが備える複数のキーのいずれかに割り当てる。さらに、具体的には、操作部160Bが備える複数のキーのうちワークフローを割り当てるキーを識別するためのキー識別情報と、ワークフローを識別するためのワークフロー識別情報とを関連付け、それらの組を操作受付部51に出力する。ワークフローを割り当てるキーは、操作部160Bが備える複数のキーのうちからユーザが指定したキーとしてもよいし、予め準備された複数のキーのうちから順に選択されるキーとしてもよい。
【0041】
図6は、集計結果の一例を示す第1の図である。図6は、図4に示したワークフローについて、第1のユーザの過去1カ月間における履歴情報を集計した集計結果を示している。図6を参照して、E−mail宛先設定画面が表示されてスキャンして得られるデータを電子メールで送信する処理が5回、文書送信設定画面が表示されてHDD116に記憶されているデータを送信する処理が15回、履歴ジョブ確認画面が表示されて過去に実行された処理に関する情報である履歴ジョブを閲覧等する処理が10回、それぞれ実行されたことを示す。この場合、予め設定されたしきい値が「5」であれば、図6に示す集計結果において、図4に示したワークフローで定義される3つの処理の実行回数がすべて5以上なので、図4に示したワークフローが第1のユーザに対して使用可能に設定される。
【0042】
図5に戻って、ワークフロー生成部63は、HDD116に予め記憶されている複数のワークフロー83と、集計部61により集計された結果とに基づき、新たなワークフローを生成し、生成したワークフローをHDD116に記憶する。これにより、新たなワークフローがHDD116にワークフロー83として記憶される。具体的には、ワークフロー生成部63は、HDD116に予め記憶されている複数のワークフロー83それぞれについて、ワークフローで定義される複数の処理のうち少なくとも2つが実行された回数のすべてが、所定のしきい値以上であれば、そのワークフローのうち実行された回数が所定のしきい値以上の少なくとも2つの処理を定義する新たなワークフローを生成する。ワークフロー生成部63は、新たなワークフローを生成すると、そのワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を、割当部67に出力する。割当部67は、ワークフロー生成部63からワークフロー識別情報が入力されると、入力されるワークフロー識別情報で特定される新たなワークフローを使用可能に設定する。
【0043】
図7は、集計結果の一例を示す第2の図である。図7は、図4に示したワークフローについて、第1のユーザとは別の第2のユーザの過去1カ月間における履歴情報を集計した集計結果を示している。図7を参照して、E−mail宛先設定画面が表示されてスキャンして得られるデータを電子メールで送信する処理が0回、文書送信設定画面が表示されてHDD116に記憶されているデータを送信する処理が10回、履歴ジョブ確認画面が表示されて過去に実行された処理に関する情報である履歴ジョブを閲覧等する処理が10回、それぞれ実行されたことを示す。予め設定されたしきい値が「5」であれば、図6に示す集計結果において、図4に示したワークフローで定義される3つの処理のうち、文書送信設定画面を表示してHDD116に記憶されているデータを送信する処理と、履歴ジョブ確認画面を表示して過去に実行された処理に関する情報である履歴ジョブを閲覧等する処理との実行回数のみが5以上なので、図4に示したワークフローは使用可能に設定されない。この場合、第1番目に文書送信設定画面を表示してHDD116に記憶されているデータを送信する処理を実行し、第2番目に履歴ジョブ確認画面を表示して過去に実行された処理に関する情報である履歴ジョブを閲覧等する処理を定義する新たなワークフローが生成される。
【0044】
図8は、新たに生成されるワークフローの一例を示す図である。図8に示す新たなワークフローは、HDD116に記憶されるとともに、そのワークフローが第2のユーザに対して使用可能に設定される。
【0045】
図9は、履歴管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。履歴管理処理は、MFP100が備えるCPU111がワークフロー設定プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図9を参照して、CPU111は、操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。ユーザが操作部160Bに入力する操作を受け付ける。ここでの操作は、ワークフローを指定し、実行を指示する操作を含む。操作を受け付けたならば処理をステップS02に進め、そうでなければ処理をステップS08に進める。
【0046】
ステップS02においては、受け付けられた操作がワークフローの実行を指示する操作か否かを判断する。受け付けられた操作がワークフローの実行を指示する操作ならば処理をステップS03に進め、そうでなければ処理をステップS08に進める。ステップS03においては、指定されたワークフローにより定義される複数の処理のうち順番が若いものから順に選択する。そして、選択された処理に関する設定値を設定するための画面を表示部160Aに表示し、ユーザが操作部160Bに入力する設定値を受け付けるまで待機状態となり(ステップS04でNO)、ユーザが操作部160Bに入力する設定値を受け付けると(ステップS04でYES)、処理をステップS05に進める。
【0047】
ステップS05においては、ステップS03において選択された処理を、ステップS04において受け付けられた設定値に従って実行する。次のステップS06においては、処理を実行したことを示す履歴情報レコードを生成し、HDD116に記憶されている履歴情報81に追加して記憶し、処理をステップS07に進める。履歴情報レコードは、ステップS05において実行された処理を識別するための処理識別情報と、処理が実行された日時と、操作を入力したユーザを識別するためのユーザ識別情報とを含む。
【0048】
ステップS07においては、未選択の処理が存在するか否かを判断し、未選択の処理が存在するならば処理をステップS03に戻し、そうでなければ処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS08においては、ステップS01において受け付けられた操作に従って、その操作により特定される処理を実行する。次のステップS09においては、処理を実行したことを示す履歴情報レコードを生成し、HDD116に記憶されている履歴情報81に追加して記憶し、処理を終了する。履歴情報レコードは、ステップS08において実行された処理を識別するための処理識別情報と、処理が実行された日時と、操作を入力したユーザを識別するためのユーザ識別情報とを含む。
【0050】
図10は、ワークフロー設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。ワークフロー設定処理は、MFP100が備えるCPU111がワークフロー設定プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図10を参照して、CPU111は、しきい値の設定を受け付けたか否かを判断する(ステップS21)。しきい値の設定を受け付けたならば処理をステップS22に進めるが、そうでなければ処理をステップS25に進める。ユーザが操作部160Bにしきい値設定画面を表示させる操作を入力すると、しきい値の設定を受け付ける。ステップS22においては、しきい値設定画面を表示部160Aに表示し、処理をステップS23に進める。
【0051】
図11は、しきい値設定画面の一例を示す図である。図11を参照して、登録頻度として、大、中、小を設定可能な場合を例に示している。登録頻度は、所定の期間におけるしきい値を示す。ここでは、所定の期間を1カ月とし、登録頻度「大」に対応するしきい値を10回、登録頻度「中」に対応するしきい値を5回、登録頻度「小」に対応するしきい値を3回としている。なお、しきい値は、登録頻度でなく、ユーザが直接入力するようにしてもよい。
【0052】
図10に戻って、ステップS23においては、しきい値を受け付けたか否かを判断する。しきい値設定画面において、登録頻度「大」が設定された場合はしきい値として「10」を受け付け、登録頻度「中」が設定された場合はしきい値として「5」を受け付け、登録頻度「小」が設定された場合はしきい値として「3」を受け付ける。そして、受け付けられたしきい値を設定する(ステップS24)。具体的には、EEPROM115にしきい値を記憶する。
【0053】
次のステップS25においては、自働設定指示を受け付けたか否かを判断する。ユーザが操作部160Bにワークフローを自動的に設定する指示を入力すると、自働設定指示を受け付ける。自働設定指示を受け付けたならば処理をステップS26に進めるが、そうでなければ処理をステップS21に戻す。
【0054】
ステップS26においては、HDD116に記憶されている履歴情報81を集計する。履歴情報81は、処理識別情報およびその処理が実行された日時を含む履歴情報レコードを含むので、処理識別情報毎に所定の期間に処理が実行された回数を集計する。具体的には、処理が実行された日時が所定の期間に含まれる履歴情報レコードについて、同じ処理識別情報を含む履歴情報レコードの数をカウントする。
【0055】
次のステップS27においては、HDD116に記憶されている複数のワークフロー83のうちから1つを処理対象として選択する。そして、選択されたワークフローに含まれる複数の処理のすべての実行回数が、ステップS24において設定されたしきい値以上か否かを判断する(ステップS28)。ワークフローに含まれる複数の処理のすべての実行回数がしきい値以上ならば処理をステップS29に進めるが、そうでなければ処理をステップS31に進める。ステップS29においては、ステップS27において選択されたワークフローを操作部160Bが有する複数のキーのいずれかに割り当て、処理をステップS30に進める。具体的には、操作部160Bが有する複数のキーのいずれかが指示されると、ワークフローが実行されるように、そのキーにワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を関連付ける。ステップS30においては、未選択のワークフローが存在するか否かを判断し、未選択のワークフローが存在すれば処理をステップS27に戻すが、そうでなければ処理をステップS21に戻す。
【0056】
一方、ステップS31においては、ステップS27において選択されたワークフローにより定義される複数の処理のうちの2以上の部分処理の実行回数が、ステップS24において設定されたしきい値以上か否かを判断する。ワークフローに含まれる複数の処理のうちの2以上の部分処理の実行回数がしきい値以上ならば処理をステップS32に進めるが、そうでなければ処理をステップS30に進める。ステップS32においては、ワークフローに含まれる複数の処理のうちの2以上の部分処理を含む新たなワークフローを生成し、処理をステップS33に進める。ステップS33においては、ステップS32において生成された新たなワークフローを、それを識別するためのワークフロー識別情報を付与してHDD116に記憶する。そして、次のステップS29において、ステップS33においてHDD116に記憶された新たなワークフローを操作部160Bが有する複数のキーのいずれかに割り当て、処理をステップS30に進める。具体的には、操作部160Bが有する複数のキーのいずれかが指示されると、新たなワークフローが実行されるように、そのキーに新たなワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を関連付ける。
【0057】
以上説明したように本実施の形態におけるMFP100は、複数の一連の処理を定義するワークフロー83をHDD116に記憶しており、ユーザの操作を受け付ける操作受付部51と、受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行部53と、過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報81をHDD116に記憶する履歴管理部55と、履歴情報81に基づいて、ワークフローを使用可能に設定するワークフロー設定部57と、を備える。履歴情報に基づいてワークフローが設定されるので、ユーザが使用する頻度の高いワークフローを設定することができる。さらに、ユーザはワークフローを設定する操作をする必要がないので、操作が容易である。
【0058】
また、ワークフロー設定部57は、HDD116に記憶されたワークフロー83で定義される複数の処理それぞれが実行された回数を集計する集計部61を含み、ワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数が所定のしきい値を超えることを条件に、ワークフローを使用可能に設定する。このため、使用頻度の高い処理を定義するワークフローを使用可能に設定することができる。
【0059】
また、ワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を操作受付部51が備える複数のキーのいずれかと関連付ける。このため、ワークフロー識別情報が関連付けられたキーを操作するだけで、ワークフローを実行させることができる。
【0060】
また、ワークフロー設定部57は、ワークフローで定義される複数の処理の一部の複数の部分処理のみで実行された回数が所定のしきい値を超える場合、複数の部分処理を定義する新たなワークフローを生成するワークフロー生成部63を含む。このため、ユーザにより使用される頻度の高い処理を実行させるための新たなワークフローを使用可能に設定することができる。
【0061】
また、ワークフロー設定部57は、所定のしきい値を設定するしきい値設定部65を、さらに含む。このため、ユーザがワークフローを使用可能に設定する基準を定めることができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態においては、画像処理装置の一例としてのMFP100について説明したが、複数の処理を実行可能な装置であれば、ファクシミリ、プリンタ、コンピュータであってもよい。また、図9および図10に示した処理を実行するためのワークフロー設定方法およびそのワークフロー設定方法をコンピュータに実行させるためのワークフロー設定プログラムとして発明を捉えることができるのは、言うまでもない。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】複数の設定画面が配置される階層構造の一例を示す図である。
【図4】ワークフローの一例を示す図である。
【図5】MFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。
【図6】集計結果の一例を示す第1の図である。
【図7】集計結果の一例を示す第2の図である。
【図8】新たに生成されるワークフローの一例を示す図である。
【図9】履歴管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】ワークフロー設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】しきい値設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
51 操作受付部、53 処理実行部、55 履歴管理部、57 ワークフロー設定部、61 集計部、63 ワークフロー生成部、65 しきい値設定部、67 割当部、81 履歴情報、83 ワークフロー、 100 MFP、110 メイン回路、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 EEPROM、116 HDD、118 カードI/F、118A フラッシュメモリ、130 原稿読取部、140 画像形成部、160 操作パネル、160A 表示部、160B 操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するワークフロー記憶手段と、
ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行手段と、
過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記ワークフローを使用可能に設定する設定手段と、を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記記憶されたワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数を集計する集計手段を含み、
前記ワークフローで定義される複数の処理それぞれが実行された回数が所定のしきい値を超えることを条件に、前記ワークフローを使用可能に設定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記ワークフローを識別するためのワークフロー識別情報を前記操作受付手段が備える複数のキーのいずれかと関連付ける割当手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記ワークフローで定義される複数の処理の一部の複数の部分処理のみで実行された回数が所定のしきい値を超える場合、前記複数の部分処理を定義する新たなワークフローを生成するワークフロー生成手段を含み、
前記生成された新たなワークフローを使用可能に設定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記所定のしきい値を設定するしきい値設定手段を、さらに含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するステップと、
ユーザの操作を受け付けるステップと、
前記受け付けられた操作に従って処理を実行するステップと、
過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶するステップと、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記ワークフローを使用可能に設定するステップと、を含むワークフロー設定方法。
【請求項7】
複数の一連の処理を定義するワークフローを記憶するステップと、
ユーザの操作を受け付けるステップと、
前記受け付けられた操作に従って処理を実行するステップと、
過去に実行された処理の処理識別情報を含む履歴情報を記憶するステップと、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記ワークフローを使用可能に設定するステップと、をコンピュータに実行させるワークフロー設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−50786(P2010−50786A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213743(P2008−213743)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】