説明

画像処理装置、及びプログラム

【課題】タッチパネルの高い分解能を反映させて高い精度で位置指定、或いは範囲指定を行う。
【解決手段】制御部2は、撮影モードにおいては、表示パネル62の解像度である第1の画素数(低画素)で画像を取り込で表示パネル62にリアルタイムで表示するライブビュー画像表示(例えば、30fps)を行う一方、タッチパネル61上でレリーズ操作が行われた場合には、ライブビュー画像表示(例えば、30fps)を行うとともに、タッチパネル61の分解能(あるいはそれ以上)である第2の画素数(高画素)で撮像画像を取り込み、タッチパネル61上で指定された位置/範囲(タッチ位置/範囲)を、該第2の画素数で取り込んだ撮像画像上で特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶等の表示部の上にタッチパネルを備える携帯電話や、スマートフォン、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)などにおいて、タッチパネルは、表示部の解像度(例えば、46万画素)よりも高い分解能(例えば、1000万ポイント)を有する場合が多い。一方、これら電子機器における撮像素子は、高画素化が進み、表示部の画素数よりも、はるかに多くの画素数(例えば、1000万画素)による撮影が可能となっている。
【0003】
タッチパネルは、表示部に表示される画像を確認しながらタッチ操作されるので、タッチパネルの分解能は、表示部の画素数(解像度)の制約を受ける。このため、タッチパネルが本来有している、表示部の画素数(解像度)よりも高い分解能を、表示部の画素数より、はるかに多くの画素数(タッチパネルの分解能に匹敵する画素数)で撮影された画像に対して、位置指定、或いは範囲指定することはできないという問題があった。
【0004】
そこで、従来技術のように、状態によって変化するソフトウェアキーボードのように、複数項目の相対的な位置関係、並びに数に対応してタッチパネルの分解能を変更するといった技術も開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−58426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、表示の解像度に対応した分解能を使用しており、タッチパネルが表示部の解像度よりも高い分解能を有している場合であっても、その高い分解能を生かさすことができていないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、タッチパネルが表示部の解像度よりも高い分解能を有する場合に、表示部の画素数よりはるかに多くの画素で撮影された画像にその高い分解能を反映させて高い精度で位置指定、或いは範囲指定を行うことができる画像処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、表示部の上に備えられ、該表示部の解像度よりも高い分解能を有し、ユーザが該表示部による表示に基づいてタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチ入力手段と、前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像をメモリに出力する出力制御手段と、前記第1の画素数の画像を表示している前記表示部に対する前記タッチ入力手段によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段によりメモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定する位置範囲特定手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、タッチパネルが表示部の解像度よりも高い分解能を有する場合に、表示部の画素数よりはるかに多くの画素で撮影された画像にその高い分解能を反映させて高い精度で位置指定、或いは範囲指定を行うことができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による撮像手段を有する画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるAF用補正テーブル71のデータ構成を示す概念図である。
【図3】本実施形態において、表示パネル62の解像度とタッチパネル61の分解能との関係を説明するための概念図である。
【図4】本実施形態による画像処理装置の動作(メインルーチン)を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態による画像処理装置の動作(メインルーチン)を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態による画像処理装置の動作(メインルーチン)を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施形態による画像処理装置の動作(タッチ位置特定処理)を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態において、レリーズ操作からタッチ位置、あるいは範囲の特定までの一連動作を説明するための概念図である。
【図9】本実施形態による画像処理装置での表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、表示部の低い解像度の制約を超えて、表示部より高分解能のタッチパネルを有効活用して、撮像素子から得られる高画素の画像の位置や範囲を指定することを特徴とする。そのために、本発明では、タッチ入力が検出されない状態では、撮像素子から第1の画素数の撮影画像を表示部の画素数に落とした低画素数とし、タッチ入力が検出された際には、撮像素子本来の高画素数の出力を行い、必要な状態でのみ高画素数の出力を行うことで、低消費電力を実現する。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態による撮像手段を有する画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において、撮像装置1は、携帯電話、スマートフォン、PDAなどからなる。撮像装置1は、制御部2、撮像部3、操作部4、電源部5、タッチ表示部(タッチパネル61、表示パネル62)6、記憶部(AF用補正テーブル71)7を備えている。
【0014】
制御部2は、撮像装置1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本実施形態では、制御部2は、撮影モードにおいては、表示パネル62の解像度である第1の画素数(低画素)で画像を取り込で表示パネル62にリアルタイムで表示するライブビュー画像表示(例えば、30fps)を行う一方、タッチパネル61上でタッチ操作(オートフォーカスの対象となる被写体の指定、または/及び撮影を指示するレリーズ操作)が行われた場合には、ライブビュー画像表示(例えば、30fps)を行うとともに、タッチパネル61の分解能(あるいはそれ以上)である第2の画素数(高画素)で撮像画像を取り込み、タッチパネル61上でのタッチ操作の位置/範囲(タッチ位置/範囲)を、該第2の画素数で取り込んだ撮像画像上で特定するようになっている。
【0015】
撮像部3は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、撮像素子などを含み、被写体像を撮像素子上に結像し、投影された被写体の光を電気信号に変換して出力する。操作部4は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号を制御部2に出力する。電源部5は、例えば、二次電池からなり、各部に電力を供給する。
【0016】
タッチ表示部6は、タッチパネル61と表示パネル62とを備えている。表示パネル62は、カラーLCDや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、バックライトなどとその駆動回路とを含み、撮像待機状態にあるときには、撮像部3によって撮像された被写体をリアルタイム表示するライブビュー表示し、記録画像の再生時には、記憶部7から読み出され、伸張された記録画像を表示する。
【0017】
タッチパネル61は、表示パネル62上に設けられた透過型のタッチセンサであり、タッチ位置と表示パネル62上の位置(座標)とが対応付けられている。特に、本実施形態では、オートフォーカスの対象とする人物等の被写体をタッチして指示したり、撮像する際に合わせてレリーズを行ったりするために用いられる。
【0018】
記憶部7は、撮像された画像データを記憶するメモリや、制御部2による撮像装置1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータを保持するメモリなどからなる。特に、本実施形態では、記憶部7は、オートフォーカス(AF)用補正テーブル71を備えている。また、記憶部7は、撮影時、または再生時に高解像度の画像を一時的に保持するバッファとして機能する。
【0019】
図2は、本実施形態によるAF用補正テーブル71のデータ構成を示す概念図である。図2に示すように、AF用補正テーブル71は、レリーズ時のタッチ位置/タッチ範囲毎に、AF対象補正位置/範囲を対応付けて記憶している。図示の例では、レリーズ時のタッチ位置/タッチ範囲が「人物の顔」であった場合には、AF対象補正位置/範囲を、「大きく撮影されている方の目」とすること、レリーズ操作時のタッチ位置/タッチ範囲が「人物全体」であった場合には、AF対象補正位置/範囲を、「顔」とすること、あるいは、レリーズ時のタッチ位置/タッチ範囲が「花」であった場合には、AF対象補正位置/範囲を、「めしべ」とするようになっている。該AF用補正テーブル71の内容は、プリセット値として予め(工場出荷時)に保持されていてもよいし、後からユーザにより任意に設定可能としてもよい。
【0020】
図3は、本実施形態において、表示パネル62の解像度とタッチパネル61の分解能との関係を説明するための概念図である。図3に示すように、表示パネル62は、タッチパネル61に比べ、低解像度(低画素)である。これに対して、タッチパネル61は、高分解能(高画素)である。
【0021】
上述したように、本実施形態では、撮影モードにおいて、表示パネル62の解像度である第1の画素数(低画素)でライブビュー画像表示を行う。そして、タッチパネル61上でレリーズ操作が行われると、タッチパネル61の分解能である第2の画素数(高画素)で撮像画像を取り込み、タッチパネル61上のレリーズ操作位置/範囲(タッチ位置/範囲)を、該第2の画素数で取り込んだ撮像画像を用いて取得する。
【0022】
つまり、低解像度(低画素)の表示パネル62に依存せず、高分解能(高画素)のタッチパネル61の指定座標で、高解像度で取り込んだ撮像画像(バッファ画像)IMGの位置/範囲を指定することが可能となっている。言い換えると、より高精度で位置、あるいは範囲を指定することができるようになっている。
【0023】
B.実施形態の動作
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図4から図6は、本実施形態による画像処理装置の動作(メインルーチン)を説明するためのフローチャートである。まず、モードが撮影モードであるか否かを判断し(ステップS10)、撮影モードである場合には(ステップS10でYES)、撮像部3により取り込んだ撮影画像を第1の画素数で表示パネル62に出力してライブビュー表示を行う(ステップS12)。次に、画面がタッチされたか否か、すなわちタッチパネル61上にタッチ操作があったか否かを判断する(ステップS14)。
【0024】
ここで、画面タッチされた場合には(ステップS14のYES)、撮像部3により取り込んだ撮影画像を第2の画素数で記憶部7のバッファに出力して一時記憶する(ステップS16)。なお、タッチパネル61には、指、ペン等の近接を感知するものがあるので、この場合、近接を感知した時点で、第2の画素数で記憶部7のバッファに出力するようにしてもよい。なお、第1の画素数とは、表示パネル62の解像度に応じた画素数であり、第2の画素数とは、タッチパネル61の分解能に応じた画素数である。すなわち、第1の画素数<<第2の画素数である。
【0025】
次に、タッチパネル61の検出からタッチ位置の座標を取得し(ステップS18)、輪郭抽出等の既存の技術を用いて、バッファした撮影画像上でタッチ位置を特定するタッチ位置特定処理を実行する(ステップS20)。なお、該タッチ位置特定処理の詳細については後述する。その後、ステップS14に戻り、処理を継続する。
【0026】
一方、ステップS12でのライブビュー表示において、画面がタッチされない場合には(ステップS14のNO)、モード変更操作があったか否かを判断する(ステップS22)。そして、モード変更操作がない場合には(ステップS22のNO)、露出設定、ズーム、設定、編集等の他の操作があったか否かを判断する(ステップS24)。そして、その他の操作があった場合には(ステップS24のYES)、操作に応じた処理を実行し(ステップS26)、その後、ステップS14に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0027】
一方、その他の操作がなかった場合には(ステップS24のNO)、レリーズ操作があったか否かを判断する(図5のステップS28)。そして、レリーズ操作があった場合には(ステップS28のYES)、記憶部7のバッファに第2の画素数の撮影画像があるか否かを判断する(ステップS30)。そして、記憶部7のバッファに第2の画素数の撮影画像があった場合には(ステップS30のYES)、オートフォーカス(AF)用にバッファされた撮影画像上に上述したタッチ位置特定処理で特定された位置/範囲があるか否かを判断する(ステップS32)。
【0028】
そして、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がある場合には(ステップS32のYES)、バッファされた撮影画像上に特定されている位置/範囲でオートフォーカス(AF)処理を実行する(ステップS34)。一方、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がない場合には(ステップS32のNO)、画角の中央、または予め設定されたオートフォーカスポイントでフォーカス処理を行う、通常のオートフォーカス処理を実行する(ステップS36)。
【0029】
次に、その他のバッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲があるか否かを判断する(ステップS38)。そして、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がある場合には(ステップS38のYES)、バッファされた撮影画像上に特定されている位置/範囲に応じてその他の処理(メイクアップ処理等の撮影時の特殊効果等)を実行する(ステップS40)。一方、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がない場合には(ステップS38のNO)、通常のその他の撮影処理を行う(ステップS42)。
【0030】
次に、撮影処理後の撮影画像を表示パネル62に出力し、ユーザに確認させる確認表示を行う(ステップS44)。その後、撮影画像を記憶部7に保存する保存処理を行い(ステップS50)、バッファをクリアする(ステップS52)。そして、図4のステップS14に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0031】
また、レリーズ操作後(ステップS28のYES)、バッファに第2の画素数の撮影画像がない場合には(ステップS30のNO)、撮像部3により第2の画素数で取り込んだ撮影画像を記憶部7のバッファに出力して一時記憶する(ステップS46)。次に、通常の撮影処理を実行し(ステップS48)、その後、撮影画像を記憶部7に保存する保存処理を行い(ステップS50)、バッファをクリアする(ステップS52)。そして、図4のステップS14に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0032】
また、レリーズ操作がなかった場合には(ステップS28のNO)、何もせずに、図4のステップS14に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0033】
また、モードが再生モードであった場合(ステップS10のNO)、あるいは、モード変更操作があった場合には(ステップS22のYES)、記憶部7に記憶されている(再生)画像を、第1の画素数で表示パネル62に出力して表示する(図6のステップS54)。次に、画面がタッチされたか否か、すなわちタッチパネル61上にタッチ操作があったか否かを判断する(ステップS56)。
【0034】
ここで、画面タッチされた場合には(ステップS56のYES)、記憶部7に記憶されている撮像画像を第2の画素数でバッファに出力して一時記憶する(ステップS58)。なお、タッチパネル61には、指、ペン等の近接を感知するものがあるので、この場合、近接を感知した時点で、第2の画素数で記憶部7のバッファに出力するようにしてもよい。
【0035】
次に、タッチパネル61の検出からタッチ位置の座標を取得し(ステップS60)、輪郭抽出等の既存の技術を用いて、バッファした撮影画像上でタッチ位置を特定するタッチ位置特定処理を実行する(ステップS62)。なお、該タッチ位置特定処理の詳細については後述する。その後、ステップS56に戻り、処理を継続する。
【0036】
一方、画面がタッチされない場合には(ステップS56のNO)、モード変更操作があったか否かを判断する(ステップS64)。そして、モード変更操作がない場合には(ステップS64のNO)、画像送り、ズーム、スライドショー、特殊効果等の他の操作があったか否かを判断する(ステップS66)。そして、その他の操作があった場合には(ステップS66のYES)、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲があるか否かを判断する(ステップS68)。
【0037】
そして、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がある場合には(ステップS68のYES)、バッファされた撮影画像上に特定されている位置/範囲、操作に応じた、その他の処理(再生画像に対する特殊効果等)を実行する(ステップS70)。次に、撮影処理後の撮影画像を表示パネル62に出力し、ユーザに確認させる確認表示を行う(ステップS72)。その後、バッファをクリアする(ステップS74:保存処理を追加してもよい)。そして、ステップS56に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0038】
一方、バッファされた撮影画像上に特定された位置/範囲がない場合には(ステップS68のNO)、通常の操作に応じた処理を行い(ステップS76)、ステップS56に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0039】
また、モード変更操作があった場合、すなわち、撮影モードへの変更操作があった場合には(ステップS64のYES)、図4に示すステップS12に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0040】
図7は、本実施形態による画像処理装置の動作(タッチ位置特定処理)を説明するためのフローチャートである。タッチ位置特定処理では、まず、タッチパネル61が有する(第2の画素数に対応する)分解能のタッチ座標に基づいて、該当するバッファ内の画像(第2の画素数)内の被写体を推測する(ステップS80)。被写体の推測は、既存の技術を利用するが、本実施形態では、タッチパネル61の分解能が高いので推測精度を上げることができる。なお、高い分解能で座標が検出されているので、被写体が所定の大きさ以上の場合には、ユーザによるタッチ操作で画像内の細部が指定されているので、推測の処理を省略してもよい
【0041】
次に、被写体の種類(人間、花など)を推測し(ステップS82)、既存の技術を利用して被写体の輪郭を抽出する(ステップS84)。次に、オートフォーカス(AF)位置指定のためのタッチ操作があったか否かを判断し(ステップS86)、タッチ操作があった場合には(ステップS86のYES)、AF用補正テーブル71を参照し(ステップS88)、推測した被写体種類からオートフォーカス(AF)対象を特定する(ステップS90)。そして、特定したオートフォーカス(AF)対象から輪郭を抽出し、バッファされた画像の位置/範囲として特定する(ステップS92)。その後、上述したメインルーチンに戻る。
【0042】
一方、オートフォーカス(AF)位置指定のためのタッチ操作がなかった場合には(ステップS86のNO)、抽出した輪郭をバッファの画像の位置/範囲として特定する(ステップS94)。その後、その後、上述したメインルーチンに戻る。
【0043】
図8は、本実施形態において、レリーズ操作からタッチ位置、あるいは範囲の特定までの一連動作を説明するための概念図である。第1の画素数(低解像度)の画像がタッチ表示部6に表示されている、ライブビュー画像表示/再生画像表示において、ユーザがタッチ表示部6上をタッチする。
【0044】
ユーザがタッチ表示部6上をタッチすると、第2の画素数(高解像度)の画像をバッファに取り込み、該第2の画素数の画像(バッファ画像)から、タッチパネル61上のタッチ操作による指定範囲が人物の顔であると推測し、既存の技術を用いて輪郭抽出する(拡大表示)。さらに、AF用補正テーブル71を参照し、タッチ位置/範囲が人物の顔であるので、AF対処補正位置/範囲「大きく撮影されている方の目」を指定範囲に特定する(拡大表示)。
【0045】
図9(a)、(b)は、本実施形態による画像処理装置での表示例を示す模式図である。図9(a)、(b)には、タッチ位置から人物の顔が指定されたと推測し、AF用補正テーブル71から、大きく撮影されている方の目を指定範囲に特定し、確認表示(図5のステップS44、図6のステップS72)において、拡大表示した場合を示している(同時表示)。例えば、図9(a)に示すように、タッチ位置から推測、特定された指定範囲を、ライブビュー画像表示や、再生画像表示に重畳させて拡大表示するようにしてもよい。あるいは、図9(b)に示すように、ライブビュー画像表示や、再生画像表示と、タッチ位置から推測、特定された指定範囲の拡大表示とを切り換え可能に表示するようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態によれば、表示パネル62の上に、該表示パネル62の解像度よりも高い分解能を有し、ユーザが表示パネル62による表示を基にタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチパネル61を備え、表示パネル62の解像度に対応した第1の画素数の画像を表示パネル62に出力するとともに、該第1の画素数より多い画素数の第2の画素数でメモリに出力し、該第1の画素数の画像を表示している表示パネル62に対するタッチパネル61によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、メモリに出力されている第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定するようにしたことで、消費電力の大きい第2の画素数の画像を必要な場合のみ出力するので、タッチパネルが表示部の画素(解像度)よりも高い分解能を有する場合に、表示部の画素数よりはるかに多くの画素数で撮影された画像にその高い分解能を反映させて高い精度で位置或いは範囲を指定することができる。
【0047】
また、タッチパネル61によるタッチ入力が検出されない状態では、表示パネル62の該第1の画素数の画像を表示パネル62に出力し、該第1の画素数より多い画素数の第2の画素数をメモリには出力せず、タッチ入力が検出された際には、該第1の画素数の画像を表示パネル62に出力するとともに、該第1の画素数より多い画素数の第2の画素数でメモリに出力し、タッチパネル61によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、メモリに出力されている第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定するようにしたことで、消費電力の大きい第2の画素数の画像を必要な場合のみ出力するので、消費電力を抑えつつ、タッチパネルが表示部の画素(解像度)よりも高い分解能を有する場合に、表示部の画素数よりはるかに多くの画素数で撮影された画像にその高い分解能を反映させて高い精度で位置或いは範囲を指定することができる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、第2の画素数でメモリに出力されている画像内の位置或いは範囲が指定された際に、表示パネル62に第2の画素数に対応した解像度で確認可能に拡大して表示するようにしたことで、低解像度の表示パネル62では確認できない高精度で行われた位置或いは範囲指定を確認しやすくできる。
【0049】
また、本実施形態によれば、第2の画素数の画像上における位置或いは範囲に基づいて、タッチパネル61によるタッチ入力で指定された被写体を推測し、推測された被写体に基づいて、タッチパネル61で指定された位置或いは範囲を、第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定するようにしたことで、表示パネル62の表示を基に操作される曖昧なユーザ操作による位置或いは範囲指定を補完して高い精度によりメモリに出力されている画像内の位置或いは範囲を指定することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、被写体と該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分を対応付けてAF用補正テーブル71に記憶しておき、タッチパネル61で指定された位置或いは範囲を、第2の画素数の画像上における、推測された被写体に対して、AF用補正テーブル71に対応付けて記憶されている該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分として特定するようにしたことで、適切なオートフォーカス対象を判別し、高い精度でオートフォーカスを行うことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、タッチパネル61を、物体の近接を検出する近接センサとしたので、高画素数の画像に対して位置或いは範囲の指定を可能な状態に遷移するまでのタイムラグを軽減することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、タッチパネル61によるタッチ入力が検出された際には、撮像部3から第2の画素数の画像を撮像して取り込んで、第2の画素数の画像上で位置/範囲を特定するようにしたことで、画像撮影時にもタッチパネルの高分解能を有効活用することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、記憶部7に記憶されている画像の再生時にも、タッチパネル61によるタッチ入力に応じて、第2の画素数の画像上で位置/範囲を特定するようにしたことで、画像再生時にもタッチパネルの高分解能を有効活用することができる。
【0054】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0055】
(付記1)
付記1に記載の発明は、表示部の上に備えられ、該表示部の解像度よりも高い分解能を有し、ユーザが該表示部による表示に基づいてタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチ入力手段と、前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像をメモリに出力する出力制御手段と、前記第1の画素数の画像を表示している前記表示部に対する前記タッチ入力手段によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段によりメモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定する位置範囲特定手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0056】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記第1の画素数の画像を前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像をメモリに出力することを特徴とする付記1に記載の画像処理装置である。
【0057】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記位置範囲特定手段により、メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲が特定された際に、前記表示部に該第2の画素数に対応した解像度で確認可能に拡大して表示する拡大表示手段を更に備えることを特徴とする付記1または2に記載の画像処理装置である。
【0058】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記位置範囲特定手段により特定された、前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲に基づいて、前記タッチ入力手段によるタッチ入力で指定された被写体を推測する推測手段を更に備え、前記位置範囲特定手段は、前記推測手段により推測された被写体に基づいて、前記タッチ入力手段で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0059】
(付記5)
付記5に記載の発明は、被写体と該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分とを対応付けて記憶する記憶手段を更に備え、前記位置範囲特定手段は、前記タッチ入力手段で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における、前記推測手段により推測された被写体に対して、前記記憶手段に対応付けて記憶されている該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分として特定することを特徴とする付記4に記載の画像処理装置である。
【0060】
(付記6)
付記6に記載の発明は、前記タッチ入力手段は、誘電体の近接を更に検出し、前記出力制御手段は、前記画像を該タッチ入力手段が誘電体の離反を検出している状態では、前記第1の画素数で前記表示部に出力し、誘電体の近接を検出した際には、前記第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第2の画素数の画像をメモリに出力することを特徴とする付記2に記載の画像処理装置である。
【0061】
(付記7)
付記7に記載の発明は、前記第1の画素数を有する画像、または前記第2の画素数を有する画像を撮像する撮像手段を更に備え、前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記撮像手段によって撮像された前記第1の画素数を有する画像を取り込んで前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記撮像手段によって撮像された前記第1の画素数の画像を取り込んで前記表示部に出力するとともに、前記撮像手段によって前記第2の画素数の画像を撮像して取り込んでメモリに出力することを特徴とする付記2に記載の画像処理装置である。
【0062】
(付記8)
付記8に記載の発明は、画像を記憶する画像記憶手段を更に備え、前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記表示部の解像度に対応した第1の画素数で前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記第1の画素数で前記表示部に出力するとともに、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記第2の画素数でメモリに出力することを特徴とする付記2に記載の画像処理装置である。
【0063】
(付記9)
付記9に記載の発明は、少なくとも、メモリと表示部と該表示部の上に備えられ、該表示部の解像度よりも高い分解能を有するタッチ入力部とを備える画像処理装置のコンピュータに、前記タッチ入力部により、ユーザが該表示部による表示に基づいてタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチ入力機能、前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像を前記メモリに出力する出力制御機能、前記第1の画素数の画像を表示している前記表示部に対する前記タッチ入力部によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御機能により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定する位置範囲特定機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0064】
1 撮像装置
2 制御部
3 撮像部
4 操作部
5 電源部
6 タッチ表示部
61 タッチパネル
62 表示パネル
7 記憶部
71 AF用補正テーブル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の上に備えられ、該表示部の解像度よりも高い分解能を有し、ユーザが該表示部による表示に基づいてタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチ入力手段と、
前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像をメモリに出力する出力制御手段と、
前記第1の画素数の画像を表示している前記表示部に対する前記タッチ入力手段によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段によりメモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定する位置範囲特定手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記第1の画素数の画像を前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像をメモリに出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記位置範囲特定手段により、メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲が特定された際に、前記表示部に該第2の画素数に対応した解像度で確認可能に拡大して表示する拡大表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記位置範囲特定手段により特定された、前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲に基づいて、前記タッチ入力手段によるタッチ入力で指定された被写体を推測する推測手段を更に備え、
前記位置範囲特定手段は、前記推測手段により推測された被写体に基づいて、前記タッチ入力手段で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被写体と該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分とを対応付けて記憶する記憶手段を更に備え、
前記位置範囲特定手段は、前記タッチ入力手段で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御手段により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における、前記推測手段により推測された被写体に対して、前記記憶手段に対応付けて記憶されている該被写体のオートフォーカスの対象とすべき特定部分として特定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記タッチ入力手段は、誘電体の近接を更に検出し、
前記出力制御手段は、前記画像を該タッチ入力手段が誘電体の離反を検出している状態では、前記第1の画素数で前記表示部に出力し、誘電体の近接を検出した際には、前記第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第2の画素数の画像をメモリに出力することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の画素数を有する画像、または前記第2の画素数を有する画像を撮像する撮像手段を更に備え、
前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記撮像手段によって撮像された前記第1の画素数を有する画像を取り込んで前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記撮像手段によって撮像された前記第1の画素数の画像を取り込んで前記表示部に出力するとともに、前記撮像手段によって前記第2の画素数の画像を撮像して取り込んでメモリに出力することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像を記憶する画像記憶手段を更に備え、
前記出力制御手段は、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出されない状態では、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記表示部の解像度に対応した第1の画素数で前記表示部に出力し、前記タッチ入力手段によるタッチ入力が検出された際には、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記第1の画素数で前記表示部に出力するとともに、前記画像記憶手段から画像を読み出して前記第2の画素数でメモリに出力することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項9】
少なくとも、メモリと表示部と該表示部の上に備えられ、該表示部の解像度よりも高い分解能を有するタッチ入力部とを備える画像処理装置のコンピュータに、
前記タッチ入力部により、ユーザが該表示部による表示に基づいてタッチ入力の結果を確認しながら位置指定を行うタッチ入力機能、
前記表示部の解像度に対応した第1の画素数の画像を前記表示部に出力するとともに、前記第1の画素数より多い画素数の第2の画素数の画像を前記メモリに出力する出力制御機能、
前記第1の画素数の画像を表示している前記表示部に対する前記タッチ入力部によるタッチ入力で指定された位置或いは範囲を、前記出力制御機能により前記メモリに出力されている前記第2の画素数の画像上における位置或いは範囲として特定する位置範囲特定機能
を実行させることを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25449(P2013−25449A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157739(P2011−157739)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】